(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】神経筋機能のトレーニングのための歩行トレーナ
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A61H3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021573322
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 DK2020050169
(87)【国際公開番号】W WO2020249177
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-18
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】521539317
【氏名又は名称】ヴイ.グルドマン エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユビス、ローリナス
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、イェンス ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ステンスガールド、スティーネ エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ラスケ、モルテン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-004858(JP,A)
【文献】特表2016-511017(JP,A)
【文献】米国特許第7883450(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経筋機能のトレーニングのための歩行トレーナ(1)であって、
回転可能なケーブル・ドラム(12)、前記回転可能なケーブル・ドラム(12)に巻き付けられるように適合されたケーブル(14)、及び患者との相互作用に適合されたケーブル端(16)を有するホイスト・システム(10)と、
前記回転可能なケーブル・ドラム(12)との軸方向の係合に適合され、前記ケーブル・ドラム(12)上で前記ケーブル(14)を解く又は巻き取るために前記回転可能なケーブル・ドラム(12)を順駆動方向及び逆駆動方向に駆動するように適合された電気モータ(20)と、
前記患者による前記ケーブル(14)への実適用重量(208)を測定するように、且つ、前記患者による前記ケーブル(14)への
測定された実適用重量(208)を示す定性的重量センサ信号(42)を出力するように適合された重量センサ(40)と、
コントロール・ユニット(30)と、
前記患者による前記ケーブル(14)への
前記測定された実適用重量(208)を示す前記定性的重量センサ信号(42)を受信するように適合され、モータ駆動制御信号(32)を計算及び出力するように構成されるプロセッサ(50)と、
前記モータ駆動制御信号(32)を受信するようにされたモータ・コントローラ(22)
とを、備え、
前記プロセッサ(50)が、前記患者による前記ケーブル(14)への
前記測定された実適用重量(208)を示す前記受信された定性的重量センサ信号(42)に基づいて、及び
前記測定された実適用重量(208)を、前記トレーニングを開始する前に決定された
対抗重量(202)と比較した結果に基づいて、前記モータの計算された駆動方向を確立するように適用され、
前記モータ・コントローラ(22)は、前記モ
ータの計算された駆動方向を確立するように適用され、これにより、前記電気モータ(20)によってケーブルに適用される決定された
対抗重量(202)を一定値に維持し、前記歩行トレーナが2つの重量センサを備えるように、前記ホイスト・システム(10)が、重量センサ(40)によって自由に吊り下げられ、前記重量センサ(40)は、前記ホイスト・システム(10)の側面に取り付けて配置され、それにより前記歩行トレーナ(1)の組込高さ寸法が削減されている、歩行トレーナ(1)。
【請求項2】
重量センサ(40)及び力平衡手段(62)を有する固定サスペンション(60)を備え、前記重量センサ(40)及び前記固定サスペンション(60)は、前記ホイスト・システム(10)の側面に取り付けて配置され、それにより前記歩行トレーナ(1)の前記組込高さ寸法が削減されている、請求項1に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項3】
前記重量センサ(40)は、前記定性的重量センサ信号(42)である電気信号に加えられた力の変換器として構成されたロード・セルを備え、前記ロード・セルはひずみゲージ・ロード・セルである、請求項1または2に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項4】
天井レール(72)及び1つ又は複数の前記重量センサ(40)と相互作用するように適合されたレール・マウント(70)をさらに備え、前記重量センサ(40)は、一方の端で前記レール・マウント(70)に接続され、他方の端で前記ホイスト・システム(10)に接続されて、前記ホイスト・システム(10)が、前記1つ又は複数の重量センサ(40)によって自由に吊り下げられる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項5】
