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特許7494176漏れ保護を有するエアロゾル発生システムおよびカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】漏れ保護を有するエアロゾル発生システムおよびカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240527BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240527BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240527BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
A24F40/42
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021528955
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2019084094
(87)【国際公開番号】W WO2020115321
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】18211155.9
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】サイギリ アリ ムラト
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509158(JP,A)
【文献】特表2017-506076(JP,A)
【文献】特表2018-500015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持する貯蔵部と、
空気吸込み口、空気出口、それらの間に延びる気流通路、およびチャンバーを備えるハウジングと、
前記気流通路に概して平行に延びる液体透過性発熱体であって、前記液体透過性発熱体の一方の側が前記貯蔵部と流体連通し、かつ前記液体透過性発熱体の反対側が前記チャンバーと流体連通しており、凝縮した形態にある前記エアロゾル発生基体を加熱して前記チャンバー内にベイパーを発生するように構成される、前記液体透過性発熱体と、
前記気流通路に概して平行に延び、一方の側が前記チャンバーと流体連通し、かつ反対側が前記気流通路と流体連通する気体透過性要素と、を備え、
前記気体透過性要素が、前記ベイパーの前記気流通路の中への搬送を可能にするように構成され、かつ前記凝縮した形態での前記エアロゾル発生基体の前記気流通路の中への搬送を阻止するように構成され、
前記ベイパーが、前記気流通路内のエアロゾルへと少なくとも部分的に凝縮する、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記気体透過性要素がメッシュを備える、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記メッシュが疎水性である、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記メッシュが、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成される、請求項2~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記エアロゾル発生基体がニコチンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記貯蔵部がその中に配置されるマウスピースを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記液体透過性発熱体および前記気体透過性要素を、互いに対して離隔した関係で保持するアトマイザー組立品をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記アトマイザー組立品が、前記気流通路に概して平行に延びるリッドをさらに備え、前記気体透過性要素が前記リッドと前記液体透過性発熱体との間に配置される、請求項7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記リッドが、前記リッドの回転に応答して前記気流通路を遮断するように構成された突出部分を備える、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記リッドが、キーを受容するように構成されたスロットをさらに備え、前記キーの前記スロットの中への係合に続く前記キーの回転に応答して、前記リッドが回転可能である、請求項8または請求項9に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記ハウジングが、前記貯蔵部がその中に配置されるマウスピースを備え、前記気流通路の第一の部分が前記マウスピース内に画定され、かつ前記気流通路の第二の部分が前記アトマイザー組立品内に画定される、請求項7~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記気流通路が、前記空気吸込み口と前記空気出口との間に直線状に延びる、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記液体透過性発熱体がメッシュ発熱体である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
電源と、前記電源に接続された制御回路と、を備える装置部分をさらに備え、前記装置部分が前記ハウジングに連結されて、前記電源から前記液体透過性発熱体への電力供給を可能にする、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
エアロゾルを発生する方法であって、
貯蔵部によって、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持することと、
チャンバー内にベイパーを発生するために、液体透過性発熱体によって、前記エアロゾル発生基体を加熱することと、
気体透過性要素によって、前記ベイパーの気流通路の中への搬送を可能にすることと、
前記気体透過性要素によって、前記凝縮した形態での前記エアロゾル発生基体の前記気流通路の中への搬送を阻止することと、
前記ベイパーを前記気流通路内のエアロゾルへと少なくとも部分的に凝縮することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム、特に、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生するエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、ユーザーが吸入するためのエアロゾルを発生する電気加熱式の喫煙システムである。電気加熱式の喫煙システムは、様々な形態で提供される。電気加熱式の喫煙システムの一つの人気があるタイプは、液体エアロゾル形成基体、またはその他の凝縮された形態のエアロゾル形成基体を気化させてエアロゾルを発生するeシガレットである。
【0003】
国際特許公開公報第2015/117702A号は、液体基体を加熱してエアロゾルを形成するエアロゾル発生システムを記載している。加熱は、加熱フィラメントのメッシュを使用して遂行される。液体は、メッシュの一方の側の上の毛細管材料によって液体貯蔵部からメッシュに搬送される。気流チャネルは、メッシュのもう一方の側の上にある。気化した液体エアロゾル形成基体は、メッシュを通過して気流チャネルの中に入る。メッシュは、毛細管材料とともに、気流チャネルの中への液滴の通過を防止するために使用される。
【0004】
しかしながら、一部の状況では、液体基体が凝縮または漏れ、結果として気流チャネルを通して吸い込まれる場合がある。これはユーザーにとって体験の低下をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書の第一の態様では、
凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持する貯蔵部と、
空気吸込み口、空気出口、それらの間に延びる気流通路、およびチャンバーを備えるハウジングと、
気流通路に概して平行に延び、発熱体の一方の側が貯蔵部と流体連通し、かつ発熱体の反対側がチャンバーと流体連通する、液体透過性の発熱体であって、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を加熱してチャンバー内にベイパーを発生するように構成される、発熱体と、
気流通路に概して平行に延び、気体透過性要素の一方の側がチャンバーと流体連通し、かつ気体透過性要素の反対側が気流通路と流体連通する気体透過性要素と、を備える、エアロゾル発生システムが提供される。
【0006】
有利なことに、気体透過性要素は、ベイパーの気流通路の中への搬送を可能にするように構成されてもよく、また凝縮した形態のエアロゾル発生基体の気流通路の中への搬送を阻止するように構成されてもよい。ベイパーは、気流通路内のエアロゾルへと少なくとも部分的に凝縮してもよい。気体透過性要素は、チャンバー内で発生したベイパーの実質的にすべてを気流通路の中へと搬送するように構成されてもよい。有利なことに、チャンバー内で発生したベイパーの実質的にすべては、気流通路内のエアロゾルへと凝縮される。
【0007】
気体透過性要素は、メッシュを含んでもよい。随意に、メッシュは疎水性であってもよい。追加的に、または別の方法として、メッシュは、随意に、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成されてもよい。
【0008】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、エアロゾル発生基体は随意にニコチンを含む。
【0009】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、ハウジングは、貯蔵部が配置されるマウスピースを備える。
【0010】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、ハウジングは、互いに離隔した関係で、液体透過性発熱体と気体透過性要素とを保持するアトマイザー組立品を備える。随意に、アトマイザー組立品は、気流通路に概して平行に延びるリッドをさらに備えてもよい。気体透過性要素は、随意にリッドと発熱体との間に配置されてもよい。随意に、リッドは、リッドの回転に応答して気流通路を遮断するように構成された突出部分を含む。追加的に、または別の方法として、随意に、リッドはさらに、キーを受容するように構成されたスロットを備えてもよい。リッドは、随意に、キーのスロットの中への係合、その後にキーの回転に応答して、回転可能であってもよい。
【0011】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、気流通路の第一の部分は、随意にマウスピース内に画定され、また気流通路の第二の部分は、アトマイザー組立品内に画定される。
【0012】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、気流通路は、随意に空気吸込み口と空気出口との間に直線で延びる。これは、単純な構築および組立を可能にし、また気流経路内の特定の場所に凝縮物が貯まる可能性を低減しうる。
【0013】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、発熱体は随意にメッシュ発熱体である。
【0014】
追加的に、または別の方法として、一部の構成では、エアロゾル発生システムは、電源および電源に接続された制御回路を備える随意の装置部分をさらに含む。装置部分は、電源から発熱体への電力供給を可能にするために、随意にハウジングに連結されてもよい。
【0015】
本明細書の別の態様の下では、エアロゾルを発生するための方法が提供される。その方法は、
貯蔵部によって、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持することと、
チャンバー内にベイパーを発生するために、液体透過性発熱体によってエアロゾル発生基体を加熱することと、
気体透過性要素によって、ベイパーの気流通路の中への搬送を可能にすることと、
気体透過性要素によって、凝縮した形態のエアロゾル発生基体の気流通路の中への搬送を阻止することと、
ベイパーを気流通路内のエアロゾルへと少なくとも部分的に凝縮することと、を含む。
【0016】
有利なことに、発熱体は、ハウジング内の気流通路に概して平行に延びてもよい。ハウジングは、空気吸込み口および空気出口、それらの間に延びる気流通路、ならびにチャンバーをさらに含んでもよい。発熱体の一方の側は、貯蔵部と流体連通していてもよく、また発熱体の反対側は、チャンバーと流体連通していてもよい。気体透過性要素は、気流通路に概して平行に延びてもよく、気体透過性要素の一方の側は、チャンバーと流体連通し、かつ気体透過性要素の反対側は、気流通路と流体連通する。方法は、本明細書に提供されるシステムを使用して適切に実施されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本システムおよび方法は、随意の特徴および構成の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。例えば、気体透過性要素がメッシュを含む場合、メッシュは、有利なことにステンレス鋼などの耐腐食性材料から形成されてもよい。メッシュは、メッシュの疎水性または撥油性を増加させる材料で被覆されてもよい。例えば、炭化ケイ素、酸化ケイ素、フルオロポリマー、酸化チタン、または酸化アルミニウムのナノコーティングが、液相堆積、気相堆積、または熱プラズマ蒸発によって、メッシュに、またはフィラメントからメッシュを形成する前のフィラメントに適用されてもよい。
【0018】
気体透過性要素が複数のフィラメントから形成されたメッシュを備える場合、フィラメントは、互いに接触するフィラメント間の角度がおよそ90°になるように、正方形の織りで配設されてもよい。しかしながら、互いに接触するフィラメント間の他の角度が使用されてもよい。互いに接触するフィラメント間の角度は、30°~90°であることが好ましい。複数のフィラメントは、織布または不織布を含んでもよい。
【0019】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を保持するための貯蔵部(基体チャンバー)を備えてもよい。エアロゾル形成基体は室温で液体であってもよい。その場合、貯蔵部は、液体貯蔵部として説明されてもよい。エアロゾル形成基体は、室温で固体などの別の凝縮した形態であってもよく、室温でゲルなどの別の凝縮した形態であってもよく、または室温で液体などの別の凝縮した形態であってもよい。エアロゾル発生要素は、少なくとも部分的に、貯蔵部と気流通路との間に提供されてもよい。
【0020】
エアロゾル発生要素は発熱体を含んでもよい。エアロゾル形成基体を加熱することは、エアロゾル形成基体から揮発性化合物をベイパーとして放出してもよい。次いで、ベイパーは、気流内(気流通路内など)で冷却されてエアロゾルを形成してもよい。
【0021】
発熱体は抵抗加熱によって動作するように構成されてもよい。言い換えれば、発熱体は、電流が発熱体を通過する時に熱を発生するように構成されてもよい。
【0022】
発熱体は誘導加熱によって動作するように構成されてもよい。言い換えれば、発熱体は、動作時に、サセプタ内に誘発された渦電流によって加熱されるサセプタを含んでもよい。ヒステリシス損失もまた、誘導加熱に寄与する場合がある。
【0023】
発熱体は伝導によりエアロゾル形成基体を加熱するように配設されてもよい。発熱体は、エアロゾル形成基体と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよい。例えば、発熱体は、貯蔵部と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよい。発熱体は対流によりエアロゾル形成基体を加熱するように配設されてもよい。特に、発熱体は、その後、エアロゾル形成基体を通過する、またはエアロゾル形成基体のそばを通る空気の流れを加熱するように構成されてもよい。
