(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】可視光及びレゾルシノールを使用して皮膚疾患を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20240527BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20240527BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240527BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240527BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K8/33
A61K41/00
A61P17/00
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021576981
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2019060858
(87)【国際公開番号】W WO2020260938
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファシフ・アリ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ケリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ミクサ・ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ・クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】サウスオール・マイケル・ディー
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/001485(WO,A1)
【文献】特表2014-532672(JP,A)
【文献】特開2018-127449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 17/00-17/18
A61K 41/00
A61P 17/00
A61Q 19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キューティバクテリウムアクネスにより影響を受けた皮膚に、少なくとも1種類の置換レゾルシノールと青色光との組み合わせを投与するためのキットであって、(a)0.00
2重量パーセント以上かつ0.025重量パーセント未満の、前記少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む局所用組成物と、(b)400nm~460nmのピーク波長を有する青色光を送達する光送達装置と、を含む、キット。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の置換レゾルシノールは、4-ヘキシルレゾルシノールである、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
送達される前記光の強度は1~20mW/cm
2である、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
送達される前記光の強度は1~2mW/cm
2である、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記光送達装置はまた超音波エネルギーを送達する、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記局所用組成物はフィルムに含有されている、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記フィルムは、溶解性フィルムである、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記フィルムは、前記フィルムに水を適用すると容易に除去可能な多層フィルムである、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記フィルムは、グリセリン誘導体を含む下部皮膚接触層を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
皮膚を処置する方法であって、キューティバクテリウムアクネスによる影響を受けた前記皮膚に、0.002重量%以上かつ0.025重量%未満の、少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む局所用組成物を局所的に適用することと、光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【請求項11】
前記皮膚は、座瘡又は酒さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記皮膚は、座瘡を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種類の置換レゾルシノールは、4-ヘキシルレゾルシノールである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記光の強度は1~20mW/cm
2である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記光の強度は1~2mW/cm
2である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記皮膚を超音波エネルギーに曝露することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記光送達装置は、光及び超音波エネルギーを送達する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
キューティバクテリウムアクネスを死滅させる方法であって、0.002重量%以上かつ0.025重量%未満の、少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む組成物と前記キューティバクテリウムアクネスを接触させることと、光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に前記キューティバクテリウムアクネスを曝露することと、を含む、方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組成物及び装置など座瘡及び他の皮膚疾患を治療するための様々な治療法が市販されている。
【0002】
