(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】コラーゲン受容体産生促進用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240528BHJP
A61K 31/7028 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240528BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20240528BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20240528BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/7028
A61K31/7048
A61K31/192
A61P43/00 105
A61K8/60
A61K8/368
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020071273
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】蔀 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 香織
(72)【発明者】
【氏名】今井 理恵
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0125264(US,A1)
【文献】特開2021-166475(JP,A)
【文献】月見草エキス EVENING PRIMROSE EXTRACT,月見草エキス EVENING PRIMROSE EXTRACT,オリザ油化株式会社,2014年,https://www.oryza.co.jp/pdf/japanese/%E6%9C%88%E8%A6%8B%E8%8D%89%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B97.1.pdf
【文献】藍谷教夫 他,月見草エキスの血糖値上昇抑制作用とその関与成分,日本食品科学工学会誌,2003年,Vol. 50, No. 4,pp 180-187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K 8/
A61Q 19/
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンタガロイルグルコース
とイソクエルシトリンを
有効成分として含有するコラーゲン受容体産生促進用組成物。
【請求項2】
組成物中のペンタガロイルグルコース1質量部に対し、イソクエルシトリンが1~100質量部である請求項1に記載のコラーゲン受容体産生促進用組成物。
【請求項3】
コラーゲン受容体が、DDR2、Endo180から選択される1又は2である請求項
1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン受容体産生促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞外マトリックスは、細胞の周囲を隙間なく充填して生体組織に機械的強度や柔軟性・可塑性を与え、周囲の細胞が接着する際の足場を提供し、細胞が秩序正しく集合して組織・器官を形成するために必要な外部環境を提示している。さらに細胞外マトリックスは、細胞へ積極的にシグナルを伝達することにより、発生、分化、免疫応答、血液凝固、創傷治癒などの多様な生体プロセスを制御していることが知られている。細胞外マトリックスを構成する成分の代表的な分子はコラーゲンである。コラーゲンは、体内の総タンパク質量のおよそ30%を占める。また、コラーゲンは強靭な線維(膠原線維)を形成し、組織に線維方向への張力に抵抗する機械的強度を与える。
【0003】
生体内にはコラーゲンと相互作用する様々な分子が存在する。また、コラーゲンはフィブロネクチンやラミニンなどの多数の細胞外マトリックスを構成する分子と結合して高次構造を形成し、細胞が接着するための足場を提供する。さらに、コラーゲンは内皮細胞の直下に存在することから,血管壁の損傷時におけるセンサーとしての役割を果たしている。生体の細胞表面には、コラーゲンと結合するレセプターが発現している。
コラーゲンは、このレセプターを介して、細胞間の情報伝達や、細胞間の結合に関与している。細胞の表面に発現しているコラーゲン受容体として代表的なものは、Integrin(インテグリン)、Discoidin Domain Receptor(DDR、ディスコイディン・ドメイン・レセプター)、glycoprotein IV、leukocyte-associated immunoglobulin-like receptor-1、Endo180が代表的レセプターとして知られている。
