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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】排水接続構造、排水継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/07 20060101AFI20240527BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240527BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20240527BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20240527BHJP
【FI】
F16L55/07 E
E03C1/12 E
F16L33/00 B
F24H9/16 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023138047
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2020174879の分割
【原出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2023164884
(43)【公開日】2023-11-14
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松村 良太
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-090437(JP,A)
【文献】特開2005-240345(JP,A)
【文献】特開2000-065260(JP,A)
【文献】特開2018-146003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 51/00 - 55/48
F16L 29/00 - 35/00
E03C 1/12 - 1/33
F24H 9/16 - 9/189
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水の生じる機器と、前記機器から排出される排水を受ける排水継手と、前記排水継手の下流側に接続されるフレキシブル管と、から構成され、
前記排水継手は、前記機器からの前記排水を通過させ、かつ、前記排水とは逆方向に流れようとする逆流水を外部へ流出させる継手本体と、前記継手本体に着脱可能なアダプタ部と、を備え、
前記継手本体は、前記排水の流れを基準とした下流側端部に、パイプを内嵌めにより接続できる配管接続部を有し、
前記配管接続部には、前記アダプタ部が着脱可能であり、
前記アダプタ部における下流側端部に、前記フレキシブル管が有する袋ナットが接続されるねじ部が設けられており、
前記配管接続部には、
前記アダプタ部が取り付けられない状態で、前記排水を通過させる排水管である前記パイプを直接接続でき、
前記アダプタ部が取り付けられた状態で、前記排水管である前記パイプを、当該パイプの上流側に取り付けられた前記フレキシブル管及び前記アダプタ部を介して接続できる排水接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の排水接続構造を構成する排水継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続された機器から排出される排水を通過させる排水接続構造、及び、この排水接続構造を構成する排水継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の排水継手(当該文献では「接続装置」)が存在する。この排水継手は、間接排水継手として構成された継手本体と、継手本体の内部への異物侵入を規制すべく継手本体に装着されたカバー体と、継手本体に装着されるとともに接続対象である機器に接続されるコネクタ部材と、継手本体に接着されるとともに継手を介して機器に間接的に接続される管状部材とを備える。
【0003】
継手本体の、機器とは反対側の端部である排水部には、排水管が接続される。特許文献1の記載からは明らかではないが、排水部に対する排水管の接続は接着によりなされる。
