(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】セル及びその製造のための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240527BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240527BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240527BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240527BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/107
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2022089240
(22)【出願日】2022-05-31
【審査請求日】2022-05-31
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】317008263
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・エルマー
(72)【発明者】
【氏名】フィーリップ・レンシュラー
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-077525(JP,A)
【文献】特開2006-222012(JP,A)
【文献】特表2016-518006(JP,A)
【文献】特開平09-045361(JP,A)
【文献】特開2012-124141(JP,A)
【文献】特開2006-324074(JP,A)
【文献】特開2007-026844(JP,A)
【文献】特表2016-530742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/05-10/0587
H01M 50/107-50/184
H01M 10/42
H01M 10/48
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを貯蔵できる電気化学セル(100)であって、
電気化学セル(100)が、
- 内部空間を包囲するハウジング(101)、及び
- 内部空間に配置されかつ少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターから形成される複合体(102)
を含み、
電気化学セル(100)が、RFIDトランスポンダー(103)を備え、そのメモリーが、電気化学セル(100)についてのデータを含み、複合体(102)が、円筒形巻線であり、その中で少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であり、かつ螺旋巻きされており、複合体(102)が、軸方向空洞(104)を含み、RFIDトランスポンダー(103)が、軸方向空洞(104)に配置されており、RFIDトランスポンダー(103)が、巻芯の形態又は巻芯の一部であ
り、RFIDトランスポンダー(103)が、アンテナ及び電子回路を含み、電子回路がデータメモリーを含み、アンテナ及び電子回路が1ミリメートル以下の厚さの軟質の箔の上に配置されており、RFIDトランスポンダー(103)が、巻き上げられている、電気化学セル。
【請求項2】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを有する、請求項1に記載の電気化学セル:
(a)データが、電気化学セルの明確な識別を可能にする、
(b)データが、電気化学セルの製造に使用された機械への電気化学セルの割り当てを可能にする、
(c)データが、電気化学セル(100)の構成要素について、特に複合体(102)及び/又は少なくとも二つの電極についての情報を含む。
【請求項3】
エネルギーを貯蔵できる電気化学セル(100)を製造するための方法であって、
電気化学セル(100)が、
- 内部空間を包囲するハウジング(101)、及び
- 内部空間に配置されかつ少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターから形成される複合体(102)
を含み、
電気化学セル(100)が、製造時にRFIDトランスポンダー(103)を備え、そのメモリーが、電気化学セル(100)についてのデータを含み、少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であ
り、RFIDトランスポンダー(103)が、アンテナ及び電子回路を含み、電子回路がデータメモリーを含み、アンテナ及び電子回路が1ミリメートル以下の厚さの軟質の箔の上に配置されており、RFIDトランスポンダー(103)が、巻き上げられている場合において、方法が、
