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特許7494280無線ICモジュール、無線ICカード、及び無線ICモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】無線ICモジュール、無線ICカード、及び無線ICモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
G06K19/077 196
G06K19/077 264
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022205219
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室原 勝
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-182392(JP,A)
【文献】特開2005-182390(JP,A)
【文献】特開2006-155571(JP,A)
【文献】特開2000-090224(JP,A)
【文献】特開2013-077249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板に形成され、アンテナが接続される一対のアンテナ端子と、
前記ベース基板に実装されたICチップと、
前記ICチップと前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子とを接続する第1接続配線と、
前記ICチップと前記一対のアンテナ端子のうち他方のアンテナ端子とを接続する第2接続配線と、を備え、
前記ベース基板は、不良品識別用の切欠が形成される識別領域を有し、
前記第1接続配線は、前記切欠が形成された際に切断されるように前記識別領域を横断して設けられている、
無線ICモジュール。
【請求項2】
前記第1接続配線は、前記ベース基板上に設けられ前記一方のアンテナ端子に接続された金属箔と、前記金属箔及び前記ICチップに接続されているワイヤと、を有し、
前記金属箔は、前記識別領域を横断して延びている、
請求項1に記載の無線ICモジュール。
【請求項3】
ベース基板と、
前記ベース基板に隙間を置いて位置している一対のアンテナ端子と、
前記ベース基板に実装されたICチップと、
前記ICチップと前記一対のアンテナ端子の各々とを接続する接続配線と、を備え、
前記一対のアンテナ端子の各々は、前記接続配線が接続された配線接続部と、アンテナが接続されるアンテナ接続部と、を有し、
前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子は、不良品識別用の切欠が形成される識別領域と、前記配線接続部と前記アンテナ接続部との間に位置し、前記識別領域内に位置する一端部と前記隙間に開口する他端部とを有するスリットと、を更に有し、
前記切欠が形成された場合、前記切欠及び前記スリットは、前記配線接続部と前記アンテナ接続部とを電気的に分断する、
無線ICモジュール。
【請求項4】
カード基材と、
前記カード基材に埋設された請求項1又は3に記載の無線ICモジュールと、
前記カード基材に設けられ前記無線ICモジュールのアンテナ端子に接続されたアンテナと、を備えている、
無線ICカード。
【請求項5】
枠体と、前記枠体に連結されたベース基板と、前記枠体に連結され前記ベース基板に隙間を置いて対向する一対のアンテナ端子と、を有し、前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子が前記隙間に連通するスリットを有している金属リードフレームを形成し、
前記ベース基板にICチップを実装し、
前記ICチップと前記一対のアンテナ端子の各々とを接続配線で接続し、
前記ICチップ及び前記接続配線を覆うように封止部を形成することで、前記ベース基板と前記一対のアンテナ端子とを連結し、
前記一対のアンテナ端子を前記枠体から切り離した状態で、前記ICチップ及び前記一対のアンテナ端子の無線動作に関する検査を行い、
前記検査によって機能不良と判定された場合、前記一方のアンテナ端子に不良品識別用の切欠を形成し、前記切欠及び前記スリットは、前記一方のアンテナ端子において、前記接続配線が接続された配線接続部とアンテナが接続されるアンテナ接続部とを電気的に分断する、
無線ICモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線ICモジュール、無線ICカード、及び無線ICモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードとして、アンテナを介して非接触で外部と通信を行う無線ICカードが広く知られている。一般に、無線ICカードは、カード基材と、カード基材に埋設された無線ICモジュールと、アンテナと、を備えている。無線ICモジュールは、ICチップである大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)と、アンテナが接続されるアンテナ端子と、ICチップとアンテナ端子とを接続する接続配線と、を有している。
【0003】
