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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電子素子モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20240528BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20240528BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240528BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240528BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240528BHJP
   H01L 25/04 20230101ALN20240528BHJP
   H01L 25/18 20230101ALN20240528BHJP
【FI】
H01L23/28 F
H01L23/00 C
H01L21/56 E
H01L21/56 T
H05K9/00 R
H05K1/02 P
H01L25/04 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020006700
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2020174172
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0040073
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0087794
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、キュン ホ
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0309575(US,A1)
【文献】国際公開第2012/105394(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0093362(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2017-0093362(KR,A)
【文献】特開2018-093015(JP,A)
【文献】特開2018-107408(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2018-0077028(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 23/00
H01L 21/56
H05K 9/00
H05K 1/02
H01L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に接地電極を備える基板と、
前記基板の第1面に実装される多数の電子素子と、
少なくとも一つの前記電子素子を内部に埋め込み、前記基板の第1面に配置されるシール部と、
前記接地電極に接合され、前記シール部の側面に沿って配置される第1側面と前記第1側面の反対側の第2側面とを含む、導電性材料の第1遮蔽壁と、
前記第1遮蔽壁の前記第2側面に沿って配置され、前記シール部と前記第1遮蔽壁が形成する表面に沿って配置される導電性材料の遮蔽層と、
を含む、電子素子モジュール。
【請求項2】
前記遮蔽層の一部は、前記第1遮蔽壁の上端面に沿って配置される、請求項1に記載の電子素子モジュール。
【請求項3】
前記遮蔽層は、前記第1遮蔽壁の第2側面に配置される部分の厚さが前記シール部の上面に配置される部分の厚さより薄く形成される、請求項1または2に記載の電子素子モジュール。
【請求項4】
前記第1遮蔽壁と前記遮蔽層は互いに異なる材料で構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項5】
前記遮蔽層は、
前記接地電極から離隔して配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項6】
前記遮蔽層は、
前記基板から離隔して配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項7】
前記遮蔽層の下端と前記基板の間に配置される外側シール部をさらに含む、請求項に記載の電子素子モジュール。
【請求項8】
前記遮蔽層は、
少なくとも一部が前記基板上に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項9】
前記基板は前記第1面の角に沿って溝が形成され、前記遮蔽層は前記溝内に配置される、請求項に記載の電子素子モジュール。
【請求項10】
前記接地電極に接合され、前記シール部を二分する形で配置される導電性材料の第2遮蔽壁をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項11】
前記電子素子は、
少なくとも一つが前記シール部の外部に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項12】
前記第1遮蔽壁は、
前記基板側に向かって幅が狭くなる形に形成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項13】
