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特許7494324ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240527BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240527BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240527BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/42
A24F40/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022575418
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2021065261
(87)【国際公開番号】W WO2021249991
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】20178737.1
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン トニー モーゼ
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512226(JP,A)
【文献】国際公開第2019/185715(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107657999(CN,A)
【文献】特開2019-212799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121166(US,A1)
【文献】国際公開第2020/161328(WO,A1)
【文献】特表2023-523023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/42
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品(400)であって、
- エアロゾル形成基体(470)と、
- 第一の電極(450)と、
- 第二の電極(460)と、
- 第一のチッピングペーパー(401)と、
- 第二のチッピングペーパー(402)と、を備え、
前記第一の電極(450)が、前記エアロゾル形成基体(470)の第一の位置にあって、ユーザーに対する第一の電気接点を提供し、前記第二の電極(460)が、前記エアロゾル形成基体(470)の前面(FF)における第二の位置にあって、前記ユーザーに対する第二の電気接点を提供しており、前記第二の位置が、前記第一の電極(450)と前記第二の電極(460)との間の電位の提供を可能にして前記ユーザーに電気的刺激を提供するように、前記第一の位置とは異なっており、
前記第一の電極(450)が、口の第一の領域に対してアクセス可能であり、前記口の前記第一の領域が、前記ユーザーの舌上の第一の領域であり、前記第二の電極が、前記ユーザーの前記口の第二の領域に対してアクセス可能であり、前記第二の領域が、前記第一の領域とは異なっており、
前記第一の電極(450)および前記第二の電極(460)が、前記第一の電極(450)と前記第二の電極(460)との間に電位を提供するために、電源(112)に電気的に接続可能であり、
前記第一の電極(450)が、前記エアロゾル形成基体(470)に沿って少なくとも部分的に延びる第一の導電性要素(430)に電気的に接続され、前記第一の導電性要素(430)が、前記エアロゾル形成基体(470)に配設された第一の電気端子(410)に電気的に接続され、前記第一の電気端子(410)が前記電源(112)に電気的に接続可能であり、
前記第二の電極(460)が、前記エアロゾル形成基体(470)に沿って少なくとも部分的に延びる第二の導電性要素(440)に電気的に接続され、前記第二の導電性要素(440)が、前記エアロゾル形成基体(470)に配設された第二の電気端子(420)に電気的に接続され、前記第二の電気端子(420)が、前記電源(112)に電気的に接続可能であり、
前記第一の電気端子(410)および前記第二の電気端子(420)が、前記第一のチッピングペーパー(401)上に配設され、
前記第一の導電性要素(430)および前記第二の導電性要素(440)が、前記第二のチッピングペーパー(402)内に配設され、
前記第一のチッピングペーパー(401)および前記第二のチッピングペーパー(402)が、前記第一の電気端子(410)が前記第一の導電性要素(430)と電気的に接触し、前記第二の電気端子(420)が前記第二の導電性要素(440)と電気的に接触するように、重なり合うように一緒に巻かれる、エアロゾル発生物品(400)。
【請求項2】
前記第一の電極(450)がまた、前記エアロゾル形成基体(470)の前記前面(FF)にある、請求項1に記載のエアロゾル発生物品(400)。
【請求項3】
前記第一の電極(450)が、前記エアロゾル形成基体(470)の側方表面(LF)上にある、請求項1に記載のエアロゾル発生物品(400)。
【請求項4】
前記口の前記第二の領域が、前記ユーザーの唇または前記ユーザーの前記舌上の第二の領域である、請求項1~3のうちの一項に記載のエアロゾル発生物品(400)。
【請求項5】
ホルダー(1)であって、
請求項1~4の一項に記載のエアロゾル発生物品(400)、および
保持装置(300)であって、
-受容部分(330)と、
-第一の電気部分(310)と、
-第二の電気部分(320)と、を備える保持装置(300)を備え、
前記受容部分(330)が、前記エアロゾル発生物品(400)を受容するように構成されており、
前記第一の電気部分(310)および前記第二の電気部分(320)が、前記エアロゾル発生物品(400)の第一の電極(450)および前記第二の電極(460)に電気的に接触するように受容部分(330)内に配設され、
前記エアロゾル発生物品(400)が前記保持装置の前記受容部分(330)内に部分的に挿入される、ホルダー(1)。
【請求項6】
前記第一の電気部分(310)および前記第二の電気部分(320)が、電源(112)と電気的に接続されている、請求項に記載のホルダー(1)。
【請求項7】
前記保持装置(300)が、前記エアロゾル発生物品(400)を加熱するように構成された発熱体(167、190、370)をさらに備える、請求項5または6に記載のホルダー(1)。
【請求項8】
前記保持装置(300)が、前記受容部分(330)に配設され、前記受容部分(330)、前記第一および第二の電気部分(310、320)、および前記エアロゾル発生物品(400)の前記第一および第二の電極(450、460)間の熱伝達を制御するように構成されている、少なくとも温度制御要素(350、360)をさらに備える、請求項5~7のうちの一項に記載のホルダー(1)。
【請求項9】
前記温度制御要素(350、360)が、前記保持装置(300)のハウジング(130)と接触して、前記保持装置(300)の前記ハウジング(130)を介して前記受容部分(330)から環境へ熱を伝達する、請求項に記載のホルダー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品、こうしたエアロゾル発生物品のための保持装置、およびこうしたエアロゾル発生物品を含むホルダーに関する。
【0002】
エアロゾル発生物品は、本明細書では、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生する電気加熱式の喫煙システムとともに使用される、使い捨ての、単回使用の消耗品として理解することができる。
【背景技術】
【0003】
例えば、WO2017/153467A1は、エアロゾル形成基体および複数の電気ヒューズを備えるエアロゾル発生物品を開示している。複数の電気ヒューズは相互に間隙を介しており、電気ヒューズそれぞれの位置はエアロゾル形成基体の一部分に近接している。WO2019/185715A1は、エアロゾル発生物品を受容するためのエアロゾル発生装置を開示しており、エアロゾル発生装置は、回路の電気的特性の変化を判定するためのコントローラを含む電気回路を備える。回路の電気的特性の変化は、装置によって受容されたエアロゾル発生物品と相互作用するユーザーによって引き起こされる。CN107657999Aは、電子インテリジェント補助禁煙フィルターチップおよび禁煙装置に関する。さらに、受容体が周波数、熱、および温度に応じた基本的な味覚を検出するように、侵襲的な電波によって味蕾を刺激し、パルスが装置によって送信および調節される装置が公知である。
