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特許7494366ロータリーエンコーダ及びそれを含むサーボコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ロータリーエンコーダ及びそれを含むサーボコントローラ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20240527BHJP
   G01D 5/244 20060101ALI20240527BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20240527BHJP
【FI】
G01D5/245 W
G01D5/244 E
H02K11/215
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023145333
(22)【出願日】2023-09-07
【審査請求日】2023-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508069512
【氏名又は名称】デルタ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 純一
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-21681(JP,A)
【文献】特開2018-59875(JP,A)
【文献】特開平8-136558(JP,A)
【文献】特開2020-51816(JP,A)
【文献】特開2021-24038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0130450(US,A1)
【文献】特開2017-191093(JP,A)
【文献】特開2019-211489(JP,A)
【文献】国際公開第2023/157601(WO,A1)
【文献】特開2021-21682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
B25J 1/00-21/02
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定されるマグネットと、前記マグネットに対向して配置された磁気センサの出力から前記回転軸の回転数、回転角度、回転方向に関する情報を生成する機能とを備えたロータリーエンコーダであって、
前記ロータリーエンコーダは、主電源と、大バルクハウゼン効果発電ユニットと、少なくとも前記大バルクハウゼン効果発電ユニットにより充電されるバックアップ電源を備えており、
前記磁気センサは、第1TMRセンサと第2TMRセンサを有しており、
前記磁気センサの出力であるサイン波、コサイン波のアナログ信号を、AD変換し、前記回転軸の前記回転角度、前記回転方向に関する、高分解能の1回転アブソリュート信号と高分解能の多回転アブソリュート信号の2系統の情報を含むデジタルデータを生成する、磁気センサ信号の処理ユニットを備え、
前記磁気センサと前記磁気センサ信号の処理ユニットとが搭載されたプリント基板が、円筒状のエンコーダハウジングに保持されており、
前記マグネットは、一組のN極領域とS極領域が形成された、平な表面と裏面を有する1個の円板状のマグネットであり、
前記第1TMRセンサは、前記回転軸の軸心(OS-OS)方向に前記マグネットの前記表面と間隙G1を介して前記マグネットに面する位置において、前記プリント基板上に設置され、
前記第2TMRセンサは、前記回転軸の前記軸心方向において前記プリント基板の前記マグネットに面する側とは反対側の面に配置されており、
前記大バルクハウゼン効果発電ユニットは、前記プリント基板に対して前記マグネットと同じ側において、前記円筒状のエンコーダハウジングの一部を凹設した収納部内に保持された1つの強磁性ワイヤ及び発電用コイルと、前記強磁性ワイヤの両端に接続された第1磁性板及び第2磁性板を備えており、
前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記強磁性ワイヤの両端から前記エンコーダハウジングの中空部に向けて、前記マグネットの前記平な表面を挟んで前記マグネットの両側面の外側まで、前記回転軸の前記軸心方向に直交する対称の軸(OmgR-OmgR)に沿って伸びており、
前記強磁性ワイヤと前記発電用コイル、及び前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記対称の軸(OmgR-OmgR)に沿って、前記回転軸の前記軸心方向において、前記マグネットと同じ高さに配置されており、
前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記マグネットの前記両側面に沿って離間して伸びており、前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記回転軸の前記軸心方向において、前記マグネットを挟んで、線対称の形状をなしていることを特徴とするロータリーエンコーダ。
【請求項2】
請求項1において、
前記磁気センサ信号の処理ユニットは、第1TMRセンサ信号の処理ユニット及び第2TMRセンサ信号の処理ユニットを備えており、
前記第1TMRセンサ信号の処理ユニット及び前記第2TMRセンサ信号の処理ユニットは、各々、前記高分解能の1回転アブソリュート信号と前記高分解能の多回転アブソリュート信号の2系統の情報を生成するように構成されていることを特徴とするロータリーエンコーダ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記高分解能の1回転アブソリュート信号は、前記磁気センサの出力に基づく、原点位置(Z)を基準とした前記回転軸の、1回転内の前記回転数、前記回転角度及び前記回転方向の情報を含んでおり、
前記高分解能の多回転アブソリュート信号は、前記磁気センサの出力に基づく、前記原点位置(Z)を基準とした前記回転軸の、前記回転数、前記回転方向、前記回転角度の情報を含んでいることを特徴とするロータリーエンコーダ。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記高分解能の1回転アブソリュート信号と前記高分解能の多回転アブソリュート信号の2系統の情報は、それらの最大のビット数が同じビット数の前記デジタルデータであることを特徴とするロータリーエンコーダ。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記第1磁性板及び前記第2磁性板の前記マグネット側の端は、前記マグネットを挟んで、解放端となっており、
前記第1磁性板及び前記第2磁性板の各先端は、先細り状に突出していることを特徴とするロータリーエンコーダ。
【請求項6】
請求項2において、
前記ロータリーエンコーダは、さらに、セーフティ制御ユニットを備えており、
前記セーフティ制御ユニットは、前記第1TMRセンサ、前記第2TMRセンサ、前記第1TMRセンサ信号の処理ユニット、及び前記第2TMRセンサ信号の処理ユニットの出力状態を監視し、それらのいずれかが故障した場合には、前記ロータリーエンコーダの動作を安全に停止させるために必要な処理を行うように構成されていることを特徴とするロータリーエンコーダ。
【請求項7】
制御対象のモータを備えたサーボコントローラであって、
