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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】付加製造デバイスのための材料ユニット
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/255 20170101AFI20240527BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20240527BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20240527BHJP
   B29C 64/259 20170101ALI20240527BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20240527BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240527BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240527BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20240527BHJP
【FI】
B29C64/255
B29C64/124
B29C64/241
B29C64/259
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021539039
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020054890
(87)【国際公開番号】W WO2020173931
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】19160125.1
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼンツァール、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュバイガー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クーンレ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】リース、アンドレアス
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-535563(JP,A)
【文献】特開2007-145021(JP,A)
【文献】特表2020-506082(JP,A)
【文献】特表2017-501900(JP,A)
【文献】特開2014-218089(JP,A)
【文献】特表2016-533285(JP,A)
【文献】特開2019-018555(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104943164(CN,A)
【文献】特表2015-530287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂バット(2)及びリザーバ(5)を有する付加製造デバイス(AM)のための材料ユニット(1)であって、前記樹脂バット(2)は、少なくとも部分的に透明な基部(3)を備え、前記樹脂バット(2)は、前記リザーバ(5)用のホルダ(4)に接続され、前記ホルダ(4)は、前記ホルダ(4)によって保持された前記リザーバ(5)の出口(6)から出てくる樹脂(R)が前記樹脂バット(2)中に流入することができるように構成され、前記ホルダ(4)は、その中に収容された前記リザーバ(5)の弁(12)を作動させるための作動デバイス(11)を備え、前記作動デバイス(11)は、前記樹脂バット(2)に対する前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)の限界角度(β)を超える枢動移動により前記弁(12)を作動させ、前記限界角度(β)は、前記樹脂バット(2)に対する前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)の実質的に垂直な配置に対応することを特徴とする、材料ユニット(1)。
【請求項2】
前記ホルダ(4)は、前記リザーバ(5)を保持し、前記材料ユニット(1)は、前記樹脂バット(2)及び前記リザーバ(5)と共に、付加製造デバイス(AM)中に取り外し可能に配置されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の材料ユニット(1)。
【請求項3】
前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)は、前記樹脂バット(2)を覆うように設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の材料ユニット(1)。
【請求項4】
前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)は、可動的に前記樹脂バット(2)に接続されることを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項5】
前記樹脂バット(2)と前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)との間の前記接続は、枢動ジョイント(18)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の材料ユニット(1)。
【請求項6】
前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)は、前記樹脂バット(2)に対して実質的に平行な配置と、前記樹脂バット(2)に対して実質的に垂直な少なくとも1つの配置との間の角度範囲(α)において枢動することができることを特徴とする、請求項5に記載の材料ユニット(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの流れ妨害物(13)が、前記リザーバ(5)の内部に配置されることを特徴とする、請求項2に従属する請求項4~6のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項8】
前記ホルダ(4)は、リザーバ(5)として交換可能なカートリッジ(5a)を収容するためのシャフト(7)を備えることを特徴とする、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項9】
