(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】保守運用サーバ及び保守運用システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240527BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2021044900
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】澤田 一郎
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/137481(WO,A1)
【文献】特開2005-293099(JP,A)
【文献】特開2012-027591(JP,A)
【文献】特開2009-105623(JP,A)
【文献】特開2002-073959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守員が保有する端末装置と相互通信可能であり、保守対象機器の障害情報が登録された障害情報データベースと接続された保守運用サーバであって、
前記障害情報データベースに登録された障害情報を前記保守員がアクセス可能に設定する障害情報設定部と、
前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請を前記端末装置から受けると、前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる保守員割当部と、
前記障害情報データベースに前記障害情報が登録されたことを知らせる通知を前記端末装置に送信する障害情報通知部と、を備え
、
前記障害情報は、前記保守員が前記保守対象機器を保守した場合の保守金額を含み、
前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対して前記申請がない場合、前記障害情報通知部により前記端末装置へ前記通知が送信されてから一定時間経過する毎に前記保守金額を増加させる、
保守運用サーバ。
【請求項2】
保守員が保有する端末装置と相互通信可能であり、保守対象機器の障害情報が登録された障害情報データベースと接続された保守運用サーバであって、
前記障害情報データベースに登録された障害情報を前記保守員がアクセス可能に設定する障害情報設定部と、
前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請を前記端末装置から受けると、前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる保守員割当部と、
前記障害情報データベースに前記障害情報が登録されたことを知らせる通知を前記端末装置に送信する障害情報通知部と、を備え
、
前記端末装置より送信される前記申請には、前記保守員が前記保守対象機器を保守した場合の保守金額が含まれており、
前記保守員割当部は、前記障害情報通知部により前記端末装置へ前記通知が送信されてから所定時間が経過した時点で最も低い保守金額で前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる、
保守運用サーバ。
【請求項3】
前記保守員の保守能力に関する評価を定量化した評価情報が登録された評価情報データベースと接続されており、
前記障害情報設定部は、前記評価情報に基づいて前記障害情報に対するアクセス権を設定する、
請求項1
または請求項2に記載の保守運用サーバ。
【請求項4】
前記障害情報データベースに前記障害情報を登録する障害情報登録
部を更に備え、
前記障害情報通知部は、前記評価情報に基づいて前記通知の送信先となる端末装置を決定する、
請求項
3に記載の保守運用サーバ。
【請求項5】
前記保守員の保守能力に関する評価に基づいて前記保守員の単金を設定する単金設定部を更に備え、
前記障害情報設定部は、前記単金設定部により設定された前記保守員の単金に基づいて前記障害情報に対するアクセス権を設定する、
請求項1から請求項
4の何れか一項に記載の保守運用サーバ。
【請求項6】
相互通信可能な保守運用サーバと端末装置を備える保守運用システムにおいて、
前記保守運用サーバは、
保守対象機器の障害情報が登録された障害情報データベースと接続されており、
前記障害情報データベースに登録された障害情報を、前記端末装置を保有する保守員がアクセス可能に設定する障害情報設定部と、
前記障害情報データベースに前記障害情報が登録されたことを知らせる通知を前記端末装置に送信する障害情報通知部と、を備え、
前記障害情報は、前記保守員が前記保守対象機器を保守した場合の保守金額を含み、
前記端末装置は、
前記障害情報を表示する障害情報表示部と、
