(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ボイラシステム並びにボイラシステムの運転方法
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20240527BHJP
F23C 1/04 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F23J15/00 A
F23C1/04
(21)【出願番号】P 2023020636
(22)【出願日】2023-02-14
【審査請求日】2023-07-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、開発項目「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築/アンモニアの発電利用における高混焼化・専焼化/石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術(専焼技術含む)の開発・実証/アンモニア専焼バーナを活用した火力発電所における高混焼実機実証」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中島 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿明
(72)【発明者】
【氏名】羽有 絵莉
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086188(JP,A)
【文献】特開2013-257125(JP,A)
【文献】特開2012-055797(JP,A)
【文献】特開2016-183839(JP,A)
【文献】国際公開第2023/276442(WO,A1)
【文献】実開昭54-139042(JP,U)
【文献】特開2013-010089(JP,A)
【文献】特開2019-086191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/00
F23C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナと、
前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部と、
前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統と、
前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部と、
前記パージガス供給部によって前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給部と、を備え、
前記アンモニア供給部は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアとパージガスとが混合した混合流体を貯留するアンモニア回収タンクを有し、前記アンモニア回収タンクで貯留された混合流体を前記燃焼ガス流通部の内部へ供給する燃焼システム
と、
前記燃焼ガス流通部に設けられ燃焼ガスの熱を回収する熱交換器と、
前記バーナよりも燃焼ガス流れの下流側に設けられ、前記火炉内に空気を供給する空気供給部と、を具備し、
前記アンモニア供給部は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記空気供給部よりも下流側であって前記熱交換器の上流側に供給するボイラシステム。
【請求項2】
アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナと、
前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部と、
前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統と、
前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部と、
前記パージガス供給部によって前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給部と、を備え、
前記アンモニア供給部は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアとパージガスとが混合した混合流体を貯留するアンモニア回収タンクを有し、前記アンモニア回収タンクで貯留された混合流体を前記燃焼ガス流通部の内部へ供給する燃焼システム
と、
前記燃焼ガス流通部に設けられ燃焼ガスの熱を回収する熱交換器と、
燃焼ガスを脱硝する脱硝装置と、を具備し、
前記アンモニア供給部は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記脱硝装置よりも上流側に供給するボイラシステム。
【請求項3】
前記アンモニア供給部よりも下流側を流通する燃焼ガスに含まれる窒素酸化物の量を検出する窒素酸化物検出部と、
前記アンモニア供給部によって、前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニアの量を調整する調整部と、
前記窒素酸化物検出部が検出した情報に基づいて、前記調整部を制御する制御部と、を備える請求項1
または請求項2に記載の
ボイラシステム。
【請求項4】
前記アンモニア供給部よりも下流側を流通する燃焼ガスに含まれるアンモニアの量を検出するアンモニア検出部と、
前記アンモニア供給部によって、前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニアの量を調整する調整部と、
前記アンモニア検出部が検出した情報に基づいて、前記調整部を制御する制御部と、を備える請求項1
または請求項2に記載の
ボイラシステム。
【請求項5】
燃焼システム
を備えるボイラシステムの運転方法であって、
前記燃焼システムは
、アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナと、前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部と
、前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統と
、前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部と、を有し、
前記ボイラシステムは、前記燃焼ガス流通部に設けられ燃焼ガスの熱を回収する熱交換器と、前記バーナよりも燃焼ガス流れの下流側に設けられ、前記火炉内に空気を供給する空気供給部と、をさらに備え、
前記パージガス供給部によって前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給工程を備え、
前記アンモニア供給工程は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアとパージガスとが混合した混合流体を貯留するアンモニア回収タンクで貯留された混合流体を前記燃焼ガス流通部の内部へ供給
し、
前記アンモニア供給工程は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記空気供給部よりも下流側であって前記熱交換器の上流側に供給する
ボイラシステムの運転方法。
【請求項6】
燃焼システム
を備えるボイラシステムの運転方法であって、
前記燃焼システムは
、アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナと、前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部と
