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特許7494159階段ユニット及びユニット階段の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】階段ユニット及びユニット階段の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/035 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
E04F11/035
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021214567
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023098066
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】荒川 昌也
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-278342(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181630(JP,U)
【文献】特開2014-25334(JP,A)
【文献】特開平6-108599(JP,A)
【文献】特開2018-178573(JP,A)
【文献】特開2019-7323(JP,A)
【文献】特開2020-105824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/035
E04F 11/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上下階を接続するユニット階段を構成するものであり、複数の部位ごとに製造されて現場で上下に組み付けられるとともに前記建物の躯体に固定される階段ユニットであって、
段板と、
蹴込板と、
前記段板を下方から支持するとともに前記蹴込板が一側面に固定され、かつ、前記建物の躯体に固定される支持フレームと、を備えており、
前記支持フレームは、
前記段板の下面における縁部に沿って取り付けられ、前記蹴込板が一側面に取り付けられる被取付部が下方に伸びて形成されたフレーム本体と、
前記フレーム本体と一体形成されるとともに下方に伸び、下端面が、前記被取付部の下端面と同一水平面上に位置するように設定された脚部と、を有しており、
前記脚部は、
前記フレーム本体から垂直下方に伸びる縦フレームと、
前記縦フレームの下端部から前記縦フレームと直交する方向に伸びる横フレームと、を備え、
前記縦フレームのうち前記フレーム本体との境目には、前記縦フレームを前記フレーム本体から切り離す場合の目印となる切れ込みが形成されていることを特徴とする階段ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の階段ユニットにおいて、
前記脚部は、前記被取付部と交差する方向に沿って配置される第一脚部を有しており、
前記第一脚部における前記横フレームは、前記縦フレームの下端部から前記被取付部の下端部に向かって伸びているとともに、前記被取付部の下端部との間に隙間を空けて配置されていることを特徴とする階段ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の階段ユニットにおいて、
前記脚部は、前記第一脚部と交差する方向に沿って配置される第二脚部を有しており、
前記第二脚部は、互いに間隔を空けて配置された一対の前記縦フレームと、前記一対の縦フレームの下端部間に架け渡されて配置された前記横フレームと、を備え、
前記切れ込みは、前記一対の縦フレームのうち前記フレーム本体との境目に形成されていることを特徴とする階段ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の階段ユニットにおいて、
前記切れ込みは、前記縦フレームのうち前記フレーム本体との境目に複数形成されていることを特徴とする階段ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の階段ユニットにおいて、
前記横フレームのうち前記縦フレームとの境目には、前記横フレームを前記縦フレームから切り離す場合の目印となる切れ込みが形成されていることを特徴とする階段ユニット。
【請求項6】
前記ユニット階段は廻り階段であり、
請求項1から5のいずれか一項に記載の階段ユニットは、前記ユニット階段の廻り部分を構成していることを特徴とする階段ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の階段ユニットを複数、上下に組み付けるとともに前記建物の躯体に固定して前記ユニット階段を構築するユニット階段の施工方法であって、
前記縦フレームを前記建物の躯体の縦方向に合わせて配置する工程と、
前記横フレームを前記建物の躯体の横方向に合わせて配置する工程と、
その後、前記支持フレームを前記建物の躯体に固定する工程と、を有することを特徴とするユニット階段の施工方法。
【請求項8】
請求項7に記載のユニット階段の施工方法において、
前記支持フレームを前記建物の躯体に固定した後、前記縦フレームのうち前記フレーム本体との境目に形成された前記切れ込みから前記境目に沿って切断し、前記縦フレームを前記フレーム本体から切り離す工程を更に有することを特徴とするユニット階段の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段ユニット及びユニット階段の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建物に階段を設置する場合に、階段を部位ごとに分けてユニット化した各種の階段ユニットを予め工場で製造しておき、それらの階段ユニットを現場で組み付けることでユニット階段を構築し、現場での施工性を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-025334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、階段の下方に形成された階段下空間は、建物の構造上あるいは設計上、十分な天井高を確保できて階段下収納やトイレ、ワークスペース等として有効活用される場合もあれば、十分な天井高を確保できない場合もある。
複数の階段ユニットを組み付けて階段を設置する際に、このように階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合と、十分な天井高を確保できない場合では、たとえ階段の同じ部位を形成する階段ユニットであっても、異なる構成のものを用意しなければならないことがある。
つまり、階段の同じ部位を形成するにもかかわらず、構造が異なる複数の階段ユニットを用意しなければならないとなると、製造コストの増加を招く場合がある。一方、このような製造コストの増加を避けるために、構造が異なる複数の階段ユニットを用意しないとなると、階段ユニットに合わせて建物側の設計を変えなければならない場合があり、建物の設計自由度が損なわれかねない。
【0005】
さらに、階段ユニットは、現場では、工場でユニット化された状態のまま施工されるため、例えば現場で一から組み立てていく非ユニット階段のように、部品ごとに位置を微調整しながら取り付けていくような施工が行えず、階段ユニット全体の位置調整を行いながら施工を進めなければならない。そのため、位置決めの容易性や、設置作業の容易性、すなわち、施工性の向上が求められている。
【0006】
また、階段ユニットは、予め工場で製造されて現場まで輸送されることから、床や輸送車両の荷台に置いたとき、階段ユニット同士を積載したときの安定性の高さ、すなわち、運搬に係る安定性の向上も併せて求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができ、更には施工性や運搬の際の安定性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図10に示すように、建物の上下階を接続するユニット階段3を構成するものであり、複数の部位ごとに製造されて現場で上下に組み付けられるとともに前記建物の躯体に固定される階段ユニット5(4,6,7)であって、