先行技術のエアロゾル発生物品は、従来の紙巻きたばこおよび葉巻たばこに勝る数多くの利点を有するが、特にアロマノートおよび風味の特徴の提供について、従来の紙巻たばこおよび葉巻たばこを含む従来の喫煙物品の標準的な性能と比較した時に、依然として改善の余地がある。
【0004】
したがって、本発明の目的は、アロマノートおよび風味の特徴を提供する改善されたエアロゾル発生物品を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態は従属請求項に組み込まれる。以下に記載される本開示の態様は、ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品、エアロゾル発生物品のための保持装置、およびこうしたエアロゾル発生物品を含むホルダーに適用されることに留意されたい。
【0006】
本開示の一態様によると、ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体、第一の電極、および第二の電極を備える。
【0007】
第一の電極は、エアロゾル形成基体の第一の位置にあって、ユーザーに対する第一の電気接点を提供する。
【0008】
第二の電極は、エアロゾル形成基体の前面における第二の位置にあって、ユーザーに対する第二の電気接点を提供し、第二の位置は、第一の電極と第二の電極との間の電位の提供を可能にしてユーザーに電気的刺激を提供するように、第一の位置とは異なっている。
【0009】
本エアロゾル発生物品は、消費中にユーザーの味蕾に電気的刺激を提供することによって、アロマノートおよび風味の特徴を提供し得る。例えば、エアロゾル発生物品は、電気信号を介してユーザーの舌の味蕾を刺激することができる。
【0010】
言い換えれば、電気インパルスを使用して、舌の上に電気的な味覚刺激を提供してもよい。電位を介した刺激は、ユーザーに塩味、苦味、酸味、甘味および/または旨味の味覚を体験させる場合がある。これらの刺激は、アロマノートおよび風味の特徴のユーザー体験を強化し得る。これらの電気的に発生されたアロマノートおよび風味の特徴は、ユーザーの風味の知覚を改善または変化させ得る。電気的に誘発された風味の知覚は、従来の紙巻たばこおよび葉巻たばこの風味に類似し得る。別の方法として、電気的に誘発された風味の知覚は、塩味、苦味、酸味、甘味および/または旨味の知覚を提供することによって、ユーザーの体験を強化してもよい。この強化された風味体験は、従来の紙巻たばこおよび葉巻たばこからエアロゾル発生物品へのユーザーの移行を促進し得る。
【0011】
ユーザーの舌の味蕾の電気的刺激によって生成される模擬味覚感覚は、エアロゾル発生物品に化合物を添加することなく、ユーザーによって感知される風味を改善することができる。結果として、エアロゾル発生物品中に必要な成分の数およびエアロゾル発生物品のコストは増加しない。本エアロゾル発生物品はさらに、適切かつ人間工学的に機能することを確実にするための電極の特定の位置を可能にし得る。
【0012】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生する電気加熱式の喫煙システムとともに使用する、使い捨ての、単回使用の消耗品として理解することができる。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口の中に挿入されるように構成された口側端を備えてもよい。エアロゾル発生物品の反対側の端は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生する加熱式の喫煙システムの中に挿入されるように構成されてもよい。エアロゾル発生物品は、マウスピース、および少なくともチッピングペーパーに巻かれたエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0013】
エアロゾル形成基体は、加熱された時にエアロゾルを発生するロッド形状の物品として理解することができる。エアロゾル形成基体は、たばこであってもよい。たばこは、細断、顆粒、成形、圧延、波状またはその他の加工が施されてもよい。エアロゾル形成基体は、同様に処理され得る、たばこ以外の薬草または植物材料であってもよい。エアロゾル形成基体は、メントールまたはユーカリなどの風味剤であってもよく、液体形態であるか、またはたばこまたは他の植物材料と混合されてもよい。消費中、エアロゾル形成基体は加熱され、空気はエアロゾル形成基体を通過または通して流れ、加熱された基体から形成されたエアロゾルをユーザーの口および肺に送達する。このエアロゾルは、エアロゾル形成基体に由来する風味を有する。エアロゾル形成基体に由来するエアロゾルのアロマノートおよび風味の特徴は、ユーザーの舌における味蕾の電気的刺激によって強化され得る。
【0014】
第一の電極および第二の電極は、異なる電極である。これらは、ユーザーに異なる接触区域を提供するために、異なる場所に位置付けられる。例えば、ユーザーは、自分の舌で第一の電気接点に接触してもよい。例えば、ユーザーは、自分の舌の別の部分または唇で第二の電極に接触してもよい。電極は、導電性材料、好ましくは金属、そしてより好ましくは銀化合物で作製されてもよい。
【0015】
エアロゾル発生物品の前面は、エアロゾル発生物品の端面として理解することができる。前面は、エアロゾル発生物品の口側端にあってもよい。前面は、エアロゾル発生物品の長軸方向および/または側方表面に対して、本質的に直角を成して、または角度を有して延びてもよい。前面は、ユーザーの舌、特に舌の先端にアクセス可能であってもよい。これは、前面における電極が、使用時に舌および舌に位置する味蕾によって触れられる場所にあり得ることを意味する。電極は、味覚感覚(例えば、塩味)に対して特に感受性が高い、舌の先端に電位を提供してもよい。
【0016】
エアロゾル発生物品の側方表面は、エアロゾル発生物品の前面とは異なるものとして理解することができる。これは、エアロゾル発生物品の長軸方向に沿って延びるエアロゾル発生物品の外表面であってもよい。側方表面は、エアロゾル発生物品の円周表面または周辺表面とすることができる。
【0017】
第一の電極と第二の電極との間の電位は、舌の一部と口の別の部分との間の電位に差異を生じさせる場合がある。電位の差異は、舌の味蕾を刺激して、人工的な味覚を舌にもたらし、ユーザーの風味感覚を改善し得る。
【0018】
一実施形態では、第一の電極はまた、エアロゾル形成基体の前面にある。次に、両電極は、エアロゾル形成基体の前面にある。両電極は前面を共有している。これらは、前面の表面のみにあってもよく、または電極のうちの少なくとも一つが、エアロゾル形成基体の側方表面の一部分の周りにさらに延びてもよい。第一の事例では、電極は共に、前面にディスクを形成する。第二の事例では、電極は共に、エアロゾル形成基体の前面および側方表面の一部分の周りにキャップを形成する。前面は、ユーザーの舌、特に舌の先端にアクセス可能であってもよい。これは、前面における両電極が、使用時に舌およびその味蕾によって触れられる場所にあり得ることを意味する。両電極は、味覚感覚(例えば、塩味)に対して特に感受性が高い、舌の先端上の異なるスポットに電位を提供してもよい。
【0019】
別の実施形態では、第一の電極は、エアロゾル形成基体の側方表面上にある。第一の電極は、エアロゾル発生物品の側方表面の一部分を少なくとも部分的にまたは完全に包囲してもよい。第一の電極は、エアロゾル形成基体の周りの完全なまたは中断された帯またはリングの形態であってもよい。
【0020】
第一の電極がエアロゾル形成基体の側方表面上にある場合、第一の電極は、ユーザーの舌、特に舌の中央領域にアクセス可能であってもよい。これは、第一の電極が、使用時に舌の先端とは異なる、かつ舌の先端の「後方」にある、舌の中央部によって触れられる場所にあり得ることを意味する。第一の電極は、舌の中央部およびそこに位置する味蕾に電気的刺激を提供し得る。第一の電極は、舌の中央領域に電位を提供し、舌上の中央領域における第一の電極と舌の先端における第二の電極との間に電位の差異を提供し得る。電位の差異は、舌の味蕾を刺激して、人工的な味覚を舌にもたらし得る。電極は、舌の先端と比較して、異なる味覚感覚に対して感受性が高い場合がある、舌の異なる部分に電位を提供してもよい。
【0021】
第一の電極がエアロゾル形成基体の側方表面上にある場合、第一の電極は、ユーザーの唇にアクセス可能であってもよい。第一の電極は、ユーザーの下唇、上唇、または両唇にアクセス可能であってもよい。これは、第一の電極が、使用時に少なくともユーザーの唇によって触れられ得る場所にあり得ることを意味する。第一の電極は、唇における第一の電極と舌における第二の電極との間の電位の差異を提供するように、電位を唇に提供し得る。一方の電極のみが舌の味蕾に電位を提供し、他方の電極は、例えば温度など、他の感覚に対してより感受性が高い場合がある唇に接触してもよい。
【0022】
