(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】飲用装置
(51)【国際特許分類】
B65D 85/72 20060101AFI20240527BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65D85/72 200
A47J41/00 304B
(21)【出願番号】P 2021535874
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2019080708
(87)【国際公開番号】W WO2020126210
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】102018222299.1
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520020524
【氏名又は名称】エアー アップ グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ユングスト,マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】コッピツ,ヤニス
(72)【発明者】
【氏名】シュラング,ファビアン
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202016004961(DE,U1)
【文献】特開2000-085777(JP,A)
【文献】特開2008-150056(JP,A)
【文献】独国実用新案第202018000382(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/72
A47J 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香物質の鼻腔後方知覚のための飲用装置であって、
飲用液体のための貯蔵容器と、
前記貯蔵容器上に固定可能であり、口端を有するヘッドパーツと、
交換可能な芳香容器であって、空気を流すことができ、前記ヘッドパーツ上に固定可能である、芳香容器と、
前記ヘッドパーツに固定される飲用ストローであって、前記飲用ストローは、
前記飲用液体のための移送チャネルであって、前記貯蔵容器から前記ヘッドパーツの前記口端に向かって延在する、移送チャネル、及び、
芳香化した空気を移送するための空気チャネルであって、前記芳香容器から前記ヘッドパーツの前記口端に向かって延在する、空気移送チャネルを有する、飲用ストローと、
を備え
、
前記芳香容器は環状の芳香チャンバを有し、
前記芳香チャンバは芳香物質を含む液体を含有するキャリア物質を有し、
前記芳香チャンバは内周表面、外周表面、上面及び下面を有し、
前記内周表面は、非円形の断面を有し、
前記芳香容器は、流入空気のための少なくとも1つの第1開口と、流出空気のための少なくとも1つの第2開口と、を備える、
飲用装置。
【請求項2】
前記交換可能な芳香容器は、前記ヘッドパーツに関して、封止位置から非封止位置へと軸方向において、移動可能である、
請求項1記載の飲用装置。
【請求項3】
前記飲用液体のための前記貯蔵容器の内部へ至る空気供給ラインを閉鎖する圧力均等化チャネルをさらに備える、
請求項1又は2記載の飲用装置。
【請求項4】
前記ヘッドパーツは、前記貯蔵容器の長手軸に関してある角度で配置されている、
請求項1乃至3いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項5】
前記ヘッドパーツは、前記貯蔵容器の長手軸に関して20°と30°との間の角度で傾斜している、
請求項4記載の飲用装置。
【請求項6】
前記飲用ストローは、長手方向における部分的湾曲部を有する
請求項1乃至5いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項7】
蓋をさらに有する、
請求項1乃至6いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項8】
前記蓋は、前記飲用装置の前記ヘッドパーツ上にねじ止め可能に構成されている、
請求項7記載の飲用装置。
【請求項9】
前記蓋は、運搬ストラップを取り付けるための受容手段を有し、前記受容手段は、前記運搬ストラップの1つ以上の舌片と協働する溝を有し、前記溝はテーパ状である、
請求項7又は8記載の飲用装置。
【請求項10】
前記口端を封止するように構成された、一体的に成形された封止プラグ、
前記蓋の内周上の複数のフィンであって、前記蓋が閉じた状態で、前記ヘッドパーツの表面の外縁を平らに押圧し、したがって圧力均等化チャネルを封止する、複数のフィン、及び
前記蓋が前記ヘッドパーツにねじ込まれている間に、前記芳香容器を遮断位置に移動させる環状ショルダ、のうちの1つ以上をさらに備える、
請求項7乃至9いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項11】
前記ヘッドパーツは、前記空気チャネルと連通する空気チャンバであって、前記ヘッドパーツと前記飲用ストローとの間の空間として形成された空気チャンバを有する、
請求項1乃至10いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項12】
