(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】パルス衝撃波を利用した無針注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/307 20060101AFI20240528BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61M5/307
A61M5/20
(21)【出願番号】P 2022561502
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2021003009
(87)【国際公開番号】W WO2021210785
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0045256
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520331970
【氏名又は名称】ジェイシス メディカル インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】307, 308, 401, 808, 1015, DAERYUNG TECHNO TOWN 8TH, 96, GAMASAN-RO, GEUMCHEON-GU, SEOUL 08501, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソ,キュ・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン・ホワン
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-524120(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0128338(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0127009(KR,A)
【文献】特開2014-147924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/307
A61M 5/30
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス電力を発生させるパワー部と、
前記パルス電力の提供を受けてパルス衝撃波を発生させるパルス衝撃波発生部と、
内部に液体及び前記パルス衝撃波発生部が配置される上部ハウジングと、
前記上部ハウジングと繋がっており、内部に薬物が配置される下部ハウジングと、
前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの間に提供され、前記上部ハウジングから発生する衝撃波を下部ハウジングに伝達する衝撃波伝達部と、
前記下部ハウジングに配置され、前記薬物を噴射する噴射部とを含み、
前記パルス衝撃波発生部は、
前記パルス電力の提供を受けて電流が流れ、一端が前記液体に接触する1つ以上の衝撃波発生電極と、
前記衝撃波発生電極のうちの1つに近接し、前記衝撃波発生電極に接触又は非接触状態で配置される絶縁管とを含み、
前記衝撃波発生電極の一端は前記絶縁管の内部に収容され、
前記衝撃波発生電極に前記パルス電力が供給されると、前記衝撃波発生電極の一端と前記絶縁管との間にマイクロバブルが発生し、前記マイクロバブル
の発生によりスパークが発生する、パルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項2】
前記パワー部は、
電圧と電流を供給する電源供給部と、
電源供給部から供給された電気を貯蔵する電気貯蔵部と、
電気貯蔵部から貯蔵された電気エネルギーをパルス
電力に印加させるスイッチと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項3】
前記パワー部は、
生成されたパルスの形
成を維持させる電気回路を更に含むことを特徴とする請求項2に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項4】
前記衝撃波発生電極は、
第1衝撃波発生電極と、
第2衝撃波発生電極とを含み、
前記絶縁管は、
前記第1衝撃波発生電極が内部に位置し、
前記第1衝撃波発生電極よりも長い第1絶縁管であることを特徴とする請求項
1に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項5】
前記絶縁管は、
前記第2衝撃波発生電極が内部に位置し、前記第2衝撃波発生電極よりも長い第2絶縁管を更に含むことを特徴とする請求項
4に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項6】
前記パルス衝撃波発生部は、
