(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】アッセイデバイスにおける試薬の配備
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20240527BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20240527BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20240527BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240527BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240527BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G01N35/08 A
B01J19/00 321
G01N21/78 A
G01N37/00 101
G01N33/543 521
C12M1/34 B
(21)【出願番号】P 2021552254
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 GB2020050482
(87)【国際公開番号】W WO2020178561
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-18
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521391704
【氏名又は名称】ヴィディア・ホールディングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ドルレスティン,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クルグ,デビッド・アール
(72)【発明者】
【氏名】ル,シャオ-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,カラム・ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】バン ワークム,ステファン・レオ
(72)【発明者】
【氏名】トゥレク,ブラド
【審査官】野口 聖彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-534653(JP,A)
【文献】特表2016-506509(JP,A)
【文献】国際公開第2009/096529(WO,A1)
【文献】特表2012-522225(JP,A)
【文献】特表2002-541455(JP,A)
【文献】特表2018-529538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/08
B01J 19/00
G01N 21/78
G01N 37/00
G01N 33/543
C12M 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料中の標的成分を検出するためのアッセイカートリッジであって、
前記液体試料を前記
アッセイカートリッジ内に導入するように構成されている試料収集ユニットと、
4つの実質的に直交する壁を備える矩形または正方形の断面を有する流体経路と、
前記流体経路の前記壁の少なくとも一部を画定する光学要素と、を有し、
前記流体経路は、前記試料収集ユニットにおいてその近位端
で始まり前記
アッセイカートリッジを通って遠位方向に延在
し、
また前記流体経路は、
前記光学要素に固定されている1つまたは複数のキャプチャー成分
と、
前記キャプチャー成分の拡散距離内に提供されている1つまたは複数の検出試薬
と
を含
み、
前記検出試薬は、前記キャプチャー成分とは異なる壁の上に置かれており、
前記アッセイカートリッジは更に、前記キャプチャー成分の近傍での前記液体試料のバルク移動を低減するように構成されているフロー制御部を備え、
前記フロー制御部は前記キャプチャー成分よりも遠位に設けられている、
アッセイカートリッジ。
【請求項2】
前記標的成分の検出は前記
標的成分の存在を識別することを含む、請求項1に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項3】
前記流体経路は前記
液体試料が前記
アッセイカートリッジ内に導入される場所において始まる、請求項1または2に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項4】
前記検出試薬は前記キャプチャー成分に対して実質的に等距離にある、請求項1から
3のいずれか一項に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項5】
1つまたは複数の検出試薬および/または1つまたは複数のキャプチャー成分は、液滴内に含まれており、前記液滴のうちの少なくとも1つは蒸発を最小限にする添加剤を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項6】
前記流体経路は1つまたは複数の陥入部を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項7】
前記フロー制御部よりも遠位に設けられている多孔質構造体ポンプを更に備える、請求項
1に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項8】
前記液体試料
がチャネル内にいつ存在しているかを示すように構成されている確認要素を含む、前記キャプチャー成分よりも下流にあるチャネルを更に備える、請求項1から
7のいずれか一項に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項9】
前記検出試薬が中に提供されている前記液滴は分解性のシェルを含む、請求項
5に記載のアッセイカートリッジ。
【請求項10】
生体液の
液体試料中の標的成分の存在および/または量を検出するための装置であって、請求項1から
9のいずれか一項に記載のアッセイカートリッジと、前記試料中の前記標的成分の前記存在および/または前記量の指標を提供する放射される光の存在および/または量を検出する検出器と、を備える、装置。
【請求項11】
前記装置は、TIR照射を可能にするように構成されている励起源を更に備える、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
音響による混合のための構成要素を更に備える、請求項
10または
11に記載の装置。
【請求項13】
光学読み出し構成要素を更に備える、請求項
10から
12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
結合された検出試薬と前記光学読み出し構成要素との間の光学経路内に光学マスクを更に備える、請求項
13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はアッセイデバイスに関し、より詳細にはアッセイデバイスにおける試薬の配備に関する。
【背景技術】
【0002】
