(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】車両ホイールに取り付けるタイヤ修理装置
(51)【国際特許分類】
B60C 23/10 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B60C23/10
(21)【出願番号】P 2023573476
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022085045
(87)【国際公開番号】W WO2023198298
(87)【国際公開日】2023-10-19
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521542281
【氏名又は名称】カーテー プロジェクテントヴィクルングス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ツォロウキド、エレニ
(72)【発明者】
【氏名】ツィベリディス、コンスタンティン
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102021101463(DE,A1)
【文献】特開2011-057201(JP,A)
【文献】中国実用新案第205523463(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/00 - 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、ホイールナットまたはホイールボルト(100)によって車両に取り付けられる車両ホイールに取り付けるタイヤ修理装置(10)であって、
中心線(A)および周方向(U)と関連し、ホイールに面する側(18)とホイールから離れる方向の側(20)とを有するキャリアエレメント(16)と、
前記キャリアエレメント(16)に取り付けられた圧縮機(22)と、
前記圧縮機(22)に動作可能に接続される前記圧縮機(22)用の駆動機構と、
タイヤシーラントを取り込むためのシーラント容器(60)であって、前記圧縮機(22)が流体導通方式で前記シーラント容器(60)に接続されていることを特徴とする、シーラント容器(60)と、
前記シーラント容器(60)および修理するタイヤに流体導通方式で接続されるように構成されている接続ライン(12)と、
それぞれが取り付け端(90)および自由端(92)を有する複数のスリーブ状の取り付けエレメント(88)であって、前記取り付けエレメント(88)は、その取り付け端(90)で前記キャリアエレメント(16)に接続され、それぞれが、前記キャリアエレメント(16)のホイールに面する側(18)から前記中心線(A)に平行な長手方向軸(L)に沿って延在し、前記周方向(U)に互いに距離を置いて配置され、前記スリーブ状の取り付けエレメント(88)の位置は、前記車両ホイールを前記車両に取り付けるためのホイールナットまたはホイールボルト(100)の位置に少なくとも概ね合致し、前記自由端(92)に隣接する各スリーブ状の取り付けエレメント(88)の端部セクション
(106)は、ホイールナットまたはホイールボルト(100)の頭部(104)と保持的に係合するように構成されることを特徴とするスリーブ状の取り付けエレメント(88)と、
を備えることを特徴とするタイヤ修理装置(10)。
【請求項2】
各スリーブ状の取り付けエレメント(88)の前記自由端(92)は、漏斗形状の拡張部(102)を備えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ修理装置。
【請求項3】
各スリーブ状の取り付けエレメント(88)は、長手方向軸(L)の周りに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ修理装置。
【請求項4】
前記漏斗形状の拡張部(102)は、その内側に、ホイールナット又はホイールボルト(100)の頭部(104)の中心に前記スリーブ状の取り付けエレメント(88)収めるのに適した、螺旋セグメントの形状のガイド面(116)を有することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ修理装置。
【請求項5】
いくつかの又はすべてのスリーブ状の取り付けエレメント(88)は、長手方向軸(L)に対して半径方向に移動可能に支持されることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ修理装置。
【請求項6】
各スリーブ状の取り付けエレメント(88)の前記端部セクション (106)には、ホイールナット又はホイールボルト(100)の頭部(104)に吸着することができる磁石(108)であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【請求項7】
前記磁石(108)は、前記長手方向軸(L)の方向にバネで取り付けられ、前記スリーブ状の取り付けエレメント(88)の前記自由端(92)に向かって予めバネ荷重がかけられていることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ修理装置。