前記空気チャンバ内に複数の安定化フィンを備える、
請求項11記載の飲用装置。
【請求項13】
前記ヘッドパーツの前記口端の内側に、開口内の異なる領域を互いに区切るシーリングリップをさらに備える、
請求項1乃至12いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項14】
前記ヘッドパーツは、ストッパをさらに備え、前記ストッパは、作動位置に押し上げられた際に、前記芳香容器の軸方向の動きを制限するように構成されている、
請求項1乃至13いずれか1項記載の飲用装置。
【請求項15】
前記ストッパは、円周方向の空洞によって内側に柔軟な構造を有する、
請求項14記載の飲用装置。
【請求項16】
芳香物質の鼻腔後方知覚のための、
飲用装置のための芳香容器であって、
前記飲用装置は、
飲用液体のための貯蔵容器と、
前記貯蔵容器上に固定可能であり、口端を有するヘッドパーツと、
交換可能な芳香容器であって、空気を流すことができ、前記ヘッドパーツ上に固定可能である、芳香容器と、
前記ヘッドパーツに固定される飲用ストローであって、前記飲用ストローは、
前記飲用液体のための移送チャネルであって、前記貯蔵容器から前記ヘッドパーツの前記口端に向かって延在する、移送チャネル、及び、
芳香化した空気を移送するための空気チャネルであって、前記芳香容器から前記ヘッドパーツの前記口端に向かって延在する、空気移送チャネルを有する、飲用ストローと、
を備え、
前記芳香容器は、
芳香物質を含む液体を含有するキャリア物質を有する、
環状の芳香チャンバを備え、
前記芳香チャンバは、内周表面、外周表面、上面及び下面を含む壁によって、取り囲まれており、
前記内周表面は、非円形の断面を有し
前記芳香容器が前記内周表面に相補的に成形された構成要素上で単一の回転方向にのみ置かれることができるように、かつ、前記上面に対して
垂直な軸方向において、前記構成要素に関してシフトされることができるように、成形されており、
前記芳香容器はさらに、
流入空気のための少なくとも1つの第1開口と、
流出空気のための少なくとも1つの第2開口と、を備える、
芳香容器。
【請求項17】
前記流入空気のための少なくとも1つの前記第1開口は、前記壁の前記下面に配置されている、
請求項16記載の芳香容器。
【請求項18】
前記流出空気のための少なくとも1つの前記第2開口は、前記内周表面に配置されている、
請求項16又は17記載の芳香容器。
【請求項19】
前記壁の前記内周表面と前記上面との間のステップであって、作動位置において、前記飲用装置のヘッドパーツ上のストッパに当接するように構成されている、ステップをさらに備える、
請求項16乃至18いずれか1項記載の芳香容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香物質の鼻腔後方知覚のための飲用装置及びそのための芳香容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一方では心地よいフレーバーを有するが、他方では飲用液に溶解した芳香物質や安定化剤の摂取によって、引き起こされる可能性のある健康上のリスクを防止する飲用液を摂取するニーズが高まっている。高カロリーの摂取も避けるべきである。
【0003】
そのため、ここ数年、わずかにフルーティな芳香を与えられた水が一般的になってきた。しかしながら、この芳香化水にはまた、安定化剤及び一定の割合の糖等の不所望な添加剤が存在し、このことが、これらの芳香化飲料が多くのユーザにより拒絶されるカロリーの量も有する理由である。
【0004】
この問題を解決するための第一歩は、消費される直前に飲料に風味付けの芳香を加えるアだけである。US 2008/028353 A1、US 2015/030726 A1、及びUS 86,622,904は、元々別々に提供された芳香物質を、飲料摂取直前又は飲料摂取中に、飲料液に添加し、その中に溶解させる投与システムの例である。この手段は、長期間にわたる飲用液体の安定化等の問題を回避することを可能にするが、添加剤の不所望な摂取の問題は残る。
【0005】
嗅覚は、飲食物の摂取において、味覚の知覚に重要な役割を果たすので、これまでのシステムは、飲用中に知覚される嗅覚に影響を及ぼすことを試みてきた。このために、US5,635,229は、飲用容器の飲用開口の近くに取り付けることができる芳香要素を提案しており、したがって、芳香要素はユーザの鼻のすぐ近くにあり、ユーザは飲みながら鼻を通して呼吸し、それによって、芳香を知覚する。
【0006】
また、US8,662,339 B2による飲料容器もまた、芳香が飲みながら鼻から吸入されるという原理で作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US 2008/028353 A1
【文献】US 2015/030726 A1
【文献】US 86,622,90
【文献】US5,635,229
【文献】US8,662,339 B2
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、ユーザが改善された味覚体験(Geschmackserlebnis)を得ることを可能にする飲用装置(Trinkvorrichtung)を提案することである。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する飲料装置により達成される。好ましい実施形態は、他の特許請求の範囲及び以下の説明に従う。
