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特許7494325コンプレッサシステムおよびコンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法
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  • 特許-コンプレッサシステムおよびコンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法 図1
  • 特許-コンプレッサシステムおよびコンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法 図2
  • 特許-コンプレッサシステムおよびコンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】コンプレッサシステムおよびコンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20240527BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F04B49/06 331Z
G05B11/36 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022575746
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021063638
(87)【国際公開番号】W WO2021249746
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】102020115300.7
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン クラムリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ランゲ
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-254253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
G05B 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサシステム(1)であって、
前記コンプレッサシステム(1)は、
コンプレッサ(10)と、
冷却装置(40)と、
制御装置(30)とを備え、
前記制御装置(30)は、前記冷却装置(40)を前記コンプレッサ(10)の動作に依存することなく駆動制御し、かつアクチュエータの制御変数
【数1】
および/または前記冷却装置(40)の駆動制御のためのアクチュエータを動的に適合化できるように構成されており前記制御変数
【数2】
は、少なくとも一次制御変数(T Luft )または二次制御変数
【数3】
のうちの1つであり、
前記制御装置(30)は、
前記一次制御変数(T Luft )が予め定められた上方の一次制御変数限界値(T Luft,max. )を上回っている場合、前記一次制御変数(T Luft )に依存して前記冷却装置(40)を駆動制御し、かつ/または
前記一次制御変数(T Luft )が予め定められた上方の一次制御変数限界値(T Luft,max. )以下でかつ前記二次制御変数
【数4】
が予め定められた二次制御変数限界値
【数5】
を上回っている場合、前記二次制御変数
【数6】
に依存して前記冷却装置(40)を駆動制御し、かつ/または
前記一次制御変数(T Luft )が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(T Luft,max. )以下でかつ前記二次制御変数
【数7】
が前記予め定められた二次制御変数限界値
【数8】
を下回っている場合、前記一次制御変数(T Luft )および前記二次制御変数
【数9】
に依存して前記冷却装置(40)を駆動制御するように構成されており、
前記制御装置(30)は、
前記一次制御変数(T Luft )が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(T Luft,max. )を上回る臨界的な上方の一次制御変数限界値(T Luft,krit. )を上回っている場合、前記冷却装置(40)が最大出力で動作するように前記冷却装置(40)を駆動制御するように構成されている、
コンプレッサシステム(1)。
【請求項2】
前記制御装置(30)は、冷却流体体積流量を操作変数(P)として予め設定するように構成されている、請求項1記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項3】
前記制御装置(30)は、少なくとも2つの制御変数
【数10】
を受信するように構成されており、前記冷却装置(40)を一次制御変数(TLuft)および/または二次制御変数
【数11】
に依存して駆動制御するために、一方の制御変数は一次制御変数(TLuft)として規定可能であり、他方の制御変数は二次制御変数
【数12】
として規定可能である、請求項1または2記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項4】
前記制御装置(30)は、
前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)を上回っている場合、前記冷却装置(40)が最大でも自身の最大出力に到達するまで、前記一次制御変数(TLuft)に比例する出力で動作するように前記冷却装置(40)を駆動制御するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項5】
前記制御装置(30)は、
前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)以下でかつ前記二次制御変数
【数13】
が前記予め定められた二次制御変数限界値
【数14】
を上回っている場合、または
前記二次制御変数
【数15】
が前記予め定められた二次制御変数限界値
【数16】
以下でかつ前記一次制御変数(TLuft)が予め定められた下方の一次制御変数限界値(TLuft,aus)以上である場合、前記冷却装置(40)が最大でも自身の最大出力に到達するまで、前記二次制御変数