【請求項8】
前記スリーブ状の取り付けエレメント(88)の前記端部セクション(106)にある前記磁石(108)は、予めかけられた前記バネ荷重に抗して複数の連続するロック位置に移動可能であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ修理装置。
【請求項9】
前記シーラント容器(60)は、タイヤシーラントの2つの成分を入れる2つの別個のチャンバと前記2つの成分を混合する混合チャンバ(66)とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【請求項10】
前記混合チャンバ(66)は前記接続ライン(12)の接続部(68)のすぐ上流に位置することを特徴とする請求項9に記載のタイヤ修理装置。
【請求項11】
前記シーラント容器(60)は、前記キャリアエレメント(16)及び前記圧縮機(22)を覆う前記タイヤ修理装置のハウジングを形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【請求項12】
前記駆動機構を動作させるためのエネルギー貯蔵装置が前記駆動機構に動作可能となるよう接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵装置は、1つのバッテリ(72)又は複数のバッテリ(72)であることを特徴とする請求項12に記載のタイヤ修理装置。
【請求項14】
前記接続ライン(12)は、修理するタイヤに接続される端部に、修理するタイヤに接続されるべき前記端部が前記タイヤに接続されているときにのみ、前記駆動機構の動作を可能とする監視スイッチ(78)を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【請求項15】
前記駆動機構は、前記キャリアエレメント(16)の前記ホイールに面する側(18)の板状凹部(26)内に取り付けられる、電気モータ(24)であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【請求項16】
各スリーブ状の取り付けエレメント(88)の前記端部セクション(106)に、ホイールナットまたはホイールボルト(100)の頭部(104)とロック方式で係合するように適合されたロックワッシャ(120)が取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ修理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ホイール用のタイヤ修理装置の分野に関する。以前は、自動車に予備ホイールを装備することが慣例として広く行われていた。このような予備ホイールにより、パンクの場合に、搭載されている予備ホイールで故障した車両ホイールを交換することによって、運転続行が可能になる。しかし、タイヤがパンクして故障したホイールを交換するには、自動車用ジャッキで車両を持ち上げ、故障したホイールを車両から取り外し、次に予備ホイールを取り付け、最後に故障した車両ホイールを車両に保管する必要がある。
【背景技術】
【0002】
この労力を軽減するため、また軽量化の理由で、最近では自動車には予備ホイールの代わりにタイヤ修理装置が装備されることが増えている。当業者には「タイヤフィット」という名前でも知られるこの種のタイヤ修理装置は、通常、自動車のトランクフロアの下に設置されており、液体タイヤシーラントを含むシーラント容器と、電気で駆動される空気圧縮機を備えている。パンクの場合、このようなタイヤ修理装置は通常箱型であり、車のトランクから取り出して、故障した車輪の隣に置く。次に、タイヤ修理装置の接続ホースが、故障した車両ホイールのタイヤバルブに接続される。最後に、タイヤ修理装置の電源ケーブルのプラグが車両上のソケット、例えば車両のシガーライターソケットに差し込まれる。次に、タイヤ修理装置の電源を入れ、空気圧縮機がタイヤシーラントを故障した車両タイヤに注入し、車両タイヤを再加圧して、走行を継続できるようにする。ただし、事前にタイヤ修理装置を修理済みの車両ホイールから取り外し、車両に収納しておく必要がある。
【0003】
本発明の目的は、「タイヤフィット」タイプのタイヤ修理装置と比較して改良され、パンクした場合により簡単かつ確実に適用できるタイヤ修理装置を提供することである。
【0004】
この目的は、本発明によれば、請求項1に示される特徴を備えるタイヤ修理装置によって達成される。「タイヤフィット」タイプの既知のタイヤ修理装置とは対照的に、本発明によるタイヤ修理装置は、ホイールナットまたはホイールボルトによって車両に取り付けられた車両ホイールに取り付けられるように構成される。この構成はすべての自動車の圧倒的多数に適用できる。車両のホイールを車両に取り付けるために、通常4つまたは5つのホイールナットまたはホイールボルトが使用される。このような鋼製のホイールナットまたはホイールボルトは、車両ホイールを車両に取り付けたり、車両から取り外したりできるように、車両ホイールの外側からアクセス可能である。本発明によるタイヤ修理装置は、少なくともほぼ板状に形成され、中心線と周方向とを関連付けるキャリアエレメントを有する。車両ホイールに取り付けられたタイヤ修理装置の場合、キャリアエレメントの中心線は、車両ホイールの中心線の延長線上にあることが好ましい。タイヤ修理装置が車両ホイールに取り付けられる場合、キャリアエレメントの周方向は車輪の周方向に一致する。キャリアエレメントは、ホイールに面する側とホイールから離れる方向の側を有し、それぞれの場合においてタイヤ修理装置の車両ホイールへの取り付け状態に関係する。キャリアエレメントは、例えば、打ち抜き加工および/またはプレス加工および/または深絞り加工によって製造された鋼板部品であってもよい。キャリアエレメントの外形は、キャリアエレメントを車両ホイールの中心の利用可能な空間に十分に挿入できるように、少なくともほぼ円形で実質的に平坦であることが好ましい。
