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特許7494440二次電池用スウェリングテープ及びこれを含む円筒型二次電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】二次電池用スウェリングテープ及びこれを含む円筒型二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240528BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240528BHJP
   H01M 50/486 20210101ALI20240528BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240528BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20240528BHJP
【FI】
H01M10/04 W
C09J7/38
H01M50/486
H01M10/052
H01M10/0587
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022537896
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 KR2021004147
(87)【国際公開番号】W WO2021206381
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0041322
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0042758
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スー ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ドゥク ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン ギ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハン セム
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0138670(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0017291(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1873472(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第109585714(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0066410(KR,A)
【文献】特表2017-510043(JP,A)
【文献】特表2016-505652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
C09J 7/38
H01M 50/486
H01M 10/052
H01M 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、粘着性スウェリング層とを含み、
前記粘着性スウェリング層は、水系自己修復バインダーを含み、
前記水系自己修復バインダーは、CMC(Ceramic Matrix Composite)及びアルギネート(Arginate)の少なくとも1つの化合物を含むものである、二次電池用スウェリングテープ。
【請求項2】
前記粘着性スウェリング層は、前記基材層の両面のうちの少なくとも一方の一面に形成されるものである、請求項1に記載の二次電池用スウェリングテープ。
【請求項3】
前記粘着性スウェリング層の厚さは、基材層全体の厚さに対して、10%~50%であるものである、請求項1または請求項2に記載の二次電池用スウェリングテープ。
【請求項4】
前記二次電池用スウェリングテープは、粘着層及び背面コーティング層の少なくとも一方の層をさらに含むものである、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の二次電池用スウェリングテープ。
【請求項5】
前記粘着層及び前記背面コーティング層は、それぞれ基材層の一面及び他面に形成されるものである、請求項に記載の二次電池用スウェリングテープ。
【請求項6】
前記粘着層は、i)基材層と粘着性スウェリング層間、又はii)基材層及び粘着性スウェリング層の少なくとも一面上に形成されるものである、請求項に記載の二次電池用スウェリングテープ。
【請求項7】
前記背面コーティング層は、i)基材層と粘着性スウェリング層間、又はii)粘着性スウェリング層上に形成されるものである、請求項に記載の二次電池用スウェリングテープ。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の二次電池用スウェリングテープが外周面に貼り付けられている、電極組立体。
【請求項9】
請求項に記載の電極組立体と、
電解質と、
前記電極組立体及び前記電解質を収納する円筒型電池ケースとを含む、円筒型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年4月6日付けの韓国特許出願第10-2020-0041322号及び2021年4月1日付けの韓国特許出願第10-2021-0042758号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容が本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、二次電池用スウェリングテープ及びこれを含む円筒型二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
情報社会の発達により、個人ITデバイスとコンピュータネットワークが発達し、それに伴って社会全般の電気エネルギーへの依存度が高くなるにつれて、電気エネルギーを効率的に貯蔵して活用するための技術開発が求められている。
【0004】
そのために開発された技術の中で様々な用途に最も適した技術が二次電池基盤技術であり、そのうち、理論的にエネルギー密度の最も高いリチウム二次電池が脚光を浴びている。
【0005】
リチウム二次電池は、作動電圧が約3.6Vであり、電子装備の電源として多く用いられるニッケル・カドミウム電池又はニッケル・水素電池の約3倍の容量を有し、単位重量当たりのエネルギー密度が高いため、その活用度が急速に増加する傾向にある。