前記ケーブル(14)は、トレーニング・セッション中に使用するための前記ケーブル(14)の移動長(18)の視覚的表示(80)を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項6】
解かれ及び/又は巻き戻される前記ケーブル(14)の長さを調整するためのハンドヘルド・コントローラ(90)をさらに備える、請求項1から5までのいずれか一項に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項7】
対抗重量(202)、患者重量(204)、トレーニング負荷(206)、実適用重量(208)から成るグループから選択される値に対応する1つ又は複数の値の入力を表示及び/又は受信するように適合された、グラフィック・ユーザ・インタフェース(92)をさらに備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項8】
調整可能なブレーキ力でブレーキをかけるように適合されたブレーキ配置をさらに備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の歩行トレーナ(1)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の歩行トレーナ(1)に、電気モータ(20)、重量センサ(40)及びケーブル(14)を備える歩行トレーナ(1)を使用して神経筋機能をトレーニングする方法(100)のステップを実行させる命令を含むコンピュータ・プログラム製品(94)であって、
前記方法(100)は、
前記電気モータ(20)によって前記ケーブル(14)に適用する対抗重量(202)を決定する処置(102)と、
前記重量センサ(40)を用いて、前記患者による前記ケーブル(14)への実適用重量(208)を測定する処置(106)、
前記実適用重量(208)を前記決定された対抗重量(202)と比較する処置(108)、及び
前記実適用重量(208)を、前記トレーニングを開始する前に決定された対抗重量(202)と比較した結果に基づく前記モータ(20)の前記計算された駆動方向を確立するためのモータ駆動制御信号(32)を与えることによって、駆動方向(210)をモータ・コントローラ(22)に指示すること(110)で、前記電気モータ(20)によって前記ケーブルに適用される前記決定された対抗重量(202)を一定値に維持する処置、
を継続的に実行する処置と、
を含むコンピュータ・プログラム製品(94)。
【請求項10】
前記方法(100)は、
患者重量(204)を提供する処置(104)と、
前記提供された前記患者重量(204)のパーセンテージとして、前記対抗重量(202)を決定すること(102)で、前記提供された前記患者重量(204)と前記対抗重量(202)との間の差を、前記患者によって付加されるトレーニング負荷(206)とする処置と、
をさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ・プログラム製品(94)。
【請求項11】
前記患者重量(204)は、前記重量センサ(40)によって測定された重量として提供される、請求項10に記載のコンピュータ・プログラム製品(94)。
【請求項12】
前記電気モータ(20)は、前記ケーブル(14)を解くための最高速度に制限され、転倒事故を防止する、請求項9から11までのいずれか一項に記載のコンピュータ・プログラム製品(94)。
【請求項13】
請求項9から12までのいずれか一項に記載のコンピュータ・プログラム製品(94)を格納したコンピュータ可読媒体(96)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経筋機能のトレーニングのための歩行トレーナであって、
―回転可能なケーブル・ドラム、上記回転可能なケーブル・ドラムに巻き付けられるように適合されたケーブル、及び患者との相互作用に適合されたケーブル端を有するホイスト・システムと、
―上記回転可能なケーブル・ドラムとの軸方向の係合に適合され、上記ケーブル・ドラム上で上記ケーブルを解く又は巻き取るために上記回転可能なケーブル・ドラムを順駆動方向及び逆駆動方向に駆動するように適合された電気モータと、
―定性的重量センサ信号を出力するように適合された重量センサと、
コントロール・ユニットと、
―上記定性的重量センサ信号を受信するように適合され、モータ駆動制御信号を計算及び出力するように構成されるプロセッサと、
上記モータ駆動制御信号を受信するように適合されるモータ・コントローラと、を備える、神経筋機能のトレーニングのための歩行トレーナに関する。
本発明はまた、電気モータ、重量センサ及びケーブルを備える、そのような歩行トレーナを用いて神経筋機能をトレーニングする方法に関する。
【0002】
上記歩行トレーナを使用する際に、本方法は、電気モータによってケーブルに適用する対抗重量を決定する処置と、重量センサを用いて、患者によるケーブルへの実適用重量を測定する処置と、を含み得る。ここで、電気モータの駆動方向は、対抗重量を患者によるケーブルへの実適用重量の測定値と比較したことに基づいて決定される。
【0003】
歩行トレーナは、回転可能なケーブル・ドラムと、患者によるケーブルへの実適用重量の測定値と比較された対抗重量に基づき設定された駆動方向に従って回転可能なケーブル・ドラムに巻き付ける又は巻き戻すケーブルと、を有するホイスト・システムを備え得る。
【0004】
歩行トレーナは、回転可能なケーブル・ドラムとの軸方向の係合に適合され、回転可能なケーブル・ドラムを駆動方向に駆動するように適合された電気モータをさらに備え得る。歩行トレーナは、重量センサ、コントロール・ユニット、プロセッサ、及びモータ・コントローラをさらに備え得る。