前記モータは、請求項1又は2に記載の前記ロータリーエンコーダを備えていることを特徴とするサーボコントローラ。
【請求項8】
請求項7において、
複数の前記サーボコントローラが、これらの複数のサーボコントローラ(A~N)を制御する共通の上位制御システムに接続されており、
前記高分解能の1回転アブソリュート信号と前記高分解能の多回転アブソリュート信号の2系統の情報は、それらの最大のビット数が同じビット数の前記デジタルデータであり、
前記各サーボコントローラ(A~N)は、各々の対応する前記モータに関して、前記同じビット数の前記デジタルデータにより、前記主電源が正常な状態における通常運転、前記主電源が失われた電源停止時における、運転停止、再起動の処理を行うことを特徴とするサーボコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーエンコーダ及びそれを含むサーボコントローラに係り、特に、大バルクハウゼン効果発電ユニットを備えた磁気式アブソリュートエンコーダ及びそれを含むサーボコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーエンコーダは、回転電気機器で駆動される回転軸の角度位置や回転数に関する情報を生成するために使用される。エンコーダで検知された回転軸の角度位置や回転数に基づき、角度位置に関する高精度のアブソリュートデジタル信号やインクリメンタルデジタル信号を生成して出力し、これらの信号が、例えばエンコーダ付きのモータをサーボコントローラのサーボモータとして制御するのに用いられている。
一般に、ロータリーエンコーダでは、主電源の供給が絶たれた場合において、位置データ情報を失うことが無いようにバックアップ電源を備えている。このバックアップ電源には、例えば大バルクハウゼン効果を利用した発電装置やウイガントワイヤーを用いた発電装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、磁気センサと、演算手段と、主電源及び、主電源が遮断された場合に動作させるバックアップ電源を備え、通常時動作には高速・高精度で検出動作を行うことのできる主演算手段を用いて第1の1回転絶対値および第1の多回転値を算出でき、バックアップ時には低消費電力のバックアップ演算手段を用いて少なくとも第2の多回転値を算出し、検出動作をバックアップできるようにした、磁気式アブソリュートエンコーダが開示されている。
【0004】
特許文献2には、外部電源における停電を検出したときに所定の動作をロボットに行わせるための予備電源としてコンデンサやバッテリーを備えるときに、予備電源での電力消費量を少なくすることができ、電源復帰時の再起動や通常動作の再開が容易であるロボットの停止方法と、そのような停止方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、制動時に工具マガジンの伝動機構に作用する負荷を抑制することができる制御装置であって、停電の有無を判定する停電判定部と、前記停電判定部にて停電していると判定した場合、停電していない時の時定数よりも短い時定数で前記工具マガジンの減速を実行する減速部とを備えた制御装置が開示されている。この制御装置は、エンコーダを備えたマガジンモータを制御し、停電後、コンデンサ等の蓄電部に蓄積した電力が無くなるまでの間、例えば200msの間に、工具マガジンの減速処理を完了できるように構成されている。
【0006】
特許文献4には、電気信号発生部に、大バルクハウゼン効果を有する複合磁気ワイヤを採用した、光学式または磁気式の角度検出部を備えたエンコーダが開示されている。このエンコーダは、移動部の位置を検出する位置検出部と、前記移動部の移動方向に沿って複数の極性を持つ磁石と、前記移動部の移動に伴う磁界の変化によって磁気特性が変化する感磁性部と、前記磁石の磁束線を前記感磁性部に導くための第1磁性体と、前記感磁性部の磁気特性に基づいて電気信号を発生する電気信号発生部と、前記磁石と前記感磁性部との間に配置され、前記磁石の一つの極性の部分の磁束線を前記磁石の他の極性の部分に導くための第2磁性体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-180698号公報
【文献】特開2021-024038号公報
【文献】特開2023-095233号公報
【文献】WO2019/188859A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された磁気式アブソリュートエンコーダは、主電源からの電力供給が遮断された停電時には、電力供給源をバックアップ電源に切り替え、このバックアップ電源の電力消費を抑制するために、通常時動作時よりも精度の低い第2の多回転値のみが算出される。すなわち、停電時には、精度を落とした多回転値を制御に使用している。
【0009】
特許文献2の発明は、停電発生時に予備電源からの電力の消費量を低減しつつロボットのZ軸を安全に停止できるように構成されている。しかし、予備電源の電力量を、停電時にも増やすことについての記載はない。
特許文献3の発明は、停電用の蓄電部として、コンデンサ又は蓄電池を有する。この蓄電部は、停電時に所定時間、例えば少なくとも200ms、工作機械の駆動及び制御が可能な電力を蓄積する。蓄電部の電力量を、停電時にも増やすことについての記載はない。
【0010】
特許文献4に記載されたエンコーダの発電装置は、大バルクハウゼン効果を利用した発電部を備えているので、停電時にも、高精度のアブソリュートデジタル信号やインクリメンタルデジタル信号を生成し、かつ、十分な電力を確保する機能を有する。その半面、電気信号発生部に回転軸の周囲に配置された複数個の永久磁石を使用し、各永久磁石はN極とS極が軸方向に重ねて構成されている。そのため、装置が複雑で大型になっている。
【0011】
また、モータで駆動される被駆動体の速度が速やかに変化し、かつ、ゆっくり停止できるような、自在で滑らかな速度制御を可能にするためには、例えば27ビット等の高い分解能の位置・角度データ、すなわち、1回転アブソリュートデータと多回転アブソリュートデータが必要である。
しかし、市販されている多くのアブソリュートタイプのロータリーエンコーダでは、1回転アブソリュートデータの最大値のビット数が、多回転アブソリュートデータの最大値のビット数よりも大きくなっている。例えば、1回転アブソリュートデータが17bit、多回転アブソリュートデータが16bitのロータリーエンコーダが市販されている。また、1回転アブソリュートデータが24bit、多回転アブソリュートデータが16bitのロータリーエンコーダも市販されている。これは、多回転アブソリュートデータの生成に、消費電力量の多い、光学式のエンコーダが使用されていることと大きな関係があると考えられる。
【0012】
一方、ロボット等の産業用機械においては、多数のサーボモータが使用されており、これらのサーボモータを制御する複数のサーボコントローラは、上位のコントローラにより管理されるように構成されている。多数のサーボモータを一元的に、かつ、円滑に制御するためには、1回転アブソリュートデータの最大値のビット数と、多回転アブソリュートデータの最大値のビット数とが等しいのが望ましい。
【0013】
本発明の1つの課題は、磁気センサを使用して高精度のアブソリュートデジタル信号を生成すると共に、主電源からの電力供給が遮断された停電時に、モータ等の停止処理を円滑に行える電力を確保できる発電装置を備えた、ロータリーエンコーダを提供することにある。