前記ホルダ(4)は、計量制御部用の接続部(10)に接続され、前記ホルダ(4)によって保持されたリザーバ(5)から前記樹脂バット(2)への樹脂(R)の流れは、前記接続部(10)を介して制御することができることを特徴とする、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項10】
前記接続部(10)は、機械的接続部(10a)であることを特徴とする、請求項9に記載の材料ユニット(1)。
【請求項11】
前記材料ユニット(1)は、付加製造デバイス(AM)中に位置付けるための少なくとも1つの案内部(8)を備えることを特徴とする、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項12】
前記樹脂バット(2)は、充填レベルセンサ(14)を装備されることを特徴とする、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項13】
前記樹脂バット(2)は、容量性充填レベル測定用の充填レベルセンサ読み取りエリア(19)を備えることを特徴とする、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項14】
前記樹脂バット(2)の壁部(20)が、前記充填レベルセンサ読み取りエリア(19)中で電気絶縁していることを特徴とする、請求項13に記載の材料ユニット(1)。
【請求項15】
前記樹脂バット(2)及び/又は前記リザーバ(5)は、電気的にラベル付けされることを特徴とする、請求項1~14のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項16】
前記樹脂バット(2)は、混合デバイス(15)を装備されることを特徴とする、請求項1~15のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
【請求項17】
前記混合デバイス(15)は、並進的に移動することができることを特徴とする、請求項16に記載の材料ユニット(1)。
【請求項18】
前記混合デバイス(15)は、外部駆動部(16)に磁気的に結合されることを特徴とする、請求項17に記載の材料ユニット(1)。
【請求項19】
前記混合デバイス(15)は、前記材料ユニット(1)に一体化された駆動部(17)に結合されることを特徴とする、請求項17に記載の材料ユニット(1)。
【請求項20】
リザーバ(5)中に包含された印刷材料(R)を使用するための付加製造デバイス(AM)を用意する方法であって、樹脂バット(2)が、前記リザーバ(5)と共に前記付加製造デバイス(AM)中に導入され、前記樹脂バット(2)は、少なくとも部分的に透明な基部(3)を備え、前記リザーバ(5)は、請求項1~19のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)を形成するために前記樹脂バット(2)に接続されることを特徴とする、方法。
【請求項21】
前記リザーバ(5)は、前記樹脂バット(2)に対して移動されることを特徴とする、請求項4~7のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)で樹脂(R)を調整するための方法。
【請求項22】
前記リザーバ(5)は、枢動軸(18a)の周りを前記樹脂バット(2)に対して枢動されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造デバイスのための材料ユニットに関する。本発明は更に、リザーバ中に包含された印刷材料を使用するための付加製造デバイスを用意するための方法に関する。本発明は更に、そのような材料ユニットを使用して樹脂を調整するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光造形法式機械を含み、とりわけ、投影ユニット(例えば、DLPプロジェクタ又はレーザ)、高さ調整可能なビルドプラットフォーム及び樹脂バットを備える付加製造デバイスが知られている。樹脂バットは、照射を介して投影ユニットによって硬化することができる材料を印刷材料として包含する。硬化性材料の層がビルドプラットフォーム上に形成された後、ビルドプラットフォームの高さは、最も新しく形成された材料層上に新しい材料層を形成するために調整される。このようにして、製造されるコンポーネントが層毎に形成され、このことから製造又は作製される。
【0003】
従来の光造形法式機械は、「トップダウン」原理に従って動作し、それにおいて、樹脂バット中の硬化性材料の量は、一般に、最大構築体積を有するコンポーネントを製造するのに十分である。一般に、従って、これらのタイプの機械は、コンポーネントの製造中、即ち進行中の製造プロセス中に再充填される必要はない。
【0004】
他方では、特にいわゆるテーブルマシンでは、僅かな樹脂バットの充填体積しか必要としないので、「オーバーヘッド印刷」が受け入れられている。この目的のために使用される「ボトムアップ」デバイスでは、樹脂バットは、実際に製造されるコンポーネント用の硬化性材料の量、又はそれより僅かに多い量のみで充填されなければならない。樹脂バット中の硬化性材料の量が十分でない場合、硬化性材料は、進行中の製造プロセス中に追加される。追加の計量は、手動で実行されるか、又は追加的に接続されたリザーバを介して自動的に行われるかのうちのいずれかである。
【0005】
歯科用途の範囲では、例えば、異なる製造業者からの様々な適応症固有の印刷材料が使用者に利用可能である。特定の適した硬化性材料が各適応症に対して使用されなければならないと仮定することができる。実際には、歯科用途の範囲のためのコンポーネントを製造することを望む使用者にとって、これは、用途に応じて1日に数回、光造形法式機械を異なる印刷材料に切り替える必要があり得ることを意味する。しかしながら、樹脂バットと印刷材料を包含するリザーバとの両方が取り扱われなければならないので、切り替えは複雑である。使用者はまた、UV保護され且つ防臭された形で、再使用可能な印刷材料を貯蔵することが可能でなければならない。
立体リソグラフィー装置のための材料供給装置が開示される欧州特許EP3330062号明細書が参照される。
高速試作製造システム及び方法が開示される米国特許公開2007/0075461号明細書がさらに参照される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの目的は、冒頭に述べた材料ユニット及び方法を作成することであり、それは、異なる印刷材料での印刷のための付加製造デバイスの簡単且つ迅速な切り替えを可能にする冒頭に記載した樹脂を調整するための方法は、印刷のための付加製造デバイスの用意を簡略化することも意図している。
【0007】