前記パワー部と衝撃波発生電極を連結するケーブルを含むことを特徴とする請求項1に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項7】
前記衝撃波伝達部は、
前記パルス衝撃波発生部から生成されたバブルが前記上部ハウジングの内部の圧力を増加させると、
前記増加した圧力を前記下部ハウジングに伝達することを特徴とする請求項1に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項8】
前記噴射部は、
前記下部ハウジングが前記上部ハウジングの内部の増加した圧力の伝達を受けると、薬物を噴射することを特徴とする請求項1に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【請求項9】
前記下部ハウジングに提供される前記薬物を貯蔵する薬物貯蔵部と、
前記薬物を前記薬物貯蔵部から前記下部ハウジングの方向にのみ伝達されるようにするチェックバルブと、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のパルス衝撃波を利用した無針注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス衝撃波を利用した無針注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物伝達システム(Drug Delivery System)は、人体の疾病や傷の治療のための医薬品の使用時に、従来の方式で発生していた副作用を最小化し、医薬品による治療効果を極大化させて必要な量の薬物を効率的に体内に伝達できるように設計したシステムである。
【0003】
薬物伝達システムにおいて最も多く用いられている注射方式は、正確かつ効率的な薬物の投与が可能であるが、注射時の痛みによる注射恐怖症、再使用による感染リスク、そして多量の医療廃棄物が発生するなどの問題を抱えている。
【0004】
このような問題を解決するために、無針注射器(Needle free injector)のような薬物伝達方式が開発されている。
【0005】
例えば、無針注射技術の1つである液体注射技術は、液体中にレーザ又は電気波を通じた衝撃波を加えて液体を熱膨張させ、この際に発生する圧力を利用して高速の液体柱を発生させて皮膚に液体を注入する技術である。
【0006】
但し、このような液体注射技術は、液体中で衝撃波が発生して液体の密度、温度の種類に応じた熱伝導率、即ち液体の膨張の程度を正確に調節し難いという問題がある。また、液体中に衝撃波を発生させるために高いエネルギーを有し、短いパルス幅を有するレーザパルスを用いる場合、レーザ装置を必要とし、これにより装置の大きさが大きくなり、装置の価格が上昇するという問題がある。更に、レーザビームを液体中に照射するために多量の光学系を要求し、光学系の損傷などの問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体の膨張の程度の調節が容易なうえ、小型かつ経済的な装置に具現可能であり、光学系の損傷を防止できるパルス衝撃波を利用した無針注射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、パルスパワー(Pulsed power)を発生させるパワー部と、前記パルスパワーの提供を受けてパルス衝撃波を発生させるパルス衝撃波発生部と、内部に液体及び前記パルス衝撃波発生部が配置される上部ハウジングと、前記上部ハウジングと繋がっており、内部に薬物が配置される下部ハウジングと、前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの間に提供され、前記上部ハウジングから発生する衝撃波を下部ハウジングに伝達する衝撃波伝達部と、前記下部ハウジングに配置され、前記薬物を噴射する噴射部とを含み、前記パルス衝撃波発生部は、前記パルスパワーの提供を受けて瞬間的に電流が流れるようにする1つ以上の衝撃波発生電極と、前記1つ以上の衝撃波発生電極の間に瞬間的に前記電流が流れることによって前記パルス衝撃波が発生する衝撃波発生部と、前記衝撃波発生電極のうちの少なくとも1つ以上と近接し、前記衝撃波発生電極のうちの少なくとも1つと接触又は非接触状態で配置される絶縁管と、を含むパルス衝撃波を利用した無針注射器によって達成できる。
【0009】
また、本発明の目的は、キャパシタに充電された電圧をスイッチで動作させて瞬間的にパルスパワーを発生させるパワー部と、前記パルスパワーの提供を受けてパルス衝撃波を発生させるパルス衝撃波発生部と、液体及び薬物が配置されるハウジングとを含み、前記液体は、前記パルス衝撃波によって膨張し、前記薬物に圧力を加えて、前記薬物を噴射するパルス衝撃波を利用した無針注射器によって達成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、液体の膨張の程度(例えば、液体中で生成された気体による体積膨張の割合)の調節が容易なうえ、小型かつ経済的な装置に具現可能であり、光学系の損傷を防止できるパルス衝撃波を利用した無針注射器を提供できる。
