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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20240527BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20240527BHJP
   H03K 19/003 20060101ALI20240527BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/00 B
H03K19/003 230
H03K17/687 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021049999
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148353
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石森 敏文
(72)【発明者】
【氏名】矢動丸 裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正好
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-272464(JP,A)
【文献】特開平08-126304(JP,A)
【文献】特開平10-066251(JP,A)
【文献】特開2020-202640(JP,A)
【文献】特開平10-066245(JP,A)
【文献】特開2020-054147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H03K 19/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路と、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間を直列に接続する導電体、及び第1スイッチ素子と、
前記導電体と前記第1スイッチ素子との間に接続される第1端と、前記第1スイッチ素子のゲートに接続されるゲートと、第2端と、を含む第2スイッチ素子と、
前記第2スイッチ素子の第2端に接続される第1端と、ゲートと、第2端とを含む第3スイッチ素子と、
前記第2端子と前記第1スイッチ素子との間に接続される第1入力端と、前記第2スイッチ素子の第2端及び前記第3スイッチ素子の第1端に接続される第2入力端と、前記第3スイッチ素子のゲートに接続される出力端と、を含む第1オペアンプと、
第1電圧が供給される第1入力端と、前記第3スイッチ素子の第2端に接続される第2入力端と、出力端と、を含む第2オペアンプと、
を備え、
前記第1回路は、前記第1スイッチ素子のゲートに接続される第1端と、前記第2オペアンプの出力端に接続されるゲートと、接地される第2端と、を含む第4スイッチ素子を含み、
前記第1スイッチ素子及び前記第1回路は半導体チップ内に設けられ、
前記導電体は、前記半導体チップの上面上の配線パターンであり、
前記第1回路は、第1条件が満たされる場合に、前記第1スイッチ素子をオフ状態とするように構成され、
前記導電体は、第2条件が満たされる場合に、物理的に切れるように構成され
前記第1条件は、前記導電体に流れる電流の電流値が、第1電流値以上になることであり、
前記第2条件は、前記電流値が、前記第1電流値よりも大きい第2電流値以上になることである、
半導体装置。
【請求項2】
第1回路と、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間を直列に接続する導電体、及び第1スイッチ素子と、
前記導電体と前記第1スイッチ素子との間に接続される第1端と、前記第1スイッチ素子のゲートに接続されるゲートと、第2端と、を含む第2スイッチ素子と、
前記第2スイッチ素子の第2端に接続される第1端と、ゲートと、第2端とを含む第3スイッチ素子と、
前記第2端子と前記第1スイッチ素子との間に接続される第1入力端と、前記第2スイッチ素子の第2端及び前記第3スイッチ素子の第1端に接続される第2入力端と、前記第3スイッチ素子のゲートに接続される出力端と、を含む第1オペアンプと、
第1電圧が供給される第1入力端と、前記第3スイッチ素子の第2端に接続される第2入力端と、出力端と、を含む第2オペアンプと、
を備え、
前記第1回路は、前記第1スイッチ素子のゲートに接続される第1端と、前記第2オペアンプの出力端に接続されるゲートと、接地される第2端と、を含む第4スイッチ素子を含み、
前記第1スイッチ素子及び前記第1回路は半導体チップ内に設けられ、
前記導電体は、前記半導体チップの上面上の配線パターンであり、
前記第1回路は、第1条件が満たされる場合に、前記第1スイッチ素子をオフ状態とするように構成され、
前記導電体は、第2条件が満たされる場合に、物理的に切れるように構成され、
前記第1条件は、前記導電体に印加される電圧が、第電圧以上になることであり、
前記第2条件は、前記導電体に流れる電流の電流値が、前記導電体に前記第電圧が印加される場合の前記電流値よりも大きい第電流値以上になることである
