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特許7494215照明配置構造体、光誘導配置構造体およびそれらに関する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】照明配置構造体、光誘導配置構造体およびそれらに関する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20240527BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240527BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240527BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240527BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240527BHJP
   G02B 27/01 20060101ALN20240527BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240527BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240527BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20240527BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20240527BHJP
   F21Y 107/10 20160101ALN20240527BHJP
【FI】
H01L33/62
F21S2/00 311
F21V23/00 140
F21V5/04 400
F21V19/00 170
F21V19/00 150
G02B27/01
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y113:10
F21Y105:10
F21Y107:10
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021569556
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2020058549
(87)【国際公開番号】W WO2020233873
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】102019113793.4
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019118082.1
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/052191
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ブリック
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジンガー
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019436(JP,A)
【文献】特開2010-272245(JP,A)
【文献】特開昭62-269385(JP,A)
【文献】特開2019-029473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00- 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子発光配置構造体と、前記光電子発光配置構造体によって生成された電磁放射をビーム変換するための光学デバイスとを備え、該光学デバイスは前記電磁放射のビーム経路に沿って直線的に配置された2つの非球面レンズを有する、照明配置構造体であって、
前記光電子発光配置構造体は、マトリクス状に配置された複数の発光領域を含んでおり、
各発光領域には1つずつ主ビーム方向が割り当てられており、
各発光領域は、それぞれが異なる色を発光するように構成されている複数のLEDを含み、
前記発光領域の少なくとも一部は、前記発光領域の中心点が湾曲した面上にあるように配置されている、照明配置構造体。
【請求項2】
前記湾曲した面が凹状の曲面を有している、請求項1記載の照明配置構造体。
【請求項3】
前記発光領域の主ビーム方向が互いに角度付けられている、請求項1または2記載の照明配置構造体。
【請求項4】
前記光学デバイスに対して主ビーム方向に間隔を異にするさまざまなレベルで配置された、主ビーム方向が一致する発光領域が存在している、請求項1または2記載の照明配置構造体。
【請求項5】
前記湾曲した面が、球体セグメントを形成し、これに関連する球心が光学デバイスの光軸上にあるか、または
前記湾曲した面が、回転された円錐曲線面、特に楕円面、放物面または双曲面の少なくとも一部の形状を有している、
請求項1から4までのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項6】
前記発光領域の少なくとも1つが、LEDに割り当てられた一次光学素子の開口部またはLEDに割り当てられた変換素子の開口部である、請求項1からまでのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項7】
