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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/019 20060101AFI20240528BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20240528BHJP
【FI】
B60G17/019
B60W40/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019235120
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102414
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇作
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-225339(JP,A)
【文献】特開2009-161125(JP,A)
【文献】特開2010-241328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0026879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
B60W 10/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体と車輪とを接続するサスペンションのロアアームに接続されたリンク機構式の車高センサから車高情報を取得する取得部と、
前記車両に対して水平方向にかかる作用力と、前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である車高誤差情報を記憶する記憶部と、
前記取得部によって取得された前記車高情報を、前記車高情報が取得されたときに作用している前記作用力と、前記記憶部に記憶されている前記車高誤差情報と、に基づいて補正する補正部と、を備え
前記作用力は、前記車両に対する制動力である、車両用制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記車両に対する制動力として、前記車両に設定された目標制動力を取得し、
前記補正部は、前記取得部により取得された前記目標制動力に基づいて、前記車高情報を補正する、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記車高誤差情報として、
前記車輪の中心部分に作用する第1の制動力と、前記第1の制動力が前記車輪の中心部分に作用している場合に前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である第1の車高誤差情報と、
前記車輪の接地部分に作用する第2の制動力と、前記第2の制動力が前記車輪の接地部分に作用している場合に前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である第2の車高誤差情報と、を記憶し、
前記補正部は、
前記取得部によって取得された前記車高情報を、
前記第1の制動力が作用している場合は、作用している前記第1の制動力と、前記第1の車高誤差情報と、に基づいて補正し、
前記第2の制動力が作用している場合は、作用している前記第2の制動力と、前記第2の車高誤差情報と、に基づいて補正する、請求項に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
車両の車体と車輪とを接続するサスペンションのロアアームに接続されたリンク機構式の車高センサから車高情報を取得する取得部と、
前記車両に対して水平方向にかかる作用力と、前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である車高誤差情報を記憶する記憶部と、
前記取得部によって取得された前記車高情報を、前記車高情報が取得されたときに作用している前記作用力と、前記記憶部に記憶されている前記車高誤差情報と、に基づいて補正する補正部と、を備え
前記作用力は、前記車両に対する駆動力である、車両用制御装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記車高誤差情報として、
前記車輪の中心部分に作用する第1の駆動力と、前記第1の駆動力が前記車輪の中心部分に作用している場合に前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である第3の車高誤差情報と、
前記車輪の接地部分に作用する第2の駆動力と、前記第2の駆動力が前記車輪の接地部分に作用している場合に前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である第4の車高誤差情報と、を記憶し、
前記補正部は、