例えば、ヘキシルレゾルシノールなどの置換レゾルシノールは、局所的に塗布されたときに皮膚に利益をもたらすことが知られている。Johnson&Johnson Consumer Inc.から市販されているNEUTROGENAのTriple Age Repair Moisturizer Broad Spectrum SPF 25は、ヘキシルレゾルシノールを含有し、老化防止効果のために販売されている。
【0003】
米国特許第8,318,217号は、4-ヘキシルレゾルシノールなどの置換レゾルシノールであってもよいNFkB阻害剤と、IC50の低い抗炎症化合物とのブレンドを含む組成物に関する。この特許は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、好ましくは約0.1重量%~約5重量%、より好ましくは約0.2重量%~約2重量%、更により好ましくは約1重量%などの安全かつ有効な量の置換レゾルシノールを組成物中で使用できることについて開示している。レゾルシノールの使用は、例えば、米国特許第4,959,393号及び同第6,863,897号、並びに米国特許出願公開第2008/0305059号にも開示されている。
【0004】
光線療法はまた、皮膚疾患の治療に有効であることが知られている。具体的には、約400nm~約460nmの波長を有する青色光は、抗菌効果を有することが知られている。青色光の抗菌作用のメカニズムは、微生物ポルフィリンの励起によって生じ、細菌内活性酵素種の蓄積及びその後の細胞死をもたらすものであると考えられる。
【0005】
米国特許第8,771,328号は、顔面用マスクの形態であり得る、簡便な装置内に配置された、LEDなどの放射ランプ用の治療ランププラットフォームを含む、改良された光線療法システムを開示する。このシステムは、異なる波長の放射エネルギー、例えば、青色、赤色、又は赤外線のうちの少なくとも2つを放射する。
【0006】
Johnson&Johnson Consumer Inc.から市販されているNEUTROGENA Light Therapy Acne Maskは、皮膚表面の真下に浸透して、座瘡を誘発する細菌を死滅させる青色光及び皮膚のより深くまで浸透して炎症を軽減する赤色光を放射する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、改良された治療法、例えば、座瘡治療法は、それでもなお必要とされる。具体的には、局所的手段によって青色光の抗菌活性を増強する、すなわち、光線治療を、光線療法の効果を高め得る局所剤と組み合わせることが望ましいであろう。そこで、出願人らは、特定の条件下で、低濃度の置換レゾルシノールが青色光の抗菌活性を高めることを見出した。したがって、予想外に優れた抗菌性、特に抗キューティバクテリウムアクネス(C.アクネス;以前はプロピオニバクテリウムアクネス)の恩恵は、治療を必要とする皮膚に1種類以上の置換レゾルシノール及び青色光の組み合わせを投与することにより得られる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、キューティバクテリウムアクネスによる影響を受けた疾患を有する皮膚に、約0.025重量%未満の少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む局所用組成物を局所的に適用することと、光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に当該皮膚を曝露することと、を含む、皮膚を治療する方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、(a)約0.025重量%未満の少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む局所用組成物と、(b)400nm~460nmのピーク波長を有する青色光を送達する光送達装置と、を含む、キットを提供する。
【0010】
本発明は、キューティバクテリウムアクネスを死滅させる方法であって、約0.025重量%未満の少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む組成物とキューティバクテリウムアクネスを接触させることと、光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に当該キューティバクテリウムアクネスを曝露することと、を含む、方法を更に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
本明細書で使用する場合、「局所的に適用する」とは、例えば、手、又はワイプ、ローラー、若しくはスプレーなどのアプリケータを使用して、外皮又は頭皮に直接塗ったり、なじませたりすることを意味する。
【0013】
本発明で使用するとき、「化粧用」は、具体的には組織又は皮膚の外観に関する場合、身体的に美しい外観を保つ、回復させる、与える、装う、若しくは高める、又は美しさ若しくは若々しさが増すように見える美化物質、又は製剤を指す。
【0014】
本発明で使用するとき、「化粧用としての有効量」とは、1つ以上の状態を処置するのに十分であるが、重度の副作用を回避するのに十分に低度の、生理学的に活性な化合物又は組成物の量を意味する。化合物又は組成物の化粧用としての有効量は、処置する特定の状態、最終使用者の年齢及び健康状態、処置/防止する状態の重症度、処置の期間、他の処置の性質、使用する特定の化合物又は製品/組成物、利用する特定の化粧用として許容可能なキャリア、及び同様の要因によって変化する。
【0015】
本発明で使用するとき、「化粧用として許容可能な」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、刺激、アレルギー性反応などなく、組織(例えば、皮膚)と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0016】
本発明で使用するとき、「化粧用として許容可能な活性剤」は、皮膚への、化粧用又は治療的な効果を有する化合物(合成若しくは天然)である。
【0017】
本発明で使用するとき、「処置又は処置する」は、状態又は障害の存在又は徴候の緩和、低減、予防、改善又は排除を指す。
【0018】
本発明は、キューティバクテリウムアクネスによる影響を受けた皮膚疾患の治療に好適である。本明細書で使用する場合、キューティバクテリウムアクネスによる影響を受けた皮膚疾患とは、キューティバクテリウムアクネスが直接的に又は間接的に寄与する皮膚疾患を意味する。
【0019】
例えば、本発明は、座瘡の治療に好適である。本明細書で使用する場合、「座瘡」とは、皮脂腺及び毛包でのホルモン及び他の物質の作用から生じ、典型的には、詰まった毛穴及び皮膚上の炎症性又は非炎症性病変の形成をもたらす不調を指す。特に、これは、染み、病変、又は吹き出物、発芽前吹き出物(pre-emergent pimples)、ブラックヘッド、及び/又はホワイトヘッドに関する。本明細書で使用する場合、「発芽前吹き出物」とは、皮膚の表面上の裸眼で視覚的に明白ではない(例えば、病変として)炎症性小胞である。