前記湾曲した面上に中心点がある前記発光領域が、モノリシック画素化オプトチップの一部である、請求項1からまでのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項8】
前記モノリシック画素化オプトチップが、行と列とに配置された複数のLEDを有している、請求項記載の照明配置構造体。
【請求項9】
前記発光領域が、取り出し構造体の表面を形成している、請求項1からまでのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項10】
非平面的なIC基板上に配置された別々のLEDに、前記湾曲した面上に中心点がある前記発光領域が割り当てられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項11】
前記光学デバイスがシステム光学系を含み、前記システム光学系と前記発光領域との間に、湾曲したコリメート光学素子または複数の非平面的に配置されたコリメート光学素子が存在している、請求項1から10までのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項12】
前記光学デバイスが、結像投影光学系を形成するシステム光学系を含んでいる、請求項1から11までのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項13】
前記光電子発光配置構造体が、複数の駆動制御素子、特に各発光領域を個別に駆動制御するための電流源を含む層を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の照明配置構造体。
【請求項14】
照明配置構造体を製造する方法であって、
前記照明配置構造体が、光電子発光配置構造体と前記光電子発光配置構造体によって生成された電磁放射をビーム変換するための光学デバイスとを備え、該光学デバイスは前記電磁放射のビーム経路に沿って直線的に配置された2つの非球面レンズを有し、
前記光電子発光配置構造体が、マトリクス状に配置された複数の発光領域を含んでいる、方法において、
前記発光領域の少なくとも一部は、前記発光領域の中心点が湾曲した面上にあるように配置される
ことを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記発光領域への当接のために、別個のLEDが非平面的なIC基板上に配置される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記発光領域の少なくとも1つが、LEDに割り当てられた一次光学素子の開口部またはLEDに割り当てられた変換素子の開口部によって形成される、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
表示ディスプレイと投影光学系とを備えた光誘導配置構造体であって、前記表示ディスプレイが、可視光線を放出するための画素を有するマトリクスを有しており、各画素は、発光スペクトルの異なる複数のLEDを含んでおり、各画素には、前記投影光学系の上流側に接続された個別のコリメーション光学系が割り当てられている、光誘導配置構造体において、
前記コリメーション光学系は、前記投影光学系の上流のビーム経路において、それぞれの画素のLEDの拡大され互いに重なり合った中間像が生成されるように形成されている
ことを特徴とする、光誘導配置構造体。
【請求項18】
前記コリメーション光学系によって生成された前記それぞれの画素の前記LEDの前記中間像は、前記LEDの中間像面積の少なくとも70%にわたって互いに重なり合う、請求項17記載の光誘導配置構造体。
【請求項19】
前記LEDの中間像が虚像である、請求項17または18記載の光誘導配置構造体。
【請求項20】
前記コリメーション光学系が、1つの画素のLEDと前記投影光学系との間に配置されている、請求項17から19までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項21】
前記1つの画素のLEDの占有率が、画素面積の50%以下である、請求項17から20までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項22】
前記LEDが、色変換されたLEDとして、またはVCSELとして、または端面発光レーザーダイオードとして形成されていて、任意に照明される光導波路エンドピースを有している、請求項17から21までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項23】
前記コリメーション光学系は、前記それぞれの画素の前記LEDの互いに重なり合う前記中間像の総面積が、前記画素面積の少なくとも70%に相当するように形成されている、請求項17から22までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項24】
前記コリメーション光学系が、ホログラフィック光学素子(HOE)および/または屈折型光学素子(ROE)および/または回折型光学素子(DOE)を含んでいる、請求項17から23までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項25】
前記投影光学系により発せられた放射が、間接的または直接的にディスプレイへと偏向されている、請求項17から24までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項26】