、前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統と
、前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部と、を有し、
前記ボイラシステムは、前記燃焼ガス流通部に設けられ燃焼ガスの熱を回収する熱交換器と、燃焼ガスを脱硝する脱硝装置と、をさらに備え、
前記パージガス供給部によって前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給工程を備え、
前記アンモニア供給工程は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアとパージガスとが混合した混合流体を貯留するアンモニア回収タンクで貯留された混合流体を前記燃焼ガス流通部の内部へ供給
し、
前記アンモニア供給工程は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記脱硝装置よりも上流側に供給する
ボイラシステムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボイラシステム並びにボイラシステムの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電用ボイラなどの大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数のバーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、大型のボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
【0003】
近年、脱炭素化に有効な技術として、ボイラで蒸気を発生させるための燃料として石炭燃料に替えてアンモニア燃料を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるボイラは、アンモニア供給手段からバーナにアンモニア燃料を供給し、石炭供給手段からバーナに石炭燃料を供給し、アンモニア燃料と石炭燃料の双方をボイラの火炉内で混焼させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンモニア供給手段からバーナにアンモニア燃料を供給する場合、例えば、ボイラにおけるアンモニア燃料の燃焼を停止させる際など、アンモニア供給手段の内部に残存するアンモニア燃料を適切に排出することが必要となることがある。この場合、例えば、アンモニア燃料をパージガス(例えば、窒素ガス)により押し出して回収設備へ排出する方法が考えられる。回収設備へ排出されたアンモニア燃料を廃棄する場合には、これらを無害化するための装置が必要となる。また、回収設備へ排出されたアンモニア燃料を再利用することも可能であるが、例えば、アンモニア燃料と混合した窒素ガスを除去するなどの処理が必要となり、再利用するために必要な設備等を設けることでシステムが複雑化してしまう可能性があった。
【0006】
また、ボイラで生成される燃焼ガスにはNOxが含まれている。このため、燃焼ガスを外部へ放出するためには、燃焼ガスに含まれるNOxを処理することが必要となる。よって、一般的に、ボイラにはNOxを処理する脱硝装置が設けられる。アンモニアを燃料とするボイラでは、従来の燃料(例えば、石炭等)を燃焼する場合と比較して、燃焼ガスに含まれるNOxが増大することが懸念される。このため、従来の燃料を燃焼させる既設のボイラをアンモニアを燃料とするボイラに改造した場合には、既設の脱硝装置では脱硝能力が不足する可能性がある。この点を考慮して、ボイラの改造を行う際に、脱硝装置の改造を行うことも考えられるが、脱硝装置に対して脱硝性能を向上させる改造を行った場合には、改造後の脱硝装置が大規模かつ複雑なものとなる可能性があった。
また、脱硝装置を用いない脱硝方法として、例えば、外部から導かれた還元剤を炉内の燃焼ガスに投入する方法なども考えられるが、この方法では外部から還元剤を供給する装置等を設けることでシステムが複雑化してしまう可能性があった。特に、上述のように、アンモニアを燃料とするボイラでは、ボイラ内で生成される燃焼ガスに含まれるNOx量が多くなる傾向にあるため、このような問題が顕著であった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、燃料供給系統から排出されたアンモニアを、簡素な構造で適切に再利用すること可能なボイラシステム並びにボイラシステムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のボイラシステム並びにボイラシステムの運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る燃焼システムは、アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナと、前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部と、前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統と、前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部と、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る燃焼システムの運転方法は、前記燃焼システムは、アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナと、前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部と、前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統と、前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部と、を有し、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、燃料供給系統から排出されたアンモニアを、簡素な構造で適切に再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るボイラを示す概略構成図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムにおける燃料供給系統を示す概略構成図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムにおける制御装置を示すブロック図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムにおけるアンモニア投入量、脱硝装置入口NOx量及び脱硝装置入口アンモニア量の時間当たりの変化を示すグラフである。
【
図5】本開示の第2実施形態に係るボイラシステムにおける燃料供給系統を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係るボイラシステム並びにボイラシステムの運転方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
以下に、本開示に係る第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0014】
図1は、本実施形態の固体燃料を主燃料とするボイラを表す概略構成図である。
【0015】