【0010】
本発明による、芳香物質の鼻腔後方知覚のための飲用装置は、飲用液体のための貯蔵容器と、貯蔵容器上に固定可能であり、口端を有するヘッドパーツと、交換可能な芳香容器であって、空気を流すことができ、ヘッドパーツ上に固定可能である、芳香容器と、飲用ストローであって、貯蔵容器からヘッドパーツの口端に向かって延在する、飲用液体のための移送チャネル、及び、芳香容器からヘッドパーツの口端に向かって延在する、芳香化した空気を移送するための空気チャネルを有する、飲用ストローと、を備える。
【0011】
本発明による飲料装置の本質的な態様は、芳香物質が鼻腔後方から知覚されることである。飲用中、芳香物質は飲用液と共に使用者の口に到達し、咽頭を経て鼻後方から嗅粘膜(嗅部)に上昇し、そこに位置する受容体により検出され、ユーザにより知覚される。本発明による装置は、冷たい又は温かい飲用液に等しく適している。嗅覚と味覚の間には密接な相関関係がある点がメリットである。そのため、ユーザは、実際には鼻腔後方で香りを嗅いでいるだけでも、芳香を味わっているという印象を得ることができる。
【0012】
ヒトの味覚は、本質的に鼻腔後方の嗅覚により決定される。舌の受容器は甘味、酸味、苦味、塩味、うま味を区別するだけであるが、味覚の違いは、咽頭内の食物や液体の気相が鼻腔後方の経路を経てのぼり、嗅粘膜に到達する点にある。そこに位置するセンサーは、脳に味覚印象を与える神経学的刺激を引き起こす。このように、飲用中に咽頭に芳香が送達された人は、飲料が芳香化されたという印象を得る。なぜなら、鼻腔後方の匂いのプロセスは、たとえユーザが純粋で無添加の、すなわち、水などの非芳香化液を摂取していたとしても、飲料が芳香の原因であるという感覚を脳内に作り出すからである。鼻からの呼吸によって、匂いが知覚される、所謂、芳香物質の鼻腔内知覚(orthonasalen Aufnahme)の場合、感覚が呼吸数に関連しているため、この印象は同じ程度に発生せず、したがって、ユーザは、芳香物質の匂いを嗅いでいるだけであるという正しい印象を得るが、鼻腔後部知覚(retronasalen Aufnahme)の場合のようにそれを味わうことはない。
【0013】
貯蔵容器は、好ましくは再充填可能であるように設計されており、純水又は炭酸水を含むことができ、一方、芳香物質は、ユーザによる摂取の直前に、移送チャネル内に位置する空気及び飲料液に送達されるか、又は別個にユーザの咽頭に別々に輸送される。
【0014】
しかしながら、代替的に、飲用液が固有の味を有することもできる。飲用液の既存の固有の味は、芳香容器からの芳香物質により強化されるか、又は1つ以上の追加のフレーバー成分により補足される。貯蔵容器にリンゴジュースが入っている場合、例えば、味覚体験を強化するためにリンゴの芳香を加えることができ、又は、例えばフレーバーのブレンドを作るためにオレンジの芳香を加えることができる。このようにして、例えば、ビールのようなアルコール飲料には、追加の芳香物質を供給することもでき、それによって、本発明による飲料装置内の対応する芳香容器を使用することによって、使用者の特定の好みに合わせることができる。さらに、食品分野では一般的でないフレーバー、例えば、「サンダルウッド」、「春の牧草」又は「ユニコーン」なども、本明細書に開示されている飲料装置で使用できる。使用されるアロマは、合成又は天然であり得る。合成又は天然の発生源及び天然物質から単離又は濃縮された芳香、例えばレモンピール、タンポポの葉、甘草又は他の芳香性物質から作られた新鮮な又は加工された製品など、を使用できる。
【0015】
飲用装置のヘッドパーツに芳香容器を設けることは、ユーザが直ちに「フレーバー」を認識できるという付加的な利点を有する。従って、例えば、アロマ容器は、選択された芳香に従ってラベル付けされ得るか、又は全体的に着色され得、そして、例えば、レモンアロマに対しては黄色、又は緑色リンゴアロマに対しては緑色を有する。
【0016】
この点に関し、飲用ストローの一端が数センチメートル、好ましくは2cmと5cmの間だけ、ヘッドパーツの口端の前方に配置され、空気チャネルを通って案内された芳香化された空気が、飲用ストローの端部において、又は、飲用ストローの端部の直近において、飲用液に入るように、飲用ストローはヘッドパーツに取り付けられることが可能である。ヘッドパーツの口端では、芳香化された空気と混合された飲料液がユーザにより摂取される。
【0017】
ユーザの口腔内では、芳香化された空気は、気泡の形態で周囲の飲用液体から逃れ、咽頭を介して鼻腔後方から嗅覚粘膜へ上昇する。マウスピースの直前まで芳香化された空気と飲料液とを別々に送達することのさらなる利点は、空気と飲料液との間の質量移動が、最大でも無視できる程度にしか生じないことである。
【0018】
