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特許7494314液化ガス貯蔵タンクシステム、その設計及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンクシステム、その設計及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022558118
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 KR2021003642
(87)【国際公開番号】W WO2021194250
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036907
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0091926
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511020737
【氏名又は名称】サムスン ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ソン,デ ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンスー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウクジョン
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055617(JP,A)
【文献】特開昭62-246696(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149760(WO,A1)
【文献】特開2017-078448(JP,A)
【文献】特開2016-185780(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0054846(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0139925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス貯蔵タンクの厚さが少なくとも設計外圧によって決定される設計内圧条件下での設計内圧及び設計外圧で設計された液化ガス貯蔵タンクと、そして、
前記液化ガス貯蔵タンクに結合して前記液化ガス貯蔵タンクの内部に発生する陰圧を解消する陰圧導出バルブを含む、C-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項2】
前記液化ガス貯蔵タンクは、略0.65MPa(g)未満の設計内圧で設計された、ことを特徴とする請求項1に記載のC-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項3】
前記液化ガス貯蔵タンクは、略0.45MPa(g)以上、略0.65MPa(g)未満の設計内圧及び略0.020MPa(g)以上、略0.045MPa(g)未満の設計外圧で設計された、ことを特徴とする請求項2に記載のC-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項4】
前記液化ガス貯蔵タンクは、略0.45MPa(g)以上、略0.55MPa(g)以下の設計内圧及び略0.020MPa(g)以上、略0.025MPa(g)以下の設計外圧で設計された、ことを特徴とする請求項2に記載のC-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項5】
前記陰圧導出バルブの第1出入口は第1配管を通じて前記液化ガス貯蔵タンク内部と連通するように結合して第2出入口は第2配管を通じてベントマストまたは不活性ガス貯蔵タンクに連通するように連結されるか、または大気と直接連通する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちで何れか一つに記載のC-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項6】
前記液化ガス貯蔵タンク内部に発生する圧力が基準圧力より高い陽圧を解消するための陽圧導出バルブをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載のC-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項7】
前記陽圧導出バルブの第2出入口は第3配管を通じて前記液化ガス貯蔵タンク内部と連通するように結合し、前記陽圧導出バルブの第1出入口は第4配管を通じてベントマストまたは不活性ガス貯蔵タンクに連通するように連結されるか、または大気と直接連通するか、または前記陰圧導出バルブの第2出入口に連結された前記第2配管に連結される、ことを特徴とする請求項6に記載のC-Type液化ガス貯蔵タンクシステム。
【請求項8】
液化ガス貯蔵タンク製造のための圧力設計方法において、
設計内圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さが少なくとも設計外圧によって決定される基準圧力範囲内であるかを判断し、
前記設計内圧が前記基準圧力範囲内である時、設計外圧を定義する圧力項目で液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目を除去するか、または減少して設計外圧を決定することを含む、液化ガス貯蔵タンクの圧力設計方法。
【請求項9】
前記基準圧力範囲は、略0.65MPa(g)未満である、ことを特徴とする請求項8に記載の液化ガス貯蔵タンクの圧力設計方法。
【請求項10】
前記基準圧力範囲は、略0.45MPa(g)以上、略0.65MPa(g)未満である、ことを特徴とする請求項9に記載の液化ガス貯蔵タンクの圧力設計方法。
【請求項11】
前記設計内圧は、略0.45MPa(g)以上、略0.65MPa(g)未満であり、
決定された前記設計外圧は略0.020MPa(g)以上、略0.030MPg(a)以下である、ことを特徴とする請求項8乃至請求項10のうちで何れか一つに記載の液化ガス貯蔵タンクの圧力設計方法。
【請求項12】
液化ガス貯蔵タンクを製造する方法として、前記方法は:
液化ガス貯蔵タンク厚さを少なくとも設計外圧が決定するようにする設計内圧条件下で決定された設計内圧及び決定された設計外圧によって液化ガス貯蔵タンクを製造し、
前記液化ガス貯蔵タンク内部圧力を調節するための圧力調節バルブを前記液化ガス貯蔵タンクに結合することを含む、液化ガス貯蔵タンク製造方法。
【請求項13】
前記決定された設計内圧は、略0.65MPa(g)未満であり、前記決定された設計外圧は、略0.020MPa(g)以上である、ことを特徴とする請求項12に記載の液化ガス貯蔵タンク製造方法。
【請求項14】
前記決定された設計内圧は、略0.45MPa(g)以上、略0.65MPa(g)未満であり、
前記決定された設計外圧は、略0.020MPa(g)以上、略0.045MPg(a)未満である、ことを特徴とする請求項13に記載の液化ガス貯蔵タンク製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の液化ガス貯蔵タンクシステム、その圧力設計方法及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液化ガスは船舶など海上構造物の液化ガス貯蔵タンクを利用して運びされるか、または貯蔵される。このような液化ガス中に液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)はそれぞれ大略-160℃、-45℃の極低温状態で液化ガス貯蔵タンク内に貯蔵される。液化ガス貯蔵タンクのうちで圧力容器型のC-タイプ液化ガス貯蔵タンクは使用目的によって内圧(Internal Pressure)と外圧(External Pressure)設計条件を反映してタンクのヘッド(Head)、シェル(Shell)、サドル(Saddle)、天井(Dome)、排水口(Sump)などの各部位別に厚さが設計される。すなわち、設計内圧と外圧を充分に耐えるように各部位別に厚さが設計され、その厚さによってC-type液化ガス貯蔵タンク各部位が製造される。液化ガス貯蔵タンク内圧と外圧はIGF Code(International Code of safety for ships using Gases or other low-flashpoint Fuels)に定義された各項目を反映して設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
C-Type液化ガス貯蔵タンクは、その内部の圧力にも耐えなければならないだけでなく、その外部の圧力にも耐えなければならない。したがって、C-Type液化ガス貯蔵タンクに対する圧力設計をする時、設計内圧(Pi)と設計外圧(Pe)を独立的に考慮する。すなわち、設計内圧(Pi)を耐える内圧厚さ(Ti)と設計外圧(Pe)を耐える外圧厚さ(Te)を計算した後ふたつのうちでさらに大きい値を使用して液化ガス貯蔵タンクの各部位別厚さを設計する。
【0004】
ところが、従来の圧力設計下では設計内圧(Pi)(0.7~0.75MPa(g))が設計外圧(Pe)(0.02~0.045MPa(g))より過度に大きくて(すなわち、内圧厚さ(Ti)が外圧厚さ(Te)より過度に大きくて)、設計内圧(Pi)によって液化ガス貯蔵タンクの最終厚さが決定されて設計外圧(Pe)の変動は液化ガス貯蔵タンクの最終厚さに影響を及ぼさない。設計外圧を変更させてもそれによる外圧厚さ(Te)の変化が内圧厚さ(Ti)に及ぶことができないので、設計外圧の変更は液化ガス貯蔵タンクの各部位別厚さとしたがって重量と無関である。
