(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】無溶媒接着剤組成物およびそれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20240527BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20240527BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J5/00
B32B27/00 D
(21)【出願番号】P 2021574772
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2019081413
(87)【国際公開番号】W WO2020199175
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】パイ、チェンイェン
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501249(JP,A)
【文献】国際公開第2018/205221(WO,A1)
【文献】特開平11-106733(JP,A)
【文献】特開2001-316443(JP,A)
【文献】国際公開第2017/166003(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/166005(WO,A1)
【文献】特表2018-521150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無溶媒接着剤組成物であって、
(A)(i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む1つ以上のイソシアネート化合物と、(ii)少なくとも2つのイソシアネート反応性基と式Iによって表される少なくとも1つの側鎖とを有する1つ以上の第1のイソシアネート反応性化合物、および(iii)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有し、式Iによって表される側鎖を有さない1つ以上の第2のイソシアネート反応性化合物との反応から誘導されるプレポリマーを含むイソシアネート成分であって、
-R
2
-O-(R
1-O)
n-R
3 式I
式中、R
1がC
2~C
4アルキレン基を表し、R
2がC
1~C
6アルキレン基であり、R
3がC
1~C
6アルキルであり、nが8~25の整数であり、
前記プレポリマーが、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を含む、イソシアネート成分と
(B)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1つ以上の第3のイソシアネート反応性化合物を含むイソシアネート反応性成分であって、前記第3のイソシアネート反応性化合物が、前記第1のイソシアネート反応性化合物とは異なる、イソシアネート反応性成分と、を含む、無溶媒接着剤組成物。
【請求項2】
少なくとも2つのイソシアネート基を有する前記1つ以上のイソシアネート化合物が、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
4~C
12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6~C
15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7~C
15アラリファティックポリイソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の無溶媒接着剤組成物。
【請求項3】
前記第1のイソシアネート反応性化合物が、式Iによって表される側鎖を有するポリオールである、請求項1に記載の無溶媒接着剤組成物。
【請求項4】
前記第1のイソシアネート反応性化合物が、式IIによって表され、
【化1】
式中、R
1がC
2~C
3アルキレン基を表し、R
2がC
1~C
3アルキレン基であり、R
3がC
1~C
3アルキルであり、nが9~22の整数であり、R
4およびR
5が独立して、C
1~C
4アルキレン基を表し、R
6がC
1~C
6アルキル基を表す、請求項1に記載の無溶媒接着剤組成物。
【請求項5】
前記第1のイソシアネート反応性化合物の含有量が、6重量%~20重量%であり、前記イソシアネート化合物、前記第1のイソシアネート反応性化合物、および前記第2のイソシアネート反応性化合物の組み合わせた重量が、100重量%と見なされる、請求項1に記載の無溶媒接着剤組成物。
【請求項6】
前記第2のイソシアネート反応性化合物および前記第3のイソシアネート反応性化合物が独立して、500~5000g/molの分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000g/molの分子量を有するポリカーボネートポリオール、200~5,000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオール、前記ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとのブレンド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の無溶媒接着剤組成物。
【請求項7】
前記(B)イソシアネート反応性成分が、任意選択で、前記第1のイソシアネート反応性化合物と同一である第4のイソシアネート反応性化合物を含む、請求項1に記載の無溶媒接着剤組成物。
【請求項8】
