(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】eベイピング装置または喫煙可能装置用の風味付きチップまたは口側端インサートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240527BHJP
【FI】
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022130762
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2018566431の分割
【原出願日】2017-07-07
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】コバル ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン クリス
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス ダグラス エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハウズ エリック エイ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ ムンマヤ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マルク パウリーネ
(72)【発明者】
【氏名】グレイ レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー ライアン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0135506(US,A1)
【文献】米国特許第04995407(US,A)
【文献】国際公開第2015/052192(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166029(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006047146(DE,A1)
【文献】国際公開第2015/166245(WO,A2)
【文献】特表2012-501368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風味付き部分を含む口側端インサートを備えるeベイピング装置であって、前記風味付き部分が、
固体マトリクスと、
一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの少なくとも一つと、
を含み、
前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記固体マトリクス内に包埋されており、
前記口側端インサートが混合チャンバーを含み、前記固体マトリクスが前記混合チャンバーを囲む、
eベイピング装置。
【請求項2】
一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記固体マトリクス内で実質的に均質に分布されている、請求項1に記載のeベイピング装置。
【請求項3】
一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記固体マトリクスの半径方向外側の領域に分布されている、請求項1に記載のeベイピング装置。
【請求項4】
一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記口側端インサートの半径方向外側の領域に分布されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【請求項5】
前記固体マトリクスが熱可塑性ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーがポリプロピレンおよびポリエチレンの少なくとも一つを含む、請求項5に記載のeベイピング装置。
【請求項7】
前記口側端インサートが前記熱可塑性ポリマーの射出形成によって製造される、請求項5または6に記載のeベイピング装置。
【請求項8】
前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが最高約350℃の温度に耐えるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【請求項9】
前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが複数のカプセル内に封入されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【請求項10】
前記固体マトリクスがフィラーをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【請求項11】
前記口側端インサートが少なくとも二つの分岐する出口を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のeベイピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は一般的に、eベイピング装置用の風味付き口側端インサート、または喫煙可能装置用のアドオン式チップ、およびその製造方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
