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特許7494367金融商品管理装置、金融商品管理装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】金融商品管理装置、金融商品管理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20240527BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20240527BHJP
【FI】
G06Q40/06
G06Q40/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023194727
(22)【出願日】2023-11-15
【審査請求日】2024-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年10月30日 URL :https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB262OJ0W3A021C2000000/ (2)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月1日 URL :https://www.nam.co.jp/news/fpdf/231101_press.pdf (3)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月1日 URL :https://www.nam.co.jp/news/fund/231101.html (4)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月1日 URL :https://smartplus-sec.com/news/press/20231101-4/ (5)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月1日 URL :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000325.000012138.html (6)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月6日 URL :https://www.nam.co.jp/news/fpdf/231106_press.pdf (7)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月6日 URL :https://www.goalnavi.com/nisa (8)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月6日 URL :https://smartplus-sec.com/news/press/release_20231106/ (9)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月6日 URL :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000328.000012138.html (10)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月6日 URL :https://www.nikkin.co.jp/toushin/backnumber/backnumber2023/20231106.html 掲載場所 :ニッキン投信情報第1288号2023年11月6日号67ページ
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (11)ウェブページへの掲載 開示日 :令和5年11月13日 URL:https://www.r-i.co.jp/pension/products/fund/backNumber.html/#htmlContentId_521373 掲載場所 :ファンド情報No.419 2023年11月13日号 (12)顧客への書類送付 開示日 :令和5年11月6日 開示場所 :投資一任運用サービス「Goal Navi(ゴールナビ)」の申込みシステム・アプリケーション内 (13)顧客への書類送付 開示日 :令和5年11月6日 開示場所 :投資一任運用サービス「Goal Navi(ゴールナビ)」の申込みシステム・アプリケーション内
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397015430
【氏名又は名称】ニッセイアセットマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 雅義
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/200007(WO,A1)
【文献】特開2020-035359(JP,A)
【文献】「おまかせNISA」はどのように売買する?,[online],2023年09月28日,[2024.2.22 検索], インターネット<URL: https://www.wealthnavi.com/contents/column/147/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座と、前記優遇措置を受けることができない第2口座と、を含む複数の口座を用いて顧客の金融商品を管理する金融商品管理装置であって、
前記第1口座で管理可能な金融商品の購入可能期間、及び前記第1口座で管理している各金融商品の合計金額を購入時の単価で計算した場合の上限値である購入限度額に関する規定を含む、前記金融商品を前記第1口座で管理するために満たすべき、前記第1口座の利用条件を記憶する利用条件記憶部と、
前記購入可能期間が終了する前の所定のタイミングで、前記第1口座で管理されている金融商品の合計金額を購入時の単価を用いて算出する合計金額算出部と、
第1金融商品を購入するに際し、前記第1金融商品を前記第1口座で管理可能か否かを前記利用条件を参照して検証し、前記利用条件を満たしている場合には、前記第1金融商品を前記第1口座で管理し、前記利用条件を満たしていない場合には、前記第1金融商品を前記第2口座で管理する金融商品管理部と、
を備え
前記金融商品管理部は、前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に、前記合計金額と前記購入限度額との差分に応じた金額分の第2金融商品を新たに購入して前記第1口座で管理する際に、前記第1口座で管理されている金融商品の中に、現在の単価が購入時の単価を下回っている第4金融商品がある場合には、当該第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、前記第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品として新たに購入して前記第1口座で管理する、金融商品管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金融商品管理装置であって、
前記第2金融商品の購入要否に関する指示を前記顧客から受け付けるインタフェースを備え、
前記金融商品管理部は、前記第2金融商品の購入を行う旨の指示を受けた場合には、前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に前記第2金融商品の購入を行う、
金融商品管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の金融商品管理装置であって、
前記金融商品管理部は、前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に、前記第2口座において前記顧客の第3金融商品が管理されている場合には、当該第3金融商品を、前記第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、前記第3金融商品を前記第2金融商品として新たに購入して前記第1口座で管理する、
