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特許7494126通信装置および通信方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】通信装置および通信方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/22 20220101AFI20240527BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20240527BHJP
   G06F 13/12 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H04L69/22
G06F13/38 320A
G06F13/38 350
G06F13/12 310E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020561296
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2019047761
(87)【国際公開番号】W WO2020129685
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2018238300
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏雄
(72)【発明者】
【氏名】百代 俊久
(72)【発明者】
【氏名】越坂 直弘
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-520020(JP,A)
【文献】特開2017-026936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0268878(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0359499(US,A1)
【文献】DRAFT MIPI Alliance Specification for Camera Serial Interface 2 (CSI-2),DRAFT MIPI Alliance Specification for CSI-2 Draft Version 1.01.00 Revision 0.04-2 April 2009,2009年04月,P.21-23,46-50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-69/40
G06F 13/38
G06F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成するパケットヘッダ生成部と、
前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成する拡張ヘッダ生成部と
を備え、
前記パケットヘッダ生成部は、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納し、
前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
通信装置。
【請求項2】
前記拡張ヘッダ生成部は、前記拡張ヘッダとして、既存のCSI-2規格に従ったペイロードの先頭に配置される拡張ペイロードヘッダを生成する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
C-PHYおよびD-PHYの両方の物理層処理を切り替えて実行することが可能な物理層処理部
をさらに備える請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記拡張ヘッダ生成部は、前記拡張ヘッダに、用途に応じて選択的に伝送されるオプショナル拡張ヘッダを送信するか否かを示すオプショナル拡張ヘッダ設定情報を格納する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記オプショナル拡張ヘッダには、MC(Message Count)、および、RSID(車載用行番号とSourceID)が格納される
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記パケットヘッダ生成部は、前記未使用領域に、前記拡張モードとして用意される複数のタイプの拡張モードのうちの、いずれのタイプであるかを示す拡張タイプ設定情報を格納する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記拡張モードにおいて伝送される前記パケットが、既存のCSI-2規格においてペイロードとして伝送されるデータを格納する拡張ロングパケットである場合に、前記データが格納されるレガシーペイロードに続けて配置されるオプショナル拡張フッタを生成するオプショナル拡張フッタ生成部
をさらに備え、
前記オプショナル拡張フッタに続けて、WC(Word Count)+1バイト目をCRC(Cyclic Redundancy Check)として送信する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
送信対象のデータの内容に応じて、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの送信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの送信との切り替えを制御する制御部
をさらに備える請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
通信を行う通信装置が、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成することと、
前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納し、
前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
通信方法。
【請求項10】
通信を行う通信装置のコンピュータに、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成することと、
前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納し、
前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
通信処理を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出するパケットヘッダ検出部と、
前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する解釈部と
を備え、
前記パケットヘッダ検出部は、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えを行わせ、前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
通信装置。
【請求項12】
前記解釈部は、前記拡張ヘッダとして、既存のCSI-2規格に従ったペイロードの先頭に配置される拡張ペイロードヘッダを受信し、前記拡張ペイロードヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する
請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
C-PHYおよびD-PHYの両方の物理層処理を切り替えて実行することが可能な物理層処理部
をさらに備える請求項11に記載の通信装置。
【請求項14】
前記解釈部は、前記拡張ヘッダに格納されているオプショナル拡張ヘッダ設定情報が、用途に応じて選択的に伝送されるオプショナル拡張ヘッダを送信することを示している場合、前記拡張ヘッダに続けて前記オプショナル拡張ヘッダを受信し、前記オプショナル拡張ヘッダに格納されているMC(Message Count)、および、RSID(車載用行番号とSourceID)を解釈する
請求項11に記載の通信装置。
【請求項15】
前記パケットヘッダ検出部は、前記未使用領域に格納されている拡張モードタイプ情報に従って、前記拡張モードとして用意される複数のタイプの拡張モードのうちの、いずれのタイプの拡張モードであるかを認識する
請求項11に記載の通信装置。
【請求項16】
前記解釈部は、拡張モードにおいて伝送される前記パケットが、既存のCSI-2規格においてペイロードとして伝送されるデータを格納する拡張ロングパケットである場合に、前記データが格納されるレガシーペイロードに続けて配置されるオプショナル拡張フッタを受信し、前記オプショナル拡張フッタを解釈し、
前記オプショナル拡張フッタに続けて、WC(Word Count)+1バイト目をCRC(Cyclic Redundancy Check)として受信する
請求項11に記載の通信装置。
【請求項17】
通信を行う通信装置が、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出することと、
前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えが行われ
前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
通信方法。
【請求項18】
通信を行う通信装置のコンピュータに、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出することと、
前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えが行われ
前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
通信処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置および通信方法、並びにプログラムに関し、特に、より多様な用途に対応することができるようにした通信装置および通信方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、規格化が進行中であるCSI(Camera Serial Interface)-2 ver4.0では、物理層にC-PHYを使うパケット構造と、物理層にD-PHYを使うパケット構造との2種類が定義されている。
【0003】
また近年、CSI-2規格は、モバイル機器だけに用いられるのではなく、車載やIoT(Internet of Things)など様々な用途に広く用いられるようになった結果、既存のパケット構造では、それらの用途に対応することができないと想定される。そこで、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)アライアンスでは、多様な用途に対応させるため、既存のパケットヘッダやパケットフッタなど、パケット構造の拡張を検討している。
【0004】
