(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240528BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020003226
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新宮 淳
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-123180(JP,A)
【文献】特開2003-174401(JP,A)
【文献】特開2016-024749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
サービス
を利用する利用者の所有する端末の識別IDと、前記サービスの受付を行った前記利用者に対して発行される窓口IDとを関連付け、
同じ前記窓口IDが関連付けられた複数の前記識別IDに対応する複数の端末における、それぞれの利用状況から、前記複数の端末の優先度付けを行い、
前記複数の端末のうちの前記優先度が最も高い端末に、前記サービスに関する通知を送信する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記複数の端末を通じて通知される各々の端末を使用するそれぞれの利用者の反応から、前記サービスに対する端末の優先度を前記複数の端末毎に設定し、
設定した前記サービスに対する端末の優先度を用いて、前記複数の端末の中から前記サービスに関する通知を受け付ける当事者端末を特定する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数の端末が位置する位置情報をそれぞれ取得して、前記複数の端末を使用するそれぞれの利用者の反応を、それぞれの利用者が使用する端末から前記サービスの提供場所までの距離によって測定し、
前記サービスの提供場所までの距離が近い端末ほど、前記優先度を高く設定する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前回取得した位置情報が表す位置よりも前記サービスの提供場所に近づいている端末ほど、前記優先度を高く設定する
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記複数の端末を使用するそれぞれの利用者の反応を、前記複数の端末に対して送信した送信情報を受信した後の、前記送信情報に対する利用者の反応の速さによって測定し、
前記送信情報に対する反応の速さが速い利用者が使用する端末ほど、前記優先度を高く設定する
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、端末に前記送信情報を送信してから、前記送信情報を受信した端末から前記送信情報に対する応答を受信するまでに要した応答時間を、前記送信情報に対する利用者の反応の速さとして測定する
請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記送信情報に対する応答が、利用者が前記送信情報の内容を端末に表示した場合に端末が送信する開封通知である
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記複数の端末が位置する位置情報を取得し、
前記送信情報を受信した端末の位置が、前記送信情報を送信してから移動し始めるまでに要した時間を、前記送信情報に対する利用者の反応の速さとして測定する
請求項5~請求項7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、利用者の反応を、前記複数の端末から受信した前記サービスに関する問い合わせの受信頻度によって測定する
請求項2~請求項8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記複数の端末を、設定した優先度の大きさに応じたグループに分類し、
優先度が最大の端末を含むグループに含まれる各々の端末を、前記当事者端末とする
請求項2~請求項9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記複数の端末を使用する何れかの利用者が前記サービスを受けるまで前記複数の端末の優先度を更新すると共に、前記当事者端末となる端末を更新する
請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記当事者端末に特定された端末の位置から予め定めた範囲内に前記当事者端末と異なる別の端末が存在する場合、前記別の端末も前記当事者端末であると特定する
請求項11記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記当事者端末と、前記当事者端末とは異なる別の端末で、端末に送信する情報の内容を変更する
請求項2~請求項12の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記当事者端末の何れからも利用者の反応が得られなかった場合、前記当事者端末とは異なる別の端末に、前記当事者端末に送信した情報と同じ内容の情報を送信する
請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータに、
サービス
を利用する利用者の所有する端末の識別IDと、前記サービスの受付を行った前記利用者に対して発行される窓口IDとを関連付け、
同じ前記窓口IDが関連付けられた複数の前記識別IDに対応する複数の端末における、それぞれの利用状況から、前記複数の端末の優先度付けを行い、
前記複数の端末のうちの前記優先度が最も高い端末に、前記サービスに関する通知を送信する処理を実行させる
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タスクを管理するためのコンピュータ実装方法であって、クライアントから第1サーバにアクセスするステップと、データベース上に格納されたタスクに関連するステータス情報を、第1サーバによって取り出し、クライアントに表示するステップと、タスクを管理する命令を受け取るステップと、受け取った命令に応答して、ステータス情報に対する更新情報を生成するステップと、ステータス情報を、更新したものとして供給し、クライアントで表示するステップと、を含む方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ユーザの動作の状態を示すユーザ動作状態、情報表示端末上でのユーザの作業状態を示すタスク状態、及び該情報表示端末上にユーザの視線が存在するかどうかを示す注視状態の少なくとも1つにより示される観測可能状態要素に基づいて、前記情報表示端末のユーザが情報の内容を認識する度合いを示す情報認知度、及び前記情報表示端末のユーザが実行しているタスクが情報通知により中断される度合いを示すタスク中断度の少なくとも1つにより示されるユーザ内部の状態を推定するユーザ内部状態推定部と、該ユーザ内部状態推定部により推定されたユーザ内部の状態に基づいて、情報を通知した場合における該情報を受信すべき前記情報表示端末のユーザへの効果の度合いを推定するユーザ通知効果推定部を備え、前記ユーザ通知効果推定部は、前記ユーザ内部の状態に基づいて、前記情報を通知した場合に期待される効果を示す期待効用値を算出し、前記ユーザ通知効果推定部により算出された期待効用値に基づいて、前記情報を通知するかどうかが決定されることを特徴とする通知用ユーザ状態管理装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、子供、老人、その他の被保護者が、塾、学校、老人養護施設、その他の施設に入室した情報、あるいは前記施設から退室した情報を、コンピュータ装置を経由して通知先端末に通知するシステムであって、前記コンピュータ装置は、前記被保護者を識別するID情報と、前記通知先端末のアドレス情報を読み取る読取手段と、前記施設に入室あるいは前記施設から退室する被保護者の様子を撮影する画像撮影手段と、前記画像撮影手段により作成された画像ファイルのデータと、前記読取手段により読み取った前記ID情報及び前記アドレス情報に基づいて、前記通知先端末に送信するための通知ファイルを作成する通知ファイル作成手段と、前記通知ファイルを前記通知先端末に送信する送信手段を備えていることを特徴とする入退室記録通知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2003-532953号公報
