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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】膣拡張器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/42 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A61B17/42
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023073817
(22)【出願日】2023-04-27
(65)【公開番号】P2023174544
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】111119674
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514049726
【氏名又は名称】奇美醫療財團法人奇美醫院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】程 葦倫
(72)【発明者】
【氏名】徐 英倫
(72)【発明者】
【氏名】邱 俊霈
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516244(JP,A)
【文献】特表2017-534395(JP,A)
【文献】特表2017-513620(JP,A)
【文献】特表2019-508096(JP,A)
【文献】特表2020-507401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0224321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0281149(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0190558(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374786(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106963333(CN,A)
【文献】中国実用新案第205549205(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの長軸と短軸を有する長方形のシートである螺旋本体であって、第1側面と、第2側面と、係合と、固定座と、複数の位置決め座とを備え、前記第1側面及び前記第2側面は前記長方形のシートの対向する両面であり、且つ、前記長軸と前記短軸により規定される平面と平行し、前記係合は、前記短軸に沿って形成され且つそれぞれ前記第1側面、前記第2側面に隣接し、前記固定座と前記複数の位置決め座は、前記第1側面に設けられ、前記固定座は前記第1側面の前記係合に隣接する側に近い箇所に位置し、前記複数の位置決め座は、前記短軸に沿って前記第1側面の前記係合面から離れる側に設置される螺旋本体と、
ロック端と、作端とを有する制御棒であって、ロック端と操作端はそれぞれ前記制御棒の2つ末端に設置され、前記ロック端は、前記固定座にロックされる制御棒と
を含み、
前記制御棒は、前記螺旋本体が螺旋状に巻かれるよう制御し、前記係合を前記複数の位置決め座の1つに係止させることを特徴とする膣拡張器。
【請求項2】
前記係合は、前記螺旋本体と反対して突出する円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の膣拡張器。
【請求項3】
前記複数の位置決め座は、前記長軸に沿って前記第1側面に等間隔に設けられることを特徴とする請求項1に記載の膣拡張器。
【請求項4】
前記複数の位置決め座の断面はL字状であり、且つ前記複数の位置決め座はそれぞれ、第1側縁と、接続された第2側縁とを含み、前記複数の第1側縁は、それぞれ、前記第1側面に接続されることを特徴とする請求項1に記載の膣拡張器。
【請求項5】
前記複数の位置決め座には、それぞれ、シリコーンゴム層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の膣拡張器。
【請求項6】
前記螺旋本体には、照明ユニットが組み付けられることを特徴とする請求項1に記載の膣拡張器。
【請求項7】
前記制御棒の前記操作端には、滑り止め層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の膣拡張器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査ツールに関し、特に、婦人科の膣検査用膣拡張器である。
