(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/511 20060101AFI20240527BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240527BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20240527BHJP
A61F 13/533 20060101ALI20240527BHJP
A61F 13/47 20060101ALI20240527BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240527BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61F13/511 200
A61F13/15 142
A61F13/511 300
A61F13/532 200
A61F13/533 100
A61F13/47 300
A61F13/49 100
A61F13/511 400
A61F13/53 100
(21)【出願番号】P 2022092323
(22)【出願日】2022-06-07
【審査請求日】2024-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犹守 沙耶香
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-044046(JP,A)
【文献】特開2006-055187(JP,A)
【文献】特開2019-097974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/511
A61F 13/15
A61F 13/532
A61F 13/533
A61F 13/47
A61F 13/49
A61F 13/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分された吸収性物品であって、
前記腹側領域、前記股下領域及び前記背側領域にわたって配置された吸収体と、
前記吸収体の肌側に位置する表面材と、を備え、
前記吸収体は、
肌側面と非肌側面を有し、厚み方向に貫通するスリット部が形成された吸収性コアと、
前記スリット部を含む前記肌側面を覆う上層台紙と、
前記スリット部を含む前記非肌側面を覆う下層台紙と、を有し、
前記上層台紙と前記下層台紙とは前記スリット部で接合され、
前記吸収体は、その肌側面に前記スリット部により形成される吸収体肌側凹部を有し、
前記表面材は、その肌側面に前記吸収体肌側凹部により形成される表面材凹部を有し、
前記表面材は、金属酸化物抗菌剤を含む第1領域と、前記第1領域よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない第2領域と、を含み、
前記表面材凹部は前記第1領域から構成され、
前記金属酸化物抗菌剤は、繊維に含有され、
前記表面材凹部は多層構造を含んで構成され、
前記表面材は、前記金属酸化物抗菌剤を含む上層と、前記上層よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない下層と、を含み、
前記第1領域は、前記上層を含み、
前記第2領域は、前記下層を含み、前記上層を含まず、
前記表面材凹部の前記多層構造の部分は、前記上層と前記下層を含んで構成され、
前記第1領域は、前記上層を含み、前記下層を含まない非重複領域を含む、
吸収性物品。
【請求項2】
前記金属酸化物抗菌剤は、前記繊維に練りこまれている
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1領域は、前記上層と前記下層とが平面視において重なった重複領域を含む
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1領域は、前記股下領域において、平面視で前記横方向の中央領域と重なり、
前記第2領域は、前記股下領域において、前記第1領域の前記横方向外側に位置する
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤が含有された繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第1領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%以上であり、
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第2領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%未満である
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面材全体に対する前記第1領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は0.001質量%以上であり、
前記表面材全体に対する前記第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は2.0質量%未満である
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1領域の前記金属酸化物抗菌剤が含有された繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘型繊維であり、前記鞘部にのみ前記金属酸化物抗菌剤が配合され、前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に前記金属酸化物抗菌剤が露出している
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記芯鞘型繊維に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.05質量%以上2.5質量%以下である
請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性コアは、前記スリット部を複数有する
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収体の非肌側に位置する裏面材を更に備え、
前記スリット部に対応する位置で、前記下層台紙と前記裏面材との間に空間が形成されている
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収体の非肌側に位置する裏面材を更に備え、
前記スリット部に対応する位置で、前記下層台紙と前記裏面材とが接合している
請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品を着用すると、蒸れ等によって皮膚にかぶれが生じることがある。そのため、かぶれの発生を抑制するべく、吸収性物品に抗菌剤を用いた吸収性物品が提案されている。
例えば特許文献1には、着用者の肌に接する表面材を構成する繊維中に抗菌剤が練り込まれた吸収性物品が記載されている。
また、特許文献2には、凹凸構造を有する表面シートと、窪み部を有する吸収性コア又はコアラップシートが抗菌剤を含有し、表面シートの凹凸構造の凹部(窪み部)と吸収性コアの窪み部が、平面視において抗菌剤が配置された抗菌剤配置領域と重なる位置に存在する吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-55187号公報
【文献】国際公開2021/039513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抗菌剤を用いる吸収性物品において、抗菌剤が水に溶けにくいことで、抗菌性能を十分に発揮する前に尿等の排泄液が表面シート(表面材)を透過してしまい、効率的な抗菌性能が発現しにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、効率的な抗菌性能の発現が可能な吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る吸収性物品は、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分される。
前記吸収性物品は、
前記腹側領域、前記股下領域及び前記背側領域にわたって配置された吸収体と、
前記吸収体の肌側に位置する表面材と、を備える。
前記吸収体は、
肌側面と非肌側面を有し、厚み方向に貫通するスリット部が形成された吸収性コアと、
前記スリット部を含む前記肌側面を覆う上層台紙と、
前記スリット部を含む前記非肌側面を覆う下層台紙と、を有する。
前記上層台紙と前記下層台紙とは前記スリット部で接合される。
前記吸収体は、その肌側面に前記スリット部により形成される吸収体肌側凹部を有する。
前記表面材は、その肌側面に前記吸収体肌側凹部により形成される表面材凹部を有する。
前記表面材は、金属酸化物抗菌剤を含む第1領域と、前記第1領域よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない第2領域と、を含む。
前記表面材凹部は前記第1領域から構成される。
前記金属酸化物抗菌剤は、繊維に含有される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品によれば、効率的な抗菌性能の発現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の各実施形態に係る使い捨ておむつ(吸収性物品)の一例を示す斜視図である。
【
図2】上記使い捨ておむつの平面図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態で、肌側(表面材側)から見た態様を示す。
【
図3】(A)は本発明の第1実施形態に係る使い捨ておむつの模式断面図であり、
図2のIIIA-IIIA線で切断した断面図に対応し、(B)は
図3(A)の破線円IIIBで囲まれた表面材凹部付近の拡大図である。
【