段板11,21と、
蹴込板12,22と、
前記段板11,21を下方から支持するとともに前記蹴込板12,22が一側面に固定され、かつ、前記建物の躯体に固定される支持フレーム13,23と、を備えており、
前記支持フレーム13,23は、
前記段板11,21の下面における縁部に沿って取り付けられ、前記蹴込板12,22が一側面に取り付けられる被取付部140,240が下方に伸びて形成されたフレーム本体14,24と、
前記フレーム本体14,24と一体形成されるとともに下方に伸び、下端面が、前記被取付部140,240の下端面と同一水平面上に位置するように設定された脚部15,25,26と、を有しており、
前記脚部15,25,26は、
前記フレーム本体14,24から垂直下方に伸びる縦フレーム150,250,260と、
前記縦フレーム150,250,260の下端部から前記縦フレーム150,250,260と直交する方向に伸びる横フレーム151,251,261と、を備え、
前記縦フレーム150,250,260のうち前記フレーム本体14,24との境目には、前記縦フレーム150,250,260を前記フレーム本体14,24から切り離す場合の目印となる切れ込み161,271が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、脚部15,25,26における縦フレーム150,250,260のうちフレーム本体14,24との境目(一点鎖線の部分)には、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24から切り離す場合の目印となる切れ込み161,271が形成されているので、脚部15,25,26をフレーム本体14,24から切り離す際に、切れ込み161,271から刃物等の切断手段を入れて境目に沿って切断することができる。この場合は、脚部15,25,26をフレーム本体14,24から切り離した分、耐火被覆材2をより上方まで貼ることができるので、階段下空間において、より高い位置まで天井高を高くすることができる。
また、脚部15,25,26は、フレーム本体14,24と一体形成されているので、フレーム本体14,24との境目に切れ込みが形成されていても、フレーム本体14,24から切り離さなくてもよい。この場合は、脚部15,25,26の位置よりも上方に耐火被覆材2を張りにくくなるので、階段下空間は、脚部15,25,26を切り離した場合よりも低い天井高となる。
すなわち、階段3の同じ部位を形成するにもかかわらず、構造が異なる複数の階段ユニットを用意する必要がなく、階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合にも、十分な天井高を確保できない場合にも対応できるので、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
さらに、脚部15,25,26は、フレーム本体14,24から垂直下方に伸びる縦フレーム150,250,260と、縦フレーム150,250,260の下端部から縦フレーム150,250,260と直交する方向に伸びる横フレーム151,251,261と、を備えているので、縦フレーム150,250,260を建物の躯体の縦方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の垂直を取り、横フレーム151,251,261を建物の躯体の横方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の水平を取ることができる。これにより、階段ユニット5(10,20)の位置決めが容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
しかも、脚部15,25,26の下端面は、フレーム本体14,24における被取付部140,240の下端面と同一水平面上に位置するように設定されているので、床や輸送車両の荷台に安定的に置いたり、階段ユニット5(10,20)同士を安定的に積載したりすることができ、階段ユニット5(10,20)の運搬に係る安定性の向上を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、例えば図3図4図7図10に示すように、請求項1に記載の階段ユニット5(4,6,7)において、
前記脚部15,25,26は、前記被取付部140,240と交差する方向に沿って配置される第一脚部15,25を有しており、
前記第一脚部15,25における前記横フレーム151,251は、前記縦フレーム150,250の下端部から前記被取付部140,240の下端部に向かって伸びているとともに、前記被取付部140,240の下端部との間に隙間152,252を空けて配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、被取付部140,240と交差する方向に沿って配置される第一脚部15,25における横フレーム151,251は、縦フレーム150,250の下端部から被取付部140,240の下端部に向かって伸びているので、被取付部140,240の下端部に向かって伸びている分で接地面の広さを確保でき、階段ユニット5(10,20)の運搬に係る安定性の向上を図ることができる。
さらに、この第一脚部15,25における横フレーム151,251は、被取付部140,240の下端部との間に隙間152,252を空けて配置されているので、隙間152,252を、階段ユニット5(10,20)と、当該階段ユニット5(10,20)に隣接する他の階段ユニット4,6,7をビス等の固定具を設けて接合する場合に、当該固定具を設ける場合の作業スペースとして確保することができる。これにより、階段ユニット5(10,20)の設置作業が容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、例えば図5図10に示すように、請求項2に記載の階段ユニット5(4,6,7)において、
前記脚部15,25,26は、前記第一脚部25と交差する方向に沿って配置される第二脚部26を有しており、
前記第二脚部26は、互いに間隔を空けて配置された一対の前記縦フレーム260と、前記一対の縦フレーム260の下端部間に架け渡されて配置された前記横フレーム261と、を備え、
前記切れ込み271は、前記一対の縦フレーム260のうち前記フレーム本体24との境目に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第一脚部25と交差する方向に沿って配置される第二脚部26は、互いに間隔を空けて配置された一対の縦フレーム260と、一対の縦フレーム260の下端部間に架け渡されて配置された横フレーム261と、を備えるので、被取付部240と共に脚として機能し、階段ユニット5(10,20)を安定的に床置きしたり、積載したりすることができ、階段ユニット5(10,20)の運搬に係る安定性の向上を図ることができる。
さらに、切れ込み271は、一対の縦フレーム260のうちフレーム本体24との境目に形成されているので、第二脚部26をフレーム本体24から切り離す際に、切れ込み271から刃物等の切断手段を入れて境目に沿って切断することができる。また、第二脚部26は、フレーム本体24と一体形成されているので、フレーム本体24との境目に切れ込みが形成されていても、フレーム本体24から切り離さなくてもよい。これにより、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、例えば図3図4等に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の階段ユニット5(4,6,7)において、
