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特許7494175漏れ保護を有するエアロゾル発生システムおよびカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】漏れ保護を有するエアロゾル発生システムおよびカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240527BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240527BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240527BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
A24F40/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021528950
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2019084036
(87)【国際公開番号】W WO2020115302
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】18211163.3
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】サイギリ アリ ムラト
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-533313(JP,A)
【文献】特表2018-500015(JP,A)
【文献】特表2018-514191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0198770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル形成基体と、
空気吸込み口と、
空気出口と、
前記空気吸込み口から前記空気出口に延びる気流通路と、
前記気流通路内の霧化チャンバーと、
前記エアロゾル形成基体を霧化してエアロゾルを発生するように構成された前記霧化チャンバー内のエアロゾル発生要素と、
前記空気吸込み口と前記霧化チャンバーの間の前記気流通路中の入口フィルターと、を備え、
前記入口フィルターが、前記気流通路に沿って互いに離隔した、互いに異なる複数のメッシュを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記空気出口と前記霧化チャンバーの間の前記気流通路中に出口フィルターをさらに備える、請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記出口フィルターがメッシュを備える、請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記複数のメッシュが、第一のメッシュと第二のメッシュを備え、前記第二のメッシュが、前記第一のメッシュとは異なる開口サイズを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記第一のメッシュは、前記気流通路において前記第二のメッシュよりも下流に位置付けられ、前記第一のメッシュは、前記第二のメッシュよりも大きな開口サイズを有する、請求項4に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記入口フィルターが、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成されたメッシュを備える、請求項~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記入口フィルターが、20μm~200μmの直径を有する隙間を有するメッシュを備える、請求項~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記気流通路が前記空気吸込み口と前記空気出口の間で直線状に延びる、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記エアロゾル発生要素が発熱体を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記発熱体がメッシュ発熱体である、請求項9に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記入口フィルターが疎水性または撥油性被覆を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
装置部分に連結されたカートリッジを備え、
前記カートリッジが、
前記エアロゾル形成基体、前記霧化チャンバー、および前記エアロゾル発生要素を備え、
前記装置部分が、電源に接続された制御回路を備え、かつ前記カートリッジに連結されて、前記電源から前記エアロゾル発生要素への電力の供給を可能にする、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記カートリッジが前記空気吸込み口および前記入口フィルターを含む、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