本実施形態のボイラ10は、固体燃料を粉砕した微粉燃料およびアンモニアを含むアンモニア燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。すなわち、ボイラ10は、アンモニア混焼ボイラである。ボイラ10は、例えば、アンモニアの割合が高いアンモニア高混焼ボイラであってもよい。アンモニア高混焼ボイラとは、全燃料に対するアンモニア燃料の割合が20%以上のボイラである。固体燃料としては、バイオマス燃料や石炭などが使用される。
【0016】
ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20と燃焼ガス通路12を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、微粉燃料およびアンモニア燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収すると共に、火炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0017】
燃焼装置20は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態では、燃焼装置20は、火炉壁101に装着された複数のバーナ21A、21B、21C、21D(以下、一括して「バーナ21」と記載する場合がある。)を有している。バーナ21は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。なお、
図1では、図示の都合上、1セットのバーナのうちの2個のみを記載し、各セットに符合21A、21B、21C、21Dを付している。火炉の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
【0018】
バーナ21A、21B、21C、21Dは、それぞれ、複数の燃料供給管22A、22B、22C、22D(以下、一括して「燃料供給管22」と記載する場合がある。)を介して、複数の燃料供給部31A、31B、31C、31D(以下、一括して「燃料供給部31」と記載する場合がある。)に連結されている。
【0019】
燃料供給部31A,31B,31Cは、例えば、内部に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持されていて、粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている竪型ローラミルである。粉砕ローラと粉砕テーブルが協働して粉砕された固体燃料は、燃料供給部31A,31B,31Cに供給される一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)により、燃料供給部31A,31B,31Cが備える分級機(図示省略)に搬送される。分級機では、バーナ21A,21B,21Cでの燃焼に適した粒径以下の微粉燃料と、該粒径より大きな粗粉燃料とに分級される。微粉燃料は、分級機を通過して、一次空気と共に燃料供給管22A,22B,22Cを介してバーナ21A,21B,21Cに供給される。分級機を通過しなかった粗粉燃料は、燃料供給部31A,31B,31Cの内部で、自重により粉砕テーブル上に落下し、再粉砕される。
【0020】
燃料供給部31Dは、アンモニアを含むアンモニア燃料をバーナ21Dに供給する装置である。アンモニア燃料は、燃料供給管22Dを介してバーナ21Dに供給される。燃料供給部31Dおよび燃料供給管22Dを含むアンモニア燃料の燃料供給については、後述する。
【0021】
本実施形態のボイラシステム100において、ボイラ10は、バーナ(第1バーナ)21Dによりアンモニア燃料(第1燃料)を燃焼させ、バーナ(第2バーナ)21A,21B,21Cにより微粉燃料(第2燃料)を燃焼させて、蒸気を生成する。なお、第1バーナと第2バーナの数や配置は、
図1の形態に限定されない。本実施形態のボイラシステム100において、燃料供給部31Dおよび燃料供給管22Dは、バーナ21Dへアンモニア燃料を供給するアンモニア燃料供給系統(第1燃料供給系統)である。また、本実施形態のボイラシステム100において、燃料供給部31A,31B,31Cおよび燃料供給管22A,22B,22Cは、バーナ21A,21B,21Cへ微粉燃料を供給する微粉燃料供給系統(第2燃料供給系統)である。
【0022】
バーナ21の装着位置における火炉11の炉外側には、風箱(エアレジスタ)23が設けられており、この風箱23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され(詳細は後述する)、風箱23を介してバーナ21に二次空気(燃焼用空気、酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0023】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102、再熱器103、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、
図1に記載した形態に限定されない。
【0024】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、燃料供給部31A,31B,31Cに供給する一次空気やバーナ21に供給する二次空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0025】
また、煙道13には、空気予熱器42よりも上流側の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
煙道13の空気予熱器42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41には、燃焼ガス中の灰などを除去する電気集じん機などの集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46などの環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された燃焼ガスが、排ガスとして系外に排出される。
【0026】
ボイラ10において、燃料供給部31(31A,31B,31C)が駆動すると、粉砕、分級された微粉燃料が、一次空気と共に燃料供給管22(22A,22B,22C)を介してバーナ21に供給される。また、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24から風箱23を介してバーナ21に供給される。バーナ21(21A,21B,22C)は、微粉燃料と一次空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれた微粉燃料混合気が着火し、二次空気と反応することで、微粉燃料の火炎を形成する。
また、ボイラ10において、アンモニア燃料を使用する場合は、燃料供給部31Dから燃料供給管22Dを介してバーナ21Dにアンモニア燃料が供給される。また、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24から風箱23を介してバーナ21Dに供給される。バーナ21Dは、アンモニア燃料を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれたアンモニア燃料と二次空気が反応することで、アンモニア燃料の火炎を形成する。
火炉11内の下部領域で、微粉燃料及びアンモニア燃料の火炎が形成され、高温の燃焼ガスが火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。なお、本実施形態では、酸化性ガス(一次空気、二次空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0027】