前記切れ込み161は、前記縦フレーム150のうち前記フレーム本体14との境目に複数形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、切れ込み161は、縦フレーム150のうちフレーム本体14との境目に複数形成されているので、建物の躯体との位置関係や、他の階段ユニット4,6,7との位置関係、作業員の利き手等を考慮し、複数の方向から脚部15を切断できることとなる。これにより、脚部15の切り離し作業が容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、例えば図3図10に示すように、請求項1から4のいずれか一項に記載の階段ユニット5(4,6,7)において、
前記横フレーム151,251,261のうち前記縦フレーム150,250,260との境目には、前記横フレーム151,251,261を前記縦フレーム150,250,260から切り離す場合の目印となる切れ込み162,272が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、横フレーム151,251,261のうち縦フレーム150,250,260との境目に、横フレーム151,251,261を縦フレーム150,250,260から切り離す場合の目印となる切れ込み162,272が形成されているので、縦フレーム150,250,260を残して横フレーム151,251,261を切り離す際に、切れ込み162,272から刃物等の切断手段を入れて境目に沿って切断することができる。この場合は、耐火被覆材2に対して、残された縦フレーム150,250,260を避けるような切欠加工をすれば、耐火被覆材2をより上方まで貼ることができるので、階段下空間において、より高い位置まで天井高を高くすることができる。
また、横フレーム151,251,261は、縦フレーム150,250,260と一体形成されているので、縦フレームとの境目に切れ込みが形成されていても、縦フレーム150,250,260から切り離さなくてもよい。この場合は、横フレーム151,251,261の位置よりも上方に耐火被覆材2を張りにくくなるので、階段下空間は、横フレーム151,251,261を切り離した場合よりも低い天井高となる。
すなわち、階段3の同じ部位を形成するにもかかわらず、構造が異なる複数の階段ユニットを用意する必要がなく、階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合にも、十分な天井高を確保できない場合にも対応できるので、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、例えば図1図10に示すように、前記ユニット階段3は廻り階段であり、
請求項1から5のいずれか一項に記載の階段ユニット5は、前記ユニット階段3の廻り部分を構成していることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、ユニット階段3は廻り階段であり、階段ユニット5は、ユニット階段の廻り部分を構成しているので、一種類の廻り階段ユニット5を用意しておけば、廻り階段ユニット5の下方に形成される階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合にも、十分な天井高を確保できない場合にも対応できる。したがって、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、例えば図1図10に示すように、請求項1から6のいずれか一項に記載の階段ユニット5(4,6,7)を複数、上下に組み付けるとともに前記建物の躯体に固定して前記ユニット階段3を構築するユニット階段3の施工方法であって、
前記縦フレーム150,250,260を前記建物の躯体の縦方向に合わせて配置する工程と、
前記横フレーム151,251,261を前記建物の躯体の横方向に合わせて配置する工程と、
その後、前記支持フレーム13,23を前記建物の躯体に固定する工程を有することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、縦フレーム150,250,260を建物の躯体の縦方向に合わせて配置する工程と、横フレーム151,251,261を建物の躯体の横方向に合わせて配置する工程と、その後、支持フレーム13,23を建物の躯体に固定する工程と、を有するので、縦フレーム150,250,260を建物の躯体の縦方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の垂直を取り、横フレーム151,251,261を建物の躯体の横方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の水平を取り、垂直と水平が取れた状態で支持フレーム13,23を建物の躯体に固定することができる。これにより、階段ユニット5(10,20)の位置決めを容易かつ確実に行った状態で、階段ユニット5(10,20)を建物の躯体に固定できるので、施工性の向上を図ることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、例えば図1図10に示すように、請求項7に記載のユニット階段3の施工方法において、
前記支持フレーム13,23を前記建物の躯体に固定した後、前記縦フレーム150,250,260のうち前記フレーム本体14,24との境目に形成された前記切れ込み161,271から前記境目に沿って切断し、前記縦フレーム150,250,260を前記フレーム本体14,24から切り離す工程を更に有することを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、支持フレーム13,23を建物の躯体に固定した後、縦フレーム150,250,260のうちフレーム本体14,24との境目に形成された切れ込み161,271から境目に沿って切断し、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24から切り離す工程を有するので、脚部15,25,26の縦フレーム150,250,260と横フレーム151,251,261を利用して階段ユニット5(10,20)の位置決めを行い、支持フレーム13,23が建物の躯体に固定された状態で、縦フレーム150,250,260の切り離し作業を行うことができる。これにより、縦フレーム150,250,260の切り離し作業で階段ユニット5(10,20)の位置がずれることがないので、新たに位置決め作業を行う必要がなく、施工性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができ、更には施工性や運搬の際の安定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ユニット階段の一例を示す平面図である。
図2】ユニット階段の一部を示す斜視図である。
図3】下部廻り階段ユニットを示す斜視図である。
図4】下部廻り階段ユニットの脚部を示す立面図である。
図5】上部廻り階段ユニットを示す斜視図である。
図6】上部廻り階段ユニットの脚部を示す立面図である。
図7】上下の廻り階段ユニットを組み合わせた状態を示す斜視図である。
図8】上下の廻り階段ユニットを組み合わせた状態を示す斜視図である。
図9】上下の廻り階段ユニットを組み合わせた状態を示す斜視図である。
図10】上下の廻り階段ユニットを組み合わせた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0027】
図1図2において符号1は、住宅等の建物における上下階を連通する階段室を示す。建物の躯体は耐火被覆材2によって被覆されており、階段室1を構成する建物の躯体も耐火被覆材2によって被覆されている。耐火被覆材2としては、例えば石膏ボードが用いられているが、その他の種類の耐火被覆材2であってもよい。
階段室1には、上下階を接続する階段であるユニット階段3が設置されている。本実施形態におけるユニット階段3は、種類としては廻り階段であり、階段室1として区画されたスペースに配置され、建物の躯体に固定されて設置される。
【0028】
ユニット階段3は、階段を部位ごとに分けてユニット化した各種の階段ユニットを予め工場で製造しておき、それらの階段ユニットを現場で組み付けることで構築される。