【0005】
したがって、従来には外圧を設計する時、IGF Codeに定義されたすべての外圧項目を何らの疑心なしに習慣的に反映した。極端的にIGF Codeに定義されたすべての外圧項目を設計外圧に反映することにおいて、IGF codeに定義された各項目に対して通常的に設定される値より大きい値を反映しても相変らず内圧が大きく通常の認識を脱する値で外圧を設計するとしても外圧は液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量に影響を及ぼさないで設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの各部位の厚さが決定される。すなわち、従来には液化ガス貯蔵タンクの設計において外圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量とは無関であるので(液化ガス貯蔵タンク設計及び製造で技術常識で受け入れられる事項であると言うこともできる)、設計外圧は関心対象ではなかったし、さらに設計外圧減少を通じた液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量減少は想像外のことであった。
【0006】
しかし、本発明者らは前で詳しく見たところのような液化ガス貯蔵タンクの設計及び製造で技術常識や偏見、あるいは、通念から脱して新しい方式で液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができる新しい技術を提供する。本発明者らは液化ガス貯蔵タンク各部位別の厚さを最適化を通じて液化ガス貯蔵タンクの設計及び製造競争力を高める新しい技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが提供する液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができる新しい技術は、従来の技術常識や偏見、あるいは、通念から脱して、設計外圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さを決定する技術思想に基礎する。したがって、設計外圧を構成する(定義する)項目のうちで一部項目を除去するか、またはその値を減らすことで、設計外圧を減らすことができるし、これによって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができるであろう。
【0008】
本発明者らは、特別な理論にこだわることではなくて、設計内圧が設計外圧に比べて相変らず充分に大きい状態で設計内圧が特定範囲にある時液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が次のように決定されることを明らかにした:
(1)設計内圧が略0.65MPa(g)以上(略6.5bar(g)以上)(例えば、略0.65~0.70MPa(g))である条件:
従来と同一に、設計外圧の変化(例えば、略0.045~0.020MPa(g)間で変化)に構わなく設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される、
(2)設計内圧が略0.65MPa(g)未満(略6.5bar(g)未満)である条件:
設計外圧の減少が液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減少させる。
(i)設計内圧が略0.45MPa(g)より大きい時(すなわち、設計内圧が0.45MPa(g)より大きくて略0.65MPa(g)未満である時):設計外圧及び設計内圧すべてによって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される。例えば、設計内圧が略0.55MPa(g)である時、設計外圧が略0.045~0.03MPa(g)範囲である場合にはその範囲で全的に設計外圧の変化によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定されるが、設計外圧がそれより小さな範囲、例えば、略0.03~0.02MPa(g)範囲の場合にはその範囲内で設計外圧の変化は液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量と無関係であり、設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定されると、
(ii)設計内圧が略0.45MPa(g)以下である時:
全的に設計外圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される。
略0.045~0.02MPa(g)範囲で設計外圧の変動は液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を決定する。
【0009】
したがって、上の設計内圧に対する条件(2)の場合に(すなわち、設計内圧が略0.65MPa(g)未満時)、設計圧力(設計内圧/設計外圧)を低めることで、液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を節減することができる。例えば、設計内圧が略0.65MPa(g)未満時、設計外圧を低めて液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができる。外圧設計時、設計外圧の構成する項目のうちで一部項目を無くすか、またはその値を減らすことで、結果的に液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができる。
【0010】
例えば、液化ガス貯蔵タンク運用中にその内部に陰圧(Vacuum Pressure)が発生することができるし、したがって、液化ガス貯蔵タンク設計時外圧は少なくとも液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目(P1)として最小略0.025MPa(g)を勘案しなければならないし、陰圧項目以外の他の外圧項目(P2:圧力容器またはその一部を完全に閉囲する区画の圧力導出バルブの設定圧力。P3:断熱材の重量及び収縮、腐食による予備厚さを含んだ銅管の重量及び圧力容器が受けると予想されるその他の外圧による銅板の圧縮作用力など、P4:露出甲板にある圧力容器またはその一部の水頭による外圧)を勘案して外圧は最小略0.040MPa(g)で設計されるであろう。ここで、液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目は最小略0.025MPa(g)として外圧設計圧力中の半分以上を占める。
【0011】
したがって、上の設計内圧に対する条件(2)の場合において(すなわち、設計内圧が略0.65MPa(g)未満である時)、液化ガス貯蔵タンクの陰圧発生を除去/減少することで、すなわち、外圧構成項目、例えば、P1~P4のうちで、陰圧項目P1を除去するか、または減少させることで、外圧設計圧力を低めることができるし、それに相応するように液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を節減することができる。
【0012】
これに、本発明の一様態は液化ガス貯蔵タンクの厚さを減少することができるし、液化ガス貯蔵タンクの重量及び原価を節減することができる液化ガス貯蔵タンク設計、液化ガス貯蔵タンクシステム製造方法及びそれによる液化ガス貯蔵タンクシステムを提供する。
【0013】
また、本発明の他の様態は液化ガス貯蔵タンク内の陽圧と陰圧にすべて効果的に対応することができるし、陽圧及び陰圧対応のための設備を簡素化して費用を節減することができる液化ガス貯蔵タンクシステムを提供する。
【0014】
本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムは、液化ガス貯蔵タンクの厚さが少なくとも設計外圧によって決定される設計内圧下での設計内圧及び設計外圧で設計された液化ガス貯蔵タンクと、前記液化ガス貯蔵タンクに結合して前記液化ガス貯蔵タンクの内部に発生する陰圧を解消する陰圧導出バルブを含む。
【0015】
本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクの製造のための圧力設計方法は:設計内圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さが少なくとも設計外圧によって決定される基準圧力範囲内であるかを判断し、前記設計内圧が前記基準圧力範囲内である時、設計外圧を定義する圧力項目で液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目を除去するか、または減少して設計外圧を算定することを含む。
【0016】
本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを製造する方法は:液化ガス貯蔵タンクの厚さを少なくとも設計外圧が決定するようにする設計内圧条件下で選択された設計内圧及び選択された設計外圧によって液化ガス貯蔵タンクを製造し、前記液化ガス貯蔵タンクの内部圧力を調節するための圧力調節バルブを前記液化ガス貯蔵タンクに結合することを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例によれば、液化ガス貯蔵タンクの厚さを減少することができるし、液化ガス貯蔵タンクの重量及び原価を節減することができる。