【0024】
発熱体は液体透過性(流体透過性)であってもよい。特に、発熱体は、ベイパーがエアロゾル形成基体から発熱体を通過し、チャンバーの中へと入ることを可能にする場合がある。発熱体は、チャンバーと貯蔵部との間に、またはチャンバーと貯蔵部に連結されたチャネルとの間に、またはチャンバーと貯蔵部に連結された一つ以上の搬送媒体(毛細管材料など)との間に位置付けられてもよい。発熱体は、チャンバーを貯蔵部から分離してもよく、またはチャンバーを当該チャネルから分離してもよく、またはチャンバーを当該一つ以上の搬送媒体から分離してもよい。発熱体の一方の側は、チャンバーと流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよく、また発熱体の反対側は、エアロゾル発生基体(エアロゾル形成基体)と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよい。
【0025】
一部の実施形態では、発熱体は、メッシュ、穿孔されたプレート、または穿孔された箔などの概して平面の流体透過性発熱体である。
【0026】
発熱体は、複数の導電性フィラメントから形成されたメッシュを含んでもよい。導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定してもよく、また隙間は10μm~100μmの幅を有してもよい。フィラメントは、使用時に、気化される液体エアロゾル形成基体が隙間の中へと引き出されるように隙間内に毛細管作用を生じさせて、ヒーター組立品と液体との間の接触面積を増加させることが好ましい。
【0027】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160~600個(±10%))のサイズのメッシュを形成してもよい。隙間の幅は75μm~25μmであることが好ましい。メッシュの総面積に対する隙間の面積の配分量であるメッシュの開口面積の割合率は、25~56%であることが好ましい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性フィラメントは、互いに平行に配設されたフィラメントのアレイから成る。
【0028】
導電性フィラメントは8μm~100μmの直径を有してもよく、8μm~50μmの直径を有することが好ましく、8μm~39μmの直径を有することがより好ましい。
【0029】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の面積は小さくてもよく、25mm2以下であることが好ましく、手持ち式システムへの組み込みが許容されることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物は、例えば、長方形状で、かつ5mm×2mmの寸法を有してもよい。
【0030】
導電性フィラメントは任意の適切な導電性材料を含んでもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは一つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、および316Lステンレス鋼、ならびに黒鉛である。
【0031】
ヒーター要素の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.3~4オームであることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.5~3オームであることがより好ましく、約1オームであることがより好ましい。
【0032】
システムは、発熱体に固定された電気接点を備えてもよい。電流は、例えば、ハウジングをそれに取り外し可能に連結することができる装置部分から、電気接点を通過して、発熱体へ、および発熱体から通ってもよい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、電気接点の電気抵抗より少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これは、電気接点によってではなく発熱体によって熱が発生されることを確実にする。
【0033】
エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体を、加熱以外の方法で霧化してもよい。例えば、エアロゾル発生要素は、振動膜を備えてもよく、またはエアロゾル形成基体が微細メッシュを通るよう強制してもよい。
【0034】
貯蔵部(エアロゾル形成基体のチャンバー)は、発熱体または他のエアロゾル発生要素へのエアロゾル形成基体の供給を確実にするように構成された毛細管材料またはその他の液体保持材料を備えてもよく、またはこれに連結されてもよい。
【0035】
毛細管材料は繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。毛細管材料は毛細管の束を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は概して、液体をヒーターまたはその他のエアロゾル発生要素に搬送するように整列していてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さい穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。
【0036】
毛細管材料は、発熱体の導電性フィラメントと流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)してもよい。毛細管材料は、フィラメント間の隙間の中へと延びてもよい。発熱体は、毛細管作用によって液体エアロゾル形成基体を隙間の中へと引き出してもよい。
【0037】
ハウジングは、二つ以上の異なる毛細管材料(二つ以上の搬送媒体)を収容してもよく、発熱体と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を有し、また第一の毛細管材料とは接触しているが、発熱体とは接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を有する。第一の毛細管材料は、第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に露出されないように、発熱体を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解し、かつ気体状の副産物を発生することによって質量を失い始める温度を意味する。第二の毛細管材料は、有利なことに第一の毛細管材料よりも大きな容積を占めてもよく、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた吸い出し性能を有してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料より安価であってもよく、またはより高い充填能力を有してもよい。第二の毛細管材料はポリプロピレンであってもよい。
【0038】
エアロゾル発生システムは、チャンバーを画定する内部ハウジング部を含んでもよい。内部ハウジング部は、外部ハウジング部内に受容されてもよい。外部ハウジング部は、ユーザーが吸煙して、空気吸込み口から空気出口へと気流通路を通して空気を引き出すマウスピースを含んでもよい。気体透過性要素は、内部ハウジング部上に位置付けられてもよい。気体透過性要素は、チャンバーと気流チャネルとの間に位置付けられてもよい。気体透過性要素は、チャンバーを気流チャネルから分離してもよい。気体透過性要素の一方の側は、チャンバーと流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)していてもよく、また気体透過性要素の反対側は、気流通路と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)していてもよい。気体透過性要素は、クランプ留めによって内部ハウジング部に固定されてもよい。例えば、気体透過性要素は、二つのハウジング部分の間にクランプ留めされてもよい。気体透過性要素は、オーバーモールドによって内部ハウジング部に固定されてもよい。言い換えれば、内部ハウジング部の一部分は、気体透過性要素の周りに成形されてもよい。