電気加熱式エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、
エアロゾル形成基体と、
空気吸込み口と、
空気出口と、
前記空気吸込み口から前記空気出口に延びる気流通路と、
前記気流通路内の霧化チャンバーと、
前記エアロゾル形成基体を霧化してエアロゾルを発生するように構成された前記霧化チャンバー内のエアロゾル発生要素と、
前記空気吸込み口と前記霧化チャンバーの間の前記気流通路中の入口フィルターと、を備え、
前記入口フィルターが、前記気流通路に沿って互いに離隔した、互いに異なる複数のメッシュを備える、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムに関し、また特にユーザーによる吸入のためのエアロゾルを生成するエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、ユーザーが吸入するためのエアロゾルを発生する電気加熱式の喫煙システムである。電気加熱式の喫煙システムは、様々な形態で提供される。電気加熱式の喫煙システムの一つの人気があるタイプは、液体エアロゾル形成基体、または他の凝縮形態のエアロゾル形成基体を気化させてエアロゾルを発生するeシガレットである。
【0003】
国際特許公開公報第2015/117702A号は、液体基体を加熱してエアロゾルを形成するエアロゾル発生システムを説明する。加熱は、加熱フィラメントのメッシュを使用して遂行される。液体は、メッシュの一方の側上の毛細管材料によって液体貯蔵部からメッシュに運ばれる。気流チャネルは、メッシュのもう一方の側上にある。気化した液体エアロゾル形成基体は、メッシュを通過して気流チャネルの中に入る。メッシュは毛細管(caliallry)材料とともに、気流チャネルの中への液滴の通過を防止するために使用される。しかしながら、一部の液滴は、メッシュを通過して、またはメッシュの周りを通って気流チャネルの中に入る場合がある。また、気化した基体の一部が気流チャネルの壁上で凝縮し、かなりのサイズの液滴を形成する可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大きい液滴は、ユーザーの口に到達した場合、または別の方法でシステムから漏れ出る場合、ユーザーにとって不快な体験をもたらす可能性があるため、気流チャネル中での大きい液滴の形成は望ましくない。液滴はまた、システムの他の部品、特にシステムの電子構成要素の動作に損害を与える、または有害である場合がある。そのため、液滴がシステムのこれらの部分に到達するのを防止することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様において、
エアロゾル形成基体と、
空気吸込み口と、
空気出口と、
空気吸込み口から空気出口に延びる気流通路と、
気流通路内の霧化チャンバーと、
エアロゾル形成基体を霧化してエアロゾルを発生するように構成された霧化チャンバー内のエアロゾル発生要素と、
空気吸込み口と霧化チャンバーの間の気流通路中の入口フィルターと、を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0006】
有利なことに、入口フィルターは、入口フィルターを通して空気吸込み口から気流通路の中への空気の流れを可能にするように構成されているが、気流通路内の所定のサイズよりも大きい液滴が入口フィルターを通って空気吸込み口へと通過することを防止するように構成されている。
【0007】
入口フィルターはメッシュを備えてもよい。メッシュは、空気吸込み口から空気出口へと気流通路を通って流れる空気がメッシュを通過しなければならないように、気流通路にわたってもよい。
【0008】
一部の実施形態において、入口フィルターは、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成されたメッシュを備える。入口フィルターは、20μm~200μmの直径を有する隙間を有するメッシュを備えてもよい。
【0009】
入口フィルターは複数のメッシュを備えてもよい。複数のメッシュは、気流通路に沿って互いに離隔して、互いに平行に配設されてもよい。複数のメッシュを提供することは、フィルターを通した液体漏れの可能性を低減する場合がある。
【0010】
複数のメッシュは互いに異なっていてもよい。例えば、入口フィルターは、第一の開口サイズを有する第一のメッシュと、比較的により小さい開口サイズを有する第二のメッシュとを備えてもよく、第一のメッシュは第二のメッシュよりもエアロゾル発生要素の近くに位置付けられる。この配設で、より大きい液滴は第一のメッシュによってブロックされる。これは、より大きい液滴が第二のメッシュを詰まらせるのを防止し、この詰まりは気流を著しく減少させる場合がある。第一のメッシュを通過するより小さい液滴は、第二のメッシュによってブロックされ、第一のメッシュを折り返して通過し、霧化チャンバーに戻ってもよい。入口フィルターは、このように配設された三つ以上の異なるメッシュを備えてもよい。
【0011】
エアロゾル発生システムは、空気出口と霧化チャンバーの間の気流通路中に出口フィルターをさらに備えてもよい。出口フィルターは、出口フィルターを通して気流通路の外に出るエアロゾルの流れを可能にするように構成されてもよいが、気流通路内の所定のサイズよりも大きい液滴が出口フィルターを通過するのを防止するように構成されてもよい。