【0018】
また、本発明の実施例によれば、液化ガス貯蔵タンク内の陽圧と陰圧にすべて効果的に対応することができるし、陽圧及び陰圧対応のための設備を簡素化して費用を節減することができる。
【0019】
また、本発明の実施例によれば、液化ガス貯蔵タンクに貯蔵された液化ガスが外部に逆流することを防止することができるし、液化ガス貯蔵タンク内の陽圧と陰圧にすべて効果的に対応することができるし、陽圧及び陰圧対応のための設備を簡素化して費用を節減することができる。
【0020】
本発明が解決しようとする課題、効果は以上で言及された課題及び効果らに制限されない。言及されなかった他の技術的課題ら及び効果らは、以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に明確に理解されることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明者らが液化ガス貯蔵タンクに対する圧力設計と関連されて新しい方式に根拠して研究した結果から導出した、液化ガス貯蔵タンクの厚さと重量に及ぶ設計外圧範囲を概略的に示す。
図2図2は本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクの厚さを決定する圧力設計方法を概略的に示す。
図3図3図2の圧力設計による液化ガス貯蔵タンクシステムの製造方法を概略的に示す。
図4図4は本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示す。
図5図5は本発明の一実施例による陰圧導出バルブ及び液化ガス貯蔵タンクとの結合に対して示す。
図6図6は本発明の一実施例による陰圧導出バルブの動作を概略的に説明するための図面である。
図7図7は本発明の他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示す。
図8図8は本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。
図9図9は隔離バルブを具備した本発明の実施例に液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。
図10図10は本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。
図11図11図10の陽圧導出バルブと液化ガス貯蔵タンク及び陰圧解消源の間の結合関係を示す。
図12図12は本発明の一実施例による効果を説明するためのグラフである。
図13図13は本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。
図14図14は本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。
図15図15は本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。
図16-17】図16及び図17図15の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムの作動状態を示した図面であり、図16は陰圧導出バルブが圧力導出動作を遂行する状態を示し、図17は陰圧導出バルブが真空導出動作を遂行する状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の他の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は添付される図面と共に詳細に後述する実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されないし、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。仮に定義されなくても、ここで使用されるすべての用語ら(技術、あるいは科学用語らを含む)は、この発明が属した従来技術で普遍的技術によって一般に収容されるものと等しい意味を有する。公知された構成に対する一般的な説明は本発明の要旨を濁ごさないために省略されることがある。本発明の図面で等しいか、または相応する構成に対してはなるべく等しい図面符号が使用される。本発明の理解を助けるために、図面で一部構成は多少誇張されるか、または縮まって図示されることがある。
【0023】
本出願で使用した用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数型は文具で特別に複数形を排除すると明示しない限り複数形も含む。本出願で、“含む”、“有する”または“具備する”などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、成分、部品、部分品または、これらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴らや数字、段階、動作、構成要素、成分、部品、部分品または、これらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないことで理解されなければならない。
【0024】
また、本明細書で第1、第2...などを指称する用語が多くの構成要素らを記述するためにここで使用されられることができたら、前記構成要素らはこのような用語らで限定されないことで理解されるであろう。単にこのような用語らはある構成要素から他の構成要素を区別するために使用されるだけである。例えば、ある実施例で‘第1配管'、‘第1配管部分'で言及された構成は、他の実施例で‘第2配管'、‘第2配管部分'でそれぞれ言及されることができる。
【0025】
本明細書及び特許請求範囲の目的のために、他に言及されない限り、明細書及び特許請求範囲に使用された数量、百分率または比率、及びその他数値を示すすべての数字はすべての場合に“略”という用語によって変形されることで理解されなければならない。“略”という用語の使用は明示上に表示されるかの如何にかかわらずすべての数字値に適用される。この用語は一般に通常の技術者が言及された数値に対する合理的な量の偏差で見做すことができる(すなわち、同等な機能または結果を有する)数字の範囲を指称する。例えば、この用語は与えられた数字範囲に対してその数字範囲の最終機能、効果または結果を変更しない±10%の偏差、代案的に±5%の偏差、代案的に±1%の偏差、代案的に±0.5%の偏差及び代案的に±0.1%の偏差を含むことで解釈されることができる。よって、反対に指示されない限り、本明細書及び特許請求範囲に提示された数値パラメーターは本発明によって得られる所望の特性によって変わることができる近似値である。
【0026】
本明細書に開示される内容は液化ガス貯蔵タンクシステムに関連されるものであり、液化ガス貯蔵タンクの厚さを減少することができるし、液化ガス貯蔵タンクの重量及び原価を節減する技術を提供する。
【0027】
液化ガス貯蔵タンク厚さは液化ガス貯蔵タンクの内圧及び外圧に対する設計圧力によって左右され、本発明の実施例らは液化ガス貯蔵タンクの外圧設計時外圧を構成する項目のうちで一部を除去するか、または最小化することができる技術思想を通じて結果的に液化ガス貯蔵タンクの外圧に対する設計圧力値を低めて液化ガス貯蔵タンクの厚さや重量を節減する方案を提供する。
【0028】
C-Type液化ガス貯蔵タンクは、その内部の圧力にも耐えなければならないだけでなく、その外部の圧力にも耐えなければならない。したがって、設計内圧(Pi)と設計外圧(Pe)を独立的に考慮して設計内圧(Pi)を耐える内圧厚さ(Ti)と設計外圧(Pe)を耐える外圧厚さ(Te)を計算した後ふたつのうちでさらに大きい値を使用してC-Type液化ガス貯蔵タンクに対する圧力設計をする。
【0029】
一般にはC-Type液化ガス貯蔵タンクの設計内圧は、例えば、略0.7~0.75MPa(g)(略7~7.5bar(g))として、設計外圧(平均的に略0.045MPa(g))より最小16~17倍以上大きい。よって、設計内圧が液化ガス貯蔵タンクの各部位、例えば、ヘッド(Head)、シェル(Shell)、サドル(Saddle)、天井(Dome)、排水口(Sump)などの設計厚さを決定する。すなわち、従来設計内圧(0.7~0.75MPa(g))下では設計外圧の大きさと無関係に設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定された。従来に設計外圧の変化が液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量に影響を及ぼさないので、外圧を設計する時、IGF Codeに定義されたすべての外圧項目を何らの疑心なしに習慣的に反映した。
【0030】
液化ガス貯蔵タンク設計において設計外圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量とは無関係だということは、一種の液化ガス貯蔵タンクの設計及び製造で技術常識、偏見、あるいは、通念で、設計外圧は関心対象ではなかったし、さらに設計外圧の変化(例:設計外圧の減少)を通じた液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量減少をはかることは想像外のことであった。
【0031】