このようなユニット階段3は、下から、第一直階段ユニット4、廻り階段ユニット5、踊り場ユニット6、第二直階段ユニット7という順で各ユニット4~7が組み立てられることで形成されている。
なお、ユニット階段3は、全体的に木製であるが、部分的に金属等の他の素材が用いられてもよい。
【0029】
平面視において、最も下方に位置する第一直階段ユニット4は、階段室1の右前方に配置されており、廻り階段ユニット5は、第一直階段ユニット4の左側に配置されている。踊り場ユニット6は、廻り階段ユニット5の後側に配置されており、最も上方に位置する第二直階段ユニット7は、踊り場ユニット6の右側に配置されている。
【0030】
第一直階段ユニット4は、側板をなす左右のささら桁と、これらささら桁間に、段階的に設けられて踏み板となる段板4aと、これら段板4a間及び最下段の段板4aの下方に設けられた蹴込み板と、を備えている。
ささら桁の上端部には、図示はしないが、直上に配置される廻り階段ユニット5を支持するための載置部が形成されている。
【0031】
廻り階段ユニット5は、ユニット階段3の廻り部分を構成しており、一角を中心に扇状に広がるように段階的に設けられて踏み板となる段板11,21と、これら段板11,21の間及び最下段の段板11,21の下方に設けられた蹴込板12,22と、段板11,21及び蹴込板12,22を支持する支持フレーム13,23と、を備えている。
支持フレーム23の上端部には、直上に配置される踊り場ユニット6を支持するための載置部(後述する上端フレーム244の部分)が形成されている。
なお、廻り階段ユニット5の詳細な構成については後述する。
【0032】
踊り場ユニット6は、略正方形状に形成されて踏み板となる上方の段板6aと、段板6aの一端部下方に設けられた蹴込板6bと、廻り階段ユニット5の載置部(後述する上端フレーム244の部分)に載せられる下方の段板6cと、を備えている。
段板6aにおける第二直階段ユニット7側の辺には、図示はしないが、直上に配置される第二直階段ユニット7を支持するための載置部が設けられている。
なお、この踊り場ユニット6に代えて廻り階段ユニット5を設けてもよい。つまり、廻り階段ユニット5を上下に連続させてもよい。
【0033】
第二直階段ユニット7は、側板をなす左右のささら桁と、これらささら桁間に、段階的に設けられて踏み板となる段板7aと、これら段板7a間及び最下段の段板7aの下方に設けられた蹴込み板と、を備えている。
ささら桁の上端部には、図示はしないが、上階床の側端面に固定される固定部が形成されている。
【0034】
以上のようなユニット階段3における各階段ユニット4,5,6,7の下方には、階段下空間を形成することができる。階段下空間への入口(出入口)は、図1に示す例においては、階段室1の前側、左側、後側のいずれにも形成できる。階段室1の右側の場合は、第二直階段ユニット7の下方に形成される。
階段下空間は、建物の構造上あるいは設計上、十分な天井高を確保できて、階段下収納やトイレ、ワークスペース等として有効活用される場合もあれば、十分な天井高を確保できずに小さな階段下収納程度しか形成できない場合もある。一方、階段下空間は、必ずしも形成されなくてもよく、配管や各種設備が設けられるデッドスペースであってもよい。
【0035】
〔廻り階段ユニットについて〕
上記の廻り階段ユニット5は、図3図10に示すように、下方に位置する第一廻り階段ユニット10と、上方に位置する第二廻り階段ユニット20と、によって構成されている。これら第一廻り階段ユニット10と第二廻り階段ユニット20は、予め工場で別々に製造されて、工場又は他の場所(現場を含む)で接合され、一つの廻り階段ユニット5として一体化される。
【0036】
廻り階段ユニット5は、3段分の階段構造となっており、下方の第一廻り階段ユニット10は、下1段分の階段を構成している。上方の第二廻り階段ユニット20は、上2段分の階段を構成している。
そして、廻り階段ユニット5は、段を昇降するにつれて進行方向が90度変わるように設定されている。
【0037】
第一廻り階段ユニット10は、図3に示すように、直角三角形に近い台形状に形成された段板11と、矩形状に形成された蹴込板12と、段板11を下方から支持するとともに蹴込板12が一側面に固定され、かつ、建物の躯体に固定される支持フレーム13と、を備えている。
そして、支持フレーム13は、フレーム本体14と、脚部15(第一脚部)と、を備えている。
【0038】
フレーム本体14は、段板11の下面における縁部に沿って取り付けられ、蹴込板12が一側面に取り付けられる被取付部140が下方に伸びて形成されている。
より詳細に説明すると、フレーム本体14は、複数のフレームによって枠を組んだ状態に形成されている。複数のフレームは、製材された材木(角材や板材)によって構成されているか、ルーター等の工作機械によって加工された板材によって構成されている。
蹴込板12が取り付けられる被取付部140は、段板11の下面のうち、階段の昇降方向の下側(図1では右側:第一直階段ユニット4側)に位置する縁部に沿って複数のフレームが組み付けられることによって形成されている。被取付部140は、当該縁部の一端から他端までの範囲に設けられた状態となっている。
【0039】
なお、フレーム本体14の躯体側面には、躯体(耐火被覆材2)に隣接する板材143が取り付けられている。すなわち、被取付部140の両側面には、板材143が取り付けられている。
板材143の材質は、例えば合板とされるが、耐火性能を有するものでもよい。また、階段3に接する面と、躯体に接する面と、を有している。
さらに、板材143は、予め工場や現場等で固定されている。したがって、板材143は、躯体に対する第一廻り階段ユニット10の位置(間隔)を決定できる位置決め手段として機能する。
【0040】
板材143の躯体への固定方法は、ビス等の固定具による固定や、接着剤による接合固定が適宜採用される。したがって、板材143は、躯体に対する第一廻り階段ユニット10の位置決め手段だけでなく、固定具や接着剤と共に、躯体に対する第一廻り階段ユニット10の固定手段としても機能する。
なお、ビス等の固定具による固定は、固定対象の側面に対して垂直に打ち込まれることによって行われるが、周囲に構造に応じて斜め打ちされるものとしてもよい。
【0041】
脚部15は、フレーム本体14と一体形成されるとともに下方に伸び、下端面が、被取付部140の下端面と同一水平面上に位置するように設定されている。そのため、第一廻り階段ユニット10をフラットな床や輸送車両の荷台に置いたときにガタつきにくい。第一廻り階段ユニット10の上に、他の第一廻り階段ユニット10を積載したときもガタつきにくい。
被取付部140は、上記のように段板11の下面のうち、階段の昇降方向の下側(図1では右側)に位置する縁部に沿って形成されているが、この脚部15は、被取付部140と直交する方向に沿って配置されている。すなわち、段板11の下面のうち階段の外周側(図1では前側)に位置する縁部に沿って配置されたフレーム(後述する水平フレーム141)の下方に、当該フレーム(水平フレーム141)に沿って配置されている。
【0042】
脚部15は、図3図4に示すように、フレーム本体14を構成するフレームのうち、段板11の下面に取り付けられる水平フレーム141と、被取付部140を構成する垂直フレーム142と一体形成されている。より具体的には、脚部15と、水平フレーム141と、垂直フレーム142は、一枚の板材から切り出されて形成されている。
なお、水平フレーム141と垂直フレーム142の躯体側面には、上記の板材143が取り付けられている。
また、水平フレーム141のうち垂直フレーム142との境目には、ルーターによって余削りした切れ込み141aが形成されている。この切れ込み141aは、水平フレーム141の下縁に沿って耐火被覆材2をぴったりと配置するために形成されている。ルーターによって加工されずに、水平フレーム141と垂直フレーム142の間に直角の入隅が形成される場合は、この切れ込み141aは形成されない。
【0043】
脚部15は、フレーム本体14(水平フレーム141)から垂直下方に伸びる縦フレーム150と、縦フレーム150の下端部から縦フレーム150と直交する方向に伸びる横フレーム151と、を備えている。つまり、脚部15は、側面視においてL字状に形成されている。
