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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】室圧調整システム及び室圧調整装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240528BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240528BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240528BHJP
   A61L 2/16 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F7/007 B
F24F11/77
A61L2/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019227408
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021096032
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 智
(72)【発明者】
【氏名】天野 健太郎
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-171587(JP,A)
【文献】特開2004-138270(JP,A)
【文献】特開昭60-113079(JP,A)
【文献】特開昭62-169948(JP,A)
【文献】特開2001-241741(JP,A)
【文献】特開2011-231989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 7/06
F24F 11/00-11/89
A61L 2/16-2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除染対象とする室の内部の圧力を調整する調整部と、
前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記室の内部の圧力を前記室の外部の圧力より低く維持するように前記調整部を制御する制御部と、
前記室から空気を排出する排気経路と、
前記排気経路に設けられた排気ファンと、
前記排気経路の前記排気ファンより上流側に接続され、前記室の外部に連通した接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記室の外部から前記排気経路へ空気を供給可能とするダンパと、を備え、
前記調整部は、除染時に前記ダンパを介して前記排気経路へ供給される空気量を調整すると共に、
前記接続経路は、前記排気経路の前記排気ファンより下流側に連通した還流経路を含む、室圧調整システム。
【請求項2】
除染対象とする室の内部の圧力を調整する調整部と、
前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記室の内部の圧力を前記室の外部の圧力より低く維持するように前記調整部を制御する制御部と、
前記室から空気を排出する排気経路と、
前記排気経路に設けられた排気ファンと、
前記排気経路の前記排気ファンより上流側に接続され、前記室の外部に連通した接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記室の外部から前記排気経路へ空気を供給可能とするダンパと、を備え、
前記調整部は、除染時に前記ダンパを介して前記排気経路へ供給される空気量を調整すると共に、
前記室へ空気を供給する供給経路と、前記排気経路の前記排気ファンより下流側と、を連通する循環経路を備え、前記接続経路は、前記循環経路に接続されている、室圧調整システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記室の内部の圧力を、前記室の内部における前記除染薬剤の必要量が維持される圧力とするように前記調整部を制御する、
請求項1又は2に記載の室圧調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室圧調整システム及び室圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、除染手段によって生成された除染ガスが、アイソレータの内部の作業室へ供給されるアイソレータシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-219281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のアイソレータシステムにおいては、アイソレータの作業室内の圧力が外圧に対して陽圧に維持される。このように除染対象とする室の圧力を外圧に対して陽圧にした場合、除染薬剤が室の周囲に漏出する可能性が高くなる。ところが、除染薬剤の種類によっては、除染対象とする室の周囲に漏出させないようにした方が好ましい場合がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、室の内部を除染しつつ、除染薬剤が想定外の箇所から室の外部へ漏出することを抑制できる室圧調整システム及び室圧調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の室圧調整システムは、除染対象とする室の内部の圧力を調整する調整部と、前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記室の内部の圧力を前記室の外部の圧力より低く維持するように前記調整部を制御する制御部と、空調時に前記室から空気を排出する排気経路と、前記室からの空気排出量が前記排気経路より少ない補助排気経路と、を備え、前記調整部は、除染時に前記補助排気経路から排出する前記室の空気量を調整する。
【0007】
一態様の室圧調整システムでは、調整部が、除染対象とする室の内部の圧力を調整する。また、調整部が制御部によって制御されることにより、室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室の内部の圧力が室の外部の圧力より低く維持される。これにより、室の内部を除染しつつ、除染薬剤が想定外の箇所から室の外部へ漏出することを抑制できる。
【0008】
一態様の室圧調整システムは、空調時に前記室から空気を排出する排気経路と、前記室からの空気排出量が前記排気経路より少ない補助排気経路と、を備え、前記調整部は、除染時に前記補助排気経路から排出する前記室の空気量を調整する。
【0009】
一態様の室圧調整システムでは、調整部は、除染時に補助排気経路から排出する空気量を調整する。補助排気経路では空気排出量が排気経路より少ない。これにより、排気経路から排出される空気量を調整する場合と比較して、空気排出量を細かく制御でき、室の内部の圧力を細かく調整できる。
一態様の室圧調整システムは、前記補助排気経路に設けられた排気ファンの最大出力が、前記排気経路に設けられた排気ファンの最少出力より小さい。
【0010】
一態様の室圧調整システムは、除染対象とする室の内部の圧力を調整する調整部と、
前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記室の内部の圧力を前記室の外部の圧力より低く維持するように前記調整部を制御する制御部と、前記室から空気を排出する排気経路と、前記排気経路に設けられた排気ファンと、前記排気経路の前記排気ファンより上流側に接続され、前記室へ空気を供給する供給経路において、給気ファンより上流側に連通した分流経路と、前記分流経路に設けられ、前記室の外部から前記排気経路へ空気を供給可能とするダンパと、を備え、前記調整部は、除染時に前記ダンパを介して前記排気経路へ供給される空気量を調整する。