アッセイデバイスは僅か数nlから数mlまでの様々なサイズの試料に対応し得る。試料全体が処理される場合もあるが、多くの場合は完全に処理されるのは試料の一部のみである。試料はその本来の状態で処理される場合があり、または、試料はフローチャネル(またはニトロセルロース膜などの多孔質媒体)を通して試験サイトへと輸送される前に、試薬(例えば検出抗体)と混合される場合がある。チップ上に蓄えられる試薬は、別個のチャンバもしくは小袋のいずれかの中(のバッファー溶液中)にあるか、または、フローチャネル内に乾燥フォーマットで配備される。前者にはポンプおよび混合ステージが必要であり、後者では乾燥した堆積物を溶解する必要がある。これらの既存の技術はいずれも技術的に困難であり、アッセイ性能を制限する可能性がある。試薬を導入するために使用されるチャネルおよびポンプはいずれも、設計時間、製造、デバイス上の利用可能面積、およびチャネル壁への非特異的な結合に起因する試薬の損失の観点において、高コストとなり得る。また更に、チャネル壁への検体の非特異的な結合は、感度の低下をもたらし、ばらつきが生じる可能性を大きくする。
【0003】
欧州特許第EP2627987B1号は、例えば、流体フローが受動的に駆動される流体カートリッジを開示している。開示されるデバイスおよび方法は、チャネルの干上がりおよび逆流を防止するためにウィッキングパッドおよび/または傾斜手段を使用することによって、受動的フローの流体工学に関連する問題を解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、この技術分野では、単純でより低コストで信頼性の高い、代替のアッセイデバイスおよび方法、例えば、使い捨ての単回使用の消費者向けチップを開発する要望および必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明はこの背景に対して行われたものである。
本願の発明によれば、液体試料中の標的成分を検出するためのアッセイカートリッジであって、液体試料をカートリッジ内に導入するように構成されている試料収集ユニットと、試料収集ユニットにおいてその近位端が始まりカートリッジを通って遠位方向に延在する流体経路であって、流体経路内に固定されている1つまたは複数のキャプチャー成分、キャプチャー成分の拡散距離内に提供されている1つまたは複数の検出試薬を含む、流体経路と、を備える、アッセイカートリッジ、が提供される。
【0006】
検出試薬およびキャプチャー成分を拡散距離内に提供することによって、事前混合する必要性を排除できる。液体試料はカートリッジに導入され、第1の比較的急速な初期速度で流体経路に沿って流れる。液体試料がキャプチャー成分および検出試薬の近傍に到達すると、その速度は劇的に低下し、この結果拡散が優勢となる。キャプチャー成分および検出試薬は拡散距離内に提供され、したがってそれらは、事前混合を何ら必要とすることなく試料と結合することができる。
【0007】
また更に、キャプチャー成分および検出試薬をまとめて非常に近くに提供することは、アッセイのタイミングについての確実性に関して役立つが、その理由は、試料流体がキャプチャー成分および検出試薬の両方と、ほぼ同時に接触することになるからである。
【0008】
更に、拡散主導のアッセイにおけるシグナルは、デバイスの初期充填の速さおよび/または方向性には依存しないが、その理由は、バルクフローが後で速度を下げられるか、または完全に停止されるからである。バルクフロー主導のレジメンでは、流速はフローの方向性と同じく、シグナルに直接の影響を及ぼす。拡散主導のレジメンを選択することは、このことを回避する。
【0009】
また更に、拡散主導のアッセイは、バルクフロー主導の実施形態よりも占有領域が小さい。このことは、拡散主導の構成は、チップ上で占める利用可能面積がより小さいことを意味する。例えば、バルクフロー主導の実施形態は、キャプチャー成分に到達する前に検出試薬を液体試料中に混合するための空間を必要とする。また更に、自由フローまたはバルクフローの実施形態では、制御された流量という要件のために、波形のまたは蛇行したチャネルが好ましい。
【0010】
拡散主導のレジメンは、単一の液体操作ステップ、すなわち試料の充填を用いるウェルベースの実施形態を可能にすることになる。現在のウェルベースのアッセイは、例えばELISAアッセイの場合のように、複数の液体操作ステップを必要とする。
【0011】
本願の発明によれば、液体試料中の標的成分を検出するためのアッセイカートリッジであって、液体試料をカートリッジ内に導入するように構成されている試料収集ユニットと、試料収集ユニットにおいてその近位端が始まりカートリッジを通って遠位方向に延在する流体経路であって、流体経路内に固定されている1つまたは複数のキャプチャー成分、検出試薬または各検出試薬が液滴中に含有されており、キャプチャー成分よりも近位にまたはキャプチャー成分と同じレベルに提供されている1つまたは複数の検出試薬を含む、流体経路と、を備える、アッセイカートリッジ、が提供され得る。
【0012】
液滴の形態での検出試薬の提供は、それらが試料と結合されて液体試料と一緒にバルク移動(bulk movement)することを可能にする。この「自由フロー」構成では、液滴は液体形態のままであり、多孔質マトリクス内に吸収されない。液体試料が検出試薬上を移動するにつれ、それらは試液体試料のバルク移動と一緒に引きずられ、液体試料のフローが実質的に層流であるために、試薬は検出試薬の筋を作り出す。更に、試薬は、液滴からは、乾燥した堆積物からよりも短時間で溶液中に混合/溶解され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、液体試料は、流体経路上に設けられたまたは流体経路が少なくとも部分的にそれから製造される、マトリクス内への吸収が許され得る。検出試薬を中に吸収し得る吸収性マトリクスを設けることは、このことが経路の単位長あたり比較的大きい体積の試薬溶液が蓄えられることを可能にするという点で、利点をもたらす。このことは検出試薬にとって適当であるが、その理由はそれらが、キャプチャー成分の数が精確に知られ制御される単層として提供されるキャプチャー成分とは異なり、余分に提供され得るからである。
【0014】
標的成分の検出は、構成要素の存在を識別することを含み得る。検出はまた、液体試料中に存在する少なくとも1つの標的成分の量を識別することも含む。
流体経路は、試料がカートリッジに導入される場所で開始し得る。流体経路はまた、1つまたは複数のキャプチャー成分の場所および任意の介在する幾何形状も含む。キャプチャー成分はウェル内に位置付けられ得る。別法として、流体経路は細長くてもよく、1つまたは複数の細長い壁を備え得る。キャプチャー成分は、流体経路の1つまたは複数の壁の上に位置付けられ得る。
【0015】
流体経路は、4つの実質的に直交する壁を備える矩形または正方形の断面を有し得る。壁は、実質的に一定の断面を提供するように、流体経路に対して実質的に垂直である。これらの実施形態では、キャプチャー成分は、流体経路に沿って検出試薬と同じ遠位距離だがただし異なる壁上に位置付けられ得る。キャプチャー成分は検出試薬に対して垂直に配置されている壁上に供給され得るか、または、キャプチャー成分は隣り合う壁上に提供され得る。
【0016】
流体経路は細長い円筒状であってもよく、単一の環状壁を含み得る。円筒状の流体経路を有する実施形態では、キャプチャー成分は、壁に沿った遠位方向の距離が異なる、壁上の同じ環方向位置に位置付けられ得る。別法として、キャプチャー成分は、試料収集ユニットから同じ距離にある、壁上の異なる環方向位置に位置付けられ得る。
【0017】