しかし、本発明者らはこのような業界の技術常識や偏見、あるいは、通念から脱して新しい方式で液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができる新しい技術を提供する。本発明者らは液化ガス貯蔵タンクの各部位別厚さを最適化を通じて液化ガス貯蔵タンクの設計及び製造競争力を高める新しい技術を提供する。
【0032】
本発明者らが提供する液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができる新しい技術は、従来の技術常識や偏見、あるいは、通念から脱して、設計外圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さを決定する技術思想に基礎する。したがって、設計外圧を構成する項目のうちで一部項目を除去するか、その値を減らすことで設計外圧を減らすことができるし、これによって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減らすことができるであろう。
【0033】
本発明者らは、特別な理論にこだわることではなくて、設計内圧が設計外圧に比べて相変らず充分に大きい状態でも設計内圧が特定範囲にある時設計外圧の減少が液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減少させるという事実を明らかにした。本発明者らが導出した設計圧力と液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量の相関関係は次のようである:
(1)設計内圧が略0.65MPa(g)以上(略6.5bar(g)以上)(例えば、略0.65~0.70MPa(g))である条件:
略0.045~0.02MPa(g)範囲で設計外圧の変動は、液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量に影響を与えなくて、全的に設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される、
2)設計内圧が略0.65MPa(g)未満(略6.5bar(g)未満)である条件:
設計外圧の減少が液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減少させる。
(i)設計内圧が略0.65MPa(g)未満の条件で設計内圧が略0.45MPa(g)より大きい時(すなわち、設計内圧が0.45MPa(g)より大きくて略0.65MPa(g)未満である時):
設計外圧及び設計内圧すべてによって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される。すなわち、特定範囲の設計外圧では液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が当該設計外圧によって決定され、その以下の設計外圧範囲では設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される。例えば、設計内圧が略0.55MPa(g)である時、設計外圧が略0.045~0.03MPa(g)範囲である場合には、その範囲では全的に設計外圧の変化によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定されるが、設計外圧がそれより小さな範囲、例えば、略0.03~0.02MPa(g)範囲である場合には、その範囲で設計外圧の変化は液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量と無関係で、設計内圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される;
(ii)設計内圧が略0.65MPa(g)未満の条件で設計内圧が略0.45MPa(g)以下である時:
全的に設計外圧によって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される。
略0.045~0.02MPa(g)範囲で設計外圧の変動は液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を決定する。
【0034】
すなわち、設計内圧が設計外圧に比べて相変らず充分に大きい状態である条件下で設計内圧が減少することによって液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量が決定される要因は、設計内圧->設計外圧及び設計内圧ふたつ全部->設計外圧の順序に変わる。
【0035】
したがって、上の設計内圧に対する条件(2)の場合において(すなわち、設計内圧が略0.65MPa(g)未満時)、設計圧力を低めることで液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を節減することができる。
【0036】
例えば、設計内圧が略0.65MPa(g)未満である時、外圧設計時に外圧構成項目P1~P4のうちで、陰圧項目P1を除去するか、または減少させることで、設計外圧を低めることができるし、それに相応するように液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を節減することができる。設計外圧の陰圧項目P1の除去や減少は、例えば、液化ガス貯蔵タンクに陰圧導出バルブを設置して補償することができる。よって、設計内圧が略0.65MPa(g)未満である時には、液化ガス貯蔵タンクに陰圧導出バルブを設置するようになれば、液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量減少という思いがけない結果を引き起こす。言い替えすれば、設計内圧が略0.65MPa(g)未満である時に陰圧導出バルブが液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量を減少させる効果を発揮すると見られる。
【0037】
液化ガス貯蔵タンク運用中にその内部に陰圧(Vacuum Pressure)が発生することがあるし、したがって、液化ガス貯蔵タンク設計時に外圧は少なくとも液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目(P1)で最小略0.025MPa(g)を勘案しなければならないし、陰圧項目以外の他の外圧項目(P2:圧力容器またはその一部を完全に閉囲する区画の圧力導出バルブの設定圧力、P3:断熱材の重量及び収縮、腐食による予備厚さを含んだ銅管の重量及び圧力容器が受けると予想されるその他の外圧による銅板の圧縮作用力など、P4:露出甲板にある圧力容器またはその一部の水頭による外圧)を勘案して外圧は、最小略0.040MPa(g)で設計されるであろう。ここで、液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目は、最小略0.025MPa(g)として外圧設計圧力中の半分以上を占める。
【0038】
ここで、本発明者らは特に、液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧項目は最小略0.025MPa(g)として外圧設計圧力中の半分以上を占めることに注目した。よって、本発明の一実施例では設計外圧を構成する項目らで、陰圧関連項目を除去するか、または最小化すれば、液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量減少効果を極大化することができる。一方、設計圧力で陰圧項目の除去/減少は液化ガス貯蔵タンクの運用時陰圧発生状況の防止を必要とするので、本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクはその内部に発生することができる陰圧を除去/減少するための手段を具備する。例えば、陰圧導出バルブ(vacuum relief valve)(言い換えれば、真空導出バルブ)が使用されて液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧が除去/減少されることができる。陰圧導出バルブは液化ガス貯蔵タンクの内部が真空(陰圧)にならないように、液化ガス貯蔵タンク内の圧力が所定圧力である時自動で開かれるように動作するように構成される。例えば、液化ガス貯蔵タンクの内部に略0.005MPa(g)の陰圧が発生する時、自動で陰圧導出バルブが自動で開かれるように構成されることができる。この場合、設計外圧を構成する陰圧項目の値は略0.005MPa(g)であることを理解するであろう。
【0039】
また、本発明で設計外圧を構成する陰圧項目値の減少分のうちで一部を設計外圧の他の項目ら、例えば、P3項目(断熱材の重量及び収縮、腐食による予備厚さを含んだ銅管の重量及び圧力容器が受けると予想されるその他の外圧による銅板の圧縮作用力など)、P4項目(露出甲板にある圧力容器、またはその一部の水頭による外圧)などに反映することで、液化ガス貯蔵タンクの製造柔軟性を高めることができる。
【0040】
本明細書に開示される内容は液化ガス貯蔵タンクの外圧に対する設計圧力値を低めて液化ガス貯蔵タンクの厚さや重量を節減する方案を提供するところ、本発明の実施例らは、特に、液化ガス貯蔵タンクの厚さが主に外圧によって決定される場合に有用に適用されるであろう。
【0041】
液化ガス貯蔵タンクの厚さが設計外圧によって決定される条件は、設計内圧が所定範囲である場合、例えば、略0.65MPa(g)未満である場合を含むことができるし、設計内圧が減少することによって液化ガス貯蔵タンクの厚さに対する設計外圧の影響力はますます大きくなって、設計内圧が略0.45MPa(g)以下である場合液化ガス貯蔵タンクの厚さは全的に設計外圧によって決定される。よって、本発明の実施例らは液化ガス貯蔵タンクの内圧に対する設計圧力が、例えば、略0.65MPa(g)未満である場合に有用に適用されることができる。
