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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】可燃性コーティングマスクを有する基板
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/00 20060101AFI20240527BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240527BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B32B3/00
B32B27/00 Z
B05D3/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021577556
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 US2020039890
(87)【国際公開番号】W WO2020264345
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】62/868,324
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/018,596
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/913,305
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファリード、ファルザド
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-081942(JP,A)
【文献】特開平06-139845(JP,A)
【文献】特表2003-504227(JP,A)
【文献】特開平05-234432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B05D 1/00-7/26
G02B 1/10-1/18
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性コーティングマスクを有する基板であって、
第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板;
第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを含む前記第1の表面;
前記第1のセクション上のマスクコーティング層であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上に存在しない、マスクコーティング層;
前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び前記第2のセクション上の機能性コーティング層;
を含
前記マスクコーティング層が、ワックス、有機油、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、
可燃性コーティングマスクを有する基板。
【請求項2】
前記機能性コーティング層の少なくとも一部の上に仮保護層をさらに含む、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記マスクコーティング層が、前記基板と直接接触している、請求項1又は2に記載の基板。
【請求項4】
前記マスクコーティング層が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板。
【請求項5】
前記マスクコーティング層が、少なくとも1つのポリ尿素材料を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の基板。
【請求項6】
前記仮保護層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の基板。
【請求項7】
前記マスクコーティング層が、最大で1000℃の温度で燃焼することによって除去可能である、請求項1~のいずれか一項に記載の基板。
【請求項8】
前記マスクコーティング層が、前記第1のセクションに実質的な損傷を与えることなく熱処理プロセスによって除去可能であるように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の基板。
【請求項9】
その上に層を有する基板をセグメント化する方法であって、
可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程であり、
第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板;
第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する前記第1の表面;
前記第1のセクション上のマスクコーティング層であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上に配置されていない、マスクコーティング層;
前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び前記第2のセクション上の機能性コーティング層;
を含む、可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程と、
前記可燃性コーティングマスクを有する基板に熱処理を適用する工程であり、前記マスクコーティング層が前記第1のセクションから除去され、前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上に配置された前記機能性コーティングの第1の部分が除去され、前記第2のセクション上に配置された前記機能性コーティング層の第2の部分が基板上に残るように、前記可燃性コーティングマスクを有する基板に熱処理を適用する工程と、
を含む方法であり
前記マスクコーティング層が、ワックス、有機油、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、
上記方法。
【請求項10】
前記マスクコーティング層が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスクコーティング層が、少なくとも1つのポリ尿素材料を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱処理が、前記可燃性コーティングマスクを有する基板を最大で1000℃の温度で加熱することを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
その上に層を有するセグメント化された基板を調製する方法であって、
第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板を提供する工程であり、
前記第1の表面が、第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する、基板を提供する工程と、
マスクコーティング層を形成するために、基板の前記第1のセクション上に材料を適用する工程であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上には適用されない、材料を適用する工程と、
機能性コーティング層を形成するために、前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び基板の前記第2のセクション上に機能性コーティング層を適用する工程であり、熱処理により、前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上に配置された前記機能性コーティングの第1の部分が除去され、前記第2のセクション上に配置された前記機能性コーティング層の第2の部分が基板上に残る、機能性コーティング層を適用する工程と、
を含む方法であり
前記マスクコーティング層が、ワックス、有機油、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、
上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2020年6月26日に出願された米国特許出願番号16/913,305の優先権を主張し、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願番号62/868,324及び2020年5月1日に出願された米国仮特許出願番号63/018,596の優先権を主張し、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、可燃性コーティングマスクを有する基板、その上に層を有する基板をセグメント化する方法、その上に層を有するセグメント化された基板を調製する方法、セグメント化された基板、及び透明体(transparency)に関する。
【背景技術】
【0003】
ある種の用途では、基板の特定のセクションの上に機能性コーティングを有し、基板の他のセクションの上には機能性コーティングを有さない基板が望ましい場合がある。一例として、一部の自動車メーカーは、赤外線カメラ又は雨検出器を利用しており、そのセンサーは、センサーが赤外線(又は他の)放射を透過する基板の特定のセクションの上の機能性コーティングの存在によって妨害される。
【0004】
このような基板を製造するための1つの手順は、レーザー削除(laser deletion)を使用して、基板の関連するセクションから機能性コーティングを除去することである。しかしながら、レーザー削除技術は、特定のケースにおいて機能性コーティングを不完全に除去するため、一部の顧客はレーザー削除を用いて製造された基板を拒否している。
【0005】