また、火炉11のバーナ21の装着位置より上方には、火炉11内に燃焼用追加空気(AA:Additional Air)を供給するための複数のアディショナル空気ポート((空気供給部))25が設けられている。アディショナル空気ポート25には、風道24から分岐したアディショナル空気ダクト26の端部が連結されており、押込通風機32から供給された空気の一部を、燃焼用追加空気として、アディショナル空気ダクト26を介してアディショナル空気ポート25に供給することができる。
【0028】
図1に示す火炉11内部の領域A(風箱23の高さ方向の設置範囲に対応した領域)では、一次空気と微粉燃料の混合気と二次空気との燃焼により火炎が形成される。ここで、領域Aにおける空気比が1以下となるように、具体的には、バーナ21に供給される空気量(一次空気と二次空気の合計量)が、バーナ21に供給される燃料量に対する理論空気量より少なくなるように設定されることで、火炉11内部の領域Aと領域B(バーナ21の最上部からアディショナル空気ポート25の最下部の間の領域)は還元雰囲気となり、燃焼により発生した窒素酸化物(NOx)が火炉11の内部で還元される。その後、領域C(アディショナル空気ポート25の最下部より上側の領域)において、NOxが還元された燃焼ガスに、アディショナル空気ポート25から燃焼用追加空気が供給されて燃焼が完結するが、領域A及び領域Bにおける還元効果の分だけ、NOxの発生量が低減される。
領域Cの下流側に後述するアンモニアノズル51が設けられている。
【0029】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気及び二次空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰などが除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガス流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0030】
次に、本開示の第1実施形態に係るボイラシステム100における、アンモニア燃料供給系統210、およびアンモニア供給系統220について説明する。
図2は、本開示の第1実施形態に係るボイラシステム100における、アンモニア燃料供給系統210、およびアンモニア供給系統220を示す概略構成図である。
図2に示すように、本実施形態のボイラシステム100は、アンモニア燃料供給系統210と、アンモニア供給系統220と、制御装置200(
図3参照)と、を備える。本実施形態に係るボイラシステム100は、燃料としてガス状のアンモニア燃料(成分としてアンモニアを含み、気体の状態でバーナ21Dに供給される可燃性物質。以下、「アンモニアガス」と称する。)をボイラ10に供給する。
【0031】
図2に示すように、アンモニア燃料供給系統210は、バーナ21Dへアンモニアを含むアンモニア燃料(本実施形態では、アンモニアガス)を供給する系統である。アンモニア燃料供給系統210は、
図1に示す燃料供給部31Dに対応するものである。アンモニア燃料供給系統210は、アンモニア燃料タンク211と、ポンプ212と、加熱器213と、開閉弁214と、制御弁215と、バーナ弁27と、を備える。これらの各機器は、制御装置200により制御される。
【0032】
アンモニア燃料タンク211は、アンモニア燃料供給源から供給されるアンモニアガスを貯蔵する容器である。アンモニア燃料タンク211に貯蔵されるアンモニアガスは、ポンプ212により加熱器213に供給される。加熱器213は、アンモニアガスをバーナ21Dでの燃焼に適した温度に加熱する。加熱器213で加熱されたアンモニアガスは、燃料供給ライン210aを介して、バーナ21Dへ供給される。ボイラ10は、バーナ21Dによりアンモニアガスとして供給されるアンモニア燃料を燃焼させて蒸気を生成する。なお、加熱器213は、使用するアンモニア燃料の性状に応じて設置が省略されてもよい。
また、アンモニア燃料供給源からは、液体のアンモニア燃料が供給されるものとしてもよい。この場合、アンモニア燃料タンク211には液体のアンモニア燃料が貯蔵され、ポンプ212により加熱器213に供給され、加熱器213において加熱されることで、液体の状態から気体の状態となり、バーナ21Dに供給される。
【0033】
燃料供給ライン210aには、開閉弁214、制御弁215及びバーナ弁27が設けられている。開閉弁214は、複数のバーナ21Dのうち、いずれか一つ以上のバーナ21Dへアンモニアガスを供給する場合に開状態となり、全てのバーナ21Dへアンモニアガスを供給しない場合に閉状態となる装置である。制御弁215は、開閉弁214が開状態である場合に、バーナ21Dへ供給されるアンモニアガスの供給量を調整するための装置である。バーナ弁27は、各バーナ21Dに設けられおり、該バーナ21Dへアンモニアガスを供給する場合に開状態となり、該バーナ21Dへアンモニアガスを供給しない場合に閉状態となる装置である。
【0034】
燃料供給ライン210aは、アンモニア燃料タンク211とボイラ10(詳細には、バーナ21D)とを接続している。燃料供給ライン210aは、制御弁215よりも下流において、循環ライン210bが分岐している。循環ライン210bは、燃料供給ライン210aとアンモニア燃料タンク211とを接続している。循環ライン210bは、燃料供給ライン210a内を流通するアンモニアガスの一部をアンモニア燃料タンク211へ導く。循環ライン210bには、開閉弁216が設けられている。開閉弁216は、アンモニア燃料タンク211へアンモニアガスを循環する場合に開状態となり、アンモニア燃料タンク211へアンモニアガスを循環しない場合に閉状態となる装置である。循環ライン210bは、バーナ21Dを点火する際の圧力降下を抑制するためなどに使用される。循環ライン210bは、設置が省略されてもよい。また、アンモニア燃料タンク211に液体のアンモニア燃料が貯蔵されている場合には、循環ライン210bに、気体のアンモニア燃料を再液化するための冷却器(図示省略)が設けられる。
【0035】
ボイラシステム100は、アンモニア燃料供給系統210にパージガス(例えば、窒素)を供給するパージガスライン221を備えている。パージガスライン221は、パージガス供給源から供給されるパージガスが流通する。パージガスライン221には、パージガス弁221aが設けられている。パージガスライン221の下流端は、アンモニア燃料供給系統210に接続される。具体的には、パージガスライン221の下流端は、燃料供給ライン210aに接続されている。なお、パージガスライン221の下流端が接続される箇所は、燃料供給ライン210aに限定されない。例えば、パージガスライン221の下流端は、アンモニア燃料タンク211に接続されてもよい。また、燃料供給ライン210a及びアンモニア燃料タンク211の両方に接続されてもよい。
【0036】
アンモニア供給系統220は、アンモニア燃料供給系統210に供給されたアンモニアガスを、アンモニア回収タンク226を介して、ボイラ10の燃焼ガス通路12に導き、燃焼ガスに含まれるNOxを還元する系統である。
【0037】
アンモニア供給系統220は、アンモニア燃料タンク211に接続される第1ベントライン222と、燃料供給ライン210aの加熱器213と開閉弁214との間に接続される第2ベントライン223と、燃料供給ライン210aの循環ライン210bの分岐点よりも下流側に接続される第3ベントライン224と、循環ライン210bに接続される第4ベントライン225と、を有する。
第1ベントライン222には、第1ベント弁222aが設けられている。第2ベントライン223には、第2ベント弁223aが設けられている。第3ベントライン224には、第3ベント弁224aが設けられている。第4ベントライン225には、第4ベント弁225aが設けられている。
【0038】
