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特許7494166液体中で、不可視の駆動手段で駆動する装飾要素を含む携帯可能装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】液体中で、不可視の駆動手段で駆動する装飾要素を含む携帯可能装置
(51)【国際特許分類】
   G04B 45/00 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
G04B45/00 T
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021518434
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2019058381
(87)【国際公開番号】W WO2020070663
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】62/740,251
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/835,038
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514022235
【氏名又は名称】プレシフレックス エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】レギネッリ, サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】バーク, トラルフ
(72)【発明者】
【氏名】グーベルマン, ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ローネル, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ジャカール, アラン
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04469447(US,A)
【文献】特表2010-506143(JP,A)
【文献】特開2009-85758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納された液体(106、206、306、506、606、830)中に少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)が配置された携帯/着用可能装置であって、前記装飾要素は、機械的かつ移動可能に変位機構(110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822)に取り付けられ、前記変位機構の少なくとも一部が観察者にほぼ不可視であるように、前記液体が前記変位機構の少なくとも一部とほぼ同じ屈折率を共有し、
熱補償システムをさらに含み、前記装置が前記液体の熱膨張および/または収縮に適応する機構を含み、温度上昇の場合は液体の前記装置外への漏出を生じうる許容不能な高圧の発生を、また低温の場合は前記液体内での魅力的でない気泡の発生を回避する携帯/着用可能装置。
【請求項2】
前記変位機構は柔軟部材(116、316、516)で構成されている請求項1に記載の携帯/着用可能装置。
【請求項3】
前記変位機構がトランスミッション(114、124、326、514)で作動する剛性要素(102、104、302、304、502)の多関節チェーン(116、316、516)からなるシステムであって、観察者に実質的に不可視であるように、前記剛性要素の少なくとも1つが周囲の前記液体(106、206、306、506)の前記屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記変位機構がトランスミッション(614)で作動する剛性領域および可撓性領域からなるシステムであって、観察者に実質的に不可視であるように、半可撓性要素の少なくとも一部が周囲の前記液体(606)の前記屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記変位機構がトランスミッション(820、822)で作動する要素(806)からなるシステムであって、観察者に実質的に不可視であるように、前記要素が周囲の前記液体の前記屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記変位機構の可視部分が予め定められた経路に従い、変化するイメージの生成に関与する、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記変位機構(110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822)に連結されたトランスミッション(114、124、326、514、614、820、822)が使用者により作動される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記変位機構(110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822)に連結されたトランスミッション(114、124、326、514、614、820、822)が自動作動機構(134)により作動される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の動きがアニメーションを生成する、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の動きが値を表示する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記自動作動機構(134)が腕時計である、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の動きが時間を表示する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