前記障害情報表示部により表示された障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請の操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部により前記操作が受け付けられると、前記申請を前記保守運用サーバに送信する申請送信部と、を備え、
前記保守運用サーバは、
前記申請を前記端末装置から受けると、前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる保守員割当部
を更に備え
、
前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対して前記申請がない場合、前記障害情報通知部により前記端末装置へ前記通知が送信されてから一定時間経過する毎に前記保守金額を増加させる、
保守運用システム。
【請求項7】
相互通信可能な保守運用サーバと端末装置を備える保守運用システムにおいて、
前記保守運用サーバは、
保守対象機器の障害情報が登録された障害情報データベースと接続されており、
前記障害情報データベースに登録された障害情報を、前記端末装置を保有する保守員がアクセス可能に設定する障害情報設定部と、
前記障害情報データベースに前記障害情報が登録されたことを知らせる通知を前記端末装置に送信する障害情報通知部と、を備え、
前記端末装置は、
前記障害情報を表示する障害情報表示部と、
前記障害情報表示部により表示された障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請の操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部により前記操作が受け付けられると、前記申請を前記保守運用サーバに送信する申請送信部と、を備え、
前記端末装置より送信される前記申請には、前記保守員が前記保守対象機器を保守した場合の保守金額が含まれており、
前記保守運用サーバは、
前記申請を前記端末装置から受けると、前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる保守員割当部
を更に備え
、
前記保守員割当部は、前記障害情報通知部により前記端末装置へ前記通知が送信されてから所定時間が経過した時点で最も低い保守金額で前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる、
保守運用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守運用サーバ及び保守運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
保守に必要な保守員の能力を適正に判定して保守現場に派遣する保守員を選定する保守運用システムが知られている。例えば特許文献1に、この種の保守運用システムの具体的構成が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の保守運用システムは、顧客から保守の依頼をコールセンタで受けると、データベースに登録された保守員の情報(保守技術能力指数と非保守技術能力)に基づいて保守現場に派遣する保守員を選定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少子高齢化により働き手が減ることに伴い、保守員が不足している。保守員不足を解消するため、例えば保守員が働きやすい環境を整備することが考えられる。このような環境の整備によって保守員が働き手にとって魅力的な職業になれば、保守員不足が自ずと解消されるものと考えられる。保守員が働きやすい環境の1つとして、保守する機器や保守作業に従事する時間を保守員が自由に選べることが挙げられる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、保守する機器や保守作業に従事する時間を保守員が自由に選ぶことを可能とする保守運用システム及びこのような保守運用システムを構成する保守運用サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る保守運用サーバは、保守員が保有する端末装置と相互通信可能であり、保守対象機器の障害情報が登録された障害情報データベースと接続される。前記保守運用サーバは、前記障害情報データベースに登録された障害情報を前記保守員がアクセス可能に設定する障害情報設定部と、前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請を前記端末装置から受けると、前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる保守員割当部と、前記障害情報データベースに前記障害情報が登録されたことを知らせる通知を前記端末装置に送信する障害情報通知部と、を備える。前記障害情報は、前記保守員が前記保守対象機器を保守した場合の保守金額を含む。