図4】第1実施形態の使い捨ておむつの表面材及び吸収体(破線)の構成を示す模式的な平面図である。
【
図5】上記表面材の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図6】上記表面材に用いられる金属酸化物抗菌剤配合繊維の模式的な斜視図である。
【
図7】(A)は本発明の第2実施形態に係る使い捨ておむつの模式断面図であり、
図2のIIIA-IIIA線で切断した断面図に対応し、(B)は
図7(A)の破線円VIIBで囲まれた表面材凹部付近の拡大図である。
【
図8】第2実施形態の使い捨ておむつの表面材及び吸収体(破線)の構成を示す模式的な平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る使い捨ておむつの表面材凹部付近の模式部分断面図である。
【
図10】(A)は本発明の第4実施形態の使い捨ておむつの一部を構成する表面材及び吸収体(破線)の構成を示す模式的な平面図であり、(B)は第4実施形態に係る使い捨ておむつの模式断面図であって、
図2のIIIA-IIIA線で切断した断面図に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品について、使い捨ておむつを例にあげ、図面を参照しながら説明する。
【0010】
[使い捨ておむつの全体構成]
図1及び
図2には、本発明の各実施形態に係る吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつ1(1A、1B、1C)が示されている。パンツ型使い捨ておむつ1(1A、1B、1C)は、以下、おむつ1(1A、1B、1C)と称する。
図3には第1実施形態に係るおむつ1が、
図7には第2実施形態に係るおむつ1Aが、
図9には第3実施形態に係るおむつ1Bが、
図10には第4実施形態に係るおむつ1Cが示されている。
各実施形態で共通する使い捨ておむつの全体構成について、以下説明する。
【0011】
おむつ1(1A、1B、1C)は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、おむつ1(1A、1B、1C)は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。
本明細書において、横方向Yに関しては、おむつ1(1A、1B、1C)を横方向Yに2等分する縦中心線CLに近づく側を「横方向Y内側」といい、縦中心線CLから遠ざかる側を「横方向Y外側」という。
本明細書において、各構成を厚み方向Zから見る場合、平面視という。なお、本明細書では、各構成における肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側に位置する側を示す。各構成における非肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側とは反対側に位置する側を示す。また、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上、着衣に近い側を下ということがある。
【0012】
図1及び
図2に示すように、おむつ1(1A、1B、1C)は、ウエスト開口部1W及び一対のレッグ開口部1Lを備え、着用時に、着用者の胴回り及び股間部に配置される。
おむつ1(1A、1B、1C)は、着用時において着用者の腹側に配置される腹側領域Aと、着用時において着用者の背側に配置される背側領域Bと、腹側領域A及び背側領域Bの間に位置し着用時において着用者の股間部に配置される股下領域Cと、に区分される。腹側領域Aと、股下領域Cと、背側領域Bと、は、縦方向Xに沿って配置されている。腹側領域A及び背側領域Bは、横方向Yにおける側縁部A1,B1同士が接合されて、ウエスト開口部1Wを形成する。股下領域Cには脚繰りが形成され、この脚繰りがレッグ開口部1Lを形成する。
なお、
図2は、おむつ1(1A、1B、1C)を展開し、各部の弾性部材を伸張させて、弾性部材の影響を一切排除した状態の設計寸法となるように平面状に広げた形態を示す。おむつ1(1A、1B、1C)を展開するとは、腹側領域Aの側縁部A1及び背側領域Bの側縁部B1を分離して展開することを意味する。
【0013】
図2、
図3、
図7、
図9及び
図10に示す例において、おむつ1(1A、1B、1C)は、表面材(トップシートともいう)2(2A)と、吸収体4(4C)と、サイドシート5と、裏面材(バックシートともいう)としての防漏シート3と、外装材6と、を有する。おむつ1(1A、1B、1C)は、外装材6、防漏シート3、吸収体4(4C)及び表面材2(2A)が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
【0014】
吸収体4(4C)は、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたって配置される。吸収体4(4C)は、着用者の尿や便に含まれる水分等の液状排泄物を表面材2(2A)側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液状排泄物を保持する。
なお、本明細書において、「排泄物」は、便の固形分を含む着用者の全ての排泄物を意味し、「液状排泄物」は、排泄物のうち、尿及び便中の水分等の液状のものを意味する。
吸収体4(4C)は、吸収性コア40(40C)と、台紙(コアラップシート)41と、を有する。
吸収体4(4C)は、肌側面(
図3、7及び9における符号4a、
図10における符号4Ca)と、非肌側面(
図3、7及び9における符号4b、
図10における符号4Cb)とを有する。
【0015】
吸収性コア40(40C)は、液状排泄物を保持することが可能な吸収性材料を主体として構成される。具体的に、吸収性コア40(40C)は、親水性繊維の積繊体、当該積繊体に吸収性ポリマーを担持させた構成、又は吸水性ポリマーのみからなる構成等を有する。
吸収性コア40(40C)は、肌側面(
図3、7及び9における符号40a、
図10における符号40Ca)と、非肌側面(
図3、7及び9における符号40b、
図10における符号40Cb)とを有する。
【0016】
台紙41は、吸収性コア40(40C)を被覆し、例えば吸収性コア40(40C)の形状を保持する機能等を有する。台紙41は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
台紙41は、上層台紙(肌側台紙)411と、下層台紙(非肌側台紙)412とを含む。
上層台紙411は、スリット部42を含む吸収性コア40(40C)の肌側面40a(40Ca)を覆う。
下層台紙412は、スリット部42を含む吸収性コア40(40C)の非肌側面40b(40Cb)を覆う。
本実施形態では、台紙41は、上層台紙411と下層台紙412とが1枚の連続したシート状で構成される例をあげるが、上層台紙411と下層台紙412とが別体のシートであってもよい。典型的には、台紙41は、1枚の連続した矩形状の台紙からなり、吸収性コア40(40C)を覆ったときに、台紙の縦方向Xに延在する対向する一対の端部が互いに重なり合って非肌側面側に位置するように配置される。この一対の端部が互いに重なりあう領域は、典型的には、吸収体4(4C)の横方向Y中央に位置し、平面視でスリット部42と重なる。
【0017】
表面材2(2A)は、おむつ1の着用時、着用者の肌に接するように配置される。表面材2(2A)は、吸収体4(4C)の肌側(厚み方向Z上方側)に少なくとも配置される。
図3に示す例において、表面材2(2A)は、吸収体4(4C)の肌側から横方向Yにおける側縁部に延び、さらに吸収体4の非肌側まで回り込むように配置される。
表面材2(2A)は、液透過性のシート材として構成され、合成繊維又は天然繊維を含む不織布等で形成される。
表面材2(2A)は、肌側面(
図3、9及び10における符号2a、
図7における符号2Aa)と、非肌側面(
図3、9及び10における符号2b、
図7における符号2Ab)とを有する。
本実施形態において、表面材2(2A)は、排泄物に対して抗菌作用を発揮させる観点から、金属酸化物抗菌剤を含む。表面材2(2A)及び金属酸化物抗菌剤の詳細な構成については、後述する。
【0018】
外装材6は、吸収体4(4C)の非肌側(厚み方向Z下方)に配置され、例えば、おむつ1(1A、1B、1C)の非肌側面のほぼ全体を構成する。外装材6は、防漏性を有していることが好ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。
図3(A)、
図7(A)、
図10(B)に示す例において、外装材6は、肌側シート61と、非肌側シート62と、を含む。
図1及び
図2に示すように、外装材6は、ウエスト開口部1W及びレッグ開口部1Lを形成する。外装材6は、ウエスト開口部1Wに沿って配置されたウエスト弾性部材63と、レッグ開口部1Lに沿って配置されたレッグ弾性部材64と、をさらに含む。ウエスト弾性部材63及びレッグ弾性部材64は、例えば、肌側シート61及び非肌側シート62の間に配置される。
【0019】
一対のサイドシート5は、表面材2(2A)の横方向Y側部の肌側に配置される。サイドシート5は、防漏性を備えていることが望ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。
図3(A)、
図7(A)及び
図10(B)に示す例において、サイドシート5は、表面材2(2A)の肌側面の横方向Yにおける側部から、表面材2(2A)の非肌側まで延びる。サイドシート5の肌側の端部は、表面材2(2A)から離間している。サイドシート5の非肌側の端部は、表面材2の非肌側の端部とともに、接着剤又はヒートシール等によって防漏シート3等に接合されている。
【0020】
おむつ1において、サイドシート5の肌側の端部には、糸状又は帯状の弾性部材51が配置される。弾性部材51は、縦方向Xに延び、伸張した状態でサイドシート5に取り付けられる。これにより、着用時において、サイドシート5の肌側の端部が肌側に起立し、立体ギャザーGが形成される。
【0021】