当然のことながら、第一の電極は、エアロゾル形成基体の前面および側方表面に配設されて、ユーザーの舌および唇にアクセス可能であってもよい。すべての事例において、第一および第二の電極は、口の異なる部分に対して電位の差異を提供し得る。第一の電極と第二の電極との間の電位の差異は、舌の味蕾を刺激して、人工的な味覚を舌にもたらす場合がある。
【0023】
エアロゾル形成基体は、第一の電極および第二の電極とは異なる、口の第三の領域のためにアクセス可能な第三の電極をさらに備えてもよい。結果として、ユーザーの三つの異なる身体部分(例としては、舌、上唇および下唇、または舌の第一の部分、舌の異なる第二の部分、および唇)を、味覚刺激のために使用してもよい。これもまた、ユーザー体験を増強させる場合がある。当然のことながら、エアロゾル形成基体は、四つ以上の電極をさらに備えてもよい。
【0024】
一実施形態では、第一の電極および第二の電極は、第一の電極と第二の電極との間に電位を提供するために、電源に電気的に接続可能である。特に、これらは、可逆的に接続可能であるか、または電源に接続されてもよい。電力源は、味蕾を刺激するために、第一の電極と第二の電極との間の電位を提供するように構成されてもよい。電力源は、電池、または電池パックであってもよい。電力源は再充電可能であってもよい。
【0025】
一実施形態では、電位は交互の電位であってもよい。これは、50Hz~1200Hz、好ましくは500Hz~700Hzの範囲内の周波数を有してもよい。こうした周波数は、電極の振動を引き起こすことなく、ヒトの組織に明らかな効果を有してもよい。
【0026】
一実施形態では、電力源は、20μA~300μA、好ましくは20μA~200μA、より好ましくは40μA~180μA、なおより好ましくは100μA~130μAの範囲の電流で電位を提供するように構成されてもよい。電流は、交流電流であってもよく、刺激の区別できる強度を提供するために20μA刻みを有することが好ましい。
【0027】
一実施形態では、第一の電極は、エアロゾル形成基体に沿って少なくとも部分的に延びる第一の導電性要素に電気的に接続されてもよい。第一の導電性要素は、エアロゾル形成基体に配設される第一の電気端子に電気的に接続されてもよい。第一の電気端子は、電源に電気的に接続可能であってもよい。電気端子の位置は、電気端子が、エアロゾル発生物品の加熱に対して安全な距離を有するよう維持するように、エアロゾル発生物品の中心とすることができる。
【0028】
一実施形態では、第二の電極は、エアロゾル形成基体に沿って少なくとも部分的に延びる第二の導電性要素に電気的に接続されてもよい。第二の導電性要素は、エアロゾル形成基体に配設される第二の電気端子に電気的に接続されてもよい。第二の電気端子は、電源に電気的に接続可能であってもよい。この場合も、電気端子の位置は、電気端子が、エアロゾル発生物品の加熱に対して安全な距離を有するよう維持するように、エアロゾル発生物品の中心とすることができる。
【0029】
電極は、対応する導電性要素の長軸方向の延長部に対して実質的に直角を成して延びてもよい。この文脈における「実質的に」とは、当業者に、用語「直角を成して」が、完全に直角を成していることのみを意味するのみではなく、完全に直角を成していることからの通常の逸脱を許容し得ることを示すことが意図される。したがって、この場合の「実質的に直角を成して」とは、電極が、導電性要素の長軸方向の延長部から、1度、2度、3度、4度、5度、5度~10度、および最大25度、90度から逸脱し得ることを意味する。それに応じて、用語「実質的に」は、本明細書全体を通して使用される。導電性要素の長軸方向の延長部は、対応する電気端子の長軸方向の延長部に対して実質的に直角を成して延びてもよい。
【0030】
電極、導電性要素および/または電気端子は、導電性ポリマー、導電性複合材料、金属材料および/またはこれに類するものなどの導電性材料で少なくとも部分的に作製されてもよい。
【0031】
エアロゾル発生物品は、少なくともチッピングペーパーに巻かれ、随意にラップ紙にも巻かれたエアロゾル形成基体を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の口側端に配設され、ユーザーの口と接触するように構成されたマウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースまたはプラグはまた、少なくとも一つのチッピングペーパーに巻かれてもよい。口側端では、チッピングペーパーは、(反対側の自由端に向かって)折り返されて、丸みのある滑らかな端を形成してもよい。これにより、長軸方向に延びる導電性要素などが、ユーザーの口に触れて不快感を引き起こすことが防止される。エアロゾル発生物品の自由端または一部分はまた、少なくとも一つのチッピングペーパーに巻かれることなく、エアロゾル形成基体を含むのみであってもよい。長軸方向に延びる導電性要素は、エアロゾル形成基体に沿って、および/または少なくとも一つのチッピングペーパーに沿って少なくとも部分的に延びてもよい。導電性要素は、チッピングペーパーの内部または外部に提供されてもよい。
【0032】
一実施形態では、エアロゾル発生物品は、第一のチッピングペーパーおよび第二のチッピングペーパーを備えてもよい。第一の電気端子および第二の電気端子は、第一のチッピングペーパー内に提供されてもよい。随意に、第一の電極および第二の電極もまた、第一のチッピングペーパー内に提供されてもよい。例えば、細片サセプタなどの発熱体も、随意に第一のチッピングペーパー内に提供されてもよい。第一の導電性要素および第二の導電性要素は、第二のチッピングペーパーに提供されてもよい。
【0033】
第一のチッピングペーパーおよび第二のチッピングペーパーは、第一の電気端子が第一の導電性要素と電気的に接触し、第二の電気端子が第二の導電性要素と電気的に接触するように、一緒に巻かれるか、または重なり合わされてもよい。これは、電気端子、導電性要素、および/または電極が物理的および電気的に接触できるように、第一のチッピングペーパーが第二のチッピングペーパーとの電気的接続を完備するように、二つのチッピングペーパーが一緒に巻かれるか重なり合わされて定置され得ることを意味する。結果として、エアロゾル発生物品のアセンブリは、非常に簡単でコスト効率が良い。
【0034】
要約すると、本エアロゾル発生物品は、味覚刺激のために、随意に制御された温度範囲内(以下をさらに参照)で、変化する周波数および/または直流の交互の電位を有する電気インパルスを使用してもよい。電流、周波数、および/または温度は、単独または組み合わせで、ユーザーの味蕾を電気的に刺激することから生じる、改善された異なる味覚感覚をもたらし得る。
【0035】
本開示の別の態様によると、エアロゾル発生物品のための保持装置が提供されている。エアロゾル発生物品のための保持装置は、受容部分、第一の電気部分、および第二の電気部分を備える。受容部分は、上述のエアロゾル発生物品を受容するように構成されている。第一の電気部分および第二の電気部分は、エアロゾル発生物品の第一の電極および第二の電極に電気的に接触するように受容部分内に配設される。
【0036】
受容部分は、エアロゾル発生物品を収容するための空洞、好ましくは管状空洞とすることができる。エアロゾル発生物品が受容部分に挿入されると、受容部分の第一の電気部分および第二の電気部分は、エアロゾル発生物品の第一の電極および第二の電極と電気的に接触することができる。
【0037】
一実施形態では、保持装置は、エアロゾル発生物品を加熱してエアロゾルを発生するように構成された発熱体をさらに備えてもよい。発熱体は、受容部分に配設されてもよい。これは、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を少なくとも部分的に包囲するように、および/またはエアロゾル発生物品の少なくとも一部分の中に挿入されるように配設されてもよい。発熱体は、一つ以上の加熱ユニット、例えば、加熱コイル、好ましくは誘導加熱コイル、サセプタ細片、抵抗発熱体および/またはこれに類するものなどであってもよい。保持装置は、空気取込開口部を備えてもよい。これは、ユーザーのエアロゾル吸入のために周囲の空気を利用できるようにするため、および/または過熱を防止するために保持装置を冷却するための開口部として使用され得る。
【0038】
一実施形態では、受容部分の第一の電気部分および第二の電気部分は、電源と電気的に接続されてもよい。電源は、保持装置の一部であってもよく、または保持装置に電気的に接続されるのみであってもよい。電源は、エアロゾル発生物品の第一の電極と第二の電極との間の電位を提供するように構成されてもよい。したがって、電源は、エアロゾル発生物品の第一の電極および第二の電極に電気的に接続されてもよい。実施形態では、電源は再充電可能電池である。
【0039】
