(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電磁バンドギャップ素子構造及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01P 11/00 20060101AFI20240527BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240527BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20240527BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240527BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20240527BHJP
B05D 5/12 20060101ALI20240527BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240527BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20240527BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20240527BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240527BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01P11/00
B05D1/26 Z
B05D1/36 Z
B05D3/00 C
B05D3/00 D
B05D3/02 Z
B05D5/12 B
B05D5/12 D
B05D7/24 301M
H01Q1/52
H01Q15/14
H05K3/00 X
H05K3/10 D
(21)【出願番号】P 2023540657
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(86)【国際出願番号】 US2021065824
(87)【国際公開番号】W WO2022147351
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-14
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517151372
【氏名又は名称】ナノ ディメンション テクノロジーズ,リミテッド
【住所又は居所原語表記】2 Ilan Ramon St., 74036 Nes Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤマダ ミノル
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-016554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0373738(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0108373(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2015-0132742(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0264685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 11/00
H01Q 15/14
H01Q 1/52
H05K 3/10
H05K 3/00
B05D 1/26
B05D 5/12
B05D 7/24
B05D 3/00
B05D 3/02
B05D 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するコンピュータ化された方法であって、
a.インクジェットプリントシステムであって、
i.誘電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第1のプリントヘッドと、
ii.導電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第2のプリントヘッドと、
iii.前記第1及び前記第2のプリントヘッドに動作可能に結合され、基板を前記第1及び前記第2のプリントヘッドの各々に搬送するように構成されたコンベアと、
iv.コンベア並びに前記第1及び第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を有するコンピュータ支援製造(「CAM」)と、を備え、前記CPMは、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを更に備え、前記命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記CPMに、前記EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、前記ファイルライブラリが、複数のファイルであって、各ファイルが、前記EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、前記プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表すメタファイルと、を有する、生成するステップと、を含むステップを行うことによって、前記インクジェットプリントシステムを制御させる、インクジェットプリントシステムを提供するステップと、
b.前記EBG素子を表す前記3D視覚化ファイルを受信するステップと、
c.前記プリントするための実質的に2Dの層を表すファイルのライブラリを生成するステップと、
d.前記誘電性インク
組成物及び前記導電性インク
組成物を提供するステップと、
e.前記ライブラリから、前記EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、前記第1のファイルが、前記誘電性インク
組成物及び前記導電性インク
組成物のうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、
f.前記第1のプリントヘッドを使用して
、第1の層内に前記誘電性インク
組成物に対応する前記パターンを形成するステップと、
g.前記第1の層内の前記誘電性インク
組成物に対応する前記パターンを硬化させるステップと、
h.前記第2のプリントヘッドを使用して、前記第1の層内に前記導電性インク
組成物に対応する前記パターンを形成するステップと、
i.前記第1の層内の前記導電性インク
組成物に対応する前記パターンを焼結するステップと、
j.前記ライブラリから、前記EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、前記後続のファイルが、前記後続の層内の前記誘電性インク
組成物及び前記導電性インク
組成物のうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、
k.前記第1のプリントヘッドを使用して、前記後続の層内に前記誘電性インク
組成物に対応する前記パターンを形成するステップから、前記後続の層内の前記導電性インク
組成物に対応する前記パターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、前記EBG素子が、
i.先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、
ii.前記導電性接地平面にわたって配設された、基底面と先端面とを有する誘電性媒体と、
iii.前記誘電性媒体の前記先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子が、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子が、ブラインドビアによって前記導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、
iv.各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、前記ギャップ形成多角形構造は、前記導電性接地平面の前記先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造が、同心ボアを画定し、前記ブラインドビアが、前記
同心ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、繰り返すステップと、
l.前記基板を除去するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、各ファセット壁が、前記誘電性媒体内の所定の深さUまで基底方向に延在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、各多角形導電性素子が、隣接する導電性素子から所定の距離t
1離れている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、各多角形ギャップ形成構造が、前記導電性接地平面の前記先端面から、前記多角形ギャップ形成構造の前記先端面と、関連する前記多角形導電性素子の前記基底面との間の所定のギャップg1まで先端方向に延在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、g
1が、前記EBG素子によって遮断される所定の周波数下限を規定するように動作可能である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、U及びt
1が、前記EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように一緒に動作可能である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、
a.各多角形導電性素子の少なくとも1つのファセット壁が、互いから所定の垂直距離で配設された、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対を更に備え、前記誘電性媒体内に埋め込まれた前記スラブの対が、隣接する前記多角形導電性素子までの距離の一部分を覆うように横方向に延在し、
b.相補的スラブが、前記横方向に延在する同一のスラブの対を有する前記ファセット壁に直径方向に対向するファセット壁から横方向に延在し、
隣接する多角形導電性素子は、前記相補的スラブが、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の間に介在し、前記相補的スラブの上部表面と、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の上部スラブの下部表面との間に所定のギャップg2を置いて重なり合うように、配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、g