【0005】
ホイスト・システムは、重量センサによって自由に吊り下げられ得る。
【背景技術】
【0006】
リハビリテーションは通常、個々の患者の機能的スキルレベルを出発点として、設定された期間にわたるトレーニング・プロセスの形をとる。リハビリテーションのエクササイズには、移動、ポジショニング、筋力トレーニング、ストレッチ、アクティブな運動のエクササイズ、日常の活動の練習を含ませられる。純粋に治療の観点から、リハビリテーションの目的は、機能的なスキルを可能な限り維持及び向上させることである。
【0007】
リハビリテーションのプロセスでは、多くの場合、患者の可動性の欠如と自分自身を助けることができないことを補うために必要とされる多くのプロのセラピストが必要になる。
【0008】
迅速なリハビリテーションには自信と安全が不可欠である。
【0009】
ベッドでの長引く期間を要する入院の延長期間は、患者の健康と幸福に深刻な結果をもたらす可能性がある。動かないように横たわっていると、肺に血栓が形成されるリスクや、褥瘡などの皮膚合併症のリスクが高まる。
【0010】
筋量と筋力の低下は、一般的に長期入院に関連する他の合併症であり、これらの問題は、実際には入院期間と退院後の患者の機能する能力の両方に影響を与える可能性がある。
【0011】
入院患者の場合、長期間の不動は以下のリスクを高める可能性がある。
・肺炎、無気肺、肺塞栓症などの呼吸器合併症
・便秘
・失禁
・組織の損傷と褥瘡
・脚の血栓(深部静脈血栓症)
・筋量と筋力の低下
・体力の低下
・特に高齢患者のバランスの低下
【0012】
したがって、できるだけ早く、理想的には入院期間中に、患者を可動化することが非常に重要である。
【0013】
早期の可動化により、患者はより早くリハビリテーションを開始できるようになり、血液循環を促進し、感染やその他の合併症のリスクを軽減することで、手術後の回復期を改善する。
【0014】
早期の可動化とリハビリテーションは、ポジショニング/リポジショニングのエクササイズと身体活動、そしてベッドから離れてより多くの時間を過ごすこと、つまり歩き回ったり、単に立ったりすることとして定義される。他の活動としては、髪をとかす、濡れたフランネルで顔と手を洗う、ベッドの中及び/又は隣でのエクササイズ、バランス・トレーニング、ベッドの周りを歩くなどの簡単な日常生活を含むことができる。
【0015】
しかし、転倒、意図しない動き、患者の不安感のリスクが高まるため、多くの課題が早期の可動化に関連している。このような課題は、身体的支援の大きな必要性と、ケア・スタッフやセラピストへの怪我のリスクをもたらし得る。
【0016】
入院及び早期の可動化に関連する一般的な持ち上げ及び移動作業には、次の場合があり得る。
・患者の反応、反射神経、保護反応をテストするために、患者が座位になるのを助けること
・座位のサポート
・ベッド、椅子、診察台などの間で患者を移動させること
・ポジショニング・サポート、枕などのために上半身を持ち上げること
・患者の下にベッドを作るときに腰を持ち上げること
・四肢を持ち上げること
・トイレ訪問(必要に応じてトイレの椅子を使用)
・ある位置から別の位置への移行
・患者を座位から立位に、又はその逆に移動させること
・スタンディング・バランス/シッティング・バランス
・直立姿勢での反応、反射神経、保護反応
・体重移動
・歩行トレーニング
・ベッドでのエクササイズ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、患者の回復及び得られた力の進行に応じて調整できる、早期の可動化のための歩行トレーナを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、請求項1のプリアンブルで紹介及び規定される方法により説明される歩行トレーナによって、達成し得、特有なのは、プロセッサが、受信された定性的重量センサに基づき、及び実定性重量信号を、トレーニングを開始する前に決定された平衡重量と比較した結果に基づき、モータの計算された駆動方向を確立するように適用され、モータ・コントローラは、モニタの計算された駆動方向を確立するように適用され、これにより、電気モータによってケーブルに適用される決定された平衡重量を一定値に維持し、歩行トレーナが2つの重量センサを備えるように、ホイスト・システムは、重量センサによって自由に吊り下げられ、重量センサは、ホイスト・システムの側面に取り付けて配置され、これにより、歩行トレーナの組込高さ寸法が削減されることである。
【0019】
歩行トレーナは2つの重量センサを備える。重量センサは、ホイスト・システムの側面に取り付けて配置され、これにより、歩行トレーナの組込高さ寸法が削減される。
【0020】
既存の部屋及び/又は既存の機器で、歩行トレーナのより広いユーザビリティを達成することに関して、高さ寸法を減らすことが重要であり得る。
【0021】
歩行トレーナは、バランス運動、歩く及び/又は走るなどの立ち運動を行うのに適しているため、歩行トレーナの設置及び使用に関しては、ホイスト・システムの高さ及び患者の身長を考慮する必要がある。
【0022】
さらに、エクササイズは、トレッドミル、バランス・ボード、ステップ、バランス・ボールなどのエクササイズを行うために必要な高さを増加させる追加の機器を備え得る。
【0023】
上記歩行トレーナを使用する際に、本方法は、電気モータによってケーブルに適用する対抗重量を決定する処置を含み得る。
【0024】
本方法は、神経筋機能のトレーニングに使用できる。
【0025】