【0004】
ここで、配管の伸縮に対応して接続の自由度を高めるため、排水管の一部にフレキシブル管(通称「フレキ管」、「フレキ配管」)が用いられている。フレキシブル管において接続に用いられる端部には袋ナットが設けられており、この袋ナットを接続対象物のねじ山にねじ込むことによって接続がなされる。しかし、特許文献1の排水継手では、排水部にフレキシブル管を直接取り付けることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-90437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、フレキシブル管を直接取り付けて構成される排水接続構造、及び、この排水接続構造を構成する排水継手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排水の生じる機器と、前記機器から排出される排水を受ける排水継手と、前記排水継手の下流側に接続されるフレキシブル管と、から構成され、前記排水継手は、前記機器からの前記排水を通過させ、かつ、前記排水とは逆方向に流れようとする逆流水を外部へ流出させる継手本体と、前記継手本体に着脱可能なアダプタ部と、を備え、前記継手本体は、前記排水の流れを基準とした下流側端部に、パイプを内嵌めにより接続できる配管接続部を有し、前記配管接続部には、前記アダプタ部が着脱可能であり、前記アダプタ部における下流側端部に、フレキシブル管の袋ナットが接続されるねじ部が設けられており、前記配管接続部には、前記アダプタ部が取り付けられない状態で、前記排水を通過させる排水管である前記パイプを直接接続でき、前記アダプタ部が取り付けられた状態で、前記排水管である前記パイプを、当該パイプの上流側に取り付けられた前記フレキシブル管及び前記アダプタ部を介して接続できる排水接続構造である。
【0008】
また本発明は、前記排水接続構造を構成する排水継手である。
【0009】
これらの構成によれば、前記排水接続構造にて、継手本体の下流側端部にねじ部を有することから、このねじ部にフレキシブル管の袋ナットを接続することができる。
【0010】
また、配管接続部に取り付けられたアダプタ部にフレキシブル管の袋ナットを接続することができる。また、アダプタ部を取り外した配管接続部にパイプを接続することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、排水接続構造において、継手本体の下流側端部に有するねじ部にフレキシブル管の袋ナットを接続することができる。よって、フレキシブル管を直接取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る排水継手の斜視図である。
図2】同排水継手の使用状態を表す図である。
図3】同排水継手の分解斜視図である。
図4】同排水継手の径方向中心を通る縦断面図である。
図5】同排水継手における継手本体の底面図である。
図6】(a)は、同排水継手のアダプタ部を表す正面図である。(b)は、(a)に示すVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る排水継手1について説明する。なお、以下における上下方向の表現は、排水継手1の使用状態(図2参照)における上下方向に対応している。排水継手1において、排水は上方から下方に流れる。つまり、排水の流れを基準とした上流側が排水継手1の上側であって、排水の流れを基準とした下流側が排水継手1の下側である。
【0014】
本実施形態に係る排水継手1は、「間接排水継手」と呼ばれる種類の継手である。図1に示すように、排水継手1は、機器側接続部2と、継手本体3と、アダプタ部(排水側接続部)4と、を備える。排水継手1は、例えば図2に示すように、上側が排水の生じる機器Hが有する排水部H1またはこの排水部H1に接続された配管(以下、これらをまとめて「機器等」とする)に接続されており、下側が排水設備に連通する配管である排水管Pに接続されている。排水継手1のうち少なくとも継手本体3は、内部に形成されている流路(図4図5に示す排水領域S1及び漏水領域S2に対応した流路)が上下方向を向くように配置される。継手本体3の向きは基本的には鉛直方向であるが、場合によっては傾斜させて配置することもできる。機器Hは排水が生じる種々の機器が該当する。例えば、衛生上の配慮が必要な機器や設備であって、排水設備に直接接続することが好ましくない機器や設備であって、潜熱回収型給湯器が一例として挙げられる。