検出試薬およびキャプチャー成分が流体経路に沿った同じ遠位距離に提供される構成は、拡散主導のフローレジメンにとってより適当であるが、その理由は、液体試料が検出試薬およびキャプチャー成分の近傍にほぼ同時に到達することになるからである。バルクフローが検出試薬およびキャプチャー成分に到達すると、拡散が優勢となるポイントまでバルクフローの速度が下げられ得るか、またはバルクフローが完全に停止され得る。キャプチャー成分および検出試薬を環方向において分離させることによって、またはこれらを隣り合うもしくは互いに対向する壁上に配置することによって、これらは液体試料がなければ互いに接触することができなくなる。しかしながら、液体試料がひとたび存在すると、キャプチャー成分および検出試薬は拡散によって液体試料内を移動し、流体試料中の標的成分と相互作用することができる。
【0018】
流体経路はウェルであり得る。ウェル構成は、液体試料を検出試薬およびキャプチャー成分と結合するためのプロセスが拡散主導である場合に、特に有利である。そのような実施形態では、ウェル壁は、液体試料のバルク移動を停止または大きく低減することができる。このことは、拡散による移動が優勢となることを可能にする。液体試料は、流体経路の壁上に存在する検出試薬を溶解することになる。隣り合う壁上に位置付けられているキャプチャー成分は表面に結合されたままであり、このことにより、標的成分が拡散による移動を通してウェル内のキャプチャー成分および検出試薬と出会うときに、検出試薬、標的成分、およびキャプチャー成分の組合せによって引き起こされるサンドイッチアッセイの局在化を提供する。
【0019】
検出試薬は異なるいくつかの壁の上に置かれ得る。検出試薬は、使用時に光線によって照射される壁上に提供され得る。別法として、検出試薬は、光線によって照射されない壁上に提供され得る。
【0020】
別法として、検出試薬は、キャプチャー成分に対して実質的に等距離にあり得る。すなわち、試料がデバイス内に導入される箇所からの距離は、キャプチャー成分および検出試薬にとって同じである。このことの目的は、配備されるある量に対して最大濃度の検出試薬を作り出すことである。
【0021】
検出試薬は、分析の継続時間内で達成可能な拡散距離未満でキャプチャー成分から分離され得る。
キャプチャー成分に対する検出試薬の配置が、標的成分および検出試薬がキャプチャー成分の上を流れることになるようなものである場合には、拡散長はキャプチャー成分のスポット径未満であり得る。
【0022】
検出試薬を分析の継続時間内で達成可能な拡散距離未満でキャプチャー成分から分離することは、結合していない検出試薬からの全体的な背景シグナルを低減して、クロストーク(例えば抗体-抗体クロストーク)を回避するとともに、試薬が分散される液体体積を減らすことによって、高コストな試薬の必要量を減らす。
【0023】
検出試薬およびキャプチャー成分は通常、接触式または非接触式のプリンタまたはスポッタを使用して、アッセイ上に液滴の形態で分注される。しかしながら、水は、蒸発が適切な方策で緩和されない限りは、(貯蔵期限を無視した場合でさえ)最終製品が使用できる状態になる時間までに蒸発してしまうことになる。デバイスの貯蔵期限が継続している間、液滴を実質的に液体状に保つことは、試料とのそれらの混合を促進し、この結果、液滴内容物を試料フローによって容易に輸送することおよび/または試料を通して容易に拡散することが可能になる。水を保持することはまた、溶質の構造の維持、例えば、生体分子の変性の防止も助け得る。
【0024】
液滴のうちの少なくとも1つは、蒸発を最小限にするかまたは更には中断する添加剤を含み得る。このことは、液滴が液体形態で保持され、ある表面上のまたはマトリクス内のいずれの乾燥されたスポットにも移行しないことを保証する。添加剤は、ベタイン、糖、ポリオール、またはアミノ酸などの、吸湿性化合物であってもよい。一実施形態では、ベタイントリメチルグリシンが1.4M濃度で添加される。別の実施形態では、スクロースが0.88M(30%w/v)で添加される。別の実施形態では、多糖類トレハロースが0.88Mで添加される。
【0025】
蒸発を更に低減または中断させるために、流体経路内の湿度を上昇させることができる。このことを達成するための1つの方法は、流体経路内部への塩溶液の1つまたは複数の液滴の配備によるものである。相対湿度は、塩のタイプおよび濃度によって制御され得る。デバイス内部の凝結を回避するために、相対湿度は、デバイスの指定された温度範囲に関して100%未満のままでなければならない。例えば硫酸アンモニウムの飽和溶液を使用して、相対湿度が0~50℃の温度範囲に対して79~82%の狭い範囲内に維持され得る。塩溶液とアッセイの相互作用を回避するために、これらの液滴は試験サイトよりも下流に優先的に配備される。
【0026】
蒸発を低減するための別の方法は、液滴の表面対体積比を小さくすることである。このことは、液滴のうちの少なくとも1つを、表面に対して本質的に垂直な凹部(recess)、樋状部(trough)、溝路(ditch)、トレンチ(trench)、溝(groove)、谷部(gully)、ビアなどの、1つもしくは複数の陥入部(indentation)内に、または多孔質構造体内に配備することによって、達成され得る。壁の厚さ全体を貫通するビアおよび多孔質構造体は、製造時に壁の反対側から液滴を堆積させるのを可能にすること、および、液滴が試料の流体経路に向かいその中へと移動するのを促進するためにビアまたは細孔が空気で埋め戻されるのを可能にし、この結果試料と混合する検出試薬の量を増やすことを含む、追加の利点を有し得る。流体経路の少なくとも一部は多孔質媒体であり得る。流体経路の少なくとも一部を多孔質媒体で形成することによって、キャプチャー成分および/または検出試薬は流体経路の壁の細孔内に保持され得る。多孔質媒体は、多孔質の壁、またはナノ多孔質膜、またはナノ多孔質ブロックコポリマー、またはポリマーフォーム、または発泡金属であってもよい。
【0027】
拡散構成では、検出試薬を含む液滴は、試料フローがそれら液滴をその対応するキャプチャー成分から引き離す場合に、そのフローによって運び去られないのが理想的である。このことはいくつかの方法で促進され得るが、それらの方法はいずれも、利用されるまで液滴を液体形態で保持する「一時的マトリクス」を作り出す。例えば、液滴はより粘度の高いものとすることができる、陥入部の中に配備され得る、および/または、フロー制御部は検出試薬が運び去られるのを低減し得る。高い粘度は試料との接触時の拡散を制限するが、溶解後は移動度を大きくする。トレハロース、スクロース、もしくはグリセロール、または水蒸気圧を下げる言及した吸湿性化合物のいずれかを添加することによって、高い粘度が達成され得る。高い粘度の延長として、液滴は、ゲルマトリクス、または試料を溶解する/試料と反応するマトリクスを含有し得る。試料が唾液であるアッセイの場合、分解性マトリクスの例は、唾液中のアミラーゼ酵素の作用を介して分解する、多糖類ベースのゲルである。別法として、液滴の表面上に吸着された切断可能な架橋ポリマーが使用されてもよい。更なる選択肢は、液滴の内容物がフローと一緒に運ばれるのを初期に防止するが、その後(例えば反応を通してまたは溶解を通して)時間と共に分解し、このことにより内部の内容物がキャプチャー成分の領域まで拡散するのを可能にする、液滴中のマトリクスまたは液滴上の保護コーティングであろう。試料はまた、そのような分解を促進すると考えられる種でドープされてもよい。拡散構成では、配備された検出試薬とその対応するキャプチャー成分の間の最大距離は、検出試薬の拡散長x:
【0028】
【0029】