無線ICカードに埋設する前の検査において、機能や外観などに問題があると判断された無線ICモジュールは、不良品識別用の切欠が形成される。これにより、無線ICモジュールが不良品であるか否かを目視で確認することができる。しかしながら、無線ICカードに埋設されている無線ICモジュールにおいて、切欠を目視で確認することはできない。また、不良品であると判断された無線ICモジュールであっても、LSIとアンテナ端子とが電気的に接続されているため、初期的な無線動作をする場合があり、無線ICカードに埋設した後の最終機能検査工程まで良品として扱われてしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-77249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の課題は、不良品の市場流出を抑制可能な無線ICモジュール、無線ICカード、及び無線ICモジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る無線ICモジュールは、ベース基板と、前記ベース基板に形成され、アンテナが接続される一対のアンテナ端子と、前記ベース基板に実装されたICチップと、前記ICチップと前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子とを接続する第1接続配線と、前記ICチップと前記一対のアンテナ端子のうち他方のアンテナ端子とを接続する第2接続配線と、を備え、前記ベース基板は、不良品識別用の切欠が形成される識別領域を有し、前記第1接続配線は、前記切欠が形成された際に切断されるように前記識別領域を横断して設けられている。
【0007】
また、一実施形態に係る無線ICモジュールは、ベース基板と、前記ベース基板に隙間を置いて位置している一対のアンテナ端子と、前記ベース基板に実装されたICチップと、前記ICチップと前記一対のアンテナ端子の各々とを接続する接続配線と、を備え、前記一対のアンテナ端子の各々は、前記接続配線が接続された配線接続部と、アンテナが接続されるアンテナ接続部と、を有し、前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子は、不良品識別用の切欠が形成される識別領域と、前記配線接続部と前記アンテナ接続部との間に位置し、前記識別領域内に位置する一端部と前記隙間に開口する他端部とを有するスリットと、を更に有し、前記切欠が形成された場合、前記切欠及び前記スリットは、前記配線接続部と前記アンテナ接続部とを電気的に分断する。
【0008】
また、一実施形態に係る無線ICモジュールの製造方法は、枠体と、前記枠体に連結されたベース基板と、前記枠体に連結され前記ベース基板に隙間を置いて対向する一対のアンテナ端子と、を有し、前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子が前記隙間に連通するスリットを有している金属リードフレームを形成し、前記ベース基板にICチップを実装し、前記ICチップと前記一対のアンテナ端子の各々とを接続配線で接続し、前記ICチップ及び前記接続配線を覆うように封止部を形成することで、前記ベース基板と前記一対のアンテナ端子とを連結し、前記一対のアンテナ端子を前記枠体から切り離した状態で、前記ICチップ及び前記一対のアンテナ端子の無線動作に関する検査を行い、前記検査によって機能不良と判定された場合、前記一方のアンテナ端子に不良品識別用の切欠を形成し、前記切欠及び前記スリットは、前記一方のアンテナ端子において、前記接続配線が接続された配線接続部とアンテナが接続されるアンテナ接続部とを電気的に分断する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る無線ICカードを示す平面図である。
図2図2は、図1に示す線A-Aに沿った断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る無線ICモジュールを示す平面図である。
図4図4は、図3に示す線B-Bに沿った断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る無線ICモジュールに切欠が形成された状態を示す平面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る無線ICモジュールを示す平面図である。
図7図7は、図6に示す線C-Cに沿った断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る無線ICモジュールに切欠が形成された状態を示す平面図である。
図9A図9Aは、第2実施形態に係る無線ICモジュールの製造工程を示す平面図である。
図9B図9Bは、図9Aに続く、第2実施形態に係る無線ICモジュールの製造工程を示す平面図である。
図9C図9Cは、図9Bに続く、第2実施形態に係る無線ICモジュールの製造工程を示す平面図である。
図9D図9Dは、図9Cに続く、第2実施形態に係る無線ICモジュールの製造工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宣変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面や説明をより明確にするため、実際の様態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宣省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る無線ICモジュール及び無線ICカードについて詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線ICカード10を示す平面図である。図2は、図1に示す線A-Aに沿った断面図である。図示したように、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を定義する。X方向は、無線ICカード10の長さ方向に相当する。Y方向は、無線ICカード10の幅方向に相当する。Z方向は、無線ICカード10の厚さ方向に相当する。