金融商品管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の金融商品管理装置であって、
前記第3金融商品の売却及び前記第2金融商品の購入の要否に関する指示を前記顧客から受け付けるインタフェースを備え、
前記金融商品管理部は、前記第3金融商品の売却及び前記第2金融商品の購入を行う旨の指示を受けた場合には、前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に前記第3金融商品の売却及び前記第2金融商品の購入を行う、
金融商品管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の金融商品管理装置であって、
前記第4金融商品の売却及び前記第2金融商品の購入の要否に関する指示を前記顧客から受け付けるインタフェースを備え、
前記金融商品管理部は、前記第4金融商品の売却及び前記第2金融商品の購入を行う旨の指示を受けた場合には、前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に前記第4金融商品の売却及び前記第2金融商品の購入を行う、
金融商品管理装置。
【請求項6】
所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座と、前記優遇措置を受けることができない第2口座と、を含む複数の口座を用いて顧客の金融商品を管理する金融商品管理装置の制御方法であって、
前記金融商品管理装置が、
前記第1口座で管理可能な金融商品の購入可能期間、及び前記第1口座で管理している各金融商品の合計金額を購入時の単価で計算した場合の上限値である購入限度額に関する規定を含む、前記金融商品を前記第1口座で管理するために満たすべき、前記第1口座の利用条件を記憶し、
前記購入可能期間が終了する前の所定のタイミングで、前記第1口座で管理されている金融商品の合計金額を購入時の単価を用いて算出し、
第1金融商品を購入するに際し、前記第1金融商品を前記第1口座で管理可能か否かを前記利用条件を参照して検証し、前記利用条件を満たしている場合には、前記第1金融商品を前記第1口座で管理し、前記利用条件を満たしていない場合には、前記第1金融商品を前記第2口座で管理し、
前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に、前記合計金額と前記購入限度額との差分に応じた金額分の第2金融商品を新たに購入して前記第1口座で管理する際に、前記第1口座で管理されている金融商品の中に、現在の単価が購入時の単価を下回っている第4金融商品がある場合には、当該第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、前記第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品として新たに購入して前記第1口座で管理する、
金融商品管理装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座と、前記優遇措置を受けることができない第2口座と、を含む複数の口座を用いて顧客の金融商品を管理させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記第1口座で管理可能な金融商品の購入可能期間、及び前記第1口座で管理している各金融商品の合計金額を購入時の単価で計算した場合の上限値である購入限度額に関する規定を含む、前記金融商品を前記第1口座で管理するために満たすべき、前記第1口座の利用条件を記憶する手順と、
前記購入可能期間が終了する前の所定のタイミングで、前記第1口座で管理されている金融商品の合計金額を購入時の単価を用いて算出する手順と、
第1金融商品を購入するに際し、前記第1金融商品を前記第1口座で管理可能か否かを前記利用条件を参照して検証し、前記利用条件を満たしている場合には、前記第1金融商品を前記第1口座で管理し、前記利用条件を満たしていない場合には、前記第1金融商品を前記第2口座で管理する手順と、
前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に、前記合計金額と前記購入限度額との差分に応じた金額分の第2金融商品を新たに購入して前記第1口座で管理する際に、前記第1口座で管理されている金融商品の中に、現在の単価が購入時の単価を下回っている第4金融商品がある場合には、当該第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、前記第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品として新たに購入して前記第1口座で管理する手順と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融商品管理装置、金融商品管理装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
株式や投資信託などの一定の金融商品に投資を行う場合に、投資の目的に応じて、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を利用することで、様々な優遇措置を受けることができる。
【0003】
例えばNISAを利用する場合は、購入した金融商品から得られる利益(売却益や配当など)が非課税になるという優遇措置を受けることができる。
【0004】
また、このような金融商品の管理を行うための技術として、目的別に投資を行う場合の残高管理を効率よく行うような技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-035359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの優遇制度は、詳細に利用条件が定められており、利用者は、新たな金融商品を購入する場合などに利用条件を細かく確認する必要があり、大きな負担となっている。
【0007】
例えば、優遇措置の対象になる金融商品が一定の範囲に限定されている場合、利用者は新たな金融商品を購入する毎に、その金融商品が優遇措置の対象であるか否かを確認する必要がある。あるいは、優遇措置を受けられる期間や上限金額が定められている場合、利用者は、期間内に上限金額の範囲内で金融商品を購入する必要がある。
【0008】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、優遇制度を利用する際の利用者の負担を軽減すると共に、優遇制度をより効果的に利用することを可能にする金融商品管理装置、金融商品管理装置の制御方法及びプログラムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態の金融商品管理装置は、所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座と、前記優遇措置を受けることができない第2口座と、を含む複数の口座を用いて顧客の金融商品を管理する金融商品管理装置であって、前記第1口座で管理可能な金融商品の購入可能期間、及び前記第1口座で管理している各金融商品の合計金額を購入時の単価で計算した場合の上限値である購入限度額に関する規定を含む、前記金融商品を前記第1口座で管理するために満たすべき、前記第1口座の利用条件を記憶する利用条件記憶部と、前記購入可能期間が終了する前の所定のタイミングで、前記第1口座で管理されている金融商品の合計金額を購入時の単価を用いて算出する合計金額算出部と、第1金融商品を購入するに際し、前記第1金融商品を前記第1口座で管理可能か否かを前記利用条件を参照して検証し、前記利用条件を満たしている場合には、前記第1金融商品を前記第1口座で管理し、前記利用条件を満たしていない場合には、前記第1金融商品を前記第2口座で管理する金融商品管理部と、を備え、前記金融商品管理部は、前記合計金額が前記購入限度額に達していない場合に、前記合計金額と前記購入限度額との差分に応じた金額分の第2金融商品を新たに購入して前記第1口座で管理する際に、前記第1口座で管理されている金融商品の中に、現在の単価が購入時の単価を下回っている第4金融商品がある場合には、当該第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、前記第4金融商品を、現在の単価で前記第2金融商品として新たに購入して前記第1口座で管理する。