【0006】
リチウム二次電池は、正極活物質が塗布された正極板と負極活物質が塗布された負極板とがセパレータを介して配置された電極組立体と、電解質及びそれらを共に密封収納する外装材とからなる。
【0007】
前記リチウム二次電池は、電池ケースの形状によって、缶型二次電池とパウチ型二次電池に分類することができる。前記缶型二次電池は、金属缶の形態によって、さらに円筒型二次電池と角型二次電池に分類することができ、正極、セパレータ及び負極が巻き取られたジェリーロールタイプの電極組立体を金属缶に収納することにより製造することができる。前記パウチ型二次電池は、アルミニウムラミネートシートからなるパウチ内に複数の正極、セパレータ及び負極が順次積層されたスタック(stack)タイプの電極組立体を内蔵した後に密封することにより製造することができる。
【0008】
一方、リチウム二次電池は、移動が頻繁であり、自動車のように強い振動を受ける機械の内部に収容され得るので、携帯性及び振動に強い特性が要求されている。
【0009】
しかし、円筒型二次電池の場合、電極組立体を円筒型電池ケースの内部に収納するために、電極組立体を円筒型電池ケース(金属缶)に比べて小さいサイズに形成するので、電極組立体と電池ケースの内壁との間に間隙(gap)が形成される。このような間隙は、落下などにより外部から振動や衝撃が加わった場合に電極組立体を電池ケースの内部で上下又は左右に揺動させる原因となる。
【0010】
電極組立体の揺動は、電池の内部抵抗の増加や、電極組立体とキャップ組立体間に接続されたタブの切断による二次電池の電源無感現象を引き起こすことがある。それだけでなく、二次電池の上端開放部に結合されたキャップ組立体に衝撃を加えて密封部分を破損又は分離することにより、二次電池内部の電解質が流出するという問題が生じることがある。
【0011】
このような電極組立体の揺動を防止するために、近年、スウェリングテープ(swelling tape)などの特殊テープを用いる方法が適用されている。
【0012】
図1に示すように、正極、セパレータ及び負極が巻き取られたジェリーロール型電極組立体100の外周面に粘着層110及びスウェリング層120からなるスウェリングテープを貼り付け、それを円筒型電池ケースの内部に収納し、その後電解質を注液すると、前記スウェリング層が膨張することにより、電極組立体と電池ケースとの間に存在する間隙が充填され、電極組立体の揺動を防止することができる。
【0013】
従来、前記スウェリング層としては、熱可塑性ポリウレタン(TPU,Thermoplastic polyurethane)や硬化性ウレタンなどのウレタン樹脂が用いられている。しかし、前記ウレタン樹脂の場合、耐熱及び耐火性が低く、電極組立体に振動や衝撃を伝達しやすいので、電池内部の振動や衝撃の防止に脆弱であるという欠点がある。
【0014】
よって、強い振動や衝撃にも電極組立体の揺動を効果的に防止できる新たなスウェリングテープの開発が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記問題を解決するために提案されたものであり、電池の内部で電極組立体の揺動を効果的に防止できる二次電池用スウェリングテープを提供する。
【0016】
また、本発明は、前記二次電池用スウェリングテープが外周面に貼り付けられている電極組立体及びこれを含む円筒型二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実現例によれば、本発明は、基材層と、粘着性スウェリング層とを含み、前記粘着性スウェリング層は、水系自己修復バインダーを含む、二次電池用スウェリングテープを提供する。
【0018】
前記二次電池用スウェリングテープは、粘着層及び背面コーティング層の少なくとも一方の層をさらに含んでもよい。
【0019】
他の実現例によれば、本発明は、前記二次電池用スウェリングテープが外周面に貼り付けられている電極組立体を提供する。
【0020】
さらに他の実現例によれば、本発明は、前記電極組立体と、電解質と、前記電極組立体及び前記電解質を収納する円筒型電池ケースとを含む、円筒型二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスウェリングテープは、基材層の両面のうちの少なくとも一方の一面に水系自己修復バインダーを含む粘着性スウェリング層を含むので、電極組立体の巻取状態が解除されることを防止すると共に、低コストで電極組立体と電池ケースの内壁との間の間隙を充填することにより、電極組立体の揺動を効果的に防止することができる。よって、電極組立体の変形による短絡により二次電池が破損したり、発火や爆発が発生することを防止することができ、またキャップ組立体の結合部分の破損による電解質の流出を防止することができる。その結果、安定性が高く、抵抗増加率や電源無感現象などが効果的に改善された二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、上述の発明の内容と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるので、本発明は、そのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
図1】従来のジェリーロール型電極組立体上にスウェリングテープを適用した模式図である。
図2】本発明の実施形態によるスウェリングテープの断面図である。
図3】本発明の一実施形態により二次電池の製造過程で前記スウェリングテープが立体形状に形成される過程を例示的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態について、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、用語「スウェリングテープ」とは、互いに離隔している2つの対象間の間隙(gap)に位置して前記間隙を埋め、必要によっては前記2つの対象を互いに固定する役割を果たすテープを意味し得る。一例において、前記スウェリングテープとは、前記2つの対象のうちのいずれか一方の対象に前記粘着層を介して貼り付けられている状態で、スウェリング層が膨張することによって発生する力と粘着剤層の固定力との相互均衡により前記間隙を埋められる立体形状を実現できるテープをいう。
【0025】
スウェリングテープ
本発明によるスウェリングテープは、基材層と、粘着性スウェリング層とを含み、
前記粘着性スウェリング層は、水系自己修復バインダーを含んでもよい。
【0026】
(1)基材層