導体装置。
【請求項3】
前記半導体装置は、
前記導電体、及び前記第1スイッチ素子の間に接続されるカソード、及び接地されるアノードを有するダイオード、
を更に含む、
請求項1又は請求項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流経路を切断することで、周囲の機器を過大な電力から保護する半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-195338号公報
【文献】特許第2680684号公報
【文献】特許第4904851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繰り返し使用でき、かつ周囲の機器の破壊を抑制できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1回路と、第1端子と、第2端子と、上記第1端子と上記第2端子との間を直列に接続する導電体、及び第1スイッチ素子と、を備える。上記第1回路は、第1条件が満たされる場合に、上記第1スイッチ素子をオフ状態とするように構成される。上記導電体は、第2条件が満たされる場合に、物理的に切れるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を含む電力供給システムの全体構成を示すブロック図。
図2】実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図。
図3】実施形態に係る半導体装置の図2中のIII-III線に沿った断面を示す断面図。
図4】実施形態に係る半導体装置の半導体チップに含まれる回路の構成の一例を説明するためのブロック図。
図5】実施形態に係る半導体装置の電子ヒューズ部に含まれる回路の構成、及び電子ヒューズ部と物理ヒューズ部との接続の一例を説明するための回路図。
図6】実施形態に係る半導体装置を用いた動作の一例を説明するためのタイミングチャート。
図7】第1変形例に係る半導体装置の電子ヒューズ部に含まれる回路、及び電子ヒューズ部と物理ヒューズ部との接続の一例を説明するための回路図。
図8】第1変形例に係る半導体装置を用いた動作の一例を説明するためのタイミングチャート。
図9】第2変形例に係る半導体装置の半導体チップに含まれる回路の構成の一例を説明するためのブロック図。
図10】第2変形例に係る半導体装置を用いた動作の一例を説明するためのタイミングチャート。
図11】第3変形例に係る半導体装置の半導体チップに含まれる回路の構成の一例を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。
【0008】
1. 実施形態
実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0009】
1.1 構成
1.1.1 電力供給システム
まず、実施形態に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る半導体装置1を含む電力供給システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
半導体装置1は、電子部品のパッケージである。半導体装置1は、端子Pin及びPoutを含む。端子Pinは、例えば半導体装置1の外部の電力供給回路2に接続される。端子Pinには、電力供給回路2から、電力が供給される。端子Poutは、例えば半導体装置1の外部の負荷3に接続される。端子Poutからは、負荷3に、電力が出力される。
【0011】
1.1.2 半導体装置
図2は、実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための平面図である。
【0012】
半導体装置1は、半導体チップ20、ベッド部30、複数のリード端子40、及び複数のワイヤ50を備える。図2では、半導体チップ20、ベッド部30、複数のリード端子40、及び複数のワイヤ50を覆う絶縁体が省略される。
【0013】
ベッド部30上には、半導体チップ20が設けられる。以下の説明では、ベッド部30から半導体チップ20に向かう方向を上方向とする。すなわち、半導体チップ20は、ベッド部30の上面上に設けられる。ベッド部30は、半導体装置1から発生した熱を半導体装置1の外部に放熱する機能を有する。
【0014】
半導体チップ20は、複数のリード端子40の各々と、対応するワイヤ50を介して電気的に接続される。これにより、半導体チップ20は、複数のリード端子40を介して、半導体装置1の外部から電力を供給されることができる。また、半導体チップ20は、複数のリード端子40を介して、半導体装置1の外部に電力を出力することができる。
【0015】
図3は、実施形態に係る半導体装置の図2中のIII-III線に沿った断面を示す断面図である。
【0016】
図3に示すように、半導体チップ20、ベッド部30、複数のリード端子40、及び複数のワイヤ50は、絶縁体60によって封止される。
【0017】
半導体チップ20の上面上には、複数のパッド電極21が設けられる。複数のパッド電極21は、パッド電極21a及び21bを含む。