【0015】
機器側接続部2は、上側が機器等に接続され、下側が継手本体3に接続され、内部を排水が通水可能なよう構成されている。機器側接続部2は、円筒形状の機器側通水部21と、継手本体3に係合可能な機器側取付部22と、を備える。本実施形態の機器側通水部21は、外周面から径外側に突出する、複数のリブ211を備える。
【0016】
機器側通水部21は、上側に設けられ、機器等に対して係合する機器側係合部212と、下側に設けられ、下端部が継手本体3の内部に挿入される機器側内挿部213と、を備える。機器側係合部212は、内周面に雌ねじのねじ山を有するねじ部212aが形成された円筒形状の部位であり、機器等に設けられる雄ねじに対して螺合可能である。
【0017】
機器側取付部22は、略円筒形状の取付基部221と、取付基部221の下端部の内周面から径内側に突設される機器側係合爪222と、を備える。機器側係合爪222は複数設けられており、本実施形態では、取付基部221の周方向に略180度離隔して1対設けられる。さらに、取付基部221の外周面には、複数の平面が形成されている。本実施形態の取付基部221の外周面は、横断面で多角形状に形成されている。取付基部221の外周面にはスパナ等の工具を係合させることができる。
【0018】
継手本体3は、外観が円筒状で、継手本体3の内外を仕切る外壁の一部に開口332aが形成された部位である。また、継手本体3は、上端部から排水が流入し、下端部から排水が流出するように構成される。図3に示すように、継手本体3は、上端部に形成され機器側接続部2と嵌合可能な機器側嵌合部31と、下端部に形成されアダプタ部4と嵌合可能な排水側嵌合部32と、機器側嵌合部31及び排水側嵌合部32を連結する間接排水部33と、を備える。この構成により、継手本体3は、接続された機器等から排出される排水(図4に示す経路R1、R2で下方に流れる排水)を通過させ、かつ、前記排水とは逆方向に流れようとする逆流水(図4に示す経路R3で上方に流れようとする逆流水)を開口332aから外部へ流出させる。
【0019】
機器側嵌合部31は、機器側接続部2が係合可能な部位である。また、機器側嵌合部31は、外径が機器側接続部2における取付基部221の内径よりも小さく、機器側係合爪222の内径よりも大きい筒状の部位である。即ち、機器側嵌合部31は、取付基部221を外嵌め可能で、取付基部221を外嵌めしたときに機器側接続部2における機器側係合爪222が係止する部位である。具体的に、機器側嵌合部31は、機器側係合爪222が係合可能な機器側溝部311と、上端部から機器側溝部311まで機器側係合爪222をガイドする溝である機器側ガイド部312と、を備える。本実施形態の機器側溝部311は、機器側嵌合部31の周方向に1周に亘って設けられる。また、機器側ガイド部312は、機器側接続部2に形成された、機器側係合爪222が嵌合可能な窪みである。
【0020】
排水側嵌合部32は、アダプタ部4が係合可能な部位である。また、排水側嵌合部32は、外径がアダプタ部4における嵌合筒部411の内径よりも小さい筒状の部位である。即ち、排水側嵌合部32は、嵌合筒部411を外嵌め可能で、嵌合筒部411を外嵌めしたときにアダプタ部4における排水側係合爪412が係止する部位である。具体的に、排水側嵌合部32は、排水側係合爪412が係合可能な排水側溝部321と、下端部から排水側溝部321まで排水側係合爪412をガイドする溝である排水側ガイド部322と、を備える。本実施形態の排水側溝部321は、周方向の長さが排水側係合爪412の周方向の長さと略等しい。また、本実施形態の排水側溝部321は複数設けられており、本実施形態では、排水側嵌合部32の周方向に略180度離隔して2か所に設けられている。さらに、排水側ガイド部322は、アダプタ部4に形成された排水側係合爪412が嵌合可能な窪みである。
【0021】
間接排水部33は、機器側嵌合部31と排水側嵌合部32を連結する筒状の部位である。具体的に、間接排水部33は、継手本体3の内外を仕切る外壁である排水壁部331と、継手本体3の外壁であって、内外を連通する開口332aが形成された漏水壁部332と、を備える。