【0042】
本発明の一具体例はしたがって液化ガス貯蔵タンクの設計外圧が最小略0.020MPa(g)であり、設計内圧が略0.65MPa(g)未満であることを考慮した液化ガス貯蔵タンク製造方法を提供する。
【0043】
以下、図面を参照して具体的に説明をする。
【0044】
図1は、本発明者らが液化ガス貯蔵タンクに対する圧力設計と関連されて新しい方式に根拠して研究した結果導出した、液化ガス貯蔵タンク厚さと重量に及ぶ設計外圧範囲を概略的に示す。図1は、設計内圧(Pi)が略0.45MPa(g)、略0.55MPa(g)及び略0.65MPa(g)と同じく多様に変わる時、設計外圧(Pe)の変化(0.045MPa(g)->0.02MPa(g))(横軸)による液化ガス貯蔵タンクの重量変化(単位%)(縦軸)を示す。
【0045】
図1で液化ガス貯蔵タンクの重量変化と関連されて設計外圧が0.045MPa(g)の場合を基準重量を設定して100%で表示したものであり、例えば、90%は液化ガス貯蔵タンクの重量が設計外圧が0.045MPa(g)である場合に比べて略10%が減少したことを意味する。
【0046】
図1を参照すれば、特定範囲の設計内圧下では設計外圧が変わることによって(すなわち、設計外圧が減少することによって)液化ガス貯蔵タンクの重量が変わること(減少)を確認することができる。
【0047】
具体的に見れば、設計内圧が略0.65MPa(g)またはその以上である場合には、設計外圧が変わっても(すなわち、設計外圧が略0.045MPa(g)で略0.02MPa(g)で減少しても)液化ガス貯蔵タンクの重量には何らの変化がないことを分かる。すなわち、設計内圧が略0.65MPa(g)または、その以上である場合には液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量は全的に設計内圧に左右される。
【0048】
しかし、設計内圧が略0.45MPa(g)または、その以下である場合には、設計外圧が減少することに比例して液化ガス貯蔵タンクの重量が減少することを分かる。すなわち、設計外圧が0.045MPa(g)->0.04MPa(g)->0.035MPa(g)->0.030MPa(g)->0.025MPa(g)->0.020MPa(g)で減少するほどそれに相応して液化ガス貯蔵タンクの重量が100%->99%->92%->88%->84%->80%次第に減少することを確認することができる。例えば、設計内圧が略0.45MPa(g)の場合において、設計外圧が略0.045MPa(g)で略0.025MPa(g)で減少する場合、略16%程度、略0.020MPa(g)で減少する場合略20%程度液化ガス貯蔵タンクの重量が減少する。
【0049】
一方、設計内圧が略0.65MPa(g)より低いが略0.45MPa(g)より高い場合には、特定範囲の設計外圧で液化ガス貯蔵タンクの重量が設計外圧によって影響を受ける。設計外圧が略0.045MPa(g)~0.030MPa(g)範囲では設計外圧が減少することによって、液化ガス貯蔵タンクの重量が減少する。しかし、設計外圧がそれより低い範囲0.030MPa(g)~0.020MPa(g)範囲では設計外圧が減少しても液化ガス貯蔵タンクの重量は変化がない。
【0050】
図1から設計内圧が0.65MPa(g)以上である場合には設計外圧の変化が液化ガス貯蔵タンクの重量に影響を及ぼさないが、設計内圧が略0.65MPa(g)未満の場合には設計外圧が変わることによって(設計外圧が減少することによって)液化ガス貯蔵タンクの重量が減少することを分かる。
【0051】
すなわち、本発明者らは、業界に知られた一般な技術常識と異なり、所定範囲の設計内圧では設計外圧が液化ガス貯蔵タンクの厚さにしたがって、重量に影響を及ぼすという思いがけない驚くべきな結果を導出した。
【0052】
したがって、本発明者らが提示した図1で確認することができる、技術思想乃至発明概念を活用すれば、液化ガス貯蔵タンクの重量を減らすことができるし、原価を節減することができる。これを図1を再び参照して具体的に説明する。設計内圧を0.65MPa(g)未満にする場合、設計外圧を減少させれば、それに相応するように液化ガス貯蔵タンクの厚さにしたがって重量を減少させることができる。特に、設計外圧を構成する成分ら(P1~P4)のうちで液化ガス貯蔵タンクの運用中に発生することができる陰圧を考慮した項目(P1(略0.025MPa(g))が全体外圧成分(平均的に略0.045MPa(g))の半分以上であるので、設計外圧で陰圧項目(P1)一つを除去するか、または減少させることで大きい範囲で液化ガス貯蔵タンクの重量を減少させることができる。また、設計外圧で陰圧項目は液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧発生状況を勘案して考慮されるものであるので、外圧設計で陰圧関連項目の排除は液化ガス貯蔵タンク内部に陰圧が発生しないことを要求し、これは陰圧導出バルブを液化ガス貯蔵タンクに具備することで具現が可能である。
【0053】
例えば、設計内圧を略0.45MPa(g)にして液化ガス貯蔵タンクに陰圧導出バルブを設置すると言えば、設計外圧を構成する項目らのうちで陰圧関連項目(P1)を減少させることができるし、実質的に陰圧導出バルブの作動公差を考慮して設計外圧を略0.020MPa(g)減少させることがあるので、図1に示されたように液化ガス貯蔵タンクの重量を略16%減少させることができる。
【0054】
反面、図1で把握することができるように、設計内圧が略0.65MPa(g)またはその以上である場合には液化ガス貯蔵タンクの厚さ及び重量は全的に設計内圧に左右されるので、本発明の実施例らと異なり従来に設計内圧を0.7~0.75MPa(g)で設計する場合には陰圧導出バルブを設置して設計外圧を減少させても液化ガス貯蔵タンクの重量減少を達成することができない。したがって、従来の場合に陰圧導出バルブを液化ガス貯蔵タンクに結合して液化ガス貯蔵タンクの重量を減少する構成は技術常識、あるいは、経験則から脱するものとしてで想像外のことであった。
【0055】
本発明の一実施例は以上で説明した本発明の基本概念乃至は技術思想に根拠して液化ガス貯蔵タンクの厚さを決定する圧力設計をして、それによって液化ガス貯蔵タンクシステムを製造する方法を提供する。
【0056】
図2は、本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクの厚さを決定する圧力設計方法を概略的に示す。
【0057】
段階S11で液化ガス貯蔵タンクの厚さと連関した圧力設計で設計内圧(Pd_int)を決定し、決定された設計内圧(Pd_int)が液化ガス貯蔵タンクの厚さが設計外圧(Pd_ext)によって決定される基準圧力値、あるいは、基準圧力範囲(Pref)であるか判断される。前記段階S10で基準圧力範囲(Pref)は一実施例で、例えば、略0.65MPa(g)未満であることができる。前記段階S11で基準圧力範囲(Pref)は、例えば、略0.45MPa(g)以上略0.65MPa(g)未満、例えば、略0.45MPa(g)以上略0.55MPa(g)未満、例えば、略0.45MPa(g)以上略0.50MPa(g)未満、例えば、略0.45MPa(g)以上0.60Pa未満であることがある。
【0058】
段階S13で設計内圧(Pd_int)が基準圧力範囲(Pref)に属するようになれば、設計外圧(Pd_ext)を定義する(構成する)圧力項目らのうちで液化ガス貯蔵タンク内部の陰圧を考慮した陰圧(Pvac)を排除するか、または最小にして設計外圧(Pd_ext)を決定する。従来設計外圧を構成する一項目である陰圧(Pvac)は最小0.025MPa(g)であり、その外の外圧項目は0.015MPa(g)であることがある。しかし、本発明の一実施例によれば、前記段階S13で陰圧(Pvac)は除去されるか、または0.005MPa(g)まで減少することがある(すなわち、陰圧(Pvac)は最小0.02MPa(g)程度減少されることができる-これは従来設計外圧に比べて0.02MPa(g)程度減少したことを意味し、その減少分に相応して液化ガス貯蔵タンクの厚さを減らすことができるし、これによって液化ガス貯蔵タンクの重量を減らすことができる)。
【0059】
したがって、本発明の一実施例によれば、前記決定された設計外圧(Pext)は最小略0.020MPa(g)であることがあって、設計内圧(Pd_int)は最大略0.65MPa(g)であることがある。一実施例で、設計外圧(Pext)は、例えば、最小略0.020MPa(g)、略0.020MPa(g)以上、略0.045MPa(g)未満、略0.020MPa(g)以上、略0.030MPa(g)以下、略0.020MPa(g)以上、略0.040MPa(g)以下であることがある。
【0060】
一実施例で設計内圧(Pd_int)は略0.65MPa(g)未満であることがある。設計内圧(Pd_int)は、例えば、略0.45MPa(g)以上、略0.65MPa(g)未満、例えば、略0.45MPa(g)以上、略0.55MPa(g)未満、例えば、略0.45MPa(g)以上、略0.50MPa(g)未満、例えば、略0.45MPa(g)以上、0.60MPa(g)未満であることがある。
【0061】
また、設計内圧(Pd_int)は0.45と0.65間の任意の値(0.45は含むが、0.65は含まない)を上限値及び下限値にする多様な圧力範囲(単位:MPa(g))に設定されることができる。同じく、設計外圧(Pext)は、0.02と0.045間の任意の値(0.02は含み、0.045は含まない)を上限値及び下限値にする多様な圧力範囲(単位:MPa(g))で設定されることができる。