第1ベントライン222,第2ベントライン223,第3ベントライン224及び第4ベントライン225の下流端は、アンモニア排出ライン227に接続されている。アンモニア排出ライン227は、アンモニア燃料供給系統210からパージガスによって排出されたアンモニアをアンモニア回収タンク226に導いている。アンモニア排出ライン227内には、アンモニアガスとパージガスとが混合した混合ガスが流通する。アンモニア排出ライン227には、制御弁227aが設けられている。
【0039】
アンモニア回収タンク226は、アンモニアガスとパージガスとが混合した混合ガスが貯留される。アンモニア回収タンク226には、アンモニア供給ライン228が接続されている。アンモニア供給ライン228は、アンモニア回収タンク226に貯留されているアンモニアガスとパージガスとの混合ガスをボイラ10へ導く。詳細には、ボイラ10に設けられたアンモニアノズル51(
図1参照)へ導く。すなわち、アンモニア供給ライン228は途中位置で分岐し、各下流端が複数のアンモニアノズル51のうち対応するアンモニアノズル51に接続されている。
【0040】
アンモニア供給ライン228には、上流側から順番にファン228a,流量センサ228b,開閉弁228d及び制御弁228cが設けられている。ファン228a,流量センサ228b,制御弁228c及び開閉弁228dは、制御装置200によって制御される。ファン228aは、回転駆動することで、アンモニア供給ライン228内に混合ガスを流通させる。流量センサ228bは、アンモニア供給ライン228内を流通する混合ガスの流量を計測する。制御弁228cは、開度を調整することでアンモニア供給ライン228内を流通する混合ガス(アンモニアとパージガスとの混合ガス)の流量を調整する。換言すれば、制御弁228cは、開度を調整することで、アンモニアノズル51からボイラ10の燃焼ガス通路12内に供給されるアンモニアの量を調整する。
【0041】
図1に示すように、アンモニアノズル51は、ボイラ10に複数設けられている。アンモニアノズル51は、燃焼ガス通路12内を流通する燃焼ガスに対してアンモニアガスを投入する。アンモニアノズル51は、アンモニアによるNOxの還元反応が活発化する温度域(例えば、1000℃程度)の燃焼ガスに対して、アンモニアガスを投入することが好ましい。
アンモニアノズル51は、アディショナル空気ポート25よりも下流側に設けられている。例えばアンモニアノズル51は、過熱器102の上流や、過熱器102の下流側であって、かつ、再熱器103の上流側に設けられている。
複数のアンモニアノズル51は、燃焼ガスが流通する方向に所定の間隔で配置されるとともに、燃焼ガスの流通方向と交差する方向に所定の間隔で並んで配置されている。アンモニアノズル51の位置や数は、
図1の開示に限定されず、燃焼ガス通路12の大きさや、燃焼ガス温度の分布に応じて決定される。
【0042】
アンモニアノズル51は、燃焼ガスに対してアンモニアガスを投入することで、燃焼ガスを脱硝する。具体的には、アンモニアノズル51は、燃焼ガスに対してアンモニアガスを投入することで、燃焼ガスに含まれるNOxを還元する。
【0043】
パージガス弁221aは、アンモニア燃料供給系統210からバーナ21Dへのアンモニアガスの供給を停止して(その際、開閉弁214と全てのバーナ21Dのバーナ弁27は閉状態とされる)、アンモニア燃料供給系統210からアンモニアガスを排出する場合に、開状態となるように制御装置200により制御される。これにより、アンモニア燃料供給系統210にパージガスが供給される。また、アンモニア供給系統220は、アンモニア燃料供給系統210からアンモニアガスを排出する場合に、第1ベント弁222aと、第2ベント弁223aと、第3ベント弁224aと、第4ベント弁225aとを、それぞれ開状態とするよう制御装置200により制御される。
【0044】
アンモニア供給系統220は、パージガスライン221を介して燃料供給ライン210aへパージガスを供給し、アンモニア燃料供給系統210に残存するアンモニアガスを、アンモニア排出ライン227を介してアンモニア回収タンク226へ排出するよう制御装置200により制御される。
【0045】
アンモニア供給系統220は、アンモニア供給ライン228を介して、アンモニア回収タンク226に貯留されているアンモニアガスとパージガスとの混合ガスをボイラ10のアンモニアノズル51へ供給し、アンモニアノズル51から燃焼ガス通路12内にアンモニアガス(混合ガス)を投入するよう制御装置200により制御される。
【0046】
図1に示すように、ボイラシステム100には、節炭器104の下流側であって、かつ、脱硝装置43の上流側にNOx検出部52及びアンモニア検出部53が設けられている。NOx検出部52は、節炭器104と脱硝装置43との間を流通する燃焼ガスに含まれるNOxの量(以下、「脱硝装置入口NOx量」と称する)を検出する。また、アンモニア検出部53は、節炭器104と脱硝装置43との間を流通する燃焼ガスに含まれるアンモニアの量(以下、「脱硝装置入口アンモニア量」と称する)を検出する。
図3に示すように、NOx検出部52及びアンモニア検出部53は、検出した情報を制御装置200へ送信する。
【0047】
制御装置200は、ボイラシステム100に設けられた弁やポンプ等の各種装置の制御を行う。
また、制御装置200は、アンモニア制御部202を有している。アンモニア制御部202は、NOx検出部52が検出した脱硝装置入口NOx量とアンモニア検出部53が検出した脱硝装置入口アンモニア量に基づいて、アンモニア供給ライン228の制御弁228cの開度を調整して、アンモニアノズル51から投入されるアンモニアの量を制御する。
【0048】
制御装置200(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御装置200は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0049】
次に、アンモニア制御部202がアンモニア量を調整する処理を行った際のアンモニア投入量、脱硝装置入口NOx量及び脱硝装置入口アンモニア量の変化について、
図4を用いて説明する。
【0050】
図4に示すように、ボイラシステム100は、バーナ角度、AA角度、AAダンパ開度等を調整することで、NOx検出部52が検出する脱硝装置入口NOx量が、第1設定値N1となるように制御されている(時間T1以前)。アンモニア供給ライン228を介してアンモニアノズル51からアンモニアの投入が開始されると(時間T1)、制御弁228cの開度の増加に伴いアンモニア投入量が増加し、脱硝装置入口NOx量が、第1設定値N1から低下する(時間T1から時間T2)。
【0051】
脱硝装置入口NOx量が第2設定値N2となると、アンモニア制御部202は、制御弁228cの開度を固定する(時間T2)。これにより、脱硝装置入口NOx量が第2設定値N2に維持される。
【0052】
ここで、例えば、アンモニアノズル51から供給されるアンモニアガス中のアンモニア濃度の変化により、脱硝装置入口アンモニア量が増大すると(時間T3)、これに応じて脱硝装置入口NOx量が低減する(時間T3から時間T4)。脱硝装置入口アンモニア量が所定の閾値A1を超えると、アンモニア制御部202は、アンモニアの過投入と判断し、制御弁228cの開度を小さくしてアンモニアガスの投入量を低減する(時間T4)。アンモニアガス投入量の低減により、脱硝装置入口NOx量が増加して第2設定値N2に到達すると、アンモニア制御部202は、制御弁228cの開度を維持する。これにより、脱硝装置入口NOx量が第2設定値N2に維持される。
【0053】