少なくとも2つの基材と、それらの間に挟まれた接着剤層とを備えるラミネート製品であって、前記接着剤層が、請求項1~7のいずれかに記載の無溶媒接着剤組成物の前記(A)イソシアネート成分と前記(B)イソシアネート反応性成分との間の反応によって形成される、ラミネート製品。
【請求項9】
請求項8に記載のラミネート製品を調製するための方法であって、
請求項1~7のいずれかに記載の無溶媒接着剤組成物を提供するステップと、
前記無溶媒接着剤組成物を第1の基材の表面上に適用して、接着剤層を形成するステップと、
第2の基材を前記第1の基材の反対側の前記接着剤層の表面上に適用して、ラミネートを形成するステップと、
ラミネート全体を硬化させるステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無溶媒接着剤組成物およびそれを調製するための方法、無溶媒接着剤組成物から誘導された接着剤層を備えるラミネート製品およびそれを調製するための方法に関する。該無溶媒接着剤組成物で調製された接着剤層は、改善された結合強度、熱密封強度、接着剤COF特性、および光学的外観を示す。
【背景技術】
【0002】
接着剤組成物は、広く様々な用途に有用である。例えば、それらは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、またはセロファンなどの基材を結合して、複合フィルム、すなわち、ラミネートを形成するために使用される。様々なラミネート最終使用用途における接着剤の使用は一般に知られている。例えば、接着剤は、パッケージ産業において、特に食品パッケージのために商業的に使用されるフィルム/フィルムおよびフィルム/ホイルラミネートの製造に使用され得る。ラミネート用途で使用される接着剤は、「ラミネート接着剤」として知られており、一般に、溶媒ベース、水ベース、および無溶媒の3つのカテゴリーに分類され得る。接着剤の性能は、接着剤のカテゴリーおよび接着剤が適用される用途に基づいて変化し得る。
【0003】
無溶媒ラミネート接着剤は、最大100%の固形分、すなわち、有機溶媒または水性担体を含まないものを含み得る。適用時に有機溶媒または水を接着剤から除去する必要がないため、これらの接着剤は、高いラインスピードで適用させることができ、迅速な接着剤適用を必要とする用途において好ましい。溶媒ベースおよび水型のラミネート接着剤は、適用時に溶媒または水担体が効果的に乾燥し、除去され得る速度によって限定される。環境、健康、および安全の理由から、積層接着剤は、好ましくは水性または無溶剤である。様々な種類の無溶媒ラミネート接着剤が報告されており、2成分ポリウレタン系ラミネート接着剤について多くの研究が行われている。典型的には、2成分ポリウレタン系ラミネート接着剤は、イソシアネート含有プレポリマーを含む第1の成分と、1つ以上のポリオールを含む第2の成分とを含む。第1の成分は、イソシアネートモノマーと、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールなどのイソシアネート反応性化合物との反応によって得られる。第2の成分は、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールなどのイソシアネート反応性化合物である。各成分は、任意選択で、1つ以上の添加剤を含み得る。2つの成分は、所定の比率で組み合わされ、フィルム/ホイル基材上に塗布され、次いで別のフィルム/ホイル基材板にラミネートされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、上記の2成分無溶媒ポリウレタン系ラミネート接着剤は、従来の溶媒型接着剤と比較した場合、ラミネートが処理され得る前の高い初期粘度、弱い初期結合、および遅い結合発達などのいくつかの欠点を示す。さらに、これらの接着剤は、特に酸性条件下では、比較的に耐薬品性が劣る傾向がある。場合によっては、結合強度を改善するためにシラン接着促進剤を接着剤組成物に組み込む。しかしながら、シラン接着促進剤は酸に耐えることができず、接着剤組成物の結合強度は、酸処理後に大幅に損なわれる。さらに、シランは水分に敏感であるため、シラン接着促進剤を組み込んでいるラミネートは、乾燥保管環境が必要である。
【0005】
上の理由から、減少した初期粘度、改善された結合強度、耐薬品性、および熱密封強度を有する2成分無溶媒ポリウレタン系ラミネート接着剤組成物、ならびにそれらを作製する方法が望ましい。
【0006】
持続的な調査後、驚くべきことに、上の標的のうちの1つ以上を達成することができる無溶媒ポリウレタン接着剤組成物が見出された。
【0007】
本開示は、独特の無溶媒ポリウレタン接着剤組成物およびそれを使用することによって調製されたラミネート製品を提供する。
【0008】
本開示の第1の態様において、本開示は、
(A)(i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む1つ以上のイソシアネート化合物と、(ii)少なくとも2つのイソシアネート反応性基と式Iによって表される少なくとも1つの側鎖とを有する1つ以上の第1のイソシアネート反応性化合物、および(iii)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有し、式Iによって表される側鎖を有さない1つ以上の第2のイソシアネート反応性化合物との反応から誘導されるプレポリマーを含むイソシアネート成分であって、
-R2
-O-(R1-O)n-R3 式I
式中、R1はC2~C4アルキレン基を表し、R2はC1~C6アルキレン基であり、R3はC1~C6アルキルであり、nは8~25の整数であり、
プレポリマーが、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を含む、イソシアネート成分と