本方法は、重量センサを用いて、患者によるケーブルへの実適用重量を測定する処置、実適用重量を決定された対抗重量と比較する処置、及び実適用重量を決定された対抗重量と比較した結果に基づくモータ駆動制御信号を与えることによって、駆動方向をモータ・コントローラに指示する処置、をさらに含み得る。
【0026】
患者によるケーブルへの実適用重量を測定する処置、実適用重量を決定された対抗重量と比較する処置、及び駆動方向をモータ・コントローラに指示する処置は、継続的に実行され得、電気モータによってケーブルに適用される決定された対抗重量を一定値に維持する。
【0027】
この実施例の効果の1つは、歩行トレーナを動的モードで操作できることであり得る。このモードでは、トレーニング中に平衡重量が継続的に維持される。
【0028】
したがって、患者によって及ぼされるトレーニング負荷も一定レベルに維持され得る。
【0029】
この実施例の効果の1つは、患者が自然な動きでありながら減少した体重でトレーニングできるトレーニング方法を提供することであり得る。
【0030】
これは、他の設定では、水中でのトレーニングによって達成され得る。しかし、例えば患者の合併症に関して、施設及び/又は全身の水との接触の状態などのために、これは多くの状況で選択肢にならないかもしれない。
【0031】
本実施例のもう1つの効果は、バランスをとる、歩く、及び/又は走るなどの立ち運動をサポートするトレーニング方法を提供することであり得る。
【0032】
患者の昇降を行うためにケーブルを巻き取ったり解いたりすることに、患者ホイスト・システムそれ自体で適合されているように、このトレーニング方法は、上記のように適合された電気モータ、重量センサ、及びケーブルを有する既存の患者ホイスト・システムに、本方法のステップを組み込むことによって提供され得る。
【0033】
ケーブルは、患者を保持するために、又は患者が着用するように適合されたスリング、ストラップ、又は同等のユニットにさらに取り付けるために、ケーブルの端にバックルで取り付けることができる。そのような保持又は装着ユニットは、既存の患者ホイスト・システムとの接続にすでに使用されている可能性がある。
【0034】
或いは、保持又は装着ユニットの新しい形態又は形状は、既存の患者ホイスト・システムのバックルに適合する接続ユニットを使用することによって、既存の患者ホイスト・システムに後付けできる。
【0035】
本方法を実行する1つの態様では、ユーザは、トレーニングを開始する前に、所望の重量負荷を決定できる。所望の重量負荷は、対抗重量として、或いは患者が付加するトレーニング負荷として、であり得る。所望の重量負荷を決定した後、例えばケーブル端に結合されたスリングに入るなどして、患者がケーブルに結合されるとすぐにトレーニングを開始できる。さらなる効果は、所望の重量負荷がその後のトレーニング・セッションで簡単且つ正確に設定できることであり得る。
【0036】
後続のトレーニング・セッションは、前のトレーニング・セッションでの単一のエクササイズの進行と実行に依存し得る。
【0037】
ある態様において、本方法は、トレーニング・セッション中に患者が付加するトレーニング負荷の段階的な変化に適合させ得る。或いは、トレーニングは、静的モードと動的モードとの間で変化するように適合させ得る。
【0038】
ここで、静的モードでは、患者が加えた力に応じて対抗重量を調整しない場合がある。動的モードでは、逆に、対抗重量は、患者のケーブルへの実適用重量に応じて調整され得る。
【0039】
1つの実施例では、本方法は、患者重量を提供する処置、及び提供された患者重量のパーセンテージとして対抗重量を決定する処置を、さらに含み得る。提供された患者重量と対抗重量との間の差は、患者が付加するトレーニング負荷であり得る。
【0040】
1つの態様では、対抗重量は、患者が付加するトレーニング負荷を設定し、次に、提供された患者重量と患者が付加するトレーニング負荷との間の差を計算することによって決定され得る。
【0041】
トレーニング負荷は、患者の重量のパーセンテージで表し得る。
【0042】
この実施例は、患者重量の一定のパーセンテージを軽減する機会を提供し得る。ただし、患者重量が事前にわかっていて、表明できる必要がある。
【0043】
患者重量を表明する代わりに、本方法の1つの実施例では、患者重量は、重量センサによって測定された重量として提供され得る。
【0044】
本方法の効果の1つは、正確で更新された患者重量が本方法に適用されていることを確認することであり得る。これにより、患者が付加するトレーニング負荷を、患者の重量の増減とは独立して設定できることを保証し得る。
【0045】
本方法の1つの実施例では、電気モータはケーブルを解くための最高速度に制限されている。これは、足場を失ったり、つまずいたり、バランスが崩れたりした場合に、患者をゆっくりと地面に降ろすことで転倒事故を防ぐのに役立ち得る。
【0046】
これは、患者の転倒を防ぐための衝動による無意識の動きを減らすことにより、ケア・スタッフ及びセラピストへの怪我のリスクを回避又は最小化することに関して、さらに有利であり得る。
【0047】
コントロール・ユニットは、神経筋機能のトレーニングのための方法に使用されるステップを実行するように適合させ得る。
【0048】
この実施例の効果の1つは、歩行トレーナが動的モードと静的モードで動作し得ることであり得る。
【0049】
静的モードでは、患者が加えた力に応じて対抗重量を調整しない場合がある。動的モードでは、対抗重量は、逆に、患者によって加えられた力に応じて調整され得る。
【0050】