各画素が請求項1から13までのいずれか1項記載の照明配置構造体を有している、請求項17から25までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項27】
前記マトリクスの複数の画素が、前記LEDの上方に配置されたレンズをそれぞれ有している、請求項17から26までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項28】
前記マトリクスの少なくともいくつかの画素が、冗長性を有するLEDを有している、請求項17から27までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体。
【請求項29】
ビデオウォールまたはヘッドアップディスプレイにおいて画像を生成するための、請求項17から28までのいずれか1項記載の光誘導配置構造体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2019年5月23日付け独国特許出願公開第102019113793.4号明細書の優先権、2019年7月4日付け独国特許出願公開第102019118082.1号明細書の優先権および2020年1月29日付け国際出願PCT/EP2020/052191号明細書の優先権を主張するものであり、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光電子発光配置構造体を備えた照明配置構造体および表示デバイスを備えた光誘導配置構造体に関するものである。本発明はさらに、方法に関するものである。
【0003】
背景技術
いくつかの用途では、所望の効果を得るために、表示デバイスで生成された光を適切に誘導し、取り出す必要がある。例えば、ディスプレイやテレビ受像機のサイズがますます大きくなるにつれて、ユーザの位置によっては視野角が異なり、色やコントラストが歪んでしまう可能性がある。他のいくつかの分野では、生成された光ビームを早い段階でコリメートして、別のデバイスに適切に取り込めるようにすることが望ましい。そのため、以下では、湾曲した発光面、すなわちフォービエイテッドディスプレイに基づいたコンセプトが提示される。これに加えて、低い結像誤差が実現されるべきである。
【0004】
このコンセプトの出発点となるのが、光電子発光素子と、光電子発光素子によって生成された電磁放射をビーム変換するための光学デバイスとを有する照明配置構造体であり、光電子構造素子はマトリクス状に配置された複数の発光領域を含み、各発光領域には1つずつ主ビーム方向が割り当てられている。
【0005】
これに関連して、光電子発光構造素子の発光領域の少なくとも一部、好ましくは全部が、その中心が湾曲した面上にあるように配置されている場合、ビーム経路内で光電子発光構造素子の下流にある光学デバイスが簡素化され得ることが認識されていた。一態様では、これは凹状に湾曲した面で達成することができる。本明細書では、発光領域の中心点とは、主ビーム方向と発光領域の電磁放射放出面との交点であると理解される。
【0006】
一態様では、この湾曲した面は、球体セグメントを形成し、その関連する球心は光学デバイスの光軸上にある。発光領域の中心点を配置するための好ましい凹状の湾曲した面の場合、球心は、ビーム経路の方向で光電子発光構造素子から離間している。あるいは湾曲した面は、回転された円錐曲線面で、例えば楕円面、放物面または双曲面である。
【0007】
第1の構成では、隣り合う発光領域を互いに傾斜させることで、発光領域の主ビーム方向が互いに角度付けられている。第2の別の構成では、主ビーム方向が一致する発光領域が存在し、それらは光学デバイスに対して主ビーム方向に間隔を異にするさまざまなレベルで配置されている。
【0008】
更なる構成では、光学デバイスが、システム光学系、特に結像投影光学系を形成することが提案されている。このように発光領域を配置することで、システム光学系の像面湾曲の補正効果が向上する。さらに、投影光学系での結像を簡素化することができる。これらのコンセプトの更なる設計として、いくつかの非平面的に配置されたコリメート光学素子が発光領域とシステム光学系との間に設けられている。
【0009】
一態様では、個々の発光領域が別々のランベルトエミッタを形成する。さらに、発光領域の面積は非常に小さく、最大エッジ長さの範囲は、100μm~500μm、特に150μm~300μmである。照明配置構造体の一構成では、発光領域の少なくとも1つは、光電子構造素子またはLEDに割り当てられた一次光学素子またはLEDに割り当てられた変換素子の開口部によって形成される。あるいは中心点が曲面上にある発光領域は、モノリシック画素化オプトチップの一部であってもよいし、非平面的なIC基板上に配置された複数の別個のオプトチップの中に配置されていてもよい。
【0010】
先行技術からは、必要に応じて特別に定められた画像面に画像を表示することができる多数の異なる投影ユニットが知られている。このような投影ユニットは、自動車をはじめとするさまざまな用途に使用されている。こうした投影ユニットの用途では、見る人から離れた場所で拡大画像が規則的に表示される。場合によっては、投影光学系がさらにルーペなどの拡大光学系の機能を担うことで、投影光学系の上流のビーム経路にある表示デバイスが拡大される場合もある。
【0011】