前記基材層は、電解質などの液体のような流体に接触すると変形(膨張)特性を有するフィルム又はシート状の層であって、四角形以外にも円形、三角形、無定形などの形状を有する。
【0027】
前記基材層は、従来スウェリングテープに通常用いられていた様々な基材層を制限なく用いることができ、具体的には、ポリアクリレート、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド及びポリスチレンの少なくとも1つの高分子物質を含んでもよく、好ましくは、ポリウレタン及びポリスチレンからなる群から選択された少なくともいずれかを含むものであってもよい。
【0028】
前記基材層の厚さは、実現しようとする立体形状や充填しようとする間隙の大きさなどを考慮して選択することができ、具体的には10μm~40μm、具体的には20μm~40μmであってもよい。
【0029】
(2)粘着性スウェリング層
本発明の粘着性スウェリング層は、電解質が含浸されるか又は熱が加わると膨潤して電極組立体と電池ケースとの間の間隙を充填する層であって、最大100%以上の体積増加率を実現することができる。
【0030】
このような粘着性スウェリング層の成分として、ガラス転移温度が-50℃~-30℃である水系自己修復バインダーを含んでもよい。
【0031】
前記水系自己修復バインダーは、電解質に含まれる有機溶媒との接触により膨潤(膨張)するか、熱などにより膨潤する性質を有する高分子であって、その代表的な例としてCMC(Ceramic Matrix Composite)、アルギネート(Arginate)及びキトサン(Chitosan)の少なくとも1つの化合物を含んでもよい。具体的には、前記水系自己修復バインダーは、アルギネート及びキトサンからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含んでもよい。
【0032】
前記アルギネートは、非常に大きい高分子量の重合体であって、自己修復能力に優れているので、それをスウェリングテープに用いた場合、衝撃時に内部間隙を充填する効果に優れ、電極組立体の揺動を効果的に抑制することができる。それだけでなく、側鎖に強い負イオン成分を有するので、電解質中のイオンの移動を円滑にし、電場下でも電池駆動特性を発現できるという利点がある。このようなアルギネートは、具体的にはナトリウムアルギネートを意味し、それ以外にもエチルラウロイルアルギネート(ethyl lauroyl Arginate)やプロピレングリコールアルギネートなどを適用することもできる。
【0033】
前記キトサンは、環境にやさしい物質であって、低コストであるだけでなく、多量のヒドロキシ基を含むので、結着性能に優れているという利点がある。よって、それをスウェリングテープに用いた場合、電極組立体に対するスウェリングテープの接着性を向上させ、工程性に優れ、製造コストが低減された二次電池を製造することができる。また、前記キトサンは、構造中に窒素(nitrogen)元素を含むので、それをスウェリングテープに用いた場合、窒素原子による酸素還元反応で酸素の吸着及び分解能力が向上し、二次電池の電気伝導度をより改善することができる。
【0034】
本発明においては、水系自己修復バインダーをスウェリングテープに用いることにより、高い粘着性を確保し、アクリル系感圧粘着剤(pressure sensitive adhesive,「PSA」)などの粘着剤の付加的な使用を省略することができ、熱や衝撃により膨張する物性により電極組立体と電池ケースとの間の間隙を完全に充填することができる。よって、電池の落下などにより外部から振動や衝撃が加わったときにも電極組立体の揺動を防止することができるので、耐衝撃性が向上した、安定した二次電池を実現することができる。
【0035】
一方、前記粘着性スウェリング層は、前記基材層の両面のうちの少なくとも一方の一面に形成されてもよい。
【0036】
前記粘着性スウェリング層は、水系自己修復バインダーを水に溶解させてバインダー組成物を製造し、その後それを基材層にコーティング及び乾燥して製造することができる。
【0037】
前記粘着性スウェリング層は、基材層全体の厚さに対して、約10~50%、具体的には10~30%の厚さに形成されてもよい。前記粘着性スウェリング層の厚さが上記範囲を満たす場合、電極組立体(ジェリーロール)と電池ケースとの間の間隙を充填し、振動などの外部衝撃に強い電池を提供することができる。すなわち、前記粘着性スウェリング層の厚さが基材層全体の厚さに対して約10%以上である場合、間隙を十分に充填し、電極組立体の揺動を防止する目的を実現できる。一方、前記粘着性スウェリング層の厚さが基材層全体の厚さに対して約50%を超える場合、スウェリングテープの厚さの増加により電極組立体(J/R)の外径が増加するので、サイクル駆動時に電極組立体の膨張による電池の変形が発生し、セル(cell)性能が低下し得る。
【0038】
一方、前記粘着性スウェリング層は、前記基材層の一面の全面積に対して50%~99%、好ましくは70%~95%の範囲で形成されてもよい。
【0039】
前記粘着性スウェリング層の面積が上記範囲を満たす場合、コストに対して効果的な耐振動性を実現することができる。もし、前記粘着性スウェリング層の面積が基材層の全面積に対して99%を超える場合、経済的に好ましくなく、50%未満の場合、前記粘着性スウェリング層の面積が小さすぎるので、電極組立体の揺動を防止する効果が僅かであり得る。
【0040】
なお、本発明のスウェリングテープは、接着力及び膨潤効果をより向上させるために、必要に応じて後述する粘着層及び背面コーティング層の少なくとも一方の層をさらに含んでもよい。
【0041】
(3)粘着層
前記粘着層は、電極組立体に対するスウェリングテープの接着力をより向上させるために付加される層であって、電極組立体に対する適切な粘着力、言い換えれば適切な剥離力を実現できるように設計される。
【0042】
前記粘着層の剥離力は、実現しようとする立体形状の大きさや充電しようとする間隙に応じて変更されるものであって、その下限は、100gf/25mm以上、200gf/25mm以上、400gf/25mm以上、600gf/25mm以上、800gf/25mm以上、1,000gf/25mm以上、1,200gf/25mm以上、1,400gf/25mm以上、1,600gf/25mm以上又は1,800gf/25mm以上であってもよい。また、前記粘着層の剥離力の上限は、一般的な範囲を有するものであれば特に限定されないが、約5,000gf/25mm以下であってもよい。
【0043】