この目的のために、本発明は、請求項1に定義された材料ユニット、請求項20に定義された方法を提供する。本発明の有利な実施形態及び更なる展開が、従属請求項に規定されている。
【0008】
本発明によると、樹脂バットを有する付加製造デバイスのための材料ユニットが提供され、樹脂バットは、少なくとも部分的に透明な基部(又は底部)を備え、樹脂バットは、リザーバ用のホルダに接続され、ホルダは、ホルダによって保持されたリザーバの出口から出てくる樹脂が樹脂バット中に流入することができるように構成される。材料ユニットは、このことから、印刷材料としての樹脂を収容するように設計された樹脂バットを備える。本説明の枠組み内で、樹脂は、任意の光反応硬化性材料であり、即ち、その化学組成、その凝集状態、及び該当する場合にはその粘性にかかわらない。樹脂バットは、その結果として、材料バットであると理解することもできる。製造されるコンポーネントを層毎に製造することを可能にするために、樹脂バットは、少なくとも部分的に透明な基部を備える。樹脂バットの基部の下に配置された放射線源(例えば、DLP(Digital Light Processing)プロジェクタ又はレーザ)によって、このことから、樹脂バット中に収容された樹脂を局所的に照射し、それによって硬化させることができる。少なくとも部分的に透明な基部を有する付加製造デバイス、特に光造形法式機械の基本構造は当業者に知られており、そのため、放射線源及び高さ調整可能なビルドプラットフォームの構成及び制御に関する更なる詳細をここで議論する必要はない。樹脂バットは、リザーバ用のホルダに接続される。樹脂バットは、特に、解放可能又は解放不可能な形でリザーバ用のホルダに接続することができる。リザーバは、製造されるコンポーネントがそれから形成されるか、又は一般に付加製造デバイス中で製造される樹脂を収容する役割を果たす。ホルダは、ホルダによって保持されたリザーバの出口から出てくる樹脂が樹脂バット中に流入することができるように構成される。ホルダは、例えば機械的ホルダとして設計することができ、この目的のために、リザーバを所定の位置に挟持するための保持クリップなどのクランプデバイス、又はリザーバを挿入するためのプラグ及びソケットデバイス、又はリザーバ用のレセプタクル(例えば、例えばスライドフレームの形態のシャフト)を備える。代替として又は追加として、ホルダは、磁気ホルダとして設計することができ、磁気ホルダは、同様に磁気の又は磁気的に吸着可能なリザーバに磁力を及ぼす。少なくともリザーバがホルダから解放可能であるとき、ホルダは、リザーバの出口を清潔に保つために、少なくとも一時的に、保持されたリザーバを部分的にのみ封入するか、又は少なくとも一時的に前記出口をブロック解除するように設計することができる。ホルダは、樹脂バットの少なくとも一時的なリザーバへの接続を可能にし、そのため、2つの部分を1つのユニットとして取り扱うことができ、例えば1つのユニットとして切り替えることができる。これは、(それぞれの別個の材料ユニット中の)異なる印刷材料での印刷のための付加製造デバイスの簡単且つ迅速な切り替えを可能にする。特に、異なる印刷材料を使用するより前に付加製造デバイスを洗浄するための労力を低減することができる。本開示の範囲内で、ホルダ及びリザーバはまた、樹脂バットに接続された一体化コンポーネントとして形成され得る。
【0009】
上方、下方、上、下(above, below, over, underneath)の用語、又は他の位置及び方向の仕様が本開示の枠組み内で使用されるとき、これらの用語又は仕様は、材料ユニット又は付加製造デバイスの使用位置を指す。この使用位置では、樹脂バットの2つの最大延長部の平面は、実質的に水平に配置される。
【0010】
本発明の例証的な実施形態によると、ホルダは、リザーバを保持し、材料ユニットは、樹脂バット及びリザーバと共に、付加製造デバイス中に取り外し可能に配置されるように装備される。この変形形態では樹脂バット及びリザーバを備える材料ユニットは、このことから、付加製造デバイスから簡単に取り外すことによって、同様に樹脂バット及びリザーバを備える異なる材料ユニットと交換することができる。これを行うために、特に別の材料からコンポーネントを製造するための他の材料ユニットが付加製造デバイス中に挿入される。しかしながら、材料ユニットを格納するために付加製造デバイスから材料ユニットを単に取り外すことさえ、それによって簡略化される。ホルダが解放可能な形で、即ち交換可能にリザーバを保持する場合、空のリザーバは、材料ユニット全体を交換する必要なく、異なる完全に又は部分的に充填されたリザーバ(例えば、空のリザーバにおける以前のと同じ特性を有する樹脂)と容易に交換することができる。ホルダが、リザーバへの工具不要の接続及びリザーバからの工具不要の取り外しのために設計されると有利である。
【0011】
ホルダ及び/又はリザーバが樹脂バットを覆うように設計されている場合、材料ユニットは、使用されていないときに容易且つ迅速に閉じることができる。閉じた状態では、材料ユニットはまた、樹脂バット中に、及び該当する場合にはリザーバ中に封入された樹脂を貯蔵するために使用することができる。ホルダ及び/又はリザーバは、特に、バットカバーと一体に設計することができ、例えばバットカバーに一体化することができる。この場合、リザーバを、ホルダとして設計されたバットカバー中に挿入し、その中に保持することができる。ホルダ及び/又はリザーバは、オプションとして、樹脂バットを防臭及び/又はUV安全及び/又は実質的に液密の形で覆うように設計される。この目的のために、ホルダ及び/又はリザーバは、例えば、樹脂バットに面する側にシールを備える。
【0012】
ホルダ及び/又はリザーバを樹脂バットに対して有用に位置付けることを可能にするために、ホルダ及び/又はリザーバが樹脂バットに可動的に接続されていると有益である。結果として、ホルダ及び/又はリザーバは、材料ユニットの格納状態、即ち非使用状態において、使用状態においてとは異なる位置を取ることができる。
【0013】
接続が樹脂バットとホルダ及び/又はリザーバとの間に枢動ジョイントを備えると特に有利である。ホルダ及び/又はホルダ中に収容されたリザーバは、このことから、樹脂バットに対する枢動又は折り返し及び折り込みができる。
【0014】
ホルダ及び/又はリザーバは、樹脂バットに対して実質的に平行な配置と、樹脂バットに対して実質的に垂直な少なくとも1つの配置との間の角度範囲において枢動することができると特に規定することができる。樹脂バットは、このことから、ホルダ及び/又はホルダ中に収容されたリザーバを樹脂バットに対して実質的に平行な配置に枢動させることによって閉じる又は覆うことができる。他方では、ホルダ及び/又はその中に収容されたリザーバが、樹脂バットに対して実質的に垂直な少なくとも1つの配置へと枢動される場合、ビルドプラットフォーム上又は最後に形成された材料層上に新しい材料層を形成するために、樹脂バットの上方のビルドプラットフォームの高さを自由に調整することができ、前記ビルドプラットフォームを樹脂バットに浸漬することができる。ホルダ及び/又はリザーバは、このことから、好ましくは、0°(平行)~少なくとも90°の角度範囲において枢動可能であるように構成される。
