(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】C5に結合する抗体及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20240528BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240528BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240528BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240528BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240528BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240528BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240528BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240528BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240528BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240528BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240528BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
C07K16/18
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P29/00
A61P21/04
A61P25/00
A61P27/02
A61P7/00
A61P13/12
A61K39/395 D
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2022577493
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2021106391
(87)【国際公開番号】W WO2022012606
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-26
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522040148
【氏名又は名称】ビオシオン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ミンジウ
(72)【発明者】
【氏名】シア、シュカイ
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226655(JP,A)
【文献】特表2020-511448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 16/00-16/46
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体成分5に結合する単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、
(i)VH CDR1領域、VH CDR2領域およびVH CDR3領域を含む重鎖可変領域及び
(ii)VL CDR1領域、VL CDR2領域及びVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含み、
前記VH CDR1領域、前記VH CDR2領域、前記VH CDR3領域、前記VL CDR1領域、前記VL CDR2領域及び前記VL CDR3領域は、(1)配列番号1、7、14、20、25及び31、それぞれ;(2)配列番号2、8、15、20、26及び32、それぞれ;(3)配列番号2、8、16、20、25及び33、それぞれ;(4)配列番号3、9、17、21、27及び34、それぞれ;(5)配列番号4、10、18、22、28及び35、それぞれ;(6)配列番号4、11、18、22、28及び35、それぞれ;(7)配列番号4、12、18、23、29及び36、それぞれ;(8)配列番号5、12、18、23、29及び36、それぞれ;又は(9)配列番号6、13、19、24、30及び37、それぞれ,に定めるアミノ酸配列を含む、
単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項2】
前記重鎖可変領域が、配列番号38、39
、40、41
、42
又は43に対して少なくとも
90%の同一性を有するアミノ酸配列を含
み、
前記配列番号39の29番目、71番目、102番目および107番目のアミノ酸残基は、それぞれIle (I), Ile (I), Ser (S) および Phe (F);またはそれぞれLeu (L), Met (M), Gly (G) および Leu (L)であり、
前記配列番号41の58番目および60番目のアミノ酸残基は、それぞれThr (T) および Asn (N);またはそれぞれSer (S) および Phe (F)であり、
前記配列番号42の74番目のアミノ酸配列は、Arg(R) またはLys(K)である、
請求項1に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域が、配列番号44
、45、46、47、48、又は59に対して少なくとも
90%の同一性を有するアミノ酸配列を含
み、
前記配列番号44の18番目、92番目および106番目のアミノ酸残基は、それぞれSer (S), Ser (S) および Phe (F);または それぞれThr (T), His (H) および Ile (I)である、
請求項1または2に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【請求項4】
前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域が、以下に対して少なくとも
90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の分離モノクローナル抗体
またはその抗原結合部分
:
(1)配列番号38及び44
、それぞれ
であり、前記配列番号44の18番目、92番目および106番目のアミノ酸残基は、それぞれSer (S), Ser (S) および Phe (F)である;
(2)配列番号39
及び59、それぞれ
であり、前記配列番号39の29番目、71番目、102番目および107番目のアミノ酸残基は、それぞれIle (I), Ile (I), Ser (S) および Phe (F)である;
(3)配列番号39
及び44、それぞれ
であり、前記配列番号39の29番目、71番目、102番目および107番目のアミノ酸残基は、それぞれLeu (L), Met (M), Gly (G) および Leu (L)であり、前記配列番号44の18番目、92番目および106番目のアミノ酸残基は、それぞれThr (T), His (H) および Ile (I)である;
(4)配列番号40及び45、それぞれ;
(5)配列番号41
及び46、それぞれ
であり、前記配列番号41の58番目および60番目のアミノ酸残基は、それぞれThr (T) および Asn (N)である;
(6)配列番号41
及び46、それぞれ
であり、前記配列番号41の58番目および60番目のアミノ酸残基は、それぞれSer (S) および Phe (F)である;
(7)配列番号42
及び47、それぞれ
であり、前記配列番号42の74番目のアミノ酸残基は、Arg(R)である;
(8)配列番号42
及び47、それぞれ
であり、前記配列番号42の74番目のアミノ酸残基は、Lys(K)である;又は
(9)配列番号43及び48、それぞれ。
【請求項5】
前記重鎖可変領域に連結した配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域、及び前記軽鎖可変領域に連結した配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体
又はその抗原結合部
分。
【請求項6】
IgG1、IgG2又はIgG4アイソタイプである、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【請求項7】
ヒト抗体、又はその抗原結合部分である、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部
分をコードするヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項10】
請求項9に記載の発現ベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項11】
i) 請求項1から7のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分
、請求項8に記載のヌクレオチド
、請求項9に記載の発現ベクター、または請求項10に記載の宿主細胞と、
ii) 薬学的に許容される担体と
、を含む医薬組成物。
【請求項12】
過剰なC5a及び/又はC5bの産生に関連する炎症性疾患、または溶血性疾患の治療に用いられる医薬組成物であって、請求項11に記載の医薬組成物の治療有効量を被験者に投与することを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記炎症性疾患が、全身性重症筋無力症又は視神経脊髄炎スペクトラム障害である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記溶血性疾患が発作性夜間ヘモグロビン尿症又は非定型溶血性尿毒症症候群である、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願及び参照による援用]
本出願は、2020年7月15日に出願された米国仮特許出願シリアル番号63/051,966の優先権を主張するものである。
【0002】
前述の出願、そこに引用された又はその審査中に引用されたすべての文書(「出願引用文献」)、及び本明細書に引用又は参照されたすべての文書(本明細書に引用されたすべての文献文書、特許、公開特許出願を含むがこれに限定されない)(「本明細書に引用される文献」)は、本明細書に記載又は参照により組み込まれた文書中の任意の製品に関する製造者の指示、記述、製品仕様、製品シートとともに参照によりここに組み込まれ、本発明の実施に採用されることができる。より具体的には、参照されたすべての文書は、個々の文書が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同じ程度まで、参照により組み込まれる。本開示で言及されたあらゆるGenbank配列は、本開示の最も早い有効出願日のGenbank配列とすることにより、参照により組み込まれる。
【0003】
本開示は、一般に、ヒトC5に高い親和性と機能性をもって結合する単離モノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体、又はその抗原結合部分に関するものである。また、当該抗体又はその抗原結合部分をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞及び当該抗体又はその抗原結合部分を発現させるための方法も提供される。本開示は、さらに、二重特異性分子、免疫複合体、キメラ抗原受容体、腫瘍溶解性ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部分を含むことができる医薬組成物、並びに本開示の抗C5抗体又はその抗原結合部分を用いた治療法を提供する。
【背景技術】
【0004】
補体系とは、主に肝臓で合成される血漿タンパク質からなる自然免疫系の一部である。これらの補体タンパク質は互いに反応して病原体をオプソニン化し、一連の炎症反応を誘導して感染症に対抗するのに役立つ。
【0005】
補体系の活性化は、文脈に応じて古典経路、レクチン経路、代替経路の3つの経路で開始され、補体成分5(C5)がC5転換酵素によってC5aとC5b断片に切断される共通の終末経路に至る(Merle NS et al. , (2015) Front Immunol. 6: 262)。C5a断片は、炎症反応の引き金となり、感染部位に食細胞を集め、白血球、内皮細胞、血小板を活性化させる。C5b断片は補体成分C6-C9を動員して重合し、膜攻撃複合体(MAC)を形成し、代謝不活性細胞やグラム陰性菌などの標的細胞の細胞膜に大きな孔を生成して細胞溶解を誘導する(Koski CL et al. , (1983) Proc Natl Acad Sci USA 80:3816-3820;Lewis LA and Ram S (2014) Virulence 5:98-126)。補体媒介溶解に耐性のあるグラム陽性菌や代謝の活発な細胞に対しては、複数のMACを標的細胞に挿入してカルシウムフラックスとその後のアポトーシスを誘導する(Cole DS, and Morgan BP.(2003) Clin Sci 1979(104):455-66)。C5はまた、C5コンバーターゼとは別の部位でトロンビンによって切断され、補体系とは無関係に、中間体C5T及びC5bTを生成する可能性がある。これらの中間体は、凝固カスケードの活性化によりC5a及びC5bに変換される(Merle NS et al. , (2015),上記を参照)。
【0006】
非感染領域での補体活性化と、それに伴う健全な組織の損傷を避けるため、宿主細胞は細胞膜上に複数の制御タンパク質を発現している(Schmidt CQ et al. , (2016) Immunol Rev. (2016) 274(2):152-171)。制御因子が減少したアポトーシス細胞は、低レベルで補体活性化を誘導し、食細胞によって迅速に除去される(Verbovetski I et al. , (2002) J Exp Med 196:1553-1561)。遺伝子欠損によるMAC阻害剤CD59の欠如は、赤血球破壊を引き起こし、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を引き起こす可能性がある(Holguin MH et al. ,(1989)J Clin Invest 84:1387-1394)。PNH以外にも、補体系の調節障害は、C3コンバーターゼの変異に関連する非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)のような他の溶血性疾患の病態や、MACの形成が神経筋接合部の神経伝達の障害に関与することが確認されている重症筋無力症のような炎症性疾患や、免疫介在性の脱髄と軸索損傷を特徴とする視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)にも関与していることが知られている。
【0007】