(B)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1つ以上の第3のイソシアネート反応性化合物を含むイソシアネート反応性成分であって、第3のイソシアネート反応性化合物が、第1のイソシアネート反応性化合物とは異なる、イソシアネート反応性成分と、を含む無溶媒接着剤組成物を提供する。(B)イソシアネート反応性成分は、任意選択で、第1のイソシアネート反応性化合物と同一である第4のイソシアネート反応性化合物を含み得る。
【0009】
本開示の第2の態様において、本開示は、少なくとも2つの基材と、それらの間に挟まれた接着剤層と、を備えるラミネート製品を提供し、接着剤層は、本開示の無溶媒接着剤組成物の(A)イソシアネート成分と(B)イソシアネート反応性成分との間の反応によって形成される。
【0010】
本開示の第3の態様において、本開示は、本開示の無溶媒接着剤組成物を提供するステップと、無溶媒接着剤組成物を第1の基材の表面上に適用するステップと、第2の基材を第1の基材上の接着剤層の表面上に適用して、ラミネートを形成するステップと、次いでラミネート全体を硬化させるステップと、を含むラミネート製品を調製するための方法を提供する。
【0011】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0013】
本明細書で開示されるように、「および/または」は、「および、または代替えとして」を意味する。特に記載がない限り、すべての範囲は端点を含む。
【0014】
本開示の実施形態によれば、無溶媒接着剤組成物は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート成分(A)とイソシアネート反応性成分(B)とを含む「2部型」または「2包型」組成物である。該成分(A)のプレポリマーは、接着剤組成物およびそれから調製される接着剤層に望ましい改善された特性を与えるアルキレンオキシド側鎖を含む。好ましい実施形態によれば、イソシアネート成分(A)およびイソシアネート反応性成分(B)は、別々に輸送および保管され、ラミネート製品の製造中に適用されるすぐ前または直前に組み合わされる。
【0015】
イソシアネート成分(A)に含有されるプレポリマーは、(i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む1つ以上のイソシアネート化合物と、(ii)少なくとも2つのイソシアネート反応性基と式Iによって表される少なくとも1つの側鎖とを有する1つ以上の第1のイソシアネート反応性化合物、および(iii)少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有し、式Iによって表される側鎖を有さない1つ以上の第2のイソシアネート反応性化合物との反応によって形成されるウレタンプレポリマーであり、
-R2
-O-(R1-O)n-R3 式I
式中、R1はC2~C4アルキレン基を表し、R2はC1~C6アルキレン基であり、R3はC1~C6アルキルであり、nは8~25の整数であり、プレポリマーは、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を含む。
【0016】
様々な実施形態において、(i)1つ以上のイソシアネート化合物は、「ポリイソシアネート化合物」としても知られており、少なくとも約2.0、好ましくは約2~7、より好ましくは約2~約5、および最も好ましくは約2~約4の平均イソシアネート官能基を有する少なくとも2つのイソシアネート基を含む。好適なポリイソシアネート化合物には、2つ以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂肪族、脂環式およびアラリファティックポリイソシアネートが含まれる。好ましい実施形態において、ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC4~C12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6~C15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC7~C15アラリファティックポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、好適なポリイソシアネート化合物は、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートおよび/もしくは2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、カルボジイミド修飾MDI生成物、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またはそれらの混合物を含む。
【0017】
本開示の実施形態によれば、(i)イソシアネート化合物は、1つ以上の芳香環を含有する「芳香族イソシアネート」である。本開示の代替え的な実施形態によれば、本開示による使用に好適なイソシアネート化合物は、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。本開示による使用に好適な芳香族イソシアネートの例としては、メチレンジフェニルジポリイソシアネート(「MDI」)の異性体、例えば、4,4-MDI、2,4-MDI、および2,2’-MDI、または変性MDI、例えば、カルボジイミド変性MDIもしくはアロファネート変性MDI;トルエン-ジポリイソシアネート(「TDI」)の異性体、例えば、2,4-TDI、2,6-TDI;ナフタレン-ジポリイソシアネート(「NDI」)の異性体、例えば、1,5-NDI;ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。本開示による使用に好適な脂肪族イソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジポリイソシアネート(「HDI」)の異性体、イソホロンジポリイソシアネート(IPDI)の異性体、キシレンジポリイソシアネート(「XDI」)の異性体、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0018】