上述のすべての解決策の技術的課題は、飲料用の移送チャネル及び空気チャネルの幾何学的形状を互いに調整することであり、それにより、飲用位置に依存して、特別な飲用液の場合、及び、飲用液の粘性にも依存して、芳香化された空気及び飲用液は互いに所望の比率で吸い込まれる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、交換可能な芳香容器は、ヘッドパーツに関して、封止位置から非封止位置へと軸方向において、移動可能である。したがって、芳香容器の単純な軸方向移動によって、容器は、封止位置から、空気が芳香容器を通って流れることができる作動位置に移動可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヘッドパーツは、貯蔵容器に対してある角度で配置され、好ましくは貯蔵容器に対して20°~30°の角度で傾斜し、特に好ましくは、貯蔵容器の長手軸に対して約25°の角度で傾斜する。この尺度は、本発明による飲用装置が改善された人間工学性を有し、さらに、どのようにして飲用装置を保持するかがユーザにとって直感的に明らかであるという利点を有する。飲用装置の軸方向延在部に湾曲部を設けることにより、飲用装置は、飲料中に著しく傾斜が少なくなり、それにより、飲用液体が偶発的にこぼれるリスクを低減する。さらに、湾曲部を設けることにより、特に蛇口とシンクとの間の距離が小さい水源において、ユーザによる貯蔵容器の充填プロセスを容易にすることができる。
【0021】
貯蔵容器に関するヘッドパーツの角度配置は、特に、飲料ストローが長手方向に、ある断面曲率を有するという、さらなる好ましい特徴と組み合わせることもできる。
【0022】
飲用中の貯蔵容器の位置が定義されており、かつ、飲用ストローが少なくともある断面曲率を有している場合には、口端と反対側の飲用ストローの端部は、貯蔵容器のほぼ全内容物を消費できるように配置できる。
【0023】
飲用装置の好ましい実施形態は、飲用装置に取り付けられるか、又はねじ込まれ、それによって、飲用装置を封止する蓋を設けることである。飲用液が炭酸飲料である場合に生じるように、貯蔵容器の内部で増加する圧力が蓄積されている場合でも、回転蓋は、飲用装置を密封するのに良く適している。かかる蓋は、飲用液の移送チャネルと芳香化空気の空気チャネルとの両方を密封できるが、圧力を均等化する目的で貯蔵容器の内部に空気を送るための別の空気ラインも同様にして密封できる。回転式蓋のさらなる利点は、マウスピースを汚染から保護することであり、したがって、すべてのユーザになじみのある要素であり、飲用装置を密封するための適合性が信頼されている。
【0024】
好ましくは、運搬ストラップを取り付けるための受容手段を有する。例えば、受容手段は、舌片‐溝システムとして設計されることができる。このようにして、異なる運搬ストラップは、蓋に快適に固定することができ、飲用装置は、例えば運搬ストラップの色の選択によって、ユーザの希望に従って個別化できる。また、ストラップの異なる形状によって、個別化することもできる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヘッドパーツは、空気チャネルに接続された空気チャンバを有する。空気チャンバは、飲用中及び飲用後に過圧又は負圧を緩衝するための安全バッファであり、従って、飲用液が芳香容器に流入できることを回避できる。これは、特に、飲料プロセスの終了時に飲用装置で発生する飲料用液の移送チャネル内及び空気チャネル内の圧力及び流量条件の変動が飲用液を空気チャネル及び/又は芳香容器に流入させるという問題を解決する。このような液体の芳香容器への侵入は、例えば、フレグランス放出物質の不所望な希釈や衛生上の問題の発生につながり得る。空気チャンバによる空気チャネルの遮断は、飲用液用の移送チャネルと空気チャネルが接触する飲用装置のヘッドパーツ部分に凹所を設けることによって、構成できる。
【0026】
また、本発明は、芳香物質の鼻腔後方知覚のための飲用装置用の芳香容器を含む。芳香容器は、芳香化物質を含む流体を含有するキャリア物質を含む本質的に環状の芳香チャンバを含み、芳香チャンバは、内周表面(innere Umfangsflaeche)、外周表面(aeussere Umfangsflaeche)、上面(Oberseite)及び下面(Unterseite)を含む壁によって、取り囲まれており、内周表面は、非円形の断面を有し、芳香容器は、内周表面に相補的に(komplementaer)成形された構成要素上で単一の回転方向にのみ置かれることができ、かつ、コンポーネントに対して軸方向にシフトされることができ、空気流入のための少なくとも1つの第1開口、及び空気流出のための少なくとも1つの第2開口を有する。
【0027】
飲用装置のヘッドパーツに固定できる本発明による芳香容器は、その内周表面によって、飲用装置のヘッドパーツを取り囲む。内周表面は、内周表面と相補的に成形されたコンポーネント上に単一の回転方向にだけ配置されることができるように、芳香容器が成形されているので、この特定のケースでは、内周表面と相補的に成形されたヘッドパーツ上で、ユーザが、ストローを介して飲む場合にも、芳香容器を通って流れる芳香化空気を吸い込むように、ヘッドパーツの流入開口を芳香容器に整列させることができる。芳香容器は、上面及び下面に本質的に垂直な方向に軸方向にシフトさせることができるので、芳香容器は、ロック位置と作動状態との間で移動できる。ロック位置では、芳香容器の第2開口と飲用ストローの空気チャネルとの間にフロー接続はない。他方、作動状態において、ユーザは、芳香容器の第2開口とフロー接続する飲用ストローを通って空気を吸い込むことができ、したがって、周囲空気は、芳香容器の第1開口に吸い込まれ、芳香物質とともに芳香チャンバを通って流れ、芳香化空気として第2開口を通って芳香容器を出て、飲用ストローの空気チャネル内に流れ込む。