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特許7494382制御命令の識別方法及び識別装置、不揮発性記憶媒体、プロセッサ、電子装置、多関節ロボット
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  • 特許-制御命令の識別方法及び識別装置、不揮発性記憶媒体、プロセッサ、電子装置、多関節ロボット 図1
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  • 特許-制御命令の識別方法及び識別装置、不揮発性記憶媒体、プロセッサ、電子装置、多関節ロボット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】制御命令の識別方法及び識別装置、不揮発性記憶媒体、プロセッサ、電子装置、多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/10 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023509413
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2021109981
(87)【国際公開番号】W WO2022088816
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】202011177339.0
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512306405
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンシーズ インク オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
【住所又は居所原語表記】Qianshan Jinji West Road,Zhuhai, Guangdong, 519070, P.R. CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 長▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】区 均灌
(72)【発明者】
【氏名】劉 亜祥
(72)【発明者】
【氏名】趙 一金
(72)【発明者】
【氏名】陳 雨琴
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166626(JP,A)
【文献】特開2010-102409(JP,A)
【文献】特開2015-174155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御命令の識別方法であって、
多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得するステップであって、前記多関節ロボットが1つのターゲット軌跡だけ動作するたびに、各前記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行するステップと、
前記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップであって、前記第1制御命令には、前記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された前記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれているステップと、
前記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップであって、前記第2制御命令には、前記軸サーボモータが前記次のサイクル周期を実行するときの前記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれているステップと、を含み、
前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップは、
前記第1制御命令に含まれる前記移動距離範囲及び前記第2制御命令に含まれる前記ターゲット移動距離を取得するステップと、
前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれているか否かを検出するステップと、
検出の結果として、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれていない場合、前記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれている場合、前記第2制御命令が正しいと決定するステップと、を含むことを特徴とする制御命令の識別方法。
【請求項2】
前記モータ動作パラメータは、回転距離、回転数、トルク電流を含み、
前記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップは、
前記回転距離、前記回転数、前記トルク電流を予測モデルに入力して、前記第1制御命令を得るステップであって、前記予測モデルは複数組のデータを用いて機械学習によりトレーニングしたものであり、前記複数組のデータのうちのそれぞれの組のデータは、いずれもサンプル動作パラメータと、前記サンプル動作パラメータに対応するサンプル制御命令と、を含み、前記サンプル動作パラメータは、サンプル回転距離、サンプル回転数、サンプルトルク電流を含むステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップの後、
前記第2制御命令が正しいと決定した場合、前記第2制御命令を用いて前記多関節ロボットを制御して前記次のサイクル周期を動作させ、命令エラーカウンタのカウントをクリアするステップと、
前記第2制御命令が正しくない場合、第3制御命令に従って前記第2制御命令を修正し、前記命令エラーカウンタのカウントに1を加算し、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定するステップであって、前記第3制御命令は、前記軸サーボモータを制御して前記現在のサイクル周期よりも前のサイクル周期を実行させる命令であるステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
第3制御命令に従って前記第2制御命令を修正するステップは、
前記第3制御命令に含まれる現在の移動距離を取得するステップであって、前記現在の移動距離は前記軸サーボモータが前記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行するときの前記多関節ロボットの移動距離であるステップと、
現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離と前のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との差を算出するステップと、
前記差を用いて次のサイクル周期の前記ターゲット移動距離を修正するステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定するステップは、
前記命令エラーカウンタのカウントが所定値よりも小さいか否かを検出するステップと、
前記カウントが前記所定値よりも小さいと検出した場合、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させると決定するステップと、