RFIDトランスポンダー(103)を、巻芯の形態又は巻芯の一部として与えること、及び
少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターを巻芯の上に螺旋巻きして複合体(102)を形成させ、RFIDトランスポンダー(103)が軸方向空洞(104)に配置された円筒形巻線を与えること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される本発明は、エネルギーを貯蔵できる電気化学セル、及びかかる電気化学セルを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーを貯蔵できる電気化学セルは、酸化還元反応によって貯蔵されたエネルギーを電気エネルギーに変換することができる。それらは、一般にセパレーターによって互いに分離される正極及び負極を含む。放電中、電子は、酸化プロセスによって負極で放出される。これは、電気化学セルがエネルギー供給源として作用する外部の電気負荷によってタップオフされることができる電流をもたらす。同時に、電極反応に相当するイオン流が、セル内で生じる。前記イオン流は、セパレーターを横切り、イオン伝導電解質によって実現される。
【0003】
もし放電が可逆的であるなら、即ち放電中に起こった化学エネルギーの電気エネルギーへの変換を逆転し、従ってセルを充電することができるなら、セルは、二次セルと称される。アノードとしての負極、及びカソードとしての正極の設計は、二次セルについて一般的であるように、電気化学セルの放電機能に基づく。
【0004】
広く行きわたっているリチウムイオン二次セルは、リチウムの使用に基づき、それは、イオンの形態でセルの電極間を行ったり来たり移動することができる。リチウムイオンセルは、高エネルギー密度を特徴とする。
【0005】
リチウムイオンセルの負極及び正極は、一般にいわゆる複合電極であり、それは、電気化学的に活性の構成要素(特に、リチウムイオンを可逆的に挿入及び脱離することができる構成要素)だけでなく、電気化学的に不活性の構成要素(電気伝導材料、電極結合剤、電流コレクター)も含む。リチウムイオンセルの製造中、複合電極は、一つ以上のセパレーターと組み合わされて複合体を形成する。ここで、電極及びセパレーターは、圧力の付与あり又はなしで一緒に接合される。
【0006】
多くの実施形態では、複合体は、多数の複合体が積み重ねられることができるように設計されるにすぎない。かかる複合体は、一般に矩形の電極とセパレーターを使用することによって形成される。しかしながら、複合体が巻線の形態で形成されるか、又は巻線を形成するように加工されることが極めて一般的である。これは、テープ形状の電極及びセパレーターを要求する。それが巻かれているか否かにかかわらず、複合体は、一般に正極/セパレーター/負極の順序を含む。いわゆるバイセルの形態の複合体は、一般に負極/セパレーター/正極/セパレーター/負極又は正極/セパレーター/負極/セパレーター/正極の可能な順序で製造される。
【0007】
複合体電極は、電極結合剤及びおそらく電気伝導性材料だけでなく、粒子形態の電気化学的に活性な構成要素(活性材料としても言及されることが多い)も含むペースト状電極材料の平坦な層を好適な電流コレクターに適用し、次いでそれを乾燥することによって製造されることが一般的である。電極材料は、電流コレクターの両側に付与されることが好ましい。製造に関して、これは、通常、実質的に連続するテープとして電流コレクターを与えることによって実現され、それは、次いで被覆装置を通過し、被覆装置は、間欠的な被覆を通して、走行方向に規定された間隔で中断された堆積被覆を電流コレクターに与える。従って、被覆装置から出る電流コレクターは、走行方向に被覆された区域と被覆されていない区域を交互に含むことが好ましい。
【0008】
電流コレクターテープは、テープを被覆されていない区域で切断することによって分離されることができる。もし必要なら、電流コレクターテープはさらに、ストリップに切断されることができる。かくして被覆された区域の各々から製造されることができるものは、二つ以上の個々の電極である。
【0009】
かくして製造された電極が例えば巻き上げ機で巻き上げられることによって複合体を形成するように加工された後、それらは、ハウジングに移される。セルの基本的機能は、次いで複合体に電解質を含浸することによって確立されることができる。かくして形成されたセルは、次いで、機能及び性能試験を受けることができる。
【発明の概要】
【0010】
セルの品質にとって特に重要なものは、製造された電極が欠陥を有さないことである。欠陥のある電極の使用は、それで構築されたセルが拒絶品として分類されなければならないことを意味する。複合体の製造の場合には、セルの機能を損なう欠陥も起こりうる。
【0011】