【数17】
に比例する出力で動作するように前記冷却装置(40)を駆動制御するように構成されている、請求項からまでのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項6】
前記制御装置(30)は、
前記二次制御変数
【数18】
が前記予め定められた二次制御変数限界
【数19】
値以下でかつ前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた下方の一次制御変数限界値(TLuft,aus)を下回っている場合、前記冷却装置(40)がスイッチオフされるように前記冷却装置(40)を駆動制御するように構成されている、請求項からまでのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項7】
前記コンプレッサシステム(1)は、空気温度を検出する少なくとも1つの空気温度検出ユニット(50a)と、油温を検出する少なくとも1つの油温検出ユニット(50b)とを含み、前記空気温度検出ユニット(50a)および前記油温検出ユニット(50b)は、前記制御装置(30)と信号技術的に接続されており、前記制御装置(30)は、検出された空気温度(TLuft)を一次制御変数(TLuft)とし、検出された油温
【数20】
を二次制御変数
【数21】
として決定するように、かつ/またはその逆となるように決定するように構成されている、請求項からまでのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項8】
前記空気温度検出ユニット(50a)および前記油温検出ユニット(50b)は、前記コンプレッサ(10)のそれぞれの出口(10a,11a)に配置されている、請求項記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項9】
前記コンプレッサシステム(1)は、油潤滑式コンプレッサとして構成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(1)。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(1)の冷却装置(40)を制御するための方法であって、
前記方法は、以下のステップ:
-少なくとも2つの制御変数
【数22】
を検出するステップと、
-検出された前記制御変数
【数23】
に基づいて前記冷却装置(40)を制御するステップであって、アクチュエータのための制御変数
【数24】
および/または前記冷却装置(40)を駆動制御するためのアクチュエータが、検出された前記制御変数
【数25】
に依存して動的に適合化されるステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記制御装置は、一方の検出された制御変数を一次制御変数(TLuft)として決定し、他方の検出された制御変数を二次制御変数
【数26】
として決定し、
前記一次制御変数(TLuft)が予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)を上回っている場合、前記一次制御変数(TLuft)に依存して前記冷却装置(40)を駆動制御し、
前記一次制御変数(TLuft)が予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)以下でかつ前記二次制御変数
【数27】
が予め定められた二次制御変数限界値
【数28】
を上回っている場合、前記二次制御変数
【数29】
に依存して前記冷却装置(40)を駆動制御し、かつ/または
前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)以下でかつ前記二次制御変数
【数30】
が前記予め定められた二次制御変数限界値
【数31】
を下回っている場合、前記一次制御変数(TLuft)および前記二次制御変数
【数32】
に依存して前記冷却装置(40)を駆動制御する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記制御装置(30)は、前記冷却装置(40)を以下のように駆動制御する:
a)前記一次制御変数(TLuftが前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)を上回る臨界的な上方の一次制御変数限界値(TLuft,krit.)を上回っている場合、前記冷却装置(40)は最大出力(P)で動作し、
b)前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)を上回っている場合、前記冷却装置(40)は、最大でも自身の最大出力に到達するまで、前記一次制御変数(TLuft)に比例する出力(P)で動作し、
c)前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた上方の一次制御変数限界値(TLuft,max.)以下でかつ前記二次制御変数
【数33】
が前記予め定められた二次制御変数限界値
【数34】
を上回っている場合、または
前記二次制御変数
【数35】
が前記予め定められた二次制御変数限界値
【数36】
以下でかつ前記一次制御変数(TLuft)が予め定められた下方の一次制御変数限界値(TLuft,aus)以上である場合、前記冷却装置(40)は、最大でも自身の最大出力に到達するまで、前記二次制御変数
【数37】
に比例する出力(P)で動作し、かつ/または
d)前記二次制御変数
【数38】
が前記予め定められた二次制御変数限界
【数39】
値以下でかつ前記一次制御変数(TLuft)が前記予め定められた下方の一次制御変数限界値(TLuft,aus)を下回っている場合、前記冷却装置(40)がスイッチオフされるように駆動制御する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
コンピュータプログラム製品であって、データ処理装置上で実行されるときに、前記データ処理装置に請求項10から12までのいずれか1項記載の方法を実施させるように構成された機械可読媒体上に記憶されたプログラムコードを有する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサシステム、コンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法、ならびにこのために設けられるコンピュータプログラム製品に関する。
