(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】心臓手術で弁の周辺部分を開くための拡張デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A61B17/02
(21)【出願番号】P 2021564490
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(86)【国際出願番号】 US2020030912
(87)【国際公開番号】W WO2020223585
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-01-27
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500204326
【氏名又は名称】テルモ カーディオバスキュラー システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】坪内 猛
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0046448(US,A1)
【文献】国際公開第98/017182(WO,A1)
【文献】特表2009-534158(JP,A)
【文献】特開平06-154160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小侵襲的心臓手術のためのエキスパンダ/開創器デバイスであって:
第1および第2の入力側枢動軸ならびに第1および第2の出力側枢動軸を備えるパンタグラフ機構と;
前記第1および第2の出力側枢動軸からそれぞれ延在する第1および第2の開創用のあご部と;
前記第1の入力側枢動軸に固定される外側チューブおよび前記第2の入力側枢動軸に固定される内側ワイヤを備える複合ケーブルと;
前記外側チューブに沿って前記内側ワイヤを変位させるためのハンドルと
を備え
、
前記第1および第2の開創用のあご部が調整可能な形状を有し、
前記第1および第2の開創用のあご部が、所望の開創用の表面形状に従って曲げられる柔軟性を有するワイヤから構成される、エキスパンダ/開創器デバイス。
【請求項2】
前記開創用のあご部の前記調整可能な形状が、前記パンタグラフ機構によって画定される平面内から前記平面に対して横方向の向きまでの枢動を含む、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記開創用のあご部を形成する前記柔軟性を有するワイヤがさらに、前記パンタグラフ機構の前記入力側枢動軸および前記出力側枢動軸の間に連結部を形成する、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記パンタグラフ機構がさらに、前記第1の入力側枢動軸を前記第1および第2の出力側枢動軸に連結する連結部、および前記第2の入力側枢動軸を前記第1および第2の出力側枢動軸に連結する連結部から構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記連結部が柔軟性を有するワイヤから構成される、請求項
4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1および第2のあご部を前記出力側枢動軸に結合する出力側アームをさらに備える、請求項
4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記出力側アームが柔軟性を有するワイヤから構成される、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ハンドルが:
前記外側チューブに装着される本体;および
前記本体内で摺動可能であり、前記内側ワイヤに装着されるプランジャ
から構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハンドルが、前記プランジャを前記本体内の選択される位置でロックするためのロックピンをさらに備える、請求項
8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の入力側枢動軸上で保持されるように、および選択される位置で前記パンタグラフ機構をロックするために前記複合ケーブルの前記内側ワイヤを保持するように、構成されるロッキングクリップ
をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ロッキングクリップが一方の端部にスロットを備えるC形本体から構成され、前記内側ワイヤが前記スロットに当接するための複数のビードを有する、請求項
10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハンドルが:
前記複合ケーブルの前記外側チューブに装着される握持用のあご部を備える第1の鉗子部材;および
前記複合ケーブルの前記内側ワイヤに装着される把持用のあご部を有する、前記第1の鉗子部材にヒンジ式に取り付けられる第2の鉗子部材