【0039】
エアロゾル発生システムは、一つ以上の空気吸込み口を備えてもよく、また随意に、複数の空気吸込み口を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、空気出口を備えてもよく、また随意に複数の空気出口を備えてもよい。
【0040】
エアロゾル発生システムは、外部ハウジング部を有してもよい。外部ハウジング部は、ユーザーが片手で保持するように構成されてもよい。外部ハウジング部は、プラスチック材料または金属から形成されてもよい。
【0041】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体で再充填可能であってもよい。エアロゾル形成基体は、室温で液体であってもよい。エアロゾル形成基体は室温でゲルであってもよく、または固体であってもよい。エアロゾル形成基体は、カプセルもしくは錠剤の形態で提供されてもよく、または粒子の形態で提供されてもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体であるか、またはこれを含んでもよい。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱によって放出されてもよい。
【0043】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作の動作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはこれらの混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリンなど)である。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤および水など)を含んでもよい。
【0044】
システムは、ヒーター要素および電力供給源に接続された電気回路をさらに備えてもよく、電気回路は、発熱体の電気抵抗、またはヒーター要素の一つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターするように、かつ発熱体の電気抵抗または具体的に一つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存して、電源から発熱体への電力の供給を制御するように構成されている。随意に、電気回路および電力供給源は、ハウジングをそれに取り外し可能に連結することができる装置部分内に配置することができる。
【0045】
電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、発熱体またはその他のエアロゾル発生構成要素への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後に発熱体に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなど、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。
【0046】
このシステムは電気的に作動する喫煙システムであってもよい。このシステムは手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。喫煙システムは、およそ30mm~およそ150mmの全長を有してもよい。喫煙システムは、およそ5mm~およそ30mmの外径を有してもよい。
【0047】
システムは有利なことに、ハウジングの本体内、またはハウジングの本体に連結されてもよい装置部分内に電源(典型的にはリン酸鉄リチウム電池などの電池)を備える。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要としてもよく、1回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーを蓄積できる容量を有してもよい。例えば、電力供給源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、またはヒーターの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0048】
エアロゾル発生システムは、カートリッジおよび装置部分を備えてもよく、カートリッジは使用時に装置部分に連結される。カートリッジは、エアロゾル形成基体、チャンバー、および発熱体または他のエアロゾル発生要素を備えてもよい。装置部分は、電源および電源に接続された制御回路を備えてもよい。装置部分はカートリッジに連結されて、電源からエアロゾル発生要素への電力の供給を可能にする。
【0049】
カートリッジは空気出口を備えてもよい。カートリッジは、凝縮された形態でのエアロゾル発生基体を保持する貯蔵部を備えてもよい。カートリッジはハウジングを備えてもよい。カートリッジは、液体透過性発熱体を備えてもよい。カートリッジは、気体透過性要素を備えてもよい。カートリッジがチャンバーを備えてもよい。カートリッジは内部ハウジング部および外部ハウジング部を備えてもよい。装置部分は、内部ハウジング部もしくは外部ハウジング部、またはその両方と係合する装置ハウジングを備えてもよい。気流通路は、カートリッジおよび装置部分を通って延びてもよく、またはカートリッジ部分のみを通って延びてもよい。
【0050】
電気接点はカートリッジ内にあってもよく、また装置部分上の対応する電気接点と係合してもよい。
【0051】
本明細書に提供される構成は、数多くの利点を提供する。特に、本構成は、エアロゾル発生システムから、またはエアロゾル発生システム内のカートリッジからの液体の漏れを低減することができる。チャンバーの提供は、例えば、液体透過性発熱体を通して漏れる場合での凝縮した形態にあるエアロゾル発生基体をその中に収集してもよい場所を提供する。気体透過性要素の提供は、収集された凝縮した形態でのエアロゾル発生基体の気流通路の中への搬送を阻止する。本開示の主題はまた、頑丈かつ製造が単純なシステムも提供する。
【0052】
ここで本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの概略図である。
図2図2は、ある特定の要素が部分的に透明で示された、本発明の実施形態によるカートリッジの斜視図である。
図3図3は、図2のカートリッジを通る断面図である。
図4図4は、図2のカートリッジの分解組立図である。
図5図5は、本発明の別の実施形態によるカートリッジおよびキーの斜視図である。
図6図6は、ある特定の要素が部分的に透明で示された、図5のカートリッジの斜視図である。
図7A図7Aは、閉位置にある図5のカートリッジを通る断面である。
図7B図7Bは、開位置にある図5のカートリッジを通る断面である。
図8図8は、図5のカートリッジの分解組立図である。
図9図9は、本発明によるエアロゾルを発生するための方法における動作の流れを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システム100の概略図である。エアロゾル発生システムは、ユーザーの吸入のためのエアロゾルを発生するように構成された手持ち式喫煙システムである。特に、図1に示すシステムは、ニコチンおよび風味化合物を含有するエアロゾルを発生する喫煙システムである。
【0055】
図1のシステム100は、装置部分10およびカートリッジ20の二つの部分を備える。使用時に、カートリッジ20は装置部分10に取り付けられる。
【0056】
装置部分10は、再充電可能電池12および電気制御回路13を保持する装置ハウジング11を備える。再充電可能電池12は、リン酸鉄リチウム電池である。制御回路13は、プログラマブルマイクロプロセッサおよび気流センサーを備える。随意に、装置部分10は、装置部分空気吸込み口15と、装置部分空気出口16と、それらの間に延びる装置部分気流通路14とを含む。