電子ベイピング装置、またはeベイピング装置は、成人ベイパー吸引者が、eベイピング装置の一つ以上の出口を通してベイパー(蒸気)を引き出すために、製剤を気化するために使用される。eベイピング装置は典型的に、電源セクションおよびカートリッジなど、幾つかのeベイピング要素を含みうる。電源セクションは電池などの電源を含み、またカートリッジはヒーターと、液体状のプレベイパー製剤を保持する能力のある貯蔵部とを含む。カートリッジは典型的に、芯を介してプレベイパー製剤と接触するヒーターを含み、プレベイパー製剤は貯蔵容器内に貯蔵されており、ヒーターは芯を介してプレベイパー製剤を加熱してベイパーを生成するように構成されている。プレベイパー製剤は典型的に、ある量のニコチンを含む。eベイピング装置はまた、成人eベイパー吸引者によるeベイピング装置の一つ以上の出口を通したベイパーの引き出しを容易にするように設計された口側端インサートを含みうる。例えば、プレベイパー製剤は、ベイパーへと変換されうる材料または複数の材料の組み合わせである。例えば、プレベイパー製剤は、水、ビーズ、溶媒、活性成分、エタノール、植物抽出物、天然または人工風味、グリセリンおよびプロピレングリコールなどのベイパー形成体、ならびにこれらの組み合わせ(ただしこれらに限定されない)を含む、液体製剤、固体製剤、またはゲル製剤のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0003】
他のeベイピング装置において、風味剤または芳香を追加することは典型的に、風味剤または芳香を貯蔵容器に追加することによって実施される。ところが、一つ以上の風味剤または芳香が、プレベイパー製剤の他の成分と有害反応を起こした場合、結果としてプレベイパー製剤の劣化、または風味剤、味覚化合物および芳香の劣化が起こりうる。
【0004】
例えば葉巻たばこなどの喫煙可能装置に関しては、風味剤を葉巻たばこに含まれるたばこに直接追加せずに、風味剤を追加することは典型的に困難である。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも一つの例示的な実施形態は、eベイピング装置または喫煙可能装置の風味付き口側端インサートに関連する。
【0006】
少なくとも一つの例示的な実施形態は、喫煙可能装置の風味付きアドオン式チップに関連する。
【0007】
例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物および芳香のうちの少なくとも一つは、口側端インサートの製作プロセス、アドオン式チップの製作プロセス、または両方に含まれうる。例えば、風味剤、味覚化合物および芳香のうちの少なくとも一つは、口側端インサートを形成するために使用される材料、アドオン式チップを形成するために使用される材料、または両方に挿入されてもよい。口側端インサート、アドオン式チップ、または両方は、例えばポリプロピレン(PP)または高密度もしくは低密度のポリエチレン(PE)などの熱可塑性物質の射出成形によって製造されうる。従って、ある量の風味剤、味覚化合物および芳香のうちの少なくとも一つを熱可塑性物質に追加して、射出成形プロセスの前に風味剤、味覚化合物および芳香のうちの少なくとも一つを熱可塑性物質に混合することによって、風味剤、味覚化合物および芳香のうちの少なくとも一つが、結果的にできる口側端インサート、アドオン式チップ、または両方内に組み込まれうる。従って、成人eベイパー吸引者によるeベイピング装置の動作中に、まず口側端インサートまたはアドオン式チップを通過する、成人eベイパー吸引者によって消費されるベイパーは、ある量の風味剤および芳香のうちの少なくとも一つを含んでもよく、その風味剤および芳香のうちの少なくとも一つは、口側端インサートまたはアドオン式チップの製作プロセス中に組み込まれている。結果として、成人eベイパー吸引者の感覚的体験が改善されうる。
【0008】
例示的な実施形態において、射出成形プロセスの温度は、例えば約150℃とすることができ、また典型的に例えば約350℃を超えなくてもよい。射出成形プロセスの温度が350℃を超えると、熱可塑性ポリマーは劣化を起こすことがあり、その結果、熱可塑性ポリマーの属性が劣化する。
【0009】
例示的な実施形態において、風味剤、芳香、または両方は、口側端インサートまたはアドオン式チップの製造に使用される熱可塑性ポリマーの混合物の最大約2重量パーセントの濃度で含まれてもよく、また射出成形プロセスの温度に耐えるように構成されてもよい。例えば、風味剤、芳香、または両方は、より高い耐熱性を有するために、熱可塑性ポリマーの混合物内に封入されるか、または粒状の形態で提供されてもよい。
【0010】
風味剤の例には例えばメントールなどの風味、およびこれに類するものが含まれうる。味覚化合物の例には例えば甘味、酸味、およびこれに類するものが含まれうる。各種の匂いを提供する各種の芳香はまた、熱可塑性ポリマーの混合物に追加されてもよい。
【0011】
例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香、およびその組み合わせは、射出成形プロセスを受ける前に、熱可塑性ポリマー混合物と実質的に均質に混合される。従って、射出成形プロセスが完了すると、風味剤、味覚化合物、芳香、およびその組み合わせは、結果的にできる熱可塑性ポリマーの固体マトリクス内で実質的に均質に分布されうる。芳香に関連しては、eベイピング装置を複数回動作させた後でさえも、芳香は固体の熱可塑性ポリマー内に実質的に均質に分布されたままでありうる。風味剤に関連しては、射出成形プロセスの完了時に風味剤は熱可塑性ポリマー内に均質に分布するものの、eベイピング装置の動作中に、風味剤は固体の熱可塑性ポリマーの外表面に向かって移動する傾向がありうる。
【0012】
eベイピング装置の動作中に、カートリッジの煙突内で発生した加熱されたベイパーは、口側端インサートまたはアドオン式チップを通って移動してから、成人eベイパー吸引者の口に達する。従って、口側端インサートは、その内部に組み込まれた風味剤、芳香、または両方を含むため、口側端インサートを通って移動して成人eベイパー吸引者の口に達する加熱されたベイパーは、口側端インサートまたはアドオン式チップの製造中に、熱可塑性ポリマーの口側端インサートまたはアドオン式チップに組み込まれた風味剤、芳香、または両方と一致する風味、芳香、または両方を収集する。