【0011】
また、マイクロバブルを生成するための低電圧を加えた後にブレークダウン(Break-down)の形成のために高電圧を提供する必要なしに、高電圧さえ提供すれば、マイクロバブルの生成及びブレークダウンの形成が順次行われることから、無針注入器の制御が簡単になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器を概略的に示す断面図である。
【
図1b】
図1aのA領域を-Z方向へ観たときの断面図を概略的に示す図である。
【
図2a】本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器を概略的に示す断面図である。
【
図2b】
図2aのA領域を-Z方向へ観たときの断面図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0014】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いられる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0015】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0017】
図1aは、本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器を概略的に示す断面図である。
図1bは、
図1aのA領域を-Z方向へ観たときの断面図を概略的に示す図である。
【0018】
図2aは、本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器を概略的に示す断面図である。
図2bは、
図2aのA領域を-Z方向へ観たときの断面図を概略的に示す図である。
【0019】
図1a、
図1b、
図2a及び
図2bを参照すると、本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、パワー部100、パルス衝撃波発生部300、及びハウジング200を含む。ハウジング200は、上部ハウジング210及び下部ハウジング220を含む。本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、衝撃波伝達部400及び噴射部800を含む。
【0020】
パワー部100は、キャパシタに充電された電圧をスイッチで動作させて瞬間的にパルスパワーを発生させる。図示してはいないが、例えば、パワー部100は、電源供給部を含む。前記電源供給部は、好ましくはジェネレータであり得る。前記ジェネレータは、パルスパワーを発生させるための電気を提供する。例えば、ジェネレータは、低電圧を高電圧に昇圧し、スイッチによってパルスパワーを発生させることができる。
【0021】
パワー部100は、電気貯蔵部110及びスイッチ120を含むことができる。前記電気貯蔵部110は、好ましくはキャパシタ及びインダクタの中から選択される1つ以上であり得る。
【0022】
また、パワー部100は、生成されたパルスの形成(form)を維持させる電気回路を更に含むことができる。このとき、前記電気回路は、好ましくは「パルスフォーミングネットワーク(PFN)」であり、スクエアパルスのフォーム(form)が寄生インダクタンスによって崩れるのを防止し、パルスの形成(form)を維持させることができる。
【0023】
電源供給部で発生した電気は、電気貯蔵部110に1次的に充電できる。スイッチ120を入れると、電気貯蔵部110に充電されたパルスパワーがパルス衝撃波発生部300に伝達されることができる。スイッチ120は、電気を供給又は遮断できる。スイッチ120は例えば、ユーザによってパルス衝撃波のパルスの幅を調節できる。例えば、使用者によってパルスパワーの幅が数秒単位から数ナノ秒単位まで調節できる。
【0024】
具体的に、パワー部100は、電気貯蔵部110を充電するためのジェネレータ(図示せず)を更に含む。ジェネレータは、交流電圧を直流電圧に変換して電気貯蔵部に電流を提供することによって電気貯蔵部を充電する。電気貯蔵部110が充電された後、スイッチ120を調節することによってパルス衝撃波発生部に特定条件のパルスパワーを提供する。即ち、スイッチ120は、短時間(例えば、数マイクロ秒)で高電圧値に上昇して一定の値に維持される電圧をパルス衝撃波発生部300に提供する。
【0025】