【0020】
本発明はまた、酒さの治療にも適している。本明細書で使用する場合、「酒さ」とは、丘疹、膿疱、又は小結節を伴う、又はこれらを伴わない持続性紅斑を有する皮膚を意味する。
【0021】
本発明はまた、脂漏性皮膚炎の治療に好適である。本明細書で使用する場合、脂漏性皮膚炎とは、頭皮、顔面、及び胴、例えば、頭皮のふけに影響を及ぼすうろこ状、フレーク状、敏感肌、又は赤色の皮膚を意味する。
【0022】
本発明は、キューティバクテリウムアクネスによる影響を受けた赤い斑、染み、丘疹、小節、小嚢胞、嚢胞の治療に好適である。
【0023】
特に指示がない限り、百分率又は濃度は、重量百分率又は重量濃度(即ち、%(W/W))を指す。特に明記しない限り、全ての範囲は、両端点を包含し、例えば、「4~9」は、両端点の4と9とを含む。
【0024】
置換レゾルシノールを含む局所用組成物
本発明は、少なくとも1つの置換レゾルシノールを含む局所用組成物を用いる。組成物は、1つ又は2以上の置換レゾルシノールを含んでもよい。
【0025】
驚くべきことに、局所用組成物は、非常に少量の置換レゾルシノールを含有する。
【0026】
一実施形態では、組成物は、約0.025重量パーセント未満の置換レゾルシノールを含む。別の実施形態では、組成物は、約0.002~約0.025重量パーセントの置換レゾルシノールを含む。
【0027】
このような低濃度の置換レゾルシノールは、単独で使用される場合、限定された抗菌活性を提供するか、又は抗菌活性を提供しない。しかしながら、本発明によると、青色光への曝露と併せて、これらの低減された濃度の置換レゾルシノールを局所投与すると、優れた抗菌活性がもたらされる。
【0028】
レゾルシノールは、以下の構造を有するジヒドロキシフェノール化合物(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)である:
【0029】
【0030】
本明細書で使用されるレゾルシノールは、「置換レゾルシノール」である。本明細書で使用するとき、「置換レゾルシノール」は、2、4、5、又は6位に少なくとも1つの置換基を含むレゾルシノールを意味する。したがって、レゾルシノールは、少ないと1つ、及び多いと4つの置換基を有し得る。レゾルシノールの1及び3位は、好ましくは、上に示したとおりの-OH基を含むが、一方又は両方の-OH基が、-OR基(式中、Rは、C1~C12アルキル又はアシル基である)によって置き換えられてもよい。
【0031】
特定の好ましい実施形態では、レゾルシノールにおける少なくとも1つの置換基は、2~18個の炭素原子、好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは5~10個の炭素原子、更により好ましくは5~9個の炭素原子、最も好ましくは5~8個の炭素原子を含む。特定の他の実施形態では、少なくとも1つの置換基は、上記の炭素原子数を有するものなどの(直鎖又は分枝鎖)アルキル基を含む。好ましくは、少なくとも1つの置換基は、不飽和及び直鎖状であるアルキル基を含む。
【0032】
特定の実施形態では、レゾルシノールの4位が置換され、特定の実施形態では、4位のみが置換される。別の実施形態では、4位は、アルキル基で置換される。特定の好ましい実施形態では、レゾルシノールは、アルキル基を含む単一の置換基を4位に含む。特定の他の好ましい実施形態では、レゾルシノールは、ベンゼン環に直接結合しているアルキル基からなる単一の置換基を4位に含む。
【0033】
特に好適な置換レゾルシノールとしては、4-ヘキシルレゾルシノール及び4-オクチルレゾルシノール、特に、4-ヘキシルレゾルシノールが挙げられる。4-ヘキシルレゾルシノール及び4-オクチルレゾルシノールの構造を以下に示す:
【0034】
【0035】
4-ヘキシルレゾルシノールは、Sytheon(Lincoln Park,NJ)から「SYNOVEA HR」として市販されている。これは、Alfa Aesar(Tewksbury,MA)からも市販されている。4-オクチルレゾルシノールは、City Chemical LLC(West Haven,Connecticut)から市販されている。
【0036】
組成物は、任意に、当該技術分野で認められた濃度で、従来から皮膚用の組成物に使用されている、多種多様な付加的な油溶性材料及び/又は水溶性材料を含んでもよい。例えば、界面活性剤、真珠光沢剤又は乳白剤、増粘剤、皮膚軟化剤、コンディショナー、保湿剤、キレート化剤、スクラブ剤、及びクレンジング組成物の外観、感触又は香りを向上させる添加剤、例えば、着色剤、芳香剤、保存料、pH調整剤などが含まれていてもよい。
【0037】
組成物は、1つ以上の他の化粧用として許容可能な活性剤を含んでよく、例えば、抗ニキビ剤、てかり制御剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防御剤、酸化防止剤、角質溶解剤、界面活性剤、保湿剤、各種栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、制汗剤、皮膚収斂剤、デオドラント剤、安定剤、皮膚硬化防止剤、及び皮膚を整えるための作用剤を含んでいてよい。
【0038】
他の化粧用活性剤の量は、組成物の約0.001~約20重量%の範囲であってよく、例えば、組成物の約0.005~約10重量%の範囲、例えば、組成物の約0.01~約5重量%の範囲であってもよい。
【0039】
化粧用として許容可能な活性剤は、例えば、サリチル酸、コハク酸、過酸化ベンゾイル、D-パンテノールカロテノイド、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、ラッカーゼなどの酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、アルジレリン、シンエイク及び銅を含有するものなどのペプチド、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチルコエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、アロエベラ、ナツシロギク、オートミール、ディル、ブラックベリー、キリ、ピキア・アノマーラ(Picia anomala)、及びチコリなどの天然抽出物、クルクミノイド、N-アセチルグルコサミンなどの糖アミン、並びにこれらの誘導体及びこれらの混合物から選択されてよい。
【0040】
ビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB群(例えば、ビタミンB3、ビタミンB5、及びビタミンB12)、ビタミンC、ビタミンK、及びビタミンEの異なる形態、例えば、α、β、γ、若しくはδトコフェロール、又はこれらの混合物及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