C5阻害剤は、過剰なC5a産生及び/又はMAC形成をターゲットとして開発されてきた。例えば、C5のC5a及びC5bへの切断を阻害する長時間作用型のヒト化モノクローナル抗体であるエクリズマブ(Eculizumab)は、PNH、aHUS、全身性重症筋無力症(gMG)、NMOSDの治療薬として臨床承認されており、HELLP症候群、COVID-19などに対して臨床試験が行われている。ラブリズマブ(Ravulizumab)は、半減期が長いエクリズマブ類似の抗体で、PNHやaHUSの治療薬として承認されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エクリズマブ治療に伴う大きな問題点として、細菌破壊のためのMACsが減少し、またC5a依存性の食細胞活性化も減少又は欠如し、結果として髄膜炎菌感染症の発症リスクが高まることが挙げられる(McNamara LA et al. , (2017) Am J Transplant 17:2481-2484;Konar M et al. , (2017) Blood 130:891-899)。黄色ブドウ球菌SSL7タンパク質のC末端ドメインを機能的に模倣した抗C5シングルドメイン抗体は、殺菌活性を維持したまま宿主細胞上のMAC集合を阻害することが報告されている。この抗体のC5に対する親和性が低いため、動物モデルでさらに評価することはできないが、同様の選択的阻害効果を持つ抗体が今後のスクリーニングでターゲットになる可能性がある(Yatime L et al. , (2018) Front Immunol. 9: 2822)。また、エクリズマブの問題点として、特定のPNH患者にR885CなどのC5変異があり、エクリズマブへの反応が悪くなることが挙げられる(Nishimura J et al. , (2014) N ENGL J MED 370(7): 632 - 639)。このようなC5変異を有する患者には、異なるC5エピトープに結合する抗体が常に必要である。
【0009】
本出願におけるいかなる文書の引用又は特定も、かかる文書が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、C5に結合する単離ヒトモノクローナル抗体、又はその抗原結合部分を提供する(例えば 野生型C5及びR885H変異を有するC5バリアントを含むヒトC5)に結合し、エクリズマブなどの先行技術の抗C5抗体と比較して、ヒト及び/又はサルC5に対する同等の、高くはないにしても結合親和性/容量、並びにC5a及びC5bへのC5切断並びにその後の補体介在性溶血及び/又は炎症に対する同等の、高くはないにしても抑制効果を有する、単離ヒトモノクローナル抗体又はその抗原結合部分を提供する。
【0011】
本開示の抗体又はその抗原結合部分は、C5タンパク質の検出、溶血性疾患や炎症性疾患などのC5a及び/又はC5bの過剰産生に関連する疾患の治療予防など、様々な用途に使用することができる。
【0012】
したがって、本開示は、C5に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体、本開示は、C5に結合する単離ヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分であって、(i)VH CDR1領域を含み得る重鎖可変領域を有するものに係るものである。ここで、VH CDR1領域、VH CDR2領域およびVH CDR3領域は、以下に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列から構成されていてもよい。(1)配列番号1、7及び14、それぞれ;(2)配列番号2、8及び15、それぞれ;(3)配列番号2、8及び16、それぞれ;(4)配列番号3、9及び17、それぞれ;(5)配列番号4、10及び18、それぞれ;(6)配列番号4、11及び18、それぞれ;(7)配列番号4、12及び18、それぞれ;(8)配列番号5、12及び18、それぞれ;または(9)配列番号6、13及び19、それぞれ;及び/又は(ii)VL CDR1領域、VL CDR2領域及びVL CDR3領域を含み得る軽鎖可変領域であって、VL CDR1領域、VL CDR2領域及びVL CDR3領域は、以下に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の同一性を有するアミノ酸配列から構成されていてもよい。(1)配列番号20、25及び31、それぞれ;(2)配列番号20、26及び32、それぞれ;(3)配列番号20、25及び33、それぞれ;(4)配列番号21、27及び34、それぞれ;(5)配列番号22、28及び35、それぞれ;(6)配列番号23、29及び36、それぞれ;又は (7)配列番号24、30及び37、それぞれ;
【0013】
本開示の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、VH CDR1領域、VH CDR2領域およびVH CDR3領域を有する重鎖可変領域、ならびにVL CDR1領域、VL CDR2領域およびVL CDR3領域を有する軽鎖可変領域を含み得るが、ここで、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3は、以下に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。(1)配列番号1、7、14、20、25及び31、それぞれ;(2)配列番号2、8、15、20、26及び32、それぞれ;(3)配列番号2、8、16、20、25及び33、それぞれ;(4)配列番号3、9、17、21、27及び34、それぞれ;(5)配列番号4、10、18、22、28及び35、それぞれ;(6)配列番号4、11、18、22、28及び35、それぞれ;(7)配列番号4、12、18、23、29及び36、それぞれ;(8)配列番号5、12、18、23、29及び36、それぞれ;又は(9)配列番号6、13、19、24、30及び37、それぞれ;
【0014】
本開示の単離モノクローナル抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号38、39(X1=I、X2=I、X3=S、X4=F;X1=L、X2=M、X3=G、X4=L)、40、41(X1=T、X2=N;X1=S、X2=F)、42(X1=R;X1=K)又は43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域を含むことができる。
【0015】
本開示の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号44(X1=S、X2=S、X3=F、X1=S、X2=S、X3=F;X1=T、X2=H、X3=I)、45、46、47、48、または59に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域を含むことができる。
【0016】
本開示の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含んでよく、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、以下に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。(1)配列番号38及び44(X1=S、X2=S、X3=F)、それぞれ;(2)配列番号39(X1=I、X2=I、X3=S、X4=F)及び59、それぞれ;(3)配列番号39(X1=L、X2=M、X3=G、X4=L)及び44(X1=T、X2=H、X3=I)、それぞれ;(4)配列番号40及び45、それぞれ;(5)配列番号41(X1=T、X2=N)、及び46、それぞれ;(6)配列番号41(X1=S、X2=F)、及び46、それぞれ;(7)配列番号42(X1=R)、及び47、それぞれ;(8)配列番号42(X1=K)、及び47、それぞれ;又は(9)配列番号43及び48、それぞれ;
【0017】
本開示の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、ジスルフィド結合によって連結された重鎖及び軽鎖を含んでよく、重鎖は重鎖可変領域及び重鎖定数領域を含んでよく、軽鎖は軽鎖可変領域及び軽鎖定数領域を含んでよく、本開示の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、重鎖可変領域及び軽鎖定数領域を含んでよい。ここで、重鎖可変領域のC末端は重鎖定数領域のN末端に連結され、軽鎖可変領域のC末端は軽鎖定数領域のN末端に連結されており、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、上記のアミノ酸配列を含んでいてもよく、抗体又はその抗原結合部分はC5と結合する。重鎖定数領域は、例えば配列番号49に記載のアミノ酸配列を有するヒトIgG1定数領域であってもよく、軽鎖定数領域は、例えば配列番号50に記載のアミノ酸配列を有するヒトカッパ定数領域であってもよい。また、重鎖定数領域は、ヒトIgG2又はIgG4定数領域であってもよく、軽鎖定数領域は、ヒトλ(ラムダ)定数領域であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態における本開示の抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖からなる、又はなってもよく、各重鎖は、上記の重鎖定数領域、重鎖可変領域又はCDR配列を含んでよく、各軽鎖は、上記の軽鎖定数領域、軽鎖可変領域又はCDR配列を含んでよく、この場合、抗体はC5に結合する。本開示の抗体は、例えば、IgG1、IgG2又はIgG4アイソタイプの全長抗体であり得る。他の実施形態における本開示の抗体又はその抗原結合部分は、単鎖可変断片(scFv)抗体、又はFab若しくはF(ab')2断片などの抗体断片であってもよい。
【0019】
本開示はまた、前記抗体、またはその抗原結合部分とは異なる結合特異性を有する第2の機能性部分(例えば、第2の抗体)に連結された、本開示の抗体、またはその抗原結合部分を含み得る、二重特異性分子を提供する。本開示はまた、細胞毒素などの治療剤に連結された、本開示の抗体、又はその抗原結合部分を含んでいてもよい、抗体-薬物コンジュゲートなどのイムノコンジュゲートを提供する。別の態様では、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、キメラ抗原受容体(CAR)の一部とすることができる。また、T細胞やNK細胞など、抗原キメラ受容体を構成し得る免疫細胞も提供される。本開示の抗体又はその抗原結合部分は、腫瘍溶解性ウイルスによってコードされ、又は腫瘍溶解性ウイルスと組み合わせて使用されることも可能である。
【0020】
本開示の抗体又はその抗原結合部分をコードする核酸分子も、そのような核酸を含んでいてもよい発現ベクター及びそのような発現ベクターを含んでいてもよい宿主細胞と同様に、本開示によって包含される。宿主細胞を用いて本開示の抗C5抗体又はその抗原結合部分を調製する方法も提供され、それは、(i)宿主細胞において抗体を発現させるステップと、(ii)宿主細胞又はその細胞培養物から抗体を単離するステップとを含んでいてもよい。
【0021】
本開示の抗体、又はその抗原結合部分、若しくは免疫複合体、二重特異性分子、腫瘍溶解性ウイルス、CARを有する免疫細胞、核酸分子、又は発現ベクター、並びに薬学的に許容される担体を含み得る組成物も提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、抗炎症剤など、特定の疾患を治療するための治療剤をさらに含んでもよい。
【0022】
さらに別の態様では、本開示は、過剰なC5a及び/又はC5bの産生に関連する疾患を治療する方法を提供し、これは、本開示の組成物の治療的有効量を被験者に投与することを含み得る。
【0023】
本疾患は、補体介在性溶血性疾患であってもよい。溶血性障害腫瘍には、PNH及びaHUSが含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、溶血性障害を治療する方法は、本開示の抗体もしくはその抗原結合部分、又は代替的に本開示の核酸分子もしくはそれを発現させることができるベクターを対象に投与することを含んでいてもよい。特定の実施形態では、被験者はヒトである。
【0024】
本疾患は、自己免疫疾患などの補体介在性炎症性疾患であってもよい。炎症性疾患には、gMG及びNMOSDが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、溶血性障害を治療する方法は、本開示の抗体もしくはその抗原結合部分、又は代替的に本開示の核酸分子もしくはそれを発現させることができるベクターを対象に投与することを含んでいてもよい。特定の実施形態では、gMGを有する被験者は、プレドニゾンをさらに投与されてもよい。特定の実施形態において、NMOSDを有する被験者は、アザチオプリンでさらに投与される。特定の実施形態では、被験者はヒトである。
【0025】
本開示の他の特徴及び利点は、限定的に解釈されるべきではない以下の詳細な説明及び例から明らかになるであろう。本出願を通じて引用された全ての文献、Genbankエントリ、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0026】
従って、本発明の目的は、いかなる従来公知の製品、製品の製造方法、又は製品の使用方法も本発明に包含しないことであり、出願人は、いかなる従来公知の製品、プロセス、又は方法についても免責する権利を留保し、ここに開示するものである。さらに、本発明は、USPTO(35 U. S. C. §112、第1段落)又はEPO(EPC第83条)の書面記載要件及び実施可能要件に合致しない製品、プロセス、又は製品の製造方法又は製品の使用方法を本発明の範囲に包含する意図はないことに留意し、出願人は、以前に記載した製品、製品の製造方法又は製品の使用方法の免責事項を開示し、ここに権利を留保するものである。発明の実施において、Art. 53(c)に準拠することが有利な場合がある。53(c) EPC並びに規則28(b)及び(c) EPCに準拠することが発明の実施において有利である。本出願の系統、他の系統、又は第三者の先行出願における出願人の付与特許の被験者である実施形態を明示的に否認するすべての権利は、明示的に留保される。本書のいかなる内容も、確約として解釈されるものではない。
【0027】
本開示、特に請求項及び/又は段落において、「含む(comprises)」、「含む(composed)」、「含む(comprising)」等の用語は、米国特許法において帰属する意味を有することができることに留意されたい。例えば.それらは、「含む(includes)」、「含まれる(included)」、「含む(including)」などを意味し、「本質的にからなる(consisting essentially of)」、「本質的にからなる(consists essentially of)」などの用語は、米国特許法に帰属する意味を有し、例えば、それらは、明示的に言及されていない要素を許容するが、先行技術に見出される要素又は本発明の基本特性又は新規特性に影響を与える要素を除外する。
【0028】
以下の詳細な説明は、例として与えられるが、本発明を記載された特定の実施形態にのみ限定することを意図するものではなく、添付の図面と共に最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】キャプチャELISAにおける抗体A5H1D11A7、A5G2A1A1及びA3B4H8H7とヒトC5の結合能を示している。
【
図1B】キャプチャELISAにおける抗体A2E12G12H7及びA5F3D5A1とヒトC5の結合能を示している。
【
図1C】キャプチャELISAにおける抗体A4G10B7A7、A3C8E4H1、A6A1H9B7及びA5G9C2C7とヒトC5の結合能を示している。
【0030】
【
図2A】間接ELISAにおける抗体A5H1D11A7、A5G2A1A1及びA3B4H8H7とカニクイザルC5の間接ELISAにおける結合能を示している。
【
図2B】間接ELISAにおける抗体A2E12G12H7及びA5F3D5A1とカニクイザルC5の間接ELISAにおける結合能を示している。
【