また、ここで、例えば、アンモニアノズル51から供給されるアンモニアガス中のアンモニア濃度の変化により、脱硝装置入口アンモニア量が減少すると、これに応じて脱硝装置入口NOx量が増加する。脱硝装置入口NOx量が第2設定値N2を超えると、アンモニア制御部202は、制御弁228cの開度を大きくしてアンモニアガスの投入量を増加する。アンモニアガス投入量の増加により、脱硝装置入口NOx量が減少して第2設定値N2に到達すると、アンモニア制御部202は、制御弁228cの開度を維持する。これにより、脱硝装置入口NOx量が第2設定値N2に維持される。
【0054】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、アンモニア燃料供給系統210からパージガスによって排出されたアンモニアをボイラ10の燃焼ガス通路12の内部へ供給するアンモニア供給系統220(特にアンモニアノズル51)を備えている。これにより、燃焼ガス通路12の内部を流通する燃焼ガスに対して、アンモニア燃料供給系統210から排出されたアンモニアを供給することができる。したがって、アンモニア燃料供給系統210から排出されたアンモニアと燃焼ガスとを反応させて、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減することができる。すなわち、燃焼ガスを脱硝することができる。また、燃焼ガスとアンモニアとを反応させることで、アンモニアを窒素と水とに分解することができる。
【0055】
このように、燃焼ガスを脱硝するための還元剤としてアンモニア燃料供給系統210から排出されたアンモニアを利用しているので、排出されたアンモニアを利用しない場合(別途外部から還元剤を供給する場合)と比較して、ボイラシステム100で使用される還元剤の量を低減することができる。したがって、ランニングコストを低減することができる。また、別途外部から還元剤を供給する装置を小型化又は設けない構造とすることができるので、ボイラシステム100の構造を簡素化することができる。したがって、イニシャルコストを低減することができる。
【0056】
また、アンモニア燃料供給系統210から排出されたアンモニアを燃焼ガスの反応させることで、窒素と水とに分解しているので、別途アンモニアを分解するための溶液等を使用しない。このため、別途アンモニアを分解するための溶液等を使用する場合と比較して、ランニングコストを低減することができる。また、別途排出されたアンモニアを分解するための装置を小型化又は設けない構造とすることができるので、ボイラシステム100の構造を簡素化することができる。したがって、イニシャルコストを低減することができる。
【0057】
以上から、本実施形態では、アンモニア燃料供給系統210から排出されたアンモニアを、簡素な構造で適切に再利用することができる。したがって、コストを低減することができる。
【0058】
アディショナル空気ポート25から空気が供給されることで、火炉11内における燃料の燃焼が完結する。したがって、アディショナル空気ポート25の下流側の空間では、火炉11に投入される空気中の酸素が消費されており、酸素濃度が低下している。本実施形態では、アンモニア供給系統220(特にアンモニアノズル51)は、アンモニア燃料供給系統210からパージガスによって排出されたアンモニアをアディショナル空気ポート25よりも下流側に供給する。したがって、酸素濃度が低い空間にアンモニアを供給することができるので、より好適に燃焼ガス中に含まれるNOxを還元することができる。
【0059】
また、再熱器103及び節炭器104は熱を回収するので、再熱器103及び節炭器104の上流側の空間は、再熱器103及び節炭器104の下流側の空間と比較して、燃焼ガスの温度が高い。本実施形態では、アンモニア供給系統220(特にアンモニアノズル51)は、アンモニア燃料供給系統210からパージガスによって排出されたアンモニアを再熱器103及び節炭器104よりも上流側に供給する。これにより、流通する燃焼ガスの温度が高い空間(例えば、燃焼ガスの温度が1000℃程度の空間)にアンモニアを供給することができるので、より好適に燃焼ガス中に含まれるNOxを還元することができる。
【0060】
アンモニア燃料供給系統210からパージガスによって排出された流体(パージガスとアンモニアとが混合した流体である混合流体)に含まれるアンモニアの濃度は一定ではない。このため、アンモニア供給系統220(特にアンモニアノズル51)によって、一定の量の混合流体を燃焼ガス通路12内に供給したとしても、燃焼ガス通路12内に供給されるアンモニア量は一定ではない。このため、燃焼ガス通路12内に供給するアンモニア量が過多となったり、過少となったりする可能性があった。特に、燃焼ガス通路12内に供給するアンモニア量が過多となった場合には、燃焼ガス中にアンモニアが残存し、後流側に配置される装置に硫安が生成される等の不具合が発生する可能性があった。特に、空気予熱器42が閉塞する可能性があった。
【0061】
一方、本実施形態では、NOx検出部52が検出した情報に基づいて、アンモニア供給ライン228の制御弁228cを制御する制御装置200を備えている。これにより、燃焼ガス通路12の内部へ供給するアンモニアの量を、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物の量に基づいた量にすることができる。したがって、例えば、制御装置200によって、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物の量を所定の範囲内となるように制御弁228cを制御した場合には、燃焼ガス通路12の内部へ適切な量のアンモニアを供給することができる。
【0062】
また、本実施形態では、アンモニア検出部53が検出した情報に基づいて、アンモニア供給ライン228の制御弁228cを制御する制御装置200を備えている。これにより、燃焼ガス通路12の内部へ供給するアンモニアの量を、燃焼ガスに含まれるアンモニアの量に基づいた量にすることができる。したがって、例えば、制御装置200によって、燃焼ガスに含まれるアンモニアの量を所定の範囲内となるように制御弁228cを制御した場合には、燃焼ガス通路12の内部へ適切な量のアンモニアを供給することができる。所定の範囲内とは、例えば、後流側に配置される装置に硫安が生成されない程度のアンモニア量の範囲であってもよい。
【0063】
また、燃焼ガス通路12内に供給するアンモニア量が変動することで、脱硝装置入口NOx量が変動する可能性があった。これにより、脱硝装置の運転が不安定になり、脱硝装置出口NOx量も変動する可能性があった。
【0064】
一方、本実施形態では、脱硝装置入口NOx量を所定の量に制御している。このため、脱硝装置入口NOx量を安定化することができるので、脱硝装置の運転も安定化し、脱硝装置出口NOx量の変動を抑制することができる。
【0065】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態について
図5を用いて説明する。
本実施形態では、以下で説明する構成が上記第1実施形態と相違している。他の構成は上記第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施形態に係るボイラシステム100Aのアンモニア燃料供給系統210は、燃料として液状のアンモニア(成分としてアンモニアを含み、液体の状態でバーナ21Dに供給される可燃性物質。以下、「アンモニア液」と称する。)をボイラ10のバーナ21Dに供給する。
【0067】
本実施形態に係るボイラシステム100Aは、アンモニア供給系統220Aを備える。
アンモニア供給系統220Aは、アンモニア液を貯留するアンモニア回収タンク226Aを備えている。また、アンモニア供給系統220Aは、アンモニア燃料タンク211に接続される第1ドレンライン222Aと、燃料供給ライン210aの加熱器213と開閉弁214との間に接続される第2ドレンライン223Aと、燃料供給ライン210aの循環ライン210bの分岐点よりも下流側に接続される第3ドレンライン224Aと、循環ライン210bに接続される第4ドレンライン225Aと、を有する。