一実施形態では、電源は、エアロゾル発生物品を加熱してエアロゾルを提供するように、エネルギーを提供するように追加的に構成されてもよい。したがって、電源は、発熱体に電気的に接続されてもよい。これは、電源が唯一の電力源であってもよく、第一の電極と第二の電極との間の電位を提供するだけでなく、エアロゾル発生物品を加熱してエアロゾルを発生するためにエネルギーを提供するためにも使用され得ることを意味する。これは、保持装置を非常に効率的にし、かつ/または構成要素の数の低減を可能にする。当然のことながら、エアロゾル発生物品を加熱するため、および電極間に電位を提供するために、二つの異なる電力源があることも可能である。
【0040】
一実施形態では、保持装置は、制御ユニットを備えるか、または制御ユニットに電気的に接続されてもよい。制御ユニットは、エネルギー管理、エアロゾル発生および/または刺激の点において保持装置の動作を管理する電子制御ユニットであってもよい。制御ユニットは、電源を制御するように構成されてもよい。制御ユニットは、受容部分の第一の電気部分と第二の電気部分との間の電位の量、および結果として、エアロゾル発生物品の第一の電極と第二の電極との間の電位の量を制御し得る。結果として、制御ユニットは、電気的刺激の強度または強さを制御し得る。これにより、保持装置をありとあらゆるユーザーに適合させることが可能になり得る。制御ユニットはさらに、発熱体を制御するように構成されてもよい。結果として、制御ユニットは、エアロゾル発生物品の温度、およびそれによってエアロゾル発生物品のエアロゾル化を制御し得る。
【0041】
一実施形態では、保持装置は、少なくとも温度制御要素をさらに備えてもよい。温度制御要素は、受容部分に配設されてもよい。温度制御要素は、第一および第二の電気部分に少なくとも部分的に接触するように配設されてもよい。温度制御要素は、第一および第二の電気部分、およびエアロゾル発生物品の第一および第二の電極間の熱伝達を制御するように構成されてもよい。これにより、温度制御要素は、ユーザーと触れ得る第一の電極および/または第二の電極の温度を制御するように構成され得る。例えば、温度制御装置は、発熱体における温度を感知し、制御ユニットによって制御される、温度センサーであってもよい。例えば、制御ユニットは、発熱体において閾値温度が測定される場合、電源からのエネルギーの提供を停止して、装置の過熱を防止し得る。
【0042】
一実施形態では、温度制御要素は、摂氏20~35度、好ましくは摂氏22~25度の範囲内で、エアロゾル発生物品の第一の電極および/または第二の電極の温度を制御するように構成されてもよい。この温度範囲は、ユーザーの口にとって非常に快適と思われる。
【0043】
温度制御要素は、第一の電気部分および/または第二の電気部分、およびそれによって、エアロゾル発生物品の第一の電極および/または第二の電極を加熱して、ユーザーに熱刺激を提供するために使用することができる。熱刺激は、ユーザー体験をさらに強化し得る。温度制御要素は、エアロゾル発生物品を加熱してエアロゾルを提供するために発熱体と協働してもよく、および/または第一の電気部分および/または第二の電気部分を加熱するためだけに追加の加熱ユニットを含んでもよい。
【0044】
温度制御要素は、追加的または代替的に、第一の電気部分および/または第二の電気部分、およびそれによって、エアロゾル発生物品の第一の電極および/または第二の電極を冷却して、ユーザーの舌および/または唇での不快な熱感覚を回避するように使用されてもよい。したがって、温度制御要素は、少なくともヒートシンクを含んでもよい。ヒートシンクは、熱電冷却器(例としてはマイクロペルチェ素子)であってもよい。
【0045】
温度制御要素は、第一の電気部分および/または第二の電気部分に対する、およびそれによって第一の電極および/または第二の電極に対する熱伝達を可能にして、第一の電極および/または第二の電極を冷却または加熱することを可能にし得る。一実施形態では、温度制御要素は、したがって、保持装置のハウジングと接触し、保持装置のハウジングを介して、温度制御要素を保持する受容部分から環境に熱を伝達し得る。熱伝達のための十分な熱容量を提供するために、保持装置のハウジングは、温度制御要素から周囲空気への熱エネルギーの放散を可能にする熱伝導性材料で作製されてもよい。保持装置のハウジングは、熱エネルギーを保存および放散することを可能にする、例えば、アルミニウムまたはセラミックとしての高密度材料で作製されてもよい。追加的なヒートシンク材料が利用されてもよい。
【0046】
一実施形態では、温度制御要素は、熱ペーストをさらに含んでもよい。熱ペーストは、第一の電気部分および/または第二の電気部分と保持装置のハウジングとの間に配設されてもよい。熱ペーストは、熱伝達、およびそれによって第一の電極および/または第二の電極の加熱および/または冷却をさらに改善し得る。
【0047】
一実施形態では、保持装置は、多端子リングコネクターモジュールをさらに備えてもよい。多端子リングコネクターモジュールは、保持装置内に配設されてもよい。多端子リングコネクターモジュールは、受容部分の内部周囲内およびその周りに配設されてもよい。断面において、多端子リングコネクターモジュールは、複数のセグメントを含み得る。セグメントは、クラッディングと一緒に配設されてもよい。クラッディングは、ポリマー、複合材料、セラミックおよび/またはこれに類するもので作製されてもよい。
【0048】
側面図において、複数のセグメントは、エアロゾル形成基体、チッピングペーパーおよび/またはエアロゾル発生物品に沿って少なくとも部分的に延び得る、複数の導電性要素またはトラックを形成する。これらの導電性要素のうちの少なくとも二つは、エアロゾル発生物品の第一および第二の電極に電気的に接続されて、電力源からユーザーに電位を提供し得る。特に、断面において、第一のセグメントは、長軸方向に延び、かつ第一の電極を電気的に接続する第一の導電性要素を形成する。断面において、第二のセグメントは、長軸方向に延び、かつ第二の電極を電気的に接続する第二の導電性要素を形成する。
【0049】
一実施形態では、保持装置は、ジャイロセンサーおよび位置制御ユニットをさらに備えてもよい。位置制御ユニットは、ジャイロセンサーによって提供される位置データに基づいて、第一の導電性要素および第二の導電性要素を複数の導電性要素またはトラックから選択するよう構成されている。ユーザーの舌に対する保持装置の配向は、それによって、どの導電性要素を所与の正確な瞬間に活性化する必要があるかを決定し得る。特定の導電性要素の配向およびさらに随意に活性化に関連するこうした情報は、ジャイロセンサーからの信号に基づいて、位置制御ユニットによって処理されてもよい。
【0050】
保持装置の動作中、多端子リングコネクターの導電性要素は、ユーザーの舌に対して垂直方向に作動させることができる。結果として、舌の上面は、エアロゾル発生物品の第一の電極と遭遇し得、舌の下面は、エアロゾル発生物品の第二の電極と接触し得る。その間、保持装置内の発熱体は、例えば、誘導コイルによって発生される電磁場からの誘導加熱プロセスによって、エアロゾル発生物品を加熱してもよい。エアロゾルが発生され、ユーザーは吸入を通してこれを受容することができる。この吸入中、ユーザーはまた、電極によって舌上で、好ましくは交互の電位を受容することができる。エアロゾル吸入と電位の組み合わせは、喫煙体験全体の間に人工的な味覚体験をもたらし得る。
【0051】
保持装置は、主要ユニットに接続されてもよい。主要ユニットは、電源および/または制御ユニットを含んでもよい。電源は、充電ポートを有する再充電可能電池であってもよい。主要ユニットはまた、温度制御要素から周囲空気への熱エネルギーの放散を可能にする熱伝導性材料で作製された放熱ハウジングを有してもよい。
【0052】
主要ユニットは、保持装置とは異なる別個の構成要素であってもよく、保持装置に可逆的に接続されてもよい。主要ユニットおよび保持装置は、互いに対して積み重ねられてもよく、ねじ接続、スナップ嵌合接続、摩擦接続、磁気接続、およびこれに類するものによって接続されてもよい。別の方法として、主要ユニットおよび保持装置は、単一の部品であってもよい。次に、保持装置のハウジングおよび主要ユニットのハウジングは、同じ単一の構成要素である。
【0053】
実施形態において、主要ユニットは、少なくともボタン、ホイール、トグル、センサー、および/または他のユーザー入力装置を含んでもよい。以下では、一例としてボタンが使用される。ボタンは、ユーザーが保持装置を作動させ、刺激を調整するためのインターフェースとして機能し得る。ボタンは、エアロゾル発生のために発熱体を起動させるように構成されてもよい。同一または別のボタンは、第一の電気部分と第二の電気部分との間の電位を活性化させるように構成されてもよい。結果として、ボタン(複数可)は、エアロゾル発生器および/または人工的な味覚刺激のオンとオフとを切り替えることを可能にしてもよい。
【0054】