2が、前記EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように動作可能である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、前記相補的スラブが、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の表面積の約60%~約99%にわたって、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対と重なり合う、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記最終層を硬化及び/又は焼結すると、前記ギャップ形成多角形構造が、前記多角形導電性素子と同じ数のファセットを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記CPMを使用して、ファイルライブラリを生成するステップであって、前記ファイルライブラリが、複数のファイルであって、各ファイルが、前記EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルを有する、生成するステップが、誘電性インクパターンの実質的に2Dの層を表す各ファイルに対して、導電性インクパターンファイルのサブライブラリであって、前記サブライブラリ内の各導電性インクパターンファイルが、プリントするための実質的に2Dの層を表す、サブライブラリと、プリントの順序
、サブライブラリ導電性ファイルが関連付けられた誘電性インクパターンファイルの実質的に2Dの層のファイルの識別子、及びプリント速度に関する命令のうちの少なくとも1つを有するメタファイルとを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電磁バンドギャップ(EBG)素子であって、
a.先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、
b.前記導電性接地平面にわたって配設された、基底面と先端面とを有する誘電性媒体と、
c.前記誘電性媒体の前記先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子が、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子が、ブラインドビアによって前記導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、
d.各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、前記ギャップ形成多角形構造は、前記導電性接地平面の前記先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造が、同心ボアを画定し、前記ブラインドビアが、前記
同心ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、EBG素子。
【請求項13】
各ファセット壁が、前記誘電性媒体内の所定の深さUまで基底方向に延在する、請求項12に記載のEBG素子。
【請求項14】
各多角形導電性素子が、隣接する導電性素子から所定の距離t
1離れている、請求項13に記載のEBG素子。
【請求項15】
各多角形ギャップ形成構造が、前記導電性接地平面の前記先端面から、前記多角形ギャップ形成構造の前記先端面と、関連する前記多角形導電性素子の前記基底面との間の所定のギャップg1まで先端方向に延在する、請求項14に記載のEBG素子。
【請求項16】
g
1が、前記EBG素子によって遮断される所定の周波数下限を規定するように動作可能である、請求項15に記載のEBG素子。
【請求項17】
L及びtが、前記EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように一緒に動作可能である、請求項15に記載のEBG素子。
【請求項18】
a.各多角形導電性素子の少なくとも1つのファセット壁が、互いから所定の垂直距離で配設された、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対を更に備え、前記誘電性媒体内に埋め込まれた前記スラブの対が、隣接する前記多角形導電性素子までの距離の一部分を覆うように横方向に延在し、
b.相補的スラブが、前記横方向に延在する同一のスラブの対を有する前記ファセット壁に直径方向に対向するファセット壁から横方向に延在し、
隣接する多角形導電性素子は、前記相補的スラブが、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の間に介在し、前記相補的スラブの上部表面と、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の上部スラブの下部表面との間に所定のギャップg2を置いて重なり合うように、配置されている、請求項12に記載のEBG素子。
【請求項19】
g2が、前記EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように動作可能である、請求項18に記載のEBG素子。
【請求項20】
前記相補的スラブが、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の表面積の約60%~約99%にわたって、前記横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対と重なり合う、請求項18に記載のEBG素子。
【請求項21】
前記ギャップ形成多角形構造が、前記多角形導電性素子と同じ数のファセットを有する、請求項12に記載のEBG素子。
【請求項22】
電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するための、コンピュータ可読媒体(CRM)が記憶されている非一時的メモリ記憶デバイスを備える、製造品であって、前記CRMが、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
a.前記EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、
b.ファイルライブラリを生成するステップであって、前記ファイルライブラリが、複数のファイルであって、各ファイルが、前記EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、前記プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表すメタファイルと、を有する、生成するステップと、
c.前記
ファイルライブラリから、前記EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、前記第1のファイルが
、誘電性インク及
び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、
d.前記少なくとも1つのプロセッサと通信し、前記少なくとも1つのプロセッサと通信する前記製造品とともに含まれる、誘電性インクを分注するように動作可能な第1のプリントヘッドを使用して
、第1の層内に前記誘電性インクに対応する前記パターンを形成するステップと、
e.前記少なくとも1つのプロセッサと通信する電磁放射源を使用して、前記第1の層内の前記誘電性インクに対応する前記パターンを硬化させるステップと、
f.前記少なくとも1つのプロセッサと通信する、導電性インクを分注するように動作可能な第2のプリントヘッドを使用して、前記第1の層内に前記導電性インクに対応する前記パターンを形成するステップと、
g.前記少なくとも1つのプロセッサと通信する集束熱源を使用して、前記第1の層内の前記導電性インクに対応する前記パターンを焼結するステップと、
h.前記
ファイルライブラリから、前記EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、前記後続のファイルが、前記後続の層内の前記誘電性インク及び前記導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、
i.前記後続の層内に前記誘電性インクに対応する前記パターンを形成するステップから、前記後続の層内の前記導電性インクに対応する前記パターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、前記EBG素子が、
i.先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、
ii.前記導電性接地平面にわたって配設された、基底面と先端面とを有する誘電性媒体と、
iii.前記誘電性媒体の前記先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子が、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子が、ブラインドビアによって前記導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、
iv.各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、前記ギャップ形成多角形構造は、前記導電性接地平面の前記先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造が、同心ボアを画定し、前記ブラインドビアが、前記ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備えるように構成されている、繰り返すステップと、を実施させるように構成されている、実行可能な命令のセットを含む、製造品。
【請求項23】
前記ファイルライブラリを生成する際、前記ファイルライブラリが、複数のファイルであって、各ファイルが、前記EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルを有し、前記実行可能な命令のセットが、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、誘電性インクパターンの実質的に2Dの層を表す各ファイルに対して、導電性インクパターンファイルのサブライブラリであって、前記サブライブラリ内の導電性インクパターンの各ファイルが、プリントするための実質的に2Dの層を表す、サブライブラリと、プリントの順序