【0002】
コンプレッサは、多くの技術的用途で使用されている。そのような適用分野の一例として、現代の軌道車両では、騒音の放出を低減することがますます重要になってきている。同時に、コンプレッサの温度収支は、例えば軌道車両内では-40℃~+50℃の間で保証する必要があり、また狭い設置スペースでも温度域全体において保証する必要がある。
【0003】
軌道車両における圧縮空気コンプレッサの従来のコンプレッサシステムは、コンプレッサならびに場合によってはアフタークーラー、あるいは2段式ピストンコンプレッサの場合のようにインタークーラーとアフタークーラーとを含んでいる。コンプレッサは、ピストンマシンとして、または例えばスクリューもしくはスクロールコンプレッサなどのロータリー圧縮機として設計することもでき、主に空冷式である。この場合、空気冷却は、1つまたは複数のファンを介して行われ、これらのファンは、圧縮機回転数に対応する機械的な結合または信号技術的な結合によって動作される。
【0004】
それにもかかわらず、周囲温度が高く、空間特性が不利な場合、コンプレッサの過熱が頻繁に生じる。それとは反対に、この直接的な結合によれば、吸気温度が低く動作時間が短い場合、それに伴ってもたらされる高い冷却能力によって内部の氷結もしくは凝縮液の蓄積と、それに関連する動作制限のリスクならびに摩耗の増加や腐食の増加が生じる。このことから、従来の冷却システムではクーラーファン回転数と圧縮機回転数との結合に基づき解決することができない目標の相反が生じる。
【0005】
さらに、冷却装置の動作は、コンプレッサシステムの温度収支に次のような影響、すなわちシステムコンポーネントについては最適化される条件が生じる一方で、総体的に見れば不利な動作状態が達成されるような影響を与える可能性がある。
【0006】
したがって、上記の説明に鑑みて、本発明の課題は、コンプレッサシステムの改善された冷却を可能にする、コンプレッサシステム、コンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法、ならびに本方法を実施するためのコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0007】
この課題は、独立請求項に記載のコンプレッサシステム、コンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法、ならびにコンピュータプログラム製品によって解決される。 本発明の好適な発展形態は、従属請求項に含まれている。
【0008】
本発明によれば、コンプレッサシステムは、コンプレッサと、冷却装置と、制御装置とを備え、ここで、制御装置は、冷却装置をコンプレッサの動作に依存することなく駆動制御し、かつアクチュエータの制御変数および/または冷却装置の駆動制御のためのアクチュエータを動的に適合化できるように構成されている。
【0009】
それにより、コンプレッサシステムの冷却装置は、コンプレッサの圧縮機回転数に依存せずに、最適な動作に必要とされる冷却能力に合わせて動作させることができる。このことは、冷却装置の独立したエネルギー駆動の別個の信号技術的な駆動制御を介して、かつ/または例えば切り替え可能な伝達比を使用することによって冷却装置をコンプレッサに機械的に結合させる場合にも実施することができる。さらに、冷却装置の別個の信号技術的な駆動制御によれば、そのような場合の駆動制御が、基本的にコンプレッサのスイッチオンまたはスイッチオフに依存しなくなる利点も得られる。想定すべき駆動制御の段階/変形形態に応じて、機械的な結合は、それに結び付く複雑さに基づいてもはや管理不能になる場合もある。
【0010】
別個の信号技術的な駆動制御は、コンプレッサと冷却装置とについて別個の制御装置を必ずしも必要とするものではなく、むしろ独立した信号伝送と独立した信号内容とに関心が向けられる。そのような独立性は、冷却装置の駆動制御のための信号生成の際に場合によってはコンプレッサの動作状態も考慮に入れられることで制限されるものではない。例えば、基本的に独立した駆動制御を行うことができるが、この場合、特定の圧縮機回転数を超えると冷却装置の少なくとも1つの基本動作が想定されている。
【0011】
冷却装置の動作は、別個の信号技術的な駆動制御を介して行うこともでき、この場合、コンプレッサが冷却装置と並行して動作する動作状態では、圧縮機回転数への機械的な結合により冷却装置の動作を支援することができる。この趣旨において、冷却装置の駆動制御は依然として独立しており、ここでの結合とは、単に選択可能な駆動機能もしくは駆動支援を表しているにすぎない。換言すれば、例えば冷却装置は、特定の動作状態において、またはコンプレッサ回転数に応じて要求される駆動管理のもとで、コンプレッサに機械的に結合し、それによって、エネルギー消費の低減のためにコンプレッサを介して駆動することもできる。それにもかかわらず、このコンプレッサシステムは独立した駆動制御手段を提供する。
【0012】
コンプレッサの動作に依存しない冷却装置の駆動制御により、冷却装置は必要に応じてスイッチオンおよびスイッチオフすることができる。これにより、過熱および/または凝縮液の蓄積を回避もしくは少なくとも低減することができる。特に、そのような冷却装置は、繰り返される動作シナリオのもとで予防的に使用可能である。
【0013】
しかしながら、コンプレッサの動作に依存しない冷却装置の駆動制御は、様々な、部分的に相反する最適化基準の影響下にある可能性があり、その重み付けは動作状態に応じて一定に維持される必要はない。それに応じて制御装置は、アクチュエータの制御変数および/または冷却装置の駆動制御のためのアクチュエータを動的に適合化できるように構成されている。
【0014】
制御変数とは、それに基づいてアクチュエータが冷却装置を駆動制御したり、もしくは操作変数に影響を与えたりする変数であると理解されたい。この関係において、アクチュエータの制御変数の動的な適合化とは、少なくとも2つの制御変数が利用可能な場合に、一方、他方、または両方の制御変数の選択が適合化可能であることを意味するものと理解されたい。用いるべき制御変数の選択は、それらのそれぞれの値に依存してもよく、かつ/または特定の動作状態に結び付けてもよい。