また、特許文献1では、CSI-2規格を利用して、処理装置と複数の画像センサとを接続する際に、データバスの数を減らすことができるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-211864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、CSI-2規格におけるパケットのパケット構造を拡張させることが検討されているが、その際に、既存のCSI-2規格の互換性を維持しつつ、より多くの情報を伝達することができるようにして、多様な用途に対応させることが求められている。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より多様な用途に対応することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の側面の通信装置は、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成するパケットヘッダ生成部と、前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成する拡張ヘッダ生成部とを備え、前記パケットヘッダ生成部は、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納し、前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
【0009】
本開示の第1の側面の通信方法またはプログラムは、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成することと、前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成することとを含み、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納し、前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
【0010】
本開示の第1の側面においては、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されて、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダが生成され、そのパケットヘッダとは別に、設定情報を格納する拡張ヘッダが生成される。そして、パケットで伝送されるデータのタイプを示す設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報が格納され、拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、拡張ヘッダは、いずれの拡張モードであっても必ず送信される
【0011】
本開示の第2の側面の通信装置は、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出するパケットヘッダ検出部と、前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する解釈部とを備え、前記パケットヘッダ検出部は、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えを行わせ、前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
【0012】
本開示の第2の側面の通信方法またはプログラムは、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出することと、前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈することとを含み、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えが行われ、前記拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、前記拡張ヘッダは、いずれの前記拡張モードであっても必ず送信される
【0013】
本開示の第2の側面においては、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダが、既存のCSI-2規格に従って検出され、そのパケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている設定情報が解釈される。そして、パケットで伝送されるデータのタイプを示す設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えが行われ、拡張モードのタイプとして複数のタイプが用意されており、拡張ヘッダは、いずれの拡張モードであっても必ず送信される
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本技術を適用した通信システムの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図2】本技術を適用した通信システムの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図3】D-PHY用の拡張パケットの全体的なパケット構造の第1の構造例を示す図である。
図4】D-PHY用の拡張ショートパケットのパケット構造の第1の構造例を示す図である。
図5】D-PHY用の拡張ロングパケットのパケット構造の第1の構造例を示す図である。
図6】C-PHY用の拡張パケットの全体的なパケット構造の第1の構造例を示す図である。
図7】C-PHY用の拡張ショートパケットのパケット構造の第1の構造例を示す図である。
図8】C-PHY用の拡張ロングパケットのパケット構造の第1の構造例を示す図である。
図9】イメージセンサの構成例を示すブロック図である。
図10】アプリケーションプロセッサの構成例を示すブロック図である。
図11】イメージセンサがパケットを送信する処理を説明するフローチャートである。
図12】拡張モード送信処理を説明するフローチャートである。
図13】アプリケーションプロセッサがパケットを受信する処理を説明するフローチャートである。
図14】拡張モード受信処理を説明するフローチャートである。
図15】D-PHY用の拡張パケットの全体的なパケット構造の第2の構造例を示す図である。
図16】D-PHY用の拡張ロングパケットのパケット構造の第2の構造例を示す図である。
図17】C-PHY用の拡張ショートパケットのパケット構造の第2の構造例を示す図である。
図18】C-PHY用の拡張ロングパケットのパケット構造の第2の構造例を示す図である。
図19】D-PHYおよびC-PHYを切り替える構成の変形例を示すブロック図である。
図20】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<通信システムの構成例>
図1は、本技術を適用した通信システムの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、通信システム11は、イメージセンサ21およびアプリケーションプロセッサ22がバス23を介して接続されて構成される。例えば、通信システム11は、いわゆるスマートフォンなどのような既存のモバイル機器の内部におけるCSI-2接続に用いられる。
【0018】
イメージセンサ21は、例えば、レンズや撮像素子(いずれも図示せず)などとともに、拡張モード対応CSI-2送信回路31が組み込まれて構成される。例えば、イメージセンサ21は、撮像素子が撮像することで取得した画像の画像データを、拡張モード対応CSI-2送信回路31によりアプリケーションプロセッサ22へ送信する。
【0019】
アプリケーションプロセッサ22は、通信システム11を備えるモバイル機器で実行される各種のアプリケーションに応じた処理を行うLSI(Large Scale Integration)とともに、拡張モード対応CSI-2受信回路32が組み込まれて構成される。例えば、アプリケーションプロセッサ22は、イメージセンサ21から送信されてくる画像データを、拡張モード対応CSI-2受信回路32により受信し、その画像データに対して、アプリケーションに応じた処理をLSIにより行うことができる。
【0020】
バス23は、CSI-2の規格に準拠して信号を伝送する通信経路であり、例えば、信号を伝送することが可能な伝送距離は30cm程度となっている。また、バス23は、図示するように複数本の信号線(I2C,CLKP/N,D0P/N,D1P/N,D2P/N,D3P/N)によって、イメージセンサ21およびアプリケーションプロセッサ22を接続する。
【0021】
拡張モード対応CSI-2送信回路31および拡張モード対応CSI-2受信回路32は、CSI-2の規格を拡張させた拡張モードでの通信に対応しており、互いに信号の送信および受信を行うことができる。なお、拡張モード対応CSI-2送信回路31および拡張モード対応CSI-2受信回路32の詳細な構成については、図9および10を参照して後述する。
【0022】
図2は、本技術を適用した通信システムの第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、通信システム11Aは、イメージセンサ21およびシリアライザ25がバス24-1を介して接続されるとともに、アプリケーションプロセッサ22およびデシリアライザ26がバス24-2を介して接続されており、シリアライザ25およびデシリアライザ26がバス27を介して接続されて構成される。例えば、通信システム11Aは、既存の車載カメラにおける接続に用いられる。
【0024】
ここで、イメージセンサ21およびアプリケーションプロセッサ22は、図1のイメージセンサ21およびアプリケーションプロセッサ22と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
【0025】
バス24-1および24-2は、図1のバス23と同様に、CSI-2の規格に準拠して信号を伝送する通信経路であり、図示するように複数本の信号線(HS-GPIO,I2C,CLKP/N,D0P/N,D1P/N,D2P/N,D3P/N)を備えて構成される。
【0026】
シリアライザ25は、CSI-2受信回路33およびSerDes(Serializer Deserializer)送信回路34を備えて構成される。例えば、シリアライザ25は、CSI-2受信回路33が、拡張モード対応CSI-2送信回路31との間で通常のCSI-2の規格に準拠した通信を行うことにより、イメージセンサ21から送信されてくるビット並列の信号を取得する。そして、シリアライザ25は、その取得した信号をビット直列に変換して、SerDes送信回路34がSerDes受信回路35との間で1レーンでの通信を行うことにより、その信号をデシリアライザ26へ送信する。
【0027】
デシリアライザ26は、SerDes受信回路35およびCSI-2送信回路36を備えて構成される。例えば、デシリアライザ26は、SerDes受信回路35が、SerDes送信回路34との間で1レーンでの通信を行うことにより送信されてくるビット直列の信号を取得する。そして、デシリアライザ26は、その取得した信号をビット並列に変換して、CSI-2送信回路36が、拡張モード対応CSI-2受信回路32との間で通常のCSI-2の規格に準拠した通信を行うことにより、アプリケーションプロセッサ22へ送信する。
【0028】
バス27は、FPD(Flat Panel Display)-LINK IIIなどのように、CSI-2以外のSerDes規格に準拠して信号を伝送する通信経路であり、例えば、信号を伝送することが可能な伝送距離は15m程度となっている。
【0029】