【0013】
例示的な実施形態において、異なる風味剤または芳香の間で発生する可能性のある有害反応のせいで、異なる2つの風味剤または芳香がプレベイパー製剤内でまとめて混合できない場合、風味剤または芳香を口側端インサート内またはアドオン式チップ内に組み込むことで、口側端インサートまたはアドオン式チップの熱可塑性ポリマーの高分子マトリクス内で均質に分布されて、成人eベイパー吸引者(eベイピング装置の場合)または成人喫煙者(喫煙可能装置の場合)に、そうでなければ安定的に混合できなかった2つ以上の風味または芳香を味わう能力を提供する。
【0014】
例示的な実施形態において、口側端インサートを形成するために使用される熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン(PP)、高密度もしくは低密度のポリエチレン(PE)、またはこれに類似するものを含みうる。
【0015】
例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物および芳香のうちの少なくとも一つを含む口側端インサートの製造方法は、風味の喪失を最小化し、成人eベイパー吸引者(eベイピング装置の場合)または成人喫煙者(喫煙可能装置の場合)への風味、味覚、または両方の送達のより良い制御を提供し、成人eベイパー吸引者の感覚的経験を改善しうる。
【0016】
例示的な実施形態の上記およびその他の特徴および利点は、例示的な実施形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明することによってさらに明らかとなる。添付の図面は、例示的な実施形態を描写することを意図したものであり、意図された特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に注記されていない限り、実寸に比例して描かれていると考えられるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の側面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の長軸方向の断面図である。
【
図3】
図3は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の長軸方向の断面図である。
【
図4】
図4は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の長軸方向の断面図である。
【
図5】
図5は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、風味付き口側端インサートまたはアドオン式チップの製造方法を図示したフローチャートである。
【
図6】
図6(a)~(c)は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、口側端インサートおよびアドオン式チップの斜視図である。
【
図7】
図7は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、風味剤を含む口側端インサートの断面図である。
【
図8】
図8は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、芳香を含む口側端インサートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
幾つかの詳細な例示的な実施形態が本明細書で開示されている。しかしながら、本明細書に開示されている特定の構造面および機能面の詳細は、例示的な実施形態を説明することを目的とした単なる典型である。しかしながら、例示的な実施形態は、数多くの代替的な形態で具体化されることができ、本明細書に記載の実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0019】
従って、例示的な実施形態は、様々な修正および代替的形態が可能である一方で、その実施形態は例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明する。ところが、当然のことながら、開示された特定の形態に対する例示的な実施形態に限定する意図はなく、反対に、例示的な実施形態は、例示的な実施形態の範囲の中に収まるあらゆる修正、均等物、代替物が網羅される。同様の数字は、図の説明の全体で同様の要素を意味する。
【0020】
要素または層が別の要素もしくは層「の上にある」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層の上に直接あってもよく、それに直接的に接続されてもよく、それに直接的に結合されてもよく、またはそれを直接的に覆ってもよく、あるいは介在する要素もしくは層が存在してもよいことが理解されるべきである。対照的に、要素が別の要素もしくは層「の上に直接ある」、「に直接的に接続される」、または「に直接的に結合される」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない。同様の数字は、明細書の全体で同様の要素を指す。
【0021】