【0015】
したがって、制御変数の動的な適合化に対して代替的または補足的なアクチュエータの動的な適合化は、制御変数の操作変数への実際の変換に関連する。例えば、1つの制御変数のみが事前に選択されるならば、制御変数の値および/またはそれぞれの動作状態の値に依存して、操作変数にアクチュエータの適合化を介して影響を与えることができる。動的な適合化とは、この場合、予め設定された伝達関数による制御変数に依存して操作変数が変化する可能性を指すのではなく、伝達関数自体を適合化させることを指す。
【0016】
例えば、複数の変数を冷却装置の駆動制御のために用いることができ、この場合、制御装置は、例えば複数の変数のうちの1つのみを制御変数として選択し、アクチュエータの伝達関数が一定に保持される。別の例では、すべての変数が制御変数として等しく使用されるが、制御変数の少なくとも1つの値に応じて伝達関数が適合化される。制御変数とアクチュエータとの適合化の対応する組み合わせも例として同様に挙げるべきであろう。
【0017】
したがって、コンプレッサシステム、特にコンプレッサ自体は、制御変数に従って最適な動作点で動作することができる。このことは、コンプレッサシステムの効率および寿命にプラスに作用するだけでなく、むしろ下流側コンポーネントに対する過負荷も回避し、これによって下流側コンポーネントの効率および寿命を高めることも可能である。
【0018】
コンプレッサシステムは、特に軌道車両のために有利に使用することができる。
【0019】
一実施形態では、制御装置は、冷却流体体積流量、特に冷却空気体積流量を操作変数として予め設定するように構成されている。
【0020】
それにより、冷却装置は、単位時間当たりに冷却のために提供される流体の体積を変化させることができる適合化装置を有する。例えば、この目的のためにバルブ位置を介して流体の流量を相応に駆動制御したり、あるいはファン回転数による流量など駆動出力を介して発生量を相応に駆動制御したりすることができる。冷却剤として空気を使用することは、その良好な可用性に基づき簡単でかつ安価な解決手段である。空気を唯一の冷却剤として使用しなくても、少なくとも空気流量を変えることにより、冷却を簡単な手法で適合化することができる。
【0021】
代替的または補足的に、操作変数として冷却流体温度および/または冷却装置のスイッチオン/スイッチオフ時点を使用することもできる。
【0022】
一実施形態では、制御装置は、少なくとも2つの制御変数を受信するように構成され、ここで、冷却装置を一次制御変数および/または二次制御変数に依存して駆動制御するために、一方の制御変数は一次制御変数として規定可能であり、他方の制御変数は二次制御変数として規定可能である。
【0023】
一次制御変数として、制御装置の予め定められた制御ロジックに従って最初に用いられる制御変数が規定される。そのような一次制御変数が、予め定められた条件に応じて駆動制御要件を必要としない限り、二次制御変数はそれ自体で受け入れられ、かつ/または一次制御変数に関連して再度考察される。換言すれば、一次制御変数が経時的に最初に、したがって常に評価されるが、二次制御変数は、一次制御変数が単独で駆動制御を引き起こさない場合に、駆動制御に影響を与える必要があるだけである。
【0024】
一方で、これには少なくとも2つの制御変数に基づいて最適化される冷却装置の駆動制御が必要とされ、ここで、一次制御変数およびこれに結び付けられる決定基準の選択による第1の重み付けは、2つの変数を永続的に評価する必要がないこと、もしくはアクチュエータの伝達関数がそれぞれの評価結果を考慮に入れる必要がないことに関連して、制御装置を簡素化することができる。これらの伝達関数は、例えば、カスケード接続することができる。これにより同時に、一次制御変数と二次制御変数とを永続的に検出する必要もなく、むしろ必要に応じてのみ検出できることがもたらされる。例えば、一次制御変数自体が既に受容され冷却装置の駆動制御を引き起こす限り、二次制御変数を検出する必要はない。これにより、エネルギー需要ならびに伝送されるデータ量が低減される。
【0025】
1つの発展形態では、制御装置は、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、一次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御し、かつ/または一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ同時に二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を上回っている場合、二次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御し、かつ/または一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を下回っている場合、一次制御変数および二次制御変数に依存して冷却装置(40)を駆動制御するように構成されている。
【0026】
それにより、一次制御変数は、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回っている場合は、一次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御すべき場合を表し、さらなる条件を考慮しない変数は冷却装置の駆動制御を必要とする。換言すれば、一次制御変数を介して表される変数を介して、冷却装置が既に他の変数に基づいて十分に駆動制御されない可能性のある状態とみなされる。
【0027】
対応する予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回ると、冷却装置は、既に述べたように、一次制御変数に依存して駆動制御される。この目的のために、一次制御変数のそれぞれの値に依存して、アクチュエータもしくはその伝達関数のいずれかを適合化することができ、かつ/または一次制御変数を伝達関数に直接インプットすることができる。
【0028】
代替的または補足的に、上記の実施形態による制御装置は、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ同時に二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を上回っている場合、二次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御することができる。