前記保守運用サーバは、前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対して前記申請がない場合、前記障害情報通知部により前記端末装置へ前記通知が送信されてから一定時間経過する毎に前記保守金額を増加させる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る保守運用システムは、相互通信可能な保守運用サーバと端末装置を備えるシステムである。前記保守運用サーバは、保守対象機器の障害情報が登録された障害情報データベースと接続されており、前記障害情報データベースに登録された障害情報を、前記端末装置を保有する保守員がアクセス可能に設定する障害情報設定部と、前記障害情報データベースに前記障害情報が登録されたことを知らせる通知を前記端末装置に送信する障害情報通知部と、を備える。前記障害情報は、前記保守員が前記保守対象機器を保守した場合の保守金額を含む。前記端末装置は、前記障害情報を表示する障害情報表示部と、前記障害情報表示部により表示された障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請の操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部により前記操作が受け付けられると、前記申請を前記保守運用サーバに送信する申請送信部と、を備える。前記保守運用サーバは、前記申請を前記端末装置から受けると、前記申請を送信した端末装置を保有する保守員を、前記保守対象機器を保守する保守員として割り当てる保守員割当部を更に備える。前記保守運用サーバは、前記障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対して前記申請がない場合、前記障害情報通知部により前記端末装置へ前記通知が送信されてから一定時間経過する毎に前記保守金額を増加させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、保守する機器や保守作業に従事する時間を保守員が自由に選ぶことを可能とする保守運用システム及びこのような保守運用システムを構成する保守運用サーバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る保守運用システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る保守運用サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る保守運用システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る顧客データベースの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る障害情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る保守員データベースの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る評価情報データベースの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る保守部品データベースの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態において保守運用システムの各部が実行する処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る保守運用システム1を示すブロック図である。
図1に示されるように、保守運用システム1は、オペレーション端末10、保守運用サーバ20、データベース30及び端末装置40を備える。
【0013】
オペレーション端末10、保守運用サーバ20及びデータベース30は、例えば保守運用センタ2に設置されており、保守運用センタ2のネットワークシステム内(例えばLAN:Local Area Network)で接続される。なお、本実施形態において、保守運用サーバ20とデータベース30は別々の装置として構成されるが、保守運用サーバ20とデータベース30とが単独の装置として構成されてもよい。
【0014】
オペレーション端末10は、保守運用センタ2に複数台設置される。オペレーション端末10は、例えば汎用のPC(Personal Computer)である。保守運用センタ2のオペレータは、保守サービスを受ける契約を保守運用センタ2と結んだ保守契約会社(顧客)から保守対象機器の保守の依頼を電話で受けると、オペレーション端末10を操作してその電話内容に応じた障害情報をデータベース30に登録する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る保守運用サーバ20のハードウェア構成を示すブロック図である。保守運用サーバ20は、汎用のサーバであり、