図1及び図2に示すように、無線ICカード10は、カード基材11と、無線ICモジュール30と、アンテナ14と、を備えている。カード基材11は、ベース部材12と、オーバーシート材16a,16bと、を有している。ベース部材12は、板状に延在して形成され、第1平面18と、第1平面18と反対側の第2平面20と、を有している。ベース部材12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)などの樹脂で形成されている。
【0012】
オーバーシート材16a,16bは、ベース部材12、無線ICモジュール30、及びアンテナ14を覆っている。オーバーシート材16a,16bは、ポリ塩化ビニルやポリカーボネートなどの樹脂で形成されている。なお、一例において、オーバーシート材16aは、表面層16a1とコア層16a2との2枚のシートで構成されている。
無線ICモジュール30は、ベース部材12(より詳細には、第1平面16)に搭載され、カード基材11に埋設されている。つまり、無線ICモジュール30は、無線ICカード10の内部に位置している。無線ICモジュール30の詳細については、図3乃至図5の説明で後述する。
アンテナ14は、無線ICモジュール30(より詳細には、後述するアンテナ端子36a,36b)に接続されている。アンテナ14は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されたアンテナコイルである。
【0013】
次に、無線ICモジュール30について説明する。
図3は、第1実施形態に係る無線ICモジュール30を示す平面図である。図3は、ベース基板32の識別領域IAを二点鎖線で示している。図4は、図3の線B-Bに沿った断面図である。
図3及び図4に示すように、無線ICモジュール30は、ベース基板32と、ICチップ34、一対のアンテナ端子36a,36bと、第1接続配線38と、第2接続配線40と、封止部42と、を備えている。ベース基板32は、板状に形成され、平面視において矩形状である。ベース基板32は、第1主面S1と、第1主面S1と反対側の第2主面S2と、識別領域IAと、を有している。ベース基板32は、電気的絶縁性を有する材料で形成されている。ベース基板32の材料は、例えば、ガラスエポキシである。一例において、ベース基板32の厚さは、75μm程度である。
【0014】
ICチップ34は、ベース基板32に実装されている。ICチップ34は、例えば、接着剤を介してベース基板32に実装されている。ICチップ34は、第1主面44の中央に位置している。ICチップ34は、例えば、半導体チップである大規模集積回路(LSI)である。
一対のアンテナ端子36a,36bは、ベース基板32上に形成されている。一対のアンテナ端子36a,36bは、X方向においてICチップ34を挟んで位置している。一対のアンテナ端子36a,36bは、ICチップ34に隙間を置いて位置している。アンテナ端子36a,36bには、アンテナ14が接続される。
【0015】
第1接続配線38は、ICチップ34とアンテナ端子36aとを接続している。第1接続配線38は、金属箔44aと、ワイヤ46aと、を有している。金属箔44aは、ベース基板32上に形成されている。金属箔44aは、アンテナ端子36aのY方向における端部に接続された一端(第1接続部48)と、ワイヤ46aが接続された他端(第2接続部50)と、第1接続部48と第2接続部50との間に位置し識別領域IAを通過する被切欠部52と、を有している。一例において、金属箔44aの厚さは、35μm程度である。ワイヤ46aの一端は金属箔44aの第1接続部48に接続され、ワイヤ46aの他端はICチップ34に接続されている。ワイヤ46aは、ワイヤボンディングによって形成される金線である。
【0016】
第2接続配線40は、ICチップ34とアンテナ端子36bとを接続している。第2接続配線40は、金属箔44bと、ワイヤ46bと、を有している。金属箔44bは、ベース基板32上に形成されている。金属箔44bは、アンテナ端子36bのX方向における端部に接続された一端と、ワイヤ46bが接続された他端と、を有している。一例において、金属箔44bは、X方向に沿って延出して形成されている。一例において、金属箔44bは、ICチップ34に向かって直線的に延出して形成されている。ワイヤ46bの一端は金属箔44bに接続され、ワイヤ46bの他端はICチップ34に接続されている。ワイヤ46bは、ワイヤボンディングによって形成される金線である。
【0017】
封止部42は、ICチップ34及びワイヤ46a,46bを覆っている。封止部42は、ICチップ34を保護している。封止部42は、平面視において略矩形状に形成されている。封止部42のX方向における一端は、アンテナ端子36aとワイヤ46aとの間に位置し、封止部42のX方向における他端は、ワイヤ46bとアンテナ端子36bとの間に位置している。封止部42は、モールド樹脂であり、電気的絶縁性を有している。封止部42は、例えば、熱硬化性を有するエポキシ樹脂で形成されている。
【0018】
図5は、第1実施形態に係る無線ICモジュール30に切欠54が形成された状態を示す平面図である。