【0018】
複数のリード端子40の上面上には、複数のパッド電極41が設けられる。複数のパッド電極41は、パッド電極41a及び41bを含む。パッド電極41aは、パッド電極21aに対応する。パッド電極41bは、パッド電極21bに対応する。パッド電極41aが設けられるリード端子40は、端子Pinとして機能する。パッド電極41bが設けられるリード端子40は、端子Poutとして機能する。
【0019】
複数のパッド電極41のうちの1つ、及び複数のパッド電極21のうちの対応する1つは、複数のワイヤ50のうちの少なくとも1つにより、物理的かつ電気的に接続される。複数のワイヤ50は、ワイヤ50a及び50bを含む。ワイヤ50aは、パッド電極21aと接合された第1端と、パッド電極41aと接合された第2端と、を含む。ワイヤ50bは、パッド電極21bと接合された第1端と、パッド電極41bと接合された第2端と、を含む。
【0020】
半導体チップ20には、パッド電極41a、ワイヤ50a、及びパッド電極21aを介して、半導体装置1の外部から電力が供給される。また、半導体チップ20からは、パッド電極21b、ワイヤ50b、及びパッド電極41bを介して、半導体装置1の外部に電力が出力される。
【0021】
1.1.3 半導体チップ
実施形態に係る半導体装置1の半導体チップ20について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る半導体装置の半導体チップに含まれる回路の構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0022】
半導体チップ20は、物理ヒューズ部22及び電子ヒューズ部23を含む。物理ヒューズ部22及び電子ヒューズ部23は、端子Pinと端子Poutとの間に、この順に直列に接続される。
【0023】
物理ヒューズ部22は、例えば半導体チップ20上に設けられた導電体の配線パターンである。物理ヒューズ部22は、端子Pinと電子ヒューズ部23との間を接続する導電路を形成する。物理ヒューズ部22は、物理ヒューズ部22に流れる電流に基づいて、溶断するように構成される。より具体的には、物理ヒューズ部22は、物理ヒューズ部22に流れる電流の電流値Ipが、予め設定される第1期間にわたって第1電流値I1以上である場合に、溶断するように構成される。すなわち、物理ヒューズ部22は、端子Pinと端子Poutとの間を接続する電流経路(以下、単に電流経路と言う)を物理的に切断することにより、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する機能を有する。
【0024】
電子ヒューズ部23は、例えば半導体チップ20上に設けられた電子回路である。電子ヒューズ部23は、物理ヒューズ部22と端子Poutとの間を接続する導電路を形成する。電子ヒューズ部23は、物理ヒューズ部22に流れる電流に基づいて、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁するように構成される。より具体的には、電子ヒューズ部23は、例えば電流値Ipが、第2電流値I2以上である場合に、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁するように構成される。第2電流値I2は、第1電流値I1より小さい。
【0025】
1.1.4 電子ヒューズ部
実施形態に係る半導体装置1の電子ヒューズ部23の具体的な構成について、図5を用いて説明する。図5は、実施形態に係る電子ヒューズ部に含まれる回路の構成、及び電子ヒューズ部と物理ヒューズ部との接続の一例を説明するための回路図である。
【0026】
電子ヒューズ部23は、切替え回路230、検出回路231、及び制御回路232を含む。
【0027】
切替え回路230は、スイッチ素子Q1及び電圧生成回路VGを含む。スイッチ素子Q1は、N型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0028】
スイッチ素子Q1の第1端は、物理ヒューズ部22に接続される。スイッチ素子Q1の第1端には、物理ヒューズ部22を介して電流が供給される。スイッチ素子Q1のゲートは、ノードN1に接続される。スイッチ素子Q1の第2端は、端子Poutに接続される。
【0029】
電圧生成回路VGの第1端には、電圧VINが入力される。電圧生成回路VGの第2端は、ノードN1に接続される。電圧生成回路VGは、電圧VINを昇圧する。電圧生成回路VGの第2端からは、電圧生成回路VGにより昇圧された電圧が出力される。
【0030】
検出回路231は、スイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R1、オペアンプAMP1及びAMP2、並びに定電圧源VS1を含む。スイッチ素子Q2は、N型のMOSFETである。また、スイッチ素子Q3は、P型のMOSFETである。
【0031】
スイッチ素子Q2の第1端は、スイッチ素子Q1の第1端に接続される。スイッチ素子Q2のゲートは、ノードN1に接続される。スイッチ素子Q2の第2端は、ノードN2に接続される。