防漏シート3は、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなり、吸収体4(4C)の非肌側に配置され、吸収体4(4C)と外装材6との間に配置される。防漏シート3は、例えば、接着剤(図示せず)によって吸収体4(4C)の非肌側面に接合されており、接着剤(図示せず)によって外装材6に接合されている。
【0022】
<第1実施形態>
[吸収体の構成]
上述したように、吸収体4は、吸収性コア40と、台紙41とから構成される。
図4に示すように、吸収体4の一部を構成する吸収性コア40は、股下領域Cにおいて縦方向Xに延び、横方向Y中央にスリット部42を有する。吸収性コア40の横方向Y中央とは、おむつ1を横方向Yに2等分する縦中心線CL上の領域を意味する。
スリット部42は、平面視において所定幅を有する細長い形状を有し、吸収性コア40を厚み方向Zに貫通する貫通孔である。スリット部42は、底部を有しない溝であり、典型的には、吸収性コアの形成材料が存在しない領域である。
【0023】
スリット部42は、尿等の排泄物の流路として機能し、排泄物のスリット部42の延びる方向に沿った面方向への拡散を促進し、吸収体4の液吸収性能の有効活用に寄与する。スリット部42は、このような役割を担うものであることから、吸収性コア40において排泄物が集中しやすい部位に配置されることが好ましい。そのような観点から、スリット部42は、吸収性コア40における股下領域Cに位置する部分に配置されることが好ましい。尚、スリット部42は、腹側領域A又は背側領域Bの少なくとも一方まで延出していてもよい。また、本実施形態のスリット部42は、縦方向Xに延びる構成であるが、この構成に限定されず、横方向Yに延びる構成であってもよいし、縦方向X成分及び横方向Y成分の両成分を含む方向に延びる構成であってもよい。
また、スリット部42は、吸収性コア40が体圧等の外力を受けて屈曲するなどして変形する際の変形誘導部として機能し、これにより着用者の身体形状に沿う変形が促され、おむつ1の着用時の違和感が低減され、着用感及びフィット性が向上し得る。
尚、スリット部42が縦方向Xに延びるとは、スリット部42が縦方向Xに平行に延びる態様に限定されず、全体として腹側から背側に延びていればよい。例えば、スリット部42は、曲線状に構成されていてもよい。
また、スリット部42の平面視における形状も、細長い形状であればよく、特に限定されない。
図4に示す例では、スリット部42が線状(帯状)に構成されており、スリット部42の延在方向に直交する幅方向(横方向Y)の寸法がほぼ一定であるが、当該幅方向の寸法が当該延在方向に沿って変化してもよい。
また、本実施形態及び後述する第2、第3実施形態では、スリット部42の数を1つとする例をあげるが、後述する第4実施形態のように2つとしてもよく、吸収体はスリット部42を複数有していてもよい。スリット部42を複数有する場合、典型的には、縦方向Xに長手方向を有する複数のスリット部が横方向Yに間欠配置され、縦中心線CLを基準として複数のスリット部が左右対称となるように形成されるが、対称に形成されなくてもよい。また、複数のスリット部42どうしは、平面視における形状及び寸法が互いに同じでもよいが、異なっていてもよい。
【0024】
スリット部42の縦方向Xの長さは、吸収性コアの縦方向Xの長さ(全長)の20~70%、特に30~60%であることが好ましい。例えば、吸収性コアの縦方向Xの全長が370mmである場合に、スリット部の縦方向Xの長さを140mmとすることができる。
スリット部42の横方向Yの長さは、吸収性コアの横方向Yの最大長さ(最大幅)の2~20%、特に4~10%であることが好ましい。例えば、吸収性コアの最大幅が120mmである場合に、スリット部42の幅を5mmとすることができる。
【0025】
吸収性コア40は、吸収体4の主体をなす部材であり、吸水性材料を含んで構成されている。吸水性材料としては、吸水性繊維及び吸水性ポリマーが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。吸収性コア40は、典型的には、吸水性繊維を含む繊維集合体からなるか、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持さされた形態である。
スリット部42を有する吸収性コア40は、例えば、回転ドラムを備えた公知の積繊装置を用いて常法に従って製造することができる。
【0026】
図3(A)及び(B)に示すように、吸収体4において、スリット部42では上層台紙411と下層台紙412とが接合されている。このため、吸収体4の肌側面4aは、スリット部42の形状に沿って、互いに接合された上層台紙411と下層台紙412とが非肌側に向かって凹陥した吸収体肌側凹部45aを有する。
このように、スリット部42で上層台紙411と下層台紙412とが接合されることで、吸収体4の肌側面4aには、吸収体肌側凹部45aが確実に形成される。
【0027】
また、本実施形態では、
図3(A)及び(B)に示すように、吸収体4は、その非肌側面4bに、スリット部42の形状に沿って、互いに接合された上層台紙411と下層台紙412とが肌側に向かって凹陥した吸収体非肌側凹部45bを有する。
図3(B)に示すように、おむつ1において、スリット部42に対応する位置で、下層台紙412と裏面材としての防漏シート3との間には、吸収体非肌側凹部45bによって空間Sが形成されている。
【0028】
スリット部42における上層台紙411と下層台紙412との接合は、台紙41と吸収性コア40との間に図示しない接着剤を塗工し、台紙41で覆った吸収性コア40を押圧ロールで厚み方向Zにプレスすることで形成することができる。これにより、吸収体4の肌側面4aに、吸収体肌側凹部45aが形成される。
【0029】
そして、防漏シート3と吸収体4とを接着剤により貼り合わせる際、平面視でスリット部42の形成範囲の少なくとも一部に接着剤が存在しない接着剤非塗工部が位置することによって、空間Sを形成することができる。
空間Sを広い範囲で設ける観点から、平面視のスリット部42において、該スリット部42の平面面積(スリット部の形成範囲の面積)に対する接着剤非塗工部が占める割合が30%以上、より好ましくは50%以上であることが好ましい。
【0030】
上層台紙411と吸収性コア40との間に配される接着剤、下層台紙412と吸収性コア40との間に配される接着剤は、例えば平面視で両者が重なる領域全域に亘って縦方向X及び横方向Yに接着剤塗工部と接着剤非塗工部とが交互に位置する間欠的なパターンで塗工される。尚、塗工パターンはこれに限定されない。
典型的には、該接着剤は、吸収体4製造時の搬送方向(製品の縦方向Xに対応する)に沿って延びるスパイラル状の接着剤が搬送方向と直交する方向に間欠して複数位置するように塗工される。
【0031】
また、防漏シート3と吸収体4との間に配される接着剤は、例えば平面視で両者が重なる領域全域に亘って縦方向X及び横方向Yに接着剤塗工部と接着剤非塗工部とが交互に位置する間欠的なパターンで塗工される。尚、塗工パターンはこれに限定されない。
典型的には、該接着剤は、吸収体4製造時の搬送方向(おむつとしたときの吸収性コアの縦方向X)に沿って延びるスパイラル状の接着剤が搬送方向と直交する方向に間欠して複数位置するように塗工される。
【0032】
[表面材の構成]
表面材2は、繊維を含む1又は複数のシート材からなる。シート材としては、例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。
【0033】
図3(A)及び(B)に示すように、表面材2は、吸収体4の肌側面4aを覆うように配される。上述したように、吸収体4の肌側面4aには、スリット部42の形状に沿って、非肌側に凹陥した吸収体肌側凹部45aが形成されている。表面材2は、この吸収体肌側凹部45aの形状にほぼ沿うように吸収体肌側凹部45aを覆うように配される。これにより、表面材2の肌側面2aには、スリット部42に対応した位置に表面材凹部20が形成される。
表面材凹部20には、その窪んだ形状により、尿や便などの排泄物が溜まり易くなっている。
【0034】
表面材2は、金属酸化物抗菌剤を含む。金属酸化物抗菌剤は、繊維に含有される。より詳細には、金属酸化物抗菌剤は、繊維に練り込まれている。抗菌剤が練り込まれた繊維を、金属酸化物抗菌剤配合繊維と称する。
金属酸化物抗菌剤配合繊維は、繊維の内部に金属酸化物抗菌剤が存在していてもよいし、金属酸化物抗菌剤の一部が表面に露出していてもよい。例えば、金属酸化物抗菌剤配合繊維が芯鞘型複合繊維である場合、金属酸化物抗菌剤は、該繊維の芯部及び鞘部のいずれか一方のみに含まれていてもよいし、芯部及び鞘部の両方に含まれていてもよい。
金属酸化物抗菌剤としては、酸化亜鉛、酸化銀、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化銅等を用いることができる。これらの金属酸化物は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態の金属酸化物抗菌剤は、これらの中でも抗菌性、安全性、価格面より酸化亜鉛を含むことが好ましい。
【0035】
金属酸化物抗菌剤は、水に対する溶解性が低いことから、当該金属酸化物抗菌剤が尿等の液状排泄物と接触しても、短時間で脱落しにくい。
さらに、金属酸化物抗菌剤配合繊維は、繊維に金属酸化物抗菌剤が練り込まれて構成されることで、液状排泄物と接触した場合にも、金属酸化物抗菌剤の繊維からの脱落が効果的に防止される。
これらにより、金属酸化物抗菌剤は表面材2に留まりやすくなっている。
【0036】
図3(A)及び
図4に示すように、表面材2は、金属酸化物抗菌剤の配合量の異なる第1領域21及び第2領域22を有する。
第1領域21は、平面視において吸収体4の中央領域43と重なり、金属酸化物抗菌剤を含む。第1領域21は、平面視において、中央領域43の少なくとも一部と重なっていればよいが、中央領域43の全体と重なることが好ましい。
図4に示す例では、第1領域21は、表面材2の縦方向X全長にわたって延びている。また、
図4に示す例では、第1領域21の横方向Y側縁部が直線状に構成されるが、曲線状の部分を含んでいてもよい。
第2領域22は、第1領域21の横方向Y外側に位置する。第2領域は、平面視において、吸収体4のサイド領域44の少なくとも一部と重なる。