【0010】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
優遇制度を利用する際の利用者の負担を軽減すると共に、優遇制度をより効果的に利用可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】金融商品管理システムの全体構成を示す図である。
図2】金融商品管理装置及びユーザ端末のハードウェア構成を示す図である。
図3】金融商品管理装置の記憶装置を示す図である。
図4】ユーザ管理テーブルを示す図である。
図5】金融商品管理テーブルを示す図である。
図6】口座管理テーブルを示す図である。
図7】利用条件管理テーブルを示す図である。
図8】金融商品管理装置の機能構成を示す図である。
図9】自動割当機能を説明するための図である。
図10】自動割当機能の処理の流れを説明するための図である。
図11】自動組入機能を説明するための図である。
図12】自動組入機能の処理の流れを説明するための図である。
図13】自動空き枠拡張機能を説明するための図である。
図14】自動空き枠拡張機能の処理の流れを説明するための図である。
図15】自動空き枠拡張機能の処理の流れを説明するための図である。
図16】自動空き枠拡張機能の処理の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
==全体構成==
図1に、本発明の一実施形態に係る金融商品管理装置300を含む金融商品管理システム1000の全体構成例を示す。金融商品管理装置300は、インターネットやLAN(Local Area Network)、電話網等のネットワーク500を通じて、ユーザ端末100と通信可能に接続されている。
【0014】
金融商品管理装置300は、株式や投資信託などの金融商品の購入や売却、顧客からの入金や出金、顧客の口座管理などを行うコンピュータである。より具体的には、金融商品管理装置300は、所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座と、優遇措置を受けることができない第2口座と、を含む複数の口座を用いて顧客の金融商品を管理するコンピュータである。一例として、金融商品管理装置300は、金融商品の販売会社(証券会社や銀行、信用金庫等)によって運営される。
【0015】
また本実施形態では、この販売会社は、顧客の資産運用の目的や目標金額、投資期間、リスク許容度などに応じて顧客に最適な運用プランを提案し、顧客との投資一任契約に基づき投資信託の購入を行う。
【0016】
顧客は、例えば図5に示すようなリスクリターンのレベルに応じて設定された「安定型」「安定成長型」「成長型」「積極型」「積極拡大型」の5つの運用プランの中から最適な運用プランを選択できる。
【0017】
各運用プランは、リスクリターンのレベルに応じて組み入れ比率が異なる、複数の投資信託などの金融商品を組み合わせて構成されている。
【0018】
そのため顧客は、自分が選択した運用プランに応じて、図5に記載されている比率で複数の金融商品を定期的に購入し、積み立てていくか、もしくは一括で購入することになる。このために金融商品管理装置300は、顧客が選択した運用プランに応じて、図5に記載されている比率で複数の金融商品を定期的に購入するか、または一括で購入していくことになる。
【0019】
また金融商品管理装置300は、2024年から開始される新NISAにも対応している。そのため、金融商品管理装置300は、新NISAの申し込みを行った顧客に対しては、特定口座420(第2口座に対応)に加え、NISA口座410(第1口座に対応)も開設する。なお、金融商品管理装置300は、特定口座420とNISA口座410に対してそれぞれ個別に口座番号を付与して管理するようにしても良いし、共通の口座番号で管理するようにしても良い。
【0020】
周知のように、新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠で構成されている。
【0021】
つみたて投資枠は、長期の積み立てや分散投資に適した一定の投資信託に投資できる積立投資用の枠である。つみたて投資枠の口座開設期間は恒久化されているが、年間投資枠は120万円の上限が定められている。また、つみたて投資枠で保有している投資信託から得た分配金や譲渡益は無期限で非課税になる。ただし、つみたて投資枠には非課税保有限度額が定められており、成長投資枠とあわせて1800万円と定められている。
【0022】
一方、成長投資枠は、上場株式(日本株式や外国株式)、ETF(上場投資信託)、REIT(上場不動産投信)や公募株式投資信託など幅広い金融商品を購入できる枠である。このため、成長投資枠を用いることで、つみたて投資枠の対象とならない金融商品も購入することができる。
【0023】
また成長投資枠の場合も口座開設期間は恒久化されているが、年間投資枠は240万円の上限が定められている。そして成長投資枠で保有している金融商品から得た分配金や譲渡益も無期限で非課税となる。また成長投資枠に定められている非課税保有限度額は1200万円であると共に、つみたて投資枠とあわせて1800万円と定められている。
【0024】
なお、年間投資枠及び非課税保有限度額は、金融商品の購入時の価額を積み上げていった場合の上限である(簿価残高方式)。また非課税保有限度額の枠は、過去に購入した金融商品を売却した場合には、この売却した金融商品の簿価相当額の枠を次の年以降に再利用することが可能である。一方、年間投資枠は使い切りであり、購入済みの金融商品を売却しても復活しない。
【0025】
次に、ユーザ端末100は、上記顧客、あるいは上記顧客の応対を行う販売会社の店員等の担当者により操作されるコンピュータであり、金融商品管理装置300に対して、入金の指示や、金融商品の購入や売却などの指示を行う。
【0026】
なお、金融商品管理装置300及びユーザ端末100は、サーバやパソコン等のハードウェア機器を用いて物理的に構築されたコンピュータシステムであってもよいし、仮想マシンやクラウドコンピュータのように、ハードウェア機器上に仮想的に構築されたコンピュータシステムであってもよい。
【0027】
また図1には、金融商品管理装置300及びユーザ端末100が1台ずつ記載されているが、金融商品管理装置300及びユーザ端末100は、いずれか一方または両方が2台以上であってもよい。
【0028】
以下、詳細に説明する。
==金融商品管理装置==
まず金融商品管理装置300について説明する。
【0029】
図2に示すように、金融商品管理装置300は、CPU310、メモリ320、通信装置330、記憶装置340、入力装置350、出力装置360、及び記録媒体読取装置370を備えるコンピュータ等の情報処理装置により構成される。
【0030】
なお図2は、金融商品管理装置300のハードウェア構成と、ユーザ端末100のハードウェア構成と、をまとめて記載している。これらのハードウェア構成は同じとは限らないが基本的な構成は共通しているので、重複を避けるためにこれらの構成を図2にまとめて示している。
【0031】
CPU310は金融商品管理装置300の全体の制御を司るもので、記憶装置340に記憶される本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される金融商品管理装置制御プログラム730や各種データをメモリ320に読み出して実行あるいは処理することにより、金融商品管理装置300としての各種機能を実現する。
【0032】
例えば、CPU310により金融商品管理装置制御プログラム730及び各種データが実行あるいや処理され、メモリ320や通信装置330、記憶装置340等のハードウェア機器と協働することにより、後述する利用条件記憶部301、金融商品管理部303、合計金額算出部304などの各機能が実現される。