本発明の他の課題は、1回転アブソリュート信号と前記多回転アブソリュート信号の2系統の情報を生成する機能を有するロータリーエンコーダを備えたサーボコントローラにおいて、主電源から電力が供給される通常運転時のみならす、主電源からの電力供給が遮断された停電時にも、制御を円滑に行えるサーボコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様によれば、回転軸に固定されるマグネットと、前記マグネットに対向して配置された磁気センサの出力から前記回転軸の回転角度、回転方向に関する情報を生成する機能とを備えたロータリーエンコーダであって、前記ロータリーエンコーダは、主電源と、大バルクハウゼン効果発電ユニットと、少なくとも前記大バルクハウゼン効果発電ユニットにより充電されるバックアップ電源を備えており、前記磁気センサは、TMRセンサであり、
前記磁気センサの出力であるアナログ信号を、AD変換し、前記回転軸の前記回転角度、前記回転方向に関する、1回転アブソリュート信号と多回転アブソリュート信号の2系統の情報を含むデジタルデータを生成する、磁気センサ信号の処理ユニットを備え、前記磁気センサ及び前記処理ユニットは、エンコーダハウジングに保持されており、前記TMRセンサは、前記エンコーダハウジングに保持されたプリント基板上でかつ前記マグネットに面する位置に設置され、前記マグネットは、一組のN極領域とS極領域が形成された1個の円板状のマグネットであり、前記大バルクハウゼン効果発電ユニットは、強磁性ワイヤ及び発電用コイルと、前記強磁性ワイヤの両端に接続された第1磁性板及び第2磁性板を備えており、前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記強磁性ワイヤの両端から前記マグネットを挟んで前記マグネットの両側面の外側まで伸びており、前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記マグネットの前記両側面に沿って離間して伸びており、前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記回転軸の軸心方向において、前記マグネットを挟んで、線対称の形状をなしていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、1個のTMRセンサを使用して高精度のアブソリュートデジタル信号を生成すると共に、主電源からの電力供給が遮断された停電時に、モータ等の停止処理を円滑に行える電力を確保できる発電装置を備えた、ロータリーエンコーダを提供することができる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、複数の前記サーボコントローラが、複数のサーボコントローラ(A~N)を制御する共通の上位制御システムに接続されている。
前記1回転アブソリュート信号と前記多回転アブソリュート信号の2系統の情報は、それらの最大のビット数が同じビット数のデジタルデータである。
本発明によれば、主電源から電力が供給される通常運転時のみならす、主電源からの電力供給が遮断された停電時にも、制御を円滑に行えるサーボコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施例に係るロータリーエンコーダの構成例を示す、機能ブロック図である。
図2】本発明の第1の実施例に係るサーボコントローラの構成例を示す、ブロック図である。
図3】第1の実施例における、磁気センサ及び電源ユニットの構成例を示す縦断面図である。
図4】第1の実施例における、大バルクハウゼン効果発電ユニットの構成例を示す、エンコーダハウジングの平面図である。
図5図3に示したマグネット、磁気センサ、及び電源ユニットの位置関係、及び磁束線の関係を示す、縦断面図である。
図6】第1の実施例における、マグネットの回転と、大バルクハウゼン効果発電ユニットの、第1磁性板及び第2磁性板との位置関係を示す図である。
図7】第1の実施例における、大バルクハウゼン効果発電ユニットの機能を、概念的に説明する図である。
図8A】第1の実施例における、マグネットと、第1磁性板及び第2磁性板との関係の一例を示す図である。
図8B】マグネットと、第1磁性板及び第2磁性板との関係の他の例を示す図である。
図8C】マグネットと、第1磁性板及び第2磁性板との関係の他の例を示す図である。
図8D】マグネットと、第1磁性板及び第2磁性板との関係の他の例を示す図である。
図8E】マグネットと、第1磁性板及び第2磁性板との関係の他の例を示す図である。
図8F】第1の実施例における、第1磁性板及び第2磁性板の特性の一例を示す図である。
図9】第1の実施例における、電源ユニットの回路の構成例を示す図である。
図10】第1の実施例における、マグネットの回転と、TMRセンサの出力の関係を示す図である。
図11】第1の実施例における、第1TMRセンサ信号の処理ユニットの信号処理を示す、フローチャートである。
図12】第1の実施例における、マグネットの回転に伴う第1TMRセンサの出力、センサ信号のデジタル化、アブソリュート化の処理を示す図である。
図13】第1の実施例における電源ユニットの動作を示すタイムチャートであり、主電源が正常な状態から停電した場合の、電源とロータリーエンコーダの出力信号の関係の一例を示す図である。
図14】前記電源ユニット等の動作を示すタイムチャートであり、主電源が正常な状態から停電し、電源復帰するまでの、電源とロータリーエンコーダの出力信号の関係の一例を示す図である。
図15】本発明の第2の実施例に係る、電源ユニットの回路の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、本発明の第1の実施例に係るロータリーエンコーダについて説明する。まず、図1図5を参照しながら、本発明の第1の実施例に係るロータリーエンコーダの、全体の構成及び機能について説明する。
図1は、ロータリーエンコーダの構成例、機能ブロック図、図2は、サーボコントローラの構成例、図3図5は、TMRセンサ及び電源ユニットの構成例を示す図である。
ロータリーエンコーダ10は、TMRセンサユニット11、電源ユニット12、温度センサ13、システムコントロールユニット14、磁気センサ信号の2組の処理ユニット(第1TMRセンサ信号の処理ユニット15、第2TMRセンサ信号の処理ユニット16)を備えている。ロータリーエンコーダ10は、さらに、N極性,S極性、各1極着磁された、すなわち、一組の極性N,Sだけを有する、1個の平らな円板状のマグネット110を備えている。この1個の円板状のマグネット110は、その中心を通る境界線1101(図4参照)を境にして半径方向に一組のN極領域とS極領域とが形成され、平な表面と裏面、及び側面とを有している。このマグネット110は、例えばネオジム磁石であり、図3に示したように、回転軸510の一端面に、保持部材1102や接着剤等により固定される。なお、ネオジム磁石の代わりに、サマリウムコバルト磁石やフェライト磁石を採用しても良い。
【0019】
システムコントロールユニット14は、初期設定部141、電源監視・制御ユニット143、エンコーダ入出力制御ユニット144、セーフティ制御ユニット145、シリアル/パラレル信号送受信ユニット146などを備えている。初期設定部141は、ユーザインタフェース142を介して入力された原点、出力条件に従って、モータの種類、極数、原点位置、ロータリーエンコーダの出力条件等を設定する機能を有する。エンコーダ入出力制御ユニット144は、初期設定された条件に従って、ロータリーエンコーダ10の入出力を制御する機能を有する。