図4に示す例では、第2領域22は、第1領域21と同様に、表面材2の縦方向X全長にわたって延びている。第2領域22は、第1領域21よりも金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない。
なお、本明細書において、「ある領域における金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない」という表現は、当該領域が金属酸化物抗菌剤を含まない態様も含むものとする。
言い換えると、第2領域22は、第1領域21よりも少ない配合量の金属酸化物抗菌剤を含む構成、又は金属酸化物抗菌剤を含まない構成のいずれかの構成を有する。
【0037】
表面材2において1種類の金属酸化物抗菌剤配合繊維を用いる場合、第1領域21及び第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量は、例えば、金属酸化物抗菌剤配合繊維の配合量によって調整できる。例えば、第1領域21に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の質量の割合を、第2領域22に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の質量の割合よりも多くすることができる。
あるいは、第1領域21と第2領域22とで、金属酸化物抗菌剤の配合割合の異なる金属酸化物抗菌剤配合繊維を用いることもできる。例えば、第1領域21に含まれる金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の配合割合を、第2領域22に含まれる金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の配合割合よりも多くすることができる。
本実施形態においては、第1領域21が金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む繊維層を有し、第2領域22が金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む繊維層を有さないことで、第1領域21の金属酸化物抗菌剤の配合量が第2領域22よりも多くなるように調整している。この詳細な構成については、後述する。
【0038】
図3(A)及び(B)に示すように、表面材凹部20は、第1領域21により構成されている。言い換えると、表面材2において、表面材凹部20には、相対的に金属酸化物抗菌剤が多く存在している。
【0039】
表面材2の肌側面2aに形成される、吸収体肌側凹部45aの形状にほぼ沿って非肌側に向かって凹陥する表面材凹部20は、典型的には、表面材2と上層台紙411との間に接着剤を塗工し、表面材2を接合した吸収体肌側凹部45aを押圧ロールで厚み方向Zにプレスすることで形成することができる。尚、製造方法はここに記載するものに限定されない。
【0040】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、表面材凹部20には、その形状により、尿や便などの排泄物が溜まり易くなっている。そして、この排泄物が溜まりやすい表面材凹部20には相対的に金属酸化物抗菌剤が多く存在している構成となっているので、表面材凹部20に溜まった排泄物と金属酸化物抗菌剤との接触時間が長くなり、金属酸化物抗菌剤が溶出するための時間を十分に確保することができる。この結果、金属酸化物抗菌剤の溶出前に液状排泄物が吸収体4側に移行することを抑制でき、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物に対する溶出量を増加させることができる。
更に、表面材2に含まれる金属酸化物抗菌剤は、水に対する溶解性が低い金属酸化物からなることで、金属酸化物抗菌剤は表面材凹部20に溜まっている液状排泄物に徐々に溶出するため、表面材2から抗菌剤が短時間で脱落することを抑制できるので、表面材凹部20に溜まった排泄物と金属酸化物抗菌剤との高頻度の接触を持続させることができる。加えて、金属酸化物抗菌剤は繊維に練り込まれているため脱落して他の層に移動しにくく、表面材凹部20に溜まった排泄物と金属酸化物抗菌剤との高頻度の接触をより長く持続させることができる。これにより、効率的かつ効果的な抗菌作用を得ることができ、排泄物由来の菌に対する抗菌作用を高めることができる。
さらに、表面材2に金属酸化物抗菌剤を配合することで、肌と接している排泄物に対して直接抗菌作用を発揮できる。これにより、排泄物由来の菌による肌かぶれを効果的に抑制することができる。
第1領域21は、その一部が、着用者の肌に接触しにくい表面材凹部20を構成する。一方で、第2領域22は、着用者の肌に直接接触しやすい領域となっている。表面材2において、相対的に金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない領域(第2領域22)を設けることで、過度な金属酸化物抗菌剤による肌の常在菌のバランスの崩れによる肌かぶれも抑制することができる。
以上のように、本実施形態によれば、金属酸化物抗菌剤による抗菌作用を効果的に発揮させることができ、表面材2の全体における金属酸化物抗菌剤の配合量を低減させることができる。この結果、低コストで、かつ肌に優しく抗菌作用を発揮できるおむつ(吸収性物品)1を実現することができる。
【0041】
また、本実施形態では、
図3(B)に示すように、スリット部42において、下層台紙412と防漏シート(裏面材)3との間には空間Sが形成されている。
表面材凹部20に貯留し金属酸化物抗菌剤が溶出された液状排泄物は、表面材2を透過し上層台紙411を通って吸収性コア40へ移行、又は、互いに接合された上層台紙411と下層台紙412を通って空間Sへ移行する。空間Sへ移行した金属酸化物抗菌剤が溶出された液状排泄物は、下層台紙412を通って速やかに吸収性コア40へと移行する。吸収性コア40では、金属酸化物抗菌剤が溶出した液状排泄物が吸収されることで、抗菌作用が発揮され得る。
【0042】
[2層構造の表面材の構成例]
本実施形態では、第1領域21と第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量を容易に調整する観点から、
図3(A)及び
図4に示すように、表面材2は、金属酸化物抗菌剤を含む上層23と、上層23よりも金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない下層24と、を含む。表面材2において、上層23は肌側に位置し、下層24は非肌側に位置する。
第1領域21は、上層23を含む。第2領域22は、下層24を含み、上層23を含まない。言い換えれば、表面材2において、金属酸化物抗菌剤の配合量が多い上層23を含む領域を第1領域21と定義し、表面材2において上層23を含まない領域を第2領域22と定義する。
【0043】
図3(A)に示すように、第1領域21は、上層23と下層24とが平面視において重なった重複領域27を含む、すなわち多層構造を含むことが好ましい。さらに、本実施形態では、重複領域27が、第1領域21の全体に配置されていることが好ましい。つまり、
図3(A)に示す例において、下層24は、平面視において表面材2の全体に連続的に配置され、上層23は、下層24上の横方向Y中央部に配置される。
【0044】
このように、表面材2の第1領域21を多層構造とすることで、第1領域21で構成される表面材凹部20における液状排泄物の吸収がより穏やかになる。
すなわち、
図3(A)及び(B)に示すように、表面材凹部20が多層構造で構成されることで、表面材凹部20内に位置する便や尿といった排泄物30の液状成分の吸収体4への吸収が穏やかになる。言い換えると、表面材凹部20内に液状排泄物が長時間貯留されやすくなる。従って、表面材凹部20内の排泄物30は、より長時間にわたって表面材凹部20を構成する第1領域21の金属酸化物抗菌剤と接触し得る。したがって、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物への溶出時間をより長く確保することができ、抗菌作用をより確実に発揮させることができる。
【0045】
上層23及び下層24を含む表面材2は、2枚の不織布シートが接合されて一体化したシート材であってもよい。この場合は、例えば、2枚の不織布シートをエンボス加工、接着剤等によって接合することで、表面材2を形成することができる。
あるいは、上層23及び下層24を含む表面材2は、2つの繊維層を含む1枚の不織布シートであってもよい。この場合は、例えば、異なる繊維組成の繊維ウェブを重ねて、エアスルー加工等の加熱処理によって各層の繊維を融着することで、表面材2を形成することができる。
上層23と下層24とを加熱処理によって各層の繊維を溶融融着する場合、溶融融着した部分(溶融樹脂)は液状排泄物が吸収されにくい傾向となり、液状排泄物の吸収がより穏やかになる。表面材凹部20を構成する第1領域21に、このような溶融樹脂を含むことで、表面材凹部20内の排泄物30の貯留時間をより一層長くすることができる。これにより、表面材凹部20を構成する第1領域21の金属酸化物抗菌剤と排泄物30とが効果的に接触し得、抗菌作用をより確実に発揮させることができる。
【0046】
図5の拡大図に示すように、本実施形態の上層23及び下層24は、1枚の不織布シート中の異なる繊維層であることが好ましい。
なお、
図5において、金属酸化物抗菌剤配合繊維25を、内部が白い輪郭線だけの線状で示している。金属酸化物抗菌剤を含まない繊維である金属酸化物抗菌剤非配合繊維26を、内部が塗りつぶされた線状で示している。また、
図6において、内部が白い輪郭線だけの小円、内部が黒い小円は、いずれも繊維同士の溶融部を模式的に示したものである。
【0047】
本実施形態では、上層23の全体の質量に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維25の質量の割合が、下層24の全体の質量に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維25の質量の割合よりも大きい。つまり、上層23が、金属酸化物抗菌剤配合繊維25を含み、下層24が、金属酸化物抗菌剤配合繊維25を含まない、又は上層23よりも少ない割合の金属酸化物抗菌剤配合繊維25を含む。