、サブライブラリ導電性ファイルが関連付けられた誘電性インクパターンファイルの実質的に2Dの層のファイルの識別子、及びプリント速度に関する命令のうちの少なくとも1つを有するメタファイルとを生成させるように更に構成されている、請求項22に記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁バンドギャップ(electromagnetic band gap、EBG)素子の構造及び形成方法に関する。具体的には、本開示は、例えば500MHz~約30GHzの非常に広い周波数範囲に対して、減少したフットプリントを可能にする、周期的マッシュルーム型セルの構造を有するEBG素子の直接及び/又は間接的なインクジェットプリントのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小さいフォームファクタを有する電子デバイスは、重量、サイズ、コスト及びフットプリントが厳しい設計制約を課す全ての領域において、ますます需要が高まっている。これらには、例えば、製造、ビジネス、消費財、軍事、航空、モノのインターネットなどが含まれる。これらのより小さいフォームファクタを有する製品は、密接して置かれた密な間隔のデジタル及びアナログ回路を有するコンパクトな電子回路に依存する。これらの用途の多くにおいて、共振を調整するアンテナの能力は、適した機能のための基本要件である。更に、無線規格の変動性、並びに新たな第5世代(5th Generation、5G)及びミリメートル波技術は、高周波数で正確なバンドギャップを有し、全てが非常に小さいパッケージ内にあるアンテナを必要とする。
【0003】
様々な用途(例えば、スマートフォンのGPSトランシーバ)で使用される送受信モジュールの小型化に伴い、通常、複数のアンテナを単一の誘電体基板上に配設することができ、これは、アンテナ間の相互結合に起因する潜在的な信号漏れを引き起こす可能性がある。表面波は、多くのアンテナにおいて望ましくない特徴を表し、これは、表面波が、自由空間内で放射する代わりに接地平面に沿って伝搬し、アンテナの効率及び利得に悪影響を及ぼし、その放射パターンを劣化させるためである。同様に、表面波は、アンテナアレイにおける相互結合を引き起こし、潜在的にフェーズドアレイシステムにおいてブラインド走査角をもたらす。高速データ伝送の要求に起因して、例えば、今日非常に普及しているUWB帯域通過フィルタなどである。表面波は、スプリアス阻止帯域を出現させることによって、UWBフィルタの性能を劣化させる。加えて、多層PCBにおける同時スイッチングノイズ(simultaneous switching noise、SSN)による共振モードの励起は、信号完全性の問題及び電磁干渉(electromagnetic interference、EMI)につながる。
【0004】
その漏れを排除するために、2つのアンテナの間に電磁バンドギャップを配設することができる。EBG素子によって生じるバンドギャップの作成は、本質的に結合を排除するように作用する。
【0005】
以下の開示は、記載した問題に対処する。
【発明の概要】
【0006】
様々な例示的な実装形態において開示されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子の構造及びそれを形成するための方法である。更に、本明細書で開示されるのは、例えば500MHz~約30GHzの非常に広い周波数範囲に対して、減少したフットプリントを可能にする、周期的マッシュルーム型セルの構造を有するEBG素子の直接及び/又は間接的なインクジェットプリントのための方法である。
【0007】
典型的には、EBG素子は、従来のプレーンPCB製造技術のような異なる種類の技術を使用して構築され、ここで、EBG素子のサイズは、例えば、Blue-tooth、Zigbby、Wi-Fi、セルラー帯域、mm波、及びRFにおいて使用される帯域幅のような、約500KHz~約30GHzの帯域と整合させようとする場合、非常に大きい。本開示は、CL値及びCR値がプレーンタイプEBGよりもはるかに高い値で動作する3D構造EBGを提供し、それによって、非常に小さい(mm波)アンテナ及びRF回路の統合が、最終製品のサイズを減少させることを可能にする。
【0008】
例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するコンピュータ化された方法であって、インクジェットプリントシステムであって、誘電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第1のプリントヘッドと、導電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第2のプリントヘッドと、第1及び第2のプリントヘッドに動作可能に結合され、基板を第1及び第2のプリントヘッドの各々に搬送するように構成されたコンベアと、コンベア並びに第1及び第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(central processing module、CPM)を有するコンピュータ支援製造(「computer aided manufacturing、CAM」)と、を備え、CPMは、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを更に備え、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、CPMに、EBG素子を表す3D可視化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表すメタファイルと、を有する、生成するステップと、を含むステップを行うことによって、インクジェットプリントシステムを制御させる、インクジェットプリントシステムを提供するステップと、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、プリントするための実質的に2Dの層を表すファイルのライブラリを生成するステップと、誘電性インク組成物及び導電性インク組成物を提供するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルは、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、後続の層内の誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、多角形導電性素子と各々関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成(gapping)多角形構造であって、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、繰り返すステップと、基板を除去するステップと、を含む、方法である。
【0009】
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子であって、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、電磁バンドギャップ素子である。
【0010】
また別の例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するための、コンピュータ可読媒体(computer readable medium、CRM)を記憶する非一時的メモリ記憶デバイスを備える、製造品であって、CRMは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表す、メタファイルと、を有する、生成するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる、誘電性インクを分注するように動作可能な第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる電磁放射源を使用して、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる、導電性インクを分注するように動作可能な第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる集束熱源を使用して、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルが、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリンント命令を含む、取得するステップと、後続の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、電磁バンドギャップ素子である。
【0011】
EBG素子の直接及び/又は間接的なインクジェットプリントのための方法、並びにEBG素子の構造のこれら並びに他の特徴は、例示であって限定ではない図面及び実施例と併せて読まれるとき、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
例示的な実装形態、実施例、及びそれらの用途に関して、EBG素子の直接及び/又は間接的なインクジェットプリントの構造及び方法をより良く理解するために、添付の実施例及び図面を参照する。
【0013】
【
図1A】マッシュルーム型導電性素子を有する典型的なEBG素子を示す。
【
図1D】
図1Cに示すEBG素子の単位セルの等価回路図である。
【
図2】開示された方法を使用して製造されたEBG素子構造の第1の例示的な実装形態のY-Z断面の概略図である。
【
図3】開示された方法を使用して製造されたEBG素子構造の第1の例示的な実装形態のY-Z断面の概略図である。
【
図4A】放射素子の多角形表面の例示的な実装形態の概略図であり、
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子の構造及び形成するための方法の例示的な実装形態である。更に、本明細書で開示されるのは、ISMのB型周波数に対するフットプリントの低減を可能にする、周期的なマッシュルーム型セルの構造を有する付加製造電子機器(additively manufactured electronics、AME)を使用して、EBG素子を直接形成するための方法である。電子回路の当業者は、開示された例示的な実装形態を、多層プリント回路基板(printed circuit board、PCB)及びフレキシブルプリント回路(flexible printed circuit、FPC)、電気通信機器、並びにモノのインターネット構成要素に適用することもできる。EBG素子回路を必要とする様々な用途で使用される他の回路、例えば、無線システム、無線周波数(radio frequency、RF)、テレビ及び衛星放送、モバイル通信、広帯域マイクロ波、ミリメートル波通信システム、レーダ、及び情報電気通信に関連する多くの他のシステムなども同様に企図される。
【0015】
図1Aに概略的に示すように、マッシュルーム型EBG素子は、典型的には、誘電性媒体(基板)101、金属パッチ110i、接地平面100、及び接続(ブラインド、充填された又はめっき)ビア111jからなる。EBG素子は、本質的に、LCフィルタアレイ又は並列共振回路として動作可能である(例えば、
図1Cを参照)。インダクタンスLは、ブラインドビア111jを通る素子内の電流ループによって生成され、キャパシタンスCは、2つのi番目の隣接するパッチ110iのギャップd
2によって生成される。キャパシタンス(C)、インダクタンス(L)、帯域幅(ω)及び共振周波数(f
r)の値は、次式で与えられる。
【0016】
【0017】
【0018】
【数3】
式中μ
0,ε
0,η
0;は、それぞれ自由空間の透磁率、誘電率、及びインピーダンスであり、ε
rは、比誘電率であり、d
1は、ビア長さ(及び/又は誘電性媒体の厚さ)であり、d
2は、隣接するパッチ間のギャップであり、2rは、ビア直径であり、Wは、パッチ幅である。
【0019】
共振時には、表面インピーダンスZsは、次式によって決定される。
【0020】
【0021】