これに関連して、欧州特許出願公開第1544660号明細書および独国特許出願公開第19751649号明細書から自動車用の表示デバイスが知られている。後者では、中間像が焦点ガラスに使用され、更なる光学系を用いて運転者のためにフロントガラスの正しい面に画像を表示する。このようにして、計器類、警告表示または運転者にとって重要な情報を視界に直接表示することが可能となり、運転者が前方の道路から目を離す必要なく情報を確認することができる。それ以外に、異なる色の光が混ざった光を画素が発する更なる投射ユニットも知られている。この解決策では、空間的に分離して生成された光が、例えばアクロマートレンズなどの適切な光学素子によって混合され、ビームに結合される。表面にマトリクス状に配置された画素によって色を生成するディスプレイでは、特に高いフィルファクターにおいて、隣り合う異なる色の画素を解像できるようにするために、光を十分にコリメートする必要がある。
【0012】
一方、他の解決策では、充填密度の低いLEDを使用することが提案されている。しかしながら、個々の画素領域を見たときに、スポット照射された部分と暗い部分との差が大きくなってしまう。このいわゆるスクリーンドア効果(Screen-Door-Effekt)は、視距離が短い場合に特に顕著に現れるため、ARグラスまたはVRグラスなどの用途では特に注意が必要である。
【0013】
判明している問題点をもとに、更なる解決が提案される。この場合、ビーム誘導およびビーム整形に使用される光学系は、光学的損失が大幅に削減されるように、可能な限り高い効率を有していることが重要であると考えられている。
【0014】
したがって、一態様は、光電子発光デバイスと投影光学系とを備えた投影ユニットに関するものであり、光電子発光デバイスは、可視光線を放出するための画素を有するマトリクスを含んでいる。各画素は、発光スペクトルの異なる複数の光電子構造素子あるいはLEDをも含んでいるため、異なる色のサブ画素が形成される。これに関して、各LEDは別個に駆動制御可能で、本願で開示されているドライバ回路に場合によっては接続されていてもよい。いくつかの態様では、画素を有するマトリクスは、1つ以上のLEDモジュールを含んでいる。取り出し性および指向性を向上させるために、透明なカバー電極、フォトニック構造体などのさまざまな措置が講じられていてもよい。一構成では、マトリクスは、キャリア基板に取り付けられた画素モジュール(それぞれが3つのサブ画素を有する)によって形成されてもよい。キャリア基板は、リードおよび駆動制御回路を含み、マトリクスとは異なる材料系で作製されていてもよい。
【0015】
さらに、各画素には別個のコリメーション光学系が割り当てられており、フィルファクターを高めるために投影光学系の上流側に接続されている。本発明によれば、コリメーション光学系は、投影光学系の上流のビーム経路において、それぞれの画素のLEDの拡大され互いに重畳された中間像が生成されるように形成されている。これにより、各画素に割り当てられたコリメーション光学系は、画素の照度を高めるだけでなく、さらに、サブ画素を形成するLEDの放射光束を空間的に補正し、サブ画素中間像を可能な限り正確に重ね合わせることが可能となり、ビーム経路に続く投影光学系への光取り込みを効率的に行うことができるようになる。このような光学系は、本明細書で提示されているコンセプトである冗長なサブ画素素子の提供にも適していることをここで述べておく。
【0016】
コリメーション光学系は、同じ画素に属するLEDの中間像の重なり具合を可能な限り高くなるように構成するのが好都合である。画素のLEDの中間像の重なりは、その中間像面積の少なくとも85%、さらに少なくとも95%が適切であることがわかっている。さらに、LEDの中間像が仮想中間像である構成が好ましい。一観点では、コリメーション光学系は、サブ画素の仮想像の大きさが画素の大きさに対応するように、サブ画素の仮想像を生成する。さらに、コリメーション光学系は、1つの画素のLEDと投影光学系との間に配置されていることが好ましい。
【0017】
異なる色に発光するLEDの光は、画素の表面積を等しく占めていてもよいし、サブ画素がそれぞれ占める表面積は、発光に合わせて、異なるサイズになっていてもよい。一構成では、緑色の光を発するサブ画素が、他の2つのサブ画素と比較して、画素の最大表面積を占めていること、または少なくとも緑色の光がより大きな表面積で放出されることが提案されている。これは、目が緑色に最も敏感であるという事実に基づいている。さらに、RGBの画素のうち、赤色の光のサブ画素で占められる表面積が、青色の光のサブ画素で占められる表面積よりも大きいと好都合である。本構成形態によれば、緑色の光は赤色の光よりも大きな画素の表面積で放出され、赤色の光は青色の光よりも大きな画素の表面積で放出される。提案している画素のコリメーション光学系により、投影光学系の前のビーム経路に、高い重なり具合を有する中間像が生成される。
【0018】
別の態様によれば、小型構造のLEDを使用することで、個々の画素の中に光を発しない大きな表面積ができる。好ましくは、1つの画素の半導体照明デバイスの占有率は、画素面積の30%以下、特に好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。このようにして、各画素間の光学的および電気漏話が防止される。
【0019】
有利には、サブ画素は、画素の縁部に直接位置せず、互いに隣接しないように配置されている。LEDという用語には、LEDだけでなく、色変換されたLEDまたはこのようなエッジ長さを有するVCSEL、または照明される光導波路エンドピースを含むLEDも含まれる。
【0020】
