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特許7494283移動式クレーン、移動式クレーンシステム、および移動式クレーンに対してガイイング装置を追加および除去する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】移動式クレーン、移動式クレーンシステム、および移動式クレーンに対してガイイング装置を追加および除去する方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/82 20060101AFI20240527BHJP
   B66C 23/26 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B66C23/82 Z
B66C23/26 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022502872
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020070574
(87)【国際公開番号】W WO2021013843
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】102019120134.9
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520417377
【氏名又は名称】タダノ デマグ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Tadano Demag GmbH
【住所又は居所原語表記】Europaallee 2, 66482 Zweibruecken, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】オルフェイ ピーター
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260725(JP,A)
【文献】特開2011-121727(JP,A)
【文献】国際公開第2005/092775(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101857176(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/82
B66C 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線的に変位可能な内箱(2b~2e)を有する基本箱(2a)を有する伸縮ジブ(2)を備え、前記伸縮ジブ(2)が、ブレーシング装置(9)を装備することができ、前記基本箱(2a)上に配置された少なくとも1つの固定領域(7)が、前記ブレーシング装置を固定するために設けられている、車両クレーン(1)であって、
前記ブレーシング装置をリギングおよび/またはリギング解除するために前記ブレーシング装置(9)に接続され得る少なくとも1つの連結領域(8)が、前記内箱(2b)のうちの1つの上に配置されていることを特徴とする
車両クレーン(1)。
【請求項2】
前記連結領域(8)が内箱(2b)の自由端部分上に配置されていることを特徴とする
請求項1に記載の車両クレーン(1)。
【請求項3】
第1の内箱(2b)が前記基本箱(2a)上に直接支持され、
前記連結領域(8)が前記第1の内箱(2b)上に配置されていることを特徴とする
請求項1または2に記載の車両クレーン(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)と、ブレーシング装置(9)と、前記ブレーシング装置(9)を輸送するように設計された輸送ユニット(11)とを備える
車両クレーンシステム(10)。
【請求項5】
前記ブレーシング装置(9)が、前記車両クレーン(1)の前記伸縮ジブ(2)の前記内箱のうちの1つ(2b)の前記連結領域(8)に対応する第1の接続領域(13)を有するとともに、前記車両クレーン(1)の前記伸縮ジブ(2)の前記基本箱(2a)の前記固定領域(7)に対応する第2の接続領域(14)を有することを特徴とする
請求項4に記載の車両クレーンシステム(10)。
【請求項6】
前記ブレーシング装置(9)の前記第1の接続領域(13)と前記第2の接続領域(14)が、互いに隣接して、特に直接的に配置されていることを特徴とする
請求項5に記載の車両クレーンシステム(10)。
【請求項7】
前記ブレーシング装置(9)および/または前記輸送ユニット(11)が、少なくとも1つの、特に枢動可能な支持装置(12)を有し、前記支持装置(12)により、前記ブレーシング装置(9)が前記輸送ユニット(11)の積載面(11c)の上に支持され、それによって自由空間(R)を形成することができることを特徴とする
請求項4から6のいずれか一項に記載の車両クレーンシステム(10)。
【請求項8】