図2に示されるように、制御部200、通信インタフェース210、操作部220及びモニタ230を備える。
【0016】
なお、保守運用サーバ20は、
図2に示されていない他のハードウェア構成を備えていてもよい。また、保守運用サーバ20は、
図2に示される全てのハードウェア構成を備えるものでなくてもよい。例えば、操作部220やモニタ230を備えない保守運用サーバ20も本発明の範疇である。すなわち、保守運用サーバ20の態様には自由度があり、各種の設計変更が可能である。
【0017】
制御部200は、保守運用サーバ20全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)200A、RAM(Random Access Memory)200B、ROM(Read Only Memory)200C、入出力インタフェース200D、表示制御回路200E及びこれらのポートを結ぶバスライン200F等よりなるマイクロコンピュータである。
【0018】
CPU200Aは、ROM200Cに記憶されたプログラムを読み込み、読み込まれたプログラムに従って保守運用サーバ20を制御する。
【0019】
RAM200Bは、プログラムやデータを一時的に記憶する記憶部であり、ワークエリアを提供する。RAM200Bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0020】
ROM200Cは、保守運用プログラムをはじめとする各種プログラムを記憶する不揮発性メモリである。ROM200Cは、例えばフラッシュメモリである。
【0021】
ROM200Cに記憶された保守運用プログラムは、オペレータによるオペレーション端末10の操作によってデータベース30に登録された障害情報を、端末装置40を保有する保守員がアクセス可能に設定し、障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請を端末装置40から受けると、この申請を送信した端末装置40を保有する保守員を、保守対象機器を保守する保守員として割り当てるプログラムであり、詳しくは後述する。
【0022】
なお、この保守運用プログラムの実行により、保守する機器や保守作業に従事する時間を保守員が自由に選べるようになり、保守員が働きやすい環境が提供される。このような環境を保守員に提供することにより、保守員不足の解消が実現可能となる。
【0023】
また、これまでは、自社(A社)の機器については、保守技術の面から他社(B社)の保守員が保守を行うことが難しく、A社所属の保守員とA社のパートナ会社所属の保守員のみが保守を行っていた。附言するに、A社所属の保守員とパートナ会社所属の保守員は、保守技術の面から、他社(B社)の機器を保守することが困難であった。
【0024】
しかし、近年、何れの会社の保守員であっても保守することが難しくない機器が出てきつつある。また、例えばA社の機器の保守に関する研修や実習を受けることにより、B社所属の保守員がA社の機器を保守できるようになるケースも考えられる。
【0025】
そこで、保守運用センタ2で保守の依頼を受け付ける保守対象機器には、種々の会社の機器が含まれる。また、種々の会社の保守員が保守対象機器に対する保守を申請して保守作業を行うことができる。このように、種々の会社の機器を種々の会社の保守員が保守できるようにする点からも、保守員不足の解消が実現可能となる。
【0026】
入出力インタフェース200Dは、通信インタフェース210及び操作部220と接続されており、通信インタフェース210及び操作部220とCPU200Aとの通信を中継する。
【0027】
通信インタフェース210は、データベース30及び端末装置40と通信する。通信インタフェース210は、例えば、データベース30にアクセスして必要な情報を取得したり、端末装置40からのリクエストを受信したり、リクエストに対する応答を端末装置40に送信したりする。なお、通信インタフェース210は、例えばVPN(Virtual Private Network)等の閉域網の通信回線(ネットワークN)を介して端末装置40と相互通信可能に接続される。
【0028】
操作部220は、キーボードやマウス、タッチパネル等のユーザインタフェースであり、オペレータからの入力操作を受け付けてCPU200Aに通知する。
【0029】
モニタ230は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、表示制御回路200Eの制御下で駆動する。表示制御回路200Eは、例えば設定画面をモニタ230に表示させる。
【0030】
データベース30は、保守運用センタ2による保守運用サービスを実施するのに必要な各種データベースを格納する。
【0031】
端末装置40は、携帯可能なタブレット端末であり、保守員一人ひとりが1台保有する。端末装置40は、ハードウェア構成としては