したがって、レーザー削除を使用せずに、基板の特定のセクションの上に機能性コーティングを有し、基板の他のセクションの上に機能性コーティングを有さない基板を作製することが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1の表面と第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板を含む、可燃性コーティングマスクを有する基板に関する。第1の表面は、第1のセクションと、第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する。マスクコーティング層は、第1の表面の第1のセクション上に配置される。マスクコーティング層は、第1の表面の第2のセクション上に配置されていない。機能性コーティング層は、マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び基板の第2のセクション上に配置される。コーティングされた基板が加熱されると、可燃性コーティングマスク、及び可燃性コーティングマスク上の機能性コーティング層の一部が除去され、機能性コーティング層を有しない領域が基板上に残される。
【0007】
本発明はまた、基板をセグメント化する方法に関する。可燃性コーティングマスクを有する基板が提供される。基板は、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを含む。第1の表面は、第1のセクションと、第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する。マスクコーティング層は、第1のセクション上に配置される。マスクコーティング層は、第1の表面の第2のセクション上に配置されていない。機能性コーティング層は、マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び基板の第2のセクション上に配置される。コーティングされた基板は、マスクコーティング層が第1のセクションから除去されるように加熱される。マスクコーティング層の上に配置された機能性コーティングの一部も、第1のセクションから除去される。第2のセクション上に配置された機能性コーティングの一部は、基板上に実質的に取り込まれたままである。
【0008】
本発明はまた、セグメント化された基板を調製する方法に関する。第1の表面と第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板が提供される。第1の表面は、第1のセクションと、第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する。材料が第1の表面の第1のセクション上に適用されて、マスクコーティング層を形成する。マスクコーティング層は、第1の表面の第2のセクション上に配置されていない。機能性コーティング層は、マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び第1の表面の第2のセクション上に適用されて、機能性コーティング層を形成する。
【0009】
本発明はまた、自動車の透明体(automotive transparency)を調製する方法であって、No.1表面とNo.1の表面の反対側のNo.2表面とを有する第1のプライを提供する工程と、No.3表面とNo.3表面の反対側のNo.4表面とを有する第2のプライを提供する工程と、ここで、No.1表面、No.2表面、No.3表面又はNo.4表面は第1のセクションと第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有し;マスクコーティング層は第1のセクション上にあって第2のセクション上には存在せず;機能性コーティング層はマスクコーティング層の少なくとも一部の上及び第2のセクション上にあり;同時に又は別々に、第1のプライと第2のプライを加熱する工程と、自動車の透明体を形成するために、マスクコーティング層とマスクコーティング層の上に配置される機能性コーティングの一部とを除去する工程と、を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを有する基板の断面図を示す。図1Bは、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを使用して調製されたセグメント化された基板の断面図を示す。
【0011】
図2図2Aは、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを有する基板の断面図を示す。図2Bは、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを使用して調製されたセグメント化された基板の断面図を示す。
図3図3Aは、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを有する基板の断面図を示す。図3Bは、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを使用して調製されたセグメント化された基板の断面図を示す。
【0012】
図4図4は、いくつかの非限定的な実施形態による、セグメント化された基板の平面図を示す。
【0013】
図5図5は、いくつかの非限定的な実施形態による、透明体の断面図を示す。
【0014】
図6図6は、加熱後のマスクコーティング層を含むコーティングされた基板の顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明の目的のために、用語「端部」、「上の(upper)」、「下の(lower)」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「横」、「縦」、及びそれらの派生物は、図面に示されているように、本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、反対に明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形例及びステップシーケンスを想定し得ることが理解されるべきである。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載されている特定のデバイス及びプロセスは、本発明の単なる例示的な実施形態又は態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態又は態様に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定的なものとして考慮されるべきではない。
【0016】
以下の詳細な説明の目的のために、本発明は、反対に明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形例及びステップシーケンスを想定し得ることが理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0017】
本明細書に記載されている任意の数値範囲は、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載されている最小値1と記載されている最大値10との間の(及びそれらを含む)すべてのサブ範囲を含むことを意図しており、すなわち、最小値1以上で、最大値10以下である。
【0018】
本明細書に記載の材料の層に関して、「上(over)」という用語は、材料が配置される基板からより遠いことを意味する。例えば、第1の層の「上(over)」に配置された第2の層は、第2の層が第1の層よりも基板から遠くに配置されていることを意味する。第2の層は、第1の層と直接接触していてもよい。あるいは、1つ以上の他の層を、第1の層と第2の層との間に配置することができる。
【0019】
「ポリマー(polymer)」又は「ポリマーの(polyeric)」という用語は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマー、例えば、2種類以上のモノマー又はポリマーから形成されるポリマーを含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、移行用語「含む(comprising)」(及び他の同等の用語、例えば、「含む(containing)」及び「含む(including)」)は、「オープンエンド(open-ended)」であり、不特定の事項を含めることができる。「含む(comprising)」という用語で説明されているが、「本質的にからなる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という用語もまた、本開示の範囲内にある。
【0021】
要素番号の最後の2桁が同じである図1A図5の構成要素は、本出願の他の図の構成要素に対応し、明示的に記載されている場合を除いて、対応する構成要素の同じ特性を含むことが理解されよう。例えば、構成要素102、202、302などはすべて、これらの要素番号のすべてが同じ最後の2桁(02)を有するので、以下に説明する基板を指す。
【0022】