隣接するしるし(226)に沿う前記少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の動きが時間を表示する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
トランスミッション(114、124、326、514、614、820、822)が重力に対する前記装置の向きの変化に反応する質量により作動される、請求項3~6および9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の動きがアニメーションを生成する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
装飾要素(104、224、304、344、802)に動きを付すために請求項1~15のいずれか1項に記載の装置を用いる方法であり、少なくとも
a.前記装置を使用者の衣服または使用者の身体の四肢付近に取り付けるステップ、
b.前記装置が取り付けられた前記身体の部分を動かすステップ、および
c.アニメーション効果を観察するステップ
を含む方法。
【請求項17】
前記変位機構は、液密伝達を介して収容された液体の外側に配置された作動機構(134)によって作動されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、2018年10月2日に出願された米国仮出願第62/740,251号、及び2019年4月17日に出願された米国仮出願第62/835,038号の便益を主張し、参照として組み込まれると共にそれに依拠し、保護を求めるものとされる特徴を定義するためにその内容はその全てが発明の根底にある技術的課題の解決に寄与するものと理解され、本文書で言及される特徴には特に重要なものもあるとされる。
【著作権および法的告知】
【0002】
本特許文書に開示されるものの一部には著作権保護の対象となる資料が含まれている。出願人は、特許商標庁の特許記録として特許開示されている特許文書に関してはいずれの者によるファクシミリ複製に異論はないが、そうでない場合はいかなる場合もすべての著作権を留保する。また、本願に記載される第三者の特許又は記事は、先行技術を理由として本発明がその資料を先行する権利がないことを承認するものとして考慮すべきでない。
【背景技術】
【0003】
本発明は装飾物に関する。
【0004】
ほとんどの装飾物は半永久的な形状および装飾を有する。
【0005】
装飾物の外観を変化できるようにして、それらをより生き生きさせる新しい方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
装飾物、個人の装身具、宝飾品、腕時計、および/または時計などのために、一目見て生き生きとした外観を創出する手段を提供するシステムおよび方法/装置を提供する。システムは、少なくとも1つの不可視の作動機構により少なくとも1つの液体中で動きを付された(animated)少なくとも1つの装飾要素を含む装飾物である。少なくとも1つの液体は、アニメーション機構の少なくとも一部とほぼ同じ屈折率を共有する。
【0007】
本発明の目的は、装飾物に動きを付すことにある。
【0008】
本発明の別の目的は、時間関連の表示などの表示を装飾物に提供することにある。
【0009】
本発明のまた別の目的は、不可視のアニメーション機構を装飾物に提供し、それにより魅力的な効果を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面は、本発明の対象の異なる実施形態を例示するものである。
図1】本発明に係るアニメーション機構である。
図2】本発明に係る表示器を示している。
図3A-3D】本発明に係るアニメーションの進行を示している。
図4】本発明に係るアニメーション機構を示している。
図5】本発明のチェーンおよびアニメーション機構の断面図である。
図6】本発明の別のチェーンおよびアニメーション機構の図である。
図7A】本発明のもう1つのアニメーション機構の平面図である。
図7B】本発明のまた別のアニメーション機構の平面図である。
【0011】
図面に示される要素は単純化及び明確性のために開示され、必ずしも正寸で描かれていないことは当業者には明らかである。例えば本発明の様々な実施形態の理解をより深めるために、図面のいくつかの要素の寸法はその他の要素に対して強調して描かれていることもある。さらに、本件で用いられる「第1」、「第2」やその類の用語はとりわけ類似する要素を区別するために使用され、必ずしも順次的または時系的な順番を示すものではない。また、明細書及び/又は請求項における「正面」、「背面」、「平面」、「底面」やその類の用語は便宜的な目的で使用され、必ずしも限定的な相対位置を総合的に表わすものではない。このような用語は例えば本願で開示される様々な実施形態が明確に図示又は説明される以外の配向でも操作可能であるような適切な状況下では置き換えられてもよいことを当業者は理解されたい。