図2C】間接ELISAにおける抗体A4G10B7A7、A3C8E4H1、A6A1H9B7及びA5G9C2C7とカニクイザルC5の間接ELISAにおける結合能を示している。
【0031】
【
図3A】間接ELISAにおける抗体A5H1D11A7、A5G2A1A1及びA3B4H8H7と変異ヒトC5の結合能を示している。
【
図3B】間接ELISAにおける抗体A2E12G12H7、A5F3D5A1、A4G10B7A7及びA3C8E4H1と変異ヒトC5の結合能を示している。
【
図3C】間接ELISAにおける抗体A6A1H9B7及びA5G9C2C7と変異ヒトC5の結合能を示している。
【0032】
【
図4A】競合ELISAにおける抗体A5H1D11A7、A5G2A1A1及びA3B4H8H7のエクリズマブ-ヒトC5の結合を阻害する能力を示している。
【
図4B】競合ELISAにおける抗体A2E12G12H7及びA5F3D5A1のエクリズマブ-ヒトC5の結合を阻害する能力を示している。
【
図4C】競合ELISAにおける抗体A4G10B7A7、A3C8E4H1、A6A1H9B7及びA5G9C2C7のエクリズマブ-ヒトC5の結合を阻害する能力を示している。
【0033】
【
図5】競合ELISAにおける抗体A5H1D11A7のポゼリマブ-ヒトC5結合を阻害する能力を示している。
【0034】
【
図6A】抗体A5H1D11A7のタンパク質熱シフトアッセイ結果を示している。
【
図6B】抗体A3C8E4H1のタンパク質熱シフトアッセイ結果を示している。
【0035】
【
図7A】細胞ベースの機能アッセイにおける抗体A5H1D11A7、A2E12G12H7及びA5F3D5A1の補体を介した溶血への影響を示している。
【
図7B】細胞ベースの機能アッセイにおける抗体A4G10B7A7、A3C8E4H1及びA6A1H9B7の補体を介した溶血への影響を示している。
【
図7C】細胞ベースの機能アッセイにおける抗体A5G2A1A1、A3B4H8H7及びA5G9C2C7の補体を介した溶血への影響を示している。
【0036】
【
図8】補体介在性溶血アッセイにおける、抗体A5H1D11A7で処理したサンプルの溶血率を示している。
【0037】
【
図9】細胞ベースの機能アッセイにおける、抗体A5H1D11A7及びA3C8E4H1の補体介在性溶血に対する効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。 追加の定義は、詳細な説明を通じて記載される。
【0039】
「C5」という用語は、補体成分5を意味する。「C5」という用語は、バリアント、アイソフォーム、ホモログ、オルソログ及びパラログを含んでいてもよい。例えば、ヒトC5タンパク質に特異的な抗体は、特定の場合、サルなどのヒト以外の種からのC5タンパク質と交差反応することがある。他の実施形態では、ヒトC5タンパク質に特異的な抗体は、ヒトC5タンパク質に完全に特異的であり、他の種又は他のタイプのものに対して交差反応を示さないか、又は特定の他の種からのC5と交差反応するが他の全ての種とは交差反応しない場合がある。
【0040】
「ヒトC5」という用語は、例えば、AAI 13739.1のGenbank受託番号を持つヒトC5のアミノ酸配列など、ヒト由来のアミノ酸配列を持つC5タンパク質を意味する。ヒトC5タンパク質は、885番目のアミノ酸残基において変異を含んでいてもよい。「サルC5」または「カニクイザルC5」という用語は、NCBIリファレンスNo.XP_5580972.1を持つアミノ酸配列など、macaca fascicularisからのアミノ酸配列を持つC5タンパク質を意味する。
【0041】
本明細書でいう「抗体」という用語は、全抗体及びその抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)又は単鎖を含む。全抗体は、2本の重鎖(H)と2本の軽鎖(L)がジスルフィド結合によって相互に連結されてなる糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(以下、VHと略記する)と重鎖定常領域から構成されている場合がある。重鎖定常領域は、CH1、CH2、CH3の3つのドメインから構成されてもよい。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)と軽鎖定常領域とから構成されてもよい。軽鎖定数領域は、1つのドメインCLで構成されてもよい。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域と、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存性の高い領域にさらに細分化されることができる。VHとVLはそれぞれ3つのCDRと4つのFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1, CDR1, FR2, CDR2, FR3, CDR3, FR4の順に配列している。重鎖と軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが存在する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0042】
本明細書で使用する、抗体の「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、C5タンパク質)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ又は複数の断片を意味する。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって発揮され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語内に含まれる結合断片の例としては、(i) VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価のFab断片が挙げられる。(ii) F (ab') 2断片、ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含むことができる2価の断片;(iii) VHドメインとCH1ドメインからなるFd断片;(iv) 抗体のシングルアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片; (v) VHドメインからなるdAb断片 (Ward et al. , (1989) Nature 341:544-546);(vi) 隔離された相補性決定領域 (CDR);(viii) ナノボディ、1つの可変ドメインと2つの定常ドメインを含む重鎖可変領域。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別々の遺伝子によってコードされているが、これらは、組換え法を用いて、VL及びVH領域が対になって一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖として作ることができる合成リンカーによって結合することができる(単一鎖Fv(scFv)として知られている;例えば Bird et al. , (1988) Science 242:423-426;及びHuston et al. , (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい) 。このような一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に含まれることを意図している。これらの抗体断片は、当業者に知られた従来の技術を用いて得られ、その断片は、無傷の抗体と同様の方法で有用性についてスクリーニングされる。
【0043】
本明細書で使用する「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図している(例えば、C5タンパク質と特異的に結合する単離抗体は、C5タンパク質以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。ただし、ヒトC5タンパク質に特異的に結合する単離抗体は、他の抗原、例えば、他の生物種由来のC5タンパク質に対して交差反応性を有する場合がある。さらに、単離された抗体は、他の細胞性物質及び/又は化学物質を実質的に含まないことができる。
【0044】
本明細書で使用する「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、天然に起こり得る変異及び/又は微量に存在し得る翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)以外は、同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対して指向性を持つ、非常に特異性の高い抗体である。ポリクローナル抗体製剤は通常、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むのに対し、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向性を持つ。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の免疫グロブリンに汚染されていないハイブリドーマ培養物によって合成されるという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られるという抗体の性格を示し、特定の方法による抗体の製造を要求するものと解釈されるものではない。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法を含む様々な技術によって製造することができる。
【0045】
本明細書で使用する「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域及びCDR領域の両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図している。さらに、抗体が定数領域を含む場合、定数領域もまた、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によって、又はin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書で使用する「ヒト抗体」という用語は、他の哺乳類種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフト化された抗体を含むことを意図していない。
【0046】
「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgM又はIgG1)を指す。
【0047】
本明細書において、「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」という語は、「抗原に特異的に結合する抗体」という語と互換的に使用される。
【0048】
本明細書で使用する「ヒトC5に特異的に結合する」抗体は、ヒトC5タンパク質(及び場合によっては1つ以上の非ヒト種からのC5タンパク質)に結合するが、非C5タンパク質には実質的に結合しない抗体を指すことを意図している。好ましくは、抗体は、「高親和性」で、すなわち、5.0 x10-8 M以下、より好ましくは2.0 x10-9 M以下、さらに好ましくは1.0 x 10-9 M以下のKDでヒトC5タンパク質に結合する。
【0049】
本明細書で使用する、タンパク質又は細胞と「実質的に結合しない」という用語は、タンパク質又は細胞と結合しない、又は高い親和性で結合しない、すなわち1.0×10-6M以上、より好ましくは1.0×10-5M以上、さらに好ましくは1.0×10-4M以上、さらに好ましくは1.0×10-3M以上、よりさらに好ましくは1.0×10-2M以上のKDでタンパク質又は細胞への結合があることを意味する。
【0050】
IgG抗体の「高親和性」という用語は、標的抗原に対して1.0×10-6 M以下、より好ましくは5.0×10-8 M以下、さらにより好ましくは3.0×10-8 M以下、さらにより好ましくは2.0×10-9 M以下、さらにより好ましくは1.0×10-9 M以下のKDを有する抗体を意味する。しかしながら、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプについて変化し得る。例えば、IgMアイソタイプに対する「高親和性」結合は、10-6M以下、より好ましくは10-7M以下、さらにより好ましくは10-8M以下のKDを有する抗体を指す。
【0051】
本明細書で使用する用語「Kassoc」又は「Ka」は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すことを意図しており、一方、本明細書で使用する用語「Kdis」又は「Kd」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことを意図している。本明細書で使用する「KD」という用語は、KdとKaの比(すなわち、Kd/Ka)から得られる解離定数を意味し、モル濃度(M)として表されることを意図している。抗体のKD値は、当該技術分野において十分に確立された方法を用いて決定することができる。抗体のKDを決定する好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を用いる方法であり、好ましくはBiacoreTMシステムのようなバイオセンサーシステムを用いる方法である。
【0052】
「EC 50」という用語は、半値有効濃度とも呼ばれ、特定の曝露時間後にベースラインと最大値の中間の反応を誘導する抗体の濃度を意味する。
【0053】
「IC 50」という用語は、半値阻害濃度とも呼ばれ、特定の生物学的又は生化学的機能を阻害する抗体の濃度を、抗体がない場合と比較して50%阻害することを意味する。
【0054】
「被験体」という用語には、ヒトまたはヒト以外の動物が含まれる。 「非ヒト動物」という用語には、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛、馬、鶏、両生類、及び爬虫類などの哺乳類及び非哺乳類が含まれるが、非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛、馬などの哺乳類が好ましい。
【0055】
「治療上有効な量」という用語は、疾患又は状態(溶血性障害など)に関連する症状を予防又は改善し、及び/又は疾患又は状態の重症度を軽減するのに十分な、本開示の抗体の量を意味する。治療上有効な量は、実際の有効量が当業者によって容易に識別される、治療される状態との関連で理解される。
【0056】
本開示の様々な態様は、以下の小項目でさらに詳細に説明される。
【0057】
本開示の抗体、又はその抗原結合部分は、具体的には、エクリズマブなどの以前に記載された抗C5抗体と比較して、より良好ではないにしても、同等の結合親和性/容量でヒトC5に結合し得る。
【0058】
本開示の抗体、又はその抗原結合部分は、エクリズマブなどの以前に記載された抗C5抗体と比較して、同等又は高い活性で、C5a及びC5bへのC5切断、したがって補体媒介炎症及び/又は溶血を阻害することができる。
【0059】
本開示の抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。
[表1. 重鎖/軽鎖CDR及び可変領域のアミノ酸配列ID番号]
【0060】