【0057】
カートリッジ20(そしてそれ故にシステム100)は、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持する貯蔵部23と、空気吸込み口25、空気出口26、それらの間に延びる気流通路24、およびチャンバー33を備えるハウジング21と、気流通路24に概して平行に延びる液体透過性発熱体32(または他のエアロゾル発生要素)と、気流通路24に概して平行に延びる気体透過性要素34と、を含むことができる。図1に図示した構成では、発熱体32の一方の側は、貯蔵部23と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)し、また発熱体32の反対側は、チャンバー33と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)している。例えば、発熱体32は、貯蔵部23と直接接触することができ、またはチャネルまたは搬送媒体31を介して貯蔵部23と間接的に接触することができる。発熱体32は、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を加熱して、本明細書のいずれかに記載されるような様態でチャンバー33内にベイパーを発生するように構成することができる。気体透過性要素34の一方の側は、チャンバー33と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)することができ、また気体透過性要素34の反対側は、気流通路24と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)することができる。気体透過性要素34は、ベイパーの気流通路24の中への搬送を可能にするように構成することができ、また凝縮された形態のエアロゾル発生基体の気流通路34の中への搬送を阻止するように構成することができる。ベイパーは、気流通路24内で少なくとも部分的にエアロゾルへと凝縮する。
【0058】
カートリッジ20は、例えば、スナップ嵌め接続によって装置ハウジング11に解放可能に取り付けられるカートリッジハウジング21を備える。カートリッジハウジング21は、エアロゾル発生要素を保持し、これは、一つの構成では発熱体32であるか、または発熱体32を含む。発熱体32は、例えば、抵抗発熱体であってもよく、または抵抗発熱体を含んでもよい。電力は、制御回路13の制御下で、電池12から発熱体に提供されてもよい。こうした電力は、電池12から、金属(複数可)などの任意の適切な導電性材料の組み合わせを経由して、発熱体32まで伝導することができる。
【0059】
カートリッジ20はまた、凝縮した形態にあるエアロゾル形成基体も貯蔵部(基体チャンバー)23内に保持する。一部の構成では、貯蔵部23は、側壁22およびカートリッジハウジング21によって境界がつけられ、またチャネルまたは一つ以上の搬送媒体を介してヒーター32に流体的に連結される。この例では、エアロゾル形成基体は、室温で液体混合物であり、またニコチン、風味、エアロゾル形成体(グリセロールまたはプロピレングリコールなど)、および水を含む。しかしながら、当然のことながら、任意のその他の適切な凝縮した形態のエアロゾル形成基体を使用することができる。一部の構成では、一つ以上の搬送媒体(一つ以上の毛細管材料31など)を、基体チャンバー23内に提供することができ、また重力に対するシステム100の配向に関係なく、エアロゾル形成基体の発熱体32への送達を促進するように配設することができる。
【0060】
気流通路14、24を備える気流通路全体は、システムを通して画定される。この例では、気流通路の一部分24はカートリッジ20を通り、また気流通路の一部分14は装置部分10を通る。制御回路13に含まれる気流センサーは、装置部分内の気流通路の部分14を通る気流を検出するように位置付けられている。システム100の気流通路は、空気吸込み口15から空気出口26へと延びる。装置部分10内で、装置部分の気流通路14は、装置部分の空気吸込み口15から装置部分の空気出口16へと延びる。カートリッジ20内で、気流通路24は、空気吸込み口25から空気出口26へと延びる。空気出口26は、カートリッジ20のマウスピース端にある。ユーザーがカートリッジ20のマウスピース端を吸煙するとき、カートリッジ20内の空気は、空気吸込み口25から、気流通路24を通して、空気出口26へと引き出される。
【0061】
図1に図示する構成では、ヒーター32は概して平面状であり、かつチャネルまたは一つ以上の毛細管材料31とチャンバー33との間に位置付けられ、また気体透過性要素34は概して平面状であり、チャンバー33と気流通路24との間に位置付けられる。ヒーター32および気体透過性要素34は、実質的に互いに平行に配設することができ、かつ/またはチャンバー33によって互いから離隔することができる。動作時、発熱体32は、加熱によって、エアロゾル形成基体を気化して、ベイパーを形成する。ベイパーは、チャンバー33の中へとメッシュ発熱体32を通過することができる。気体透過性要素34は、気流通路24の中へのベイパーの搬送を許容する。ベイパーは、気流通路24を通って流れる空気内に同伴され、冷却されて、空気出口26を通ってシステムを出る前にエアロゾルを形成する。
【0062】
気体透過性要素34は、メッシュを備えることができる。気体透過性要素34(例えば、メッシュ)は、特定の直径より大きい直径を有する液滴がチャンバー33を離れるのを阻止し、それ故にこうした液滴が気流通路24に入るのを阻止する。その結果、気体透過性要素34は、凝縮された形態のエアロゾル発生基体の気流通路24の中への搬送を阻止することができ、それ故にユーザー体験を改善することができる。
【0063】
この実施例では装置部分10およびカートリッジ20から成るシステム100は、細長く、その幅またはその厚さより著しく大きい長さを有する。マウスピース端は、システム100の長さの一方の端にあり、例えば、空気出口26を備える端に位置することができる。この形状は、システムを使用するときに、ユーザーがシステム100を片手で快適に保持することができるようにする。システム100の長さは、長軸方向に延びているとも言える。要素14、24を含む気流通路は、気体透過性要素34を通り過ぎて長軸方向に延びる。流体透過性発熱体32および気体透過性要素34は、各々独立して、概して平面状であってもよく、また長軸方向と平行に延びる。発熱体32および気体透過性要素は、各々独立して、その長さが長軸方向に延びて、細長くてもよい。この配設は、比較的大きい表面積を有する発熱体および気体透過性要素を、スリムで保持しやすいシステム内に適合することを可能にする。
【0064】
動作時、発熱体32は、制御回路13によって、ユーザーの吸煙中にのみ起動されてもよく、または、例えば、装置部分10内のスイッチを介してシステム100がスイッチオンされ、かつ制御回路13に動作可能に連結された後、連続的に起動されてもよい。第一の事例では、流れセンサー(制御回路13の一部であり、具体的には図示されていない)が、閾値気流速度を上回る装置部分の気流通路14を通る気流を検出する場合に、ユーザーの吸煙が検出される。流れセンサーの出力に応答して、制御回路13は発熱体32に電力を供給する。発熱体32への電力供給は、ユーザーの吸煙の検出後に所定の期間だけ提供されてもよく、または流れセンサーからの信号に基づいて、および/または発熱体の温度もしくは抵抗の尺度などの制御回路13によって受信される他の入力に基づいて、スイッチオフ条件が満たされるまで制御されてもよい。一実施例では、発熱体32は、ユーザーの吸煙の検出後3秒間、6ワットの電力で供給される。発熱体32に電力が供給されるときに、発熱体は加熱する。十分に高温であるときに、発熱体32に近接している液体エアロゾル形成基体は気化され、チャンバー33に入り、そこから気体透過性要素34を通して搬送される。
【0065】