前記第1遮蔽壁は、
上端で前記第1遮蔽壁の幅を拡張する拡張部を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項14】
前記第1遮蔽壁は、
上端面が下端面よりも広い面積で形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項15】
前記基板の第2面に配置されるか、又は前記基板内に配置され、かつ前記基板の第2面に隣接して配置されるアンテナをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の電子素子モジュール。
【請求項16】
第1面に接地電極を備える基板を設ける段階と、
前記基板の第1面に多数の電子素子を実装する段階と、
前記基板の第1面に少なくとも一つの前記電子素子を内部に埋め込むシール部を形成する段階と、
前記接地電極が露出するように前記シール部を部分的に除去してトレンチを形成する段階と、
前記トレンチに導電性部材を充填して遮蔽壁を形成する段階と、
前記シール部のうち前記トレンチの外側に配置された外側シール部を除去する段階と、
前記シール部と前記遮蔽壁が形成する表面に沿って遮蔽層を形成する段階と、
を含む、電子素子モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記シール部を除去する段階は、
ブレードを利用して前記外側シール部を除去し、かつ前記ブレードが前記基板と接触しない範囲で前記外側シール部を除去する段階である、請求項16に記載の電子素子モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記シール部を除去する段階は、
前記外側シール部の下部に位置した前記基板の一部を共に除去する段階である、請求項16に記載の電子素子モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子素子モジュール及びその製造方法に関し、より詳細には、モジュールに含まれた電子素子などを外部環境から保護するとともに電磁波を遮蔽することができる電子素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子製品市場では、携帯用製品への需要が急激に増加しており、これを満たすためにこれらのシステムに実装される電子素子の小型化及び軽量化が求められている。
【0003】
このような電子素子の小型化及び軽量化を実現するためには実装部品の個別サイズを減少させる技術のみならず、多数の個別素子をワンチップ(One-chip)化するシステムオンチップ(System On Chip:SOC)技術又は多数の個別素子を一つのパッケージに集積するシステムインパッケージ(System In Package:SIP)技術なども求められている。
【0004】
特に、通信モジュールやネットワークモジュールのように高周波信号を取り扱う高周波電子素子モジュールは小型化のみならず電磁波干渉(EMI)に対する優れた遮蔽特性も具現するために多様な電磁波遮蔽構造を備えることが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は電磁波干渉(EMI)又は電磁波耐性特性に優れた電磁波遮蔽構造を有する電子素子モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による電子素子モジュールは、第1面に接地電極を備える基板と、上記基板の第1面に実装される多数の電子素子と、少なくとも一つの上記電子素子を内部に埋め込み、上記基板の第1面に配置されるシール部と、上記接地電極に接合され、上記シール部の側面に沿って配置される導電性材料の第1遮蔽壁と、上記シール部と上記第1遮蔽壁が形成する表面に沿って配置される導電性材料の遮蔽層と、を含むことができる。
【0007】
また、本発明の実施形態による電子素子モジュールの製造方法は、一面に接地電極を備える基板を設ける段階と、上記基板の一面に多数の電子素子を実装する段階と、上記基板の一面に少なくとも一つの上記電子素子を内部に埋め込むシール部を形成する段階と、上記接地電極が露出するように上記シール部を部分的に除去してトレンチを形成する段階と、上記トレンチに導電性部材を充填して遮蔽壁を形成する段階と、上記シール部のうち上記トレンチの外側に配置された外側シール部を除去する段階と、上記シール部と上記遮蔽壁が形成する表面に沿って遮蔽層を形成する段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明による電子素子モジュールは、シール部の側面に遮蔽層と遮蔽壁で構成される二重遮蔽構造を有するため、遮蔽信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による電子素子モジュールの斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3図2のA部分を拡大して示した拡大図である。
図4図2のII-II'線に沿った断面図である。
図5図1に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図面である。
図6図1に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図面である。
図7図1に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図面である。