【背景技術】
【0002】
現在、産婦人科の検査操作で最もよく用いられるのは膣拡張器であり、上・下拡張板型のいわゆるダックビル拡張器は膣検査で最も一般的なツールである。しかしながら、このような検査ツールを使用する時には、拡張板が膣の上壁と下壁だけを支持し、側壁に対して保護及び阻止する効果がなく、また、膣手術時にニードル状の器械は膣の側壁組織を傷付けてしまいやすいだけでなく、余分な側壁組織が上と下拡張板の間の隙間に落ちると術野を遮る恐れがある。
【0003】
現在、従来の膣検査ツールに対する改良として、金属板の幅を広げるものや、複層構造が挙げられる。改善として認められるが、根本的な問題を解決できず、膣に入れるのがさらに難しくなる。他にも、検査ツールの一部構造をエアバッグに改良する態様があるが、手術時にニードル状の器械がエアバッグを損傷しやすいため、操作上好ましくない。特に検査中に積液などが発生する場合、直ちに排除できない可能性があるため、検査中には間接的に患部の判断に影響を与える。したがって、本発明者らは、従来の欠点の解消に向け、鋭意検討を行い、操作しやすい膣拡張器を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点に対して膣拡張器を提供し、それは操作しやすいだけでなく、その視野が拡大され且つ膣壁を保護するため、安全性が向上しており、また、検査又は手術によって必要な補助部品を選択的に設置することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するために、螺旋本体と、制御棒とを含む膣拡張器を提供する。当該螺旋本体は、長方形のシートであり、且つ当該螺旋本体は、第1側面と、第2側面と、係合縁と、固定座と、複数の位置決め座とを含み、当該第1側面及び当該第2側面は、長軸に沿って形成され且つ互いに対向して設けられ、当該係合縁は、短軸に沿って形成され且つそれぞれ当該第1側面、当該第2側面に隣接し、且つ当該固定座は、当該第1側面に設けられ且つ当該係合縁に隣接し、当該複数の位置決め座は、その短軸に沿ってそれぞれ、当該固定座の他端に対向する当該第1側面に設けられる。当該制御棒は、ロック端と、対向して設けられる操作端とを有し、当該ロック端は、当該固定座にロックされ、当該制御棒は、当該螺旋本体が螺旋状に巻かれるよう制御し、当該係合縁を当該複数の位置決め座の1つに係止させる。
【0006】
さらに、当該係合縁は、円弧状である。
【0007】
さらに、当該複数の位置決め座は、当該第1側面に等間隔に設けられる。
【0008】
さらに、当該複数の位置決め座の断面はL字状であり、且つ当該複数の位置決め座はそれぞれ、第1側縁と、接続された第2側縁とを含み、当該複数の第1側縁は、それぞれ、当該第1側面に接続される。
【0009】
さらに、当該複数の位置決め座には、それぞれ、シリコーンゴム層が設けられる。
【0010】
さらに、当該螺旋本体には、照明ユニットが組み付けられる。
【0011】
さらに、当該制御棒の当該操作端には、滑り止め層が設けられる。
【発明の効果】
【0012】
したがって、本発明は、従来技術と比べて以下の有益な効果を備える。
本発明の膣拡張器は、制御棒を利用して螺旋本体が略螺旋状になるよう制御し、係合縁を複数の位置決め座の1つに固定することにより、膣拡張器は管径を拡大させることで膣を押し開くことができ、膣拡張器は、制御棒を利用して対応する複数の位置決め座の1つに係止させることができ、その管径の大きさを調整しやく、また、膣の中で不要な視野干渉が生じるのを避けることができ、膣の内壁を保護して手術で傷付けてしまうのを避けることができ、また、膣拡張器に通常の補助器具を組み合わせて使用して、検査又は手術中の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の膣拡張器の立体的組立模式図である。
図2図2は、本発明の膣拡張器の立体的分解模式図である。
図3】~
図6図3図6は、本発明の膣拡張器の使用操作状態の模式図である。
図7A図7Aは、本発明の膣拡張器の照明ユニットを組み付けられた使用状態の模式図である。
図7B図7Bは、図7AのA-A線に沿う部分断面模式図である。
図8図8は、本発明の別の膣拡張器の側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の構造特徴及び操作方式についていくつかの好ましい実施形態を挙げ、審査官にご参照いただくよう、図面を参照しながら説明する。ただし、当該複数の実施形態は、本発明の技術内容の説明に供するもので、本発明の特許請求範囲を限定する意図はない。