ここで、各画素に割り当てられたコリメーション光学系は、サブ画素により放たれた光が事前にコリメートされたビーム束に変換されるという利点を提供し、このビーム束は、続けて少なくとも1つの更なる光学素子による画像の生成に有利に利用される。このように、少なくとも1つの適切なコリメート光学素子を使用することで、事前にコリメートされた光ビームを生成することができ、サブ画素が発する個々の光ビーム間の光漏話も防止または少なくとも低減される。一構成では、コリメーション光学系が、画素の表面上の3つの半導体照明デバイスの位置の違いを補正する少なくとも1つのホログラフィック光学素子(HOE)を含むことが提案されている。代替的または補足的に、この機能をコリメーション光学系の一部である屈折型光学素子(ROE)で実現することも考えられる。同様に、画素の中間像において被照明面上の半導体照明デバイスの位置の違いを適切に補正するために、補足的または代替的に回折型光学素子(DOE)を使用することも考えられる。
【0021】
別の態様では、投影ユニットがさらに発展させられる。一構成では、投影ユニットは、ビーム経路内のコリメーション光学系の下流側の投影光学系を含む。投影光学系を用いて、コリメーション光学系により生成された個々の中間像から、画像または更なる中間像が生成され、これは、見る人に所望の情報を表示するために、直接または後加工された形で使用される。この場合、投影光学系は、例えば偏向ミラー、ビームスプリッタおよび/またはレンズなどの適切な光学素子を有しており、これらの光学素子は、有利には駆動制御ユニットによって駆動制御され、必要に応じてビーム偏向および/またはビーム再整形を行うために、特定的に移動させることができるため、例えば自動車のフロントガラスの前のディスプレイ、マットスクリーンおよび/または仮想画像上に、情報が理解しやすく、知覚しやすい形で提示される。
【0022】
先に説明した構成形態の少なくとも1つによる提案の投影ユニットは、自動車のヘッドアップディスプレイにおける画像の生成に使用することができる。
【0023】
以下の主題では、上記で言及し、要約したいくつかの態様について、さまざまな構成や例を用いて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】コンセプト案のいくつかの態様に従った、湾曲した光面の光誘導コンセプトの第1の構成例を示す図である。
図2】非平面状のIC基板上に個別のLEDを設けた光誘導コンセプトの構成例を示す拡大部分図である。
図3】更なる観点に従ったモノリシック画素化チップを備えた光誘導の第3の構成を示す図である。
図4】いくつかの態様を有する光誘導の第4の構成例を示す図である。
図5】提示されたコンセプトのいくつかの態様に従った、前述の構成のうちの1つの更なる設計を示す図である。
図6】追加の光整形構造体を有する、図2の例の更なる構成を示す図である。
図7図5の構成の補足図であり、ビーム経路にフォトニック構造体を配置したものである。
図8A図4に関する例に基づく更なる構成を示す図である。
図8B】段差状の基板の一構成を示す平面図である。
図9A】高いフィルファクターを有するRGB画素付きマトリクスを示す図である。
図9B】従来の投影ユニットにおけるビーム誘導の概略図である。
図10】コンセプト案のいくつかの態様に従った、小さなフィルファクターを有する実装されたRGB画素付きマトリクスの構成を示す図である。
図11】いくつかの態様に従った、小さなフィルファクターを有する実装されたRGB画素付きマトリクスの更なる構成例を示す図である。
図12】光整形構造が上に配置されたマトリクスの一構成形態の平面図である。
図13】提案している原理のいくつかの態様に従った投影ユニットの概略図である。
図14】前図の投影ユニットによる中間像の生成を概略的に示した図である。
図15図13のコリメーション光学系の色相関数を示す図である。
図16】コンセプト案のいくつかの構成に従ったコリメーション光学系のメタレンズを示す図である。
図17】コンセプト案のいくつかの態様を説明するための、複数のLEDを集積させたモノリシックアレイの概略的な側面図である。
【0025】
詳細な説明
以下の構成は、主に表示デバイスおよびディスプレイ、ひいては光電子構造素子のベースユニットおよびモジュールに関するものである。しかしながら、本発明はこの用途または記載されている構造素子に限定されない。むしろ、ここで紹介した原理および構成は、スケーリング、すなわち同一の構造素子の組み合わせが必要なさまざまな電子機器の用途およびアプリケーションに一般化することができる。
【0026】
図1は、適切なビーム誘導が、フォービエイテッドドディスプレイによって実現される光誘導の一構成例である。図1は、光電子発光配置構造体1と、光電子発光配置構造体1によって生成された電磁放射をビーム変換もしくはビーム整形するための光学デバイス6とを含む、例えば表示デバイスまたはディスプレイの照明配置構造体を提案している。これに関連して、光電子発光配置構造体1は、動作中に1つの色の光を放出する複数のLEDを含んでいる。光電子発光配置構造体1は、各LEDが異なる色を放出するように構成されている。3つのLEDは、サブ画素として1つの画素全体の一部を形成している。したがって、一構成では、光電子発光配置構造体は、このような複数の画素を含んでいる。
【0027】
光学デバイス6は、結像投影光学系20の形態でシステム光学系19を表し、平面平行レンズ21と、光電子発光配置構造体1の結像を実現する第1の非球面レンズ22および第2の非球面レンズ23とをビーム経路に連続して含んでいる。
【0028】