【0004】
インテグリンは最も古くから研究されている受容体で、これまでに4つのコラーゲン結合性(α1β1、α2β1、α10β1、α11β1)が報告されており、インテグリンβ1サブユニット(ITGB1)は共通の構成分子である(非特許文献1~3)。その働きは細胞-細胞、細胞-細胞外マトリックスを繋ぐ接着分子であり、細胞増殖や組織の形成・修復に関わっている。
DDRは、DDR1とDDR2のアイソフォームが存在し、それぞれ上皮系細胞と間葉系細胞に主に発現している。DDRはネイティブな構造を保持したコラーゲン分子によって活性化される受容体型チロシンキナーゼであり、細胞接着や遊走に関与している(非特許文献1~4)。皮膚線維芽細胞に発現しているDDR2は、細胞外マトリックスのリモデリングを介した発生や分化、創傷治癒に重要な膜タンパク質で、ノックアウトマウスでは、骨の形成が未熟となる小人症を示し、皮膚の創傷治癒が抑制されることが報告されている(非特許文献5)。
Endo180は、断片化したコラーゲンや変性したコラーゲンを認識して、それらを細胞内へ取り込むことで、貪食作用によるコラーゲンのリモデリングを制御する膜タンパク質である(非特許文献6)。いずれの受容体も線維芽細胞の膜上に存在し、コラーゲンを介した細胞内外の情報を伝達する役割を担っている。
これらの細胞表面のコラーゲン受容体の発現が増加することによって、細胞間の結合が強化され、細胞相互の情報交換が活性化されて創傷の回復や修復が促進される。
【0005】
これまでも、コラーゲン受容体産生促進剤について様々な提案がなされている。
特許文献1には、コラーゲン受容体であるDDR2の産生を促進する物質として、メマツヨイグサエキスや果物トケイソウエキスが有用であることが記載されている。
特許文献2には、ペラルゴニジンを有効成分とするインテグリンの産生促進剤が記載されている。また特許文献3には、ナガレイシ、ミツガシワ、ヒメウコギ、ミツバアケビ、キクラゲ、ピーポーレン等の抽出物を有効成分とするインテグリン発現促進物が記載されている。特許文献4には、リンゴ抽出物を有効成分とするインテグリン産生促進剤、特許文献5にはシカク豆抽出物を有効成分とするインテグリン産生促進剤が記載されている。
【0006】
特許文献6には、コラーゲン受容体であるEndo180の産生を促進するハス胚芽抽出物、月桃葉抽出物、ラクトバシラスプランタラムが記載されている。また特許文献7には、ロスマリン酸、カフェ酸、メリッサ抽出物が、特許文献8には、タイソウ、藤茶、ゲンチアナ、プルーン、スターフルーツ、ローヤルゼリー、緑茶、ワイルドタイム、スギナ、サンショウ、キンモクセイ、キンギンカ、セイヨウノコギリソウからなる群から選択される植物抽出物が、Endo180の産生を促進することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-199441号公報
【文献】特開2011-020951号公報
【文献】特開2016-065019号公報
【文献】特開2011-219454号公報
【文献】特開2010-024211号公報
【文献】特開2019-182753号公報
【文献】特開2019-108398号公報
【文献】特開2019-055924号公報
【文献】特開2008-131888号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】B. Leitinger, Annu. Rev. Cell Dev. Biol., 27, 265~290(2011)
【文献】J. Heino et al., Int. J. Biochem. Cell Biol., 41, 341~348,(2009)
【文献】YC. Yeh et al., Am. J. Physiol. Cell Physiol., 303, C1207~C1217(2012)
【文献】B. Leitinger, Int. Rev. Cell Mol. Biol., 310, 39~87,(2014)
【文献】JP. Labrador, EMBO Rep., 2, 446~452,(2001)