図1Aを参照すると、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを有する基板100が示されている。可燃性コーティングマスクを有する基板100は、その表面上に第1のセクション104及び第2のセクション106を有する基板102を含むことができる。基板102は、任意の適切な材料で作製されてもよい。基板102は、可視光に対して透明又は半透明であってもよい。「透明(transparent)」とは、0%を超え100%までの可視光透過率を有することを意味する。「半透明(translucent)」とは、電磁エネルギー(例えば、可視光)を通過させるが、このエネルギーを拡散させて、見る人の反対側にある物体がはっきりと見えないようにすることを意味する。そのような材料の例には、プラスチック基板(ポリアクリレートなどのアクリルポリマーなど;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピレンメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;又はこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、又はそれらの任意の混合物)、セラミック基板、ガラス基板、又は上記のいずれかの混合物又は組合せが含まれるが、これらに限定されない。例えば、基板102は、従来のソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、又は鉛ガラスを含むことができる。ガラスはコーティングされていないガラスであってもよい。ガラスは透明なガラスにすることができる。「透明なガラス(clear glass)」とは、ノンティンテッド(non-tinted)ガラス又は無着色のガラスを意味する。あるいは、ガラスはティンテッド(tinted)ガラスか、そうでなければ着色されたガラスであってもよい。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意のタイプであってもよく、任意の光学特性、例えば、任意の値の可視透過率、紫外線透過率、赤外線透過率、及び/又は全太陽エネルギー透過率を有する任意の組成物であってもよい。「フロートガラス」とは、溶融ガラスを溶融金属浴上に堆積させ、制御可能に冷却してフロートガラスリボンを形成する従来のフロートプロセスによって形成されたガラスを意味する。フロートガラスプロセスの例は、米国特許第4,466,562号及び第4,671,155号に開示されている。
【0023】
基板102は、それぞれ、例えば、透明なフロートガラスであってもよく、又はティンテッド(tinted)ガラス若しくは着色されたガラスであってもよい。限定するものではないが、基板102に適したガラスの例は、米国特許第4,746,347号;4,792,536号;5,030,593号;5,030,594号;5,240,886号;5,385,872号;及び5,393,593に記載されている。基板102は、任意の所望の寸法、例えば、長さ、幅、形状、又は厚さであってもよい。自動車の透明体に使用される1つの例示的な基板において、基板102は、1mm~10mmの厚さ、例えば1mm~8mmの厚さ、例えば2mm~8mm、例えば3mm~7mm、例えば5mm~7mm、例えば6mmの厚さとすることができる。本開示の実施に使用できるガラスの非限定的な例には、ペンシルバニア州ピッツバーグのPPG Industries Incから市販されている透明なガラス、Starfire(登録商標)、Solargreen(登録商標)、Solextra(登録商標)、GL-20(登録商標)、GL-35(商標)、Solarbronze(登録商標)、Solargray(登録商標)ガラス、Pacifica(登録商標)ガラス、SolarBlue(登録商標)ガラス、及びOptiblue(登録商標)ガラスが含まれる。
【0024】
引き続き図1Aを参照すると、可燃性コーティングマスクを有する基板100は、基板102の第1のセクション104上に適用されてマスクコーティング層108を形成する材料を含んでもよいが、基板の第2のセクション106上には適用されない。マスクコーティング層108は、基板102の特定のセクション(例えば、第1のセクション104)の上に選択的に配置されてもよく、一方、基板102の他のセクション(例えば、第2のセクション106)の上に配置されることを避けてもよい。マスクコーティング層108は、基板102上に(それと直接接触するように)直接形成されてもよく、又はマスクコーティング層108は、基板102(基板102とマスクコーティング層108との間に少なくとも1つの介在コーティング層を有する)上に間接的に形成されてもよい。好ましくは、マスキングコーティング層108は、基板100上に直接形成される。マスクコーティング層108は、任意の適切な適用方法を用いて適用することができ、インクジェット印刷、シルクスクリーン印刷、スタンピングなどを含むがこれらに限定されない。この方法は、材料が水又は水性媒体に分散されるエマルジョンを介して材料を調製することをさらに含んでもよい。本明細書で使用される場合、「水性媒体」は、50%を超える水を含む液体混合物である。50%を超える水は、存在する任意の固形物が考慮されないように、全液体含有量に対するものであることが理解される。マスクコーティング層108は、10nm~2000μmの範囲の厚さ、例えば、10nm~1000μm、10nm~500μm、0.5μm~100μm、0.5μm~10μm、10μm~30μm、又は50μm~100μmの範囲の厚さを有してもよい。
【0025】
マスクコーティング層108は、ワックス、有機油(例えば、桐油)、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート(例えば、ポリ(メタ)アクリレート)(本明細書で理解されるように、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの両方を指す)、ポリエステル、アルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのエマルジョン、又はそれらのいくつかの組合せを含む材料を含んでもよい。マスクコーティング層108は、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらのいくつかの組合せを含んでもよい。ワックスは、ステアリン酸、パラフィン、カルナウバ、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、又はそれらのいくつかの組合せを含んでもよい。ワックスエマルジョンの例には、Michelman,Inc.(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なもの(例:MGRD 1350、ML160、ME62330、Aqua240 PH90602L、ME48040M2)、又はBYK-Chemie GmbH(ドイツ、ヴェーゼル)から入手可能なもの(例:AQUACER 526、AQUACER 541、AQUACER 1031、AQUACER 8500)が含まれる。ワックスエマルジョンは、パラフィン/ポリエチレンエマルジョン、アニオン性ポリアミドエマルジョン、アニオン性カルナウバエマルジョン、アミン分散カルナウバエマルジョン、エチレンアクリル酸エマルジョン、非イオン性微結晶エマルジョン、又はそれらのいくつかの組合せであってもよい。いくつかの非限定的な例では、マスクコーティング層108は、アルカン、エステル、又はカルボン酸を含んでもよく、マスクコーティング層108の総重量に基づいて、少なくとも40重量%(例えば、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%)の炭素を有してもよい。材料は溶媒と混合することができる。例えば、材料は、PLAと酢酸メチルの混合物を含んでもよい。
【0026】
代替的に、マスクコーティング層108の前述の材料のいずれかに加えて、ポリウレタン材料、エポキシド材料、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ポリウレタン材料」は、マスクコーティング層108の少なくとも一部を形成し、ウレタン結合を含み、及び/又はポリウレタンを含む成分から作製される材料である。使用され得るポリウレタンの例には、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、それらのエマルジョン、及びそれらの組合せが含まれる。ポリウレタンは、エステル結合、エーテル結合、及びヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、チオールなどの親水性基を含む追加の官能基を含んでもよい。エマルジョンの形成を助けるために、親水性官能基をポリウレタンに組み込んでもよい。ポリウレタンは、1つ以上のヒドロキシル官能性化合物と1つ以上のイソシアネート官能性化合物とを反応させることによって得ることができる。ヒドロキシル官能性化合物は、3つ以上のヒドロキシル官能基を有するジオール及び/又はポリオールを含むことができる。イソシアネート官能性化合物は、2つ以上のイソシアネート官能基を有する化合物、例えば、3つ以上のイソシアネート官能基を有する化合物を含むことができる。イソシアネート官能性化合物は、ブロックされていないイソシアネート、ブロックされたイソシアネート、部分的にブロックされたイソシアネート、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0027】
示されているように、マスクコーティング層108は、エポキシド材料を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「エポキシド材料」は、エポキシドを含む材料か、又はエポキシドを含む成分から得られる材料である。エポキシドの例には、ポリエポキシドとしても知られ、2つ以上のエポキシ官能基を含むエポキシ官能性ポリマー材料が含まれる。エポキシドはエマルジョンであってもよい。エポキシドは、1つ以上の追加の官能基(例えば、カルボン酸及び/又はヒドロキシル官能基)を含んでもよく、自己架橋性化合物としてそれ自体と反応して反応生成物を形成することができる。あるいは、エポキシドを、カルボン酸及び/又はヒドロキシル官能性化合物などの第2の化合物と反応させて、反応生成物を形成することができる。反応物中に過剰のエポキシ官能基が存在する場合には、エポキシドはエポキシ官能基を含んでもよい。あるいは、エポキシ官能基はすべて、反応中に反応してエポキシド層を形成してもよく、その結果、エポキシ官能基は、マスクコーティング層108に存在しない。
【0028】
示されているように、マスクコーティング層108は、ポリ尿素材料を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ポリ尿素材料」は、尿素結合を含み、及び/又はポリ尿素を含む成分から形成される材料である。
【0029】