【0022】
排水壁部331は、継手本体3の内外を通水不能に仕切る壁体である。即ち、排水壁部331は、開口が形成されていない壁体である。漏水壁部332は、継手本体3の壁体であって、継手本体3の内外を連通する通水可能な開口332aが形成されている。本実施形態の開口332aは、周方向(横方向)に延びる複数のスリットが集合して形成されている。なお、各開口332aの形状は本実施形態の形状に限定されず、逆流水の排出を阻害しない種々の形状を採用できる。
【0023】
継手本体3の内部には仕切壁34が設けられている。本実施形態では、継手本体3における外周部分(図3の外観に現れる部分)と一体に形成されている(図5参照)。ただし、前記外周部分に対して仕切壁34が別体に形成されており、嵌め込み等で一体化されることもできる。仕切壁34は、径方向の一端及び他端が排水壁部331に接続され、排水壁部331と漏水壁部332との間を仕切る壁体である。また、排水壁部331と仕切壁34によって画定される領域は、上側から下側に向かって排水が移動する排水領域S1であり、漏水壁部332と仕切壁34によって画定される領域は、下側から上側に向かって逆流した逆流水が開口332aから継手本体3の外部に漏れる漏水領域S2である。さらに、仕切壁34は、排水が排水領域S1から漏水領域S2に通過しないように、排水壁部331と漏水壁部332との間を仕切る。
【0024】
図5に示すように、仕切壁34は、継手本体3の径方向に沿って延びる平坦な壁体である平坦壁部341と、周方向に沿って延びるように湾曲した湾曲壁部342と、を備える。湾曲壁部342には、排水領域S1と漏水領域S2を連通する連通口343が上下方向に延びるように形成される。
【0025】
アダプタ部4は、上端側が継手本体3に、下端側が排水管Pに接続され、内部を排水が通水可能なよう構成されている。具体的に、図6(a)(b)に示すように、アダプタ部4は、上端部に設けられ、継手本体3の他端側に係合する排水側取付部41と、下端部に設けられ、排水管Pに接続されているフレキシブル管Fに係合する配管係合部42と、排水側取付部41及び配管係合部42を連結する連結部43と、を備える。
【0026】
図6(b)に示すように、排水側取付部41は、継手本体3の下端部に対して係合する筒状の部位である。具体的に、排水側取付部41は、筒状の嵌合筒部411と、嵌合筒部411の上端部の内周面から径内側に突出する排水側係合爪412と、を備える。本実施形態の排水側取付部41は、継手本体3の下端部に対して外嵌めされて継手本体3と係合する。即ち、本実施形態の嵌合筒部411は、継手本体3の排水側嵌合部32に対して外嵌め可能である。また、排水側係合爪412は複数設けられており、本実施形態では、嵌合筒部411の周方向に略180度離隔して1対設けられる。さらに、嵌合筒部411の外周面には、複数の平面が形成されている。本実施形態の嵌合筒部411の外周面は、横断面で多角形状(より具体的にはナットに類似する形状である六角形状)に形成されていて、この外周面が袋ナットF1を接続する際に用いる、スパナ等の工具を係合させる工具係合部となっている。
【0027】
配管係合部42は、配管等に係合して、アダプタ部4と配管等を連結する。具体的に、配管係合部42は、筒状で、外周面に配管等と係合可能な部位を備え、配管係合部42の内部は通水可能なように構成されている。本実施形態の配管係合部42は、外周面に雄ねじのねじ山を有するねじ部42aを備える。即ち、本実施形態の配管係合部42は、外周面が配管等と螺合し、内部を水が通れるように構成されている。ねじ部42aには、フレキシブル管Fの袋ナットF1が螺合されることで接続される。
【0028】
連結部43の内側底面431は、排水継手1の使用状態で、径外位置から径内位置に向かうにつれ低くなる傾斜面とされている。このようにアダプタ部4の内側底面431が傾斜面を有することで、排水が傾斜面に沿って流れ、アダプタ部4において滞りなく排水できる。本実施形態では、内側底面431の全体が傾斜面とされているが、これに限られず、例えば内側底面431において排水の当たる領域だけを傾斜面とすることもできる。
【0029】