【文献】MC Melander et al., Int. J. Oncol., 47, 1177~1188,(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、カテキンの一種であるペンタガロイルグルコース、フラボノール化合物の配糖体であるイソクエルシトリン、及び没食子酸の3成分を含有する組成物は、コラーゲン受容体産生を相乗的に促進することを見出し、本発明をなした。すなわち、本発明は、新たなコラーゲン受容体産生促進用の組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成からなる。
(1)ペンタガロイルグルコースと、イソクエルシトリン、没食子酸から選択される1以上を有効成分として含有するコラーゲン受容体産生促進用組成物。
(2)組成物中のペンタガロイルグルコース1質量部に対し、イソクエルシトリンが1~100質量部である(1)に記載のコラーゲン受容体産生促進用組成物。
(3)組成物中のペンタガロイルグルコース1質量部に対し、没食子酸が0.1~10質量部である(1)に記載のコラーゲン受容体産生促進用組成物。
(4)コラーゲン受容体が、DDR2、Endo180から選択される1又は2である(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ペンタガロイルグルコース、イソクエルシトリン、没食子酸を有効成分として含有するコラーゲン受容体産生促進用の組成物が提供される。本発明の組成物は、細胞の表面に発現している代表的なコラーゲン受容体であるDDR2、Endo180の産生を促進する作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ペンタガロイルグルコース、イソクエルシトリン、没食子酸から選択される1以上を含有する組成物が各成分の相乗作用により、コラーゲン受容体タンパク質であるEndo180の産生を促進することを示すグラフである。
【
図2】ペンタガロイルグルコース、没食子酸、イソクエルシトリンから選択される1以上を含む組成物が、コラーゲン受容体タンパク質であるDDR2の産生を促進することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明について具体的に説明する。
本発明でいう「コラーゲン受容体」とは、コラーゲンと特異的に結合する部位を有する細胞外タンパク質をいう。本願明細書においては、コラーゲン受容体をコラーゲンレセプターと称する場合がある。このコラーゲン特異的結合部位を有するタンパク質は、コラーゲンと選択的に結合することができる。コラーゲン結合タンパク質としては、フィブロネクチン、インテグリン、ラミニン、DDR、Endo180、CD49b、CD29、glycoprotein IV、leukocyte-associated immunoglobulin-like receptor-1、secreted protein acidic and rich in cysteineを代表的なものとして例示できる。
【0014】
本発明において、ペンタガロイルグルコースは、1,2,3,4,6-ペンタ-O-ガロイル-β-D-グルコースを意味し、以下の構造を有する。
【0015】
【0016】
本願明細書において、ペンタガロイルグルコースは、PGGと略して表記する場合がある。
【0017】
ペンタガロイルグルコースは、五倍子、没食子、芍薬、大黄、楊梅皮、桂皮、ウラジロガシ皮、コケモモ葉、菱実、地楡、メマツヨイ草および牡丹皮等の植物や生薬から得ることができる。これらからの抽出に当たっては、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。五倍子、没食子、芍薬および大黄がより好ましく、五倍子および没食子が一層好ましく、五倍子が最も好ましい。
【0018】
抽出は、抽出溶媒として水、メタノールもしくはエタノール等のアルコール、またはアセトン等の親水性有機溶媒、およびこれらの混合物を使用して行うことができる。これらのうち、水及び/又はアルコールを用いることが好ましく、更に、上記アルコールとしてエタノールを用いることがより好ましい。特に、含水エタノールを用いることが好ましい。抽出後、抽出溶媒を除去し、抽出物を固形物として得ることができる。
【0019】
この抽出物には、数種のガロタンニンが含まれているが、適宜メタノリシス、再結晶、再抽出、および/または液体クロマトグラフィー等を用いて分離・精製することにより、ペンタガロイルグルコースを得ることができる。また抽出物をそのまま本発明に用いることもできる。
【0020】
「イソクエルシトリン」とは、ケルセチンにグルコース残基が結合している下記化学式2であらわされる配糖体である。
【0021】
【0022】
本明細書においてイソクエルシトリンをIQCと略記して表示することがある。