【好適な実施形態の詳細な説明】
【0012】
以下の説明は本質的に例示的であり、本願が出願された時点で発明者が知り得た本発明の最良の態様を説明するもので、本発明の範囲をいかなる意味でも制限するものではない。その結果として、本願で開示される例示的な実施形態における全ての要素の配置及び/又は機能は、本願発明の精神および範疇から逸脱することなく変更を加えることが可能である。
【0013】
本発明に係るシステム100、200、300、500、600、800は少なくとも1つの液体106、206、306、506、606、830中で変位機構110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822により移動するように作動される少なくとも1つの装飾要素104、224、304、344、802を含む。液体106、206、306、506、606、830は変位機構または変位機構の一部とほぼ同じ屈折率を共有する。
【0014】
次に図1を参照すると、システム100の少なくとも一部は流体106に浸漬しており、当該流体は、観察者に不可視に補正されるか、または本質的に不可視であるように意図された変位機構の選択部分102、110、112、114、116の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する液体である。変位機構は、観察者に本質的に不可視であるように、周囲液体106の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなるリンク102のチェーン116からなってもよい。グリセリンや鉱油など通常の流体の場合、観察者に不可視に補正されるか、または本質的に不可視であるように意図された部分102、110、112、114、116に適切な材料は、例えば、ホウケイ酸、結晶性ガラス、溶融シリカ、クラウンガラス、フリントガラス、クオーツ、透明セラミック(特にZerodur(登録商標)やスピネル)、サファイア、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリウレタンである。チェーン116は周囲液体106の屈折率と著しく異なる屈折率の材料からなる可視リンク104を含んでもよく、当該可視リンクは貴金属またはその他の任意の適切な金属からなってもよい。また、装飾要素344、802は不可視リンク102または可視リンク104に取り付けてもよい。不可視リンク102および可視リンク104のチェーン116は少なくとも1つの歯車114により動かされ、プーリ110と、任意でガイド112とが定義するサーキットを介して駆動される。プーリ110、ガイド112、および/または歯車114は、使用者/着用者に少なくともほぼ不可視であるように、周囲液体106の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなってもよい。作動機構(概略的な形態において134として開示される)は、液体または液密伝達(概略的な形態において124として開示される)を介して該少なくとも1つの歯車114を作動する。当該液体または液密伝達124は、磁気伝達、ゴムシールを有する直接伝達、ベローズ内に密封された実質的線形伝達、流体伝達、または当産業で周知の任意の適切な伝達でもよい。作動機構134は、使用者からの直接作用、(力学的、電気的、化学的、流体的に、など)エネルギーを貯蔵しランダムに動きを伝えて驚くべき効果を創出するようにする機構、使用者による作動時、または規則的なアニメーションを提供し、任意で正時の極点など時間の特定の位置で作動する時間管理機構でもよい。この場合、時間関連情報を表示してもよい。システムが着用可能な品で実装される場合、アニメーションのためのエネルギー源は、着用者の動きと、振り子、または作動機構134を巻回する揺動質量に対する重力の効果とを組み合わせて提供してもよい。
【0015】
次に図2を参照すると、チェーン116、316、516、616、806のためにプーリ110、510、610およびガイド112により定義された経路222は、自動車レースサーキット(例えば、ル・マンのブガッティ・サーキット)のようによく知られた形状222を有してもよく、チェーンは1つ以上の装飾要素224(例えば、ミニチュア・レースカー)を運搬し、しるし226に沿ってこれを駆動して時間の経過を表現するようにしてもよい。プーリ110、510、610、ガイド112、チェーンリンク102、502、602、および歯車114、514、614は、使用者/着用者に不可視であるように、周囲液体206の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなってもよい。
【0016】
次に図3Aから3Cおよび図4を参照すると、システム300は、不可視リンク302および可視リンク304のチェーン316を、ディスプレイ340に固定された装飾要素342と組み合わせて用いて、「LOVE」という言葉の表現350を可能にする。この例では、可視リンク304は連なるチェーン316を形成し、高さの違いによりチェーン316が通過でき、閉じた形状352を形成できるようになる。1つ以上のリンク302、304に石などの装飾要素344を取り付けてもよい。使用者/着用者の視野外になるようにチェーン316の復路をカバー346下に配置してもよく、アニメーションが動き続けると「LOVE」という言葉が徐々に消えるようにする。同様に、「NIGHT」や「DAY」などの言葉、またはその他の任意の言葉や形状を適切なタイミングで表示することで、時間の表示と組み合わせた面白いアニメーションが提供される。