次に、排水継手1の内部での水の移動について図4を用いて説明する。機器等から排出される排水は、重力によって移動(落下)し、機器側接続部2を通って継手本体3に移動する。継手本体3に移動した排水は、排水領域S1を通ってアダプタ部4に移動(落下)する。具体的に、継手本体3に移動した排水のうち、排水壁部331寄りの位置の排水はそのまま重力に従って移動し(経路R1)、漏水壁部332寄りの位置の排水は、仕切壁34において傾斜して形成された上端部によって排水壁部331寄りの位置に誘導され、排水領域S1を重力に従って移動する(経路R2)。排水領域S1からアダプタ部4に移動した排水は、アダプタ部4の内部を移動して排水管Pに向かい排出される。
【0030】
排水管Pから機器側に向かって逆流しようとする逆流水は、アダプタ部4を通って継手本体3に移動する。漏水壁部332まで逆流した逆流水は、開口332aから継手本体3の外側に漏れ出す(経路R3)。よって、逆流水が機器等に到達することを防止できる。具体的に、排水領域S1よりも漏水領域S2の方が、開口332aが存在するため、通水抵抗が小さい。このため、逆流水は、S1ではなくS2に流れ、開口332aから継手本体3の外側に漏れ出す。逆流水が継手本体3の外側に漏れ出すため、排水の逆流による機器Hの停止や故障を防止できる。
【0031】
次に、本実施形態の排水継手1を用いて排水構造を構築する方法について説明する。この方法は、排水の生じる機器Hが有する排水部H1に排水継手1を接続した上で、排水継手1における下流側端部に、フレキシブル管Fの袋ナットF1を接続する方法である。以下に工程順に説明する。
【0032】
図4に示すように、排水継手1は、継手本体3の上端部に機器側接続部2を嵌め、下端部にアダプタ部4を嵌めることで、組み立てられる。具体的に、機器側接続部2は、機器側嵌合部31に嵌められ、アダプタ部4は、排水側嵌合部32に嵌められる。ちなみに、継手本体3には、直接排水管P(樹脂管等)が取り付けられる場合があるため、継手本体3へのアダプタ部4の取り付けは、機器等の設置現場で行うことができる。なお、継手本体3に直接排水管Pが取り付けられる場合、継手本体3にアダプタ部4は取り付けられない。
【0033】
機器側接続部2を継手本体3に嵌める際には、機器側内挿部213を機器側嵌合部31の内部に挿入し、取付基部221を機器側嵌合部31に外嵌めする。即ち、機器側嵌合部31の外壁を、取付基部221と機器側内挿部213によって画定される空間に挿入する。具体的には、機器側係合爪222が機器側溝部311に嵌るまで、機器側係合爪222を機器側ガイド部312でガイドしつつ、機器側接続部2を継手本体3の上側から下側に移動させる。機器側係合爪222が機器側溝部311に嵌ると、機器側係合爪222と機器側溝部311が係合して、機器側接続部2の上側への移動が規制される。また、機器側溝部311は、継手本体3の周方向に1周に亘って設けられるので、機器側係合爪222は、機器側溝部311に沿って周方向に移動することができるため、機器側接続部2は、継手本体3に対して継手本体3の軸線方向を軸として相対的に回転可能である。
【0034】
アダプタ部4を継手本体3に嵌める際には、排水側取付部41を排水側嵌合部32に外嵌めする。即ち、排水側嵌合部32を嵌合筒部411の内側に挿入する。具体的には、排水側係合爪412が排水側溝部321に嵌るまで、排水側係合爪412を排水側ガイド部322でガイドしつつ、アダプタ部4を継手本体3の下側から上側に移動させる。一方の排水側係合爪412が一方の排水側溝部321に、他方の排水側係合爪412が他方の排水側溝部321に嵌ると、排水側係合爪412と、排水側溝部321のそれぞれが係合して、アダプタ部4の下側への移動及び継手本体3に対する回転が規制される。
【0035】
図2に示すように、排水継手1は機器等と排水設備との間に取り付けられる。本実施形態の排水継手1は機器Hに対して直接取り付けられる。さらに、排水継手1は、軸線方向一端側が上側に、他端側が下側になるように機器H(例えば潜熱回収型給湯器)に取り付けられる。
【0036】
排水継手1は、機器側係合部212を機器等に対して係合することで機器等に取り付けられる。具体的に、機器等の排水部H1に設けられた雄ねじ(図示しない)と機器側係合部212に形成された雌ねじであるねじ部212aとを螺合することで、機器側係合部212と機器等とが係合して、排水継手1が機器等に接続される。本実施形態の機器側接続部2は、継手本体3に対して継手本体3の軸線方向を中心軸として相対回転可能であるので、機器等に螺合する際に、機器側接続部2のみを回転させることができるため、機器等に対して螺合しやすく、機器等への接続が容易である。また、継手本体3を機器側接続部2に対して相対回動させることで、開口332aの向きを任意の向きにすることができる。さらに、機器側係合部212の外周面にはリブ211が設けられているため、例えばリブ211に指をかけることができるので、機器側接続部2を回転させる操作がしやすい。