【0020】
セーフティ制御ユニット145は、第1TMRセンサ111、第2TMRセンサ112、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15、第2TMRセンサ信号の処理ユニット16の出力状態を監視し、いずれかが故障した場合には、ロータリーエンコーダの動作を安全に停止させるために必要な処理を行う。これにより、ロータリーエンコーダをセーフティエンコーダとして機能させる。
シリアル/パラレル信号送受信ユニット146は、各ロータリーエンコーダ10(A~N)と対応のサーボコントローラ60(A~N)の間で、各種の情報を、パラレル信号若しくはシリアル信号に変換し、送受信する機能を有している(図2参照)。これらの情報には、1回転アブソリュートデータ50、および多回転アブソリュートデータ52が含まれている。この1回転アブソリュートデータ50と、多回転アブソリュートデータ52は、それらの最大のビット数が同じビット数のデジタルデータである。
【0021】
図2に示すように、各サーボコントローラ60(A~N)は、1つの上位制御システム70に接続されており、この上位制御システム70が、各サーボコントローラを介して、制御対象のモータ80(A~N)を制御する。上位制御システム70は、全てのモータ80(A~N)に関して、主電源が正常な状態における通常運転の制御、主電源が失われた電源停止時における、運転停止、再起動の処理を行う。ロータリーエンコーダが装着される回転軸510は、モータなどの回転電機により直接、あるいは変速機構82等を介して間接的に、駆動される。
上位制御システム70及び各サーボコントローラ(A~N)は、各々の対応するモータに関して、前記同じ高ビット数のデジタルデータにより、主電源が正常な状態における通常運転、主電源が失われた電源停止時における、運転停止、再起動の処理を行う。
【0022】
TMRセンサユニット11は、プリント基板19(図3参照)上に配置された第1TMRセンサ111と第2TMRセンサ112、及び温度センサ113を有している。第1TMRセンサ111と第2TMRセンサ112は、同一仕様を有し、従って同一の出力特性を有する、2組のTMRセンサである。(以下の説明では、特に必要がある場合を除き、第1TMRセンサ111関係のみ説明し、第2TMRセンサ112関係の説明は省略する。)
プリント基板19は、円筒状のエンコーダハウジング40の上端に固定されている。エンコーダハウジング40は、例えばアルミニウム製であり、エンコーダの装着対象である回転機器、例えばモータ80のエンドカバーに固定される。あるいはまた、エンコーダハウジング40に相当するものが、回転機器のエンドカバーや収納容器等を構成する部材と一体に形成されても良い。本発明では、便宜上、このようなハウジングも、エンコーダハウジングと定義する。このエンコーダハウジング40の中空部41に、回転機器の回転軸510が位置し、この回転軸の端に、マグネット110が固定される。エンコーダハウジング40は、磁性材料からなるカバー46で覆われており、さらにモータのエンドカバー側も磁性材料で覆われ、従って、エンコーダハウジング40内部は磁気シールドされる。
第1TMRセンサ111は、回転軸510の軸心OS-OSに対応する位置において、プリント基板19の下側、すなわち、1個のマグネット110に対向する面の側に配置され、第2TMRセンサ112は、軸心OS-OSに対応する位置でプリント基板19の上側の面に配置されている。
【0023】
図1に戻って、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15は、第1のアナログ信号の処理を行うアナログ信号処理部151と、1回転アブソリュート信号生成ユニット152と、多回転アブソリュート信号生成ユニット153を備えている。第1TMRセンサ信号の処理ユニット15は、第1TMRセンサ111の出力であるアナログ信号を、AD変換し、高分解能(例えば、27bit/回転)のアブソリュート信号の2系統の情報を、第1のデジタルデータとして生成する機能を備えている。
なお、マグネット110の、N極領域とS極領域の境界線1101上の一方の端の位置が、回転軸上の周方向上の特定の位置、すなわち、A相のパルスの立ち上がり時点に相当する原点位置(Z)である。
【0024】
アナログ信号処理部151は、第1TMRセンサ111の、第1のアナログ信号(sin信号,cos信号)のサンプリングデータを時系列データとして受け取り、64ビットのAD変換器(SIN)1511、AD変換器(COS)1512によりデジタル値に変換し、それらの変換値が回転軸の回転数Nx、温度センサ13及び113のデータと関係づけて、時系列データとしてメモリ1513に記録される。
【0025】
1回転アブソリュート信号生成ユニット152は、メモリ1513の時系列データを基に、原点位置(Z)を基準として、1回転内の回転角度及び回転方向の情報を含む、1回アブソリュートデータを生成し、メモリに記録する。
多回転アブソリュート信号生成ユニット153は、回転数、回転方向検出部1531と、1回転アブソリュート信号生成部1532と、多回転アブソリュート信号生成部1533とを有する。メモリ1513の時系列データを基に、原点位置(Z)を基準として、回転数、回転方向、回転角度の情報を含む、多回転アブソリュート信号を生成し、メモリに記録する。
【0026】
また、第2TMRセンサ信号の処理ユニット16は、アナログ信号処理部161、AD変換器162、及び、デジタル信号処理部163を備えている。
第2TMRセンサ信号の処理ユニット16は、第2TMRセンサ112の出力である第2のアナログ信号をAD変換し、高分解能(例えば、27bit/回転)のアブソリュート信号の情報を、第2のデジタルデータとして生成する。第2TMRセンサ信号の処理ユニット16の信号の処理は、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15の信号の処理と同じなので、説明を省略する。
なお、用途によっては、第2TMRセンサ112を省略し、TMRセンサ111とそれ対応する信号の処理ユニットで、ロータリーエンコーダを構成しても良い。
【0027】
ロータリーエンコーダ10からは、エンコーダ入出力制御ユニット144の出力に基づき、第1のデジタルデータまたは第2のデジタルデータの一方、例えば、第1のデジタルデータが、アブソリュート信号として、シリアル伝送用の送信データ(BUS)に変換され、シリアル/パラレル信号送受信ユニット146から通信ケーブルを介して、サーボコントローラ60へ送信される。
【0028】
なお、図1に示した各機能ブロックは、一例として表示したものである。各機能ブロックの区分は任意であり、上記複数の機能ブロックを共通のプログラムで実現しても良く、或いは、特定の上記機能ブロックを異なる複数のプログラムやIC回路で実現しても良いことは言うまでもない。
あるいはまた、CPUやメモリを備えたマイクロコンピュータに、上記各機能を実行するためのプログラムを実装することで、上記各機能を実現することも可能である。
電源ユニット12は、主電源121、大バルクハウゼン効果発電ユニット115を有する大バルクハウゼン効果電源122、及び、コンデンサを有するバックアップ電源123を含んでおり、これらは、主電源121と共に、ロータリーエンコーダ10に電力を供給する電源として機能する。
【0029】