【0017】
次に図5を参照すると、チェーンリンク502は、歯車514で動かされプーリ510またはその他の形状のガイドでガイドされるように、ニーキャップ関節532で互いに取り付けられ、適切なラック形状534を含む。各チェーンリンク502は1つ以上の装飾要素344、802を運搬してもよい。チェーンリンク502のジオメトリは、該1つ以上の歯車514に押圧される場合にチェーン516の湾曲または座屈を制限するように適切に設計されてもよく、アニメーションの双方向作動を可能にする。ニーキャップ関節532、ラック形状534、および歯車514は、滑合特性のためにテフロン(登録商標)コーティングなどを施してもよい。プーリ510、ガイド、チェーンリンク502、および歯車514は、使用者/着用者に不可視であるように、周囲液体506の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなってもよい。
【0018】
次に図6を参照すると、チェーン616はガラスなどのバルク材料から切り出され、チェーンリンクはより薄い可撓性領域632から切離された剛性領域602からなってもよく、チェーン616がアニメーション経路222に従うのに十分な可撓性を有するようにする。可視装飾要素344、802は剛性領域602のどこに取り付けてもよい。チェーンが1つ以上のプーリ610と少なくとも1つの歯車614との間を通過する間、チェーン616を、チェーン616内で形成または切り出されたラック634で動かしてもよい。
【0019】
上記において、チェーン116、316、516、616に関する記述は例である。同一の機能を有するその他の実施形態は、繊維、特にポリマーまたはガラス繊維で作成でき、特に光ファイバは、実質透明な液体に対応する屈折率を有することが見いだされる。また、磁石で互いに連結されるチェーンリンクを用いてもよい。
【0020】
次に図7Aおよび7Bを参照すると、可動装飾要素802はチャネル804によりガイドされ、使用者がプーリ820、スライダ822、またはその他の任意の適切な機構(本明細書に非開示)で生成する動きを伝達する変位伝達要素806により移動される。また、動きは、使用者が生成する代わりに時計システム(本明細書に非開示)で生成してもよく、当該時計システムは電気式または機械式動力である。装飾要素802をチャネル804内でガイドすることで、システム800が重力に対して動いたりシステム800がその着用者により任意の方向で加速したりすると、複数方向である程度の自由が生まれ、より生き生きとした挙動を装飾要素に与えることができる。装身具810の可視領域に存在する変位機構の部分804、806、820は、ほぼ不可視であるように、周囲流体830の屈折率と似た屈折率を有する材料からなってもよい。例えば、変位伝達要素806は有利にもガラス繊維からなってもよいが、上述などの任意のチェーンを用いてもよい。周囲流体830は少なくとも1つの液体でもよい。周囲流体は透明でも着色されてもよい。システム800の不可視領域に存在する変位機構の部品、要素、または部分(本明細書に非開示)は、その機能に適切な任意の材料からなってもよい。
【0021】
いくつかの可動装飾要素344、802は、システム100、200、300、500、600、800の不可視領域346に隠れてもよく、アニメーションが作動すると現れる。
【0022】
いくつかの可動要素344、802は、システム100、200、300、500、600、800内の一定の位置に互いに隠れてもよく、アニメーションが作動すると隠れた可動要素344、802が突然イメージとして現れる。
【0023】
いくつかの装飾要素344、802は、それらが互いに重なる場合に色を変えてもよく、例えば半透明の青い部分上に半透明の黄色い部分が重なると緑色が現れる。
【0024】
利点として、本システム100、300、500、600、800は、装飾物、個人の装身具、宝飾品、腕時計、および/または時計に動きを付す。
【0025】
別の利点として、本発明200、300、800は、時間関連の表示などの表示を装飾物に提供する。
【0026】
また別の利点として、本発明100、200、300、500、600、800は不可視の変位機構110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822を装飾物に提供し、それにより魅力的な効果を提供する。
【0027】
さらなる利点として、本システム100、200、300、500、600、800は個人の装身具に一目見て生き生きとした装飾を創出する。
【0028】
別の利点として、本発明は動くとその外観を変化させる。
【0029】
本発明は以下の特徴セットを備えるものとして要約できる。
1.液体(106、206、306、506、606、830)中で機械的かつ移動可能に変位機構(110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822)に取り付けられた少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)を含むシステム(100、200、300、500、600、800)であり、該変位機構の少なくとも一部が観察者にほぼ不可視であるように、該液体が該変位機構の少なくとも一部とほぼ同じ屈折率を共有するシステム。