第1ドレンライン222Aには、第1ドレン弁222aAが設けられている。第2ドレンライン223Aには、第2ドレン弁223aAが設けられている。第3ドレンライン224Aには、第3ドレン弁224aAが設けられている。第4ドレンライン225Aには、第4ドレン弁225aAが設けられている。
【0068】
第1ドレンライン222A,第2ドレンライン223A,第3ドレンライン224A及び第4ドレンライン225Aの下流端は、アンモニア排出ライン227Aに接続されている。アンモニア排出ライン227Aは、アンモニア燃料供給系統210からパージガスによって排出されたアンモニアをアンモニア回収タンク226Aに導いている。アンモニア排出ライン227A内には、アンモニア液とパージガスとが混合した混合二相流が流通する。
【0069】
アンモニア回収タンク226Aは、アンモニア液とパージガスとが混合した混合二相流が供給される。アンモニア回収タンク226Aでは、アンモニア液とパージガスが分離され、分離されたパージガスは系外に排出される。アンモニア回収タンク226Aには、アンモニア供給ライン228Aが接続されている。アンモニア供給ライン228Aは、アンモニア回収タンク226Aでパージガスと分離され、貯留されているアンモニア液をアンモニアノズル51へ導く。
【0070】
アンモニア供給ライン228Aには、上流側から順番にポンプ228aA,制御弁228bAが設けられている。ポンプ228aA及び制御弁228bAは、制御装置200によって制御される。ポンプ228aAは、回転駆動することで、アンモニア供給ライン228内にアンモニア液を流通させる。制御弁228bAは、開度を調整することでアンモニア供給ライン228内を流通するアンモニア液の流量を調整する。換言すれば、制御弁228bAは、開度を調整することで、アンモニアノズル51からボイラ10の燃焼ガス通路12内に供給されるアンモニアの量を調整する。
【0071】
アンモニアノズル51の配置や、制御装置200が行う制御は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のようにアンモニア液を燃料としてボイラ10に供給するボイラシステム100Aにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0073】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
上述した実施形態では、本開示のボイラを、燃料に固体燃料とアンモニア燃料を混焼するボイラとして説明した。ボイラに使用される固体燃料としては、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などが使用される。
なお、ボイラの燃料としては、固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油などの石油類や工場廃液などの液体燃料も使用することができる。また、天然ガスや各種石油ガス、製鉄プロセスなどで発生する副生ガス、水素ガスなどの気体燃料も使用することができる。
さらに、これらの各種燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。また、アンモニア燃料のみを使用する専焼ボイラであってもよい。
【0074】
例えば、アンモニアノズル51を設ける位置は上記説明の位置に限定されない。例えば、再熱器103と節炭器104との間に設けてもよい。また、節炭器104と脱硝装置43との間に設けてもよい。
【0075】
以上説明した実施形態に記載のボイラシステム並びにボイラシステムの運転方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る燃焼システムは、アンモニアを燃焼させて火炉(11)内に火炎を形成するバーナ(21D)と、前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部(12)と、前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統(210)と、前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部(221)と、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給部(220)と、を備える。
【0076】
上記構成では、燃料供給系統から排出されたアンモニアを燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給部を備えている。これにより、燃焼ガス流通部の内部を流通する燃焼ガスに対して、燃料供給系統から排出されたアンモニアを供給することができる。したがって、燃料供給系統から排出されたアンモニアと燃焼ガスとを反応させて、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減することができる。すなわち、燃焼ガスを脱硝することができる。また、燃焼ガスとアンモニアとを反応させることで、アンモニアを窒素と水とに分解することができる。
このように、燃焼ガスを脱硝するための還元剤として燃料供給系統から排出されたアンモニアを利用しているので、排出されたアンモニアを利用しない場合(別途外部から還元剤を供給する場合)と比較して、燃焼システムで使用される還元剤の量を低減することができる。したがって、ランニングコストを低減することができる。また、別途外部から還元剤を供給する装置を小型化又は設けない構造とすることができるので、燃焼システムの構造を簡素化することができる。したがって、イニシャルコストを低減することができる。
また、燃料供給系統から排出されたアンモニアを燃焼ガスの反応させることで、窒素と水とに分解しているので、別途アンモニアを分解するための溶液等を使用しない。このため、別途アンモニアを分解するための溶液等を使用する場合と比較して、ランニングコストを低減することができる。また、別途排出されたアンモニアを分解するための装置を小型化又は設けない構造とすることができるので、燃焼システムの構造を簡素化することができる。したがって、イニシャルコストを低減することができる。
以上から、上記構成では、燃料供給系統から排出されたアンモニアを、簡素な構造で適切に再利用することができる。したがって、コストを低減することができる。
【0077】
また、本開示の第2態様に係る燃焼システムは、上記第1態様において、前記アンモニア供給部よりも下流側を流通する燃焼ガスに含まれる窒素酸化物の量を検出する窒素酸化物検出部(52)と、前記アンモニア供給部によって前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニアの量を調整する調整部(228c)と、前記窒素酸化物検出部が検出した情報に基づいて、前記調整部を制御する制御部(200)と、を備える。
【0078】
燃料供給系統からパージガスによって排出された流体(パージガスとアンモニアとが混合した流体である混合流体)に含まれるアンモニアの濃度は一定ではない。このため、アンモニア供給部によって、一定の量の混合流体を燃焼ガス流路内に供給したとしても、燃焼ガス流路内に供給されるアンモニア量は一定ではない。このため、燃焼ガス流路内に供給するアンモニア量が過多になったり、過少となったりする可能性があった。特に、燃焼ガス流路内に供給するアンモニア量が過多となった場合には、燃焼ガス中にアンモニアが残存し、後流側に配置される装置に硫安が生成される等の不具合が発生する可能性があった。