によって与えられ、式中、tは検出試薬が対応するキャプチャー成分に到達するのに許された時間であり、Dは検出試薬のその媒質中での拡散係数である。この場合、媒質は、試料、検出試薬を含有する液滴の液体、またはこれら2つの混合物であり得る。水(D=4×10
-11m
2s
-1)中のIgG抗体および粘液(D=3×10
-11m
2s
-1)中のIgG抗体に関して、等式1が
図7にプロットされている。
【0030】
アッセイカートリッジは、キャプチャー成分の近傍での試料のバルク移動を低減するように構成されているフロー制御部を更に備え得る。
フロー制御部は、検出試薬が標的成分に結合し拡散を介してキャプチャー成分まで移動できるように、試料のバルク移動の速度を十分下げるために必要とされ得る。拡散構成では、より低い試料流量はまた、試験サイトから引きずられていく検出試薬を有する液滴の体積を、これらの液滴の粘度が試料の粘度よりも高い場合に、少なくし得る。
【0031】
フロー制御部はバルク流体フローを効果的に中断させることができる。別法として、バルク流体フローは、試料中の成分の拡散が顕著となるように、1mm/分、0.5mm/分、0.25mm/分、または更には実質的に0.0mm/分、すなわち不動にまで、低減され得る。
【0032】
フロー制御部は、キャプチャー成分よりも遠位に設けられ得る。フロー制御部をキャプチャー成分よりも遠位にまたは下流に置くことによって、流体経路内への試料のフローは阻害されなくなり、この結果、試料が短時間でカートリッジ内に導入されることが可能になる。フロー制御部はその場合、試料がキャプチャー成分に到達したときにそのフローの速度を下げるように作用する。
【0033】
フロー制御部は、フローの速度を下げるのに効果的な任意の形態をとり得る。フロー制御部は毛管停止部(capillary stop)、または細いもしくは蛇行した経路であり得る。別法として、フロー制御部は、流体経路がウェルである場合、流体経路自体の幾何形状によって提供され得る。ウェルの1つまたは複数の側壁はフロー制御部を提供するが、これは、それらが試料の更なる流れを防止し、ウェルの基部にまたはウェルの基部の1つもしくは複数の壁に付着されるキャプチャー成分の近傍で、試料を停止させるからである。
【0034】
いくつかの実施形態では、多孔質構造体ポンプは、フロー制御部よりも遠位に設けられ得る。
アッセイカートリッジは、流体経路を複数の平行なフローチャネルへと分割するように構成されている物理的障壁を更に備え得る。
【0035】
各フローチャネルは、検出試薬および対応するキャプチャー成分を含み得る。フローチャネルは、異なる検出試薬およびそれらの対応するキャプチャー成分を含み得る。この構成はこのことにより、いくつかの異なる検出試薬が同じ液体試料に対してクロストークのリスクを伴わずに同時に利用されることを可能にする。平行なフローチャネルは、流体経路に沿って軸線方向に延びる分割壁を設けることによって、単一の流体経路内に提供され得る。分割壁は、フローチャネルの全長に延びていてもよく、または不連続であってもよい。分割壁の各側の下位フロー経路同士の間に流体連通が存在しないように、分割壁は流体経路の全高であってもよい。別法として、分割壁は流体経路の不完全な分割をもたらし得る。これは流体経路の一部にわたって延在し得る。
【0036】
別法として、流体経路は、2つ以上の完全に独立した流体経路を形成するように分かれ得る。
検出試薬およびキャプチャー成分は抗体を含み得る。検出抗体は蛍光によって標識されてもよく、または散乱物質で標識されてもよい。
【0037】
検出試薬およびキャプチャー成分はいずれも、一本鎖オリゴヌクレオチドまたは一本鎖ポリヌクレオチドを含み得る。別法として、検出試薬およびキャプチャー成分は一本鎖でなくてもよく、例えば、それらはグアニン四重鎖であってもよい。
【0038】
流体経路内に固定されるキャプチャー成分および検出試薬に加えて、流体経路および/または試料収集ユニット内には、カートリッジ内で補助的な機能を果たすための他の試薬が組み込まれてもよい。例えば、流体経路内に標識試薬が存在し得る。また更に、それ以外で試料を処理する他の試薬が、流体経路内に含まれてもよい。
【0039】
試料収集ユニットは、試薬を含有する多孔質構造体であり得る。多孔質構造体は、スワブ、スポンジ、ニトロセルロース膜、または、唾液収集用の1つもしくは複数の親水性の溝もしくはチャネルであり得る。
【0040】
多孔質構造体は、試料の処理が初期化され得るように試薬を含むように事前準備され得る。
多孔質構造体は、これが液体試料によって実質的に飽和されているかどうかを指示するように構成され得る。このことは色変化によって達成され得る。
【0041】
アッセイカートリッジは、液体試料がチャネル内にいつ存在しているかを示すように構成されている確認要素を含む、キャプチャー成分よりも下流にあるおよび/または遠位に配置されているチャネルを更に備え得る。確認要素は角度のある表面を有する透明な要素を備えてもよく、この表面は、試料液が存在しないときには側壁からの色を反射し、試料液が存在するときには底壁からの異なる色を透過するようになっている。
【0042】
アッセイカートリッジは、キャプチャー成分と一緒に配備されている検出試薬を更に含み得る。検出試薬は、蛍光または化学発光分子、比色シグナルを生成する酵素およびその基質であり得る。
【0043】
検出試薬およびその対応するキャプチャー成分は、家庭消費されるタンパク質(household protein)を標的とし得る。この文脈では、家庭消費されるタンパク質は、濃度が時間経過に対して比較的安定しておりかつ様々な試料源、すなわちヒト、動物に対して類似しているタンパク質である。このことは、他の標的成分の濃度を測定する際のベンチマークまたは基準を提供する。このことは、取得されたデータが、試料中の分子の合計濃度のばらつきを考慮に入れるように補正されることを可能にし得る。別法としてまたは追加として、マーカータンパク質の存在量の重み付き和が安定している場合、すなわちそれらの、例えばアルブミンおよびヘモペキシンの存在量が、互いに典型的に平衡する場合、組合せまたはマーカータンパク質が安定した基準として使用され得る。
【0044】
アッセイカートリッジは、流体経路内に固定されている1つまたは複数の標的成分を更に備え得る。流体経路のうちの1つの中に1つまたは複数の標的成分を固定することによって、カートリッジにフロー挙動を示す基準が提供される。他の標的成分から得られる結果は、堆積された標的成分からのデータを使用して標準化され得る。
【0045】
検出試薬が中に提供されている液滴は、分解性のシェルを含み得る。分解性のシェルは液滴を保持し、このことにより、液滴が基材上に吸収される、または表面を濡らす、またはアッセイカートリッジの異なる部分内へとウィッキングされてゆくのを防止する、物理的障壁を提供する。シェルはまた、液体試料のフローによって液滴が引きずられるのを防止し得る、または、フローによって引きずられている量を小さくし得る、または、液滴が引きずられる距離を小さくし得る。分解性のシェルはまた液滴内部に、蒸発を低減すること、および検出試薬に関する制御された化学的環境を維持することのできる、微小気象を生み出す。
【0046】
また更に、本願の発明によれば、生体液の試料中の標的成分の存在および/または量を検出するための装置であって、ここまでに記載したようなアッセイカートリッジと、試料中の標的成分の存在および/または量の指標を提供する放射される光の存在および/または量を検出する検出器と、を備える、装置、が提供される。