単位セル10が無限に(例えば、
図4A、
図4Bを参照)かつ周期的に繰り返し配設されると仮定すると、EBG10によって遮断される信号の周波数帯域は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、Atsushi Sanada,Christophe Caloz,Tatsuo Itoh,”Planar Distributed Structures with Negative Reflective Index”,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques,vol.52,No.4,pp.1252-1263,(Apr.13,2004)において記載されているように、等価回路において直列に接続されるキャパシタC
L
A及びC
L
B並びにインダクタL
R
A及びL
R
Bによって表される以下の式(5)、並びに/又は等価回路において並列に接続されるキャパシタC
R及びインダクタL
Lによって表される以下の式(6)を使用して決定される。
【0022】
【0023】
【0024】
上記式において、ωse及びωshは、それぞれ、EBG10によって遮断される信号の周波数帯域の上限又は下限を示す。式(5)及び(6)が、LR及びCLの積(以下、LRCL積と称される)が一定であり、LL及びCRの積(以下、LLCR積と称される)も一定であることを示す場合、単位セル10のサイズ(例えば、i番目のパッチ110iの幅W及び/又はj番目のブラインドビア111jの長さd1)が調整される場合であっても、EBG10によって遮断される信号の周波数帯域は変化しないままである。逆に、i番目のパッチ110iの有効幅W、隣接するパッチ110i間のギャップd2、ブラインドビア111jの直径2r(及びそれによって、周期性のピッチP)のうちの少なくとも1つを変化させることは、必然的にωse、及びωsh、並びにしたがって、EBG素子10によって遮断されるバンドギャップの両方を変える。
【0025】
したがって、かつ例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するコンピュータ化された方法であって、インクジェットプリントシステムであって、誘電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第1のプリントヘッドと、導電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第2のプリントヘッドと、第1及び第2のプリントヘッドに動作可能に結合され、基板を第1及び第2のプリントヘッドの各々に搬送するように構成されたコンベアと、コンベア、並びに第1及び第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を有するコンピュータ支援製造(「CAM」)と、を備え、CPMは、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを更に備え、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、CPMに、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表すメタファイルと、を有する、生成するステップと、を含むステップを行うことによって、インクジェットプリントシステムを制御させる、インクジェットプリントシステムを提供するステップと、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、プリントするための実質的に2Dの層を表すファイルのライブラリを生成するステップと、誘電性インク組成物及び導電性インク組成物を提供するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルは、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、後続の層内の誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、繰り返すステップと、基板を除去するステップと、を含む、方法である。
【0026】
代替的には、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するコンピュータ化された方法であって、インクジェットプリントシステムであって、誘電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第1のプリントヘッドと、導電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第2のプリントヘッドと、第1及び第2のプリントヘッドに動作可能に結合され、基板を第1及び第2のプリントヘッドの各々に搬送するように構成されたコンベアと、コンベア、並びに第1及び第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を有するコンピュータ支援製造(「CAM」)と、を備え、CPMは、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを更に備え、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、CPMに、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表すメタファイルと、を有する、生成するステップと、を含むステップを行うことによって、インクジェットプリントシステムを制御させる、インクジェットプリントシステムを提供するステップと、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、プリントするための実質的に2Dの層を表すファイルのライブラリを生成するステップと、誘電性インク組成物及び導電性インク組成物を提供するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルは、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、後続の層内の誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、繰り返すステップと、基板を除去するステップと、を含む、方法である。
【0027】
例示的な実装形態では、CPMは、誘電性インクパターンの実質的に2Dの層を表す各ファイルについて、導電性インクパターンファイルのサブライブラリを更に生成するように動作可能であり、各導電性インクパターンファイルは、プリントするための実質的に2Dの層を表す。導電性パターンのサブライブラリファイルの各々は、プリント順序、それが関連付けられた誘電性インクパターンの実質的に2Dの層のファイルの識別子、並びにプリント速度及びプリント順序のうちの少なくとも1つに関する命令のうちの少なくとも1つを有するメタファイルを更に含むことができる。生成されたサブライブラリは、サブライブラリ内の最終的な実質的に2Dの導電性インクパターンが焼結されると、対応する硬化された誘電性インク層と同じ厚さ(又は高さ)を有するように構成された複数のファイルを含むことができることに留意されたい。例えば、サブライブラリは、各々がプリントするための導電性インクの実質的な2Dの層を表す、約10~約55個のファイルを含むことができる。加えて、各ファイル内の導電性インクパターンは、同一であってもよく、又は少なくとも1つのファイルが、サブライブラリ内の別のファイルとは異なるパターンを有してもよい。更に、最終的な実質的に2Dの導電性インクパターンの製造及び焼結時に形成される厚さは、プリントされた誘電性インクパターンの硬化された実質的に2Dの層の表面よりも高くても又は低くてもよい。例えば、スルーホール、充填されていないビアを形成するときに、層間の電気的接触を確実にするために、スルーホール、充填されていないビアの上部表面を、誘電体層の厚さより上に上げることが望ましい場合がある。同様に、集積回路脚部(例えば、J脚部)のためのウェルを形成するとき、導電性インクパターンを、誘電性インク層の表面より下に下げることが有利であり得る。
【0028】
本明細書で開示される構成要素、方法、及びデバイスのより完全な理解は、添付の図面を参照することによって得ることができる。これらの図(figure)(本明細書では「図(FIG.)」とも称される)は、本開示の利便性及び実証の容易さに基づく概略的な表現にすぎず、したがって、デバイス若しくはその構成要素の相対的なサイズ及び寸法、それらの相対的なサイズ関係を示すこと、並びに/又は例示的な実装形態の範囲を定義若しくは限定することを意図するものではない。明確にするために、以下の説明では特定の用語が使用されるが、これらの用語は、図面における例示のために選択された例示的な実装形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を定義又は限定することを意図するものではない。以下の図面及び以下の説明において、同様の数値指定は、同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。同様に、断面は、XYZ軸を有する通常の直交座標系において、Y軸が前後を指し、X軸が左右を指し、Z軸が上下を指すように参照される。
【0029】
図2に示すように、提供される方法では、開示されるシステムを使用し、最終層を硬化及び/又は焼結すると、電磁バンドギャップ(EBG)素子20は、先端面1001及び基底面1002を有する導電性接地平面100を備え、基底面1012及び先端面1011を有する誘電性媒体(基板と置き換え可能)101が、導電性接地平面100にわたって配設されている。また、複数の多角形導電性素子(パッチと置き換え可能)110iが示されており、各i番目のパッチ110iは、誘電性媒体の先端面1011上のi番目のパッチ110iと互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面1105及び基底面1106を有し、各i番目の多角形導電性素子110iは、基底方向に延在する少なくとも2つの(直径方向に)対向するファセット壁1102を更に備え、各i番目の多角形導電性素子110iは、ブラインドビア111jによって導電性接地平面100に結合されており、複数のギャップ形成多角形構造1003jの各j番目のギャップ形成多角形構造1003jは、i番目の多角形導電性素子110iと関連付けられ、先端面1005を有し、ギャップ形成多角形構造1003jは、導電性接地平面100の先端面1001から先端方向に延在し、導電性接地平面100の突出延長部を形成する導電性構造であり、各j番目のギャップ形成多角形構造1003jは、同心ボア1004jを画定し、ブラインドビア111jが、ボア1004jと同軸に配設されている。この場合、各i番目の多角形導電性素子110iは、基底方向に延在する(言い換えれば、上部スラブ部材1101から導電性接地平面100に向かって誘電性媒体101内の所定の深さUまで延在し、i番目の多角形導電性素子110iのサイズWを効果的に増加させ、それによってキャパシタンスC
L及びインダクタンスL
Rに影響を及ぼす)、少なくとも2つの(直径方向に)対向するファセット壁1102を含む偶数のファセット(辺)を有することは理にかなっている。