前記剥離力は、常温で測定された剥離力であり、5mm/secの剥離速度と180゜の剥離角度で測定した結果である。前記「常温」とは、加熱されたり冷却されたりしない自然のままの温度であって、例えば、約10℃~約30℃、具体的には約20℃~約30℃、さらに具体的には約25℃の温度を意味し得る。
【0044】
前記粘着層の剥離力が上記範囲を超えて上回る場合、スウェリング層の変形を抑制しすぎるので、立体形状の実現が困難になり得る。また、前記粘着層の剥離力が上記範囲に達しないと、前記スウェリングテープの膨張時に確保しようとする粘着性実現効果が僅かであり得る。
【0045】
このような粘着層は、重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)が40万以上であるアクリル系重合体を含んでもよい。具体的には、前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と架橋性官能基を有する共重合性単量体とを重合した形態の高分子を含んでもよい。ここで、各単量体の重量比率は、特に限定されるものではなく、目的とする剥離力を考慮して適宜設計される。
【0046】
一方、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、粘着剤の凝集力や、ガラス転移温度又は粘着性などを考慮して、炭素数が1~15であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いてもよい。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートなどの1種又は2種以上が挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0047】
前記架橋性官能基を有する共重合性単量体は、架橋結合により前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合することができ、共重合した後に重合体の主鎖に多官能性架橋剤と反応する架橋点を提供することができる単量体を含んでもよい。前記架橋性官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、アミド基などであってもよく、場合によっては、アクリロイル基やメタクリロイル基などの光架橋性官能基であってもよい。前記架橋性官能基を有する共重合性単量体は、その代表的な例として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物などのカルボキシル基を有する単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような単量体は、1種又は2種以上が重合体に含まれてもよい。
【0048】
前記粘着層は、5μm~20μm、具体的には10μm~20μmの厚さに形成されてもよい。もし、前記粘着層の厚さが20μmを超えると、ジェリーロール電極組立体の外径(体積)が増加し、生産性の問題及びセルの内部空間の減少により電解質の分散性が低下するので、二次電池の安全性及び諸性能が低下することがある。
【0049】
一方、前記粘着層は、i)基材層と粘着性スウェリング層間に形成されてもよく、ii)より向上した粘着性を確保するために、基材層及び粘着性スウェリング層の少なくとも一面上に形成されてもよい。
【0050】
(4)背面コーティング層
前記背面コーティング層は、間隙充填効果をより改善するために付加される層であって、電解質との接触及び含浸により部分的に方向性が解除されて膨潤するか、熱が所定量以上印加されると接着性が発現する熱硬化性接着物質からなるようにしてもよい。
【0051】
具体的には、前記背面コーティング層は、ポリイミド(polyimide)、ポリブチレンテレフタレート(polybuthylene terephthalate,PBT)、ポリアミドイミド(polyamideimide,PAI)、ペルフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy,PFA)、ポリスルホン(polysulfone,PSF)、ポリアリルサルフォン(polyarylsulfone,PAS)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene,PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene,FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン(ethylenetetrafluoroethylene,ETFE)及びポリエチレンナフタレン(polyethylene naphthalene,PEN)からなる群から選択された単一物又は2種以上の混合物を含んでもよい。
【0052】
前記背面コーティング層の場合、熱により接着性が発現するので、前記背面コーティング層を適用したスウェリングテープが貼り付けられた電極組立体を電池ケースに挿入する際には接着性が発現せず、容易に収納することができる。
【0053】
その後、電池ケースに電解質を注液すると、前記背面コーティング層が膨張することにより間隙を充填することができる。さらに、二次電池製造過程で熱印加工程を行うと、背面コーティング層の接着性が発現してスウェリングテープの接着力が向上し、電極組立体の揺動をより効果的に改善することができる。ここで、前記熱印加工程は、既存の二次電池製造工程で行われていたエイジング工程などであってもよく、又は別途の追加工程が付加されてもよい。
【0054】
前記背面コーティング層は、i)基材層と粘着性スウェリング層間に形成されてもよく、ii)より向上した粘着性を確保するために、粘着性スウェリング層上に形成されてもよい。
【0055】
なお、本発明のスウェリングテープ全体の厚さは、200μm以下、具体的には20μm~200μm、より具体的には20μm~150μm、さらに具体的には40μm~120μmであることが好ましい。もし、前記スウェリングテープの厚さが20μm未満の場合、熱や電解質との接触によっても十分な厚さを確保しにくく、電極組立体の揺動性防止効果を確保しにくいという問題がある。また、前記スウェリングテープの厚さが200μmを超える場合、電極組立体を電池ケースの内部に収納することが容易でないだけでなく、電池ケースと電極組立体との間の空間が縮小されて電解質の分散性が低下し、内部電解質の注入量がそれだけ減少するので、二次電池の容量確保が難しいという欠点がある。
【0056】
本発明の前記スウェリングテープは、基材層及びスウェリングテープと、選択的に粘着層及び/又は背面コーティング層とを含む様々な構造で製造することができる。具体的には、図2は、それぞれ本発明の実施形態によるスウェリングテープの様々な構成の例を模式的に示すものである。