ブレーシング装置(9)を、特に請求項4から7のいずれか一項に記載の車両クレーンシステム(10)の輸送ユニット(11)から車両クレーン(1)の伸縮ジブ(2)へ移す方法であって、
前記輸送ユニット上に受容される前記ブレーシング装置(9)を有する前記輸送ユニット(11)を前記車両クレーン(1)の領域内に設けるステップと、
前記ブレーシング装置(9)の縦方向が前記伸縮ジブ(2)の縦方向(X1)に対して方向づけられるように、前記輸送ユニット(11)および前記伸縮ジブ(2)を互いに対して配置するステップと、
前記配置するステップの前にまたは後で、前記伸縮ジブ(2)の前記縦方向(X1)を、前記輸送ユニット(11)の積載面(11c)と前記ブレーシング装置(9)との間に配置された自由空間(R)に向かって方向づけるステップと、
前記伸縮ジブ(2)の少なくとも1つの内箱(2b)を前記自由空間(R)内へ延長するステップと、
前記ブレーシング装置(9)の第1の接続領域(13)が内箱(2)の連結領域(8)と位置合わせされるまで前記伸縮ジブ(2)を方向づける、特に上げ下げするステップと、
前記ブレーシング装置(9)の前記第1の接続領域(13)を前記内箱(2b)の前記連結領域(8)に連結するステップと、
前記少なくとも1つの内箱(2b)を引っ込め、同時に前記ブレーシング装置(9)を前記輸送装置(11)から離れる向きに前記車両クレーン(1)の方へ変位させるステップと、
前記ブレーシング装置(9)の第2の接続領域(14)が前記伸縮ジブ(2)の基本箱(2a)の固定領域(7)と位置合わせされるとすぐに、前記少なくとも1つの内箱(2b)を引っ込めるのを終了するステップと、
前記ブレーシング装置(9)の前記第2の接続領域(14)を前記基本箱(2a)の前記固定領域(7)に連結するステップと、
前記ブレーシング装置(9)の前記第1の接続領域(13)と前記内箱(2b)の前記連結領域(8)との間の前記連結を解除するステップと、を含む
方法。
【請求項9】
前記伸縮ジブ(2)を引っ込める間にまたは後で、前記輸送ユニット(11)の前記積載面(11c)上に前記ブレーシング装置(9)を支持するように設計された支持装置(12)が、使用位置(P1)から非使用位置(P2)まで枢動されることを特徴とする
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ブレーシング装置(9)を車両クレーン(1)の伸縮ジブ(2)から、特に前記伸縮ジブ(2)の基本箱(2a)から特に請求項4から7のいずれか一項に記載の車両クレーンシステム(10)の輸送ユニット(11)へ移す方法であって、
前記輸送ユニット(11)を前記車両クレーン(1)の領域内に設けるステップと、
必要に応じて、前記ブレーシング装置(9)の第1の接続領域(13)が前記伸縮ジブ(2)の内箱(2b)の連結領域(8)と位置合わせされるまで前記伸縮ジブ(2)を引っ込めるまたは延長するステップと、
前記ブレーシング装置(9)の前記第1の接続領域(13)を前記内箱(2b)の前記連結領域(8)に連結するステップと、
前記ブレーシング装置(9)の第2の接続領域(14)を前記基本箱(2a)の固定領域(7)から切り離すステップと、
その後または前もって輸送装置(11)および伸縮ジブ(2)を、前記伸縮ジブ(2)の縦方向(X1)が前記輸送ユニット(11)の積載面(11c)の縦方向に対して方向づけられるように互いに対して配置するステップと、
前記ブレーシング装置(9)に連結された前記伸縮ジブ(2)の少なくとも前記内箱(2b)を延長し、同時に前記ブレーシング装置(9)を前記車両クレーン(1)から離れる向きに前記輸送ユニット(11)の前記積載面(11c)の方へ変位させるステップと、
前記ブレーシング装置(9)が前記輸送ユニット(11)の前記積載面(11c)上またはその上方に配置されるとすぐに、前記伸縮ジブ(2)の前記延長を終了するステップと、
必要に応じて、前記ブレーシング装置(9)が前記輸送ユニット(11)の前記積載面(11c)上に載置されるように前記伸縮ジブ(2)を方向づける、特に上げ下げするステップと、
前記ブレーシング装置(9)の前記第1の接続領域(13)を前記内箱(2b)の前記連結領域(8)から切り離すステップと、
前記伸縮ジブ(2)が少なくとも、前記輸送ユニット(11)の前記積載面(11c)と前記ブレーシング装置(9)との間に配置された自由空間(R)から取り除かれるまで、前記伸縮ジブ(2)を引っ込めるステップと、
必要に応じて、前記伸縮ジブ(2)が前記ブレーシング装置(9)と接触しないように前記伸縮ジブ(2)を前もってまたは同時に方向づける、特に上げ下げするステップと、を含む
方法。
【請求項11】
前記伸縮ジブ(2)の前記延長ステップの間にまたは後で、前記輸送ユニット(11)の前記積載面(11c)上に前記ブレーシング装置(9)を支持するように設計された支持装置(12)が、非使用位置(P2)から使用位置(P1)まで枢動されることを特徴とする