図5に示すように、無線ICモジュール30を製造する際の検査において、無線ICモジュール30の機能や外観に問題があると判断された場合、識別領域IAに不良品識別用の切欠54が形成される。上記のようにベース基板32に切欠54が形成されると、第1接続配線38は、切断される。つまり、第1接続配線38は、切欠54が形成された際に、切断されるように識別領域IAを横断して設けられている。一例においては、金属箔44aは、切欠54が形成された際に、切断されるように識別領域IAに横断して延びている。これにより、切欠54が形成された際に、ICチップ34とアンテナ端子36aとの電気的接続は分断される。
【0019】
なお、上記した無線ICモジュール30を製造する際の検査とは、例えば、アンテナ端子36a,36bに検査用の電極を当て電気的な接続がされているか否かを判断する検査や、アンテナ端子36a,36bに検査用のアンテナを当て動作するか否かを判断する通信機能の検査である。上記通信機能の検査の一例としては、弱い電力でも動作可能か否かについて判断することが挙げられる。
また、第1接続配線38が識別領域IAを横断することで、不良品識別用の切欠54を形成する際に、ICチップ34とアンテナ端子36aとの電気的接続を分断する一例を説明したが、不良品識別用の切欠の他に電気的接続を分断するための切欠を形成する構成としてもよい。
【0020】
第1実施形態の効果について説明する。
第1実施形態に係る無線ICモジュール30及び無線ICカード10によれば、無線ICモジュール30は、切欠54が形成された際に切断されるように識別領域IAを横断している第1接続配線38を備えている。
これにより、切欠54は、無線ICカード10の機能や外観に問題があると判断された場合に形成され、目視で不良品を識別できることと合わせて、切欠54によってICチップ34とアンテナ端子36aとの電気的接続を分断することができる。
また、機能や外観に問題があると判断された無線ICモジュール30において、ICチップ34とアンテナ端子36aとの電気的接続を分断することができるため、無線ICモジュール30が無線ICカード10の内部に埋設されている場合であっても、通信検査を行うことで不良品であることを確認することができる。つまり、不良品の市場流出を抑制可能な無線ICモジュール30、及び無線ICカード10を得ることができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、無線ICモジュール30は、第2実施形態で説明する構成以外、上記第1実施形態と同様に構成されている。
図6は、第2実施形態に係る無線ICモジュール30を示す平面図である。図7は、図6に示す線C-Cに沿った断面図である。
図6及び図7に示すように、無線ICモジュール30は、ベース基板32と、ICチップ34、一対のアンテナ端子36a,36bと、第1接続配線38と、第2接続配線40と、封止部42と、を備えている。
ベース基板32の材料は、金属であり、厚さ70μmの銅箔をベースとして構成されている。
【0022】
一対のアンテナ端子36a,36bは、X方向においてベース基板32を挟んで位置している。一対のアンテナ端子36a,36bは、ベース基板32に隙間を置いて位置している。アンテナ端子36aは、配線接続部56aと、アンテナ接続部58aと、識別領域IAと、スリット60と、を有している。配線接続部56aには、第1接続配線38が接続されている。アンテナ接続部58aには、アンテナ14が接続される。
スリット60は、配線接続部56aとアンテナ接続部58aとの間に位置している。スリット60は、識別領域IA内に位置している一端部62aと、ベース基板32とアンテナ端子36aとの間の隙間に開口する他端部62bと、を有している。スリット60は、上記隙間に連通し、Z方向にアンテナ端子36aを貫通して形成されている。
【0023】
アンテナ端子36bは、配線接続部56bと、アンテナ接続部58bと、を有している。配線接続部56bには、第2接続配線40が接続されている。アンテナ接続部58bには、アンテナ14が接続される。
第1接続配線38は、ワイヤ46aであり、配線接続部56aと、ICチップ34とを電気的に接続している。第2接続配線40は、ワイヤ46bであり、配線接続部56bと、ICチップ34とを電気的に接続している。
【0024】
封止部42は、ベース基板32、ICチップ34、第1接続配線38(ワイヤ46a)、第2接続配線40(ワイヤ46b)、及びアンテナ端子36a,36bのベース基板32側の端部を覆っている。封止部42のX方向における両端は、第1接続配線38及び第2接続配線40を挟んで位置している。一例において、封止部42のX方向におけるアンテナ端子36a側の一端は、第1接続配線38とスリット60の一端部62aとの間に位置している。
封止部42は、ベース基板32とアンテナ端子36a,36bとの間に位置し、アンテナ端子36a,36bをベース基板32に連結している。一例において、封止部42のY方向における両端は、ベース基板32のY方向における両端の間に位置している。なお、封止部42のY方向における両端は、ベース基板32のY方向における両端と一致していてもよいし、ベース基板32のY方向における両端の外側に位置してもよい。
【0025】
図8は、第2実施形態に係る無線ICモジュールに切欠が形成された状態を示す平面図である。
図8に示すように、製造時の検査において機能や外観に問題があると判断された場合、アンテナ端子36aに切欠54が形成される。切欠54及びスリット60は、アンテナ端子36aにおいて、配線接続部56aとアンテナ接続部58aとの電気的接続を分断する。つまり、スリット60は、切欠54が形成された場合に、配線接続部56aとアンテナ接続部58aとを電気的に分断するように形成されている。