図3に示すように、ロータリーエンコーダ10の、円板状のマグネット110と大バルクハウゼン効果発電ユニット115を除く部分、すなわち、電源ユニット12、温度センサ13、システムコントロールユニット14、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15、及び、第2TMRセンサ信号の処理ユニット16が、1枚のプリント基板19上に形成、若しくは実装される。
特に、システムコントロールユニット14、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15、第2TMRセンサ信号の処理ユニット16は、専用のFPGA18(Field Programmable Gate Array)として、あるいは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として、あるいは、汎用のシングルチップマイコンを用いたIC回路のチップとして実現され、プリント基板19上に実装される。また、AD変換器152やAD変換器162も、ASIC(若しくはFPGA)としてプリント基板19上に実装される。また、バックアップ電源123を構成するコンデンサもプリント基板19上に実装される。
【0030】
なお、システムコントロールユニット14、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15、及び第2TMRセンサ信号の処理ユニット16は、機能的に分割されたブロックであり、これらの機能は、FPGAやASICの、デジタル信号処理ユニット、SSCインターフェース、インクリメンタルインターフェース等における、プログラムの記述により、実現される。
また、FPGAには、ROMRAM、及び、少なくとも1つの書き換え(重ね書き)可能な不揮発性のメモリが含まれており、バスを介してCPUと接続されている。また、書き換え(重ね書き)可能な不揮発性のメモリとして、EEPROMやFRAM(登録商標)、(Ferroelectric Random Access Memory)などを採用すればよい。
【0031】
大バルクハウゼン効果発電ユニット115は、その本体がエンコーダハウジング40の一部を凹設した収納部42内に設置されている。この大バルクハウゼン効果発電ユニット115は、ウィーガンドワイヤ等の強磁性ワイヤ(若しくは複合磁性ワイヤ)1152と、その周囲に設けられた発電用コイル1154と、強磁性ワイヤ1152の両端に接続された第1磁性板1156及び第2磁性板1158とを備えている。
これらの磁性板1156、1158は、同じ磁性材料からなり、回転軸510の軸心OS-OS方向において、マグネット110と同じ位置(高さ)に配置されており、円板状のマグネット110の両側面の外側まで伸びており、これらの磁性板は、マグネットの両側面に沿って離間して伸びている。すなわち、第1磁性板1156及び第2磁性板1158の厚さ(軸方向長さ)の中間点は、マグネット110の厚さ(軸方向長さ)の中間点と、強磁性ワイヤ1152の中心を結ぶ直線OmgR-OmgR上にある。ただし、これは、理想的な場合である。実用的には、第1磁性板及び第2磁性板が、主に前記マグネットの前記表面に対して平行もしくはそれに近い外回りの方向の磁束線を受け入れ、磁気センサに対する磁場干渉による影響を抑制するように構成されていればよい。そのため、これらの磁性板の厚さの中間点は、マグネットの表面と裏面の範囲内もしくはその近傍にあればよい。本発明では、このような範囲を含めて、第1磁性板及び第2磁性板が、マグネットと同じ位置(高さ)にあると定義する。
【0032】
図4に示すように、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、マグネット110の回転に伴う回転磁場により、N極領域からの磁束線とS極領域からの磁束線とが、第1磁性板1156と第2磁性板1158に適切に導かれるように、マグネット110の両側面との間に所定の間隙Gaを有している。すなわち、これらの磁性板は、対称の軸に平行な円板状のマグネットの両側面の接線110a,110bに沿って、この接線から間隙Gaだけ離間して伸びている。間隙Gaが狭いと、これらの磁性板が、TMRセンサユニット11の出力への影響を及ぼす磁場干渉が発生し易くなる。他方、間隙が広すぎると、これらの磁性板が、N極、S極の両領域からの磁束線を十分に得られなくなる。これらのことを考慮して、間隙Gaを適宜設定すればよい。また、これらの磁性板のマグネット側の端は、マグネット110を挟んで、解放端となっている。
【0033】
回転軸510が、モータの原点位置に対応する位置にあるとき、マグネットのN極領域とS極領域の境界線1101は、マグネットの平な表面の中心を通る。すなわち、境界線1101は、回転軸510の軸心OS-OS図3参照)を通る直線OmgV-OmgV上にある。ここに示した第1磁性板1156及び第2磁性板1158は、帯板状の角部材であり、マグネット110の側面上では、それらの中心線OG1、OG2は、直線OmgR-OmgR(対称の軸)に沿ってその両側に平行に伸びている。すなわち、これらの磁性板の対称の軸OmgR-OmgRは、直線OmgV-OmgVに直交し、円板状のマグネット110の中心を通っている。製造上の許容誤差を考慮して、実用上は、対称の軸が、円板状のマグネット110の中心若しくはその近傍(以下、マグネットの中心付近)を通っていればよい。また、第1磁性板1156及び第2磁性板1158は、軸心OS-OS方向に厚みを有しているので、この厚みの各位置の平面で、対称の軸に対して、線対称の形状になっていることは言うまでもない。
図4に示したように、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、少なくともマグネット110の側面付近において、マグネットを挟んで線対称の形状をなしている。すなわち、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、対称の軸に対して、線対称の形状になっている。従って、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、1個のマグネット110の側面に対して、同じ条件の磁気特性で、対面している。
【0034】
なお、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、線対称の条件を満たす限りにおいて、その断面形状は、矩形、円、楕円、台形など任意の板状若しくは棒状の形状を選定できる。また、線対称の条件を満たす限りにおいて、非平行の部分があってもよい。さらに、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、マグネット110から離れた、大バルクハウゼン効果発電ユニット115に近い区間では、構造上の制約がある場合等には両者の形状が異なっていても良い。ただし、磁束線を導く磁気特性としては同じ条件であることが望ましい。
また、第1磁性板1156と第2磁性板1158の解放端、すなわち各先端1156a、1158aは、先細り状、例えば四角錐状や円錐形状のように、突出しているのが望ましい。これにより、磁束線を集磁しやすくなる。なお、各解放端の先端の突出方向は、マグネット110の方向、すなわち、マグネット110の中心方向、あるいは、対称の軸に直角な方向を向いていても良い。
【0035】