パルス衝撃波発生部300は、パルスパワーの提供を受けてパルス衝撃波を発生させる。パルス衝撃波発生部300は、上部ハウジング210の内部に配置される。パルス衝撃波発生部300は、パルス衝撃波を発生させて上部ハウジング210の内部に配置される液体1000を膨張させる。膨張した液体1000は、衝撃波伝達部400を上部ハウジング210から下部ハウジング220の方向に移動させて薬物2000を噴射部800に噴射させる。
【0026】
パルス衝撃波発生部300は、パルス衝撃波を発生させる。
【0027】
パルス衝撃波発生部300は、ケーブルを含むことができ、一例として、同軸ケーブルであり得る。前記ケーブルは、電流パスを短く維持して低いインダクタンスを維持することができる。ケーブルの低いインダクタンスを維持すれば、速いパルスの発生に有利になり得る。
【0028】
パルス衝撃波発生部300は、1つ以上の衝撃波発生電極、及び1つ以上の絶縁管を含むことができる。1つ以上の衝撃波発生電極は、パルスパワーの提供を受けて高い電圧が印加され得る。
【0029】
1つ以上の衝撃波発生電極は、一例として、第1衝撃波発生電極310及び第2衝撃波発生電極330であり、図示されてはいないが、それ以上の衝撃波発生電極を含むことができる。
【0030】
以下では、第1衝撃波発生電極310及び第2衝撃波発生電極330がそれぞれ1つであることを例として説明したが、本発明はこれに限定されず、第1衝撃波発生電極310及び第2衝撃波発生電極330の中から選択される1つ以上が複数であることもできる。
【0031】
図1a及び
図2aでは、第1衝撃波発生電極310がスイッチ120と連結されていることを例として示したが、これに限定されるものではなく、第1衝撃波発生電極310は、スイッチ120と別途の連結部により連結されることもできる。連結部は、第1衝撃波発生電極310及び第2衝撃波発生電極330のそれぞれと繋がっており、電流が流れるようにするための電圧を印加できる。
【0032】
絶縁管321、322は、衝撃波発生電極310、330のうちの少なくとも1つと隣接する。絶縁管321、322は、衝撃波発生電極310、330のうちの少なくとも1つと接触又は非接触することができる。絶縁管321、322は、第1絶縁管321及び第2絶縁管322を含む。
【0033】
第1絶縁管321の内部には、第1衝撃波発生電極310が配置されることができる。第1絶縁管321の(-)Z方向の長さは、第1衝撃波発生電極310の(-)Z方向の長さよりも長くてもよい。
【0034】
第1絶縁管321は上部から観たとき、これに限定されるものではないが、例えば、円形、四角形などの多様な形状を有することができる。
【0035】
第1衝撃波発生電極310は、第1絶縁管321の内部に挿入される。第1衝撃波発生電極310の一端は、第1絶縁管321の外部に露出しない。より具体的に、第2衝撃波発生電極330の一端と最も近い距離で対向する第1衝撃波発生電極310の一端は、第1絶縁管321の外部に露出しない。
【0036】
衝撃波発生部Gは、衝撃波発生電極310、330の間に瞬間的に電流が流れることによってパルス衝撃波の生成のためのマイクロバブルを発生させる。衝撃波発生部Gは、例えば、第1衝撃波発生電極310及び第1絶縁管321の間の領域を意味し得る。衝撃波発生部Gは、例えば、第1衝撃波発生電極310、第2衝撃波発生電極330、及び第1絶縁管321によって定義される領域を意味し得る。
【0037】
第2衝撃波発生電極330は、ケーブル340と連結できる。第2衝撃波発生電極とケーブルは、多様な方式で連結できる。
【0038】
一実施例として、ケーブル340と衝撃波伝達部400との間には、液体1000が配置され得る。例えば、ケーブル340と衝撃波伝達部400との間には、水が配置され得る。前記衝撃波伝達部400は、多様な材質の膜状であり、一例として、弾性膜であり得る。
【0039】
また、他の一実施例として、第2衝撃波発生電極と、これに連結されるケーブルが膜状の衝撃波伝達部400に結合形成され、液体の膨張によって分離膜(即ち、衝撃波伝達部)と共に下部ハウジングの方向に移動できる。このとき、衝撃波伝達部の下部ハウジングの方向に膨張するとき、衝撃波伝達部の中央以外の周辺領域のみが弾性を有するように形成され、第2衝撃波発生電極が衝撃波伝達部の中央に配置されることができる。また、衝撃波伝達部に結合されているケーブルは、上部ハウジングの膨張によって衝撃波伝達部が下部ハウジングの方向に膨張しながら共に伸びるか、衝撃波伝達部の膨張時に切れて、正常状態への復元時に再び短絡状態になるようにすることができる。
【0040】
図示してはいないが、前記ケーブル340は、好ましくはパワー部100と連結できる。
【0041】
図示してはいないが、第2衝撃波発生電極330は、衝撃波伝達部400と接触することもできる。
【0042】
また、第2衝撃波発生電極330は、上部ハウジング210の一面に配置されることもできる。このとき、第2衝撃波発生電極330は、第1絶縁管321の一端、即ち衝撃波発生部Gよりも下に位置しながら、上部ハウジング210の一面に配置されることができる。