「第一の」、「第二の」、「第三の」などという用語は、様々な要素、領域、層、またはセクションを記述するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、領域、層、またはセクションはこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるべきである。これらの用語は、一つの要素、領域、層、またはセクションを別の要素、領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。従って、下記で考察される第一の要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示内容から逸脱することなく、第二の要素、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0022】
空間的関係の用語(例えば、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するもの)は、図中で図示する際に、一つの要素または特徴と他の要素または特徴との間の関係を説明しやすくするために本明細書で使用されてもよい。空間的関係の用語は、図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に装置の異なる方向を包含することが意図されていると理解されるべきである。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素は、その後は他の要素または特徴の「上方に」方向付けられることになる。従って、用語「下方に」は上方および下方の両方の方向を包含する場合がある。装置は、その他の方法で(90度回転して、または他の方向で)方向付けられる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0023】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明する目的のみのものであり、例示的な実施形態の制限を意図しない。単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形も含むことが意図されているが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合はその限りではない。本明細書で使用される時、「含む(includes)」、「含む(including)」「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という用語は述べられた特徴、整数、工程、動作、または要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、またはこれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0024】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想的な実施形態の概略図(および中間構造)である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば製造技法または許容差の結果として得られた図の形状からの変化が予想される。従って、例示的な実施形態は、本明細書に図示された領域の形状を限定するものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。従って、図に図示された領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を図示することを意図せず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図しない。
【0025】
その他の方法で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当該技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。用語(一般的に使用されている辞書で定義された用語を含む)は、関連する技術分野の文脈でのそれらの用語の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、理想的なまたは過度に正式な意味で解釈されないが、本明細書で明示的にそのように定義されている場合はその限りではないことがさらに理解されるであろう。
【0026】
本明細書において「約」または「実質的に」という用語を数値と組み合わせて使用する場合、それに伴う数値が、明示した数値の前後±10%の許容度を含むということを意図する。さらに、本明細書において百分率に言及する場合、それら百分率は重さ、すなわち重量百分率に基づくことが意図される。「最大~まで」という表現は、ゼロから、その表現した上限までの量およびその間にあるすべての値を含む。範囲を明記する場合、範囲はその範囲に収まるすべての値(例えば0.1%ずつに異なる値)を含む。
【0027】
本明細書で使用される「ベイパー形成体」という用語は、使用時にベイパーの形成を促進し、かつeベイピング装置の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。適切なベイパー形成体は、プロピレングリコール、およびグリセロールまたはグリセリンのうちの少なくとも一つなどの多価アルコールの様々な組成物から成る。少なくとも一つの実施形態において、ベイパー形成体はプロピレングリコールである。
【0028】
図1は、例示的な実施形態による、eベイピング装置または「紙巻たばこ様(cigalike)」装置60の側面図である。
図1では、eベイピング装置60は、ねじ付き継手74で結合された、または滑り嵌め、スナップ嵌め、戻り止め、クランプ、留め金またはこれに類するもののうちの少なくとも一つなどの他の接続構造によって相互に結合された、第1のセクションまたはカートリッジ70および第二のセクション72を含む。少なくとも一つの例示的な実施形態において、第一のセクションまたはカートリッジ70は、交換可能なカートリッジでもよく、また第二のセクション72は再使用可能なセクションでもよい。別の方法として、第一のセクションまたはカートリッジ70および第二のセクション72は、一つの部品として一体的に形成されてもよい。少なくとも一つの実施形態において、第二のセクション72は、その遠位端28でLEDを含む。
