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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】熱管理装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 21/00 20060101AFI20240527BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20240527BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F28D21/00 Z
F28D20/02 Z
F28D15/02 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022549529
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 GB2021050303
(87)【国際公開番号】W WO2021165646
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】2002135.8
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】20275042.8
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】スコルチェフスキー、レオン
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209787675(CN,U)
【文献】特開2000-186876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0327596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D15/02,20/02,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と共に使用するための熱管理装置であって、前記装置は、熱管理を必要とする車両システムとマニホールドの中の媒体を介して熱的に結合された複数の相変化熱交換ユニットと、前記マニホールドを制御するように構成されたコントローラを備え、前記複数の相変化熱交換ユニットは、前記車両システムから熱を除去するように動作可能であり、前記コントローラは、前記相変化熱交換ユニットの受け入れ可能熱容量が閾値容量を下回る間、前記車両システムの動作を阻止することによって、前記車両システムの動作を制御するように構成されている、熱管理装置。
【請求項2】
前記相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、前記車両の一次冷却システムに熱的に結合される、請求項1に記載の熱管理装置。
【請求項3】
前記マニホールドは、前記車両システムから前記相変化熱交換ユニットへの熱の送達を制御するように動作可能である、請求項1または2に記載の熱管理装置。
【請求項4】
前記マニホールドは、前記車両システムからの熱を、前記複数の相変化熱交換ユニットで構成されるサブセットに向けるように動作可能である、請求項3に記載の熱管理装置。
【請求項5】
前記マニホールドは、前記車両システムから前記相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するように動作可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項6】
前記マニホールドは、前記車両システムから前記複数の相変化熱交換ユニットにおける個々の相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するように動作可能である、請求項5に記載の熱管理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに同時に送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、全ての前記相変化熱交換ユニットに同時に送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに並行して送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、第1の相変化熱交換ユニットの前記受け入れ可能熱容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達するように前記マニホールドを制御し、次いで、前記車両システムからの熱を、第2の相変化熱交換ユニットに送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、請求項のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、前記複数の相変化熱交換ユニットに対して順次送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、請求項10のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項12】
前記相変化熱交換ユニットは、それらの温度、及び/またはそれらの前記受け入れ可能熱容量のインジケーションを提供するために、前記コントローラに動作可能に結合される、請求項11のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項13】
前記相変化熱交換ユニット(101)のうちの少なくとも1つおよび/または前記車両システム(201)からの温度情報を前記コントローラに提供するように構成された1つまたは複数の温度センサをさらに備える、請求項12のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項14】
前記コントローラは、使用時に熱管理を必要とする前記車両システムとインターフェースするように構成されたシステムインターフェースを備える、請求項13のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項15】