【0043】
第2衝撃波発生電極330は、第2絶縁管322なしでケーブル340と連結されて配置されることもでき、第2絶縁管322の内部に配置されることもできる。
【0044】
第2絶縁管322は上部から観たとき、これに限定されるものではないが、例えば、円形、四角形などの多様な形状を有することができる。
。
【0045】
例えば、
図1a及び
図1bを参照すれば、第2衝撃波発生電極330は、第2絶縁管(
図2a及び
図2bの322)の内部に挿入されず、ケーブル340と連結されて配置されることができる。。
【0046】
例えば、
図2a及び
図2bを参照すれば、第2絶縁管322の内部には、第2衝撃波発生電極320が配置されることができる。第2絶縁管322の(+)Z方向の長さは、第2衝撃波発生電極330の(+)Z方向の長さよりも長くてもよい。
【0047】
第2衝撃波発生電極330は、第2絶縁管322の内部に挿入されるとき、第2衝撃波発生電極330の一端は、第2絶縁管322の外部に露出しない。より具体的に、第1衝撃波発生電極310の一端と最も近い距離で対向する第2衝撃波発生電極330の一端は、第2絶縁管322の外部に露出しない。
【0048】
更に、
図1a、
図1b、
図2a及び
図2bを参照すると、具体例として、長さのより長い第1絶縁管321内に挿入された第1衝撃波発生電極310は、上下方向(即ち、Z軸方向)に延び、対向する方向に第2衝撃波発生電極330が配置される。第1衝撃波発生電極310は、上部ハウジング210(即ち、液体が満たされたチャンバ)内で長く延びることによって下部ハウジング220と分離する衝撃波伝達部400と隣接する領域まで延びることができる。また、第2衝撃波発生電極330は、衝撃波伝達部400に結合されることができる。更に、第1衝撃波発生電極310と第2衝撃波発生電極330は、高電圧が印加されたとき、プラズマ現象によるスパークが発生し得る特定の距離で対向する方向に配置される。
【0049】
本発明のパルス衝撃波発生部300は、マイクロバブルを生成するための低い電圧を提供し、スパークの発生のための高い電圧を提供する従来の2段階の電圧提供方式ではなく、スパークの発生のための高い電圧を直ちに加えられる1段階の電圧提供方式でパルス衝撃波を発生させることができる。これは第1衝撃波発生電極310の一端よりも長い第1絶縁管321領域で高い電圧が加えられたとき、温度の上昇によるマイクロバブルが発生する可能性があり、これによりブレークダウンが発生してスパークを発生させる恐れがあるためである。即ち、第1衝撃波発生電極310の一端よりも長い第1絶縁管321と第2衝撃波発生電極330との間にスパークが発生し得る。
【0050】
具体的に、第1衝撃波発生電極310末端の第1絶縁管321内の空間で高電圧の印加によって温度が上昇し、液体に溶解している気体が熱膨張することによってマイクロバブルが発生する。短時間でマイクロバブルが発生(即ち、液体中に空洞現象が発生)することによって、第1衝撃波発生電極310と第2衝撃波発生電極330との間にマイクロバブルが配置され、高電圧が印加されているので、プラズマ現象によるスパークが発生して上部ハウジング210内の内部膨張が発生する。
【0051】
ハウジング200は、密閉された収容空間を有する。ハウジング200の内部には、液体1000及び薬物2000が配置される。ハウジング200は、衝撃波伝達部400によって上部ハウジング210及び下部ハウジング220に区分できる。
【0052】
上部ハウジング210は、密閉された収容空間を有する。上部ハウジング210の内部には、液体1000が配置される。液体1000は、例えば、水であり得る。即ち、液体が水である場合、マイクロバブルが発生できるように気体が溶解していることができる。但し、これに限定するものではなく、液体1000は、例えば、アルコールやポリエチレングリコールのような高分子ゾル及びゲルなどの多様な液状物質であり得る。
【0053】
上部ハウジング210は例えば、概略的に円筒形であり得る。上部ハウジング210の上端は、伝達部と繋がることができる。上部ハウジング210の下端には、衝撃波伝達部400が配置されることができる。
【0054】
上部ハウジング210の内部に配置される液体1000は、パルス衝撃波によって体積が膨張し得る。パルス衝撃波により液体1000の体積が増加すると、上部ハウジング210の内部の圧力が増加する。
【0055】
下部ハウジング220は、密閉された収容空間を有する。下部ハウジング220の内部には、薬物2000が配置される。下部ハウジング220は例えば、概略的に円筒形であり得る。下部ハウジング220の上端には、衝撃波伝達部400が配置されることができる。下部ハウジング220の下端は、噴射部800と繋がることができる。下部ハウジング220の一側は、薬物伝達部700と繋がることができる。
【0056】