さらに、図1は、光電子発光配置構造体1がマトリクス状に配置された複数の発光領域3.1,3.2を含んでいることを示している。これらの領域は、それぞれ1つ以上のLED(異なる色)を有している。任意に、LEDは既に一次光学系12を含んでいてもよい。これらの一次光学系には、既に光出射時にある程度のビーム整形を実現するために、変換素子、取り出し構造体あるいはフォトニック結晶も含まれていてよい。発光領域3.1,3.2の各々には、主放射方向4.1および4.2が割り当てられている。光学デバイス内で生じる像面湾曲を少なくとも部分的に補正するために、発光領域3.1,3.2の中心7は、湾曲した面5上に配置されており、この湾曲した面は、本構成例では球体セグメント24を形成し、その関連する球心30は光学デバイス6の光軸10上にある。
【0029】
可能な寸法については、直径Dが3.7mmの光電子発光配置構造体1の場合、発光領域3.1,3.2を配置するための湾曲した面5に関しては半径Rが10mmに選択され、ビーム経路において続く光学デバイス6の平面平行レンズ21に関しては、屈折率が少なくとも1.6の材料、および光軸10の方向で直径Dの少なくとも2倍の厚さが使用される。
【0030】
図2は、LEDの形をした別個のオプトチップ17.1~17.5の一次光学系の開口部によって形成される複数の発光領域3.1~3.5を含む光電子発光配置構造体1を備えた照明配置構造体の構成例の拡大部分図を示している。図示しているのは、非平面的なIC基板16上の別個のオプトチップ17.1~17.5の配置構造体であって、発光領域3.1~3.5の中心7が凹状に湾曲した面5の上に位置するようになっている。発光領域の各々3.1~3.5は、主放射方向4.1~4.5が割り当てられたランベルト放射体11を形成しており、これにより、光学デバイス6に面している球体セグメント24の形をした非平面的なIC基板により、主放射方向4.1~4.5は光学デバイス6の光軸10上で共通の交点を有することになる。一次光学素子12(図1を参照)により、発光領域3.1~3.5のランベルト発光を、非ランベルト発光、特に、より狭い開口角の発光に変換することができる。
【0031】
図3は、構成変形例を拡大部分図で示しており、光学デバイス6は一部の断面のみ表示している。典型的にはドライバ回路部品ならびにインターフェース素子およびメモリ素子を含む、概略的に簡略化して描写された制御デバイス25を備えた平坦なIC基板28が見て取れる。平坦なIC基板28上には、共通のプロセスで製造され、チップ14の領域15の凹状に湾曲した面5上に位置する複数の発光領域3.1~3.5を持つ光電子発光配置構造体1を有し、発光領域3.1~3.5のそれぞれが変換素子13によって形成されているモノリシック画素型オプトチップ14が配置されている。先の構成によれば、発光領域3.1~3.5の主放射方向4.1~4.5は、互いに角度付けられており、光学デバイス6の光軸10上で交差している。
【0032】
図4は、段差のあるIC基板29を含む、発光光学配置構造体1を備えた照明装置の第4の構成例を示している。段差のあるIC基板29の同心円状に配置されたリング面8.1,8.2,8.3上には、LED11によって形成された個別のオプトチップ17.1~17.5が、それぞれのLED11の一次光学素子12によって形成された発光領域3.1~3.5の中心7が凹状に湾曲した面5上に位置し、かつ発光領域3.1~3.5の主放射方向4.1~4.5が一致した向きになるように配置されている。その結果、異なるリング面8.1~8.3に配置されている場合、別個のオプトチップ17.1~17.5の光学デバイス6の平面平行レンズ21からの距離ひいては光学デバイス6の前の広がったビーム経路におけるビーム断面積が異なる。
【0033】
図5は、図4に示した変形例に基づく本発明の更なる設計を示しており、この場合、凹状に湾曲した面5上に配置された発光領域3.1~3.5の中心7と、光学デバイス6の平面平行レンズ21との間に、同じく凹状に湾曲したコリメート光学素子18が追加的に配置されている。図示の構成では、コリメート光学素子18は、放射角フィルターを形成する湾曲した絞りプレート26と湾曲したレンズ配置構造体27とを含んでいる。コリメート光学素子18の機能部品は、個々のまたは複数の発光領域3.1~3.5に割り当てられていてもよい。詳細は図示していない構成では、コリメート光学素子18の各機能部品は、1つの画素に属し、異なる色で放射する複数の発光領域3.1~3.5をプリコリメートする役割を果たす。
【0034】
図6は、これに加えて、オプトチップ17.1~17.5が、発光面の上側に光整形構造体を追加したLED配置構造体として形成されている形態を示している。これにより、光の誘導が改善され、個々のオプトチップの放射パターンが変化させられる。光整形構造体は、例えばオプトチップの半導体材料の中にフォトニック結晶として構成されているため、放出される光の指向性が高くなる。光整形構造体はさまざまな方法で形成することができる。図7の構成は、図4の例に基づいている。ここでも光整形構造体が形成されているが、その幅はさまざまに変化し、本体1の形状もしくは表面に従ったものである。
【0035】
図8Aおよび図8Bは、更なる構成を横断面図および平面図で示している。ここでは、LEDモジュール3a,3bおよび3cが、IC基板の同心円状に配置された面8.1,8.2,8.3に配置されている。平面図では、段差のある基板が長方形の段差面を含んでいる更なる構成を参照して、これをより詳細に示している。個々の光電子構造素子もしくは発光ダイオードは、横型ダイオードとして構成されており、すなわち、その2つのコンタクトは一方側にある。これは、図8Bでは、2つの異なるエリア(白色と斜線部)で示されている。IC基板の段差に応じて、複数の発光ダイオードが用意されており、そのうちのいくつかはここの基板上に配置されている。
【0036】
以下の図は、本出願で述べる更なる態様を説明している。図9Aは、赤色、緑色または青色の光を発するRGB画素40を備えたマトリクスとして形成されている光電子照明デバイス1を用いた、先行技術に従ったRGBエミッタアレイの平面図を示している。RGB画素40は、高いフィルファクターを有することを特徴としている。つまり、個々のRGB画素40の領域5の大部分が発光領域として利用されることを意味している。図9Bは、投影光学系7を備えた投影ユニットに存在するビーム誘導の一例を概略的に示している。投影光学系7は、図9Bに示された3つのレンズすべてを含んでおり、単にレンズもしくはプレート52とも呼ばれる。個々のRGB画素40が発する光線はコリメートされていないことがわかる。図9Bに示すように、プレート52の下流側の投影光学系7の素子に達するのは、RGB画素40が発するビームのうち、放射角が+45°~-45°の間のものだけである。RGB画素40は、ランベルトの放射の法則に従って光を放出するので、そのため、光線のコリメーションがなければ、RGB画素40が発する光線の一部は画像生成のために使用することができず、結局は効率が低下してしまうことになる。
【0037】
図10は、6つの画素を有する、ここに開示されたいくつかの態様に従って構成されたRGBエミッタアレイ案による光電子照明デバイス1の概略的に簡略化された平面図を示しており、これにより、参照符号が付された例示的な画素2.1について、割り当てられた画素面積5が示されている。画素2.1は、サブ画素を形成するLED3.1,3.2,3.3が別々に設置されており、LEDとして形成され、図示の構成例では赤色、緑色および青色の光を発するものを含んでいる。個々の画素2.1は、低いフィルファクターを有することを特徴としており、画素面積5の比較的小さな部分のみがLED3.1,3.2,3.3によって占有されている。その他の点では、LED3.1,3.2,3.3は、サブ画素の個々の発光面の間に比較的大きな距離が形成されるように配置されている。一方では、LED3.1,3.2,3.3もしくは各LEDは、隣り合う画素2.1の間に光学的および/または電気的な漏話が起こらないように、画素2.1の縁部から間隔を空けて配置されている。他方では、LED3.1,3.2,3.3は、画素2.1の個々の半導体照明デバイス3.1,3.2,3.3の間の光学的および電気的な漏話が防止されるか、少なくとも最小限に抑えられ得るように、個々の画素2.1内にも配置されている。個々のLED3.1,3.2,3.3の配置構造は、所望の画像を生成するための放射パターンと必要な光出力とを考慮している。さらに、この一番左上の画素のように、反射型の凸部2.4を設計することも可能である。透明なカバー電極が取り付けられていてもよい。これに関する構成は、本願に開示されている。
【0038】
図11は、提案されている投影ユニットの光電子照明デバイス1を形成するRGB画素で形成されたマトリクスの平面図を示している。例示的に、画素2.2の画素面積5を破線で示す。画素2.2は、赤色、緑色または青色の光を発する3つのサブ画素を形成する半導体照明デバイス3.1,3.2,3.3を含んでおり、画素2.2の面積5に三角形配置構造の形をして配置されている。この構成も反射型層で取り囲まれていてよい。
【0039】
用途に応じて、ここで提示したフィルファクターの小さいLEDを備えた画素のマトリクスに、光整形あるいは光変換のための構造体を加えることができる。図12は、かかる構成の平面図を示している。この場合、マトリクス上に領域33および34を有する光整形構造体が構成されている。領域34は、マトリクスを覆う透明な層33のピラーまたはカラムもしくは穴部として構成されている。この場合、層33は、カラム34または穴部34とは異なる屈折率を有している。そのため、この平面図に示すように、2つの空間方向に屈折率の周期的な変化が見られる。このようにして、個々のLEDと画素とからなるマトリクスの上に、フォトニック構造体もしくは2次元フォトニック結晶が形成される。周期性を適宜選択することで、少なくとも1つの波長の光を適切に作り出すことができる。
【0040】
さらに、図13は、提案されている投影ユニットの異なる構成要素を概略図で示している。このような投影ユニットは、マトリクスを形成する画素2.1,2.2を有する光電子照明デバイス1を備えており、これらの画素は低いフィルファクターを有し、それぞれが異なる色、すなわち赤色、緑色および青色の光を発するLED3.1,3.2,3.3を含んでいる。提案しているいくつかの態様によれば、各画素2.1,2.2には、LED3.1,3.2,3.3が発する光をコリメートして、好ましくは仮想中間像8.1,8.2に結像するコリメーション光学系6.1,6.2が設けられている。投影光学系7を用いて、LED3.1,3.2,3.3の中間像8.1,8.2を、詳細には示していないディスプレイ、スクリーンまたはそれ以外の表示ユニット(自動車のフロントガラスであってもよい)に向けて、見る人が所望の大きさ、向きおよび間隔で知覚できる画像が生成される。
【0041】