図8図1に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図面である。
図9図1に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図面である。
図10】本発明の他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示した断面図である。
図11図10のB部分を拡大して示した拡大図である。
図12】本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を詳細に説明する前に、以下で説明される本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定されてはならず、発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。よって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の好適な一例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではない。このため、本出願時点にこれらを代替することができる様々な均等物及び変形例があり得ることを理解すべきである。
【0011】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。このとき、添付された図面において同一の構成要素は、できる限り同一の符号で示していることに注意しなければならない。また、本発明の要旨を不明にする可能性がある公知の機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。同様の理由から、添付図面において一部の構成要素は、誇張、省略または概略的に示されており、各構成要素の大きさは、実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態による電子素子モジュールの斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿った断面図である。また、図3図2のA部分を拡大して示した拡大図であり、図4図2のII-II'線に沿った断面図である。
【0014】
図1から図4を参照すると、本実施形態による電子素子モジュール100は基板10、電子素子1、シール部14、遮蔽壁15、及び遮蔽層20を含んで構成される。
【0015】
基板10は多数の絶縁層19と多数の配線層16が繰り返し積層されて形成された多層基板10であってもよい。しかし、必要に応じて一つの絶縁層19の両面に配線層16が形成された両面基板10で構成されてもよい。
【0016】
絶縁層19の材料は特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、又はこれらの樹脂が無機フィラーと共にガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、Glass Fabric)などの芯材に含浸された樹脂、例えば、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)などの絶縁物質が用いられることができる。
【0017】
配線層16は後述する電子素子1と電気的に連結されることができる。また、遮蔽層20や遮蔽壁15とも電気的に連結されることができる。
【0018】
配線層16の材料としては銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などの導電性物質が用いられることができる。
【0019】
絶縁層19の内部には積層配置される配線層16を相互連結するための層間接続導体18が配置される。
【0020】
また、図示されてはいないが、基板10の表面には絶縁保護層が配置されることができる。絶縁保護層はソルダーレジスト(solder resist)で形成されることができ、絶縁層19の上部面と下部面において絶縁層19と配線層16を全て覆う形で配置される。よって、絶縁層19の上部面や下部面に配置される配線層16を保護する。
【0021】
本実施形態の基板10は第1面と第1面の反対面である第2面を含む。第1面は電子素子1が実装される実装面を意味し、第2面は電子素子モジュール100を母基板(mother board)に実装するとき、母基板と対面する面を意味する。基板10の第1面には電子素子1を実装するための実装用電極12と接地電極13、そして、図示してはいないが、上記電極12、13を電気的に連結する配線パターンが形成されることができる。
【0022】
そして、基板10の第2面にはソルダーボールなどの接続端子が接合されるための接続電極17が配置されることができる。
【0023】
本実施形態において基板10の配線層16は接地配線16aを含む。接地配線16aは基板10の内部に位置し、上記した接地電極13と電気的に連結されることができる。
【0024】
接地配線16aはシール部14と向かい合う領域内に全体的に配置されることができる。よって、基板10の下部から電子素子1側に流入したり反対方向に流出したりする電磁波は接地配線16aによって流れが遮断されることができる。
【0025】
実装用電極12には少なくとも一つの電子素子1が実装される。したがって、電子素子1が実装される位置に沿って多数個が離隔して配置されることができる。
【0026】
接地電極13は後述する遮蔽壁15と物理的、電気的に連結される。したがって、本実施形態において接地電極13は遮蔽壁15の下端に沿って配置される。