【0057】
すなわち、一実現例による本発明のスウェリングテープ200は、図2の(a)に示すように、基材層202と、前記基材層の一面に形成された粘着性スウェリング層220(水系自己修復バインダーを含む粘着性スウェリング層220)とを含んでもよい。
【0058】
また、一実現例による本発明のスウェリングテープ200は、図2の(b)に示すように、基材層202の両面に形成された粘着性スウェリング層220(a)、220(b)(水系自己修復バインダーを含む粘着性スウェリング層220(a)、220(b))を含んでもよい。
【0059】
さらに、一実現例による本発明のスウェリングテープ200は、図2の(c)に示すように、粘着層201、基材層202、背面コーティング層203及び粘着性スウェリング層(水系自己修復バインダーを含む粘着性スウェリング層220)を含み、背面コーティング層203は、基材層202と粘着性スウェリング層220間に形成されてもよい。
【0060】
スウェリングテープが外周面に貼り付けられている電極組立体
次に、本発明による二次電池用スウェリングテープが外周面に貼り付けられている電極組立体について説明する。
【0061】
(1)二次電池用スウェリングテープ
二次電池用スウェリングテープの構成については上述したので、それについての説明は省略し、以下、電極組立体の外周面に貼り付けられたスウェリングテープの形態について説明する。
【0062】
本発明のスウェリングテープは、巻き取られた電極組立体の外周面に電極組立体の形態を維持すると共に、電極組立体の外周面と電池ケースの内面との間に位置して電池ケースの内部での電極組立体の揺動を防止することができる。
【0063】
具体的には、本発明のスウェリングテープは、電極組立体の外周面の高さ全体を取り囲むように貼り付けられてもよく、電極組立体の外周面のうち上端部及び下端部の一部を除く部分に貼り付けられることがより好ましい。
【0064】
前記電極組立体の上端部は、電池ケースと電極組立体間に電解質が染み込む空間として作用する部分であり、前記下端部は、電池ケースの底部に注入されている電解質が電極組立体に接する部分である。よって、電極組立体に含浸される電解質の含浸性を考慮すると、前記電極組立体の上端部及び下端部の一部にはスウェリングテープが貼り付けられないようにすることが好ましい。
【0065】
これと同時に、前記スウェリングテープは、電極組立体の外周面の長さ全体を覆うように巻いて貼り付けてもよく、電極組立体の揺動性の防止のために、電極組立体の外周面の長さ全体を覆う範囲内で1回以上巻いて貼り付けることが好ましい。
【0066】
本発明のスウェリングテープの長さ及び厚さは、電池の規格に応じて可変的に変形できるので、必ずしも限定されるものではないが、例えば、前記スウェリングテープの短縮長さ(幅)は、後述する電極組立体の高さ(長さ)と同じであるか、又は約1%~10%以下に小さくても大きくてもよく、これらのうち、約10%以下に小さいことが最も好ましい。もし、前記スウェリングテープの短縮長さ(幅)が後述する電極組立体の高さ(長さ)を基準として10%以上小さい場合、電極組立体の揺動を防止する効果を十分に実現することができないという欠点がある。また、前記スウェリングテープの短縮長さ(幅)が後述する電極組立体の高さ(長さ)を基準として1%以上長い場合、電極組立体の上端部及び下端部の一部にまでスウェリングテープが貼り付けられ、電解質の含浸性が低減されるという欠点がある。
【0067】
(2)電極組立体
次に、電極組立体について説明する。
【0068】
本発明による電極組立体は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在して電気的に絶縁するセパレータ(図示せず)とを含み、ここで、前記正極、前記セパレータ及び前記負極は、共にジェリーロール状に巻き取られて形成されてもよい。
【0069】
i)正極
本発明による電極組立体を構成する正極は、正極活物質を含む正極活物質層を含んでもよく、必要に応じて、前記正極活物質層は、導電材及び/又はバインダーをさらに含んでもよい。
【0070】
前記正極活物質は、コバルト、マンガン、ニッケル、アルミニウムなどの1種以上の金属とリチウムとを含むリチウム金属酸化物を含んでもよい。より具体的には、前記リチウム金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-ZNi(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-Z1CoZ1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)もしくはLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、又はリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg及びMoからなる群から選択され、p2、q2、r3及びs2は、それぞれ自立的な元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか1つ又は2つ以上の化合物が含まれてもよい。
【0071】
前記正極活物質は、正極活物質層中で固形分の全重量を基準として90重量%~99重量%、具体的には93重量%~98重量%で含まれてもよい。
【0072】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発しないながらも導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどの炭素粉末;結晶構造が非常に発達した天然黒鉛、人造黒鉛、グラファイトなどの黒鉛粉末;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0073】
前記導電材は、通常、正極活物質層中で固形分の全重量を基準として1~30重量%で添加される。
【0074】
前記バインダーは、正極活物質粒子同士の付着及び正極活物質と集電体との接着力を向上させる役割を果たす成分であって、通常、正極活物質層中で固形分の全重量を基準として1~30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride,PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene,PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン-ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber,SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose,CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリビニルアルコールを含むポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;シラン系バインダーなどが挙げられる。