から構成される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2019年5月1日に出願した米国仮特許出願第62/841320号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、最小侵襲的心臓手術のためのツールに関し、より詳細には、外科的修復のための心臓弁の周りの周辺部分などの開口部または隙間を広げるための、心臓血管構造に挿入可能であるエキスパンダに関する。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲的心臓手術(MICS:minimally-invasive cardiac surgery)の利用は心臓弁修復を実施するための一般的な方法となっている。MICSは、通常、バイパス移植術のためのリフトウインチタイプの開創器の使用などの、胸部スペース内に作業スペースを作ることを含む。僧帽弁修復の事例では、開創器ブレードが、胸壁内に切開される開口部を通るシャフトによって引き上げられ得る。ロボット手術またはポート手術(port surgery)では、作業スペースのための拡張される空洞を作るためにCO2ガスを導入しながら種々の器具を挿入するのに気密密閉ポートが使用され得る。標的エリアが胸部の内部の深くにある場合に結果として所望の標的エリアを露出するのに片側から開創を行うことが非効率となる場合には(トンネルまたは狭い隙間を原因とする)、既知のデバイスがより非効率となる可能性がある。MICS手術のための進入スペース(すなわち切開部)のサイズは非常に重要なファクタである。その理由は、これがMICS手術の審美的結果を決定するからである。
【0004】
手術道具が1つまたは複数の小さい孔(すなわちポート)を通して操作されなければならない。ポートを通して挿入される任意のアイテムが、潜在的に、同じポートに入る他のアイテムに干渉する可能性があるかまたはそのような他のアイテムとスペースを競合する可能性がある。したがって、切開孔の周りでの器具またはツールによる妨害を最小にすることが重要な目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小さい貫通孔の中にあるかまたはポートへの進入箇所の近傍にあるスペースを大きく使用することなく外科医がより深いところにある構造(例えば、三尖弁または僧帽弁)にアクセスするために狭い空洞/トンネル内で作業を行いながら切除ポート(excited port)(心房壁内の切開部など)内の深くにある組織構造を十分な大きさで離して開く(つまり、拡張する)のを可能にする外科手術のためのツールを提供する。このツールは使用者が標的エリアの拡張および分離を直接に制御するのを可能にする。ツールの可動部分が、挿入/取り出しのための狭いプロフィールを有する閉構成と、開創用のあご部のための広範囲の拡大能力を提供する遠隔制御されるコンパクトな枢動機構を使用して達成される開構成とを有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、最小侵襲的心臓手術のためのエキスパンダ/開創器が、入力側枢動軸および出力側枢動軸を備えるパンタグラフを備える。第1および第2の開創用のあご部が出力側枢動軸から延在する。複合ケーブル(すなわちボーデンケーブル)が、入力側枢動軸に固定される外側チューブ、および別の入力側枢動軸に固定される内側ワイヤを有する。ハンドルが、外側チューブに沿って内側ワイヤを変位させるために、複合ケーブルのもう一方の端部に結合される。開創用のあご部が調整可能な形状を有する(例えば、開創用のあご部が、特定の状況の要求に応じて、または切開されるポートをより容易に通過して内側の作業スペースの中に入るためにあご部のプロフィールを縮小するために、使用中に開創用のあご部を手動で成形するための柔軟性を有する(malleable)ワイヤから構成され得る。
【0007】
本発明は、生物組織または生物器官のための局部的な開創および拡張を実現する。エキスパンダの動作が細径ケーブル(外側チューブおよび内側ワイヤ)を使用して達成され、その結果、エキスパンダが切開孔エリアにおいて大きいスペースを占有しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】患者の胸部を通る切開によるポート(incision port)および心房壁内の切開部を通しての僧帽弁への外科医的アクセスを示す図である。
【
図2】閉構成にある拡張/開創ツールを示す側面図である。
【
図3】
図2のツールの遠位端をより詳細に示す側面図である。
【
図4】ハンドルを介して制御されるパンタグラフの動きに従う、閉構成を示す図である。
【
図5】ハンドルを介して制御されるパンタグラフの動きに従う、開構成を示す図である。
【
図6】開創すべき組織構造に作用する、閉構成を示す図である。
【
図7】開創すべき組織構造に作用する、開構成を示す図である。
【
図8】ボーデンケーブルを制御するためのハンドルの第1の実施形態を示す断面図である。
【
図9】ボーデンケーブルを制御するためのハンドルの第2の実施形態を示す断面図である。
【
図10】ロック/ラッチ機構を備えるパンタグラフ/開創器のあご部を示す側面図である。
【
図11】閉構成にある本発明のエキスパンダ/開創器ツールの別の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、僧帽弁修復手技において、一対の開創器レーキ(retractor rake)10および11が僧帽弁14を露出するために切開部12(例えば、心房壁13内にある切開部)を引いて開けている状態で示されている。MICSでは、開創器としてスプーンまたはパドルが使用されてもよい。このようなレーキ、スプーン、およびパドルが剛体棒の上に設置され、剛体棒がアクセスポートの外部に固着される固定のフレームに留め付けられ、剛体棒が、フレーム上の特定の位置で留められることにより開創力を伝達する。結果として、アクセスポート内で、およびその外部周縁部において、大きいスペースが占有される可能性がある。