【0047】
装置は、アッセイカートリッジおよび検出器の両方を含む、単一のハウジング内に封入され得る。別法として、検出器は、アッセイカートリッジとは別体の、「リーダ」と呼ばれる場合もある別個のハウジング内に提供され得る。検出器を収容しているハウジングは、検出器によるカートリッジへのアクセスを可能にするために、カートリッジがハウジング内に導入され得るようにカートリッジに対応するようなサイズおよび構成となっている、スロットまたは開口部を含み得る。リーダはまた、光源、ならびにデータの収集、処理、および記憶機能などの、他の整数(integer)も含み得る。
【0048】
装置は、単一の試料から1つまたは複数の標的成分を検出することができる。例えば、生体液の単一の試料から、2つの、3つの、4つの、5つの、10個の、20個の、またはそれ以上の個別の標的成分が分析され得る。分析は、二値から成る、単に標的成分の存在または不在を指示するものであってもよい。別法として、または追加として、分析は定量的であってもよく、試料中に存在する標的成分の量の指標を与えることができる。
【0049】
装置は、TIR(内部全反射)照射を可能にするように構成されている励起源を更に備え得る。追加または代替として、蛍光、燐光、化学発光、ラマン散乱、レイリー散乱、またはミー散乱、反射、および吸収(発色機序を含む)を含む、他の発光ベースの光学アッセイが利用されてもよい。明視野および/または暗視野モードで観察が行われ得る。
【0050】
装置は、音響による混合(acoustic mixing)のための構成要素を更に備え得る。音響による混合は超音波表面弾性波(SAW))の提供を介して達成され得、この弾性波は、試料中の成分の拡散の速度を上げ、この結果、試料液中の成分の結合およびしたがって検出を達成するために必要とされる時間を短くすることになる。
【0051】
音響による混合を提供する構成要素は、オンチップであるもしくはリーダ中にある、またはリーダを供給するマガジン中にある、または(チップに触れる)リーダとは別個のインキュベーションデバイス中にあることが可能な、アクチュエータ(例えば圧電式)であってもよい。アクチュエータは、少なくとも1つのフロー経路またはウェルの少なくとも1つの壁と、直接的または間接的に機械的に接触していなければならない。上記壁と上記アクチュエータの間に、インピーダンス整合材料が存在してもよい。
【0052】
装置は光学読み出し構成要素を更に備え得る。光学読み出し構成要素はカメラであってもよく、具体的には、1つもしくは複数のレンズを有するCMOSもしくはCCD画像センサ、または、レンズが必要ないように試験サイトに密に近接して置かれたCMOSもしくはCCD画像センサであり得る。
【0053】
装置は、結合された検出試薬と光学読み出し構成要素との間の光学経路内に光学マスクを更に備え得る。このことは光学検出方法に当てはまる。光学マスクは、キャプチャー成分から離れた検出試薬が発した光がブロックされ、このことにより検出試薬からの背景照射を低減するように構成される。マスクは、光学経路内の任意の光学構成要素の表面上の、例えばデバイスの試験サイトにある透明な壁の内面上の、不透明なパターンであり得る。この構成は、マスクがキャプチャー成分および試薬のスポッティングと同じ手段によって生産されるので、低コストの製造を可能にする。キャプチャー成分の周囲の全エリアがマスクされる場合、チップは、検出試薬の非特異的な結合を防止するための(高価な)不動態化ステップを必要としない場合がある。別法として、または追加として、マスクは、デバイスの試験サイトにおける透明な壁の外面上に提供され得る。
【0054】
マスクは、光学経路内の不透明なプレートのパターンによって形成され得る。マスクは不透明状態と透明状態の間で切り換え可能な要素から構成され得る、例えば、要素はLCDスクリーンのピクセルであり得る。
【0055】
以下では本発明について、以下の添付の図面を参照して、単なる例として更により詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】検出試薬とキャプチャー成分の組合せの様々な入れ替えおよび組合せを概略的に示す図である。
【
図2】検出試薬とキャプチャー成分の組合せの様々な入れ替えおよび組合せを概略的に示す図である。
【
図3】検出試薬とキャプチャー成分の組合せの様々な入れ替えおよび組合せを概略的に示す図である。
【
図4】検出試薬とキャプチャー成分の組合せの様々な入れ替えおよび組合せを概略的に示す図である。
【
図5】検出試薬がキャプチャー成分の場所に到達したことのチェックを可能にする実施形態を示す図である。
【
図7】細長いフロー経路を含む実施形態における検出試薬およびキャプチャー成分の可能な場所を示す図である。
【
図8】細長いフロー経路を含む実施形態における検出試薬およびキャプチャー成分の可能な場所を示す図である。
【
図9】細長いフロー経路を含む実施形態における検出試薬およびキャプチャー成分の可能な場所を示す図である。
【
図10】様々な陥入部の中の検出試薬の場所を示すカートリッジの実施形態の上面図および側面図を含む図である。
【
図11】様々な陥入部の中の検出試薬の場所を示すカートリッジの実施形態の上面図および側面図を含む図である。
【
図12】様々な陥入部の中の検出試薬の場所を示すカートリッジの実施形態の上面図および側面図を含む図である。
【
図13】様々な陥入部の中の検出試薬の場所を示すカートリッジの実施形態の上面図および側面図を含む図である。
【
図14】水中および粘液中のIgG抗体の、計算された拡散長対時間のグラフである。
【
図15】アッセイカートリッジ内への液体試料の導入に注目した、カートリッジの更なる実施形態を示す図である。
【
図16】アッセイカートリッジ内への液体試料の導入に注目した、カートリッジの更なる実施形態を示す図である。
【
図17】検出試薬およびキャプチャー抗体が対向する壁上に配備されており、試料の導入までは検出抗体のスポットが乾燥していた、TIRFベースのCRPサンドイッチイムノアッセイを示す図である。
【
図18】検出抗体およびキャプチャー抗体がいずれもTIRF照射壁上に配備されており、試料の導入までは検出抗体のスポットが液体状であった、TIRFベースのPIGFサンドイッチイムノアッセイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1を参照すると、液体試料中の標的成分20を検出するためのアッセイカートリッジ10が提供されている。カートリッジは試料収集ユニット12を備え、試料収集ユニット12は、液体試料14をカートリッジ10内に導入するように構成されている入口18を有する。液体試料14は、試料収集ユニット12においてその近位端が始まり、カートリッジ10を通って遠位方向に延在し、流体経路16内に固定されている1つまたは複数のキャプチャー成分22を含む、流体経路16を通って流れることができる。したがって、用語近位および遠位は、液体試料14がカートリッジ10に入る場所である試料収集ユニット12に対する位置を定めるように使用される。流体経路16は試料収集ユニット12において開始し、カートリッジ10を通りキャプチャー成分22に到達するまで続く。その後流体経路16は、キャプチャー成分22よりも下流へと(使用時)、または遠位へと続く。各々が液滴15中に収容されており、キャプチャー成分22よりも近位にまたはキャプチャー成分22と同じレベルに提供されている、1つまたは複数の検出試薬24。検出試薬24はキャプチャー成分22と同じレベルにあり、したがって流体経路16の近位端から等距離にあり、このため液体試料14は、これがキャプチャー成分22と接触するのと同時に検出試薬24と接触することになるが、その理由は、これらが入口18から同じ距離にあるからである。