図2のブロック図で示される構成にGPS(Global Positioning System)レシーバ440(
図3参照)を加えたものとなっている。そのため、端末装置40のハードウェア構成の詳細な説明については省略する。なお、保守運用サーバ20と端末装置40との通信は、通信インタフェース210と通信インタフェース410(
図3参照)間で行われる。
【0032】
端末装置40は、タブレット端末に限らず、例えばノートPC(Personal Computer)やスマートフォンであってもよい。すなわち、端末装置40も保守運用サーバ20と同様にその態様には自由度があり、各種の設計変更が可能である。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る保守運用システム1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、保守運用サーバ20の制御部200は、障害情報登録部200a、障害情報設定部200b、障害情報通知部200c、保守員割当部200d及び単金設定部200eを備える。なお、保守運用サーバ20は、
図3に示されていない他の機能構成を備えていてもよい。
【0034】
端末装置40の制御部400は、障害情報表示部400a、操作受付部400b、申請送信部400c及び位置情報送信部400dを備える。なお、端末装置40も
図3に示されていない他の機能構成を備えていてもよい。
【0035】
データベース30は、顧客データベース300a、障害情報データベース300b、保守員データベース300c、評価情報データベース300d及び保守部品データベース300eを備える。
【0036】
図4に、顧客データベース300aの一例を示す。顧客データベース300aは、保守サービスを受ける契約を保守運用センタ2と結んだ顧客の情報を登録するデータベースである。
図4に示されるように、顧客データベース300aには、ID(Identification)、名称、住所、連絡先、保守対象機器の情報よりなるレコードが登録される。
【0037】
図5に、障害情報データベース300bの一例を示す。障害情報データベース300bは、オペレータが受けた顧客からの電話の内容に応じた保守対象機器の障害情報を登録するデータベースである。
図5に示されるように、障害情報データベース300bには、ID、発生日時、対処時間、場所、保守対象機器、保守員ランク、作業内容、保守金額の情報よりなるレコードが登録される。
【0038】
図6に、保守員データベース300cの一例を示す。保守員データベース300cは、保守員の情報を登録するデータベースである。
図6に示されるように、保守員データベース300cには、ID、氏名、住所、連絡先1、連絡先2、端末装置、ログインID、パスワード、単金の情報よりなるレコードが登録される。
【0039】
図7に、評価情報データベース300dの一例を示す。評価情報データベース300dは、保守員の保守能力に関する評価を定量化した評価情報を登録するデータベースである。
図7に示されるように、評価情報データベース300dには、ID、氏名、保守員の保守能力に関する評価を定量化した各種評価情報(保守員ランク、技術力、実績、熟練度、信頼性とスピード、機器経験度)の情報よりなるレコードが登録される。
【0040】
図8に、保守部品データベース300eの一例を示す。保守部品データベース300eは、保守対象機器の保守に必要な部品や工具の在庫情報を登録するデータベースである。
図8に示されるように、保守部品データベース300eには、ID、名称、住所、連絡先1、連絡先2、各種部品(部品A、部品B、部品C・・・)、各種工具(不図示)の情報よりなるレコードが登録される。
【0041】
なお、
図4~
図8の各図に示されるデータベースのレコードは、図示されていない他の情報を持つものであってもよい。一例として、
図6に示される保守員データベース300cのレコードには、保守員が運転可能な車の種類(普通乗用車、大型二輪車等)の情報が更に含まれていてもよい。
【0042】
図9は、本発明の一実施形態において保守運用システム1の各部が実行する処理手順を示すシーケンス図である。
【0043】
図9に示されるように、保守運用センタ2が顧客からの電話で保守対象機器の保守依頼を受けると(ステップS101)、オペレータは、オペレーション端末10を操作してその電話内容に応じた障害情報の登録を保守運用サーバ20にリクエストする(ステップS102)。このリクエストには、顧客の名称、障害が発生した保守対象機器(型番、ロット番号)、保守対象機器に障害が発生した日時(発生日時)、保守作業完遂までの時間(対処時間)、保守員ランク、作業内容、保守金額等が含まれる。
【0044】
保守対象機器の種類、作業内容、対処時間等から、保守員によっては保守することが難しい可能性がある。そのため、全ての保守員が全ての障害に対して保守を申請して保守作業を行えるようにすると、保守サービスの品質を担保することが難しい。