【0010】
図2および
図3が、身体内に作られる空洞内の深い位置で広い開創範囲を得るのを可能にしながら剛体棒を排除するための、および、固定された外部フレームへの取り付けの必要性を排除するための、本発明の第1の実施形態を示す。エキスパンダ/開創器ツール20が、開かれたスペースを作るために組織を押し出すための開創用のあご部21および22を有する。あご部21および22は、好適には、さらに曲げられることなく標的組織を開創するための十分な安定性を維持しながら所望の形状となるように外科医によって曲げられ得る柔軟性を有するワイヤから構成される。柔軟性を有するワイヤが、再成形の容易さを、開創される組織に当接するための良好な側方表面に組み合わせるために、実質的に同一面に複数のループを形成するように巻かれ得る。あご部21および22が、パンタグラフ機構23(例えば、押す力/引張力を横方向の開創力に変換するためのヒンジ/枢動軸を備える棒構造)から延在する。パンタグラフ機構23が「シザージャッキ」に類似し、シザージャッキでは、平行四辺形の2つの対向する角部の分離距離を往復動可能に制御することが、残りの2つの対向する角部の分離距離も制御することになる。パンタグラフ機構23がハンドル24およびリンクケーブル25(例えば、ボーデンケーブル)によって制御される。ケーブル25は、外側チューブ部分(すなわちジャケット)、および細い構造を通して押す力/引張力を伝達する内側ワイヤを有する複合ケーブルである。ハンドル24が本体26およびプランジャ27を備える2部品ハンドルである。ケーブル25の外側チューブ部分が本体26に固定され、ケーブル25の内側ワイヤがプランジャ27に固定される。本体26が使用者によって保持され、対してプランジャ27の往復運動が本来の手の動きをワイヤの押す力/引張力に変換する。
【0011】
開創用のあご部(フィンガ)21および22が、手術(例えば、弁尖の修復または置換)を実施するためのスペースを作るために押す力/開創力を伝達するために標的器官または標的組織に接触する。パンタグラフ機構23を調整することにより、あご部21および22が互いに向かうようにまたは互いから離れるように側方に動く。あご部21および22が同時に接近すると、パンタグラフ機構が圧縮され、その結果、ツール20の遠位端が、切開ポートを通して作業スペースの中に挿入されるのに容易である狭い構成を有するようになる。
図3により詳細に示されるように、パンタグラフ機構23が入力側ヒンジ30および31ならびに出力側ヒンジ32および33を有する。連結部(すなわち連結棒)40および41が入力側ヒンジ30を出力側ヒンジ32および33にそれぞれ枢動可能に接続する。連結部42および43が入力側ヒンジ31を出力側ヒンジ32および33にそれぞれ枢動可能に接続する。ボーデンケーブルの外側チューブ35が入力側ヒンジ30に装着される。ボーデンケーブルの内側ワイヤ36が入力側ヒンジ30を摺動可能に通過して入力側ヒンジ31に装着される。出力側アーム44および45が出力側ヒンジ32および33から延在し、それらの遠位端のところにあご部21および22を有する。
【0012】
ワイヤ36の長手方向の動きが入力側ヒンジ31と入力側ヒンジ32との間の距離を変化させ(つまり、パンタグラフ機構23を閉位置の方に付勢するために連結部に接触するヒンジのうちの任意のヒンジにより付勢力が提供されない限り、ワイヤ36が入力側ヒンジ31を押圧するのに十分な程度で固い状態となる)。したがって、パンタグラフ機構23が、プランジャに加えられてボーデンケーブルにより伝達される押す力/引張力を出力側ヒンジ32および33の変位へと変換し、それによりあご部21および22を側方に外側に動かす(retract)(例えば、開位置と閉位置との間で)。ケーブル25および/またはハンドル24が、あご部21および22の通常の開状態または通常の閉状態を実現するための埋め込まれるばねコイルまたは他の付勢要素を有することができる。
【0013】
連結部40~43が、例えば、あご部21および22を形成するのに使用される部分的な柔軟性を有する同じワイヤから構成され得る。この事例では、ヒンジ30~33が単純なブロック体から構成され得、ブロック体の周りにワイヤが巻かれる(つまり、可動部分が必要ない)。出力側アーム44および45のためのワイヤが、他の連結部のうちの1つまたは複数の連結部を形成するためにワイヤの延長部分であってよい。
【0014】
図4が、ハンドル24が距離D1まで完全に挿入されたプランジャ27を有することの結果としての、あご部21および22の閉位置を示す。
図5が、プランジャ27が本体26から距離D2だけ後退させられることの結果としての、あご部21および22の開位置を示しており、それにより、入力側ヒンジ30および31がその等しい距離だけ互いに接近する。連結部40~42の作用により、出力側ヒンジ32および33が離れる方向に動き、出力側アームおよびあご部21および22が離される。したがって、押す力-引張力がハンドル24からパンタグラフ機構23に伝達される。
【0015】
図6および