前記コントローラは、使用時に、前記車両システムの動作を制御するために、前記システムインターフェースを通じて前記車両システムと通信するように構成されている、請求項14に記載の熱管理装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記車両システムの温度が動作閾値を上回る間、前記車両システムの動作を阻止することによって、前記車両システムの動作を制御するように構成されている、請求項15のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項17】
前記車両システムは、レーザ指向性エネルギー兵器を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項18】
前記相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、前記車両上のヒートシンクに熱的に結合される、請求項1~17のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項19】
前記相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、前記車両の構造的な構成要素に熱的に結合される、請求項1~18のいずれか一項に記載の熱管理装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の熱管理装置を備える車両。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の熱管理装置を用いた熱管理の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱管理装置、熱管理装置を組み込んだ車両、および熱管理装置において用いられる熱管理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機および他の車両では、熱管理は、車両構成要素およびシステムがそれらの所望の動作温度範囲内に留まることを確実にするために使用される。熱管理は、高いピークエネルギー消費を有し、一定のエネルギースループットではなく要求に応じて動作するシステムにとって特に重要である。このようなシステムは、短時間に大量の熱を発生する可能性がある。その熱は、自然放熱を通じて失われ得るよりも、あるいは車両の内部またはエンジンの冷却に対処する冷却システム等の、車両用の一次冷却システムを介して廃棄され(disposed of)得るよりも急速に蓄積し得る。
【0003】
例えば、航空機または他の車両に搭載され得るレーザ指向性エネルギー兵器(LDEW)は、高いピークエネルギー消費を有し、典型的に、短時間でのレーザの使用中に発生するかなりの量の熱を管理する必要がある。たとえLDEWが搭載されている車両の一次冷却システムに一体化されたとしても、LDEWの使用中に発生した過剰な熱の廃棄は、LDEW動作に対する制限要因となり得る。これは特に、LDEWが動作要件に従って異なる使用パターンを有する場合に当てはまる。
【0004】
加えて、全ての車両搭載システムと同様に、熱管理装置のために確保され(dedicated to)得る空間および重量に対する制約がある。したがって、小型で軽量かつ適応性のある熱管理装置が求められている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、車両と共に使用するための熱管理装置が提供される。装置は、熱管理を必要とするシステムと熱的に結合された複数の相変化熱交換ユニットを備え、複数の相変化熱交換ユニットは、車両システムから熱を除去するように動作可能である。
【0006】
一例では、相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、車両の一次冷却システムに熱的に結合されて、そこに熱を放出する。一例では、相変化熱交換ユニットの各々が、車両の一次冷却システムに熱的に結合される。一例では、全ての相変化熱交換ユニットが、車両の一次冷却システムに熱的に結合される。一例では、この一次冷却システムは、車両のエンジン冷却システム、および/または、車両の内部冷却システムである。一次冷却システムは、車両のエンジン冷却および/または内部冷却を備える。
【0007】
熱管理を必要とするシステムと熱的に結合された、相変化熱交換器としても知られる複数の相変化熱交換ユニットを備える熱管理装置が、個々の相変化熱交換ユニットのサイズおよび重量の利点を利用して、個々のユニットを車両内に配置する際の柔軟性を可能にする。さらに、相変化熱交換ユニットの動作を、それらが熱的に接続されているシステムの動作要件に従って変化させることが可能であるので、熱管理における柔軟性が達成される。相変化熱交換ユニットは、それらが熱的に接続されているシステムと、車両の一次冷却システム等の他の冷却システムまたは機器との間のバッファとして機能する。
【0008】
一例では、熱管理装置は、車両システムから相変化熱交換ユニットへの熱の送達を制御するように動作可能なマニホールドを備える。一例では、マニホールドは、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットのサブセットに向けるように動作可能である。
【0009】
一例では、マニホールドは、車両システムから相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するように動作可能である。一例では、マニホールドは、車両システムから複数の相変化熱交換ユニットにおける個々の相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するように動作可能である。
【0010】
一例では、熱管理装置は、マニホールドを制御するように構成された(arranged)コントローラを備える。
【0011】
一例では、コントローラは、車両システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに同時に送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。
【0012】
一例では、コントローラは、システムからの熱を、全ての相変化熱交換ユニットに同時に送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。
【0013】
一例では、コントローラは、システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに並行して、例えば、全ての相変化熱交換ユニットに並行して送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。
【0014】