このように構成される通信システム11および11Aは、拡張モード対応CSI-2送信回路31および拡張モード対応CSI-2受信回路32により、後述するように拡張されたパケット構造のパケットでデータを送受信することができる。これにより、より多様な用途、例えば、後述するようなRAW24や、SmartROI(Region of Interest)、GLD(Graceful Link Degradation)などに対応することができる。
【0030】
<パケット構造の第1の構造例>
図3乃至図8を参照して、拡張モード対応CSI-2送信回路31および拡張モード対応CSI-2受信回路32の間の通信で用いられるパケットのパケット構造の第1の構造例について説明する。
【0031】
図3には、物理層がD-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるパケット(以下、D-PHY用の拡張パケットと称する)の全体的なパケット構造が示されている。
【0032】
図3に示すように、D-PHY用の拡張パケットは、パケットヘッダおよびパケットフッタが既存のCSI-2規格と同一のパケット構造となっている。例えば、パケットヘッダには、仮想チャネルの回線数を示すVC(VirtualChannel)、データの種類を示すデータタイプ(DataType)、ペイロードのデータ長を示すWC(Word Count)、VCX/ECCが格納される。また、パケットフッタには、CRC(Cyclic Redundancy Check)が格納される。
【0033】
ここで、既存のCSI-2規格では、パケットヘッダで送信されるデータタイプは、0x38~0x3Fがリザーブと定義されている。そこで、D-PHY用の拡張パケットでは、既存ではリザーブとなっているデータタイプを利用して、受信側で拡張モードを識別するための設定情報が新たに定義される。
【0034】
例えば、データタイプとして、
・DataType[5:3]=3’b111の場合、拡張モード
・DataType[2]=Reserve(RES:将来の拡張のための予約)
・DataType[1:0]=extension mode type(4つの拡張モードを用意)
を定義する。
【0035】
即ち、既存のCSI-2規格ではリザーブと定義されているデータタイプの0x38~0x3Fのうち、例えば、DataType[5:3]が拡張モード設定情報として定義され、DataType[1:0]が拡張タイプ設定情報として定義される。拡張モード設定情報は、拡張モードであるか否かを示し、例えば、DataType[5:3]が3’b111である場合には拡張モードであることを示す。また、拡張モードのタイプとして、拡張モード0、拡張モード1、拡張モード2、および拡張モード3の4つのタイプが用意されるとき、拡張タイプ設定情報は、それらのうちの、いずれのタイプであるかを示す。例えば、DataType[1:0]が2’b00である場合には、拡張モードのタイプが拡張モード0であることを示す。
【0036】
そして、拡張モード0(DataType[1:0]=2’b00)では、例えば、ペイロードが4つに分離されたパケット構造が定義される。即ち、拡張モード0におけるペイロードは、図3に示すように、拡張ペイロードヘッダ(ePH:extended Payload Header)、オプショナル拡張ペイロードヘッダ(OePH:Optional extended Payload Header)、レガシーペイロード(Legacy Payload)、および、オプショナル拡張ペイロードフッタ(OePF:Optional extended Payload Footer)に分離される。
【0037】
拡張ペイロードヘッダは、既存のCSI-2規格のペイロードに相当する先頭に配置され、拡張モードでは必ず送信する必要がある。例えば、拡張ペイロードヘッダは、図示するように、SROIの識別フラグ、拡張VC(VirtualChannel)、拡張DataType、OePHの選択フラグ、およびOePFの選択フラグなどの設定情報で構成される。ここで、拡張VCにより、既存のCSI-2規格では4ビットであったVCが8ビットに拡張され、拡張DataTypeにより、既存のCSI-2規格では4ビットであったDataTypeが8ビットに拡張される。
【0038】
例えば、D-PHY用のパケットでは、既存のパケットヘッダのVCが既に4ビット存在しており、拡張ペイロードヘッダの拡張VCを4ビットと定義することにより、合計で8ビットとすることができる。具体的には、OePH[7:0] = {5’h00,RSID,XY_POS,MC}、OePF[3:0] = {3’h0,pCRC}と定義することができ、それぞれの用途に必要なパケット送信のON/OFFを制御することができる。
【0039】
オプショナル拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードフッタは、用途に応じて選択的に伝送される。
【0040】
レガシーペイロードは、既存のCSI-2の規格と同一のペイロードに相当する。
【0041】
このように、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、およびオプショナル拡張ペイロードフッタを必要に応じて設定することで、様々な用途に対応したデータを送信することができるようになる。また、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、およびオプショナル拡張ペイロードフッタで伝送されるデータは、26bit+6bitのECC(Error Correction Code)とする。これにより、既存のペイロードヘッダの回路を流用して回路規模の増大を抑制し、かつ、エラー耐性の向上を図ることができる。
【0042】
このようなD-PHY用の拡張パケットの具体的な適用例として、図4には、物理層がD-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるショートパケット(以下、D-PHY用の拡張ショートパケットと称する)のパケット構造が示されている。同様に、図5には、物理層がD-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるロングパケット(以下、D-PHY用の拡張ロングパケットと称する)のパケット構造が示されている。
【0043】
図4に示すようなD-PHY用の拡張ショートパケットにおいて、パケットヘッダに格納されているデータタイプの拡張タイプ設定情報は、拡張モードのタイプが拡張モード0であること(DT[5:0]=0x1C(5’b111_0_0))を示している。また、拡張ペイロードヘッダに格納されているデータタイプのショートパケット設定情報は、ショートパケットであること(DT[7:0]=0x00 (Frame Start Code(Short Packet)))を示している。
【0044】
このように、拡張モードであり、かつ、拡張ペイロードヘッダに格納されているデータタイプがDT[7:0]=0x00~0x0Fである場合、拡張ショートパケットとし、オプショナル拡張ペイロードヘッダには必ず、拡張ショートパケットのShort Packet Data Fieldを含むデータが伝送される。このShort Packet Data Fieldは、既存のCSI-2の規格で定義されたものと同一である。
【0045】
なお、拡張ショートパケットの送信時には、オプショナル拡張ペイロードヘッダのうち、MC(GLD用MessageCount)とRSID(車載用行番号とSourceID)は送信しても良いが、レガシーペイロードとpCRCは不要であるため、送信禁止である。仮に、それらを誤って送信した場合には、受信側で無視される。
【0046】
そして、図4に示すようなパケット構造の拡張ショートパケットは、既存のCSI-2の規格に従った拡張ショートパケットと比較して、データタイプおよび仮想チャネルのビット幅を拡張することができ、オプショナル拡張ペイロードヘッダで定義される様々な用途に対応することができる。また、これらの機能が必要でない場合は、既存のCSI-2の規格に従った拡張ショートパケットを、拡張ロングパケットと一緒に送信するようにしてもよい。
【0047】
図5に示すようなD-PHY用の拡張ロングパケットにおいて、パケットヘッダに格納されているデータタイプの拡張タイプ設定情報は、拡張モードのタイプが拡張モード0であること(DT[5:0]=0x1C(5’b111_0_0))を示している。また、拡張ペイロードヘッダに格納されているデータタイプのショートパケット設定情報は、ショートパケット以外であること(DT[7:0]は0x00~0x0F以外(=拡張LongPackt))を示している。従って、拡張ロングパケットでは、Short Packet Data Fieldを含むデータは送信されない。
【0048】
また、拡張ペイロードヘッダの設定に従い、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、レガシーペイロード、およびオプショナル拡張ペイロードフッタが、既存のCSI-2の規格でのペイロードに格納して伝送される。このように、既存のペイロードに格納して伝送されるため、既存のSerDes送信回路34およびSerDes受信回路35(図2)には、既存のペイロードで伝送される画像データと同様に認識され、そのまま後段に伝送される。
【0049】
そして、最後段のアプリケーションプロセッサ22は、パケットヘッダのデータタイプDT[5:0]によって、拡張モードと判定することができる。従って、アプリケーションプロセッサ22は、ペイロードの中身を、拡張ペイロードヘッダから順に解釈し、所望の拡張モードのデータを取り出すことができる。
【0050】
図6には、物理層がC-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるパケット(以下、C-PHY用の拡張パケットと称する)の全体的なパケット構造が示されている。なお、図6に示すC-PHY用の拡張パケットにおいて、図3のD-PHY用の拡張パケットと共通する構成については説明を省略し、異なる構成について説明を行う。
【0051】
例えば、C-PHY用の拡張パケットでは、図3のD-PHY用の拡張パケットと同様に、データタイプで拡張モードを識別し、アプリケーションプロセッサ22で実行される各アプリケーションに応じたデータは、すべてペイロードに埋め込まれて伝送される。
【0052】
図6に示すように、C-PHY用の拡張パケットは、既存のCSI-2規格に従ったC-PHY用のパケットと同様に、パケットヘッダを2回伝送し、C-PHYが16bitを7symbolに変換する都合上、16bit単位でデータを並べる。また、ペイロードの先頭には拡張ペイロードヘッダが配置されるが、仮想チャネルに関しては、C-PHYの場合、既存のパケットヘッダの先頭がその為にReserveとなっていたため、拡張ペイロードヘッダには仮想チャネルは格納されない。もちろん、D-PHY用の拡張パケットと同様に、拡張ペイロードヘッダに仮想チャネルを格納してもよい。
【0053】
また、オプショナル拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードフッタはビット数が多いため、OePHFというフラグを準備し、このフラグが1の場合、OePH/OePF情報が次に伝送される。そして、ePH情報およびOePH情報の後、拡張ペイロードヘッダとしてCRCを伝送し、同様に構成されるパケットヘッダを2回繰り返して伝送する。このように、既存のパケットヘッダが2回伝送される仕組みと構造を同じにすることで、回路再利用性およびエラー耐性を両立することができる。
【0054】