2.該変位機構がトランスミッション(114、124、326、514)で作動する剛性要素(102、104、302、304、502)の多関節チェーン(116、316、516)からなるシステムであって、観察者に実質的に不可視であるように、該剛性要素の少なくとも1つが該周囲液体(106、206、306、506)の該屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなる、特徴セット1に記載のシステム。
3.該変位機構がトランスミッション(614)で作動する半可撓性要素(616)からなるシステムであって、観察者に実質的に不可視であるように、該半可撓性要素の少なくとも一部が該周囲液体(606)の該屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなる、特徴セット1に記載のシステム。
4.該変位機構がトランスミッション(820、822)で作動する可撓性要素(806)からなるシステムであって、観察者に実質的に不可視であるように、該可撓性要素が該周囲液体の該屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料からなる、特徴セット1に記載のシステム。
5.該変位機構の可視部分が予め定められた経路に従い、変化するイメージの生成に関与する、特徴セット1、2、3、または4に記載のシステム。
6.該変位機構(110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822)に連結されたトランスミッション(114、124、326、514、614、820、822)が該使用者により作動される、特徴セット1、2、3、4、または5に記載のシステム。
7.該変位機構(110、112、114、116、316、326、510、514、516、610、614、616、804、806、820、822)に連結されたトランスミッション(114、124、326、514、614、820、822)が自動作動機構(134)により作動される、特徴セット1、2、3、4、または5に記載のシステム。
8.該少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の動きがアニメーションを生成する、特徴セット6または7に記載のシステム。
9.該少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の該動きが値を表示する、特徴セット7に記載のシステム。
10.該自動作動機構(134)が腕時計である、特徴セット7に記載のシステム。
11.該少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の該動きが時間を表示する、特徴セット10に記載のシステム。
12.隣接するしるし(226)に沿う該少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の該動きが時間を表示する、特徴セット11に記載のシステム。
13.該トランスミッション(114、124、326、514、614、820、822)が重力に対する該システムの向きの変化に反応する質量により作動される、特徴セット2、3、4、5、または8に記載のシステム。
14.該少なくとも1つの装飾要素(104、224、304、344、802)の該動きがアニメーションを生成する、特徴セット13に記載のシステム。
15.装飾物、個人の装身具、宝飾品、腕時計、および/または時計など、装飾要素(104、224、304、344、802)に動きを付すために上記特徴セットのいずれかに記載のシステムを用いる方法であり、少なくとも
a.該システムを該使用者の衣服または該使用者の身体の四肢付近に取り付けるステップ、
b.該システムが取り付けられた該身体の部分を動かすステップ、および
c.該アニメーション効果を観察するステップ
を含む方法。
16.熱補償システムをさらに含み、該システムが該液体の熱膨張および/または収縮に適応する機構を含み、温度上昇の場合は液体の該システム外への漏出を生じうる許容不能な高圧の発生を、また低温の場合は該液体内での魅力的でない気泡の発生を回避する、特徴セット1に記載のシステム。
17.本明細書、従属特徴セット、(参照として本明細書に組み込まれる)要約書、および/または図面に記載のシステムおよび/または方法。
【0030】
本発明の他の特徴及び実施形態は添付の請求項において説明される。
【0031】
本願で開示および説明される特定の実施形態は、本発明の代表的および最適な態様を示すものであって、本発明の範囲を制限することを意図したものでは決してないことを理解されたい。
【0032】
当業者には理解されるように、本発明はシステム、装置又は方法として具現化することが可能である。
【0033】
また、本願のシステムは、本願と同様の機能を有する全ての物品、サービス又は情報の使用、販売及び/又は流通を意図したものである。
【0034】