【0048】
上層23全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、排泄物に対する抗菌作用を十分に得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
下層24全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、肌の常在菌に対する金属酸化物抗菌剤の影響を低減する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
【0049】
本実施形態では、
図5に示すように、上層23が繊維成分として金属酸化物抗菌剤配合繊維25のみを含み、下層24が繊維成分として金属酸化物抗菌剤非配合繊維26のみを含むことがより好ましい。これにより、第1領域21では金属酸化物抗菌剤をより多く含み、第2領域22では金属酸化物抗菌剤を含まない構成とすることができ、効率的な抗菌作用の発現が可能となるとともに、材料コストを低減することができ、肌の常在菌のバランスの崩れによる肌かぶれをより一層抑制することができる。また、上層23及び下層24の各々に用いる繊維の種類を限定でき、表面材2の製造がより容易になる。
【0050】
[表面材における金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合の例]
表面材凹部20に溜まる排泄物由来の菌に対して、金属酸化物抗菌剤による抗菌作用を効率的かつ効果的に発揮させる観点から、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤配合繊維25に占める第1領域21の金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
また、常在菌への金属酸化物抗菌剤29への影響を抑制する観点から、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤配合繊維25に占める第2領域22の金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、好ましくは30質量%未満、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
【0051】
[表面材全体に対する金属酸化物抗菌剤の割合例]
表面材凹部20に溜まる排泄物由来の菌に対して、金属酸化物抗菌剤による抗菌作用を効率的かつ効果的に発揮させる観点から、表面材2全体に対する第1領域21に含まれる金属酸化物抗菌剤29の割合は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上である。
また、常在菌への金属酸化物抗菌剤29への影響を抑制する観点から、表面材2全体に対する第2領域22に含まれる金属酸化物抗菌剤29の割合は、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
表面材全体に対する第1領域又は第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤29の割合の算出方法については後述する。
【0052】
[金属酸化物抗菌剤配合繊維の構成例]
金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、例えば、予め金属酸化物抗菌剤が練り込まれた合成樹脂を紡糸する工程を経て得ることができる。
金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、例えば、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等がある。
なお、金属酸化物抗菌剤非配合繊維26も、例えば、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。
【0053】
抗菌性能の効果的な発現の観点から、金属酸化物抗菌剤配合繊維25の表面に金属酸化物抗菌剤が露出していることが好ましい。
この場合、金属酸化物抗菌剤を繊維表面に効率的に露出させる観点から、金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、芯鞘型繊維であり、鞘部にのみ金属酸化物抗菌剤が配合されていることが好ましい。
【0054】
図6に示すように、金属酸化物抗菌剤29が練り込まれた金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、芯部25Cと鞘部25Sを有する。金属酸化物抗菌剤29は、鞘部25Sにのみ配合されて構成される。このように、鞘部25Sにのみ金属酸化物抗菌剤29が配合されることにより、少ない配合量の金属酸化物抗菌剤で、繊維表面に金属酸化物抗菌剤29を露出させやすくすることができる。
【0055】
原料繊維となる芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、例えば、芯部25CがPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、鞘部25Sは金属酸化物からなる金属酸化物抗菌剤が練り込まれたPE(ポリエチレン)からなり、芯鞘比が質量比で20/80~80/20のものを用いることができる。なお、芯鞘比は芯と鞘各々を構成する樹脂の質量比(芯/鞘)を示す。
【0056】
金属酸化物抗菌剤29の粒径は、該金属酸化物抗菌剤が配合される繊維(金属酸化物抗菌剤配合繊維25)の太さや、該繊維の金属酸化物の練り込みやすさの観点から適宜設定される。一般に、金属酸化物抗菌剤の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して1.0μm以上7μm以下である。
【0057】
金属酸化物抗菌剤29による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮される観点から、芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維25に占める金属酸化物抗菌剤29の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。
金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法については後述する。
また、芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維において、金属酸化物抗菌剤による皮膚トラブル防止効果がより効率的かつ効果的に発揮されるように、鞘部のみに金属酸化物抗菌剤が含まれることが好ましい。芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維25において、鞘部25Sを構成する樹脂に占める金属酸化物抗菌剤29の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下である。
【0058】
[金属酸化物抗菌剤の溶解性]
上述したように、金属酸化物抗菌剤29の液状排泄物に対する溶出を抑制し、金属酸化物抗菌剤29と液状排泄物との効率的な接触を実現する観点から、金属酸化物抗菌剤29は水難溶性若しくは水不溶性であることが好ましい。言い換えると、金属酸化物抗菌剤29の水に対する溶解性(金属酸化物抗菌剤の溶解度)が小さいことが好ましい。
具体的には、金属酸化物抗菌剤の溶解度は、後述する金属酸化物抗菌剤の溶解度の測定方法で、好ましくは0.01g/100ml以上0.5g/100ml以下、より好ましくは0.03g/100ml以上0.3g/100ml以下、更に好ましくは0.05g/100ml以上0.2g/100ml以下である。
【0059】
<第2実施形態>
図7及び
図8を用いて第2実施形態にかかわるおむつ1Aについて説明する。
なお、本実施形態及び後述する第3及び第4実施形態において、既出の構成には同一の符号を付して、説明を省略する。
第2実施形態では、表面材2Aの構成のみ第1実施形態の表面材2の構成と異なるため、主に表面材2Aについて説明する。
【0060】
表面材が上層及び下層を含む場合、第1領域において下層が不連続に形成されていてもよい。本実施形態のおむつ1Aに用いられる表面材2Aは、第1領域において不連続な形状を有する。
【0061】
図7(A)及び
図8に示すように、第2実施形態のおむつ(吸収性物品)1Aにおいて、表面材2Aは、平面視で、横方向Yに離間して配置された下層24L及び下層24Rと、これら下層24L及び下層24Rの間に下層24L及び下層24Rそれぞれと部分的に重なって位置する上層23と、を有する。下層24Lと下層24Rとにより不連続の下層が構成される。
上述のように、上層23は、金属酸化物抗菌剤を含み、下層24L及び24Rよりも金属酸化物抗菌剤の配合量が多い。本実施形態においても、表面材2Aの上層23を含む領域を第1領域21Aとし、表面材2Aの上層23を含まない領域を第2領域22とする。
【0062】
表面材2Aの第1領域21Aは、上層23を含み、下層24L及び24Rを含まない非重複領域28を含んでいる。非重複領域28では、上層23と下層24L及び24Rとが平面視において重ならない。
第1領域21Aは、その横方向Y側部において、上層23と下層24L及び24Rとが平面視において重なる重複領域27を含んでいる。重複領域27では、上層23と下層24L及び24Rとの繊維同士が融着又は接合し得る。このため、重複領域27を設けることで、上層23と下層24L及び24Rとの分離が抑制される。
【0063】
図7(A)及び(B)に示すように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、吸収性コア40にスリット部42が形成され、スリット部42で上層台紙411と下層台紙412とが接合することで、吸収体4の肌側面4aにスリット部42により形成された非肌側に向かって凹陥した吸収体肌側凹部45aを確実に形成することができる。