酸化防止剤の例としては、水溶性酸化防止剤、例えば、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロール、ラクトフェリン、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに好適な酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物、並びにその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、松の樹皮、及びプロポリスが挙げられる。
【0042】
組成物は、化粧用として許容可能な局所用キャリアを更に含んでいてもよい。本キャリアは、組成物の約50重量%~約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%~約99重量%)であってもよい。本発明の一実施形態では、化粧用として許容可能な局所用キャリアは水を含む。
【0043】
組成物は、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、クリーム、ワイプ、パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャルマスク及びスキンマスク、溶解性又は非溶解性フィルム、並びにファンデーションなどのメークアップを含むが、これらに限定されない、多種多様な製品種類に作製されてもよい。これらの製品種類は、溶液、懸濁液、マイクロエマルジョン及びナノエマルジョンなどのエマルジョン、ゲル、固形物、フィルム、並びにリポソームが挙げられるが、これらに限定されない、化粧用として許容可能な多種多様な局所用キャリアを含有してもよい。以下は、このようなキャリアの非限定例である。当業者によれば他のキャリアを配合することもできる。
【0044】
組成物は、溶液として配合されてもよい。溶液は、典型的には、水性又は有機溶媒(例えば、約50%~約99.99%又は約90%~約99%の化粧用として許容可能な水性又は有機溶媒)を含む。好適な有機溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
組成物は、皮膚軟化剤を含む溶液として配合されてもよい。このような組成物は、好ましくは、約2%~約50%の皮膚軟化剤(複数可)を含有する。本明細書で使用するとき、「皮膚軟化剤」とは、皮膚からの経皮水分喪失を防止することなどにより、乾燥状態の防止又は緩和のために使用する材料を指す。皮膚軟化剤の例としては、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、Pepe、Wenninger、McEwen編、pp.2930-36(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Assoc,Washington,D.C.,9th Edition,2002)(以後、「ICI Handbook」)に記載されるものなどが挙げられるが、これに限定されない。特に好適な皮膚軟化剤の例としては、植物油、鉱油、脂肪エステルなどが挙げられる。
【0046】
ローションはそのような溶液から作製され得る。ローションは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水とを含有する。
【0047】
溶液から配合できる別の種類の製品はクリームである。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水と、を含有する。
【0048】
あるいは、組成物は、無水であってもよく、又は、水を含まないが、有機溶媒及び/若しくはシリコーン溶媒、油、脂質及びワックスを含む軟膏であってもよい。軟膏は、動物油又は植物油の単純な塩基又は半固体の炭化水素を含有してもよい。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤(複数可)と、約0.1%~約2%の増粘剤(複数可)と、を含有し得る。増粘剤の例としては、ICI Handbookのpp.2979-84に記載されるものが挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
組成物は、エマルジョンとして配合されてもよい。局所用キャリアがエマルジョンである場合、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の局所用キャリアが乳化剤(複数可)を含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってもよい。乳化剤の例としては、ICI Handbookのpp.2962-71に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
ローション及びクリームを、エマルジョンとして配合することができる。典型的には、このようなローションは、0.5%~約5%の乳化剤(複数可)を含有する。このようなクリームは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約20%~約80%(例えば、約30%~約70%)の水と、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤(複数可)と、を含有する。
【0051】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームなどの単一エマルジョンのスキンケア製剤は、化粧品技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルジョン組成物もまた、本発明に有用である。概して、そのような単相又は多相のエマルジョンは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0052】
組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤(複数可)を用いた、水性、アルコール性、アルコール/水性又は油性のゲル)として配合されてもよい。水性及び/又はアルコール性ゲル用の好適なゲル化剤には、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー及びコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられるが、これらに限定されない。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%及び5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0053】