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本箱(basic box)および直線的に変位可能な内箱(inner boxes)を有する伸縮ジブ(telescoping jib)を有する車両クレーンに関し、伸縮ジブにはブレーシング装置(bracing apparatus)を装備することができ、基本箱上に配置された少なくとも1つの固定領域が、前記ブレーシング装置を固定するために設けられる。本発明はまた、かかる車両クレーンとブレーシング装置およびブレーシング装置を輸送するように設計された輸送ユニットとを備える車両クレーンシステムにも関する。さらに、本発明は、ブレーシング装置を車両クレーンシステムの輸送ユニットから車両クレーンの伸縮ジブ上へ移す方法、および、ブレーシング装置を車両クレーンの伸縮ジブから車両クレーンシステムの輸送ユニット上へ移す方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両クレーン、特に移動式クレーンがどのように使用され得るかを決定する要因は、クレーンの構造設計によって設定される。耐荷重能力、作業半径、揚程などの技術的変数は、本質的に、当該伸縮ジブの設計によって決定される。伸縮ジブに連結され得るブレーシング装置を使用することにより、車両クレーンの変数は、例えば車両クレーンの耐荷重能力を高めかつ車両クレーンの伸縮ジブのたるみを低減するために、時々変更することができる。この種のブレーシング装置は、例えばラテラルスーパーリフト(lateral superlift)とすることができ、ラテラルスーパーリフトの配置は、伸縮ジブのレバーアームを有利に縮小するのに役立つことができる。それによって可能になる荷重支持能力の増加は、ほとんどの場合、このブレーシング装置に対して付加釣合いおもりおよび対応するたわみを組み合わせることにより達成される。
【0003】
かかる車両クレーンの重量は、通常は非常に重いものであるため、前記クレーンは、公道上を走行するために設定された車軸荷重および車両重量の最大値を順守できるようにするために、部分的に分解された態様でのみクレーンの当該使用場所に到着することが多い。この状況では、独国実用新案第202005015044号明細書は、直線的に変位可能な内箱を有する基本箱を有する伸縮ジブを備える車両クレーンシステムの一部としての車両クレーンを開示している。伸縮ジブには、車両クレーンシステムのブレーシング装置を装備することができ、前記ブレーシング装置を固定するために、基本箱上に配置された少なくとも1つの固定領域が設けられる。車両クレーンシステムの輸送ユニットで、ブレーシング装置は、当該使用場所へおよび当該使用場所から個別に輸送することができる。
【0004】
特定の実施形態では、ブレーシング装置は、輸送ユニット上の使用場所に運ばれ、その場所から車両クレーンの伸縮ジブによって持ち上げられ、地面上に支持される。この目的のために、ブレーシング装置は、ブレーシング装置が下に置かれる前に伸ばされる支持装置を有する。そのとき、このようにして地面とブレーシング装置との間に残っている自由空間は、車両クレーンをブレーシング装置の下に移動させることにより対応してラフダウンされた伸縮ジブを配置し、次いでブレーシング装置を伸縮ジブの基本箱に連結するために使用される。
【0005】
欧州特許第1342692号明細書もまた、車両クレーン自体がブレーシング装置用の保管領域を有している車両クレーンシステムを開示している。現場では、車両クレーンの伸縮ジブによって受容されるブレーシング装置は、第1のステップで車両クレーンの保管領域上に中間的に保管され得る。次いで、伸縮ジブは、ブレーシング装置を伸縮ジブの基本箱に連結することができる組立位置にまでラフダウンされる。
【0006】
欧州特許第2248754号明細書は、車両クレーンシステムの車両クレーン用の類似構造を開示している。これとは対照的に、ブレーシング装置の保管領域は小さいので、車両クレーンの伸縮ジブによって受容されるブレーシング装置の中間保管は、ブレーシング装置を前記保管領域上の端部に置くだけで行われ、反対側の端部は支持装置を介して地面上に立つ。この場合、次いで、伸縮ジブは、ブレーシング装置が伸縮ジブの基本箱に連結される組立位置にまでラフダウンされる。
【0007】
既知の設計では、ブレーシング装置のリギング/リギング解除を可能にするために、地上に、またはこの目的のために車両クレーン上に形成された保存領域上に、受容されたブレーシング装置を常に中間的に保管する必要がある。特にでこぼこの地面または不安定な地面の場合、地面上でのブレーシング装置の少なくとも端部側の支持が困難になり得る。車両クレーン上に追加の保管領域を形成してもまた、この目的に必要な設置スペースは空けておかなければならず、したがって他の目的に使用することができないか、または困難を伴ってしか使用することができないという欠点が生じる。概して、この点で、先行技術の以前に開示された実施形態にはまだ改善の余地がある。
【0008】