【0033】
記憶装置340は、例えばハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)のような不揮発性の記憶装置である。そして図3に示す様に、記憶装置340には、金融商品管理装置300によって実行される金融商品管理装置制御プログラム730や、ユーザ管理テーブル600、金融商品管理テーブル610、口座管理テーブル620、利用条件管理テーブル630等の各種のデータが格納される(詳細は後述する)。
【0034】
記録媒体読取装置370は、CD-ROMやDVD、USB(登録商標)メモリ等の記録媒体800に記録された金融商品管理装置制御プログラム730や各種データを読み取り、記憶装置340に格納する。
【0035】
通信装置330は、ネットワーク500を介してユーザ端末100や不図示の他のコンピュータと各種データやプログラムの授受を行う。例えば不図示の他のコンピュータに上述した金融商品管理装置制御プログラム730や上述した各種テーブル等のデータを格納しておき、金融商品管理装置300がこのコンピュータからこれらのデータや金融商品管理装置制御プログラム730をダウンロードするようにすることができる。あるいは、上述した各種テーブルを他のコンピュータに構築するようにしても良い。
【0036】
また通信装置330は、顧客による各種の指示入力をユーザ端末100から受信するインタフェースとしても機能する。
【0037】
入力装置350は、例えばキーボードやマウスなどのデータを入力する装置である。また出力装置360は、例えばディスプレイやプリンタなどのデータを出力する装置である。
【0038】
金融商品管理装置300は、1台のコンピュータによって実現されても良いし、相互に通信可能に接続された複数台のコンピュータによって実現されても良い。
==ユーザ端末==
次に、ユーザ端末100について説明する。
【0039】
図2に示すように、ユーザ端末100は、CPU110、メモリ120、通信装置130、記憶装置140、入力装置150、出力装置160、及び記録媒体読取装置170を備えるコンピュータ等の情報処理装置により構成される。
【0040】
CPU110はユーザ端末100の全体の制御を司るもので、記憶装置140に記憶される本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成されるユーザ端末制御プログラム710や各種データをメモリ120に読み出して実行あるいは処理することにより、本実施形態で説明するユーザ端末100としての各種機能を実現する。
【0041】
なお上述した様に、ユーザ端末100は金融商品管理装置300と共通の構成を有しているので、重複する説明を省略する。
==テーブル==
次に、図4図7を参照しながら、ユーザ管理テーブル600、金融商品管理テーブル610、口座管理テーブル620、利用条件管理テーブル630について説明する。
<ユーザ管理テーブル>
ユーザ管理テーブル600は、金融商品の販売会社の顧客情報を記録したテーブルである。図4にユーザ管理テーブル600の一例を示す。図4に示す例では、顧客情報として、「ユーザID」、「運用プラン」、「毎月つみたて額」、「つみたて買付日」、「一括投資金額」、「一括買付日」、「残高」、「新NISA申込み」、「自動割当」、「自動組入」、「自動空き枠拡張」の各情報が示されている。
【0042】
「ユーザID」欄には、各顧客に一意に付与される識別情報が記録される。
【0043】
「運用プラン」欄には、顧客が選択した運用プランが記載される。図5に示す様に、顧客は「安定型」「安定成長型」「成長型」「積極型」「積極拡大型」の中から自分の投資目的やリスク許容度等に応じた運用プランを選択できる。
【0044】
「毎月つみたて額」欄には、顧客が毎月購入する金融商品の金額が記載される。この金額は、顧客の積立期間及び目標金額に応じて設定される。また図4には記載されていないが、顧客が指定した月(毎年7月、12月等)に積み立て額を増額することもできる。
【0045】
「つみたて買付日」欄には、金融商品管理装置300が定期的に金融商品の購入処理を行う日付が記載される。
【0046】
「一括投資金額」欄には、顧客が金融商品を一括で購入する場合の金額が記載される。なお、顧客は、積み立て投資と一括投資を併用することもできるし、どちらか一方でもよい。
【0047】
「一括買付日」欄には、金融商品管理装置300が金融商品の一括購入を行った日付が記載される。
【0048】
「残高」欄には、金融商品を購入するために顧客により入金された金額の残高が記載される。
【0049】
「新NISA申込み」欄には、顧客が新NISAの申し込みを行っているかを示す情報が記載される。顧客がこの販売会社と取引を開始すると、証券総合口座400が開設され、その中の特定口座420を用いて投資信託や株式などの金融商品の管理が行われるが、顧客が新NISAの申し込みを行った場合は、証券総合口座400の中にさらにNISA口座410(つみたて投資枠勘定411及び成長投資枠勘定412)が開設され、NISA口座410を用いて投資信託などの管理が行われる。
【0050】
「自動割当」欄には、購入した金融商品を、つみたて投資枠勘定411で管理するのか、成長投資枠勘定412で管理するのか、特定口座420で管理するのかを金融商品管理装置300が自動で判別して処理する機能を有効とするのか無効とするのかを示す情報が記憶される。
【0051】
「自動組入」欄には、特定口座420で管理されている過去に購入した金融商品を、成長投資枠勘定412に自動で組み入れ直す機能を有効にするのか無効にするのかを示す情報が記憶される。
【0052】
「自動空き枠拡張」欄には、つみたて投資枠勘定411あるいは成長投資枠勘定412で管理されている過去に購入した金融商品が値下がりしている場合に、この金融商品を売却し、新たに成長投資枠勘定412に自動で組み入れ直す機能を有効にするのか無効にするのかを示す情報が記憶される。
【0053】
なお、図4の「A002」で示す顧客のように、新NISAの申し込みを行っていない顧客に対しては、「自動割当」、「自動組入」、「自動空き枠拡張」の各機能は不要なため、無効とされている。
【0054】
一方、新NISAの申し込みを行っている顧客に対しては、「自動割当」、「自動組入」の各機能は標準的に有効となり、「自動空き枠拡張」の機能を有効にするか否かは顧客が選択できる。もちろん、「自動割当」、「自動組入」、「自動空き枠拡張」の各機能を有効にするか否かを顧客が選択できるような態様であってもよいし、3つの機能を標準的に有効とする態様であってもよい。
<金融商品管理テーブル>
金融商品管理テーブル610は、販売会社が顧客に販売する金融商品を記載したテーブルである。図5に示すように、販売会社によって販売される金融商品は、No1で示す「国内株式」、No2で示す「先進国株式」、No3で示す「新興国株式」等の投資信託を含んでおり、販売会社はこれらの金融商品を様々な比率で組み合わせることで、「安定型」「安定成長型」「成長型」「積極型」「積極拡大型」等の複数の運用プランを設定する。顧客は運用診断を行うことによって、これらの運用プランの中から自分に合った運用プランを選択する。
【0055】
なお、これらの運用プランに含まれる金融商品は、いずれも新NISAの成長投資枠の対象になるが、つみたて投資枠の対象となる金融商品と対象とならない金融商品とが混在している。図5に示す例では、例えばNo1の「国内株式」、No2の「先進国株式」、No3の「新興国株式」は成長投資枠及びつみたて投資枠のいずれの対象でもあるが、No4の「国内債券」やNo5の「先進国債権」は、成長投資枠の対象ではあるが、つみたて投資枠の対象ではない。
【0056】
また図5には記載されていないが、No6以下の「ヘッジ外債」「新興国債権」「国内リート」「先進国リート」なども成長投資枠の対象ではあるが、つみたて投資枠の対象ではない。その他、「ジェンダー」「脱炭素」「イノベーション」などの特定のテーマ型のファンドなども成長投資枠の対象ではあるが、つみたて投資枠の対象ではない。また、運用プランの中には、新NISAの対象とならない金融商品が含まれていてもよい。
【0057】
なお、金融商品テーブル610に記載される金融商品は上記の限りではなく、他の金融商品が含まれていてもよい。