マスクコーティング層108は、ポリウレタン材料とエポキシド材料の両方を含んでもよい。ポリウレタン材料とエポキシド材料の両方が存在する場合、マスクコーティング層108がポリウレタンとエポキシドの両方を含む1つの層を含むように、ポリウレタン材料とエポキシド材料が一緒に形成されてもよい。あるいは、ポリウレタン材料とエポキシド材料の両方が存在する場合、別々の層として、ポリウレタン材料とエポキシド材料が形成されてもよい。例えば、別々の層として、ポリウレタン材料が基板上に形成され、エポキシド材料がポリウレタン材料上に形成されてもよい。さらなる例として、別々の層として、エポキシド材料が基板上に形成され、ポリウレタン材料がエポキシド材料上に形成されてもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「1成分」又は「1K」という用語は、すべてのコーティング成分が組み合わされて単一の容器に貯蔵されるコーティング組成物を指す。本明細書で使用される場合、「2成分」又は「2K」という用語は、成分が別々に貯蔵され、互いに混合されると反応して架橋し、架橋材料を形成するコーティング組成物を指す。
【0031】
マスクコーティング層108を形成するために適用される材料は、熱可塑性又は熱硬化性であってもよい。本明細書で使用される場合、「熱可塑性」は、加熱されると軟化し、定義された融点を有する材料である。マスクコーティング層108を形成するために適用される材料は、マスクコーティング層108の前述の材料のいずれかの熱硬化性樹脂であってもよい。本明細書で使用される場合、「熱硬化性」は、定義された融点を有さず、代わりに加熱されると燃焼又は分解する任意の架橋材料である。マスクコーティング層108を形成するために適用される材料は、材料が定義された融点を有するように、低い架橋度を有してもよい。マスクコーティング層108を形成するために適用される材料は、材料が定義された融点を有さないように、高い架橋度を有してもよい。高い架橋度は、例えば、溶媒ベースの配合物を介して、又は水性配合物への架橋剤の添加によって達成することができる。
【0032】
マスクコーティング層108は、組成物に含まれ、基板に適用され、固化したときに層を形成する材料を含むことができ、その層は、少なくとも60°(例えば、少なくとも70°又は少なくとも80°)の水接触角(WCA)(水との接触時)を示す。マスクコーティング層108は、疎水性材料を含んでもよい。疎水性材料は、本明細書では、組成物に含まれ、基板に適用され、固化したときに層を形成する材料として定義され、その層は、少なくとも90°(例えば、少なくとも100°、少なくとも110°、少なくとも120°、少なくとも130°、少なくとも140°、又は少なくとも150°)のWCA(水との接触時)を示す。
【0033】
マスクコーティング層108は、少なくとも60℃の融点、例えば、少なくとも70℃又は少なくとも80℃の融点を有する材料を含んでもよい。マスクコーティング層108は、60℃~350℃の融点を有してもよい。マスクコーティング層108は、固化したときに、水及び他の標準的な処理液、例えば、冷却剤、切削油などに対して不浸透性である材料を含んでもよい。基板の上に配置されたマスクコーティング層108は、同一の基板であって、その上に配置されたマスクコーティング層108を含まない基板と比較して、向上した腐食保護を提供し得る。
【0034】
いくつかの非限定的な例では、マスクコーティング層108を形成するために適用される材料は、疎水性材料、水、及び界面活性剤を含むエマルジョンを含んでもよく、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤(例えば、カチオン性又はアニオン性界面活性剤)であってもよい。マスクコーティング層108を形成するために適用される材料は、溶媒に溶解された疎水性材料を含む材料を含んでもよい。マスクコーティング層を形成するために適用される材料は、基板の表面に適用されてUV源又は熱源に曝されると基板上に適用された材料の架橋をもたらす、UV硬化性又は熱硬化性材料を含んでもよい。マスクコーティング層を形成するために適用される材料は、別々の成分を含む2成分(2K)樹脂を含んでもよく、互いに混合されると、基板の表面に材料を適用した場合に、反応して材料を架橋する。
【0035】
いくつかの非限定的な例では、材料は、その温度が少なくとも材料のガラス転移温度(「Tg」)になるまで加熱され、材料は、少なくとも材料のTgである温度で適用される。他の非限定的な例では、材料は、材料のTgより低い温度で適用され、その後、材料が軟化するのに適した温度(例えば、材料のTgより高い温度)に加熱される。非限定的な例には、Michelman,Inc.(オハイオ州シンシナティ)から入手可能なML160などのカルナウバワックスが含まれ、これには、Tgが63℃を超える温度(少なくとも70℃、少なくとも80℃、又は少なくとも90℃など)への熱処理が必要になる場合がある。材料はまた、ある温度で一定期間、硬化工程を必要とする場合がある。例えば、材料は、室温(すなわち、20~27℃の範囲、例えば25℃)で最大72時間、又は最大48時間、又は最大36時間、又は最大24時間の期間にわたって硬化されてもよい。材料はまた、90~180℃、又は100~170℃、又は110~150℃、又は120~130℃(例えば121℃)の範囲などの高温で、最大2時間、例えば1時間、例えば30分、例えば15分の間、硬化されてもよい。
【0036】
マスクコーティング層108は、任意の追加の成分を含んでもよい。追加の成分の非限定的な例には、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、腐食防止剤、赤外線(IR)吸収剤、接着調整剤、UV吸収剤、顔料、界面活性剤、及び疎水性剤が含まれる。マスクコーティング層108の組成物に使用するのに適した可塑剤の例には、綿実油、エポキシ化大豆油、及びカノーラ油などの油、カルナウバワックス、パラフィン、及びマイクロクリスタリンワックスなどのワックス、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールが含まれる。可塑剤は、特にマスクコーティング層108が熱硬化性樹脂系である場合に、摩耗ホイールを介したマスクコーティング層108の除去を助けるために、マスクコーティング層108の組成物に含まれる。可塑剤は、マスクコーティング層108の全固体成分に基づいて、1~50重量%、又は4~40重量%、又は10~30重量%の範囲の量でマスクコーティング層108に含まれてもよい。
【0037】
適切な粘度調整剤の例には、BYKから市販されているRHEOBYK-425、RHEOBYK-T 1000VF、RHEOBYK-L 1400 VF、及びRHEOBYK-H 3300 VF、並びにSpectrumから市販されているH1335及びHY124が含まれる。粘度調整剤は、コーティングマスク層108の全成分に基づいて、0.05~20重量%、又は0.1~15重量%、又は0.1~10重量%の範囲の量でマスクコーティング層108に含まれてもよい。
【0038】
適切な疎水性剤の例には、ワックス、油、及び脂肪酸が含まれる。疎水性剤は、マスクコーティング層108の全固体成分に基づいて、0.5~70重量%、又は1~65重量%、又は1~60重量%の範囲の量でマスクコーティング層108に含まれてもよい。
【0039】
マスクコーティング層108の組成物に使用するのに適した架橋剤の例には、アジリジン基を含む化合物が含まれる。マスクコーティング層108に使用することができるアジリジン基を含む化合物の非限定的な例は、トリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジンプロピオネート)である。架橋剤は、マスクコーティング層108の全固体成分に基づいて、0.05~30重量%、又は0.1~20重量%、又は0.1~10重量%の範囲の量でマスクコーティング層108に含まれてもよい。架橋剤は、組成物を架橋するために(例えば、熱硬化性樹脂系を作るために)、マスクコーティング層108の組成物に含まれる。
【0040】
マスクコーティング層108は、タルク、シリカ、金属触媒、無機顔料などの無機化合物を含んでいてもよい。あるいは、1つ以上のコーティング層(例えば1つ又はすべてのコーティング層)は、タルク、シリカ、金属触媒、無機顔料などの無機化合物を含まないなど、前述の追加の成分のいずれも含まなくてもよい。
【0041】
架橋剤などの追加の添加剤は、マスクコーティング層108を形成する材料の調製中に添加してもよい。あるいは、追加の添加剤は、材料が適用されてマスクコーティング層108を形成する直前に添加してもよい。
【0042】
引き続き図1Aを参照すると、可燃性コーティングマスクを有する基板100は、マスクコーティング層108の少なくとも一部の上及び基板102の第2のセクション106上に適用されてコーティング層110を形成する機能性コーティング材料を含んでもよい。コーティング層110は、機能性コーティング層を有してもよい。コーティング層110は、機能性コーティング層の上に保護層を有してもよい。機能性コーティング層は、1μm未満の厚さを有してもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「機能性コーティング層」という用語は、表面の装飾を超えて表面に機能的利益を与えるコーティングを指す。非限定的な例には、光学的特性、構造的特性、電気的特性、衛生的特性、熱的特性、及び/又は物理化学的特性を、表面に付与するコーティングが含まれる。機能性コーティングの非限定的な例には、low-e(低放射率)コーティング、親水性コーティング、疎水性コーティング、親油性コーティング、低摩擦コーティング、抗菌コーティング、指紋防止コーティング、曇り止めコーティング、自己洗浄コーティング、易洗浄コーティング、透明導電性コーティング、及びそれらの組合せの少なくとも1つが含まれる。機能性コーティング層は、太陽光制御コーティングを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「太陽制御コーティング」という用語は、コーティングされた物品から反射し、当該物品によって吸収され、又は当該物品を通過する可視光線、赤外線、又は紫外線の放射などの太陽放射の量、遮光係数、放射率など(ただしこれらに限定されない)、コーティングされた物品のソーラー特性に影響を与える1つ又は複数の層又はフィルムから構成されるコーティングを指し、太陽制御コーティングは、IR、UV、及び/又は可視スペクトルなど(ただしこれらに限定されない)、太陽スペクトルの選択された部分をブロック、吸収、又はフィルタリングすることができる。