このようなC-PHY用の拡張パケットの具体的な適用例として、図7には、物理層がC-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるショートパケット(以下、C-PHY用の拡張ショートパケットと称する)のパケット構造が示されている。同様に、図8には、物理層がC-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるロングパケット(以下、C-PHY用の拡張ロングパケットと称する)のパケット構造が示されている。
【0055】
なお、図7に示すC-PHY用の拡張ショートパケットは、図4に示したD-PHY用の拡張ショートパケットとパケット構造に大きな差異はなく、図8に示すC-PHY用の拡張ロングパケットは、図5に示したD-PHY用の拡張ロングパケットとパケット構造に大きな差異はない。
【0056】
<イメージセンサおよびアプリケーションプロセッサの構成例>
図9は、拡張モード対応CSI-2送信回路31を備えるイメージセンサ21の構成例を示すブロック図である。
【0057】
図9に示すように、イメージセンサ21は、拡張モード対応CSI-2送信回路31の他に、画素41、AD変換器42、画像処理部43、画素CRC演算部44、物理層処理部45、I2C/I3Cスレーブ46、およびレジスタ47を備えて構成される。また、拡張モード対応CSI-2送信回路31は、パッキング部51、パケットヘッダ生成部52、ペイロードヘッダ生成部53、ペイロードフッタ生成部54、選択部55および56、CRC演算部57、レーン分配部58、CCIスレーブ59、およびコントローラ60を備えて構成される。
【0058】
画素41は、受光した光の光量に応じたアナログの画素信号を出力し、AD変換器(ADC:Analog-to-Digital Converter)42は、画素41から出力される画素信号をデジタル変換して画像処理部43に供給する。画像処理部(ISP:Image Signal Processor)43は、画素信号に基づく画像に対する各種の画像処理を施して得られる画像データを画素CRC演算部44およびパッキング部51に供給する。また、画像処理部43は、画像データが有効であるか否かを示すデータイネーブル信号data_enをパッキング部51およびコントローラ60に供給する。
【0059】
画素CRC演算部44は、画像処理部43から供給される画像データにおける画素ごとのCRCを演算して求め、そのCRCをペイロードフッタ生成部54に供給する。
【0060】
物理層処理部45は、C-PHYおよびD-PHYの両方の物理層処理を実行することができる。例えば、物理層処理部45は、コントローラ60から供給されるC層イネーブル信号cphy_enが有効である場合にはC-PHYの物理層処理を実行し、C層イネーブル信号cphy_enが無効である場合にはD-PHYの物理層処理を実行する。そして、物理層処理部45は、レーン分配部58により4レーンに分割されたパケットを、アプリケーションプロセッサ22へ送信する。
【0061】
I2C/I3Cスレーブ46は、I2C(Inter-Integrated Circuit)またはI3C(Improved Inter Integrated Circuits)の規格に基づき、アプリケーションプロセッサ22のI2C/I3Cマスタ72(図10)による主導に従って通信を行う。
【0062】
レジスタ47には、アプリケーションプロセッサ22から送信されてくる各種の設定が、I2C/I3Cスレーブ46およびCCIスレーブ59を介して書き込まれる。ここで、レジスタ47に書き込まれる設定としては、例えば、CSI-2規格に従った通信設定や、拡張モードの使用の有無を示す拡張モード設定、拡張モードでの通信で必要となる固定の通信設定などがある。
【0063】
パッキング部51は、画像処理部43から供給される画像データを、パケットのペイロードに格納するパッキング処理を行い、そのペイロードを選択部55およびレーン分配部58に供給する。
【0064】
パケットヘッダ生成部52は、コントローラ60から供給されるパケットヘッダ生成指示信号ph_goに従って、パケットヘッダの生成が指示されると、パケットヘッダを生成して選択部55およびレーン分配部58に供給する。
【0065】
即ち、パケットヘッダ生成部52は、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報、例えば、データのタイプを示すデータタイプを格納するパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って生成する。また、パケットヘッダ生成部52は、パケットで伝送されるデータのタイプを示す設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納する。さらに、パケットヘッダ生成部52は、未使用領域に、拡張モードとして用意される複数のタイプの拡張モードのうちの、いずれのタイプであるかを示す拡張タイプ設定情報を格納する。
【0066】
ペイロードヘッダ生成部53は、コントローラ60から供給される拡張ペイロードヘッダ生成指示信号eph_goおよび拡張ペイロードヘッダイネーブル信号ePH_enに従って、拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードヘッダそれぞれを生成し、選択部56およびレーン分配部58に供給する。また、ペイロードヘッダ生成部53には、イメージセンサ21の用途に応じて、車載用行番号やソースID(identification)などが供給され、必要に応じて、それらを拡張ペイロードヘッダまたはオプショナル拡張ペイロードヘッダに格納する。
【0067】
即ち、ペイロードヘッダ生成部53は、パケットヘッダ生成部52により生成されるパケットヘッダとは別に、例えば、図3に示したような設定情報を格納する拡張ペイロードヘッダを生成する。さらに、ペイロードヘッダ生成部53は、オプショナル拡張ヘッダを送信する場合、オプショナル拡張ヘッダを送信するか否かを示すオプショナル拡張ヘッダ設定情報(OePH[7:0])として、オプショナル拡張ヘッダを送信することを示すオプショナル拡張ヘッダ設定情報を拡張ヘッダに格納し、拡張ヘッダに続けてオプショナル拡張ヘッダを生成する。
【0068】
ペイロードフッタ生成部54は、コントローラ60から供給される拡張ペイロードフッタ生成指示信号epf_goおよび拡張ペイロードヘッダイネーブル信号ePF_enに従って、オプショナル拡張ペイロードフッタを生成し、選択部56およびレーン分配部58に供給する。
【0069】
即ち、ペイロードフッタ生成部54は、拡張モードにおいて伝送されるパケットが、既存のCSI-2規格においてペイロードとして伝送されるデータを格納する拡張ロングパケットである場合に、データが格納されるレガシーペイロードに続けて配置されるオプショナル拡張フッタを生成する。
【0070】
また、パケットヘッダ生成部52、ペイロードヘッダ生成部53、およびペイロードフッタ生成部54には、コントローラ60からC層イネーブル信号cphy_enが供給される。そして、C層イネーブル信号cphy_enが有効を示している場合、パケットヘッダ生成部52はC-PHY用のパケットヘッダを生成し、ペイロードヘッダ生成部53はC-PHY用の拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードヘッダを生成し、ペイロードフッタ生成部54はC-PHY用のオプショナル拡張ペイロードフッタを生成する。一方、C層イネーブル信号cphy_enが無効を示している場合、パケットヘッダ生成部52はD-PHY用のパケットヘッダを生成し、ペイロードヘッダ生成部53はD-PHY用の拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードヘッダを生成し、ペイロードフッタ生成部54はD-PHY用のオプショナル拡張ペイロードフッタを生成する。
【0071】
選択部55は、コントローラ60から供給されるC層イネーブル信号cphy_enに従って、C層イネーブル信号cphy_enが有効である場合、パケットヘッダ生成部52から供給されるパケットヘッダを選択し、選択部56へ供給する。一方、選択部55は、C層イネーブル信号cphy_enが無効である場合、パッキング部51から供給されるペイロードを選択し、選択部56へ供給する。
【0072】
選択部56は、コントローラ60から供給されるデータ選択信号data_selに従って、選択部55を介して選択的に供給されるパケットヘッダまたはペイロード、ペイロードヘッダ生成部53から供給される拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードヘッダ、ペイロードフッタ生成部54から供給されるオプショナル拡張ペイロードフッタのうち、いずれかを選択してCRC演算部57に供給する。
【0073】
CRC演算部57は、選択部56を介して選択的に供給されるパケットヘッダ、ペイロード、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、またはオプショナル拡張ペイロードフッタのCRCを演算して求め、そのCRCをレーン分配部58に供給する。
【0074】
レーン分配部58は、コントローラ60の制御に従って、パッキング部51から供給されるペイロード、パケットヘッダ生成部52から供給されるパケットヘッダ、ペイロードヘッダ生成部53から供給される拡張ペイロードヘッダおよびオプショナル拡張ペイロードヘッダ、ペイロードフッタ生成部54から供給されるオプショナル拡張ペイロードフッタ、並びに、CRC演算部57から供給されるCRCを、CSI-2の規格に従った4レーンに分配して、物理層処理部45に供給する。
【0075】
CCI(Camera Control Interface)スレーブ59は、CSI-2の規格に基づき、アプリケーションプロセッサ22のCCIマスタ88(図10)による主導に従って通信を行う。
【0076】
コントローラ60は、レジスタ47に記憶されている各種の設定を読み出して、それらの設定に従って、拡張モード対応CSI-2送信回路31を構成する各ブロックに対する制御を行う。例えば、コントローラ60は、送信対象のデータの内容に応じて、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの送信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの送信との切り替えを制御する。
【0077】
このようにイメージセンサ21は構成されており、図3乃至図8を参照して説明したようなパケット構造の拡張パケットを生成して、アプリケーションプロセッサ22へ送信することができる。
【0078】
図10は、拡張モード対応CSI-2受信回路32を備えるアプリケーションプロセッサ22の構成例を示すブロック図である。
【0079】
図10に示すように、アプリケーションプロセッサ22は、拡張モード対応CSI-2受信回路32の他に、物理層処理部71、I2C/I3Cマスタ72、レジスタ73、およびコントローラ74を備えて構成される。また、拡張モード対応CSI-2受信回路32は、パケットヘッダ検出部81、レーン併合部82、解釈部83、選択部84および85、CRC演算部86、アンパッキング部87、並びに、CCIマスタ88を備えて構成される。
【0080】
物理層処理部71は、C-PHYおよびD-PHYの両方の物理層処理を実行することができる。上述したように、イメージセンサ21の物理層処理部45では、C-PHYおよびD-PHYのうちの、いずれか一方の物理層処理が行われ、物理層処理部71は、物理層処理部45において実行されたのと同一の物理層処理を実行する。