【0012】
出口フィルターはメッシュを備えてもよい。出口フィルターは、入口フィルターに関して説明された方法と同じ方法で、複数のメッシュを備えてもよい。複数のメッシュは、気流通路に沿って互いに離隔して、互いに平行に配設されてもよい。
【0013】
複数のメッシュは、異なるサイズの液滴を効果的にブロックするために、互いに異なっていてもよい。
【0014】
出口フィルターは、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成されたメッシュを備えてもよい。出口フィルターは、20μm~200μmの直径を有する隙間を有するメッシュを備えてもよい。
【0015】
入口または出口フィルターがメッシュを備える場合、メッシュは有利なことに、ステンレス鋼などの耐腐食性材料から形成されてもよい。メッシュは、メッシュの疎水性または撥油性を増大させる材料で被覆されてもよい。例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素、フルオロポリマー、酸化チタン、または酸化アルミニウムのナノコーティングを、液相堆積、気相堆積、または熱プラズマ蒸発によって、フィラメントからメッシュを形成する前に、メッシュまたはフィラメントに施すことができる。
【0016】
入口フィルターまたは出口フィルターが、複数のフィラメントから形成されたメッシュを備える場合、フィラメントは、互いに接触するフィラメント間の角度がおよそ90度であるように、正方形の織りで配設されてもよい。しかしながら、互いに接触するフィラメント間の他の角度が使用されてもよい。互いに接触するフィラメント間の角度は30度~90度であることが好ましい。複数のフィラメントは織布または不織布を含んでもよい。
【0017】
気流通路は空気吸込み口と空気出口の間で直線状に延びてもよい。これは単純な構築および組み立てを可能にし、気流経路内の特定の場所に凝縮物がたまる可能性を低減する。
【0018】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を保持するための基体チャンバーを備えてもよい。エアロゾル形成基体は室温で液体であってもよい。その場合、基体チャンバーは液体貯蔵部として説明されてもよい。エアロゾル形成基体は室温で固体であってもよく、または室温でゲルなどの別の凝縮した形態であってもよい。エアロゾル発生要素は、基体チャンバーと気流通路の間に少なくとも部分的に提供されてもよい。
【0019】
エアロゾル発生要素は発熱体を含んでもよい。エアロゾル形成基体を加熱することは、エアロゾル形成基体から揮発性化合物をベイパーとして放出する場合がある。次いで、ベイパーは気流内で冷却されてエアロゾルを形成する場合がある。
【0020】
発熱体は抵抗加熱によって動作するように構成されてもよい。言い換えれば、発熱体は、電流が発熱体を通過する時に熱を発生するように構成されてもよい。
【0021】
発熱体は誘導加熱によって動作するように構成されてもよい。言い換えれば、発熱体は、動作時にサセプタ中に誘導された渦電流によって加熱されるサセプタを含んでもよい。ヒステリシス損失も誘導加熱に寄与する場合がある。
【0022】
発熱体は伝導によってエアロゾル形成基体を加熱するように配設されてもよい。発熱体は、エアロゾル形成基体と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよい。発熱体は対流によってエアロゾル形成基体を加熱するように配設されてもよい。特に、発熱体は、後でエアロゾル形成基体を通過する、またはエアロゾル形成基体のそばを通る空気の流れを加熱するように構成されてもよい。
【0023】
発熱体は流体透過性であってもよい。特に、発熱体は、エアロゾル形成基体からのベイパーが発熱体を通過し、霧化チャンバーの中に入ることを許容する場合がある。発熱体は、霧化チャンバーとエアロゾル形成基体チャンバーの間に位置付けられてもよい。発熱体は、霧化チャンバーをエアロゾル形成基体チャンバーから分離してもよい。発熱体の一方の側面は、気流通路と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)していてもよく、また発熱体の反対側の側面は、エアロゾル形成基体と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)していてもよい。
【0024】
一部の実施形態において、発熱体は、メッシュ、穿孔されたプレートまたは穿孔された箔などの、概して平面状の流体透過性発熱体である。
【0025】
発熱体は、複数の導電性フィラメントから形成されたメッシュを備えてもよい。導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定してもよく、また隙間は10μm~100μmの幅を有してもよい。フィラメントは、使用時に気化される液体エアロゾル形成基体が隙間の中に引き出されるように隙間内に毛細管作用を生じさせて、ヒーター組立品と液体の間の接触面積を増大させることが好ましい。
【0026】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160~600個(±10%))のサイズのメッシュを形成してもよい。隙間の幅は75μm~25μmであることが好ましい。隙間の面積とメッシュの総面積の比(ration)である、メッシュの開口面積の割合は25~56%であることが好ましい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性フィラメントは、互いに平行に配設されたフィラメントのアレイから成る。