【0032】
スイッチ素子Q3の第1端は、ノードN2に接続される。スイッチ素子Q3のゲートは、オペアンプAMP1に接続される。スイッチ素子Q3の第2端は、ノードN3に接続される。
【0033】
抵抗R1の第1端は、ノードN3に接続される。抵抗R1の第2端は、接地される。
【0034】
オペアンプAMP1は、非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)、及び出力端子を有する。オペアンプAMP1の非反転入力端子(+)は、ノードN2に接続される。オペアンプAMP1の反転入力端子(-)は、スイッチ素子Q1の第2端に接続される。オペアンプAMP1の出力端子は、スイッチ素子Q3のゲートに接続される。
【0035】
オペアンプAMP2は、非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)、及び出力端子を有する。オペアンプAMP2の非反転入力端子(+)は、ノードN3に接続される。オペアンプAMP2の反転入力端子(-)は、定電圧源VS1に接続される。オペアンプAMP2の出力端子は、制御回路232に接続される。
【0036】
定電圧源VS1の第1端は、オペアンプAMP2の反転端子(-)に接続される。定電圧源VS1の第2端は、接地される。定電圧源VS1は、定電圧源VS1の第1端から電圧Vsを出力するように構成される。電圧Vsは、例えば、電流値Ipが第2電流値I2と同等である際のノードN3の電圧と同等である。
【0037】
制御回路232は、スイッチ素子Q4を含む。スイッチ素子Q4は、N型のMOSFETである。
【0038】
スイッチ素子Q4の第1端は、ノードN1に接続される。スイッチ素子Q4のゲートは、オペアンプAMP2の出力端子に接続される。スイッチ素子Q4の第2端は、接地される。
【0039】
1.2 動作
次に、実施形態に係る半導体装置1の動作について、図6を用いて説明する。図6は、実施形態に係る半導体装置を用いた動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図6では、物理ヒューズ部22、及び電子ヒューズ部23の各々により、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する例が示される。図6では、物理ヒューズ部22に流れる電流の電流値Ipが図示される。
【0040】
時刻T1において、電力供給回路2から負荷3への電力の供給が開始される。これに伴い、半導体装置1内を電流が流れる。
【0041】
より具体的には、電圧生成回路VGは、スイッチ素子Q1及びQ2の各々のゲートに共通の電圧を印加する。オペアンプAMP1の働きにより、オペアンプAMP1の反転入力端子(-)(スイッチ素子Q1の第2端)の電圧と、オペアンプAMP1の非反転入力端子(+)(ノードN2)の電圧とは等しくなる。これにより、スイッチ素子Q1及びQ2のゲートソース間電圧が等しくなる。また、オペアンプAMP1の働きにより、スイッチ素子Q3のゲートには、オペアンプAMP1の出力端子から、電圧が供給される。これにより、スイッチ素子Q3がオン状態になる。このため、スイッチ素子Q2には、スイッチ素子Q1とのサイズ比に応じた電流が流れる。スイッチ素子Q3の第2端(ノードN3)の電圧は、スイッチ素子Q2に流れる電流に基づいて決定される。
【0042】
オペアンプAMP2の出力端子からは、オペアンプAMP2の反転入力端子(-)の電圧Vsと、オペアンプAMP2の非反転入力端子(+)(ノードN3)の電圧との比較結果が出力される。ここで、時刻T1における電流値Ipは、第2電流値I2よりも小さい。これにより、オペアンプAMP2の出力端子からは、“L(Low)”レベルの信号が出力される。このため、スイッチ素子Q4は、“L”レベルの信号に基づいて、オフ状態になる。
【0043】
スイッチ素子Q4がオフ状態である場合、ノードN1の電圧は、電圧生成回路VGから供給された電圧により、電圧VONとなる。電圧VONは、スイッチ素子Q1及びQ2のオン状態とする電圧である。これにより、スイッチ素子Q1及びQ2は、オン状態を維持する。このため、端子Pinと端子Poutとの間の電気的な接続が維持される。
【0044】
時刻T2において、電流値Ipが、第2電流値I2と同等になる。これにより、電子ヒューズ部23は、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する(図6中、「e-fuseオフ」で示される)。このため、端子Poutからの電流の出力が停止される。
【0045】
より具体的には、電流値Ipが第2電流値I2以上である場合、オペアンプAMP2の出力端子からは、“H(High)”レベルの信号が出力される。これにより、スイッチ素子Q4は、“H”レベルの信号に基づいて、オン状態になる。このため、ノードN1の電圧は、例えば電圧VONから接地電位に低下する。したがって、スイッチ素子Q1はオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0046】