【0081】
I2C/I3Cマスタ72は、I2CまたはI3Cの規格に基づき、イメージセンサ21のI2C/I3Cスレーブ46(図9)との通信を主導して行う。
【0082】
レジスタ73には、コントローラ74により、イメージセンサ21のレジスタ47に書き込むべき各種の設定が記録される。
【0083】
コントローラ74は、アプリケーションプロセッサ22を構成する各ブロックに対する制御を行う。
【0084】
パケットヘッダ検出部81は、物理層処理部71から供給されるパケットからパケットヘッダを検出し、パケットヘッダに格納されているデータタイプを確認する。そして、パケットヘッダ検出部81は、パケットヘッダのデータタイプにおいて、拡張モード設定情報が拡張モードであることを示す場合(DataType[5:3]=3’b111)、拡張モードを示す拡張モード検出フラグを、解釈部83、選択部84、および選択部85に供給する。また、パケットヘッダ検出部81は、パケットヘッダに基づいて、分割されている4レーンの併合を有効とするか否かを示す併合イネーブル信号mrg_enをレーン併合部82に供給する。
【0085】
即ち、パケットヘッダ検出部81は、既存のCSI-2規格に従って、パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報(データタイプなど)が格納されるパケットヘッダを検出する。このとき、パケットヘッダ検出部81は、パケットで伝送されるデータのタイプを示す設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、拡張モード検出フラグを出力することで、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えを行わせる。また、パケットヘッダ検出部81は、既存のCSI-2規格では未使用と定義されているデータタイプの未使用領域に格納されている拡張モードタイプ情報に従って、拡張モードとして用意される複数のタイプの拡張モードのうちの、いずれのタイプの拡張モードであるかを認識する。
【0086】
レーン併合部82は、パケットヘッダ検出部81から供給される併合イネーブル信号mrg_enが有効である場合、物理層処理部71から供給される4レーンに分割されたパケットを併合する。そして、レーン併合部82は、1レーンのパケットを解釈部83、選択部84、および選択部85に供給する。
【0087】
解釈部83は、パケットヘッダ検出部81から供給される拡張モード検出フラグが、拡張モードであることを示している場合、拡張モードのパケット構造に基づいて、レーン併合部82から供給されるパケットから、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、およびオプショナル拡張ペイロードフッタを読み出す。そして、解釈部83は、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、およびオプショナル拡張ペイロードフッタに格納されている設定情報を解釈する。
【0088】
即ち、解釈部83は、拡張ヘッダとして、既存のCSI-2規格に従ったペイロードの先頭に配置される拡張ペイロードヘッダを受信し、拡張ペイロードヘッダに格納されている設定情報を解釈する。また、解釈部83は、拡張ヘッダに格納されているオプショナル拡張ヘッダ設定情報が、用途に応じて選択的に伝送されるオプショナル拡張ヘッダを送信することを示している場合、拡張ヘッダに続けてオプショナル拡張ヘッダを受信し、オプショナル拡張ヘッダに格納されている設定情報を解釈する。さらに、解釈部83は、拡張モードにおいて伝送されるパケットが、既存のCSI-2規格においてペイロードとして伝送されるデータを格納する拡張ロングパケットである場合に、データが格納されるレガシーペイロードに続けて配置されるオプショナル拡張フッタを受信し、オプショナル拡張フッタを解釈する。
【0089】
そして、解釈部83は、例えば、オプショナル拡張ペイロードヘッダに格納されている車載用行番号やソースIDなどを読み出して、後段のLSI(図示せず)へ出力する。
【0090】
なお、解釈部83は、パケットヘッダ検出部81から供給される拡張モード検出フラグが、拡張モードであることを示していない場合には、即ち、既存のパケット構造のパケットが供給されている場合には、上述したような処理を行わずに停止する。
【0091】
選択部84は、パケットヘッダ検出部81から供給される拡張モード検出フラグに従い、既存パケットのパケット構造または拡張パケットのパケット構造に基づいて、選択的に、アンパッキング部87へデータを供給する。
【0092】
選択部85は、パケットヘッダ検出部81から供給される拡張モード検出フラグに従い、既存パケットのパケット構造または拡張パケットのパケット構造に基づいて、選択的に、CRC演算部86へデータを供給する。
【0093】
CRC演算部86は、選択部85を介して選択的に供給されるパケットヘッダ、ペイロード、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、またはオプショナル拡張ペイロードフッタのCRCを演算する。そして、CRC演算部86は、CRCエラーが検出された場合、その旨を示すcrcエラー検出信号を後段のLSI(図示せず)へ出力する。
【0094】
アンパッキング部87は、選択部84を介して選択的に供給されるペイロードに格納されている画像データを取り出すアンパッキング処理を行い、取得した画像データを後段のLSI(図示せず)へ出力する。
【0095】
CCIマスタ88は、CSI-2の規格に基づき、イメージセンサ21のCCIスレーブ59(図9)との通信を主導して行う。
【0096】
このようにアプリケーションプロセッサ22は構成されており、イメージセンサ21から送信されてくる拡張パケットを受信して、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、およびオプショナル拡張ペイロードフッタに格納されている設定情報を解釈して、画像データを取得することができる。
【0097】
<通信処理>
図11乃至図14を参照して、イメージセンサ21およびアプリケーションプロセッサ22で行われる通信処理について説明する。
【0098】
図11は、イメージセンサ21がパケットを送信する処理を説明するフローチャートである。
【0099】
例えば、バス23を介して、イメージセンサ21がアプリケーションプロセッサ22に接続されると処理が開始される。ステップS11において、コントローラ60は、アプリケーションプロセッサ22と通信を開始するにあたって、拡張モードを使用するか否かを判定する。例えば、コントローラ60は、レジスタ47に記憶されている拡張モード設定を確認し、拡張モードを使用することを示す拡張モード設定がアプリケーションプロセッサ22により書き込まれている場合、拡張モードを使用すると判定する。
【0100】
ステップS11において、コントローラ60が、拡張モードを使用しないと判定した場合、処理はステップS12に進む。
【0101】
ステップS12において、I2C/I3Cスレーブ46は、アプリケーションプロセッサ22から(後述する図13のステップS54で)送信されてくる画像データの送信開始命令を受信する。さらに、I2C/I3Cスレーブ46は、その送信開始命令とともに送信されてくるCSI-2規格に従った通信設定を受信して、CCIスレーブ59を介してレジスタ47に書き込む。
【0102】
ステップS13において、イメージセンサ21では、レジスタ47に記憶されている通信設定に基づいて、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットをアプリケーションプロセッサ22へ送信する、従来のパケット送信処理が実行される。
【0103】
一方、ステップS11において、コントローラ60が、拡張モードを使用すると判定した場合、処理はステップS14に進む。
【0104】
ステップS14において、I2C/I3Cスレーブ46は、拡張モードでの通信で必要となる固定の通信設定(例えば、GLD時のPH/PFのレーンごとのコピーなど)を受信して、CCIスレーブ59を介してレジスタ47に書き込む。
【0105】
ステップS15において、I2C/I3Cスレーブ46は、アプリケーションプロセッサ22から(後述する図13のステップS57で)送信されてくる画像データの送信開始命令を受信する。さらに、I2C/I3Cスレーブ46は、その送信開始命令とともに送信されてくるCSI-2規格に従った通信設定を受信して、CCIスレーブ59を介してレジスタ47に書き込む。
【0106】
ステップS16において、コントローラ60は、パケットの送信を開始するか否かを判定し、パケットの送信を開始すると判定するまで処理を待機する。
【0107】
そして、ステップS16において、パケットの送信を開始すると判定された場合、処理はステップS17に進み、コントローラ60は、拡張モードで送信すべきデータであるか否かを判定する。ここで、コントローラ60は、送信対象のデータの内容に応じて、例えば、後述するような適用例のユースケースで送信されるようなデータである場合、拡張モードで送信すべきデータであると判定する。
【0108】
ステップS17において、コントローラ60が、拡張モードで送信すべきデータであると判定した場合、処理はステップS18に進み、拡張モードに対応した拡張パケットを送信する拡張モード送信処理(図12参照)が行われる。
【0109】
一方、ステップS17において、コントローラ60が、拡張モードで送信すべきデータでないと判定した場合、処理はステップS19に進む。
【0110】
ステップS19において、コントローラ60は、ショートパケットを送信するか否かを判定する。例えば、コントローラ60は、フレーム開始時およびフレーム終了時にショートパケットを送信すると判定する。
【0111】
ステップS19において、コントローラ60がショートパケットを送信すると判定した場合、処理はステップS20に進む。ステップS20において、パケットヘッダ生成部52がパケットヘッダを生成して、従来のパケット構造のショートパケットをアプリケーションプロセッサ22へ送信する。
【0112】
一方、ステップS19において、コントローラ60がショートパケットを送信しない(即ち、ロングパケットを送信する)と判定した場合、処理はステップS21に進む。ステップS21において、パッキング部51が画像データをペイロードに格納し、CRC演算部57がCRCを求めることにより、従来のパケット構造のロングパケットを生成して、アプリケーションプロセッサ22へ送信する。
【0113】
ステップS18、ステップS20、またはステップS21の処理後、処理はステップS22に進み、コントローラ60は、パケット送信処理を終了する。その後、処理はステップS16に戻り、以下、次のパケットを対象として、同様にパケットを送信する処理が繰り返して行われる。
【0114】
図12は、図11のステップS18の処理で行われる拡張モード送信処理を説明するフローチャートである。
【0115】
ステップS31において、パケットヘッダ生成部52は、VCやデータタイプ、WCなどを格納したパケットヘッダを生成し、アプリケーションプロセッサ22へ送信する。このとき、パケットヘッダ生成部52は、パケットヘッダのデータタイプに、拡張モードであることを示す拡張モード設定情報(DataType[5:3]=3’b111)、および、拡張モードのモード設定が拡張モード0であることを識別する拡張タイプ設定情報(DataType[1:0] =2’b00)を書き込む。