前記取得部によって取得された前記車高情報を、
前記第1の駆動力が作用している場合は、作用している前記第1の駆動力と、前記第3の車高誤差情報と、に基づいて補正し、
前記第2の駆動力が作用している場合は、作用している前記第2の駆動力と、前記第4の車高誤差情報と、に基づいて補正する、請求項4に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の車体と車輪とを接続するサスペンションのロアアームに接続されたリンク機構式の車高センサによって車高情報を検出し、その車高情報を車両の姿勢制御等に用いる技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-35937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の制動時や駆動時に、車両においてロアアームが水平方向に相対的に移動する場合がある。この場合、車高センサによって検出される車高情報の精度が低下することがある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、車両の制動時や駆動時に、リンク機構式の車高センサによって検出される車高情報を適正に補正することができる車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例としての車両用制御御装置は、車両用制御御装置は、車両の車体と車輪とを接続するサスペンションのロアアームに接続されたリンク機構式の車高センサから車高情報を取得する取得部と、前記車両に対して水平方向にかかる作用力と、前記車高センサが出力する前記車高情報に含まれる誤差と、の関係を示す情報である車高誤差情報を記憶する記憶部と、前記取得部によって取得された前記車高情報を、前記車高情報が取得されたときに作用している前記作用力と、前記記憶部に記憶されている前記車高誤差情報と、に基づいて補正する補正部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の車両用制御装置等の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態の車高センサの構造を模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態において、(a)制動力に関する車高誤差情報、(b)駆動力に関する車高誤差情報、をそれぞれ模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態において、(a)摩擦制動、(b)回生制動、のそれぞれの場合のロアアーム等の動きを模式的に示す上面図である。
図5図5は、実施形態の車両用制御装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで例であって、本開示は以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
まず、図1を参照して、実施形態の車両用制御装置1等の機能構成について説明する。図1は、実施形態の車両用制御装置1等の機能構成を示すブロック図である。車両用制御装置1は、処理部2と、記憶部3と、を備える。また、車両用制御装置1には、車高センサ4、各種センサ5、各種制御対象部6が接続される。
【0010】
車高センサ4は、車両の車体と車輪とを接続するサスペンションのロアアーム(以下、単に「ロアアーム」ともいう。)に接続されたリンク機構式のセンサであり、ロアアームの上下移動にともなうリンク機構の回転運動に基づいて、車高情報を検出する。
【0011】
ここで、図2は、実施形態の車高センサ4の構造を模式的に示す図である。車高センサ4は部分A、部分B、部分C、部材AB、部材CBを含む。部分Aが車体に取り付けられており、部分Cがロアアームに取り付けられている。部材ABは部分Aと部分Bをつなぐ部材であり、部材CBは部分Cと部分Bをつなぐ部材である。部材ABと部材CBとは剛性の高い素材で構成されており、伸縮しない。また、車高センサ4は、部分Bをリンクとするリンク機構を有している。そして、車高センサ4は、リンク機構の回転運動に基づいて、車高情報を検出する。
【0012】
例えば、図2(b)に示すように、ロアアームが下方に移動する場合に、ロアアームに取り付けられている部分Cも下方に移動する。その場合、車高センサ4は図2(b)に示されるように変形し、図2(a)を基準として部材ABが部分Aを回動軸として角度θ分回動する。車高センサ4は、この角度θを用いて、車高情報を検出する。
【0013】
図2(c)に示すように、ロアアームが鉛直方向には移動せずに水平方向に移動する場合に、ロアアームに取り付けられている部分Cも水平方向に移動する。その場合、車高センサ4は図2(c)に示されるように変形し、図2(a)で示される状態から部分Aを回動軸として部材ABが角度θ分回動する。車高センサ4は、この角度θを用いて、車高情報を検出する。そのため、ロアアームが鉛直方向に移動していないにもかかわらず、角度θが変化したことに伴い車高が変化したように検出される。この場合、車高センサ4が出力する車高情報は、誤差を含んだ車高情報である。