上部ハウジング210の内部の圧力が増加すると、下部ハウジング220の内部に圧力が加えられる。即ち、下部ハウジング220の内部の圧力が増加し得る。これにより、薬物2000に圧力が加えられることができる。これにより、薬物2000は、噴射部800に噴射され、使用者に注入されることができる。これについては、より具体的に後述する。
【0057】
衝撃波伝達部400は、上部ハウジング210及び下部ハウジング220の間に提供される。衝撃波伝達部400は、ハウジング200を上部ハウジング210及び下部ハウジング220に区分する。
【0058】
衝撃波伝達部400は、上部ハウジング210及び下部ハウジング220を分離する。上部ハウジング210の片面及び下部ハウジング220の片面は、衝撃波伝達部400で形成される。これにより、上部ハウジング210の内部に配置される液体1000の膨張は、衝撃波伝達部400の変形によって下部ハウジング220の内 部の圧力の増加を引き起こし得る。
【0059】
衝撃波伝達部400は、パルス衝撃波によって変質又は破損しない。衝撃波伝達部400は、パルス衝撃波を吸収せず、パルス衝撃波によって振動する。衝撃波伝達部400は、弾性を有する。衝撃波伝達部400は、液体1000の体積が増加して発生した圧力のみを下部ハウジング220の内部に伝達する。衝撃波伝達部400は、液体1000の体積が増加して発生した圧力のみを下部ハウジング220の内部の薬物2000に伝達する。衝撃波伝達部400は、液体1000と薬物2000を透過し、熱の伝達などを遮断する。
【0060】
衝撃波伝達部400は、例えば、人体に無害な天然ゴム又は合成ゴムなどで製作されたものであり得る。
【0061】
また、衝撃波伝達部400に第2衝撃波発生電極321を含む場合、衝撃波伝達部400の中央に第2衝撃波発生電極321が配置され、第2衝撃波発生電極321から延びる導線を含むこともできる。衝撃波伝達部400の第2衝撃波発生電極321を取り囲む領域が弾性を有していることによって、上部ハウジング210の圧力の増加によって伸びた後に復元できる。
【0062】
噴射部800は、噴射ノズルで下部ハウジング220に配置される。例えば、噴射部800は、下部ハウジング220の下端にホール状に定義できる。但し、これに限定されるものではなく、噴射部800は、薬物を噴射できるのであれば、下部ハウジング220に繋がり、下部ハウジング220の上端から下端の方向に突出したものであることもできる。噴射部800は、薬物2000を噴射する。噴射部800は、Z軸方向に薬物2000を噴射できる。
【0063】
また、噴射部800の直径に基づいて薬物の噴射される速度が決定される。即ち、噴射される速度が遅いと、皮膚内に薬物が注入できなくなる恐れがあるので、上部ハウジング210から下部ハウジング220に伝達される圧力に基づいて適切な速度で噴射できるノズルの直径に具現できる。
【0064】
例えば、噴射部800の直径は、50マイクロメートル~1000マイクロメートルであり得る。噴射部800の直径が50マイクロメートル未満の場合、噴射される薬物2000の量が少なく、薬物2000が、薬物2000の注入を受ける使用者の体内に十分な深さに注入されない恐れがある。噴射部800の直径が1000マイクロメートル超過の場合、噴射されるマイクロジェットの直径が大きくなり、皮膚の表面からはじき出される薬物2000の量が増加し、薬物2000の無駄遣いになり得る。噴射部800は、Z軸方向に薬物2000を噴射できる。本明細書において、「Z軸方向」とは、3次元座標系におけるX軸方向(水平方向)及びY軸方向(垂直方向)のそれぞれと直交する軸の方向を意味する。より具体的に、噴射部800は、上部ハウジング210から下部ハウジング22の方向に薬物2000を噴射できる。
【0065】
前述したように、液体1000にパルス衝撃波が加えられて、液体1000の体積が増加すると、上部ハウジング210の内部の圧力が増加し、これにより、下部ハウジング220の内部に圧力が加えられる。これにより、薬物2000に圧力が加えられることができ、圧力を受けた薬物2000は、噴射部800に噴射されて使用者に注入されることができる。
【0066】
本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、薬物貯蔵部500、薬物伝達部700、及びチェックバルブ600を更に含むことができる。
【0067】
薬物貯蔵部500は、下部ハウジング220に提供される薬物2000を貯蔵する。薬物貯蔵部500は例えば、下部ハウジング220の側面に配置されることができる。
【0068】
薬物伝達部700は、薬物貯蔵部500から薬物2000の提供を受けて下部ハウジング220に薬物2000を提供する。薬物伝達部700は例えば、下部ハウジング220の側面と繋がりることができる。
【0069】
チェックバルブ600は、薬物2000が薬物貯蔵部500から下部ハウジング220の方向にのみ伝達できるようにする。例えば、チェックバルブ600は、薬物2000が下部ハウジング220から薬物貯蔵部500の方向に伝達されるのを防止する。チェックバルブ600は例えば、薬物伝達部700の内部に配置されることができる。