【文献】特許第4954467号公報
【文献】特開2006-18407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サービスに関する通知を受け取り得る端末が複数存在する場合に、すべての端末に通知を行っていては、サービスの利用者にとって煩わしい一方、複数の端末のうち一部の端末のみに通知を行うことを考えた場合、どの端末に対して通知を行えば、その通知を確認してもらえる可能性が高いのか不明である。
【0007】
本発明は、サービスに関する通知を受け取り得る端末が複数存在する場合に、複数の端末の中で通知が確認される可能性が高い端末に対して通知を行うことができる情報処理装置、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、サービスに対する登録を行った端末であり、互いが予め定められた距離以内にいる複数の端末を、それぞれ前記サービスに関連付け、互いが前記距離以内にいる前記複数の端末における、それぞれの利用状況から、前記複数の端末の優先度付けを行い、前記優先度が最も高い端末に、前記サービスに関する通知を送信する。
【0009】
第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記複数の端末を通じて通知される各々の端末を使用するそれぞれの利用者の反応から、前記サービスに対する端末の優先度を前記複数の端末毎に設定し、設定した前記サービスに対する端末の優先度を用いて、前記複数の端末の中から前記サービスに関する通知を受け付ける当事者端末を特定する。
【0010】
第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記複数の端末が位置する位置情報をそれぞれ取得して、前記複数の端末を使用するそれぞれの利用者の反応を、それぞれの利用者が使用する端末から前記サービスの提供場所までの距離によって測定し、前記サービスの提供場所までの距離が近い端末ほど、前記優先度を高く設定する。
【0011】
第4態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前回取得した位置情報が表す位置よりも前記サービスの提供場所に近づいている端末ほど、前記優先度を高く設定する。
【0012】
第5態様に係る情報処理装置は、第2態様~第4態様の何れかの態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記複数の端末を使用するそれぞれの利用者の反応を、前記複数の端末に対して送信した送信情報を受信した後の、前記送信情報に対する利用者の反応の速さによって測定し、前記送信情報に対する反応の速さが速い利用者が使用する端末ほど、前記優先度を高く設定する。
【0013】
第6態様に係る情報処理装置は、第5態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、端末に前記送信情報を送信してから、前記送信情報を受信した端末から前記送信情報に対する応答を受信するまでに要した応答時間を、前記送信情報に対する利用者の反応の速さとして測定する。
【0014】
第7態様に係る情報処理装置は、第6態様に係る情報処理装置において、前記送信情報に対する応答が、利用者が前記送信情報の内容を端末に表示した場合に端末が送信する開封通知である。
【0015】
第8態様に係る情報処理装置は、第5態様~第7態様の何れかの態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記複数の端末が位置する位置情報を取得し、前記送信情報を受信した端末の位置が、前記送信情報を送信してから移動し始めるまでに要した時間を、前記送信情報に対する利用者の反応の速さとして測定する。
【0016】
第9態様に係る情報処理装置は、第2態様~第8態様の何れかの態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、利用者の反応を、前記複数の端末から受信した前記サービスに関する問い合わせの受信頻度によって測定する。
【0017】
第10態様に係る情報処理装置は、第2態様~第9態様の何れかの態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記複数の端末を、設定した優先度の大きさに応じたグループに分類し、優先度が最大の端末を含むグループに含まれる各々の端末を、前記当事者端末とする。
【0018】
第11態様に係る情報処理装置は、第10態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記複数の端末を使用する何れかの利用者が前記サービスを受けるまで前記複数の端末の優先度を更新すると共に、前記当事者端末となる端末を更新する。
【0019】
第12態様に係る情報処理装置は、第11態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記当事者端末に特定された端末の位置から予め定めた範囲内に前記当事者端末と異なる別の端末が存在する場合、前記別の端末も前記当事者端末であると特定する。
【0020】
第13態様に係る情報処理装置は、第2態様~第12態様の何れかの態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記当事者端末と、前記当事者端末とは異なる別の端末で、端末に送信する情報の内容を変更する。
【0021】
第14態様に係る情報処理装置は、第13態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサは、前記当事者端末の何れからも利用者の反応が得られなかった場合、前記当事者端末とは異なる別の端末に、前記当事者端末に送信した情報と同じ内容の情報を送信する。
【0022】
第15態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、サービスに対する登録を行った端末であり、互いが予め定められた距離以内にいる複数の端末を、それぞれ前記サービスに関連付け、互いが前記距離以内にいる前記複数の端末における、それぞれの利用状況から、前記複数の端末の優先度付けを行い、前記優先度が最も高い端末に、前記サービスに関する通知を送信する処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
第1態様、及び第15態様によれば、サービスに関する通知を受け取り得る端末が複数存在する場合に、複数の端末の中で通知が確認される可能性が高い端末に対して通知を行うことができる、という効果を有する。
【0024】
第2態様によれば、サービスに関する通知を行う端末を予め決めておかなくても、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0025】
第3態様によれば、端末の位置情報を取得することで、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0026】
第4態様によれば、端末の位置情報の変化状況から、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0027】