【0015】
本発明の技術については、図1図6が参照されるとおり、本発明は、膣拡張器100を提供し、膣拡張器100は、螺旋本体10と、制御棒20とを含み、
螺旋本体10は、長軸及び短軸を有する長方形のシートであり、螺旋本体10は、第1側面11と、第2側面12と、係合縁13と、固定座14と、複数の位置決め座15とを含み、第1側面11及び第2側面12は、長軸に沿って形成され且つ互いに対向して設けられ、係合縁13は、その短軸に沿って形成され且つそれぞれ、第1側面11、第2側面12に隣接し、且つ係合縁13は、円弧状であり、固定座14は、第1側面11に設けられ且つ係合縁13に隣接し、複数の位置決め座15は、その短軸に沿って、それぞれ、固定座14の他端に対向する第1側面11に設けられ、且つ複数の位置決め座15は、第1側縁151と、接続された第2側縁152とを含み、これによって複数の位置決め座15の断面は、L字状であり、複数の第1側縁151は、それぞれ、第1側面11に接続され、また図7Bが参照されるとおり、螺旋本体10又は複数の位置決め座15には、それぞれ、シリコーンゴム層16が設けられ、本実施例で複数の位置決め座15は、第1側面11に等間隔に設けられ、ただしこの形態には限定されない。
制御棒20であって、図1及び図2が参照されるとおり、制御棒20は、ロック端21と、対向して設けられる操作端22とを有し、ロック端21は、固定座14にロックされ、且つ制御棒20の操作端22には、滑り止め層23が設けられる。
制御棒20は、螺旋本体10が螺旋状に巻かれるよう螺旋本体10を制御し、係合縁13を複数の位置決め座15の1つに係止させることで所定の管径とし、また、医療従事者は、ニーズに応じて照明ユニット30を螺旋本体10に設けることができ、照明ユニット30が第1側面11から照明できるようにすることができる。
【0016】
これによって、図3図6が参照されるとおり、医療従事者は、膣拡張器100を患者の膣壁に設置した後、膣拡張器100の管径を調整して大きくする必要がある時に、また、図4が参照されるとおり、医療従事者は、制御棒20で螺旋本体10を制御してその係合縁13を、係止して固定させられた位置決め座15から脱出させ、また、図5及び図6が参照されるとおり、医療従事者は、ニーズに応じて係合縁13を所定の管径に対応する別の位置決め座15に係止して固定させ、また、照明が足りない時には、図7A及び図7Bが参照されるとおり、医療従事者は、照明ユニット30を螺旋本体10に固定し、照明ユニット30に螺旋本体10の第1側面11で所定の明るさを提供させることができ、且つ図7Bから分かるように、螺旋本体10にはシリコーンゴム層16が設けられるため保護機能がある。
【0017】
また、図8が参照されるとおり、本発明の別の実施例の膣拡張器100である。その主な構造及び機能は、前述した膣拡張器100とほぼ同じである部分を省略し、その主な相違は螺旋本体10を膣壁に入れる端において、螺旋本体10の長軸に沿って面取り縁17を形成させることであり、これによって、面取り縁17により膣拡張器100を入れる時に膣壁には擦り傷など不要な干渉を与えずに済む。
【0018】
上記から分かるように、本発明の膣拡張器100は、制御棒20を利用して螺旋本体10が略螺旋状に捲回されるよう制御し、係合縁13を所定の管径の大きさに応じて複数の位置決め座15の1つに固定させることにより、膣拡張器100は管径を拡大させることで膣を押し開くことができ、膣拡張器100は、制御棒20を利用して対応する複数の位置決め座15の1つに係止して固定させることができ、その管径の大きさを調整しやく、また、膣の中で不要な視野干渉が生じるのを避けることができ、膣の内壁を保護して手術で傷付けてしまうのを避けることができ、膣拡張器100に通常の補助器具を組み合わせて使用して、検査又は手術中の利便性を向上させることができる。
【0019】
上記で本発明の内容を詳細に説明しており、ただし上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、これをもって本発明の実施の範囲が限定されるわけではなく、本願の請求範囲に基づいて均等な変化及び修飾が行われる場合、そのいずれも本発明の請求範囲に入る。
【符号の説明】
【0020】
100 膣拡張器
10 螺旋本体
11 第1側面
12 第2側面
13 係合縁
14 固定座
15 位置決め座
151 第1側縁
152 第2側縁
16 シリコーンゴム層
17 面取り縁
20 制御棒
21 ロック端
22 操作端
23 滑り止め層
30 照明ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8