少なくとも電気化学セルの最も関連する構成要素について起こりうる欠陥及び許容差をできるだけ早く検出することができ、欠陥を有するか又は許容外の構成要素をできるだけ早く理想的に分類することができることが望ましいだろう。これは、製造チェーンにおける構成要素のトレーサビリティ、及び当然、明確な識別の対応する可能性を要求するだろう。現在、電気化学セルの個々の構成要素は、最良の場合、バッチに割り当てられることができる。特に、セルの個々の構成要素をそれらが製造された製造機械に割り当てることができることが重要であるだろう。
【0012】
これらの課題を解決するため、請求項1の特徴を有するセル、及び請求項7の特徴を有する方法が提案される。セル及び方法のさらに好ましい実施形態は、従属請求項から明らかであるだろう。
【0013】
本発明は、少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターから形成された複合体を含む、エネルギーを貯蔵できる電気化学セルを提供する。それゆえ、本発明によるセルは、以下のものを含む:
- 内部空間を包囲し、かつ好ましくは二つ以上のハウジング部品から構成されるハウジング、及び
- 内部空間に配置され、かつ少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターから形成される複合体。
【0014】
本発明によれば、セルは、RFIDトランスポンダーを備え、そのメモリーは、セルについての情報を含む。
【0015】
メモリーに加えて、RFIDトランスポンダーは、アンテナ、及びデータを送受信するためのアナログ回路(送信器)を含むことが好ましい。さらに、RFIDトランスポンダーは、デジタル回路を含むことが好ましく、それは、任意選択的に小さなマイクロコントローラーであることができる。
【0016】
メモリーは、永久メモリー、即ち変更不可能なメモリーであることができる。しかしながら、一部の実施形態では、メモリーは、データの変更及び/又は情報の追加が可能な書き換え可能なメモリーであることができる。
【0017】
好ましくは、RFIDトランスポンダーは、パッシブトランスポンダーであり、それは、そのアンテナによって高周波エネルギーを受けとり、それを電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーをトランスポンダーの残りの構成要素に出力することができる。しかしながら、一部の実施形態では、トランスポンダーはまた、アクティブRFIDトランスポンダーであることができ、その構成要素は、電気化学セルから電気エネルギーを供給される。本ケースでは、トランスポンダーは、この目的のために複合体の電極に電気的に接続されることができる。
【0018】
本発明によるセルは、最初に述べたように電極材料で被覆された電流コレクターから構成される複合電極を含むリチウムイオン二次セルであることが好ましい。複合体では、電極は、正極/セパレーター/負極の順序で配置される。
【0019】
セルのアノード及びカソードのために使用される活性材料は、リチウムイオン二次セルのために知られた基本的に全ての電気化学的に活性な構成要素であることができる。
【0020】
負極では、使用される活性材料は、好ましくは粒子形態で、リチウムを挿入することができるグラファイトカーボン又はノングラファイトカーボン材料のようなカーボンベースの粒子であることができる。さらに、リチウムと合金化可能な金属及び半金属材料もまた、使用することができる。例えば、スズ、アルミニウム、アンチモン及びケイ素の元素は、リチウムと金属間化合物相を形成することができる。
【0021】
ケイ素、アルミニウム、スズ及び/又はアンチモンの幾つかの化合物はまた、リチウムを可逆的に取り入れ、放出することができる。例えば、一部の好ましい実施形態では、酸化物形態のケイ素は、負極に含有させることができる。代替的に又は追加的に、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)又はその誘導体はまた、負極に、好ましくは粒子形態で含有させることができる。
【0022】
正極について、可能な活性材料は、例えばリチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属リン酸塩化合物、例えば、LiCoO2及びLiFePO4である。追加して特に好適なものは、特に分子式LiNixMnyCozO2(式中、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、分子式LiMn2O4を有するリチウムマンガンスピネル(LMO)、又は分子式LiNixCoyAlzO2(式中、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)である。その誘導体、例えば分子式Li1.11(Ni0.40Mn0.39Co0.16Al0.05)0.89O2を有するリチウムニッケルマンガンコバルトアルミニウム酸化物(NMCA)、又はLi1+xM-O化合物及び/又は上述の材料の混合物も使用することができる。