第5態様によれば、送信情報に対する利用者の反応の速さから、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0028】
第6態様によれば、送信情報に対する応答時間を測定することで、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0029】
第7態様によれば、送信情報を受け付けてから利用者が送信情報の内容を確認するまでの時間を測定することで、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0030】
第8態様によれば、送信情報を受け付けてから利用者が移動を開始するまでの時間を測定することで、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0031】
第9態様によれば、情報処理装置に対するアクセス頻度から、通知を行う端末を特定することができる、という効果を有する。
【0032】
第10態様によれば、複数の端末に通知を行うことができる、という効果を有する。
【0033】
第11態様によれば、通知を行う端末を特定した後であっても、利用者の反応に応じて通知を行う端末を変更することができる、という効果を有する。
【0034】
第12態様によれば、優先度のみに基づいて通知を行う端末を特定する場合と比較して、通知を行う端末を精度よく特定することができる、という効果を有する。
【0035】
第13態様によれば、利用者の目的に応じた情報を提供することができる、という効果を有する。
【0036】
第14態様によれば、通知を送信した端末から反応が得られない場合であっても、通知を送信した端末の利用者が属するグループ内の何れかのメンバーに連絡をとることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】情報処理システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】情報処理システムにおける情報の流れの一例を示したシーケンス図である。
【
図4】受付装置における電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図5】サーバにおける電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図6】端末における電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図7】優先度設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】優先グループ設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】優先グループに応じて、端末に送信する送信情報の内容を変更する例を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する。
【0039】
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム1のシステム構成例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、受付装置10、サーバ20、及び複数の端末30を含み、受付装置10、サーバ20、及び複数の端末30の各々は通信回線2で接続されている。
【0040】
受付装置10は、何らかのサービスを提供するサービス拠点に設置され、サービスを利用する利用者(以降、「ユーザ」という)の受付を行う装置である。
【0041】
ユーザに提供される本実施の形態に係るサービスの種類に制約はなく、例えば病院による診療サービスや飲食店による飲食物の提供サービス等、どのようなサービスであってもよい。また、サービスは有料サービスであっても無料サービスであってもよい。ただし、本実施の形態に係るサービスは、例えば映像配信のように通信回線2を通じて提供されるサービスではなく、ユーザがサービス拠点まで移動して提供を受けるようなサービスとする。以降では、サービスが提供されるサービス拠点を「店舗」という。
【0042】
受付装置10は、ユーザによる受付操作が行われるとユーザの受付が終了したことを通知するために、ユーザが要求したサービスと対応付けられた窓口IDをサーバ20と連携して発行する。窓口IDは、ユーザとサービスを対応付ける情報であればどのような内容であってもよく、例えばサービスの受付順を表す受付番号や、サービスの受付時間が用いられる。
【0043】
窓口IDが発行されたユーザは、サービスの提供が開始されるまで店舗を離れて待機してもよい。
【0044】
情報処理システム1に含まれる受付装置10の台数に制約はなく、情報処理システム1は複数の受付装置10を含んでもよいが、以降ではそのうちの1台の受付装置10に着目して説明を行う。上記では、受付装置10は店舗に設置されると説明したが、店舗から離れた場所に設置されていてもよい。
【0045】
なお、ユーザは、物理的に独立して設置された受付装置10で窓口IDを取得するのではなく、店舗のWebページから窓口IDを取得することもあるが、こうした場合、Webページを提供する図示しないWebサーバが受付装置10の一例となる。
【0046】
サーバ20は、受付装置10でのサービスの受付状況を管理して受付装置10に窓口IDを通知すると共に、ユーザが使用する端末30を窓口IDと対応付けて管理する。具体的には、ユーザが受付装置10で発行された窓口IDを自身が所有する端末30に読み込ませると、端末30は、読み込んだ窓口IDと窓口IDを読み込んだ端末30を一意に識別する識別IDを対応付けてサーバ20に通知する。これにより、窓口ID毎に識別IDが関連付けられるため、ユーザの端末30と窓口IDが対応付けられて管理される。
【0047】
識別IDは、端末30を一意に識別する識別情報であればどのような種類の識別情報であってもよい。例えば識別IDとして端末30に設定されているメールアドレス及びSNS(Social Networking Service)のアカウントや、端末30の製造番号、IPアドレス、及びMACアドレスが用いられる。また、ユーザに一意に割り当てられているユーザIDとユーザが使用する端末30の対応付けが予め設定されている場合、端末30を使用する際にユーザが入力したユーザIDも識別IDの一例となる。
【0048】
サーバ20は、サービス毎に窓口IDを待ち行列に登録し、サービス提供の順番が近づくと、窓口IDと対応付けられて管理されている端末30(以降、「窓口IDに登録されている端末30」という)の少なくとも1つに対して、ユーザの呼び出しを行う。すなわち、ユーザの呼び出しとは、店舗にてサービスの提供準備が整ったため、店舗へ来るようにユーザに知らせる通知であり、サービスに関する通知の一例である。呼び出しを受けた端末30を使用するユーザは、店舗でサービスの提供を受けることになる。
【0049】
窓口IDを端末30に読み込ませるユーザは必ずしも1人とは限らない。グループでサービスの提供を受けようとする場合、どの端末30にサーバ20からユーザの呼び出しが来てもいいように、グループに属する各々のユーザが同じ窓口IDをそれぞれが所有する端末30に読み込ませ、各々の端末30を窓口IDに登録してもよい。また、サービスを利用するユーザが子供の場合、子供だけがサービスを利用するのは不安であるため、その親もサービスに関する通知が欲しい場合がある。こうした場合、子供と親が同じ窓口IDをそれぞれが所有する端末30に読み込ませ、各々の端末30を窓口IDに登録することがある。以降では、こうした同じ窓口IDに対して複数の端末30を登録する例について説明する。
【0050】
端末30は、通信回線2を通じてサーバ20が送信するサービスに関する通知を受け付けることができる情報機器であればよく、例えばスマートフォン、タブレット型コンピュータ、及びウェアラブル装置等が用いられる。端末30は、ユーザが携帯して使用することを前提としていないデスクトップ型コンピュータであってもよいが、店舗に来店するような移動を伴うユーザは、端末30として携帯型の情報機器を所有している。