【0045】
そこで、本実施形態では、評価情報データベース300dに登録されている保守員の保守能力に関する評価を定量化した5種の評価情報(技術力、実績、熟練度、信頼性とスピード、機器経験度)に基づき、保守対象機器に対する保守を申請できる保守員を絞り込むためのパラメータである保守員ランクが決定される。保守員ランクは、A~Eの5段階あり、Aが最も高くEが最も低い。
【0046】
保守金額は、例えば保守員が保守対象機器を保守した場合(より正確には、保守作業を完遂した場合)に保守員に支払われるインセンティブである。オペレータは、保守対象機器の種類、作業内容、対処時間等に基づいて保守金額を決定する。なお、保守金額は、保守対象機器の種類、作業内容、対処時間等に基づいて保守運用サーバ20が自動で決定してもよい。
【0047】
保守運用サーバ20の障害情報登録部200aは、オペレーション端末10からのリクエストに含まれる障害情報を障害情報データベース300bに登録する(ステップS103)。例示的には、障害情報登録部200aは、リクエストに含まれる顧客の名称をキーに顧客データベース300aを検索し、検索されたレコードに登録されている必要情報(本実施形態では、保守依頼を行った顧客の住所)を取得する。障害情報登録部200aは、ID、取得した住所(すなわち保守作業を行う場所)、発生日時、対処時間、保守対象機器、保守員ランク、作業内容、保守金額の情報よりなるレコードを障害情報データベース300bに登録する。なお、障害情報データベース300bを含む何れのデータベースにおいても、IDは、レコードの識別子であり、レコード登録時に自動的に付与される。
【0048】
保守運用サーバ20の障害情報設定部200bは、障害情報データベース300bに登録された障害情報を保守員がアクセス可能に設定する(ステップS104)。
【0049】
例示的には、障害情報設定部200bは、評価情報データベース300dに登録された保守員ランクが障害情報に含まれる保守員ランクを満たす保守員のみアクセスできるように、この障害情報に対するアクセス権を設定する。
【0050】
障害情報設定部200bは、保守員ランクに代えて又は加えて、技術力、実績、熟練度、信頼性とスピード、機器経験度の少なくとも1種の評価情報に基づいて障害情報に対するアクセス権を設定してもよい。例えば、
図7に示される評価情報データベース300dには、機器経験度に関し、これを総括する値のみが登録されているが、機器(例えばATM(Automatic Teller Machine)、POS(Point Of Sales)端末、自動払戻機等)毎の経験度が評価情報データベース300dに登録されていてもよい。この場合、障害情報設定部200bは、保守員ランクが上記要件を満たさない場合であっても保守対象機器に対する経験度が高ければ、その保守員が障害情報にアクセスできるように、障害情報に対するアクセス権を設定してもよい。
【0051】
保守員が保守現場から遠く離れている状況では、保守員ランクが上記要件を満たす場合であっても、対処時間(言い換えると緊急度)によっては、保守作業を完遂させることが難しいこともある。そこで、障害情報設定部200bは、保守員と保守現場との距離及び対処時間も考慮して障害情報に対するアクセス権を設定してもよい。
【0052】
ここで、保守運用サーバ20には、GPSレシーバ440が取得した端末装置40(言い換えると保守員)の現在地が、端末装置40の位置情報送信部400dによって逐次アップロード又は保守運用サーバ20がリクエストしたタイミングでアップロードされる。保守運用サーバ20は、アップロードされた各端末装置40の現在地をRAM200Bに記憶する。保守員と保守現場との距離は、障害情報データベース300bに含まれる場所(保守依頼を行った顧客の住所)とRAM200Bに記憶された端末装置40(言い換えると保守員)の現在地から算出される。
【0053】
保守運用サーバ20の障害情報通知部200cは、ステップS104でアクセス権が設定された障害情報に対してアクセス可能な保守員を保守員データベース300cの中から検索し(ステップS105)、検索結果(障害情報に対してアクセス可能な保守員の情報)を取得する(ステップS106)。なお、保守員を検索する際、保守員が障害情報に対してアクセス可能か否かは、評価情報データベース300dに登録された評価情報(すなわち保守員ランク等)に基づいて判断される。障害情報通知部200cは、障害情報に対してアクセス可能な保守員の端末装置40に対し、障害情報データベース300bに障害情報が登録されたことを知らせる通知を送信する(ステップS107)。
【0054】
このように、障害情報通知部200cは、評価情報に基づいて通知の送信先となる端末装置40を決定し、決定された端末装置40に通知を送信する。なお、この通知は、例えば、障害情報にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を含み、電子メール等の手段で送信される。