【0027】
接地電極13は第1遮蔽壁15aの下部に配置される第1接地電極13aと、第2遮蔽壁15bの下部に配置される第2接地電極13bを含むことができる。
【0028】
本実施形態では接地電極13が遮蔽壁15の形状に沿って遮蔽壁15の下部全体に配置される。しかし、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、接地電極13が第1接地電極13aのみを含むか、又は第2接地電極13bのみを含むように構成するなどの多様な変形が可能である。
【0029】
また、本実施形態では接地電極13が連続的な線状に形成されるが、これに限定されず、破線状に形成したり、多数の点(point)状に配置したりするなど、遮蔽壁15と電気的に連結されることができれば多様な形で構成されることができる。
【0030】
実装用電極12と接地電極13は絶縁保護層によって保護されることができ、絶縁保護層に形成された開口を通じて外部に露出することができる。
【0031】
本実施形態における基板10にはアンテナ60が配置されることができる。アンテナ60は基板10の第2面に配置されるか、又は基板10内に配置され、かつ基板10の第2面に隣接して配置される。
【0032】
また、本実施形態においてアンテナ60は遮蔽層20と対面しない領域に配置されることができる。
【0033】
本発明を説明するにあたり、アンテナ60が遮蔽層20と向かい合うように配置されるか又は対面するように配置されるとは、アンテナ60と遮蔽層20を同一の平面(例えば、基板10の第1面)に投影したとき、アンテナ60と遮蔽層20とが互いに重なるように配置されることを意味する。
【0034】
アンテナ60が遮蔽層20と対面する領域に配置される場合、アンテナ60を通じて送受信される無線信号は遮蔽壁15や遮蔽層20によって遮断される可能性がある。したがって、本実施形態においてアンテナ60は遮蔽層20や遮蔽壁15と対面しない領域にのみ配置される。
【0035】
しかし、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、アンテナ60が基板10の下部方向にのみ無線信号を放射するように構成する場合には遮蔽層20と対面する領域にもアンテナ60を配置することができる。
【0036】
例えば、基板10と水平な方向(例えば、基板の面方向)に無線信号を放射するダイポールアンテナを配置する場合には遮蔽層20と対面しない領域にアンテナを配置した方がよい。これに対し、基板10と垂直な方向のうち下部方向に無線信号を放射するパッチアンテナを配置する場合には遮蔽層20と対面する領域にアンテナを配置してもよい。
【0037】
また、本実施形態においてアンテナ60は基板10に形成される回路パターンを利用して形成する。しかし、これに限定されるものではなく、別途製造されたアンテナ部品を基板10の第2面に実装して利用するなどの多様な変形が可能である。
【0038】
このように構成される基板10としては当該技術分野でよく知られた多様な種類の回路基板(例えば、セラミック基板、印刷回路基板、フレキシブル基板など)が利用されることができる。
【0039】
電子素子1は受動素子と能動素子などのような多様な電子素子を含むことができる。即ち、電子素子1としては基板10上に実装されるか又は基板10の内部に内蔵されることができる素子であればいずれのものでも利用されることができる。また、本実施形態において電子素子1は素子に限定されず、コネクタのように基板10に実装されたり素子を電気的に連結したりする多様な部品を含むことができる。
【0040】
本実施形態において電子素子1は後述するシール部14の外部に配置される少なくとも一つの第1部品1aと、シール部14内に埋め込まれる少なくとも一つの第2部品1bを含む。例えば、第1部品1aはコネクタであり、第2部品1bは受動素子又は能動素子であってもよい。しかし、これに限定されるものではない。
【0041】
シール部14は基板10の第1面に配置されて第2部品1bをシールする。シール部14は第2部品1bを外部から取り囲む形で固定することにより外部の衝撃から第2部品1bを安全に保護する。しかし、前述したように電子素子1のうち第1部品1aはシール部14内に埋め込まれず、シール部14の外部に配置される。
【0042】
本実施形態によるシール部14は絶縁性材料で形成される。例えば、シール部14はエポキシモールディングコンパウンド(EMC)などの樹脂材料で形成されることができるが、これに限定されるものではない。また、必要に応じて導電性を有する材料(例えば、導電性樹脂など)でシール部14を形成することもできる。この場合、第2部品1bと基板10の間にはアンダーフィル(underfill)樹脂などの別の絶縁性シール部材が備えられることができる。
【0043】
本実施形態によるシール部14は後述する第2遮蔽壁15bによって第1シール部14aと第2シール部14bに二分されることができる。
【0044】
遮蔽壁15はシール部の側面に沿って配置される第1遮蔽壁15aと、第1シール部14aと第2シール部14bの間に配置される第2遮蔽壁15bを含むことができる。
【0045】
第1遮蔽壁15aは第1部品1aから第2部品1b側に流入するか又は第2部品1b側から第1部品1a側に流入する電磁波を遮蔽する。
【0046】
そして、第2遮蔽壁15bは第1シール部14aに埋め込まれた電子素子1と第2シール部14bに埋め込まれた電子素子1の間に電磁干渉が発生することを防止する。
【0047】