第二の事例では、発熱体32には、システム100の起動後、制御回路13によって、動作中連続的に電力が供給される。起動は、ボタンを押すこと、または別の方法で制御回路13と動作可能な通信状態にあるスイッチを起動するなどの、システムへのユーザー入力に基づいてもよい。一実施形態では、発熱体32には、ユーザーの吸煙にかかわらず、装置の起動後に3.3ワットの電力が供給される。この場合でも、これは、測定された発熱体の温度または抵抗などの、制御回路13への他の入力に基づいて調整されてもよい。システムは、起動後、所定の時間後に、またはさらなるユーザー入力に基づいて、スイッチオフされてもよい。
【0066】
別の代替として、ハイブリッド電源スキームを使用してもよく、この場合、ユーザーによる吸煙と吸煙の間に、より低い電力(3.3ワットなど)が供給されるが、各ユーザーの吸煙の検出の後に、より高い電力(7ワットなど)が2秒間供給される。これは、より大きい量のエアロゾルの発生をもたらす場合がある。
【0067】
発生したベイパーは、発熱体32を通過してチャンバーの中へと入り、そこから気体透過性要素34を通して搬送され、そしてその後、気流通路24を通して気流内に同伴される。ベイパーは気流内で冷却されて、エアロゾルを形成する。エアロゾルは空気出口26を通過して、ユーザーの口の中へと入る。
【0068】
毛細管材料または他の搬送媒体31を含む構成では、発熱体32によって気化されるエアロゾル発生基体(例えば、液体またはゲル)の凝縮した形態は、毛細管材料31を離れる。この凝縮された形態(例えば、液体またはゲル)は、基体チャンバー23内に依然として残っている凝縮した形態(例えば、液体またはゲル)によって置き換えられ、そのため次のユーザーの吸煙のために準備が整っている発熱体に近接する凝縮された形態(例えば、液体またはゲル)がある。
【0069】
気化したエアロゾル形成基体のすべてが、ユーザーの吸煙によってシステム100から引き出されていない可能性がある。その場合、エアロゾル形成基体は、凝縮してチャンバー33内に大きい液滴を形成する場合がある。また、システムの使用中またはシステムの使用と使用との間に、一部の液体が気化されることなく発熱体32を通過する可能性がある場合もある。気体透過性要素34は、凝縮した形態のエアロゾル発生基体の気流通路24の中への搬送を阻止するため、凝縮した形態のエアロゾル発生基体の大きい液滴またはより大きい量は、気流通路24および空気出口26を経由してユーザーの口の中へと引き込まれない場合があり、それ故にユーザー体験を改善する場合がある。例えば、大きい液滴は、ユーザーの口に達した場合、ユーザーに対して不快な体験を提供する場合がある。気体透過性要素34は、それ故にユーザーと装置部分10内の制御回路13および電池12との両方を、カートリッジ20からの液体の漏れから保護する。気体透過性要素34は、1層のメッシュを備えてもよく、または2層以上のメッシュを備えてもよい。層は、異なるサイズを有してもよい。
【0070】
図2は、ある特定の要素が部分的に透明で示された、本発明の実施形態によるカートリッジ220の斜視図である。図3は、図2のカートリッジ220を通る断面図である。図4は、図2のカートリッジ220の分解組立図である。
【0071】
図2図4に図示するカートリッジ220は、外部ハウジング221および内部ハウジング231を備える。外部ハウジング221は、気流通路224、空気出口226、貯蔵部223、およびスロット241を含む。内部ハウジング231は、外部ハウジング221内に内部ハウジング231を係止し、かつ正常な使用中に貯蔵部223へのアクセスまたは貯蔵部223の漏れを阻止するように、スロット241へとしっかりと係合するように構成されたタブ242を含む。内部ハウジング231は、外部ハウジング221の気流通路224の中へと延び、かつ、例えば、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体の貯蔵部223から気流通路224への漏れを阻止するぴったりとした滑り嵌め係合またはその他の適切な係合などで係合する突出部238を含む。
【0072】
内部ハウジング231は、第一の毛細管材料および第二の毛細管材料(二つ以上の搬送媒体)239、235、要素232、237を含むヒーター組立品、気体透過性要素234、および内側リッド236を保持する。ヒーター組立品は、液体透過性発熱体232を支持するヒーターマウント237を備える。内部ハウジング231は、毛細管材料239、235をヒーターマウント237内に保持し、かつ発熱体232と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)する。カートリッジ220はまた、カートリッジの装置部分端(マウスピース端の反対側)で、メッシュ発熱体とカートリッジの外部表面の間に延びる電気接点要素240も備える。電気接点要素240は、制御回路(例えば、制御回路13)の制御下で、電池(例えば、電池12)によって発熱体232への電力供給を可能にするために、システムの装置部分(例えば、図1を参照しながら上述した装置部分10と類似して構成される)上の対応する電気接点と接する。気体透過性要素234は、内部ハウジング231の内部表面内に嵌合し、かつ係合するリッド236によって、例えば、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体の漏れをリッド236の外側側壁の周りで阻止するぴったりとした滑り嵌め係合または他の適切な係合で、内部ハウジング231内のヒーター組立品にクランプ留めされる。気流通路224は、内部ハウジング231および外部ハウジング221を通して、空気吸込み口225と空気出口226との間に画定される。空気吸込み口225を、例えば、図1を参照しながら説明した装置部分10の空気吸込み口25の空気出口16への連結に類似した様態で、装置部分の空気出口に連結することができる。ヒーター232と気体透過性要素234との間の空間は、チャンバー233を画定する。内部ハウジング231と外部ハウジング221との間に液密シールを提供するために、エラストマーシール要素243が提供されている。
【0073】
一つの例示的な構成では、気体透過性要素のメッシュ234は、約50μmの直径を有するステンレス鋼ワイヤで作製される。メッシュの開口部は、約100μmの直径を有する。メッシュは、炭化ケイ素で被覆することができる。
【0074】
追加的に、または別の方法として、発熱体232のメッシュはまた、ステンレス鋼からも形成することができ、約400メッシュUS(1インチ当たり約400フィラメント)のメッシュサイズを有することができる。フィラメントはおおよそ16μmの直径を有することができる。メッシュを形成するフィラメントは、フィラメント間の隙間を画定することができる。この例では、隙間はおおよそ37μmの幅を有するが、より大きいまたはより小さい隙間が使用されてもよい。これらのおよその寸法のメッシュを使用することは、隙間内にエアロゾル形成基体のメニスカスを形成すること、およびヒーター組立品のメッシュが毛細管作用によってエアロゾル形成基体を引き出すことを可能にする。発熱体メッシュの開口面積、すなわち、隙間の面積のメッシュの総面積に対する比は、有利なことに25~56%である。ヒーター組立品の総電気抵抗はおおよそ1オームである。
【0075】
内部ハウジング231および外部ハウジング221は、金属または頑丈なプラスチック材料から形成されてもよい。同様に、ヒーターマウント237および/またはリッド236は耐熱性のプラスチック材料から形成されてもよい。
【0076】
図2図4のカートリッジは、組立が単純である。内部ハウジング231の組立品、毛細管材料(複数可)239、235、要素232、237を含むヒーター組立品、気体透過性要素234、リッド236、およびシール要素243は、アトマイザー組立品として記述されてもよい。アトマイザー組立品は、最初に組み立てられる。次いで、アトマイザー組立品は、外部ハウジング221の中へと押し込まれる。内部ハウジング231上の一対の突出部242は、外部ハウジング221上の対応する開口またはスロット241の中へとパチンと嵌まって、内部ハウジングを外部ハウジングへと固定する。エアロゾル形成基体を保持するチャンバー223は、内部ハウジングおよび外部ハウジング231、221の両方によって画定することができる。外部ハウジング221は、アトマイザー組立品が取り付けられる前に、液体(または別の凝縮相)エアロゾル形成基体を収容してもよい。あるいは、エアロゾル形成基体チャンバーは、アトマイザー組立品が外部ハウジングへと取り付けられた後に、充填ポート(図示せず)を通して充填されてもよい。