【0027】
導電性フィラメントは8μm~100μmの直径を有することができ、8μm~50μmの直径を有することが好ましく、8μm~39μmの直径を有することがより好ましい。
【0028】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の面積は小さくてもよく、25mm2以下であることが好ましく、手持ち式システムの中への組み込みを可能にする。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物は、例えば長方形であり、5mm×2mmの寸法を有してもよい。
【0029】
導電性フィラメントは任意の適切な導電性材料を含んでもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは一つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、および316Lステンレス鋼、ならびに黒鉛である。
【0030】
ヒーター要素の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.3~4オームであることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.5~3オームであることがより好ましく、約1オームであることがより好ましい。
【0031】
システムは、発熱体に固定された電気接点を備えてもよい。電流は、電気接点を通して発熱体に通ってもよく、発熱体から通ってもよい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、電気接点の電気抵抗よりも少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これは、電気接点によってではなく発熱体によって熱が発生されることを確実にする。
【0032】
エアロゾル発生要素は、加熱以外の方法でエアロゾル形成基体を霧化してもよい。例えば、エアロゾル発生要素は振動膜を備えてもよく、またはエアロゾル形成基体を微細メッシュに強制して通してもよい。
【0033】
エアロゾル形成基体チャンバーは、発熱体または他のエアロゾル発生要素へのエアロゾル形成基体の供給を確実にするように構成された毛細管材料または他の液体保持材料を備えてもよい。
【0034】
毛細管材料は繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。毛細管材料は毛細管の束を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は概して、液体をヒーターに運ぶように整列されてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さい穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。
【0035】
毛細管材料は、発熱体の導電性フィラメントと流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよい。毛細管材料は、フィラメント間の隙間の中に延びてもよい。発熱体は、毛細管作用によって液体エアロゾル形成基体を隙間の中に引き出してもよい。
【0036】
ハウジングは二つ以上の異なる毛細管材料を包含してもよく、発熱体と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を有し、また第一の毛細管材料と接触しているが、発熱体と接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を有する。第一の毛細管材料は、第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に曝露されないように、発熱体を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される「熱分解温度」は、材料が分解し始め、気体状の副産物を発生することによって質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管材料は有利なことに、第一の毛細管材料よりも大きい容積を占めてもよく、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた吸い出し性能を有してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも安価であってもよく、またはより高い充填能力を有してもよい。第二の毛細管材料はポリプロピレンであってもよい。
【0037】
エアロゾル発生システムは、霧化チャンバーを画定する内部ハウジング部を備えてもよい。内部ハウジング部は、外部ハウジング部の中に受容されてもよい。外部ハウジング部は、ユーザーが吸煙して、空気吸込み口から空気出口へと気流通路を通して空気を引き出すマウスピースを含んでもよい。入口フィルターは、内部ハウジング部上に位置付けられてもよい。入口フィルターは、内部ハウジング部の外面上に位置付けられてもよい。出口フィルターは、内部ハウジング部上に位置付けられてもよい。出口フィルターは、内部ハウジング部の外面上に位置付けられてもよい。