図6の例では、時刻T2から時刻T3までの間、電圧が増加する。これにより、例えば時刻T2及び時刻T3の間の時刻において、スイッチ素子Q1の第1端に過電圧が印加され始める。このため、時刻T3において、スイッチ素子Q1が短絡状態になる(図6中、「短絡状態」で示される)。したがって、物理ヒューズ部22に電流が流れ始める。
【0047】
時刻T4において、電流値Ipが第1電流値I1と同等になる。
【0048】
時刻T4から時刻T5までの間、電流値Ipは第1電流値I1以上に維持される。これにより、時刻T5において、物理ヒューズ部22は溶断する(図6中、「溶断」で示される)。すなわち、物理ヒューズ部22は、電流経路を物理的に切断することにより端子Pinと電子ヒューズ部23との間を電気的に絶縁する。このため、半導体装置1に流れる電流が停止される。
【0049】
以上により、半導体装置1の動作が終了する。
【0050】
1.3 実施形態に係る効果
実施形態に係る半導体装置1の半導体チップ20は、端子Pinと、端子Poutと、端子Pinと端子Poutとの間を直列に接続する物理ヒューズ部22、及びスイッチ素子Q1と、制御回路232と、を備える。制御回路232は、第1条件が満たされる場合に、スイッチ素子Q1をオフ状態とするように構成される。第1条件は、例えば電流値Ipが第2電流値I2以上になることである。これにより、半導体装置1は、物理ヒューズ部22の電流値Ipに基づいて、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁することができる。このため、半導体装置1は、半導体装置1、及び周囲の機器を、過大な電力から繰り返し保護することができる。
【0051】
また、物理ヒューズ部22は、第1条件、且つ第2条件が満たされる場合に、物理的に切れるように構成される。第2条件は、例えば電流値Ipが、第1期間に渡り、第1電流値I1以上になることである。これにより、スイッチ素子Q1がオフ状態とされた後に、スイッチ素子Q1が短絡状態となるような場合であっても、半導体装置1は、物理ヒューズ部22を物理的に切断することで、端子Pinと電子ヒューズ部23との間を電気的に絶縁することができる。すなわち、スイッチ素子Q1が故障により短絡状態となっても、半導体装置1に流れる電流を停止することができる。このため、過大な電力の供給による周囲の機器の破壊を抑制することができる。
【0052】
2. 変形例
なお、上述の実施形態は、種々の変形が可能である。
【0053】
以下に、変形例に係る半導体装置について説明する。以下では、変形例に係る半導体装置1の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置と異なる点を中心に説明し、それ以外の説明を省略する。変形例に係る半導体装置によっても、実施形態と同様の効果が奏せられる。
【0054】
2.1 第1変形例
上述の実施形態では、半導体チップ20が、電流値Ipに基づいて、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する例を示した。しかしながら、これに限られるものではない。半導体チップ20は、物理ヒューズ部22の配線パターンに印加される電圧Vp(以下、単に物理ヒューズ部22の電圧Vpと言う)に基づいて、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁してもよい。なお、物理ヒューズ部22の電圧Vpは、例えば物理ヒューズ部22の配線パターンのうち、スイッチ素子Q1の第1端に接続される一端の電圧である。
【0055】
2.1.1 構成
まず、第1変形例に係る半導体装置1の構成について説明する。なお、第1変形例に係る半導体装置1の半導体チップ20の物理ヒューズ部22、ベッド部30、複数のリード端子40、及び複数のワイヤ50の構成は、実施形態と同等とすることができるため、それらの説明を省略する。以下では、電子ヒューズ部23の構成について、実施形態と異なる点について主に説明し、その他の構成についての説明を省略する。
【0056】
2.1.1.1 半導体チップ
第1変形例に係る電子ヒューズ部23の構成について説明する。
【0057】
電子ヒューズ部23は、例えば物理ヒューズ部22の電圧が、第2電圧V2以上である場合に、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁するように構成される。その他の構成は、実施形態と同等とすることができる。
【0058】
2.1.1.2 電子ヒューズ部
第1変形例に係る半導体装置1の電子ヒューズ部23の具体的な構成について、図7を用いて説明する。図7は、第1変形例に係る半導体装置の電子ヒューズ部に含まれる回路の構成、及び電子ヒューズ部と物理ヒューズ部との接続の一例を説明するための回路図である。
【0059】
電子ヒューズ部23は、抵抗R2及びR3、切替え回路230、検出回路231、並びに制御回路232を含む。なお、切替え回路230の構成は、実施形態と同等とし得るため、それらの説明を省略する。
【0060】
抵抗R2の第1端は、スイッチ素子Q1の第1端に接続される。抵抗R2の第1端、及びスイッチ素子Q1の第1端には、物理ヒューズ部22の電圧Vpに基づく電圧が供給される。抵抗R2の第2端は、ノードN4に接続される。