(i)イソシアネート化合物またはイソシアネートプレポリマーなどのイソシアネート基を有する化合物は、化合物の重量に基づく重量によるイソシアネート基の量であるパラメータ「%NCO」によって特徴付けられ得る。パラメータ%NCOは、ASTM D 2572-97(2010)の方法によって測定され得る。本開示の実施形態によれば、開示されたイソシアネート化合物は、少なくとも3重量%、または少なくとも5重量%、または少なくとも7重量%の%NCOを有する。いくつかの実施形態において、イソシアネート化合物は、30重量%、または25重量%、または22重量%、または20重量%以下の%NCOを有する。
【0019】
本開示の実施形態によれば、(i)1つ以上のイソシアネート化合物は、プレポリマーの調製中に、第1および第2のイソシアネート反応性化合物に対して化学量論的に過剰な量で使用され、その結果、得られるポリマーは、イソシアネート反応性成分(B)とのさらなる反応のための遊離イソシアネート基を含む。本開示の実施形態によれば、(i)イソシアネート化合物の含有量は、30重量%~65重量%であり、イソシアネート化合物、第1のイソシアネート反応性化合物、および第2のイソシアネート反応性化合物の組み合わせた重量、好ましくはイソシアネート成分(A)の総重量が、100重量%と見なされる。本開示の好ましい実施形態によれば、(i)イソシアネート化合物の含有量は、以下のエンドポイント値のうちの任意の2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内にあり得る:27重量%、30重量%、33重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、および70重量%。
【0020】
2つの異なるイソシアネート反応性化合物は、上記のイソシアネート化合物と反応して、ウレタンプレポリマーを生成し、第1のイソシアネート反応性化合物は、ウレタンプレポリマーを、かつ結果として、成分(A)を成分(B)と反応させることによって形成されたポリウレタンに導入されるであろう
ポリ(アルキレンオキシド)部分を含む側鎖を有し、第2のイソシアネート反応性化合物は、
ポリ(アルキレンオキシド)部分を含む該側鎖を有さない。本出願の好ましい実施形態によれば、第1のイソシアネート反応性化合物は、式IIによって表されるポリオールである:
【化1】
式中、R
1はC
2~C
4アルキレン基またはC
2~C
3アルキレン基を表し、R
2は、C
1~C
6アルキレン基、C
1~C
5アルキレン基、C
1~C
4アルキレン基、C
1~C
3アルキレン基、またはC
1~C
2アルキレン基であり、R
3は、C
1~C
6アルキル、C
1~C
5アルキル、C
1~C
4アルキル、C
1~C
3アルキル、またはC
1~C
2アルキルであり、nは、8~25、9~22、10~20、12~18、または14~16の整数であり、R
4およびR
5は独立して、C
1~C
6アルキレン基、C
1~C
5アルキレン基、C
1~C
4アルキレン基、C
1~C
3アルキレン基、またはC
1~C
2アルキレン基を表し、R
6は、C
1~C
6アルキル、C
1~C
5アルキル、C
1~C
4アルキル、C
1~C
3アルキル、またはC
1~C
2アルキルを表す。本開示の好ましい実施形態によれば、R
1はエチレン基であり、R
2はメチレンであり、R
3、R
4、およびR
5の各々はメチルであり、R
6はエチルである。本開示の実施形態によれば、(ii)第1のイソシアネート反応性化合物の含有量は、2重量%~30重量%であり、イソシアネート化合物、第1のイソシアネート反応性化合物、および第2のイソシアネート反応性化合物の組み合わせた重量、好ましくはイソシアネート成分(A)の総重量が、100重量%と見なされる。本開示の好ましい実施形態によれば、(i)第1のイソシアネート反応性化合物の含有量は、以下のエンドポイント値のうちの任意の2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内にあり得る:1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、6重量%、8重量%、10重量%、12重量%、14重量%、16重量%、18重量%、20重量%、22重量%、24重量%、26重量%、28重量%、30重量%、および32重量%。
【0021】
第1のイソシアネート反応性化合物(ii)を、イソシアネート化合物(i)および第2のイソシアネート反応性化合物(iii)と直接混合して、プレポリマーを形成することができることに留意されたい。あるいは、第1のイソシアネート反応性化合物(ii)を、第2のイソシアネート反応性化合物(iii)と組み合わせ、次いで、イソシアネート化合物(i)と反応させて、プレポリマーを形成することができる。
【0022】
第2のイソシアネート反応性化合物は、ポリ(アルキレンオキシド)部分を含む側鎖を含まないという点で、第1のイソシアネート反応性化合物とは異なる。例えば、第2のイソシアネート反応性化合物がポリエーテルポリオールである場合、それは、必然的にポリ(アルキレンオキシド)部分を含むが、ポリ(アルキレンオキシド)部分は主鎖に含まれ、側鎖に含まれる代わりに、少なくとも2つのヒドロキシル基で終結し、従って、分子構造が第1のイソシアネート反応性化合物とは異なる。
【0023】