<口座管理テーブル>
口座管理テーブル620は、顧客が開設した証券総合口座400を管理するためのテーブルである。証券総合口座400は、顧客が新NISAの申し込みを行っていない場合は特定口座420となるが、顧客が新NISAの申し込みを行っている場合は、NISA口座410と特定口座420とが含まれる。
【0058】
図6に示す例は、新NISAの申し込みを行っている顧客の証券総合口座400の様子を示す。
【0059】
NISA口座410は、新NISAで定められている所定の優遇措置を受けることが可能な口座(第1口座)である。具体的には、NISA口座410で保有している金融商品から得られた分配金や譲渡益は無期限で非課税になる。またNISA口座410は、さらに、つみたて投資枠勘定411と成長投資枠勘定412の2つの勘定に分けて管理される。
【0060】
そのため、つみたて投資枠勘定411も成長投資枠勘定412も、所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座であり、つみたて投資枠勘定411で保有している金融商品も、成長投資枠勘定412で保有している金融商品も、分配金や譲渡益は無期限で非課税になる。
【0061】
図6に示す例では、つみたて投資枠の対象となる、図5に示したNo1の「国内株式」と、No2の「先進国株式」がつみたて投資枠勘定411で管理されている様子が示されている。また成長投資枠勘定412には、成長投資枠の対象となる、図5に示したNo4の「国内債券」とNo5の「先進国債権」が管理されている。
【0062】
一方、特定口座420は、新NISAの優遇措置を受けることができない口座(第2口座)である。従って、特定口座420で管理している金融商品から得られた分配金や譲渡益は課税の対象になる。特定口座420には、新NISAの利用限度額を超えてしまった分の金融商品や、新NISAの対象外の金融商品などが管理される。
<利用条件管理テーブル>
利用条件管理テーブル630は、新NISA制度の内容に基づいて作成されるテーブルであり、金融商品をNISA口座410で管理するために満たすべき、NISA口座410の利用条件を記憶するテーブルである。より詳細には、利用条件管理テーブル630は、金融商品を、つみたて投資枠勘定411で管理するために満たすべき、つみたて投資枠勘定411の利用条件と、成長投資枠勘定412で管理するために満たすべき、成長投資枠勘定412の利用条件と、を記憶している。利用条件管理テーブル630の一例を図7に示す。
【0063】
この利用条件管理テーブル630を参照することにより、つみたて投資枠勘定411の利用条件は、
(1)金融商品の購入可能期間は1月~12月の1年間を単位として恒久的に繰り返す。
(2)1年間の購入可能期間における金融商品の購入可能額(第1年間購入可能額)は、簿価で120万円(第1年間投資枠)まで。
(3)つみたて投資枠勘定411で管理できる金融商品の総額(第1総額)は、つみたて投資枠勘定411と成長投資枠勘定412をあわせて簿価で1800万円(第1非課税保有限度額)まで。
(4)つみたて投資枠勘定411で管理している金融商品を売却した場合は、翌年にその分の金額(簿価)が第1総額から減額される。
(5)つみたて投資枠勘定411で管理可能な金融商品に一定の制約がある。
(6)対象年齢は18歳以上。
(7)現行NISA制度からのロールオーバは不可。
の各条件を含むことが分かる。
【0064】
同様に、成長投資枠勘定412の利用条件は、
(1)金融商品の購入可能期間は1月~12月の1年間を単位として恒久的に繰り返す。
(2)1年間の購入可能期間における金融商品の購入可能額(第2年間購入可能額)は、簿価で240万円(第2年間投資枠)まで。
(3)成長投資枠勘定12で管理できる金融商品の総額(第2総額)は、簿価で1200万円(第2非課税保有限度額)までであると共に、つみたて投資枠勘定411と成長投資枠勘定412をあわせて簿価で1800万円(第1非課税保有限度額)まで。
(4)成長投資枠勘定412で管理している金融商品を売却した場合は、翌年にその分の金額(簿価)が第2総額から減額される。
(5)成長投資枠勘定412で管理可能な金融商品に一定の制約がある。
(6)対象年齢は18歳以上。
(7)現行NISA制度からのロールオーバは不可。
の各条件を含むことが分かる。
【0065】
このことから、新たに金融商品を購入して、つみたて投資枠勘定411で管理する場合の購入可能額X1は、つみたて投資枠勘定411で管理している全ての金融商品の総額(簿価)をA1、そのうち、本年1月以降に購入してつみたて投資枠勘定411で管理している金融商品の合計金額(簿価)をA2、成長投資枠勘定412で管理している金融商品の総額(簿価)をB1とすると、
X1 = min[(120万円-A2),((1800万円-B1)-A1)] …(式1)
となる。
【0066】
ここで、(120万円-A2)の項は、第1年間投資枠(=第1購入限度額)と、本年1月以降に購入してつみたて投資枠勘定411で管理している金融商品の合計金額(第1合計金額)と、の差分(第1差分)である。
【0067】
また((1800万円-B1)-A1)の項は、第1非課税保有限度額から成長投資枠勘定412で管理している金融商品の総額を減じた額(=第2購入限度額)と、つみたて投資枠勘定411で管理している金融商品の総額(第2合計金額)と、の差分(第2差分)である。
【0068】
そして購入可能額X1は、第1差分と第2差分の小さい方の金額となる。
【0069】
上記のようにして求めた購入可能額X1を、12月までの残りの積み立て月数で割ることで1か月あたりの積立額を計算し、以後、この積立額で積み立てていくことにより、つみたて投資枠に与えられた税制優遇措置を最大限まで活用することができる。
【0070】
同様に、新たに金融商品を購入して成長投資枠勘定412で管理する場合の購入可能額X2は、つみたて投資枠勘定411で管理している金融商品の総額(簿価)をA1、成長投資枠勘定412で管理している金融商品の総額(簿価)をB1、そのうち、本年1月以降に購入して成長投資枠勘定412で管理している金融商品の合計金額(簿価)をB2とすると、
X2 = min[(240万円-B2),(min[1200万円,(1800万円-A1)]-B1)] …(式2)
となる。
【0071】
ここで、(240万円-B2)の項は、第2年間投資枠(=第3購入限度額)と、本年1月以降に購入して成長投資枠勘定412で管理している金融商品の合計金額(第3合計金額)と、の差分(第3差分)である。
【0072】
また(min[1200万円,(1800万円-A1)]-B1)の項は、「第2非課税保有限度額」と「第1非課税保有限度額からつみたて投資枠勘定411で管理している金融商品の総額を減じた額」との小さい方の金額(=第4購入限度額)と、成長投資枠勘定412で管理している金融商品の総額(=第4合計金額)と、の差分(第4差分)である。
【0073】
そして購入可能額X2は、第3差分と第4差分の小さい方の金額となる。
【0074】
なお(式2)は、
X2 = min[(240万円-B2),(1200万円-B1),((1800万円-A1)-B1)] …(式3)
と表すこともできる。
【0075】
この場合は、(1200万円-B1)の項は、「第2非課税保有限度額」(=第5購入限度額)と、成長投資枠勘定412で管理している金融商品の総額(=第5合計金額)と、の差分(第5差分)である。
【0076】
また((1800万円-A1)-B1)の項は、第1非課税保有限度額からつみたて投資枠勘定411で管理している金融商品の総額を減じた額(=第6購入限度額)と、成長投資枠勘定412で管理している金融商品の総額(第6合計金額)と、の差分(第6差分)である。
【0077】
この場合、購入可能額X2は、第3差分と第5差分と第6差分の中の最小の金額となる。
【0078】
そして、上記のようにして求めた購入可能額X2に相当する金額の金融商品を新たに購入して成長投資枠勘定412で管理することにより、成長投資枠に与えられている税制優遇措置のメリットを最大化することができる。
==機能構成及び処理の流れ==