【0029】
図2は、eベイピング装置の例示的な実施形態の断面図である。
図2に示すように、第一のセクションまたはカートリッジ70は、口側端インサート20、毛細管18、および貯蔵部14を収容することができる。
【0030】
例示的な実施形態において、貯蔵部14は内管(図示せず)の周りに巻き付けたガーゼを含んでもよい。例えば、貯蔵部14は、内側に巻き付けたガーゼを囲む外側に巻き付けたガーゼで形成されるか、またはこれを含んでもよい。少なくとも一つの例示的な実施形態において、貯蔵部14は、ばらの粒子、ばらの繊維、または織布もしくは不織布繊維の形態のアルミナセラミックで形成されるか、またはこれを含んでもよい。別の方法として、貯蔵部14は、コットンもしくはガーゼなどのセルロース系材料、またはばらの繊維を束ねた形態のポリエチレンテレフタラートなどのポリマー材料で形成されるか、またはこれらを含んでもよい。貯蔵部14についてのより詳細な説明を以下に提供する。
【0031】
第二のセクション72は、電源12と、電源12を制御するように構成された制御回路11と、吸煙センサー16とを収容することができる。吸煙センサー16は、成人ベイパー吸引者がeベイピング装置60を吸っている時に感知するように構成されており、これによって制御回路11を介して電源12の動作を引き起こして、貯蔵部14内に収容されたプレベイパー製剤を加熱して、これによってベイパーを形成する。第二のセクション72のねじ付き部分74は、第一のセクションまたはカートリッジ70に接続されていない時に電池充電器に接続して、電池または電源セクション12を充電することができる。
【0032】
例示的な実施形態において、毛細管18は、導電性材料から形成され、または導電性材料を含み、従って管18を通して電流を流すことによって独自のヒーターとなるように構成され得る。毛細管18は、毛細管18が経験する動作温度で必要な構造的完全性を維持しながらも、加熱、例えば抵抗加熱が可能であり、プレベイパー製剤と反応しない任意の導電性材料であってもよい。毛細管18を形成するために適切な材料は、ステンレス鋼、銅、銅合金、フィルム抵抗性材料で覆われた多孔性のセラミック材料、ニッケル・クロム合金、およびその組み合わせのうちの一つ以上である。例えば、毛細管18はステンレス鋼毛細管18であり、毛細管18の長さに沿った直流電流または交流電流の通過のためにそれらに取り付けられる導線26を介してヒーターとして機能する。従って、ステンレス鋼毛細管18は、例えば抵抗加熱によって加熱される。別の方法として、毛細管18は、例えばガラス管などの非金属管でもよい。こうした実施形態において、毛細管18はまた、例えばガラス管に沿って配置されたステンレス鋼、ニクロームまたはプラチナワイヤなどの導電材料も含み、例えば抵抗的に加熱することができる。ガラス管に沿って配置されている導電材料が加熱された時、毛細管18内に存在するプレベイパー製剤は、毛細管18内のプレベイパー製剤を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで加熱される。
【0033】
少なくとも一つの実施形態において、導線26は毛細管18の金属部分に結合されている。少なくとも一つの実施形態において、1本の導線26が毛細管18の第一の上流部分101に結合されており、第二の導線26が毛細管18の下流の端部102に結合されている。
【0034】
動作において、成人ベイパー吸引者がeベイピング装置を吸う時に、吸煙センサー16は成人ベイパー吸引者の吸引によって生じた圧力勾配を検出し、制御回路11は毛細管18に電力を供給することによって、貯蔵部14内に位置するプレベイパー製剤の加熱を制御する。毛細管18が加熱されると、毛細管18の加熱部分内に含まれるプレベイパー製剤は揮発されて出口63から放出され、ここでプレベイパー製剤は拡張し、空気と混合して、混合チャンバー240内でベイパーを形成する。
【0035】
図2に示す通り、貯蔵部14は、貯蔵部14内にプレベイパー製剤を維持し、貯蔵部14が圧迫されて、そこに圧力が適用されると開くように構成された弁40を含み、成人ベイパー吸引者が口側端インサート20でeベイピング装置を吸う時に圧力が生成され、その結果、貯蔵部14は貯蔵部14の出口62を通してプレベイパー製剤を毛細管18に押し出す。少なくとも一つの実施形態において、臨界の最小圧力に達した時に弁40が開き、プレベイパー製剤が貯蔵部14から不注意に分与されることが回避される。少なくとも一つの実施形態において、圧力スイッチ44を押すのに必要な圧力は十分に高いので、物理的動作または外側の物体の衝突などの外的要因によって圧力スイッチ44が不注意に押されることによる偶発的な加熱が回避される。
【0036】
例示的な実施形態の電源12は、eベイピング装置60の第二のセクション72内に配置された電池を含むことができる。電源12は、電圧をかけるように構成され、貯蔵部14内に収容されたプレベイパー製剤を揮発させる。
【0037】
少なくとも一つの実施形態において、毛細管18と導線26の間の電気的接続は実質的に導電性かつ温度抵抗性であり、一方で毛細管18は実質的に抵抗性があるので、発熱は接点ではなく主に毛細管18に沿って生じる。
【0038】
電源セクションまたは電池12は再充電可能であってもよく、外部充電装置による電池の充電を可能にする回路を含んでもよい。例示的な実施形態において、回路は充電される時に、eベイピング装置の出口を介した所与の回数の吸引のための電力を提供し、その後、回路は外部充電装置に再接続されなければならない可能性がある。