一実施形態では、ボタンは、第一の電気部分と第二の電気部分との間の電位の量を制御するようにさらに構成されてもよい。結果として、ボタンは、電気的刺激の強度を制御し、それによって味覚刺激の強さの調整を可能にし得る。
【0055】
要約すると、エアロゾル発生物品のための本保持装置は、味覚強度を調整することによって、カスタマイズ可能な電気的刺激体験を可能にし得る。味覚強度は、保持装置の追跡された使用履歴に基づいて、ユーザーによって、および/または事前設定によって制御されてもよい。本保持装置は、保持装置のハウジングを使用して熱を放散する熱伝達要素を介した電極の温度制御によって、ユーザーとの接触区域の適切な温度をさらに可能にしてもよい。
【0056】
本開示の別の態様によると、上述のようなエアロゾル発生物品および上述のような保持装置を備えるホルダーが提供されている。エアロゾル発生物品は、保持装置の受容部分の中に部分的に挿入される。
【0057】
ホルダーは、エアロゾル発生物品をロッド形状の物品として受容するたばこ加熱システムとして理解することができる。エアロゾル発生物品は、固体状態のたばこまたは他の適切な基体であり得るエアロゾル発生基体を備える。
【0058】
本ホルダーは、消費中の電気的刺激による味覚改善を可能にし得る。ホルダーは、電気的な味覚刺激のための電気信号を発生および管理し得る。電気信号は、エアロゾル発生物品を介してユーザーの口および舌に対して実施される。エアロゾル発生物品は、口および舌に対して電気信号を実施するための手段と、随意に、ユーザーの舌または唇上の味蕾の電気的刺激、および随意に熱刺激のための手段とを有する。ユーザー体験が開始すると、エアロゾル発生物品は、特定の電位および随意に舌の味蕾に温度を伝送し、塩味、酸味または苦味などの追加の味覚感覚を提供する。本ホルダーは、味覚刺激のために、随意に制御された温度範囲内で、好ましくは変化する周波数または直流、またはその両方の交互の電位を使用してもよい。
【0059】
ホルダーを通した気流は、以下のように理解することができる:エアロゾル発生物品は、保持装置の受容部分の中に部分的に挿入されてもよい。空気は、ユーザーがエアロゾル発生物品のマウスピースを吸い込む動作によって保持装置内に引き出され得る。空気は特に、少なくとも入口を通して保持装置内に引き出されてもよい。空気吸込み口は、気流チャネルと流体連通してもよい。結果として、保持装置内に引き出された空気は、少なくとも一つの空気チャネルを通過し得る。引き出された空気は、エアロゾル発生物品の遠位端においてエアロゾル形成基体に入ってもよい。引き出された空気は、加熱されてエアロゾルを発生し得るエアロゾル形成基体を通った後、エアロゾル発生物品のマウスピースまで進み、ユーザーに戻るように進み得る。
【0060】
本開示の別の態様によると、ユーザーの味蕾の電気的刺激のための方法も提示される。ユーザーの味蕾の電気的刺激のための方法は、以下の工程、すなわち、
【0061】
-上述のようなエアロゾル発生物品を提供する工程と、
【0062】
-電力源を起動させ、それによって、エアロゾル発生物品の第一の電極と第二の電極との間に電位を提供して、ユーザーの舌上の味蕾を刺激する工程と、を含むが、必ずしもこの順序でなくてもよい。
【0063】
ユーザーの味蕾の電気的刺激のための本方法は、従来のエアロゾル発生方法と比較して、アロマノートおよび風味の特徴の観点でより良好な性能を可能にし得る。本エアロゾル発生物品は、消費中にユーザーの味覚を電気的に刺激する手段を提供し得るため、アロマノートおよび風味の特徴が改善される。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口への接続を有し、それによって電気信号を介して舌の味蕾を刺激することができる二つの電極を有する。
【0064】
使用時、ユーザーは、上側の開口部を通して、エアロゾル発生物品を保持装置の中に挿入し得る。エアロゾル発生物品は、電気端子および導電性要素を使用して、保持装置と物理的かつ電気的に接触することができる。これらの物理的接触は、エアロゾル発生物品における第一および第二の電極に電流を流し、ユーザー体験の間にユーザーに対する人工的な味覚刺激を発生させる。電気端子、導電性要素および電極は、電力源によって発生される電位を、エアロゾル発生物品を横切ってユーザーの舌に伝導することを可能にする。エアロゾル発生物品はまた、保持装置内に提供された発熱体と物理的かつ電気的に接触して、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生することもできる。ユーザーは、少なくともボタンを押すことでシステムを起動させてもよく、電極からの人工的な味覚刺激と組み合わせて、ユーザー体験のためにエアロゾル発生物品からエアロゾルを発生してもよい。
【実施例
【0065】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に説明される別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わせられ得る。
【0066】
A.ユーザーに電気的刺激を提供するためのエアロゾル発生物品であって、
-エアロゾル形成基体と、
-第一の電極と、
-第二の電極と、を備え、
第一の電極は、エアロゾル形成基体の第一の位置にあって、ユーザーに対する第一の電気接点を提供し、
第二の電極は、エアロゾル形成基体の前面における第二の位置にあって、ユーザーに対する第二の電気接点を提供しており、第二の位置は、第一の電極と第二の電極との間の電位の提供を可能にしてユーザーに電気的刺激を提供するように、第一の位置とは異なっている、エアロゾル発生物品。
B.第一の電極はまた、エアロゾル形成基体の前面にある、請求項Aによるエアロゾル発生物品。
C.第一の電極は、エアロゾル形成基体の側方表面上にある、請求項Aによるエアロゾル発生物品。
D.第一の電極は、口の第一の領域に対してアクセス可能であり、口の第一の領域は、ユーザーの舌上の第一の領域内にあり、第二の電極は、ユーザーの口の第二の領域に対してアクセス可能であり、第二の領域は第一の領域とは異なる、先行する請求項のうちの一つによるエアロゾル発生物品。
E.口の第二の領域は、ユーザーの唇である、請求項Dによるエアロゾル発生物品。
F.口の第二の領域は、舌上の第一の領域とは異なる、ユーザーの舌上の第二の領域である、請求項Dによるエアロゾル発生物品。
G.舌上の第二の領域は、舌の中央部分である、先行する請求項によるエアロゾル発生物品。
H.舌上の第一の領域は、舌の先端である、請求項Dによるエアロゾル発生物品。
I.第一の電極および第二の電極は、電源に電気的に接続可能であって、第一の電極と第二の電極との間に電位を提供する、先行する請求項のうちの一つによるエアロゾル発生物品。
J.第一の電極は、エアロゾル形成基体に沿って少なくとも部分的に延びる第一の導電性要素に電気的に接続され、第一の導電性要素は、エアロゾル形成基体に配設された第一の電気端子に電気的に接続され、第一の電気端子は、電源に電気的に接続可能である、請求項Iによるエアロゾル発生物品。
K.第二の電極は、エアロゾル形成基体に沿って少なくとも部分的に延びる第二の導電性要素に電気的に接続され、第二の導電性要素は、エアロゾル形成基体に配設された第二の電気端子に電気的に接続され、第二の電気端子は、電源に電気的に接続可能である、請求項IまたはJによるエアロゾル発生物品。
L.第一のチッピングペーパーおよび第二のチッピングペーパーをさらに備え、
第一の電気端子および第二の電気端子は、第一のチッピングペーパー内に配設され、
第一の導電性要素および第二の導電性要素は、第二のチッピングペーパー内に配設され、
第一のチッピングペーパーおよび第二のチッピングペーパーは、第一の電気端子が第一の導電性要素に電気的に接触し、第二の電気端子が第二の導電性要素に電気的に接触するように、重なり合うように一緒に巻かれる、請求項JおよびKによるエアロゾル発生物品。
M.エアロゾル発生物品のための保持装置であって、
-受容部分と、
-第一の電気部分と、
-第二の電気部分と、を備え、
受容部分は、先行する請求項のうちの一つによるエアロゾル発生物品を受容するように構成されており、
第一の電気部分および第二の電気部分は、エアロゾル発生物品の第一の電極および第二の電極が電気的に接触するように受容部分内に配設される、保持装置。
N.第一の電気部分および第二の電気部分は、電源と電気的に接続されている、先行する請求項による保持装置。
O.エアロゾル発生物品を加熱するように構成された発熱体をさらに備える、請求項MまたはNによる保持装置。
P.受容部分に配設され、受容部分、第一および第二の電気部分、およびエアロゾル発生物品の第一および第二の電極間の熱伝達を制御するように構成されている、少なくとも温度制御要素をさらに備える、請求項M~Oのうちの一つによる保持装置。
Q.温度制御要素は、保持ユニットのハウジングと接触し、保持ユニットのハウジングを介して受容部分から環境へ熱を伝達する、先行する請求項による保持装置。