【0011】
一態様の室圧調整システムでは、排気経路から室の空気が排出される。また、接続経路及びダンパを介して、室の外部から排気経路へ空気が供給される。そして、調整部はダンパを介して排気経路へ供給される空気量を調整する。例えば排気ファンの回転速度を一定にした状態で、ダンパを介して接続経路から排気経路へ供給される空気量を多くすれば、室からの空気排出量が少なくなる。一方、ダンパを介して接続経路から排気経路へ供給される空気量を少なくすれば、室からの空気排出量が多くなる。これにより、室からの空気排出量が調整され、室の内部の圧力が調整される。
【0012】
また、排気経路へ供給される空気が室の外部から得られる。このため、当該空気を室の内部のみから得る場合と異なり、室の内部の圧力に影響を及ぼし難い。
【0013】
一態様の室圧調整システムは、前記接続経路は、前記室へ空気を供給する供給経路に連通した分流経路を含む。
【0014】
一態様に記載の室圧調整システムでは、室へ空気を供給する供給経路に連通した分流経路から、排気経路へ空気が供給される。室へ空気を供給する供給経路は、一般的な給排気システムにおいて設けられる汎用的な空気経路である。すなわち、排気経路へ空気を供給するための分流経路を、汎用的な空気経路に接続することができる。これにより、排気経路へ空気を引き込むために、建物に貫通孔を形成したり分流経路にガラリやベントキャップなどの付帯設備を設けたりする必要がない。このため、システムの構成を簡略化できる。
【0015】
請求項1の室圧調整システムは、除染対象とする室の内部の圧力を調整する調整部と、前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記室の内部の圧力を前記室の外部の圧力より低く維持するように前記調整部を制御する制御部と、前記室から空気を排出する排気経路と、前記排気経路に設けられた排気ファンと、前記排気経路の前記排気ファンより上流側に接続され、前記室の外部に連通した接続経路と、前記接続経路に設けられ、前記室の外部から前記排気経路へ空気を供給可能とするダンパと、を備え、前記調整部は、除染時に前記ダンパを介して前記排気経路へ供給される空気量を調整すると共に、前記接続経路は、前記排気経路の前記排気ファンより下流側に連通した還流経路を含む。
【0016】
請求項1に記載の室圧調整システムでは、排気経路の排気ファンより下流側に連通した還流経路から、排気経路の排気ファンより上流側へ空気が供給される。すなわち、排気経路へ空気を供給するための分流経路を、排気経路自体に接続することができる。これにより、排気経路へ空気を引き込むために、建物に貫通孔を形成したり分流経路にガラリやベントキャップなどの付帯設備を設けたりする必要がない。このため、システムの構成を簡略化できる。
【0017】
請求項2の室圧調整システムは、除染対象とする室の内部の圧力を調整する調整部と、前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記室の内部の圧力を前記室の外部の圧力より低く維持するように前記調整部を制御する制御部と、前記室から空気を排出する排気経路と、前記排気経路に設けられた排気ファンと、前記排気経路の前記排気ファンより上流側に接続され、前記室の外部に連通した接続経路と、前記接続経路に設けられ、前記室の外部から前記排気経路へ空気を供給可能とするダンパと、を備え、前記調整部は、除染時に前記ダンパを介して前記排気経路へ供給される空気量を調整すると共に、前記室へ空気を供給する供給経路と、前記排気経路の前記排気ファンより下流側と、を連通する循環経路を備え、前記接続経路は、前記循環経路に接続されている。
【0018】
請求項2に記載の室圧調整システムでは、室へ空気を供給する供給経路と、排気経路の排気ファンより下流側とが、循環経路で連通された方式(所謂「循環空調方式」)とされている。循環空調方式は、一般的な給排気システムのうちのひとつである。すなわち、排気経路へ空気を供給するための接続経路を、汎用的な空気経路に接続することができる。これにより、排気経路へ空気を引き込むために、建物に貫通孔を形成したり接続経路にガラリやベントキャップなどの付帯設備を設けたりする必要がない。このため、システムの構成を簡略化できる。
【0019】
請求項3の室圧調整システムは、請求項1又は請求項2に記載の室圧調整システムにおいて、前記制御部は、前記室の内部の圧力を、前記室の内部における前記除染薬剤の必要量が維持される圧力とするように前記調整部を制御する。
【0020】
請求項3の室圧調整システムでは、制御部が、室の圧力を、除染薬剤の必要量が維持される圧力とする。これにより、除染薬剤が室の外部へ漏出することを抑制しつつ、室の内部を確実に除染できる。
【0021】
一態様の室圧調整装置は、除染対象とする室の内部の圧力と前記室の外部の圧力との圧力差を取得する取得部と、前記室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、前記圧力差を前記室の内部の圧力が前記室の外部の圧力より低い場合の圧力差に維持するように、前記室の内部の圧力を調整する調整部を制御する制御部と、を備え、前記調整部は、室からの空気排出量が排気経路より少ない補助排気経路から、除染時に排出する前記室の空気量を調整する。
【0022】
一態様の室圧調整装置では、調整部が、除染対象とする室の内部の圧力を調整する。また、調整部が制御部によって制御されることにより、室の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室の内部の圧力が室の外部の圧力より低く維持される。これにより、室の内部を除染しつつ、除染薬剤が想定外の箇所から室の外部へ漏出することを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、室の内部を除染しつつ、除染薬剤が想定外の箇所から室の外部へ漏出することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る室圧調整システム全体の構成の一例を示す構成図である。
図2】第1実施形態に係る室圧調整装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る室圧調整装置の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る室圧調整処理の一例を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る室圧調整システム全体の構成の一例を示す構成図である。
図6】第2実施形態に係る室圧調整装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図7】第2実施形態に係る室圧調整装置の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
図8】第2実施形態に係る室圧調整処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る室圧調整システム全体の構成の一例を示す構成図である。
図10】第3実施形態に係る室圧調整装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図11】第4実施形態に係る室圧調整システム全体の構成の一例を示す構成図である。