【0044】
機能性コーティング層は、単層コーティングでも多層コーティングでもよい。機能性コーティング層は、米国特許出願公開第2017/0341977号に記載されているような多層太陽光制御コーティングであってもよい。
【0045】
機能性コーティング層は、任意の焼戻し強化可能な(temperable)コーティング層、例えば、英国特許第2,302,102号、米国特許第4,504,109号;米国特許第4,952,423号;米国特許第5,028,759号;米国特許第5,059,295号;米国特許第5,653,903号;米国特許第7,749,621号;米国特許第8,865,325号;米国特許出願公開第2014/0272453号に開示されているものを含むことができる。機能性コーティング層は、Vitro Architectural Glass(ペンシルベニア州チェスウィック)から市販されている、Solarban(登録商標)又はSungate(登録商標)の商品名で入手可能なコーティングを含んでもよい。
【0046】
機能性コーティング層は、金、銅、アルミニウム、パラジウム、又はそれらの組合せなどの金属材料を含む金属層を含んでもよい。機能性コーティング層は、マグネトロンスパッタリング蒸着(「MSVD」)を用いて基板に適用することができる(例えば、MSVDコーティングされたガラスなど)。適切な機能性コーティング及びコーティングされた基板の非限定的な例は、米国特許出願公開第2017/0341977号、米国特許出願公開第2018/0118614号;米国特許出願公開第2019/0204480号;米国特許第7,335,421号;米国特許第8,865,325号;米国特許第9,932,267号;及び米国特許第10,479,724号に開示されており、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
機能性コーティング層の上に保護層を適用してもよい。保護層は、その下にあるコーティング層(例えば、機能性コーティング層並びにその構成フィルム及び層など)を、機械的及び/又は化学的攻撃から保護するのに役立てることができる。保護層は、Si、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化スズ、それらの混合物、及び/又はそれらの合金から構成されてもよく、機能性コーティング層に向上した耐久性を提供することができる。例えば、保護層は、SiAlN、Si、TiAlO又はTiOであってもよい。保護層は、10Å~800Å、例えば100Å~800Å、例えば100Å~400Å、例えば350Å~400Åの範囲内の厚さ、又は100Å~400Å、例えば200Å~300Å、例えば270Å~330Å、例えば10Å~80Å、例えば45Å~55Åの範囲の厚さを有することができる。保護層は、基板の最上層であってもよい。
【0048】
図2Aを参照すると、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを有する基板200が示されている。可燃性コーティングマスクを有する基板200は、以下の点を除いて、図1Aに記載された可燃性コーティングマスクを有する基板100と同じ特性を有してもよい。可燃性コーティングマスクを有する基板200は、コーティング層210の少なくとも一部の上に適用されて仮保護層212を形成する仮保護材料(temporary protective material)をさらに含んでもよい。仮保護層212は、基板202全体の上に配置されてもよく、又は基板202の特定のセクション上に選択的に配置されてもよい。仮保護層212は、基板202上の最外層であってもよい。
【0049】
仮保護層212を形成するために使用される材料は、マスクコーティング層208を形成するために使用される前述の材料のいずれかを含んでもよい。仮保護層212は、マスクコーティング層208と比較して、これらの材料と同じものから形成されてもよいし、又は異なるものから形成されてもよい。
【0050】
図3Aを参照すると、いくつかの非限定的な実施形態による、可燃性コーティングマスクを有する基板300が示されている。可燃性コーティングマスクを有する基板300は、以下の点を除いて、図1Aに記載された可燃性コーティングマスクを有する基板100と同じ特性を有してもよい。図1Aに示すように、コーティング層110は、不均一な厚さを有してもよく、その結果、コーティング層110は、第2のセクション106上に第1の厚さを有し、第1のセクション104上に第2の厚さを有する。第1の厚さは、第2の厚さよりも厚くてもよい。第1の厚さ及び第2の厚さは、コーティング層110の表面が、コーティング層110全体にわたって基板102から実質的に同じ距離であるようなものであってもよい。図3Aの可燃性コーティングマスクを有する基板300が、図1Aの可燃性コーティングマスクを有する基板100と異なるのは、図3Aの可燃性コーティングマスクを有する基板300が、実質的に均一な厚さ(例えば、コーティング層310全体にわたって平均厚さの5%以内)を有するコーティング層310を有する点である。このようにして、コーティング層310の表面は、コーティング層310の特定のセクションにおいて、基板302から異なる距離である場合がある。例えば、図3Aに示すように、第1のセクション304上のコーティング層310の表面は、第2のセクション306上のコーティング層310の表面よりも、マスクコーティング層308の厚さだけ、基板302から遠い場合がある。
【0051】
図1B図2B図3Bを参照すると、可燃性コーティングマスクを使用して調製されたセグメント化された基板101、201、308が示されている。図1B図2B図3Bからのセグメント化された基板101、201、308は、図1A図2A図3Aからの可燃性コーティングマスクを有する基板100、200、300が、熱処理プロセスを経て、セグメント化された基板101、201、308を形成した後に、それぞれ対応するものである。熱処理プロセスは、マスクコーティング層及び/又は仮保護層を除去することができる。マスクコーティング層の上に配置されたコーティング層の一部は、熱処理プロセス中にその下のマスクコーティング層が除去される結果として、熱処理プロセス中に除去されてもよい。熱処理プロセスによってマスクコーティング層が除去されると、基板の第1のセクションが露出され得る。
【0052】
マスクコーティング層及び/又は仮保護層を形成するために使用される材料は、熱処理プロセスによって除去可能であるように「可燃性(burnable)」であってもよい。本開示で使用される場合、「可燃性」という用語は、基板から燃焼、蒸発、若しくは熱分解し、基板と相互作用し、又は基板(その上のコーティングを含む)の美観又は性能を実質的に損傷する(以下に定義する)材料を指す。可燃性材料は、少なくとも基板の温度が500℃~1000℃のときに、燃焼、蒸発、又は熱分解し得る。可燃性材料は、基板が熱処理プロセスから1000℃の温度に到達する前に(例えば、900℃、800℃、700℃、又は650℃の温度で)、燃焼、蒸発、又はその他の方法で熱分解することが想定される。熱処理プロセスは、1200℃まで(例えば、1100℃まで、1000℃まで、900℃まで、800℃まで、700℃まで、又は650℃まで)の温度を有する炉内で実施することができる。炉は、基板が640℃の温度に到達して、熱処理プロセス中に除去されるマスクコーティング層及び/又は仮保護層を焼失させるように、700℃の温度で動作することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、可燃性材料は、前述のように、焼戻し強化、熱強化、若しくは曲げなどの標準的な熱処理プロセスの間に、又は基板に悪影響を与えることなく可燃性材料を除去するために特別に実行される熱処理の間に除去されてもよい。いくつかの非限定的な例では、可燃性材料は、焼戻しオーブンが500℃~1000℃の範囲で動作する標準的な焼戻し手順の間に除去されてもよい。
【0053】
マスクコーティング層及び/又は仮保護層は、基板の第1のセクションを実質的に損傷することなく、熱処理プロセスによって除去可能であるように構成されてもよい。本明細書で使用される場合、「実質的に損傷する(”substantially damaging”)」とは、基板の第1のセクションの機能又は美観に対する有害な変化であって、基板の意図された目的に対して基板を受け入れられないものとするような基板特性の望ましくない任意の変化を構成するものと定義される。例えば、表面を実質的に損傷することには、熱処理プロセスからの表面への実質的な変色が含まれてもよい。加熱工程が標準的な手順の一部である他の用途では、損傷は、マスクコーティング層及び/又は仮保護層の存在による望ましくない色の変化として定義されてもよい。本明細書で使用される場合、実質的な変色とは、マスクコーティング層及び/又は仮保護層なしで処理された同様の基板の色と比較して、3単位を超える、2単位を超える、又は1単位を超える色の変化(DECMC)を意味する。DECMC(CIELAB)は、特に明記されていない限り、D65照明を備えた積分球を用い、ASTM指定:D2244-05に従って鏡面反射成分を含む10°オブザーバーにより、測定することができる。実質的な損傷の他の例には、表面粗さの変化、表面の酸化状態の変化、又は表面エネルギーの変化が含まれ、あるいはそれらによって引き起こされるものが含まれる。これらは、熱処理プロセス中のマスクコーティング層及び/又は仮保護層の存在、又は熱処理プロセス中のマスクコーティング層及び/又は仮保護層と基板との間の望ましくない反応によるものである。実質的な損傷には、機能性コーティング層への有害な変化(例えば、熱処理プロセス後に表面をもはや消毒しない抗菌機能性コーティング、熱処理プロセス後に疎水性を失う疎水性機能性コーティング、マスクコーティング層及び/又は仮保護層なしで加熱された基板と比較して、人間の目で識別できる機能性コーティンの色の変化(例えば、DECMC>3、2、又は1))が含まれ得る。