【0005】
構造コンポーネントとも呼ばれるキャリアエレメントは、タイヤ修理装置の支持コンポーネントとして機能する。キャリアエレメントには圧縮機が取り付けられており、車両タイヤ内の圧力を高めるために、加圧空気を使用して故障した車両タイヤ内にタイヤシーラントを送り込み、公知の方法で空気を引き込んで加圧するために使用される。圧縮機は、前記目的に適した任意のタイプのものでよい。本発明によるタイヤ修理装置の例示的な実施形態では、圧縮機はピストン圧縮機、好ましくは複動ピストンを備えたピストン圧縮機である。
【0006】
圧縮機には、圧縮機の駆動機構が動作可能に接続されている。圧縮機駆動機構も同様に、上記の目的に適した任意のタイプのものとすることができる。例えば、圧縮機駆動機構は、油圧または空気圧で駆動されるモータであってもよい。本発明のタイヤ修理装置の好ましい実施形態では、圧縮機駆動機構は電気モータである。
【0007】
本発明のタイヤ修理装置は、タイヤシーラントを収容するためのシーラント容器をさらに備え、この容器は流体伝導方式で圧縮機に接続されている。タイヤ修理装置はさらに、シーラント容器および修理されるタイヤに流体導通方式で接続されるように構成された接続ラインを備える。この接続ラインは別個の部品にすることもでき、一方の端で既にタイヤ修理装置に接続しておくこともでき、そして、接続ラインを、通常は故障した車両ホイールのバルブに接続することにより、パンクの場合に修理する必要のあるタイヤに接続するだけで済む。接続ラインは、タイヤからタイヤ修理装置への空気の流出を防ぐ逆止弁を含むことができる。このような逆止弁はまた、例えばタイヤ修理後の前進走行中に接続ラインがタイヤ修理装置から外れた場合に、タイヤ修理装置によって修理されたタイヤからの空気およびシーラントの流出を防止する。
【0008】
車両ホイールへの取り付けを容易にするために、本発明によるタイヤ修理装置は、それぞれが取り付け端と自由端を有する複数のスリーブ状の取り付けエレメントを有する。スリーブ状の取り付けエレメントは、その取り付け端でキャリアエレメントに接続され、それぞれが中心線に平行な長手方向軸に沿ってホイールに面するキャリアエレメントの側面から自由端まで延びる。スリーブ状の取り付けエレメントは、キャリアエレメントの円周方向に互いに距離を置いて配置され、スリーブ状の取り付けエレメントの位置は、修理対象の車両ホイールを車両に取り付けるホイールナットまたはホイールボルトの位置に、少なくともその近傍の位置に対応する。スリーブ状の取り付けエレメントの数は、車両のホイールを車両に取り付けるホイールナットまたはホイールボルトの数に合わせることが好ましいが、特に車両ホイールが多数のホイールナットまたはホイールボルトで取り付けられている場合には、ホイールナットまたはホイールボルトよりも少ない取り付けエレメントとすることができる。例えば、本発明のタイヤ修理装置を車両ホイールにしっかりと取り付けるには、3つのスリーブ状の取り付けエレメントで十分である可能性がある。
【0009】
自由端に隣接する各スリーブ状の取り付けエレメントの端部は、ホイールナットまたはホイールボルトの頭部と保持的に係合するように構成されている。ここで、「保持的に係合する」とは、本発明のタイヤ修理装置のスリーブ状の取り付けエレメントが、修理すべき車両ホイールのホイールナットまたはホイールボルトの頭部上に置かれ、そして、タイヤ修理装置が車両ホイール上に自動的に保持されることを意味する。「ホイールナットまたはホイールボルトの位置に、少なくともその近傍の位置に対応する」とは、スリーブ状の取り付けエレメントが、横方向、すなわち、その長手方向軸に対して半径方向に遊びを持ってキャリアエレメントに取り付けられることができることを意味し、この横方向の遊びにより、スリーブ状の取り付けエレメントは、関連するホイールナットまたはホイールボルト上に配置されると、自動的にこのホイールナットまたはホイールボルトの中心に配置されることとなる。スリーブ状の取り付けエレメントの一部またはすべてが横方向の遊びを伴って保持される本発明のタイヤ修理装置の実施形態では、スリーブ状の取り付けエレメントが異なるボルトの領域及びボルトの位置に対する横方向の遊びにより調整できるため、異なる種類の車両ホイールに取り付けることができる。しかしながら、タイヤ修理装置が特定の車両のみを対象としており、ホイールナットまたはホイールボルトの位置が正確にわかっている場合には、スリーブ状の取り付けエレメントは、横方向の遊びがなくても、ホイールナットまたはホイールボルトの位置に正確に取り付けることができる。
【0010】