【0055】
上記通知を受けた保守員が端末装置40を操作して上記URLにアクセスしてログインIDとパスワードを入力すると(ステップS108)、端末装置40から保守運用サーバ20に対して障害情報の取得リクエストが送信される(ステップS109)。
【0056】
上記URLで指定されるコンテンツは、動的なコンテンツである。保守運用サーバ20は、障害情報の取得リクエストを受けると、スクリプトを実行して、取得リクエスト元の保守員が申請可能な障害情報を端末装置40に送信する。
【0057】
例示的には、保守運用サーバ20は、障害情報の取得リクエストを受けると、この取得リクエストに含まれるログインID及びパスワードと一致する情報を持つレコードを保守員データベース300cの中から検索し(ステップS110)、検索結果(該当する保守員の情報)を取得する(ステップS111)。次いで、保守運用サーバ20は、この保守員の評価情報を評価情報データベース300dから取得すると、取得した評価情報(保守員ランク等)に基づいて保守員がアクセス可能な障害情報を障害情報データベース300bの中から検索し(ステップS112)、検索結果(保守員がアクセス可能な障害情報)を取得する(ステップS113)。保守運用サーバ20は、取得した障害情報を端末装置40に転送する(ステップS114)。
【0058】
端末装置40の障害情報表示部400aは、保守員が申請可能な障害情報として、保守運用サーバ20より転送された障害情報を、図示省略したモニタに表示させる(ステップS115)。
【0059】
端末装置40の操作受付部400bは、保守員による端末装置40に対する操作であって、端末装置40のモニタに表示された障害情報が示す障害が発生した保守対象機器に対する保守の申請の操作を受け付ける(ステップS116)。操作受付部400bにより当該操作が受け付けられると、端末装置40の申請送信部400cは、この申請を保守運用サーバ20に送信する(ステップS117)。
【0060】
過剰な人数の保守員を保守現場に派遣することは、保守サービスを受ける顧客に対して金銭的な負担を強いることにつながる。そのため、保守現場に派遣される保守員は通常1人である。しかし、保守運用サーバ20が受ける申請は1つに限らない。複数の申請を受けた(すなわち複数の保守員が保守を申請した)場合、保守運用センタ2は、全ての申請を許諾するわけにはいかない。
【0061】
そこで、本実施形態では、申請送信部400cより送信される申請に保守金額が含まれる。保守金額は、例えば、保守員が保守対象機器を保守した場合に保守員に支払われるインセンティブであり、申請の操作時に保守員により入力される。入力可能な保守金額は、端末装置40のモニタに表示された保守金額以下の金額である。
【0062】
保守運用サーバ20の保守員割当部200dは、障害情報の登録を知らせる通知が端末装置40に送信されてから所定時間(例えば10分)が経過した時点で申請の受理を締め切り、その時点で最も低い保守金額で申請を送信した端末装置40を保有する保守員を、保守対象機器を保守する保守員として割り当てる(ステップS118)。
【0063】
なお、上記所定時間が経過するまで、各端末装置40のモニタには、保守運用サーバ20が受けた申請の中で最も低い保守金額がリアルタイムで表示される。保守員は、保守を申請した後でも上記所定時間が経過するまでは、より低い保守金額で保守を再申請することもできる。
【0064】
障害が発生した機器が早く復旧するほど顧客にとって望ましいことである。その点では、障害が発生してからできるだけ早く保守員を割り当てることが望ましい。そのため、ステップS118において、保守員割当部200dは、単純に、最も早く申請を送信した端末装置40を保有する保守員を、保守対象機器を保守する保守員として割り当ててもよい。
【0065】
また、障害情報の内容によっては申請が入りにくいことも考えられる。一例として、深夜帯に作業を行わなければならない保守に対しては、申請を見送る保守員が多くなる可能性がある。そこで、保守運用サーバ20は、申請が1つもない場合、障害情報の登録を知らせる通知が端末装置40に送信されてから一定時間(例えば2分)経過する毎に保守金額を増加させる。増加された保守金額が端末装置40のモニタを通じて保守員に提示されることにより、保守員が積極的に申請するようになるものと考えられる。なお、1つでも申請が入った時点で保守金額の増加は停止される。
【0066】
保守員割当部200dは、申請を送信した各端末装置40に対して申請結果を通知する(ステップS119)。申請を許諾した保守員の端末装置40に対しては、保守依頼元の顧客の詳細情報も通知される。顧客の詳細情報は、例えば顧客データベース300aに登録された顧客の名称や連絡先等である。
【0067】
保守作業の内容によっては、保守員の手元にある部品や工具だけでは保守を行えない場合がある。この場合、保守員は、端末装置40を操作して、保守運用サーバ20に対して必要な部品や工具の在庫検索のリクエストを送信する(ステップS120)。