図12】第4実施形態に係る室圧調整装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図13】第5実施形態に係る室圧調整システム全体の構成の一例を示す構成図である。
図14】第5実施形態に係る室圧調整装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図15】実施形態に係る室圧調整システムにおいて排気経路及び供給経路以外の経路を設けない構成とした変形例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る室圧調整システム及び室圧調整装置について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する、又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0026】
[第1実施形態]
<室圧調整システム>
(全体構成)
図1には、本発明の第1実施形態に係る室圧調整システム80の全体構成が示されている。室圧調整システム80は、建物R2における室R1の内部の圧力(以下、「室圧」と称す)を所定の範囲内に維持するための空気調和設備である。
【0027】
建物R2は、例えば無菌製薬製造施設やバイオセーフティ施設等とされ、室R1においては、室R1の内部に存在する微生物を殺菌する需要がある。このため、室R1においては、ホルマリン、過酸化水素、過酢酸及び二酸化塩素等のガス(又は蒸気等)を室R1の内部に噴霧する、所謂「室内除染」が行われる。
【0028】
室内除染を行う際には、想定外の箇所、例えば室R1の各所の隙間(目地、窓等の開口部、設備貫通部等)や空調系統等を経由して、隣室や天井内の空間(例えばISS:Interstitial Space System)等に除染薬剤が漏洩することがある。この漏洩を助長する要因としては、例えば薬剤の投入や温度上昇によって、室R1の内部が隣室や天井内の空間に対して陽圧(室R1の室圧が、隣室や天井内の空間の圧力より高い状況)になることが挙げられる。特に、図1に示すように、除染装置22を室R1の外に設置して、室R1の外側から内側へ除染薬剤を投入するアウトドライブ方式を採用した場合、室R1の内部が陽圧となりやすい。
【0029】
本実施形態に係る室圧調整システム80は、室R1の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室R1の室圧を室R1の外部の圧力より低く維持する(以下、「室R1の室圧を陰圧に維持する」と称す)ための圧力調整システムである。
【0030】
(室圧調整システム)
そこで、室圧調整システム80は、室圧調整装置10と、差圧計20と、除染装置22と、調整部24Aと、を備えて構成されている。
【0031】
室圧調整装置10は、室R1の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室R1の室圧を陰圧に維持するように調整部24Aを制御する。
【0032】
差圧計20は、室R1の室圧と、室R1の外部の圧力との差圧を示す情報(以下、「差圧情報」と称す)を検知する。この差圧情報は、室R1の室圧から室R1の外部の圧力を引いた値(「室R1の室圧」と「室R1の外部の圧力」との差)として検知される。
【0033】
除染装置22は、アウトドライブ方式によってホルマリン、過酸化水素、過酢酸、及び二酸化塩素等のガス(又は蒸気等)を室R1の内部に噴霧する装置である。なお、除染装置22は、室R1の内部に配置してもよい。
【0034】
調整部24Aは、除染対象とする室R1の室圧を調整する調整機構である。調整部24Aは、排気装置30と、給気装置40と、補助排気装置60と、を備えて構成されている。
【0035】
排気装置30は、空調時に室R1から空気を排出するダクトである排気経路L1に設けられている。排気装置30は、排気ファン32、排気ファン32の上流側(空気の流れる方向における上流側)に設けられた気密ダンパ34、及び、排気ファン32と気密ダンパ34との間に設けられたモーターダンパ36と、を含んで構成されている。また、排気経路L1と室R1との境界部には、ガラリやベントキャップ等を用いて構成された排気口F1が設けられている。
【0036】
なお、「モーターダンパ」はダクトの風量を機械的に調整するダンパである。モーターダンパ36には図示しない翼及び電動機が取り付けられており、これらによって排気経路L1の風量(単位時間当たりの空気流量)を調整できる。以下の説明におけるモーターダンパ46、66についても同様である。
【0037】
給気装置40は、空調時に室R1へ空気を供給するダクトである供給経路L2に設けられている。給気装置40は、給気ファン42、給気ファン42の下流側に設けられた気密ダンパ44、及び、給気ファン42と気密ダンパ44との間に設けられたモーターダンパ46と、を含んで構成されている。また、供給経路L2と室R1との境界部には、ガラリやベントキャップ等を用いて構成された給気口F2が設けられている。
【0038】
補助排気装置60は、除染時に室R1から空気を排出する補助排気経路L8に設けられている。補助排気装置60は、排気ファン62、排気ファン62の上流側に設けられた気密ダンパ64、及び、排気ファン62と気密ダンパ64との間に設けられたモーターダンパ66と、を含んで構成されている。また、補助排気経路L8と室R1との境界部には、ガラリやベントキャップ等を用いて構成された排気口F3が設けられている。
【0039】
補助排気経路L8は、除染時専用の排気ダクトであり、室R1からの空気排出量が排気経路L1より少ない。具体的には、排気ファン62の最大出力が、排気ファン32の最大出力より小さい。好ましくは、排気ファン62の最大出力が、排気ファン32の最小出力より小さい。このため、補助排気経路L8における単位時間あたりの空気排出量は、排気経路L1における単位時間当たりの空気排出量より少なくできる。本実施形態においては、調整部24Aは、除染時に補助排気経路L8から排出する室R1の空気量を調整する。
【0040】
(室圧調整装置の電気的な構成)
図2には、室圧調整装置10の電気的な構成を示すブロック図が示されている。室圧調整装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置16(R/W)、通信インタフェース(I/F)部18及び外部I/F部19を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、通信I/F部18及び外部I/F部19はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0041】
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、室圧調整プログラム13Aが記憶されている。室圧調整プログラム13Aは、室圧調整プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの室圧調整プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、室圧調整プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、室圧調整プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0042】
また、記憶部13には、基本情報データベース13Bが記憶される。基本情報データベース13Bについては、詳細を後述する。
【0043】
なお、本実施形態においては、外部I/F部19に調整部24A(排気ファン32、気密ダンパ34、モーターダンパ36、排気ファン62、気密ダンパ64、モーターダンパ66、給気ファン42、気密ダンパ44及びモーターダンパ46)が接続されており、これらの各部が制御部11によって制御可能とされている。同様に、外部I/F部19に差圧計20及び除染装置22が接続されており、これらの各部が制御部11によって制御可能とされている。