本開示の抗体又はその抗原結合部分は、下記及び以下の実施例に記載されるように、構造的及び化学的に特徴付けられる。抗体の重鎖/軽鎖可変領域のアミノ酸配列ID番号は、上記表1にまとめられており、いくつかの抗体は、同じVH又はVLを共有している。抗体の重鎖定数領域は、例えば、配列番号49に記載のアミノ酸配列を有するヒトIgG1重鎖定数領域であってもよく、抗体の軽鎖定数領域は、例えば、配列番号50に記載のアミノ酸配列を有するヒトκ(カッパ)定数領域であってもよい。また、本開示の抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域及びヒトλ(ラムダ)軽鎖定常領域を含むことができる。
【0061】
表1の重鎖可変領域CDR及び軽鎖可変領域CDRは、Kabat番号付けシステムによって定義されている。しかしながら、当技術分野で周知のように、CDR領域は、重鎖/軽鎖可変領域配列に基づいて、Chothia、及びIMGT、AbM、又は番号付けシステム/方法などの他のシステムによって決定することもできる。
【0062】
ヒトC5に結合する他の抗C5抗体のVH及びVL配列(又はCDR配列)は、本開示の抗C5抗体のVH及びVL配列(又はCDR配列)と「混合して一致させる」ことができる。好ましくは、VH及びVL鎖(又はそのような鎖内のCDR)が混合されて一致する場合、特定のVH/VLペアリングからのVH配列は、構造的に類似のVH配列と置き換えられる。 同様に、好ましくは、特定のVH/VLペアリングからのVL配列は、構造的に類似したVL配列と置換される。
【0063】
したがって、一実施形態において、本開示の抗体、又はその抗原結合部分は、
(a)表1において上記に列挙されたアミノ酸配列を含んでいてもよい重鎖可変領域;及び
(b)表1において上記に列挙されたアミノ酸配列を含んでいてもよい軽鎖可変領域、又は別の抗C5抗体のVLからなり、ここで抗体はヒトC5を特異的に結合することができる。
【0064】
別の実施形態では、本開示の抗体、又はその抗原結合部分は、
(a)表1において上に挙げた重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3領域;ならびに
(b)表1において上に挙げた軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3領域又は別の抗C5抗体のCDRからなり得、ここで、抗体はヒトC5を特異的に結合する。
【0065】
さらに別の実施形態では、抗体、又はその抗原結合部分は、抗C5抗体の重鎖可変CDR2領域を、ヒトC5と結合する他の抗体のCDR、例えば、重鎖可変領域からのCDR1及び/又はCDR3、及び/又は異なる抗C5抗体の軽鎖可変領域からのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3、と組み合わせたものを含んでいる。
【0066】
さらに、CDR3ドメインは、CDR1及び/又はCDR2ドメインとは独立して、単独で同族抗原に対する抗体の結合特異性を決定できること、及び共通のCDR3配列に基づいて同一の結合特異性を有する複数の抗体を予測可能に生成できることは当技術分野でよく知られている。例えば、Klimka et al. , British J. of Cancer 83(2): 252 - 260 (2000); Beiboer et al. , J. Mol. Biol. 296: 833 - 849 (2000); Rader et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 95: 8910 - 8915 (1998); Barbas et al. , J. Am. Chem. Soc. 116: 2161 - 2162 (1994); Barbas et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 92: 2529 - 2533 (1995); Ditzel et al. , J. Immunol. 157: 739 - 749 (1996); Berezov et al. , BIA journal 8: Scientific Review 8 (2001); Igarashi et al. , J. Biochem (Tokyo) 117: 452 - 7 (1995); Bourgeois et al. , J. Virol 72: 807 - 10 (1998); Levi et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 90: 4374 - 8 (1993); Polymenis and Stoller, J. Immunol. 152: 5218 - 5329 (1994); 及びXu and Davis, Immunity 13: 37 - 45 (2000)を参照されたい。また、米国特許番号第6,951,646; 第6,914,128; 第6,090,382; 第6,818,216; 第6,156,313; 第6,827,925; 第5,833,943; 第5,762,905及び第5,760,185も参照されたい。これらの文献は、それぞれ参照することにより、その全体が本書に組み込まれる。
【0067】
したがって、別の実施形態では、本開示の抗体は、抗C5抗体の重鎖可変領域のCDR2と、抗C5抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域の少なくともCDR3、又は別の抗C5抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のCDR3を含んでいてもよく、ここで抗体はヒトC5と特異的に結合することが可能である。これらの抗体は、好ましくは、(a)C5との結合を競合し;(b)機能的特性を保持し;(c)同じエピトープに結合し;及び/又は(d)本開示の抗C5抗体と同様の結合親和性を有する。さらに別の実施形態では、抗C5抗体の軽鎖可変領域のCDR2、又は別の抗C5抗体の軽鎖可変領域のCDR2をさらに含んでよく、ここで抗体は、ヒトC5に特異的に結合することが可能である。別の実施形態では、本開示の抗体は、抗C5抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のCDR1、又は別の抗C5抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のCDR1を含んでよく、ここで抗体は、ヒトC5に特異的に結合することが可能である。
【0068】
別の実施形態では、本開示の抗体は、1つ以上の保存的修飾によって本開示の抗C5抗体のものと異なるCDR1、CDR2及びCDR3配列の重鎖及び/又は軽鎖可変領域配列を含んでいてもよい。抗原結合を除去しない特定の保存的配列修飾がなされ得ることは、当業者に理解されている。例えば、Brummell et al. , (1993) Biochem 32: 1180 - 8;de Wildt et al. , (1997) Prot. Eng. 10:835-41;Komissarov et al. , (1997) J. Biol. Chem. 272:26864-26870;Hall et al. , (1992) J. Immunol. 149:1605-12;Kelley and O'Connell (1993) Biochem. 32:6862-35;Adib-Conquy et al. , (1998) Int. Immunol. 10:341-6;及びBeers et al. , (2000) Clin. Can. Res. 6:2835-43を参照されたい。
【0069】
したがって、一実施形態では、抗体は、CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含んでいてもよい重鎖可変領域、及び/又はCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含んでいてもよい軽鎖可変領域を含んでいてもよく、ここで、
(a)重鎖可変領域CDR1配列は、上記表1に記載の配列、及び/又はその保存的修飾を含んでいてもよい;及び/又は
(b)重鎖可変領域CDR2配列は、上記表1に記載の配列、及び/又はその保存的修飾を含んでいてもよい;及び/又は
(c)重鎖可変領域CDR3配列は、上記表1に記載の配列、及び/又はその保存的修飾を含んでいてもよい;及び/又は
(d)軽鎖可変領域CDR1、及び/又はCDR2、及び/又はCDR3配列は、上記表1に記載の配列、及び/又はその保存的修飾を含んでいてもよい;及び/又は
(e) 抗体は、ヒトC5と特異的に結合する。
【0070】
本開示の抗体は、ヒトC5への高親和性結合、及びC5-IL6結合に対するブロッキング活性などの、上記の機能的特性のうち、1つ以上を有する。
【0071】
様々な実施形態において、抗体は、例えば、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体であり得る。
【0072】
本明細書で使用する場合、「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含む抗体の結合特性に有意な影響又は変化を与えないアミノ酸改変を指すことを意図している。そのような保存的な改変には、アミノ酸の置換、付加及び欠失が含まれる。改変は、部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発などの当技術分野で知られる標準的な技術によって、本開示の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基を類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換するものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)である。したがって、本開示における抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換することができ、改変された抗体は、本明細書に記載の機能アッセイを用いて、保持された機能(すなわち、上記に規定する機能)に関して試験することができる。
【0073】
本開示の抗C5抗体のVH/VL配列の1つ以上を有する抗体を出発材料として用いて、本開示の抗体を調製し、改変された抗体を工学的に作製することができる。抗体は、1つ又は両方の可変領域(すなわち、VH及び/又はVL)内、例えば、1つ又は複数のCDR領域内及び/又は1つ又は複数のフレームワーク領域内の1つ又は複数の残基を修飾することによって工学的に作製することができる。さらに、又は代替的に、抗体は、例えば、抗体のエフェクター機能を変更するために、定常領域内の残基を改変することによって設計することができる。
【0074】
特定の実施形態では、CDRグラフトは、抗体の可変領域を設計するために使用することができる。抗体は、6つの重鎖及び軽鎖の相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を介して、主に標的抗原と相互作用する。このため、CDR内のアミノ酸配列は、CDR外の配列に比べ、個々の抗体で多様性がある。CDR配列はほとんどの抗体-抗原相互作用を担っているので、特性の異なる別の抗体からのフレームワーク配列にグラフトした特定の自然発生抗体からのCDR配列を含む発現ベクターを構築することによって、特定の自然発生抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(例えば、Riechmann et al. ,(1998)Nature 332: 323 - 327;Jones et al. ,(1986)Nature 321: 522 - 525;Queen et al. ,(1989)Proc. Natl. Acad. 米国86:10029-10033;米国特許番号第5,225,539;第5,530,101;第5,585,089;第5,693,762及び第6,180,370).
【0075】
したがって、本開示の別の実施形態は、上述のように本開示の配列を構成し得るCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み得る重鎖可変領域、及び/又は上述のように本開示の配列を構成し得るCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み得る軽鎖可変領域を含み得る単離モノクローナル抗体、又はその抗原結合部分に関するものである。これらの抗体は、本開示のモノクローナル抗体のVH及びVL CDR配列を含むが、それらは異なるフレームワーク配列を含むことができる。
【0076】
そのようなフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベース又は公開文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞DNA配列は、「VBase」ヒト生殖細胞配列データベース(インターネット上でwww.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbase)、ならびに前掲のKabat et al. , (1991) ;Tomlinson et al. , (1992) J. Mol. Biol. 227: 776 - 798;及びCox et al. , (1994) Eur. J. Immunol. 24: 827 - 836;これらの各々の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。別の例として、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列は、Genbankデータベースで見つけることができる。例えば、Hco7 HuMAbマウスに見られる以下の重鎖生殖細胞配列は、添付のGenbank受託番号1-69(NG--0010109、NT--024637及びBC070333) 、3-33(NG--0010109及びNT--024637)並びに3-7(NG--0010109及びNT--024637) で入手可能である。別の例として、Hco12 HuMAbマウスに見られる以下の重鎖生殖細胞配列は、添付のGenbank受託番号1-69(NG--0010109、NT--024637及びBC070333)、5-51(NG--0010109及びNT--024637)、4-34(NG--0010109及びNT--024637)、3-30.3(CAJ556644) 並びに3-23(AJ406678)で入手可能である。
【0077】
抗体タンパク質配列は、当業者によく知られているギャップドBLAST(Altschul et al. ,(1997)、上記を参照)と呼ばれる配列類似性検索法の1つを使用して、コンパイルされたタンパク質配列データベースに対して比較される。
【0078】
本開示の抗体で使用するための好ましいフレームワーク配列は、本開示の抗体によって使用されるフレームワーク配列と構造的に類似しているものである。VH CDR1、CDR2、及びCDR3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子に見られるものと同一の配列を有するフレームワーク領域に移植することができ、又はCDR配列は、生殖細胞系配列と比較して、1以上の変異を含むフレームワーク領域に移植することができる。例えば、ある場合には、抗体の抗原結合能力を維持又は増強するためにフレームワーク領域内の残基を変異させることが有益であることが見出されている(例えば、米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号及び第6,180,370号を参照されたい)。
【0079】