【0051】
なお、情報処理システム1の通信回線2で用いられる通信プロトコルの種類に制約はない。また、通信回線2は有線回線であっても無線回線であってもよく、有線回線と無線回線が混在した回線であってもよい。更に、通信回線2は専用回線であっても、インターネットのように不特定多数のユーザと回線を共有する公衆回線であってもよい。
【0052】
図2は、情報処理システム1でやり取りされる情報の流れの一例を示したシーケンス図である。
図2のシーケンス図では、説明の便宜上、複数ある端末30のうちの1台の端末30に着目した情報の流れを示しているが、実際には複数の端末30との間で
図2に示すような情報の流れが発生する。
【0053】
まず、ユーザは受付装置10でサービスの利用受付を行う(
図2:V1)。
【0054】
サービスの利用を受け付けた受付装置10は、サーバ20に対して窓口IDのリクエストを行う(
図2:F1)。
【0055】
窓口IDのリクエストを受け付けたサーバ20は、発行済みの受付番号と重複しない受付番号を窓口IDとして発行し、受付装置10毎に設けられたサービスの待ち行列に発行した窓口IDを登録する。その上で、サーバ20は、発行した窓口IDを窓口IDのリクエスト元である受付装置10に通知する(
図2:F2)。
【0056】
サーバ20から窓口IDを受け付けた受付装置10は、ユーザに対して窓口IDを発行する(
図2:V2)。窓口IDの発行方法は、例えば窓口IDを表すバーコードを用紙に印字する方法が用いられるが、受付装置10は通信回線2を通じて、当該バーコードを受付装置10でサービスの利用受付を行ったユーザの端末30に送信してもよい。窓口IDの送信先情報は、ユーザがサービスの利用受付を行う際に受付装置10に登録すればよい。また、窓口IDは必ずしもバーコードで表される必要はなく、ユーザが視認して窓口IDが認識できるように文字で表してもよい。
【0057】
ユーザは、端末30に内蔵されたカメラでバーコードを読み取ることで、窓口IDを端末30に読み込ませる(
図2:F3)。他のユーザも同じバーコードを端末30のカメラで読み取ることで、同じ窓口IDをそれぞれの端末30に読み込ませる。
【0058】
なお、バーコードがユーザの端末30に送信された場合には、バーコードが送信された端末30を使用するユーザは、バーコードを端末30の画面に表示することで、窓口IDを端末30に読み込ませる。バーコードが送信されない他のユーザは、画面上に表示されたバーコードをそれぞれが使用する端末30のカメラで読み取ることで、同じ窓口IDをそれぞれの端末30に読み込ませる。
【0059】
受付装置10は、必ずしも窓口IDを表したバーコードを用紙に印字する必要はなく、例えばバーコードでWebページのURL(Uniform Resource Locator)を表すようにして、ユーザが端末30でバーコードを読み取り、表示されたWebページから窓口IDを取得してもよい。また、窓口IDまたはURLを読み取った端末30が、グループに属する各々のユーザの端末30にSNS等を用いて窓口IDまたはURLを送信し、同じ窓口IDをそれぞれの端末30に読み込ませるようにしてもよい。
【0060】
ユーザの1人が図示しないWebサーバによって提供される店舗のWebページから窓口IDを直接取得した場合、店舗のWebページから窓口IDを取得していない他のユーザは、各々の端末30に店舗のWebページを表示し、Webページに取得済みの窓口IDを入力することで、同じ窓口IDをそれぞれの端末30に読み込ませるようにしてもよい。
【0061】
なお、窓口IDが文字で表されている場合には、ユーザが端末30に窓口IDを表す文字を入力することで、窓口IDを端末30に読み込ませればよい。
【0062】
窓口IDを読み込んだ端末30は、それぞれ窓口IDと共に識別IDをサーバ20に送信する(
図2:F4)。
【0063】
窓口IDと共に識別IDを受け付けたサーバ20は、窓口IDに識別IDを対応付けて管理する(
図2:V3)。具体的には、サーバ20は、窓口IDと識別IDの対応付けを管理テーブル4によって管理する。
【0064】
図3は、管理テーブル4の一例を示す図である。管理テーブル4には、窓口ID欄、識別ID欄、優先度欄、及び優先グループ欄が含まれ、各欄の内容が行方向に対応付けられている。
図3に示す管理テーブル4の例では、窓口IDが“1”で表されるサービスに対して、識別IDがそれぞれ“1”、“2”、“3”で表される3台の端末30が対応付けられている。
【0065】
管理テーブル4における優先度欄には、識別IDによって表される端末30の優先度が設定される。端末30の優先度とは、窓口IDに対応付けられた端末30のうち、何れの端末30に対して優先的にサービスに関する通知を送信すればよいのかを表す値である。優先度が高い端末30であるほど、サーバ20はサービスに関する通知を優先的に送信する。優先度は数値によって表され、優先度欄に設定されている値が大きい端末30であるほど、端末30の優先度が高いことを表している。
図3に示す管理テーブル4の例では、識別IDが“1”で表される端末30の優先度は“3.7”、識別IDが“2”で表される端末30の優先度は“1.5”、及び識別IDが“3”で表される端末30の優先度は“3.2”であるから、識別IDが“1”で表される端末30の優先度が最も高いことになる。
【0066】
管理テーブル4における優先グループ欄には、識別IDによって表される端末30が属する優先グループが設定される。サーバ20は端末30の優先度の大きさに応じて、端末30を複数の優先グループに分類する。管理テーブル4における優先グループ欄には、分類先の優先グループが端末30毎に設定される。
【0067】
なお、サーバ20が窓口IDと識別IDを対応付けた時点では、どの端末30にサービスに関する通知を優先的に通知すればよいかわからない状態であるため、サーバ20はすべての端末30に同じ優先度を設定してもよいし、優先度を未設定のままにしてもよい。
【0068】
管理テーブル4に含まれる項目は窓口ID、識別ID、端末30の優先度、及び優先グループに限られず、他の項目を含んでもよい。
【0069】
端末30は、窓口IDを読み取った後、端末30の位置情報をサーバ20に送信する(
図2:F5)。端末30は一度だけ位置情報をサーバ20に送信するのではなく、定期的に、または、例えば5m移動したというように予め定めた状況が発生する毎に位置情報をサーバ20に送信する。
【0070】
一方、ユーザがサービスの順番待ちをしている間に、店舗では他の窓口IDに対応したサービスの提供が進められるため、受付装置10は、サービスの進行状況を表すサービス進行情報をサーバ20に逐次送信する(
図2:F6)。
【0071】
サーバ20は、受け付けたサービス進行情報に基づいて、例えばサービスの順番待ちをしている人数や、待ち時間の目安といったサービスに関する各種通知を端末30に送信する(
図2:F7)。また、サーバ20は、サービスに関する通知だけでなく、待ち時間におけるユーザの満足度を上昇させるため、例えば待ち時間にあわせた長さの動画を端末30に送信してもよい。このように、サーバ20が端末30に送信する情報を総称して「送信情報」という。
【0072】
サーバ20から送信情報を受け付けたことに気付いたユーザは、端末30を操作して送信情報を確認し、送信情報の内容に応じた応答をサーバ20に返送する(
図2:F8)。なお、応答は、必ずしも送信情報に対する返信という形態に限定されるものではなく、例えば待ち時間の更新要求等、自発的に端末30からサーバ20に送信する情報も含まれる。
【0073】
なお、一点鎖線の矢印で表した位置情報の送信(
図2:F5)、サービス進行情報の送信(
図2:F6)、送信情報の送信(
図2:F7)、及び応答の送信(
図2:F8)の送信タイミングは、必ずしも