【0039】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置60は、例えばプリント基板上に搭載することができる制御回路11を含んでもよい。制御回路11は、装置が起動された時に発光するように構成されたヒーター作動灯27も含んでもよい。少なくとも一つの実施形態において、ヒーター作動灯27は、少なくとも一つのLEDを含み、eベイピング装置60の遠位端28にあって、ヒーター作動灯27が吸煙中に燃焼する石炭の外観をしたキャップを照らすようにする。さらに、ヒーター作動灯27は、成人ベイパー吸引者に見えるように構成されうる。灯27はまた、所望に応じて成人ベイパー吸引者が灯27を有効化する、無効化する、または有効化と無効化の両方を行うことができるように構成することもでき、それによって灯27は所望に応じてベイピング中に有効化されない。
【0040】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置60は、少なくとも2つの軸から離れた分岐出口21を有する口側端インサート20をさらに含み、分岐出口21は口側端インサート20の周りに一様に分布され、eベイピング装置の動作中、成人ベイパー吸引者の口内にベイパーを実質的に一様に分布するようにする。少なくとも一つの実施形態において、口側端インサート20は、少なくとも二つの分岐する出口21(例えば、3~8個以上の出口)を含む。少なくとも一つの実施形態において、口側端インサート20の出口21は、軸から離れた通路23の端に位置し、eベイピング装置60の長軸方向に対して外向きの角度を有する(例えば、分岐状)。本明細書で使用される「軸から離れた」という用語は、eベイピング装置の長軸方向に対してある角度を有することを意味する。
【0041】
少なくとも一つの実施形態において、eベイピング装置60は、たばこ由来の製品とほぼ同じサイズである。一部の実施形態において、eベイピング装置60は、約80ミリメートル~約110ミリメートルの長さ、例えば約80ミリメートル~約100ミリメートルの長さおよび約7ミリメートル~約10ミリメートルの直径としうる。
【0042】
eベイピング装置60の外側円筒形ハウジング22は、任意の適切な材料または複数の材料の組み合わせから形成されるか、これを含んでもよい。少なくとも一つの実施形態において、外側円筒形ハウジング22は、少なくとも部分的に金属で形成され、制御回路11と、電源12と、吸煙センサー16とを接続する電気回路の一部である。
【0043】
図2に示すように、eベイピング装置60はまた、プレベイパー製剤貯蔵部14および毛細管18を収容することができる中間セクション(第3のセクション)73を含むことができる。中間セクション73は、第一のセクションまたはカートリッジ70の上流端でねじ接合部74
▼に嵌合されるように、および第二のセクション72の下流端でねじ接合部74に嵌合されるように構成することができる。この例示的な実施形態において、第一のセクションまたはカートリッジ70は口側端インサート20を収容し、一方で第二のセクション72は電源12と、電源12を制御するように構成された制御回路11とを収容する。
【0044】
図3は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。少なくとも一つの実施形態において、毛細管18をクリーニングする必要性を回避するように、第一のセクションまたはカートリッジ70は交換可能である。少なくとも一つの実施形態において、第一のセクションまたはカートリッジ70と、第二のセクション72とを、ねじ接続なしで一体として形成されて使い捨て可能なeベイピング装置を形成してもよい。
【0045】
図3に示すように、他の例示的な実施形態において、弁40は二方弁とすることができ、貯蔵部14は加圧することができる。例えば、貯蔵部14は、貯蔵部14に一定の圧力を印加するように構成された加圧機構405を用いて加圧することができる。そのため、貯蔵部14内に収容されているプレベイパー製剤の加熱によって形成されたベイパーの排出が促進される。貯蔵部14に対する圧力が軽減されると弁40は閉じ、加熱された毛細管18は、弁40の下流に残留しているプレベイパー製剤があれば放出する。
【0046】
図4は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の長軸方向の断面図である。
図4では、eベイピング装置60は、上流シール15内に中央空気通路24を含むことができる。中央空気通路24は内側管65に対して開く。さらに、eベイピング装置60は、プレベイパー製剤を貯蔵するよう構成された貯蔵部14を含む。貯蔵部14は、プレベイパー製剤と、随意に貯蔵媒体25(中にプレベイパー製剤を貯蔵するように構成されたガーゼなど)とを含む。ある実施形態において、貯蔵部14は外側管6と内側管65の間の外側環状部の中に収容されている。環状部は、プレベイパー製剤の貯蔵部14からの漏れを防止するために、シール15によって上流端で、およびストッパー10によって下流端で密封されている。ヒーターが起動された時、芯220の中央部分内に存在するプレベイパー製剤が気化されてベイパーを形成するように、ヒーター19は芯220の中央部分を少なくとも部分的に囲む。ヒーター19は、間隙を介した2本の導線26によって電池12に接続されている。eベイピング装置60は、少なくとも2つの出口21を有する口側端インサート20をさらに含む。口側端インサート20は、内側管65の内部と、ストッパー10を通して延びる中央通路64とを介して中央空気通路24と流体連通している。
【0047】