次に金融商品管理装置300が有する機能及び処理の流れを、図8図16を参照しながら説明する。図8に示すように、本実施形態に係る金融商品管理装置300は、利用条件記憶部301、金融商品管理部303、合計金額算出部304の各機能を有する。
【0079】
これらの各機能は、金融商品管理装置300のハードウェアによって金融商品管理装置制御プログラム730が実行されることにより実現される。
<利用条件記憶部>
利用条件記憶部301は、金融商品をNISA口座410(つみたて投資枠勘定411、及び成長投資枠勘定412)で管理するために満たすべき、NISA口座410の利用条件を記憶する。本実施形態では、利用条件記憶部301は上述した利用条件管理テーブル630として具現化されている。
【0080】
そしてこの利用条件には、NISA口座410で管理する金融商品の購入可能期間、及び購入限度額に関する規定が含まれている。
【0081】
例えば購入可能期間は、1月~12月の1年間であり毎年恒久的に繰り返す。また購入限度額は、上記の第1購入限度額から第6購入限度額で例示したように、NISA口座410で管理している各金融商品の合計金額を、購入時の単価で計算した場合の上限値である(簿価で計算した場合の上限値である)。
<合計金額算出部>
合計金額算出部304は、上記の購入可能期間が終了する前の所定のタイミングで、NISA口座410(第1口座)で管理されている金融商品の合計金額を算出する。例えば合計金額算出部304は、毎年の購入可能期間の最終月である12月の所定日(例えば買付日の翌営業日)に、合計金額を算出する。
【0082】
具体的には合計金額算出部304は、その年に購入して成長投資枠勘定412で管理されている金融商品の合計金額(上述したB2、第3合計金額)と、成長投資枠勘定412で管理されている全ての金融商品の合計金額(上述したB1、第4合計金額~第6合計金額)と、つみたて投資枠勘定411で管理されている全ての金融商品の合計金額(上述したA1、第2合計金額)と、その年に購入してつみたて投資枠勘定411で管理されている金融商品の合計金額(上述したA2、第1合計金額)と、を計算する。なお合計金額算出部304は、これらの合計金額を、金融商品を購入した時の単価で計算する。
【0083】
合計金額算出部304がこれらの合計金額を計算することにより、つみたて投資枠及び成長投資枠への買い付け余力がどの程度残っているのかを確認することができる。
<金融商品管理部>
-自動割当機能-
金融商品管理部303は、第1金融商品を購入するに際し、第1金融商品をNISA口座410で管理可能か否かを上記利用条件を参照して検証し、利用条件を満たしている場合には、この第1金融商品をNISA口座410で管理し、利用条件を満たしていない場合には、第1金融商品を特定口座420(第2口座)で管理する。
【0084】
より詳しくは、金融商品管理部303は、第1金融商品を購入するに際し、第1金融商品をつみたて投資枠勘定411で管理可能か否か、及び成長投資枠勘定412で管理可能か否かを上記利用条件を参照して検証し、つみたて投資枠勘定411の利用条件を満たしている場合には、この第1金融商品をつみたて投資枠勘定411で管理し、成長投資枠勘定412の利用条件を満たしている場合には、この第1金融商品を成長投資枠勘定412で管理し、いずれの利用条件も満たしていない場合には、第1金融商品を特定口座420(第2口座)で管理する。
【0085】
このような態様により、金融商品管理部303は、以下に説明する自動割当機能を実現することが可能となる。
【0086】
自動割当機能は、図9に示すように、顧客が購入する金融商品を、NISA口座410の利用条件に応じて、つみたて投資枠勘定411、成長投資枠勘定412、特定口座420の中から最適な口座に自動で振り分けて、管理する機能である。
【0087】
例えば、金融商品管理部303は、第1金融商品がつみたて投資枠の対象であるか、成長投資枠の対象であるかを検証する際には、図5に示した金融商品管理テーブル610を参照し、No1~No3のいずれかである場合は、つみたて投資枠の対象であると判定し、No4以降のいずれかである場合は成長投資枠の対象であると判定する。また金融商品管理部303は、第1金融商品がつみたて投資枠の対象でも成長投資枠の対象でもない場合は、第1金融商品を特定口座420(第2口座)で管理する。
【0088】
もちろん金融商品管理部303は、金融商品管理テーブル610の他に、ウェブ上に公開されている、新NISAのつみたて投資枠及び成長投資枠の対象とされている金融商品のリスト(不図示)を参照することにより、第1金融商品がつみたて投資枠の対象であるか、成長投資枠の対象であるか、どちらでもないかを検証してもよい。
【0089】
自動割当機能について図10を参照しながら詳しく説明する。図10は、顧客が販売会社に証券総合口座400及びNISA口座410を開設し(S1000、S1010)、資金を入金した後に(S1020)、第1金融商品を購入する段階における金融商品管理部303の処理の流れを示す。
【0090】
金融商品管理部303は、原則として、第1金融商品がつみたて投資枠の対象であると判定した場合には、この第1金融商品をつみたて投資枠勘定411で管理し(S1040)、つみたて投資枠の対象ではないが成長投資枠の対象であると判定した場合には、この第1金融商品を成長投資枠勘定412で管理し(S1060)、つみたて投資枠の対象でも成長投資枠の対象でもないと判定した場合には、この第1金融商品を特定口座420で管理する(S1070)。ただし、金融商品管理部303は、つみたて投資枠の年間利用額(120万円)を超える分は成長投資枠勘定412で管理する(S1030)。さらに金融商品管理部303は、成長投資枠の年間利用額(240万円)または非課税保有限度額(1200万円、あるいは1800万円)を超える分は特定口座420で管理する(S1050)。
【0091】
このような態様により、つみたて投資枠と成長投資枠で対象商品が異なっていたり、それぞれの枠で管理できる保有額に限度があったりしても、顧客は大きな負担なく、容易にNISA口座410を使いこなし、新NISA制度の優遇措置を無駄なく活用できるようになる。
【0092】
なお、本実施形態では、金融商品管理部303は上記の自動割当機能を標準的に有効にするものとしているが、自動割当機能を使用するか否かを顧客が選択できるようにしてもよい。この場合、金融商品管理装置300は、通信装置330を通じて、自動割当機能を使用するか否かを示す顧客からの指示入力を受け付けて、この指示入力に応じて自動割当機能を有効にするか無効にするかを切り替える。このような態様により、自動割当機能を顧客の要望に応じて提供することが可能となる。
【0093】
なおこの場合、金融商品管理部303は、顧客が一度自動割当機能を有効にすることを選択した場合は、それ以降、顧客からの変更がない限り自動割当機能を有効にするが、適宜所定のタイミングで、自動割当機能を有効にするか否かを顧客に確認してもよい。
-成長投資枠活用機能-
また金融商品管理部303は、上述した合計金額算出部304が算出した合計金額が購入限度額に達していない場合に、この合計金額と購入限度額との差分を超えない範囲の金額分の第2金融商品を新たに購入し、成長投資枠勘定412(第1口座)で管理する機能を有してもよい。
【0094】
例えば金融商品管理部303は、上述した(式2)及び(式3)を用いて計算される購入可能額X2の分だけ、新たに第2金融商品を購入して、成長投資枠勘定412で管理する。
【0095】
このような態様により、金融商品管理部303は、以下に説明する自動組入機能及び自動空き枠拡張機能を実現するための基礎となる成長投資枠活用機能を実現することが可能となる。これにより顧客は、新NISAの成長投資枠の購入限度額まで金融商品を購入することができ、優遇メリットを最大化することが可能となる。
【0096】
なお、このとき、金融商品管理装置300は、通信装置330を通じて第2金融商品の購入要否に関する指示入力を受け付けて、第2金融商品の購入を行う旨の指示を受けた場合に、第2金融商品の購入を行うようにしてもよい。
【0097】
このような態様により、成長投資枠の購入限度額まで第2金融商品を購入するか否かを、顧客の要望に応じて処理することが可能となる。
【0098】