また、吸収体4は、その非肌側面4bに、吸収体非肌側凹部45bを有する。おむつ1において、スリット部42に対応する位置で、下層台紙412と裏面材としての防漏シート3との間には、吸収体非肌側凹部45bによって空間Sが形成されている。
また、表面材2Aの肌側面2Aaには、表面材凹部20が形成される。
【0064】
表面材凹部20に貯留され金属酸化物抗菌剤が溶出された液状排泄物は、表面材2を透過し上層台紙411を通って吸収性コア40へ移行、又は、互いに接合された上層台紙411と下層台紙412を通って空間Sへ移行する。空間Sへ移行した金属酸化物抗菌剤が溶出した液状排泄物は、下層台紙412を通って速やかに吸収性コア40へと移行する。吸収性コア40では、金属酸化物抗菌剤が溶出された液状排泄物が吸収されることで、抗菌作用が発揮され得る。
【0065】
図7及び
図8に示すように、下層24Lと下層24Rとの間の非重複領域28(下層が存在しない領域)は、平面視でスリット部42と重なる。
図7(A)及び(B)に示すように、本実施形態では、表面材凹部20は、下層24L及び24Rと上層23とが重なった多層構造を含む。より詳細には、図に示す例では、表面材凹部20の内面のうち側面が多層構造を有し、表面材凹部20の内面のうち底面が、上層23のみの単層構造を有する。
【0066】
このような構成によっても、第1実施形態と同様に、表面材2Aにおいて金属酸化物抗菌剤が相対的に多く存在する第1領域21Aによって表面材凹部20が構成される。排泄物が溜まりやすい表面材凹部20に金属酸化物抗菌剤が多く存在していることで、排泄物由来の菌に対する抗菌作用を効率的に発揮させることができる。また、第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量を少なくすることで、肌の常在菌に対する悪影響を抑制することができる。
更に、表面材凹部20の内面の一部が多層構造となっていることで、表面材凹部20内に位置する便や尿といった排泄物30は、吸収体4への吸収が穏やかになる。これにより、表面材凹部20内に液状排泄物が長時間貯留されやすくなり、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物への溶出時間をより長く確保することができ、抗菌作用をより確実に発揮させることができる。
【0067】
このように、表面材の下層を不連続の構造とし、非重複領域28を設ける構成としてもよく、第1実施形態よりも下層24L及び24Rの材料コストを低減させることができる。したがって、おむつ1Aをより低コストで製造することができる。
【0068】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態では、下層台紙412と防漏シート3とが離間し、その間に空間Sが形成される例をあげた。これに対し、スリット部42に対応する位置で、下層台紙412と防漏シート3とが接合し、空間Sが形成されなくてもよく、以下第3実施形態として説明する。本実施形態に係るおむつ1Cに用いられる表面材2は、第1実施形態に記載される表面材2と同様の構成を有するものとして、以下、説明する。
【0069】
図9に示すように、本実施形態に係るおむつ1Bでは、上述の各実施形態と同様に、吸収性コア40にスリット部42が形成される。スリット部42で上層台紙411と下層台紙412とが接合することで、吸収体4の肌側面4aには、スリット部42の形状に沿った、非肌側に向かって凹陥した吸収体肌側凹部45aが確実に形成される。
【0070】
更に、本実施形態のおむつ1Bでは、下層台紙412と防漏シート3とが接合し、吸収体4には吸収体非肌側凹部45bは形成されず、空間Sは形成されない。このため、吸収体肌側凹部45aは、第1及び第2実施形態の吸収体肌側凹部45aよりも厚み方向Zの凹部深さが深くなり、内面の面積が広くなる。
このような吸収体肌側凹部45aに沿って表面材2が位置することで、表面材凹部20は、第1及び第2実施形態の表面材凹部20と比較して、厚み方向Zの凹部深さが深くなり、内面の面積が広くなっている。
従って、相対的に金属酸化物抗菌剤が多く存在する第1領域21から構成される表面材凹部20において、第1及び第2実施形態と比較して、排泄物と金属酸化物抗菌剤との接触範囲を広げることが可能となり、液状排泄物に対して溶出される金属酸化物抗菌剤量が増加し、より一層効率的な抗菌性能の発現が可能となる。
【0071】
加えて、本実施形態では、表面材凹部20は多層構造を含んで構成される。より詳細には、おむつ1Bの表面材凹部20は多層構造から構成される。これにより、表面材凹部20内に液状排泄物が長時間貯留されやすくなり、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物への溶出時間をより長く確保することができ、抗菌作用をより確実に発揮させることができる。
【0072】
スリット部42における上層台紙411と下層台紙412との接合は、第1実施形態と同様に、プレスにより形成することができる。これにより、吸収体4の肌側面4aに、吸収体肌側凹部45aが形成される。
【0073】
そして、防漏シート3と吸収体4とを接着剤により貼り合わせる際、平面視でスリット部42の形成範囲の少なくとも一部に接着剤が存在する接着剤塗工部が位置することによって、スリット部42で、防漏シート3と下層台紙412とが接合するように構成することができる。
非肌側に向かって凹陥する吸収体肌側凹部45aの厚み方向Zの深さを深くし、ひいては該吸収体肌側凹部45aにより形成される表面材凹部20の深さが深くなる領域を広く設ける観点から、平面視のスリット部42において、該スリット部42の平面面積に対する接着剤塗工部が占める割合が20%以上、より好ましくは40%以上であることが好ましい。
【0074】
尚、スリット部42において、第1実施形態の如く防漏シート3と下層台紙412との間に空間Sが設けられる領域と、第3実施形態の如く防漏シート3と下層台紙412とが接合して空間Sが設けられない領域とが混在してもよい。
スリット部42における、防漏シート3と吸収体4との間に配置する接着剤のパターン形状によって、スリット部42における空間Sが設けられる領域と設けられない領域との比率を適宜調整することが可能である。
表面材凹部20における排泄物と金属酸化物抗菌剤との接触範囲を広くとる観点から、スリット部42において、防漏シート3と下層台紙412とが接合している領域、すなわち空間Sが設けられない領域の割合が、高いことが好ましい。
【0075】
上層台紙411と吸収性コア40との間に配される接着剤、下層台紙412と吸収性コア40との間に配される接着剤は、例えば平面視で両者が重なる領域全域に亘って縦方向X及び横方向Yに塗工部と非塗工部とが交互に位置する間欠的なパターンで塗工される。尚、塗工パターンはこれに限定されない。
典型的には、該接着剤は、吸収体4製造時の搬送方向(製品の縦方向Xに対応する)に沿って延びるスパイラル状の接着剤が搬送方向と直交する方向に間欠して複数位置するように塗工される。
【0076】
また、防漏シート3と吸収体4との間に配される接着剤は、例えば平面視で両者が重なる領域全域に亘って縦方向X及び横方向Yに塗工部と非塗工部とが交互に位置する間欠的なパターンで塗工される。
典型的には、該接着剤は、吸収体4製造時の搬送方向(おむつとしたときの吸収性コアの縦方向X)に沿って延びるスパイラル状の接着剤が搬送方向と直交する方向に間欠して複数位置するように塗工される。
尚、塗工パターンはこれに限定されない。例えば、平面視でスリット部42に重なるように、縦方向Xに連続して塗工部が位置する、縦方向Xに延在する直線パターン形状であってもよい。
【0077】
表面材2の肌側面2aに形成される、吸収体肌側凹部45aの形状にほぼ沿って非肌側に向かって凹陥する表面材凹部20は、典型的には、表面材2と上層台紙411との間に接着剤を塗工し、表面材2を接合した吸収体肌側凹部45aを押圧ロールで厚み方向Zにプレスすることで形成することができる。尚、製造方法はここに記載するものに限定されない。
【0078】
尚、本実施形態では、表面材凹部20が多層構造のみで構成される例をあげたが、第2実施形態のように表面材凹部20の一部が多層構造で、他の部分が単層構造であってもよい。表面材凹部20が多層構造を含んでいることが好ましい。
【0079】
<第4実施形態>
第1~第3実施形態では、スリット部42が1つである例をあげたが、複数設けられても良い。本実施形態のおむつ1Cは、スリット部42の数が異なる点でのみ第1実施形態のおむつ1と異なる。ここではスリット部42が2つある例をあげて
図10を用いて説明するが、スリット部42は3つ以上あってもよい。
本実施形態では、スリット部42が2つ設けられることで、吸収体肌側凹部45a及び表面材凹部20はそれぞれ2つ形成される。
【0080】
尚、
図10(B)に示す例では、吸収体4の非肌側面に吸収体非肌側凹部45bが形成され、下層台紙412と防漏シート3との間に空間Sがある例をあげるが、これに限定されない。第3実施形態のように、スリット部42において、下層台紙412と防漏シート3とが接合し、結果的に表面材凹部20の深さが深くなるように構成してもよい。また、下層台紙412と防漏シート3とが接合する領域と下層台紙412と防漏シート3との間に空間Sが形成される領域とが混在するように構成してもよい。
【0081】
また、
図10(B)に示す例では、2つの表面材凹部20はいずれも多層構造でのみ構成されているが、第2実施形態のように、一部が多層構造でその他の部分が単層構造となるように表面材凹部20が構成されていてもよい。
【0082】
図10(A)に示すように、本実施形態に係るおむつ1Cの一部を構成する吸収体4Cは、股下領域Cにおいて縦方向Xに延び、縦中心線CLを挟んで左右対称に配置された一対のスリット部42を有する。
スリット部42を複数設けることで、排泄物の面方向における拡散がより促進され、また、着用感及びフィット性が向上する。
【0083】
図10(B)に示すように、スリット部42で上層台紙411と下層台紙412とが接合することで、吸収体4Cの肌側面4Caには、スリット部42により非肌側に向かって凹陥した吸収体肌側凹部45aが2つ形成される。