R.多端子リングコネクターモジュールをさらに備え、多端子リングコネクターモジュールは、複数の導電性要素を含み、第一の導電性要素は、第一の電極に電気的に接続され、第二の導電性要素は、第二の電極に電気的に接続される、先行する請求項のうちの一つによる保持装置。
S.ジャイロセンサーおよび位置制御ユニットをさらに備え、位置制御ユニットは、ジャイロセンサーによって提供される位置データに基づいて、第一の導電性要素および第二の導電性要素を複数の導電性要素から選択するよう構成されている、先行する請求項による保持装置。
T.ホルダーであって、
-請求項A~Lのうちの一つによるエアロゾル発生物品と、
-請求項M~Sのうちの一つによる保持装置と、を備え、
エアロゾル発生物品は、保持装置の受容部分の中に部分的に挿入される、ホルダー。
U.ユーザーの味蕾の電気的刺激のための方法であって、
-請求項A~Lのうちの一つによるエアロゾル発生物品を提供することと、
-電力源を起動させ、それによって、エアロゾル発生物品の第一の電極と第二の電極との間に電位を提供して、ユーザーの舌上の味蕾を刺激することと、を含む、方法。
【0067】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1a図1aは、本開示によるホルダーの一実施形態の概略例示図である。
図1b図1bは、本開示によるホルダーの一実施形態の概略例示図である。
図2図2は、本開示による保持装置および本開示によるエアロゾル発生物品の概略例示断面図である。
図3図3は、本開示による保持装置の概略端図である。
図4a図4aは、本開示による保持装置の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図4b図4bは、本開示による保持装置およびエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図5a図5aは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図5b図5bは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図6a図6aは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図6b図6bは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図6c図6cは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図6d図6dは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図6e図6eは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図7a図7aは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図7b図7bは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図7c図7cは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図7d図7dは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図7e図7eは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図8図8は、本開示によるホルダーの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図9a図9aは、多端子リングコネクターモジュールの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図9b図9bは、多端子リングコネクターモジュールの一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図9c図9cは、多端子リングコネクターモジュールの一実施形態を概略的かつ例示的に別の視点で示す。
図10a図10aは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図10b図10bは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図10c図10cは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図11図11は、本開示によるホルダーの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図12a図12aは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図12b図12bは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図12c図12cは、本開示によるエアロゾル発生物品の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1aは、部分的に挿入されたエアロゾル発生物品400を備えるホルダー1を示す。図1bは、エアロゾル発生物品400のための保持装置300および主要ユニット100を備えるホルダー1を示す。エアロゾル発生物品400は、保持装置300から分離している。ホルダー1は、エアロゾル発生物品400および保持装置300の組み合わせを備える。保持装置300は、エアロゾル発生物品400を受容するたばこ加熱システムである。エアロゾル発生物品400は、たばこであってもよいエアロゾル発生基体を備えるロッド形状の物品である。エアロゾル発生物品400の詳細は、図4および5に見ることができる。
【0070】
保持装置300は主要ユニット100に可逆的に接続される。主要ユニット100は、好ましくは熱伝導性材料で作製されるハウジング130を有する。主要ユニット100は、電源(図示せず)と、エアロゾル発生物品400の発熱体に対して電力を供給し、発熱体を制御して、吸入するためのエアロゾルを発生する、制御ユニット110とを含む。電源および制御ユニット110はさらに、人工的な味覚刺激のために、エアロゾル発生物品400の第一の電極と第二の電極との間に電位を供給し、電位を制御する。
【0071】
主要ユニット100は、ボタン120を備える。ボタン120は、ユーザーがエアロゾル発生物品400の発熱体を起動させてエアロゾルを発生するためのインターフェースとして機能する。ボタン120はまた、人工的な味覚刺激のために、エアロゾル発生物品400の第一の電極と第二の電極との間のある量の電位を活性化および制御するためにも使用され得る。
【0072】
図2は、部分的に挿入されたエアロゾル発生物品400を備えるホルダー1の概略断面図である。ホルダー1は、エアロゾル発生物品400のための保持装置300および主要ユニット100(図示せず)を備える。図3は、保持装置300の概略端図である。図2および図3は、保持装置300の前面または近位端を通した気流の概略表現を示す。エアロゾル発生物品400は、保持装置300の受容部分330内に受容される。空気は、ユーザーがエアロゾル発生物品400のマウスピース210を吸い込む動作によって保持装置300内に引き出される。空気は、保持装置300の入口162を通して引き出される。保持装置300内に引き出された空気は、受容部分330の外側の周りにある空気チャネル(複数可)164を通過する。引き出された空気は、エアロゾル発生物品400の遠位端においてエアロゾル形成基体470に入る。引き出された空気は、エアロゾル形成基体470を通り、エアロゾルを同伴してから、エアロゾル発生物品400のマウスピース210へと進む。空気吸込み口162を図2に概略的に示す。保持装置300の周囲の周りに間隙を介して複数の入口162がある。入口162は、受容部分330を包囲する気流チャネル(複数可)164と流体連通する。図2の入口162は円形であるが、任意の形状であってもよい。入口162のサイズおよび数は、設計者によって選択されてもよく、装置を通した所望の引き出し抵抗を提供するように選択されてもよい。
【0073】
図4aは、図1bに示す装置の断面である。図4bは、図1aに示す装置の断面である。図4aは、エアロゾル発生物品400のための管状受容部分330を備えた本開示による保持装置300を示す。図4aでは、受容部分330は空である。図4bでは、エアロゾル発生物品400が、受容部分330の中に部分的に挿入されている。保持装置300は、エアロゾル発生物品400を加熱してエアロゾルを発生するために、受容部分330の周りに配設される発熱体370を備える。
【0074】