【0029】
したがって、制御装置は、一次制御変数も二次制御変数も考慮に入れるが、この場合、後者は、アクチュエータもしくは伝達関数にとって決定的である。したがって、補足的な変形形態では、冷却装置のカスケード制御について言及することができ、一方代替的な変形形態では、例えば、他の冷却装置との組み合わせで使用することができる。
【0030】
さらに、代替的または補足的に、上記の実施形態による制御装置は、詳細には、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数も同様に予め定められた二次制御変数限界値を下回っている場合、一次制御変数および二次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御することができる。したがって、ここでも制御装置は、一次制御変数も二次制御変数も考慮に入れるが、この場合、両方の制御変数がアクチュエータもしくは伝達関数にとって決定的である。
【0031】
特に、制御装置は、一次制御変数が特に予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回る臨界的な上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、冷却装置が最大出力で動作するように冷却装置を駆動制御するように構成されている。
【0032】
したがって、アクチュエータは、操作変数が冷却装置の最大出力に対応するように適合化される。冷却装置の最大出力は、冷却装置によって技術的に提供できる最大出力、または予め定められた最大出力に対応することができる。予め定められた最大出力は、例えば、技術的に提供できる出力を下回るが長期間の動作にとっては好ましい出力、あるいはより少ないエネルギー消費のもとでも十分とみなされる出力であってよい。
【0033】
基本的には、臨界的な上方の一次制御変数限界値は、予め定められた上方の一次制御変数限界値に等しいものであってよいが、ここでは、予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、冷却装置は常に最大出力で動作する。このことは、効率の理由からも、過度に高い冷却能力の際の不利益に基づいても望まれない場合があり、そのため、臨界的な上方の限界値は、特に、予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回る。
【0034】
代替的または補足的に、制御装置は、一次制御変数が予め定められている上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、冷却装置が最大でも自身の最大出力に到達するまで、一次制御変数に比例する出力で動作するように冷却装置を駆動制御するように構成されている。
【0035】
したがって、操作変数は、比例係数を乗じた一次制御変数から、つまり以下の式、
操作変数=a×一次制御変数
に従って得られ、ここで、aは一次制御変数の比例係数である。操作変数が、冷却装置の出力に対応する場合、式の適用性は最大出力によって制限される。次いで、最大出力に到達するのに伴い、アクチュエータもしくは伝達関数は、操作変数が最大出力に対応するように適合化することができる。ただし、操作変数を制御すべき変数に変換するために、この目的に対応するロジックを制御区間に格納することも可能であり、そのため、操作変数が最大出力を上回っている場合は、出力が最大出力に制限される。
【0036】
特別な実施形態によれば、補足的に、上方の一次制御変数限界値を上回る臨界的な上方の一次制御限界値が制御部に格納されている。次いで、冷却装置は、臨界的な上方の一次制御変数限界値を超えるまでは一次変数に比例する出力で動作し、次いで、それを超えた場合、最大出力で動作する。そのため、臨界的な上方の一次制御限界値を超えるとともに、アクチュエータは、それぞれの制御変数を操作変数に移行するために適合化され、一次制御変数は、もはや伝達関数にインプットされなくなる。
【0037】
最大出力を下回る出力での冷却装置の動作は、エネルギー消費の低減も騒音放出の低減も可能にする。同時に、少ない冷却によって他の不利益な影響、例えばより低温での吸水量の増加やそれに伴う腐食のリスクなども低減することができる。したがって、この駆動制御は、動作条件に適合化された冷却装置の動作を可能にする。
【0038】
同様に代替的または補足的に、制御装置は、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を上回っている場合、または二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値以下でかつ一次制御変数が予め定められた下方の一次制御変数限界値以上である場合、冷却装置が最大でも自身の最大出力に到達するまで、二次制御変数に比例する出力で動作するように冷却装置を駆動制御するように構成されている。
【0039】
したがって、操作変数は、比例係数を乗じた二次制御変数から、つまり以下の式
操作変数=b×二次制御変数
に従って得られ、ここで、bは、二次制御変数の比例係数である。ここでも、アクチュエータとしての冷却装置の出力の場合、最大出力を考慮に入れる必要がある。上方の一次制御限界値を超えた場合に、例えば冷却装置の駆動制御が一次制御変数を介して実行されるならば、制御装置は、二次制御変数に依存する操作変数が一次制御変数に依存する操作変数を超えないように設計されていることが推定でき、そのため、二次制御変数に依存した駆動制御の場合、最大出力は必要ない。したがって、制御装置の対応する設計は、以下の条件、
b×最大二次制御変数≦a×最小一次制御変数
に対応し得る。しかしながら、二次制御変数に依存した駆動制御について、一次制御変数を介した駆動制御とは異なる最大出力を想定することもできる。したがって、ここでは、最大の二次制御変数出力と最大の一次制御変数出力との間で区別を行い、それぞれを最大出力に適用する必要があるであろう。
【0040】