本開示の様々な実施形態において、第2のイソシアネート反応性化合物は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、該ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとのブレンド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリオールを含む。さらに、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアラリファティック多価アルコールなどの単量体多官能性アルコールがさらに含まれ得る。好ましくは、ポリオールは、400~5000g/molの分子量を有するポリエステルポリオール、400~5000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態によれば、ポリオールは、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールを排他的に含む。さらに、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2~C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC6~C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC7~C15アラリファティック多価アルコールなどの単量体多官能性アルコールは、補足的なイソシアネート反応性化合物として含まれ得る。
【0024】
本開示の実施形態において、第2のイソシアネート反応性化合物は、2つ以上のポリエーテルポリオールの混合物、2つ以上のポリエステルポリオールの混合物、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと少なくとも1つのポリエステルポリオールとの混合物、またはポリエステルポリオール/ポリエーテルポリオールとモノマーポリオールとの混合物などの2つ以上の異なるポリオールの混合物を含む。
【0025】
好ましい実施形態において、第2のイソシアネート反応性化合物は、500~5000g/mol、好ましくは600~3000g/molの分子量を有するポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールは、典型的には、2~12個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子を有する多官能性アルコールと、2~12個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、またはその無水物/エステルとを反応させることによって得られる。ポリエステルポリオールを調製するための典型的な多官能性アルコールは、好ましくはジオールまたはトリオールであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、またはヘキシレングリコールが含まれる。典型的な多官能性カルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、または複素環式であり得、例えば、ハロゲン原子で置換されてもよく、かつ/または飽和もしくは不飽和であってもよい。好ましくは、多官能性カルボン酸は、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレン-テトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、アルケニルコハク酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、ダイマー脂肪酸からなる群から選択される。好ましくは、一般式HOOC-(CH2)y-COOHによって表されるジカルボン酸が供与され、式中、yは、1~10の整数、好ましくは2~10の偶数である。ポリエステルポリオールは、好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基で終端している。好ましい実施形態において、ポリエステルポリオールは、2~4、好ましくは2~3のヒドロキシル官能基を有する。別の実施形態において、ポリエステルポリオールは、30~200mgKOH/g、好ましくは40~180mgKOH/g、およびより好ましくは50~160mgKOH/gのOH数を有する。ポリエステルポリオールには様々な分子量が企図される。例えば、ポリエステルポリオールは、約500g/mol~約5,000g/mol、好ましくは約600g/mol~約3,000g/mol、より好ましくは約700g/mol~約2,000g/molの数平均分子量を有し得る。
【0026】
あるいは、ポリエステルポリオールは、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマー、好ましくは好適な二官能性開始剤分子を有するラクトンの末端ヒドロキシル官能性付加生成物である、ラクトン系ポリエステルジオールを含む。好ましいラクトンは、一般式HO-(CH2)z-COOHによって表される化合物に由来し、式中、zは、1~20の整数であり、メチレン単位の1個の水素原子はまた、C1~C4アルキルラジカルで置き換えられてもよい。例示的なラクトン系ポリエステルジオールは、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、メチル-ε-カプロラクトンまたはそれらの混合物を含む。
【0027】
別の好ましい実施形態において、第2のイソシアネート反応性化合物は、1.8~3.0の官能基(ポリオール分子中の、平均数のイソシアネート反応性基、特に、ヒドロキシル基)および400~5,000g/mol、好ましくは500~4,000g/mol、より好ましくは600~3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有するポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、一般に、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のアルキレンオキシドの重合によって調製される。