本発明によるタイヤ修理装置は、例えばホイールキャップなどの部品を事前に取り外す必要がなく、修理すべき車両ホイールに迅速かつ容易に取り付けることができる。本発明のタイヤ修理装置の車両ホイールへの取り付けは、スリーブ形状の取り付けエレメントを、車両ホイールを車両に取り付けるホイールナットまたはホイールボルトの頭部に単に押し込むという、簡単な方法で実行する。次に、接続ラインの自由端をホイールのタイヤバルブにねじ込むなどして、接続ラインを修理するホイールに接続するだけで済み、該当する場合は、接続ラインの他端は(この他端がまだタイヤ修理装置に固定して接続されていない場合)タイヤ修理装置に接続する必要がある。本発明によるタイヤ修理装置の使用後、タイヤ修理装置はスリーブ状の取り付けエレメントによって車両ホイール上にしっかりと保持されるため、前進走行中も車両ホイールに留まることができる。
【0011】
本発明のタイヤ修理装置を車両ホイールに取り付けることを容易にするために、好ましい実施形態では、各スリーブ形状の取り付けエレメントの自由端に漏斗形状の拡張部が設けられる。ここで、各スリーブ状取り付けエレメントは、好ましくは、その長手方向軸の周りに回転可能に支持される。したがって、スリーブ形状の取り付けエレメントは、さらに容易に関連するホイールナットまたはホイールボルト上の中心に配置することができる。特に好ましい実施形態によれば、各スリーブ形状の取り付けエレメントの漏斗形状の拡張部は、その内側に螺旋セグメントの形態の案内面を有し、対応するホイールナットまたはホイールボルトの頭部と接触すると、螺旋セグメントの形状のガイド面と頭部とがかみ合うことで生じる、回転によって、スリーブ状の取り付けエレメントを中心に寄せる。ここで、各スリーブ状の取り付けエレメントの自由端に隣接する端部セクションは、ホイールナットまたはホイールボルトの頭部の外側断面形状に合致する内側断面形状を有することができる。ホイールナットまたはホイールボルトの頭部は、通常、六角形の外側断面を有するため、各スリーブ状の取り付けエレメントの端部セクションの内側断面も同様に六角形にすることができる。各スリーブ状の取り付けエレメントの端部セクションを対応するそのような断面形状とすることにより、端部セクションとホイールナットまたはホイールボルトの頭部との機械的係合が改善される。
【0012】
各スリーブ状の取り付けエレメントの端部は、さまざまな方法でホイールナットまたはホイールボルトの頭部と保持的に係合することができる。例えば、端部セクションの内側に、長手方向に互いに続く一連の連続したキャッチ突起を設けることができ、これは、スリーブ状の取り付けエレメントがホイールナットまたはホイールボルトの頭に押し付けられたときに、ロック方式またはクランプ方式でこの頭部と係合する。一実施形態によれば、スナップリングとも呼ばれるロックワッシャが、スリーブ状の取り付けエレメントの端部に嵌め込まれ、保持される。このロックワッシャまたはスナップリングの内径は、スリーブ状の取り付けエレメントの端部セクションが係合するホイールナットまたはホイールボルトの頭部の外径よりも若干小さい。端部セクションがホイールナットまたはホイールボルトの頭部に押し込まれると、ロックワッシャが拡張し、ホイールナットまたはホイールボルトの頭部の周面に存在するロック凹部に係止することができる。このようにして、タイヤ修理装置は車輪にしっかりと保持される。
【0013】
本発明のタイヤ修理装置の他の構成では、前述の実施形態と組み合わせることもできるが、磁石を各スリーブ状の取り付けエレメントの端部に取り付け、この磁石の磁気相互作用によりホイールナットまたはホイールボルトの頭部に付着させることもできる。この磁石は、好ましくは、スリーブ状の取り付けエレメントの長手方向軸の方向にバネで取り付けられ、スリーブ状の取り付けエレメントの自由端に向かってバネで予め荷重がかけられる。この磁石は、特に好ましくは、予め荷重がかけられたバネに抗して、スリーブ状の取り付けエレメントの端部セクション内で、長手方向軸に沿った複数の連続するロック位置に移動可能である。したがって、本発明のタイヤ修理装置のスリーブ状の取り付けエレメントがホイールナットまたはホイールボルトの頭部に配置されると、使用者は配置プロセスにおいて、正しい配置を知らせることができる触覚フィードバックを受け取る。例えば、ユーザーには、連続3回のクリックを感知できるまでタイヤ修理装置をホイールナットまたはホイールボルトの頭に置くよう知らせることができる。さらに、ロック位置は、スリーブ状の取り付けエレメントの端部セクション内の磁石が、予め与えられたバネの荷重に抗して意図せずにスリーブ状の取り付けエレメント内に移動することを防止する。
【0014】
各スリーブ状の取り付けエレメントの端部セクションに取り付けられる磁石は、ディスク状または円筒状であることが好ましい。その外形は円形であってもよいし、ホイールナットまたはホイールボルトの頭部の外形に合わせてもよい。したがって、磁石の外形は、例えば六角形であってもよい。
【0015】
磁気効果を増幅するために、磁力線を集中させるコンポーネントに各磁石を収容することができ、これにより、磁石の磁束線がホイールナットまたはホイールボルトの頭部に確実に集中し、磁気効果が増幅され、相互作用、ひいては保持力が増幅される。
【0016】