一例では、コントローラは、システムからの熱を、第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量(capacity to receive heat)が使い果たされるまで、そのユニットに送達するようにマニホールドを制御し、次いで、このシステムからの熱を、第2の相変化熱交換ユニットに送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。
【0015】
一例では、コントローラは、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに順次送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。一例では、コントローラは、車両システムからの熱が、1つの第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達され、次いで、次のものへと送達されるように、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに順次送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。一例では、コントローラは、車両システムからの熱が、1つの第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達され、次いで、全てのユニットの熱を受け入れる全容量が使い果たされるまで、次のものへと送達されるように、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに順次送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。一例では、コントローラは、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに循環的に(cyclically)送達するようにマニホールドを制御するように構成されている。
【0016】
一例では、相変化熱交換ユニットは、それらのステータスに関するステータス情報を提供するために、コントローラに動作可能に結合される。一例では、相変化熱交換ユニットは、それらの熱を受け入れる容量のインジケーションを提供するために、コントローラに動作可能に結合される。
【0017】
一例では、熱管理装置は、コントローラに温度情報を提供するように構成された1つまたは複数の温度センサを備える。一例では、熱管理装置は、使用時に車両システムに動作可能に結合される1つまたは複数の温度センサを備える。
【0018】
一例では、コントローラは、使用時に熱管理を必要とする車両システムとインターフェースするように構成されたシステムインターフェースを備える。
【0019】
一例では、コントローラは、使用時に、車両システムの動作を制御するために、システムインターフェースを通じて車両システムと通信するように構成されている。
【0020】
一例では、コントローラは、相変化熱交換ユニットの熱吸収容量に従って、車両システムの動作を制御するように構成されている。
【0021】
一例では、コントローラは、相変化熱交換ユニットの冷却比に従って、車両システムの動作を制御するように構成されている。
【0022】
一例では、コントローラは、車両システムの温度に従って、車両システムの動作を制御するように構成されている。
【0023】
一例では、コントローラは、車両システムの温度が動作閾値を上回る間、車両システムの動作を阻止することによって、車両システムの動作を制御するように構成されている。
【0024】
一例では、コントローラは、相変化熱交換ユニットの熱吸収容量が閾値容量を下回る間、車両システムの動作を阻止することによって、車両システムの動作を制御するように構成されている。
【0025】
一例では、車両システムは、電子システムを備える。一例では、車両システムは、防衛システムを備える。一例では、車両システムは、レーザ指向性エネルギー兵器を備える。
【0026】
一例では、相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、車両上のヒートシンクに熱的に結合される。一例では、相変化熱交換ユニットの各々が、車両上のヒートシンクに熱的に結合される。一例では、全ての相変化熱交換ユニットが、車両上のヒートシンクに熱的に結合される。
【0027】
一例では、相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、車両の構造的な構成要素に熱的に結合される。一例では、相変化熱交換ユニットの各々が、車両上の構造的な構成要素に結合される。一例では、全ての相変化熱交換ユニットが、車両上の構造的な構成要素に熱的に結合される。一例では、構造的な構成要素は、車両のシャーシを備える。一例では、構造的な構成要素は、車両の機体を備える。一例では、構造的な構成要素は、車両の胴体を備える。
【0028】
別の態様では、本明細書に記載の熱管理装置を備える車両が提供される。一例では、車両は、航空機を含む。航空機は、熱管理装置のために確保され得る利用可能な空間および重量に対する制約を受けるので、上述の熱管理装置は、相変化熱交換ユニットが熱的に接続されているシステムの動作要件にマッチするように動作における柔軟性を可能にしながら、車両との一体化の問題を低減する。
【0029】
別の態様では、熱管理の方法が提供され、方法は、熱管理を必要とする車両システムからの熱を、複数の相変化熱交換ユニットに送達することを備える。
【0030】
一例では、方法は、本明細書に記載の熱管理装置によって実行される。一例では、方法は、本明細書に記載の車両において実行される。
【0031】
一例では、方法は、車両システムから相変化熱交換ユニットへの熱の送達を制御するようにマニホールドを動作させることを備える。一例では、方法は、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットのサブセットに向けるようにマニホールドを動作させることを備える。
【0032】
一例では、方法は、車両システムから相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するようにマニホールドを動作させることを備える。一例では、方法は、車両システムから複数の相変化熱交換ユニットにおける個々の相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するようにマニホールドを動作させることを備える。
【0033】