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、流入空気のための少なくとも1つの第1開口は、壁の前記下面に配置されている。流入空気のための1つ以上の第1開口は、本質的に環状の芳香容器の外側に本質的に配置され、一方、空気を流出させるための1つ以上の第2開口部は、本質的に芳香容器の内側に配置される。複数の第2開口を設けることにより、芳香容器を飲用装置のヘッドパーツに対して単一の位置合わせでのみ配置することはできないが、複数の位置は、第2開口のうちの1つが、ヘッドパーツの1つ以上の空気チャネルとフロー接続している、という利点をもたらす。したがって、ユーザにとって取扱いが容易になり、定義された相対的な位置決めがもはや不要となるので、芳香容器の他の形状が可能となる。
【0029】
芳香容器を軸方向にシフトさせる可能性に関連する第1開口の位置決めは、芳香容器を軸方向にロック位置に移動することを可能にし、ロック位置では、第2開口と飲用ストローの空気チャネルとの間にフロー接続が存在しないだけではなく、第1開口は、ヘッドパーツの適切な部分と接触させられることができ、それによって、第1開口もまた、ロック位置で封止される。
【0030】
したがって、例えば、任意の所望の角柱形状を有する芳香容器を軸方向にプレスして、芳香容器を非封止位置にすることができる。芳香容器は、この位置に係合することができ、すなわち、自動的にこの位置に残るか、又は、芳香容器が引き出された場合にのみ、芳香の送達を伴う飲用が可能になる。このようにして、ユーザはさらに、芳香化された空気を伴う飲用と伴わない飲用との間で選択できる。
【0031】
飲用装置のヘッドパーツ又はヘッドパーツの部品の製造のためにシリコーン又は他のエラストマーのような本質的に弾性の材料を使用することは、例えば、システムを封止し易くすることができる。
【0032】
好ましくは、流出空気のための第2開口は、内周表面に配置されている。このようにして、芳香容器と、芳香容器の内周表面に当接するヘッドパーツとの間に、フロー接続を容易に確立できる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、着脱可能な芳香容器は、簡単な動作シーケンスによって、本発明の飲用装置に挿入できる。これは、飲用装置のヘッド部分に正しい位置に芳香容器を取り付けるために、ユーザによって、直ちに認識される特徴的な形状を有する内周表面によって、達成できる。
【0034】
しかしながら、特に好ましくは、飲用装置の芳香容器がロック装置として二重になっている実施形態であり、これにより、芳香容器の第1開口及び第2開口だけでなく、空気チャネルもしっかりとロックすることができる。この点に関し、本発明の好ましい変形例による芳香容器は、並進運動によって、封止位置から非封止位置に移動できるように設計されている。従って、ユーザは、芳香容器を作動位置に持っていくだけでよく、ユーザが気づくことなくシール装置を作動させることになる。このようにして、構成要素の数を低く維持することができ、それによって、とりわけ、より衛生的な設計が可能になり、また、飲用装置の製造及び組立におけるコストの節約も可能になる。さらに、ほとんどすべてのユーザは、スポーツバルブの機能を知っているので、ユーザは、シフト可能な構成要素としての芳香容器を飲用のために直感的に引き出し、飲用後、芳香容器を元の位置に押し戻すか、又は蓋の上にねじ込み、このことによって、芳香容器をそのロック位置に戻すことができる。
【0035】
本発明による飲用装置は、広範な方法で設計できる。それは、1つ又は2つの壁を有するサーモフラスコとして構成される移動式飲用ボトルであり得る。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態は、飲用液及び/又は空気チャネルのための移送チャネルが特定の形状を有することにある。例えば、飲用液の移送チャネルが1箇所、2箇所、又はそれ以上の箇所で拡幅化又は狭小化(erweitert oder verjuengt)され、移送チャネルの直径を他の箇所よりも大きく又は小さくすることが可能である拡幅部又は狭小部は、飲用装置の飲用ストローにおいて、設計できる。これにより、飲用装置から飲むときに、ユーザの異なる口あたりが可能になる。
【0037】
飲用装置内のチャネルの幾何学的形状のさらなる好ましい変更は、飲用液のための移送チャネル内又は空気チャネル内のフロー条件を変化させるチャネルの内側又は障害物の異なる表面を含む。飲用装置の空気チャネルもまた、特定の形状を有することができる。これまでの解決法では、一貫して均一な形状のチャネルを使用していた。
【0038】
したがって、空気チャネルは、小さな直径を有しなければならず、これは、飲用装置のヘッドパーツを製造する際に問題が発生することを意味する。さらに、狭小チャネルは、飲用装置を洗浄することをより困難にする。しかし、短い区間において、のみ空気チャネルを狭小化することも可能である。これにより、製造が簡単になり、洗浄も容易になる。
【0039】