さらに、独国特許出願公開第102018119316号明細書は、ブレーシング装置、いわゆるラテラルスーパーリフトが車両クレーンとは別に輸送され、車両クレーンの伸縮ジブの基本箱上に置かれ得る、またはその場所からピックアップされ得る手段である取付部分輸送ユニットを開示している。取付部分輸送ユニットは、実質的に、ブレーシング装置を輸送するための積載面を有する牽引車両と取付部分輸送ユニットを載置またはピックアップするための傾斜装置とからなる。傾斜装置を用いて、第1のステップで、ブレーシング装置の一端を積載面から上方へ傾けることができる。次いで、移動式クレーンは、この端部の下でクレーンの伸縮ジブの基本箱と共に移動し、次いで、この端部は基本箱上に下げられる。その後、ブレーシング装置の他端は、傾斜装置によって持ち上げられ、円弧運動で基本箱上に載置される。この場合、ブレーシング装置の他端は、基本箱の上面上でブレーシング装置の足の方向にさらに転がる。最後に、ブレーシング装置は基本箱に固定され、次いで、傾斜装置は枢動して取付部分輸送ユニットへ戻される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、ブレーシング装置に対する車両クレーンのリギングおよびリギング解除を全体としてより容易にかつ安全に行うことができるように、以前から知られている車両クレーンおよび前記車両クレーンを含む車両クレーンシステムを改良することである。さらに、特に、車両クレーンとその輸送ユニットとの間のブレーシング装置の移動を単純化するために使用される2つの方法が示される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的の装置部分は、請求項1の特徴を有する車両クレーンおよび請求項4の特徴を有する車両クレーンシステムによって達成される。この目的の方法部分は、請求項8の特徴を有する方法および請求項10の特徴を有する方法によって達成される。従属請求項2、3および5~7ならびに9および11はそれぞれ、本発明の有利な実施形態を記述している。
【0011】
この目的のために、本発明による車両クレーンは連結領域を備え、連結領域は、伸縮ジブの内箱のうちの1つの上に配置され、ブレーシング装置をリギングおよび/またはリギング解除する目的でブレーシング装置に接続され得る。換言すれば、ブレーシング装置を受容するように設計された基本箱が、ブレーシング装置を固定するように設計された固定領域を有しているだけでない、というのはここで、内箱のうちの1つが、ブレーシング装置への一時的な接続のために設けられた連結領域も有しているからである。
【0012】
結果として得られる利点は、ブレーシング装置の以前にまだ必要とされていた中間保管部を除去するものと見なすことができる。これは、輸送ユニット上にまだ載置されているブレーシング装置を、このとき、伸縮ジブ自体のみを用いて専ら輸送ユニットの積載面から受け入れることができ、伸縮ジブが基本箱に固定される場所まで変位させることができることを意味する。具体的には、伸縮ジブは、この目的のために、ブレーシング装置が前もって延長された内箱の連結領域に接続され得るように、ブレーシング装置の下に配置され得る。その後で内箱を引っ込めるために、ブレーシング装置を輸送ユニットから離れる向きに車両クレーンまで強制的に移すことができる。車両クレーンに面するブレーシング装置の部分は、ブレーシング装置が中間保管部なしに基本箱上のブレーシング装置の固定位置に到達するほどに、伸縮ジブの基本箱上にまで変位することができる。このようにして、ブレーシング装置に対する車両クレーンのリギングおよびリギング解除は、全体としてより容易にかつ安全に行うことができる。
【0013】
本発明の基本的な考え方の好ましい別の発展形態によれば、所要の連結領域は、伸縮ジブの内箱の自由端部分に配置され得る。本発明に関して、自由端部分は、伸縮ジブの引っ込められた状態であっても基本箱から突出する内箱の部分、または連結領域を有する内箱がその中に変位可能に配置されている別の内箱の部分であると理解される。内箱は、例えば、内箱の自由端部分に配置され、連結領域がその上に配置または形成されるカラーを有することができる。
【0014】
本発明によれば、連結領域は第1の内箱上に配置することができ、前記第1の内箱は伸縮ジブの基本箱内に直接支持される。ブレーシング装置を、例えばその輸送ユニットから受け入れることができるようにするために、第1の内箱は、この内箱の中に支持される他の内箱と共に、内箱の連結領域がブレーシング装置の対応する領域に連結され得るまで延長されなければならない。第1の内箱上に配置するために、連結領域は、伸縮ジブが引っ込められた状態にあるときに基本箱のすぐ近くにあり、それにより、第1の内箱に連結されたブレーシング装置は、基本箱上へ可能な限り変位することができる。
【0015】
ここで提示される本発明の車両クレーンは、ブレーシング装置を用いた車両クレーンの非常に簡単なリギングおよびリギング解除を可能にし、これはほんの数ステップで実行することができる。問題のある地面であってもここでは無関係である、というのは、ブレーシング装置は、輸送ユニットから伸縮ジブ上へ直接変位させられ、前記地面上での中間保管なしに再び戻ることができるからである。既存の車両クレーンは、ブレーシング装置の中間保管用の付加的な保管領域を追加で作る必要なしに、本発明に従って内箱上に配置されるべき連結領域を後付けすることができる。
【0016】
本発明はさらに、前述の発明的車両クレーンとブレーシング装置およびブレーシング装置を輸送するように設計された輸送ユニットとを備える車両クレーンシステムに関する。これから明らかになる利点は、本発明による車両クレーンについて既に明記されている利点に対応しているので、繰り返しを避けるために、この時点でその利点に関連する前のステートメントを参照されたい。
【0017】
本発明による車両クレーンシステムの特に好ましい発展形態によれば、このシステムのブレーシング装置は、車両クレーンの伸縮ジブの内箱のうちの1つの連結領域に対応する第1の接続領域を有することができる。さらに、ブレーシング装置は、車両クレーンの伸縮ジブの基本箱の固定領域に対応する第2の接続領域を有することができる。この場合、第1の接続領域は、車両クレーンをリギングおよびリギング解除するためのブレーシング装置を、連結領域を備える内箱に一時的に接続するのに役立つ。これとは対照的に、ブレーシング装置の第2の接続領域は、ブレーシング装置が伸縮ジブの基本箱上に配置されている状態でブレーシング装置が実際に使用される前にブレーシング装置を基本箱に接続するために設けられる。
【0018】
特に有利な態様では、この目的のために、ブレーシング装置の第1の接続領域および第2の接続領域は互いに隣接して配置され得る。これは、接続領域を有するブレーシング装置の部分が、重量および寸法を可能な限り低く保つために、それに対応して細長い設計を有することができることを意味する。したがって、好ましくは、第1の接続領域および第2の接続領域は互いのすぐ隣りに配置することもできる。
【0019】
本発明による車両クレーンシステムの別の実施形態では、支持装置が提供される。支持装置は、ブレーシング装置および/または輸送ユニット上に配置され得る。支持装置は、輸送ユニットの積載面の上方にブレーシング装置を支持するように設計される。この目的のために、ブレーシング装置は、例えば、ブレーシング装置または輸送ユニットの一方の端部領域にのみ配置することができる。これは、ブレーシング装置の反対側端部領域が、ブレーシング装置自体が輸送ユニットの積載面上に載置され得るように構成される場合に特に有利である。いずれの場合も、支持装置は、積載面の上方に自由空間を形成しながらブレーシング装置を配置するのに役立つ。車両クレーンのリギングおよびリギング解除の間、自由空間は、ブレーシング装置を受容し載置するのに必要な伸縮ジブの移動を完了するために、いわばブレーシング装置の下に、変位させられるべき伸縮ジブ用の十分な空間を提供する。特に好ましくは、支持装置は、ブレーシング装置および/または輸送ユニット上に枢動可能に配置され得るので、支持装置は、使用位置と非使用位置との間で変位させることができる。それらの使用位置は、ブレーシング装置を支持するのに役立つ。輸送ユニット上に配置されると、支持装置の非使用位置は、特に輸送ユニットの移動中に、支持装置を可能な限り省スペースで安全に保つのに役立つ。これとは対照的に、支持装置がブレーシング装置上に配置されると、非使用位置は、支持装置が伸縮ジブに対して可能な限りコンパクトに位置することを確実にするのに役立つ。
【0020】
ここで提示される本発明の車両クレーンシステムは、全体として、本発明による車両クレーンに関連して既に説明されている解決策を提供するので、繰り返しを避けるために、この時点でその解決策に関連する対応するステートメントを参照されたい。
【0021】
さらに、本発明は、ブレーシング装置を車両クレーンシステムの輸送ユニットから車両クレーンの伸縮ジブへ移す方法に関する。車両クレーンシステムおよび/または車両クレーンは、本発明による前述の車両クレーンシステムおよび/または本発明による車両クレーンとすることができる。いずれの場合も、本方法は、以下のステップ、すなわち、
輸送ユニット上に受容されるブレーシング装置を有する輸送ユニットを車両クレーンの領域内に設けるステップと、
ブレーシング装置の縦方向が伸縮ジブの縦方向に対して方向づけられるように、輸送ユニットおよび伸縮ジブを互いに対して配置するステップと、
配置するステップの前にまたは後で、伸縮ジブの縦方向を、輸送ユニットの積載面とブレーシング装置との間に配置された自由空間に向かって方向づけるステップと、
伸縮ジブの少なくとも1つの内箱を自由空間内へ延長するステップと、
ブレーシング装置の第1の接続領域が内箱の連結領域と位置合わせされるまで伸縮ジブを方向づける、特に上げ下げするステップと、
ブレーシング装置の第1の接続領域を内箱の連結領域に連結するステップと、
少なくとも1つの内箱を引っ込め、同時にブレーシング装置を輸送装置から離れる向きに車両クレーンの方へ変位させるステップと、
ブレーシング装置の第2の接続領域が伸縮ジブの基本箱の固定領域と位置合わせされるとすぐに、少なくとも1つの内箱を引っ込めるのを終了するステップと、
ブレーシング装置の第2の接続領域を基本箱の固定領域に連結するステップと、