遮蔽壁15は電磁波の流れを遮蔽することができる導電性材料で構成されることができる。例えば、遮蔽壁15ははんだや導電性樹脂などの導電性接着剤で形成されることができ、少なくとも一部が基板10の接地電極13に接合されることができる。
【0048】
遮蔽壁15の高さはシール部14の高さと同一に構成される。したがって、遮蔽壁15の上端はシール部14の外部に露出し、後述する遮蔽層20は露出した遮蔽壁15の上端に連結される。
【0049】
遮蔽層20はシール部14と遮蔽壁15が形成する表面に沿って形成されて外部から第2部品1bに流入するか又は第2部品1bから外部に流出する電磁波を遮蔽する。したがって、遮蔽層20は導電性物質で形成される。
【0050】
本実施形態において遮蔽層20は遮蔽壁15を媒介として接地電極13に連結される。しかし、これに限定されるものではなく、必要に応じて基板10の接地電極13に直接連結されるように構成することもできる。
【0051】
遮蔽層20はシール部14の外部面に導電性粉末を含む樹脂材を塗布したり、金属薄膜を形成したりすることにより形成されることができる。例えば、本実施形態の遮蔽層20はスプレーコーティング方式によって形成された金属薄膜であってもよい。しかし、これに限定されるものではなく、金属薄膜を形成するためにスパッタリング、スクリーン印刷(screen printing)、気相蒸着法、電解めっき、無電解めっきなどの多様な技術が用いられることができる。
【0052】
本実施形態において遮蔽層20と遮蔽壁15は互いに異なる製造工程によって形成される。したがって、遮蔽層20と遮蔽壁15は互いに異なる材料で構成される。しかし、これに限定されるものではなく、必要に応じて同一の材料で構成されることもできる。
【0053】
遮蔽層20はシール部14の外部に露出した遮蔽壁15の表面に沿って配置されて遮蔽壁15と電気的に連結される。
【0054】
一方、図2及び図3を参照すると、第1遮蔽壁15aの表面に配置される遮蔽層20と基板10の間にはシール部14c(以下、外側シール部という。)が配置される。外側シール部14cは遮蔽層20の下端と基板10の間に配置され、これにより、本実施形態において遮蔽層20は全体が基板10や接地電極から一定距離だけ離隔して配置され、第1遮蔽壁15aを媒介として接地電極13に連結される。
【0055】
これは製造過程で基板10の破損を最小化するために導出された構成であり、これについては後述する製造過程でより詳細に説明する。
【0056】
以上のように構成される本実施形態による電子素子モジュール100はシール部14や遮蔽層20によって基板10に実装される電子素子1を外部環境から保護することができる上、電磁波を容易に遮蔽することができる。
【0057】
また、第1部品1aと第2部品1bの間にも遮蔽壁15が配置されるため、第1部品1aと第2部品1bの間に電磁波干渉が発生することを防止することができる。
【0058】
また、遮蔽層20が形成されていない領域にアンテナを配置するため、アンテナの放射性能を維持しながら、電子部品を保護することができる。
【0059】
さらに、本実施形態において遮蔽層20はスプレーコーティング方式で形成される。この場合、第1遮蔽壁15aの側面に形成される遮蔽層20の厚さはシール部14の上面に形成される遮蔽層20の厚さに比べて相対的に薄く形成される。したがって、電子素子モジュールが遮蔽壁15なしで遮蔽層20のみを備える場合、遮蔽信頼性を確保することが困難である。
【0060】
したがって、本実施形態による電子素子モジュール100はシール部14の側面に遮蔽層20と遮蔽壁15からなる二重遮蔽構造を有する。よって、シール部14の側面に配置される導電性部材(遮蔽層と遮蔽壁)が電磁波の流れを遮断することができる厚さで構成されるため、遮蔽信頼性を確保することができる。
【0061】
次に、本実施形態による電子素子モジュールの製造方法を説明する。
【0062】
図5から図9図1に示された電子素子モジュールの製造方法を工程順に示した図面である。
【0063】
まず、図5に示されているように、基板10の第1面に電子素子1を実装する。
【0064】
本実施形態による基板10は多層・複数層で形成された多層回路基板10であり、各層の間には電気的に連結される回路パターンが形成されることができる。また、基板10の第1面である上面には実装用電極12や接地電極13などが形成される。
【0065】
本製造方法で設けられる基板10としてはパネル(panel)状又はストリップ(strip)状の基板(以下、ストリップ基板という。)が利用される。ストリップ基板10は多数の電子素子モジュールを同時に製造するためのものであり、ストリップ基板10上には多数の個別パッケージ領域Sが区分されており、このような多数の個別パッケージ領域S別に多数の電子素子モジュール100が同時に製造されることができる。
【0066】
電子素子1ははんだ(solder)などの導電性接着剤によって基板10に接合されることができる。また、電子素子1は個別パッケージ領域S別に同一に実装されることができる。
【0067】
次いで、電子素子1をシールして基板10の第1面にシール部14を形成する。
【0068】
シール部14は基板10の第1面に部分的に形成される。シール部14は第2部品1bのみを埋め込み、第1部品1aはシール部14の外部に位置する。
【0069】
このような構成はシール部14を形成するモールディング過程で第1部品1aが金型のキャビティの外部に配置されるように金型を構成したり、シール部14を基板10の第1面全体に形成した後、第1部品1aを覆っているシール部14を部分的に除去したりするなどの方法で具現されることができる。