【0054】
図4を参照すると、いくつかの非限定的な実施形態による、セグメント化された基板401の平面図が示されている。セグメント化された基板401は、コーティング層410と共に露出された基板の第1のセクション404を含むことができ、コーティング層410は、基板401の第2のセクション上に配置されるが、基板の第1のセクション404上には配置されない。コーティング層410は、セグメント化された基板401の最外層として露出していてもよい。セグメント化された基板は、可燃性コーティングマスクを有する前述の基板のいずれかを提供する工程と、マスクコーティング層が第1のセクション404から除去され、それによって、そのマスクコーティング層の上に適用されたコーティング層も除去されるように、可燃性コーティングマスクを有する基板に熱処理を適用する工程と、によって調製することができる。熱処理はまた、前述の仮保護層のいずれかを除去することができる。
【0055】
その上に少なくとも1つの層を有する基板をセグメント化する方法は、可燃性コーティングマスクを有する前述の基板のいずれかを提供する工程と、マスクコーティング層及びマスクコーティング層上の機能性コーティングの一部が第1のセクションから除去されるように、可燃性コーティングマスクを有する基板を加熱する工程と、を含むことができる。加熱工程はまた、前述の仮保護層のいずれかを除去することができる。加熱工程は、前述の熱処理プロセスのいずれかを含んでもよい。
【0056】
その上に少なくとも1つの層を有するセグメント化された基板を調製する方法は、第1の表面と第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板を提供する工程を含むことができる。第1の表面は、第1のセクションと、第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する。第1の材料を、第1のセクション上に適用して、マスクコーティング層を形成してもよい。マスクコーティング層は、第2のセクション上には適用されない。機能性材料を、マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び第1の表面の第2のセクション上に適用して、コーティング層の機能性コーティング層を形成してもよい。マスクコーティング層を含む基板は、機能性コーティングを適用する前に、洗浄し、及び/又は所望の目的地に出荷することができる。第2の材料を、コーティング層の少なくとも一部の上に適用して、仮保護層を形成してもよい。第1の材料と第2の材料は、同じ材料であってもよいし、互いに異なる材料であってもよい。
【0057】
図5A図5Bを参照すると、いくつかの非限定的な実施形態による、透明体514(例えば、自動車の透明体)が示されている。透明体514は、第1の主表面518(No.1表面)と対向する第2の主表面520(No.2表面)とを有する第1のプライ516を含んでもよい。図示された非限定的な実施形態では、第1の主表面518は外側(例えば、太陽)に面し、すなわち、外側の主表面であり、第2の主表面520は内側に面している。透明体514はまた、外側(外側に近い)の第1の主表面524(No.3表面)と内側(第2)の主表面(No.4表面)とを有する第2のプライ522を含んでもよい。このプライ表面の番号付けは、自動車技術における従来の慣行と一致している。第1のプライ516及び第2のプライ522は、任意の適切な方法で一緒に結合することができ、第1のプライ516と第2のプライ522との間に従来の中間層530を含んでもよい。図5A図5Bに示すように、第1のプライ516又は第2のプライ522は、可燃性コーティングマスクを有する基板から調製されたセグメント化された基板501であってもよい。コーティング層510は、プライ516、522のうちの一方のプライ(例えば、その第2のセクション506)の少なくとも一部の上に形成されてもよく、例えば、No.3表面526の少なくとも一部の上(図5A)、又はNo.2表面520の少なくとも一部の上(図5B)に形成されてもよいが、これらに限定されない。機能性コーティング510はまた、必要に応じて、No.1表面上又はNo.4表面上にあってもよい。本明細書に記載の加熱工程及び曲げ工程の後、可燃性コーティングマスクはプライ516、522から焼失し、それによりプライ516、522の第1のセクションはコーティングを欠き、第2のセクションはコーティング510を保持する。
【0058】
透明体514は、(第1のプライ516及び/又は第2のプライ522として)可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程と、マスクコーティング層が第1のセクション504から除去されるように、基板に熱処理を適用する工程と、によって調製することができる。可燃性コーティングマスクを有する基板は、熱処理によって除去され得る仮保護層を含んでもよい。
【0059】
透明体514は、陸上、空中、宇宙、水上及び水中の車両のための透明体など、任意の所望の分野における透明体であってもよいが、これらに限定されるものではない。さらに、典型的な「透明体(transparency)」は、材料が透明体を通して見ることができるような十分な可視光透過率を有することができるが、本発明の実施において、「透明体」は、可視光に対して透明である必要はなく、半透明又は不透明であってもよい。
【0060】
いくつかの非限定的な例では、透明体514は、車両のフロントガラスであってもよい。車両は、検出器及び/又はセンサー(以下、総称して「センサー」と呼ぶ)(例えば、赤外線カメラ、LIDAR、雨検知器など)などの自動運転車両技術を利用することができる。センサーは、車両の内側に配置することができ、センサーによって放出される放射線又は他の感知機構は、透明体514を通って車両の外側に移動して、周囲を感知することができる。透明体514のコーティング層510の機能性コーティング層は、センサーによって放出される放射線を妨害し得るので、センサーは、そこから放出される放射線が、セグメント化された基板501の第1のセクション504を通過するように配置されてもよい。セグメント化された基板501の第1のセクション504は、コーティングされていないか、又はその上に、センサーの感知能力に影響を及ぼさないコーティングを有していてもよい。したがって、第1のセクション504は、車両内のセンサーの位置に基づいて、セグメント化された基板501上に選択的に配置されてもよい。これは、セグメント化された基板501が、可燃性コーティングマスクを除去するための熱処理プロセスの後に、車両内のセンサーの位置と互換性がある(センサーに悪影響を及ぼさない)ようにして、セグメント化された基板501が、第1のセクション504上に可燃性コーティングマスクを有する基板から調製され得ることを意味する。
【0061】
いくつかの非限定的な実施形態では、自動車の透明体を調製する方法は、前述のように、外側の第1の主表面及び対向する内側の第2の主表面を有する第1のプライを提供する工程と、可燃性コーティングマスクを有する第2のプライを提供する工程とを含んでもよい。あるいは、第1のプライは、前述のように可燃性コーティングマスクを有してもよい。第2のプライは、内側の第3の主表面と対向する外側の第4の主表面とを有し、第3の主表面は、第1のセクションと第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する。マスクコーティング層は、第1のセクション上にあってもよい。機能性コーティング層は、マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び第2のセクション上にあってもよい。
【0062】
この方法は、第1のプライ及び第2のプライを、第1のプライ及び第2のプライを曲げるのに十分な温度に加熱することを含んでもよい。第1のプライ又は第2のプライを加熱することは、マスクコーティング層が第1のセクションから除去されるような温度に第1のプライ又は第2のプライを加熱することを含んでもよい。その温度は、最大で1000℃であってもよい。
【0063】
第1のプライ及び第2のプライを曲げることは、第1のプライ及び第2のプライを一緒に曲げることを含んでもよい。第1のプライ及び第2のプライを曲げることは、第1のプライ及び第2のプライを別々に曲げることを含んでもよい。プライを曲げることは、加熱中に生じる場合がある。曲げられた第1のプライ及び曲げられた第2のプライは、自動車の透明体を形成するために2つのプライが典型的に結合される任意の方法で、自動車の透明体を形成するために互いに結合されてもよい。
【0064】
中間層は、第1のプライと第2のプライとの間に配置されてもよく、あるいは、中間層は、第1の曲げプライと第2の曲げプライとを接着する前、又は第1のプライが加熱されて曲げられた後、又は第2のプライが加熱されて曲げられた後、又は第1のプライと第2のプライが加熱されて曲げられた後、第1の曲げプライと第2の曲げプライとの間に配置されてもよい。中間層は、任意の所望の材料であってもよく、1つ又は複数の層又はプライを含むことができる。中間層は、例えば、ポリビニルブチラール、可塑化ポリ塩化ビニル、又はポリエチレンテレフタレートなどを含む多層熱可塑性材料などのポリマー又はプラスチック材料であってもよい。適切な中間層材料は、例えば、米国特許第4,287,107号及び第3,762,988号に開示されている。中間層は、第1及び第2のプライを一緒に固定し、エネルギー吸収を提供し、ノイズを低減し、積層構造の強度を向上させることができる。あるいは、第1及び第2のプライは、他の手段によって一緒に結合することができる。中間層はまた、例えば、米国特許第5,796,055号に記載されているように、吸音材料又は減衰材料であってもよい。中間層は、その上に提供されるか、若しくはその中に組み込まれる機能性コーティング層を有することができ、又は太陽エネルギー透過率を低減するため、及び/若しくは透明体に色を提供するために着色材料を含むことができる。1つの非限定的な実施形態では、中間層はポリビニルブチラールであってもよく、0.5mm~1.5mmの範囲の厚さ、例えば0.75mm~0.8mmの範囲の厚さを有してもよい(図5を参照)。