【0030】
図2に示すように、各i番目の多角形導電性素子110iは、隣接するi番目の多角形導電性素子110iから所定の距離t
1離れている。最初に示したように、t
1は、ギャップd
2と等価であり(機能において、必ずしもサイズではない)、EBG素子20のC
Lに影響を及ぼす(例えば、式2を参照)。更に、各j番目のギャップ形成多角形構造1003jは、導電性接地平面100の頂点面1001から、各j番目のギャップ形成多角形構造1003jの先端面1005と、関連するi番目の多角形導電性素子110iの基底面1106との間の所定のギャップg
1まで、先端方向に延在する。EBG素子20において、g
1は、機能において
図1Cのd
1と等価であり、これは、式1及び2から分かるように、キャパシタンスC
R及びインダクタンスL
Lの両方に影響を及ぼし、したがって、i番目の多角形導電性素子110iのサイズを損なうことなく、ギャップを減少させる方法を提供し、また式6及び7から明らかなように、EBG20によって遮断されるバンドギャップを変調する。したがって、かつ例示的な実装形態では、g
1は、EBG素子20によって遮断される、所定のより低い周波数ω
shの限界を規定するように動作可能である。同様に、少なくとも2つの(直径方向に)対向するファセット壁1102が延在する誘電性媒体101内の所定の深さUと、隣接する多角形導電性素子110i間の距離t
1とは、ともに、EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように動作可能である。
【0031】
本開示の文脈において、「動作可能」という用語は、特定の素子又はステップ、システム及び/又はデバイス及び/又はプログラムが、配設され、起動され、結合され、実装され、作動され、もたらされ、実現されるときに、又はシステム及び/若しくはデバイスと関連付けられた少なくとも1つのプロセッサによって実行可能プログラムが実行されたときに、サイズ決定され、適合され、かつ較正され、完全に機能し、列挙された機能を実施するための適用可能な動作要件のための素子を含み、及びそれを満たすことを意味する。システム及び回路に対して、「動作可能」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、システム及び/又は回路が、完全に機能し、かつ較正され、列挙された機能を実施するための適用可能な動作要件のための、必要なハードウェア及びファームウェアを有する論理を含み、並びにそのための回路部を備え、それを満たすことを意味する。
【0032】
ここで
図3を参照すると、開示されるAME方法を使用して製造されたEBG素子の別の例示的な構成が示されている。
図3に示されるように、EBG素子30は、(
図2に示される構成要素に加えて、バンドギャップに対するそれらの効果)以下を備える。各i番目の多角形導電性素子110iの少なくとも1つのファセット壁1102(例えば、基底方向に延在する少なくとも2つの(直径方向に)対向するファセット壁1102、1102’のうちの1つ)は、互いから所定の垂直距離d
4で配設された、横方向に延在し垂直方向に重なり合う(言い換えれば、一方1103が他方1103’を覆う)(サイズが)同一のスラブの対1103、1103’を更に備え、スラブ1103、1103’の対は、誘電性媒体101内に埋め込まれており、隣接するi番目の多角形導電性素子110iまでの距離t
2の一部分を覆うように横方向に延在し、相補的スラブ1104が、横方向に延在する同一のスラブ1103、1103’の対を有する、ファセット壁1102に直径方向に対向するファセット壁1102’から横方向に延在し、隣接する多角形導電性素子110iは、相補的スラブ1104が、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブ1103、1103’の対の間に介在し、相補的スラブ1104の上部表面と、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブ1103、1103’の対の上部スラブ1103の下部表面との間に所定のギャップg
2を置いて重なり合うように、配置されている。
図3に示すように、g
2は、EBG素子20におけるt
1と機能的に等価であり、それによって、g
2を変更することによってCLの変調を可能にする。したがって、かつ別の例示的な構成では、相補的スラブ1104の上部表面と、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブ1103、1103’の対の上部スラブ1103の下部表面との間の所定のギャップであるg
2は、EBG素子によって遮断される所定の周波数上限ω
seを規定するように動作可能である。
【0033】
図3に更に示されるように、相補的スラブ1104は、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブ1103、1103’の対の表面によって画定される表面積の約60%~約99%にわたって、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブ1103、1103’の対と重なり合うA
1。例えば、重なりは、約65%~約85%、又は約70%~約80%であってもよい。
【0034】
ここで
図4A、4Bを参照すると、開示されるEBG素子の例示的な実装形態が示されている。示されるように、開示される単位セルを作成するために、少なくとも2つの対向する壁が、周期的セルを作成するために使用され、多角形の導電性素子が結合されて偶数のファセットをもたらすバンドギャップを形成するようにする。同様に、適したピッチを維持するために、各導電性ギャップ形成多角形構造1003jは、多角形導電性素子と同じ数のファセットを有する周壁を備えた、基底方向に閉じた中空ボア1004を形成している。
【0035】
追加的又は代替的に、提供される方法では、開示されるシステムを使用して、最終層を硬化及び/又は焼結すると、各j番目のブラインドビア111j及びボア1004は、同軸である。この文脈において、「同軸」という用語は、各j番目のブラインドビア111jが、ボア1004と共通の伝搬軸を有することを意味する。
【0036】
特定の例示的な実装形態では、頂点外側層又は基底外側層のいずれかで始まり、導電性接地平面100で終端する各j番目のブラインドビア111jは、「ブラインドビア」と称される。
【0037】
本明細書では、インクジェットインク及びそれらの分注システムに言及するが、他の付加製造(AM)方法もまた、開示される方法の実装形態において企図される。例示的な実装形態では、EBG素子は同様に、選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)プロセスによって製造することができるが、任意の他の好適な付加製造プロセス(ラピッドプロトタイピング、ラピッドマニュファクチャリング、及び3Dプリント方法としても知られる)も、単独で又は組み合わせて使用することができる。これらは、例えば、直接金属レーザ焼結(direct metal laser sintering、DMLS)、電子ビーム溶融(electron beam melting、EBM)、選択的加熱焼結(selective heat sintering、SHS)、又はステレオリソグラフィ(stereolithography、SLA)であり得る。
【0038】
EBG素子は、金属粉末(例えば、銀、金、コバルトクロム、鋼、アルミニウム、チタン、及び/又はニッケル合金)、ガスアトマイズ金属粉末、熱可塑性粉末(例えば、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、及び/又は高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE))、フォトポリマー樹脂(例えばPMMAなどの、例えばUV硬化性フォトポリマー)、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は本明細書で説明されるような機能を可能にする任意の他の好適な材料などの、任意の好適な付加製造材料から製造され得る。
【0039】
金属粒子のタイプ(例えば、銀、銅、金、アルミニウムなど)及びアスペクト比(金属粒子の長さとそのそれぞれの厚さ又は直径との間の比)に応じて、インクジェットプリントに使用される導電性インク組成物において、達成可能な最大理論導電率は、同じ金属のバルク導電率の何分の一か、例えば、純粋なバルク金属と比較して、約10%~約90%、又は約20%~約80%、又は更に別の例では、約30%~約70%、又は50%であり得る。
【0040】
例えば、i番目の多角形導電性素子110i、導電性接地平面100、及び導電性ギャップ形成多角形構造1003jを形成するために使用される導電性材料は、銀ナノ粒子である。本開示の文脈において、ナノ粒子は、1マイクロメートル未満、例えば、約0.5マイクロメートル未満、又は約0.2マイクロメートル未満の体積平均粒径(D3,2、これは、適したアスペクト比、言い換えれば、R≫1、例えば、3:1~10:1を得るための中心であり得る)を有する粒子として定義される。ナノ粒子は、インクジェットプリント用途に有利であり得、非常に高い導電性材料含有量又は充填量であっても低いインク粘度を可能にし(したがって、2D及び3D部位パーコレーション閾値を超えることを確実にする)、また、インクジェットプリントヘッド分注器上のノズルの詰まりを防止する。
【0041】
例示的な実装形態では、本明細書で開示されるEBG素子を製造するために使用されるプリントヘッドの文脈において、「分注」という用語は、分注器として作用するプリントヘッドなど、インク滴が分注されるデバイスの動作を示すために使用され得る。分注器は、例えば、マイクロバルブ、圧電分注器、連続ジェットプリントヘッド、沸騰(バブルジェット)分注器、並びに分注器を通って流れる流体の温度及び特性に影響を及ぼす他のものを含む、少量の液体を分注するための装置であり得る。例示的な実装形態では、「プリントヘッド」という用語及び「分注器」という用語は、置き換え可能である。
【0042】
本明細書で開示されるコンピュータ化されたインクジェットプリントシステムを使用してEBG素子を形成する方法は、基板(例えば、フィルムなどの剥離可能な基板)を提供するステップを含むことができる。誘電性インクを堆積させるプリントヘッド(及びその派生物は、表面上に制御された様式で材料を堆積させ、移し又は作成する任意のデバイス又は技法を指すものと理解される)は、要求に応じて、言い換えれば、コンベア速度、所望のAME副層厚さ、ブラインドビアが充填されるか若しくはめっきされるか、又はそれらの組み合わせなどの様々なプロセスパラメータに応じて、インク液滴を提供するように構成することができる。
【0043】
本明細書で開示されるコンピュータ化されたインクジェットプリントシステムにおいて使用される基板は、例えば、除去可能又は剥離可能であってもよく、また、比較的剛性の材料、例えば、ガラス又は水晶(例えば、サファイア)であってもよい。代替的には、基板は、AMEからの基板の容易な剥離を可能にするために、可撓性(例えば、巻き取り可能な)基板(又はフィルム)、例えば、ポリ(エチレンナフタレート)(poly(ethylenenaphthalate)、PEN)、ポリイミド(例えば、DuPontによるKaptone(登録商標)、シリコンポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)(poly(ethyleneterphtalate)、PET)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(poly(tetrafluoroethylene)、PTFE)フィルムなどであり得る。