また当然ながら、上記の第2金融商品は成長投資枠勘定412の利用条件を満たす金融商品である。金融商品管理部303が購入する第2金融商品は、事前に決められていてもよいし、通信装置330を通じて顧客から第2金融商品を指定する指示入力を受け付けて、指示入力により指定された第2金融商品を購入するようにしてもよい。
【0099】
また、以下に説明する自動組入機能のように、特定口座420で管理している第3金融商品を売却して、同じ第3金融商品を第2金融商品として購入して成長投資枠勘定412で管理してもよい。
【0100】
あるいは、以下に説明する自動空き枠拡張機能のように、つみたて投資枠勘定411または成長投資枠勘定412で管理している第4金融商品を売却して、同じ第4金融商品を第2金融商品として購入して成長投資枠勘定口座412で管理してもよい。
-自動組入機能-
金融商品管理部303は、合計金額算出部304が算出した合計金額が購入限度額に達していない場合に、特定口座420において顧客の第3金融商品が管理されている場合には、当該第3金融商品を、上記の第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、第3金融商品を第2金融商品として新たに購入して成長投資枠勘定412で管理するようにしてもよい。
【0101】
このような態様により、金融商品管理部303は、以下に説明する自動組入機能を実現することが可能となる。
【0102】
自動組入機能は、毎年の購入可能期間が終了する前の所定のタイミング(例えば12月の所定日)で実行される機能であり、成長投資枠勘定412の保有限度額、年間投資枠に余力があって一定の条件を満たす場合に、特定口座420(課税)の証券投資信託を売却し、成長投資枠勘定412に自動で組み入れる機能である。
【0103】
具体的には、金融商品管理部303は、図11に示すように、成長投資枠勘定412の年間の購入限度額(240万円)に余裕がある場合(例えば90万円分)に、成長投資枠勘定412の保有限度額(1200万円、1800万円)を超えない範囲内で、特定口座420で管理中の金融商品(上記の第3金融商品)を上記余裕分の範囲内の金額(例えば90万円分)だけ売却して、同じ金融商品(第3金融商品)を同じ金額(例えば90万円分)で買い直して成長投資枠勘定412で管理する。
【0104】
自動組入機能について図12を参照しながら詳しく説明する。図12は、上記所定のタイミングが到来した際に金融商品管理部303が行う処理の流れを示す。
【0105】
まず金融商品管理部303は、(式2)あるいは(式3)を用いて、上述した購入可能額X2を計算することにより、成長投資枠勘定412に空き枠があるかどうかを判定する(S2000)。
【0106】
空き枠がなければ金融商品管理部303は処理を終了するが、空き枠がある場合、金融商品管理部303は、特定口座420で管理している金融商品(第3金融商品)があるか否かを判定する(S2010)。
【0107】
特定口座420で管理している金融商品(第3金融商品)がなければ金融商品管理部303は処理を終了する。
【0108】
一方、特定口座420で管理している金融商品(第3金融商品)がある場合は、金融商品管理部303は、上記の購入可能額X2に相当する金額分の金融商品(第3金融商品)を特定口座420から売却する(S2030)。
【0109】
そして金融商品管理部303は、この金融商品(第3金融商品)を同じ金額で買い直して成長投資枠勘定412で管理する(S2040)。
【0110】
このような態様により、成長投資枠が利用できるにもかからわず、特定口座420に保管したままになっている金融商品を減らし、成長投資枠の優遇措置を効率的に活用することが可能となる。
【0111】
なお、本実施形態では、金融商品管理部303は上記の自動組入機能を標準的に有効にするものとしているが、自動組入機能を使用するか否かを顧客が選択できるようにしてもよい。この場合、金融商品管理装置300は、通信装置330を通じて第3金融商品の売却及び第3金融商品(第2金融商品)の購入の要否に関する指示を顧客から受け付けて、第3金融商品の売却及び第3金融商品(第2金融商品)の購入を行う旨の指示を受けた場合に第3金融商品の売却及び第3金融商品(第2金融商品)の購入を行うようにしてもよい。このような態様により、自動組入機能を顧客の要望に応じて提供することが可能となる。
【0112】
なお、金融商品管理部303は、顧客が一度自動組入機能を有効にすることを選択した場合は、それ以降、顧客からの変更がない限り自動組入機能を有効にするが、上記の所定のタイミングで毎年、自動組入機能を有効にするか否かを顧客に確認してもよい。
【0113】
また当然ながら、上記の特定口座420で管理されている第3金融商品は成長投資枠勘定412の利用条件を満たす金融商品である。また成長投資枠勘定412の利用条件を満たす第3金融商品が複数種類ある場合は、金融商品管理部303は、例えば各第3金融商品の期待リターンと想定リスクを確認し、最も期待リターンが高い銘柄を一つ選択する。最も期待リターンが高い銘柄が複数あった場合は、金融商品管理部303は、それらの中で想定リスクが最も小さい銘柄を一つ選択する。これらに該当する銘柄がまだ複数あった場合は、金融商品管理部303は、これらの銘柄を同額で売却及び購入する。あるいは、通信装置330を通じて顧客から第3金融商品を指定する指示入力を受け付けて、指示入力により指定された第3金融商品を売却及び購入するようにしてもよい。
-自動空き枠拡張機能-
また金融商品管理部303は、合計金額算出部304が算出した合計金額が購入限度額に達していない場合に、成長投資枠勘定412で管理されている金融商品の中に、現在の単価が購入時の単価を下回っている第4金融商品がある場合には、当該第4金融商品を、現在の単価で、上述した第2金融商品の購入金額に相当する金額分売却した上で、第4金融商品を、現在の単価で、第2金融商品として新たに購入して成長投資枠勘定412で管理するようにしてもよい。
【0114】
このような態様により、金融商品管理部303は、以下に説明する自動空き枠拡張機能を実現することが可能となる。
【0115】
自動空き枠拡張機能は、毎年の購入可能期間が終了する前の所定のタイミング(例えば12月の所定日)で実行される機能であり、NISA口座410で保有する証券投資信託等の金融商品の基準価額が、取得価額(簿価)を一定以上、下回っている場合、一旦売却した後に成長投資枠勘定412で買い直すことを自動で行う機能である。
【0116】
具体的には、金融商品管理部303は、図13に示すように、成長投資枠勘定412で管理されている金融商品の中に、例えば購入時の価格が300万円で、現在は150万円に値下がりしている金融商品(第4金融商品)がある場合に、この金融商品を一旦売却して、同じ金融商品(第4金融商品)を同じ金額(例えば150万円)で買い直して成長投資枠勘定412で管理する。
【0117】
このため、成長投資枠の年間投資枠に余裕がある場合に、このような値下がりした金融商品を成長投資枠の範囲内で買い直すことにより、年間投資枠(240万円)を無駄にすることなく、しかも翌年に非課税保有限度額(1200万円、1800万円)の枠を拡張することが可能となる。
【0118】
自動空き枠拡張機能について図14図16を参照しながら詳しく説明する。図14図16は、ケース別に自動空き枠拡張機能を説明するための図であり、上記所定のタイミングが到来した際に金融商品管理部303が行う処理の流れを示す。
【0119】
図14は、成長投資枠勘定412で管理されている含み損のある金融商品を買い直して成長投資枠勘定412で管理するケースである。
【0120】
図15は、つみたて投資枠勘定411で管理されている含み損のある金融商品を買い直して成長投資枠勘定412で管理するケースである。
【0121】
図16は、成長投資枠勘定412で管理されている金融商品と、つみたて投資枠勘定411で管理されている金融商品と、を比較して、含み損額が大きい方を買い直して成長投資枠勘定412で管理するケースである。
【0122】
まず、図14に示すケースについて説明する。
【0123】
金融商品管理部303は、(式2)あるいは(式3)を用いて、上述した購入可能額X2を計算することにより、成長投資枠勘定412に空き枠があるかどうかを判定する(S3000)。