eベイピング装置60は、シール15内の中央空気通路24の下流端82で不浸透性プラグ30を備える気流ダイバーターを含んでもよい。少なくとも一つの例示的な実施形態において、中央空気通路24はシール15内で軸方向に延びる中央通路であり、シール15は外側管6と内側管65の間の環状部の上流端を密封する。半径方向空気チャネル32は、中央通路20から内側管65に向かって外側に空気を方向付ける。動作において、成人ベイパー吸引者が電子ベイピング装置の出口を通して吸う時に、吸煙センサー16は電子ベイピング装置の出口を通して成人ベイパー吸引者の吸引によって生じた圧力勾配を検出し、結果として制御回路11は、ヒーター19に電力を供給することによって、貯蔵部14内に位置するプレベイパー製剤の加熱を制御する。
【0048】
様々な例示的な実施形態において、上述した口側端インサート20と類似しているか、または同一の口側端インサートは、例えば葉巻たばこなどの喫煙可能装置の端に提供されうる。この場合において、口側端インサート内に存在する風味剤は成人喫煙者に移動することができ、成人喫煙者は喫煙可能装置を喫煙する時に様々な風味を味わうことができる。
【0049】
図5は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、風味付き口側端インサートまたはアドオン式チップの製造方法を図示したフローチャートである。
図5において、方法は例えばポリプロピレン(PP)または高密度もしくは低密度のポリエチレン(PE)などの熱可塑性ポリマーが調製されるS100で始まる。一つの例示的な実施形態において、他の熱可塑性ポリマーまたはその混合物も調製されうる。熱可塑性ポリマーは、eベイピング装置の口側端インサートまたはアドオン式チップを形成するために使用されるポリマーとしうる。従って、熱可塑性ポリマーは、実質的に劣化することなく、eベイピング装置の動作中に発生した加熱されたベイパーの温度を維持することができなければならない。S110で風味剤、味覚化合物、芳香、またはその組み合わせが調製される。例えば風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、特定の風味、味覚、または両方を、eベイピング装置の動作中に成人eベイパー吸引者によってeベイピング装置の一つ以上の出口を通過して引き出されるベイパーに供給するために選択されうる。例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせが液体状である場合、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、例えば高分子マトリクスを使用する封入によって自由流動性の粉末に変換されてもよい。封入は風味および味覚の喪失の低減と実質的な防止の両方を確実にすることができ、高温で処理された時の風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの完全性を保つことができる。例えば、封入は噴霧乾燥によって実施されうる。例示的な実施形態において、「コンプレックス・ブラック(complex black)」や「オリエンタル風味」または他の風味は、例えばアラビアゴム、マルトデキストリン、または両方を使用して、噴霧乾燥プロセスによって、自由流動性の粉末に変換されてもよい。例示的な実施形態において、液体風味または芳香は、風味を自由流動性のポリマー粉末に混合して、製作プロセスにおいて追加されることができる風味濃縮物を生成することによって、自由流動性の粉末に変換されてもよい。適切な風味または風味には例えば、メントール、ミント(ペパーミント、オランダハッカなど)、チョコレート、甘草、柑橘類および他の果物風味、γ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、ジンジャー油、およびたばこ風味、紅茶風味、ワイン風味、ベリー風味、コーヒー風味などが含まれるが、これらに限定されない。他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびそれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれ得る。乳酸、ショ糖および他の甘味料、キニーネおよび他の苦み化合物など、他の成分も同様に使用されうる。風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせが固体または粉末の形態である場合、製作プロセスに直接追加されうる。
【0050】
S120において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、口側端インサートまたはアドオン式チップの製作プロセスの前に、熱可塑性ポリマーと混合される。例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、熱可塑性ポリマーと均質に混合される。例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、混合物の約0.05重量パーセント~約5重量パーセント、約1.0重量パーセント~約3重量パーセント、または約1.0重量パーセント~約2重量パーセントの濃度で含まれうる。例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、液体状で、または粒子、顆粒、もしくは封入品の形態で提供され、実質的に風味、味覚または芳香のいずれも喪失することなく、口側端インサートの製造温度に絶えるように構成されている。風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせが封入される時、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせを含むカプセルは、口側端インサートまたはアドオン式チップの製造温度に絶えるようにも構成された材料でできている。例えば、カプセルは風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせを保持できなくなるような物理的または化学的劣化を受けることなく、最高約350℃の温度に絶えるように構成されている。