さらに、図14は、LED3.1,3.2,3.3の拡大された仮想中間像8.1,8.2を重ね合わせる、提案の空間補正を示している。このように、コリメーション光学系6.1,6.2は、LED3.1,3.2,3.3の中間像8.1,8.2の大きさがそれぞれの画素2.1,2.2の大きさに実質的に対応し、さらにLED3.1,3.2,3.3の位置や大きさの違いが中間像8.1,8.2の重ね合わせのために実質的に補正されるように構成されている。好ましくは、LED3.1,3.2,3.3の中間像30.1,30.2,30.3は、その中間像面積の少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%にわたって重なり合っている。また、LED3.1,3.2,3.3の中間像30.1,30.2,30.3は、その中間像面積の少なくとも70%、80%または90%にわたって重なり合っていてもよい。さらに、それぞれの画素2.1,2.2のLED3.1,3.2,3.3の互いに重なり合う中間像30.1,30.2,30.3の総面積は、画素面積5の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%に相当することが好ましい。それぞれの画素2.1、2.2のLED3.1,3.2,3.3の互いに重なり合う中間像30.1、30.2、30.3の総面積は、画素面積5の少なくとも70%、80%、または90%に対応することができる。
【0042】
個々の画素2.1,2.2に割り当てられたコリメーション光学系6.1,6.2は、ホログラフィック光学素子(HOE)、屈折光学素子(ROE)または回折光学素子(DOE)を用いて実現することができる。このために、図15には、それぞれの画素2.1,2.2の3つの異なるLED3.1,3.2,3.3に対応したコリメーション光学系6.1,6.2,6.3のそれぞれの必要な色相関数12,13,14が示されている。ここで、上図は赤色に発光するLED3の色相関数12、中段の図は緑色に発光するLED3.2に対応したコリメーション光学系6.1,6.2の位相関数13、下図は青色に発光するLED3.3のコリメーション光学系6.1,6.2の必要な色相関数14を示している。
【0043】
図16は、コリメーション光学系6がメタレンズ15を使って実現されている構成形態を示している。このようなメタレンズ15は、これによって屈折光学素子または回折光学素子のいずれかが形成されるように構成することができる。有利には、このようなメタレンズ15は、異なる方法でパターニングされた少なくとも2つの互いに間隔を空けて配置された領域を有している。例えば、メタレンズの第1の領域には格子状のパターニング部が設けられており、一方、このようなメタレンズ15の第2の領域は円形の構造体を有していることが考えられる。メタレンズが、少なくとも一部の領域で二元構造を有しており、かつ/または誘電体材料で作られている場合に有利である。図16に関する更なる態様は、カラム構造体が周期的または準周期的に配置され得ることを考慮に入れるとわかる。これにより、屈折率が周期的に変化する領域が形成される。
【0044】
図17は、本発明により構成された投影ディスプレイ用の光電子照明デバイス1を有するモノリシックオプトチップの側面図を示している。オプトチップは、サブ画素が中に設けられている個々の画素2が配置されたシリコン基板9を有している。必要な電気エネルギーをオプトチップに供給するために、オプトチップは、この目的に適した電源端子11と導体トラックとを有している。個々の発光画素2へのエネルギー供給と駆動制御とは、CMOSアレイ10を用いて行われる。サブ画素での光の発生は、LEDを用いて実現され、好ましくは、青色光または紫外光を発するLEDが使用され、この光は、適切な変換素子もしくは適切な変換材料を用いて必要な色の光に変換される。
【0045】
オプトチップの表面上には、赤色、緑色および青色の光をそれぞれ発するサブ画素50が配置された画素2が存在している。ここでは、個々のサブ画素50は、それぞれの場合において、フィルファクターの低い画素2を、当該画素2内の個々の発光面積が、光を発しない面積と比較して画素2の領域の一部のみを占めるように形成しており、また、個々のサブ画素50の間および隣り合う画素50の間の光学的および電気的な漏話が確実に防止されるか、または少なくとも大幅に最小限に抑えられるように、互いに十分な間隔を空けて配置されている。
【0046】
3つのサブ画素50で形成された画素2には、それぞれ、図17に詳細を示していないコリメーション光学系が割り当てられており、サブ画素3が発する光線をコリメートして位置補正を行う。本発明によれば、コリメーション光学系6は、サブ画素50の中間像を生成し、その大きさは画素2の大きさに対応している。さらに、中間像の個々のサブ画素の位置や大きさの違いが補正されるように構成されている。図17に示すモノリシックオプトチップを用いた構成形態に加えて、それぞれ1つまたは複数の画素またはサブ画素を有する異なるチップを共通の基板上に配置し、それらを電気的に接触接続させることも考えられる。好ましくは、画素2のサブ画素50は、それぞれ必要な色の光、特に赤色、緑色または青色の光を発するLEDによって形成される。この場合、原則的には、所望の色の光を直接発するLEDを使用すること、および/またはLEDが発する光、特に青色の光を、適切な変換素子もしくは変換材料を用いて必要な色の光に変換することが考えられる。さらに、サブ画素50をスーパー発光ダイオード(Superlumineszenzdioden)、VCSELまたは端面発光レーザーとして構成することも考えられる。同様に、個々のサブ画素50を、対応する色の光を通す光導波路の端材として構成することも考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17