L字状に形成された脚部15における横フレーム151は、縦フレーム150の下端部から被取付部140の下端部に向かって伸びているとともに、被取付部140の下端部との間に隙間152を空けて配置されている。この隙間152は、ビス等の固定具を設ける場合の作業スペースとされている。
【0044】
そして、縦フレーム150のうちフレーム本体14(水平フレーム141)との境目には、縦フレーム150をフレーム本体14から切り離す場合の目印となる第一切れ込み161が形成されている。
階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用するために、縦フレーム150をフレーム本体14から切り離す場合は、第一切れ込み161の上端部から鋸等の刃物を入れ、第一切れ込み161から真っすぐ横に切断作業を行うようにする。すなわち、図4に示すように、水平フレーム141の下面の延長線(一点鎖線)に沿って切断していくようにする。縦フレーム150は、フレーム本体14から不可逆的に切り離されることになる。
階段下空間に十分な天井高を確保できずに小さな階段下収納程度しか形成できない場合や、階段下空間をデッドスペースとする場合には、縦フレーム150をフレーム本体14から切り離さない。
【0045】
なお、上記のように、脚部15がルーター等の工作機械によって板材から切り出されたものであるため、第一切れ込み161は、その工作機械の切削部形状に応じて丸みを帯びた状態となっている。ただし、ルーターによって加工されない場合は、第一切れ込み161も、丸みを帯びた状態とならない。すなわち、第一切れ込み161は、図示例のように丸みを帯びた状態に限られるものではなく、他の形状であってもよい。例えば鋸等の刃物で形成すれば、角のある形状に切り欠かれることとなる。ただし、いずれの形状であっても、図示例の一点鎖線に沿って縦フレーム150を切断できるように形成されているものとする(本実施形態の他の切れ込みについても同様とする)。
また、縦フレーム150をフレーム本体14から切り離した後に、フレーム本体14側の切り口をサンダー等によって研磨し、表面に凹凸が生じないよう整えてもよい。
【0046】
また、本実施形態における脚部15の第一切れ込み161は、縦フレーム150のうちフレーム本体14との境目に複数形成されている。
一方の第一切れ込み161は、縦フレーム150のうち被取付部140側面に形成されており、他方の第一切れ込み161は、縦フレーム150のうち被取付部140側の反対側面に形成されている。
一方の第一切れ込み161から切断作業を行う場合は、例えば水平フレーム141の下面に沿って刃物を入れていくことで、縦フレーム150を真っすぐ横に切断できる。
他方の第一切れ込み161から切断作業を行う場合は、例えば水平フレーム141の躯体側面に取り付けられた板材143の下面に沿って刃物を入れていくようにする。又は、後述する第二廻り階段ユニット20の第一脚部25と一体の垂直フレーム242の下面に沿って刃物を入れていくようにする(図8図10参照)。
【0047】
本実施形態においては、横フレーム151のうち縦フレーム150との境目に、横フレーム151を縦フレーム150から切り離す場合の目印となる第二切れ込み162が形成されている。
この第二切れ込み162の部分は、第一切れ込み161から縦フレーム150を切り離す場合には切断されないが、横フレーム151を縦フレーム150から切り離す場合に切断される。この場合は、階段下空間に貼られる耐火被覆材2に、残された縦フレーム150を避けるような切欠加工をすれば、耐火被覆材2をより上方まで貼ることができるので、階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用できる。
【0048】
なお、本実施形態の第一廻り階段ユニット10における支持フレーム13(フレーム本体14)を構成する複数のフレームは、水平に配置されるフレーム(水平フレーム141と称呼してもよい)と、垂直に配置されるフレーム(垂直フレーム142と称呼してもよい)とで構成されるものとする。
【0049】
第二廻り階段ユニット20は、図5に示すように、直角三角形に近い台形状に形成された上段の段板21と、ひし形に近い形状に形成された下段の段板21と、矩形状に形成された上下の蹴込板22と、上下の段板21,21を下方から支持するとともに上下の蹴込板22が一側面に固定され、かつ、建物の躯体に固定される支持フレーム23と、を備えている。
そして、支持フレーム23は、フレーム本体24と、脚部25,26(第一脚部25及び第二脚部26)と、を備えている。
【0050】
フレーム本体24は、上下の段板21それぞれの下面における縁部に沿って取り付けられ、上下の蹴込板22それぞれが一側面に取り付けられる上下の被取付部240が下方に伸びて形成されている。
より詳細に説明すると、フレーム本体24は、複数のフレームによって2段の階段状に枠を組んだ状態に形成されている。複数のフレームは、製材された材木(角材や板材)によって構成されているか、ルーター等の工作機械によって加工された板材によって構成されている。
蹴込板22が取り付けられる被取付部240は、段板21の下面のうち、階段の昇降方向の下側(第一廻り階段ユニット10側)に位置する縁部に沿って複数のフレームが組み付けられることによって形成されている。被取付部240は、当該縁部の一端から他端までの範囲よりも幅狭な範囲に設けられた状態となっている。
【0051】
フレーム本体24は、段板11の下面のうち、階段の内周側(図1では階段室1の中心側)に位置する縁部に沿って配置されたクランク状フレーム243を有する。
クランク状フレーム243は、第二廻り階段ユニット20の内周側の形状に合致するジグザグのクランク状に形成されており、上下の被取付部240それぞれの延長線上に配置されている。そして、当該クランク状フレーム243にも上下の段板21及び上下の蹴込板22が取り付けられている。
クランク状フレーム243は、上下の被取付部240と同等の機能を発揮する(上下の被取付部240の一部としてもよい)。
【0052】
なお、フレーム本体24の躯体側面には、躯体(耐火被覆材2)に隣接する板材245が取り付けられている。
板材245の材質は、例えば合板とされるが、耐火性能を有するものでもよい。また、階段3に接する面と、躯体に接する面と、を有している。
さらに、板材245は、予め工場や現場等で固定されている。したがって、板材245は、躯体に対する第二廻り階段ユニット20の位置(間隔)を決定できる位置決め手段として機能する。
【0053】
板材245の躯体への固定方法は、ビス等の固定具による固定や、接着剤による接合固定が適宜採用される。したがって、板材245は、躯体に対する第二廻り階段ユニット20の位置決め手段だけでなく、固定具や接着剤と共に、躯体に対する第二廻り階段ユニット20の固定手段としても機能する。
なお、ビス等の固定具による固定は、固定対象の側面に対して垂直に打ち込まれることによって行われるが、周囲に構造に応じて斜め打ちされるものとしてもよい。
【0054】
脚部25,26は、下段の被取付部240と交差する方向に沿って配置される第一脚部25と、第一脚部25と交差する方向に沿って配置される第二脚部26と、を有する。
これら第一脚部25及び第二脚部26は、フレーム本体24と一体形成されるとともに下方に伸び、下端面が、下段の被取付部240の下端面と同一水平面上に位置するように設定されている。そのため、第二廻り階段ユニット20をフラットな床や輸送車両の荷台に置いたときにガタつきにくい。第二廻り階段ユニット20の上に、他の第二廻り階段ユニット20や第一廻り階段ユニット10を積載したときもガタつきにくい。
【0055】
下段の被取付部240は、段板21の下面のうち、階段の昇降方向の下側(第一廻り階段ユニット10側)に位置する縁部に沿って形成されているが、第一脚部25は、このような下段の被取付部240と交差する方向に沿って配置されている。すなわち、下段の段板21の下面のうち階段の外周側(図1では前側)に位置する縁部に沿って配置されたフレーム(後述する水平フレーム241)の下方に、当該フレーム(水平フレーム241)に沿って配置されている。