【0068】
保守運用サーバ20は、在庫検索のリクエストを受けると、対象部品や対象工具の在庫検索を保守部品データベース300eに対して行い(ステップS121)、検索結果(対象部品や対象工具の在庫情報)を取得する(ステップS122)。なお、在庫検索は、例えば、端末装置40の位置情報送信部400dより取得される保守員の現在地を中心とした所定距離内に立地する倉庫や物流拠点を対象に行われる。保守運用サーバ20は、取得した対象部品や対象工具の在庫情報を端末装置40に転送する(ステップS123)。
【0069】
保守員は、必要に応じて倉庫や物流拠点に立ち寄り部品や工具を確保して、保守現場に向かい保守作業を行う。保守作業を完遂すると、保守員は、端末装置40を操作して保守作業のレポートを保守運用サーバ20に送信する(ステップS124)。
【0070】
この保守作業レポートには、完遂した保守作業に対する自己査定が含まれる。自己査定の項目は、技術力、実績、熟練度、信頼性とスピード、機器経験度の5種の項目であり、評価情報データベース300dの各種評価情報の項目(但し保守員ランクを除く)と同じである。以下、便宜上、これらの5種の項目のそれぞれを「査定対象項目」と記す。
【0071】
保守運用サーバ20に送信された保守作業レポートは、査定者(例えば保守員の所属会社・所属部門の上長)に転送される。査定者は、自己査定を含む保守作業レポートの内容に基づき、5種の査定対象項目で保守員を査定する。自己査定結果及び査定者の査定結果は、保守運用サーバ20に転送される。
【0072】
保守運用サーバ20は、転送された各査定結果に基づき、評価情報データベース300dに登録されている保守員の各種評価情報(保守員ランク、技術力、実績、熟練度、信頼性とスピード、機器経験度)を更新する(ステップS125)。
【0073】
例示的には、更新後の各査定対象項目の値は、保守員がこれまで行った個々の保守作業に対する査定結果の、当該査定対象項目の平均値である。また、例示的には、保守員ランクは、評価情報データベース300dに登録されている5種の査定対象項目の平均値に基づいて決定される。
【0074】
保守運用サーバ20の単金設定部200eは、評価情報データベース300dに登録されている5種の査定対象項目の値(言い換えると、保守員の保守能力に関する評価)に基づいて保守員の単金を設定する。単金設定部200eは、設定した単金を保守員データベース300cに登録する。保守員の給与は、保守員データベース300cに登録された単金、労働時間、完遂した保守作業の保守金額(インセンティブ)等に基づいて決定される。
【0075】
このように、保守員は、保守作業(言い換えると、保守する機器や保守作業に従事する時間)を自由に選ぶことができる。また、保守員は、より多くの給与を得るため、保守の申請を積極的に行い、より多くの保守作業や深夜帯等の保守作業(高い保守金額を望める保守作業)を行うこともできる。すなわち、本実施形態の如く保守運用を行うことにより、保守員が働きやすい環境や保守員の希望に沿った環境が提供される。このような環境を保守員に提供することにより、保守員不足の解消が実現可能となる。
【0076】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では、障害情報設定部200bは、評価情報データベース300dに登録された保守員ランクに基づいて障害情報に対するアクセス権を設定しているが、別の実施形態では、障害情報設定部200bは、保守員データベース300cに登録されている保守員の単金に基づいて障害情報に対するアクセス権を設定してもよい。
【0078】
単金は、保守員ランクと同様に5種の査定対象項目に基づいて設定される。そのため、単金も、保守対象機器に対する保守を申請できる保守員を絞り込むためのパラメータとして有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 :保守運用システム
2 :保守運用センタ
10 :オペレーション端末
20 :保守運用サーバ
30 :データベース
40 :端末装置
200 :制御部
200A :CPU
200B :RAM
200C :ROM
200D :入出力インタフェース
200E :表示制御回路
200F :バスライン
200a :障害情報登録部
200b :障害情報設定部
200c :障害情報通知部
200d :保守員割当部
200e :単金設定部
210 :通信インタフェース
220 :操作部
230 :モニタ
300a :顧客データベース
300b :障害情報データベース
300c :保守員データベース
300d :評価情報データベース
300e :保守部品データベース
400 :制御部
400a :障害情報表示部
400b :操作受付部
400c :申請送信部
400d :位置情報送信部
440 :GPSレシーバ