【0070】
また、本発明の他の実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、液体循環部(図示せず)を更に含む。前記液体循環部は、上部ハウジング内に満たされている液体を循環させる役割を果たす。マイクロバブルの生成及びプラズマ現象によるスパークが発生することによって、液体の内部に溶解している気体量が低くなり、発生した気体によって上部ハウジング210内の圧力が高くなり得る。従って、液体循環部は、上部ハウジング210内の液体を循環させて適切な圧力の生成が可能な液体を上部ハウジング210に満たすことができる。これにより、無針注射器10の薬物の噴射が一定に行われるようにする。
【0071】
具体的に、液体循環部はソレノイドバルブを含み、必要時にソレノイドバルブの開放によって上部ハウジング210内の液体を循環して変更させることができる。
【0072】
また、本発明の他の実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、圧力センサ(図示せず)を更に含む。圧力センサは、スパーク発生の前後、スパーク発生時の圧力を測定する役割を果たす。このために、圧力センサは、上部ハウジング210内の特定位置に配置されることができる。
【0073】
例えば、圧力センサは、上部ハウジング210内の圧力が基準値以上に高くなることを感知し、衝撃波伝達部400が平衡状態になるように液体循環部を駆動して上部ハウジング210内の液体を循環させる。また、圧力センサは、スパークの発生時に発生する圧力を測定し、制御部(図示せず)は、圧力センサの測定値が駆動時の基準値以上にならなければ液体内に溶解している気体が少な過ぎると判断して上部ハウジング210内の液体を循環させる。
【0074】
以下では、本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10を用いて使用者に薬物2000を噴射する方法について概略的に説明する。
【0075】
パワー部100でパルスパワーを発生させると、パルス衝撃波発生部300は、パルスパワーの提供を受けてパルス衝撃波を発生させる。パルス衝撃波が発生すると、上部ハウジング210の内部に備えられた液体1000の体積が膨張する。液体1000の体積が膨張することによって、上部ハウジング210の内部の圧力が増加する。弾性を有する衝撃波伝達部400は、上部ハウジング210の内部の圧力が増加することによって、増加した圧力を下部ハウジング220の内部に伝達する。このとき、衝撃波伝達部400は、圧力によって毀損又は破損しない。下部ハウジング220の内部に上部ハウジング210の内部の増加した圧力が提供されると、噴射部800で薬物2000を使用者に噴射できる。下部ハウジング220において薬物2000が更に必要となる場合、チェックバルブ600を開放し、薬物貯蔵部500から下部ハウジング220に薬物2000を注入できる。
【0076】
本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、パルスパワーを発生させるパワー部100を介してナノ秒からミリ秒までパルス幅の調整が可能であり、これによって短い衝撃波を発生させることができる。これにより、短時間で液体が熱膨張して、高速で使用者に薬物が投入されることができる。
【0077】
また、発生するパルスパワーによって上部ハウジング210から発生する圧力の強度を調節することによって、下部ハウジング220に満たされた薬物の噴射量を調節できる。これにより、使用者は、所望する量に分けて薬物を噴射でき、薬物の無駄遣いを防止できる。
【0078】
また、マイクロバブルを生成するために低電圧を先に提供しなければならない問題を解消した電気衝撃波方式の無針注射器を具現して、より速い速度で薬物を注射できる。
【0079】
また、本発明の一実施例に係るパルス衝撃波を利用した無針注射器10は、レーザではなくパルスパワーを用いてレーザを用いる際に発生する問題、より具体的に、大型装置の構造、高価な施設費を要求しない。また、レーザビームが通過できる光学部品を必要としないことから、光学部品によって発生する問題、例えば、レーザが生成される本体部から無針注射部(例えば、薬物を注射するハンドピース部)にレーザが正確に伝達されるために、本体部と無針注射部との間のケーブルの配置状態が制限されなければならないという問題を根本的に解決できる。
【0080】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施され得るということが理解できるはずである。従って、以上で述べた実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。