【0044】
(例えば、導電層を焼結するために)第1又は第2のプリントヘッドの前又は後に、本明細書で開示されるコンピュータ化されたインクジェットプリントシステムを使用するとき、他の機能ステップ(したがって、これらのステップに影響を及ぼすための手段)がとられてもよい。これらのステップは、(限定はしないが)加熱ステップ(チャックなどの加熱素子及び/又は熱風によって影響を受ける)、(例えば、UV光源及びフォトマスクを使用して)フォトブリーチング、(例えば、真空領域又は加熱素子を使用して)乾燥、(例えば、加圧プラズマガン及びプラズマビームコントローラを使用して)(反応性)プラズマ堆積、(例えば、コーティング前のポリマー溶液への{4-[(2-ヒドロキシテトラデシル)-オキシル]-フェニル}-フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどの光酸の添加を通じて選択的に開始されるか、又は金属前駆体若しくはナノ粒子とともに分散剤として使用されることによる)架橋、アニーリング、又は酸化還元反応の促進を含み得る。
【0045】
導電性及び/又は誘電性インク組成物の配合は、本明細書で開示されるコンピュータ化されたインクジェットプリントシステムを使用する場合、堆積ツール、並びに(任意選択で除去可能な)基板の表面特性(例えば、親水性又は疎水性のうちの少なくとも1つ、及び表面エネルギー)によって課される要件を、もしある場合には、考慮に入れてもよい。例えばピエゾヘッドを有するインクジェットプリントを使用する場合、導電性インク及び/又は誘電性インクの(20℃で測定した)粘度は、例えば、約5cP以上、例えば、約8cP以上、又は約10cP以上、及び約30cP以下、例えば、約20cP以下、又は約15cP以下であり得る。導電性インク及び/又は誘電性インクは、各々、50ミリ秒及び25℃の表面寿命で最大気泡圧力張力測定によって測定された、約25mN/m~約35mN/m、例えば、約29mN/m~約31mN/mの動的表面張力(インクジェットインク液滴がプリントヘッド開口部で形成されるときの表面張力を指す)を有するように構成(例えば、配合)され得る。動的表面張力は、剥離可能な基板又は誘電体層との接触角が約100°~約165°となるように配合され得る。
【0046】
例示的な実装形態では、EBG素子を形成するためのインクジェットインクシステム組成物及び方法は、プリントヘッド(又は基板/チャック)が、基板又は任意の後続の層の上方の所定の距離で、例えば2つの(X-Y)(プリントヘッドはZ軸方向にも移動することができることを理解されたい)次元で操作されるときに、本明細書で提供される液体インクジェットインクの液滴をオリフィスから1つずつ吐出することによってパターニングすることができる。本明細書に記載の方法で使用される、提供されるインクジェットプリントヘッドは、約3μm~10,000μm以下の最小層フィルム厚を提供し得る。
【0047】
例示的な実装形態では、導電性インク及び/又は誘電性インクの各液滴の量は、0.5~300ピコリットル(picoLiter、pL)、例えば、1~4pLの範囲とすることができ、駆動パルスの強度、及びインクの特性に依存し得る。単一の液滴を吐出する波形は、10V~約70Vのパルス、又は約16V~約20Vのパルスとすることができ、約5kHz~約500kHzの周波数でインクを吐出することができる。
【0048】
本明細書に記載の誘電性インク組成物は、加えて、架橋剤、コモノマー、コオリゴマー、コポリマー、又は前述のうちの1つ以上を含む組成物を含む連続相を有することができる。同様に、オリゴマー及び/又はポリマー骨格は、ポリマーを、骨格上にフリーラジカルを形成する薬剤と接触させ、それによって架橋部位を可能にすることによって、架橋を形成するように誘導され得る。例示的な実装形態では、架橋剤、コモノマー、コオリゴマー、コポリマー、若しくは前述のうちの1つ以上を含む組成物は、一部であってもよく、又は連続相内で溶液、エマルジョン、ゲル、若しくは懸濁液を形成するように構成されてもよい。
【0049】
例示的な実装形態では、EBG素子を形成するために開示された方法を使用して製造されるAME(FPC及びHDI回路)において使用される連続相は、多官能性アクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマー又はそれらの組み合わせ、架橋剤、及びラジカル光開始剤を含むことができ、連続相に部分的に又は完全に可溶性であり得る。
【0050】
誘電性樹脂骨格重合の開始は、開始剤、例えば過酸化ベンゾイル(benzoyl peroxide、BP)及び他の過酸化物含有化合物を使用して行うことができる。本明細書で使用される場合、「開始剤」という用語は、概して、化学反応を開始する物質、具体的には、重合を開始するか、又は重合を開始する反応性種を生成する任意の化合物を指し、例えば、共開始剤及び/又は光開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
別の例示的な実装形態では、記載されるインク組成物において使用される誘電性樹脂は、光開始剤を使用して光開始を受けることができるポリマーの活性及び/又はライブ成分を含む。光開始を受けることができるそのようなライブモノマー、ライブオリゴマー、ライブポリマー又はそれらの組み合わせは、例えば、多官能性アクリレートであり得、例えば、多官能性アクリレートであり得る多官能性アクリレートは、1,2-エタンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群から選択される。
【0052】
本明細書に記載される多官能性アクリレートとともに使用することができる光開始剤は、例えばラジカル光開始剤であり得る。これらのラジカル光開始剤は、例えば、CIBA SPECIALTY CHEMICALからのIrgacure(登録商標)500及びDarocur(登録商標)1173、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)184、TPO-L(エチル(2,4,6,トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート)ベンゾフェノン及びアセトフェノン化合物などであり得る。例えば、ラジカル光開始剤は、混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩などのカチオン性光開始剤であり得る。本明細書に記載の活性連続相において使用されるラジカル光開始剤の別の例は、2-イソプロピルチオキサントンであり得る。
【0053】
用語「ライブモノマー」、「ライブオリゴマー」、「ポリマー」又はそれらの対応物(例えば、コモノマー)の組み合わせは、例示的な実装形態では、ラジカル反応を形成することができる少なくとも1つの官能基を有するモノマー、モノマーの短い群又はポリマーを指す(言い換えれば、反応は継続することができ、そうでなければ末端基によって停止されない)。
【0054】
EBG素子を形成するための、本明細書に記載の組成物、システム、及び方法において使用される架橋剤は、例えば、一級若しくは二級ポリアミン及びその付加物、又は別の例では、無水物、ポリアミド、アルキレン基が各々独立して2~6個の炭素原子を含むC4~C30ポリオキシアルキレン、又は前述のうちの1つ以上を含む組成物であり得る。
【0055】
導電性及び/又は誘電性インク組成物は各々、界面活性剤及び任意選択で共界面活性剤の存在を必要とする場合がある。界面活性剤及び/又は共界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両親媒性コポリマー、例えばブロックコポリマーであり得る。
【0056】
更に、誘電体(絶縁)層部分は、全体にわたって実質的に均一な厚さを有することができ、それによって、追加の導電回路パターンを受けるための実質的に平面的な(例えば、平坦な)表面を作成する。誘電体層は、UV硬化性接着剤又は他のポリマー材料であり得る。例えば、誘電性インクは、UV硬化性ポリマーを含む。例えば、ポリエステル(polyester、PES)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVOH)及びポリメチルメタクリレート(poly-methyl methacrylate、PMMA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP、水溶性であり、プリントヘッドオリフィスを詰まらせないのに有益であり得る)などの他の誘電性ポリマー。他の誘電性材料は、フォトレジストポリマー、例えば、SU-8ベースのポリマー、ポリマー由来のセラミック又はそれらの組み合わせであってもよく、コポリマーも使用することができる。
【0057】
例示的な実装形態では、硬化するステップは、焼結するステップとは別個であり、区別される。したがって、硬化は、特定の例示的な実装形態では、プリントされた誘電性パターンを約196nm~約400nm、例えば、約300nm~約400nm、又は約350nm~約380nmの所定の波長の電磁放射に曝露することによって、影響を受ける。逆に、焼結は、プリントされた導電性パターンを、例えばIR集束ランプなどの集束熱源、又は導電性パターンに追従するように動作可能なレーザビームに曝露することによって、影響を受ける。
【0058】
本明細書で提供される方法を実装するために使用されるインクジェットシステムは、コンピュータ支援製造(「CAM」)モジュールを更に備えることができ、モジュールは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するための、コンピュータ可読媒体(CRM)を記憶する非一時的メモリ記憶デバイスと通信する中央処理モジュール(CPM)などのデータプロセッサを備え、CRMは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、
ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表す、メタファイルと、を有する、生成するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる、誘電性インクを分注するように動作可能な第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる電磁放射源を使用して、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる、導電性インクを分注するように動作可能な第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる集束熱源を使用して、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルは、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、後続の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、繰り返すステップと、を実施させるように構成された、実行可能な命令のセットを含む。