【0015】
本発明の更なる実施形態によると、少なくとも1つの流れ妨害物がリザーバの内部に配置されると規定することができる。一方では、流れ妨害物は、リザーバ中に包含された樹脂を混合する役割を果たし、それによって、樹脂中の成分は、リザーバ中に包含された樹脂の体積中に均等に分散させることができる。他方では、流れ妨害物は、樹脂を調整する、即ち、リザーバ中に包含された樹脂の実質的に均一な温度を確立する役割を果たす。樹脂の混合及び調整の両方が、製造されるコンポーネントの製造プロセスに、このことから、製造されたコンポーネントの特性に著しく影響を及ぼす可能性がある。樹脂の混合及び調整のために、ホルダ及び/又はその中に収容されたリザーバは、樹脂バットに対して移動させることができる。例えば、ホルダ及び/又はリザーバは、樹脂バットに対して数回枢動される。流れ妨害物は、リザーバ中に設けられた少なくとも1つの本体、例えば、スラット、バー、又はリザーバの内壁から突出する任意の突起を備えることができる。
【0016】
ホルダへのリザーバの確実且つ容易な収容のために、ホルダがリザーバとして交換可能なカートリッジを収容するためのシャフトを備えると有益である。カートリッジとして設計されたリザーバを、このことから、ホルダのシャフト中に挿入し、必要に応じて再びシャフトから取り外すことができる。カートリッジをシャフト中に確実且つ解放可能に保持するために、シャフト及びカートリッジは、好ましくは、固定デバイスの相互作用コンポーネント、例えば、スナップ接続部を備える。
【0017】
標的化された形で樹脂がリザーバから樹脂バット中に流入するために、ホルダが、前記ホルダ中に保持されたリザーバの弁を作動させるための作動デバイスを備えると有益である。作動デバイスは、例えば弁に(例えば膜などの遮断素子に)作用するように構成された弁タペットとして設計することができる。弁は、リザーバから樹脂を計量して取り出すために、作動デバイスによって開閉することができる。
【0018】
リザーバ中に包含された樹脂は、作動デバイスが限界角度を超えて枢動移動している間に弁を作動させる場合に、弁を介して特に容易に取り出すことができ、ここにおいて、限界角度は、樹脂バットに対するホルダ及び/又はリザーバの実質的に垂直な配置に対応する。樹脂は、このことから、ホルダ又はその中に収容されたリザーバを限界角度だけ樹脂バットに対して枢動させることによって放出することができる。限界角度は、例えば90°よりも大きく、好ましくは少なくとも95°である。作動デバイスは、好ましくは、ホルダ又はその中に収容されたリザーバを、限界角度よりも小さい角度、例えば最大90°まで枢動させて戻すことによって、リザーバの弁を再び閉じる(即ち、弁を能動的に閉じる及び/又は弁の自己閉鎖を可能にする)ように更に構成される。
【0019】
ホルダが、計量制御部用の接続部に接続され、ホルダによって保持されたリザーバから樹脂バットへの樹脂の流れを、接続部を介して制御することができれば特に有益である。計量制御部は、リザーバからの樹脂の排出を制御するために接続部に接続することができる。
【0020】
材料ユニットの特に簡単な構築のために、接続部は、機械的接続部であり得る。機械的接続部は、計量制御部と係合するために材料ユニットの外側からアクセス可能なロケーションに形成することができる。機械的接続部は、例えば回転可能に構成され、歯車装置を備えることができる。その場合、計量制御部は、機械的接続部と係合し、リザーバからの樹脂の排出がブロックされる第1の位置と、リザーバからの樹脂の排出が可能にされる第2の位置との間で機械的接続部を回転させることができる。機械的接続部は、例えばホルダ上に設けることができるか、又はホルダに結合することができ、そのため、ホルダ及び/又はリザーバの枢動移動が接続部を介して可能にされる。
【0021】
材料ユニットが、付加製造デバイス中に位置付けるための少なくとも1つの案内部を備える場合、材料ユニットは、正確且つ迅速に付加製造デバイス中に組み込むことができる。付加製造デバイスは、便宜上、材料ユニットの案内部と相互作用する少なくとも1つの相補的な案内部を備える。材料ユニット及び付加製造デバイスの案内部は、例えば、形状嵌合インターフェース、例えば案内溝及び前記案内溝に係合する案内レールを備えることができる。変位に対する材料ユニットの最終的な固定は、形状嵌合及び圧力嵌合の両方によって実現することができる。例えばビルドプラットフォームに対する材料ユニットの正確且つ確実な位置付けは、最適な樹脂の使用を促進し、印刷プロセス中の衝突を防止するのに役立つ。
【0022】
樹脂バット中の樹脂の充填レベルを決定することを容易に可能にするために、樹脂バットが充填レベルセンサを装備されると規定することができる。充填レベルを付加製造デバイスの作業者に表示することを可能にするために、及び/又は充填レベルセンサによって決定された充填レベルの値から更なる測定値を導出することを可能にするために、充填レベルセンサは、ケーブルを介して表示デバイス又は表示デバイスを備える処理ユニットにワイヤレスに接続することができる。リザーバからの樹脂は、特に、充填レベルセンサが規定された最小充填レベルを示すか、又は充填レベルが最小充填レベルを下回ることを示す場合、樹脂バットに追加することができる。
【0023】
代替として、樹脂バットは、容量性充填レベル測定用の充填レベルセンサ読み取りエリアを備えることができる。この場合、製造デバイス中に設けられた容量性充填レベルセンサは、充填レベルセンサ読み取りエリア中で樹脂バットの充填レベルを読み取ることができる。この目的のために、充填レベルセンサ読み取りエリアは、容量性充填レベルセンサで充填レベルを読み取るように構成される。容量性充填レベル測定のために、例えばプレートキャパシタと同様に、少なくとも2つの導電体(層)が電気絶縁層を介して互いから分離される。容量性充填レベルセンサで記録される静電容量は、導電体の表面のサイズ、導電体間の間隔及び材料の関数である。樹脂バット中に収容された樹脂は、好ましくは、導電体のうちの1つを形成し、容量性充填レベルセンサの少なくとも1つの導電性プレート又はフィルムは、少なくとも1つの他の本体を形成する。樹脂バット中の樹脂の高さが増大するにつれて、樹脂によって形成され、導電性プレート又はフィルムに面する導電性表面が増大する。対向する2つの導電体(層)から成る構成の静電容量を決定するための電気回路又は測定デバイスは、当業者に知られている。
【0024】