【0023】
活性材料は、電極結合剤から構成されるマトリックスに埋め込まれることが好ましく、マトリックス中の隣接粒子は、互いに直接接触していることが好ましい。慣習的な電極結合剤は、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリレート、又はカルボキシメチルセルロースに基づく。
【0024】
さらに、電気伝導性材料は、電極に加えられることができる。電気伝導性材料は、電極の電気伝導性を高めるために役立つ。慣習的な電気伝導性材料は、カーボンブラック及び金属粉末である。
【0025】
完成したセルでは、複合体は、電解質、好ましくは有機溶媒(例えば有機炭酸塩の混合物又はニトリル又はTHFのような環状エーテル)に溶解されたリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)のような少なくとも一種のリチウム塩に基づく電解質で含浸されることが好ましい。他の使用可能なリチウム塩は、例えばリチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及びリチウムビス(オキサラート)ボレート(LiBOB)である。
【0026】
電流コレクターは、電極材料に含有される電気化学的に活性な構成要素をできるだけ大きい面積にわたって電気的に接触するのに役立つ。好ましくは、電流コレクターは、金属からなるか、又は少なくとも表面をメタライズ化される。アノード電流コレクターのために好適な金属は、例えば銅又はニッケル又は他の電気伝導性材料、特に銅及びニッケル合金又はニッケル被覆金属である。ステンレス鋼も原理的に可能である。カソード電流コレクターのために好適な金属は、例えばアルミニウム又は他の電気伝導性材料、特にアルミニウム合金である。
【0027】
好ましくは、例えば4μm~30μmの範囲の厚さを有する金属箔が、アノード電流コレクターとして、及び/又はカソード電流コレクターとしてそれぞれ使用される。
【0028】
しかしながら、電流コレクターは、金属箔以外に、金属又はメタライズ化不織布又は開放気孔フォーム又は拡張金属のような他の基材も使用可能である。
【0029】
セパレーターは、例えば電気絶縁性のプラスチックフィルムを使用することができる。電解質がそれを通過できるように、セパレーターは、微細孔を含むことが好ましい。フィルムは、例えばポリオレフィン又はポリエーテルケトンから形成されることができる。かかるプラスチック材料又は同種プラスチック材料から構成される不織布及び織布がセパレーターとして使用されることができることは除外されない。
【0030】
本発明によるセル、特に本発明によるリチウムイオンセルは、ボタンセルであることができる。ボタンセルは、円筒形であり、その直径より小さい高さを有する。好ましくは、製造されるボタンセルの高さは、4mm~15mmの範囲である。さらに、ボタンセルは、5mm~25mmの範囲の直径を有することが好ましい。ボタンセルは、例えば腕時計、補聴器、ワイヤレスヘッドホンのような小さい電子装置に電気エネルギーを供給するために好適である。
【0031】
ボタンセルの形態の本発明によるリチウムイオンセルの公称容量は、一般に1500mAhまでである。公称容量は、好ましくは100mAh~1000mAh、特に好ましくは100~800mAhの範囲であることが好ましい。
【0032】
特に好ましくは、本発明によるセル、特に本発明によるリチウムイオンセルは、円筒形の丸いセルである。円筒形の丸いセルは、その直径より大きい高さを有する。それらは、自動車セクターにおける用途のために、e-バイク又は高いエネルギー需要を有する他の用途のために特に好適である。
【0033】
本発明による円筒形の丸いセルの高さは、15mm~150mmの範囲であることが好ましい。円筒形の丸いセルの直径は、10mm~60mmの範囲であることが好ましい。これらの範囲内では、例えば18×65(直径×高さ(mm))又は21×70(直径×高さ(mm))の形態が好ましい。
【0034】
これらの形態を有する円筒形の丸いセルは、電気駆動の自動車に電力を供給するために特に好適である。
【0035】
本発明によるリチウムイオンベースの円筒形の丸いセルの公称容量は、90000mAhまでであることが好ましい。21×70の形態では、リチウムイオンセルとして実現されたセルは、好ましくは1500mAh~7000mAh、特に好ましくは3000mAh~5500mAhの範囲の公称容量を有する。18×65の形態では、リチウムイオンセルとして実現されたセルは、好ましくは1000mAh~5000mAh、特に好ましくは2000mAh~4000mAhの範囲の公称容量を有する。
【0036】