【0026】
次に、図9A図9B図9C、及び図9Dを参照して、第2実施形態に係る無線ICモジュール30の製造方法について説明する。
図9Aは、第2実施形態に係る無線ICモジュール30の製造工程を示す平面図である。
図9Aに示すように、無線ICモジュール30の製造が開始されると、まず、枠体72と、ベース基板32と、一対のアンテナ端子36a,36bと、を有している金属リードフレーム70を形成する。
【0027】
この時、ベース基板32は、枠体72に連結されている。具体的には、ベース基板32のY方向における両端は、第1連結部74を介して枠体72に連結されている。
一対のアンテナ端子36a,36bは、枠体72に連結され、ベース基板32に隙間を置いて対向している。具体的には、アンテナ端子36a,36bの4つの角部は、第2連結部76を介して枠体72に連結されている。さらに、一対のアンテナ端子36a,36bのうち一方(一例ではアンテナ端子36a)は、上記隙間に連通するスリット60を有している。スリット60を形成する方法は、例えば、パンチングである。
枠体72は、Y方向に沿って延出して形成された金属板である。一例において、金属リードフレーム70は、枠体72の内側に、X方向及びY方向に並ぶ複数組のベース基板32及び一対のアンテナ端子36a,36bを有している。
【0028】
図9Bは、図9Aに続く、第2実施形態に係る無線ICモジュール30の製造工程を示す平面図である。
図9Bに示すように、金属リードフレーム70を形成した後、ベース基板32にICチップ34を実装し、ICチップ34とアンテナ端子36aとを第1接続配線38で接続し、ICチップ34とアンテナ端子36bとを第2接続配線40で接続する。次に、ICチップ34、第1接続配線38、及び第2接続配線40を覆うように封止部42を形成する。これにより、アンテナ端子36a,36bはベース基板32に連結される。
【0029】
図9Cは、図9Bに続く、第2実施形態に係る無線ICモジュール30の製造工程を示す平面図である。
図9Cに示すように、封止部42を形成した後、第2連結部76をパンチングなどの方法で除去することで、アンテナ端子36a,36bを枠体72から切り離す。これにより、アンテナ端子36a,36bは、ベース基板32及び枠体72から電気的に独立した状態になる。次に、ICチップ及びアンテナ端子36a,36bの無線動作に関する検査(通信検査)を行う。
【0030】
図9Dは、図9Cに続く、第2実施形態に係る無線ICモジュール30の製造工程を示す平面図である。
図9Dに示すように、通信検査によって機能不良と判断された場合、一対のアンテナ端子36a,36bのうち一方(一例では、アンテナ端子36a)に不良品識別用の切欠54を形成し、切欠54及びスリット60によって、配線接続部56aとアンテナ接続部58aとの電気的接続を分断する。
一方、通信検査によって機能不良でないと判断された場合、第1連結部74を除去することで、ベース基板32と枠体72との連結を解除し、無線ICモジュールの製造を終了する。
【0031】
なお、上記製造方法において、通信検査によって切欠54を形成するか否かを判断する例を説明したが、通信検査以外の方法によって切欠54を形成するか否かを判断してもよい。例えば、傷や破損の有無を判断する外観検査や、ICチップ34とアンテナ端子36a,36bとが電気的に接続されているか否かを検査する導通検査によって、切欠54を形成するか否かを判断してもよい。
【0032】
第2実施形態の効果について説明する。
第2実施形態に係る無線ICモジュール及び無線ICモジュールの製造方法によれば、無線ICモジュール30は、識別領域IAとスリット60とを有するアンテナ端子36aを備えているため、アンテナ端子36aに切欠54が形成された場合に、配線接続部56aとアンテナ接続部58aとの電気的接続を分断することができる。これにより、不良品の市場流出を抑制可能な無線ICモジュール及び無線ICモジュールの製造方法を得ることができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。必要に応じて、複数の実施形態を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
10…無線ICカード、12…カード基材、14…アンテナ、30…無線ICモジュール、32…ベース基板、34…ICチップ、36a,36b…アンテナ端子、38…第1接続配線、40…第2接続配線、42…封止部、52…被切欠部、54…切欠、56a,56b…配線接続部、58a,58b…アンテナ接続部60…スリット、62…端部、70…金属リードフレーム、72…枠体、IA…識別領域。
【要約】
【課題】 実施形態の課題は、不良品の市場流出を抑制可能な無線ICモジュール、無線ICカード、及び無線ICモジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る無線ICモジュールは、ベース基板と、前記ベース基板に形成され、アンテナが接続される一対のアンテナ端子と、前記ベース基板に実装されたICチップと、前記ICチップと前記一対のアンテナ端子のうち一方のアンテナ端子とを接続する第1接続配線と、前記ICチップと前記一対のアンテナ端子のうち他方のアンテナ端子とを接続する第2接続配線と、を備え、前記ベース基板は、不良品識別用の切欠が形成される識別領域を有し、前記第1接続配線は、前記切欠が形成された際に切断されるように前記識別領域を横断して設けられている。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D