【0059】
したがって、CAMモジュールは、EBG素子の3D視覚化ファイルから導出されたファイルを記憶する2Dファイルライブラリを含むことができる。「ライブラリ」という用語は、本明細書で使用される場合、3D視覚化ファイルから導出された一群の2D層ファイルを指し、これは、各導電性パターン及び誘電性パターンをプリントするのに必要な情報を含み、情報は、データ収集アプリケーションによってアクセス可能であり、かつ使用され、アプリケーションは、コンピュータ可読媒体によって実行することができる。CAMは、ライブラリと通信する少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサによって実行するための動作命令のセットを記憶する非一時的記憶デバイスと、プロセッサ及びライブラリと通信する微小機械インクジェットプリントヘッドと、2Dファイルライブラリ、非一時的記憶デバイス、及び微小機械インクジェットプリントヘッドと通信するプリントヘッド(又はヘッドの)インターフェース回路であって、2Dファイルライブラリが、機能(プリント)層に特有の操作パラメータをプリンタに提供するように動作可能である、プリントヘッドインターフェース回路と、を更に備える。
【0060】
特定の例示的な実装形態では、ライブラリは、誘電性パターンのみ、導電性パターンのみ(例えば、各i番目の多角形導電性素子110iの形成のため)、又は誘電性パターン及び導電性パターンの両方を含む層ファイルを表すファイルを含む。誘電性パターン及び導電性パターンの両方を含む層では、システムとともに含まれる実行可能な命令のセットによって作成され、メモリ記憶デバイスに記憶されたメタファイルは更に、どのパターンが最初にプリントされるか、及び硬化又は焼結シーケンスの優先順位をつける。
【0061】
EBG素子を表す3D視覚化ファイルは、ODB、ODB++、asm、STL、IGES、STEP、Catia、SolidWorks、Autocad、Creo、3Dスタジオ、Gerber、Rhino、Altium、Orcad、又は前述のうちの1つ以上を含むファイルとすることができ、少なくとも1つの実質的に2Dの層を表す(及びライブラリにアップロードされる)ファイルは、例えば、JPEG、GIF、TIFF、BMP、PDFファイル、又は前述のうちの1つ以上を含む組み合わせとすることができる。
【0062】
加えて、コンピュータプログラムは、本明細書に記載の方法のステップを行うためのプログラムコード手段、及びコンピュータによって読み出すことができる媒体に記憶されたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を備えることができる。本明細書で説明される方法において使用されるような非一時的記憶デバイスは、様々なタイプの不揮発性メモリデバイス又は記憶デバイス(言い換えれば、電力がない場合にその情報を失わないメモリデバイス)のいずれかであり得る。「メモリデバイス」という用語は、インストール媒体、例えば、CD-ROM、フロッピーディスク、又はテープデバイス若しくは磁気媒体などの不揮発性メモリ、例えば、ハードドライブ、光ストレージ、又はROM、EPROM、FLASHなどを包含することが意図される。加えて、メモリ媒体は、プログラムが実行される第1のコンピュータ(例えば、提供される3Dインクジェットプリンタ)に位置してもよく、及び/又はインターネットなどのネットワーク上で第1のコンピュータに接続する第2の異なるコンピュータに位置してもよい。後者の場合、第2のコンピュータは、実行のために第1のコンピュータにプログラム命令を更に提供し得る。「メモリデバイス」という用語はまた、異なる位置、例えば、ネットワーク上で接続されている異なるコンピュータに常駐し得る2つ以上のメモリデバイスを含み得る。したがって、例えば、ビットマップライブラリは、提供される3Dインクジェットプリンタに結合されたCAMモジュールから離れたメモリデバイス上に存在し、提供される3Dインクジェットプリンタによって(例えば、広域ネットワークによって)アクセス可能であり得る。
【0063】
「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として説明された又は特許請求されている構成要素又は機能が全て(単一の)共通パッケージで構成されていることを暗示するものではない。実際、モジュールの様々な構成要素のいずれか又は全ては、制御ロジック又は他の構成要素に関係なく、単一のパッケージに組み合わされるか、又は別々に維持することができ、複数のグループ若しくはパッケージに、又は複数の(リモート)位置及びデバイスにわたって更に分散することができる。更に、特定の例示的な実装形態では、「モジュール」という用語は、モノリシック又は分散型ハードウェアユニットを指す。
【0064】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語及びその派生語は、記載された特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又はステップの存在を指定するが、他の記載されていない特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又はステップの存在を除外しない、制約のない用語であることが意図される。前述のことは、用語「含む(including)」、「有する(having)」、及びそれらの派生語などの類似の意味を有する単語にも適用される。
【0065】
別途明記しない限り、以下の説明から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理」、「ロード」、「通信」、「検出」、「計算」、「決定」、「分析」などのような用語を利用する説明は、トランジスタアーキテクチャなどの物理的なものとして表されるデータを、物理的な構造(言い換えれば、樹脂又は金属/金属の)層として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換する、コンピュータ若しくはコンピューティングシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又はプロセスを指すことを理解されたい。
【0066】
変換されたCAD/CAMデータパッケージに基づき得る、方法、プログラム及びライブラリにおいて使用される、製造される本明細書で説明される内蔵の受動及び埋め込まれた能動構成要素を含む、AMEと関連付けられた、コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)が生成した情報は、例えば、IGES、DXF、DWG、DMIS、NCファイル、GERBER(登録商標)ファイル、EXCELLON(登録商標)、STL、EPRTファイル、ODB、ODB++、asm、STL、IGES、STEP、Catia、SolidWorks、Autocad、ProE、3Dスタジオ、Gerber、Rhino、Altium、Orcad、Eagleファイル、又は前述のうちの1つ以上を含むパッケージであり得る。追加的に、グラフィックスオブジェクトに付された属性は、製造に必要なメタ情報を移送して、PCBを正確に定義することができる。したがって、かつ例示的な実装形態では、前処理アルゴリズムを使用することで、本明細書で説明されるようなGERBER(登録商標)、EXCELLON(登録商標)、DWG、DXF、STL、EPRT ASMなどが、2Dファイルに変換される。
【0067】
本明細書で開示される全ての範囲は、端点を含み、端点は、互いに独立して組み合わせることができる。「組み合わせ」には、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。本明細書の用語「a」、「an」、及び「the」は、量の制限を示すものではなく、本明細書で特に明記しない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるものとする。接尾辞「(複数)」は、本明細書で使用される場合、それが修飾する用語の単数及び複数の両方を含むことを意図し、それにより、その用語の1つ以上を含む(例えば、素子(複数)は、1つ以上の素子を含む)。
【0068】
明細書全体を通じて、「1つの例示的な実装形態」、「別の例示的な実装形態」、「例示的な実装形態」、などへの言及は、存在する場合、例示的な実装形態に関連して記載された特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が本明細書に記載された少なくとも1つの例示的な実装形態に含まれ、他の例示的な実装形態に存在する場合、又はしない場合があることを意味する。加えて、記載された要素を、例示的な実装形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0069】
本明細書で開示される全ての範囲は、端点を含み、端点は、互いに独立して組み合わせることができる。更に、本明細書の「第1」、「第2」などの用語は、任意の順序、量、又は重要性を示すのではなく、1つの要素から別の要素を示すために使用される。
【0070】
同様に、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータを意味し、他の量及び特質が正確ではないこと、並びにその必要がないことを意味するが、所望に応じて、許容範囲、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に既知の他の要因を反映して、近似及び/又はより大きいかより小さいことがあり得る。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の量若しくは特質は、明示的にそう述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「おおよそ」である。
【0071】