【0077】
図2図4のカートリッジは、図1に関連して説明した様態で動作する。
【0078】
図5は、本発明の別の実施形態によるカートリッジ520およびキー560の斜視図である。図6は、ある特定の要素が部分的に透明で示された、図5のカートリッジの斜視図である。図7Aは、閉位置にある図5のカートリッジを通る断面である。図7Bは、開位置にある図5のカートリッジを通る断面である。図8は、図5のカートリッジの分解組立図である。
【0079】
図5図8に図示したカートリッジ520は、図2図4を参照しながら説明したカートリッジ220と多くの点で類似している。例えば、図5図8に図示するカートリッジ520は、外部ハウジング521および内部ハウジング531を備える。外部ハウジング521は、気流通路524と、空気出口526と、貯蔵部523と、スロット541とを含む。内部ハウジング531は、外部ハウジング521内に内部ハウジング531を係止し、かつ正常な使用中の貯蔵部523へのアクセスまたは貯蔵部523の漏れを阻止するように、スロット541へとしっかりと係合するように構成されたタブ542を含む。内部ハウジング531は、外部ハウジング521の気流通路524の中へと延び、かつ、例えば、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体の貯蔵部523から気流通路524への漏れを阻止するぴったりとした滑り嵌め係合またはその他の適切な係合で係合する突出部538を含む。
【0080】
図2図4を参照しながら説明したものと類似して、カートリッジ520の内部ハウジング531は、第一の毛細管材料および第二の毛細管材料(二つ以上の搬送媒体)539、535と、ヒーター組立品と、気体透過性要素534と、リッド536と、を保持する。ヒーター組立品は、液体透過性発熱体532を支持するヒーターマウント537を備える。内部ハウジング531は、毛細管材料539、535をヒーターマウント537内に保持し、例えば、本明細書のいずれかで説明されるものと類似して、発熱体532と直接的または間接的に接触して、流体連通する。カートリッジ520はまた、カートリッジの装置部分端(マウスピース端の反対側)において、メッシュ発熱体とカートリッジの外部表面との間に延びる電気接点要素540も備える。電気接点要素540は、制御回路(例えば、制御回路13)の制御下で、電池(例えば、電池12)によって発熱体532への電力供給を可能にするために、システムの装置部分(例えば、図1を参照しながら上述した装置部分10と類似して構成される)上の対応する電気接点と接する。ヒーター532と気体透過性要素534との間の空間は、チャンバー533を画定する。内部ハウジング531と外部ハウジング521との間に液密シールを提供するために、エラストマーシール要素543が提供される。
【0081】
気体透過性要素534は、内部ハウジング531の内部表面内に嵌合し、かつ係合するリッド536によって、例えば、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体の漏れをリッド536の外側側壁の周りで阻止するぴったりとした滑り嵌め係合または他の適切な係合で、内部ハウジング531内のヒーター組立品にクランプ留めされる。図5図8に示す構成では、リッド536は回転可能であり、それ故に動きの自由度をより多く許容するように、図2図4を参照しながら説明したリッド236の嵌合よりもいくらかぴったりとしていないように適切に嵌合していてもよい。シールリング538は、リッド536の側壁の周りのエアロゾル発生基体の漏れを阻止するために液密シールを維持する一方で、リッド536の回転移動の自由度を促進するように構成することができる。
【0082】
図5図8に図示したリッド536は、ユーザーによるキー560との係合および回転に応答して、内部ハウジング531および外部ハウジング521を通る気流通路524が、空気吸込み口525と空気出口526との間で開閉するよう構成される。より具体的には、空気吸込み口525を、例えば、図1を参照しながら説明した装置部分10の空気吸込み口55の空気出口16への連結に類似した様態で、装置部分の空気出口に連結することができる。キー560上の突出部563、564はそれぞれ、外側ハウジング521内に画定される開口部561、562を介してリッド536内に画定されるスロット565、566と係合する。第一の方向にキー560を回転すること(例えば、時計回りまたは反時計回り)に応答して、リッド536の突出部分567は、図7Aに示すような様態で空気吸込み口525と空気出口526との間の空気の流れを遮断するように、気流経路524内に延びることができ、それ故に、喫煙のような体験のためのシステムの使用を無効化することができる。第二の方向にキー560を回転すること(例えば、反時計回りまたは時計回り)に応答して、リッド536の突出部分567は、気流経路524から外れるように格納され、図7Bに示すような様態で、空気吸込み口525と空気出口526との間の空洞567を通る空気の流れが可能になり、それ故に、喫煙のような体験のためのシステムの使用を有効化する。アトマイザー組立品内の空洞568は、空気吸込み口525と空気出口526との間の気流通路の第一部を形成すると見なすことができ、ハウジング521は、空気吸込み口515と空気出口526との間の気流通路の第二部を形成すると見なすことができる。それ故に、ユーザーは、キー560をカートリッジ520と係合し、気流通路524を開閉するようにキーを回転させることによって、システムの有効化または無効化を制御することができ、また所望の有効化または無効化された状態でシステムを固定するようにキー560を取り外すことができる。
【0083】
随意に、開口部561、562の端の位置は、ユーザーが回転するキー560が、選択された位置の範囲(例えば、図7Aに示すような単一の閉位置と図7Bに示すような単一の開位置との間)を通してのみリッド536を回転させることができるように、リッド536の回転限界を画定することができる。一つの構成では、開口部561、562は、キー560を使用してリッド536を約90度だけ回転させることができるように構成される。
【0084】
カートリッジ520のその他の構成要素は、図2図4を参照しながら説明した対応する構成要素として類似して構成することができ、またカートリッジ520は、リッド536の上部内に画定された凹部の中へとシールリング538を押し込むことを加えて、図2図4を参照しながら説明したのと類似して組み立てることができる。図5図8のカートリッジは、図1に関連して説明した様態で動作する。
【0085】
図9は、本発明によるエアロゾルを発生するための方法90における動作の流れを図示する。方法90の動作は、図1を参照しながら説明したシステム100を使用して、図2図4を参照しながら説明したカートリッジ220を用いて、かつ/または図5図8を参照しながら説明したカートリッジ520を用いて実施されてもよい。
【0086】
図9に図示した方法90は、貯蔵部によって、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持すること(動作91)を含む。例えば、カートリッジ20の貯蔵部23、カートリッジ220の貯蔵部223、またはカートリッジ520の貯蔵部523は、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体を保持することができる。凝縮した形態は、固体、ゲル、または液体を含むことができる。一つの非限定的な実施例では、エアロゾル発生基体は液体であるか、または液体を含む。
【0087】
図9に図示する方法90はまた、液体透過性発熱体によって、エアロゾル発生基体を加熱してチャンバー内にベイパーを発生すること(動作92)も含む。例えば、カートリッジ20のヒーター32は、貯蔵部23から受容されたエアロゾル発生基体を加熱し、それ故にチャンバー33内にベイパーを発生させることができる。別の実施例として、カートリッジ220のヒーター232は、貯蔵部223から受容されたエアロゾル発生基体を加熱し、それ故にチャンバー233内にベイパーを発生させることができる。別の実施例として、カートリッジ520のヒーター532は、貯蔵部523から受容されたエアロゾル発生基体を加熱し、それ故にチャンバー533内にベイパーを発生させることができる。しかしながら、注目すべきは、動作92は、例えば、本明細書のいずれかに記載されるものなどの、加熱以外の動作を使用してチャンバー内にベイパーを発生させるように、適切に修正されてもよいことである。