前記カウントが前記所定値以上であると検出した場合、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させることをしないと決定し、警告メッセージを出力するステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記差を用いて次のサイクル周期の前記ターゲット移動距離を修正するステップは、
前記差と現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との加算値を算出するステップと、
次のサイクル周期の前記ターゲット移動距離に前記加算値を割り当てるステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
制御命令の識別装置であって、
多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得する取得モジュールであって、前記多関節ロボットが1つのターゲット軌跡だけ動作するたびに、各前記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行する取得モジュールと、
前記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成する生成モジュールであって、前記第1制御命令には、前記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された前記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれている生成モジュールと、
前記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定する識別モジュールであって、前記第2制御命令には、前記軸サーボモータが前記次のサイクル周期を実行するときの前記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれている識別モジュールと、を含み、
前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定する識別モジュールは、
前記第1制御命令に含まれる前記移動距離範囲及び前記第2制御命令に含まれる前記ターゲット移動距離を取得し、
前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれているか否かを検出し、
検出の結果として、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれていない場合、前記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれている場合、前記第2制御命令が正しいと決定することを特徴とする制御命令の識別装置。
【請求項8】
プロセッサによってロードされて請求項1~のいずれかに記載の制御命令の識別方法を実行するのに適した複数の命令が記憶されていることを特徴とする不揮発性記憶媒体。
【請求項9】
実行されると請求項1~のいずれかに記載の制御命令の識別方法を実行するプログラムを実行するように構成されることを特徴とするプロセッサ。
【請求項10】
メモリとプロセッサを含む電子装置であって、
前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行して、請求項1~のいずれかに記載の制御命令の識別方法を実行するように構成されることを特徴とする電子装置。
【請求項11】
多関節ロボットであって、
電子装置を含み、前記電子装置はメモリとプロセッサを含み、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行して、前記請求項1~のいずれかに記載の制御命令の識別方法を実行するように構成されることを特徴とする多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット制御の技術分野に関し、具体的には、制御命令の識別方法及び識別装置、不揮発性記憶媒体、プロセッサ、電子装置、多関節ロボットに関する。
【0002】
本開示は、出願番号が202011177339.0、出願日が2020年10月28日の出願を基にして、その優先権を主張しており、以下に、当該中国特許出願の開示内容全体が本開示に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
現在、多関節ロボット制御システムでは、ロボットの運動を制御する第2制御命令は運動コントローラから生成されて、ラインを介してサーボドライバに伝達されるものであり、サーボドライバはループ計算を通じてサーボモータを駆動して対応する位置まで運行させ、このため、第2制御命令が運動コントローラからサーボドライバに伝達される正確性及び合理性は特に重要である。
【0004】
しかし、関連技術には、制御命令の正確性を識別できない場合があり、その結果として、サーボドライバが誤った命令を受信してロボットの動作を制御して作動させる精度が低下する可能性がある。1)運動コントローラ自身が誤った第2制御命令を伝達し、サーボドライバがこの命令を正しく受信する。2)運動コントローラ自身が正しい第2制御命令を伝達したが、伝達の過程で外界の干渉により、サーボドライバは誤った第2制御命令を受信したか、第2制御命令を受信しなかった。
【0005】
上記の問題に対する有効な解決策は現在のところ提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例は、少なくとも関連技術では受信した制御命令の正確性を識別できず、多関節ロボットを制御して動作させる精度を低下させるという技術的課題を解決する制御命令の識別方法及び識別装置、不揮発性記憶媒体、プロセッサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施例の一態様によれば、制御命令の識別方法を提供し、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得するステップであって、前記多関節ロボットが1つの前記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各前記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行するステップと、前記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップであって、前記第1制御命令には、前記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された前記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれているステップと、前記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップであって、前記第2制御命令には、前記軸サーボモータが前記次のサイクル周期を実行するときの前記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれているステップと、を含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記モータ動作パラメータは、回転距離、回転数、トルク電流を含み、前記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップは、前記回転距離、前記回転数、前記トルク電流を予測モデルに入力して、前記第1制御命令を得るステップであって、前記予測モデルは複数組のデータを用いて機械学習によりトレーニングしたものであり、前記複数組のデータのうちのそれぞれの組のデータはいずれもサンプル動作パラメータと、前記サンプル動作パラメータに対応するサンプル制御命令と、を含み、前記サンプル動作パラメータはサンプル回転距離、サンプル回転数、サンプルトルク電流を含むステップを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップは、前記第1制御命令に含まれる前記移動距離範囲及び前記第2制御命令に含まれる前記ターゲット移動距離を取得するステップと、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれているか否かを検出するステップと、検出の結果として、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれていない場合、前記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、前記ターゲット移動距離が前記移動距離範囲に含まれている場合、前記第2制御命令が正しいと決定するステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップの後、前記方法は、前記第2制御命令が正しいと決定した場合、前記第2制御命令を用いて前記多関節ロボットを制御して前記次のサイクル周期を動作させ、命令エラーカウンタのカウントをクリアするステップと、前記第2制御命令が正しくない場合、第3制御命令に従って前記第2制御命令を修正し、前記命令エラーカウンタのカウントに1を加算し、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定するステップであって、前記第3制御命令は前記軸サーボモータを制御して前記現在のサイクル周期よりも前のサイクル周期を実行させる命令であるステップと、をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例では、第3制御命令に従って前記第2制御命令を修正するステップは、前記第3制御命令に含まれる現在の移動距離を取得するステップであって、前記現在の移動距離は前記軸サーボモータが前記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行するときの前記多関節ロボットの移動距離であるステップと、現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離と前のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との差を算出するステップと、前記差を用いて次のサイクル周期の前記ターゲット移動距離を修正するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定するステップは、
前記命令エラーカウンタのカウントが所定値よりも小さいか否かを検出するステップと、前記カウントが前記所定値よりも小さいと検出した場合、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させると決定するステップと、前記カウントが前記所定値以上であると検出した場合、修正された第2制御命令を用いて前記軸サーボモータを制御して前記次のサイクル周期を実行させることをしないと決定し、警告メッセージを出力するステップと、を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記差を用いて次のサイクル周期の前記ターゲット移動距離を修正するステップは、前記差と現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との加算値を算出するステップと、次のサイクル周期の前記ターゲット移動距離に前記加算値を割り当てるステップと、を含む。
【0014】
本開示の実施例の別の態様によれば、制御命令の識別装置をさらに提供し、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得する取得モジュールであって、前記多関節ロボットが1つの前記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各前記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行する取得モジュールと、前記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成する生成モジュールであって、前記第1制御命令には、前記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された前記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれている生成モジュールと、前記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、前記第1制御命令に基づき前記第2制御命令が正しいか否かを決定する識別モジュールであって、前記第2制御命令には、前記軸サーボモータが前記次のサイクル周期を実行するときの前記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれている識別モジュールと、を含む。
【0015】
本開示の実施例の別の態様によれば、不揮発性記憶媒体をさらに提供し、前記不揮発性記憶媒体にはプロセッサによってロードされて上記の制御命令の識別方法いずれかを実行するのに適した複数の命令が記憶されている。
【0016】
本開示の実施例の別の態様によれば、プロセッサをさらに提供し、前記プロセッサは実行されると上記の制御命令の識別方法いずれかを実行するプログラムを実行するように構成される。
【0017】
本開示の実施例の別の態様によれば、メモリとプロセッサを含む電子装置をさらに提供し、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行して、上記の制御命令の識別方法のいずれかを実行するように構成される。
【0018】
本開示の実施例の別の態様によれば、多関節ロボットをさらに提供し、電子装置を含み、前記電子装置はメモリとプロセッサを含み、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行して、上記の制御命令の識別方法のいずれかを実行するように構成される。
【0019】
本開示の実施例では、本開示の実施例では、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得するステップであって、上記多関節ロボットが上記1つの上記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各上記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行するステップと、上記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップであって、上記第1制御命令には、上記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された上記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれているステップと、上記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、上記第1制御命令に基づき上記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップであって、上記第2制御命令には、上記軸サーボモータが上記次のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれているステップとによって、制御命令の正確性を識別するという目的を達成させ、多関節ロボットの動作精度を制御する技術的効果が得られ、関連技術では受信した制御命令の正確性を識別できず、多関節ロボットを制御して動作させる精度を低下させるという技術的課題を解決する。