欧州連合では、二次電池の公称容量に関するデータに関して製造者のスペックは、厳しく制限されている。例えば、二次ニッケル-カドミウム電池の公称容量についてのデータは、標準規格IEC/EN 61951-1及びIEC/EN 60622に従った測定に基づかなければならず、二次ニッケル水素電池の公称容量についてのデータは、標準規格IEC/EN 61951-2に従った測定に基づかなければならず、二次リチウム電池の公称容量についてのデータは、IEC/EN 61960に従った測定に基づかなければならず、二次鉛酸電池の公称容量についてのデータは、IEC/EN 61056-1に従った測定に基づかなければならない。本願における公称容量についてのいかなるデータも、これらの標準規格に基づくことが好ましい。
【0037】
本発明によるセルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(c)の少なくとも一つを特徴とすることが好ましい:
(a)データが、電気化学セルの明確な識別を可能にする、
(b)データが、電気化学セルの製造に使用された機械への電気化学セルの割り当てを可能にする、
(c)データが、電気化学セルの構成要素について、特に複合体及び/又は少なくとも二つの電極についての情報を含む。
【0038】
好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(c)は、組み合わせて実現される。
【0039】
四つの特に好ましい変形例があり、それらによれば、本発明によるセルは、RFIDトランスポンダーを備えることができる。
【0040】
変形例1によれば、セルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(d)の少なくとも一つを有する:
(a)複合体が、円筒形巻線であり、その中で少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であり、かつ螺旋巻きされている、
(b)複合体が、軸方向空洞を含む、
(c)RFIDトランスポンダーが、軸方向空洞に配置されている、
(d)RFIDトランスポンダーが、巻芯の形態又は巻芯の一部である。
【0041】
好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(c)は、組み合わせて実現される。特に好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(d)は、組み合わせて実現される。
【0042】
変形例2によれば、セルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(c)の少なくとも一つを有する:
(a)複合体が、円筒形巻線であり、その中で少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であり、かつ螺旋巻きされている、
(b)RFIDトランスポンダーが、接着ストリップに一体化されるか、又は接着ストリップの上に配置され、その接着ストリップが、外面の上で巻線に接着される、
(c)巻線が、接着ストリップによって一緒に保持される。
【0043】
好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)及び(b)は、組み合わせて実現される。特に好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(c)は、組み合わせて実現される。
【0044】
変形例3によれば、セルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(c)の少なくとも一つを有する:
(a)ハウジングが、円筒形金属ハウジングであり、円筒形金属ハウジングが、円周側方ハウジング面と、その端面に円形底及び蓋を含む、
(b)円形底及び/又は円周側方ハウジング面が、それらの外面の上で電気絶縁層によってカバーされる、
(c)RFIDトランスポンダーが、円形底と電気絶縁層の間又は円周側方ハウジング面と電気絶縁層の間に配置されるか、又は電気絶縁層に一体化される。
【0045】
好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(c)は、組み合わせて実現される。
【0046】
変形例4によれば、セルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(c)の少なくとも一つを有する:
(a)ハウジングが、円筒形金属ハウジングであり、円筒形金属ハウジングが、円周側方ハウジング面と、その端面に円形底及び蓋を含む、
(b)RFIDトランスポンダーが、電気絶縁リングに一体化されるか、又はリングの形であり、リングが、蓋の上に配置される、
(c)リングが、円周側方ハウジング面に付与される熱収縮管によって蓋の上に固定される。
【0047】
好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(c)は、組み合わせて実現される。