本願の明細書及び図面は限定するためではなく例示的なものとして理解されたく、本願で説明される全ての改良は、本願の請求する発明の範囲に包含されることを意図される。従って、本願発明の範囲は、上記された単なる例示案からではなく、添付される請求項(すでに存在している、又は後に補正あるいは追加される請求項、又はそれに法的に相当する物)によって判断されるべきである。全ての方法又は工程の請求項で記載されるステップは、特に記載のない限りいかなる順序であっても実行可能であり、請求項に記載される特定の順序に限定されるものではない。さらに、装置の請求項で記載される要素及び/又は部品は、本願と本質的に同様の成果をもたらす様々な置換で組立又は操作的に構成されることも可能である。総じて、本願発明は請求項で記載される特定の構成に限定されるものではない。
【0035】
本願で記載される便益、利点や解決法は、全ての請求項の必須、重要あるいは不可欠な特徴又は要素であると考慮されるべきでない。
【0036】
本願で用いられる「からなる」、「から構成される」やその他の同様の言い回しは、要素の非限定的な一覧を表すために用いられ、その要素一覧から構成される本発明の装置、工程、方法、物品、又は構成は記載される要素のみを含むわけではなく、本明細書に記載されるその他の要素を含むことも可能である。また、「を含む」、「を含んでなる」または「を本質的に含む」といった言い回しは、別段に指定のない限り、列挙される要素のみに発明の範囲を限定する意図で用いられるものではない。本発明の実施に用いられる上記された要素、材料又は構造の組み合わせ及び又は改良は、本発明の一般原則から逸脱することなく、当業者によってその他の設計に変更または適応することも可能である。
【0037】
上記で挙げられた特許及び記事は、別段の記載のない限り、本開示に反しない範囲において参照することにより本件に組み入れられる。
【0038】
本発明の実現のために用いられる材料は、適切で本発明の作業温度範囲に準拠するように選択される。当該材料は、例えば、金属、ポリマーまたはガラス、特にサファイアガラスである。同様に、本発明の実現のために用いられる構造の場合には、例えば、ベローズ、チップ、または真性膜などの当該構造が、適切で本発明の作業温度範囲に準拠するように選択される。
【0039】
本願システムは熱補償システムを含んでもよく、該システムは液体の熱膨張および/または収縮に適応する機構を含み、温度上昇の場合は液体のシステム外への漏出を生じうる許容不能な高圧の発生を、また低温の場合は液体内での魅力的でない気泡の発生を回避する。このような熱補償は、使用者に一部または全部が不可視でもよい。このようなシステムは2015年4月7日に同一出願人により出願されたPCT出願第PCT/IB2015/000448号「透明な空洞内での液体の吸収/膨張/収縮/動きのためのシステムおよび方法」に開示され、その内容は参照として組み込まれると共に、それに依拠する。
【0040】
また、本発明は、電力消費要素を作動させるために使用者により電力供給される小型携帯可能装置を収容および使用してもよく(概略的な形態において134、326として開示される)、それは好ましくは着用可能で、力学エネルギー貯蔵を利用し、バッテリーやその他の電気化学貯蔵装置を必要とせずに、限られた時間、バックライト、イルミネーション、その他の特殊効果目的のために、要求に応じて起動する小型特殊効果要素104、224、342、344、802を組み入れる。装置は、手動ばね負荷機構と、渦巻ばねと、手動トリガ機構と、回転速度を上げるためのトランスミッションと、小型ジェネレータと、トランスミッタまたは光源、好ましくは発光ダイオードなどの少なくとも1つの電力消費要素と、を含む。このような装置は2016年3月7日に同一出願人により出願されたPCT出願第PCT/IB2016/000249号「使用者により電力供給される小型照明装置、システム、およびその使用法」に開示され、その内容は参照として組み込まれると共に、それに依拠する。
【0041】
さらに、本発明は、新規性、進歩性及び産業上の利用性を具備すると考慮される本明細書、添付の請求項及び/又は図面において説明された全ての特徴の可能な全ての組み合わせから構成されることを考慮されたい。
【0042】
著作権は出願人またはその譲受人によって保有され、1つまたは複数の請求項で定義される権利の第三者への明示的なライセンス付与に関しては、本発明を残りの請求項に定義されるように使用する黙示的なライセンスは一切許諾されていない。さらに、一般または第三者に対して、この添付物および本願に含まれる全てのコンピュータープログラムを含め、本願明細書に基づいて二次的著作物を作成する明示的または黙示的なライセンスは許諾されていない。
【0043】
本発明の付加的な特徴及び機能性は添付の請求項及び/又は要約書において説明される。それらの請求項及び/又は要約書は参照として本明細書にその全てが組み込まれ、提出された出願の一部と考慮されたい。
【0044】
上述された発明の実施形態において、様々な変更及び改良を加えることが可能である。本発明の特定の具体的な実施形態が開示及び説明されたが、幅広い変更、改良及び置換が上述の実施形態では考慮される。上記の説明には多くの特定事項が含まれるが、発明の範囲を限定するものとしてではなく、むしろ1つ又はその他の好適な実施形態の例示であると考慮されたい。場合によっては、本発明のいくつかの特徴は、対応する他の特徴を使用することなく用いられる。従って、上述の説明は広義に解釈され、単なる例示として理解され、本発明の精神及び範囲は本出願で最終的に発行される請求項によってのみ限定されるべきである。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7A
図7B