【0075】
本発明の正極は、当該技術分野における公知の正極製造方法により製造することができる。例えば、前記正極は、正極活物質、バインダー及び/又は導電材を溶媒中に溶解又は分散させて製造した正極スラリーを正極集電体上に塗布し、その後乾燥及び圧延して正極活物質層を形成する方法や、前記正極活物質層を別途の支持体上にキャストし、その後支持体を剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネートする方法などにより製造することができる。
【0076】
前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発しないながらも導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、又はアルミニウムやステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられてもよい。前記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成することにより、後述する正極活物質との結合力を強化することができる。
【0077】
前記溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含んでもよく、前記正極活物質と選択的にバインダー及び導電材などとを含む場合に好ましい粘度となる量で用いられてもよい。例えば、正極活物質と選択的にバインダー及び導電材とを含む活物質スラリー中の固形分濃度が10重量%~70重量%、好ましくは20重量%~60重量%となるように含まれてもよい。
【0078】
ii)負極
次に、本発明による電極組立体を構成する負極は、負極活物質を含む負極活物質層を含み、必要に応じて、前記負極活物質層は、導電材及び/又はバインダーをさらに含んでもよい。
【0079】
前記負極活物質は、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)、Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、Ni又はFeである金属類(Me);前記金属類(Me)で構成された合金類;前記金属類の酸化物;前記金属類と炭素との複合体からなる群から選択された1種又は2種以上の負極活物質が挙げられる。
【0080】
前記負極活物質は、負極活物質層中で固形分の全重量を基準として80重量%~99重量%で含まれてもよい。
【0081】
前記導電材及び前記バインダーは、正極製造時に用いられたものと同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。ここで、前記導電材は、活物質層中で固形分の全重量を基準として1~20重量%で添加されてもよく、前記バインダーは、負極活物質層中で固形分の全重量を基準として1~30重量%となるようにしてもよい。
【0082】
前記負極は、当該技術分野における公知の負極製造方法により製造することができる。例えば、前記負極は、負極活物質と、選択的にバインダー及び導電材を溶媒中に溶解又は分散させて製造した負極活物質スラリーを負極集電体上に塗布して圧延、乾燥して負極活物質層を形成する方法、又は前記負極活物質層を別途の支持体上にキャストし、その後支持体を剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネートする方法により製造することができる。
【0083】
前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発しないながらも高い導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、銅やステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてもよい。また、前記正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成することにより、負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態で用いることができる。
【0084】
前記溶媒は、水又はNMP、アルコールなどの有機溶媒を含んでもよく、前記負極活物質と選択的にバインダー及び導電材などとを含む場合に好ましい粘度となる量で用いられてもよい。例えば、負極活物質と選択的にバインダー及び導電材とを含む活物質スラリー中の固形分濃度が50重量%~75重量%、好ましくは50重量%~65重量%となるように含まれてもよい。
【0085】
iii)セパレータ
本発明による電極組立体に含まれるセパレータは、従来セパレータに用いられていた通常の多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィンで製造した多孔性高分子フィルムを単独で又はこれらを積層して用いてもよく、無機物粒子(例えば、Al)が塗布されたポリオレフィン系多孔性高分子フィルム又は通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0086】
二次電池
次に、本発明によるリチウム二次電池について説明する。
【0087】
本発明によるリチウム二次電池は、二次電池用スウェリングテープが外周面に貼り付けられている電極組立体と、電解質と、前記電極組立体及び前記電解質を収納する円筒型電池ケースとを含む、円筒型二次電池を提供する。前記二次電池用スウェリングテープが外周面に貼り付けられている電極組立体については上述したので、それについての説明は省略し、以下、他の構成要素について説明する。
【0088】
(1)電解質
本発明による円筒型二次電池は、充放電時に電極で電気化学的反応により生成されるリチウムイオンが移動できるように、電解質を含む。
【0089】
このような電解質としては、リチウム塩が溶解した非水性有機溶媒を含む液体電解質、又は前記非水性有機溶媒にゲル化可能な高分子樹脂が含有されたゲルポリマー電解質を制限されることなく用いることができる。
【0090】