この実施例の効果の1つは、患者が自然な動きでありながら減少した体重でトレーニングできるトレーニング・システムを提供することであり得る。これは、以前は水中でのトレーニングによって達成されていた可能性があるが、患者の合併症によっては、全身で水と接触することさえできない場合があるため、入院中の患者にとって最適な設定ではない可能性がある。
【0051】
歩行トレーナは、バランスをとる、歩く、及び/又は走るなどの立ち運動をサポートし得る。
【0052】
患者の昇降を行うためにケーブルを巻き取ったり解いたりすることに、患者ホイスト・システムそれ自体で適合されているように、この歩行トレーナは、上記のように適合された電気モータ、重量センサ、及びケーブルを有する既存の患者ホイスト・システムに、本方法のステップを実行するための上記プロセッサ及び上記モータ・コントローラを組み込むことによって提供され得る。
【0053】
ケーブルは、患者を保持するために、又は患者が着用するように適合されたスリング、ストラップ、又は同等のユニットにさらに取り付けるために、ケーブル端にバックルで取り付けることができる。そのような保持又は装着ユニットは、既存の患者ホイスト・システムに関連してすでに使用されている可能性がある。或いは、保持又は装着ユニットの新しい形態又は形状は、既存の患者ホイスト・システムのバックルに適合する接続ユニットを使用することによって、既存の患者ホイスト・システムに後付けできる。
【0054】
1つの実施例では、歩行トレーナは重量センサと固定サスペンションを備え得る。固定サスペンションは、力平衡手段を有し得る。重量センサと固定サスペンションは、ホイスト・システムの側面に取り付けて配置できる。これにより、歩行トレーナの組込高さ寸法が削減される。
【0055】
固定サスペンションは、ホイスト・システムを吊り下げ保持する。固定サスペンションは、レール・マウントとホイスト・システムとの貫通穴と、ペグと、を備えることができる。ペグは貫通穴に取り付けられている。
【0056】
ホイスト・システムの片側に、重量センサを取り付け得る。ホイスト・システムの別の側に、固定サスペンションを設け得る。この場合、固定サスペンションは、力平衡手段を有し、固定サスペンションと重量センサによって、重量センサで測定された重量から計算され得る総重量が得られる。力平衡手段は、重量センサの重量が増加したときにホイスト・システムがその周りを回転できるペグであり得る。
【0057】
この実施例は、2つの重量センサを備えた歩行トレーナと同じ効果と利点を持ち得、単に代替の実施例と見なし得る。
【0058】
2つの重量センサを備える歩行トレーナと比較したこの実施例の利点の1つは、コンポーネント・レベルでのシステムのコスト削減であり得る。もう1つの利点は、ホイストの設置が簡単で、結果として保守コストを削減し得ることである。
【0059】
歩行トレーナの1つの実施例では、重量センサは、定性的重量センサ信号である電気信号に加えられた力の変換器として構成されたロード・セルを備え得る。ロード・セルは、ひずみゲージ・ロード・セルであってもよい。
【0060】
ロード・セルを使用することの1つの効果は、加えられた力を定量的な電気信号に直接伝達できることである。次に、電気信号を、歩行トレーナ内に含まれるユニット間のさらなる通信のための入力として使用できる。
【0061】
1つの態様では、ひずみゲージに基づくデジタル計量セルが歩行トレーナ内で使用される。特定の実施例では、HBM S40A/250kg(Eilersen)タイプのひずみゲージに基づくデジタル計量セルを使用できる。
【0062】
1つの態様では、ひずみゲージベースのロード・セルを歩行トレーナで使用できる。特定の実施例では、ひずみゲージベースのタイプ:Zemic「H3G-C3-250kg-6B」のロード・セルを使用できる。
【0063】
ロード・セルは、歩行トレーナのために確保すべき機械的寸法に合わせて、特に天井に設置された歩行トレーナを考慮して、歩行トレーナのために必要な容量に応じて選択できる。また、適切なロード・セルを選択する際には、産業用及び医療用機器の承認など、さらなる態様も考慮され得る。
【0064】
ロード・セルの測定間隔にわたる直線性や精度などの他の態様は、考慮すべきパラメータである可能性がある。
【0065】
重要と思われる他の態様は、サンプリング・レートであり、加えられた力/重量の変化が動的である可能性があるため、20~1000サンプル/秒のサンプリング・レートが好ましい場合がある。
【0066】
1つの実施例では、歩行トレーナは、天井レール及び1つ又は複数の重量センサと相互作用するように適合されたレール・マウントを備え得る。重量センサは、一方の端でレール・マウントに接続され、他方の端でホイスト・システムに接続されて、ホイスト・システムが重量センサによって自由に吊り下げられるようにできる。
【0067】
この実施例の効果の1つは、既存の天井レールで歩行トレーナを使用することであり得る。
【0068】
リハビリテーション・エクササイズと一緒に天井ホイストを使用することで、ユーザとセラピストの両方が同様に自信と安全性を高めることができる。
【0069】
ユーザはより自信を持つことができ、転倒することを恐れずにセラピストの指示に従うことができる。セラピストは、患者が突然バランスを崩したり及び/又は転倒したりした場合でも、背中の怪我のリスクを冒すことなく、同様に支援とガイダンスを提供できる。
【0070】
これにより、より挑戦的なエクササイズを、より多く実行できるようになり得る。
【0071】
リハビリテーション・プログラムの一環としてのホイストアシスト・リフティングは、あらゆる運動レベルで使用でき、個々のユーザの機能的能力に合わせた柔軟で的を絞ったトレーニングへの道を開く。