組成物はまた、固形物(例えば、ワックスベースのスティック、バー、パウダー)に配合することができる。
【0054】
組成物は、フィルム、織布又は不織布材料、ワイプ、パッチ、マスク、衣類などの基材に含まれてもよい。
【0055】
一実施形態では、組成物はフィルムに含まれてもよい。本明細書で使用する場合、「フィルム」という用語は、哺乳類、より具体的にはヒトの皮膚に薄層、つまり膜を形成する組成物を意味する。このようなフィルムは、単層又は多層を含んでもよい。
【0056】
一実施形態では、フィルムは溶解性フィルムである。様々な溶解性フィルムが当該技術分野において既知であり、本発明に従ってこれらのいずれか1つを使用してもよい。
【0057】
特定の一実施形態では、フィルムは、米国特許出願公開第2015/0182991号に記載のインテグラルフィルム製品を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このインテグラルフィルム製品は、製造基材から独立して使用するために、フィルム製品をその上で作製した製造基材から除去できるように配置及び構成される。具体的には、この製品は、剥離性表面を有する製造基材上にマスクを載置し、マスクを通してフィルム形成組成物を送達して粗形状体を製造基材上に形成することと、マスクを除去することと、製造基材上に配置されたインテグラルフィルム製品に粗形状体を凝固させることと、によって作製され得る。マスクは、所望のインテグラルフィルム製品に対応する形状を有する少なくとも1つの開口部を有する。インテグラルフィルム製品は、製造基材から独立して使用するために製造基材の剥離性表面から除去することができるように配置及び構成される。
【0058】
別の実施形態では、フィルムは、米国特許出願公開第2015/0182990号に記載の多層成形フィルム製品であり、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、皮膚に送達される局所用組成物を含む第1の面と、外部に露出する第2の面と、を含む2層成形フィルム製品が使用されてもよい。そのような製造物品は、マスクを通して液体フィルム形成組成物を送達することと、マスクを除去して多層粗形状体を残すことと、多層粗形状体を硬化して多層成形フィルム製品を形成することと、を含むプロセスを使用して作製され得る。マスクは、送達面と、反対側の面と、所望の成形フィルム製品に対応する設計を有する少なくとも1つの開口部と、を有する。フィルム形成組成物は、多流ノズルを通して送達される。マスクの移動並びにマスク開口部への第1及び第2のフィルム形成液体組成物の送達は、空隙の容積に対応するマスクの開口部に第1及び第2のフィルム形成液体組成物の容積流量をもたらすように制御される。ノズルは、マスクの送達面と接触している。
【0059】
別の特定の実施形態では、フィルムは米国特許出願公開第2015/0182992号に記載の多層フィルム製品を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、第1の層が、第1の層上に配置された第2の層よりも大きい表面積を有する2層成形フィルム製品が使用されてもよい。これは、第1の層の上に第2の層の「島」を形成する。2層のうちの一方は皮膚に接触するための層であり、本発明の組成物を含む。他方の層は、外部に露出する。このような物品は、第1のマスクを通して第1のフィルム形成組成物を送達して、第1の粗形状体を形成することと、第1のマスクを除去することと、第1の粗形状体上に第2のマスクを載置することと、第2のマスクを通して第2のフィルム形成組成物を送達して、第1の粗形状体上に第2の粗形状体を形成することと、第2のマスクを除去することと、第1及び第2の粗形状体を凝固させて成形フィルム製品をもたらすことと、によって作製されてもよい。
【0060】
更なる実施形態では、米国特許出願公開第2015/0182993号に記載の成形フィルム製品は組成物を含んでもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このような成形フィルム製品は、製造基材上にマスクを載置することと、ノズルを通してフィルム形成組成物を送達して、製造基材上に粗形状体を形成することと、マスクを除去することと、フィルム形成組成物を凝固させて、製造基材上に配置された成形フィルム製品をもたらすことと、によって作製されてもよい。マスクは、送達面と、反対側の製造基材対向面と、所望の成形フィルム製品に対応する設計を有する少なくとも1つの開口部と、を有する。フィルム形成組成物の送達中、ノズルは、マスクの少なくとも1つの開口部に対するマスクの送達面と密閉係合するように配置される。
【0061】
更に別の実施形態では、米国特許出願公開第2016/0367490号に記載の局所適用多層フィルムが使用されてもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このフィルムは、フィルムに水を適用することで容易に除去することができる。本明細書で使用する場合、「容易に除去することができる」とは、フィルムに水を適用することでフィルムが溶解又は崩壊することで、ごしごしこすったりなどすることなく、フィルムを皮膚から取り除くことができることを意味する。
【0062】
このようなフィルムは、皮膚から外側に面した第1の上面と、皮膚に対向する第1の上面と反対側の第1の下面と、を有する第1の上層を含む。物品はまた、第1の上層の第1の下面に面し、この下面に接着される第2の上面と、物品が皮膚に適用される際に皮膚と物品とを接触させて接着する、外側に面した第2の下面と、を含む下部皮膚接触層を有する。下部皮膚接触層は、局所用組成物を含む。加えて、第1の上層及び第2の下層のそれぞれは、水溶性フィルム形成材料を含み、物品は皮膚に水を適用することで皮膚から容易に除去することができる。
【0063】
局所用組成物を含有するこのフィルムは、多層成形フィルム製品の上記の形成プロセスのうちの1つによって形成されてもよい。これはまた、接着層をキャスティング及び乾燥することと、次いで下層の上に上層をキャスティングすることと、によって作製されてもよい。2層は、既知の接着法(機械的、化学的、分散、静電気、拡散によるものなど)のいずれかによって互いに接着されてもよい。一実施形態では、2層は、好ましくはいずれも水溶性であり、これにより、非接着性の外側に面した層中の水分が既に乾燥している接着性の皮膚接触層をわずかに溶解することで、2層の界面に一定量の拡散接着をもたらす。第2の実施形態では、両層はウェット・オン・ウェット方式でキャスティングされ、材料同士の混合が材料間の界面で生じ、これにより拡散接着による結合が形成される。好ましくは、各材料は共通の溶媒を有すること、かつ/又は互いに混和することにより互いに混合及び結合する。接着層及び非接着層(それぞれ皮膚接触層及び外側に面した層)の材料は、材料同士が互いに結合するように、アルコールなどの水以外の共通の溶媒を有してもよい点が認識されよう。