【0124】
空き枠がなければ金融商品管理部303は処理を終了するが、空き枠がある場合、金融商品管理部303は、成長投資枠勘定412の中に、含み損のある金融商品(第4金融商品)の有無を確認する(S3010)。
【0125】
含み損のある金融商品(第4金融商品)が存在しなければ、金融商品管理部303は処理を終了するが、そのような金融商品(第4金融商品)がある場合、金融商品管理部303は、上記の購入可能額X2に相当する金額分の第4金融商品を成長投資枠勘定412から売却する(S3020)。
【0126】
そして金融商品管理部303は、この金融商品(第4金融商品)を同じ金額で買い直して成長投資枠勘定412で管理する(S3030)。
【0127】
このような態様によっても、成長投資枠の年間投資枠(240万円)を無駄にすることなく、翌年に非課税保有限度額の枠(1200万円、1800万円)を拡張することが可能となり、優遇措置を効率的に活用することが可能となる。
【0128】
続いて図15に示すケースについて説明する。
【0129】
金融商品管理部303は、(式2)あるいは(式3)を用いて、上述した購入可能額X2を計算することにより、成長投資枠勘定412に空き枠があるかどうかを判定する(S4000)。
【0130】
空き枠がなければ金融商品管理部303は処理を終了するが、空き枠がある場合、金融商品管理部303は、つみたて投資枠勘定411の中に、含み損のある金融商品(第4金融商品)の有無を確認する(S4010)。
【0131】
含み損のある金融商品(第4金融商品)が存在しなければ、金融商品管理部303は処理を終了するが、そのような金融商品(第4金融商品)がある場合、金融商品管理部303は、上記の購入可能額X2に相当する金額分の金融商品(第4金融商品)をつみたて投資枠勘定411から売却する(S4020)。
【0132】
そして金融商品管理部303は、この金融商品(第4金融商品)を同じ金額で買い直して成長投資枠勘定412で管理する(S4030)。
【0133】
このような態様によっても、成長投資枠の年間投資枠(240万円)を無駄にすることなく、翌年に非課税保有限度額の枠(1200万円、1800万円)を拡張することが可能となり、優遇措置を効率的に活用することが可能となる。
【0134】
続いて図16に示すケースについて説明する。
【0135】
金融商品管理部303は、(式2)あるいは(式3)を用いて、上述した購入可能額X2を計算することにより、成長投資枠勘定412に空き枠があるかどうかを判定する(S5000)。
【0136】
空き枠がなければ金融商品管理部303は処理を終了するが、空き枠がある場合、金融商品管理部303は、つみたて投資枠勘定411及び成長投資枠勘定412の中に、含み損のある金融商品(第4金融商品)の有無を確認する(S5010、S5020)。
【0137】
つみたて投資枠勘定411及び成長投資枠勘定412のいずれにも、含み損のある金融商品(第4金融商品)が存在しなければ、金融商品管理部303は処理を終了する。またいずれか一方の勘定に含み損のある金融商品(第4金融商品)がある場合は、金融商品管理部303は図14あるいは図15に示した処理を行う。
【0138】
また、両方の勘定にそのような含み損のある金融商品(第4金融商品)がある場合、金融商品管理部303は、どちらの方が含み損が大きいかを判定し、そして含み損の大きい方の金融商品(第4金融商品)を、上記の購入可能額X2に相当する金額分だけ売却する(S5030)。
【0139】
そして金融商品管理部303は、この金融商品(第4金融商品)を同じ金額で買い直して成長投資枠勘定412で管理する(S5040)。
【0140】
このような態様によれば、成長投資枠の年間投資枠(240万円)を無駄にすることなく、翌年に非課税保有限度額の枠(1200万円、1800万円)をより大きく拡張することが可能となり、優遇措置をより効率的に活用することが可能となる。
【0141】
なお、本実施形態では、金融商品管理部303は上記の自動空き枠拡張機能を使用するか否かを顧客が自由に選択できるようにしている。このため、金融商品管理装置300は、通信装置330を通じて第4金融商品の売却及び第4金融商品(第2金融商品)の購入の要否に関する指示を顧客から受け付けて、第4金融商品の売却及び第4金融商品(第2金融商品)の購入を行う旨の指示を受けた場合に第4金融商品の売却及び第4金融商品(第2金融商品)の購入を行うようにしている。このような態様により、自動空き枠拡張機能を顧客の要望に応じて提供することが可能となる。
【0142】
なお、金融商品管理部303は、顧客が一度自動空き枠拡張機能を有効にすることを選択した場合は、それ以降、顧客からの変更がない限り自動空き枠拡張機能を有効にするが、上記の所定のタイミングで毎年、自動空き枠拡張機能を有効にするか否かを顧客に確認してもよい。
【0143】
あるいはもちろん、金融商品管理部303は、上記の自動空き枠拡張機能を標準的に有効にするものとしてもよい。
【0144】
以上、本実施形態に係る金融商品管理装置300、金融商品管理装置300の制御方法及びプログラムについて説明したが、本実施形態によれば、優遇制度を利用する際の利用者の負担を軽減すると共に、利用者が優遇制度をより効果的に利用することが可能になる。例えば、長期での資産形成をめざす顧客に対して、新NISA制度の生涯投資枠1800万円を活用し、運用資産の最大化に貢献することが可能となる。
【0145】
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0146】
例えば上記実施形態では、顧客は、事前に運用診断を行って、「安定型」「安定成長型」「成長型」「積極型」「積極拡大型」等の複数の運用プランの中から自分に合った運用プランを選択する場合について説明したが、特定の運用プランを選択し運用するのではなく、顧客が金融商品を自ら選択して運用することがあってもよい。
【0147】
また例えば上記実施形態では、新NISA制度に適用する場合を例に取り上げて説明したが、新NISA制度に限らず、所定の優遇措置を受けることが可能な第1口座と、優遇措置を受けることができない第2口座と、を含む複数の口座を用いて顧客の金融商品を管理する場合に、適宜、適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
100 ユーザ端末
110 CPU
120 メモリ
130 通信装置
140 記憶装置
150 入力装置
160 出力装置
170 記録媒体読取装置
300 金融商品管理装置
301 利用条件記憶部
303 金融商品管理部
304 合計金額算出部
310 CPU
320 メモリ
330 通信装置
340 記憶装置
350 入力装置
360 出力装置
370 記録媒体読取装置
400 証券総合口座
410 NISA口座
411 つみたて投資枠勘定
412 成長投資枠勘定
420 特定口座
500 ネットワーク
600 ユーザ管理テーブル
610 金融商品管理テーブル
620 口座管理テーブル
630 利用条件管理テーブル
710 ユーザ端末制御プログラム
730 金融商品管理装置制御プログラム
800 記録媒体
1000 金融商品管理システム
【要約】
【課題】優遇制度利用者の負担を軽減すると共に、優遇制度をより効果的に利用可能にする。
【解決手段】 金融商品の購入可能期間及び購入時の単価で計算した購入限度額に関する規定を含む、第1口座の利用条件を記憶する利用条件記憶部と、購入可能期間終了前の所定のタイミングで第1口座の合計金額を購入時の単価で算出する合計金額算出部と、第1金融商品を購入するに際し、利用条件を満たしている場合には第1口座で管理し、満たしていない場合には第2口座で管理する金融商品管理部と、を備え、金融商品管理部は、合計金額が購入限度額に達していない場合に、合計金額と購入限度額との差分に応じた分の第2金融商品を購入して第1口座で管理する際に、第1口座の中に現在の単価が購入時の単価を下回る第4金融商品がある場合には、当該第4金融商品を、現在の単価で第2金融商品の購入金額分売却して現在の単価で新たに購入する。
【選択図】 図13
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16