上記の駆動制御によれば、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数は予め定められた上方の一次制御変数限界値と予め定められた二次制御変数限界値との間にある場合、冷却装置はいずれにせよ最大でも自身の最大出力に到達するまで、二次制御変数に比例する出力で動作される。予め定められた二次制御変数値に達するかまたはそれを下回るならば、アクチュエータにとって一次制御変数のどの値が存在するかは重要である。二次制御変数に比例する出力を提供するためのアクチュエータの適合化は、一次制御変数が予め定められた下方の一次制御変数限界値以上であることを前提としている。それにより、アクチュエータの適合化は、一次制御変数も二次制御変数も考慮に入れる。
【0041】
ここでも、それぞれの動作条件に適合する冷却装置の駆動制御の既に述べた利点が生じる。
【0042】
さらに、代替的または補足的に、制御装置は、二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値以下でかつ一次制御変数が予め定められた下方の一次制御変数限界値を下回っている場合、冷却装置がスイッチオフされるように冷却装置を駆動制御するように構成されている。
【0043】
予め定められた二次制御変数限界値に達するかまたはそれを下回りかつ下方の一次制御変数限界値を下回ることは、二次制御変数に関しても一次制御変数に関しても冷却装置を動作させる必要性がなく、したがって、エネルギーの節約あるいは騒音放出の低減を可能にするためにこの冷却装置をスイッチオフすることが可能なことを示す。
【0044】
一実施形態では、コンプレッサシステムは、空気温度を検出する少なくとも1つの空気温度検出ユニットと、油温を検出する少なくとも1つの油温検出ユニットとを含み、これらの空気温度検出ユニットおよび油温検出ユニットは、制御装置と信号技術的に接続されており、ここで、制御装置は、検出された空気温度を一次制御変数とし、検出された油温を二次制御変数として決定するように、かつ/またはその逆となるように決定するように構成されている。
【0045】
空気温度および油温は、空気温度検出ユニットおよび油温度検出ユニットを介して直接的または間接的に検出することができる。間接的な検出は、例えば、空気温度または油温に対応するそれぞれの部品温度の検出を介して行うことができる。
【0046】
一次制御変数としての空気温度の決定は、空気温度を一次基準としての臨界的な変数とみなすことを可能にする。油温は二次制御変数としてインプットされる。なぜなら、過度に高い油温はオイルの劣化を招き、過度に低い油温は、水分吸収の増加を招く可能性があるからである。それにより、一次制御変数としての空気温度に関する駆動制御要件がない限り、油温についての温度範囲を二次制御変数として最適化することができる。したがって、総体的にはそれぞれの動作状態に適合化される最適な温度範囲のための冷却装置の駆動制御が生じる。これにより、コンプレッサシステムの腐食のリスクや部品の摩耗を低減することができる。同時に、コンプレッサの短いスイッチオン時間もさほど問題ではない。
【0047】
しかしながら、代替的に油温を一次制御変数として決定し、空気温度を二次制御変数として決定することも可能である。このことは、例えばオイルによる水の吸収またはオイルの劣化が重要で臨界的な変数として想定される場合に有利になる場合がある。それに応じて、一次制御変数としての油温の割り当ておよび二次制御変数としての空気温度の割り当て、ならびにその逆にすることが、例えば予め定められた動作状態またはその他の設定もしくは入力手段に依存して適合化可能であってもよい。
【0048】
二次制御変数の検出または二次制御変数の評価は、一次制御変数の検出または評価と同時に行う必要はない。例えば、一次制御変数が上方の一次制御変数値を上回っていない場合にのみ、制御変数の検出または評価を想定することができる。
【0049】
特に、空気温度検出ユニットおよび油温度検出ユニットは、コンプレッサのそれぞれの出口に配置されている。
【0050】
したがって、空気温度検出ユニットは、コンプレッサから空気が出る領域に存在する。油温ユニットは、オイルパンの領域においてオイルの油温を測定し、例えば、オイルがオイルパンからオイルが出る領域に存在する。したがって、検出は、それぞれの空気もしくはオイルの推定すべき最大温度の箇所で行われる。代替的または補足的に、空気温度検出ユニットは、コンプレッサの下流側のアフタークーラーから出る空気の温度も検出することができる。同様に、油温検出ユニットは、下流側の内側循環油路および/または外側循環油路を通過後の油温を検出することができる。
【0051】
一実施形態では、コンプレッサシステムは、油潤滑式コンプレッサ、特に油潤滑式スクリューコンプレッサとして構成されている。
【0052】
とりわけ油潤滑式コンプレッサは、例えば-40℃~+50℃までの使用範囲など幅広い気候条件をカバーする必要があり、動作中の所要の冷却も大幅に異なる可能性がある。例えば、ここでは稼働率も重要な要因となる。冷却すべき媒体として、プロセス空気やオイルを考慮に入れることができるが、この場合は、最適化の相反が発生する可能性がある。一方では、オイルは、可及的に早く動作温度に到達すべきであるが、同時にクーラー出口における空気温度は過度に上昇しないようにする必要がある。可変冷却は、ここでは特に、可及的に最適な動作を保証するのに役立つ。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、上述したコンプレッサシステムの冷却装置を制御するための方法であって、該方法は、以下のステップ:
-少なくとも2つの制御変数を検出するステップと、
-検出された制御変数に基づき冷却装置(40)を制御するステップであって、ここで、アクチュエータのための制御変数および/または冷却装置を駆動制御するためのアクチュエータが、検出された制御変数に依存して動的に適合化されるステップとを含む、方法に関する。
【0054】
本方法の特徴および利点は、コンプレッサシステムに対する説明に類似して生じる。
【0055】
本方法の一実施形態では、制御装置は、一方の検出された制御変数を一次制御変数として決定し、他方の検出された制御変数を二次制御変数として決定し、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、一次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御し、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を上回っている場合、二次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御し、かつ/または一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を下回っている場合、一次制御変数および二次制御変数に依存して冷却装置を駆動制御する。