【0028】
一般に、プレポリマーの調製に使用される第2のイソシアネート反応性化合物の含有量は、10重量%~30重量%の範囲であり、イソシアネート化合物、第1のイソシアネート反応性化合物、および第2のイソシアネート反応性化合物の組み合わせた重量、好ましくはイソシアネート成分(A)の総重量が、100重量%と見なされる。本開示の好ましい実施形態によれば、(ii)第2のイソシアネート反応性化合物の含有量は、以下のエンドポイント値のうちの任意の2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内にあり得る:8重量%、10重量%、12重量%、15重量%、18重量%、20重量%、22重量%、25重量%、28重量%、30重量%、および32重量%。
【0029】
イソシアネート反応性成分(B)は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する1つ以上の第3のイソシアネート反応性化合物を含み、第3のイソシアネート反応性化合物は、第1のイソシアネート反応性化合物とは異なり、ポリ(アルキレンオキシド)部分を含む側鎖を含まない。例えば、第3のイソシアネート反応性化合物がポリエーテルポリオールである場合、それは、必然的にポリ(アルキレンオキシド)部分を含むが、ポリ(アルキレンオキシド)部分は主鎖に含まれ、側鎖に含まれる代わりに、少なくとも2つのヒドロキシル基で終結する。第3のイソシアネート反応性化合物は、第2のイソシアネート反応性化合物について、上記のイソシアネート反応性化合物のうちの1つ以上を含み得る。
【0030】
本開示の好ましい実施形態によれば、イソシアネート反応性成分(B)は、1つ以上のポリエーテルポリオールと1つ以上のポリエステルポリオールとのブレンドであり、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールは独立して、第2のイソシアネート反応性化合物に使用するためのそれらから選択される。本開示の好ましい実施形態によれば、1つ以上の第3のイソシアネート反応性化合物は、50~80重量%のポリエステルポリオールと20~40重量%のポリエーテルポリオールとのブレンドを含み、イソシアネート反応性成分の総重量(B)が、100重量%と見なされる。
【0031】
本開示の代替え的な実施形態によれば、イソシアネート反応性成分(B)は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基およびポリ(アルキレンオキシド)部分を含む側鎖を有する1つ以上の第4のイソシアネート反応性化合物をさらに含み得、上記の第1のイソシアネート反応性化合物のための化合物のうちの1つ以上を含み得る。第4のイソシアネート反応性化合物の量は、提示される場合、0.01重量%~20重量%であり得、イソシアネート反応性成分(B)の総重量は、100重量%と見なされる。本開示の好ましい実施形態によれば、第4のイソシアネート反応性化合物の含有量は、以下のエンドポイント値のうちの任意の2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内にあり得る:イソシアネート反応性成分(B)の総重量に基づいて、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1重量%、5重量%、8重量%、10重量%、12重量%、15重量%、17重量%、20重量%、および22重量%。
【0032】
本開示の様々な実施形態によれば、イソシアネート成分(A)とイオシアネート反応性成分(B)との間の重量比は、100:30~100:100である。好ましい実施形態によれば、該重量比は、以下の比のうちの任意の2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内であり得る:100:30、100:40、100:50、100:60、100:70、100:80、100:90、および100:100。
【0033】
上記のように、イソシアネート成分(A)は、主に、イソシアネート化合物(i)と第1/第2のイソシアネート反応性化合物との間の重合反応によって調製されたウレタンプレポリマーを含む。イソシアネート成分(A)およびイソシアネート反応性成分(B)は別々に輸送および保管され、ラミネートの製造中に適用されるすぐ前または直前に組み合わされる。いくつかの実施形態において、イソシアネート成分およびポリオール成分の両方は各々、周囲温度で液体である。接着剤組成物を使用することが所望されるとき、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性(好ましくは、ポリオール)成分を互いに接触させて、一緒に混合する。混合されると、イソシアネート成分(A)(および好ましくはウレタンプレポリマー)の遊離イソシアネート基とイソシアネート反応性成分(B)のイソシアネート基(特に、ヒドロキシル基)との間で重合(硬化)反応が起こって、2つ以上の基材の間の接着剤層において接着剤の機能を示すポリウレタンが形成される。2つの成分を接触させることによって形成される接着剤組成物は、「硬化性混合物」と称され得る。
【0034】