【0051】
S130において、口側端インサートまたはアドオン式チップの製作プロセスが実施される。例示的な実施形態において、製作プロセスは射出成形プロセスでもよく、または熱可塑性ポリマーの混合物と風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせとを凝固する能力を有する別のプロセスでもよい。従って、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせと、熱可塑性ポリマーとの混合物全体は射出成形プロセスにさらされる。射出成形プロセスの結果として、口側端インサートまたはアドオン式チップのマトリクス内に均質に分布された風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの粒子を含む口側端インサートまたはアドオン式チップが生産される。例えば、風味剤は、ベイパーが成人eベイパー吸引者の口に達する途中で口側端インサートまたはアドオン式チップを通過する時に、メントール風味をベイパーに与えうる。例示的な実施形態において、芳香は甘味または酸味の味覚をベイパーに与えうる。例示的な実施形態において、フィラーはまた、製作プロセスを受ける前に混合物に追加されてもよい。例えば、フィラーは、射出成形プロセスの後で高分子マトリクス内に液体風味を保持してもよい。
【0052】
図6(a)~(c)は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、口側端インサートおよびアドオン式チップの斜視図である。
図6(a)において、口側端インサート20は、軸から離れた通路23の端に位置し、またeベイピング装置の長軸方向に対して外向きに角度が付けられた出口21を含む。口側端インサート20および出口21は、eベイピング装置の動作中に成人ベイパー吸引者の口内に、eベイピング装置内で発生したベイパーを分布するように構成されている。そのため、ベイパーが口側端インサート20を通過する時に、ベイパーは口側端インサート20のマトリクスの一部である風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの味覚を含みうる。
【0053】
図6(b)において、アドオン式チップ25は口側端部分29およびeベイピング装置部分24を含む。ベイパーが口側端インサート20を通過する時、ベイパーはeベイピング装置の動作中に成人eベイパー吸引者の口に達する前に、eベイピング装置部分24のマトリクスの一部であり、そのためアドオン式チップ25の口側端インサート20の部分でもある風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの味覚を含みうる。
図6(c)は、口側端インサート20とアドオン式チップ25の両方を含むeベイピング装置60を図示する。
【0054】
図7は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、口側端インサート20またはアドオン式チップ25の断面であり、口側端インサートまたはアドオン式チップの固体高分子マトリクスは一つ以上の風味剤を含む。
図7において、口側端インサート20またはアドオン式チップ25は、出口21および混合チャンバー240を含む。例示的な実施形態において、口側端インサート20またはアドオン式チップ25は、口側端インサート20のマトリクス内に包埋された複数の風味剤粒子30を含む。
図7において、風味剤粒子30の半径方向の移動または分散の結果として、風味剤粒子30は、口側端インサート20またはアドオン式チップ25の外表面に、またはその付近に実質的に半径方向に分布している。
【0055】
eベイピング装置の動作中に、ベイパーが混合チャンバー240および出口21を通過して成人eベイパー吸引者の口に達する際に、ベイパーは口側端インサート20またはアドオン式チップ25の固体高分子マトリクス内に包埋された風味剤から一つ以上の風味を収集する。結果として、一つ以上の風味剤が典型的に、相互にまたはプレベイパー製剤の他の成分と有害反応を起こす場合、プレベイパー製剤の劣化、または風味剤の劣化が実質的に回避または低減されうる。結果として、成人eベイパー吸引者は、そうでなければ各種風味剤の相互の有害反応、または各種風味剤とプレベイパー製剤の他の成分との有害反応のため利用可能ではなかった風味剤の組み合わせを味わうことができる。
【0056】
図8は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、口側端インサート20またはアドオン式チップ25の断面であり、口側端インサートまたはアドオン式チップの固体高分子マトリクスは一つ以上の芳香を含む。
図8において、口側端インサート20またはアドオン式チップ25は、出口21および混合チャンバー240を含む。例示的な実施形態において、口側端インサート20またはアドオン式チップ25は、口側端インサート20またはアドオン式チップ25の固体高分子マトリクス内に包埋された複数の芳香粒子32を含む。
図8において、芳香粒子32は典型的に、口側端インサート20またはアドオン式チップ25の形成をもたらす射出成形プロセスの前の、熱可塑性ポリマーの混合物内の芳香粒子32の実質的に均質な分布と一致して、口側端インサート20またはアドオン式チップ25のマトリクス全体で均質に分布されている。
【0057】
例示的な実施形態が説明されているため、これらは多くの方法で変化しうることが明らかであろう。こうした変化は、例示的な実施形態の意図される範囲を逸脱するものと見なされず、当業者にとって明らかであろうすべての修正は、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。