従来の「タイヤフィット」タイプのタイヤ修理装置では、タイヤシーラントは単一の液体であった。しかしながら、この種のタイヤシーラントには耐用年数が限られており、したがって使用期間もそれに限定される。この欠点を克服するために、本発明のタイヤ修理装置の好ましい実施形態におけるシーラント容器は、タイヤシーラントの2つの成分用の2つの別個のチャンバと、これら2つの成分を混合するための混合チャンバとを有する。これにより、タイヤシーラントの2つの成分を別々に保管できるため、タイヤシーラントの劣化が起こらなくなるか、劣化が非常に遅くなり、そのため、このように装備されたタイヤ修理装置の使用可能な期間が非常に長く維持される。タイヤ修理装置を使用する場合にのみ、圧縮機によって2つの成分が2つの別々のチャンバから混合チャンバに送られ、そこで混合され、修理するタイヤに導かれる。この混合チャンバは、接続ラインの接続部のすぐ上流に配置することが好ましい。混合されたタイヤシーラントは、接続ラインを通って修理するタイヤ内に移動する。使用するタイヤシーラント側の必要に応じて、シーラント容器内にタイヤシーラントの成分用に2つ以上のチャンバを設けることもできる。同様に、使用されるタイヤシーラントが1つの成分のみを含む場合には、シーラント容器内にタイヤシーラント用として単一のチャンバを設けることも可能である。その結果、タイヤシーラントのいくつかの成分を混合するための混合チャンバを省略することができる。
【0017】
本発明のタイヤ修理装置の実施形態では、シーラント容器は、キャリアエレメントおよび圧縮機を覆うタイヤ修理装置のハウジングを形成するという有利な構成を有する。本発明のタイヤ修理装置は、修理する車両ホイールのホイールナットまたはホイールボルトに取り付けられるので、車両ホイールの中心に取り付けられることとなり、少なくともほぼ円形の外周をもつキャリアエレメントを用いて実施するのに適している。この場合、ハウジングとして設計されたシーラント容器も同様に円形の外形を有し、また、車両ホイールから軸方向にできるだけ突出することがないよう平坦であることが好ましい。
【0018】
本発明のタイヤ修理装置をできるだけ迅速かつ容易に作動させることができるように、タイヤ修理装置は、好ましくは、圧縮機駆動機構を動作させるためのエネルギー貯蔵装置を備え、その貯蔵装置は、圧縮機駆動機構に動作可能となるよう接続される。このようなエネルギー貯蔵装置は、例えば、駆動機構が空気圧で動作可能なモータである場合には、圧縮空気容器であってもよい。エネルギー貯蔵装置は、1つ以上バッテリとして実装されることが好ましいが、1つ以上のバッテリに蓄積された電気エネルギーは、圧縮機の駆動機構を形成する電気モータを駆動するために使用される。1つ以上のバッテリは、充電式バッテリであっても、非充電式バッテリであってもよい。あるいは、またはさらに、本発明のタイヤ修理装置は、外部エネルギー(特に電流)を供給できる接続を備えていてもよい。例えば、タイヤ修理装置にコネクタを装備することで、外部エネルギーを利用してタイヤ修理装置を上述のように操作できるようにするために、電源ケーブルを介してたとえば車両のシガレットライターやモバイルバッテリに接続することができる。
【0019】
本発明のタイヤ修理装置が意図せずに動作開始すること、または動作開始が早すぎることを防止するために、タイヤ修理装置の好ましい実施形態における接続ラインは、修理するタイヤに接続する端部に監視スイッチを有し、これにより、修理するタイヤに接続すべき接続ラインの端が実際にタイヤに接続されている場合にのみ、駆動機構を作動させることができる。例えば、この監視スイッチは、接続ラインの自由端が修理する車輪のタイヤバルブにねじ込まれると作動し、それによって、接続ラインが修理すべき車両ホイールに正しく接続されていることをタイヤ修理装置の制御装置に知らせるマイクロスイッチとすることができる。その後、タイヤ修理装置を作動させることができ、または、タイヤ修理装置を自動的に作動開始させることもできる。
【0020】
本発明のタイヤ修理装置の駆動機構は電気モータであることが好ましいことはすでに述べた。スペースを節約するとともに保護のために、このような電気モータは、好ましい例示的な実施形態では、キャリアエレメントのホイールに面する側の板状の凹部に配置され、この凹部は、キャリアエレメントの中心、従って、修理するホイールの中心に位置することが好ましい。
【0021】
本発明のタイヤ修理装置の例示的な実施形態を、添付の概略図に基づいて以下の通り詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のタイヤ修理装置が取り付けられた車両ホイールリムの3次元図である。
【
図3】
図1に示すタイヤ修理装置および車両ホイールリムの隣接領域の断面図である。
【
図4】
図3に示すタイヤ修理装置のわずかに変更された例示的な実施形態の3次元断面図である。
【
図5】
図4に示すタイヤ修理装置を、
図4に示す中心線Aに垂直な平面で切断した斜め上方からの別の3次元図である。
【
図6】
図4に示すタイヤ修理装置の左側部分を斜め下から見た3次元断面図である。
【
図7】ハウジングが取り外された状態で車両のホイールリムに取り付けられたタイヤ修理装置の、
図1と同様の3次元図である。
【