【0020】
ここで説明した図面は本開示をさらに理解するために提供されるものであり、本開示の一部となり、本開示の例示的な実施例及びその説明は本開示を解釈するものであり、本開示を不適に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示のいくつかの実施例に係る制御命令の識別方法のフローチャートである。
図2A】本開示のいくつかの実施例に係る制御命令の識別方法のフローチャートである。
図2B】本開示のいくつかの実施例に係る制御命令の識別方法のフローチャートである。
図3】本開示のいくつかの実施例に係る予測モデルに基づいて制御命令を識別する構造概略図である。
図4】本開示のいくつかの実施例に係る制御命令の識別装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者が本開示の解決手段をよりよく理解するために、以下は本開示の実施例における図面を参照し、本開示の実施例における技術的解決手段を明瞭かつ十分に説明するが、説明された実施例は本開示の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではないことは明らかである。本開示における実施例に基づき、当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0023】
なお、本開示の明細書及び特許請求の範囲、前述の図面における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序又は前後順序を記述するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。このように使用されるデータは、本明細書に記載された本開示の実施例が本明細書に図示又は記載されたもの以外の順序で実施されることを可能にするために、適宜交換されてもよいことが理解されるべきである。また、用語「含む」、「有する」及びそれらの変形は、排他的でない包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを包含するプロセス、方法、システム、製品、又は機器は、明示的にリストされたステップ又はユニットに限定される必要はなく、明示的にリストされていない、又はこれらのプロセス、方法、製品、又は機器に固有の他のステップ又はユニットを包含してもよい。
【0024】
本開示の実施例によれば、制御命令の識別方法の実施例を提供する。なお、図面のフローチャートに示すステップは、例えば1組のコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータシステムにおいて実行される。また、フローチャートに論理的な順序が示されているが、場合によっては、示される又は説明されるステップはここでのものと異なる順序で実行されてもよい。
【0025】
本開示の実施例に係る制御命令の識別方法のフローチャートであり、図1に示すように、該方法は、ステップ102、ステップ104及びステップ106を含む。
【0026】
ステップ102、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得し、上記多関節ロボットが上記1つの上記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各上記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行する。
【0027】
ステップ104、上記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成し、上記第1制御命令には、上記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された上記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれている。
【0028】
ステップ106、上記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、上記第1制御命令に基づき上記第2制御命令が正しいか否かを決定し、上記第2制御命令には、上記軸サーボモータが上記次のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれている。
【0029】
本開示の実施例では、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得するステップであって、上記多関節ロボットが上記1つの上記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各上記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行するステップと、上記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップであって、上記第1制御命令には、上記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された上記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれているステップと、上記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、上記第1制御命令に基づき上記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップであって、上記第2制御命令には、上記軸サーボモータが上記次のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれているステップとによって、制御命令の正確性を識別するという目的を達成させ、多関節ロボットの動作精度を制御する技術的効果が得られ、関連技術では受信した制御命令の正確性を識別できず、多関節ロボットを制御して動作させる精度を低下させるという技術的課題を解決する。
【0030】
いくつかの実施例では、上記多関節ロボットは、産業用ロボット、例えば、多関節アームロボット、多関節メカニカルロボットであってもよく、多くの産業分野における機械的自動化作業に適しており、例えば、多関節ロボットの構造によって、自動組立、塗料スプレー、搬送、溶接などに用いられる。
【0031】
いくつかの実施例では、多関節ロボットのサーボモータのターゲット位置値、所定の速度値、所定のトルク電流値、位置実際値、速度実際値、トルク電流実際値などを収集し、データ収集ユニットによって収集された値をデジタルアナログ変換して記憶することによって、多関節ロボットの動作開始において、ロボットが最初の完全な軌跡だけ動作するときにさまざまな作業条件での各軸サーボモータのサイクル周期ごとの回転距離、回転数及びトルク電流を識別する。
【0032】
以降動作する連続した複数(例えば、5個)の完全な軌跡において、各軸サーボモータのサイクル周期ごとの回転の回転距離、回転数及びトルク電流を較正し、最終的に多関節ロボットが1つの完全な軌跡だけ動作するたびに、各軸のサーボモータのサイクル周期ごとの回転距離P=(P、P、...、P)を決定し、
ここで、
【数1】