【0072】
多くの場合、天井に取り付けられたホイスト・システムは、レール内の2つのランナーに吊り下げられることがある。したがって、2つのロード・セルを使用すると、ホイストはそれぞれ独自のランナーに吊り下げられ得る。或いは、ホイスト・システムは、2つのランナー間の交換装置に接続された計量セルで吊り下げられてもよい。
【0073】
1つの態様において、歩行トレーナは、例えば、歩行運動中に歩行トレーナを横方向に動かすために、横方向を補助するために駆動モータと共に使用され得る。この場合、2つの重量センサをホイスト・システムのサスペンションに使用することで、患者が移動する方向を検出し、駆動モータによって補助された患者にホイストが追従するようにできる。ホイストはレール内で非常に簡単に動く可能性があるが、1つの効果は、患者がトレーニング・エクササイズを行うためにホイストを引っ張ってはならないということであり得る。
【0074】
歩行トレーナはまた、ブレーキ配置を備え得る。ブレーキ配置は、調整可能なブレーキ力でブレーキをかけるように適合されている。調整可能なブレーキ力は、ブレーキ配置によって設定できる。
【0075】
ブレーキ配置により、天井レール内のホイスト・システムの位置を固定できる。これは、最大ブレーキ力が設定されている場合である。
【0076】
ブレーキ配置はまた、患者が天井レール内のホイスト・システムを動かすことができるレベルにブレーキ力を設定することを可能にし、システムはブレーキ力の形で抵抗を提供する。
【0077】
これにより、患者による幅広い動きのセットを含む、より複雑なトレーニング・エクササイズを実行できる。
【0078】
1つの実施例では、歩行トレーナは、互いに平行に取り付けられた第1及び第2の天井レールと、第1及び第2の天井レールを接続し、第1及び第2の天井レールにスライド式に取り付けられた第3の天井レールとを有し得る。ホイスト・システムは、第3の天井レールにスライド式に取り付けられ得る。
【0079】
天井レールにより、ホイスト・システムを天井と平行な平面内で自由に動かすことができる。これにより、特に上述のモータ及び/又はブレーキ配置と関連して、より幅広いエクササイズのセットを患者と一緒に行うことができる。
【0080】
歩行トレーナの1つの実施例では、ケーブルは、トレーニング・セッション中に使用するためのケーブルの移動長の視覚的表示を含み得る。
【0081】
視覚的表示は、患者によって行われるエクササイズを説明するために使用され得る。エクササイズは、脚、足、及び/又は背中を曲げたり伸ばしたりすることを含むことができ、したがって、エクササイズは高さの変化によって説明され得る。視覚的表示を適用することにより、移動長を使用して、患者に指示し、ケーブルの変位を視覚的に追跡することによって、患者がエクササイズを繰り返し、それらを正しく実行することができる。表示は、そのような目的に使用できる番号、記号、色、線、又は同等の表示を含むことができる。
【0082】
1つの実施例では、歩行トレーナは、解かれ及び/又は巻き戻されるケーブルの長さを調整するためのハンドヘルド・コントローラを備え得る。
【0083】
ハンドヘルド・コントローラは、ケーブルを解く及び巻き戻すため、及び/又は平衡重量を調整するためのボタンを備え得る。この実施例は、患者及び/又はケア・スタッフ又はセラピストが、トレーニング・セッションを開始するため、及びセッション中に歩行トレーナを調整するためにも、歩行トレーナを容易に調整できるという効果を有し得る。これにより、歩行トレーナは、エクササイズの進行に応じて調整できる。ハンドヘルド・コントローラには、患者がトレーニング中に歩行トレーナを操作し、例えば、ケア・スタッフやセラピストと相談して、耐久性のある最適化されたトレーニングを実現できる、という効果があり得る。
【0084】
1つの実施例では、歩行トレーナは、対抗重量、患者重量、トレーニング負荷、実適用重量から成るグループから選択された値に対応する1つ又は複数の値の入力を表示及び/又は受信するように適合されたグラフィック・ユーザ・インタフェースを備え得る。
【0085】
グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI:graphical user interface)は、トレーニング・セッション、単一のエクササイズ、又はこれらの組み合わせの設定を行うために使用できる。一方では、入力は、歩行トレーナのユーザ又はオペレータからの入力として受信され得る。他方では、入力は、歩行トレーナからの入力として受信され得る。入力は、GUIで選択された入力によって、データ入力として、電気信号又は同等のエントリとして受信され得る。ハンドヘルド・コントローラや視覚的表示と同様に、GUIを使用して以下と同じ効果と利点を実現し得る。
・患者が行うべきエクササイズを説明すること、
・患者に指示すること、
・エクササイズを見守り、エクササイズを繰り返すこと、
・ケーブルを解いたり及び/若しくは巻き戻したり、並びに/又は平衡重量を調整したりして、歩行トレーナを調整すること、
・トレーニング・セッションを開始するため、及びトレーニング・セッション中に歩行トレーナを調整すること、
・例えば、耐久性のある最適化されたトレーニングを実現するためにケア・スタッフやセラピストと相談して、トレーニング中に歩行トレーナを操作すること
・等
【0086】
既存の患者ホイスト・システムが歩行トレーナを後付けされている場合、既存のグラフィカル・ユーザ・インタフェースも、対抗重量、患者重量、トレーニング負荷、実適用重量から成るグループから選択された値に対応する1つ又は複数の値の入力を表示及び/又は受信することに応じて後付けされ得る。