充填レベルセンサ読み取りエリア中の樹脂バットの壁部が、電気絶縁しており、オプションとして、隣接する壁部に対して低減された壁厚を有していると特に有利である。充填レベルセンサ読み取りエリア中の樹脂バットの壁部は、このことから、樹脂と導電性プレート又はフィルムとの間に電気絶縁層(誘電体)を形成することができる。この場合、導電性プレート又はフィルムは、例えば、充填レベルセンサ読み取りエリア中の樹脂バットの壁部上に装着される。隣接する壁部に対して低減された壁部の壁厚は、樹脂、容量性充填レベルセンサ、及び壁部から成る構成の静電容量を増大させ、このことから、充填レベルの測定の精度も増大させる。樹脂バットはまた、原則的に、導電性材料(例えば金属)から作製することができる。この場合、充填レベルセンサ読み取りエリアは、電気絶縁材料の壁部によって、即ち、他の点では導電性の樹脂バット壁における電気絶縁窓のように形成することできる。
【0025】
本開示の更なる実施形態によると、樹脂バット及び/又はリザーバは、電子的にラベル付けされる(又は識別される)と規定することができる。樹脂バット及び/又はリザーバは、特に、識別のための電子コンポーネント又はチップを備えることができる。リザーバは、このことから、適した樹脂バットに容易に割り当てることができる。電子ラベリング(又は識別)は、例えば、RFID(無線周波数識別)技術及び/又はNFC(近距離無線通信)技術を使用して、ワイヤレスに達成することができる。電子ラベルが電子メモリを備える場合、リザーバ中の樹脂の現在の充填レベルは、前記メモリ中に記憶することができる。充填レベル電流の値を維持するために、メモリ中の充填レベルの値は、リザーバから樹脂を取り出す度に更新することができる。この目的のために、リザーバからの樹脂の各取り出しプロセスで、規定量の樹脂が取り出されると有益である。充填レベルの値を更新することは、次いで、基本的に取り出しプロセスの計数を必要とするであろう。製造プロセスの開始より前に、従って、付加製造デバイスの作業者は、リザーバ中の樹脂の量が計画されたコンポーネントの製造に十分であるかどうかを既に知っている。
【0026】
樹脂バットが混合デバイスを装備されると特に有益である。混合デバイスは、特に、樹脂バットに一体化することができる。混合デバイスは、追加された樹脂、即ち樹脂バット中に収容された樹脂における均一な温度及び粒子分布を保証する。とりわけ、樹脂の充填剤又は着色顔料は、混合デバイスで均一に分散させることができる。
【0027】
樹脂バット中に収容された樹脂の特に効率的な混合のために、混合デバイスは、並進的に可動であり得る。混合デバイスは、例えばドクターブレードとして設計することができ、樹脂バットの2つの対向する壁の間でバット基部に対して平行に変位可能であり得る。
【0028】
樹脂バット中に混合デバイス用の駆動部を設ける必要がないように、混合デバイスは、外部駆動部に磁気的に結合することができる。混合デバイスの移動は、このことから、磁力によって樹脂バットの外側に設けられた駆動部によって強制される。混合デバイス用の一体化された駆動部のない樹脂バットは、製造するのに安価であり、特にロバストである。
【0029】
混合デバイスは、代替として、材料ユニットに、例えば樹脂バットに一体化された駆動部に結合することができる。一体化された駆動部は、例えば、混合デバイスに接続された変位可能なロッドを備える。一体化された駆動部は、一般に、混合デバイスの特に確実な移動を可能にする。
【0030】
反復を回避又は低減するために、以下の方法の説明の文脈では、適用可能である限り、前述の材料ユニットの説明も参照する。材料ユニットの説明の文脈では、同様に以下の方法の説明を参照する。
【0031】
リザーバ中に包含された印刷材料を使用するための付加製造デバイスを用意するための方法に関して、本開示は、樹脂バットがリザーバと共に付加製造デバイス中に、より具体的には付加製造デバイスのレセプタクル中に挿入されると規定し、樹脂バットは、少なくとも部分的に透明な基部を備え、リザーバは、材料ユニットを形成するために樹脂バットに接続される。付加製造デバイス(又はそのレセプタクル)及び材料ユニットは、このことから、互いに接続されるように設計され、設けられる。同一の付加製造デバイスは、このことから、いくつかの異なる材料ユニットのうちの少なくとも1つを装備することができる。異なる材料ユニットは、異なる定義された製造プロセスのために設けることができる。特に、少なくとも1つの材料ユニットは、歯科の分野における用途、例えば歯科補綴物の製造に適した印刷材料を有するリザーバを備えることができる。定義された印刷材料を包含するか、又は少なくとも前記印刷材料のために設けられるリザーバは、材料ユニットを形成するために樹脂バットに接続されるので、樹脂バットはまた、定義された印刷材料を有するコンポーネントの製造のために設けられる。また、本方法の文脈では、印刷材料は、光反応硬化性材料、特に、光の照射によって硬化することができる材料である。その結果として、印刷材料及び樹脂という用語は、本開示において実質的に同じ意味を有する。付加製造デバイスは、従って、リザーバ中に収容された印刷材料から作製されるコンポーネントを製造するために使用することができる。異なる印刷材料からコンポーネントを連続的に製造するために、付加製造デバイスは、以前に使用された印刷材料の材料ユニットのコンポーネントを洗浄するのに多くの時間を要することなく、対応する適した材料ユニットを装備される。リザーバ及び樹脂バットを別々に取り扱う代わりに、前記樹脂バット及びリザーバが材料ユニットを形成するために接続されるので、付加製造デバイス用の切り替え手順は、特に迅速に実行することができる。上述したように、少なくとも部分的に透明な基部を有する樹脂バットは、印刷材料の局所的硬化用の材料ユニットの一部として付加製造デバイス中に(又はこの目的のために設けられたレセプタクル中に)挿入される。印刷材料を、このことから、材料ユニットの下に配置された光源によって照射することができる。
【0032】
上記の説明のような材料ユニットで樹脂を調整するための方法に関して、本発明によると、リザーバは樹脂バットに対して、好ましくは周期的に移動されると規定される。これを達成するために、リザーバを保持するホルダ及び/又はリザーバ自体が、例えば、枢動ジョイントを介して樹脂バットに可動的に接続される。その内部に少なくとも1つの流れ妨害物を備えるリザーバが使用されることも有益である。印刷材料又は樹脂の調整は、前記印刷材料又は樹脂の混合をもたらし、それは、樹脂の固体がリザーバの底部に沈殿し得る長い時間にわたって樹脂が貯蔵された後に特に有益である。樹脂バットに対するリザーバの移動は、付加製造デバイスの作業者によって手動で、又は自動的に実行することができる。樹脂バットに対するリザーバの好ましくは周期的な移動は、好ましくは、リザーバから樹脂バットへの樹脂の最初の追加より前に少なくとも1回実行される。