ブレーシング装置の第1の接続領域と内箱の連結領域との間の連結ステップを解除するステップと
を含む。
【0022】
本発明による方法の特に好ましい発展形態によれば、伸縮ジブを引っ込めるステップの間にまたは後で、輸送ユニットの積載面上にブレーシング装置を支持するように設計された支持装置が、使用位置から非使用位置まで枢動され得る。有利な態様では、支持装置は、この目的のために輸送ユニット上に配置することができ、支持装置の非使用位置は、枢動によって積載面上に載置され得ることを意味する。
【0023】
さらに、本発明は、ブレーシング装置を車両クレーンの伸縮ジブから、特に伸縮ジブの基本箱から車両クレーンシステムの輸送ユニットへ移す方法に関する。車両クレーンシステムおよび/または車両クレーンは、本発明による前述の車両クレーンシステムおよび/または本発明による車両クレーンとすることができる。いずれの場合も、本方法は、以下のステップ、すなわち、
輸送ユニットを車両クレーンの領域内に設けるステップと、
必要に応じて、ブレーシング装置の第1の接続領域が伸縮ジブの内箱の連結領域と位置合わせされるまで伸縮ジブを引っ込めるまたは延長するステップと、
ブレーシング装置の第1の接続領域を内箱の連結領域に連結するステップと、
ブレーシング装置の第2の接続領域を基本箱の固定領域から切り離すステップと、
その後または前もって輸送装置および伸縮ジブを、伸縮ジブの縦方向が輸送ユニットの積載面の縦方向に対して方向づけられるように互いに対して配置するステップと、
ブレーシング装置に連結された伸縮ジブの少なくとも内箱を延長し、同時にブレーシング装置を車両クレーンから離れる向きに輸送ユニットの積載面の方へ変位させるステップと、
ブレーシング装置が輸送ユニットの積載面上またはその上方に配置されるとすぐに、伸縮ジブの延長ステップを終了するステップと、
必要に応じて、ブレーシング装置が輸送ユニットの積載面上に載置されるように伸縮ジブを方向づける、特に上げ下げするステップと、
ブレーシング装置の第1の接続領域を内箱の連結領域から切り離すステップと、
伸縮ジブが少なくとも、輸送ユニットの積載面とブレーシング装置との間に配置された自由空間から取り除かれるまで、伸縮ジブを引っ込めるステップと、
必要に応じて、伸縮ジブがブレーシング装置と接触しないように伸縮ジブを前もってまたは同時に方向づける、特に上げ下げするステップと
を含む。
【0024】
有利な一態様では、伸縮ジブの延長ステップを終了するステップの間にまたは後で、輸送ユニットの積載面上にブレーシング装置を支持するように設計された支持装置が、非使用位置から使用位置まで枢動され得る。有利な態様では、支持装置は、この目的のために輸送ユニット上に配置することができ、支持装置の非使用位置は、枢動によって積載面上に載置され得ることを意味する。
【0025】
本発明による当該方法によって達成される利点は、本発明による車両クレーンおよび/または本発明による車両クレーンシステムに関連して既に開示されているか、または少なくとも類似して議論されているので、この時点では繰り返しを避けるためにその点について前のステートメントを参照されたい。
【0026】
もちろん、車両クレーンの伸縮ジブ用のブレーシング装置の例を使用してより詳細に上述した本発明による方法は、他の取付部分にも適用され得る。これは、当該取付部分の構成および組込みに依存し、また、ラフィングシリンダに関連する手段(複数可)が同様に省略および/または適合される。
【0027】
本発明の例示される実施形態について、以下の既述を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による車両クレーンの側面図である。
図2図1の車両クレーンを備える本発明による車両クレーンシステムの側面図である。
図3図2の車両クレーンシステムを車両クレーンの伸縮ジブの向きを変えて示す図である。
図4図3の車両クレーンシステムを車両クレーンの位置を変えて示す図である。
図5図4の車両クレーンシステムを伸縮ジブの延長中の中間位置で示す図である。
図6図5の車両クレーンシステムを延長された伸縮ジブの最終位置で示す図である。
図7図6の車両クレーンシステムを、受容されるべき取付部分を有する伸縮ジブの第1の接続状態で示す図である。
図8図7の車両クレーンシステムを、受容された取付部分を有する伸縮ジブの引っ込み中の中間位置で示す図である。
図9図8の車両クレーンシステムを、受容された取付部分を有する引っ込められた伸縮ジブの最終位置で示す図である。
図10図9の車両クレーンシステムを、受容された取付部分を有する伸縮ジブの第2の接続状態で示す図である。
図10図9の車両クレーンシステムを、受容された取付部分を有する伸縮ジブの第2の接続状態で示す図である。