回転数V=(V、V、...、V)、ここで、
【数2】
トルク電流T=(T、T、...、T)、ここで、
【数3】
nは多関節ロボットがサーボモータである個数、tは多関節ロボットが1つの完全な軌跡だけ動作するのに必要な周期数である。
【0033】
いくつかの実施例では、上記モータ動作パラメータは、回転距離、回転数、トルク電流を含み、図2A,2Bは本開示のいくつかの実施例に係る制御命令の識別方法のフローチャートであり、図2A,2Bに示すように、上記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成するステップはステップS202を含む。
【0034】
ステップS202、上記回転距離、上記回転数、上記トルク電流を予測モデルに入力して、上記第1制御命令を得て、上記予測モデルは複数組のデータを用いて機械学習によりトレーニングしたものであり、上記複数組のデータのうちのそれぞれの組のデータはいずれもサンプル動作パラメータと、上記サンプル動作パラメータに対応するサンプル制御命令と、を含み、上記サンプル動作パラメータは、サンプル回転距離、サンプル回転数、サンプルトルク電流を含む。
【0035】
上記のいくつかの実施例では、各軸のサーボモータのサイクル周期ごとの回転のサンプル回転距離、サンプル回転数及びサンプルトルク電流から、予測モデルを予め構築しておき、この予測モデルの作成に成功したか否かを検証する。
【0036】
いくつかの実施例では、上記予測モデルは長期短期記憶ネットワークLSTMモデルであってもよく、本開示の実施例では、新しいインパクトファクタを現在の予測モデルの状態に選択的に付加することによって、この予測モデルの誤差を小さくしてもよい。
【0037】
上記のいくつかの実施例では、この予測モデルの入力は、現在のサーボモータの回転距離
【数4】
である。まず、完全接続ネットワークFC(・)を介してサーボモータの回転距離を特徴空間に変換して、特徴
【数5】
とともにLSTM符号化モジュールに入力して符号化を行い、符号化するときの状態を
【数6】
ここで、
【数7】
であり、
ここで、WeLSTMはLSTMのパラメータ、Wfc1は完全接続ネットワークのパラメータである。多関節ロボットが1つの完全な軌跡だけ動作するのに必要な全ての周期に対応する情報の全ての符号化が完了するまで、符号化を繰り返す。
【0038】
本願の実施例では、LSTM符号化モジュールによる符号化が完了した後、復号を行い、次のサイクル周期の第1制御命令を予測し、まず、予測した現在のサイクル周期の第1制御命令
【数8】
を、完全接続ネットワークFC(・)を介して特徴空間
【数9】
に変換し、LSTMにより次の状態
【数10】
を算出し、多層パーセプトロンMLP(・)によって座標空間に変換し、
【数11】
を得た。
【0039】
【数12】
ここで、WdLSTMはLSTMのパラメータ、Wfc2は完全接続ネットワークのパラメータ、WMLPは多層パーセプトロンのパラメータである。
【0040】
いくつかの実施例では、上記予測モデルによる予測の正確性は最終的なオフセット誤差と誤差閾値との比較結果により評価され、最終的なオフセット誤差AFDE<誤差閾値Athresoldの場合、予測モデルの作成に成功したことを示す。
【0041】
【数13】
ここで、Athresoldは予測モデルによる予測の正確性を表す誤差閾値、tpredは最後のサイクル周期であり、
【数14】
は、それぞれ予測モデルに入力される回転距離と予測モデルが出力を予測する回転距離を表し、
【数15】
は、それぞれ予測モデルに入力される第1制御命令と予測モデルが出力を予測する第1制御命令を表す。
【0042】
いくつかの実施例では、上記第1制御命令には、上記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された上記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれている。
具体的には、次のサイクル周期の移動距離範囲は下記の算出式により算出されてもよく、ここでは、Wはゲイン係数である。
【数16】
【0043】
いくつかの実施例では、また、図2A,2Bに示すように、上記第1制御命令に基づき上記第2制御命令が正しいか否かを決定するステップは、ステップS302~ステップS306を含む。
【0044】
ステップS302、上記第1制御命令に含まれる上記移動距離範囲及び上記第2制御命令に含まれる上記ターゲット移動距離を取得する。
【0045】
ステップS304、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれているか否かを検出する。
【0046】
ステップS306、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれていないと検出した場合、上記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれている場合、上記第2制御命令が正しいと決定する。
【0047】
いくつかの実施例では、上記第2制御命令は、多関節ロボットのサーボドライバが受信した、上位コントローラから送信された制御命令であり、多関節ロボットがこの動作軌跡において前回に受信した第3制御命令を記憶している。
【0048】
上記のいくつかの実施例では、上記第1制御命令に含まれる上記移動距離範囲及び上記第2制御命令に含まれる上記ターゲット移動距離を取得し、サーボドライバが受信した第2制御命令に含まれるターゲット移動距離が予測された移動距離範囲内にあるか否かを判断し、検出の結果として、指示上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれていないと検出した場合、上記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれている場合、上記第2制御命令が正しいと決定する。
【0049】
いくつかの実施例では、また、図2A、2Bに示すように、上記第1制御命令に基づき上記の第2制御命令が正しいか否かを決定するステップの後、上記方法はステップS402~ステップS404をさらに含んでもよい。
【0050】
ステップS402、上記第2制御命令が正しいと決定した場合、上記第2制御命令を用いて上記多関節ロボットを制御して上記次のサイクル周期を動作させ、命令エラーカウンタのカウントをクリアする。
【0051】
ステップS404、上記第2制御命令が正しくないと決定した場合、第3制御命令に従って上記第2制御命令を修正し、上記命令エラーカウンタのカウントに1を加算し、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定し、上記第3制御命令は、上記軸サーボモータを制御して上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行させる命令である。
【0052】
本開示の実施例では、上記第2制御命令が正しいと決定した場合、上記第2制御命令を用いて上記多関節ロボットを制御して上記次のサイクル周期を動作させ、命令エラーカウンタのカウントをクリアし、また、上記第2制御命令が正しくないと決定した場合、第3制御命令に従って上記第2制御命令を修正し、上記命令エラーカウンタのカウントに1を加算し、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定し、上記第3制御命令は、上記軸サーボモータを制御して上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行させる命令である。
【0053】
いくつかの実施例では、また、図2A、2Bに示すように、第3制御命令に従って上記第2制御命令を修正するステップは、ステップS502~ステップS506を含む。