可変領域修飾の別のタイプは、VH及び/又はVL CDR1、CDR2及び/又はCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させ、それによって目的の抗体の一つ又は複数の結合特性(例えば、親和性)を改善することである。変異を導入するために部位特異的変異誘発又はPCR媒介変異誘発を行うことができ、抗体結合又は関心のある他の機能特性への影響は、当該技術分野で知られているようにin vitro又はin vivoアッセイで評価することができる。好ましくは、保存的修飾(当技術分野で既知のもの)が導入される。変異は、アミノ酸の置換、付加又は欠失であり得るが、好ましくは置換である。さらに、典型的には、CDR領域内の1、2、3、4又は5個より多い残基は変更されない。
【0080】
(a) 本開示の配列を含み得るVH CDR1領域、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸置換、削除または追加を有するアミノ酸配列;(b) 本開示の配列を含み得るVH CDR2領域、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸置換、削除または追加を有するアミノ酸配列;(c) 本開示の配列を含み得るVH CDR3領域、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸置換、削除または追加を有するアミノ酸配列;(d) 本開示の配列を含み得るVL CDR1領域、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸置換、削除または追加を有するアミノ酸配列;(e) 本開示の配列を含み得るVL CDR2領域、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸置換、削除または追加を有するアミノ酸配列;(f) 本開示の配列を含み得るVL CDR3領域、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列。
【0081】
本開示の工学的抗体は、例えば、抗体の特性を改善するために、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に修飾が行われたものを含む。典型的には、そのようなフレームワークの改変は、抗体の免疫原性を低下させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1つ又は複数のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系列に「バックミューテート」することである。より具体的には、体細胞変異を受けた抗体は、その抗体が由来する生殖細胞系列配列とは異なるフレームワーク残基を含むことができる。このような残基は、抗体のフレームワーク配列を、その抗体が由来する生殖細胞系列の配列と比較することによって同定することができる。
【0082】
別のタイプのフレームワーク改変は、フレームワーク領域内、あるいは1つ以上のCDR領域内における1つ以上の残基を変異させてT細胞エピトープを除去し、それによって抗体の潜在的な免疫原性を低下させることを含む。このアプローチは、「脱免疫化」とも呼ばれ、米国特許第20030153043号にさらに詳細に記載されている。
【0083】
加えて、又はフレームワーク領域もしくはCDR領域内で行われる改変の代替として、本開示の抗体は、典型的には、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞細胞傷害などの抗体の機能特性を1以上変えるために、Fc領域内に改変を含むように操作することが可能である。さらに、本開示の抗体は、化学的に修飾することができ(例えば、1つ又は複数の化学部分を抗体に付着させることができる)、又はそのグリコシル化を変更するために修飾され、再び抗体の1つ又は複数の機能的特性を変更するために修飾される。
【0084】
一実施形態では、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が変更されるように、例えば、増加又は減少するように、改変される。このアプローチは、米国特許第5,677,425号でさらに説明されている。CH1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖の組み立てを促進するため、又は抗体の安定性を増加又は減少させるために変更される。
【0085】
別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生物学的半減期を減少させるために変異される。より具体的には、1つ以上のアミノ酸変異が、抗体がネイティブなFcヒンジドメインSpA結合と比較して損なわれたスタフィロコッカルプロテインA(SpA)結合を有するように、Fcヒンジ断片のCH2-CH3ドメイン界面領域に導入される。この方法は、米国特許第6,165,745号でさらに詳しく説明されている。
【0086】
さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化が修飾される。例えば、グリコシル化抗体を作製することができる(すなわち、抗体はグリコシル化を欠いている)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるために変更することができる。このような糖鎖修飾は、例えば、抗体配列内の1つ又は複数のグリコシル化部位を変更することによって達成することができる。例えば、1つ以上のアミノ酸置換は、それによってその部位でのグリコシル化をなくすために、1つ以上の可変領域フレームワークにおけるグリコシル化部位の除去をもたらすように行うことができる。このようなアグリコシル化により、抗体の抗原に対する親和性を高めることができる。例えば、米国特許第5,714,350号、同第6,350,861号を参照されたい。
【0087】
さらに、フコシル残基の量を減らした低フコシル化抗体や、二重鎖のGlcNac構造を増やした抗体など、グリコシル化のタイプを変えた抗体も作製することができる。このような糖鎖修飾は、抗体のADCC活性を増加又は減少させることが証明されている。このような糖鎖修飾は、例えば、グリコシル化機構を改変した宿主細胞で抗体を発現させることにより達成することができる。グリコシル化機構が変化した細胞は、当該技術分野において記載されており、本開示の組換え抗体を発現させ、それによってグリコシル化が変化した抗体を産生するための宿主細胞として使用することが可能である。例えば、細胞株Ms704、Ms705、及びMs709は、フコース転移酵素遺伝子FUT8(α(1、6)-フコース転移酵素)を欠いており、Ms704、Ms705、及びMs709細胞株で発現する抗体はその炭水化物上にフコースを欠くことになる。Ms704、Ms705、及びMs709 FUT8-/-細胞株は、2つの置換ベクターを用いたCHO/DG44細胞におけるFUT8遺伝子の標的破壊により作成された(米国特許公開番号20040110704及びYamane-Onuki et al. ,(2004) Biotechnol Bioeng 87:614-22を参照)。別の例として、EP 1,176,195は、フコース転移酵素をコードするFUT8遺伝子が機能的に破壊された細胞株を記載しており、このような細胞株で発現された抗体が、α-1、6結合関連酵素を低減又は排除することによって低フコシル化を示すようになっている。EP 1,176,195には、抗体のFc領域に結合するN-アセチルグルコサミンにフコースを付加するための酵素活性が低い、又は酵素活性を有しない細胞株、例えばラットミエローマ細胞株YB2/0(ATCC CRL 1662)についても記載されている。PCT公開WO 03/035835は、Asn(297)-結合した炭水化物にフコースを結合する能力が低下した変異CHO細胞株、Lec13細胞を記載し、その宿主細胞で発現した抗体の低フコシル化ももたらす(Shields et al. , (2002) J. Biol. Chem. 277: 26733 - 26740も参照されたい) 。修飾されたグリコシル化プロファイルを有する抗体はまた、PCT公開WO 06/089231に記載されているように、鶏卵で生産することができる。あるいは、修飾されたグリコシル化プロファイルを有する抗体は、Lemnaなどの植物細胞で産生することができる。植物系で抗体を生産する方法は、2006年8月11日に出願されたAlston & Bird LLP弁護士訴訟事件番号040989/314911に対応する米国特許出願に開示されている。抗体のフコース残基は、フコシダーゼ酵素を用いて切断することができる;例えば、フコシダーゼα-L-フコシダーゼは、抗体からフコシル残基を除去する(Tarentino et al. ,(1975) Biochem. 14:5516-23も参照されたい)。
【0088】
本開示によって企図される本明細書の抗体の別の改変は、ペギル化である。抗体は、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させるためにペギル化され得る。抗体をペグ化するために、抗体又はその断片は、典型的には、1つ以上のPEG基が抗体又は抗体断片に付着する条件下で、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体などのポリエチレングリコール(PEG)と反応される。好ましくは、ペギル化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実施される。本明細書で使用する場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1-C10)アルコキシ-もしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドなど、他のタンパク質を誘導体化するために使用されてきたPEGの形態のいずれかを含むことを意図している。特定の実施形態では、PEG化される抗体は、アグリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化する方法は当技術分野で知られており、本開示の抗体に適用することができる。例えば、欧州特許第0 154 316号明細書及び欧州特許第0 401 384号明細書を参照され たい.
【0089】
本開示の抗体は、その異なるクラスを検出及び/又は区別するために、それらの様々な物理的特性によって特徴付けることができる。
【0090】
例えば、抗体は、軽鎖又は重鎖可変領域のいずれかに1つ又は複数のグリコシル化部位を含むことができる。そのようなグリコシル化部位は、抗体の免疫原性の増加、又は抗原結合の変化による抗体のpKの変化をもたらす場合がある(Marshall et al. , (1972) Annu Rev Biochem 41: 673-702;Gala and Morrison (2004) J Immunol 172:5489-94;Wallick et al. , (1988) J Exp Med 168:1099-109;Spiro (2002) Glycobiology 12: 43R - 56R;Parekh et al. , (1985) Nature 316:452-7;Mimura et al. , (2000) Mol Immunol 37:697-706)が挙げられる。グリコシル化は、N-X-S/T配列を含むモチーフで起こることが知られている。いくつかの例では、可変領域グリコシル化を含まない抗C5抗体を持つことが好ましい。これは、可変領域内にグリコシル化モチーフを含まない抗体を選択することによって、又はグリコシル化領域内の残基を変異させることによって達成することができる。
【0091】
好ましい実施形態では、抗体は、アスパラギン異性化部位を含まない。アスパラギンの脱アミド化はN-G又はD-G配列上で起こり、ポリペプチド鎖にリンクを導入し、その安定性を低下させるイソアスパラギン酸残基の生成につながる(イソアスパラギン酸効果)。
【0092】
各抗体は固有の等電点(pI)を持ち、一般にpH6から9.5の範囲にある。IgG1抗体のpIは一般的にpH7-9.5、IgG4抗体のpIは一般的にpH6-8の範囲に収まります。通常の範囲外のpIを有する抗体は、生体内条件下で何らかのアンフォールディングや不安定性を有する可能性があると推測されている。したがって、正常範囲に入るpI値を含む抗C5抗体であることが好ましい。これは、正常範囲内のpIを有する抗体を選択することによって、又は帯電した表面残基を変異させることによって達成され得る。
【0093】
別の態様において、本開示は、本開示の抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域、又はCDRをコードする核酸分子を提供する。核酸は、全細胞中、細胞溶解物中、又は部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在することができる。核酸は、標準的な技術によって他の細胞成分又は他の汚染物、例えば、他の細胞核酸又はタンパク質から離れて精製される場合、「単離され」又は「実質的に純粋にされる」。本開示の核酸は、例えば、DNA又はRNAであり得、イントロン配列を含んでも含まなくてもよい。好ましい実施形態では、核酸は、cDNA分子である。
【0094】
本開示の核酸は、標準的な分子生物学的技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、以下でさらに説明するようにヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから調製したハイブリドーマ)により発現される抗体については、ハイブリドーマにより作られる抗体の軽鎖及び重鎖をコードするcDNAは、標準的なPCR増幅又はcDNAクローニング技術によって得ることができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られた抗体(例えば、ファージディスプレイディープLsを使用する)については、そのような抗体をコードする核酸を遺伝子ライブラリーから回収することができる。
【0095】
本開示の好ましい核酸分子には、C5モノクローナル抗体のVH及びVL配列又はCDRをコードするものが含まれる。VH及びVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片は、例えば可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、又はscFv遺伝子に変換するために、標準組換えDNA技術によってさらに操作することができる。これらの操作において、VL又はVHをコードするDNA断片は、抗体定数領域やフレキシブルリンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片と操作的に連結される。この文脈で使用される「操作的に連結された」という用語は、2つのDNA断片がコードするアミノ酸配列がインフレームで保たれるように結合されることを意味する。
【0096】
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを、重鎖定数領域(CH1、CH2、CH3)をコードする別のDNA分子に操作的に連結することにより、完全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定数領域遺伝子の配列は当技術分野で知られており、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定数領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定数領域であり得るが、最も好ましくはIgG1又はIgG4定数領域である。Fab断片重鎖遺伝子の場合、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定数領域のみをコードする別のDNA分子に作動的に連結することができる。