図5に、マグネット、TMRセンサ及び電源ユニットの位置関係、及び磁束線の関係を示している。回転磁場により、磁束線φ1が第1TMRセンサ111、磁束線φ2が第2TMRセンサ112、磁束線φ3が第1、第2磁性板1156、1158を通過する。そのため、マグネットのN極からS極に向かう磁束線φ1、磁束線φ2により、第1、第2TMRセンサ111、112を適切に動作可能な状態に保持しつつ、大バルクハウゼン効果発電ユニットの出力に影響する、磁束線φ3が最適になるように、第1磁性板1156及び第2磁性板1158を構成する必要がある。すなわち、φ1~φ3は、マグネット110のサイズ(回転軸の直径)やマグネットにより供給される磁界の強さH、磁束密度B、TMRセンサの特性や、大バルクハウゼン効果発電ユニットに要求される出力などに応じて、適宜設定すればよい。また、これらの磁性板の形状材料の透磁率なども、考慮する必要がある。
【0036】
本発明において、第1TMRセンサに向かう磁束線φ1は、主に、マグネットの境界線1101に近いN極領域の内側から軸方向上向き(マグネットの表面に垂直な方向)へ、さらにS極領域の内側へと向かう磁束線で構成され、第2TMRセンサに向かう磁束線φ2は、主に、境界線1101から離れたN極領域の外側から軸方向上向き、さらにS極領域の外側へと向かう磁束線で構成される。
これに対し、大バルクハウゼン効果発電ユニットで利用する磁束線φ3は、主に、マグネットのさらに外側、及びマグネットの側面から、マグネットの表面に対して水平方向もしくはそれに近い外回りの方向、さらにはS極領域外側やマグネットの側面へと外回りで向かう磁束線を利用するものである。このように、第1TMRセンサに向かう磁束線φ1や第2TMRセンサに向かう磁束線φ2に対して、磁場干渉による影響を抑制するために、第1磁性板及び第2磁性板は、主に、水平方向もしくはそれに近い外回りの方向の磁束線φ3を受け入れるように構成されている。
一例として、回転軸510の直径が6.0~8.0mm程度、プリント基板の厚みが1.0~1.2mm程度、マグネットの直径が5.0~10.0mm程度、マグネットの厚みが3mm程度の場合、間隙Gは、0.5~3.0mm程度が望ましい。また、間隙Gaも0.5~3.0mm程度が望ましい。
【0037】
次に、図6図7を参照しながら、第1の実施例における、大バルクハウゼン効果発電ユニットの、マグネットの回転磁場すなわち回転軸の回転角度と、第1磁性板及び第2磁性板との関係について、説明する。
図6は、マグネットの回転に伴う、その磁場のN極領域とS極領域の回転と、大バルクハウゼン効果発電ユニットの、第1磁性板及び第2磁性板との位置関係を示す図である。すなわち、マグネット110が、(A)~(I)の各回転位置にあるときの、マグネット110と第1磁性板1156及び第2磁性板1158とが、それぞれN極領域及びS極領域と対向している領域を、斜線で示している。この対向している領域の面積大小は、マグネット110から第1、第2磁性板1156、1158へ向かう磁束線φ3の密度と関係する。すなわち、第1、第2磁性板1156、1158における磁束線φ3方向と関係する。なお、実際には、マグネットの回転に伴う面積の大小関係だけで、磁束線φ3方向や密度が決まるわけではないことは勿論であるが、大凡の傾向を知るのに参考になるものである。
図6の(A)は、マグネット110が原点位置(Z)、すなわち回転角度0度の位置の状態を示している。この状態では、第1磁性板1156と第2磁性板1158とが、マグネット110のN極領域とS極領域に同じ条件で対向している。すなわち、第1磁性板1156と第2磁性板1158は、同じ条件で、N極領域とS極領域から磁束線φを受けている。
【0038】
この状態から、マグネット110が45度回転した(B)では、第1磁性板1156は広い面積でN極領域に対向し、第2磁性板1158は広い面積でS極領域に対向している。さらに、マグネット110が90度回転した(C)では、第1磁性板1156はN極領域のみに対向し、第2磁性板1158はS極領域のみに対向している。このように、0度から90度まで回転するにつれ、第1磁性板1156はN極領域に、第2磁性板1158はS極領域により広い面積で対向するようになる。さらに、135度回転した(D)では、第1磁性板1156はN極領域への対向面積が減少し、第2磁性板1158はS極領域への対向面積が減少する。このように、マグネット110が回転するにつれ、第1磁性板1156及び第2磁性板1158と、N極領域及びS極領域との対向面積が変化する。以下、同様に、マグネット110が図6の(E)、(F)、(G)に示すように180度を超えて回転するのに伴い、第1磁性板1156、第2磁性板1158が、N極領域とS極領域に対向する領域の面積が周期的に大きく増減する。このことは、マグネット110の回転に伴い、これららの磁性板における磁束線φ3の密度や方向が変化することを意味している。
【0039】
図7は、大バルクハウゼン効果発電ユニットの機能を、概念的に説明する図である。
第1磁性板156、第2磁性板1158の各一端は大バルクハウゼン効果発電ユニット115の強磁性ワイヤ1152に接続され、これとは反対側の各他端は、マグネット110を挟んで、解放端となっている。
図6から明らかなとおり、マグネット110が0度から90度まで回転するにつれ、図7の(A)、(B)、(C)に示すように、マグネットのN極領域からS極領域へ、すなわち、マグネットから第1磁性板1156、第2磁性板1158を経てS極領域へ向かう磁束線φ3の密度が増加する。すなわち、90度までは、大バルクハウゼン効果発電ユニット115の発電用コイル1154に供給される磁束が増大する。その後、90度を超えると、マグネットのN極領域から第1磁性板1156を経て第2磁性板1158、S極領域へと向かう方向の磁束線φ3の密度が減少し、さらに、マグネットが回転すると、第2磁性板1158から第1磁性板1156へ向かう方向に逆方向に、すなわち、マグネットのN極領域から第2磁性板1158、第1磁性板1156を経てS極領域へ向かう、磁束線φ3の密度が増加する。
【0040】
さらに、マグネット110が図6の(H)、(I)と、360度まで回転するのに伴い、第2磁性板1158から第1磁性板1156へ向かう磁束線φ3の密度が減少する。このような、マグネット110の1回転毎の磁束線φ3の向きの反転に伴い、大バルクハウゼン効果発電ユニット115の強磁性ワイヤ1152を流れる磁束線の向きが反転し、発電用コイル1154に、図7の(D)に示すように、パルス状の発電出力が得られる。
【0041】
本発明の特徴の1つは、半径方向に着磁された一組の極性N,Sだけを有し回転軸510に固定される1個の円板状のマグネット110を、磁気センサのアナログ信号源と、大バルクハウゼン効果発電ユニット115の発電装置として利用することにある。第1磁性板及び第2磁性板は、第1TMRセンサに向かう磁束線φ1や第2TMRセンサに向かう磁束線φ2に対して、磁場干渉による影響を抑制するために、主にマグネットの表面に対して平行もしくはそれに近い外回りの方向の磁束線φ3を受け入れ、磁気センサに対する磁場干渉による影響を抑制するように構成されている。これにより、1個のマグネットが回転するのに伴い、図6図7に示したように、第1磁性板1156、第2磁性板1158における磁束線φ3方向との密度が周期的に大きく増減し、第1磁性板1156、第2磁性板1158が受ける磁束線φ3の極性と密度も変化する。回転軸510の端面に固定される1個のマグネットと、その両側面の外側に伸びた第1磁性板1156及び第2磁性板1158との組み合わせにより、大バルクハウゼン効果発電ユニット115をコンパクトな構成としながら、大きな発電出力を得ることができる。
【0042】