また、吸収体4Cの非肌側面4Cbには、スリット部42により肌側に向かって凹陥した吸収体非肌側凹部45bが2つ形成される。
吸収体肌側凹部45aの形状に沿って吸収体肌側凹部45aを表面材2が覆うように位置することで、表面材2の肌側面2aには、吸収体肌側凹部45aにより形成される非肌側に向かって凹陥する表面材凹部20が2つ形成される。
表面材凹部20は、第1領域21から構成される。
【0084】
このように表面材凹部20を複数設けることで、1つ設ける場合と比較して、相対的に金属酸化物抗菌剤が多く存在する第1領域21から構成される表面材凹部20に位置する金属酸化物抗菌剤と、該表面材凹部20内の排泄物との接触範囲を広くすることが可能となる。これにより、複数の表面材凹部20における液状排泄物に対して溶出される金属酸化物抗菌剤量が増加することとなり、より一層効率的な抗菌性能の発現が可能となる。
加えて、本実施形態では、表面材凹部20は、第1実施形態と同様に、多層構造で構成される。多層構造とすることで、表面材凹部20内に液状排泄物が長時間貯留されやすくなり、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物への溶出時間をより長く確保することができ、抗菌作用をより確実に発揮させることができる。
【0085】
以上の各実施形態のように、本発明では、表面材が、その肌側面に、吸収性コアのスリット部によって形成され得る表面材凹部を有し、該表面材凹部に相対的に金属酸化物抗菌剤が多く存在する形態となっている。これにより、効率的な抗菌性能の発現が可能なおむつ(吸収性物品)を得ることができるとともに、肌の常在菌のバランスの崩れによる肌かぶれを抑制することができる。
【0086】
更に、表面材凹部が多層構造を含むように構成されることがより好ましく、より一層効率的な抗菌性の発現が可能となる。
【0087】
<補足事項>
[繊維構造、凹部の確認方法]
表面材に含まれる繊維の構造は、表面材を切断した切断面を拡大して観察することにより確認することができる。
測定対象の表面材を剃刀(例えばフェザー安全剃刀株式会社製片刃)で切断し、平面視において四角形形状(8mm×4mm)の測定片を得る。この測定対象の切断の際には、その切断によって形成される測定片の切断面の構造が、切断時の圧力などによって破壊されないように注意する。好ましい測定対象の切断方法として、測定対象の切断に先立って、測定対象を液体窒素中に入れて十分に凍結させ、しかる後切断する方法が挙げられる。
紙両面テープ(ニチバン株式会社製内スタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は30秒とする。
測定片の切断面を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型操作電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察する。
【0088】
表面材の切断面観測から、繊維の断面輪郭の他、例えば芯鞘型繊維であるか、単繊維構造であるかといった繊維構造を把握することができる。
更に、芯鞘型繊維である場合、切断面観測により、芯部及び鞘部それぞれの面積比率を算出することができる。また、切断面観測により、繊維中の金属酸化物抗菌剤の存在を確認することができ、更に鞘部にのみ金属酸化物抗菌剤が配されていることを確認することができる。
また、表面材の切断面における構成繊維の違いから、上層及び下層を確認することができる。従って、表面材の切断面観測から、上層及び下層における金属酸化物抗菌剤配合繊維の分布を確認することができる。
また、おむつを、吸収性コアのスリット部を通るように横方向Yに沿って切断し、その切断面画像から、吸収体肌側凹部及び表面材凹部の存在を確認することができる。
また、繊維断面をSEM-EDX分析することで、鞘部に含まれる剤が酸化亜鉛(金属酸化物抗菌剤)であることを確認することができる。
【0089】
[表面材全体に対する第1領域又は第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法]
表面材の対象(第1領域又は第2領域)を剃刀(例えばフェザー安全剃刀株式会社製片刃)で切断し、所定の面積の試料を切り出し、その質量を測定する。以下に記載する試料から金属酸化物抗菌剤の質量を算出する方法において、算出時に用いる試薬等の量は、試料1gに対する量であり、以下の試薬等を試料の質量に応じた量に変更して行う。
切り出した試料を、できるだけ小さく切り刻んで300mlビーカーに入れ、更に該ビーカーにイオン交換水200mlを入れてマグネティックスターラーで攪拌し、繊維が完全に水と触れるようにする。液を撹拌しながら濃塩酸(約10M)3mlを少しずつ加え、更に1時間撹拌し、第2層を構成する繊維の表面に存在する金属酸化物抗菌剤を溶出させる。次いで、5.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を6ml加えて液を中和させた後、pH10.7の緩衝液(28質量%・NH3水溶液54.7mlと0.535gのNH4Clとを含み、イオン交換水で溶解させたもの)10mlを加えてpHの微調整を行う。
続いて、エリオクロムブラックT試薬(エリオクロムブラックT粉末0.125gと塩酸ヒドロキシルアミン1.125gを無水エタノール25mlに溶解させたもの)を指示薬として加え、液を淡いピンク色とする。0.0002MのEDTA・2Naを滴定液として用いて滴定を行い液がピンク色から淡い青~緑に変色したときの該滴定液の添加量(ml)を滴定値Aとする。そして、以下の式により金属酸化物抗菌剤の質量を算出する。下記式中の「5000000」は、1mоl当たりの滴定液の体積(ml)を意味する。
金属酸化物抗菌剤の質量(g)=滴定値A×金属酸化物抗菌剤1mоl当たりの質量/5000000
以上のようにして算出された金属酸化物抗菌剤の質量は、試料に含まれる金属酸化物抗菌剤の質量である。該金属酸化物抗菌剤の質量を試料の面積で除することで、算出対象である第1領域(第2領域)の単位面積当たりの金属酸化物抗菌剤の質量を求める。
次に、第1領域全体(第2領域全体)の面積を算出し、該第1領域全体の面積(第2領域全体の面積)と、試料から求めた第1領域(第2領域)の単位面積当たりの金属酸化物抗菌剤の質量とを乗じることで、第1領域全体(第2領域全体)における金属酸化物抗菌剤の質量を求める。
次に、表面材全体の質量を測定し、第1領域全体(第2領域全体)における金属酸化物抗菌剤の質量を表面材全体の質量で除した後、100を乗じることで、表面材全体に対する第1領域(又は第2領域)に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合(質量%)を算出する。
【0090】
[金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法]
上層23が金属酸化物抗菌剤配合繊維のみから構成される場合、金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合は、次のように算出することができる。
【0091】
上層を1gはかり取る。なお、1gを切り取ることが難しい場合は、任意の大きさに切り取ってその質量を測定し、試薬等を当該質量に応じた量に変更して行う。
次に、上述の表面材全体に対する第1領域又は第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法と同様の手法で、金属酸化物抗菌剤の質量を算出する。
このようにして算出された金属酸化物抗菌剤の質量は、1gの上層、すなわち1gの金属酸化物抗菌剤配合繊維に含まれる金属酸化物抗菌剤の配合量(単位質量当たりの配合量)となる。したがって、算出された金属酸化物抗菌剤の質量を100倍した値が、金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合となる。
【0092】
[金属酸化物抗菌剤の溶解度の測定方法]
金属酸化物抗菌剤5gを100mlの水に加えて、室温(25℃)にて300rpmで30分間攪拌する。これとは別に、ろ紙の質量を測定し、測定された質量をろ紙の初期質量とする。
質量測定したろ紙を用いて、攪拌後の溶液をろ過し、該ろ紙を乾燥機にて40℃、2時間乾燥させる。乾燥後のろ紙の質量を測定し、測定された質量をろ紙の乾燥後質量とする。そして、下記式により溶解度を算出する。
溶解度(g)=5(g)―{(ろ紙の乾燥後質量)(g)-(ろ紙の初期質量)(g)}
このようにして算出した溶解度が大きいほど、水に対する溶解性が大きいことを表し、該溶解度が小さいほど、水に対する溶解性が小さいことを表す。
【0093】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0094】
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品としてパンツ型の使い捨ておむつの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、例えば、展開型の使い捨ておむつ、使い捨て生理用ショーツ(パンツ型生理用吸収性物品)、尿取りパット、おりものシート、生理用ナプキン等であってもよい。
【0095】
また、例えば芯鞘型からなる金属酸化物抗菌剤配合繊維において、鞘部に金属酸化物抗菌剤が練り込まれるのに加え、例えば芯部に酸化チタン等の光散乱物質が練り込まれていてもよい。これにより、吸収後の液状排泄物(尿、軟便、血液等)による汚れが肌側表面から見えにくい(隠蔽性が高い)表面材とすることができる。
【0096】
また、上述の各実施形態において、金属酸化物抗菌剤配合繊維に金属酸化物抗菌剤以外の界面活性剤・有機化合物などの抗菌剤が含まれていてもよい。
【0097】
また、金属酸化物抗菌剤配合繊維にスキンケア剤が含まれていてもよい。
スキンケア剤としては、疎水性スキンケア剤、親水性スキンケア剤等を用いることができる。
【0098】
疎水性スキンケア剤とは、水溶性及び水分散性を有さないか、また極めて溶解性が低い疎水性成分のことであり、且つ着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有する組成物又は化合物のことである。より具体的には、疎水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量が1g未満のものを言い、好ましくは、0.1g以下の溶解量のものであり、特に好ましくは完全に溶解しないものである。