【0033】
リザーバが枢動軸の周りを樹脂バットに対して枢動されると特に有益である。ホルダ及び/又はリザーバは、特に、樹脂バットに対して実質的に平行な配置と、樹脂バットに対して実質的に垂直な少なくとも1つの配置との間の角度範囲において、例えば0℃~少なくとも90℃の角度範囲において枢動することができる。枢動移動は、好ましくは駆動部によって達成される。
【0034】
本発明を、図面を参照して、好ましい、非限定的な実施形態(以下、例とも呼ばれる)に基づいて以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態による材料ユニットを装備された、「オーバーヘッド印刷」用の「ボトムアップ」デバイスとして設計された付加製造デバイスの概略図である。
図2】本発明の更なる実施形態による材料ユニットであり、格納状態において、リザーバ用のホルダに接続された樹脂バットを有し、材料ユニットとは別個のリザーバを有する。
図3図2の材料ユニットであって、ホルダは、リザーバを保持する。
図4】使用状態にある2つの反対方向から見た図3の材料ユニットの2つの図である。
図5】使用状態にある図3の材料ユニットの2つの概略図であり、シール位置にあるリザーバと樹脂の排出を可能にする位置にあるリザーバとを示す。
図6】容量性充填レベル測定のために構成された樹脂バットの概略図であり、図6aは、容量性充填レベルセンサを有する樹脂バットを示し、図6bは、容量性充填レベルセンサの詳細図を示し、図6cは、容量性充填レベルセンサで記録することができる静電容量の例証的なプロファイルを示し、図6dは、壁厚が低減した壁部を有する充填レベルセンサ読み取りエリア上への樹脂バットの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、材料ユニット1を有する付加製造デバイスAMを概略図で示す。図1に示す例では、付加製造デバイスAMは、「オーバーヘッド印刷」用の「ボトムアップ」デバイスとして設計され、とりわけ、材料ユニット1の下に光源S、例えばDLP(Digital Light Processing)プロジェクタ又はレーザを備える。透明プレートT、例えばガラスプレートGは、光源Sの上方に、好ましくは材料ユニット1の外部に配置される。材料ユニット1は、次いで、透明プレートTの上方に配置される。材料ユニット1は、樹脂バット2を備え、樹脂バット2は、少なくとも部分的に透明な基部3(即ち、バット底部を形成する)を備える。透明な基部3は、例えば、透明なポリプロピレンフィルム若しくはテフロン(登録商標)フィルムであるか、又はそれを備えることができる。樹脂バット2は、リザーバ5用のホルダ4に接続される。ホルダ4は、前記ホルダ4によって保持されたリザーバ5の出口6から出てくる樹脂Rが樹脂バット2中に流入することができるように構成される。樹脂Rは、例えば重力によってリザーバ5から流出することができる。
【0037】
例として、樹脂バット2では、図1は、(z方向の)高さ調整可能なビルドプラットフォームP上への選択的な照射を介して層毎に形成される少なくとも部分的に製造されたコンポーネントCを更に示す。
【0038】
図2は、付加製造デバイスAMの残りの部分から取り外された又は分離された状態にある本発明による材料ユニット1を示す。樹脂バット2とリザーバ5用の接続されたホルダ4とは、明確に識別可能である。図2に示す状態では、リザーバ5は、ホルダ4中に挿入されていない。図2に示す例では、ホルダ4は、リザーバ5として交換可能なカートリッジ5aを収容するためのシャフト7を備える。
【0039】
対照的に、図3は、リザーバ5がホルダ4中に挿入された状態、即ちホルダ4がリザーバ5を保持している状態にある材料ユニット1を示す。樹脂バット2とリザーバ5とを有する材料ユニット1は、付加製造デバイスAM中に取り外し可能に配置されるように構成される。ホルダ4及び/又はリザーバ5が樹脂バット2を覆うように設計されることも分かる。ホルダ4及び/又はリザーバ5は、その結果として、バットカバーを形成するか、又はホルダ4及び/又はリザーバ5は、図3に示さない既存のバットカバーと一体に設計される。
【0040】
図2及び3では、ホルダ4及び/又はリザーバ5が可動的に樹脂バット2に接続されることも分かる。樹脂バット2とホルダ4及び/又はリザーバ5との間の接続は、枢動ジョイント18を備える。リザーバ5は、このことから、枢動軸18aの周りを樹脂バット2に対して枢動することができる。材料ユニット1は、付加製造デバイスAM中に位置付けるための少なくとも1つの案内部8を更に備えることができる。案内部8は、例えば、付加製造デバイスAMの突出部が係合する案内レール又は凹部8aの形態の形状嵌合インターフェースとして設計することができる。ホルダ4及び/又はリザーバ5はまた、電子コンポーネント9、例えばRFIDチップ9aによって電子的に識別することができる。
【0041】
図2及び図3は、閉じた状態、即ち樹脂バット2、ホルダ4、及びリザーバ5が共に折り畳まれた静止状態又は格納状態にある材料ユニット1を示す。
【0042】
図4は、開いた状態、即ち使用状態にある反対方向から見た材料ユニット1の2つの図を示す。図2及び3に示した格納状態との比較は、ホルダ4及び/又はリザーバ5が、樹脂バット2に対して実質的に平行な配置と、樹脂バット2に対して実質的に垂直な少なくとも1つの配置との間の角度範囲αにおいて枢動軸18aの周りを枢動することができることを示す。角度範囲αは、好ましくは0°~少なくとも90°である。
【0043】
図4の右画像では、ホルダ4が、図示されていない計量制御部用の接続部10に接続され、ホルダ4によって保持されたリザーバ5から樹脂バット2への樹脂Rの流れが、接続部10を介して制御することができることも分かる。図4に示す例では、接続部10は、回転可能な機械的接続部10aである。計量制御部が接続部10を作動させる、例えば接続部10に係合して回転させ、このことからホルダ4を回転させるので、リザーバ5の本来なら閉じていた出口6を解放することができ、そのため、樹脂Rは、垂直に配置されたリザーバ5から流出して樹脂バット2中に流入する。樹脂Rは、好ましくは、重力によって液体状態で出口6から流出する。
【0044】
図5は、使用状態にある材料ユニット1を示す。左画像では、リザーバ5を有するホルダ4は、樹脂バット2に対して実質的に垂直であり、即ち90°の角度αである。この材料ユニット1の状態では、リザーバ5の出口6は、閉じている。右画像では、リザーバ5を有するホルダ4は、樹脂バット2に対して限界角度βに配置され、限界角度βは、90°よりも大きく、例えば95°である。この材料ユニット1の状態では、リザーバ5の出口6が解放されて樹脂Rの排出が可能となる。樹脂Rを排出するために、ホルダ4は、ホルダ4中に収容されたリザーバ5の弁12を作動させるための作動デバイス11、例えば、弁タペット11aを備える。作動デバイス11は、ホルダ4又はリザーバ5が限界角度βを超えて枢動移動している間に弁12を作動させ、ここにおいて、限界角度βは、例えば95°からの、樹脂バット2に対するホルダ4及び/又はリザーバ5の実質的に垂直な配置に対応する。リザーバ5の出口6は、弁12を作動させることによって解放される。