図8a】本発明のタイヤ修理装置の別の実施形態の3次元断面図である。
【
図8b】
図8aに示す実施形態で使用するために修正されたホイールボルトの頭部の3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1では、車両ホイールが3次元表現で示されており、簡単にするために車両ホイールのタイヤは省略されており、
図1では車両ホイールリム2のみが示されている。ホイールはホイールナットまたはホイールボルトによって車両に取り付けられるが、簡略化するために車両は示されていない。車両ホイールリム2の外側には、全体を10で示したタイヤ修理装置が取り付けられており、このタイヤ修理装置の構造設計および車両への取り付けについては、以下でより詳細に説明する。
【0024】
「タイヤフィット」タイプの既知のタイヤ修理装置と同様に、タイヤ修理装置10にはタイヤシーラントが含まれており、このタイヤシーラントは接続ライン12を介して修理するタイヤ内に移送することができる。接続ライン12のタイヤ側の自由端がどのように、修理するタイヤ(図示せず)に接続されるのかが
図2に示されている。図示の例示的な実施形態では、接続ライン12のタイヤ側端部は、タイヤバルブ14にねじ込むことによってタイヤに接続されており、タイヤバルブ14は、チューブレスタイヤによくあるように、外周のエッジに近接して車両ホイールリム2に取り付けられている。
【0025】
次に、
図3から
図5を参照して、タイヤ修理装置10の構造設計をさらに詳細に説明する。タイヤ修理装置10は、構造コンポーネントとしてキャリアエレメント16を有し、キャリアエレメント16は、ここでは実質的に板状であり、ホイールに面する側18とホイールとは反対側を向いている側20とを有する(特に
図4を参照)。キャリアエレメント16は、ここでは鋼板からなるが、プラスチック、特に繊維強化プラスチックまたは他の適切な材料で製造することもできる。キャリアエレメント16のホイールとは反対側を向いている側20の中央領域には、圧縮空気を生成するための圧縮機22が取り付けられている。圧縮機22を駆動するために、図示の例示的な実施形態では電気モータ24が使用され、このモータは、キャリアエレメント16のホイールに面する側18において、キャリアエレメント16の中央領域に形成された板状凹部26内に取り付けられる。電気モータ24は、2つの軸受28、30で回転可能に支持された出力シャフト32を有し、このシャフトはキャリアエレメント16を貫通し、圧縮機22に面する端部で偏心カム34に接続されている。偏心カム34は、ピストン36の適切に形成された開口38と係合し、圧縮機22のピストン36と相互作用することによって、出力シャフト32が回転しているときに、圧縮機22内でピストン36を前後に動かす。ここに示される例示的な実施形態におけるピストン36は、いわゆる複動ピストンである。すなわち、ピストン36の各ストロークが、圧縮空気を生成する作動ストロークとなる。これは、圧縮機22が縦断面で示されている
図5で特に明確に認識することができる。
【0026】
特に
図5を参照して、タイヤ修理装置10の基本機能を詳細に説明する。圧縮機22内には、2つの圧力チャンバ40、42が形成されており、その中でピストン36の往復運動によって圧縮空気が生成される。各圧力チャンバ40、42には弁44、46が設けられており、弁44、46を通って、ピストン36の吸入行程においてそれぞれの圧力チャンバ40または42に空気が吸い込まれ、ピストン36の圧縮行程で生成された圧縮空気は、弁44、46を通って、圧力チャンバ40または42から、圧縮機22に接続されている圧力ライン48または50に送られ、より正確には圧縮機22の圧力チャンバ40および42から、シーラント容器60の第1のチャンバ56および第2のチャンバ58に関連付けられた圧力供給弁52および54に送られる。弁44および46と圧力供給弁52および54との両方は、単純な逆止弁で計画してもよい。
【0027】
シーラント容器60は、タイヤシーラント(図示せず)を取り込むように機能し、タイヤシーラントは、パンク(タイヤの空気が失われる)の場合、シーラント容器60から接続ライン12を通って修理するタイヤ内に圧縮機22により生成された圧縮空気により圧入される。タイヤシーラントの早期劣化を避けるために、このタイヤシーラントは、ここに示されるタイヤ修理装置10の例示的な実施形態では、2つの成分からなり、そのうちの1つの成分は、シーラント容器60の第1のチャンバに貯蔵され、他の成分は第2のチャンバに貯蔵される。タイヤ修理装置10が使用されるとき、タイヤシーラントの2つの成分は、圧縮機22によって生成され圧力供給弁52および54を介してチャンバ56、58に送り込まれた圧縮空気によって加圧され、出口62および64を通って、ここでは同様にシーラント容器60の一部となっていて接続ラインのハウジング側接続部68のすぐ上流に位置する混合チャンバ66に供給される。出口62および64には、
図3および
図4に見られるように、出口62、64を通って流れるタイヤシーラントの2つの成分の渦巻き流を生成するために、渦巻き形成内壁70を設けることができ、これにより、混合チャンバ66内での混合をより良くより迅速に、完全に行うことが可能になる。次いで、完全に混合されたタイヤシーラントは、ハウジング側の接続部68を通って混合チャンバ66から押し出され、接続ライン12に入り、タイヤバルブ14を通過して修理するタイヤに入る。タイヤシーラントが修理するタイヤに完全に注入された後、圧縮機22は圧縮空気を生成し続けてタイヤを膨張させ、それによってタイヤを走行可能な状態に戻す。