本発明による飲用装置の別の好ましい実施形態は、本発明による飲用装置の芳香装置を使用前に活性化しなければならないようにする。芳香は、まず顕微鏡的又は肉眼的にカプセル化されることができる。活性化は、例えば、温度の変化又は機械的プロセスを介して起こり得る。好ましい実施形態は、空気が通り抜けて流れることができるフィルターを提供し、このフィルターには、本質的に円形の芳香ユニットが配置され、その内部は芳香化物質を含む流体を収容する。芳香ユニットのシェルは、好ましくは、ゼラチン又はアガロース等の材料からなり、したがって、不活性状態では、密なシェルが、芳香化された物質を伴う流体を不揮発性状態に維持する。液体は、加圧下でのシェルの破壊等の活性化によって、周囲のフィルターに放出される。このような解決法は、例えば、US20040261807A1において、タバコに使用するために提案されている。本発明によれば、好ましい実施形態では、本技術は、本発明による飲用装置において、使用される。これは、多くの利点をもたらす。例えば、芳香物質を酸化の進行から保護することができ、包装材料を節約し、プラスチックシールを回避できる。
【0040】
上記及び以下に記載される全ての好ましい実施形態及び技術的特徴の組み合わせに共通するのは、本発明による飲用装置からの通常の飲用中の空気チャネルを介した空気流が、便宜的に約250~550ml/分の間にあることである。この空気流は、例えば、約0.5~2.5mmの直径を有する空気チャネル、又は、0.2mm2~4.9mm2の空気チャネルの断面積を有する非円形の断面を備える空気チャネルを用いる場合に達成される。また、空気流は、例えば、空気チャネルの本質的に短い狭小部による、空気チャネル及び/又は芳香容器への液体の侵入を防止するために逆止弁として構成することもできるバルブによる、又は膜(Membran)による、等の別の方法で調節することもできる。例えば、本質的に透過性の膜は、空気チャネルが飲用液体用の移送チャネルに入る点に取り付けることができる。この点において、膜を使用することのさらなる利点は、飲用プロセスが終了したときの圧力及びフロー条件における上記の変動が、この時点又は他の時点において、飲用液体が空気チャネル及び/又は芳香容器入らないようにさせ、又は、その容積の低減を招かないことである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、添付の図面を参照して、単に例示的に以下に説明される。
【
図1】本発明による、芳香物質の鼻腔後方知覚のための飲用装置の機能原理を概略的に示す図である。
【
図2】本発明による、ねじ込み式蓋付きの飲用装置の側面図を示す図である。
【
図3】蓋なしの、
図2による飲用装置の側面図を示す図である。
【
図5】蓋上の搬送ストラップの固定形状を示す図である。
【
図7】
図6による芳香容器の平面図を示す図である。
【
図8】挿入された飲用ストローを有する、本発明による飲用装置のヘッドパーツを示す図である。
【
図9】挿入された飲用ストローを有する、本発明による飲用装置のヘッドパーツを示す図である。
【
図11】
図10のA-A断面線に沿った断面図を示す図である。
【
図12】本発明による飲用装置の1つの作動状態を示す図である。
【
図13】本発明による飲用装置の1つの作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の実施形態では、同じ構成要素は同じ参照番号で示されるであろう。
【0043】
図1は、以下でより詳細に説明される実施形態に正確には従わずに、個々の構成要素が見え易いように、飲用装置10を概略的に示している。飲用装置は、純粋な飲用液体が充填された貯蔵容器12と、ヘッドパーツ14とからなる。ここで、純粋な飲用液体は、常に、本発明による飲料システムにより添加される芳香を含まない飲用液体を意味するものと解される。ヘッドパーツ14はマウスピースを備え、マウスピースは、このケースでは、ヘッドパーツに一体化されているが、別個に設けることもできる。ヘッドパーツ14内には芳香容器20があり、
図1には示されていない方法で周辺空気と流通接続しており、芳香化された空気を移送するための空気チャネル22がそこから引き出されている。また、飲用液のための移送チャネル18が設けられており、この移送チャネルは、本実施形態の例では、ストローのように、貯蔵容器12に収容された純粋液体の中へと延在する。
【0044】
本発明の飲用装置10を使用する場合、純粋な液体と芳香化された空気の両方が経口摂取され、芳香化された空気は、鼻腔後方経路24を経て、矢印Aの方向に嗅粘膜26に向かって進み、嗅粘膜に位置する受容体によって、芳香が検出され、ユーザは、感覚刺激のニューロン処理によって、ユーザが飲んでいる純粋な液体(矢印Bの方向)が、芳香により付加されたフレーバーを有するという印象を得る。
【0045】
芳香化された空気と純粋な液体との接触ができるだけ短いと有利である。このようにして、空気と純粋液体との間の芳香物質の不所望な質量移動は最小限に抑えられるが、液中の芳香の吸収を完全に排除することはできない。空気と液体との間の接触期間が短ければ短いほど、また、空気と液体との間の全界面が小さければ小さいほど、不所望な物質移動が少なくなる。
【0046】
本発明の飲用装置を好適な方法で使用できるためには、まず、飲用装置が貯蔵されている間に芳香が不所望な態様で漏れ出ないこと、及びすでに純粋な飲用液体で満たされている飲用装置が漏れることができないことを確実にしなければならない。さらに、飲用装置は、飲用液体のための貯蔵容器の内部と周囲の雰囲気との間に空気チャネルを有し、これは、圧力を均等化するように働き、飲用中に飲用装置から引き出される飲用液の量に対応する量の空気を飲用装置に導入する。この空気チャネルには、飲用液の不所望な漏れを防止するために適切なロック装置も設けるべきである。