【0044】
(室圧調整装置の機能的な構成)
次に、図3を参照して、本実施形態に係る室圧調整装置10の機能的な構成について説明する。図3に示すように、室圧調整装置10は、本発明における取得部の一例としての差圧情報取得部11A及び制御部11Bを含んで構成されている。室圧調整装置10のCPU11が室圧調整プログラム13Aを実行することで差圧情報取得部11A及び制御部11Bとして機能する。
【0045】
差圧情報取得部11Aは、差圧計20が検知した差圧情報を取得する。すなわち、差圧情報取得部11Aは、除染対象とする室R1の室圧と室R1の外部の圧力との圧力差を取得する。制御部11Bは、室R1の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室R1の室圧を陰圧に維持する(室R1の室圧を室R1の外部の圧力より低く維持する)ように調整部24Aを制御する。
【0046】
具体的には、制御部11Bは、除染時に給気装置40の駆動を停止する。つまり、図1に示す給気ファン42及びモーターダンパ46の駆動を停止し、気密ダンパ44を閉鎖する。また、制御部11Bは、除染時に排気装置30の駆動を停止する。つまり、排気ファン32及びモーターダンパ36の駆動を停止し、気密ダンパ34を閉鎖する。
【0047】
さらに、制御部11Bは、除染時に補助排気装置60を駆動させる。つまり、図1に示す排気ファン62及びモーターダンパ66を駆動させ、気密ダンパ64を開放する。
【0048】
室R1からの空気の排出量(単位時間あたりの排出量)は、排気ファン62を駆動させるモータの単位時間あたりの回転数、及び、モーターダンパ66による補助排気経路L8の空気流量の少なくとも一方を制御することで調整される。この回転数及び空気流量の何れかを制御すれば、室R1からの空気の排出量を調整できる。また、回転数及び空気流量の双方を制御すれば、室R1からの空気の排出量を、より細かく調整できる。
【0049】
<作用>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る室圧調整システム80の作用を説明する。ユーザからの入力部14(図1参照)を介した実行指示等に応じて、室圧調整装置10のCPU11が室圧調整プログラム13Aを実行することにより、図4に示す室圧調整処理が実行される。
【0050】
なお、錯綜を避けるため、除染時における除染装置22からの除染薬剤の噴霧量(単位時間当たりの噴霧量)が予め定められている場合について説明する。
【0051】
室圧調整プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ200Aで、制御部11Bは、上述したように給気装置40及び排気装置30の駆動を停止する。また、ステップ200Aで、制御部11Bは、上述したように補助排気装置60の駆動を開始する。
【0052】
ステップ202で、差圧情報取得部11Aは、差圧計20から差圧情報(例えば差圧P0)を取得する。
【0053】
ステップ203で、制御部11Bは、取得した差圧情報に基づき、除染装置22から除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態における室R1の内部と室R1の外部との差圧(除染時差圧)を予測する(予測差圧P1)。
【0054】
具体的には、制御部11Bは、ステップ202で取得された差圧情報が示す差圧(差圧P0)に対して、除染薬剤を噴霧することによる室R1の室圧の上昇量(増加圧力ΔP)を付加することで、予測差圧P1を算出する(P1=P0+ΔP)。
【0055】
本実施形態では、除染薬剤の単位時間あたりの噴霧量に対応する室R1の室圧の上昇量(増加圧力ΔP)が、上述した基本情報データベース13Bに記憶されている。制御部11Bは、予め定められた除染薬剤の単位時間当たりの噴霧量に対応する室R1の増加圧力ΔPを、基本情報データベース13Bから読み出して、除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態における予測差圧P1を算出する。
【0056】
ステップ204で、制御部11Bは、予測差圧P1が所定の範囲内か否かを判定する。ここで「所定の範囲」とは、除染装置22から除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態において、室R1の室圧が陰圧に維持される範囲である。
【0057】
より具体的には、「所定の範囲」とは、除染装置22から除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態において、予測差圧P1が次の関係式(1)を満たすように維持される範囲である。
【0058】
H1[Pa]<P1<0[Pa] ・・・(1)
【0059】
予測差圧P1を0[Pa]より小さく維持することで、除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態において、除染薬剤が室R1の内部から室R1の外部へ漏洩することを抑制できる。また、予測差圧P1をH1[Pa](H1<0)より大きく維持することで、室R1の室圧を、室R1の内部における除染薬剤の必要量が維持される圧力とすることができる。
【0060】
より好ましくは、「所定の範囲」とは、除染装置22から除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態において、予測差圧P1が次の関係式(2)を満たすように維持される(換言すると、-10[Pa]程度となるように維持される)範囲である。
【0061】
H2[Pa]<P1<H3[Pa] ・・・(2)
(H1<H2<H3<0)
【0062】
予測差圧P1をH3[Pa]より小さく維持することで、除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態において、例えば室R1の室圧を突発的に大きくする外乱(窓、扉等の開け閉めや、隙間等からの空気の流入等)が生じた場合においても、室R1の室圧を陰圧に維持し易い。また、予測差圧P1をH2[Pa]より大きく維持することで、除染薬剤による除染効果を発揮することができる。なお、一例として、本実施形態においてはH2<-10[Pa]<H3とされている。
【0063】
なお、関係式(1)、(2)に示したH1、H2、H3の各値は、除染薬剤の種類、除染対象としての微生物の種類及び微生物の濃度、並びに室R1の面積や気密性などに応じて、適宜変更できる。
【0064】
ステップ204で肯定判定となった場合は、ステップ206へ移行する。ステップ204で否定判定となった場合は、ステップ208Aへ移行する。
【0065】
ステップ208Aで、制御部11Bは、補助排気装置60を調整する。具体的には、例えば予測差圧P1が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン62の出力を大きくする(回転数を多くする)。又は、モーターダンパ66による補助排気経路L8の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。そして補助排気装置60を調整した後は、ステップ202へ戻る。
【0066】
ステップ206で、制御部11Bは、除染装置22の駆動を開始して、除染薬剤を室R1の内部に噴霧する。
【0067】
ステップ210で、差圧情報取得部11Aは、差圧計20が検知した差圧情報(例えば
差圧P2)を取得する。
【0068】