【0058】
図1に示す例では、流体試料14が示されているように左から右に流れる際に、流体経路16は実質的に直線状である。流体経路16の左手の端部はしたがって、その場所が試料収集ユニット12と隣り合っているために、近位端となる。
図2では入口は中央にあり、したがってフローはあらゆる方向で放射方向外向きとなり、したがってフロー経路16の近位端はウェルの中心となり、フロー経路16の遠位端はウェルの周壁に隣り合っている。
【0059】
図1および
図2に示すように、検出試薬24は液滴の形態であり、このことは、それらが液体試料14と一緒にバルク移動を行うように試料と結合されることを可能にする。液体試料14が検出試薬24上を移動するにつれ、それらは液体試料14のバルク移動と一緒に引きずられ、液体試料14のフローが実質的に層流であるために、試薬は検出試薬24の筋を作り出す。検出試薬24は、標的成分に結合し、流体経路16に沿ってキャプチャー成分22まで移動するように構成されている。
【0060】
図2では、検出試薬24は、それらが検出試薬およびキャプチャー成分の近傍に到達するまで試料のバルク移動を通して輸送され、到達するとバルクフローの速度は、拡散が優勢となるのに十分な程度まで下げられる。
図1および
図4では、検出試薬24は主として拡散によって輸送される。
【0061】
図1から
図4に示すように、検出試薬24は液滴15内に含有される。液滴15は示されている実施形態では円形の断面を有し、部分的に球形である。別法として、添付の図面に示されていない実施形態では、液滴は矩形の液滴など、球形でない場合もある。液滴15が流体経路16上のその意図される場所に堆積されるときの、その表面張力の操作を介して、非円形の断面を有する液滴が作り出され得る。それらの場所または試薬サイトにおいて、流体経路の表面には、液滴15を好適な形状へと操作または成形するのを助けるための、表面コーティング(図示せず)が提供される。例えば、液滴が表面張力を克服し表面に沿って広がるのを助長する、親水性エリアが提供され得る。この親水性エリアは次いで、液滴の広がりを中断させる疏水性の障壁によって境界付けられる。液滴はこの例では、親水性エリアの形状をとる傾向を示すことになる。このエリアは、矩形、正方形、または流体経路16の幾何形状によって規定される不規則な形状であり得る。
【0062】
図7を参照すると、キャプチャー成分22は光学要素26上に堆積される。キャプチャー成分22はプリントによって光学要素26上に堆積される。光学要素は、プリズム、ドーブプリズム、または直方体の光学要素である。キャプチャー成分22は、抗体もしくはその断片、ペプチド、または核酸であり得る。
【0063】
図1から
図4を参照すると、流体経路16を通る流体フローの制御を助けるためのフロー制御部19が示されている。フロー制御部19は以下のうちの1つまたは複数を含み得る:毛管チャネル、細い、長い、および/または蛇行した経路、毛管停止部、通気口または緩衝ガスまたはフロー抵抗部を有する毛管停止部。
図1に示すように、流体制御部19は、限定するものではないが、通気口34、緩衝ガスを収容したチャンバ36、フロー抵抗部38、または毛管停止部44を備え得る。いくつかの例では、毛管停止部44、通気口34、および緩衝ガスを収容したチャンバ36は、流体経路16を通る液体試料のフローを制御するために組み合わせて使用される。フロー制御部19は流体経路16ごとに提供される。例えば、流体制御部19の数は、T
1、T
2、T
3となり、カートリッジ10上に設けられる流体経路16の数N
1、N
2、N
3と一致している。フロー制御部19は、キャプチャー成分22よりも遠位に設けられている。
図1に示すように、フロー制御部をキャプチャー成分22よりも遠位にまたは下流に置くことによって、流体経路16内への試料のフローは阻害されることが比較的少なくなり、この結果、試料が短時間でカートリッジ10内に導入されることが可能になる。フロー制御部19はその場合、試料のフローがキャプチャー成分22に到達したときにその速度を下げるように作用する。フロー制御部19は、フローの速度を下げるのに効果的な任意の形態となるように採られる。フロー制御部19は、検出試薬24が標的成分に結合し拡散を介してキャプチャー成分22まで移動できるように、試料のバルク移動の速度を十分下げるために必要とされる。
【0064】
図2から
図4を参照すると、流体経路がウェル28である、流体経路16の代替の実施形態が示されている。
図2から
図4に示すように、ウェル28内でのキャプチャー成分22および検出試薬24の並置が示されている。キャプチャー成分22は、ウェル28内に位置付けられる検出試薬24の数と等しくするかまたはそれよりも多くすることができる。別の例では、キャプチャー成分22の数は、ウェル28内に位置付けられた検出試薬24の数未満であり得る。液体試料を受け入れるための入口18は、
図2から
図4に示すようにウェルの中心に位置付けられており、検出試薬24は入口18のより近くに位置付けられている。
【0065】
フロー制御部19は、
図2から
図4に示すように、流体経路がウェル28である場合、流体経路16の幾何形状によって提供され得る。ウェル28の1つまたは複数の側壁はフロー制御部19を提供するが、これは、それらが試料の更なる流れを防止し、ウェルの基部にまたはウェル28の基部の1つもしくは複数の壁に付着されるキャプチャー成分の近傍で、試料を停止させるからである。
【0066】
図6は、レーン間に物理的障壁32が設けられている複数のレーンを示す。
図6を参照すると、試料収集ユニット12と、液体試料を受け入れるための入口18と、複数のレーン30と、を備えるカートリッジ10が提供されている。
図6に示すように、一対の壁などの、レーンを分離するための物理的障壁32が設けられている。壁32がなければ、拡散によって、ある標的成分用の検出試薬24は、別の標的成分用のキャプチャー成分と交差し得る。この場合、これら2者間のクロストーク(意図されていない親和性)は、背景シグナルに寄与し、1つのデバイス上での複数のアッセイ間のクロストークを増大させる場合がある。
【0067】
図6は複数のレーン30を有する実施形態を示し、この場合、レーン30の各々は、異なるキャプチャー成分22を試験するために使用され得る。
図6を参照すると、物理的障壁32、すなわち壁が示されている。物理的障壁32は、流体経路16を複数の平行なフローレーンまたはチャネル30へと分割するように構成されている。この構成はこのことにより、いくつかの異なる検出試薬24が同じ液体試料14に対してクロストークのリスクを伴わずに同時に利用されることを可能にする。レーン30の各々の中に1つまたは複数のキャプチャー成分22が堆積され、この場合キャプチャー成分は光学要素26上に堆積される。液体試料14が検出試薬24およびキャプチャー成分と接触するにつれ、フローのバルクの動きの速度が下げられ、この結果拡散が優勢となって、標的成分が検出試薬およびキャプチャー成分に到達してこれらと反応することが可能になる。レーン30の各々に沿った液体試料のフローを制御するために、ならびに、流体経路の最初の急速な充填、およびその後の拡散が優勢となり得るポイントまでのバルクフローの大幅な減速を促進するために、キャプチャー成分22よりも下流に、流体制御部19が設けられている。
【0068】