【0116】
ステップS32において、アプリケーションプロセッサ22は、拡張ショートパケットを送信するか否かを判定する。例えば、コントローラ60は、フレーム開始時およびフレーム終了時に拡張ショートパケットを送信すると判定する。
【0117】
ステップS32において、アプリケーションプロセッサ22が、拡張ショートパケットを送信すると判定した場合、処理はステップS33に進む。
【0118】
ステップS33において、ペイロードヘッダ生成部53は、ペイロードの1バイト目で、データタイプ(DataType[7:0])をショートパケットと設定した拡張ペイロードヘッダを送信する。このとき、ペイロードヘッダ生成部53は、拡張ペイロードヘッダに格納される各種の設定(例えば、OePH[7:0]やOePF[3:0]など)を行う。
【0119】
ステップS34において、ペイロードヘッダ生成部53は、ペイロードの2バイト目に、フレームナンバー(FN:FrameNumber)を格納して送信する。
【0120】
ステップS35において、ペイロードヘッダ生成部53は、ステップS33で行われた設定(OePH[7:0])に従って、図4に示したようなオプショナル拡張ペイロードヘッダを生成して送信する。
【0121】
ステップS36において、CRC演算部57は、CRCを求めて、パケットフッタとして送信する。
【0122】
一方、ステップS32において、アプリケーションプロセッサ22が、拡張ショートパケットを送信しない(即ち、ロングパケットを送信する)と判定した場合、処理はステップS37に進む。
【0123】
ステップS37において、ペイロードヘッダ生成部53は、ペイロードの1バイト目で、データタイプ(DataType[7:0])をショートパケット以外と設定した拡張ペイロードヘッダを送信する。このとき、ペイロードヘッダ生成部53は、拡張ペイロードヘッダに格納される各種の設定(例えば、OePH[7:0]やOePF[3:0]など)を行う。
【0124】
ステップS38において、ペイロードヘッダ生成部53は、ステップS37で行われた設定(OePH[7:0])に従って、図5に示したようなオプショナル拡張ペイロードヘッダを生成して送信する。
【0125】
ステップS39において、パッキング部51は、画像処理部43から供給される画像データをパッキングし、レガシーペイロードを生成して送信する。
【0126】
ステップS40において、ペイロードフッタ生成部54は、ステップS37で行われた設定(OePF[3:0])に従って、図4に示したようなオプショナル拡張ペイロードフッタを生成して送信する。
【0127】
ステップS41において、CRC演算部57は、CRCを求めて、パケットフッタとして送信する。
【0128】
そして、ステップS36またはS41の処理後、拡張モード送信処理は終了される。
【0129】
以上のように、イメージセンサ21は、拡張ショートパケットまたは拡張ロングパケットを生成して送信することができる。
【0130】
図13は、アプリケーションプロセッサ22がパケットを受信する処理を説明するフローチャートである。
【0131】
例えば、バス23を介して、イメージセンサ21がアプリケーションプロセッサ22に接続されると処理が開始される。ステップS51において、コントローラ74は、イメージセンサ21の初期設定(例えば、物理層としてC-PHYおよびD-PHYのどちらを使用するかなど)をレジスタ73に書き込み、CCIマスタ88を介してI2C/I3Cマスタ72によりイメージセンサ21へ送信する。これにより、その初期設定が、イメージセンサ21のレジスタ47に書き込まれる。
【0132】
ステップS52において、コントローラ74は、イメージセンサ21が拡張モードに対応しているか否かを認識する。例えば、コントローラ74は、I2C/I3Cマスタ72によりイメージセンサ21のレジスタ47に記憶されている設定値(例えば、拡張PH/PF対応capability)を取得することで、イメージセンサ21が拡張モードに対応しているか否かを認識することができる。または、コントローラ74は、例えば、マニュアルなどによる入力に基づいて、事前に、イメージセンサ21が拡張モードに対応しているか否かを認識することができる。
【0133】
ステップS53において、コントローラ74は、イメージセンサ21が拡張モードに対応しており、かつ、アプリケーションプロセッサ22が実行するアプリケーションによって拡張モードの使用が求められているか否かを判定する。
【0134】
ステップS53において、コントローラ74が、イメージセンサ21が拡張モードに対応していない、または、拡張モードの使用が求められていないと判定した場合、処理はステップS54に進む。
【0135】
ステップS54において、コントローラ74は、I2C/I3Cマスタ72により画像データの送信開始命令をイメージセンサ21へ送信する。このとき、コントローラ74は、CSI-2規格に従った通信設定も送信させる。
【0136】
ステップS55において、アプリケーションプロセッサ22では、ステップS54で送信した通信設定に基づいて、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットを受信する、従来のパケット受信処理が行われる。
【0137】
一方、ステップS53において、コントローラ74が、イメージセンサ21が拡張モードに対応しており、かつ、アプリケーションプロセッサ22が実行するアプリケーションによって拡張モードの使用が求められていると判定した場合、処理はステップS56に進む。
【0138】
ステップS56において、I2C/I3Cマスタ72は、拡張モードでの通信が開始される前に、拡張モードでの通信に必要となる固定の通信設定を送信する。これにより、その固定の通信設定が、イメージセンサ21のレジスタ47に書き込まれる(図11のステップS14)。
【0139】
ステップS57において、コントローラ74は、I2C/I3Cマスタ72により画像データの送信開始命令をイメージセンサ21へ送信する。このとき、コントローラ74は、CSI-2規格に従った通信設定も送信させる。
【0140】
ステップS58において、パケットヘッダ検出部81は、物理層処理部71から供給されるデータを確認することによりパケットの受信を開始したか否かを判定し、パケットの受信を開始したと判定するまで処理を待機する。例えば、パケットヘッダ検出部81は、物理層処理部71から供給されるデータからパケットヘッダを検出した場合、パケットの受信を開始したと判定する。
【0141】
ステップS58において、パケットヘッダ検出部81が、パケットの受信を開始したと判定した場合、処理はステップS59に進む。
【0142】
ステップS59において、パケットヘッダ検出部81は、ステップS58で検出したパケットヘッダのデータタイプを確認して、受信を開始したパケットが拡張モードに対応した拡張パケットであるか否かを判定する。例えば、パケットヘッダ検出部81は、パケットヘッダのデータタイプにおいて、拡張モード設定情報が拡張モードであることを示す場合(DataType[5:3]=3’b111)、受信を開始したパケットが拡張パケットであると判定する。
【0143】
ステップS59において、パケットヘッダ検出部81が、受信を開始したパケットが拡張パケットであると判定した場合、処理はステップS60に進み、拡張パケットを受信する拡張モード受信処理(図14参照)が行われる。
【0144】
一方、ステップS59において、パケットヘッダ検出部81が、受信を開始したパケットが拡張パケットでないと判定した場合、処理はステップS61に進む。
【0145】
ステップS61において、パケットヘッダ検出部81は、ステップS58で検出したパケットヘッダのデータタイプ(DataType[5:0])を確認して、受信を開始したパケットがショートパケットであるか否かを判定する。
【0146】
ステップS61において、パケットヘッダ検出部81が、受信を開始したパケットがショートパケットであると判定した場合、処理はステップS62に進む。ステップS62において、パケットヘッダ検出部81は、イメージセンサ21から送信されてくる従来のパケット構造のショートパケットを受信する。
【0147】
一方、ステップS61において、パケットヘッダ検出部81が、受信を開始したパケットがショートパケットでない(即ち、ロングパケットの受信を開始している)と判定した場合、処理はステップS63に進む。ステップS63において、アンパッキング部87は、イメージセンサ21から送信されてくる従来のパケット構造のロングパケットのペイロードを受信して画像データを取り出し、CRC演算部86は、パケットヘッダに続けて送信されてくるWC+1バイト目をCRCとして受信する。
【0148】
ステップS60、ステップS62、またはステップS63の処理後、処理はステップS64に進み、コントローラ74は、パケット受信処理を終了する。その後、処理はステップS58に戻り、以下、次のパケットを対象として、同様にパケットを受信する処理が繰り返して行われる。
【0149】
図14は、図13のステップS60の処理で行われる拡張モード受信処理を説明するフローチャートである。
【0150】
ステップS71において、パケットヘッダ検出部81は、拡張モードのモード設定が拡張モード0であるか否かを判定する。例えば、パケットヘッダ検出部81は、パケットヘッダのデータタイプにおいて、拡張タイプ設定情報が拡張モード0であることを示す場合(DataType[1:0] =2’b00)、拡張モードのモード設定が拡張モード0であると判定する。
【0151】
ステップS71において、パケットヘッダ検出部81が、拡張モードのモード設定が拡張モード0であると判定した場合、処理はステップS72に進む。ステップS72において、解釈部83は、ペイロードの1バイト目を拡張ペイロードヘッダとして受信する。
【0152】
ステップS73において、解釈部83は、ステップS72で受信した拡張ペイロードヘッダのデータタイプ(DataType[7:0])を確認して、受信を開始したパケットが拡張ショートパケットであるか否かを判定する。
【0153】
ステップS73において、解釈部83が、拡張ショートパケットであると判定した場合、処理はステップS74に進む。ステップS74において、解釈部83は、ステップS72で受信した拡張ペイロードヘッダに格納されている設定(OePH[7:0])に従って、オプショナル拡張ペイロードヘッダを受信する。
【0154】
ステップS75において、CRC演算部86は、オプショナル拡張ペイロードヘッダに続けて送信されてくるWC+1バイト目をCRCとして受信する。
【0155】
一方、ステップS73において、解釈部83が、拡張ショートパケットでない(即ち、拡張ロングパケットの受信を開始している)と判定した場合、処理はステップS76に進む。ステップS76において、解釈部83は、ステップS72で受信した拡張ペイロードヘッダに格納されている設定(OePH[7:0])に従って、オプショナル拡張ペイロードヘッダを受信する。
【0156】
ステップS77において、アンパッキング部87は、イメージセンサ21から送信されてくる拡張ロングパケットのレガシーペイロードを受信して画像データを取り出す。
【0157】
ステップS78において、解釈部83は、ステップS72で受信した拡張ペイロードヘッダに格納されている設定(OePF[3:0])に従って、オプショナル拡張ペイロードフッタを受信する。
【0158】
ステップS79において、CRC演算部86は、オプショナル拡張ペイロードフッタに続けて送信されてくるWC+1バイト目をCRCとして受信する。
【0159】