保持装置300は、第一の電気部分310および第二の電気部分320を備える。第一の電気部分310および第二の電気部分320は、受容部分330内に配設される。第一の電気部分310および第二の電気部分320は、電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0075】
エアロゾル発生物品400が受容部分330に挿入されると(図4bを参照)、受容部分330の第一の電気部分310および第二の電気部分320は、エアロゾル発生物品400の第一の電気端子410および第二の電気端子420と電気的に接触する。第一の電気端子410および第二の電気端子420は、エアロゾル発生物品400の長軸方向Lにエアロゾル発生物品400の一部分に沿って延びる第一の導電性要素430および第二の導電性要素440に接触し、したがってこれらに電気的に接続される。第一の導電性要素430および第二の導電性要素440は、エアロゾル発生物品400の第一の電極450および第二の電極460と接触し、したがってこれらに電気的に接続される。結果として、エアロゾル発生物品400の第一の電極450および第二の電極460は、電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0076】
保持装置300は、二つの温度制御要素350、360を備える。温度制御要素350、360は、熱電冷却器であってもよい。温度制御要素350、360は、保持装置300の第一の電気部分310および第二の電気部分320の後方に、かつこれらと部分的に接触して、受容部分330に配設される。温度制御要素350、360は、環境、保持装置300のハウジング130、保持装置300の第一の電気部分310および第二の電気部分320、エアロゾル発生物品400の第一の電気端子410および第二の電気端子420、エアロゾル発生物品400の第一の導電性要素430および第二の導電性要素440、およびエアロゾル発生物品400の第一の電極450および第二の電極460間の熱伝達を制御する。これにより、ユーザーと接触する第一の電極450および第二の電極460の温度を制御する。それらは、摂氏20~35度の温度に制御され得る。温度制御要素350、360を使用して、加熱し、ユーザーに熱刺激を与え、および/または冷却して、ユーザーの舌および/または唇における不快な熱感覚を回避することができる。
【0077】
図5aおよび5bは、本開示によるエアロゾル発生物品400の二つの異なる実施形態を示す。いずれの場合も、エアロゾル発生物品400は、エアロゾル形成基体470、第一の電極450、および第二の電極460を備える。第一の電極450は、エアロゾル形成基体470の第一の位置にあって、ユーザーに対する第一の電気接点を提供する。第二の電極460は、エアロゾル形成基体470の前面FFにおける第二の位置にあって、ユーザーに対する第二の電気接点を提供する。エアロゾル発生物品400の前面FFは、エアロゾル発生物品400の口側端における端面であると理解することができる。
【0078】
第二の位置は、第一の位置とは異なってもよい。エアロゾル発生物品400は、第一の電極450と第二の電極460との間の電位の提供を可能にして、舌の一部と口の別の部分との間の電位の差異を生じさせる。電位の差異は、舌の味蕾を刺激して、人工的な味覚を舌にもたらし、ユーザーの風味感覚を改善し得る。
【0079】
図5aに示すように、第一の電極450および第二の電極460は、エアロゾル発生物品400の前面FFにある。第一の電極450および第二の電極460は共に、エアロゾル発生物品400の前面FFおよび側方表面LFの一部分の周りにキャップを形成する。前面FFは、ユーザーの舌、特に舌の先端にアクセス可能であってもよい。これは、前面FFにおける両電極450、460が、使用時に舌およびその味蕾によって触れられる場所にあり得ることを意味する。
【0080】
図5bに示すように、第一の電極450は、エアロゾル発生物品400の側方表面LF上にあり、第二の電極460は、エアロゾル発生物品400の前面FF上にある。エアロゾル発生物品400の側方表面LFは、エアロゾル発生物品400の長軸方向に沿って延びる、エアロゾル発生物品400の外表面、円周表面、または周辺表面として理解することができる。第一の電極450は、リング状にエアロゾル発生物品400の側方表面の一部分を包囲する。第一の電極450が、エアロゾル発生物品400の側方表面LF上にある時、ユーザーの舌、特に舌の中央領域にアクセス可能である。これは、第一の電極450が、使用時に、舌の先端とは異なる、かつ舌の先端の「後方」にある、舌の中央部によって触れられ得ることを意味する。第一の電極450が、エアロゾル発生物品400の側方表面LF上にある場合、第一の電極450は、唇、特に、ユーザーの下唇、上唇、または両唇にもアクセス可能である。これは、第一の電極450が、使用時に、少なくともユーザーの唇によって触れられ得ることを意味する。
【0081】
図6a~6eおよび7a~7eは、本開示によるエアロゾル発生物品400の二つの異なる実施形態を異なる視点で示す。図6aは分解図、図6bは側面図、図6cは上面図、図6dは底面図、および図6eは別の側面図を示し、内部構成要素は破線で示されている。同様に、図7aは分解図、図7bは側面図、図7cは上面図、図7dは底面図、および図7eは別の側面図を示し、内部構成要素は破線で示されている。図6a~6eおよび7a~7eの実施形態は、図5aおよび5bにある電極450、460とは配設が異なる。図6a~図6eおよび図7a~図7eでは、エアロゾル発生物品400は、エアロゾル形成基体470、第一のチッピングペーパー401および第二のチッピングペーパー402を備える。図6a~6eおよび図7a~7eは、エアロゾル形成基体470をどのようにチッピングペーパー401、402内に巻くことができるかを示す。
【0082】
第一の電気端子410および第二の電気端子420は、第一のチッピングペーパー401内に配設される。第一の電極450および第二の電極460もまた、第一のチッピングペーパー401内に配設される。発熱体、例えば、細片サセプタ480もまた、第一のチッピングペーパー401内に配設される。
【0083】
第一の導電性要素430および第二の導電性要素440は、第二のチッピングペーパー402内に配設される。
【0084】
第一のチッピングペーパー401および第二のチッピングペーパー402は、第一の電気端子410が第一の導電性要素430と電気的に接触し、第二の電気端子420が第二の導電性要素440と電気的に接触するように、重なり合うように一緒に巻かれてもよい。これは、二つのチッピングペーパー401、402が、電気端子410、420、導電性要素430、440および電極450、460が物理的および電気的に接触できるように、第一のチッピングペーパー401が第二のチッピングペーパー402との電気的接続を完備するように、重なり合わされて定置され得ることを意味する。
【0085】
図8は、本開示によるホルダー1の別の実施形態を、概略的かつ例示的に断面図で示す。ホルダー1は、エアロゾル発生物品400のための保持装置300および主要ユニット100を備える。エアロゾル発生物品400は、保持装置300の開口部180の中に部分的に挿入される。保持装置300は、主要ユニット100に可逆的に接続される。
【0086】
主要ユニット100は、吸入されるエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生物品400用の発熱体を供給するための充電ポート105を有する電源112を備える。発熱体は、誘導コイル190およびサセプタ165を含む。電源112はさらに、人工的な味覚刺激のために、エアロゾル発生物品400の第一の電極450と第二の電極460との間に電位を供給する。
【0087】
保持装置300は、ユーザーのエアロゾル吸入のために周囲の空気を利用できるようにする開口部として機能し、装置外部を冷却して装置内部の過熱を防止する空気取込開口部162を備える。保持装置300は、保持装置300内に配設された多端子リングコネクターモジュール170を備える。
【0088】
図9a~9cは、背面図(図9a)、側面図(図9b)、および正面図(図9c)における多端子リングコネクターモジュール170の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。多端子リングコネクターモジュール170は、複数のセグメント172、176を備え、これらはクラッディング178と一緒に配設される。図9bの側面図では、複数のセグメント172、176は、複数の導電性要素430、440またはトラックを形成する。これらの導電性要素430、440のうちの少なくとも二つは、エアロゾル発生物品400の第一の電極450および第二の電極460に電気的に接続されて、電力源112からユーザーに電位を提供することができる。特に、断面において、第一のセグメント172は、長軸方向に延び、第一の電極450を電気的に接続する第一の導電性要素430を形成する。断面において、第二のセグメント176は、長軸方向に延び、第二の電極460を電気的に接続する第二の導電性要素440を形成する。