【0088】
図9に図示する方法90はまた、気体透過性要素によって気流通路の中へのベイパーの搬送を可能にすること(動作93)も含む。例えば、気体透過性要素34は、チャンバー33から気流通路24の中へのベイパーの搬送を可能にすることができる。別の実施例として、気体透過性要素234は、チャンバー233から気流通路224の中へのベイパーの搬送を可能にすることができる。また別の実施例として、気体透過性要素534は、チャンバー533から気流通路524の中へのベイパーの搬送を可能にすることができる。
【0089】
図9に図示される方法90はまた、気体透過性要素によって、凝縮した形態でのエアロゾル発生基体の気流通路の中への搬送を阻止すること(動作94)も含む。例えば、気体透過性要素34は、チャンバー33から気流通路24の中への液滴またはより大きい量のエアロゾル発生基体の搬送を阻止することができる。別の実施例として、気体透過性要素234は、チャンバー233から気流通路224の中への液滴またはより大きい量のエアロゾル発生基体の搬送を阻止することができる。また別の実施例として、気体透過性要素534は、チャンバー533から気流通路524の中への液滴またはより大きい量のエアロゾル発生基体の搬送を阻止することができる。
【0090】
図9に図示する方法90はまた、気流通路内のベイパーをエアロゾルへと少なくとも部分的に凝縮すること(動作95)も含む。例えば、気体透過性要素34が気流通路24の中への搬送を許容するベイパーは、こうした通路の中へと搬送された後、エアロゾルへと凝縮することができる。または、例えば、気体透過性要素234が気流通路224の中への搬送を許容するベイパーは、こうした通路の中へと搬送された後、エアロゾルへと凝縮することができる。または、例えば、気体透過性要素534が気流通路524の中への搬送を許容するベイパーは、こうした通路の中へと搬送された後、エアロゾルへと凝縮することができる。
【0091】
随意に、発熱体(例えば、32、232、または532)、または動作92で使用される他のエアロゾル発生要素は、ハウジング(例えば、21、221、521)内の気流通路(例えば、24、224、524)に概して平行に延びることができる。随意に、ハウジング(例えば、21、221、521)は、空気吸込み口(例えば、25、225、525)および空気出口(例えば、26、226、526)をさらに備えることができ、気流通路はそれらの間に延びる。随意に、チャンバー(例えば、33、233、533)を、ハウジング(21、221、521)内に配置することができる。随意に、発熱体の一方の側(例えば、32、232、または532)は、貯蔵部(例えば、23、223、523)と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)することができ、また発熱体の反対側は、チャンバー(例えば、33、233、533)と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)することができる。
【0092】
追加的に、または別の方法として、動作93および94で使用される気体透過性要素(例えば、34、234、534)は、気流通路(例えば、24、224、524)と平行に随意に延びる。随意に、気体透過性要素(例えば、34、234、または534)の一方の側は、チャンバー(例えば、33、233、533)と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)することができ、また気体透過性要素の反対側は、気流通路(例えば、24、224、524)と流体連通(例えば、直接的または間接的に接触)することができる。
【0093】
こうした選択肢を含む例示的な構成は、図1図2図4、および図5図8を参照しながら提供される。
【0094】
随意に、気体透過性要素(例えば、34、234、534)は、メッシュを備える。メッシュは随意に疎水性である。追加的に、または別の方法として、メッシュは、随意に、約10μm~100μmの直径を有するワイヤから形成される。追加的に、または別の方法として、エアロゾル発生基体は、随意にニコチンを含む。追加的に、または別の方法として、ハウジング(例えば、21、221、521)は、貯蔵部(例えば、23、223、523)がその中に配置されるマウスピース(21、221、521の遠位端)を備える。追加的に、または別の方法として、システムは、液体透過性発熱体(例えば、32、232、または532)および気体透過性要素(例えば、34、234、534)を互いに離隔した関係で保持するアトマイザー組立品をさらに備える。随意に、アトマイザー組立品は、気流通路に概して平行に延びるリッド(例えば、36、236、または536)をさらに備え、気体透過性要素(例えば、34、234、534)は、リッドと発熱体との間に配置される。随意に、リッドは、リッドの回転に応答して気流通路(例えば、24、224、524)を遮断するように構成された突出部分(567)を含む。追加的に、または別の方法として、リッドは、随意にキー(560)を受容するように構成されたスロット(例えば、561、562)をさらに含み、リッドは、スロットへのキーの係合に応答して回転可能であり、キーの回転がその後に続く。追加的に、または別の方法として、気流通路の第一の部分は、随意にマウスピース(例えば、21、221、521の遠位端)内に画定され、また気流通路の第二の部分は、アトマイザー組立品内に画定される。追加的に、または別の方法として、気流通路は、随意に空気吸込み口(例えば、25、225、525)と空気出口(例えば、26、226、526)との間で直線状に延びる。追加的に、または別の方法として、発熱体(例えば、32、232、532)は、随意にメッシュ発熱体である。追加的に、または別の方法として、システムは、随意に、電源(例えば、12)と、電源に接続された制御回路(例えば、13)とを備える装置部分(例えば、10)をさらに含み、装置部分は、ハウジング(例えば、21、221、521)に連結されて、電源から発熱体(例えば、32、232、532)への電力供給を可能にする。
【0095】
説明される実施例では、液体透過性ヒーターおよび気体透過性要素の両方がカートリッジ内にある。しかしながら、こうした要素のいずれかのまたはその両方が、例えば、装置部分内に位置付けられる可能性があることは明らかであろう。また、気流チャネル、そして特に霧化チャンバーの形状およびサイズが、ユーザーに送達されるエアロゾルの特定の所望の特性を提供するように改変されてもよいことも明らかであろう。
【0096】
説明された実施例のある特定のものは液体エアロゾル形成基体を使用するが、気体透過性要素の提供は他の形態のエアロゾル形成基体を使用するシステムでも有益であることが明らかであろう。室温で固体またはゲルであるエアロゾル形成基体は、依然として、霧化チャンバー内で液体状へと凝縮する揮発性構成成分を放出する場合がある。例えば、エアロゾル形成基体はゲルタブレットとして提供されてもよい。エアロゾル形成基体は、粒子状のたばこまたは刻みたばこを含んでもよい。
【0097】
また、本実施例は、エアロゾルを形成するための抵抗発熱体の使用を説明するが、気体透過性要素の提供が、誘導加熱発熱体などの異なる種類の発熱体を使用して動作するシステムにおいても有益であることが明らかであろう。発熱体は、エアロゾル形成基体とチャンバーとの間に位置付けられた流体透過性発熱体である必要はない。発熱体は、エアロゾル形成基体チャンバーの壁を加熱してベイパーを発生するオーブンヒーターであってもよい。ベイパーは、気流通路へと気体透過性要素を通過してもよい。気体透過性要素の提供は、加熱以外の手段によってエアロゾルを形成するシステムに対してさらに有益である場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9