【0087】
1つの態様において、歩行トレーナはドロップダウン・メニューを介して操作し得る。これらは、既存のGUIに組み込むこと、又は、スタンドアロンGUIとして組み込むことができる。メニューの操作は、圧力操作スクリーン、ハンドヘルド・コントローラ、又は他の適合された入力手段と相互作用することによって実行できる。歩行トレーナの「モード」は、ユーザに常に現在のモードが通知されるように、ドロップダウン・メニューに表示され得る。歩行トレーナが既存の患者ホイスト・システムを後付けされている場合、「モード」は歩行トレーニング・モードを表示し得る。
【0088】
GUIは、対抗重量、患者重量、トレーニング負荷、実適用重量から成るグループに含まれる値を選択したり、設定したりするためにも使用できる。
【0089】
本発明の目的は、歩行トレーナを使用して神経筋機能をトレーニングする方法のステップを歩行トレーナに実行させる命令を含む、コンピュータ・プログラム製品によって達成され得る。
【0090】
歩行トレーナは、モータ及び重量センサを有する既存の患者ホイスト・システムに本方法のステップを組み込むことによって提供され得る。これは、既存のソフトウェアをコンピュータ・プログラム製品に後付けすることで実現し得る。
【0091】
本発明の目的は、コンピュータ・プログラム製品を格納したコンピュータ可読媒体によって達成され得る。
【0092】
この実施例は、歩行トレーナの効果と利点、及び歩行トレーナを使用した神経筋機能のトレーニング方法を、さらにサポートし得る。
【0093】
本発明の実施例は、図面において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】歩行トレーナの要素の1つの実施例を示している。
【
図2】視覚的表示を有するケーブルの1つの実施例を示している。
【
図3】歩行トレーナがそれぞれ動的モードと静的モードで動作しているときにケーブルに加えられる力を示している。
【
図4】歩行トレーナを使用して神経筋機能をトレーニングする方法の1つの実施例を示している。
【
図5】ブレーキとドライブ・モータを備えた歩行トレーナの要素の1つの実施例を示している。
【
図6】歩行トレーナの要素の1つの実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、神経筋機能のトレーニングのための歩行トレーナ1の要素の1つの実施例を示している。歩行トレーナ1は、回転可能なケーブル・ドラム12及びケーブル14を含むホイスト・システム10を備える。ケーブル14は、回転可能なケーブル・ドラム12に巻き付けられるように適合させ得る。ケーブルは、患者との相互作用に適合され得るケーブル端16を有し、ここでケーブル端16には、患者を保持するように又は患者が着用するように適合されたスリング、ストラップ、又は同等のユニットに、さらに取り付けるためのバックルが取り付けられている状態で示されている。
【0096】
歩行トレーナ1は、電気モータ20をさらに備える。電気モータは、回転可能なケーブル・ドラム12との軸方向の係合に適合され得る。電気モータはさらに、ケーブル・ドラム12上でケーブル14を解く又は巻き取るために、回転可能なケーブル・ドラム12を順方向及び逆方向に駆動するように適合され得る。
【0097】
歩行トレーナ1は、重量センサ40、プロセッサ50、及びモータ・コントローラ22をさらに備える。重量センサ40は、定性的重量センサ信号をプロセッサ50に出力するように適合され得る。重量センサ40は、加えられた力を電気信号に変換する変換器として構成されたロード・セルを備え得る。
【0098】
プロセッサ50は、定性的重量センサ信号を受信するように適合され、受信された定性的重量センサ信号に基づいてモータ駆動制御信号を計算するように構成され得る。プロセッサ50は、モータ駆動制御信号をモータ・コントローラ22に出力するように適合され得る。モータ・コントローラ22は、ギアを備え、モータの計算された駆動方向を確立するためのモータ駆動制御信号を受信するように適合され得る。ホイスト・システムは、重量センサ40によって自由に吊り下げることができる。
【0099】
図2は、視覚的表示80を備えたケーブル14の1つの実施例を示している。ケーブル14は、患者と相互作用するように適合され得るケーブル端16を有し、ここでケーブル端16には、
図1に示したように、患者を保持するように又は患者が着用するように適合されたスリング、ストラップ、又は同等のユニット、にさらに取り付けるためのバックルが取り付けられている。
【0100】
視覚的表示は、ケーブル14の解し又は巻き取りの実際の長さを測定するために使用でき、エクササイズの患者に指示するために、及びエクササイズのより良い繰り返しを達成するために使用でき、例えば脚の屈伸で、10cm間隔、表示AからCなど、のケーブルの変位を達成させるために、エクササイズを説明することができる。ここでは、視覚的表示80が数字と線で示され、センチメートル単位で変位を示すことができるが、他の表示を使用することもできる。
【0101】
図3は、歩行トレーナが動的モードで動作しているときにケーブル14に加えられる力を示している。
図3Aは、2つの反作用力がケーブル14にどのように加えられるかを示している。対抗重量202は、電気モータによってケーブル14に付加され、実適用重量208は、患者によってケーブル14に付加される。重量センサ40は、患者によってケーブル14に付加された実適用重量208を測定する。
【0102】