【0089】
図8に戻って、保持装置300は、ジャイロセンサー117および位置制御ユニット115を備える。位置制御ユニット115は、ジャイロセンサー117によって提供される位置データに基づいて、第一の導電性要素430および第二の導電性要素440を複数の導電性要素またはトラックから選択する。ユーザーの舌に対する保持装置300の配向は、それによって、どの導電性要素430、440を所与の瞬間に活性化する必要があるかを決定し得る。
【0090】
動作中、保持装置300は、ユーザーが保持装置300内にエアロゾル発生物品400を挿入することを必要とする。エアロゾル発生物品400は、サセプタ165がエアロゾル発生基体を包囲するように、保持装置300の内部に向かって開口部180を通過する。同時に、エアロゾル発生物品400上の導電性要素430、440は、多端子リングコネクターモジュール170と物理的に接触する。
【0091】
多端子コネクターモジュールは、図9a~9cにより詳細に示されている。導電性要素430、440は、多端子リングコネクターモジュール170のセグメント172、176と物理的に接触する。これらの導電性要素430、440は、電源112によって発生される電位を、エアロゾル発生物品400を横切ってユーザーの舌に伝導することを可能にする。ユーザーの舌に対する保持装置300の配向は、どの導電性要素430、440を所与の瞬間に活性化しなければいけないかを決定する。好ましい導電性要素430、440の配向および活性化に関連するこの情報は、ジャイロセンサー117からの信号に基づいて位置制御ユニット115内で処理される。
【0092】
保持装置300の動作中、ユーザーの口の対向する位置に触れるように、多端子リングコネクター170の周辺上の対向する位置に配設される多端子リングコネクター170の二つの導電性セグメント172、176が活性化される(図9a~9cには示されていない)。例えば、舌の上面は第一の導電性セグメントと交わり、上唇は、多端子リングコネクター170の周囲上の第一の導電性セグメントとは反対の位置に配設された第二の導電性セグメントと接触する。
【0093】
その間、保持装置300内のサセプタ165は、誘導コイル190によって発生される電磁場からの誘導加熱プロセスによって加熱される。このサセプタ165の加熱は、エアロゾル発生基体を加熱してエアロゾル発生をもたらし、ユーザーは吸入を通してこれを受容することができる。この吸入中、ユーザーはまた、電極450、460によって舌上で、ある量の電位を受容することができる。エアロゾル吸入と電位の組み合わせは、エアロゾル発生基体から発生されたエアロゾルと、喫煙経験全体に対する舌の電気的刺激からの風味強化とを組み合わせた味覚体験をもたらし得る。
【0094】
図10a~10cは、本開示によるエアロゾル発生物品400の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。図10aおよび図10bは、チッピングペーパー401の巻きおよび折り畳みを示し、図10cは、エアロゾル発生物品400の最終形態を示す。
【0095】
エアロゾル発生物品400は、エアロゾル形成基体端290、エアロゾル形成基体270、ラップ紙240、マウスピースまたはプラグ210、プラグ端215、および導電性要素430、440を有するチッピングペーパー401を備える。プラグ210は、ユーザーの舌と接触するプラグ端215においてチッピングペーパー401で巻かれる。エアロゾル形成基体270は、エアロゾル形成基体端290においてラップ紙240で巻かれ、エアロゾル形成基体端290においてその上にチッピングペーパーを有さない。エアロゾル形成基体端290とプラグ端215との間に、エアロゾル発生物品400上のチッピングペーパー401は、平行な導電性要素430、440を有する。プラグ端215において、チッピングペーパー401は、プラグ210に対して前方に延びる。チッピングペーパー401は、ユーザーの舌が触れるプラグ端215において折り畳まれ、ユーザーの舌または唇上の創傷を防ぐために、プラグ端215における導電性要素430、440の上方の表面を滑らかに保つ。「F」は、折り畳まれた領域の長さを表し、「D」は、エアロゾル発生物品400の直径を表し、「L’」は、エアロゾル発生物品400の長さを表す。
【0096】
図11は、本開示によるホルダー1の別の実施形態を断面図で、かつエアロゾル発生物品400と共に概略的かつ例示的に示す。図8に示すように、ホルダー1は、エアロゾル発生物品400のための保持装置300および主要ユニット100を備える。保持装置300は、主要ユニット100に可逆的に接続される。主要ユニット100は、充電ポート105を有する電源112を含む。エアロゾル発生物品400は、保持装置300の開口部180の中に部分的に挿入され、エアロゾル発生物品400を加熱してエアロゾルを発生する発熱体167によって貫通される。図8の実施形態で与えられるホルダー1とは異なり、加熱は誘導プロセスを使用して達成され、ここでは抵抗加熱が使用される。保持装置300はまた、図8のように、ジャイロセンサー117、位置制御ユニット115および多端子リングコネクターモジュール170を随意に備えてもよい。位置制御ユニット115は、ジャイロセンサー117によって提供される位置データに基づいて、第一の導電性要素430および第二の導電性要素440を複数の導電性要素またはトラックから選択する。ユーザーの舌に対する保持装置300の配向は、それによって、どの導電性要素430、440を所与の瞬間に活性化する必要があるかを決定し得る。
【0097】
図12a~12cは、本開示によるエアロゾル発生物品400の別の実施形態を概略的かつ例示的に示す。図12aおよび12bは、チッピングペーパー401の巻きを示し、図12cは、エアロゾル発生物品400の最終形態を示す。エアロゾル発生物品400は、エアロゾル形成基体端290、エアロゾル形成基体270、ラップ紙240、プラグ210、プラグ端215、および導電性要素430、440を有するチッピングペーパー401を備える。プラグ210は、ユーザーの舌と接触するプラグ端215においてチッピングペーパー401で巻かれる。プラグ端215において、チッピングペーパー401は、プラグ210に対して前方に延びる。チッピングペーパー401は、ユーザーの舌が触れるプラグ端215において折り畳まれ、ユーザーの舌上の創傷を防ぐために、プラグ端215における導電性要素430、440の上方の表面を滑らかに保つ。「F」は、折り畳まれた領域の長さを表し、「D」は、エアロゾル発生物品400の直径を表し、「L’」は、エアロゾル発生物品400の長さを表す。
【0098】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±20%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、Aがそれによって逸脱する量が特許請求する本開示の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
【0099】
添付の図面を一部参照しながら、本開示の例示的な実施例が上述されているものの、本開示はこれらの実施例に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施例に対する変形は、図面、明細書および添付の特許請求の範囲を吟味した上での本開示の実施において、当業者によって理解され、かつ行われることができる。
【0100】
特許請求の範囲において、括弧内の任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。「含む(comprising)」という用語は、特許請求の範囲に列挙されるもの以外の要素または工程の存在を排除するものではない。要素に先行する「一つの(「a」または「an」)」という単語は、こうした要素の複数の存在を排除するものではない。本開示は、幾つかの別個の要素を備えるハードウェアによって実施されることができる。幾つかの手段を列挙する、装置の特許請求の範囲において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの全く同一の品目によって具現化されることができる。互いに異なる従属請求項において特定の測定値が列挙されているという単なる事実は、これらの測定値の組み合わせを有利に利用できないことを示唆するものではない。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11
図12a
図12b
図12c