【0038】
入口フィルター、または出口フィルター、または入口フィルターと出口フィルターの両方は、クランプ留めによって内部ハウジング部に固定されてもよい。例えば、出口フィルターは、二つのハウジング部分の間にクランプ留めされてもよい。入口フィルター、または出口フィルター、または入口フィルターと出口フィルターの両方は、オーバーモールドによって内部ハウジング部に固定されてもよい。言い換えれば、内部ハウジング部の一部分は、入口フィルターまたは出口フィルターの周りに成形されてもよい。
【0039】
エアロゾル発生システムは、複数の空気吸込み口を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、各空気吸込み口に入口フィルターを備えてもよい。エアロゾル発生システムは、複数の空気出口を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、各空気出口に出口フィルターを備えてもよい。
【0040】
エアロゾル発生システムは、外部ハウジング部を有してもよい。外部ハウジング部は、ユーザーが片手で保持するように構成されてもよい。外部ハウジング部は、プラスチック材料または金属から形成されてもよい。
【0041】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体で再充填可能であってもよい。エアロゾル形成基体は、室温で液体であってもよい。エアロゾル形成基体は室温でゲルであってもよく、または固体であってもよい。エアロゾル形成基体は、カプセルまたは錠剤の形態で提供されてもよく、または粒子の形態で提供されてもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱によって放出されてもよい。
【0043】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にする、かつ動作するシステムの動作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリンなど)である。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤および水など)を含んでもよい。
【0044】
システムは、ヒーター要素および電力供給源に接続された電気回路をさらに備えてもよく、電気回路は、発熱体の電気抵抗、またはヒーター要素の一つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターするように、かつ発熱体の電気抵抗または具体的に一つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存して、電源から発熱体への電力の供給を制御するように構成されている。
【0045】
電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は発熱体への電力の供給を調節するよう構成されてもよい。電力はシステムの起動後に発熱体に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなど、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。
【0046】
このシステムは電気的に作動する喫煙システムであってもよい。このシステムは手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。喫煙システムは、およそ30mm~およそ150mmの全長を有してもよい。喫煙システムは、およそ5mm~およそ30mmの外径を有してもよい。
【0047】
システムは有利なことに、ハウジングの主本体内に電源(典型的にリン酸鉄リチウム電池などの電池)を備える。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要としてもよく、1回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、またはヒーターの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0048】
エアロゾル発生システムは、カートリッジおよび装置部分を備えてもよく、カートリッジは使用時に装置部分に連結されている。カートリッジは、エアロゾル形成基体、霧化チャンバー、およびエアロゾル発生要素を備えてもよい。装置部分は、電源および電源に接続された制御回路を備えてもよい。装置部分はカートリッジに連結されて、電源からエアロゾル発生要素への電力の供給を可能にする。
【0049】
カートリッジは空気出口を含んでもよい。カートリッジは出口フィルターを含んでもよい。カートリッジは空気吸込み口および入口フィルターを含んでもよい。カートリッジは内部ハウジング部および外部ハウジング部を含んでもよい。装置部分は、内部ハウジング部、または外部ハウジング部、またはその両方と係合する装置ハウジングを備えてもよい。気流通路は、カートリッジおよび装置部分を通って延びてもよく、またはカートリッジ部分のみを通って延びてもよい。
【0050】
電気接点はカートリッジ中にあってもよく、また装置部分上の対応する電気接点と係合してもよい。
【0051】