そして、ステップS71で拡張モードのモード設定が拡張モード0でないと判定した場合、ステップS75の処理後、またはステップS79の処理後、拡張モード受信処理は終了される。
【0160】
以上のように、アプリケーションプロセッサ22は、拡張ショートパケットまたは拡張ロングパケットを受信して、データを取得することができる。
【0161】
<パケット構造の第2の構造例>
図15乃至図18を参照して、拡張モード対応CSI-2送信回路31および拡張モード対応CSI-2受信回路32の間の通信で用いられるパケットのパケット構造の第2の構造例について説明する。
【0162】
上述の図3乃至図8に示した第1の構造例では、既存のCSI-2規格の互換性を維持することを重視して、パケットヘッダおよびパケットフッタが既存のCSI-2規格と同一のパケット構造とし、拡張ペイロードヘッダ、オプショナル拡張ペイロードヘッダ、およびオプショナル拡張ペイロードフッタによりパケット構造の拡張が図られている。これに対し、以下で説明する第2の構造例では、パケットヘッダおよびパケットフッタを既存のCSI-2規格と異なるものとし、拡張パケットヘッダおよび拡張パケットフッタによりパケット構造の拡張が図られる。
【0163】
図15には、物理層がD-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるショートパケット(以下、D-PHY用の拡張ショートパケット)のパケット構造が示されている。
【0164】
図15に示すD-PHY用の拡張ショートパケットは、図4に示した第1の構造例のD-PHY用の拡張ショートパケットと同様に、既存のCSI-2規格と同一のパケットヘッダに格納されるデータタイプによって拡張モードが識別される。
【0165】
一方、図15に示すD-PHY用の拡張ショートパケットでは、パケットヘッダのデータタイプの次の16ビットに、既存のCSI-2規格に従ったショートパケットと同様に、ショートパケットデータフィールドにフレームナンバーが格納される。そして、パケットヘッダに続いて、図4に示した拡張ペイロードヘッダと同様に構成される拡張パケットヘッダが送信される。
【0166】
従って、受信側となるアプリケーションプロセッサ22は、拡張パケットヘッダに格納されているデータタイプを解釈して、拡張ショートパケットである場合に、パケットヘッダのデータフィールドにフレームナンバーが格納されていることを判別することができる。
【0167】
なお、図15に示すD-PHY用の拡張ショートパケットにおけるオプショナル拡張パケットヘッダは、図4に示した第1の構造例のD-PHY用の拡張ショートパケットにおけるオプショナル拡張ペイロードヘッダと同様に構成される。しかしながら、オプショナル拡張パケットヘッダは、ペイロードに埋め込まれないパケット構造となっていることより、最後にCRCを付与する必要はない。
【0168】
図16には、物理層がD-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるロングパケット(以下、D-PHY用の拡張ロングパケット)のパケット構造が示されている。
【0169】
図16に示すD-PHY用の拡張ロングパケットでは、拡張データはペイロードに埋め込まず、パケットヘッダまたはパケットフッタの一部として伝送される。従って、先頭のパケットヘッダのWCは既存規格と同様に、あくまでペイロードのバイト長を示す。
【0170】
図17には、物理層がC-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるショートパケット(以下、C-PHY用の拡張ショートパケット)のパケット構造が示されている。
【0171】
図17に示すC-PHY用の拡張ショートパケットにおける拡張部分は、あくまで既存のCSI-2規格に従ったパケットヘッダの拡張として伝送されるため、フレームナンバーの後に拡張ペイロードヘッダなど拡張部分が挿入される。そして、既存のCSI-2規格と同様に、パケットヘッダはCRCで終了する。さらに、これらを、SYNCを挟んで2回伝送するパケット構造は、既存のCSI-2規格に従ったショートパケットと同様である。
【0172】
図18には、物理層がC-PHYである場合にCSI-2の拡張モードで用いられるロングパケット(以下、C-PHY用の拡張ロングパケット)のパケット構造が示されている。
【0173】
図18に示すC-PHY用の拡張ロングパケットは、上述したように、先頭のパケットヘッダのWCは既存規格と同様に、あくまでペイロードのバイト長を示す点で、図8に示した第1の構造例のC-PHY用の拡張ロングパケットと差異がある。
【0174】
以上のように図15乃至図18に示す第2の構造例の拡張パケットのパケット構造により、第1の構造例の拡張パケットのパケット構造(図3乃至図8)と同様に、従来よりも多様な用途に対応することが可能となる。
【0175】
ただし、第2の構造例の拡張パケットは、既存のペイロードに拡張データが埋め込まれずに、既存のパケットヘッダやフッタが拡張されるパケット構造となっている。このため、第2の構造例の拡張パケットのパケット構造を採用する場合には、第1の構造例の拡張パケットのパケット構造を採用する場合と比較して、従来から用いられている通信システムから変更が必要となるような影響を最小限とすることができない。即ち、例えば、既存のSerDes送信回路34がSerDes受信回路35(図2)に対する変更が必要となる。
【0176】
以上のように、第1の構造例の拡張パケットを採用することで、車載など多彩な用途への対応することができ、かつ、従来から用いられている通信システムから変更が必要となるような影響を最小限として、車載システムを構築することができる。
【0177】
また、第2の構造例の拡張パケットを採用することで、従来から用いられている通信システムから変更が必要となるものの、車載など多彩な用途への対応することができる。
【0178】
<イメージセンサおよびアプリケーションプロセッサの変形例>
図19を参照して、イメージセンサおよびアプリケーションプロセッサの変形例について説明する。
【0179】
上述した図9のイメージセンサ21および図10のアプリケーションプロセッサ22を構成する各ブロックは、D-PHY用およびC-PHY用のパケットの両方に対応して処理を行えるように構成されていた。これに対し、例えば、D-PHY用のパケットを専用に処理を行うブロックと、C-PHY用のパケットを専用に処理を行うブロックとの両方を備え、それぞれで処理を切り替えるようにしてもよい。
【0180】
図19のAに示すイメージセンサ21Aは、D層処理ブロック部101、C層処理ブロック部102、切り替え部103、およびコントローラ60を備えて構成される。
【0181】
D層処理ブロック部101は、図9のイメージセンサ21を構成するブロックのうち、D-PHY用のパケットを専用に処理を行うブロックを有している。C層処理ブロック部102は、図9のイメージセンサ21を構成するブロックのうち、C-PHY用のパケットを専用に処理を行うブロックを有している。切り替え部103は、コントローラ60による制御に従って、物理層にD-PHYを用いる場合には、D層処理ブロック部101において生成されるD-PHY用のパケットを出力し、物理層にC-PHYを用いる場合には、C層処理ブロック部102において生成されるC-PHY用のパケットを出力するように切り替えを行う。
【0182】
図19のBに示すアプリケーションプロセッサ22Aは、切り替え部111、D層処理ブロック部112、C層処理ブロック部113、およびコントローラ74を備えて構成される。
【0183】
切り替え部111は、コントローラ74による制御に従って、イメージセンサ21Aから送信されてくるパケットを、D層処理ブロック部112およびC層処理ブロック部113の一方に供給するように切り替えを行う。D層処理ブロック部112は、図10のアプリケーションプロセッサ22を構成するブロックのうち、D-PHY用のパケットを専用に処理を行うブロックを有している。C層処理ブロック部113は、図10のアプリケーションプロセッサ22を構成するブロックのうち、C-PHY用のパケットを専用に処理を行うブロックを有している。
【0184】
このように構成されるイメージセンサ21Aおよびアプリケーションプロセッサ22Aでは、通信を開始する前に、コントローラ60およびコントローラ74の間で、使用する物理層を設定することができる。そして、例えば、物理層にD-PHYが用いられる場合には、D層処理ブロック部101において生成されるD-PHY用のパケットが切り替え部103を介して送信され、切り替え部111を介してD層処理ブロック部112に供給されて処理される。また、例えば、物理層にC-PHYが用いられる場合には、C層処理ブロック部102において生成されるC-PHY用のパケットが切り替え部103を介して送信され、切り替え部111を介してC層処理ブロック部113に供給されて処理される。
【0185】
<拡張パケットの適用例>
上述した拡張パケットは、例えば、以下のようなユースケースに適用することが検討されている。
【0186】
例えば、拡張パケットは、より高精細な画像(RAW24)を伝送するようなユースケースに適用することが検討される。
【0187】
例えば、画像データをRAW形式で送信する際に、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダに格納されるデータタイプとして、RAW6,RAW7,RAW8,RAW10,RAW12,RAW14,RAW16、およびRAW20が定義されている。これに対し、近年、車載カメラを用いた自動運転に対応するため、より高精細な画像の伝送が期待されている。そこで、拡張パケットを適用してデータタイプのビット数を拡張することで、例えば、拡張ペイロードヘッダのデータタイプに、より高精細なRAW24を定義することが可能となる。
【0188】
また、拡張パケットは、画面上の注目画像領域のみを伝送する技術であるSmartROIに適用することが検討される。
【0189】
例えば、現在、スタジアムや空港などには多数のカメラが設置されている。これらのカメラで撮像した画像の全体が、カメラからインターネットなどのネットワークを経由してクラウドサーバに伝送される場合、インターネットの帯域不足や、クラウド側の計算量またはデータ量の増大などが発生することが想定される。そのため、エッジ(カメラ側)で注目画像領域のみを切り出し、その注目画像領域を伝送することで、インターネットの帯域不足や、クラウド側の計算量またはデータ量の増大などを抑制することが期待される。
【0190】
このようなSROIを伝送する場合、注目画像領域が画面全体のどこに相当するか受信側に伝えるため、矩形領域(ROI)の左上の座標を一緒に伝送する必要がある。また、受信側からの命令で、所定のタイミングで、撮像画面全体のデータを送る必要がある。従って、例えばフレーム単位でSROI画像と、画像全体(既存のパケットヘッダ)のデータが混在することになる。
【0191】
そこで、拡張パケットを適用することで、例えば、X座標およびY座標それぞれ16bit以上の座標データを伝送することが可能となる。
【0192】
さらに、拡張パケットは、チャネル劣化した場合においても帯域やレーン数を減らして通信を継続するGLDに適用するユースケースが検討される。なお、GLDは、CSI-2 ver3.0で検討されている提案である。
【0193】