【0097】
VL領域をコードする単離DNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定数領域CLをコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより、全長軽鎖遺伝子(Fab軽鎖遺伝子と同様)に変換することができる。ヒト軽鎖定数領域遺伝子の配列は当技術分野で知られており、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。好ましい実施形態では、軽鎖定数領域は、κ(カッパ)又はλ(ラムダ)定数領域であり得る。
【0098】
scFv遺伝子を作成するために、VH及びVLをコードするDNA断片は、VH及びVL配列が、VL及びVH領域がフレキシブルリンカーによって接合された、連続した単鎖タンパク質として発現し得るように、例えば、アミノ酸配列(Gly4-Ser)3をコードする別の断片に作動上連結する(例えば、Bird et al. , (1988) Science 242:423-426; Huston et al. , (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al. , (1990) Nature 348:552-554を参照されたい)。
【0099】
本開示のモノクローナル抗体(mAb)は、Kohler及びMilstein(1975)Nature 256:495の周知の体細胞ハイブリダイゼーション(ハイブリドーマ)技術を使用して製造することができる。モノクローナル抗体を産生するための他の実施形態には、Bリンパ球のウイルス性又は発癌性形質転換及びファージディスプレイ深層Lsが含まれる。キメラ抗体又はヒト化抗体もまた、当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第4,816,567号;第5,225,539号;第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号及び第6,180,370号を参照し、これらの内容は、参照によりその全体が特にここに組み入れられるものとする。
【0100】
本開示の抗体はまた、例えば、当技術分野でよく知られているような組換えDNA技術及び遺伝子トランスフェクション法の組み合わせを使用して、宿主細胞のトランスフェクションマにおいて生産することができる(例えば、Morrison,S. (1985) Science 229:1202)。一実施形態では、標準的な分子生物学技術によって得られた部分長又は全長の軽鎖及び重鎖をコードするDNAは、遺伝子が転写及び翻訳調節配列に作動的に連結されるように、1つ又は複数の発現ベクターに挿入される。この文脈において、「操作的に連結された」という用語は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が、抗体遺伝子の転写および翻訳を調節する意図された機能を果たすように、抗体遺伝子がベクターに連結されることを意味する。
【0101】
「調節配列」という用語は、抗体遺伝子の転写又は翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図している。このような調節配列は、例えば、Geode(Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990))に記載されている。哺乳類宿主細胞発現のための好ましい調節配列は、哺乳類細胞における高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素、例えばサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)及びポリマウイルスエンハンサーから得られるプロモーター及び/又はエンハンサーが含まれる。あるいは、ユビキチンプロモーターやβ-グロビンプロモーターのような、非ウイルス性の制御配列も使用できる。さらに、異なる供給源からの配列からなる調節要素、例えば、SV40初期プロモーターとヒトT細胞白血病ウイルス1型の長末端リピートからの配列を含むSRαプロモーター系(Takebe et al. ,(1988)Mol. Cell. Biol. 8:466-472)などが挙げられる。発現ベクター及び発現制御配列は、使用する発現宿主細胞に適合するように選択される。
【0102】
抗体軽鎖遺伝子と抗体重鎖遺伝子は、同じ発現ベクター又は別々の発現ベクターに挿入することができる。好ましい実施形態では、可変領域は、VHセグメントがベクター内のCHセグメント(複数可)に、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動的に連結されるように、所望のアイソタイプの重鎖定数領域及び軽鎖定数領域を既にコードする発現ベクターに挿入して、任意の抗体アイソタイプの完全長抗体遺伝子を作成するために使用される。さらに、又は代替的に、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、ベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドであっても、異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であってもよい。
【0103】
抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて、本開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて、本開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択可能マーカー遺伝子などの追加の配列を運ぶことができる。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号;4,634,665及び5,179,017を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与するものである。好ましい選択マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を伴うdhfr-宿主細胞における使用のため)及びneo遺伝子(G418選択のため)が挙げられる。
【0104】
軽鎖及び重鎖の発現のために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクター(複数可)は、標準的な技術によって宿主細胞にトランスフェクションされる。「トランスフェクション」という用語のさまざまな形式は、原核生物または真核生物の宿主細胞への外因性DNAの導入に一般的に使用される多種多様な技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストランのトランスフェクションなどを含むことを意図している。本開示の抗体を原核生物又は真核生物宿主細胞のいずれかで発現させることは理論的には可能であるが、真核生物細胞、特に哺乳類宿主細胞における抗体の発現が最も好ましいのは、かかる真核細胞、特に哺乳類細胞が、原核細胞よりも、適切に折り畳まれて免疫的に活性な抗体を組み立てて分泌させる可能性が高いからである。
【0105】
本開示の組換え抗体を発現するための好ましい哺乳類宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, に記載のDHFR選択可能マーカーと共に使用するdhfr-CHO細胞も含む。例えば、R. J. Kaufman and P. A. Sharp (1982) J. Mol. Biol. 159:601-621 に記載のように)、NSOミエローマ細胞、COS細胞およびSP2細胞である。特にNSOミエローマ細胞で使用する場合、別の好ましい発現系は、WO87/04462、WO89/01036及びEP338,841に開示されているGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳類宿主細胞に導入する場合、宿主細胞における抗体の発現、又はより好ましくは宿主細胞が増殖している培養液への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することにより、抗体を産生することができる。抗体は、標準的なタンパク質精製法を用いて培養液から回収することができる。
【0106】
別の態様では、本開示は、少なくとも2つの異なる結合部位又は標的分子に結合する二重特異性分子を生成するために、少なくとも1つの他の機能分子、例えば、別のペプチド又はタンパク質(例えば、別の抗体又は受容体のリガンド)に連結した本開示の1つ以上の抗体を含み得る二重特異性分子を特徴としている。したがって、本明細書で使用する場合、「二重特異性分子」は、3つ以上の特異性を有する分子を含む。
【0107】
一実施形態において、二重特異性分子は、抗Fc結合特異性及び抗C5結合特異性に加えて、第3の特異性を有する。第3の特異性は、補体媒介性の炎症及び/又は溶血をよりよく阻害するために、C3などの別の補体タンパク質に対するものであってもよい。
【0108】
二重特異性分子は、多くの異なる形式及びサイズである可能性がある。粒径スペクトルの一方の端では、二重特異性分子は伝統的な抗体の形式を保持するが、同じ特異性の2つの結合アームを持つ代わりに、それぞれが異なる特異性を持つ2つの結合アームを持つ点が異なる。もう一方の極端な例としては、2つの単鎖抗体断片(scFv)がペプチド鎖で結合した二重特異性分子、いわゆるBs(scFv)2コンストラクトが挙げられる。中間のサイズの二重特異性分子には、ペプチジルリンカーで連結された2種類のF(ab)断片が含まれる。これら及び他の形式の二重特異性分子は、遺伝子工学、体細胞ハイブリダイゼーション、又は化学的方法によって調製することができる。例えば、前掲のKufer et al. ,Cao and Suresh, Bioconjugate Chemistry, 9 (6), 635-644 (1998) ;及びvan Spriel et al. ,mmunology Today, 21 (8), 391-397 (2000) 、及びそこで引用された文献を参照されたい。
【0109】
本開示の抗体は、抗体-薬物複合体(ADC)などの免疫複合体を形成するために治療剤に結合させることができる。好適な治療剤には、抗炎症剤が含まれる。ADCにおいて、抗体及び治療薬は、好ましくは、ペプチジル、ジスルフィド、又はヒドラゾンリンカーのような切断可能なリンカーを介してコンジュゲートされる。より好ましくは、リンカーは、Val-Cit、Ala-Val、Val-Ala-Val、Lys-Lys、Ala-Asn-Val、Val-Leu-Lys、Ala-Ala-Asn、Cit-Cit、Val-Lys、Lys、Cit、Ser又はGluなどのペプチド性リンカーである。ADCは、米国特許明細書に記載されているように調製することができる。第7,087,600号;第6,989,452号;及び第7,129,261号;PCT公開WO 02/096910;WO 07/038,658;WO 07/051,081;WO 07/059,404;WO 08/083,312;及びWO 08/103,693;米国特許公開20060024317;20060004081;及び20060247295;これらの開示は引用により本明細書に組み込まれるものとする。
【0110】
また、本明細書では、抗C5 scFvを含むキメラ抗原受容体(CAR)が提供され、抗C5 scFvは、本明細書に記載のCDR及び重/軽鎖可変領域から構成され得る。
【0111】
抗C5 CARは、(a)抗C5 scFvを含んでいてもよい細胞外抗原結合ドメイン;(b)膜貫通ドメイン;及び(c)細胞内シグナル伝達ドメインから構成されていてもよい。
【0112】
CARは、細胞外抗原結合ドメインのN末端に、新生受容体を小胞体に誘導するシグナルペプチド、及び細胞外抗原結合ドメインのN末端に、受容体の結合をより可能にするヒンジペプチドを含んでもよい。CARは、好ましくは、細胞内シグナル伝達ドメインにおいて、一次細胞内シグナル伝達ドメインと1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインから構成される。主に使用され、最も効果的な細胞内一次シグナル伝達ドメインは、ITAMを含むCD3-zeta細胞質ドメインであり、そのリン酸化によりT細胞の活性化がもたらされる。共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28、CD137及びOX40などの共刺激タンパク質に由来してもよい。
【0113】
CARは、サイトカイン、及び共刺激リガンドなどの、T細胞の拡大、持続、及び抗腫瘍活性を増強する因子をさらに追加してもよい。
【0114】
また、本明細書で提供されるCARを含んでいてもよい、操作された免疫エフェクター細胞も提供される。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、造血幹細胞、多能性幹細胞、又は胚性幹細胞である。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。
【0115】
別の態様では、本開示は、薬学的に許容される担体とともに製剤化された本開示の1つ又は複数の抗体(又はその抗原結合部分、又はバイスペシフィック、CAR-T細胞、腫瘍溶解ウイルス、免疫コンジュゲート)を含み得る、薬学的組成物を提供する。組成物が2つ以上の抗体(又はその抗原結合部分、又は二重特異性、CAR-T細胞、腫瘍溶解ウイルス、免疫複合体)を含む場合、抗体(又はその抗原結合部分、又は二重特異性、CAR-T細胞、腫瘍溶解ウイルス、免疫複合体)は別々に投薬され得る。組成物は、任意に、別の抗体又は炎症剤などの薬物など、1つ以上の追加の薬学的活性成分を含んでもよい。
【0116】
医薬組成物は、任意の数の賦形剤から構成されてもよい。使用できる賦形剤には、担体、界面活性剤、増粘剤又は乳化剤、固体結合剤、分散又は懸濁補助剤、可溶化剤、着色剤、香味剤、コーティング、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、保存剤、等張剤、及びこれらの組み合わせが含まれる。適切な賦形剤の選択および使用は、Gennaro, ed, Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 2003)に教示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0117】
好ましくは、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮の投与(例えば、注射又は注入による)に適している。投与経路によっては、活性成分を酸及びそれを不活性化し得る他の自然条件の作用から保護するための材料でコーティングすることができる。本明細書で使用する「非経口投与」という語は、経腸投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、関節内、被殻、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び骨膜内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。あるいは、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、非経口経路、例えば、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下又は局所的に投与することができる。