したがって、かつ例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するコンピュータ化された方法であって、インクジェットプリントシステムであって、誘電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第1のプリントヘッドと、導電性インク組成物を分注するようにサイズ決定及び構成された第2のプリントヘッドと、第1及び第2のプリントヘッドに動作可能に結合され、基板を第1及び第2のプリントヘッドの各々に搬送するように構成されたコンベアと、コンベア、並びに第1及び第2のプリントヘッドの各々と通信する、中央処理モジュール(CPM)を有するコンピュータ支援製造(「CAM」)と、を備え、CPMは、命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサを更に備え、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、CPMに、EBG素子を表す3D可視化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリが、複数のファイルであって、各ファイルが、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表すメタファイルと、を有する、生成するステップと、を含むステップを行うことによって、インクジェットプリントシステムを制御させる、インクジェットプリントシステムを提供するステップと、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、プリントするための実質的に2Dの層を表すファイルのライブラリを生成するステップと、誘電性インク組成物及び導電性インク組成物を提供するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルは、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、第1のプリントヘッドを使用して、後続の層内の誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備える、繰り返すステップと、基板を除去するステップと、を含むステップを行うことによって、インクジェットプリントシステムを制御させる、コンピュータ支援製造と、を備える、インクジェットプリントシステムを提供することを含む、方法であり、(i)CPMを使用して、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルを有する、生成するステップは、誘電性インクパターンの実質的に2Dの層を表す各ファイルに対して、導電性インクパターンファイルのサブライブラリであって、サブライブラリ内の各導電性インクパターンファイルは、プリントするための実質的に2Dの層を表す、サブライブラリと、プリントの順序、サブライブラリ導電性ファイルが関連付けられた誘電性インクパターンファイルの実質的に2Dの層のファイルの識別子、及びプリント速度に関する命令のうちの少なくとも1つを有するメタファイルとを生成することを更に含み、最終層を硬化及び/又は焼結すると、(ii)各ファセット壁は、誘電性媒体内の所定の深さUまで基底方向に延在し、(iii)各多角形導電性素子は、隣接する導電性素子から所定の距離t1離れており、(iv)各多角形ギャップ形成構造は、導電性接地平面の頂先端面から、多角形ギャップ形成構造の先端面と、関連する多角形導電性素子の基底面との間の所定のギャップg1まで先端方向に延在し、(v)g1は、EBG素子によって遮断される所定の周波数下限を規定するように動作可能であり、(vi)U及びt1は、EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように一緒に動作可能であり、(vii)各多角形導電性素子の少なくとも1つのファセット壁は、互いから所定の垂直距離で配設された、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対を更に備え、誘電性媒体内に埋め込まれたスラブの対は、隣接する多角形導電性素子までの距離の一部分を覆うように横方向に延在し、相補的スラブが、横方向に延在する同一のスラブの対を有するファセット壁に直径方向に対向するファセット壁から横方向に延在し、隣接する多角形導電性素子は、相補的スラブが、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の間に介在し、相補的スラブの上部表面と、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の上部スラブの下部表面との間に所定のギャップg2を置いて重なり合うように、配置されており、(viii)g2は、EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように動作可能であり、(ix)相補的スラブは、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の表面積の約60%~約99%にわたって、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対と重なり合い、(x)ギャップ形成多角形構造は、多角形導電性素子と同じ数のファセットを有する、コンピュータ化された方法である。
【0072】
別の例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子であって、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子に関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備え、(xi)各ファセット壁は、誘電性媒体内の所定の深さUまで基底方向に延在し、(xii)各多角形導電性素子は、隣接する導電性素子から所定の距離t1離れており、(xiii)各多角形ギャップ形成構造は、導電性接地平面の先端面から、多角形ギャップ形成構造の先端面と、関連する多角形導電性素子の基底面との間の所定のギャップg1まで先端方向に延在し、(xiv)g1は、EBG素子によって遮断される所定の周波数下限を規定するように動作可能であり、(xv)L及びtは、EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように一緒に動作可能であり、(xvi)各多角形導電性素子の少なくとも1つのファセット壁は、互いから所定の垂直距離で配設された、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対を更に備え、誘電性媒体内に埋め込まれたスラブの対は、隣接する多角形導電性素子までの距離の一部分を覆うように横方向に延在し、相補的スラブが、横方向に延在する同一のスラブの対を有するファセット壁に直径方向に対向するファセット壁から横方向に延在し、隣接する多角形導電性素子は、相補的スラブが、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の間に介在し、相補的スラブの上部表面と、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の上部スラブの下部表面との間に所定のギャップg2を置いて重なり合うように、配置されており、(xvii)g2は、EBG素子によって遮断される所定の周波数上限を規定するように動作可能であり、(xviii)相補的スラブは、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対の表面積の約60%~約99%にわたって、横方向に延在し垂直方向に重なり合う同一のスラブの対と重なり合い、(xix)ギャップ形成多角形構造は、多角形導電性素子と同じ数のファセットを有する、電磁バンドギャップ(EBG)素子である。
【0073】
また別の例示的な実装形態では、本明細書で提供されるのは、電磁バンドギャップ(EBG)素子を製造するための、コンピュータ可読媒体(CRM)を記憶する非一時的メモリ記憶デバイスを備える、製造品であって、CRMは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、EBG素子を表す3D視覚化ファイルを受信するステップと、ファイルライブラリを生成するステップであって、ファイルライブラリは、複数のファイルであって、各ファイルは、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルと、少なくとも、プリントするための実質的に2Dの層の各々のプリント順序を表す、メタファイルと、を有する、生成するステップと、ライブラリから、EBG素子の第1のプリント層を表す第1のファイルを取得するステップであって、第1のファイルは、誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信し、少なくとも1つのプロセッサと通信する製造品とともに含まれる、誘電性インクを分注するように動作可能な第1のプリントヘッドを使用して、第1の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する電磁放射源を使用して、第1の層内の誘電性インクに対応するパターンを硬化させるステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する、導電性インクを分注するように動作可能な第2のプリントヘッドを使用して、第1の層内に導電性インクに対応するパターンを形成するステップと、少なくとも1つのプロセッサと通信する集束熱源を使用して、第1の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップと、ライブラリから、EBG素子をプリントするための後続の層を表す後続のファイルを取得するステップであって、後続のファイルは、後続の層内の誘電性インク及び導電性インクのうちの少なくとも1つを表すパターンに対するプリント命令を含む、取得するステップと、後続の層内に誘電性インクに対応するパターンを形成するステップから、後続の層内の導電性インクに対応するパターンを焼結するステップまで繰り返すステップであって、最終層を硬化及び/又は焼結すると、EBG素子は、先端面及び基底面を有する導電性接地平面と、導電性接地平面にわたって配設された、基底面及び先端面を有する誘電性媒体と、誘電性媒体の先端面上に互いに隣接してかつ互いから離れて配設された、先端面及び基底面を各々が有する複数の多角形導電性素子であって、各多角形導電性素子は、基底方向に延在する少なくとも2つの対向するファセット壁を更に備え、各導電性素子は、ブラインドビアによって導電性接地平面に結合されている、複数の多角形導電性素子と、各々が多角形導電性素子と関連付けられ、先端面を有する、複数のギャップ形成多角形構造であって、ギャップ形成多角形構造は、導電性接地平面の先端面から先端方向に延在し、各ギャップ形成多角形構造は、同心ボアを画定し、ブラインドビアは、ボアと同軸に配設されている、複数のギャップ形成多角形構造と、を備え、(xx)ファイルライブラリを生成する際、ファイルライブラリが、複数のファイルであって、各ファイルが、EBG素子をプリントするための実質的に2Dの層を表す、複数のファイルを有し、実行可能な命令のセットは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、誘電性インクパターンの実質的に2Dの層を表す各ファイルに対して、導電性インクパターンファイルのサブライブラリであって、サブライブラリ内の導電性インクパターンの各ファイルは、プリントするための実質的に2Dの層を表す、サブライブラリと、プリントの順序、サブライブラリ導電性ファイルが関連付けられた誘電性インクパターンファイルの実質的に2Dの層のファイルの識別子、及びプリント速度に関する命令のうちの少なくとも1つを有するメタファイルとを生成させるように更に構成されている、製造品である。
【0074】
上記の実施例及び説明は、当然ながら、例示の目的のためだけに提供されており、開示される技術を限定することを決して意図していない。当業者によって理解されるように、開示された技術は、全て本発明の範囲を超えることなく、上述したものから2つ以上の技法を採用して、非常に様々な方式で行うことができる。