【0047】
図2及び
図3に、本発明による飲用装置10の本質的な構成要素を示す。ヘッドパーツ14は、純粋液体のための貯蔵容器12に固定されている。ヘッドパーツ14は、貯蔵容器12の上部開口にクランプされるが、例えば、純粋な液体のための貯蔵容器12に図示されていない内ねじ山を介して、又は別の固定技術を介して、固定されることもできる。
図2及び
図3による説明から明らかなように、ヘッドパーツ14は、貯蔵容器12の長手軸Aに対してある角度で配置されている。人間工学的な理由から、貯蔵容器の長手軸Aと口端28で終端する飲用アタッチメントの長手軸Bとの間の約α=25°の角度は、特に有利であることが判明した。
【0048】
図2に示すように、飲用装置10を閉じるために、蓋40をねじ山32によって、ヘッドパーツ上にねじ込むことができる。
【0049】
交換可能であるように設計できる運搬ストラップ45は、蓋40に固定できる。ここのために、蓋40と運搬ストラップ45との間に、ユーザが容易に解除できる接続部が設けられ、これは、
図4及び
図5に示すように、1つ以上の舌片44を搬送ストラップ42に、及び対応する溝46を蓋40に有する舌‐溝システムとして設計されることができる。溝は、摩擦を増加させるためにテーパ状にされ、搬送ストラップ45が自ら意図せずに蓋から外れることができないようになっている。
図4及び
図5に示される接続部は、もちろん、一例を構成するに過ぎず、容易に取り付け、取り外すことができる他の任意の接続部により置き換えることができる。搬送ストラップ45は、引っ張ったときに引き裂かれないように丸いループを有する(mit einer abgerundeten Schlaufe)シリコーンで作られることが好ましい。技術的な外観を呈する形状接続部(die technisch anmutende Formschlussverbindung)を隠すために、両端が下部で結合されている。
【0050】
図3において、飲用装置10は、貯蔵容器12のクランクされた端部の頂部開口に取り付けられたヘッドパーツ14が見えるように蓋なしで示されている。ヘッドパーツ14は貯蔵容器の頂部開口にクランプされている。好ましくは、ヘッドパーツは、貯蔵容器の頂部開口にクランプされ、頂部開口を密封するのに十分弾性のあるシリコーン又は他のエラストマーで作られている。ヘッドパーツは、マウスピース28を備え、マウスピース28は、口唇において、より良好な人間工学的性質のための楕円形のデザインを有している。さらに、マウスピース28の楕円形状はまた、マウスピースの非円形形状が視覚的及び触覚的フィードバックを提供するので、貯蔵容器12上のヘッドパーツ14のより正確な位置決めを可能にする。
【0051】
交換可能な芳香容器20はヘッドパーツ14に取り付けられる。
図6及び
図7に示される芳香容器20は、環状内部空間48を有し、環状内部空間48は、外側に向けて環状外壁50によって、半径方向内側に向けて内壁52によって、上部を上部面54によって、下部を下部面56によって、囲まれている。内部空間48には、芳香物質を備えるキャリア材料がある。芳香物質は、好ましくは液体形態で提供される。
【0052】
下部面56には、第1開口58が配置されており、この開口を通して、周囲の空気が、以下に説明する作動位置において、芳香容器20の内部空間48に流入できる。内壁52には、第2開口60が設けられており、作動位置において、この開口を通って、芳香容器内で芳香化された空気が流出する。第1開口58及び第2開口60は、相互に可能な限り離間し、それにより、第1開口58を通って流入する空気が、第2開口60を通って流出する前に、内部空間48を通って流入する間に、できるだけ多くの芳香を吸収する。
【0053】
特に
図7から明らかなように、内壁52によって、囲まれた空間は、液滴形状の断面を有する。この断面形状は、例示としてのみ選択されている。しかしながら、決定的なことは、半径方向Rに関して、芳香容器20をマウスピースに押し込むことができる単一の位置のみが可能であるということである。
【0054】
上部面54は、芳香容器20のフレーバーに関する情報を提供するために、そこにステッカーを貼ることができるように、できるだけ平坦であるように設計されている。
【0055】
さらに、内壁52と上部面54との間にステップ62が設けられ、例えば
図8及び
図11に示すように、作動位置において、ステップ62で芳香容器20が、ヘッドパーツのストッパ64に対して当接する。
【0056】
芳香容器を休止位置と作動位置との間で移動させる一方で、芳香容器を交換できるように、外壁50に追加の手段を設けることができ、したがって、ユーザが芳香容器を確実に良好に握ることができる。
【0057】
図8及び
図9では、ヘッドパーツ14は飲用ストロー66が固定された状態で示されている。容器に液体を補充するとき、ヘッドパーツ14は飲用ストロー66と共に取り外される。ヘッドパーツ14は、口端28と一体的に形成されている。口端28の楕円形の形状は、
図10から最も容易に明らかである。飲用ストロー66は、洗浄を容易にするために、ヘッドパーツ14から分離されることができる。
【0058】