本発明の第二の態様において、電気加熱式エアロゾル発生システム用のカートリッジが提供されていて、このカートリッジは、
エアロゾル発生基体と、
空気吸込み口と、
空気出口と、
空気吸込み口から空気出口に延びる気流通路と、
気流通路内の霧化チャンバーと、
エアロゾル発生基体を霧化してエアロゾルを発生するように構成された霧化チャンバー内のエアロゾル発生要素と、
空気吸込み口と霧化チャンバーの間の気流通路中の入口フィルターと、を備える。
【0052】
第二の態様のカートリッジは、本発明の第一の態様に関連して説明されるカートリッジの特徴を備えてもよい。
【0053】
本発明は数多くの利点を提供する。特に、本発明は、エアロゾル発生システムからの、またはエアロゾル発生システム中のカートリッジからの液体漏れを低減する。入口フィルターの提供は、使用前に取り外す必要のある別個の入口シールまたはキャップの必要性を無くす。入口フィルターの提供はまた、システムまたはカートリッジの外側から気流通路に他の物体の破片が入ることを防ぐ何らかの保護をエアロゾル発生要素に提供する。本発明はまた、頑丈でかつ製造が単純なシステムを提供する。
【0054】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態によるカートリッジを通した断面である。
図3図3は、図2のカートリッジの分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの概略図である。エアロゾル発生システムは、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生するように構成された手持ち式の喫煙システムである。特に、図1に示すシステムは、ニコチンおよび風味化合物を含有するエアロゾルを発生する喫煙システムである。
【0057】
図1のシステムは、装置部分10とカートリッジ20という二つの部分を備える。使用時に、カートリッジ20は装置部分10に取り付けられる。
【0058】
装置部分10は、再充電可能電池12および電気制御回路14を保持する装置ハウジング18を備える。再充電可能電池12はリン酸鉄リチウム電池である。制御回路14は、プログラマブルマイクロプロセッサおよび気流センサーを備える。
【0059】
カートリッジ20は、スナップ嵌め接続によって装置ハウジング18に取り付けられているカートリッジハウジング34を備える。カートリッジハウジング34はエアロゾル発生要素を保持し、このエアロゾル発生要素は実施例において発熱体32である。発熱体32は抵抗発熱体である。以下で説明する通り、電力は制御回路の制御下で、電池12から発熱体に提供される。カートリッジはまた、基体チャンバー30内にエアロゾル形成基体を保持する。この例において、エアロゾル形成基体は室温にて液体混合物であり、またニコチン、風味、エアロゾル形成体(グリセロールまたはプロピレングリコールなど)、および水を含む。毛細管材料33は基体チャンバー30の中に提供されていて、また重力に対するシステムの向きにかかわらず、発熱体へのエアロゾル形成基体の送達を促進するように配設されている。
【0060】
気流通路22はシステムを通して画定されている。この実施例において、気流通路の一部分はカートリッジ20を通り、また気流通路の一部分は装置部分10を通る。制御回路内に含まれる気流センサーは、装置部分中の気流通路の部分を通る気流を検出するように位置付けられている。気流通路は空気吸込み口16から空気出口28に延びる。空気出口28は、カートリッジのマウスピース端にある。ユーザーがカートリッジのマウスピース端を吸煙する時、空気は空気吸込み口16から気流通路22を通って空気出口28に引き出される。
【0061】
気流通路の一部は霧化チャンバー23を形成する。発熱体32は霧化チャンバーの中に位置付けられている。発熱体32はステンレス鋼メッシュ発熱体である。発熱体32は概して平面状であり、一方の側面は基体チャンバー30中の液体と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)していて、また反対側の側面は霧化チャンバー23を通過する空気と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)している。動作時、発熱体によって加熱された液体エアロゾル形成基体は、気化してベイパーを形成する。ベイパーはメッシュ発熱体を通過して、霧化チャンバーの中に入ることができる。ベイパーは、霧化チャンバー23を通って流れる空気中に同伴され、冷却されてエアロゾルを形成し、その後に空気出口28を通ってシステムを出る。
【0062】
入口フィルター24は、発熱体の上流側面上の気流通路の中に提供されている。出口フィルター26は、発熱体の下流側面上の気流通路の中に提供されている。この文脈において、上流および下流は、意図された様態での装置の使用中に、気流通路22を通る気流の方向を参照することによって定義される。霧化チャンバーは、入口フィルターと出口フィルターの間に位置付けられている。
【0063】
入口フィルター24はメッシュを備える。メッシュは、特定の直径よりも大きい直径を有する液滴が、空気吸込み口24を通して霧化チャンバー23を離れることを防止する。同様に、出口フィルター26もメッシュを備える。出口フィルターメッシュは、特定の直径よりも大きい直径を有する液滴が、空気出口26を通して霧化チャンバー23を離れることを防止する。入口フィルターのメッシュは、出口フィルターのメッシュと同一であってもよく、異なってもよい。特定の実施例を図2および図3を参照しながら詳細に説明する。