また、第二脚部26は、第一脚部25と直交する方向に沿って配置されている。すなわち、上下の段板21の下面のうち階段の外周側(図1では左側)に位置する縁部に沿って配置されたフレーム(後述する水平フレーム241)の下方に、当該フレーム(水平フレーム241)に沿って配置されている。
【0056】
第一脚部25は、図5図6(a)に示すように、フレーム本体24を構成するフレームのうち、下段の段板21の下面に取り付けられる水平フレーム241と、下段の被取付部240の延長線上に配置されて、下段の蹴込板22が取り付けられる垂直フレーム242と一体形成されている。より具体的には、第一脚部25と、水平フレーム241と、垂直フレーム242は、一枚の板材から切り出されて形成されている。
なお、垂直フレーム242は、下段の被取付部240と同等の機能を発揮するため、被取付部240の一部としてもよい。
また、水平フレーム241と垂直フレーム242の上端部の躯体側面には、上記の板材245が取り付けられている。
さらに、水平フレーム241のうち垂直フレーム242との境目には、上記の切れ込み141aと同様の機能の切れ込み241aが形成されている。
【0057】
第一脚部25は、上記の第一廻り階段ユニット10における脚部15と同様に、縦フレーム250と、横フレーム251と、を備えている。
L字状に形成された第一脚部25における横フレーム251は、縦フレーム250の下端部から垂直フレーム242の下端部に向かって伸びているとともに、垂直フレーム242の下端部との間に隙間252を空けて配置されている。この隙間252は、ビス等の固定具を設ける場合の作業スペースとされている。
【0058】
そして、縦フレーム250のうちフレーム本体24(水平フレーム241)との境目には、縦フレーム250をフレーム本体24から切り離す場合の目印となる第一切れ込み271が形成されている。
階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用するために、縦フレーム250をフレーム本体24から切り離す場合は、第一切れ込み271の上端部から鋸等の刃物を入れ、第一切れ込み271から真っすぐ横に切断作業を行うようにする。すなわち、図6に示すように、水平フレーム241の下面の延長線(一点鎖線)に沿って切断していくようにする。
階段下空間に十分な天井高を確保できずに小さな階段下収納程度しか形成できない場合や、階段下空間をデッドスペースとする場合には、縦フレーム250をフレーム本体24から切り離さない。
【0059】
なお、本実施形態においては、横フレーム251のうち縦フレーム250との境目に、横フレーム251を縦フレーム250から切り離す場合の目印となる第二切れ込み272が形成されている。この第二切れ込み272は、上記の第一廻り階段ユニット10における脚部15の第二切れ込み162と同様の機能を発揮する。
【0060】
第二脚部26は、図5図6(b)に示すように、フレーム本体24を構成するフレームのうち、上下の段板21の下面に取り付けられる水平フレーム241と、上段の被取付部240の延長線上に配置されて、上段の蹴込板22が取り付けられる垂直フレーム242と一体形成されている。より具体的には、第二脚部26と、2つの水平フレーム241と、垂直フレーム242は、一枚の板材から切り出されて形成されている。
なお、垂直フレーム242は、上段の被取付部240と同等の機能を発揮するため、被取付部240の一部としてもよい。
また、2つの水平フレーム241と垂直フレーム242の上端部の躯体側面には、上記の板材245が取り付けられている。
さらに、水平フレーム241のうち垂直フレーム242との境目には、上記の切れ込み141aと同様の機能の切れ込み241aが形成されている。
【0061】
第二脚部26は、互いに間隔を空けて配置された一対の縦フレーム260と、一対の縦フレーム260の下端部間に架け渡されて配置された横フレーム261と、を備えている。第二脚部26における一対の縦フレーム260のうち、第一脚部25側の縦フレーム260は、第一脚部25の縦フレーム250に対して接着剤等により接合されている。
そして、縦フレーム260のうちフレーム本体24(水平フレーム241)との境目には、縦フレーム260をフレーム本体24から切り離す場合の目印となる第一切れ込み271が形成されている。
階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用するために、縦フレーム260をフレーム本体24から切り離す場合は、第一切れ込み271の上端部から鋸等の刃物を入れ、第一切れ込み271から真っすぐ横に切断作業を行うようにする。すなわち、図6に示すように、水平フレーム241の下面の延長線(一点鎖線)に沿って切断していくようにする。
階段下空間に十分な天井高を確保できずに小さな階段下収納程度しか形成できない場合や、階段下空間をデッドスペースとする場合には、縦フレーム260をフレーム本体24から切り離さない。
【0062】
第一脚部25の縦フレーム250に形成された第一切れ込み271と、第二脚部26における一対の縦フレーム260のうち、第一脚部25側の縦フレーム150に隣接する縦フレーム260に形成された第一切れ込み271は同一の高さ位置に設定されている。
すなわち、階段室1の入隅部に配置される第一脚部25と第二脚部26の接合部分(廻り階段ユニット5の角部)には、2方向に第一切れ込み271が入っている状態となっているので、切断作業がしやすくなっている。
【0063】
なお、本実施形態においては、横フレーム261のうち一対の縦フレーム260との境目に、横フレーム261を一対の縦フレーム260から切り離す場合の目印となる第二切れ込み272が形成されている。この第二切れ込み272は、上記の第一廻り階段ユニット10における脚部15の第二切れ込み162と同様の機能を発揮する。
【0064】
第二脚部26の上端部(水平フレーム141の踊り場ユニット6側端部)とクランク状フレーム243の上端部との間には、上端フレーム244が架け渡されて取り付けられている。上端フレーム244及び当該上端フレーム244が架け渡された部分は、上段の段板21よりも踊り場ユニット6側にはみ出しており、直上に配置される踊り場ユニット6を支持するための上記の載置部とされている。
【0065】
なお、本実施形態の第二廻り階段ユニット20における支持フレーム23(フレーム本体24)を構成する複数のフレームは、水平に配置されるフレーム(水平フレーム241と称呼してもよい)と、垂直に配置されるフレーム(垂直フレーム242と称呼してもよい)とで構成されるものとする。
【0066】
図7図10は、第一廻り階段ユニット10と第二廻り階段ユニット20が、工場又は他の場所(現場を含む)で組み合わされて接合され、一つの廻り階段ユニット5として一体化された状態を、複数の方向から見た場合の斜視図である。
第一廻り階段ユニット10と第二廻り階段ユニット20は、互いに接する部分が、接着剤やビス等の固定具によって接合されているものとする。ただし、これに限られるものではなく、第一廻り階段ユニット10と第二廻り階段ユニット20は、互いに密着してはいるものの、双方が建物の躯体に固定されているだけの状態であってもよい。
【0067】
第一廻り階段ユニット10は、図3(b)に示すように、脚部15と一体の水平フレーム141における第二廻り階段ユニット20側端部と、被取付部140を構成する垂直フレーム142の上端部とが、段板11の斜辺よりも、第二廻り階段ユニット20側に突出している。
第二廻り階段ユニット20における下段の蹴込板22は、段板11の斜辺よりも突出した上記の水平フレーム141と垂直フレーム142の上面に載せられ、かつ、段板11の斜辺に接した状態となっている。
なお、脚部15と一体の水平フレーム141における第二廻り階段ユニット20側端部と、被取付部140を構成する垂直フレーム142の上端部は、第二廻り階段ユニット20における下段の被取付部240の側方に位置する垂直フレーム142及びクランク状フレーム243の下端部側面に接する。
【0068】