次に、第1磁性板及び第2磁性板の構成について、説明する。
図8A図8Eは、第1の実施例における、円板状のマグネットと、第1磁性板1156及び第2磁性板1158との関係の一例を示す図である。先にも述べたとおり、第1磁性板1156及び第2磁性板1158は、マグネット110の側面において、このマグネットを挟んで、対称の軸に対して線対称の形状になっており、かつ、マグネットの両側面の外側まで伸びており、第1磁性板及び第2磁性板は、マグネットの両側面に沿って離間して伸びていることが必要である。マグネットの直径をDmとし、第1磁性板及び第2磁性板が、マグネットの両側面の外側に離間して伸びている長さをLm1とすると、一例として、図8Aに示すように、Lm1は、Dmにほぼ等しい。
【0043】
ただ、大バルクハウゼン効果発電ユニット115から所定の出力を得るために、図6図7に示した特性が、正負の両側で完全に一致している必要はなく、若干、差異があってもよい。そのため、図8Bに示したように、長さLm2が、Dmより若干短くてもよい。また、図8Cに示したように、第1磁性板と第2磁性板とが非平行であっても、それらの間の傾斜角度Θが小さく、かつ、線対称の条件を満たしていれば、良い。同様の理由で、第1磁性板と第2磁性板とが互いに内側あるいは外側へ、若干湾曲していても良い。さらに、図8Dに示したように、長さLs1が、Dmの半分の場合でも良い。なお、図8Eに示したように、第1磁性板と第2磁性板の先端が、半径方向の内側を向いていても良い。
【0044】
次に、図8Fは、第1の実施例における、第1磁性板及び第2磁性板の特性を示す図である。大バルクハウゼン効果発電は、マグネットの回転に伴う磁束密度の正から負へ、あるいは負から正への急激な変化によって、パルス出力が得られるものである。逆に、磁束密度が同じ極性にある状態での大きな磁束密度、例えば図7に示した90度や270度前後の位置における大きな磁束密度は、大バルクハウゼン効果発電の出力にあまり寄与しない。そのため、90度前後や270度の位置では、第1磁性板及び第2磁性板の磁束密度が飽和するように構成するのが望ましい。
【0045】
次に、第1の実施例における、電源ユニットの回路の構成例について、図9を参照しながら説明する。
電源ユニット12の主電源121は、例えば商用電源から供給された電力が直流電源に変換され、所定の直流電圧Vcc、例えば5Vに制御される主電源部1211を備えている。この主電源部1211は、ダイオード1221を経て出力部124の出力端子125に電力を供給する。
大バルクハウゼン効果電源122は、大バルクハウゼン効果発電ユニット115から、回転軸の1回転毎に、180度間隔で正負のパルス状の波形として出力される。この電力を、全波波形回路1222、平滑回路1223、ダイオード1224を介して、出力端子125に直流電力を供給する。
バックアップ電源123は、大バルクハウゼン効果電源122の出力端にダイオード1231を介して並列接続された、コンデンサ1232、1233を含んでいる。これらのコンデンサの端子はダイオード1231を介して出力端子125に接続されている。バックアップ電源123は、ロータリーエンコーダ10に、主電源の停電時に電力を供給する電源として機能する。大バルクハウゼン効果発電ユニット115により得られる電力は、バックアップ電源123を構成するコンデンサ1232、1233に蓄積され、このバックアップ電源123の電力を、主電源の代わりに、さらには、主電源の停電後も長期間、ロータリーエンコーダの電源として使用することができる。バックアップ電源123は、主電源121と大バルクハウゼン効果電源122の双方から、個別に、電力を供給されるように構成しても良い。
出力部124は、電流/電圧制限回路1241を有しており、電源監視・制御ユニット143の制御を受けて、出力部124の出力電圧が所定の電圧Vccに端子125になるように制御する。
なお、本発明の大バルクハウゼン効果電源122は、コンパクトな構成でも大きな電力を発生する。そのため、バックアップ電源123に、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、あるいは、全固体電池を採用し、主電源の停電後も長期間、十分な電力の供給ができるようにしても良い。
【0046】
電源監視・制御ユニット143は、主電源121、大バルクハウゼン効果電源122、及びバックアップ電源123の各電源を制御し、それらが正常に機能しているか否かを監視し、異常がある場合はその旨の異常表示を行うとともに、電源の切り替えや、ロータリーエンコーダの停止などの制御も行う。
電源ユニット12の出力端子125に接続された電源ラインは、電気的には独立した3系統のラインとして構成され、システムコントロールユニット14、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15、及び、第2TMRセンサ信号の処理ユニット16に電力が供給される。
【0047】
図10は、第1の実施例における、マグネットの回転と、TMRセンサの出力の関係を示す図である。マグネットの回転に伴い、そのN極、S極と対向する関係の変化に伴い、TMRセンサのフリー層とピン層の各磁化の向きが、変化する。これに伴い、TMRセンサから、サイン波、コサイン波の信号が出力される。
【0048】
次に、図11図12を参照しながら、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15における、第一のTMRセンサ信号のデジタル化、アブソリュート化の処理について、説明する。
第1TMRセンサ信号の処理ユニット15は、初期設定値から、回転軸の原点の情報、生成する高ビット数を取得する(S101)。
次に、メモリから、第1TMRセンサ信号(Sin, Cos波)のAD変換のデータを取得する(S102)。すなわち、図12の(A)に示すように、第1TMRセンサ(TMRセンサ)111からは、回転軸の1回転に対応して、SIN波(A相信号)、COS波(B相信号)の各々で360度(機械角)、各々1周期分の第1のアナログ信号が出力される。これら第1のアナログ信号の回転角(機械角)と振幅、及び、回転数Nxのデータは、第1TMRセンサ信号の処理ユニット15のアナログ信号処理部151により、温度センサ13の温度Ta等と関係づけてられて、メモリに記録される。
さらに、A相信号(Asinθ)、B相信号(Cosθ)を基に、逆正接関数演算により、θを算出して、メモリに記録する(S103)。
【0049】
すなわち、図12の(B)、(C)に示すように、アナログ信号(sin信号,cos信号)は、AD変換器152に入力されて、量子化され内挿処理により多分割されたデジタル信号に変換され、A相、B相の情報を含むデジタル値に変換され、それらの変換値が、回転数Nx、回転方向、温度Ta等と関係づけてられて、メモリに記録される。
【0050】
第1TMRセンサ信号の処理ユニット15は、AD変換データと原点情報に基づき、回転方向、回転角度のアブソリュート値を算出し、アブソリュート値にメモリの番地付けを行い、1回転アブソリュートデータとして、メモリに記録する(S104)。
さらに、原点情報、A相信号、B相信号の値から、回転方向、回転数を含む多回転情報を生成してメモリに記録すると共に(S106)、算出されたθ を基に、高ビットの1回転アブソリュート情報を生成し(S107)、これらのデータに基づき、1回転アブソリュート情報と多回転情報を基に、高ビットの多回転アブソリュートデータを生成し、メモリに記録する(S108)。