【0054】
ステップS502、上記第3制御命令に含まれる現在の移動距離を取得し、上記現在の移動距離は、上記軸サーボモータが上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットの移動距離である。
【0055】
ステップS504、現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離と前のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との差を算出する。
【0056】
ステップS506、上記差を用いて次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離を修正する。
【0057】
具体的には、サーボモータが現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行するときに第3制御命令に含まれる前のサイクル周期の現在の移動距離を参照として、第2制御命令に含まれる次のサイクル周期のターゲット移動距離を修正することができる。具体的には、現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離と前のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との差を算出し、上記差値を用いて次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離を修正するようにしてもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、上記差を用いて次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離を修正するステップは、上記差と現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との加算値を算出するステップと、次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離に上記加算値を割り当てるステップと、を含み、これによって、第3制御命令に含まれる現在の移動距離を用いて、第2制御命令に含まれるターゲット移動距離を修正するという目的が達成される。
【0059】
いくつかの実施例では、また、図3に示すように、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定するステップは、ステップS602~ステップS606を含む。
【0060】
ステップS602、上記命令エラーカウンタのカウントが所定値よりも小さいか否かを検出する。
【0061】
ステップS604、上記カウントが上記所定値よりも小さいと検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させると決定する。
【0062】
ステップS606、上記カウントが上記所定値以上であると検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させることをしないと決定し、警告メッセージを出力する。
【0063】
いくつかの実施例では、上記所定値は2であってもよく、上記のいくつかの実施例では、上記第3制御命令を用いて第2制御命令を修正した後、上記命令エラーカウンタのカウントが2よりも小さいか否かを検出し、上記カウントが2よりも小さいと検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させると決定し、上記カウントが2以上であると検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させることをしないと決定し、警告メッセージを出力する。
【0064】
また、いくつかの実施例では、図3に示すブロック図のように、予測モデルに基づいて制御命令の識別方法ブロック図は、処理ユニットとして、主にデータ収集ユニット、データ処理ユニット、自己学習ユニット、予測モデル作成ユニット、推定ユニット、比較ユニット、エラー処理ユニットを含み、データ収集ユニットは、主にサーボモータのターゲット位置値、所定の速度値、所定のトルク電流値、位置実際値、速度実際値、トルク電流実際値などを収集し、データ処理ユニットは、主にデータ収集ユニットによって収集された値をデジタルアナログ変換して記憶し、自己学習ユニットは、主に、多関節ロボットがゼロ位置制御、低速無負荷、中速無負荷、高速無負荷、低速全負荷、中速全負荷、高速全負荷の作業条件である場合、各軸サーボモータのサイクル周期ごとの回転の回転距離、回転数及びトルク電流をサーボドライバによって識別して確認する機能を発揮し、予測モデル作成ユニットは、次のサイクル周期のサーボドライバの移動距離範囲の第1制御命令を予測し得る予測モデルを作成するものであり、推定ユニットは、主に予測モデルによって推定された第1制御命令に基づき移動距離範囲を算出するものであり、比較ユニットは、主に第2制御命令が上記移動距離範囲内にあるか否かを判断するものであり、エラー処理ユニットは、主にドライバが誤った第2制御命令を受信した場合、ドライバが対応する動作を実行する機能を発揮する。
【0065】
本開示の実施例によれば、上記制御命令の識別方法を実施するための装置の実施例をさらに提供し、図4は本開示のいくつかの実施例に係る制御命令の識別装置の構造概略図であり、図4に示すように、上記制御命令の識別装置は、取得モジュール40と、生成モジュール42と、識別モジュール44と、を含む。
【0066】
取得モジュール40は、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得し、上記多関節ロボットが上記1つの上記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各上記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行し、生成モジュール42は、上記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成し、上記第1制御命令には、上記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された上記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれており、識別モジュール44は、上記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、上記第1制御命令に基づき上記第2制御命令が正しいか否かを決定し、上記第2制御命令には、上記軸サーボモータが上記次のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれている。
【0067】
いくつかの実施例では、上記モータ動作パラメータは、回転距離、回転数、トルク電流を含み、上記装置はまた、完全接続ネットワークを介して上記回転距離を特徴空間に変換し、距離特徴を得て、上記回転距離、上記回転数、上記トルク電流を予測モデルに入力して、上記第1制御命令を得て、上記予測モデルは複数組のデータを用いて機械学習によりトレーニングしたものであり、上記複数組のデータのうちのそれぞれの組のデータは、サンプル動作パラメータと、上記サンプル動作パラメータに対応するサンプル制御命令と、を含み、上記サンプル動作パラメータは、サンプル回転距離、サンプル回転数、サンプルトルク電流を含む。
【0068】