【0062】
前記設計内圧(Pd_int)の値ら、あるいは、範囲らと設計外圧(Pext)の値ら、あるいは、範囲らは、液化ガス貯蔵タンクの圧力設計においてお互いに相反しない範囲で多様な組合でセットを成して設計内圧及び設計外圧で決定されることができる。
図2を参照して説明した液化ガス貯蔵タンク設計方法で、設計内圧(Pd_int)は設計外圧が液化ガス貯蔵タンクの重量を決定する基準になる基準圧力範囲(Pref)と等しいことがある。
【0063】
次に図3を参照して図2の圧力設計による本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクシステム製造方法を説明する。
【0064】
段階S21で図2の圧力設計によって決定された設計内圧(Pd_int)及び設計外圧(Pd_ext)によって(その設計圧力を耐えるように)液化ガス貯蔵タンクを製造する。前で詳しく説明したところのように本実施例によれば、圧力設計で設計外圧を構成する項目らのうちで減少、あるいは、除去された陰圧項目(の外圧の圧力値)に相応して液化ガス貯蔵タンクの厚さを減少させることができるし、これに相応して液化ガス貯蔵タンクの重量は減るようになる。
【0065】
一方、設計外圧を構成する項目から除かれた陰圧項目によって液化ガス貯蔵タンク内の真空発生状況を排除する必要があり、このために段階S23で真空(陰圧)発生防止/解消手段を準備する。例えば陰圧発生防止/解消手段として、陰圧導出バルブ(Vacuum Relief Valve)が設けられることがある。
【0066】
段階S25で陰圧発生防止/解消手段を液化ガス貯蔵タンクに結合する。例えば、陰圧発生防止/解消手段は液化ガス貯蔵タンクの上部に結合する。本実施例の液化ガス貯蔵タンクの製造方法で、液化ガス貯蔵タンク内部の真空発生防止は簡単に陰圧導出バルブを液化ガス貯蔵タンクに結合することで手軽く具現が可能である。前記液化ガス貯蔵タンクシステム製造方法で段階S21及び段階S23の順序は重要ではなくて、任意の順に進行されても構わない。陰圧発生防止/解消手段、陰圧発生防止/解消手段を液化ガス貯蔵タンクに結合する方式は、図5及び関連される以下の説明から理解することができるであろう。
【0067】
図4は、本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示す。本実施例の液化ガス貯蔵タンクシステムは、図3を参照して説明をした方法によって製造されることができる。
【0068】
図4を参照すれば、液化ガス貯蔵タンクシステム1000は液化ガス貯蔵タンク100と陰圧発生防止/解消手段10を含む。具体的に詳しく見れば、液化ガス貯蔵タンク100には陰圧発生防止/解消手段として陰圧導出バルブ(Vacuum Relief Valve)10が提供される。液化ガス貯蔵タンク100は液化ガスを貯蔵するための内部空間を具備し、円形断面の円錐構造を有する圧力容器型のC-Typeタンクと、C-Typeタンクの外部をくるむ断熱材を含んで構成されることができる。C-Typeタンクは液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)などのような超低温状態の液化ガスを内部に収容することができる。液化ガス貯蔵タンク100は船体上に設置される支持装置らによって支持されることができる。支持装置らはC-Type液化ガス貯蔵タンク固定状態で支持する一つ以上の支持装置とC-Type液化ガス貯蔵タンクの熱収縮/膨張に対応するようにC-Typeタンクをスライディング可能に支持することができる支持装置を含んで構成されることができる。
【0069】
陰圧導出バルブ10は液化ガス貯蔵タンク100の上部に結合されることができる。陰圧導出バルブ10は第1出入口10A及び第2出入口10Bを含む。陰圧導出バルブ10の第1出入口10Aは液化ガス貯蔵タンク100の上部でその内部と流体連通可能に結合する。陰圧導出バルブ10の第2出入口10Bは陰圧解消源、例えば、大気や空気、あるいは、不活性ガスなどに露出され、陰圧解消源と連通する。例えば、陰圧導出バルブ10の第2出入口10Bはその末端が開放されて大気や空気、あるいは、不活性ガスと連通する。よって、本実施例によれば液化ガス貯蔵タンク100の内部空間に陰圧(Vacuum Pressure)発生時陰圧導出バルブ10は開放状態(液化ガス貯蔵タンク100の内部と連通された第1出入口が第2出入口と連通されて流体が流れることができる状態)になって、これにより第2出入口10Bと連通する大気や不活性ガスが第1出入口10Aを通じて液化ガス貯蔵タンク100内部で導入され、液化ガス貯蔵タンク100の内部空間の陰圧(真空状態)を解消(除去)できる。本実施例で陰圧導出バルブ10の第1出入口10A及び第2出入口10Bは動作時に大気などの流体が陰圧導出バルブ10を通じて流れる方向を基準にして流入口及び流出口でそれぞれ指称されることができる。
【0070】
一方、陰圧は一例として0MPa(g)(0bar(g))以下の圧力であることができる。陰圧導出バルブ10は液化ガス貯蔵タンク100内部圧力が陰圧と関連されて設定された圧力に未達する場合に自動で開放状態になって陰圧を解消するように構成されることができる。一例として陰圧導出バルブ10は、例えば、液化ガス貯蔵タンク100の圧力が減少して0bar(g)である場合に自動で開放状態になることがある。または、陰圧導出バルブ10は液化ガス貯蔵タンク100内部の圧力と外部の圧力の間の差が略0.005MPa(g)である時、すなわち、液化ガス貯蔵タンク100内部の圧力が大気圧より略0.005MPa(g)低い時、自動で開放状態になることができるし、これは前で図2を参照して説明をした圧力設計方法で、陰圧(Pvac)が0.005MPa(g)まで減少する場合に対応する。すなわち、図2を参照して説明した圧力設計方法で設計外圧(Pd_ext)の陰圧項目を従来の0.025MPa(g)で0.002MPa(g)程度減らして0.005MPa(g)で設計した実施例によって液化ガス貯蔵タンクを製造する時、液化ガス貯蔵タンクに結合される陰圧導出バルブは液化ガス貯蔵タンク内部の圧力が大気圧より略0.005MPa(g)低い時自動にできるように構成される。
【0071】
図5を参照して陰圧導出バルブ10の詳しい構造及び液化ガス貯蔵タンク100との結合に対して説明をする。
【0072】
図5を参照すれば、陰圧導出バルブ10は第2出入口10B(流入口)、第1出入口10A(流出口)を定義するバルブ本体10C、バルブ板10D、バルブ覆い10E、バルブノズル10F、バルブ板ガイド10Gを含んで構成されることができる。第2出入口10Bと第1出入口10Aは気体などの流体流れ方向を切り替えるように、例えば、おおよそ90度で切り替えるように構成される。第1出入口10Aは液化ガス貯蔵タンク100に流体連通するように結合される。例えば、第1出入口10Aは配管(pipe)を通じて液化ガス貯蔵タンク100に結合することができる。第2出入口10Bは外部の空気、大気、あるいは、不活性ガスと連通する。例えば、液化ガス貯蔵タンク100内部に陰圧発生時第2出入口10B(流入口)に流入された外部の空気、大気、あるいは、不活性ガスが第1出入口10A(流出口)を通じて液化ガス貯蔵タンク100内に流入されることができるし、これによって液化ガス貯蔵タンク100内部の陰圧が解消される。
【0073】
バルブ本体10C内部にはバルブ板10Dが配置されているし、第2出入口10B(流入口)を閉鎖する(この場合バルブは閉鎖状態になる)。バルブ覆い10Eは第2出入口10Bの反対側でバルブ本体10Cの上部を閉鎖する。バルブ覆い10Eにはバルブ板ガイド10Gが固定結合され、バルブ板10Dはバルブ板ガイド10Gに移動可能に(上下移動可能に)結合し、休止状態では第2出入口10Bを閉鎖してうに配置される。一例として、バルブノズル10Fが第2出入口10B内壁に結合されることができるし、この場合バルブ板10Dがバルブ本体10C内のバルブノズル10Fの一端を閉鎖して第2出入口10Bを閉鎖することができる。
【0074】
バルブ板10Dは液化ガス貯蔵タンク100内部圧力条件によってバルブノズル10Fの一端とバルブ覆い10Eとの間で移動するように構成される。バルブ板10Dの下面(第2出入口10B側に露出される部分)の面積(ds)及び自重(厚さ)はあらかじめ設定した圧力範囲または圧力値によって決定される。すなわち、液化ガス貯蔵タンク100の内部に所定範囲または値の陰圧が発生するようになれば、それによってバルブノズル10F上に安着していたバルブ板10Dがバルブ覆い10Eに向けて上方に持ち上げられることができるようにその厚さ(自重)及び下面の面積(ds)が決定される。
【0075】
液化ガス燃料タンク100の圧力が高い場合にはバルブ板10D自体の自重及び燃料タンク100の高い圧力によって下方向(重力方向)に力が作用して(図面で矢印参照)バルブ板10Dはバルブノズル10F上に安着されてバルブ板が閉鎖状態で維持される。
【0076】
しかし、液化ガス燃料タンク100の内部圧力が減少して陰圧に到逹するようになる場合(図6A参照)、バルブ板10D自体の自重より面積(ds)に作用する大気圧の力がさらに大きくなるので、大気がバルブ板10Cを上方に(バルブ覆い10Eの方に)持ち上げて開放状態(第1出入口10Aと第2出入口10Bとの間に流体通路が形成される状態)になる。バルブが開かれるようになれば、大気や空気が液化ガス燃料タンク100内部に流入されるようになって、それによって液化ガス燃料タンク100内部の圧力が増加するようになって陰圧は解消される。
【0077】