【0064】
この実施例において装置部分およびカートリッジから成るシステムは細長く、その幅またはその厚さよりも著しく大きい長さを有する。マウスピース端は、システムの長さの一方の端にある。この形状は、システムを使用する時に、ユーザーが片手でシステムを快適に保持することを可能にする。システムの長さは長軸方向に延びると言ってもよい。気流通路は、流体透過性発熱体32を通り過ぎて長軸方向に延びる。流体透過性発熱体は概して平面状であり、長軸方向に平行に延びる。発熱体はまた細長く、またその長さは長軸方向に延びてもよい。この配設は、比較的に大きい表面積を有する発熱体を、スリムで保持しやすいシステムの中に収容することを可能にする。
【0065】
動作時に、発熱体はユーザーによる吸煙中にのみ起動されてもよく、または装置がスイッチオンされた後に連続的に起動されてもよい。最初の場合において、閾値気流速度を超えて気流通路を通る気流を流れセンサーが検出する時に、ユーザー吸煙が検出される。流れセンサーの出力に応答して、制御回路は発熱体に電力を供給する。発熱体への電力の供給は、ユーザーによる吸煙の検出の後の所定の期間にわたり提供されてもよく、または流れセンサーからの信号に基づいて、かつ/または制御回路によって受信される他の入力(発熱体の温度もしくは抵抗の測定値など)に基づいて、スイッチオフの条件が満たされるまで制御されてもよい。一実施例において、発熱体は、ユーザーによる吸煙の検出の後、3秒間にわたり6ワットの電力で供給される。発熱体に電力が供給された時に、発熱体は加熱する。発熱体が十分に高温である時、発熱体に近接した液体エアロゾル形成基体は気化される。
【0066】
2つ目の場合において、発熱体はシステムの起動の後、動作中に連続的に電力が供給される。起動は、システムへのユーザーによる入力(ボタンを押すなど)に基づいてもよい。一実施形態において、ユーザーによる吸煙にかかわらず、装置の起動の後、発熱体には3.3ワットの電力が供給される。この場合も、これは制御回路への他の入力(測定された発熱体温度または抵抗)などに基づいて調整されてもよい。システムは、起動後の所定の時間の後に、またはさらなるユーザー入力に基づいて、スイッチをオフにされてもよい。
【0067】
別の代替として、ハイブリッド電源スキームを使用してもよく、この場合、ユーザーによる吸煙と吸煙の間に、より低い電力(3.3ワットなど)が供給されるが、ユーザーによる各吸煙の検出の後に、より高い電力(7ワットなど)が2秒間にわたり供給される。これは、より大きい量のエアロゾルの発生をもたらす場合がある。一つの非限定的な構成において、約7ワットの電力は、メッシュ発熱体を約220℃の温度に加熱する。
【0068】
発生した蒸気はメッシュ発熱体を通過し、霧化チャンバーの中に入り、そこで気流通路を通して気流中に同伴される。ベイパーは気流内で冷却されて、エアロゾルを形成する。エアロゾルは出口フィルター26を通過し、ユーザーの口の中に入る。
【0069】
発熱体によって気化される液体は、毛細管材料33を離れる。この液体は、基体チャンバー30の中に依然として留まっている液体によって置き換えられ、これによってユーザーによる次の吸煙のために準備が整っている発熱体に近接する液体が存在する。
【0070】
気化されたエアロゾル形成基体のすべてが、ユーザーによる吸煙によってシステムの外に引き出されるわけではない可能性がある。その場合、エアロゾル形成基体は凝縮して、霧化チャンバー23内に大きい液滴を形成する場合がある。また、システムの使用中または使用と使用の間に、一部の液体が気化されることなく発熱体を通過する可能性がある場合もある。入口フィルター24は、霧化チャンバー内のいずれかの大きい液滴が空気吸込み口16に向かって漏れ出るのを防止する。それ故に、入口フィルターは、ユーザーと、装置部分内の電子構成要素および電池との両方を、カートリッジからの液体漏れから保護する。
【0071】
出口フィルターは同様に、霧化チャンバーから空気出口28に向かって漏れ出る大きい液滴を防止する。大きい液滴は、ユーザーの口に到達した場合に、ユーザーにとって不快な体験をもたらす場合がある。
【0072】
入口フィルターは二つ以上のメッシュ層を備えてもよい。層は、異なるサイズを有してもよい。出口フィルターは形成されたエアロゾル中の一部の液滴の通過を可能にする必要があるので、入口フィルターは出口フィルターより細かいメッシュ(複数可)を備えてもよく、一方で入口フィルターが空気吸込み口から霧化チャンバーの中への十分な気流を可能にするという条件で、すべての液滴が空気吸込み口に移動するのを実質的に防止することが望ましい。
【0073】
図2は、本発明の一実施形態によるカートリッジを通した斜視断面図である。図3は、図3のカートリッジの構成要素を分解組立の形態で示す。
【0074】