いくつかの実施例では、上記装置また、上記第1制御命令に含まれる上記移動距離範囲及び上記第2制御命令に含まれる上記ターゲット移動距離を取得し、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれているか否かを検出し、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれていない場合、上記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれている場合、上記第2制御命令が正しいと決定する。
【0069】
いくつかの実施例では、上記装置はまた、上記第2制御命令が正しいと決定した場合、上記第2制御命令を用いて上記多関節ロボットを制御して上記次のサイクル周期を動作させ、命令エラーカウンタのカウントをクリアし、上記第2制御命令が正しくないと決定した場合、第3制御命令に従って上記第2制御命令を修正し、上記命令エラーカウンタのカウントに1を加算し、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定し、上記第3制御命令は、上記軸サーボモータを制御して上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行させる命令である。
【0070】
いくつかの実施例では、上記装置はまた、上記第3制御命令に含まれる現在の移動距離を取得し、上記現在の移動距離は、上記軸サーボモータが上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットの移動距離であり、現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離と前のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との差を算出し、上記差を用いて次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離を修正する。
【0071】
いくつかの実施例では、上記装置はまた、上記命令エラーカウンタのカウントが所定値よりも小さいか否かを検出し、上記カウントが上記所定値よりも小さいと検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させると決定し、上記カウントが上記所定値以上であると検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させることをしないと決定し、警告メッセージを出力する。
【0072】
いくつかの実施例では、上記装置はまた、上記差と現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との加算値を算出し、次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離に上記加算値を割り当てる。
【0073】
なお、上記各モジュールはソフトウェア又はハードウェアによって実装されてもよく、例えば、後者の場合は、以下の方式で実装されてもよい。上記各モジュールは同一プロセッサに配置されてもよく、又は、上記各モジュールは任意の組み合わせとして異なるプロセッサに配置されてもよい。
【0074】
ここで、なお、上記取得モジュール40、生成モジュール42及び識別モジュール44は、方法実施例におけるステップS102~ステップS106に対応しており、上記モジュールとこれに対応するステップによって実現される例及び適用場面は同じであるが、上記方法実施例で開示された内容に限定されるものではない。なお、上記モジュールは装置の一部としてコンピュータ端末において動作されてもよい。
【0075】
なお、本実施例のいくつかの実施形態は、方法実施例における関連説明を参照すればよいため、ここでは詳しく説明しない。
【0076】
上記制御命令の識別装置は、プロセッサとメモリをさらに含んでもよく、上記取得モジュール40、生成モジュール42及び識別モジュール44などは全てプログラムユニットとしてメモリに記憶されており、プロセッサは、メモリに記憶されている上記プログラムユニットを実行することにより、対応する機能を実現する。
【0077】
プロセッサにはコアが含まれており、コアはメモリから対応するプログラムユニットを呼び出し、上記コアは1つ以上設けられてもよい。メモリはコンピュータ読み取り可能な媒体としての非永続的メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は不揮発性メモリ等の形態、例えば読み取り専用メモリ(ROM)やフラッシュメモリ(flashRAM)を含んでもよく、メモリは少なくとも1つの記憶チップを含む。
【0078】
本開示の実施例によれば、不揮発性記憶媒体の実施例をさらに提供する。いくつかの実施例では、上記不揮発性記憶媒体は記憶しているプログラムを含み、上記プログラムは、実行されると上記不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、上記制御命令の識別方法のいずれかを実行させる。
【0079】
いくつかの実施例では、上記不揮発性記憶媒体は、コンピュータネットワークにおけるコンピュータ端末群のうちのいずれかのコンピュータ端末に配置されてもよく、携帯端末群のうちのいずれかの携帯端末に配置されてもよく、上記不揮発性記憶媒体は記憶しているプログラムを含む。
【0080】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、多関節ロボットの各軸サーボモータの現在のサイクル周期におけるモータ動作パラメータを取得する機能であって、上記多関節ロボットが上記1つの上記ターゲット軌跡だけ動作するたびに、各上記軸サーボモータは少なくとも1つのサイクル周期を実行する機能と、上記モータ動作パラメータに基づいて第1制御命令を生成する機能であって、上記第1制御命令には、上記軸サーボモータが現在のサイクル周期の次のサイクル周期を実行するときに予測された上記多関節ロボットの移動距離範囲が含まれている機能と、上記軸サーボモータが第2制御命令を受信すると、上記第1制御命令に基づき上記第2制御命令が正しいか否かを決定する機能であって、上記第2制御命令には、上記軸サーボモータが上記次のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットのターゲット移動距離が含まれている機能と、を実現させる。
【0081】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、完全接続ネットワークを介して上記回転距離を特徴空間に変換し、距離特徴を得る機能と、上記回転距離、上記回転数、上記トルク電流を予測モデルに入力して、上記第1制御命令を得る機能であって、上記予測モデルは複数組のデータを用いて機械学習によりトレーニングしたものであり、上記複数組のデータのうちのそれぞれの組のデータは、いずれもサンプル動作パラメータと、上記サンプル動作パラメータに対応するサンプル制御命令と、を含み、上記サンプル動作パラメータは、サンプル回転距離、サンプル回転数、サンプルトルク電流を含む機能と、を実現させる。
【0082】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、上記第1制御命令に含まれる上記移動距離範囲及び上記第2制御命令に含まれる上記ターゲット移動距離を取得する機能と、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれているか否かを検出する機能と、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれていない場合、上記第2制御命令が正しくないと決定し、検出の結果として、上記ターゲット移動距離が上記移動距離範囲に含まれている場合、上記第2制御命令が正しいと決定する機能と、を実現させる。