イソクエルシトリンの製造方法は、特に限定されない。例えば、特公昭54-32073号公報に記載されているように、イソクエルシトリンと澱粉質などのグルコース供与体を含有する溶液に対して糖転移酵素を作用させることにより、イソクエルシトリンにグルコース供与体からグルコース残基を等モル以上転移させ、次いで、アミラーゼを作用させてα-グルコシルイソクエルシトリンを生成させればよい。この方法によって製造したα-グルコシルイソクエルシトリンは、酵素処理イソクエルシトリン(enzyme-modified isoquercitrin: EMIQ)と呼ばれる。さらに、多孔性合成吸着剤に接触させて、その吸着性の違いを利用することにより、α-グルコシルイソクエルシトリンのみを精製することも可能である。
【0023】
没食子酸は3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5-Trihydroxybenzoic Acid)ともいい、下記化学式3であらわされる化合物である。抗酸化作用を有することが知られている。
【0024】
【0025】
本願明細書においては、没食子酸をGAと略記して表すことがある。
没食子酸の製造方法としては、化学合成による方法、天然物からの抽出による方法の他、酵素や発酵による方法が挙げられる。例えば、ガレート型カテキンにタンナーゼ処理を施し、その加水分解反応生成物として没食子酸を得る方法が知られている。また、ガレート型カテキンは茶や茶抽出物に多く含まれることが知られている。いずれの方法によって得たものであっても本発明に使用可能である。あるいは、市販品を利用してもよい。
【0026】
本発明でいう「組成物」とは、ペンタガロイルグルコースと、イソクエルシトリン、没食子酸のいずれかを含有し、コラーゲン受容体の産生を促進するものをいう。「組成物」には食品、医薬品、化粧品、健康食品、動物用飼料を包含する。
本発明の組成物は、有効成分としてペンタガロイルグルコース1質量部に対して、イソクエルシトリン1~100質量部を含有させるか、没食子酸0.1~10質量部を含有させることが好ましい。
本発明の組成物は、コラーゲン受容体産生促進剤として各種医薬品、化粧品、食品、健康食品、動物飼料等とすることが可能である。剤形としては特に制限されず、種々の形態とすることができる。具体的には、液剤、クリーム剤、ローション剤等の外用剤としての形態、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等経口投与のための形態とすることができる。また本発明の作用効果を阻害しない範囲で、賦形剤や生理活性成分等を含有させることができる。
【0027】
本発明に係るコラーゲン受容体産生促進用組成物中の有効成分であるペンタガロイルグルコースと、イソクエルシトリン又は没食子酸を含有する組成物中の、それぞれの成分の配合量は、特に制限されず、1成分以上が含有されていればよい。3成分あるいは2成分が含有されることで相乗的な効果を発揮する。また、目的、対象とする疾病により、必要とする有効成分の主体が異なるので、一概に規定できるものではないが、ペンタガロイルグルコース1質量部に対して、イソクエルシトリン1~100質量部、又は没食子酸0.1~10質量部を含有することで、本発明組成物によるコラーゲン受容体の産生促進作用を効果的に発揮させることができる。
【実施例】
【0028】
試験例を示し、本発明についてさらに説明する。
<試験方法>
1.細胞の培養
試験用細胞として、正常ヒト線維芽細胞(NHDF:Normal human dermal fibroblasts、Neonatal skin、Cat.# CC-2509;Lot No.0000490825;LONZA)を、10%(v/v)牛胎児血清(FBS)SA(ニチレイ)及び1%(v/v)Penicillin-Streptomycin(Sigma Aldrich)含有DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium、GIBCO)培地を用いて、37℃、5% CO2存在下のインキュベーターで培養した。
【0029】
2.イソクエルシトリン(以下「IQC」)、ペンタガロイルグルコース(以下「PGG」)、没食子酸(以下「GA」)の試験溶液の調製
IQC(イソクエルシトリン、富士フイルム和光純薬)、PGG(ペンタガロイルグルコース、Sigma Aldrich)、GA(没食子酸、Sigma Aldrich)、DMSO(ジメチルスルフォキシド、Sigma Aldrich)を用いた。各試薬は、DMEM培地(血清なし)を用いて以下の評価試験方法に記載の試験濃度に希釈して、本試験に使用した。
【0030】
3.コラーゲン受容体産生促進活性の評価試験方法
(1)コラーゲン受容体Endo180の産生促進効果試験