【0118】
医薬組成物は、無菌水溶液又は分散液の形態とすることができる。また、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高濃度の薬物に適した他の秩序構造で製剤化することができる。
【0119】
単一の剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される被験者及び特定の投与様式によって異なり、一般に、治療効果をもたらす組成物の量となるであろう。一般に、100%のうち、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせた活性成分の約0.01%~約99%、好ましくは約0.1%~約70%、最も好ましくは約1%~約30%の範囲であろう。
【0120】
投与レジメンは、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように調整される。例えば、単一のボーラスを投与することができ、数回に分けて経時的に投与することができ、又は治療状況の緊急性によって示されるように、投与量を比例的に減少又は増加させることができる。投与の容易さ及び投与量の均一性のために、非経口組成物を投与単位形態で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用する投与単位形態とは、治療される対象への単位投与量として適した物理的に離散した単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性成分を含む。あるいは、抗体は徐放性製剤として投与することができ、この場合、より少ない頻度で投与することが必要となる。
【0121】
組成物の投与のために、投与量は、宿主の体重の約0.0001~100mg/kg、より通常は0.01~5mg/kgの範囲とすることができる。例えば、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重又は10mg/kg体重又は1~10mg/kgの範囲内とすることができる。例示的な治療体制は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回、又は3~6ヶ月に1回の投与を伴う。本開示の抗C5抗体の好ましい投与レジメンは、静脈内投与による1mg/kg体重又は3mg/kg体重を含み、抗体は、以下の投与スケジュールの1つを使用して与えられる:(i)4週間ごとに6回の投与、その後3ヶ月ごと;(ii)3週間ごと;(iii)3mg/kg体重を一度投与し、その後3週間ごとに1mg/kg体重を投与する。ある方法では、投与量は、約1~1000μg/ml、ある方法では約25~300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整される。
【0122】
抗C5抗体、又はその抗原結合部分、あるいは本開示の二重特異性、CAR-T細胞、腫瘍溶解性ウイルス、免疫複合体の「治療的有効量」は、好ましくは、疾患症状の重症度の減少、疾患無症状期間の頻度と期間の増加、又は疾患苦悩による障害もしくは障害の予防をもたらす。
【0123】
医薬組成物は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達システムを含む、放出制御製剤であり得る。生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリアンハイドライド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸が使用され得る。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed. , Marcel Dekker, Inc. , New York, 1978を参照されたい。
【0124】
治療用組成物は、(1)針なし皮下注射器(例えば、以下のような医療機器を介して投与することができる。米国特許第5,399,163号;同5,383,851号;同5,312,335号;同5,064,413号;同4,941,880号;同4,790,824号;同4,596,556号);(2)マイクロ注入ポンプ(米国特許第4,487,603号);(3)経皮デバイス(米国特許第5,486,194号。4,486,194);(4)注入装置(米国特許第4,447,233号及び同第4,447,224号);及び(5)浸透圧装置(米国特許第4,439,196号及び同第4,475,196号);これらの開示は引用によりここに組み込まれるものとする。
【0125】
特定の実施形態では、本開示のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、in vivoでの適切な分配を確実にするために製剤化することができる。 例えば、本開示の治療用抗体又はその抗原結合部分が血液脳関門を通過することを確実にするために、それらは、特定の細胞又は器官への選択的輸送を強化するために標的化部分を追加的に含み得るリポソーム中に製剤化することが可能である。 例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;第5,416,016号;及び第5,399,331号;V. V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685;Umezawa et al, (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038;Bloeman et al. , (1995) FEBS Lett. 357:140;M. Owais et al. , (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180;Briscoe et al. , (1995) Am. J. Physiol. 1233:134;Schreier et al. , (1994) J. Biol. Chem. 269:9090;Keinanen and Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123;及びKillion and Fidler (1994) Immunomethods 4:273を参照されたい。
【0126】
本開示の抗体もしくはその抗原結合部分、又は二重特異性、CAR-T細胞、腫瘍溶解性ウイルス、免疫複合体を含み得る医薬組成物は、例えば、過剰なC5a及び/又はC5b生成を伴う炎症性疾患又は溶血性疾患の治療を含む多数のin vitro及びin vivoでの有用性を有している。
【0127】
C5a及びC5bへのC5切断を阻害する本開示の抗C5抗体の能力を考慮すると、本開示は、自己免疫疾患のような補体媒介炎症性疾患の治療のための方法を提供し、これは、本開示の医薬組成物を被験者に投与することを含んでいてもよい。炎症性疾患には、gMG及びNMOSDが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
別の点では、C5がC5a及びC5bへの切断を阻害する本開示の抗C5抗体を考えると、本開示は補体介在性溶血性疾患を治療する方法を提供し、本開示の医薬組成物を被験者に投与することを含むことができる。溶血性障害は、PNH及びaHUSを含むが、これらに限定されない。
【0129】
一態様において、本開示は、本開示の医薬組成物が、炎症を改善するのに有効な1つ以上の追加の薬剤と共投与される併用療法を提供する。そのような薬剤は、gMG患者のためのプレドニゾン、又はNMOSD患者のためのアザチオプリンであってもよい。特定の実施形態では、被験者はヒトである。
【0130】
本明細書で議論される治療薬の組み合わせは、薬学的に許容される担体中の単一の組成物として同時投与することができ、又は薬学的に許容される担体中の各薬剤を有する別々の組成物として同時投与することができる。別の実施形態では、治療薬の組み合わせは、順次投与することができる。
【0131】
さらに、併用療法の複数の用量を順次投与する場合、順次投与の順序は、投与の各時点で逆転させることも、同じ順序に保つこともでき、順次投与は同時投与と組み合わせることもでき、又はそれらの任意の組み合わせも可能である。
【0132】
本発明及びその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換及び改変を行うことができることが理解されるべきである。
【0133】
本開示は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらはさらに限定的に解釈されるべきではない。すべての図の内容、及び本出願を通じて引用されたすべての文献、Genbank配列、特許及び公開特許出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例1】
【0134】
[実施例1 ハイブリドーマ技術を用いたヒト抗C5モノクローナル抗体の作製]
<免疫化>
トランスジェニックマウスプラットフォームCAMouseHG (HG5042, Chongqing Camab Biotech Ltd.) を用いて、完全ヒト抗体を作製した。E Harlow, D. Lane, Antibody: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. , 1998に記載の方法に従い、トランスジェニックマウスを免疫化した。リコンビナントヒトC5タンパク質(Sino biological Inc.、Cat#13416-H18H)を免疫原として、また抗血清力価の測定及び抗原特異的抗体を分泌するハイブリドーマのスクリーニングに使用した。免疫量は、一次免疫ではマウス1匹当たり50μgのヒトC5タンパク質を注射し、ブースト免疫ではマウス1匹当たり25μgのヒトC5タンパク質を注射した。免疫反応を高めるために、一次免疫には完全フロイトのアジュバント、ブースト免疫には不完全フロイトのアジュバント(Sigma, St. Louis, Mo.)。簡単に言うと、アジュバントと抗原の混合物を以下のように調製した。まず、アジュバントをバイアル内でボルテックスを使って穏やかに混合した。所望の量のアジュバントをオートクレーブした1.5mLマイクロ遠心管に移した。抗原はPBS又は生理食塩水で0.25~0.5 mg/mlの濃度で調製した。次に、計算された量の抗原をアジュバントとともに遠心管に加え、得られた混合物を2分間穏やかにボルテックスして混合し、油中水型エマルジョンを生成した。その後、アジュバント-抗原エマルジョンを動物注射に適したシリンジに引き込んだ。合計50又は25μgの抗原を、150~200μlの容量で注射した。各動物は免疫され、その後、抗血清力価に応じて3~4回ブーストされた。良好な力価の動物には、ハイブリドーマ融合の前に腹腔内注射で最終ブーストを行った。
【0135】
<ハイブリドーマの融合とスクリーニング>
マウス骨髄腫細胞株(SP2/0-Ag14、ATCC#CRL-1581)の細胞を、融合直前に対数期段階に達するようにイベキュートした。免疫したマウスの脾臓細胞を無菌的に調製し、Kohler G, and Milstein C, "Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity," Nature, 256:495-497 (1975) に記載の方法に従ってマウスミエロマ細胞と融合させた。融合した「ハイブリッド細胞」は、その後、DMEM/20% FCS/HAT培地中の96ウェルプレートに分注された。融合後7日から10日目に生存しているハイブリドーマコロニーを顕微鏡で観察した。2週間後、各ウェルの上清を、ヒトC5タンパク質(Sino biological Inc.、Cat#13416-H18H)を用いた捕捉ELISAに供した。ヒトC5タンパク質に結合する抗体を分泌する陽性ハイブリドーマを選択し、24ウェルプレートに移した。このハイブリドーマクローンをさらに試験し、高い特異的ヒトC5結合能と補体介在性溶血阻止活性を示す抗体を産生するものを、細胞株のクローナリティを確保するために限定希釈によりサブクローニングした。その後、モノクローナル抗体の精製を行った。簡単に説明すると、プロテインAセファロースカラム(bestchrom(Shanghai)Biosciences社製、Cat#AA0273)を、5~10カラム容量でPBSバッファーを用いて洗浄した。開示の各モノクローナルハイブリドーマの細胞上清をカラムに通した後、タンパク質に対する吸光度がベースラインに達するまでPBSバッファーでカラムを洗浄した。カラムを溶出緩衝液(0.1M Glycine-HCl, pH 2.7)で溶出し、直ちに中和緩衝液(1M Tris-HCl, pH 9.0)で1.5mlチューブに採取した。免疫グロブリンを含む画分をプールし、PBS中で4℃、一晩透析した。
【0136】
その後、精製されたモノクローナル抗体のin vitro機能活性を以下のように特徴付けた。
【0137】
[実施例2 BIACORE表面プラズモン共鳴を用いた抗C5モノクローナル抗体の結合親和性の決定]
実施例1で生成した精製抗C5モノクローナル抗体(mAbs)を、Biacore T200システム(GE healthcare, Pittsburgh, PA, USA)により結合親和性及び結合動態を特性評価した。
【0138】
簡単に言うと、ヤギ抗ヒトIgG(GE healthcare、Cat#BR100839、ヒト抗体捕捉キット)を、Biacore(GE healthcare, Pittsburgh, PA, USA)が提供する標準アミン結合キットを用いて、CM5チップ(カルボキシメチルデキストラン被覆チップ、GEヘルスケア、Cat#BR-1005-30)に一級アミンを介して共有結合させた。バイオセンサー表面の未反応部位はエタノールアミンで阻害した。次に、本開示の精製抗C5抗体を濃度13.3nM、及び13.3nMの抗C5ベンチマーク抗体(エクリズマブ、配列番号51及び52に記載の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を有する自社製;クロバリマブ、配列番号55及び56に記載の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を有する自社製;ポゼリマブ、配列番号57及び58の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を有する自社製)、それぞれ10μL/minの流量でチップに流した。3種類の抗C5ベンチマーク抗体の配列情報は、公開サイト(https://tabs.craic.com)を利用した。次に、組換えヒトC 5-hisタンパク質(Sino Biological Inc. , Cat#13416-H 18 H)、カニクイザルC5-hisタンパク質(Acro biosystems, Cat#CO 5-C 52 Hx)、または変異ヒトC5 (R885H)-hisタンパク質(Acro biosystems, Cat#CO 5-H 52 Hx)を連続希釈したもの(80.0 nM-2.5 nM、HBS-EP+バッファーで2倍の連続希釈)を30μL/分の流速でチップ上に流した。抗原抗体結合動態は2分間、解離動態は10分間追跡した。会合及び解離曲線は、BIAcore評価ソフトウェアを用いて、1:1のLangmuir結合モデルに適合させた。K
D、K
a、K