大気の流入で液化ガス燃料タンク100内部の圧力が増加して陰圧が解消されれば(図6B参照)、バルブ板10D自体の自重と液化ガス燃料タンク100の高い圧力によっての下方向(重力方向、第2出入口10B側)に力がバルブ板10Dの下面の面積(ds)に作用する力より大きくなるようになって、したがって、バルブ板10Dはバルブノズル10Fに向けて下に移動してバルブノズル10F上に再び安着してバルブ板の閉鎖状態になる。
【0078】
バルブ板10Dを開放状態にするための液化ガス貯蔵タンク100内部のあらかじめ決定された圧力範囲、または圧力値は例えば、略0.025~0.000MPa(g)範囲または、例えば、略-0.040MPa(g)であることがある。あらかじめ決定された圧力値は、例えば、略0.050MPa(g)であることがある。
【0079】
図5及び図6の陰圧導出バルブ10の構造は、単に例として示したものであるだけで、液化ガス貯蔵タンク100内部の圧力条件によって自動に開閉されて陰圧を減少/解消する動作をするものなら、その詳細構造には制限がない。例えば、バルブ板10Dがバルブ本体10C内の第1出入口10A上に正しく安着されて第1出入口10Aを閉鎖する構造で具現されることができる。
【0080】
図7は、液化ガス貯蔵タンクシステム1000のまた他の実施例を示す。本実施例では陰圧導出バルブ10が液化ガス貯蔵タンク100とベントマスト300を連結する配管200上で液化ガス貯蔵タンク100上部に隣接して設置される。具体的には、本実施例の陰圧導出バルブ10の第1出入口10Aは液化ガス貯蔵タンク100上部に配管200の配管部分200Aを通じて液化ガス貯蔵タンク100と流体連通し、第2出入口10Bは配管200の配管部分200Bを通じてベントマスト300と流体連通する。よって、液化ガス貯蔵タンク100の内部圧力が前述した所定範囲あるいは所定値の陰圧の場合陰圧導出バルブ10が開放状態になって、ベントマスト300を通じて大気が液化ガス貯蔵タンク100の内部に導入され、その内部の陰圧を導出(除去/減少)する。
【0081】
本実施例で、ベントマスト300と陰圧導出バルブ10との間の配管200、すなわち、配管部分200Bに窒素ガスのような不活性ガスが充電されてベントマスト300を通じて大気からの汚染源が陰圧導出バルブ10に流入されることを遮断することもできる。また、このような目的のために配管部分200B内部にフィルターが提供されることもできる。
【0082】
図7の実施例では液化ガス貯蔵タンク100の内部の陰圧を導出するために大気が使用されたが、図8に示されたように窒素ガスのような不活性ガスが使用されることができる。図8を参照すれば、本実施例では陰圧導出バルブ10の第2出入口10Bが配管部分200’Bを通じて不活性ガス貯蔵タンク400に連通される。本実施例で不活性ガス貯蔵タンク400の圧力は略0.7~1.0MPa(g)で設定されることができる。液化ガス貯蔵タンク100から不活性ガス貯蔵タンク400への逆流を防止するように、陰圧導出バルブ10と不活性ガス貯蔵タンク400との間の配管部分200’Bに逆止め弁が設けられることもできる。
【0083】
以上で説明をした実施例らで、陰圧導出バルブ10と液化ガス貯蔵タンク100との間に陰圧導出バルブ10の維持、補修のために図9に示されたように、隔離バルブ20が提供されることができる。隔離バルブ20として手動で操作されるボールバルブが使用されることができる。
【0084】
前述した実施例ら全部、あるいは、一部で液化ガス貯蔵タンク内部の圧力が所定範囲、あるいは、所定値の陽圧(Positive)である場合に、その内部陽圧を導出するための陽圧導出バルブ(Pressure relief valve)(あるいは、圧力導出バルブ)がさらに具備されることができるし、図10に概略的に示されている。
【0085】
図10は、本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。本実施例による液化ガス貯蔵タンクシステム1000は前述した液化ガス貯蔵タンク100及び陰圧導出バルブ10外に陽圧導出バルブ30をさらに具備する。
【0086】
本実施例の場合ベントマスト300に連結された配管200の後端部分200Bが分岐点200Pで陰圧導出バルブ10に連結される配管部分200B1及び陽圧導出バルブ30に連結される配管部分200B2に分岐する。一方、陽圧導出バルブ30は配管部分200B2に連結される第1出入口10’Aと配管部分200Cを通じて液化ガス貯蔵タンク100に連結される第2出入口10’Bを具備する。
【0087】
本実施例の陰圧導出バルブ10は、図4乃至図9を参照して説明をした実施例の陰圧導出バルブ10と構造、連結形態及び機能が実質的に等しいので、その説明は略する。
【0088】
本実施例の陽圧導出バルブ30は陰圧導出バルブ10が作動する所定範囲、あるいは、値の陰圧よりさらに高い圧力、例えば、陽圧(Positive pressure)値、あるいは、陽圧範囲で作動する。すなわち、陽圧導出バルブ30は液化ガス貯蔵タンク100の内部圧力が陽圧と関連されて設定された所定圧力範囲、あるいは、圧力値を超過する場合自動で開放状態になるように設定される。よって、本実施例の陽圧導出バルブ30は陰圧導出バルブ10と等しい構造を採用するが、連結形態及びバルブ板の厚さ及び大きさで差があるバルブで具現されることができるし、これに対しては図11を参照して説明をする。
【0089】
図11を参照すれば、本実施例で陽圧導出バルブ30は図4乃至図9を参照して説明をした陰圧導出バルブ10の構造と類似に、バルブ本体10C、第1出入口10’A、第2出入口10’B、バルブ板10’D、バルブ覆い10E、バルブノズル10F、バルブ板ガイド10Gを含んで構成される。本実施例で陽圧導出バルブ30の第2出入口10’B(流入口)(バルブ板10Dによって開閉される出入口)が液化ガス貯蔵タンク100に流体連通するように結合し、第1出入口10’A(流出口)がベントマスト300に流体連通するように構成される。したがって、液化ガス貯蔵タンク100の内部が所定の陽圧、あるいは、陽圧範囲になれば、その圧力によってバルブ板10’Dが持ち上げられて開放状態になって、それによって液化ガス貯蔵タンク100の内部が外部大気と連通するようになって、液化ガス貯蔵タンク100内部の所定の陽圧を導出することができるようになる。例えば、液化ガス貯蔵タンク100内の圧力が例えば、100mbargに到逹する場合、陽圧導出バルブ30が開放状態になるように陽圧導出バルブ30のバルブ板10’Dの自重(厚さ)及び下面の面積(ds')が設定されることができる。
【0090】
本実施例で陰圧導出バルブ10及び陽圧導出バルブ30の各バルブ板の自重(厚さ)及び下面の面積(ds)はそれぞれ液化ガス貯蔵タンク100内部の所定陰圧範囲(値)及び所定陽圧範囲(値)に対応して自動に開閉されるように、適切に設定される。
【0091】
以上、本実施例によれば、陰圧導出バルブ10及び陽圧導出バルブ30によって液化ガス貯蔵タンク100内に陰圧発生時陰圧に対応することができることは勿論、陽圧発生時には陽圧にも対応することができる。
【0092】
図10及び図11を参照して説明をした実施例でもバルブ10、30がベントマスト300の代りに不活性ガス貯蔵タンク400に結合することができる。また、陰圧導出バルブ10と液化ガス貯蔵タンク100の間にそして/または、陽圧導出バルブ30と液化ガス貯蔵タンク100の間に維持、補修のために隔離バルブ(図9参照)がさらに具備されることができる。
【0093】
次に本発明の実施例らによる効果は、図12で確認することができる。図12は、容量1,750mの液化ガス貯蔵タンクを製造する時、設計内圧を0.49MPa(g)で固定した状態で設計外圧を0.02~0.045MPa(g)に変更時液化ガス貯蔵タンクの設計重量変化を%で表示した図面である。図12を参照すれば、本発明の一実施例によって、陰圧項目を0.025MPa(g)から0.005MPa(g)に減少して設計外圧(Pext)を0.040MPa(g)から0.020MPa(g)に減少する場合、液化ガス貯蔵タンクの重量を15%ポイント減少させることができる効果がある。
【0094】
以下、本発明のまた他の実施例らに対して図13乃至図17を参照して説明をする。以下で説明される実施例らで陰圧導出バルブ(Vacuum Relief Valve)及び陽圧導出バルブ(Pressure Relief Valve)は図1乃至図12を参照して説明した実施例らの陰圧導出バルブ及び陽圧導出バルブと同一に構成されることもできる。
【0095】
本発明の他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムは、液化ガス貯蔵タンクと、液化ガス貯蔵タンクの内部空間に陰圧(Vacuum Pressure)発生時液化ガス貯蔵タンクの内部空間の陰圧を解消(陰圧状態を除去)する陰圧導出バルブ(vacuum relief valve)と、陰圧導出バルブによって真空状態が除去される間に液化ガス貯蔵タンクの内部空間に窒素などの不活性ガスを供給する不活性ガス供給ラインを含むことができる。
【0096】
本実施例によれば、液化ガス貯蔵タンクの陰圧に効果的に対応して液化ガス貯蔵タンクの厚さを低減し、液化ガス貯蔵タンクの重量及び原価を節減することができるし、陰圧導出バルブが設置されたラインを通じて液化ガス貯蔵タンク内部に引火原因になることがある大気の酸素が流入されることを防止して火事発生を防止し、安全性を確保することができる。
【0097】