開示されるイソシアネート反応性(ポリオール)化合物は、任意選択で、バイオ系ポリオール、例えば、ヒマシ油、または他のバイオ系ポリオールをさらに含み得る。開示されるバイオ系ポリオールは、少なくとも1.5、かつ4を超えない(すなわち、1.5≦f≦4)ヒドロキシル基官能価を有する。任意選択で、イソシアネート反応性(ポリオール)成分(B)中に含まれる場合、成分(B)中のバイオ系ポリオールの量は、ポリオール成分の重量に基づく重量で、少なくとも0.01重量%、または少なくとも0.1重量%、または少なくとも3重量%である。成分(B)中のバイオ系ポリオールの量は、成分(B)の重量に基づく重量で、15重量%、または10重量%、または5重量%以下である。バイオ系ポリオールが、任意選択で、イソシアネート成分(A)中のプレポリマーの調製において使用されるイソシアネート反応性(ポリオール)化合物中に含まれる場合、イソシアネート成分(A)中のバイオ系ポリオールの量は、イソシアネート成分(A)の重量に基づく重量で、少なくとも0.01重量%、または少なくとも0.1重量%、または少なくとも3重量%である。イソシアネート成分中のバイオ系ポリオールの量は、イソシアネート成分(A)の重量に基づく重量で、15重量%、または10重量%、または5重量%以下である。
【0035】
イソシアネート成分(A)中のプレポリマーを調製するための上記の重合反応および/または(A)のプレポリマーとイソシアネート反応性成分(B)との間の重合を促進または加速するために、1つ以上の触媒を任意選択で使用することができる。
【0036】
触媒は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間の反応を促進することができる任意の物質を含み得る。理論に束縛されないが、触媒は、例えば、グリシン塩;第三級アミン;トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの第三級ホスフィン;モルホリン誘導体;ピペラジン誘導体;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどとBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNiなどの金属とから得られるものなどの様々な金属のキレート;塩化第二鉄および塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCuなどの様々な金属との塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、二酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジエチルヘキサノエートスズ(II)、およびジラウリン酸スズ(II)などの有機スズ化合物、ならびに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレートおよびジオクチルスズジアセテート;有機カルボン酸のビスマス塩、例えばオクタン酸ビスマス;3価および5価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル;またはそれらの混合物を含み得る。
【0037】
一般に、本明細書で使用される触媒の含有量は、ゼロより大きく、すべての反応物質の総重量に基づいて、最大1.0重量%、好ましくは最大0.5重量%、より好ましくは最大0.05重量%である。
【0038】
本開示の接着剤組成物は、任意選択で、特定の目的のための任意の追加の補助剤および/または添加剤を含み得る。
【0039】
本開示の一実施形態において、補助剤および/または添加剤のうちの1つ以上は、他の助触媒、界面活性剤、強化剤、流動調整剤、接着促進剤、希釈剤、安定剤、可塑剤、触媒、失活剤、分散剤、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0040】
該接着剤組成物を使用してラミネートを形成する方法も開示される。いくつかの実施形態では、接着剤組成物、例えば上記で論述した接着剤組成物は液体状態にある。いくつかの実施形態では、組成物は、25℃で液体である。本組成物が25℃で固体であるとしても、必要に応じて本組成物を加熱して、液体状態に変換することが許容される。本組成物の層は、基材またはフィルムの表面に適用される。「基材/フィルム」は、1つの寸法が0.5mm以下であり、他の2つの寸法が両方とも1cm以上である任意の構造である。ポリマーフィルムは、ポリマーまたはポリマーの混合物から作製されるフィルムである。ポリマーフィルムの組成物は、典型的には、80重量パーセント以上の1つ以上のポリマーである。いくつかの実施形態では、フィルムに塗布される硬化性混合物の層の厚さは1~5μmである。
【0041】
いくつかの実施形態において、別の基材/フィルムの表面を硬化性混合物の層と接触させて、未硬化ラミネートを形成する。接着剤組成物は、従来の無溶媒機、例えば、NordmeccanicaのLabo-Combi 400機によって適用され得る。次いで、硬化性混合物は、硬化させるか、または硬化することが可能になる。未硬化ラミネートは、例えば加熱されていてもされていなくてもよいニップローラに通すことによって、加圧することができる。未硬化ラミネートを加熱して硬化反応を促進することができる。好適な基材/フィルムとしては、紙、織布および不織布、金属ホイル、ポリマー、ならびに金属被覆ポリマーが挙げられる。フィルムは、任意選択で、その上に画像がインクで印刷される表面を有し、そのインクは、接着剤組成物と接触し得る。いくつかの実施形態において、基材/フィルムは、ポリマーフィルムおよび金属被覆ポリマーフィルムであり、より好ましくはポリマーフィルムである。
【0042】