【0083】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、上記第2制御命令が正しいと決定した場合、上記第2制御命令を用いて上記多関節ロボットを制御して上記次のサイクル周期を動作させ、命令エラーカウンタのカウントをクリアする機能と、上記第2制御命令が正しくないと決定した場合、第3制御命令に従って上記第2制御命令を修正し、上記命令エラーカウンタのカウントに1を加算し、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させるか否かを決定する機能であって、上記第3制御命令は上記軸サーボモータを制御して上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行させる命令である機能と、を実現させる。
【0084】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、上記第3制御命令に含まれる現在の移動距離を取得する機能であって、上記現在の移動距離は上記軸サーボモータが上記現在のサイクル周期の前のサイクル周期を実行するときの上記多関節ロボットの移動距離である機能と、現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離と前のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との差を算出し、上記差値次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離を修正する機能と、を実現させる。
【0085】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、上記命令エラーカウンタのカウントが所定値よりも小さいか否かを検出する機能と、上記カウントが上記所定値よりも小さいと検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させると決定する機能と、上記カウントが上記所定値以上であると検出した場合、修正された第2制御命令を用いて上記軸サーボモータを制御して上記次のサイクル周期を実行させることをしないと決定し、警告メッセージを出力する機能と、を実現させる。
【0086】
いくつかの実施例では、プログラムは、実行されると不揮発性記憶媒体が配置された機器を制御して、上記差と現在のサイクル周期における前記多関節ロボットの移動距離との加算値を算出する機能と、次のサイクル周期の上記ターゲット移動距離に上記加算値を割り当てる機能と、を実現させる。
【0087】
本開示の実施例によれば、プロセッサの実施例をさらに提供する。いくつかの実施例では、上記プロセッサはプログラムを実行するものであり、上記プログラムは実行されると上記制御命令の識別方法のいずれかを実行する。
【0088】
本開示のいくつかの実施例によれば、メモリとプロセッサを含み、上記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、上記プロセッサは上記コンピュータプログラムを実行して、上記制御命令の識別方法のいずれかを実行するように構成される電子装置の実施例をさらに提供する。
【0089】
本開示の実施例によれば、メモリとプロセッサを含む電子装置を含み、上記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、上記プロセッサは上記コンピュータプログラムを実行して、上記制御命令の識別方法のいずれかを実行するように構成される多関節ロボットをさらに提供する。
【0090】
本開示の実施例によれば、データ処理機器で実行される場合、上記の制御命令の識別方法のいずれかのステップが初期化されているプログラムを実行するのに適したコンピュータプログラム製品の実施例をさらに提供する。
【0091】
上記本開示の実施例の番号は説明のために過ぎず、実施例の優劣を表すものではない。
【0092】
本開示の上記実施例では、各実施例について、それぞれ重点をもって説明したが、ある実施例では詳細に説明していない部分に関しては、他の実施例の関連説明を参照することができる。
【0093】
本開示によって提供されるいくつかの実施例では、開示された技術的内容は、他の方法によって実装されてもよいことが理解されるべきである。ここで、上述した装置の実施例は単に概略的なものであり、例えば、上述したユニットの区分は、論理的な機能区分であってもよく、実際に実装される場合には、複数のユニット又はコンポーネントが別のシステムに結合又は統合されてもよく、いくつかの特徴が無視されてもよく、又は実行されなくてもよいような別の区分があってもよい。さらに、示されているか又は議論されている相互間の結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェース、ユニット、又はモジュールを介した間接結合又は通信接続であってもよく、電気的又は他の形態であってもよい。
【0094】
上記の分離部材として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもよいし、そうでなくてもよいし、ユニットとして表示される部材は、物理的なユニットであってもよいし、そうでなくてもよく、すなわち、1つの場所に配置されていてもよいし、複数のユニットに分散されていてもよい。これらのユニットの一部又は全部は、実際の必要に応じて、本実施例の目的を達成するために選択されてもよい。
【0095】
また、本開示の様々な実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されていてもよいし、個々のユニットが物理的に個別に存在していてもよいし、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されていてもよい。上記統合されたユニットは、ハードウェアとしてもソフトウェア機能ユニットとしても実現可能である。
【0096】
上記の統合されたユニットは、ソフトウェア機能ユニットとして実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータ読み取り可能な不揮発性記憶媒体に記憶されていてもよい。このような理解に基づいて、本開示の技術的解決手段の実質的な部分若しくは関連技術に貢献する部分、又はその技術的解決手段の全部若しくは一部は、ソフトウェア製品の形で具現化されてもよく、このコンピュータソフトウェア製品は、不揮発性記憶媒体に記憶され、1つのコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器などとすることができる)に、本開示の様々な実施例における上述した方法のステップの全部又は一部を実行させるためのいくつかの命令を含む。一方、上述した不揮発性記憶媒体は、USBメモリ、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、リムーバブルハードディスク、磁気ディスク、又は光ディスクなど、プログラムコードを記憶することを可能な各種の媒体を含む。
【0097】
なお、以上は本開示のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、本開示の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修正を行うことができ、これらの改良及び修正も本開示の特許範囲とみなすべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4