【0045】
図5では、少なくとも1つの流れ妨害物13がリザーバ5の内部に配置されていることが更に分かる。流れ妨害物13は、突出部として設計することができ、好ましくは数回、リザーバ5を有するホルダ4を枢動させる、即ち本質的に揺動させることによって、リザーバ5中に収容された樹脂Rを混合及び調整する役割を果たす。枢動移動のために、計量制御部は、図4に示す接続部10に係合することができる。図5はまた、樹脂バット2がそれを用いて装備される充填レベルセンサ14を示す。従って、コンポーネントの製造に必要な量の液体樹脂Rだけを樹脂バット2中に計量供給すればよい。
【0046】
図5は加えて、樹脂バット2が内蔵混合デバイス15、例えばドクターブレード15aを装備されることを示す。混合デバイス15は、樹脂バット2中に収容された樹脂Rにおける均一な温度及び粒子分布をもたらす。混合デバイス15は、好ましくは、並進的に移動させることができる。混合デバイス15は、特に、樹脂バット2の基部3上で並進的に可動であり得る。混合デバイス15を駆動するために、前記混合デバイスは、外部駆動部16に磁気的に結合することができ、その例は、図5の左画像に示す。この目的のために、外部駆動部16及び混合デバイス15は、磁性又は磁化可能であるように設計することができる。混合デバイス15は、代替として、材料ユニット1に一体化された駆動部17に結合することができ、その駆動部ロッドの形態の一部が、図5の右画像に例として示される。
【0047】
図6は、容量性充填レベル測定用に設計された樹脂バット2に関連する概略図を示す。
【0048】
図6aは、特に、容量性充填レベル測定用の充填レベルセンサ読み取りエリア19を備える樹脂バット2を示す。示す例では、充填レベルセンサ読み取りエリア19は、樹脂バット2の右側壁上に設けられる。充填レベルセンサ読み取りエリア19中の樹脂バット2の壁部20は、電気絶縁しており、好ましくは、隣接する壁部21に対して低減された壁厚を備える(図6dを参照)。
【0049】
図6aにおいて更に分かるように、容量性充填レベルセンサ22は、樹脂バット2の右側壁の外部に配置され、樹脂バット2は、測定デバイス23に電気的に接続され、測定デバイス23は、次に、樹脂2バット中に収容された樹脂Rに(必要であれば、共通の規定基準電位を介して)電気的に接続される。樹脂バット2中に収容された樹脂Rは、樹脂バット2の内面上の導電層を表す。容量性充填レベルセンサ22は、例えば少なくとも1つの導電層である少なくとも1つのプレート又はフィルム24が設けられた回路基板を備える。樹脂バット2の充填レベルセンサ読み取りエリア19中の壁厚が低減した壁部20は、樹脂Rとプレート又はフィルム24との間の誘電体又は絶縁層としての役割を果たす。
【0050】
図6bは、容量性充填レベルセンサ22の詳細図を示す。示す例では、容量性充填レベルセンサ22は、重ねて配置され、且つ測定デバイス23にそれぞれ電気的に接続された3つのプレート又はフィルム24を備える。樹脂2バット中の樹脂Rの高さXが増大するにつれて、樹脂によって形成され、容量性充填レベルセンサ22に面する導電性表面、並びにそれと共に、容量性充填レベルセンサ22及び測定デバイス23で記録される静電容量も増大する。
【0051】
図6cは、容量性充填レベルセンサ22で記録された静電容量Cと樹脂バット2中の樹脂Rの高さXとの間の例証的な相関関係を示す。この例における静電容量Cは、樹脂Rの高さXが増大するにつれて増大し、X1は最下位プレート24の上縁を表し、X2は中間プレート24の上縁を表し、X3は最上位プレート24の上縁を表すことが分かる。
【0052】
3つのプレート又はフィルム24の代わりに、図示されていない設計例では単一のプレート又はフィルム24を設けることもできる。
【0053】
図6dは、図6aに示す樹脂バット2上への右側から見た側面図を示す。隣接する壁部21と比較して低減された壁厚を有する壁部20を有する充填レベルセンサ読み取りエリア19がはっきりと見える。壁部20は、例えば樹脂バット2の壁における凹部によって形成されている。
【0054】
特に歯科用途の範囲では、作業者は、製造されるコンポーネントに応じて1日に数回異なる印刷材料を使用するために、付加製造デバイス、例えば光造形法式機械を切り替えなければならないという課題に直面する。既知の光造形法式機械では、樹脂バット及びリザーバの両方が、切り替えのために交換されなければならない。作業者はまた、再使用可能な印刷材料のUV保護され且つ防臭された貯蔵を保証しなければならない。「ボトムアップ」デバイスが異なる印刷材料(樹脂)に切り替えられた場合、特に、
-樹脂バットは、取り外されなければならず、
-残留樹脂を有する樹脂バットは、UV安全な形で格納されなければならず、
-リザーバは、取り外され、格納されなければならず、
-リザーバから樹脂バットへの供給ラインは、洗浄されなければならず、
-新しい材料のための別の樹脂バットが挿入されなければならず、
-所望の他の材料を有するリザーバは、沈殿した樹脂成分を混合して戻すために振動されなければならない場合があり、
-所望の他の材料を有するリザーバが挿入されなければならず、
-新しい樹脂バットは、充填されなければならず、必要であれば正しい温度にされなければならず、
-新しい樹脂バット中の樹脂は、それを混合するために攪拌されなければならない。
既知の光造形法式機械では、従って、樹脂バット及びリザーバは、別々に取り扱われなければならない2つのデバイスであり、それは、作業者に特別な注意を強いることになり、最終的には切り替え中にかなりの労力を生じさせる。
【0055】