図2に示すシーケンスに従うものではない。例えば端末30が位置情報を送信する前に、受付装置10がサービス進行情報を送信してもよい。また、位置情報、サービス進行情報、送信情報、及び応答はそれぞれ複数回送信されることもある。
【0074】
サーバ20は、各々の端末30から受け付けた位置情報及び応答によって表される、端末30を使用するユーザの反応から、端末30の優先度を設定する(
図2:V4)。なお、端末30の優先度の設定方法については後ほど詳細に説明する。
【0075】
サーバ20は、設定した優先度に応じて、端末30が属する優先グループを設定する(
図2:V5)。
【0076】
店舗でサービスの提供が進行し、窓口IDに対応したサービスの順番が来た場合、受付装置10はサービスを提供する窓口IDと共にユーザの呼び出しを通知する(
図2:F9)。
【0077】
受付装置10からユーザの呼び出しを受け付けたサーバ20は、端末30の優先度に従って、ユーザの呼び出しに伴って受付装置10から通知された窓口IDと対応付けられた端末30の中から、優先的にユーザの呼び出しを行う端末30を特定する。その上で、サーバ20は、特定した端末30に対してユーザの呼び出しを行う(
図2:F10)。これにより、ユーザにサービス提供の順番が回ってきたことが通知されるため、ユーザは店舗でサービスを受ければよい。以降では、優先的にサービスに関する通知を通知する端末30のことを「当事者端末30」ということがある。
【0078】
サーバ20は、窓口IDに識別IDを対応付けることでサービスと端末30を関連付ける場合、各々の端末30のユーザが互いに一緒に行動しているとみなすことのできる予め定められた距離(グループ距離)以内にある端末30を1つのグループとして取り扱い、グループ内の端末30の識別IDを窓口IDに対応付けるようにしてもよい。したがって、サーバ20は、グループ距離以内にある複数の端末30を1つのグループとした場合に、グループ毎に少なくとも1つ以上の当事者端末30を特定する。
【0079】
次に、受付装置10における電気系統の要部構成例について説明する。
【0080】
図4は、受付装置10における電気系統の要部構成例を示す図である。受付装置10は例えばコンピュータ40を用いて構成される。
【0081】
コンピュータ40は、受付装置10に係る処理を制御するCPU(Central Processing Unit)41、コンピュータ40を受付装置10として機能させる受付プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)42、CPU41の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)43、不揮発性メモリ44、及び入出力インターフェース(I/O)45を備える。そして、CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45がバス46を介して各々接続されている。
【0082】
不揮発性メモリ44は、不揮発性メモリ44に供給される電力が遮断されても、記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。不揮発性メモリ44は、必ずしもコンピュータ40に内蔵されている必要はなく、例えばコンピュータ40に着脱可能な可搬型の記憶装置であってもよい。
【0083】
I/O45には、例えば通信ユニット47、UI(User Interface)ユニット48、及び窓口ID発行ユニット49が接続される。
【0084】
通信ユニット47は通信回線2に接続され、通信回線2に接続されるサーバ20、端末30、及び、例えば図示しないファイルサーバのような外部装置との間でデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0085】
UIユニット48は、受付装置10とユーザとのインターフェースを提供するユニットである。UIユニット48は、ユーザの指示を受け付けてCPU41に通知すると共に、CPU41によって処理された情報をユーザに通知する。UIユニット48にはユーザの指示を受け付けるため、例えばボタンやタッチパネルといった入力デバイスが備えられると共に、処理した情報をユーザに通知するため、LED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイといった出力デバイスが備えられている。
【0086】
窓口ID発行ユニット49は、用紙に窓口IDを印字するユニットである。受付装置10は、UIユニット48の液晶ディスプレイに窓口IDを表示してもよく、この場合、窓口ID発行ユニット49を設けなくても、UIユニット48が窓口ID発行ユニット49として機能する。
【0087】
図5は、サーバ20における電気系統の要部構成例を示す図である。サーバ20は例えばコンピュータ50を用いて構成される。
【0088】
コンピュータ50は、サーバ20に係る処理を制御するCPU51、コンピュータ50をサーバ20として機能させる情報処理プログラムを記憶するROM52、CPU51の一時的な作業領域として使用されるRAM53、不揮発性メモリ54、及びI/O55を備える。そして、CPU51、ROM52、RAM53、不揮発性メモリ54、及びI/O55がバス56を介して各々接続されている。
【0089】
I/O55には、例えば通信ユニット57、及びUIユニット58が接続される。なお、通信ユニット57及びUIユニット58の機能は、それぞれ受付装置10における通信ユニット47及びUIユニット48の機能と同じであるため説明を省略する。
【0090】
図6は、端末30における電気系統の要部構成例を示す図である。端末30は例えばコンピュータ60を用いて構成される。
【0091】
コンピュータ60は、端末30に係る処理を制御するCPU61、コンピュータ60を端末30として機能させる端末プログラムを記憶するROM62、CPU61の一時的な作業領域として使用されるRAM63、不揮発性メモリ64、及びI/O65を備える。そして、CPU61、ROM62、RAM63、不揮発性メモリ64、及びI/O65がバス66を介して各々接続されている。
【0092】
I/O65には、例えば通信ユニット67、UIユニット68、及びGPS(Global Positioning System)ユニット69が接続される。
【0093】
通信ユニット67及びUIユニット68の機能は、それぞれ受付装置10における通信ユニット47及びUIユニット48の機能と同じであるため説明を省略する。
【0094】
GPSユニット69は、地球の周回軌道を回る衛星から発信される情報を利用して、端末30の位置情報、すなわち、端末30が位置する場所の経度及び緯度を測定する。
【0095】
受付装置10のI/O45、サーバ20のI/O55、及び端末30のI/O65に接続されるユニットの種類に制約はなく、必要に応じて他のユニットを接続してもよい。例えばバーコードで表された窓口IDを読み取る場合、端末30のI/O65にカメラユニットが接続される。
【0096】
次に、サーバ20における端末30の優先度の設定方法について説明する。
【0097】
図7は、サーバ20で受付装置10によって発行された窓口IDに複数の端末30の識別IDを登録した場合に、サーバ20のCPU51によって実行される優先度設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。優先度設定処理を規定する情報処理プログラムは、例えばサーバ20のROM52に予め記憶されている。サーバ20のCPU51は、ROM52に記憶される情報処理プログラムを読み込み、優先度設定処理を実行する。なお、CPU51は、待ち行列に登録されている窓口ID毎に
図7に示す優先度設定処理を実行する。ここでは1つの窓口IDに着目し、着目した窓口IDに登録された端末30の優先度を設定する例について説明する。また、窓口IDに登録された識別IDによって表される各々の端末30は、特に断りがない場合、グループ距離以内にあるものとする。すなわち、各々の端末30のユーザは行動を共にするグループを形成しているものとする。