【0048】
変形例の各々は、特定の利点と関連し、それは、以下に記載される例示的な実施形態と関連してより詳細に記載されるだろう。
【0049】
本発明による方法は、以下のものを含む、エネルギーを貯蔵できる電気化学セルの製造のために役立つ:
- 内部空間を包囲するハウジング、及び
- 内部空間に配置されかつ少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターから形成される複合体。
【0050】
本発明によれば、セルは、製造時にRFIDトランスポンダーを備え、そのメモリーは、セルについての情報を含む。
【0051】
上記の変形例1によるセルを製造するための本発明による方法は、すぐ下の特徴(a)~(c)を含むことが好ましい:
(a)複合体が、円筒形巻線であり、その中で少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であり、かつ螺旋巻きされている、
(b)複合体が、軸方向空洞を含む、
(c)RFIDトランスポンダーが、軸方向空洞に配置されている。
【0052】
上記の変形例1によるセルを製造するための本発明による方法のさらに好ましい実施形態では、それは、すぐ下の特徴(a)及び(b)を含む:
(a)RFIDトランスポンダーが、巻芯の形態又は巻芯の一部である、
(b)少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であり、かつ巻芯の上に螺旋巻きされて複合体を形成し、円筒形巻線を与える。
【0053】
上記の変形例2によるセルを製造するための本発明による方法は、すぐ下の特徴(a)~(c)を含むことが好ましい:
(a)少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターが、テープ形状であり、かつ螺旋巻きされて複合体を形成し、円筒形巻線を与える。
(b)円筒形巻線が、接着ストリップによって一緒に保持され、接着ストリップが、外面の上で円筒形巻線に接着される、
(c)RFIDトランスポンダーが、接着ストリップに一体化されるか、又は接着ストリップの上に配置される。
【0054】
上記の変形例3によるセルを製造するための本発明による方法は、すぐ下の特徴(a)~(c)を含むことが好ましい:
(a)ハウジングが、円筒形金属ハウジングであり、円筒形金属ハウジングが、円周側方ハウジング面と、その端面に円形底及び蓋を含む、
(b)円形底及び/又は円周側方ハウジング面が、それらの外面の上で電気絶縁層によってカバーされる、
(c)RFIDトランスポンダーが、円形底と電気絶縁層の間又は円周側方ハウジング面と電気絶縁層の間に配置されるか、又は電気絶縁層に一体化される。
【0055】
上記の変形例4によるセルを製造するための本発明による方法は、すぐ下の特徴(a)~(c)を含むことが好ましい:
(a)ハウジングが、円筒形金属ハウジングであり、円筒形金属ハウジングが、円周側方ハウジング面と、その端面に円形底及び蓋を含む、
(b)RFIDトランスポンダーが、電気絶縁リングに一体化されるか、又はリングの形であり、リングが、蓋の上に配置される、
(c)リングが、円周側方ハウジング面に付与される熱収縮管によって蓋の上に固定される。
【0056】
本発明によるセルのRFIDタグに基本的に記憶可能なものは、読みとりでき、必要により接触せずに補正又は補充されることができる情報である。特にRFIDタグがセルハウジングの内側に位置される実施形態では、情報が保護される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明のさらなる利点及び態様は、図面に基づいて以下に明瞭にされる本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の記述及び請求の範囲から明らかであるだろう。
【0058】
【
図1】
図1は、本発明によるセルのための複合体の一実施形態を概略的に示す(正面の斜め上から見た図)。
【
図2】
図2は、本発明の文脈において使用するために特に好適なRFIDトランスポンダーを概略的に示す(正面の斜め上から見た図)。
【
図3】
図3は、本発明によるセルのための複合体のさらに可能な実施形態を概略的に示す(正面の斜め上から見た図)。
【
図4】
図4は、本発明によるセルの一実施形態を概略的に示す(断面図)。
【
図5】
図5は、本発明によるセルのさらなる実施形態を概略的に示す(断面図)。
【
図6】
図6は、本発明によるセルのさらなる実施形態を概略的に示す(断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、円筒形の巻線である複合体102を示し、そこには少なくとも二つの電極及び少なくとも一つのセパレーターがテープ形状で螺旋巻きされている。複合体102は、上端面102a及び下端面102b、さらに外側側方複合体面102cを有する。上端面102aから出ているのは、電気伝導体105であり、それは、例えば正極に結合される。下端面102bから出ているのは、電気伝導体106であり、それは、例えば負極に結合される。