疎水性スキンケア剤としては、炭素鎖長12~28の脂肪酸又は該脂肪酸とグリセリンのエステル化合物や、ワックス、ワセリン等が挙げられ、特に、炭素差長12~28の不飽和脂肪酸又は該不飽和脂肪酸のグリセリンエステル化合物を含むことが好ましい。当該グリセリンエステルは、グリセリンと前述の不飽和脂肪酸のモノエステル、ジエステル又はトリエステルであるが、特に、トリエステルであることが好ましい。脂肪酸又は脂肪酸化合物を含む剤としては、アルガンオイル、シアバター等の天然物抽出成分が好ましく使用できる。特に、不飽和脂肪酸を含む疎水性の植物油であるアルガンオイルは、肌の水分と油分のバランスを保ち乾燥を防ぎ、スキンケア剤として機能する。また、アルガンオイルは、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸を多くふくみ、活性酸素除去力が強く、例えば日焼けによる肌のダメージを軽減させることができる。
【0099】
一方、親水性スキンケア剤とは、水溶性又は水分散性を有する親水性成分のことであり、かぶれや炎症の発生を抑制し、かぶれや炎症が生じた場合には、当該かぶれや炎症の進行を抑制するか、又は当該かぶれや炎症を緩和させることができるものであることが好ましい。より具体的には、親水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量又は分散量が1g以上のものを言い、好ましくは、5g以上の溶解量又は分散量のものであり、より好ましくは、1g以上溶解するもの、一層好ましくは5g以上溶解するもので、最も好ましいのは、完全に溶解するものである。
親水性スキンケア剤としては、桃の葉エキス、ハマメリスエキス等の天然物抽出成分や炭鎖数が2~4の多価アルコール、ポリエチレングリコール、スキンケア等の機能を有する親水性化合物等を用いることができる。
これらの中でも、植物抽出エキスである桃の葉エキス(親水性エキス)は、抗菌作用、抗炎症作用を有することから好ましい。表面材に供給された液に親水性成分である桃の葉エキスがとけ、肌に移行することによりスキンケア効果が生じる。
炭鎖数が2~4の多価アルコールは、親水性成分であり、典型的には、1,3-ブチレングリコールである。1,3-ブチレングリコールを用いることにより、保湿効果と潤滑性が向上する。潤滑性が向上することにより、肌と不織布との摩擦を低減することができ、肌へのダメージが抑制される。1,3-ブチレングリコールは、保湿性のある液状の水溶性基剤成分で、さらっとした使用感でべたつきが少なく、肌の潤いを保つ。1,3-ブチレングリコールは、保湿剤として用いられる他、溶剤としても用いられる。例えば、桃の葉エキスをスキンケア剤として用いる場合、桃の葉エキスの溶剤として1,3-ブチレングリコールを用いることができる。尚、ここでは、1,3-ブチレングリコールを例にあげたが、炭鎖数が2~4の多価アルコールであれば同様の効果を示し、例えばプロピレングリコールを用いてもよい。プロピレングリコールも桃の葉エキス(親水性エキス)の抽出溶媒として用いることができる。
【0100】
本発明は以下の構成をとることもできる。
<1>
着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分された吸収性物品であって、
前記腹側領域、前記股下領域及び前記背側領域にわたって配置された吸収体と、
前記吸収体の肌側に位置する表面材と、を備え、
前記吸収体は、
肌側面と非肌側面を有し、厚み方向に貫通するスリット部が形成された吸収性コアと、
前記スリット部を含む前記肌側面を覆う上層台紙と、
前記スリット部を含む前記非肌側面を覆う下層台紙と、を有し、
前記上層台紙と前記下層台紙とは前記スリット部で接合され、
前記吸収体は、その肌側面に前記スリット部により形成される吸収体肌側凹部を有し、
前記表面材は、その肌側面に前記吸収体肌側凹部により形成される表面材凹部を有し、
前記表面材は、金属酸化物抗菌剤を含む第1領域と、前記第1領域よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない第2領域と、を含み、
前記表面材凹部は前記第1領域から構成され、
前記金属酸化物抗菌剤は、繊維に含有される
吸収性物品。
<2>
前記金属酸化物抗菌剤は、前記繊維に練りこまれている
前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記表面材凹部は多層構造を含んで構成される
前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記表面材は、前記金属酸化物抗菌剤を含む上層と、前記上層よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない下層と、を含み、
前記第1領域は、前記上層を含み、
前記第2領域は、前記下層を含み、前記上層を含まず、
前記表面材凹部の前記多層構造の部分は、前記上層と前記下層を含んで構成される
前記<3>に記載の吸収性物品。
<5>
前記第1領域は、前記上層と前記下層とが平面視において重なった重複領域を含む
前記<4>に記載の吸収性物品。
<6>
前記第1領域は、前記上層を含み、前記下層を含まない非重複領域を含む
前記<4>又は<5>に記載の吸収性物品。
<7>
前記上層全体に占める前記金属酸化物抗菌剤が含有された繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%であり、
前記下層全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは0質量%である
前記<4>から<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記第1領域は、前記股下領域において、平面視で前記横方向の中央領域と重なり、
前記第2領域は、前記股下領域において、前記第1領域の前記横方向外側に位置する
前記<1>から<7>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤が含有された繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第1領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第2領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは30質量%未満、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である
前記<1>から<8>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記表面材全体に対する前記第1領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上であり、
前記表面材全体に対する前記第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0質量%である
前記<1>から<9>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<11>
前記第1領域の前記金属酸化物抗菌剤が含有された繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘型繊維であり、前記鞘部にのみ前記金属酸化物抗菌剤が配合され、前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に前記金属酸化物抗菌剤が露出している
前記<1>から<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記芯鞘型繊維に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である
前記<11>に記載の吸収性物品。
<13>
前記芯鞘型繊維において、前記鞘部を構成する樹脂に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下である
前記<11>又は<12>に記載の吸収性物品。
<14>
前記金属酸化物抗菌剤の水への溶解度は、好ましくは0.01g/100ml以上0.5g/100ml以下、より好ましくは0.03g/100ml以上0.3g/100ml以下、更に好ましくは0.05g/100ml以上0.2g/100ml以下である
前記<1>から<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記吸収性コアは、前記スリット部を複数有する
前記<1>から<14>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記吸収体の非肌側に位置する裏面材を更に備え、
前記スリット部に対応する位置で、前記下層台紙と前記裏面材との間に空間が形成されている
前記<1>から<15>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<17>
前記吸収体の非肌側に位置する裏面材を更に備え、
前記スリット部に対応する位置で、前記下層台紙と前記裏面材とが接合している
前記<1>から<15>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0101】
1、1A、1B、1C…使い捨ておむつ(吸収性物品)
2、2A…表面材
20…表面材凹部
21、21A…第1領域
22…第2領域
4、4C…吸収体
4a、4Ca…吸収体の肌側面
4b、4Cb…吸収体の肌側面
29…金属酸化物抗菌剤
40、40C…吸収性コア
40a、40Ca…吸収性コアの肌側面
40b、40Cb…吸収性コアの肌側面
42…スリット部
45a…吸収体肌側凹部
411…上層台紙
412…下層台紙
A…腹側領域
B…背側領域
C…股下領域