一例では、方法は、車両システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに同時に送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。
【0034】
一例では、方法は、システムからの熱を、全ての相変化熱交換ユニットに同時に送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。
【0035】
一例では、方法は、システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに並行して、例えば、全ての相変化熱交換ユニットに並行して送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。
【0036】
一例では、方法は、システムからの熱を、第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達するようにマニホールドを制御し、次いで、このシステムからの熱を、第2の相変化熱交換ユニットに送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。
【0037】
一例では、方法は、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに順次送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。一例では、方法は、車両システムからの熱が、1つの第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達され、次いで、次のものへと送達されるように、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに順次送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。一例では、方法は、車両システムからの熱が、1つの第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達され、次いで、全てのユニットの熱を受け入れる全容量が使い果たされるまで、次のものへと送達されるように、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに順次送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。一例では、方法は、車両システムからの熱を、相変化熱交換ユニットに循環的に送達するようにマニホールドを制御するようにコントローラを動作させることを備える。
【0038】
一例では、方法は、相変化熱交換ユニットのステータス情報をコントローラに提供することを備える。一例では、方法は、相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量のインジケーションを提供するために、それらのステータス情報をコントローラに提供することを備える。
【0039】
一例では、方法は、車両システムの温度情報をコントローラに提供することを備える。一例では、方法は、車両システムの温度を感知することを備える。
【0040】
一例では、方法は、車両システムの動作を制御するために、車両システムと通信することを備える。
【0041】
一例では、方法は、相変化熱交換ユニットの熱吸収容量に従って、車両システムの動作を制御することを備える。
【0042】
一例では、方法は、相変化熱交換ユニットの冷却比に従って、車両システムの動作を制御することを備える。
【0043】
一例では、方法は、車両システムの温度に従って、車両システムの動作を制御することを備える。
【0044】
一例では、方法は、システムの温度が動作閾値を上回る間、車両システムの動作を阻止することによって、車両システムの動作を制御することを備える。
【0045】
一例では、方法は、相変化熱交換ユニットの熱吸収容量が閾値熱容量を下回る間、車両システムの動作を阻止することによって、車両システムの動作を制御することを備える。
【0046】
本発明のより良い理解のために、および本発明の実施形態がどのように実行に移され得るかを示すために、ここで、単なる例として、添付の概略図についての参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、一実施形態による、車両と共に使用するための熱管理装置の例示である。
図2図2は、例となる実施形態による、熱管理装置を備える車両システムの例示である。
図3図3は、例となる実施形態による、方法におけるステップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
ここで図1を参照すると、車両と共に使用するための熱管理装置が、全体として参照番号100によって示されている。
【0049】
熱管理装置100は、熱管理を必要とする車両システムと熱的に結合された複数の相変化熱交換ユニット101を備え、複数の相変化熱交換ユニットは、車両システムから熱を除去するように動作可能である。図1の実施形態では、3つの相変化熱交換ユニット101が存在する。
【0050】
図2は、熱管理装置100を備える車両200を示す。ここで示される車両200が航空機を備える一方で、本発明は、船舶、陸上車両等のような、他のタイプの車両に適用可能であることが容易に理解されるであろう。
【0051】
車両200は、レーザ指向性エネルギー兵器(LDEW)201を含む、過熱を防止するために熱管理を必要とする様々な電子システムを備える。使用時に、LDEW201は、かなりの量の熱を発生し、これは、LDEW201が再び使用され得る前にそれが冷却するのに要する時間量により、LDEW動作に対する制限要因をもたらす。
【0052】
相変化熱交換ユニット101は、相変化熱交換ユニット101からの熱の除去を補助するために、車両200の一次冷却システム202に熱的に結合される。一次冷却システム202は、特別に設けられたヒートシンク(図示せず)等の受動冷却要素と一緒に、または車両200上の1つまたは複数の構造的な構成要素への熱結合によって、能動冷却または強制冷却を含み得る。一次冷却システム202は、車両のエンジン冷却および/または内部冷却を備える。ここで、一次冷却システムは、車両内に既存の冷却システムか、またはさもなければ定常状態/通常の車両動作、すなわち、熱管理を必要とする車両システム、この例ではLDEW201の動作ではないもののために構成された冷却システムを含む。
【0053】