【0064】
例えば、皮膚接触層は、好ましくは、親水性フィルム形成ポリマー、フィルム中の他の成分を可溶化するための可溶化剤、崩壊促進剤、増粘剤/構造化剤/テクスチャ改質剤、皮膚の水分を保持するための吸湿剤/湿潤剤、吸湿剤を皮膚内に移動させるための分配係数改変剤/吸収又は浸透促進物質、可撓性及び柔軟性を与えるための可塑剤/一次接着剤、ヒドロコロイドに使用され、潜在水分を保持し、最終物品を可撓性に保つための溶媒、並びに他の補助剤又は添加剤を含む。皮膚接触層は好ましくは皮膚表面に直接適用されるものであり、物品の皮膚接触面として使用するのに好適な特性を有する。そのような特性としては、急速溶解性、持続的接着強度、半閉塞性、及び可撓性が揚げられる。皮膚接触層は、置換レゾルシノールと、局所用組成物の他の成分とを含む。
【0065】
外側に面した層は、物理的バリアとして使用するのに好適な特性を有することにより、物品が適用部位に定置されている間、物品に埃や汚れ及び細片が付かないようにすることができる。そのような特性としては、急速溶解性、半閉塞性、可撓性、及び非粘着性が揚げられる。外側に面した層は、親水性フィルム形成ポリマー、崩壊促進剤、水中油乳化剤、皮膚接触層から局所層への水の移動を制限するためのワックス、可撓性及び柔軟性を与えるための可塑剤、一次接着剤、ヒドロコロイドに使用され、潜在水分を保持し、最終物品を可撓性に保つための溶媒、及び他の補助剤又は添加剤を含む。
【0066】
本発明の特定の実施形態では、局所用組成物は、このような水で除去することができる多層フィルムに含有される。フィルムは、例えば、最大約2mmの厚さを有してもよい。フィルムは、第2の下面を皮膚に接着することによって皮膚上に配置される。次いで、フィルムは、本発明による光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に曝露される。フィルムは、例えば、少なくとも15分間、又は少なくとも30分間、又は少なくとも3時間、又はなくとも6時間の期間にわたって定位置で維持され、これにより、置換レゾルシノールは、皮膚の適用部位に移動することができる。次いでフィルムは、水を適用することで、その際フィルムが溶解することにより、適用部位から除去される。
【0067】
上記の更なる実施形態では、下部皮膚接触層は、皮膚への置換レゾルシノールの輸送を促進するために有効量の乳化剤を更に含む。一実施形態では、乳化剤はグリセリン誘導体である。例えば乳化剤は、グリセリド及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択されてもよい。
【0068】
光送達装置
本光送達装置は、400nm~460nm、好ましくは430nm~450nmのピーク波長を有する青色光の任意の光源を備えてよい。これは、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光を放射するのであれば、任意の形態又は構成であってよい。青色光は、連続的に、パルス状で、集中的に、拡散して、多波長で、コヒーレントに、若しくは所望の範囲内で非コヒーレントに、又は単一波長で送達されてよい。
【0069】
青色光は、好ましくは低強度で送達される。一実施形態では、青色光の電力供給は約20mW/cm2未満である。例えば、青色光は、約1mW/cm2~約20mW/cm2の強度で送達されてよい。別の実施形態では、青色光の強度は約1mW/cm2未満である。
【0070】
光源は、例えば1つ以上のLEDであってもよい。LEDは、例えば、個々のLED電球であっても、マルチLEDストリップであってもよい。
【0071】
装置は、顔面で使用するための成形マスク、シュラウド、又はフードの形態であってもよい。あるいは、装置は、シャツ、ベストなどの身体上、具体的には胴上で使用するために成形されてもよい。装置は、円形、楕円形、矩形、若しくは他の形状の形態であってもよく、又はこれらの形状を有するパッチであってもよい。このようなパッチはまた、不規則形状、又は顔面若しくは身体の特定部分に適合するように設計された形状を有してもよい。
【0072】
一実施形態では、装置は、米国特許第8,771,328号に記載のように、ランププラットフォームと、遠隔バッテリーパックと、を含み、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。LEDなどの放射ランプ用ランププラットフォームは、ランプが取り付けられる第1の壁と、皮膚により近く、第1の壁から離間された第2の壁と、を備えるアセンブリ内に配置され、ランプは第1の壁に対して凹設される。第2の壁は、皮膚に対向する反射面と、ランプからユーザにランプ放射を伝達するための、第1の壁上のLEDと実質的に整列した複数の光開口部と、を備える。ランプ及び関連する回路は、反射面が皮膚に向かって比較的滑らかでシームレスとなるように、第1の壁と第2の壁との間に配置される。ランプの数は、回路の数と同じように最小化され、他のアセンブリ材料は比較的軽量のアセンブリとなるように意図的に選択され、治療セッション中のユーザの快適性を高める結果をもたらす。壁はユーザに関して適応力のある調整可能性のために、可鍛性のある剛度を有する。より具体的には、壁は、ユーザの顔面に関して凹面構成を有し、その構成は、静止位置に関して調整可能であり、使用中のユーザへの緊密な適合と確実な係合のために、ユーザの頭部寸法に関して拡大可能となっている。装置は、ランプ放射からユーザの眼を遮蔽するためのレンズを含む眼鏡フレーム又はゴーグルを備えるフレームと共に、ユーザに装着される。実施形態の調整可能性は、支持フレームに関して枢動可能な壁によって更に高められ、そこではフレームが、ユーザの頭部寸法に関する選択的調整可能性のための伸縮自在のテンプルアームを含んでもよい。したがって、装置は患者の上にウェアラブルハンドフリーマスク又は類似物として支持される。電源は、エネルギーをランプに伝達し、遠隔バッテリーパックを備えており、並びにまた、ユーザ用に装置の使用回数をカウントするための、及び所定の使用回数後の装置交換の必要性を示すための、制御プロセッサをも含んでもよい。
【0073】
プラットフォームは、頭部へ複数の手段、すなわち、眼鏡フレーム、ストラップ、引きひも、ハーネス、ベルクロ、ダイアル回転式又はスナップボタンで固定されてもよい。マスクが固定されると、これは、あごから額を覆うように上方へ向けて調整されてもよい。マスクはまた、横から横を覆うように外側へ向けて調整されてもよい。更に、プラットフォームが曲がって/スライドして顔面領域を覆うと、プラットフォームの皮膚からの距離は、ユーザの皮膚面に関して所望の光強度を実現するために調整され得る。したがって、光線療法は最大3の物理的方向に最大化され得る。
【0074】