【0014】
このような鉛直方向への移動を伴わないロアアームの水平方向の移動は、主に、車両の制動時や駆動時に発生する。そこで、予め実験で、車両に対して車高センサ4のほかに例えばレーザや超音波等で車両と路面との距離を計測する計測器を併設し、車両の制動時や駆動時に、その計測器による計測結果と比較する。計測器によって得られる車高の値は、ロアアームの水平方向への移動による影響を受けないため、実際の車高の値である。計測器によって得られる車高の値と車高センサ4によって検出される車高情報と制動力や駆動力の大きさとを基に、車高センサ4が出力する車高情報が含む誤差の程度と制動力や駆動力の大きさとの関係を調べておく。そして、その関係を車高誤差情報としてマップ、テーブル、関数等を用いてデータ化しておく。本実施形態では、車高誤差情報は、車高センサ4が検出する車高情報に含まれる誤差の程度と、車両に付与される制動力/駆動力の大きさとの関係を示すマップである。
【0015】
図3は、実施形態において、(a)制動力に関する車高誤差情報、(b)駆動力に関する車高誤差情報、をそれぞれ模式的に示す図である。ここでは、車高誤差情報がマップとしてデータ化されている場合について説明する。しかし、車高誤差情報はこれに限定されず、テーブル、関数等を用いてもよい。
【0016】
図3(a)が示す車高誤差情報の例は、縦軸を車高情報の誤差の大きさとし、横軸を制動力としたマップである。また、図3(b)が示す車高誤差情報の例は、縦軸を車高情報の誤差の大きさとし、横軸を駆動力としたマップである。
【0017】
また、例えば、制動力について、摩擦制動力と回生制動力では車高誤差情報の内容が異なる。具体的には、摩擦制動力と回生制動力とで同じ制動力が得られる場合でも、ロアアームが水平方向に移動する量は異なる。そのため、摩擦制動力用の車高誤差情報と回生制動力用の車高誤差情報を別々にデータ化されていることが好ましい。なお、制動力は、車両に対して水平方向にかかる作用力の例である。
【0018】
図4は、実施形態において、(a)摩擦制動、(b)回生制動、のそれぞれの場合のロアアーム等の動きを模式的に示す上面図である。まず、図4(a)を参照して、摩擦制動の場合について説明する。図4(a)に示すように、サスペンションのうち、コイルスプリングCS、ロアアームL、トレーリングアームTが配置されている。
【0019】
具体的には、ロアアームLは、端部L1aがタイヤTAのハブHに取り付けられ、端部L2が車体に取り付けられている。また、トレーリングアームTは、端部T1aがタイヤTAのハブHに取り付けられ、端部T2が車体に取り付けられている。
【0020】
そして、摩擦制動力が発生する場合、タイヤTAに対して路面から摩擦力Pが作用し、ハブHには力Q1が作用する。その結果、タイヤTA、ハブH、ロアアームL、トレーリングアームTは実線部分から破線部分に移動する。つまり、ロアアームLにおいては、端部L1aが符号L1bの位置に移動する。また、トレーリングアームTにおいては、端部T1aが符号T1bの位置に移動する。
【0021】
次に、図4(b)を参照して、回生制動の場合について説明する。図4(b)に示すように、サスペンションのうち、コイルスプリングCS、ロアアームL、トレーリングアームTが配置されている。また、力を伝達するドライブシャフトDがハブHに接続されている。
【0022】
そして、回生制動力が発生する場合、タイヤTAのハブHに対してドライブシャフトDからの力Q2が作用し、タイヤTAには力Pが作用する。その結果、タイヤTA、ハブH、ロアアームL、トレーリングアームTは実線部分から破線部分に移動する。つまり、ロアアームLにおいては、端部L1aが符号L1bの位置に移動する。また、トレーリングアームTにおいては、端部T1aが符号T1bの位置に移動する。
【0023】
図4の(a)と(b)を比較するとわかるように、摩擦制動の場合と回生制動の場合では、タイヤTAやハブHの移動の仕方が異なるので、ロアアームLの移動の仕方も異なる。よって、部分C(図2)がロアアームLに取り付けられた車高センサ4が検出する車高情報に含まれる誤差の程度も異なる。したがって、上述したように、摩擦制動力用の車高誤差情報と回生制動力用の車高誤差情報を別々にデータ化しておき、摩擦制動の場合と回生制動の場合で使い分けることが好ましい。
【0024】
図1に示される記憶部3は、車両に対して水平方向にかかる作用力(例えば、制動力や駆動力)と、車高センサ4が出力する車高情報に含まれる誤差の程度と、の関係を示す情報である車高誤差情報を記憶する。例えば、記憶部3は、車高誤差情報として、車輪の中心部分に作用する第1の制動力(例えば回生制動力)と、車高センサ4が出力する車高情報に含まれる誤差の程度と、の関係を示す情報である第1の車高誤差情報を記憶する。また、例えば、記憶部3は、車輪の接地部分に作用する第2の制動力(例えば摩擦制動力)と、車高センサ4が出力する車高情報に含まれる誤差の程度と、の関係を示す情報である第2の車高誤差情報を記憶する。