第一廻り階段ユニット10における脚部15の縦フレーム150に形成された第一切れ込み161の上端と、第二廻り階段ユニット20の第一脚部25と一体の垂直フレーム142における下面は、同一の高さ位置に設定されている。
すなわち、第一廻り階段ユニット10における脚部15の縦フレーム150を切り離した場合は、脚部15と一体だった水平フレーム141の下面と、第二廻り階段ユニット20の第一脚部25と一体の垂直フレーム142における下面が面一の状態となる。また同時に、脚部15と一体だった水平フレーム141の躯体側面に取り付けられた板材143の下面も面一の状態となる。
【0069】
〔ユニット階段の施工方法について〕
以上のような各階段ユニット4,5,6,7は、下方から上方に向かって組み上げていくようにして構築する。
建物の躯体の床上に第一直階段ユニット4を設置した後に、廻り階段ユニット5(第一廻り階段ユニット10、第二廻り階段ユニット20)の施工が行われる。
【0070】
廻り階段ユニット5は、上記のように、第一直階段ユニット4の上端部に形成された載置部に載せられて支持される。第一直階段ユニット4の載置部に載せられたときに、廻り階段ユニット5は、垂直と水平が取れていれば問題ないが、必ずしもそうでない場合がある。そのような場合には、脚部15,25,26の縦フレーム150,250,260を躯体の縦方向(鉛直方向)に合わせて配置する工程と、横フレーム151,251,261を躯体の横方向(水平方向)に合わせて配置する工程と、を行う。これにより、廻り階段ユニット5の位置決めを行うことができる。
なお、躯体の縦方向及び横方向は、耐火被覆材2の表面に目印(墨出し)を付けておいたり、レーザーによる目印によって出しておいたりする。
【0071】
廻り階段ユニット5の位置決めが行われた後は、廻り階段ユニット5の支持フレーム13,23(フレーム本体14,24)を、建物の躯体に固定する。なお、廻り階段ユニット5の姿勢を安定的に保持するために、図示しない支持部材を下方に配置してもよい。
支持フレーム13,23の躯体側面には、上記のように板材143,245が取り付けられているので、板材143,245を耐火被覆材2に接触させたら、内側から躯体側に向かってビス等の固定具を打ち込むようにする。
また、廻り階段ユニット5と第一直階段ユニット4も接着剤やビス等の固定具によって接合する。
【0072】
支持フレーム13,23(フレーム本体14,24)を建物の躯体に固定した後は、必要に応じて、縦フレーム150,250,260のうちフレーム本体14,24(水平フレーム141,241)との境目に形成された切れ込み161,271から境目に沿って切断し、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24(水平フレーム141,241)から切り離すようにする。
階段下に十分な天井高を確保できて、階段下収納等として有効活用される場合には、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24(水平フレーム141,241)から切り離す。縦フレーム150,250,260の切断作業は、廻り階段ユニット5の下方で行われる。
建物の構造上あるいは設計上、階段下に十分な天井高を確保できない場合には、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24(水平フレーム141,241)から切り離さない。
【0073】
廻り階段ユニット5が設置された後は、廻り階段ユニット5の載置部(上端フレーム244が架け渡された部分)に対して踊り場ユニット6を載置する。このときにおいても、踊り場ユニット6の姿勢を安定的に保持するために、図示しない支持部材を下方に配置してもよい。
【0074】
その後、踊り場ユニット6の載置部に第二直階段ユニット7を載置し、上階床の側端面との間に、第二直階段ユニット7を架け渡すようにする。
なお、廻り階段ユニット5は、上記のように内側から躯体側に向かってビス等の固定具を打ち込んで躯体に固定するとしたが、他の階段ユニット4,6,7においても同様に躯体に固定する。さらに、上下に隣接し合う階段ユニット4,5,6,7同士も接着剤やビス等の固定具によって接合する。
【0075】
階段下空間を有効活用する場合には、階段下空間に天井を設けたり、化粧面材を貼り付けたりして用途に合わせた仕様にする。縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24(水平フレーム141,241)から切り離していれば、天井高の高い階段下空間を形成することができる。
【0076】
以上のようにして、ユニット階段3の施工が行われる。
なお、ユニット階段3と躯体(耐火被覆材2)との間に隙間が形成されてしまっても、その隙間は、造作工事の際に取り付けられるユニット階段3の化粧部材(化粧段板、化粧蹴込板)によって適宜閉塞される。また、階段巾木によって閉塞することもできる。
また、本実施形態においては、耐火被覆材2(石膏ボード)は、ユニット階段3よりも先に取り付けられているものとしたが、これに限られるものではなく、ユニット階段3と躯体との間に形成される隙間に対し、後から入れられるものとしてもよい。
さらに、本実施形態においては、第一廻り階段ユニット10と第二廻り階段ユニット20が接合されて一体化された廻り階段ユニット5単位でユニット階段3の施工を行うものとしたが、第一廻り階段ユニット10と第二廻り階段ユニット20を別々に設置してユニット階段3の施工を行ってもよい。
【0077】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、脚部15,25,26における縦フレーム150,250,260のうちフレーム本体14,24との境目(一点鎖線の部分)には、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24から切り離す場合の目印となる切れ込み161,271が形成されているので、脚部15,25,26をフレーム本体14,24から切り離す際に、切れ込み161,271から刃物等の切断手段を入れて境目に沿って切断することができる。この場合は、脚部15,25,26をフレーム本体14,24から切り離した分、耐火被覆材2をより上方まで貼ることができるので、階段下空間において、より高い位置まで天井高を高くすることができる。
また、脚部15,25,26は、フレーム本体14,24と一体形成されているので、フレーム本体14,24との境目に切れ込みが形成されていても、フレーム本体14,24から切り離さなくてもよい。この場合は、脚部15,25,26の位置よりも上方に耐火被覆材2を張りにくくなるので、階段下空間は、脚部15,25,26を切り離した場合よりも低い天井高となる。
すなわち、階段3の同じ部位を形成するにもかかわらず、構造が異なる複数の階段ユニットを用意する必要がなく、階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合にも、十分な天井高を確保できない場合にも対応できるので、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
さらに、脚部15,25,26は、フレーム本体14,24から垂直下方に伸びる縦フレーム150,250,260と、縦フレーム150,250,260の下端部から縦フレーム150,250,260と直交する方向に伸びる横フレーム151,251,261と、を備えているので、縦フレーム150,250,260を建物の躯体の縦方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の垂直を取り、横フレーム151,251,261を建物の躯体の横方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の水平を取ることができる。これにより、階段ユニット5(10,20)の位置決めが容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