【0098】
ステップS10において、CPU51は、端末30から何らかの情報を受信したか否かを判定する。端末30から何らかの情報を受信した場合には、ステップS20に移行する。
【0099】
ステップS20において、CPU51は、ステップS10で受信した情報が端末30の位置情報であるか否かを判定する。受信した情報が端末30の位置情報である場合にはステップS30に移行する。
【0100】
ステップS30において、CPU51は、位置情報を用いて端末30の優先度を設定する。
【0101】
端末30の優先度は、端末30を使用するユーザのサービスに対する関心の高さによって設定される。既に説明したように、同じ窓口IDに端末30を登録する複数のユーザの中には、例えばサービスを利用する子供が無事に受付を終えて、サービスを利用したかを確認する親のように、実際にはサービスを利用しないユーザが含まれることがある。また、グループで一緒に行動している場合、実際にサービスを利用するユーザ(「当事者」という)であっても、グループ内の他のユーザがサーバ20からの送信情報を確認しているだろうと思い、サーバ20からの送信情報を積極的に確認しないユーザ(「追従ユーザ」という)である場合もある。
【0102】
こうしたユーザの使用する端末30に対して優先的にサービスに関する通知を送信した場合、実際にサービスを利用しないユーザにとっては煩わしい通知が送信されることになり、送信情報が確認されないことがある。
【0103】
したがって、CPU51は、同じ窓口IDに登録された端末30を使用するそれぞれのユーザの反応から、サービスに対する関心度を推定し、高い関心度を示すユーザほど、当該ユーザが使用する端末30の優先度を高く設定する。
【0104】
実際に店舗でサービスを利用するユーザほど、サービスに対して高い関心度を示す傾向があり、実際にサービスを利用するユーザは店舗まで移動する必要があるため、店舗から近い場所にいることが多い。したがって、CPU51は、端末30の位置情報を用いて端末30から店舗までの距離を測定し、店舗までの距離が近い端末30ほど、優先度を高く設定すればよい。店舗の位置情報は、例えば受付装置10が窓口IDのリクエストと共にサーバ20に通知し、サーバ20の不揮発性メモリ54に記憶しておけばよい。なお、端末30の優先度は管理テーブル4で管理される。
【0105】
CPU51は、店舗から端末30までの距離を直線距離で測定してもよいが、実際の移動距離とは異なるため、不揮発性メモリ54に地図データを記憶しておき、通行可能な道路沿いの距離で測定することが好ましい。
【0106】
なお、サービスを利用しないユーザが、偶然に当事者よりも店舗に近い場所にいることも考えられる。しかしながら、サービスを利用しないユーザは店舗に移動する必要がないため、店舗に向かって移動することがない。したがって、CPU51は、端末30毎に受け付けた位置情報を時系列に沿って不揮発性メモリ54に記憶しておき、店舗に近づいている端末30は当事者が使用している端末30であると判定して、同じ位置に留まっている端末30や店舗から遠ざかっていく端末30より店舗に近づいている端末30の優先度を高く設定してもよい。
【0107】
また、ユーザは、例えばサービスの順番待ちをしている人数といったサーバ20からの送信情報を確認してから、店舗への移動を開始する傾向がある。一方、追従ユーザであれば、グループ内の他のユーザが店舗に移動し始めると、それに従って移動を始める傾向があることから、他のユーザよりも移動開始タイミングが遅れることになる。
【0108】
したがって、CPU51は、送信情報を送信してから端末30が移動し始めるまでに要した時間を測定する。当該時間が短い端末30、すなわち、送信情報に対する反応が速いユーザが使用している端末30ほど、サービスに高い関心を示すユーザが使用している端末30であると推定されるため、CPU51は、当該時間が短い端末30ほど、端末30の優先度を高く設定してもよい。
【0109】
一方、ステップS20の判定処理で、受信した情報が端末30の位置情報ではないと判定された場合には、ステップS30の処理を実行することなくステップS40に移行する。
【0110】
ステップS40において、CPU51は、ステップS10で受信した情報が、端末30に送信した送信情報に対する応答であるか否かを判定する。受信した情報が応答である場合には、ステップS50に移行する。
【0111】
ステップS30で説明したように、サービスに高い関心を示すユーザほど、サーバ20から送信された送信情報に対して速い反応を示す。したがって、ステップS50において、CPU51は、応答を用いて送信情報に対するユーザの反応の速さを測定し、送信情報に対する反応が速いユーザが使用する端末30ほど、端末30の優先度を高く設定するようにする。
【0112】
具体的には、CPU51は、端末30に送信情報を送信してから、送信情報を受信した端末30から送信情報に対する応答を受信するまでに要した応答時間をユーザの反応の速さとして測定する。この場合の応答は、例えばユーザが送信情報を確認したことを表す応答が用いられる。応答は、例えばユーザが端末30のUIユニット68を操作して意図的にサーバ20に送信したものに限られない。例えば送信情報の内容を端末30のUIユニット68に表示するだけで、ユーザの指示がなくても端末30が自動的にサーバ20に返信する開封通知も応答に含まれる。
【0113】
一方、ステップS40の判定処理で、受信した情報が送信情報に対する応答ではないと判定された場合には、ステップS50の処理を実行することなくステップS60に移行する。
【0114】
ステップS60において、CPU51は、ステップS10で受信した情報が、サービスに関する問い合わせであるか否かを判定する。サービスに関する問い合わせとは、送信情報とは関係なく、端末30が自発的にサーバ20に送信する情報であり、例えばサービスの順番待ちをしている人数の問い合わせや待ち時間の問い合わせが含まれる。
【0115】
受信した情報がサービスに関する問い合わせである場合には、ステップS70に移行する。
【0116】
窓口IDに登録されている端末30を使用するユーザの中には、送信情報の内容は確認しないが自分のサービスがいつ開始されるのかを気にして、サービス開始までの待ち時間を頻繁にサーバ20に問い合わせるようなユーザが存在することがある。こうしたユーザが使用する端末30では、送信情報に対する応答をサーバ20に送信しないため、送信情報に対するユーザの反応の速さに基づいて端末30の優先度を設定してしまうと、他の端末30よりも優先度が低く設定される。しかしながら、サービス開始までの待ち時間を頻繁にサーバ20に問い合わせるという行為は、サービスに対する関心の高さを表している。したがって、ステップS70において、CPU51は、端末30からのサービスに関する問い合わせの受信頻度をユーザの反応の一例とみなし、サービスに関する問い合わせの受信頻度が高い端末30ほど、端末30の優先度を高く設定する。
【0117】
ステップS70の実行後、またはステップS60の判定処理で、受信した情報がサービスに関する問い合わせではないと判定された場合にはステップS80に移行する。
【0118】
ステップS80において、CPU51は、上記で設定した各々の端末30の優先度に応じて、各々の端末30を優先グループに分類する優先グループ設定処理を実行する。優先グループ設定処理の詳細については後ほど説明する。
【0119】
優先グループ設定処理が終了した後、ステップS10に移行して、端末30からの次の情報の受信に備える。
【0120】
一方、ステップS10の判定処理で、端末30から何も情報を受信していないと判定された場合には、ステップS90に移行する。
【0121】
ステップS90において、CPU51は、受付装置10からユーザの呼び出しを受け付けたか否かを判定する。ユーザの呼び出しを受け付けていない場合には、まだ端末30にユーザの呼び出しを行っていないことから、端末30からサーバ20に位置情報、送信情報に対する応答、及び問い合わせが送信されることがある。したがって、ステップS10に移行して、CPU51は端末30からの情報の受信に備える。