1)試験方法
NHDF細胞を12-well プレートに80,000cells/wellで播種して、24時間培養した。培養後、培地を除去して、培地を用いて調製し、IQC、PGG、GAの最終濃度が表1に記載の濃度になるように希釈して培養を継続した。なお表1における「DMSO」は、ジメチルスルフォキシドの略である。
【0031】
【0032】
各コラーゲン受容体産生促進効果を確認するために、培養液中の最終濃度は次の表2になるように添加した。
【0033】
培地交換後48時間培養し、その後、培地を除去して、細胞を2mlのPBSで洗浄した。細胞は100μl Laemmli buffer(0.09 M Tris-HCl(pH6.8)、3% SDS、10.3% glycerol)に溶解し、エッペンドルフチューブに回収して、超音波破砕(10秒処理、5秒氷上静置を3回)にかけて細胞を溶解させた。
次いで、4℃で15,000×gの条件で5分間遠心分離した。上清を4×SDS-loading bufferと混合し、95℃で3分間熱処理した。次いで、SDS-PAGEにかけてタンパク質を分離した。ゲル内のタンパク質は電気的にPVDF膜に転写した。
転写後、膜をStartingBlock Blocking Buffer(Thermo Fisher Scientific)に浸し、約15分間ブロッキングした。次に、PVDF膜をStartingBlockで1,000倍希釈した一次抗体、Anti-DDR2(AF2538、R&D systems)、Anti-Endo180(ab70132、abcam)、Anti-Integrin β1(MAB1965、Millipore)、またはAnti-βActin(sc-47778、Santa Cruz Biotechnology)に浸し、4℃で一晩反応させた。
その後PBST(PBS、0.05% Tween 20)を用いて4回洗浄後、10,000倍希釈した二次抗体、Rabbit anti-Goat IgG(H+L)Secondary Antibody(HRP,Polyclonal,Invitrogen,81-1620,Thermo Fisher Scientific)、Goat Anti-rabbit IgG,HRP-linked Antibody(7074S, CST)又は Goat anti-Mouse IgG (H+L) Cross-Adsorbed(HRP, Polyclonal,Secondary Antibody,Invitrogen,G21040,Thermo Fisher Scientific)に浸し、室温で1時間反応させた。
反応終了後にPBSTで4回洗浄し、次いでECL detection kitを用いて、化学発光検出装置(LAS-4000 mini、Fuji Film)でシグナルを検出した。検出されたEndo180に相当するバンドのシグナル強度を解析(Multi Gauge,Fuji Film)し、βActinのバンドシグナル強度で標準化して、DMSOのみが含有されているコントロール溶液(ネガティブコントロール)に対する相対値を算出しコラーゲン受容体Endo180の増加量を評価した。
【0034】
2)結果
PGG、IQC、GAによるコラーゲン受容体Endo180タンパク質の産生促進効果の測定結果を表2及び
図1に示す。
【0035】
【0036】
図1、表2に示す通り、PGGとGA又はIQCを併用すると相乗的にEndo180の産生が促進された。PGGのコラーゲン受容体産生促作用は、GA及び/又はIQCによって相乗的に促進されることが確認できた。
【0037】
(2)コラーゲン受容体DDR2の産生促進効果試験
1)試験方法
Endo180の産生促進試験と同様に試験を行った。なおDDR2に相当するバンドのシグナル強度の解析(Multi Gauge,Fuji Film)を行い、βActinのバンドシグナル強度で標準化して、DMSOのみを含有するコントロール(ネガティブコントロールDMSO(0.05%)に対する相対値を算出しコラーゲン受容体DDR2の増加量を評価した。
なお試験に用いたIQC、PGG、GAの最終濃度は、表3に記載の通りとした。
【0038】
【0039】
2)結果
PGG、IQC、GAによるコラーゲン受容体DDR2の産生促進効果の測定結果を表4及び
図2に示す。
【0040】
【0041】
PGG、IQC、GAは、強いDDR2産生促進作用を有している。その作用は、相互に併用すると、単独で用いた同濃度の効果の2倍以上のDDR2の産生促進効果を発揮することが判明した。
【0042】
以上の産生促進効果試験の結果からPGG、IQC、GAはコラーゲン受容体の産生を促進し、その活性は、併用によって増強されることが判明した。