【0056】
ここでも、コンプレッサシステムに関する対応する情報が参照される。
【0057】
特に、制御装置は、冷却装置を以下のように駆動制御する:
a)一次制御変数が特に予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回る臨界的な上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、冷却装置は最大出力で動作し、
b)一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、冷却装置は、最大でも自身の最大出力に到達するまで、一次制御変数に比例する出力で動作し、
c)一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値以下でかつ二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を上回っている場合、または
二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値以下でかつ一次制御変数が予め定められた下方の一次制御変数限界値以上である場合、
冷却装置は、最大でも自身の最大出力に到達するまで、二次制御変数に比例する出力で動作し、かつ/または
d)二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値以下でかつ一次制御変数が予め定められた下方の一次制御変数限界値を下回っている場合、冷却装置がスイッチオフされる。
【0058】
これに関するコンプレッサシステムに対する説明は、上記の方法の実施形態にも同様に適用される。
【0059】
さらに、本発明は、データ処理装置上で実行されるときに、データ処理装置に上述の方法を実施させるように構成された機械可読媒体上に記憶されたプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品に関する。
【0060】
本コンピュータプログラム製品を介すことにより、従来の信号技術的に駆動制御されるコンプレッサシステムに簡単に後付けすることが可能になる。
【0061】
以下では本発明を実施形態に基づき、添付図面を参照してより詳細に説明する。これらの図面は細部にわたって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の第1の実施形態によるコンプレッサシステムの概略図である。
図2図1によるコンプレッサシステムに適用することができる冷却装置を駆動制御するための概念の概略的スケッチである。
図3図1によるコンプレッサシステムに適用することができる冷却装置を駆動制御するためのフローチャートである。
【0063】
図1は、ここでは例示的に油潤滑式スクリューコンプレッサシステムとして構成され、コンプレッサ10、ここではスクリューコンプレッサ、およびアフタークーラー20を含むコンプレッサシステム1の概略図を示す。圧縮すべき空気は、プロセス空気流60をシミュレートする矢印に従って最初にコンプレッサ10を通って導かれ、そこで圧縮され、その後アフタークーラー20を通過する。さらに、コンプレッサシステム1は、制御装置30を含み、該制御装置30は、本発明の実施形態ではファン40を含んでいる冷却装置を駆動制御する。これらのファンは、動作中にそれぞれ冷却空気体積流41を生成することができ、この冷却空気体積流41は、ファン40を介して主にコンプレッサ10および/またはコンプレッサ出口に配向され、ファン40を介して主にアフタークーラー出口および/またはアフタークーラー20に配向され、ファン40を介して主に後述するオイルクーラー21および/またはその出口に配向される。制御装置30は、ここでは、ファン出力に対応するファン回転数の駆動制御によって、ファン40のスイッチオン/スイッチオフ時点もファン40の冷却空気体積流量も適合化させることができるように構成されている。ファン出力は、それぞれ同様に駆動制御される。代替的に、それぞれのファン40の操作変数が異なって設けられること、つまり、例えば伝達関数および/または場合によって使用される比例係数が異なって選択されることが想定されてもよい。別の実施形態では、冷却装置として1つのファン40のみを設けてもよい。
【0064】
コンプレッサ10は、さらに、オイルパン11を含み、この場合、オイルは、内側循環油路23と、オイルクーラー21を通って案内される外側循環油路22とを通過し得る。外側循環油路22を介したオイルの案内は、冷却装置もしくはファン40の動作に結合されてよい。例えば、オイルは、後でさらに説明するように、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御変数限界値を上回っている場合、または二次制御変数が予め定められた二次制御変数限界値を上回っている場合にのみ、外側循環油路を介して案内される。
【0065】
コンプレッサ10からのプロセス空気60の出口には、コンプレッサ10からの出口10aにおける空気温度TLuftを検出する空気温度検出ユニット50aが配置されている。代替的に、例えばアフタークーラー20の出口にも空気温度検出ユニットを設けることができる。その上さらに、オイルパン11の出口11aには、オイルパン11の出口における油温
【数1】
を検出する油温検出ユニット50bが配置されている。代替的に、油温検出ユニットは、例えばオイルクーラー21の出口にも設けることができる。
【0066】
本発明の実施形態では、制御装置30は、検出された空気温度TLuftおよび/または油温
【数2】
に従ってファン40を駆動制御するために、空気温度TLuftを一次制御変数として決定し、油温
【数3】
を二次制御変数として決定する。
【0067】
図2は、この目的のためのファン40の駆動制御の概念の概略的スケッチを示す。図示の実施形態では、制御装置30には、それぞれ現下で空気温度検出ユニット50aおよび油温検出ユニット50bを介して検出された一次制御変数としての空気温度TLuftの値と、二次制御変数としての油温