カートリッジは外部ハウジング34を備える。外部ハウジング34内には内部ハウジング31がある。内部ハウジングはヒーター組立品を保持する。ヒーター組立品は、メッシュ発熱体32を支持するヒーターマウント39を備える。毛細管材料(図示せず)は、発熱体32と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)して、ヒーターマウント39内に保持されている。カートリッジはまた、カートリッジの装置部分端(マウスピース端の反対側)にて、メッシュ発熱体とカートリッジの外面との間に延びる電気接点要素37を備える。電気接点要素37は、システムの装置部分上の対応する電気接点と接して、発熱体32への電力の供給を可能にする。入口フィルター24は、クランプリング36によって内部ハウジング31の入口端にクランプ留めされている。出口フィルター26は、内部ハウジング31と外部ハウジング34の間にクランプ留めされている。気流通路は、内部ハウジングおよび外部ハウジングを通して画定されていて、フィルター24とフィルター26の両方を通過する。内部ハウジングは霧化チャンバーを画定する。内部ハウジング31と外部ハウジング34の間に液密シールを提供するために、エラストマーシール要素35が提供されている。
【0075】
この実施例において、入口フィルターおよび出口フィルター26は、同一のメッシュから形成されている。入口フィルターのメッシュは、約3μm~約50μmの直径を有するステンレス鋼ワイヤで作製されている。メッシュの開口は、約10μm~約100μmの直径を有する。メッシュは炭化ケイ素で被覆されている。
【0076】
発熱体32のメッシュもステンレス鋼から形成されていて、約400メッシュUS(1インチ当たり約400フィラメント)のメッシュサイズを有する。フィラメントはおよそ約3μm~約50μm、例えば約16μmの直径を有する。メッシュを形成するフィラメントは、フィラメント間の隙間を画定する。この例における隙間は、およそ10μm~50μm、例えば約37μmの幅を有するものの、より大きいまたはより小さい隙間が使用されてもよい。これらのおよその寸法のメッシュを使用することは、隙間内にエアロゾル形成基体のメニスカスが形成されること、およびヒーター組立品のメッシュに対して毛細管作用によってエアロゾル形成基体を引き出すことを可能にする。発熱体メッシュの開口面積、すなわち隙間の面積とメッシュの総面積の比は、有利なことに15%~75%、例えば25~56%である。ヒーター組立品の総電気抵抗はおよそ0.5オーム~1オームである。
【0077】
外部ハウジングおよび外部ハウジングは、金属または頑丈なプラスチック材料から形成されてもよい。同様に、ヒーターマウントは耐熱性プラスチック材料から形成されてもよい。
【0078】
図2および図3のカートリッジは、組立が単純である。内部ハウジング31の組立品、ヒーター組立品、入口フィルター24、クランプ留めリング36、出口フィルター26、およびシール要素35は、アトマイザー組立品として説明されてもよい。アトマイザー組立品は、最初に組み立てられてもよい。次いで、アトマイザー組立品は、外部ハウジング34の中に押し込まれる。内部ハウジング上の一対の突出部は、外部ハウジング上の対応する開口の中にパチンと嵌って、内部ハウジングを外部ハウジングに固定する。エアロゾル形成基体を保持するチャンバー30は、内部ハウジングおよび外部ハウジングの両方によって画定されている。外部ハウジングは、アトマイザー組立品が取り付けられる前に、液体(または別の凝縮相)エアロゾル形成基体を収容してもよい。あるいは、エアロゾル形成基体チャンバーは、アトマイザー組立品が充填ポート(図示せず)を通して外部ハウジングに取り付けられた後に充填されてもよい。
【0079】
図2および図3のカートリッジは、図1に関連して説明された様態で動作する。
【0080】
記載される実施例において、入口フィルターおよび出口フィルターの両方はカートリッジ内にある。しかしながら、入口フィルターが、例えば装置部分内に位置付けられる可能性があることは明らかであろう。同様に、出口フィルターは、別個の取り外し可能なマウスピース要素内に位置付けられてもよい。また、気流チャネル、特に霧化チャンバーの形状およびサイズが、ユーザーに送達されるエアロゾルの特定の所望の特性を提供するために変更されてもよいことも明らかであろう。
【0081】
説明した実施例は液体エアロゾル形成基体を使用するが、入口フィルターもしくは出口フィルター、または入口フィルターと出口フィルターの両方の提供は、他の形態のエアロゾル形成基体を使用するシステムにおいて有益であることは明らかであろう。室温で固体またはゲルであるエアロゾル形成基体は、依然として、霧化チャンバー内で液体状へと凝縮する揮発性成分を放出する場合がある。例えば、エアロゾル形成基体はゲルタブレットとして提供されてもよい。エアロゾル形成基体は、粒子状のたばこまたは刻みたばこを含んでもよい。
【0082】
また、本実施例は、エアロゾルを形成するための抵抗発熱体の使用を説明するが、入口フィルターもしくは出口フィルター、または入口フィルターと出口フィルターの両方の提供は、誘導加熱発熱体などの異なる種類の発熱体を使用して動作するシステムにおいて有益であることも明確であろう。発熱体は、エアロゾル形成基体と気流通路との間に位置付けられた流体透過性発熱体である必要はない。発熱体は、エアロゾル形成基体チャンバーの壁を加熱してベイパーを発生するオーブンヒーターであってもよい。ベイパーは、弁またはベイパー透過性膜もしくは要素を通して気流通路へと通過してもよい。同様に、気流通路内のフィルターの提供は、気流通路内の気流を最初に加熱し、そしてその後、加熱された空気をエアロゾル形成基体を通して、または通り過ぎるように通すことによってエアロゾルを形成するシステムにとって有益である場合がある。気流通路内のフィルターの提供は、加熱以外の手段によってエアロゾルを形成するシステムにとって有益である場合がある。
図1
図2
図3