【0061】
抵抗R3の第1端は、ノードN4に接続される。抵抗R3の第2端は、接地される。
【0062】
検出回路231は、スイッチ素子Q5、オペアンプAMP3、並びに抵抗R4、R5、及びR6を含む。スイッチ素子Q5は、例えばN型のJFET(Junction Field Effet Transistor)である。
【0063】
抵抗R4の第1端は、ノードN4に接続される。抵抗R4の第2端は、ノードN5に接続される。
【0064】
抵抗R5の第1端には、電圧VREFが入力される。抵抗R5の第2端は、ノードN6に接続される。電圧VREFは、例えば図示しない定電圧源から供給される定電圧である。
【0065】
抵抗R6の第1端は、ノードN6に接続される。抵抗R6の第2端は接地される。
【0066】
スイッチ素子Q5の第1端は、ノードN5に接続される。スイッチ素子Q5の第2端及びゲートは、接地される。
【0067】
オペアンプAMP3は、非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)、及び出力端子を有する。オペアンプAMP3の非反転入力端子(+)は、ノードN5に接続される。オペアンプAMP3の反転入力端子(-)は、ノードN6に接続される。オペアンプAMP3の出力端子は、制御回路232に接続される。
【0068】
制御回路232はスイッチ素子Q4を含む。
【0069】
スイッチ素子Q4の第1端及び第2端の構成は、実施形態と同等である。スイッチ素子Q4のゲートは、オペアンプAMP3の出力端子に接続される。
【0070】
2.1.2 動作
次に、第1変形例に係る半導体装置1の動作について、図8を用いて説明する。図8は、第1変形例に係る半導体装置を用いた動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図8では、物理ヒューズ部22、及び電子ヒューズ部23の各々により、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する例が示される。図8では、電流値Ip、及び物理ヒューズ部22の電圧Vpが図示される。
【0071】
時刻T6において、電力供給回路2から負荷3への電力の供給が開始される。これに伴い、半導体装置1内を電流が流れる。
【0072】
より具体的には、電圧生成回路VGは、スイッチ素子Q1のゲートに電圧を印加する。オペアンプAMP3の出力端子からは、オペアンプAMP3の反転入力端子(-)の電圧と、オペアンプAMP3の非反転入力端子(+)の電圧との比較結果が出力される。ここで、電圧VREFは、例えばオペアンプAMP3の反転入力端子(-)の電圧が、電圧Vpが第2電圧V2と同等である場合におけるオペアンプAMP3の非反転入力端子(+)の電圧と同等となるように、設定される。時刻T6における電圧Vpは、第2電圧V2よりも小さい。これにより、オペアンプAMP3の出力端子からは、“L”レベルの信号が出力される。このように、オペアンプAMP3は、物理ヒューズ部22と電子ヒューズ部23との間の電圧に基づくオペアンプAMP3の非反転入力端子(+)の電圧と、オペアンプAMP3の反転入力端子(-)の電圧との比較結果に基づいて、電圧Vpが第2電圧V2以上であるかどうかに応じた信号を出力する。
【0073】
スイッチ素子Q4は、オペアンプAMP3の出力端子からの“L”レベルの信号に基づいて、オフ状態になる。また、スイッチ素子Q1は、オン状態に維持される。したがって、端子Pinと端子Poutとの間の電気的な接続が維持される。
【0074】
時刻T7において、物理ヒューズ部22の電圧が第2電圧V2と同等になる。これにより、電子ヒューズ部23は、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する(図8中、「e-fuseオフ」で示される)。このため、端子Poutからの電流の出力が停止される。なお、時刻T7における電流値Ipは、第1電流値I1よりも小さい。
【0075】
より具体的には、電圧Vpが第2電圧V2と同等である場合、オペアンプAMP3の出力端子からは、“H”レベルの信号が出力される。これにより、実施形態の時刻T2におけるスイッチ素子Q4は、オン状態になる。このため、ノードN1の電圧は、例えば電圧VONから接地電位に低下する。したがって、スイッチ素子Q1はオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0076】
図8の例では、時刻T7から時刻T8までの間、電圧Vpが増加する。これにより、例えば時刻T7及び時刻T8の間の時刻において、スイッチ素子Q1の第1端に過電圧が印加され始める。このため、時刻T8において、実施形態における時刻T3と同等の理由により、スイッチ素子Q1が短絡状態になる(図8中、「短絡状態」で示される)。したがって、物理ヒューズ部22に電流が流れ始める。またこれに伴って、電圧Vpは低下し始める。
【0077】
時刻T9において、電流値Ipが、第1電流値I1と同等になる。
【0078】