本開示の方法は、連続的またはバッチ式で実施され得る。連続プロセスの例は、ロール対ロールプロセスであり、第1の基材/フィルムのロールが巻き戻され、イソシアネート成分(A)およびイソシアネート反応性成分(B)が混合されて、第1の基材/フィルムの表面上に適用される本出願の接着剤組成物(硬化性混合物)を形成する2つ以上のワークステーションに送られる。本出願の接着剤組成物(硬化性混合物)は、望ましいフィルム厚さまたは組成プロファイルを達成するために複数回適用され得る。第2の基材/フィルムは、ローラーの助けを借りて、または助けを借りずに、未硬化の接着剤層上に適用され得る。加熱または照射装置は、被覆接着剤層の硬化を促進するために配設され得、ローラーはまた、ラミネート内の接着強度を高めるために使用され得る。第2の基材/フィルムは、第1の基材/フィルムと同一でも異なっていてもよく、またロールから巻き戻され得る。巻き戻された基材/フィルムは、一般に、10~20,000メートル、10~15,000メートル、および好ましくは20~10,000メートルの長さであり、典型的には、0.1~60m/分、好ましくは3~45m/分、より好ましくは5~15m/分の範囲の速度で送られる。連続的な技術の端部において、硬化ラミネート製品は、スピンドル上に巻かれる。
【0043】
本明細書に開示されるラミネート製品は、パッケージ材料などの任意の所望の目的に好適な形状を有するように、切断またはそうでなければ成形され得る。
【実施例】
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例においてここに記載され、すべての部およびパーセンテージは、他に特定されない限り、重量による。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に記載された配合物に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明である。
【0045】
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に示す。
【表1】
【0046】
実施例(実施例)のイソシアネート成分(ウレタンプレポリマー)1~4および比較例(CEx.)1~2を、イソシアネート成分の総重量に基づく重量パーセントで表2に列挙された原材料の相対含有量を使用して、下記の手順に従って合成する。
【0047】
イソシアネート成分(ウレタンプレポリマー)を、典型的なポリウレタンプレポリマー調製プロセスに従って1Lのガラス反応器中で合成する。特に、表2に示されるイソシアネートモノマーを反応器に導入し、窒素保護しながら60℃に維持する。次いで、表2に示されるポリオールを反応器に導入する。ゆっくりと温度を80℃に上げ、2~3時間維持する。生成されたウレタンプレポリマー、すなわち、イソシアネート成分を、さらなる適用のために窒素保護した密封容器に入れる。
【表2】
【0048】
実施例(実施例)で調製されたイソシアネート成分1~4および比較例(CEx.)1~2を、MF C99(ポリオール成分B)と混合して、接着剤を形成し、NCO/OH指数を一定レベル(化学量論的に同等の量)に維持した。
【0049】
ラミネートを、以下の加工条件下でNordmeccanicaのLabo-Combi 400機において、これらの接着剤で調製した:ライン速度を120mpmおよび150mpmに設定し、転写ローラーの温度は45℃であり、ニップ温度を60℃に設定し、被覆重量を1.8gsmに設定した。異なる基材を選択して、PET/PE25、PET/PE60、およびPET/MPETを試験ラミネート構造として形成し、これらを以下の技術で特徴付けた。
【0050】
試験方法
結合強度(BS)
接着剤組成物、PET基材、およびPE60基材で調製したラミネートを、Instron Corporationから入手可能な5940 Series Single Column Table Top Systemを使用する250mm/分のクロスヘッド速度下でのT-剥離試験のために、15mm幅のストリップに切断した。試験中、各ストリップのテールを指で僅かに引っ張って、テールが剥離方向に対して90度のままであることを確認した。各サンプルの3つのストリップを試験し、平均値を計算した。結果をN/15mmの単位で表した。値が高いほど、より良好な結合強度を表す。
【0051】
熱密封強度(HS)
接着剤組成物、PET基材、およびPE60基材で調製したラミネートを、Brugger Companyから入手可能なHSG-C熱密封機で、140℃の密封温度および300Nの圧力で1秒間熱密封し、次いで冷却し、Instron Corporationから入手可能な5940 Series Single Column Table Top Systemを使用する250mm/分のクロスヘッド速度下での熱密封強度試験のために、15mm幅のストリップに切断した。各サンプルの3つのストリップを試験し、平均値を計算した。結果をN/15mmの単位で表した。値が高いほど、より良好な熱密封強度を表す。
【0052】
COF試験
新たにラミネートされたフィルム(接着剤組成物、PET基材、およびPE25基材で調製)を45℃のオーブンで24時間加熱し、次いで取り出して冷却し、64mm×64mmおよび10cm×10cmのストリップに切断した。64mm×64mmのストリップをスライダーに貼り付け、10cm×10cmのストリップを機械のプラットフォームに貼り付け、2つのストリップのPE側が向かい合っていることを確認して、摩擦値を提供した。COF機を試験前に較正した。各サンプルについて3つのストリップを試験し、平均値を計算した。
【0053】
光学的外観評価
PETインク/MPETラミネートの光学的外観を視覚的に評価した。印刷されたPETフィルム上を接着剤で被覆し、MPETフィルムを接着剤層上に適用し、次いでラミネートを40oCで一晩硬化した。ラミネートの光学的外観を視覚的にチェックし、以下の基準に従って評価した。
良好:オレンジ色の剥離、泡、白い斑点、およびしわが観察されない。
不良:多くの欠陥、例えば、泡、白い斑点、しわ、オレンジ色の剥離が視覚的に観察できる。
【0054】
【0055】
表3から、Ymer N120を含む本発明の実施例は、同等の機械的強度(BSおよびHS)を保持しながら、Ymer N120を有さない比較例を上回る粘度の減少、より良好なCOF性能、改善された光学的外観を示すことが分かる。