【0060】
複合体102は、その中心に、軸方向空洞104を含む。そこに配置されているのは、RFIDトランスポンダー103であり、それは、例えば複合体102の電極についての情報を与えることができる。
【0061】
図2は、支持体107上に配置されたパッシブRFIDトランスポンダー103を示す。それは、アンテナ103b、及びデータメモリーも含む回路103aを含む。支持体107は、例えば箔であることができる。特別な実施形態では、箔は、裏面に接着剤の層を有する接着箔であることができる。かかる実施形態におけるトランスポンダーは、1ミリメートル以下のウエルの厚さで得られる。それは、例えば軸Aのまわりにそれらを螺旋状に巻き上げることが容易に可能である。巻き上げられた形態では、かかるトランスポンダーは、例えば
図1に示された複合体102の軸方向空洞104中に押し入れられることができる。しかしながら、巻芯として巻き上げられたトランスポンダー103を使用すること、例えば巻き上げられたトランスポンダー103上で電極及びセパレーターを巻き上げることによって
図1に示された複合体102を形成することも可能である。
【0062】
図3は、本発明によるセルのためのさらなる複合体102を示す。それは、同様にテープ形状の電極及びセパレーターから製造された円筒形巻線の形態であり、それは、上端面102a及び下端面102b、さらに外側側方複合体面102cを有する。かかる螺旋状に巻き上げられた巻線は、一般に外側側方複合体面に接着される接着テープによって安定化される。本ケースでは、RFIDトランスポンダー103は、接着テープを使用せずに外側側方複合体面102cに接着される。そのために特に好適なものは、接着フィルム又はラベルが配置されたRFIDトランスポンダーである。
【0063】
図4は、本発明によるセル100を示す。それは、円周側方ハウジング面101c及び下端面の円形底101bを含む円筒形金属ハウジング101を含む。ハウジング101は、ハウジングカップ108及び蓋109から形成される。蓋109は、円形縁を有し、その上に電気絶縁性のガスケット110がはめられている。ハウジングに配置されているのは、螺旋巻きされた電極及びセパレーターからなる円筒形複合体102である。複合体102の上端面から出ているのは、複合体102の正極を蓋109に電気接続する電気伝導体105である。複合体102の下端面から出ているのは、複合体102の負極をハウジングカップ108に電気接続する電気伝導体106である。ハウジング101の外面の大部分は、電気絶縁されている。側方ハウジング面101cは、熱収縮管111によって絶縁される。円形底101bは、RFIDトランスポンダー103によってシールドされる。そのために特に好適なものは、同様に接着フィルム又はラベルが配置されたRFIDトランスポンダーである。
【0064】
図5は、本発明によるセル100を示す。それは、円周側方ハウジング面101c及び下端面の円形底101bを含む円筒形金属ハウジング101を含む。ハウジング101は、ハウジングカップ108及び蓋109から形成される。蓋109は、円形縁を有し、その上に電気絶縁性のガスケット110がはめられている。ハウジングに配置されているのは、螺旋巻きされた電極及びセパレーターからなる円筒形複合体102である。複合体102の上端面から出ているのは、複合体102の正極を蓋109に電気接続する電気伝導体105である。複合体102の下端面から出ているのは、複合体102の負極をハウジングカップ108に電気接続する電気伝導体106である。側方ハウジング面101cは、熱収縮管111によって電気絶縁される。RFIDトランスポンダー103は、リングの形であり、リングは、蓋109上に配置される。リングは、側方ハウジング面101cに付与された熱収縮管111によって蓋109の上に固定される。
【0065】
図6は、本発明によるセル100を示す。それは、円周側方ハウジング面101c及び下端面の円形底101bを含む円筒形金属ハウジング101を含む。ハウジング101は、ハウジングカップ108及び蓋109から形成される。蓋109は、円形縁を有し、その上に電気絶縁性のガスケット110がはめられている。ハウジングに配置されているのは、螺旋巻きされた電極及びセパレーターからなる円筒形複合体102である。複合体102の上端面から出ているのは、複合体102の正極を蓋109に電気接続する電気伝導体105である。複合体102の下端面から出ているのは、複合体102の負極をハウジングカップ108に電気接続する電気伝導体106である。側方ハウジング面101cは、熱収縮管111によって電気絶縁される。RFIDトランスポンダー103は、熱収縮管111と側方ハウジング面101cに配置される。