図2では、車両200の熱管理装置100、LDEW201、および一次冷却システム202を相互接続するように示される矢印は、熱移動のための経路を表す。図2は、感知された温度情報の伝送用の相互接続を示しておらず、これは、以下でより詳細に説明される。
【0054】
図1に戻って参照すると、熱管理装置100は、LDEW201から相変化熱交換ユニット101への熱の送達を制御するように動作可能なマニホールド102を備える。マニホールド102は、LDEW201からの熱を、相変化熱交換ユニット101のサブセットに向けるように動作可能である。
【0055】
LDEW201によって発生した熱負荷を迅速に吸収するそれらの能力により、相変化熱交換ユニット101は、レーザ応用のためのコンパクトで効果的な冷却ソリューションを提供する。しかしながら、典型的な相変化熱交換ユニットは、10:1の冷却比を有し、すなわち、熱交換ユニットの熱を吸収する容量が10秒で使い果たされる場合、この相変化熱交換ユニット101を再冷却して、それが再びもう10秒の間熱を吸収できる状態になるには、100秒が必要とされる。
【0056】
マニホールド102は、LDEW201から複数の相変化熱交換ユニット101における個々の相変化熱交換ユニット101への熱の送達を選択的に制御するように動作可能である。
【0057】
相変化熱交換ユニット101は、それらのステータスに関するステータス情報を提供するために、コントローラ103に動作可能に結合される。特に、相変化熱交換ユニット101は、コントローラ103に、それらの温度および/またはそれらの熱を受け入れる容量のインジケーションを提供する。
【0058】
熱管理装置100は、相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量に基づいて、マニホールド102を制御するように構成されたコントローラ103を備える。コントローラ103は、車両システムからの熱を、1つ、2つまたはそれより多くの相変化熱交換ユニット101に同時に送達するようにマニホールド102を制御するように構成されている。したがって、LDEW201によって発生した熱は、熱を受け入れる容量を有する、すなわち、現在再冷却していない、相変化熱交換ユニット101に向けられ得る。
【0059】
動作要件に従って、コントローラ103は、システムからの熱を、第1の相変化熱交換ユニット101の熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達するようにマニホールド102を制御し、次いで、このシステムからの熱を、第2の相変化熱交換ユニット101に送達するようにマニホールド102を制御するように構成され得、第2の相変化熱交換ユニットは、熱を受け入れることが可能であり、以下同様に、循環的に順次行われる。この動作方法は、対応するより長い冷却遅延を伴う、LDEW201の動作のより長いバーストを可能にするのに好適である。代替として、より短い持続時間のバースト間の時間を低減するために、マニホールド102は、LDEW201からの熱を、相変化熱交換ユニット101に並行して送達するように制御可能であり、その結果、可能な限り多くの熱が、LDEW201の動作の各個々のバースト後に可能な限り迅速に吸収される。
【0060】
複数の相変化熱交換ユニット101に熱を向けるようにマニホールド102を制御することに加えて、コントローラ103は、相変化熱交換ユニット101の残りの冷却容量および/またはLDEW201の温度に従って、LDEW201の動作を制御するように構成されている。コントローラ103が、車両200のLDEW201、相変化熱交換ユニット101、およびオプションで一次冷却システム202の温度を決定することを可能にする、センサ(図示せず)が設けられている。LDEW201の動作およびその温度、相変化熱交換ユニット101の温度、ならびに一次冷却システム202のパフォーマンスを監視することによって、コントローラ103は、LDEW201の利用可能な動作容量(operating capacity)を決定する。例えば、コントローラ103は、LDEW201の温度が動作閾値を上回る間、および/または相変化熱交換ユニット101の熱吸収容量が閾値容量を下回る間、LDEW201の動作を阻止する。このようにして、LDEW201は、過熱することなく最大限に動作され得る。
【0061】
図3は、図2の車両200に適用可能な熱管理の方法の例を示す。
【0062】
ステップ300において、方法は、熱管理を必要とする車両システムからの熱を、複数の相変化熱交換ユニットに送達することを備える。方法は、本明細書に記載の車両上の熱管理装置によって実行される。
【0063】
方法は、車両システムから相変化熱交換ユニットへの熱の送達を制御するようにマニホールドを動作させることを備える。
【0064】
方法は、相変化熱交換ユニットのステータス情報をコントローラに提供することを備える。特に、方法は、相変化熱交換ユニットの温度およびそれらの熱を受け入れる容量のインジケーションを提供するために、それらのステータス情報をコントローラに提供することを備える。
【0065】
方法は、車両システムの動作を制御するために、車両システムと通信することを備える。方法は、相変化熱交換ユニットの熱吸収容量、相変化熱交換ユニットの冷却比、および/または車両システムの温度に従って、車両システムの動作を制御することを備える。
【0066】
方法は、システムの温度が動作閾値を上回る間、および/または相変化熱交換ユニットの熱吸収容量が動作閾値を下回る間、車両システムの動作を阻止することによって、車両システムの動作を制御することを備える。
【0067】
前述の説明において、既知の、明白な、または予測可能な同等物を有する整数(integers)または要素が言及された場合には、そのような同等物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本開示の真の範囲を決定するためには、特許請求の範囲を参照すべきであり、これは、任意のそのような同等物を包含するように解釈されるべきである。また、オプションとして説明された本開示の整数または特徴は、独立請求項の範囲を限定しないことも読者には理解されよう。さらに、そのようなオプションの整数または特徴は、本開示のいくつかの実施形態では可能な利益であるが、他の実施形態では望ましくない場合があり、したがって、存在しなくてもよいことを理解されたい。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
車両と共に使用するための熱管理装置であって、前記装置は、熱管理を必要とする車両システムと熱的に結合された複数の相変化熱交換ユニットを備え、前記複数の相変化熱交換ユニットは、前記車両システムから熱を除去するように動作可能である、熱管理装置。