【数4】
の値とが伝送される。この伝送は、有線でも無線でも行うことができる。ここでは、2つの信号の同時転送が行われた場合でも、例えば2次制御変数は、必要な場合にのみ検出および/または伝送することもできる。1つの変形形態では、例えば、一次制御変数が予め定められた上方の一次制御限界値以下である場合にのみ、二次制御変数が検出され伝送される。
【0068】
次いで、制御装置30は、一次制御変数の値および/または二次制御変数の値に依存して用いるべき制御変数および/または適用可能な伝達関数を選択する。それに応じて、制御変数および/またはファン40の駆動制御のためのアクチュエータは、動的に適合化される。
【0069】
制御変数および/またはファン40の駆動制御のためのアクチュエータの動的適合化を用いた駆動制御は、例示的に図3に示されているフローチャートに基づいて説明される。この目的のために、空気温度TLuftが一次制御変数として読み出され、油温
【数5】
が二次制御変数として読み出される。駆動制御のために具体的に適用すべき制御変数およびアクチュエータの伝達関数を選択するための決定基準として、制御部には、臨界的な上方の一次制御変数限界値としての臨界的な上方の空気温度限界値TLuft,krit.、上方の一次制御変数限界値としての上方の空気温度限界値TLuft,max.、二次制御変数限界値としての油温限界値
【数6】
下方の一次制御変数限界値としての下方の空気温度限界値TLuft,ausが格納されている。臨界的な上方の空気温度限界値TLuft,krit.は、ここでは、コンプレッサシステムにとってリスクを示し得る空気温度に相応し、そのため、ここでは、最大冷却が必要とされる。したがって、臨界的な上方の空気温度限界値TLuft,krit.は、冷却を必要とするがこの冷却は最大出力で行う必要のない上方の空気温度限界値TLuft,max.を上回る。油温限界値
【数7】
は、オイルの最低温度に相応し、下方の空気温度限界値TLuft,ausは、そこまではファン40をスイッチオフしてもよい最大空気温度に相応する。
【0070】
検出された空気温度TLuftが、臨界的な上方の空気温度限界値TLuft,krit.を上回っている場合、ファン40はそれぞれ最大出力で動作する。操作変数としての出力Pは、ここではP=100%から得られ、この場合、ここでの100%は技術的に規定された最大出力に関連する。しかしながら、100%は、ファン40自体によって予め設定されていない別の予め定められた最大値にも関連する。ファン40の出力Pは、この実施例では、ファン回転数に関連し、したがって、ファン40を介して提供される冷却空気体積流量に関連する。
【0071】
臨界的な上方の空気温度限界値TLuft,krit.を超えていない場合、空気温度TLuftが上方の空気温度限界値TLuft,max.を上回っているかどうかが問い合わせされる。そうである場合、ファン40がそれぞれ空気温度TLuftに比例する出力で動作される。したがって、操作変数Pは、P=a×TLuftに対応する伝達関数と同様に得られる。ファン40がそれぞれにとって異なって駆動制御された方がよい限り、比例係数aは、必要に応じてファン毎に異なるように選択することができる。さらに、伝達関数は、例えばベース出力または出力低減を想定できるようにするために、P=a×TLuft+Offsetなどの付加的な加数または減数を有することも可能である。
【0072】
空気温度TLuftが上方の空気温度限界値TLuft,max.を超えない場合、油温
【数8】
がファン40の駆動制御のために用いられる。油温
【数9】
が油温限界値
【数10】
を上回っている場合、ファン40はそれぞれ、油温
【数11】
に比例する出力で作動される。したがって、操作変数Pは、
【数12】
に対応する伝達関数と同様に得られる。ここでも、ファン40は、比例係数bの選択によって異なる出力で駆動制御可能であってよく、かつ/または伝達関数は付加的な加数または減数を有することができる。
【0073】
油温
【数13】
が油温限界値
【数14】
を上回らない限り、事前に検出された空気温度TLuftが制御装置30による評価に再び付加的に含まれる。そのような場合において、空気温度TLuftが下方の空気温度限界値TLuft,aus以上であるならば、ファン40は、油温が油温限界値
【数15】
を上回る場合に駆動制御に従って駆動制御される。しかしながら、そのような場合において、空気温度TLuftが下方の空気温度限界値TLuft,ausを下回るならば、ファン40はスイッチオフされる。
【0074】
フローチャートが逐次問い合わせを示している場合でも、検出された一次制御変数と二次制御変数とを、例えば温度を測定してテーブル値と比較するなど、それぞれの問い合わせによって割り当て可能なカテゴリに分割することで評価は並列に行うことも可能である。駆動制御結果においては、並列評価も逐次評価も等価なものである。ただし、逐次問い合わせは、例えば二次制御変数を必要に応じて読み出すだけで済ませることができる。
【0075】
さらに、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。冷却装置がファンの使用に基づいて説明された場合であっても、空気がコンプレッサシステム内を通り過ぎるかつ/または通り抜ける熱交換器のような他の冷却装置も使用可能である。熱交換器の冷却能力は、自身の位置決め、配列によって適合化することができ、かつ/または熱交換器を通流する熱媒体の場合には、冷却流体体積流量率、冷却流体体積流量温度および/または熱媒体の交換によって適合化することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 コンプレッサシステム
10 コンプレッサ
10a 出口(空気)
11 オイルパン
11a 出口(オイル)
20 アフタークーラー
21 オイルクーラー
22 外側循環油路
23 内側循環油路
24 インタークーラー
30 制御装置
40 ファン
41 冷却空気体積流
50a 空気温度検出ユニット
50b 油温検出ユニット
60 プロセス空気流
Luft 空気温度
Luft,aus 下方の空気温度限界値
Luft,krit. 臨界的な上方の空気温度限界値
Luft,max. 上方の空気温度限界値
【数16】
油温
【数17】
油温限界値
図1
図2
図3