【0070】
本段階においてシール部14はトランスファーモールディング方式によって製造されることができるが、これに限定されるものではない。
【0071】
次いで、図6に示されているように、シール部14を部分的に除去してトレンチ40を形成する。
【0072】
トレンチ40は接地電極13が形成された位置に沿ってシール部14を除去する形に形成される。したがって、トレンチ40が形成されると、基板10の接地電極13はトレンチ40を通じて外部に露出する。
【0073】
トレンチ40はレーザーを利用してシール部14を部分的に除去することにより形成することができる。レーザーを利用することによりトレンチ40は基板10側に向かって幅が狭くなる形に形成されることができる。
【0074】
本実施形態においてトレンチ40はシール部14の縁に沿って形成される外側トレンチ40aと、シール部14の内部に形成されてシール部14を分割する内側トレンチ40bを含むことができる。内側トレンチ40bと外側トレンチ40aは互いに連結されることができるが、これに限定されるものではない。
【0075】
次いで、図7に示されているように、トレンチ40の内部に導電性物質を充填して遮蔽壁15を形成する。導電性物質としては樹脂に導電性フィラーを追加した導電性ペーストが利用されることができるが、これに限定されるものではない。また、本実施形態において導電性物質はスクリーン印刷方式によってトレンチの内部に充填されることができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0076】
遮蔽壁15が形成されると、必要に応じてシール部14の上部面を平らに研磨する工程がさらに行われることができる。
【0077】
トレンチ40が基板10側に向かって幅が狭くなる形に形成されることにより、トレンチ40内に形成される遮蔽壁15も基板10側に向かって幅が狭くなる形に形成される。
【0078】
次いで、図8に示されているように、外側トレンチ40aの外部に配置されたシール部14を除去する段階が行われる。本段階においてシール部14はブレードを有するグラインダーGを利用して除去することができる。
【0079】
前述したように、トレンチ40は基板10側に向かって幅が狭くなる形に形成される。したがって、シール部14を除去する過程で第1遮蔽壁15aを最大限に露出させるためにシール部14のみならず第1遮蔽壁15aも部分的に除去されることができる。
【0080】
一方、本段階において基板10の縁に沿って配置されたシール部14のうち第1遮蔽壁15aの外側に配置された外側シール部14cは完全に除去されず、図8に示されているように基板10上に少なくとも一部が残される。これはグラインダーGのブレードが基板10に接触しない範囲で外側シール部14cを最大限に除去することにより導出される構成である。
【0081】
したがって、外側シール部14cは第1遮蔽壁15aの縁に沿って配置され、ブレードの形状によって第1遮蔽壁15aから離れるほど厚さが減少する形に形成されることができる。
【0082】
このような構成はグラインダーGでシール部14を除去する過程でシール部14と共に基板10の一部が除去されて基板10が破損したり基板10の内部の配線層16が外部に露出したりすることを防止するための構成である。したがって、ブレードによって基板10が破損しない範囲で、外側シール部14cは多様な形で残されることができる。
【0083】
一方、本段階においてグラインダーGは個別パッケージ領域Sの境界に沿ってシール部14を除去して遮蔽壁15を露出させる。したがって、シール部14には個別パッケージ領域Sの境界に沿ってグラインダーのブレードの厚さに対応する溝45が形成されることができる。
【0084】
次いで、図9に示されているようにシール部14と遮蔽壁15が形成する表面に沿って遮蔽層20を形成する。
【0085】
前述したように、本実施形態において遮蔽層20はスプレーコーティング方式で導電性物質をシール部14と遮蔽壁15の表面に塗布して形成する。
【0086】
遮蔽層20を塗布する過程で遮蔽層20は遮蔽壁15の表面と外側シール部14cの表面にも形成される。また、図示されてはいないが、必要に応じて少なくとも一部が基板10の表面に延びることができる。
【0087】
一方、上記溝45は間隔が狭いため、遮蔽層20を形成する過程で導電性物質が遮蔽壁15の側面全体に円滑に塗布されることが困難である。したがって、本実施形態の遮蔽層20は図3に示されているように第1遮蔽壁15aの側面に形成される遮蔽層20bの厚さがシール部14の上面に形成される遮蔽層20aの厚さに比べて相対的に薄く形成される。
【0088】
遮蔽層20を形成する方法としては、上記構成に限定されず、遮蔽層20を形成するためにスパッタリング、スプレーコーティング、スクリーン印刷(screen printing)、気相蒸着法、電解めっき、無電解めっきなどの多様な方法などが用いられることができる。
【0089】
その後、個別パッケージ領域Sの境界(図9のC)に沿って基板10を切断して図1に示された本実施形態の電子素子モジュールを完成する。
【0090】
このように構成される本実施形態による製造方法では多数の個別パッケージ領域Sを備える基板を利用するため、多数の電子素子モジュールを一括して製造することができる。また、シール部の側面に遮蔽壁と遮蔽層が備えられるため、シール部の側面の遮蔽層が薄く形成されても遮蔽信頼性を確保することができる。
【0091】
一方、本発明による電子素子モジュールは前述した実施形態に限定されず、多様な応用が可能である。