【0025】
また、記憶部3は、車高誤差情報として、例えば、車輪の中心部分に作用する第1の駆動力と、車高センサ4が出力する車高情報に含まれる誤差の程度と、の関係を示す情報である第3の車高誤差情報を記憶する。また、記憶部3は、例えば、車輪の接地部分に作用する第2の駆動力(例えばインホイールモータによる駆動力)と、車高センサ4が出力する車高情報に含まれる誤差の程度と、の関係を示す情報である第4の車高誤差情報と、を記憶する。
【0026】
なお、第1~第4の車高誤差情報は、上述したような実験によって予め作成しておく。
【0027】
処理部2は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することで各機能部を実現する。なお、各機能部の一部または全部が、専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。処理部2は、機能部として、取得部21と、補正部22と、姿勢制御部23と、を備える。
【0028】
取得部21は、車高センサ4や各種センサ5や他のECU等から各種情報を取得する。取得部21は、例えば、車高センサ4から車高情報を取得する。また、取得部21は、各種センサ5(車高センサ4以外のセンサ)から各種のセンサ値を取得する。各種センサ5は、例えば、車輪速センサ、加速度センサ、舵角センサ、液圧センサ、車両姿勢センサ等である。取得部21は、車両用制御装置1に含まれる制動制御装置のECU(未図示)により設定された目標制動力を取得する。本実施形態では、取得部21は目標制動力と各種センサ5のセンサ値とを基に、車両に実際に作用している制動力を取得する。また、取得部21は制動力の種別も取得してもよい。制動力の種別は例えば、摩擦制動力や回生制動力である。また、取得部21は、車両用制御装置1に含まれる駆動制御装置のECU(未図示)により設定された目標駆動力を取得する。本実施形態では、取得部21は目標駆動力と各種センサ5のセンサ値とを基に、車両に実際に作用している駆動力を取得する。取得部21は取得した制動力/駆動力を記憶部3に記憶させてもよいし、補正部22に送信してもよい。取得部21は例えば、取得した車高情報と制動力/駆動力とを対応付けて記憶部3に記憶する。制動力/駆動力が記憶部3に記憶されている場合、後述する補正部22は記憶部3に記憶されている制動力/駆動力を、車高情報が取得されたときに作用している作用力として用いて処理を実行する。制動力/駆動力が補正部22に送信される場合、取得部21は例えば車高情報と制動力/駆動力とを対応付けて補正部22に送信する。また、後述するように、補正部22は取得部21が取得した制動力/駆動力に基づいて、制動力/駆動力が発生しているか否かを判定する。例えば、補正部22は、取得部21が取得した制動力/駆動力が所定値未満である場合、制動力/駆動力が発生していないと判定する。
【0029】
補正部22は、取得部21によって取得された車高情報を、取得部21が車高情報を取得したときに作用している作用力(制動力や駆動力等)と、記憶部3に記憶されている車高誤差情報(第1~第4の車高誤差情報)と、に基づいて補正する。
【0030】
例えば、補正部22は、取得部21によって取得された車高情報を、そのときに第1の制動力が作用している場合は、第1の制動力と、第1の車高誤差情報と、に基づいて補正する。また、補正部22は、取得部21によって取得された車高情報を、そのときに第2の制動力が作用している場合は、第2の制動力と、第2の車高誤差情報と、に基づいて補正する。
【0031】
また、補正部22は、取得部21によって取得された車高情報を、そのときに第1の駆動力が作用している場合は、第1の駆動力と、第3の車高誤差情報と、に基づいて補正する。また、補正部22は、取得部21によって取得された車高情報を、そのときに第2の駆動力が作用している場合は、第2の駆動力と、第4の車高誤差情報と、に基づいて補正する。
【0032】
姿勢制御部23は、補正部22によって補正された車高情報に基づいて、各種制御対象部6を制御することで、車両の姿勢制御を実行する。
【0033】
次に、図5を参照して、実施形態の車両用制御装置1による処理について説明する。図5は、実施形態の車両用制御装置1による処理を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ステップS1において、取得部21は、車高センサ4から車高情報を取得する。次に、ステップS2において、補正部22は、各種センサ5からのセンサ値等に基づいて車両に制動力が発生しているか否かを判定する。制動力が発生している場合(S2:Yes)、ステップS3に進み、制動力が発生していない場合(S2:No)、ステップS4に進む。
【0035】