時刻T9から時刻T10までの間、電流値Ipは第1電流値I1以上に維持される。これにより、時刻T10において、物理ヒューズ部22は溶断する(図8中、「溶断」で示される)。すなわち、物理ヒューズ部22は、電流経路を物理的に切断することにより端子Pinと電子ヒューズ部23との間を電気的に絶縁する。これにより、半導体装置1に流れる電流が停止される。
【0079】
以上のように動作することにより、半導体装置1は、電子ヒューズ部23が電圧を検出する場合においても、周囲の機器を、過大な電力から繰り返し保護することができる。
【0080】
2.2 第2変形例
上述の実施形態及び第1変形例では、スイッチ素子Q1が短絡状態になった場合に物理ヒューズ部22が溶断する例を示したが、これらに限られない。半導体装置1は、例えば、実施形態において、スイッチ素子Q1が短絡状態になることを抑制するように構成されてもよい。以下では、第2変形例に係る半導体装置1の構成及び動作について、実施形態及び第1変形例と異なる構成及び動作について主に説明し、それ以外の説明を省略する。
【0081】
2.2.1 構成
第2変形例に係る半導体装置1の構成について、図9を用いて説明する。図9は、第2変形例に係る半導体装置の半導体チップに含まれる回路の構成の一例を説明するためのブロック図である。なお、第2変形例に係る半導体装置1のベッド部30、複数のリード端子40、及び複数のワイヤ50の構成は、実施形態及び第1変形例と同等とすることができるため、それらの説明を省略する。以下では、半導体チップ20の構成について、実施形態及び第1変形例と異なる点について主に説明し、その他の構成についての説明を省略する。
【0082】
第2変形例に係る半導体チップ20は、実施形態及び第1変形例の構成に加えて、ダイオードDを含む。ダイオードDは、例えばツェナーダイオードである。ダイオードDを除く半導体チップ20の構成は、実施形態及び第1変形例と同等とすることができる。
【0083】
ダイオードDの第1端(カソード)は、物理ヒューズ部と電子ヒューズ部23との間に接続される。ダイオードDの第2端(アノード)は接地される。ダイオードDの第1端の電圧が、ダイオードDの降伏電圧以上になった場合に、ダイオードDはオン状態になる。
【0084】
電子ヒューズ部23が実施形態と同等の構成を有する場合、ダイオードDの降伏電圧は、例えば物理ヒューズ部22に第2電流値I2を有する電流が流れる際の、ダイオードDの第1端の電圧以上の電圧に設定される。また、ダイオードDの降伏電圧は、例えば物理ヒューズ部22に第1電流値I1を有する電流が流れる際の、ダイオードDの第1端の電圧よりも低い電圧に設定される。ダイオードDの降伏電圧は、例えば物理ヒューズ部22に第2電流値I2を有する電流が流れる際の、ダイオードDの第1端の電圧により近い電圧である方が好ましい。
【0085】
電子ヒューズ部23が第1変形例と同等の構成を有する場合、ダイオードDの降伏電圧は、例えば物理ヒューズ部22の電圧が第2電圧V2である際の、ダイオードDの第1端の電圧以上の電圧に設定される。なお、以下の説明では、ダイオードDの降伏電圧が、物理ヒューズ部22の電圧が第2電圧V2である際の、ダイオードDの第1端の電圧と同等である場合を例に説明する。
【0086】
2.2.2 動作
次に、第2変形例に係る半導体装置1の動作について、図10を用いて説明する。図10は、第2変形例に係る半導体装置を用いた動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、図10では、物理ヒューズ部22、及び電子ヒューズ部23が、第1変形例と同等の構成を有する場合の動作について説明する。図10では、電流値Ip、及び物理ヒューズ部22の電圧Vpが図示される。
【0087】
実施形態の時刻T11における動作は、第1変形例の時刻T6における動作と同等である。
【0088】
時刻T12において、電圧Vpが第2電圧V2と同等になる。これにより、第1変形例の時刻T7における動作と同等に、電子ヒューズ部23は、電流経路を物理的に接続しつつ、端子Pinと端子Poutとの間を電気的に絶縁する(図10中、「e-fuseオフ」で示される)。このため、端子Poutからの電流の出力が停止される。
【0089】
また、ダイオードDは、物理ヒューズ部22の電圧が第2電圧V2となったことにより、オン状態になる(図10中、「D:オン」で示される)。このように、第1変形例の時刻T7から時刻T8における動作とは異なり、スイッチ素子Q1の第1端への過電圧の印加によりスイッチ素子Q1が短絡状態になる前に、ダイオードDがオン状態になる。これにより、半導体装置1内を流れる電流は、物理ヒューズ部22及びダイオードDを介して、流れるようになる。
【0090】
時刻T13において、電流値Ipが、第1電流値I1と同等になる。
【0091】
時刻T13から時刻T14までの間、電流値Ipは第1電流値I1以上に維持される。これにより、時刻T14において、物理ヒューズ部22は溶断する(図10中、「溶断」で示される)。すなわち、物理ヒューズ部22は、電流経路を物理的に切断することにより端子Pinと電子ヒューズ部23との間を電気的に絶縁する。これにより、半導体装置1に流れる電流が停止される。
【0092】
以上により、半導体装置1の動作が終了する。
【0093】