本主題の調整可能性は、調整可能エネルギー出力、調整可能波長、優先ゾーン、タイマーなどの形態の高められた適応性/調整可能性のために「スマート」な処理及びセンサシステムを通して実装されてもよい。センサシステムのセンサにより、本主題の実施形態が、色、座瘡、損傷密度などのためのセンサによる患者の顔面及び身体の皮膚の評価、並びに、優先スポットのエネルギーを多少とも使用してのスマート処置の計画を行う能力を有することができる。本主題の実施形態は、皮膚のタイプ、年齢、問題の総体的深刻度の観点からスマートとなり得、それに応じて処置をカスタマイズする能力を有する。
【0075】
別の実施形態では、装置は、米国特許出願公開第2016/0045758号に記載のように、把持可能なスポットアプリケータアセンブリに配置されたLEDなどの放射ランプ用の治療ランププラットフォームを含み、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。把持可能なスポットアプリケータアセンブリは、患者に対向する反射面と、ランプからユーザにランプ放射を伝達するための複数のLEDと、を含む。ランプ及び関連する回路は、把持可能な細長い構造体内に収容される。
【0076】
一実施形態では、青色光と同時に、又は連続して、超音波エネルギーも皮膚に送達される。超音波エネルギーは、光装置によって、又は別個の装置によって送達されてもよい。
【0077】
一実施形態では、光送達装置は、光及び超音波エネルギーの両方を送達する。
【0078】
抗菌活性
本発明によると、少量の置換レゾルシノール及び青色光の組み合わせの投与は、抗菌性の増大、具体的には、抗キューティバクテリウムアクネス活性の増大をもたらす。このような組み合わせは、置換レゾルシノールの局所投与のみ、又は青色光への曝露のみのいずれか一方によって示される抗キューティバクテリウムアクネス活性に対して、相乗的な抗キューティバクテリウムアクネス活性をもたらすことが見出されている。
【0079】
一実施形態では、この組み合わせは、いずれか一方の治療のみの活性と比較して、キューティバクテリウムアクネスの少なくとも2.5Logの減少をもたらす。別の実施形態では、この組み合わせは、いずれか一方の治療のみの活性と比較して、キューティバクテリウムアクネスの少なくとも3Logの減少をもたらす。
【0080】
キューティバクテリウムアクネスの減少は、以下のインビトロ法に従って測定される。
【0081】
標準的なキューティバクテリウムアクネスATCC6919培養物を強化クロストリジウム培地(Reinforced Clostridial Medium、RCM)(Remel,Lenexa,KS)において増殖させる。Spectromax M5分光光度計(Molecular Devices,San Jose,CA)を使用して、キューティバクテリウムアクネスの懸濁液をOD600=1.0に調整して、108cfu/mLの濃度を得る。標準懸濁液の1:100の希釈物を生成して、106cfu/mLの接種濃度を得る。したがって、100μLの試験試料内への100μLの接種により、96ウェル実験プレート内で5×105cfu/mLのキューティバクテリウムアクネスを得る。
【0082】
培養物は、暗中、80RPMのオービタルシェーカー上の嫌気性チャンバ(<10ppm O2、2.5~5%H2、35±2℃における平衡N2)内でインキュベートされる。光を含む試験処理のために、調製したキューティバクテリウムアクネス培養物を、2回の60分間の光サイクル(サイクル間に60分のホールド時間あり)に曝露する。各光サイクルでは、波長440nm及び強度22±2mW/cm2の青色光を使用する。処理後、試料は、嫌気性チャンバ内で一晩(16±2時間)インキュベートされる。次いで、試料を寒天培地に戻し、透明コロニーが目に見えるまで5~7日インキュベートする。増殖後、残りの生存キューティバクテリウムアクネスコロニーを計数し、cfu/mLに変換し、細胞数の対数(log10)減少を計算する(対数(log10)減少=光制御なしの試料-試験試料)。
【0083】
置換レゾルシノール含有組成物及び青色光は、同時に又は連続的に皮膚に投与されてもよい。連続的に投与される場合、組成物及び青色光はいずれかの順序で投与されてもよい。超音波エネルギーも投与される場合、組成物、青色光、及び超音波エネルギーは、同時に投与されても、任意の順序で投与されてもよい。
【0084】
本発明の一実施形態では、座瘡の治療を必要とする皮膚は、約0.025重量%未満の4-ヘキシルレゾルシノールを含む組成物を皮膚に局所的に適用し、光送達装置を使用して、約440nmの波長を有する青色光に皮膚を曝露することにより治療される。
【0085】
本発明の別の実施形態では、酒さの治療を必要とする皮膚は、約0.025重量%未満の4-ヘキシルレゾルシノールを含む組成物を皮膚に局所的に適用し、光送達装置を使用して、約440nmの波長を有する青色光に皮膚を曝露することにより治療される。
【0086】
本発明の別の実施形態では、湿疹の治療を必要とする皮膚は、約0.025重量%未満の4-ヘキシルレゾルシノールを含む組成物を皮膚に局所的に適用し、光送達装置を使用して、約440nmの波長を有する青色光に皮膚を曝露することにより治療される。
【0087】
本発明の更なる実施形態では、乾癬の治療を必要とする皮膚は、約0.025重量%未満の4-ヘキシルレゾルシノールを含む組成物を皮膚に局所的に適用し、光送達装置を使用して、約440nmの波長を有する青色光に皮膚を曝露することにより治療される。
【0088】
本発明を、以下の非限定的実施例によって更に説明する。
【実施例1】
【0089】
4-ヘキシルレゾルシノールの最小阻止濃度(minimum inhibitory concentration、MIC)を測定して、キューティバクテリウムアクネスの増殖を阻害する能力を調査した。全ての培地及び希釈剤は滅菌された。試験の実行中、無菌法を使用した。
【0090】
上記のようにキューティバクテリウムアクネス接種材料を調製した。
【0091】
4-ヘキシルレゾルシノール(Alfa Aesar,Tewksbury,MA)の0.1%(w/w)ストックをRCMにおいて製造した。96ウェルプレート(Greiner Bio-one,Monroe,NC製の滅菌、U字型底、未処理培養プレート)の連続するウェルにわたってRCMにおいて1:2段階希釈物を生成して、10個の試験濃度を得た。等しい体積のキューティバクテリウムアクネス懸濁液を接種後、試験濃度は、0.05%~9.77E-5%(v/v)の範囲に及んだ。滅菌RCM及びRCM中の5×105cfu/mLのキューティバクテリウムアクネスを、それぞれ陰性増殖対照及び陽性増殖対照として設定した。RCM中の滅菌0.1%(w/w)4-ヘキシルレゾルシノールを混濁対照として設定した。
【0092】
インキュベーション及び結果:
96ウェルプレートを、35℃で3日間嫌気的にインキュベートした。表1に示すように、96ウェルプレートを増殖(+)及び非増殖(-)について評価した。検証対象のウェル内の目に見える混濁の存在は、増殖を示す一方、透明なウェルは非増殖を示した。キューティバクテリウムアクネスの増殖を阻害した最小濃度をMICと決定した。陰性増殖対照(非混濁)及び陽性増殖対照(混濁)の結果は予想される通りであった。