[C2]
前記相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、前記車両の一次冷却システムに熱的に結合される、C1に記載の熱管理装置。
[C3]
前記車両システムから前記相変化熱交換ユニットへの熱の送達を制御するように動作可能なマニホールドをさらに備える、C1または2に記載の熱管理装置。
[C4]
前記マニホールドは、前記車両システムからの熱を、前記相変化熱交換ユニットのサブセットに向けるように動作可能である、C3に記載の熱管理装置。
[C5]
前記マニホールドは、前記車両システムから前記相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するように動作可能である、C3または4に記載の熱管理装置。
[C6]
前記マニホールドは、前記車両システムから前記複数の相変化熱交換ユニットにおける個々の相変化熱交換ユニットへの熱の送達を選択的に制御するように動作可能である、C5に記載の熱管理装置。
[C7]
前記マニホールドを制御するように構成されたコントローラをさらに備える、C1~6のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C8]
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに同時に送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、C7に記載の熱管理装置。
[C9]
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、全ての前記相変化熱交換ユニットに同時に送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、C7または8に記載の熱管理装置。
[C10]
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、2つ以上の相変化熱交換ユニットに並行して送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、C7、8または9に記載の熱管理装置。
[C11]
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、第1の相変化熱交換ユニットの熱を受け入れる容量が使い果たされるまで、そのユニットに送達するように前記マニホールドを制御し、次いで、前記車両システムからの熱を、第2の相変化熱交換ユニットに送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、C7~10のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C12]
前記コントローラは、前記車両システムからの熱を、前記相変化熱交換ユニットに順次送達するように前記マニホールドを制御するように構成されている、C7~11のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C13]
前記相変化熱交換ユニットは、それらのステータスに関するステータス情報を提供するために、前記コントローラに動作可能に結合される、C7~12のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C14]
前記相変化熱交換ユニットは、それらの熱を受け入れる容量のインジケーションを提供するために、前記コントローラに動作可能に結合される、C7~13のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C15]
前記相変化熱交換ユニット(101)のうちの少なくとも1つおよび/または前記車両システム(201)からの温度情報を前記コントローラに提供するように構成された1つまたは複数の温度センサをさらに備える、C7~14のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C16]
前記コントローラは、使用時に熱管理を必要とする前記車両システムとインターフェースするように構成されたシステムインターフェースを備える、C7~15のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C17]
前記コントローラは、使用時に、前記車両システムの動作を制御するために、前記システムインターフェースを通じて前記車両システムと通信するように構成されている、C16に記載の熱管理装置。
[C18]
前記コントローラは、前記相変化熱交換ユニットの熱吸収容量と、前記相変化コントローラの冷却比と、前記車両システムの温度と、のうちの少なくとも1つに従って、前記車両システムの動作を制御するように構成されている、C7~17のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C19]
前記コントローラは、前記車両システムの前記温度が動作閾値を上回る間、前記車両システムの動作を阻止することによって、前記車両システムの動作を制御するように構成されている、C7~18のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C20]
前記コントローラは、前記相変化熱交換ユニットの前記熱吸収容量が閾値容量を下回る間、前記車両システムの動作を阻止することによって、前記車両システムの動作を制御するように構成されている、C7~19のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C21]
前記車両システムは、レーザ指向性エネルギー兵器を備える、C1~20のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C22]
前記相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、前記車両上のヒートシンクに熱的に結合される、C1~21のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C23]
前記相変化熱交換ユニットのうちの1つまたは複数が、前記車両の構造的な構成要素に熱的に結合される、C1~22のいずれか一項に記載の熱管理装置。
[C24]
C1~23のいずれか一項に記載の熱管理装置を備える車両。
[C25]
C1~23のいずれか一項に記載の熱管理装置を用いた熱管理の方法。
図1
図2
図3