ステップ212で、制御部11Bは、差圧P2が所定の範囲内か否かを判定する。ここでの「所定の範囲」とは、予測差圧P1に関する所定の範囲と同様であり、具体的には、除染装置22から除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態において、差圧P2が次の関係式(3)、好ましくは(4)式を満たすように維持される範囲である。
【0069】
H1[Pa]<P2<0[Pa] ・・・(3)
H2[Pa]<P2<H3[Pa] ・・・(4)
【0070】
ステップ212で肯定判定となった場合は、ステップ214へ移行する。ステップ212で否定判定となった場合は、ステップ216Aへ移行する。
【0071】
ステップ216Aで、制御部11Bは、補助排気装置60を調整する。具体的には、例えば差圧P2が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン62の出力を大きくする。又は、モーターダンパ66による補助排気経路L8の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、差圧P2を所定の範囲内に移行させる。そして補助排気装置60を調整した後は、ステップ210へ戻る。
【0072】
ステップ214で、制御部11Bは、この室圧調整処理の終了タイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ210に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ218Aへ移行する。
【0073】
ステップ218Aで、制御部11Bは、除染装置22及び補助排気装置60の駆動を停止し、給気装置40及び排気装置30の駆動を再開した後に、この室圧調整処理を終了する。ステップ218Aの処理により、平常時の空調モードへ移行する。なお、本実施形態においては、室圧調整処理の終了タイミングは、室R1の室内除染が終了したタイミングとされている。室R1の室内除染は、例えば入力部14を介した終了指示操作によって終了される。
【0074】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る室圧調整システム80においては、調整部24Aが、除染対象とする室R1の室圧を調整する。また、調整部24Aが制御部11Bによって制御されることにより、室R1の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室R1の室圧が室R1の外部の圧力より低く維持される。
【0075】
これにより、室R1の内部を除染しつつ、除染薬剤が想定外の箇所(室R1の各所にある隙間(目地、窓等の開口部、設備貫通部等)や空調系統等)から室R1の外部へ漏出することを抑制できる。したがって、建物R2において室R1以外の室等を使用しながら室R1を除染できる。
【0076】
また、室圧調整システム80においては、調整部24Aは、除染時に補助排気経路L8から排出する空気量を調整する。補助排気経路L8では空気排出量が排気経路L1より少ない。
【0077】
これにより、排気経路L1から排出される空気量を調整する場合と比較して、空気排出量を細かく制御でき、室R1の室圧を細かく調整できる。
【0078】
[第2実施形態]
図5には、本発明の第2実施形態に係る室圧調整システム82の全体構成が示されている。本実施形態においては、上述した第1実施形態に係る室圧調整システム80と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同様の効果についても説明を省略する。後述する各実施形態においても同様である。
【0079】
室圧調整システム82においては、図6又は図7にも示すように、室圧調整システム80における補助排気経路L8及び補助排気装置60に代えて、接続経路L3及び気密ダンパ50を備えている。
【0080】
接続経路L3は、排気経路L1の排気ファン32より上流側に接続され、室R1の外部に連通した空気ダクトである。また、気密ダンパ50は、接続経路L3に設けられ、室R1の外部から排気経路L1へ空気を供給可能とする。
【0081】
また、本実施形態に係る調整部24Bは、排気装置30と、給気装置40と、気密ダンパ50と、を備えて構成されている。この調整部24Bは、除染時に気密ダンパ50を介して排気経路L1へ供給される空気量を調整する。すなわち、調整部24Bは、排気ファン32の出力及びモーターダンパ36の出力の少なくとも一方を調整する。この調整結果に応じて、気密ダンパ50を介して排気経路L1へ供給される空気量が決定(調整)される。
【0082】
<作用>
次に、図8を参照して、本実施形態に係る室圧調整システム82の作用を説明する。室圧調整システム82においては、室圧調整システム80における各ステップ200A、208A、216A、218Aに代えて、ステップ200B、208B、216B、218Bが実行される。他の各ステップについては室圧調整システム80と同様であり説明を省略する。
【0083】
室圧調整プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ200Bで、制御部11Bは、上述したように給気装置40の駆動を停止する。また、ステップ200Bで、制御部11Bは、排気装置30を駆動させた状態で、気密ダンパ50を操作(開放)する。これにより、排気経路L1には、室R1の内部の空気に加え、接続経路L3を介して室R1の外部の空気が流入する。
【0084】
ステップ208Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば予測差圧P1が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0085】
ステップ216Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば差圧P2が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、差圧P2を所定の範囲内に移行させる。
【0086】
ステップ218Bでは、除染装置22の駆動を停止し、気密ダンパ50を操作(閉鎖)し、給気装置40の駆動を開始する。また、必要に応じて排気装置30を調整する。
【0087】
なお、ステップ208B、216Bにおいて、制御部11Bは、気密ダンパ50を開放して接続経路L3から排気経路L1に空気が流入した状態を維持しつつ、排気装置30を調整する。
【0088】
このため、接続経路L3から空気が流入しない場合と比較して、排気ファン32の出力増分に対する室R1から排出される空気量の増分が少なくなる。これにより、室R1から排出される空気量を微調整できる。すなわち、排気ファン32の出力又はモーターダンパ36の出力を調整することにより、気密ダンパ50を介して排気経路L1へ供給される空気量が調整される。
【0089】
このように、制御部11Bは、排気ファン32の出力及びモーターダンパ36による排気経路L1の空気流量の少なくとも何れかを調整することにより、室R1から排出される空気量を調整できる。
【0090】
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る室圧調整システム82では、排気経路L1から室R1の空気が排出される。また、接続経路L3及び気密ダンパ50を介して、室R1の外部から排気経路L1へ空気が供給される。そして、調整部24Bは気密ダンパ50を介して排気経路L1へ供給される空気量を調整する。これにより、室R1からの空気排出量が調整され、室R1の室圧が調整される。
【0091】
また、排気経路L1へ供給される空気が室R1の外部から得られるため、当該空気を室R1の内部のみから得る場合と異なり、室R1の室圧に影響を及ぼし難い。