図11図10の車両クレーンシステムを、受容された取付部分を有する伸縮ジブの部分的に接続されていない状態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明による車両クレーン1の構造を示し、車両クレーン1は、地面U上に駐車され、この場合は水平方向Xと平行に延びる伸縮ジブ2を備える。車両クレーン1は、ここに示す例では車輪付き走行装置ユニット4を備える下部キャリッジ3を有し、車輪付き走行装置ユニット4は、車軸上に回転可能に取り付けられ、横方向Yと平行に互いに離間された少なくとも2つのゴムタイヤ付き車輪5をそれぞれ有する合計6つの車軸4a~4fを含む。下部キャリッジ3上には上部構造6が配置され、上部構造6は、伸縮ジブ2を支持するとともに、下部キャリッジ3に対して、略垂直上向き方向Zと平行に延びる回転軸線Z1を中心に回転することができる。伸縮ジブ2は、その縦方向X1に延びており、それに対応して、横方向Yに延びる水平ピボット軸線Y1によって上部構造6上に上げ下げ可能に関節連結される。
【0030】
伸縮ジブ2の構造を説明するために、伸縮ジブ2は、伸縮ジブ2がある程度延長された状態で示されている。これから、上部構造6に関節連結された伸縮ジブ2の基本箱2aが複数の内箱2b~2eを含むことが分かる。内箱の階段状の断面が互いに一致することにより、前記内箱2b~2eは、これらの内箱を変位させることができるように、特に、それに応じて伸縮ジブ2の縦方向X1に油圧で引っ込めたり延長したりすることができるように、入れ子式に基本箱2a内に直線的に配置される。基本箱2aは固定領域7を有し、固定領域7は、この場合は上下に位置する2つの円で示されており、基本箱2aの自由端部分上に配置されることは明らかである。基本箱2a上に直接支持された第1の内箱2bは連結領域8を有し、連結領域8は、この場合も同様に上下に位置する2つの円で示されており、第1の内箱2bの自由端部分上に配置される。基本箱2aの固定領域7および第1の内箱2bの連結領域8は、ここではまだ明らかでないが以下でより明確になるように、ブレーシング装置9に対する移動式クレーン1の簡単なリギングおよびリギング解除に使用される。
【0031】
図2は、図1を参照して上でより詳細に説明した本発明による車両クレーン1、ならびに上述のブレーシング装置9と共に輸送ユニット11を備える、本発明による車両クレーンシステム10を示す。例として、この場合に示される輸送ユニット11は、セミトレーラ11bに連結される牽引車両11aを有する。この場合、ブレーシング装置9は、輸送ユニット11の積載面11c、特に輸送ユニットのセミトレーラ11b上に配置され、したがって、ブレーシング装置9は、車両クレーン1とは別に、ブレーシング装置9の当該使用場所への行き来で輸送することができる。ブレーシング装置9は、ラテラルスーパーリフトジブとも呼ばれ、ブレーシング装置9の端部領域の一方が積載面11c上にあり、ブレーシング装置9の反対端部領域が支持装置12を介して積載面11c上に支持される。ブレーシング装置9は、通常、半環状接続要素と、この接続要素上に枢動可能な態様で配置された1つまたは2つのブレーシング支持体と、いずれの場合もこれらのためのピボットアウト駆動部と、からなる。その結果、このように支持されたブレーシング装置9の部分は、それに応じて積載面11cの上方に離間された態様で配置され、したがって自由空間Rを形成する。例として、支持装置12は、この場合は輸送ユニット11、特に輸送ユニットのセミトレーラ11bに割り当てられ、支持装置12はセミトレーラに枢動可能に接続される。この場合、支持装置12は使用位置P1にあり、この使用位置は、略垂直であり、したがって上向き方向Zと平行である支持装置12の延長部を指す。
【0032】
輸送ユニット11の積載面11c上にあるブレーシング装置9の部分を見ると、この部分は2つの接続領域13、14を有することが明らかになり、この場合はそれぞれ、接続要素上に上下に位置する円として示されている。接続領域13、14は、第1の接続領域13が伸縮ジブ2の第1の内箱2b上に設けられた連結領域8に対応し、第1の接続領域13のすぐ隣りに配置された第2の接続領域14が伸縮ジブ2の基本箱2a上に配置された固定領域7に対応するように配置および形成される。
【0033】
さらなる図3図11を参照すると、輸送ユニット11上に配置されたブレーシング装置9を用いた車両クレーン1のリギングについて以下でより詳細に説明するが、車両クレーン1のリギング解除は、対応する逆の順序で同様に実行することができる。
【0034】
図3は、図2に既に示されている車両クレーンシステム10を示すが、車両クレーンシステム10の車両クレーン1および輸送ユニット11は互いに対して配置されている。図2の説明図と比較すると、車両クレーン1の上部構造6は180°回転されており、したがって、伸縮ジブ2の縦方向X1はブレーシング装置9の縦方向に向かって方向づけられている。伸縮ジブ2の自由端はこのとき、積載面11cとブレーシング装置9との間の自由空間Rの方向を指しており、そういうわけで、伸縮ジブ2は伸縮ジブ2の以前の水平方向の延長部から下方へわずかにラフダウンされていることが分かる。車両クレーン1および輸送ユニット11の配置および方向付けは、それらの対応する移動および/または伸縮ジブ2の方向付けによってもたらされる。
【0035】