ケーブル14に加えられる反作用力202、208の2つの値、及びそれらがどのように平衡化するかに応じて、歩行トレーナに含まれる電気モータの駆動方向210が決定される。反作用力のバランスが取れている場合は、駆動速度をゼロに設定し得る。
【0103】
図3Bは、患者によってケーブル14に付加された実適用重量208が、電気モータによってケーブル14に付加された対抗重量202よりも低い場合を示している。この場合、歩行トレーナに含まれる電気モータの駆動方向210は、患者によってケーブル14に付加された実適用重量208が設定された対抗重量202と等しくなるまでケーブルの長さを減らすように設定される。これは、患者が扁平足の位置からつま先の位置に変更したり、ステップを登ったり、同等のエクササイズをしたりして、背中や脚などの曲げ位置から伸ばされた位置に移動する場合であり得る。
【0104】
図3Cは、患者重量204がどのように提供され得るかを示し、患者によって付加されるトレーニング負荷206は、患者によってケーブル14に付加された実適用重量208をもたらす。
【0105】
図4は、歩行トレーナを使用して神経筋機能をトレーニングするための方法100の2つの実施例を示している。
【0106】
実線で示されている処置を含む1つの実施例が示されている。本方法は、電気モータによってケーブルに付加される対抗重量202を決定する処置102と、継続的に実行される、患者によるケーブルへの実適用重量208を重量センサで測定する処置106、実適用重量208を決定された対抗重量202と比較する処置108、及びモータ駆動制御信号32を与えることによって駆動方向210をモータ・コントローラに指示する処置110と、を有する。駆動方向210は、実適用重量208を決定された対抗重量202と比較した結果に基づく。これらの継続的に実行される処置は、電気モータによってケーブルに付加され決定された対抗重量202と実適用重量208が釣り合うまで、但し対抗重量202が一定値に維持されるように行われ得る。
【0107】
図4に示されている他の実施例は、実線で示されて上記で説明されている処置に加えて、点線で示されているさらなる処置を含む。この実施例は、患者重量204を提供するさらなる処置104と、患者によって付加されるトレーニング負荷206を決定する処置102とを含み、ここでトレーニング負荷206は、提供された患者重量204と決定された対抗重量202との間の差によって決定される。
【0108】
図5は、ブレーキ配置250を備えた歩行トレーナを示している。調整可能なブレーキ力は、ブレーキ配置250によって設定できる。
【0109】
ブレーキ配置250は、天井レール72内のホイスト・システム10の位置を固定することを可能にする。これは、最大ブレーキ力が設定されている場合である。
【0110】
ブレーキ配置250はまた、患者が天井レール72内でホイスト・システム10を動かすことができるレベルにブレーキ力を設定することを可能にし、システムは、ブレーキ力の形で抵抗を提供する。
【0111】
これにより、患者による幅広い動きのセットを含む、より複雑なトレーニング・エクササイズを実行できる。
【0112】
歩行トレーナは、互いに平行に取り付けられた第1の天井レール73及び第2の天井レール74と、第1及び第2の天井レールを接続し、第1及び第2の天井ルールにスライド式に取り付けられた第3の天井レール75とを備える。ホイスト・システムは、第3の天井レール75にスライド式に取り付けられている。
【0113】
天井レールにより、ホイスト・システムを天井と平行な平面内で自由に動かすことができる。これにより、特に上述のモータ及び/又はブレーキ配置と関連して、より幅広いエクササイズのセットを患者と一緒に行うことができる。
【0114】
図6は、重量センサ4
0及び固定サスペンション60を備える歩行トレーナの実施例を示している。固定サスペンション60は、力平衡手段62を備える。重量センサ4
0及び固定サスペンション60は、歩行トレーナの組込高さ寸法が低減するように、ホイスト・システムの側面に取り付けて配置されている。
【0115】
固定サスペンションは、ホイスト・システムを吊り下げ保持する。固定サスペンションは、レール・マウントとホイスト・システムとの貫通穴と、ペグと、を備える。ペグは貫通穴に取り付けられている。
【0116】
ホイスト・システムの片側に、重量センサが取り付けられている。ホイスト・システムのもう一方の側には、固定サスペンションがある。固定サスペンションは、力平衡手段を有し、固定サスペンション及び重量センサによって、重量センサで測定された重量から計算され得る総重量が得られる。力平衡手段は、ホイスト・システムの重量が増加したときにホイスト・システムがその周りを回転できるペグを備える。
【符号の説明】
【0117】
1 歩行トレーナ
10 ホイスト・システム
12 ケーブル・ドラム
14 ケーブル
16 ケーブル端
20 電気モータ
22 モータ・コントローラ
30 コントロール・ユニット
32 モータ駆動制御信号
40 重量センサ
42 重量センサ信号
50 プロセッサ
60 固定サスペンション
62 力平衡手段
70 レール・マウント
72 天井レール
73 第1の天井レール
74 第2の天井レール
75 第3の天井レール
92 グラフィック・ユーザ・インタフェース
94 コンピュータ・プログラム製品
96 コンピュータ可読媒体
100 方法
102 決定すること
104 提供すること
106 測定
108 比較
110 指示する
112 計算
202 対抗重量
204 患者重量
206 トレーニング負荷
208 実適用重量
210 駆動方向
250 ブレーキ配置