【0092】
図10は本発明の他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示した断面図であり、図11図10のB部分を拡大して示した拡大図である。
【0093】
図10及び図11を参照すると、本実施形態による電子素子モジュール200は図2に示された前述の実施形態と類似するように構成され、外側シール部のうち基板10の側面に沿って配置された外側シール部(図3の14c)が除去されるという点のみが異なる。
【0094】
このような構成は前述した製造過程のうち図8に示された工程で基板10の側面に沿って配置された外側シール部14c全体をグラインダーで完全に除去することにより具現することができる。この過程で基板10のうち外側シール部14cの下部に位置する一部が外側シール部14cと共に除去されるため、基板10の上面の角には凹状の溝11が形成されることができる。
【0095】
これにより、本実施形態において遮蔽層20は少なくとも一部が基板10上に配置される。溝11は基板10の一面(例えば、第1面)の角に沿って形成されることができる。したがって、遮蔽層20は溝11の内部に配置されることができる。
【0096】
一方、基板10が除去される過程でグラインダーによって基板10の絶縁層19と接地電極13が共に除去される場合、グラインダーから加わる衝撃によって接地電極13が絶縁層19から剥離する可能性がある。
【0097】
したがって、基板10が除去されるときに接地電極13や配線層16がグラインダーと接触することを防止するために、本実施形態の配線層16は基板10の側面との距離L2が前述した図2の実施形態における距離(図3のL1)よりも大きく形成される。しかし、これに限定されるものではない。
【0098】
図12は本発明のさらに他の実施形態による電子素子モジュールを概略的に示した断面図である。
【0099】
図12を参照すると、本実施形態による電子素子モジュール300は図2に示された前述の実施形態と類似するように構成され、遮蔽壁15の形状のみが異なる。
【0100】
本実施形態の遮蔽壁15は上端で遮蔽壁15の幅を拡張する拡張部15'を備える。拡張部15'は段差によって遮蔽壁15の幅を拡張し、よって、遮蔽壁15は上端面が下端面よりも広い面積で形成される。
【0101】
図12に示されているように、本実施形態の第2遮蔽壁15bは断面が'T'型に形成される。そして、第1遮蔽壁15aは一部が除去されて'Γ'型に形成される。
【0102】
電子素子モジュール300の製造過程で第1遮蔽壁15a、第2遮蔽壁15bは全て'T'型に形成される。しかし、図8で説明したシール部除去段階で第1遮蔽壁15aは一部が除去されるため、最終的には図12に示された形状に形成される。
【0103】
前述した図2の実施形態の場合、スクリーン印刷方式を利用してトレンチ40に導電性物質を充填する。この場合、スキージ(squeegee)が移動する空間が必要であるため、第1部品1a側に形成される外側トレンチ40aに導電性物質を充填するためには第1部品1a側に形成される外側シール部14cが一定サイズ以上に形成されなければならない。
【0104】
これにより、最終製品においてシール部14と第1部品1aは一定距離以上離隔して配置されなければならない。したがって、シール部14と第1部品1aをより近くに配置しなければならない場合にはスクリーン印刷方式を利用することが困難である。
【0105】
よって、本実施形態による電子素子モジュール300は製造過程でディスペンサ(dispenser)を利用してディスペンシング方式で導電性物質をトレンチ40に充填する。
【0106】
この場合、上記した外側シール部14cのサイズは関係ないため、最終製品においてシール部14と第1部品1aの間の距離を最小化することができる。
【0107】
しかし、前述した図2の実施形態のようにトレンチ40を構成する場合、トレンチ40の上端の入口が狭くてディスペンシング過程で導電性物質をトレンチ40内に正確に注入することが困難であるため、トレンチ40の外部にも導電性物質が塗布される可能性がある。
【0108】
このような問題を解消するために、本実施形態ではトレンチ40を製造する過程で上記した拡張部15'が形成されることができる形でトレンチ40の上端部の幅を拡張する。
【0109】
これにより、トレンチ40の入口が広くなるため、導電性物質をトレンチ40の内部に円滑に注入することができる。
【0110】
本実施形態においてトレンチ40の入口は図6に示された実施形態に比べて2倍以上のサイズに形成されることができる。しかし、これに限定されるものではない。また、本実施形態では'T'型にトレンチ40及び遮蔽壁15を形成したが、漏斗状にトレンチ40を形成したり、トレンチ40の全幅を上記した拡張部15'のサイズに拡張したりするなどの多様な変形が可能である。
【0111】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0112】
例えば、前述した実施形態では遮蔽層を形成した後、基板を切断したが、基板を先に切断した後、遮蔽層を形成するなどの多様な変形が可能である。
【0113】
また、各実施形態は互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0114】
100 電子素子モジュール
1 電子素子
10 基板
13 接地電極
14 シール部
15 遮蔽壁
20 遮蔽層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12