対照的に、上述した材料ユニットは、付加製造デバイスを異なる印刷材料に簡単に切り替えることを可能にすると共に、再使用可能な残留材料を簡単にUV安全且つ防臭された形で貯蔵することを可能にする。作業者は、材料を変更するために1つのユニット、即ち材料ユニット1を取り扱うだけでよい。材料調整(即ち、リザーバ5中の樹脂Rを混合し、適切な温度にすること)は、材料ユニット1中で行われる。このステップのために、作業者にとって更なる取り扱い手順は存在しない。製造プロセス中の樹脂Rの追加の計量は、作業者の側で手動の相互作用なしに自動的に行うことができる。自己完結型ユニットとして、材料ユニット1はまた、封入された印刷材料(樹脂R)を貯蔵するために使用することができる。材料ユニット1は、異なる印刷材料への切り替え及び貯蔵を容易にすることができ、樹脂の調整及び計量の自動化も可能にすることができる。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 樹脂バット(2)を有する付加製造デバイス(AM)のための材料ユニット(1)であって、前記樹脂バット(2)は、少なくとも部分的に透明な基部(3)を備え、前記樹脂バット(2)は、リザーバ(5)用のホルダ(4)に接続され、前記ホルダ(4)は、前記ホルダ(4)によって保持されたリザーバ(5)の出口(6)から出てくる樹脂(R)が前記樹脂バット(2)中に流入することができるように構成され、前記ホルダ(4)は、その中に収容されたリザーバ(5)の弁(12)を作動させるための作動デバイス(11)を備え、前記作動デバイス(11)は、限界角度(β)を超える枢動移動のために前記弁(12)を作動させ、前記限界角度(β)は、前記樹脂バット(2)に対する前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)の実質的に垂直な配置に対応することを特徴とする、材料ユニット(1)。
[2] 前記ホルダ(4)は、リザーバ(5)を保持し、前記材料ユニット(1)は、前記樹脂バット(2)及び前記リザーバ(5)と共に、付加製造デバイス(AM)中に取り外し可能に配置されるように構成されることを特徴とする、[1]に記載の材料ユニット(1)。
[3] 前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)は、前記樹脂バット(2)を覆うように設計されることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の材料ユニット(1)。
[4] 前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)は、可動的に前記樹脂バット(2)に接続されることを特徴とする、[1]~[3]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[5] 前記樹脂バット(2)と前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)との間の前記接続は、枢動ジョイント(18)を備えることを特徴とする、[4]に記載の材料ユニット(1)。
[6] 前記ホルダ(4)及び/又は前記リザーバ(5)は、前記樹脂バット(2)に対して実質的に平行な配置と、前記樹脂バット(2)に対して実質的に垂直な少なくとも1つの配置との間の角度範囲(α)において枢動することができることを特徴とする、[5]に記載の材料ユニット(1)。
[7] 少なくとも1つの流れ妨害物(13)が、前記リザーバ(5)の内部に配置されることを特徴とする、[2]に従属する[4]~[6]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[8] 前記ホルダ(4)は、リザーバ(5)として交換可能なカートリッジ(5a)を収容するためのシャフト(7)を備えることを特徴とする、[1]~[7]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[9] 前記ホルダ(4)は、計量制御部用の接続部(10)に接続され、前記ホルダ(4)によって保持されたリザーバ(5)から前記樹脂バット(2)への樹脂(R)の流れは、前記接続部(10)を介して制御することができることを特徴とする、[1]~[8]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[10] 前記接続部(10)は、機械的接続部(10a)であることを特徴とする、[9]に記載の材料ユニット(1)。
[11] 前記材料ユニット(1)は、付加製造デバイス(AM)中に位置付けるための少なくとも1つの案内部(8)を備えることを特徴とする、[1]~[10]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[12] 前記樹脂バット(2)は、充填レベルセンサ(14)を装備されることを特徴とする、[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[13] 前記樹脂バット(2)は、容量性充填レベル測定用の充填レベルセンサ読み取りエリア(19)を備えることを特徴とする、[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[14] 前記樹脂バット(2)の壁部(20)が、前記充填レベルセンサ読み取りエリア(19)中で電気絶縁しており、好ましくは、隣接する壁部(21)に対して低減された壁厚を有することを特徴とする、[13]に記載の材料ユニット(1)。
[15] 前記樹脂バット(2)及び/又は前記リザーバ(5)は、電気的にラベル付けされることを特徴とする、[1]~[14]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[16] 前記樹脂バット(2)は、混合デバイス(15)を装備されることを特徴とする、[1]~[15]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)。
[17] 前記混合デバイス(15)は、並進的に移動することができることを特徴とする、[16]に記載の材料ユニット(1)。
[18] 前記混合デバイス(15)は、外部駆動部(16)に磁気的に結合されることを特徴とする、[17]に記載の材料ユニット(1)。
[19] 前記混合デバイス(15)は、前記材料ユニット(1)に一体化された駆動部(17)に結合されることを特徴とする、[17]に記載の材料ユニット(1)。
[20] リザーバ(5)中に包含された印刷材料(R)を使用するための付加製造デバイス(AM)を用意する方法であって、樹脂バット(2)が、前記リザーバ(5)と共に前記付加製造デバイス(AM)中に導入され、前記樹脂バット(2)は、少なくとも部分的に透明な基部(3)を備え、前記リザーバ(5)は、[1]~[19]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)を形成するために前記樹脂バット(2)に接続されることを特徴とする、方法。
[21] 前記リザーバ(5)は、前記樹脂バット(2)に対して、好ましくは周期的に移動されることを特徴とする、[4]~[7]のうちのいずれか一項に記載の材料ユニット(1)で樹脂(R)を調整するための方法。
[22] 前記リザーバ(5)は、枢動軸(18a)の周りを前記樹脂バット(2)に対して枢動されることを特徴とする、[21]に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d