なお、以上の説明では、物理ヒューズ部22、及び電子ヒューズ部23が、第1変形例と同等の構成を有する場合の動作について説明したが、これに限られない。物理ヒューズ部22、及び電子ヒューズ部23が、実施形態と同等の構成を有する場合も、上述の動作と実質的に同等の動作とすることができる。
【0094】
2.2.3 効果
第2変形例によれば、スイッチ素子Q1が短絡状態になる前に、ダイオードDがオン状態になる。これにより、電子ヒューズ部23への大電流の供給、及び高電圧の印加が抑制される。このため、スイッチ素子Q1が短絡状態になることを抑制することができる。したがって、過大な電流の供給による周囲の機器の破壊を、より確実に抑制することができる。
【0095】
2.3 第3変形例
上述の実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、物理ヒューズ部22(溶断する配線パターン)が、半導体チップ20上に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られるものではない。物理ヒューズ部22は、半導体装置1内において半導体チップ20の外部に設けられるものであってもよい。
【0096】
第3変形例に係る半導体装置1では、実施形態、第1変形例、及び第2変形例とは異なり、半導体チップ20上に溶断する配線パターンを含まず、半導体チップ20よりも上流に設けられるワイヤ50aが物理ヒューズ部22として機能する。なお、第3変形例に係る半導体装置1のベッド部30、複数のリード端子40、及び複数のワイヤ50のうちワイヤ50aを除くワイヤ50の構成は、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と同等とすることができるため、それらの説明を省略する。以下では、半導体チップ20、及びワイヤ50aの構成について、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と異なる構成について説明する。
【0097】
第3変形例に係る半導体チップ20の構成の例について、図11を用いて説明する。図11は、第3変形例に係る半導体装置の半導体チップに含まれる回路の構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0098】
図11に示されるように、第3変形例に係る半導体チップ20は、溶断する配線パターンを含まない。また、電子ヒューズ部23は、物理ヒューズ部22として機能するワイヤ50aと端子Poutとの間に接続される。電子ヒューズ部23の構成は実施形態、及び第1変形例のそれぞれにおける電子ヒューズ部23の構成と同等とすることができる。
【0099】
ワイヤ50aは、ワイヤ50aに流れる電流の電流値に基づいて、ワイヤ50aが溶断するように構成される。より具体的には、ワイヤ50aは、第1期間に渡り、ワイヤ50aに流れる電流の電流値が第1電流値I1以上である場合に、溶断するように構成される。
【0100】
なお、図11に示す例では、半導体チップ20がダイオードDを含まない場合を例に示したが、第3変形例に係る半導体チップ20は、第2変形例に係る半導体チップ20と同等に、ダイオードDを含んでもよい。この場合、ダイオードDの第1端は、物理ヒューズ部22と電子ヒューズ部23との間に接続される。ダイオードDの第2端は、第2変形例に係るダイオードDの構成と同等に接地される。
【0101】
このような構成によっても、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と同等の効果を奏することができる。
【0102】
3. その他
また、上述の実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、半導体装置1がパッケージである場合を示したが、これに限られない。半導体装置1は、半導体チップ20等が絶縁体によって封止されないように構成されてもよい。具体的には、例えば、半導体装置1は、複数のリード端子40の代わりに、半導体装置1の外部の電子機器と接続可能な複数のボール型(又はバンプ型)の端子を有してもよい。この場合、ボール型(又はバンプ型)の端子が、端子Pin又はPoutとして機能する。ボール型(又はバンプ型)の端子は、半導体チップ20の下方に設けられるため、複数のワイヤ50は設けられなくてもよい。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1…半導体装置、20…半導体チップ、21、41、71…パッド電極、22…物理ヒューズ部、23…電子ヒューズ部、30…ベッド部、40…リード端子、50…ワイヤ、60…絶縁体、230…切替え回路、231…検出回路、232…制御回路、D…ダイオード、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5…スイッチ素子、VG…電圧生成回路、AMP1、AMP2、AMP3…オペアンプ、R1、R2、R3、R4、R5…抵抗、VS1…定電圧源。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11