d値を決定し、以下の表2-1及び表2-2に要約した。
[表2-1.ヒトC5及びカニクイザルC5に対する抗C5抗体の結合親和性]
[表2-2.変異型ヒトC5に対する抗C5抗体の結合親和性]
【0139】
本開示の抗C5抗体はすべて、野生型及び変異型ヒトC5タンパク質に、ベンチマーク抗体と同等又は少し高い結合親和性で特異的に結合し、A3C8E4H1及びA5H1D11A7が最も高い結合親和性を示した。本開示の抗C5抗体はすべてサルC5に特異的に結合したが、ベンチマークであるエクリズマブは結合しなかった。
【0140】
[実施例3 抗C5抗体の結合活性]
本開示の抗体は、さらに抗体捕捉ELISA及び間接ELISAにより、C5への結合能を試験した。
【0141】
<3.1 抗体捕捉ELISA>
簡単に言うと、96ウェルプレートに、PBS中2μg/mlのAffiniPure ヤギ抗ヒトIgG, Fcγ断片特異的(Jackson Immuno Research, Cat#109-005-098), 100μl/ウェルで、37℃で2時間コーティングした。プレートを洗浄バッファー(PBS+0.05% TweenTM-20、PBST)で1回洗浄し、200μl/ウェルのブロッキングバッファー(PBST中の5% w/v無脂肪乳)で4℃にて一晩阻害した。プレートを再度洗浄し、それぞれ100μl/ウェルの順次希釈した本開示の抗C5抗体、エクリズマブ、hIgG(静脈注射用ヒト免疫グロブリン(pH4)、Hualan Biological Engineering Inc.)(PBST中の2.5%無脂肪乳で5倍希釈、66.7nMから開始)を37℃で40分間イベキュートし、再度4回洗浄した。捕捉した抗体を含むプレートを、100 μl/ウェルのビオチン標識ヒトC5-hisタンパク質(Sino biological Inc, Cat#13416-H18H, 2.5%w/v無脂肪乳を含むPBST中0.9nM)と37℃で40分間インキュベートし、4回洗浄後、ストレプトアビジン結合HRP(PBST中1:5000希釈、Jackson Immuno Research, Cat#016-030-084, 100 μl/ウェル)と37℃で40分間インキュベートした。最終洗浄後、プレートを100 μl/ウェル ELISA基質TMB(Innoreagents, Cat#TMB-S-002)と共にインキュベートした。3分後に室温で50 μl/ウェル 1M H2SO4 で反応を停止させた。各ウェルの吸光度を、TMBを450nm、630nm を参照波長とする二波長モードにし、マイクロプレートリーダーで読み取り、OD(450-630)値を抗体濃度に対してプロットした。データは Graphpad Prism ソフトウェアを使用して解析し、EC50 値を報告した。
【0142】
<3.2 間接ELISA>
Cynomolgus又はヒトC5変異体タンパク質に対する抗C5抗体の交差反応を測定した。
【0143】
簡単に説明すると、96ウェルマイクロプレートに、100 μl/ウェルの炭酸/重炭酸バッファー(pH 9.6)に、1 μg/ml カニクイザルC5-hisタンパク質(Acro biosystems, Cat#CO5-C52Hx)又は2 μg/ml ヒトC5 (R885H)-hisタンパク質 (Acro biosystems, Cat#CO5-H52Hx) を37℃で2時間コーティングした。ELISAプレートを洗浄液(PBS+0.05% TweenTM-20, PBST)で1回洗浄し、200 μl/ウェルのブロッキングバッファー(PBST中の5% w/v無脂肪牛乳)で4℃にて一晩ブロッキングした。プレートを再度洗浄し、100μl/ウェルの順次希釈した開示の抗C5抗体又はコントロール(66.7-0.64 nM、2.5%脱脂乳を含むPBSTでの5倍順次希釈)と共に37℃で40分インキュベートした。ELISAプレートを4回洗浄し、ペルオキシダーゼ結合型アフィニピュア F(ab')2 フラグメント ヤギ抗ヒトIgG、Fcγフラグメント特異的(PBSTバッファーで1:5000希釈,Jackson Immunoresearch,Cat#109-036-098, 100μl/ウェル)と37℃で40分インキュベートした。最終洗浄後、プレートを100 μl/ウェル TMB (Innoreagents,Cat#TMB-S-002) と共にインキュベートした。3分後、50 μl/ウェル 1M H2SO4を用いて室温で反応を停止させた。各ウェルの吸光度を、TMBは450nm、参照波長は630nmとして、2波長モードのマイクロプレートリーダーで読み取り、抗体濃度に対してOD(450-630)値をプロットした。データは Graphpad Prism ソフトウェアを使用して解析し、EC50 値を報告した。
【0144】
【0145】
図1A、
図1B、
図1Cから、本開示の全ての抗体は、エクリズマブよりも低いEC50及び高いBmax(最大結合)でヒトC5に結合したことが分かる。
【0146】
図2A、
図2B、
図2Cは、本開示のすべての抗体が、低いEC50と高いBmax(最大結合量)でサルC5に結合し、エクリズマブはサルC5タンパク質に結合しないことを示した。
【0147】
さらに、
図3A、
図3B、
図3Cに示すように、本開示のすべての抗体は、低いEC50及び高いBmax(最大結合)で変異型ヒトC5(R885H)タンパク質に結合したが、エクリズマブは変異型ヒトC5(R885H)タンパク質に結合しなかった。
【0148】
[実施例4 抗C5抗体のC5-ベンチマーク結合に対するブロッキング活性]
本開示の抗C5抗体がエクリズマブ-ヒトC5結合を阻害する能力は、競合ELISAアッセイで測定された。
【0149】
簡単に言うと、エクリズマブを、PBS中2μg/mLで、96ウェルマイクロプレート上に、ウェル当たり100μl、37℃で2時間コーティングした。その後、プレートを洗浄液で洗浄し、PBST中の5%w/v無脂肪乳で4℃にて一晩ブロッキングした。翌日、開示の抗C5抗体又はコントロールは、ビオチン標識ヒトC5-hisタンパク質(Sino biological Inc. , Cat#13416-H18H, 2.5%w/v無脂肪乳を含むPBST中0.99nM)で、4倍連続希釈で80 nMから始め、室温で40分インキュベートした。プレート洗浄後、抗体/C5-his混合物をエクリズマブ・コーティングしたプレートに、1ウェルあたり100μlずつ添加した。37℃で40分間インキュベートした後、洗浄液を用いてプレートを洗浄した。その後、100 μl/ウェル のストレプトアビジン結合 HRP を加え、37℃で 40 分間インキュベートし、エクリズマブに結合したビオチン標識ヒト C5-his を検出した。プレートを洗浄バッファーで再度洗浄した。最後にTMBを添加し、1M H2SO4で反応を停止させた。各ウェルの吸光度を、TMBは450 nm、参照波長として630 nmの2波長モードを使用してマイクロプレートリーダーで読み取り、OD(450-630)値を抗体濃度に対してプロットした。データは Graphpad Prism ソフトウェアを使用して解析し、IC50 値を報告した。
【0150】
本開示の抗体A5H1D11A7がポゼリマブのヒトC5タンパク質への結合を阻害する能力も、競合ELISAアッセイで測定された。簡単に述べると、ポゼリマブを、炭酸/重炭酸緩衝液(pH9.6)中2μg/mL、100μl/ウェルで96ウェルのマイクロプレートにコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。ELISAプレートを洗浄バッファー(PBS+0.05% TweenTM-20, PBST)で1回洗浄し、200 μl/ウェルのブロッキングバッファー(PBST中の5% w/v無脂肪乳)で37℃、2時間ブロッキングした。ブロッキングしながら、本開示の抗C5抗体A5H1D11A7又はコントロールは、ヒトC5 (R885H)-his タンパク質(Acro biosystems,Cat#CO5-H52Hx,2.5%w/v無脂肪乳を含むPBST中40 ng/mL)で4倍の連続希釈で66.7 nMから希釈し、室温で40分インキュベートした。プレート洗浄後、抗体/C5タンパク質混合物をポゼリマブ・コートプレートに、1ウェルあたり100μlずつ添加した。37℃で40分間インキュベートした後、洗浄バッファーを用いてプレートを洗浄した。その後、HRP を結合した抗 His-Tag 抗体(Sinobiological,Cat#:105327-MM02T-H)100 μl/ウェル を加え、37℃で 40 分間インキュベートし、ポゼリマブに結合したヒト C5 (R885H)-his を検出した。プレートを洗浄バッファーで再度洗浄した。最後にTMBを添加し、1M H2SO4で反応を停止させた。各ウェルの吸光度を、TMB を 450nm、参照波長を 630nm とする二波長モードのマイクロプレートリーダーで読み取り、OD (450-630) 値を抗体濃度に対してプロットした。データは Graphpad Prism ソフトウェアを使用して解析し、IC50値を報告した。
【0151】
【0152】
図4A、
図4B、
図4Cから分かるように、本開示の抗C5抗体は、ヒトC5-エクリズマブ相互作用を遮断できないか、又は部分的にしか遮断できないことから、エクリズマブと比較して、異なるエピトープに結合する可能性があることが示唆される。
【0153】
図5は、抗C5抗体A5H1D11A7がポゼリマブとC5の結合を阻害できることを示しており、A5H1D11A7抗体がポゼリマブと同一又は類似のエピトープに結合する可能性が示唆された。
【0154】
[実施例5 抗C5抗体の熱安定性]
抗C5抗体A5H1D11A7及びA3C8E4H1について、熱安定性を試験した。簡単に言うと、GloMelt
TMThermal Shift Protein Stability Kit(Biotium,Cat# 33022-T)を用いて、タンパク質熱シフトアッセイによりTm(溶融温度)を測定した。GloMelt
TM染料を解凍し、室温に戻した。色素の入ったバイアルをボルテックスし、遠心分離した。次に、10倍色素を、5 μL の 200倍色素を95 μL の PBS に加えて調製した。得られた2 μL の 10倍色素に、10 μg のヒト化抗体に加え、PBS を、総反応体積が 20 μLになるまで加えた。色素と抗体の入ったチューブを軽く回転させ、表3のパラメータでメルトカーブプログラムを設定したリアルタイムPCRサーモサイクラー(Roche,LightCycler 480 II)にセットした。
[表3.メルトカーブプログラムのパラメータ]
【0155】
その結果は
図6A、
図6B及び表4に示すとおりで、この2つの抗体はおそらくヒトの体内で安定であることが示唆された。
[表4.抗C5抗体の融解温度]
【0156】
[実施例6 抗C5抗体による補体介在性溶血の抑制]
本開示の抗C5抗体は、補体介在性溶血に対する阻害効果についてさらに試験された。
【0157】
簡単に述べると、ヒツジ赤血球(sRBC)(Zhengzhou Baiji biological Inc. ,Cat#C0001)を0.5nM MgCl2及び0.15nM CaCl2(GVB++)を含むゼラチン/ベロナール緩衝生理食塩液で5回洗浄し、同じ緩衝液に5.87×108細胞/mLで再懸濁させた。次に、この細胞懸濁液をウサギ抗ヒツジ赤血球免疫グロブリン(Zhengzhou Baiji biological Inc. ,Cat#A0001,GVB++で1:1000希釈)と1:1容量比で混合し、37℃で30分間インキュベートした。細胞をGVB++で2回洗浄し、同じ緩衝液に2×108細胞/mLで再懸濁した。別の丸底96ウェルマイクロプレートにおいて、GVB++中の3%正常ヒト血清(Gemini biological Inc、Cat#100-512)50μLに、開示の抗C5抗体又はコントロール(陰性コントロールとしての自社製抗CD22抗体を含む)を連続希釈したもの(GVB++で3倍連続希釈して1200nMから開始)を加え、室温で30分間インキュベートした。次に、感作したsRBCを含む懸濁液50μLを血清/抗体に加え、各ウェルで合計150μLとし(正常ヒト血清の最終比率は1%)、得られた混合物を37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを3000rpmで5分間、4℃で遠心分離した。上清を平底96ウェルマイクロプレートのウェルに移し、412 nmでOD測定を行った。溶血率は、100×[(OD抗体-ODバックグラウンド)/(OD無抗体-ODバックグラウンド)]で定義された。データは Graphpad Prism ソフトウェアを使用して解析し、IC50値を報告した。
【0158】
【0159】
本開示の抗C5抗体は、エクリズマブと比較して、同等又は少し高い阻害活性で、補体介在性溶血を阻害することができたことが分かる。
【0160】
抗C5抗体A5H1D11A7は、エクリズマブ、ラブリズマブ(配列番号53及び54に示される重鎖及び軽鎖アミノ酸配列で作られた自社製)、クロバリマブ及びポゼリマブを含む先行技術の抗C5抗体と比較して、補体媒介溶血に対するその阻害効果を、若干修正しながら上記のプロトコルに従って再び試験した。
【0161】
簡単に説明すると、3%正常ヒト血清の代わりに100%正常ヒト血清(Gemini biological inc. ,Cat#100-512)を用い、50μl/ウェル;そして開示の抗C5抗体及びコントロールはGVB++で2倍連続希釈し、開始濃度を1800nMとして調製した。
【0162】
【0163】
図8によれば、抗C5抗体A5H1D11A7は、全ての先行技術の抗C5抗体と比較して、補体介在性溶血に対して有意に高い抑制効果を示した。
【0164】
抗C5抗体A5H1D11A7及びA3C8E4H1は、先行技術の抗C5抗体エクリズマブと比較して、補体介在性溶血に対する阻害効果について、若干の修正を加えた上記のプロトコルに従って再度試験された。具体的には、3%正常ヒト血清の代わりに50%正常ヒト血清(Gemini biological inc. ,Cat#100-512)を用い、50μl/ウェル;そして本開示の抗C5抗体及びコントロールは、GVB++で2倍連続希釈し、600nMで開始濃度となるように調製された。その結果を
図9に示した。
【0165】
図9によれば、A5H1D11A7とA3C8E4H1の曲線はほぼ完全に重なっており、IC50値が近いことが確認された。また、A5H1D11A7、A3C8E4H1は、エクリズマブよりも高い補体介在性溶血阻止能を示した。
【0166】
[実施例7 抗C5抗体の塩基配列決定]
本開示におけるすべての抗C5抗体の配列を決定し、完全な重鎖及び軽鎖可変領域配列ならびに定常領域配列を得た。重鎖及び軽鎖可変領域の配列ID NOを表1に示し、重鎖及び軽鎖のアイソタイプは、データベースの配列アラインメントによりそれぞれヒトIgG1及びカッパであると決定された。
【0167】
本開示は、1つ以上の実施形態に関連して上述されてきたが、本開示は、それらの実施形態に限定されるものではなく、本説明は、添付の請求項の精神及び範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正物、及び同等物を網羅することを意図していることが理解されるべきである。本明細書で引用された全ての参照文献は、さらにその全体が参照により組み込まれる。
【0168】
本願における配列は、以下に要約される。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
このように、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、その多くの明白な変形が可能であるので、上記の段落によって定義された発明は、上記の説明で示された特定の詳細に限定されるものではないことが理解されるものと思われる。
【配列表】