【0093】
【表1】
「+」は増殖を示し、「-」は非増殖を示す。
【0094】
これらの結果は、キューティバクテリウムアクネスが、1.56E-3%(v/v)以上の濃度で4-ヘキシルレゾルシノールによって効果的に阻害されたことを示している。
【実施例2】
【0095】
4-ヘキシルレゾルシノール及び青色光を、キューティバクテリウムアクネスの増殖の阻害に関してin vitroで試験した。
【0096】
上記のように、実施例1と同様にキューティバクテリウムアクネス接種材料を調製した。溶液を、使用時まで4℃で保管した。ストック溶液をRCMに添加して、最終濃度0.01%(v/v)を生成し、0.1mLのキューティバクテリウムアクネス懸濁液を接種して、106cfu/mLを得た。RCM+ALAにおける調製培養物を、暗所(ホイル被覆)において80rpmで振盪し、嫌気性チャンバ内で、35±2℃で24時間インキュベートした。
【0097】
0.02%(w/v)のn-4-ヘキシルレゾルシノール(Alfa Aesar,Tewksbury,MA)をRCMにおいて調製した。試料ストック溶液を、RCM+ALAにおける24時間キューティバクテリウムアクネス培養物と1:10(v/v)として混合した。有機体対照培養物を、RCMで1:10(v/v)に希釈して等価有機体濃度とした。
【0098】
インビトロ評価を以下のように行った。(ALAで増殖させた)調製されたキューティバクテリウムアクネス培養物を、上記のように試験試料と混合し、6ウェルプレートに添加し、次いで、60分間、440nmの青色光(22mW)曝露に2回曝露し、2回の曝露の間に、暗所における60分間の休止期間1回を設けた。2つの試料、すなわち、0.002%(v/v)の4-ヘキシルレゾルシノール及びRCM+ALAにおける24時間キューティバクテリウムアクネス培養物単独を試験した。複製された6ウェルプレートを、対照として光に曝露されないまま維持した。全てのプレートを嫌気的に一晩、暗所(ホイル被覆)において、かつ嫌気性チャンバ内で35±2℃でインキュベートした。
【0099】
回収及び結果:
24時間のインキュベーション後、試料を段階希釈し、強化クロストリジウム寒天(Remel,Lenexa,KS)にプレーティングした。寒天プレートを、細菌コロニーが十分に確立されるまで、35±2℃で5~7日間嫌気的にインキュベートした。次いで、コロニーを計数し、1mLあたりのコロニーフォーミングユニット(colony forming unit、CFU)を計算した。結果を表2に示す。統計的に有意な差異は、非共有文字の分類(unshared letter grouping)によって定義される。
【0100】
【0101】
表2に示すように、光のみによるキューティバクテリウムアクネスの平均対数減少は1.83であり、4-ヘキシルレゾルシノールによるキューティバクテリウムアクネスの平均対数減少は、1.00だけであった。したがって、2つの処理を一緒に使用することに基づく予想される追加の対数減少は2.83であった。しかしながら、驚くべきことに、光と4-ヘキシルレゾルシノールとの同時使用により、キューティバクテリウムアクネスの4.84Logの減少をもたらした。これは、相乗的組み合わせによる100倍の利益を表すものである。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 皮膚を治療する方法であって、キューティバクテリウムアクネスによる影響を受けた疾患を有する皮膚に、約0.025重量%未満の少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む局所用組成物を局所的に適用することと、光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に前記皮膚を曝露することと、を含む、方法。
(2) 前記皮膚疾患は、座瘡又は酒さである、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記皮膚疾患は、座瘡である、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記局所用組成物は、約0.002~約0.025重量パーセントの前記置換レゾルシノールを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記置換レゾルシノールは、4-ヘキシルレゾルシノールである、実施態様1に記載の方法。
【0103】
(6) 前記光の強度は約20mW/cm2未満である、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記光の強度は約2mW/cm2未満である、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記皮膚を超音波エネルギーに曝露することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記光送達装置は、光及び超音波エネルギーを送達する、実施態様8に記載の方法。
(10) (a)約0.025重量パーセント未満の少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む局所用組成物と、(b)400nm~460nmのピーク波長を有する青色光を送達する光送達装置と、を含む、キット。
【0104】
(11) 前記局所用組成物は、約0.002~約0.025重量パーセントの前記置換レゾルシノールを含む、実施態様10に記載のキット。
(12) 前記置換レゾルシノールは、4-ヘキシルレゾルシノールである、実施態様10に記載のキット。
(13) 送達される前記光の強度は約20mW/cm2未満である、実施態様10に記載のキット。
(14) 送達される前記光の強度は約2mW/cm2未満である、実施態様10に記載のキット。
(15) 前記光送達装置はまた超音波エネルギーを送達する、実施態様10に記載のキット。
【0105】
(16) 前記局所用組成物はフィルムに含有されている、実施態様10に記載のキット。
(17) 前記フィルムは、溶解性フィルムである、実施態様16に記載のキット。
(18) 前記フィルムは、前記フィルムに水を適用すると容易に除去可能な多層フィルムである、実施態様17に記載のキット。
(19) 前記フィルムは、グリセリン誘導体を含む下部皮膚接触層を含む、実施態様18に記載のキット。
(20) キューティバクテリウムアクネスを死滅させる方法であって、約0.025重量%未満の少なくとも1種類の置換レゾルシノールを含む組成物とキューティバクテリウムアクネスを接触させることと、光送達装置を使用して、400nm~460nmのピーク波長を有する青色光に前記キューティバクテリウムアクネスを曝露することと、を含む、方法。