例えば、自動運転では、衝突時にカメラを繋ぐケーブルの一部が断線したとしても、断線していないケーブルを使用して通信を継続し、自動的に、安全帯に退避した後に車両を停止することが求められる。そのため、車載用カメラインタフェースが断線検出機能を少なくとも備え、画面上の何行目の情報か示す行番号(16bit)や、どのカメラから送られたことかを示すSourceID(8bit)、伝送番号を示すメッセージカウンタ(16bit)などの情報が必要になる。さらに、上述したようなSROIと組み合わせて使用される場合には、フレーム単位で、これらの情報が伝送されることが考えられる。
【0194】
そこで、拡張パケットを適用することで、これらの情報を伝送することが可能となる。
【0195】
<コンピュータの構成例>
次に、上述した一連の処理(通信方法)は、ハードウエアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0196】
図20は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0197】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203、およびEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)204は、バス205により相互に接続されている。バス205には、さらに、入出力インタフェース206が接続されており、入出力インタフェース206が外部に接続される。
【0198】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、ROM202およびEEPROM204に記憶されているプログラムを、バス205を介してRAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。また、コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、ROM202に予め書き込んでおく他、入出力インタフェース206を介して外部からEEPROM204にインストールしたり、更新したりすることができる。
【0199】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0200】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0201】
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0202】
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0203】
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0204】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0205】
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0206】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0207】
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0208】
<構成の組み合わせ例>
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成するパケットヘッダ生成部と、
前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成する拡張ヘッダ生成部と
を備え、
前記パケットヘッダ生成部は、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納する
通信装置。
(2)
前記拡張ヘッダ生成部は、前記拡張ヘッダとして、既存のCSI-2規格に従ったペイロードの先頭に配置される拡張ペイロードヘッダを生成する
上記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記拡張ヘッダ生成部は、前記拡張ヘッダとして、前記パケットヘッダの規格を拡張するように前記パケットヘッダに続けて配置される拡張パケットヘッダを生成する
上記(1)に記載の通信装置。
(4)
前記拡張ヘッダ生成部は、前記拡張ヘッダに、用途に応じて選択的に伝送されるオプショナル拡張ヘッダを送信するか否かを示すオプショナル拡張ヘッダ設定情報を格納する
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の通信装置。
(5)
前記拡張ヘッダ生成部は、前記オプショナル拡張ヘッダを送信する場合、前記オプショナル拡張ヘッダを送信することを示す前記オプショナル拡張ヘッダ設定情報を前記拡張ヘッダに格納し、前記拡張ヘッダに続けて前記オプショナル拡張ヘッダを生成する
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の通信装置。
(6)
前記パケットヘッダ生成部は、前記未使用領域に、前記拡張モードとして用意される複数のタイプの拡張モードのうちの、いずれのタイプであるかを示す拡張タイプ設定情報を格納する
上記(1)から(5)までのいずれかに記載の通信装置。
(7)
前記拡張モードにおいて伝送される前記パケットが、既存のCSI-2規格においてペイロードとして伝送されるデータを格納する拡張ロングパケットである場合に、前記データが格納されるレガシーペイロードに続けて配置されるオプショナル拡張フッタを生成するオプショナル拡張フッタ生成部
をさらに備える上記(1)から(6)までのいずれかに記載の通信装置。
(8)
送信対象のデータの内容に応じて、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの送信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの送信との切り替えを制御する制御部
をさらに備える上記(1)から(7)までのいずれかに記載の通信装置。
(9)
通信を行う通信装置が、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成することと、
前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納する
通信方法。
(10)
通信を行う通信装置のコンピュータに、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報を格納し、既存のCSI-2規格に従ってパケットヘッダを生成することと、
前記パケットヘッダとは別に、前記設定情報を格納する拡張ヘッダを生成することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報を格納する
通信処理を実行させるためのプログラム。
(11)
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出する検出するパケットヘッダ検出部と、
前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する解釈部と
を備え、
前記パケットヘッダ検出部は、前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えを行わせる
通信装置。
(12)
前記解釈部は、前記拡張ヘッダとして、既存のCSI-2規格に従ったペイロードの先頭に配置される拡張ペイロードヘッダを受信し、前記拡張ペイロードヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する
上記(11)に記載の通信装置。
(13)
前記解釈部は、前記拡張ヘッダとして、前記パケットヘッダの規格を拡張するように前記パケットヘッダに続けて配置される拡張パケットヘッダを受信し、前記拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する
上記(11)に記載の通信装置。
(14)
前記解釈部は、前記拡張ヘッダに格納されているオプショナル拡張ヘッダ設定情報が、用途に応じて選択的に伝送されるオプショナル拡張ヘッダを送信することを示している場合、前記拡張ヘッダに続けて前記オプショナル拡張ヘッダを受信し、前記オプショナル拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈する
上記(11)から(13)までのいずれかに記載の通信装置。
(15)
前記パケットヘッダ検出部は、前記未使用領域に格納されている拡張モードタイプ情報に従って、前記拡張モードとして用意される複数のタイプの拡張モードのうちの、いずれのタイプの拡張モードであるかを認識する
上記(11)から(14)までのいずれかに記載の通信装置。
(16)
前記解釈部は、前記拡張モードにおいて伝送される前記パケットが、既存のCSI-2規格においてペイロードとして伝送されるデータを格納する拡張ロングパケットである場合に、前記データが格納されるレガシーペイロードに続けて配置されるオプショナル拡張フッタを受信し、前記オプショナル拡張フッタを解釈する
上記(11)から(15)までのいずれかに記載の通信装置。
(17)
通信を行う通信装置が、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出することと、
前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えが行われる
通信方法。
(18)
通信を行う通信装置のコンピュータに、
パケットで伝送されるデータについて設定された条件を示す設定情報が格納されるパケットヘッダを、既存のCSI-2規格に従って検出することと、
前記パケットヘッダとは別の拡張ヘッダに格納されている前記設定情報を解釈することと
を含み、
前記パケットで伝送されるデータのタイプを示す前記設定情報であるデータタイプにおいて、既存のCSI-2規格では未使用と定義されている未使用領域に格納されている、前記拡張ヘッダを使用する拡張モードであるか否かを示す拡張モード設定情報に従って、既存のCSI-2規格に従ったパケット構造のパケットの受信と、拡張モード時におけるパケット構造のパケットの受信との切り替えが行われる
通信処理を実行させるためのプログラム。
【0209】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0210】
11 通信システム, 21 イメージセンサ, 22 アプリケーションプロセッサ, 23および24 バス, 25 シリアライザ, 26 デシリアライザ, 27 バス, 31 拡張モード対応CSI-2送信回路, 32 拡張モード対応CSI-2受信回路, 33 CSI-2受信回路, 34 SerDes送信回路, 35 SerDes受信回路, 36 CSI-2送信回路, 41 画素, 42 AD変換器, 43 画像処理部, 44 画素CRC演算部, 45 物理層処理部, 46 I2C/I3Cスレーブ, 47 レジスタ, 51 パッキング部, 52 パケットヘッダ生成部, 53 ペイロードヘッダ生成部, 54 ペイロードフッタ生成部, 55および56 選択部, 57 CRC演算部, 58 レーン分配部, 59 CCIスレーブ, 60 コントローラ, 71 物理層処理部, 72 I2C/I3Cマスタ, 73 レジスタ, 74 コントローラ, 81 パケットヘッダ検出部, 82 レーン併合部, 83 解釈部, 84および85 選択部, 86 CRC演算部, 87 アンパッキング部, 88 CCIマスタ
図1
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