【0028】
電気モータ24にエネルギーを供給するために、図示の例示的な実施形態では複数のバッテリ72が使用され、これらのバッテリは、キャリアエレメント16のホイールとは反対側を向いている側20の板状凹部26の周囲に取り付けられた、ここでは環状となっているプリント回路基板74上に配置される。バッテリ72は、充電可能または非充電可能電池であってもよく、ここに示される数のバッテリ72の代わりに、より少ないまたはより多くのバッテリを使用することもできることはもちろんである。また、プリント回路基板74上には、タイヤ修理装置10の機能を制御する電子制御ユニット76も配置されている。タイヤシーラントが接続ライン12から意図せずまたは早期に出てしまうことがないように、ここに示される例示的な実施形態では、接続ライン12のタイヤ側端部に、接続ライン12のタイヤ側端部がタイヤバルブ14にねじ込まれたときに作動し、それによってタイヤ修理装置10が修理するタイヤのタイヤバルブ14に正しく接続されていることを示す、監視スイッチ78が設けられる。監視スイッチ78の信号は、電線80、82を介して制御ユニット76に伝達される。監視スイッチ78の信号がタイヤバルブ14への接続が正しいことを示す場合にのみ、圧縮機22、したがってタイヤ修理装置10の運転を開始することができる。この運転の開始は、例えばユーザーが操作するスイッチ(図示せず)を介して手動で行うこともできるし、例えば監視スイッチ78によって送信される信号により自動的に行うこともできる。
【0029】
図示の例示的な実施形態では、シーラント容器60は、特にキャリアエレメント16および圧縮機22を覆うタイヤ修理装置10のハウジングを形成する。ここで、シーラント容器60は、平らな外側を有する少なくともほぼトロイダル形状を有し、ネジ84により圧縮機22に取り付けられる。図示の例示的な実施形態では、キャリアエレメント16は、外周に取り付けられた複数のフラップ状延長部86を備えた円形の基本形状を有しており、その延長部の目的は以下に説明する通りである。
【0030】
次に、タイヤ修理装置10の車両ホイールへの取り付けについて説明する。タイヤ修理装置10は、車両ホイールに取り付けるために、周方向Uに互いに間隔をあけて配置された複数のスリーブ状の取り付けエレメント88を備え、各エレメントは取り付け端90と自由端92を有する。各スリーブ状の取り付けエレメント88は、その取り付け端90によって、ここでは、キャリアエレメント16の関連するフラップ状延長部86を通って延びる取り付けねじ94によって、キャリアエレメント16に接続される。各スリーブ状の取り付けエレメント88はそれぞれ、キャリアエレメント16のホイールに面する側18から中心線Aに平行な長手方向軸Lに沿ってその自由端92まで延在する。図示の例示的な実施形態では、各スリーブ状の取り付けエレメント88は、長手方向軸Lの周りに回転可能に支持され、そこで、関連するフラップ状延長部86を通って延びる取り付けねじ94がスリーブ状の取り付けエレメント88をキャリアエレメント16に固定させず、締め付けた場合にのみ環状カラー96に突き当たり押し付けられ、取り付けエレメント88の取り付け端90を形成する。さらに、図示の例示的な実施形態では、取り付けねじ94が通るフラップ状延長部86の開口部98の直径は、環状カラー96の外径よりも大きく、各スリーブ状の取り付けエレメント88は、長手方向軸Lに対して半径方向に移動することができる。別の言い方をすると、各スリーブ状の取り付けエレメント88は、キャリアエレメント16内で、より正確にはキャリアエレメント16の各スリーブ状の取り付けエレメント88に対応するフラップ状延長部86内で、横方向に遊びを伴って受け入れられる。
【0031】
添付の図から分かるように、キャリアエレメント16上のスリーブ状の取り付けエレメント88の位置は、したがって、車両ホイールリム2が取り付けられるホイールナットまたはホイールボルト100の位置に、少なくともおおよそ対応する。タイヤ修理装置10を取り付けるために、スリーブ状の取り付けエレメント88はホイールボルト100と位置合わせされ、その後、ホイールボルト100上に配置される。このプロセスを簡素化するために、図示の例示的な実施形態におけるスリーブ状の取り付けエレメント88はそれぞれ、自由端92には漏斗形状の拡張部102があり、各ホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104をスリーブ状の取り付けエレメント88内に導く。タイヤ修理装置10を車両ホイールまたは車両ホイールリム2取り付けた状態を維持するために、各スリーブ状の取り付けエレメント88の自由端92に隣接する端部セクション106は、ホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104と保持的に係合するように設計されている。
【0032】