【0122】
すなわち、CPU51は、窓口IDに登録されている端末30を使用する何れかのユーザがサービスを受けるまで、窓口IDに登録されている各々の端末30の優先度を更新すると共に、更新した端末30の優先度に基づいて、端末30が属する優先グループを更新する。
【0123】
一方、ステップS90の判定処理において、受付装置10からユーザの呼び出しを受け付けたと判定された場合には、ステップS100に移行する。
【0124】
ステップS100において、CPU51は、最も優先度の高い端末30が属する優先グループに含まれる各々の端末30に対して、ユーザの呼び出しを行い、
図7に示す優先度設定処理を終了する。最も優先度の高い端末30が属する優先グループに含まれる各々の端末30は、当事者端末30の一例である。
【0125】
なお、
図7に示す優先度設定処理では、端末30からユーザの関心の高さを示す情報を受信する毎に、端末30の優先度及び端末30が属する優先グループを更新したが、例えば5分毎というように定期的に更新してもよい。
【0126】
また、
図7に示した優先度設定処理では、店舗に端末30の位置情報を通知しない例について説明したが、サーバ20は通信回線2を通じて図示しない店舗の管理端末に、当該店舗の受付装置10で発行した窓口IDに登録されている端末30の位置情報を通知してもよい。この場合、図示しない管理端末を通じて端末30の位置情報を受け付けた店舗で、サービスの提供を待つユーザの位置が把握されるようになる。したがって、例えば前の順番で待っているユーザが、後ろの順番で待っているユーザよりも店舗から遠くにいる場合、後ろの順番で待っているユーザを先に呼び出すようにして、店舗の回転率の上昇や、サービス向上に役立てることができる。
【0127】
しかしながら、ユーザの位置は個人情報としての側面を有するため、サーバ20はユーザのプライバシーの観点から、詳細な位置情報ではなく、おおよその位置情報を図示しない管理端末に送信することが好ましい。また、サーバ20は、ユーザの経度及び緯度を図示しない管理端末に送信するのではなく、店舗からユーザまでの距離を送信するようにしてもよい。
【0128】
また、サーバ20は、図示しない管理端末に送信する位置情報に制限をかけるようにしてもよい。例えばサーバ20は、店舗から予め定めた範囲内にいるユーザの位置情報だけを図示しない管理端末に送信してもよい。また、サーバ20は、最も優先度の高い端末30が属する優先グループに含まれる端末30、すなわち、当事者端末30を使用するユーザの位置情報だけを、図示しない管理端末に送信してもよい。
【0129】
また、
図7に示した優先度設定処理では、端末30から位置情報を受け付ける例について説明したが、受付装置10から端末30の位置情報を受け付けてもよい。
【0130】
例えば店舗に設置された受付装置10に公衆無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを設置しておく。この場合、ユーザが店舗に近づくとユーザが使用する端末30がアクセスポイントに接続され、ユーザは店舗付近でインターネットを利用できるようになる。したがって、受付装置10は、店舗に近づくほどアクセスポイントで検知される端末30の電波強度が強くなることを利用して、アクセスポイントに接続される端末30の電波強度を用いて、端末30から店舗までの距離を測定してもよい。受付装置10は、アクセスポイントで取得した端末30の識別IDと、測定した距離を対応付けてサーバ20に送信すれば、サーバ20で各端末30の位置情報が把握されることになる。この場合、端末30にはGPSユニット69が不要となる。
【0131】
当然のことながら、受付装置10は、端末30の識別IDと電波強度を対応付けてサーバ20に送信し、サーバ20側で受け付けた電波強度に基づいて識別IDによって表される端末30から店舗までの距離を測定してもよい。
【0132】
なお、アクセスポイントは店舗内に設置されていてもよく、この場合、受付装置10は店舗内に設置されているアクセスポイントから、アクセスポイントに接続された端末30の識別IDと電波強度を受け付けてサーバ20に送信すればよい。
【0133】
次に、
図7のステップS80で実行される優先グループ設定処理について詳細に説明する。
【0134】
図8は、
図7のステップS80で実行される優先グループ設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0135】
まず、ステップS200において、CPU51は管理テーブル4を参照し、窓口IDに登録された各々の端末30における優先度の中から、最大の優先度を取得する。
【0136】
ステップS210において、CPU51は、ステップS200と同じ窓口IDに登録された各々の端末30から何れか1つの端末30を選択する。
【0137】
ステップS220において、CPU51は、ステップS210で選択した端末30の優先度をステップS200で取得した優先度で除して、優先度の最大値が“1”になるように正規化を行う。
【0138】
ステップS230において、CPU51は、ステップS200と同じ窓口IDに登録されているすべての端末30をステップS210で選択したか否かを判定する。未選択の端末30が存在する場合にはステップS210に移行し、CPU51は、まだ選択していない端末30の中から何れか1つの端末30を選択する。
【0139】
窓口IDに登録されているすべての端末30を選択するまでステップS210~S230を繰り返し実行することで、窓口IDに登録されている各々の端末30に対して、正規化された優先度が設定されることになる。
【0140】
ステップS230の判定処理で、窓口IDに登録されているすべての端末30を選択したと判定された場合には、ステップS240に移行する。
【0141】
ステップS240において、CPU51は、正規化された優先度に応じて、窓口IDに登録されている各々の端末30を何れかの優先グループに分類する。
【0142】
例えば正規化された優先度が“0.0”以上“0.2”未満の端末30を優先グループC、正規化された優先度が“0.2”以上“0.8”未満の端末30を優先グループB、正規化された優先度が“0.8”以上“1.0”以下の端末30を優先グループAとする。この場合、
図3に示した管理テーブル4で管理される端末30の優先度を正規化して各々の端末30を優先グループに分類すれば、識別IDが“1”及び“3”で表される端末30は優先グループAに分類され、識別IDが“2”で表される端末30は優先グループBに分類されることになる。上記に示した優先グループの区分は一例であり、優先グループの数は3つに限定されるものでもなく、2つ以上であればよい。
【0143】
優先グループAに分類された端末30は、他の優先グループに分類された端末30より、端末30を使用するユーザが、これから受けようとしているサービスに高い関心を示していることを表している。したがって、CPU51は、優先度の高さ順に用意した複数の優先グループのうち、最上位の分類区分を示す優先グループ、すなわち、優先グループAに含まれる各々の端末30を当事者端末30として特定する。
【0144】
その上で、CPU51は、端末30が属する優先グループに応じて、端末30に送信する送信情報の内容を変更する。例えば、優先グループAに属する端末30を使用するユーザは当事者であると考えられることから、CPU51は、優先グループAに属する端末30に対しては、ユーザの呼び出しを含むサービスに関する通知を送信する。
【0145】
優先グループBに属する端末30を使用するユーザは当事者とまでは言えないが、例えば当事者がサービスを受けるのをサポートするユーザであると考えられる。したがって、CPU51は、優先グループBに属する端末30に対しては、例えばユーザの呼び出し以外のサービスに関する通知を送信する。
【0146】