【0037】
また、排水継手1の下端部には、排水設備に連通する配管等が取り付けられる。本実施形態の排水継手1は、排水設備に連通する排水管Pにフレキシブル管Fを介して取り付けられる。具体的には、配管係合部42にフレキシブル管Fの袋ナットF1を螺合することで、配管係合部42と他端が排水管Pに接続されたフレキシブル管Fを係合させ、排水継手1をフレキシブル管Fに接続する。袋ナットF1を配管係合部42に螺合する場合には、嵌合筒部411の外周面に形成された平面にスパナ等の工具を当て、継手本体3及びアダプタ部4を回転しないように押さえることで、袋ナットF1を回動させやすくなる。本実施形態の排水継手1では、アダプタ部4が継手本体3に対して接続されている(具体的には回転不能に接続されている)ため、袋ナットF1だけを回転させることができ、フレキシブル管Fへの接続が容易である。
【0038】
以上の方法によれば、排水継手1における下流側端部に、フレキシブル管Fの袋ナットF1を接続するため、例えば機器Hが有する排水部H1の中心位置H1Cと排水管Pの中心位置PCとの芯ずれをフレキシブル管Fが湾曲することにより吸収できる。このため、排水管Pに無理がかかることもない。よって、排水管Pの中心位置PCとの芯ずれに対応した排水構造を構築できる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0040】
例えば、継手本体3の外観形状は、円筒形であるとして説明したが、角筒状等種々の形状の筒状とすることができる。
【0041】
また、排水壁部331と漏水壁部332の数は1つずつに限定されず、複数ずつ備えることとしてもよい。この場合、仕切壁34も継手本体3の内部に複数設けられ、複数の排水壁部331と複数の漏水壁部332との間を仕切る。例えば、仕切壁34を横断面で十字形状とすることができる。
【0042】
さらに、前記実施形態の排水継手1はアダプタ部4を備えていたが、アダプタ部4を備えない構成としてもよい。この構成の場合、排水設備に連通する樹脂管(例えば塩ビ管)等のパイプが、例えば継手本体3の排水側嵌合部32の内部に挿入され、配管等の外周面と排水側嵌合部32の内周面を、接着剤の介在によって接着することで、排水継手1と配管等を内嵌めにより接続することができる。この場合、排水側嵌合部32はパイプに対しての配管接続部として機能する。
【0043】
このことにつき、前記実施形態では、ねじ部である配管係合部42がアダプタ部4の下流側端部に形成されていたので、継手本体3基準では、ねじ部が間接的に形成されていると言える。しかしアダプタ部4を備えない構成では、継手本体3の下流側端部にねじ部が形成されていてもよい。この場合、継手本体3基準では、ねじ部が直接的に形成されていると言える。
【0044】
また、機器側接続部2、継手本体3、アダプタ部4の3つの部分は、それぞれ別体であるとして説明したが、機器側接続部2及び継手本体3を一体として構成(言い換えると、継手本体3の一体不可分な一部として機器側接続部2が形成される)してもよいし、継手本体3及びアダプタ部4を一体として構成(言い換えると、継手本体3の一体不可分な一部としてアダプタ部4が形成される)してもよいし、機器側接続部2、継手本体3、アダプタ部4の全部を一体として構成(言い換えると、継手本体3の一体不可分な一部として機器側接続部2及びアダプタ部4が形成される)してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 排水継手
2 機器側接続部
212a 機器側接続部のねじ部
3 継手本体
32 配管接続部、排水側嵌合部
4 アダプタ部、排水側接続部
411 嵌合筒部(工具係合部)
42 ねじ部、配管係合部
42a 配管係合部のねじ部
431 内側底面
F フレキシブル管
F1 袋ナット
H 機器
H1 機器の排水部
図1
図2
図3
図4
図5
図6