上記構成では、窒素酸化物検出部が検出した情報に基づいて調整部を制御する制御部を備えている。これにより、燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニアの量を、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物の量に基づいた量にすることができる。したがって、例えば、制御部によって、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物の量を所定の範囲内となるように調整部を制御した場合には、燃焼ガス流通部の内部へ適切な量のアンモニアを供給することができる。
なお、窒素酸化物検出部は、燃焼ガス中のNOxの量を計測してもよく、他のパラメータから燃焼ガス中のNOxの量を推定してもよい。
【0079】
また、本開示の第3態様に係る燃焼システムは、上記第1態様または第2態様のいずれかにおいて、前記アンモニア供給部よりも下流側を流通する燃焼ガスに含まれるアンモニアの量を検出するアンモニア検出部(53)と、前記アンモニア供給部によって、前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニアの量を調整する調整部(228c)と、前記アンモニア検出部が検出した情報に基づいて前記調整部を制御する制御部(200)と、を備える。
【0080】
上記構成では、アンモニア検出部が検出した情報に基づいて調整部を制御する制御部を備えている。これにより、燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニアの量を、燃焼ガスに含まれるアンモニアの量に基づいた量にすることができる。したがって、例えば、制御部によって、燃焼ガスに含まれるアンモニアの量を所定の範囲内となるように調整部を制御した場合には、燃焼ガス流通部の内部へ適切な量のアンモニアを供給することができる。所定の範囲内とは、例えば、後流側に配置される装置に硫安が生成されない程度のアンモニア量の範囲であってもよい。
なお、アンモニア検出部は、燃焼ガス中のアンモニアの量を計測してもよく、他のパラメータから燃焼ガス中のアンモニアの量を推定してもよい。
【0081】
また、本開示の第1態様に係るボイラシステムは、上記第1態様から第3態様のいずれかに記載の燃焼システムと、前記燃焼ガス流通部(12)に設けられ燃焼ガスの熱を回収する熱交換器(102,103,104)と、を備えている。
【0082】
また、本開示の第2態様に係るボイラシステムは、上記第1態様において、前記バーナよりも燃焼ガス流れの下流側に設けられ、前記火炉内に空気を供給する空気供給部(25)を備え、前記ボイラは、前記燃焼ガス流通部に設けられ、燃焼ガスの熱を回収する熱交換器(102,103,104)を有し、前記アンモニア供給部は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記空気供給部よりも下流側であって前記熱交換器の上流側に供給する。
【0083】
空気供給部から空気が供給されることで、火炉内における燃料の燃焼が激しくなるので、より空気が消費される。したがって、空気供給部の下流側の空間は、空気供給部の上流側の空間と比較して、酸素濃度が低い。上記構成では、アンモニア供給部は、燃料供給系統から排出されたアンモニアを空気供給部よりも下流側に供給する。したがって、酸素濃度が低い空間にアンモニアを供給することができるので、より好適に燃焼ガス中に含まれるNOxを還元することができる。
また、熱交換器は熱を回収するので、熱交換器の上流側の空間は、熱交換器の下流側の空間と比較して、燃焼ガスの温度が高い。上記構成では、アンモニア供給部は、燃料供給系統から排出されたアンモニアを熱交換器よりも上流側に供給する。これにより、流通する燃焼ガスの温度が高い空間(例えば、燃焼ガスの温度が1000℃程度の空間)にアンモニアを供給することができるので、より好適に燃焼ガス中に含まれるNOxを還元することができる。
【0084】
また、本開示の第3態様に係るボイラシステムは、上記第1態様または第2態様において、前記燃焼ガスを脱硝する脱硝装置を備え、前記アンモニア供給部は、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記脱硝装置よりも上流側に供給する。
【0085】
本開示の第1態様に係る燃焼システムの運転方法は、前記燃焼システムは、アンモニアを燃焼させて火炉(11)内に火炎を形成するバーナ(21D)と、前記火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス流通部(12)と、前記バーナへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統(210)と、前記アンモニア燃料供給系統に対して、前記アンモニア燃料供給系統からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガス供給部(221)と、を有し、前記アンモニア燃料供給系統から排出されたアンモニアを前記ボイラの前記燃焼ガス流通部の内部へ供給するアンモニア供給工程を備える。
【符号の説明】
【0086】
10 :ボイラ
11 :火炉
12 :燃焼ガス通路
13 :煙道
20 :燃焼装置
21 :バーナ
22 :燃料供給管
23 :風箱
24 :風道
25 :アディショナル空気ポート(空気供給部)
26 :アディショナル空気ダクト
27 :バーナ弁
31 :燃料供給部
32 :押込通風機
41 :ガスダクト
42 :空気予熱器
43 :脱硝装置
44 :集じん装置
46 :脱硫装置
47 :煙突
51 :アンモニアノズル
52 :NOx検出部
53 :アンモニア検出部
100 :ボイラシステム
100A :ボイラシステム
101 :火炉壁
102 :過熱器
103 :再熱器
104 :節炭器
200 :制御装置
202 :アンモニア制御部
210 :アンモニア燃料供給系統
210a :燃料供給ライン
210b :循環ライン
211 :アンモニア燃料タンク
212 :ポンプ
213 :加熱器
214 :開閉弁
215 :制御弁
216 :開閉弁
220 :アンモニア供給系統
220A :アンモニア供給系統
221 :パージガスライン
221a :パージガス弁
222 :第1ベントライン
222A :第1ドレンライン
222a :第1ベント弁
222aA :第1ドレン弁
223 :第2ベントライン
223A :第2ドレンライン
223a :第2ベント弁
223aA :第2ドレン弁
224 :第3ベントライン
224A :第3ドレンライン
224a :第3ベント弁
224aA :第3ドレン弁
225 :第4ベントライン
225A :第4ドレンライン
225a :第4ベント弁
225aA :第4ドレン弁
226 :アンモニア回収タンク
226A :アンモニア回収タンク
227 :アンモニア排出ライン
227A :アンモニア排出ライン
227a :制御弁
228 :アンモニア供給ライン
228A :アンモニア供給ライン
228a :ファン
228aA :ポンプ
228b :流量センサ
228bA :制御弁
228c :制御弁
228d :開閉弁
【要約】
【課題】燃料供給系統から排出されたアンモニアを、簡素な構造で適切に再利用することを目的とする。
【解決手段】燃焼システムは、アンモニアを燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナ21Dと、火炉で生成された燃焼ガスが内部を流通する燃焼ガス通路と、バーナ21Dへアンモニアを燃料として供給するアンモニア燃料供給系統210と、アンモニア燃料供給系統210に対して、アンモニア燃料供給系統210からアンモニアを排出させるパージガスを供給するパージガスライン221と、アンモニア燃料供給系統210から排出されたアンモニアを燃焼ガス通路の内部へ供給するアンモニア供給系統220と、を備える。
【選択図】
図2