ここに示す例示的な実施形態では、磁石108は、ここでは円板状であり、端部セクション106に取り付けられ、ホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104との磁気相互作用によって頭部104に向かって引き寄せられ、それによって、保持力が生じる。
図3に示す例示的な実施形態では、磁石108は、磁気相互作用を改善するために磁力線を集中させるカップ状部品110内に受け入れられ、この部品により磁石108の磁力線が頭部104に集中する。
【0033】
ここに示す例示的な実施形態では、各磁石108はさらに長手方向軸Lの方向にバネで取り付けられており、バネ112により、磁石108にはスリーブ状の取り付けエレメント88の自由端92に向かって予め荷重がかけられている。ホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104上へのタイヤ修理装置10の配置をより明確に特徴づけるために、ここでは概略的にだけ再現されているが、ロック装置114は、図示の例示的な実施形態における取り付け端90と磁石108との間の各スリーブ状の取り付けエレメント88内に存在し、このロック装置114は、磁石108が頭部104に配置されたとき、バネ112によって予め生成されたバネ荷重に抗して所定の方法で各磁石108を長手方向Lの複数の連続するロック位置に移動させることを可能にする。タイヤ修理装置10の操作指示により、例えば、連続数回の「クリック」、例えば3回または4回の「クリック」が検出されたときに、タイヤ修理装置10が車輪に正しく取り付けられることを示すことができる。ロック装置114はまた、磁石108がスリーブ状の取り付エレメント88内に意図せずに押し込まれることを防止する。
【0034】
図4、5、および6に示される実施形態は、各スリーブ状の取り付けエレメント88の自由端92における漏斗形状の拡張部102がその内側に螺旋セグメントの形状のガイド面116を備えている点で、および、端部セクション106が、
図3のように円筒形ではなく、ホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104の断面に対応する六角形の断面を有する点で、
図3に示される例示的な実施形態とは異なる。頭部104と係合すると、螺旋セグメント形状のガイド面116により、必要に応じて、頭部104の六角形断面の角と端部セクション106が一致するまで、スリーブ状の取り付けエレメント88を、その長手方向軸Lの周りに回転させることで、端部セクション106は、頭部104及びここでは六角形に作られた磁石108’上でスライドし、頭部104の上側に当接する。このようにして、磁石108'と端部106との間の磁気相互作用により、保持力が最適化される。
【0035】
図示のタイヤ修理装置10の実施形態では、スリーブ状の取り付けエレメント88の数は、ホイールナットまたはホイールボルト100の数に合致する。ここに示されていない例示的な実施形態では、スリーブ状の取り付けエレメント88の数は、ホイールナットまたはホイールボルト100の数より少ない。ここに示されていない実施形態によれば、タイヤ修理装置10は、円周方向に互いに距離を置いて配置された、たった3つのスリーブ状の取り付けエレメント88のみを有し、それらの位置は、車両ホイールのホイールナットまたはホイールボルト100のうちの3つだけに対応する。
【0036】
図8aは、タイヤ修理装置10のスリーブ状の取り付エレメント88の別の実施形態を示しており、各スリーブ状の取り付エレメント88の端部セクション106は、磁石108なしでホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104と保持的に係合することができる。この目的のために、
図8aに示される実施形態では、端部セクション106の内側の環状溝118内にロックワッシャ120が配置され、保持される。このようなロックワッシャ120は、スナップリングとも呼ばれ、一か所で途切れて放射状にバネ力が発生する。ロックワッシャ120は、環状溝内に予め張力をかけた状態で配置され、したがって環状溝118内に固定して保持される。スリーブ状の取り付けエレメント88がホイールナットまたはホイールボルト100の頭部104に押し込まれると、ロックワッシャ120は、ある程度押し広げられ、頭部104の周りの面122上をすべることができる。頭部104は、図示の例示的な実施形態では六角形の断面を有するため、周りの面122は6つの角124を有する。
【0037】
図8bは、ホイールボルト100の頭部104を示しており、頭部104の周りの面122の角124の領域にスロット状のロック凹部126が形成されており、凹部は頭部104の周方向に延びている。図示の例示的な実施形態では、各角124には1つのロック凹部126が設けられているが、長手方向Lに互いに間隔をあけて複数のロック凹部126を各角部124に設けることもでき、その結果複数のロック位置が設けられることになる(図示せず)。スリーブ状の取り付けエレメント88の端部セクション106を配置すると、ロックワッシャ120が円周方向に互いに間隔を置いて配置されたロック凹部126に引っ掛かり、それによって各スリーブ状の取り付けエレメント88、ひいてはタイヤ修理装置全体10が車両ホイールリム2にしっかりと保持される。