図13は、本発明の一実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。図13を参照すれば、本発明の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステム1000は、液化ガス貯蔵タンク100、陰圧導出バルブ510、不活性ガス貯蔵タンク520、不活性ガス供給ライン530及び逆止め弁540を含むことができる。
【0098】
液化ガス貯蔵タンク100は液化ガスを貯蔵するための内部空間を具備することができる。C-Typeタンク20は液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)などのような超低温状態の液化ガスを内部に収容することができる。
【0099】
液化ガス貯蔵タンク100は円形断面の円錐構造を有する圧力容器型のC-Typeタンク25と、C-Typeタンク25の外部をくるむ断熱材35を含むことができる。液化ガス貯蔵タンク100は船体65上に設置される支持装置45、55によって支持されることができる。
【0100】
支持装置45、55のうちで一つ以上の支持装置45はC-Type液化ガス貯蔵タンク固定状態で支持し、他の一つ以上の支持装置55はC-Type液化ガス貯蔵タンクの熱収縮/膨張に対応するようにC-Typeタンク25をスライディング可能に支持することができる。
【0101】
陰圧導出バルブ(vacuum relief valve)510は液化ガス貯蔵タンク100の上部に設けられることができる。陰圧導出バルブ510は不活性ガス供給ライン530上に設置されることができる。陰圧導出バルブ510は液化ガス貯蔵タンクの内部空間に陰圧(Vacuum Pressure)発生時液化ガス貯蔵タンクの内部空間の陰圧(真空状態)を解消(除去)できる。実施例で、陰圧は略OMPa(g)以下の圧力であることができる。陰圧導出バルブ510は液化ガス貯蔵タンク100内部圧力が陰圧と関連されて設定された圧力に未達する場合に自動開放されるように設定されることができる。
【0102】
不活性ガス貯蔵タンク520は不活性ガス供給ライン530を通じて不活性ガスを供給することができる。実施例で、不活性ガスは窒素(N)ガスを含むことができる。不活性ガス貯蔵タンク520は自然的流れによって不活性ガスが不活性ガス供給ライン530を通じて液化ガス貯蔵タンク100に供給されるように、略0.7~1.0MPa(g)圧力で設定されることができる。
【0103】
不活性ガス供給ライン530は陰圧導出バルブ510によって真空状態が除去される間、液化ガス貯蔵タンク100の内部空間に不活性ガスを供給することができる。逆止め弁(check valve)540は液化ガス貯蔵タンク100内に貯蔵された液化ガスが不活性ガス貯蔵タンク520に逆流することを防止するように不活性ガス供給ライン530に設けられることができる。逆止め弁540は陰圧導出バルブ510と不活性ガス貯蔵タンク520との間に設置されることができる。
【0104】
本発明の実施例によれば、陰圧導出バルブ510と不活性ガス供給ライン530の適用によって圧力を補って液化ガス貯蔵タンク100の厚さを減少して液化ガス貯蔵タンク100の重量及び原価を節減することができるし、窒素などの不活性ガス供給を通じて液化ガス貯蔵タンク100内の圧力を補って液化ガス貯蔵タンク100内部で大気中に引火原因になることがある酸素(O)が流入されることを防止して火事発生を防止することができる。また、逆止め弁540によって液化ガスが不活性ガス貯蔵タンク520に逆流することを防止することができる。
【0105】
図14は、本発明の他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。図14の実施例を説明することにおいて、前で説明した実施例と等しいか、または相応する構成要素に対しては重複説明を略することができる。図14の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステム1000は排気ライン(vent line)560と、陽圧導出バルブ550をさらに含む点で、前で説明した実施例と差がある。
【0106】
排気ライン560は液化ガス貯蔵タンク100内に基準圧力より高い陽圧(Positive pressure)発生時液化ガス貯蔵タンク100内の陽圧を除去するために提供されることができる。陽圧導出バルブ550は排気ライン560に設けられることができる。陽圧導出バルブ510は液化ガス貯蔵タンク100内部圧力が陽圧と関連されて設定された圧力を超過する場合に自動開放されるように設定されることができる。図14の実施例によれば、陰圧導出バルブ510と陽圧導出バルブ550によって液化ガス貯蔵タンク100の陰圧及び陽圧にすべて対応して液化ガス貯蔵タンク100内部圧力を制御することができる。
【0107】
図15は、本発明のまた他の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムを概略的に示した図面である。図16及び図17図15の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステムの作動状態を示した図面であり、図16は陰圧導出バルブが圧力導出動作を遂行する状態を示し、図17は陰圧導出バルブが真空導出動作を遂行する状態を示す。
【0108】
図15乃至図17の実施例を説明することにおいて、前で説明した実施例らと等しいか、または相応する構成要素に対しては重複説明を略することができる。図15乃至図17の実施例による液化ガス貯蔵タンクシステム1000は、陰圧導出バルブ510Aが排気ライン560に設置されて液化ガス貯蔵タンク100内に陽圧発生時陽圧を除去することはもちろん、液化ガス貯蔵タンク100内に陽圧発生時には陽圧も除去するように動作し、また、第1制御バルブ570と第2制御バルブ580及び圧力測定機590をさらに含む点で前で説明した実施例と差がある。
【0109】
圧力測定機590は液化ガス貯蔵タンク100内の蒸気圧(vapor pressure)を測定することができる。第1制御バルブ570は不活性ガス供給ライン530で逆止め弁540と不活性ガス貯蔵タンク520の間に設置されることができる。これによって、第1制御バルブ570に液化ガスが漏出されることを逆止め弁540によって防止することができるので、第1制御バルブ570を常温用制御バルブで具現することができるし、第1制御バルブ570の費用を節減することができる。
【0110】
第1制御バルブ570は圧力測定機590によって測定された液化ガス貯蔵タンク100内の蒸気圧によって開閉されることができる。第2制御バルブ580は排気ライン160で陰圧導出バルブ110Aの後端に設置されることができる。第2制御バルブ180は圧力測定機590によって測定された液化ガス貯蔵タンク100内の蒸気圧によって開閉されることができる。
【0111】
圧力測定機590によって測定された液化ガス貯蔵タンク100内の蒸気圧が第1基準圧を超過する場合、図16に示されたように、第1制御バルブ570は遮られて、第2制御バルブ580は開放されることができる。例えば、液化ガス貯蔵タンク100圧力が0MPa(g)超過時、第1制御バルブ570は遮られて、第2制御バルブ580は開放されて液化ガス貯蔵タンク100内の陽圧を大気に放出することができる。この時、陰圧導出バルブ510Aは液化ガス貯蔵タンク100の陽圧解消のために陽圧導出バルブ機能を遂行するようになる。
【0112】
圧力測定機590によって測定された液化ガス貯蔵タンク100内の蒸気圧が第1基準圧より低い第2基準圧以下である場合、図17に示されたように、第1制御バルブ570は開放され、第2制御バルブ580は遮られることができる。例えば、液化ガス貯蔵タンク100圧力が0bargである場合、第2制御バルブ580が遮られて外部排気側へのエア流入が遮られて、陰圧導出バルブ510Aは真空導出機能を遂行することができる。
【0113】
液化ガス貯蔵タンク100圧力が真空導出のための設定圧力(例えば、100mbarg)に到逹する場合、第1制御バルブ570の開放によって不活性ガス貯蔵タンク120から不活性ガス供給ライン530を通じて不活性ガス(例えば、窒素ガス)が供給されて液化ガス貯蔵タンク100に流入され、これによって液化ガス貯蔵タンク100の陰圧を効果的に解消することができるし、大気中の酸素などの流入による火事事故などの危険を防止することができる。
【0114】
また、図15乃至図17の実施例によれば、陰圧導出バルブ110Aによって真空導出機能を遂行するとともに排気ライン560に液化ガス貯蔵タンク100内に発生する過度な陽圧にも対応することができるし、液化ガス貯蔵タンク100内の陰圧導出バルブ510A周辺に局所的、あるいは、一時的な圧力降下でバルブが誤作動して開放されても第1制御バルブ570が正常動作(Normal Operation)状況で遮断(Close)状態を維持するので、窒素(N)などの不活性ガスが液化ガス貯蔵タンク100で不必要に流入されることを遮断することができる。
【0115】
以上の実施例らは本発明の理解を助けるために提示されたものであり、本発明の範囲を制限しないし、これから多様な変形可能な実施例らも本発明の範囲に属するものであることを理解しなければならない。本発明の保護範囲は請求範囲の技術的思想によって決まらなければならないはずであるし、本発明の保護範囲は請求範囲の文言的記載その自体に限定されるものではなく、実質的には技術的価値が均等な範疇の発明まで及ぶものであることを理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の実施例らは液化ガス貯蔵タンクの内圧に対する設計圧力が、例えば、略0.65MPa(g)未満である場合に有用に適用されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17