【0065】
本発明は、以下の条項の主題をさらに含む。
【0066】
条項1:可燃性コーティングマスクを有する基板であって、第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板;第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する前記第1の表面;前記第1のセクション上のマスクコーティング層であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上に配置されていない、マスクコーティング層;前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び前記第2のセクション上の機能性コーティング層;を含む、可燃性コーティングマスクを有する基板。
【0067】
条項2:機能性コーティング層の少なくとも一部の上に仮保護層をさらに含む、条項1の基板。
【0068】
条項3:基板がガラスシートを含む、条項1又は2の基板。
【0069】
条項4:マスクコーティング層が、基板と直接接触している、条項1~3のいずれかの基板。
【0070】
条項5:マスクコーティング層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン材料、エポキシド材料、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項1~4のいずれかの基板。
【0071】
条項6:マスクコーティング層が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、エポキシ官能性ポリマー材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項5の基板。
【0072】
条項7:仮保護層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項2~6のいずれかの基板。
【0073】
条項8:マスクコーティング層が、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、腐食防止剤、赤外線(IR)吸収剤、接着調整剤、UV吸収剤、顔料、界面活性剤、疎水性剤、又はそれらの組合せを含む追加の成分をさらに含む、条項1~7のいずれかの基板。
【0074】
条項9:マスクコーティング層が、最大で1000℃の温度で燃焼することによって除去可能である、条項1~8のいずれかの基板。
【0075】
条項10:マスクコーティング層が、第1のセクションに実質的な損傷を与えることなく熱処理プロセスによって除去可能であるように構成されている、条項1~9のいずれかの基板。
【0076】
条項11:機能性コーティング層の少なくとも一部の上に配置された保護層をさらに含む、条項1~10のいずれかの基板。
【0077】
条項12::保護層が、金属酸化物又は金属窒化物からなる群から選択される、条項11の基板。
【0078】
条項13:その上に層を有する基板をセグメント化する方法であって、
可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程であり、
第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板;
第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する前記第1の表面;
前記第1のセクション上のマスクコーティング層であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上に配置されていない、マスクコーティング層;
前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び前記第2のセクション上の機能性コーティング層;
を含む、可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程と、
前記可燃性コーティングマスクを有する基板を加熱する工程であり、前記マスクコーティング層と前記マスクコーティング層の上に配置された前記機能性コーティング層の一部とが前記第1のセクションから除去されるように、前記可燃性コーティングマスクを有する基板を加熱する工程と、
を含む。
【0079】
条項14:可燃性コーティングマスクを有する基板が、機能性コーティング層の少なくとも一部の上に仮保護層をさらに含み、前記熱処理が機能性コーティング層から仮保護層を除去する、条項13の方法。
【0080】
条項15:基板がガラスシートを含む、条項13又は14の方法。
【0081】
条項16:マスクコーティング層が、基板と直接接触している、条項13~15のいずれかの方法。
【0082】
条項17:マスクコーティング層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン材料、エポキシド材料、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項13~16のいずれかの方法。
【0083】
条項18:マスクコーティング層が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、エポキシ官能性ポリマー材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項17の方法。
【0084】
条項19:仮保護層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項14~18のいずれかの方法。
【0085】
条項20:マスクコーティング層が、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、腐食防止剤、赤外線(IR)吸収剤、接着調整剤、UV吸収剤、顔料、界面活性剤、疎水性剤、又はそれらの組合せを含む追加の成分をさらに含む、条項13~19のいずれかの方法。
【0086】
条項21:加熱工程が、可燃性コーティングマスクを有する基板を最大で1000℃の温度で加熱することを含む、条項13~20のいずれかの方法。
【0087】
条項22:機能性コーティング層の少なくとも一部の上に配置された保護層をさらに含む、条項13~21のいずれかの方法。
【0088】
条項23:保護層が、金属酸化物又は金属窒化物からなる群から選択される、条項22の方法。
【0089】
条項24:マスクコーティング層が、第1のセクションに実質的な損傷を与えることなく、熱処理によって除去可能であるように構成されている、条項13~23のいずれかの方法。
【0090】
条項25:その上に層を有するセグメント化された基板を調製する方法であって、
第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板を提供する工程であり、前記第1の表面が、第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する、基板を提供する工程と、
マスクコーティング層を形成するために、前記第1のセクション上に材料を適用する工程であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上には適用されない、
材料を適用する工程と、
機能性コーティング層を形成するために、前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び前記第2のセクション上に機能性コーティング層を適用する工程と、
を含む。
【0091】
条項26:仮保護層を形成するために、機能性コーティング層の少なくとも一部の上に第2の材料を適用する工程を、さらに含む、条項25の方法。
【0092】
条項27:基板がガラスシートを含む、条項25又は26の方法。
【0093】
条項28:マスクコーティング層が、基板と直接接触している、条項25~27のいずれかの方法。
【0094】
条項29:マスクコーティング層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン材料、エポキシド材料、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項25~28のいずれかの方法。
【0095】
条項30:マスクコーティング層が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、エポキシ官能性ポリマー材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項29の方法。
【0096】
条項31:仮保護層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項26~30のいずれかの方法。
【0097】
条項32:マスクコーティング層が、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、腐食防止剤、赤外線(IR)吸収剤、接着調整剤、UV吸収剤、顔料、界面活性剤、疎水性剤、又はそれらの組合せを含む追加の成分をさらに含む、条項25~31のいずれかの方法。
【0098】
条項33:最大で1000℃の温度で可燃性コーティングマスクを有する基板に熱処理を適用する工程を、さらに含む、条項25~32のいずれかの方法。
【0099】
条項34:マスクコーティング層が、第1のセクションに実質的な損傷を与えることなく、熱処理によって除去可能であるように構成されている、条項25~33のいずれかの方法。
【0100】
条項35:機能性コーティング層の少なくとも一部の上に配置された保護層をさらに含む、条項25~34のいずれかの方法。
【0101】
条項36:保護層が、窒化ケイ素、Si、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化スズ、それらの混合物、及びそれらの合金からなる群から選択される、条項35の方法。