ヘッドパーツ14のマウスピース68もまた、液滴形状であるが、正確な形状は、芳香剤容器のものと完全には相補的でないことが好ましい。芳香容器は、主に先端と直径方向で相対向する表面とでマウスピース68にしっかりと当接し、開口の領域に遊びがないようにするが、同時に、ヘッドパーツ14のマウスピース68に対して芳香容器20を移動させることを容易にするために摩擦表面が大きすぎないようにする。
【0059】
ヘッドパーツ14のマウスピース68上で芳香容器20が挿入された状態では、芳香容器は閉じられ、上部面56がヘッドパーツ14の領域70上にあるため、芳香容器の第1開口に空気を流入させることができない。
【0060】
ストッパ64は、芳香容器が作動位置に押し上げられる際の芳香容器の軸方向の動きを制限する。ストッパ64は、芳香容器を容易に交換できるようにするために、円周方向の空洞72によって、内側に向かって弾力性があり、そのために、芳香容器は、ストッパ64を介して上方に引き出されなければならない。
【0061】
図9に示すように、ヘッドパーツ14には等化チャネル74が設けられており、これを通して空気は貯蔵容器から逃がされ、飲用中にも流入できる。
【0062】
蓋40が所定の位置にあるとき、等化チャネル74は、貯蔵容器のエッジと蓋との間で上方から圧迫され、それにより密封される。等化チャネル74の開放時に、過剰圧力が外側に排出される。同時に、等化チャネル74は、開放時に水が開口から噴出することがないように、等化チャネル内に水が残らないように設計される。
【0063】
また、飲用ストローの開口も液滴形状を採用し、ヘッドパーツにおける飲用ストローの位置決めの精度を確保している。飲用ストローは、押し込むと、ヘッドパーツのストッパに当接する。ストッパ及び断面形状のために、
図14に示される飲用ストロー66の孔78の位置は、軸方向及び半径方向の両方で固定され、従って、ヘッドパーツに対して位置決めされる。
【0064】
ヘッドパーツ14には、
図11に示すように入口開口80が形成されている。この開口80は、ヘッドパーツの等化チャンバ82と連通しており、この等化チャンバは、バッファとして働き、飲用中及び飲用後に発生する過圧及び負圧を均等化することができ、したがって、水が芳香容器に流入するのを防止する。等化チャンバ82は、組み立てられた状態で、ヘッドパーツ14と、
図11には示されていない飲用ストロー66との間の空間として形成される。等化チャンバ82内に、適当な安定化フィンが設けられ、入口開口80の領域において、ヘッドパーツの十分な安定性を確保し、したがって、所望の封止が芳香容器とヘッドパーツとの間に設けられる。
【0065】
最後に、シーリングリップ84がヘッドパーツ14のマウスピースに設けられており、これにより開口内の異なる領域を互いに区切って、汚れが機能位置に侵入するのを防いでいる。
【0066】
図10に示すように、ヘッドパーツ14には、隆起部(Erhebung)75の形状のマーキングが設けられており、ユーザに、貯蔵容器からヘッドパーツを容易に取り外すために、どこに親指を置くべきかを示す。
【0067】
図12では、作動位置の芳香容器20が示されている。対照的に、
図13は、ロック位置の芳香容器20を示す。作動位置では、芳香容器20の上面がストッパ64に当接し、芳香容器が作動位置にあるときにユーザがそれを明確に認識できるようにする。
図12に示される作動位置において、のみ、第1開口を通って空気が流入し、芳香化された空気が第2開口を通って流出し、第2開口と整列した開口80を通ってヘッドパーツ14に入り、開口80に連通する等化チャンバ82から飲用ストローの開口76に入ることができる。
【0068】
図14では、飲用ストロー66の断面図が示されており、そこには飲用液体用の移送チャネル18及び空気チャネル78が配置されている。飲用ストローはまた、滴状の断面形状を有する。
図3にも示されているように、飲用ストロー66は、貯蔵容器がわずかに傾いた状態で保持されると、飲用ストロー66が飲用中貯蔵容器の最下点に近づくように湾曲し、貯蔵容器内の液体をほぼ完全に消費できる。
【0069】
図15では、蓋40が示されている。蓋は、内ねじ86を有し、このねじ86によって、蓋は、ヘッドパーツのねじ山32にねじ込まれることができる。ねじを締められた状態で、蓋はいくつかの機能を果たす。まず、マウスピースを封止する封止プラグ88が成形される。さらに、複数のフィン90が蓋40の内周に設けられており、これは、閉じた状態で、マウスピースの表面70の外縁を平らに押し、それによって、等化チャネルを封止する。この封止は、フィンの端のレベルで、ここには図示されていない別のタイプの突起によっても行うことができる。最後に、環状ショルダ92が設けられており、蓋40がヘッドパーツ14にねじ込まれている間に、芳香容器20が
図13に示される遮断位置に移動される。従って、ユーザは、飲用後、
図12に示された作動位置から
図13に示されたロック位置に芳香容器20をシフトする必要はなく、蓋40にねじ込む必要があるだけである。
【0070】
本発明の飲用装置では、香りは単に口腔内で知覚されるだけでため、鼻腔内の匂いの印象はない。口腔内での芳香を受け取ることで、芳香物質の鼻腔後方知覚のみを介してユーザに味覚印象をもたらし、仮にあったとしても、経腸経路を介して消費者が摂取する量はごくわずかである。飲料液中での長期安定化を必要とせず、さらに、使用者によって、飲み込まれない複雑な芳及び芳香混合物を生成することも可能である。