物理的障壁32、すなわちウェル28を4つの四半部分離する壁は、試料収集ユニット12からウェル基部までの流体経路16の全体にわたって延在する。しかしながら、TIR法の場合は特に、そのような分離壁32は、励起光および出射光の望まれない反射および散乱を引き起こす可能性がある。
【0069】
代替の実施形態では、流体経路16に沿って延びる、添付の図面には示されていない部分障壁または軟質テクスチャが提供される。物理的障壁32は部分的な高さであり、試料収集ユニット12の頂部まで完全には延在せず、間隙を生む。このことにより、フローチャネルまたはレーン30が部分的に分離されることが保証される。一例では、部分障壁または軟質テクスチャは、光学表面に接触することおよびこのことによりTIR測定と干渉するリスクを犯すことなく、複数の平行なフローチャネルまたはレーン30間のクロストークを低減するように設計されている、半透過性の膜である。
【0070】
チャネルは典型的には、現在の大量製造の工程の性質が2次元的であることに起因して、矩形の断面のものである。多くのマイクロ流体デバイスにおいて、チャネル寸法は、利用可能な試料の量および/または試薬のコストによって制限される。しかしながら、TIRFベースの検出システムでは、チャネル高さはそれほど問題にはならない。TIRFエバネッセンスが表面に生み出される壁上に試薬が配備される場合、レイノルズ数が十分低い(<1e3)ままである限りは、層流が試薬を壁の近くに保つことになる。示された実施形態の流体動力学は、流体が全て完全に層流となるというものである。乱流は、主たる横方向の動きが乱流ではなく拡散から生じるように最小化される。
【0071】
いくつかの実施形態では、試験サイトまでの最初の試料の充填よりも遅い第2のフローレジームを生み出す、下流の受動ポンピング構造体が提供され得る。ポンピング構造体によって生み出される流量は、標的成分が拡散によってキャプチャー成分に到達できる程度に十分に遅くなければならず、具体的には、試験サイトにわたる流速は、10mm/分未満、5mm/分未満、2mm/分未満、または更には1mm/分未満でなければならない。
【0072】
毛管作用で駆動されるフローに加えて、少ない流量はまた蒸発を使用しても達成され得る。毛管停止部44よりも後ろの緩衝ガス36を収容したチャンバは、例えば乾燥空気または乾燥窒素ガスを収容し得る(この場合、使用までデバイスパッケージングがシールされる必要がある)。その初期の湿度および体積は、アッセイの必要とされる継続時間中に蒸発速度が大きく低下しないよう、湿度が十分低いままとなるように設計され得る。別法としてこれは、アッセイ測定中に水蒸気で飽和して、その結果フローを停止し試験サイトが干上がるのを防止するように設計されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、示されていないが、毛管停止部44よりも後ろに通気口34を設けることができる。この場合は必要とするカートリッジ上の利用可能面積がより小さいが、このことは周囲湿度に依存する流量のばらつきをもたらし、この結果動作条件を制限する。
【0074】
第2の(遅い)フローレジームがない場合、試験サイトよりも下流に毛管停止部44が必要とされる。毛管停止部44は、試験サイト内のキャプチャー成分22から、検出試薬の筋の長さよりも遠くにあってはならない(チャネル幾何形状内での上流または近位での堆積のため)。拡散ベースのアッセイ(並置されたキャプチャー成分および検出試薬)の場合、毛管停止部44は、キャプチャー成分22の可能な限り近くだが、アッセイに緩衝しない程度には十分に離れたところになければならない(例えば光学検出の場合、メニスカスからの反射からの強い背景光を回避するために、メニスカスは検出要素の視野の外側にある必要があり得る)。
【0075】
毛管停止部44と、緩衝ガスを収容したチャンバ36または通気口34内への蒸発との組合せもまた、試験サイトにおいてキャプチャー成分を含む試料および検出試薬を濃縮するために使用され得る。このことは、蒸発に起因する流速が標的成分または検出試薬の拡散の速さよりも速いときに、効果的であり得る。蒸発速度はメニスカスの面積および曲率によってならびに湿度によって決定され、時間に対する拡散距離x(t)は、
【0076】
【0077】
に従い、拡散定数Dによって決定される。
図5を参照すると、検出試薬がキャプチャー成分の場所に到達したことのチェックが提供されている。
図5は、ウェル28内の並置されたキャプチャー成分22(「Ab1」)および検出試薬(「Ab2」)24の例を示す。中央スポット46は、検出試薬(「抗Ab2」)24と相補的なキャプチャー成分22のスポットである。
【0078】
図7から
図9を参照すると、細長いフロー経路48を含む実施形態における検出試薬24およびキャプチャー成分22の可能な場所が示されている。
図7から
図9に示すように、流体フローを制御するために、毛管停止部44、緩衝ガスを収容したチャンバ36、および通気口34も設けられている。
【0079】
図10から
図13に示すいくつかの例では、流体経路の表面には、液滴の堆積のための場所を提供するために、表面に対して本質的に垂直な凹部、樋状部、溝路、トレンチ、溝、谷部、ビアなどの、1つまたは複数の陥入部、または多孔質構造体が設けられる。このことは、堆積される液滴の場所が精確なこと、表面対体積比を小さくすることによる蒸発の低減、経路の壁の反対側から液滴を堆積させる選択肢があること(ビアまたは多孔質構造体の場合)、流体経路の単位長あたりの検出試薬の量の増加、および、試料フローによって引きずられる検出試薬の量の減少を含む、いくつかの利点を含み得る。後者の利点は、拡散構成のアッセイにも当てはまる。単なる例として、陥入部は、検出試薬24が流体経路16内に配置される場所に設けられる。液滴は、これが流体経路の表面上の陥入部内にそれ自体を配置するのを可能とするのに好適な構成となっている。
図9から
図13は、流体経路16が1つまたは複数のキャプチャー成分22の場所および任意の介在する幾何形状を含むことも示す。いくつかの例では、光学要素の表面上の陥入部は、キャプチャー成分の堆積のための場所を提供するのに好適であり得る。いくつかの実施形態では、光学要素上で陥入部が好適ではない場合、キャプチャー成分の配置を助けるために、光学要素と流体経路の間にガスケットが設けられ得る。
【0080】
図13は、検出試薬の液滴に特に適した流体経路16の構成を示す。流体経路16には、液体形態の検出試薬で充填される一連の陥入部が設けられている。流体経路16の陥入部は、拡散フェーズに関するそれらの位置を保持できるように、最初の急速な液体充填中に検出試薬の液滴を保護する。示されている実施形態では検出試薬の各々が陥入部内に収容されているが、液体検出試薬を保護するために、流体経路16の幾何形状に対する他の修正が選択されてもよい。例えば、検出試薬の上流側に隆起部または突出部を設けてもよく、このことは液体検出試薬に同様の遮蔽効果をもたらし得る。
【0081】
図14は水中および粘液中のIgG抗体の計算された拡散長対時間のグラフを示し、拡散長は、分子がブラウン運動によって駆動されたときに移動できる距離の推定値である。この計算は上記したような測定された拡散定数に基づいている。
【0082】
図15は、試料収集ユニット12が流体経路16の近位端にある開口部80であるアッセイカートリッジ10を示す。開口部は、重力によって流体試料14の導入が支援されるように、カートリッジ10の上面に設けられている。液体試料14は、ピペット81を使用してカートリッジ10内に導入される。試料収集ユニット12を提供する開口部は、流体試料14がカートリッジ10内に正確に導入され得るように、ピペット81の先端部に対応するようなサイズとなっている。