このようにして、1回転アブソリュート信号と多回転アブソリュート信号が生成され、メモリに記録される。
【0051】
ロータリーエンコーダ10には、起動時、主電源から電力が供給される。起動後は、主電源、もしくは、大バルクハウゼン効果電源122からロータリーエンコーダに電力が供給される。
図13は、電源ユニット12の動作を示すタイムチャートである。すなわち、主電源が正常な状態から停電した場合の、電源の切り替え状態の一例を示す図である。この例では、電源の電源が正常な状態では、主電源からロータリーエンコーダ10に、電力が供給される。
まず、初期設定部から、各電源の正常判定に関する情報を取得する(S1201)。そして、電源監視・制御ユニット143による電源ユニット12の各電源(121、112、123)の電源監視のデータをモニタする(S1202)。もし、主電源121の電圧が正常な場合には(S1203でNO)、第1、第2TMRセンサの出力を基に、同じ高ビット数の1回転モード&多回転モードでアブソリュート信号を生成する(1204)。この処理を通常運転終了まで継続する(S1205、S1206)。S1202で主電源121の電圧が低下している場合には(S1203でYES)、大バルクハウゼン効果電源122の状態を確認し(S1210)、正常な場合には、電源を大バルクハウゼン効果電源に切り替える(S1211)。そして、第1、第2TMRセンサの出力を基に、各々、同じ高ビット数の1回転モード及び多回転モードでアブソリュート信号を生成する(1212)。この処理を停止処理終了まで継続する(S1213、S1214)。もし、大バルクハウゼン効果電源122の発電出力が無いか低下している場合には(S1210でNO)、バックアップ電源123の状態を確認する(S1220)。バックアップ電源123の電圧が正常な場合には、電源をバックアップ電源に切り替える(S1221)。そして、第1TMRセンサの出力を基に、同じ高ビット数の1回転モード& 多回転モードでアブソリュート信号を生成する。一方、第2TMRセンサの処理は停止する(S1222)。この処理を停止処理終了まで継続する(S1223、S1224)。もし、バックアップ電源123の電圧が低下している場合には(S1220でNO)、電源のエラー表示を行い(S1230)、エンコーダの運転終了の処理を行う(S1231)。
主電源部1211が、例えば主電源の停電や故障により電力を供給できなくなった時にも、回転軸の回転に伴い発電される大バルクハウゼン効果電源122、さらには、バックアップ電源123から、引き続き、ロータリーエンコーダ10に電力が供給される。
【0052】
図14は、電源ユニット等の動作を示すタイムチャートであり、主電源が正常な状態から停電し、電源復帰するまでの、電源とロータリーエンコーダの出力信号の関係の一例を示す図である。
時刻t1で停電が発生すると、サーボコントローラは、ロボットなどの動作中だった機器を、安全に停止させ、さらに円滑に運転の再開がきるようにするための、停止処理を開始する。本発明の大バルクハウゼン効果電源122は、コンパクトな構成でも大きな電力を発生する。そのため停止処理時に、モータの回転が減速する過程でも、大バルクハウゼン効果電源122により、バックアップ電源123に、十分な電力を充電することができる。
時間の経過と共に回転軸の回転数が低下すると、大バルクハウゼン効果発電はその出力が小さくなり、1回転未満になると、発電出力を供給できなくなる。この状態になるとバックアップ電源123のコンデンサに1233に蓄積されていた電荷により、ロータリーエンコーダ10に電圧Vccの電力が供給される。
これにより、ロータリーエンコーダ10は、停電後も比較的長時間、例えば、回転軸の回転が完全に停止した時刻t2の後も、回転軸の回転角度の情報を生成し、円滑な停止処理を実行することができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施例について、図15を参照しながら説明する。図15は、本発明の電源ユニット12の回路の他の構成例を示す図である。
この電源ユニットでは、バックアップ電源123のコンデンサ1233が、複数のコンデンサC1(12331),C2(12332),C3(12333),C4(12334)を並列接続して構成されている。コンデンサC2,C3,C4は、平滑コンデンサC0に対して、ツェナー電圧(Vz)の異なる複数のツェナーダイオードZ2,Z3,Z4を介して接続され、コンデンサの電圧の上昇に伴い、コンデンサC2,C3,C4は、順次、Vccより若干高い電圧に、充電されるように構成されている。コンデンサC1、C2,C3,C4の間には、トランジスタスイッチSW1(1236),SW2(1237),SW3(1238)が設けられ、制御回路(図示略)により、コンデンサC1の出力電圧が長時間Vccに維持されるように制御される。
本実施例によれば、ロータリーエンコーダ10は、停電後も比較的長時間、例えば、回転軸の回転が完全に停止した時刻t2の後も、より長い時間、回転軸の回転角度の情報を生成し、円滑な停止処理を実行することができる。
【0054】
本発明のロータリーエンコーは、例えば、ブラシレスモータ、ステッピングモータ等各種のモータに採用できる。また、同期型モータ、誘導モータ等、種々の回転電気機器に広く適用できる。また、これらの回転電気機器を用いたサーボコントローラにも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0055】
10 ロータリーエンコーダ
11 TMRセンサユニット
110 マグネット
111 第1TMRセンサ
112 第2TMRセンサ
115 大バルクハウゼン効果発電ユニット
1156 第1磁性板
1158 第2磁性板
12 電源ユニット
121 主電源
122 大バルクハウゼン効果電源
123 バックアップ電源
13 温度センサ
14 システムコントロールユニット
141 初期設定部
143 電源監視・制御ユニット
144 エンコーダ入出力制御ユニット
146 シリアル/パラレル信号送受信ユニット
15 第1TMRセンサ信号の処理ユニット
151 第1TMRセンサのアナログ信号処理部
1511 AD変換器(SIN)
1512 AD変換器(COS)
152 1回転アブソリュート信号生成ユニット
153 多回転アブソリュート信号生成ユニット
16 第2TMRセンサ信号の処理ユニット
18 FPGAあるいは、ASIC
19 プリント基板
510 回転軸
mgR-OmgR 対称の軸
【要約】
【課題】磁気センサを使用して高精度のアブソリュートデジタル信号を生成すると共に、主電源からの電力供給が遮断された停電時に、モータ等の停止処理を円滑に行える電力を確保できる発電装置を備えた、ロータリーエンコーダを提供する。
【解決手段】回転軸に固定されるマグネットと、前記マグネットに対向して配置されたTMRセンサの出力から前記回転軸の回転角度、回転方向に関する情報を生成する機能とを備えたロータリーエンコーダであって、前記ロータリーエンコーダは、主電源と、大バルクハウゼン効果発電ユニットと、前記大バルクハウゼン効果発電ユニットにより充電されるバックアップ電源を備えており、前記大バルクハウゼン効果発電ユニットは、強磁性ワイヤ及び発電用コイルと、前記強磁性ワイヤの両端に接続された第1磁性板及び第2磁性板を備えており、前記第1磁性板及び前記第2磁性板は、前記強磁性ワイヤの両端から前記マグネットを挟んで前記マグネットの両側面の外側まで伸びている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15