ステップS3において、補正部22は、車高情報を、発生している制動力と、記憶部3に記憶されている車高誤差情報と、に基づいて補正する。ステップS3で補正部22は、発生している制動力の種別に応じて第1車高誤差情報と第2車高誤差情報とのうち少なくとも一方を用いる。ステップS3の後、ステップS4に進む。
【0036】
ステップS4において、補正部22は、各種センサ5からのセンサ値等に基づいて車両に駆動力が発生しているか否かを判定する。駆動力が発生している場合(S4:Yes)、ステップS5に進み、駆動力が発生していない場合(S4:No)、ステップS6に進む。
【0037】
ステップS5において、補正部22は、車高情報を、発生している駆動力と、記憶部3に記憶されている車高誤差情報と、に基づいて補正する。ステップS5で補正部22は発生している駆動力の種別に応じて第3車高誤差情報と第4車高誤差情報とのうち少なくとも一方を用いる。ステップS5の後、ステップS6に進む。
【0038】
ステップS6において、姿勢制御部23は、車高情報や各種センサ5からのセンサ値等に基づいて車両の姿勢制御が必要か否かを判定する。車両の姿勢制御が必要な場合(S6:Yes)、;ステップS7に進み、車両の姿勢制御が必要ではない場合(S6:No)、処理を終了する。
【0039】
ステップS7において、姿勢制御部23は、車高情報(補正部22によって補正されている場合は補正後の車高情報)等に基づいて、各種制御対象部6を制御することで、車両の姿勢制御を実行する。
【0040】
このように、本実施形態の車両用制御装置1によれば、予め記憶部3に車高誤差情報が記憶されていることで、車高情報を取得した場合に、車両に所定の作用力(制動力や駆動力)が作用しているときには、その作用力と車高誤差情報とに基づいて、車高情報を適正に補正することができる。つまり、車両の制動時や駆動時に車両においてロアアームが水平方向に相対的に移動することによって検出された実際の車高と異なる値を示す車高情報を、補正によって適正な値にすることができる。そして、車高情報を適正な値にすることで、車両の姿勢制御をより高精度に実行できる。
【0041】
また、制動力用の車高誤差情報として、摩擦制動力用の車高誤差情報と回生制動力用の車高誤差情報を別々に記憶し、摩擦制動の場合と回生制動の場合で使い分けることで、制動力発生時に、車高情報をより高精度に補正することができる。
【0042】
また、駆動力用の車高誤差情報として、車輪の中心部分に作用する第1の駆動力用の車高誤差情報と、車輪の接地部分に作用する第2の駆動力用の車高誤差情報と、を別々に記憶し、それらを使い分けることで、駆動力発生時に、車高情報をより高精度に補正することができる。
【0043】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、または変更を行うことができる。また、上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0044】
例えば、1台の車両に複数の車高センサ4を設置する場合、車高センサ4ごとに別々の車高誤差情報を作成してもよい。
【0045】
また、制動力用の車高誤差情報は、液圧ブレーキ用とEPB(Electric Parking Brake)用で別々に作成してもよい。
【0046】
また、車高誤差情報は、車両における乗員の位置や、車両重量や、走行距離や、走行時間等の他の条件も加味して作成し、それらの条件に関するとそのときの状況に応じて使用するようにしてもよい。
【0047】
また、取得部21は取得した車高情報と制動力/駆動力とを対応付けなくてもよい。例えば、取得部21は夫々異なるタイミングで取得した車高情報と制動力/駆動力とを記憶部3や補正部22に送信してもよい。この場合、記憶部3は現在の車高情報と制動力/駆動力とを対応付けるテーブルを、取得部21から情報を受信するたびに更新してもよい。補正部22は記憶部3に記憶されているテーブルを参照して処理を実行してもよい。このように、補正部22は取得部21が車高情報と作用力とを異なるタイミングで取得した場合でも、車高情報を補正するときに用いる作用力を、車高情報が取得されたときに作用している作用力として処理を実行してもよい。
【0048】
また、図5で示されるステップS6とステップS7とは実行されなくてもよい。この場合、ステップS5で車高情報が補正された後、処理は終了してもよい。この場合でも、車高情報が補正されることで、補正された車高情報を用いた制御等が可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1…車両用制御装置、2…処理部、3…記憶部、4…車高センサ、5…各種センサ、6…各種制御対象部、21…取得部、22…補正部、23…姿勢制御部、CS…コイルスプリング、D…ドライブシャフト、H…ハブ、L…ロアアーム、T…トレーリングアーム、TA…タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5