前記リチウム塩としては、リチウム二次電池用電解質に通常用いられる様々なリチウム塩を制限されることなく用いることができる。例えば、前記リチウム塩は、正イオンとしてLiを含み、負イオンとしてF、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、AlO 、AlCl 、PF 、SbF 、AsF 、B10Cl10 、BF 、BC 、PF 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、CHSO 、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN及び(CFCFSOからなる群から選択された少なくともいずれかを含むものであってもよい。
【0091】
具体的には、前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiPF、LiSbF、LiAsF、LiB10Cl10、LiBOB(LiB(C)、LiCFSO、LiTFSI(LiN(SOCF)、LiFSI(LiN(SOF))、LiCHSO、LiCFCO、LiCHCO及びLiBETI(LiN(SOCFCFからなる群から選択された少なくともいずれかが挙げられる。具体的には、前記リチウム塩は、LiBF、LiClO、LiPF、LiBOB(LiB(C)、LiCFSO、LiTFSI(LiN(SOCF)、LiFSI(LiN(SOF))及びLiBETI(LiN(SOCFCFからなる群から選択された単一物又は2種以上の混合物を含んでもよい。
【0092】
前記リチウム塩は、通常使用可能な範囲内で適宜変更することができるが、最適な電極表面の腐食防止用被膜形成効果を得るために、電解質中に0.8M~4.0Mの濃度、具体的には1.0M~3.0Mの濃度で含まれてもよい。
【0093】
前記非水性有機溶媒としては、環状カーボネート系有機溶媒、線状カーボネート系有機溶媒又はこれらの混合有機溶媒を含んでもよい。
【0094】
前記環状カーボネート系有機溶媒は、高粘度の有機溶媒であり、誘電率が高いことから電解質中のリチウム塩を容易に解離させることのできる有機溶媒であって、その具体的な例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート及びビニレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの有機溶媒を含んでもよく、とりわけエチレンカーボネートを含んでもよい。
【0095】
また、前記線状カーボネート系有機溶媒は、低粘度及び低誘電率を有する有機溶媒であって、その代表的な例として、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate,DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate,DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの有機溶媒を用いてもよく、具体的にはジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジプロピルカーボネートの少なくとも1つを含んでもよい。
【0096】
前記電解質は、本発明の二次電池用スウェリングテープを構成する高分子と高分子間に容易に浸透し、膨張させることができる。
【0097】
(2)円筒型電池ケース
本発明による円筒型二次電池は、電極組立体を収容する円筒型電池ケースと、前記円筒型電池ケースの上部で円筒型電池ケースを密封するキャップ組立体とを含んでもよい。
【0098】
前記キャップ組立体は、絶縁ガスケットをさらに含んでもよく、電極組立体から発生する電流を外部装置に流すことができる。
【0099】
本発明の円筒型電池ケースの内部表面は、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)などの電解質との親和性が比較的良い材質からなるようにしてもよい。
【0100】
このような本発明による円筒型二次電池300は、通常の方法により製造することができる。
【0101】
図3に示すように、電極組立体330の外周面に本発明の二次電池用スウェリングテープ310aを貼り付け、その後スウェリングテープ310aが貼り付けられた電極組立体330を円筒型電池ケース(円筒型缶)320に収納する。
【0102】
その後、円筒型電池ケース320の内部に上述した電解質(図示せず)を注入する。
【0103】
その結果、電極組立体330の外部に貼り付けられたスウェリングテープ310aに電解質が接触し、電解質に含まれる非水性有機溶媒がスウェリングテープ310aを構成する基材層及び粘着性スウェリング層などを構成する高分子と高分子間に浸透し、スウェリングテープが1次膨張(図示せず)する。よって、電極組立体330と電池ケース320との間の間隙を充填することができる。
【0104】
その後、電池ケースの開口部にキャップ組立体を固定する公知の方法で二次電池を組み立て、その後通常の後処理工程、例えば化成工程及びエイジング工程を行うことにより、二次電池を製造することができる。
【0105】
ここで、前記化成工程は、電池組立後に充放電を繰り返して電池を活性化する工程である。前記化成工程において、充電時、正極として用いられるリチウム金属酸化物からのリチウムイオンが負極として用いられるカーボン電極に移動して挿入されるが、このとき、リチウムは、反応性が強いので、カーボン負極と反応してLiCO、LiO、LiOHなどの化合物を生成し、それらはカーボン電極の表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれる被膜を形成する。
【0106】
また、前記エイジング工程は、SEI被膜を安定化させるために電池を所定期間放置する工程である。通常、エイジング工程は、組立ステップを経た二次電池5を50℃~70℃の環境に18時間~36時間さらすことにより行われる。
【0107】
このようなエイジング工程で、スウェリングテープが2次膨張(310b)することにより、間隙を完全に充電して電極組立体を固定するので、電極組立体330の揺動を効果的に防止することができる。
【0108】
前記二次電池は、様々なデバイスに適用することができる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用することができるが、これらに限定されるものではなく、二次電池を使用できる様々なデバイスに適用することができる。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の範囲に属するものである。
【実施例
【0110】
実施例
実施例1.