しかも、脚部15,25,26の下端面は、フレーム本体14,24における被取付部140,240の下端面と同一水平面上に位置するように設定されているので、床や輸送車両の荷台に安定的に置いたり、階段ユニット5(10,20)同士を安定的に積載したりすることができ、階段ユニット5(10,20)の運搬に係る安定性の向上を図ることができる。
【0078】
また、被取付部140,240と交差する方向に沿って配置される第一脚部15,25における横フレーム151,251は、縦フレーム150,250の下端部から被取付部140,240の下端部に向かって伸びているので、被取付部140,240の下端部に向かって伸びている分で接地面の広さを確保でき、階段ユニット5(10,20)の運搬に係る安定性の向上を図ることができる。
さらに、この第一脚部15,25における横フレーム151,251は、被取付部140,240の下端部との間に隙間152,252を空けて配置されているので、隙間152,252を、階段ユニット5(10,20)と、当該階段ユニット5(10,20)に隣接する他の階段ユニット4,6,7をビス等の固定具を設けて接合する場合に、当該固定具を設ける場合の作業スペースとして確保することができる。これにより、階段ユニット5(10,20)の設置作業が容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
【0079】
また、第一脚部25と交差する方向に沿って配置される第二脚部26は、互いに間隔を空けて配置された一対の縦フレーム260と、一対の縦フレーム260の下端部間に架け渡されて配置された横フレーム261と、を備えるので、被取付部240と共に脚として機能し、階段ユニット5(10,20)を安定的に床置きしたり、積載したりすることができ、階段ユニット5(10,20)の運搬に係る安定性の向上を図ることができる。
さらに、切れ込み271は、一対の縦フレーム260のうちフレーム本体24との境目に形成されているので、第二脚部26をフレーム本体24から切り離す際に、切れ込み271から刃物等の切断手段を入れて境目に沿って切断することができる。また、第二脚部26は、フレーム本体24と一体形成されているので、フレーム本体24との境目に切れ込みが形成されていても、フレーム本体24から切り離さなくてもよい。これにより、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0080】
また、切れ込み161は、縦フレーム150のうちフレーム本体14との境目に複数形成されているので、建物の躯体との位置関係や、他の階段ユニット4,6,7との位置関係、作業員の利き手等を考慮し、複数の方向から脚部15を切断できることとなる。これにより、脚部15の切り離し作業が容易となるので、施工性の向上を図ることができる。
【0081】
また、横フレーム151,251,261のうち縦フレーム150,250,260との境目に、横フレーム151,251,261を縦フレーム150,250,260から切り離す場合の目印となる切れ込み162,272が形成されているので、縦フレーム150,250,260を残して横フレーム151,251,261を切り離す際に、切れ込み162,272から刃物等の切断手段を入れて境目に沿って切断することができる。この場合は、耐火被覆材2に対して、残された縦フレーム150,250,260を避けるような切欠加工をすれば、耐火被覆材2をより上方まで貼ることができるので、階段下空間において、より高い位置まで天井高を高くすることができる。
また、横フレーム151,251,261は、縦フレーム150,250,260と一体形成されているので、縦フレームとの境目に切れ込みが形成されていても、縦フレーム150,250,260から切り離さなくてもよい。この場合は、横フレーム151,251,261の位置よりも上方に耐火被覆材2を張りにくくなるので、階段下空間は、横フレーム151,251,261を切り離した場合よりも低い天井高となる。
すなわち、階段3の同じ部位を形成するにもかかわらず、構造が異なる複数の階段ユニットを用意する必要がなく、階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合にも、十分な天井高を確保できない場合にも対応できるので、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0082】
また、ユニット階段3は廻り階段であり、階段ユニット5は、ユニット階段の廻り部分を構成しているので、一種類の廻り階段ユニット5を用意しておけば、廻り階段ユニット5の下方に形成される階段下空間に十分な天井高を確保できて階段下収納等として有効活用する場合にも、十分な天井高を確保できない場合にも対応できる。したがって、建物の設計自由度への影響を抑えつつ、製造コストの増加を防ぐことができる。
【0083】
また、縦フレーム150,250,260を建物の躯体の縦方向に合わせて配置する工程と、横フレーム151,251,261を建物の躯体の横方向に合わせて配置する工程と、その後、支持フレーム13,23を建物の躯体に固定する工程と、を有するので、縦フレーム150,250,260を建物の躯体の縦方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の垂直を取り、横フレーム151,251,261を建物の躯体の横方向に合わせて配置することで階段ユニット5(10,20)の水平を取り、垂直と水平が取れた状態で支持フレーム13,23を建物の躯体に固定することができる。これにより、階段ユニット5(10,20)の位置決めを容易かつ確実に行った状態で、階段ユニット5(10,20)を建物の躯体に固定できるので、施工性の向上を図ることができる。
【0084】
また、支持フレーム13,23を建物の躯体に固定した後、縦フレーム150,250,260のうちフレーム本体14,24との境目に形成された切れ込み161,271から境目に沿って切断し、縦フレーム150,250,260をフレーム本体14,24から切り離す工程を有するので、脚部15,25,26の縦フレーム150,250,260と横フレーム151,251,261を利用して階段ユニット5(10,20)の位置決めを行い、支持フレーム13,23が建物の躯体に固定された状態で、縦フレーム150,250,260の切り離し作業を行うことができる。これにより、縦フレーム150,250,260の切り離し作業で階段ユニット5(10,20)の位置がずれることがないので、新たに位置決め作業を行う必要がなく、施工性の向上を図ることができる。
【0085】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
すなわち、上記の実施形態においては、廻り階段ユニット5(第一廻り階段ユニット10、第二廻り階段ユニット20)を対象としたが、他の階段ユニット(第一直階段ユニット4、踊り場ユニット6、第二直階段ユニット7)を対象としてもよい。すなわち、他の階段ユニット4,6,7の支持フレームが、フレーム本体と脚部とを有しており、その脚部が、縦フレームと横フレームとを備え、縦フレームのうちフレーム本体との境目に、縦フレームをフレーム本体から切り離す場合の目印となる切れ込みが形成されている状態となっていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 階段室
2 耐火被覆材
3 ユニット階段
5 廻り階段ユニット
10 第一廻り階段ユニット
11 段板
12 蹴込板
13 支持フレーム
14 フレーム本体
140 被取付部
141 水平フレーム
142 垂直フレーム
143 板材
15 脚部(第一脚部)
150 縦フレーム
151 横フレーム
152 隙間
161 第一切れ込み
162 第二切れ込み
20 第二廻り階段ユニット
21 段板
22 蹴込板
23 支持フレーム
24 フレーム本体
240 被取付部
241 水平フレーム
242 垂直フレーム
245 板材
25 脚部(第一脚部)
250 縦フレーム
251 横フレーム
252 隙間
26 脚部(第二脚部)
260 縦フレーム
261 横フレーム
271 第一切れ込み
272 第二切れ込み
図1
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