【0083】
図16は、試料収集ユニット12が、スポンジなどの多孔質材料82のパッドと、フィルタ83と、支持メッシュ84と、を備える、アッセイカートリッジ10を示す。パッド82は、カートリッジ10内に導入される際に流体試料14を吸い上げる。パッド82の構造は流体試料14を所定位置に保持し、これがカートリッジ内に導入された後でカートリッジ10から容易に離れるのを防止する。十分な流体試料14が収集されると、カートリッジ10は、Oリング85を使用してカートリッジ10の開口部の周囲にシールを形成する、プランジャ86を使用して閉じられる。プランジャ86はパッド82を圧縮し、流体試料14をフィルタ83を通して流体経路16内へと押し込む。支持メッシュ84は、フィルタ83を所定位置に保持するために、およびそれが流体経路16内へと移動するのを防止するために設けられる。フィルタ83は、流体試料14から、アッセイカートリッジ10の機能性に干渉する可能性のある、望ましくない粒子状物質および/またはムチンなどの生体物質を除去するために提供される。
【0084】
本発明の文脈内では、キャプチャー成分および検出試薬はタンパク質またはペプチドとすることができ、それらは、抗体または酵素、DNAまたはRNAなどのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、ロックト核酸(LNA)などの修飾オリゴヌクレオチドまたは修飾ポリヌクレオチド、アプタマー、モルフォリノ、スペーサ分子を介してグラフトされ得る小分子、細胞、細胞膜、膜受容体、ウイルス粒子、グリカン、対象の標的成分とリガンド受容体タイプの相互作用を有し得る試薬または他のタイプの分子もしくは物質でコーティングされた、固体粒子またはビードを含む。光学検出のために、検出試薬は、蛍光体もしくは燐光体もしくは化学発光分子などの発光団、または、比色もしくは発光シグナルを生成する酵素およびその基質で標識され得る。
【0085】
検出試薬はまた、コファクタまたは試料を処理するために使用される任意の分子(例えば細胞の溶解のために使用されるドデシル硫酸ナトリウム)を含む、任意の試薬であり得る。
【実施例1】
【0086】
図17は、検出抗体およびキャプチャー抗体が対向する壁上に配備されており、試料の導入までは検出抗体のスポットが乾燥していた、TIRFベースのCRPサンドイッチイムノアッセイを示す。示されているのは、チャネルに健常人からの唾液試料を充填した後の、4つのインキュベーション時間である。唾液は事前に濾過した(孔径5μm)。SSCバッファー中の検出試薬(ネイティブヒトCRPを標的とするAlexa-647-標識モノクローナルIgG)が、断面が10×0.09mmのチャネルの頂面上に、各線内で0.6mmのスポットピッチを有する3mm離間した2本の線として接触プリントされた。同じくプリントバッファー中のキャプチャー成分(ネイティブヒトCRPを標的とするモノクローナルIgG)を堆積させたが(チャネルの底面上に1mmピッチで3列)、チップ組立て前にMilliQ水ですすいだ。撮像中、底面はTIRFで照射された。
【実施例2】
【0087】
図18は、検出抗体およびキャプチャー抗体がいずれもTIRF照射壁上に配備されており、試料の導入までは検出抗体のスポットが液体状であった、TIRFベースのヒト上皮増殖因子サンドイッチイムノアッセイを示す。示されているのは、チャネルにPBSA(3×10^9PIGF/μLおよび4%BSAを含むリン酸バッファー)中の組み換えヒト上皮増殖因子の溶液を充填した後の、3つの異なるインキュベーション時間である。プリントバッファー中の検出試薬(ヒト上皮増殖因子を標的とするAlexa-647-標識モノクローナルIgG)が、直径9mmおよび深さ0.6mmのウェルの底面上に2×2mm正方形パターンで接触プリントされた。同じくプリントバッファー中のキャプチャー成分(ヒト上皮増殖因子を標的とするモノクローナルIgG)を単一の液滴として堆積させたが、チップ組立て前にMilliQ水ですすいだ。
【0088】
本発明の文脈内では、標的成分は、抗体もしくは酵素もしくは膜受容体を含むタンパク質もしくはペプチド、DNAもしくはRNAなどのオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、細胞、小分子、ウイルス粒子、グリカン、薬物候補、または他のタイプの対象の分子もしくは粒子であり得る。
【0089】
本明細書で使用される用語「液滴」は、例えば中で直接可溶化または懸濁された試薬を運ぶ、少なくとも何らかの液体成分を含む、デバイス上のスポットを意味している。例えば、これは、液体、ゲル、懸濁液、またはこれらの組合せを含む。液滴はまた、試料との接触に起因してその内容物を放出する、分解性のシェルも含み得る。液体は、1種または複数種の高分子化合物を含む溶液であり得る。液滴は、液体の塊がある表面上に堆積されるときに形成される、部分的な球体であり得る。ただし、用語「液滴」は他の形状の流体混合物も包含していることを理解されたい。例えば、液体が堆積される表面が親水性または疏水性の層のうちの一方または両方で処理される場合、これは液体の表面張力を克服し、液体を非円形の占有領域(footprint)を有するように流れさせることができる。別法として、あるパターンで堆積された隣接して置かれ繋がっている液体の塊は、接触線のピニングによってそのパターンを維持することができる。液滴の占有領域はしたがって、円形の占有領域のほかに、矩形、正方形、または楕円形であり得る。この占有領域は、流体経路のパッケージング要件によって少なくとも部分的に規定され得る、不規則な形状を有することさえあり得る。本発明の文脈内では、液滴は、ニトロセルロースマトリクスなどの多孔質マトリクス内に吸収されると、または、もはや溶解していない乾燥した物質のスポットを残して液体が蒸発すると、存在しなくなる。
【0090】
本開示を検討すれば、当業者には本願の発明の様々な更なる態様および実施形態が明らかになるであろう。
「および/または」は、本明細書で使用される場合、2つの指定された特徴または構成要素の各々の、他方を伴う場合または伴わない場合の明確な開示として解釈されるべきである。例えば「Aおよび/またはB」は、ちょうど各々が本明細書に個別に明記されているかのように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBの、各々の明確な開示として解釈されるべきである。
【0091】
明細書の全体を通して、文脈がそうでないと規定していない限りは、単数は複数を包含するものと理解されるべきである。すなわち、「1つの(one)」および「1つの(a)」および「その(the)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を包含するものと理解されるべきである。
【0092】
文脈が別様に規定していない限りは、上で明記した特徴の説明および定義は、本発明のどの特定の態様または実施形態にも限定されず、記載されている全ての態様および実施形態に等しく当てはまる。
【0093】
本発明はいくつかの実施形態を参照して例として記載されているが、本発明は開示される実施形態に限定されないこと、および、付属の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態が構築され得ることが、当業者には更に諒解されるであろう。