図4は、輸送ユニット11にさらに近づく車両クレーン1の、例としてこの場合は逆に実行される接近(矢印で示す)を示し、それにより、まだ引っ込められている伸縮ジブ2は、少なくとも一部分が自由空間R内に突出し、ブレーシング装置9のブレーシング支持体の下またはブレーシング支持体相互間に受容される。
【0036】
図5は、伸縮ジブ2が延長されている中間位置(矢印で示す)を示し、中間位置は、この場合に示される例では、基本箱2aに対する第1の内箱2bの直線変位に限定される。
【0037】
図6は、リギングに必要な延長された伸縮ジブ2の最終位置(矢印で示す)を示す。その後または同時に、伸縮ジブ2は、例えば、ブレーシング装置9の第1の接続領域13が第1の内箱2bの連結領域8と位置合わせされるように伸縮ジブ2を上げ下げすることによって方向づけられる。
【0038】
図7は、ブレーシング装置9の第1の接続領域13と内箱2bの連結領域8とのその後の連結を示しており、以前は2つの円だけで示されていた第1の接続領域13はこのとき2つの黒点で示されている。換言すれば、ブレーシング装置9はこのとき、好ましくは対応するボルトによって伸縮ジブ2の第1の内箱2bに接続される。このとき、伸縮ジブ2は、ブレーシング装置9が輸送ユニット11の積載面11cおよび支持装置12からリフトオフされるように、わずかにラフアップされる。ブレーシング装置9の1つまたは2つのブレーシング支持体は、基本箱2aの上面上のローラによって支持されることが好ましい。ブレーシング装置9のブレーシング支持体は、ブレーシング装置9の接続要素上に片持ち梁状に支持され、基本箱2aから一定間隔を維持することもできる。
【0039】
図8は、伸縮ジブ2、特に伸縮ジブの第1の内箱2bを引っ込めた状態を示す。ブレーシング装置9と連結しているために、ブレーシング装置9は、同時に、輸送ユニット11の積載面11cから離れる向きに車両クレーン1の方へ変位させられる(矢印で示す)。適切な時点で、支持装置12は、(曲がった矢印で示されるように)支持装置12の使用位置P1からこの使用位置に対して略水平の非使用位置P2まで枢動される。
【0040】
図9は、伸縮ジブ2を最終位置までさらに引っ込めた状態(矢印で示す)を示す。この最終位置では、ブレーシング装置9の第2の接続領域14と伸縮ジブ2の基本箱2aの固定領域7とが互いに位置合わせされる。必要に応じて、それらの位置合わせされる向きは、それに対応して第1の内箱2bを基本箱2aに対して直線的に変位させることによって調整されなければならない。
【0041】
図10は、ブレーシング装置9の第2の接続領域14と基本箱2aの固定領域7との好ましくはボルトによる連結に関連する、伸縮ジブ2の基本箱2aへのブレーシング装置9の移行を示す。この場合、これは、以前は2つの円だけで示されていた第2の接続領域13が、ここでも同様に2つの黒点で示されているという事実によって示されている。
【0042】
図11はリギング工程の終わりを示し、輸送ユニット11は例えば車両クレーン1から取り除かれる(矢印で示す)。伸縮ジブ2の直線可動性を回復するために、ブレーシング装置9の第1の接続領域13と内箱2bの連結領域8との間の連結は、必要に応じてブレーシング装置9を受容するために、このとき解放される。これを示すために、対応する黒点は、この場合は円で置き換えられている。
【0043】
既に示したように、ブレーシング装置9は、本明細書の残りの部分で既に示したように、車両クレーン1の伸縮ジブ2から輸送ユニット11へ逆の方法で戻され、これは、本明細書で説明した図1図11を使用して論理的に辿ることができる。この目的のために、伸縮ジブ2は、とりわけ、ブレーシング装置9の第1の接続領域13が次いで伸縮ジブ2の第1の内箱2bの連結領域8と位置合わせされて、これらを互いに連結できるようになるまで、最初に引っ込められるかまたは延長される。その後、ブレーシング装置9の第2の接続領域14は、次いで基本箱2aの固定領域7から切り離されるので、ブレーシング装置9は、伸縮ジブ2を延長することにより伸縮ジブの基本箱2aから離れる向きに変位させることができる。ブレーシング装置9を輸送ユニット11の積載面11c上に載置し、第1の基本箱2bから輸送ユニットを取り除くことが、上記から論理的に続く。
【符号の説明】
【0044】
1 車両クレーン
2 伸縮ジブ
2a 基本箱
2b 第1の内箱
2c 第2の内箱
2d 第3の内箱
2e 第4の内箱
3 下部キャリッジ
4 車輪付き走行装置ユニット
4a 車軸
4b 車軸
4c 車軸
4d 車軸
4e 車軸
4f 車軸
5 タイヤ
6 上部構造
7 固定領域
8 連結領域
9 ブレーシング装置
10 車両クレーンシステム
11 輸送ユニット
11a 牽引車両
11b セミトレーラ
11c 積載面
12 支持装置
13 第1の接続領域
14 第2の接続領域
P1 使用位置
P2 非使用位置
R 自由空間
U 地面
X 水平方向
X1 縦方向
Y 横方向
Y1 ピボット軸線
Z 上向き方向
Z1 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11