【0092】
[第3実施形態]
図9には、本発明の第3実施形態に係る室圧調整システム84の全体構成が示されている。室圧調整システム84においては、室圧調整システム82における接続経路L3及び気密ダンパ50(図5参照)に代えて、図10にも示すように、分流経路L4、気密ダンパ52Aを備えている。
【0093】
分流経路L4は、排気経路L1の排気ファン32より上流側に接続され、室R1へ空気を供給する供給経路L2に連通した空気ダクトである。気密ダンパ52Aは、分流経路L4に設けられている。気密ダンパ52Aを開放することにより、室R1の外部である供給経路L2から排気経路L1へ空気が供給可能となる。
【0094】
また、本実施形態に係る調整部24Cは、排気装置30、給気装置40及び気密ダンパ52Aを備えて構成されている。この調整部24Cは、除染時に気密ダンパ52Aを介して排気経路L1へ供給される空気量を調整する。すなわち、調整部24Cは、排気ファン32の出力及びモーターダンパ36の出力の少なくとも一方を調整する。この調整結果に応じて、気密ダンパ52Aを介して排気経路L1へ供給される空気量が決定(調整)される。
【0095】
<作用>
次に、図8を参照して、本実施形態に係る室圧調整システム84の作用を説明する。室圧調整システム84の作用は室圧調整システム82の作用と同様であり、室圧調整システム80における各ステップ200A、208A、216A、218Aに代えて、ステップ200B、208B、216B、218Bが実行される。
【0096】
室圧調整プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ200Bで、制御部11Bは、上述したように給気装置40の駆動を停止する。また、ステップ200Bで、制御部11Bは、排気装置30を駆動させた状態で、「気密ダンパ52A」を操作(開放)する。これにより、排気経路L1には、室R1の内部の空気に加え、「分流経路L4」を介して室R1の外部である「供給経路L2」の空気が流入する。
【0097】
ステップ208Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば予測差圧P1が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この操作により、室R1から排出される空気量を多くして、予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0098】
ステップ216Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば差圧P2が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、差圧P2を所定の範囲内に移行させる。
【0099】
ステップ218Bでは、除染装置22の駆動を停止し、「気密ダンパ52A」を操作(閉鎖)し、給気装置40の駆動を開始する。また、必要に応じて排気装置30を調整する。
【0100】
なお、ステップ208B、216Bにおいて、制御部11Bは、「気密ダンパ52A」を開放して「分流経路L4」から排気経路L1に空気が流入した状態を維持しつつ、排気装置30を調整する。
【0101】
このため、「分流経路L4」から空気が流入しない場合と比較して、排気ファン32の出力増分に対する室R1から排出される空気量の増分が少なくなる。これにより、室R1から排出される空気量を微調整できる。すなわち、「気密ダンパ52A」によって排気経路L1へ供給される空気量が調整される。
【0102】
なお、分流経路L4には、図示しない「モーターダンパ」を設けてもよい。この場合、排気ファン32及びモーターダンパ36を調整するのみで予測差圧P1が所定の範囲内に移行しない場合、制御部11Bは、さらにこの「モーターダンパ」を調整することができる。
【0103】
具体的には、「モーターダンパ」によって分流経路L4の空気流量を少なくして、分流経路L4から排気経路L1へ供給される空気量を減らし、室R1からの空気排出量を増やす。これにより予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0104】
また、分流経路L4に「モーターダンパ」を設ける実施形態において、例えば予測差圧P1又は差圧P2の、所定の範囲内に対する「ずれ量」が小さい場合(一例として±2[Pa]程度)、制御部11Bは、気密ダンパ52Aを開放した状態で、排気ファン32及びモーターダンパ36の調整に「代えて」分流経路L4のモーターダンパのみを調整してもよい。このモーターダンパを調整するだけでも、予測差圧P1及び差圧P2を所定の範囲内に移行させることができる。
【0105】
また、本実施形態においては、除染薬剤が室R1の内部に噴霧されている状態における予測差圧P1及び差圧P2が所定の範囲より「大きい場合」について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0106】
例えば予測差圧P1又は差圧P2が所定の範囲より「小さい場合」においても、排気ファン32の出力、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量及び分流経路L4の「モーターダンパ」による分流経路L4の空気流量を調整することができる。
【0107】
例えば、排気ファン32の出力を小さくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を少なくする。これにより、室R1から排出される空気量が少なくなる。
【0108】
また、排気ファン32の回転速度を一定にした状態で、分流経路L4の「モーターダンパ」による「分流経路L4」の空気流量を多くして「分流経路L4」から排気経路L1へ供給される空気量を多くする。これにより、室R1から排出される空気量が少なくなる。
【0109】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る室圧調整システム84では、室R1へ空気を供給する供給経路L2に連通した分流経路L4から、排気経路L1へ空気が供給される。室R1へ空気を供給する供給経路L2は、一般的な給排気システムにおいて設けられる汎用的な空気経路である。すなわち、排気経路L1へ空気を供給するための分流経路を、汎用的な空気経路に接続することができる。これにより、排気経路L1へ空気を引き込むために、建物R2に貫通孔を形成したり分流経路L4にガラリやベントキャップなどの付帯設備を設けたりする必要がない。このため、システムの構成を簡略化できる。
【0110】
[第4実施形態]
図11には、本発明の第4実施形態に係る室圧調整システム86の全体構成が示されている。室圧調整システム86においては、室圧調整システム82における接続経路L3及び気密ダンパ50(図5参照)に代えて、図12にも示すように、還流経路L5及び気密ダンパ54Aを備えている。
【0111】
還流経路L5は、排気経路L1の排気ファン32より上流側に接続され、かつ、排気経路L1の排気ファン32より下流側に連通した空気ダクトである。また、気密ダンパ54Aは、還流経路L5に設けられ、室R1の外部である排気経路L1において、排気ファン32の下流側から排気ファン32の上流側へ空気を供給する。
【0112】
また、本実施形態に係る調整部24Dは、排気装置30、給気装置40、気密ダンパ54Aを備えて構成されている。この調整部24Dは、除染時に気密ダンパ54Aを介して排気経路L1(排気ファン32より上流側の部分)へ供給される空気量を調整する。すなわち、調整部24Dは、排気ファン32の出力及びモーターダンパ36の出力の少なくとも一方を調整する。この調整結果に応じて、気密ダンパ54Aを介して排気経路L1へ供給される空気量が決定(調整)される。