図7が、開創すべき組織の中に挿入されたときの、ツールの閉状態および開状態をそれぞれ示す。例えば、ツールが、内部の心臓構造(例えば、僧帽弁、または三尖弁)にアクセスするために切開された状態の心房壁50などの開創すべきエリアにアクセスするために主切開孔から挿入される。開創すべき構造内に配置された後、ハンドルを引くことにより開創用のあご部21および22が配備される。具体的には、内側ハンドルを引くことにより、内側ワイヤ36が近位端の方に動く。これによりパンタグラフ機構23の一方の端部が反対の端部の方に動く。これに反応して、側部ヒンジ/枢動軸が広がる。開創用のあご部の間の変位量がハンドルの変位量に比例する。標的エリアの良好な視界および良好なスペースを得るのに所望である位置においてハンドルが保持される。
【0016】
好適な実施形態では、ハンドルロック機構を用いてハンドルの位置がロックされ得る。
図8が第1の実施形態を示しており、ここでは、ハンドル本体26が、プランジャ27のシャフト56を受ける内部空洞55を有する。ボーデンワイヤ36がシャフト56の端部に装着される。シャフト56の一方の側が、側部ロックピン58を受けるための一連の溝57を有する。ピン58が、本体26内でのシャフト56の動きを制限することを目的としてピン58を溝57の中へ付勢するためのばね(図示せず)などの付勢機構を有することができる。
図9が代替の実施形態を示しており、ここでは、本体60がねじ切りされた表面62を有する内部孔61を有する。プランジャ63が、ねじ切りされた表面62に対して相補的であるねじ切りされた外側表面65を備えるシャフト64を有する。ボーデンワイヤ36が、本体60内でプランジャ63を変位させるためにプランジャ63を時計回り方向にまたは反時計回り方向に回転させるときにワイヤ36が捻じられるのを回避するために、スピナ66を通してシャフト64に結合される。
【0017】
図10が、パンタグラフ機構のところに配置され得るロック機構の別の実施形態を示す。したがって、ツール70の遠位端が、ヒンジピン74により側部アーム72および73に接続される入力側ヒンジを提供する固定されるハブ71を有する。第2の入力側ヒンジ75が駆動アーム76および77に枢動可能に接続される。アーム76および77のもう一方の端部が、それぞれ、ヒンジピン78および79により側部アーム72および73に枢動可能に接続される。開創器フィンガ80および81が、それぞれ、側部アーム72および73の遠位端から延在する。ハブ71がボーデンケーブルの外側ジャケットに固定され、ボーデンケーブルの内側ワイヤ82が入力側ヒンジ75に取り付けられる。ワイヤ82が離間される一連のボールまたはビード82を担持する。C形のロッキングクリップ84がハブ71を摺動可能に受ける設置用スロット85を有し、その結果、分岐した端部86が隣接するボール83の間でワイヤ82の上に選択可能に留められ、それによりワイヤ82を特定の位置でロックする(つまり、ワイヤ82の長手方向の動きが防止される)。C形のクリップ84を用いることにより、ハンドルの位置を決定するロックが必要なくなる。さらに、フィンガ80および81の開位置をロックするための能力を用いることにより、ハンドルが取り外し可能となることができる。結果として、胸腔の内部にワイヤ機構のみを残して、ハンドルが脱着され得る。これにより、切開孔のところでのまたはその近くでの取り外し可能な部分による干渉が排除される。遠位端の摺動ロック機構が、溝付きのワイヤに、ロックプレートに切り入れられるC形のスロットを組み合わせることができる。
【0018】
図11および
図12が、外側に動くことができるブレード92および93を制御するためのパンタグラフ機構91を有する、ポート(例えば、約12mmの直径を有する)を通したアクセスを可能にするように適合されるエキスパンダ/開創器ツール90の代替の実施形態のための、それぞれ、閉状態および開状態を示す。ブレード92および93が、開創すべき組織に応じた任意の所望のプロフィールに適合するように構成され得る湾曲パドル形状を有する成形プラスチック本体である。外側に動くことができるブレード92および93を畳んで、閉じたパンタグラフ機構91の長さ方向と平行にすることにより(つまり、ブレード92および93がパンタグラフの枢動点によって画定される平面に沿って延在する)、ツールが12mmの直径を有する切開孔を通して挿入され得るようになり、それによりまったくといってよいくらい患者の外傷がなくなる。ボーデンケーブルが外側チューブ94および内側ワイヤ95を有する。さらに、ハンドル本体がヒンジ式の鉗子タイプのハンドルに置き換えられ、それにより調整をより容易にすることができる(つまり、配備時の幅を制御することができる)。ヒンジ式の鉗子部材100および101が一方の端部のところにフィンガリングを有し、さらにもう一方の端部として把持用のあご部を有する。把持用のあご部が取付具102および103を担持する。取付具102が、内側ワイヤ95の端部を保持するアンカーピン105を有する。取付具103が、外側チューブ94を保持するレシーバ104を有する。互いの方に向かうようにまたは互いから離れるようにフィンガリングを動作させることにより、内側ワイヤ95が外側チューブ94内で摺動し、それによりブレード92および93が閉じたり開いたりする。ブレード92および93が作業スペースに挿入されると、ブレード92および93がそれらの接続点のところで回転させられ得、パンタグラフ機構95の平面に対して横方向となることができる。例えば、ブレード92および93がパンタグラフ91に接続されるヒンジ106および107を有することができ、それによりブレード92および93を枢動させるのを可能にする。別法として、パンタグラフワイヤ108および109が湾曲可能であってもよい。鉗子を固定位置で保持するために、鉗子部材100および101から突出する摺動式のラチェット機構110/111が提供され得る。