(スウェリングテープの製造)
基材層として、熱可塑性ポリウレタン(TPU)で製造された厚さ約30μmの無延伸フィルムを用意した。前記基材層の一面にアクリレート系樹脂からなる厚さ10μmの粘着層を形成し、前記粘着層が形成された面の反対となる基材層の一面にポリブチレンテレフタレートを用いて厚さ15μmの背面コーティング層を形成した。その後、水系自己修復バインダーとしてキトサン(Merck、CAS No.9012764、製品名:419419)を水に溶解させてバインダー組成物を製造し、それを前記背面コーティング層の一面に7μmの厚さ(基材層に対して約23%)にコーティングして乾燥することにより、粘着性スウェリング層を含むスウェリングテープを製造した(図2の(c)参照)。
【0111】
(電極組立体及び電池の製造)
負極(負極活物質:人造黒鉛)、セパレータ及び正極(正極活物質:LCO)を含むジェリーロール状の電極組立体(断面直径:17.2mm)の外周面にスウェリングテープを貼り付けた。前記スウェリングテープは、電極組立体の外周面の約50%の面積を覆うように貼り付けられてもよい。
【0112】
その後、前記組立体を円筒型電池ケース(断面直径:17.5mm)に挿入し、その後電解質(1.0M LiPF/EC:EMC=30:70の体積比)を注液し、キャップ組立体で円筒型電池ケースの上部を密封することにより、円筒型二次電池を完成した。
【0113】
実施例2.
前記スウェリングテープを製造する際に、水系自己修復バインダーとしてナトリウムアルギネート(sodium alginate、Merck、CAS No.9005383)を用いて粘着性スウェリング層を形成したことを除き、実施例1と同様の方法でスウェリングテープ及びこれを含む円筒型二次電池を製造した。
【0114】
比較例1.
背面コーティング層上に粘着性スウェリング層を形成せずにスウェリングテープを製造したことを除き、実施例1と同様の方法で円筒型二次電池を製造した。
【0115】
実験例
実験例1.耐衝撃評価実験
上記実施例1及び実施例2で製造された円筒型二次電池と上記比較例1で製造された円筒型二次電池に対して、常温(25℃)で0.33Cレートで4.2Vまで定電流/定電圧条件で充電及び0.05Cカットオフ充電を実施し、0.33C、2.5Vで放電を実施した。前記充電/放電をそれぞれ1回行った後の放電容量を基準にSOC(State Of Charge)30%に合わせ、5A(2.5C)で10秒間放電パルス(pulse)を与えたときに現れる電圧降下により、直流内部抵抗を測定(PNE-0506充放電器(製造社:株式会社PNEソリューション、5V、6A)を用いて測定)した。測定された抵抗を初期抵抗に設定した。
【0116】
その後、上記実施例1及び実施例2で製造された円筒型二次電池と上記比較例1で製造された円筒型二次電池を、それぞれ1.0mの高さでコンクリート地面に3回ランダム(random)落下させ、その後外観損傷程度を評価した。その結果を下記表1に示した。
【0117】
【表1】
【0118】
上記表1において、外観損傷が最も激しい程度(基準)を1とし、外観損傷が最も低い程度を5で示した。
【0119】
上記表1を参照すると、本発明の上記実施例1及び2で製造された水系自己修復バインダーからなる粘着性スウェリング層を含む円筒型二次電池の場合、上記比較例1で製造された円筒型二次電池に比べて衝撃外観損傷程度が低いことが確認された。
【0120】
実験例2.抵抗増加率評価実験
上記実験例1の耐衝撃評価実験が完了した、上記実施例1及び実施例2で製造された円筒型二次電池と上記比較例1で製造された円筒型二次電池に対して、常温(25℃)で3Aの電流密度で4.2Vまで定電流/定電圧条件で50mAカットオフ充電を実施し、0.4Aの電流密度で2.5VまでCC条件で放電してから、30分休止後、放電容量(Dis-charge capacity:DCH)を基準にSOC(State Of Charge)30%に合わせた。その後、常温(25℃)で0.1Aで10秒及び10Aで1秒間3回放電パルス(pulse)を与えたときに現れる電圧降下により、直流内部抵抗(PNE-0506充放電器(製造社:株式会社PNEソリューション、5V、6A)を用いて測定)を測定した。上記実験例1で測定された初期抵抗(0%)と比較して抵抗増加率(%)を計算し、その結果を下記表2に示した。
【0121】
【表2】
【0122】
上記表2を参照すると、本発明の上記実施例1及び2で製造された水系自己修復バインダーからなる粘着性スウェリング層を含む円筒型二次電池の場合、上記比較例1の円筒型二次電池に比べて抵抗増加率が低いことが確認された。
【0123】
実験例3.電圧増加率評価実験
電圧抵抗測定器(Hioki RM 3548)を用いて、上記実験例1の耐衝撃評価実験が完了した、上記実施例1及び実施例2で製造された円筒型二次電池と上記比較例1で製造された円筒型二次電池に対する電圧増加率を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0124】
【表3】
【0125】
上記表3を参照すると、本発明の上記実施例1及び2で製造された水系自己修復バインダーからなる粘着性スウェリング層を含む円筒型二次電池の場合、上記比較例1の円筒型二次電池に比べて電圧増加率が低いことが確認された。
【符号の説明】
【0126】
100、330 電極組立体
110、201 粘着層
120 スウェリング層
200 スウェリングテープ
202 基材層
203 背面コーティング層
220、220(a)、220(b) 水系自己修復バインダーを含む粘着性スウェリング層
300 円筒型二次電池
310a スウェリングテープ
310b 膨張したスウェリングテープ
320 円筒型電池ケース(円筒型缶)
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3