【0102】
条項37:第2の材料が前記の材料と異なる、条項25~36のいずれかの方法。
【0103】
条項38:第2の材料が前記の材料と同じである、条項25~36のいずれかの方法。
【0104】
条項39:以下の工程によって調製されるセグメント化された基板:
可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程であり、
第1の表面と前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板;
第1のセクションと前記第1のセクションに隣接する第2のセクションとを有する前記第1の表面;
前記第1のセクション上のマスクコーティング層であり、前記マスクコーティング層は前記第2のセクション上に配置されていない、マスクコーティング層;
前記マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び前記第2のセクション上の機能性コーティング層;
を含む、可燃性コーティングマスクを有する基板を提供する工程と、
前記可燃性コーティングマスクを有する基板を加熱する工程であり、前記マスクコーティング層と前記マスクコーティング層の上に配置される前記機能性コーティングの一部とが前記第1のセクションから除去されるように、前記可燃性コーティングマスクを有する基板を加熱する工程。
【0105】
条項40:可燃性コーティングマスクを有する基板が、機能性コーティング層の少なくとも一部の上に仮保護層をさらに含み、前記熱処理が仮保護層を除去する、条項41のセグメント化された基板。
【0106】
条項41:基板がガラスシートを含む、条項39又は40のセグメント化された基板。
【0107】
条項42:マスクコーティング層が、基板と直接接触している、条項39~41のいずれかのセグメント化された基板。
【0108】
条項43:マスクコーティング層がワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン材料、エポキシド材料、ポリ尿素材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項39~42のいずれかのセグメント化された基板。
【0109】
条項44:マスクコーティング層が、ポリ乳酸(PLA)ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、水性ポリウレタン、2成分系から形成されるポリウレタン、エポキシ官能性ポリマー材料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項43のセグメント化された基板。
【0110】
条項45:仮保護層が、ワックス、有機油、(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、条項40~44のいずれかのセグメント化された基板。
【0111】
条項46:マスクコーティング層が、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、腐食防止剤、赤外線(IR)吸収剤、接着調整剤、UV吸収剤、顔料、界面活性剤、疎水性剤、又はそれらの組合せを含む追加の成分をさらに含む、条項39~45のいずれかのセグメント化された基板。
【0112】
条項47:熱処理が、可燃性コーティングマスクを有する基板を最大で1000℃の温度で加熱することを含む、条項39~46のいずれかのセグメント化された基板。
【0113】
条項48:マスクコーティング層が、第1のセクションに実質的な損傷を与えることなく、熱処理によって除去可能であるように構成されている、条項39~47のいずれかのセグメント化された基板。
【0114】
条項49:機能性コーティング層の少なくとも一部の上に配置された保護層をさらに含む、条項39~48のいずれかのセグメント化された基板。
【0115】
条項50:保護層が、窒化ケイ素、Si、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化スズ、それらの混合物、及びそれらの合金からなる群から選択される、条項49の方法。
【0116】
条項51:自動車の透明体を調製する方法であって、
No.1表面とNo.1の表面の反対側のNo.2表面とを有する第1のプライを提供する工程と、
No.3表面とNo.3表面の反対側のNo.4表面とを有する第2のプライを提供する工程と、
No.1表面、No.2表面、No.3表面又はNo.4表面の第1のセクションに可燃性コーティングマスクを適用する工程であり、可燃性コーティングマスクは、No.1表面、No.2表面、No.3表面又はNo.4表面の第2のセクションには適用されない、可燃性コーティングマスクを適用する工程と、
マスクコーティング層の少なくとも一部の上及び第2のセクション上に機能性コーティング層を適用する工程と、
同時に又は別々に、第1のプライと第2のプライを加熱する工程と、
自動車の透明体を形成するために、第1のプライと第2のプライを互いに結合する工程と、
を含む、方法。
【0117】
条項52:同時に又は別々に、第1のプライを曲げる工程及び第2のプライを曲げる工程を、さらに含む、条項51の方法。
【0118】
条項53:第1のプライと第2のプライが別々に加熱される、条項51又は52の方法。
【0119】
条項54:第1のプライ及び第2のプライが別々に曲げられる、条項52又は条項53の方法。
【0120】
条項55:第1のプライと第2のプライとの間に中間層を配置する工程を、さらに含む、条項51~54のいずれかの方法。
【0121】
条項56:第2のプライを加熱する工程が、マスクコーティング層とマスクコーティング層の上に配置された機能性コーティングの一部とが第1のセクションから除去されるような温度に、第2のプライを加熱することを含む、条項51~条項55のいずれかの方法。
【0122】
条項57:温度が最大で1000℃である、条項56の方法。
【0123】
条項58:自動車の透明体を調製する方法であって、
第1の主表面と第1の主表面の反対側の第2の主表面とを有するプライを提供する工程であり、第1の主表面は、第1のセクションと第1のセクションに隣接する第2のセクションとを含み、マスクコーティング層は、第1のセクション上に配置され、マスクコーティング層は、第2のセクション上には配置されておらず、機能性コーティング層は、マスクコーティング層の一部の上及び第2のセクション上に配置される、プライを提供する工程と、
プライを加熱する工程であり、それにより、マスクコーティング層とマスクコーティング層の上に配置された機能性コーティング層の一部とが第1のセクションから除去される、プライを加熱する工程と、
プライを曲げる工程と、
を含む。
【0124】
条項59:温度が最大で1000℃である、条項58の方法。
【0125】
以下の実施例は、本開示の本発明の一般的な原理を実証するために提示されている。本発明は、提示された特定の例に限定されるものとみなされるべきではない。
【実施例
【0126】
以下の手順に従って、マスクコーティング層を含むコーティングされた基板を調製した。12”×12”で厚さ6mmの透明なガラス基板を用意した。このガラス基板を工業用洗浄機で洗浄した。エポキシアクリレートUV硬化性樹脂を、成分の比率が50:50になるまでアセトンで希釈した。希釈したエポキシアクリレートUV硬化性樹脂を、スポイトを用いてガラス基板の表面に小領域だけ添加した。希釈したエポキシアクリレートUV硬化性樹脂の小領域を放置して乾燥させた後、250~300mJ/cmのエネルギー密度の紫外線を用いて硬化させてマスクコーティング層を作製した。マスクコーティング層の厚さは7~10μmの範囲であった。次いで、マスクコーティング層付きガラス基板を工業用洗浄機で再度洗浄した。洗浄後、マスクコーティング層付きガラス基板をパイロットコーターに配置し、Solarban(登録商標)60VT ダブルシルバー機能性コーティングをガラス基板とマスクコーティング層の上に堆積し、コーティングされた基板を作製した。次いで、コーティングされた基板を、700℃(1292°F)の温度に設定されたボックス炉に入れた。コーティングされた基板を、約1,180°F(約640℃)のガラス温度に達するまで、ボックス炉内で加熱した。次いで、コーティングされた基板をボックス炉から取り出し、室温(すなわち、20~30℃の間)まで放冷した。図6は、コーティングされた基板をボックス炉から取り出して、室温まで冷却した後に撮影されたコーティングされた基板の顕微鏡写真である。図6に示すように、機能性コーティングの下のマスクコーティング層を含む領域(すなわち、底部及び左側の領域)を、ボックス炉での加熱中に除去した。マスクコーティング層を含む領域の外側(すなわち、上部及び右側の領域)では、機能性コーティングは無傷のままであった。マスクコーティング層を含むコーティングされた基板の領域とマスクコーティング層を含まない領域との間の境界に、少量の破片が見られる。コーティングされた基板を工業用洗浄機で洗浄して、加熱後に残ったマスクコーティング層及び/又は機能性コーティングの残りの破片を除去した。したがって、この実施例は、基板の第1の領域上に機能性コーティングを含み、基板の第2の領域上に機能性コーティングを含まないコーティングされた基板を作製する本発明の能力を効果的に実証するものである。
【0127】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられているものに基づいて例示する目的で詳細に説明してきたが、そのような詳細はその目的のためだけであり、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び均等な構成を網羅することを意図していることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ以上の特徴を、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを企図していることを理解されたい。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6