【0113】
<作用>
次に、図8を参照して、本実施形態に係る室圧調整システム86の作用を説明する。室圧調整システム86の作用は室圧調整システム82の作用と同様であり、室圧調整システム80における各ステップ200A、208A、216A、218Aに代えて、ステップ200B、208B、216B、218Bが実行される。
【0114】
室圧調整プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ200Bで、制御部11Bは、上述したように給気装置40の駆動を停止する。また、ステップ200Bで、制御部11Bは、排気装置30を駆動させた状態で、「気密ダンパ54A」を操作(開放)する。これにより、排気経路L1には、室R1の内部の空気に加え、「還流経路L5」を介して室R1の外部である「排気経路L1における排気ファン32より下流側」の空気が流入する。
【0115】
ステップ208Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば予測差圧P1が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この操作により、室R1から排出される空気量を多くして、予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0116】
ステップ216Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば差圧P2が上記所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、差圧P2を所定の範囲内に移行させる。
【0117】
ステップ218Bでは、除染装置22の駆動を停止し、「気密ダンパ54A」を操作(閉鎖)し、給気装置40の駆動を開始する。また、必要に応じて排気装置30を調整する。
【0118】
なお、ステップ208B、216Bにおいて、制御部11Bは、「気密ダンパ54A」を開放する。これにより「排気経路L1における排気ファン32より下流側」から排気経路L1に空気が流入した状態を維持しつつ、排気装置30を調整する。
【0119】
このため、「排気経路L1における排気ファン32より下流側」から空気が流入しない場合と比較して、排気ファン32の出力増分に対する室R1から排出される空気量の増分が少なくなる。これにより、室R1から排出される空気量を微調整できる。すなわち、「気密ダンパ54A」によって排気経路L1へ供給される空気量が調整される。
【0120】
なお、還流経路L5には、図示しない「モーターダンパ」を設けてもよい。この場合、排気ファン32及びモーターダンパ36を調整するのみで予測差圧P1が所定の範囲内に移行しない場合、制御部11Bは、さらにこの「モーターダンパ」を調整することができる。
【0121】
具体的には、還流経路L5の「モーターダンパ」によって、還流経路L5の空気流量を少なくして、還流経路L5から排気経路L1へ供給される空気量を減らし、室R1からの空気排出量を増やす。これにより予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0122】
また、上述した第3実施形態に係る室圧調整システム84と同様に、制御部11Bは、気密ダンパ54Aを開放した状態で、排気ファン32及びモーターダンパ36の調整に「代えて」、還流経路L5の「モーターダンパ」のみを調整してもよい。
【0123】
さらに、第3実施形態に係る室圧調整システム84と同様に、制御部11Bは、予測差圧P1又は差圧P2が所定の範囲より「小さい場合」においても、排気ファン32の出力、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量及び還流経路L5の「モーターダンパ」による分流経路L4の空気流量を調整することができる。
【0124】
このように、制御部11Bは、排気ファン32の出力、及びモーターダンパ36による排気経路L1の空気流量及び還流経路L5の「モーターダンパ」による還流経路L5の空気流量の少なくとも何れかを調整することにより、室R1から排出される空気量を調整できる。
【0125】
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係る室圧調整システム86では、排気経路L1の排気ファン32より下流側に連通した還流経路L5から、排気経路L1の排気ファン32より上流側へ空気が供給される。すなわち、排気経路L1へ空気を供給するための分流経路(還流経路L5)を、排気経路L1自体に接続することができる。これにより、排気経路L1へ空気を引き込むために、建物R2に貫通孔を形成したり分流経路にガラリやベントキャップなどの付帯設備を設けたりする必要がない。また、排気ファン32の周囲の空間を利用してシステムを構築できる。このため、システムの構成を簡略化できる。
【0126】
[第5実施形態]
図13には、本発明の第5実施形態に係る室圧調整システム88の全体構成が示されている。室圧調整システム88においては、室圧調整システム82における接続経路L3(図5参照)に「加えて」、図14にも示すように、循環経路L6、気密ダンパ56A及び気密ダンパ56Bを備えている。また、室圧調整システム82における気密ダンパ50は省略されている。
【0127】
循環経路L6は、室R1へ空気を供給する供給経路L2と、排気経路L1の排気ファン32より下流側と、を連通する空気ダクトである。
【0128】
接続経路L3は、循環経路L6に接続されている。具体的には、接続経路L3は、排気経路L1の排気ファン32より上流側と、循環経路L6と、を連通している。
【0129】
気密ダンパ56Aは、循環経路L6において、接続経路L3が接続された部分より上流側に設けられている。気密ダンパ56Aを開放させることにより、排気経路L1から供給経路L2へ空気が流動可能となる。なお、循環経路L6においては、排気経路L1側を上流側と称し、供給経路L2側を下流側と称す。
【0130】
気密ダンパ56Bは、循環経路L6において、接続経路L3が接続された部分より下流側に設けられている。気密ダンパ56Bを開放させることにより、供給経路L2から排気経路L1へ空気が流動可能となる。
【0131】
また、本実施形態に係る調整部24Eは、排気装置30、給気装置40、気密ダンパ56A及び気密ダンパ56Bを備えて構成されている。この調整部24Eは、除染時に気密ダンパ56A及び気密ダンパ56Bによって、排気経路L1(排気ファン32より上流側の部分)へ供給される空気量を調整する。すなわち、調整部24Eは、排気ファン32の出力及びモーターダンパ36の出力の少なくとも一方を調整する。この調整結果に応じて、気密ダンパ56Bを介して排気経路L1へ供給される空気量が決定(調整)される。
【0132】
なお、室圧調整システム88は、室R1へ空気を供給する供給経路L2と、排気経路L1の排気ファン32より下流側とが、循環経路L6で連通された方式(所謂「循環空調方式」)の空調システムに適用されている。循環空調方式においては、平常運転時、排気経路L1の排気ファン32より下流側から供給経路L2へ空気を供給するために、気密ダンパ56Aは開放され、気密ダンパ56Bも開放されている。
【0133】
<作用>
次に、図8を参照して、本実施形態に係る室圧調整システム88の作用を説明する。室圧調整システム88の作用は室圧調整システム82の作用と同様であり、室圧調整システム80における各ステップ200A、208A、216A、218Aに代えて、ステップ200B、208B、216B、218Bが実行される。
【0134】
室圧調整プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ200Bで、制御部11Bは、上述したように給気装置40の駆動を停止する。また、ステップ200Bで、制御部11Bは、排気装置30を駆動させ、「気密ダンパ56B」を開放させた状態で、「気密ダンパ56A」を閉鎖する。これにより、排気経路L1には、室R1の内部の空気に加え、「循環経路L6」及び「接続経路L3」を介して室R1の外部である「供給経路L2」の空気が流入する。
【0135】
ステップ208Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば予測差圧P1が所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0136】
ステップ216Bで、制御部11Bは、排気装置30を調整する。具体的には、例えば差圧P2が所定の範囲より大きい場合は、排気ファン32の出力を大きくする。又は、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量を多くする。この制御により、室R1から排出される空気量を多くして、差圧P2を所定の範囲内に移行させる。
【0137】
ステップ218Bでは、除染装置22の駆動を停止し、「気密ダンパ56A」を開放させ、給気装置40の駆動を開始する。また、必要に応じて排気装置30を調整する。
【0138】
なお、ステップ208B、216Bにおいて、制御部11Bは、「気密ダンパ56B」を開放させて、「供給経路L2」から排気経路L1に空気が流入した状態を維持しつつ、排気装置30を調整する。
【0139】
このため、「供給経路L2」から空気が流入しない場合と比較して、排気ファン32の出力増分に対する室R1から排出される空気量の増分が少なくなる。これにより、室R1から排出される空気量を微調整できる。すなわち、「気密ダンパ56B」によって排気経路L1へ供給される空気量が調整される。
【0140】
なお、「循環経路L6」には、図示しない「モーターダンパ」を設けてもよい。この場合、排気ファン32及びモーターダンパ36を調整するのみで予測差圧P1が所定の範囲内に移行しない場合、制御部11Bは、さらにこの「モーターダンパ」を調整することができる。
【0141】
具体的には、循環経路L6の「モーターダンパ」によって、循環経路L6の空気流量を少なくして、循環経路L6から接続経路L3を介して排気経路L1へ供給される空気量を減らし、室R1からの空気排出量を増やす。これにより予測差圧P1を所定の範囲内に移行させる。
【0142】
また、循環経路L6に「モーターダンパ」を設ける場合、例えば上述した第3実施形態に係る室圧調整システム84と同様に、制御部11Bは、気密ダンパ50を開放した状態で、排気ファン32及びモーターダンパ36の調整に「代えて」循環経路L6のモーターダンパのみを調整してもよい。
【0143】
また、本実施形態においては、第3実施形態に係る室圧調整システム84と同様に、制御部11Bは、予測差圧P1又は差圧P2が所定の範囲より「小さい場合」においても、排気ファン32の出力、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量及び循環経路L6の「モーターダンパ」による循環経路L6の空気流量を調整することができる。
【0144】
このように、制御部11Bは、排気ファン32の出力、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量及び循環経路L6の「モーターダンパ」による循環経路L6の空気流量の少なくとも何れかを調整することにより、室R1から排出される空気量を調整できる。
【0145】
以上説明したように、本発明の第5実施形態に係る室圧調整システム88は、室R1へ空気を供給する供給経路L2と、排気経路L1の排気ファン32より下流側とが、循環経路L6で連通された循環空調方式の空調システムに適用されている。循環空調方式は、一般的な給排気システムのうちのひとつである。すなわち、排気経路L1へ空気を供給するための接続経路L3を、汎用的な空気経路に接続することができる。これにより、排気経路L1へ空気を引き込むために、建物R2に貫通孔を形成したり接続経路L3にガラリやベントキャップなどの付帯設備を設けたりする必要がない。また、接続経路L3のダクト長を短くできる。このため、システムの構成を簡略化できる。
【0146】
なお、上記各実施形態においては、排気経路L1及び供給経路L2に加え、接続経路L3、分流経路L4、還流経路L5、循環経路L6及び補助排気経路L8等の経路を付加する構成としているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0147】
例えば図15に示すように、排気経路L1及び供給経路L2以外の経路を設けない構成としてもよい。すなわち、室圧調整システムを構築するための経路や気密ダンパ、モーターダンパ等を設けない構成とすることができる。
【0148】
具体的には、排気ファン32の出力、及び、モーターダンパ36による排気経路L1の空気流量の少なくとも一方を制御して、室R1から排出される空気量を調整する。このとき、予測差圧P1を上述した(1)式又は(2)式で示す所定の範囲内に維持する。さらに、差圧P2を上述した(3)式又は(4)式で示す所定の範囲内に維持する。これにより、室R1の内部へ除染薬剤を供給する除染時に、室R1の室圧を、室R1の外部の圧力より低く維持できる。
【0149】
なお、排気経路L1及び供給経路L2以外の経路を設けない構成における調整部24Fは、排気装置30と、給気装置40とを備えて構成される。
【0150】
また、上記各実施形態においては、排気経路L1又は補助排気経路L8に、除染薬剤の除去設備を設けていないが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば薬剤の種類に応じて、適宜フィルタ等の除去設備を設けてもよい。
【0151】
また、上記実施形態において、例えば、差圧情報取得部11A、制御部11Bの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0152】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0153】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0154】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。このように、本発明は様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0155】
10 室圧調整装置
11A 差圧情報取得部(取得部)
11B 制御部
24A 調整部
24B 調整部
24C 調整部
24D 調整部
24E 調整部
24F 調整部
32 排気ファン
36 モーターダンパ(ダンパ)
44 気密ダンパ(ダンパ)
46 モーターダンパ(ダンパ)
54A 気密ダンパ(ダンパ)
56A 気密ダンパ(ダンパ)
56B 気密ダンパ(ダンパ)
50 気密ダンパ(ダンパ)
52A 気密ダンパ(ダンパ)
54A 気密ダンパ(ダンパ)
62 排気ファン
64 気密ダンパ(ダンパ)
66 モーターダンパ(ダンパ)
80 室圧調整システム
82 室圧調整システム
84 室圧調整システム
86 室圧調整システム
88 室圧調整システム
L1 排気経路
L2 供給経路
L3 接続経路
L4 分流経路(接続経路)
L5 還流経路(接続経路)
L6 循環経路
L8 補助排気経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15