優先グループCに属する端末30を使用するユーザは当事者ではなく、例えばサービスを利用しようとしている当事者の状況がわかれば十分なユーザであると考えられる。したがって、CPU51は、優先グループCに属する端末30に対しては、例えば当事者の状況を知らせる通知のみを送信する。
【0147】
なお、優先グループと端末30に通知する情報の内容の対応付けに制約はなく、例えば優先グループCに属する端末30には、サーバ20から何れの送信情報も送信しないようにしてもよい。端末30が属する優先グループは固定的に設定されるのではなく、ユーザの反応に応じて更新されることから、所属先の優先グループが変更することがある。CPU51は、端末30が属する優先グループに変更が生じた場合には、属する優先グループに変更が生じた端末30に対して、属する優先グループに変更があったことを通知してもよい。
【0148】
図9は、端末30が属する優先グループに応じて、端末30に送信する送信情報の内容を変更する例について示した図である。ここでは、同じ窓口IDにグループ距離を超えた端末30も登録している状況での適用例について説明する。すなわち、グループ内のユーザはそれぞれ単独で行動しているものとする。
【0149】
図9に示すように、CPU51は、優先グループAに属する端末30に対してはユーザの呼び出しを行うが、優先グループBに属する端末30に対してはユーザの呼び出しを行わないように制御している。一方、CPU51は、優先グループBに属する端末30には、当事者に対するサービスの開始時点と、当事者に対するサービスの終了時点でそれぞれサービス開始通知とサービス終了通知を送信するが、優先グループAに属する端末30には送信しないように制御している。
【0150】
これにより、優先グループBに属する端末30を使用するユーザは、例えばサービス終了通知を受け取ったらサービスを利用した当事者を店舗まで迎えに行くといったサポートが行いやすくなる。
【0151】
なお、当事者を迎えに行くユーザがサービスの終了にあわせて店舗に到着できるように、サーバ20は、当事者に対するサービスが終了する前に、優先グループBに属する端末30に対して、もうすぐ当事者へのサービスが終了することを通知する事前通知を送信してもよい。事前通知をサービスが終了する何分前に送信すればよいかといった設定値は、予め不揮発性メモリ54に記憶されており、ユーザはこの設定値を端末30から設定できる。この場合、CPU51は、例えばサービスを開始してから終了するまでに要した過去の実績時間の平均値に代表される基本統計量を用いて、サービスの終了時間を推定すればよい。
【0152】
また、CPU51は、事前通知の設定値にあわせて事前通知を送信するのではなく、優先グループBに属する端末30の位置情報に応じて、事前通知を送信するタイミングを決定してもよい。具体的には、端末30の位置情報によって表されるユーザの場所が店舗から遠いほど、ユーザが店舗に移動するのに要する時間が長くなる。したがって、優先グループBに属する端末30を使用するユーザから店舗までの距離が遠いほど、CPU51は事前通知を早く送信してやればよい。この場合においても、優先グループBに属する端末30を使用するユーザから店舗までの距離は直線距離ではなく、通行可能な道路沿いの距離を用いることが好ましい。優先グループBに属する端末30が複数存在する場合、CPU51は、各々の端末30を使用するユーザから店舗までの距離に応じて、端末30毎に事前通知を送信するタイミングを調整して送信すればよい。
【0153】
なお、
図7のステップS90では、CPU51は、受付装置10からユーザの呼び出しを受け付けたか否かを判定したが、受付装置10からサービス開始通知を受け付けたか否かを判定するようにしてもよい。この場合、グループ内の何れかのユーザがサービスを受けるまで窓口IDに登録された各々の端末30の優先度が更新されると共に、当事者端末30となる端末30も更新される。
【0154】
一方、CPU51は、優先グループA以外の優先グループに分類された端末30(「非当事者端末30」という)であっても、状況に応じて当事者端末30として扱うことがある。
【0155】
例えば優先度から非当事者端末30と特定された端末30であったとしても、端末30の位置情報が店舗内を示している場合、当該端末30を使用するユーザは、店舗から離れているユーザよりも、実際にサービスを受けようとしている当事者である蓋然性が高い。したがって、CPU51は、位置情報が店舗内であることを示している非当事者端末30を当事者端末30として扱ってもよい。
【0156】
また、複数のユーザが一緒に行動している場合、特定のユーザが代表者としてサーバ20から送信される送信情報に応答する状況が発生しやすい。こうした場合、仮に複数のユーザ全員がサービスの利用を希望する当事者であったとしても、代表者が使用する端末30の優先度だけが高く設定され、その他のユーザが使用する端末30の優先度は、代表者が使用する端末30の優先度よりも低く設定されてしまう。そのため、代表者以外のユーザが使用する端末30にはユーザの呼び出しが行われないという状況が発生してしまい、代表者がユーザの呼び出しに気づかなかった場合、代表者と一緒に行動しているユーザは誰もユーザの呼び出しに気づけないことになる。
【0157】
したがって、CPU51は端末30の位置情報を参照し、当事者端末30から予め定めた範囲内に非当事者端末30が存在する場合、当該非当事者端末30も当事者端末30として扱ってもよい。予め定めた範囲は、例えばグループ距離に設定される。
【0158】
このように、CPU51は、複数のユーザが一緒に行動している場合、一緒に行動しているユーザが使用する各々の端末30は、一緒に行動しているユーザが使用する端末30の中で、優先度が最も高い端末30が属している優先グループに分類されているとみなしてもよい。
【0159】
また、例えばCPU51が当事者端末30のみに情報を送信したが、何れの当事者端末30からも送信した情報に対する応答がない場合には、何れのユーザにも当事者端末30に送信した情報が伝わっていない状況が考えられる。したがって、CPU51は、当事者端末30が属する優先グループより下の区分の優先グループに属する端末30の各々を当事者端末30として扱い、当該端末30の各々に対して当事者端末30のみに送信した情報を再度送信してもよい。
【0160】
具体的には、優先グループAに属する何れの端末30も応答を返してこない場合、CPU51は、優先グループBに属する端末30の各々に当事者端末30のみに送信した情報を送信する。これに対して、優先グループBに属する何れの端末30も応答を返してこない場合には、CPU51は、優先グループCに属する端末30の各々に当事者端末30のみに送信した情報を送信する。
【0161】
このように、CPU51は、何れかの端末30が応答するまで、特定の優先グループから順に、優先度に関して下位に位置する優先グループに向かって優先グループを変化させながら、優先グループ毎に、優先グループに属する端末30の各々に対して特定の優先グループのみに送信した情報を送信してもよい。
【0162】
CPU51は、端末30を実際の優先度から設定した優先グループとは異なる優先グループに属する端末30として扱った場合、当該端末30に対して一時的に優先グループを調整していることを知らせる通知を送信する。
【0163】
以上により、
図8に示した優先グループ設定処理、すなわち、
図7のステップS80の処理を終了する。
【0164】
図8に示した優先グループ設定処理では、サーバ20が端末30の優先度を正規化して優先グループに分類する例について説明したが、サーバ20は、必ずしも端末30の優先度を正規化した上で優先グループに分類する必要はない。例えば正規化前の優先度が“0.0”以上“1.0”未満の端末30を優先グループC、正規化前の優先度が“1.0”以上“3.0”未満の端末30を優先グループB、正規化前の優先度が“3.0”以上の端末30を優先グループAに分類するような固定的な分類規定に従って、端末30を優先グループに分類してもよい。
【0165】
ただし、端末30の優先度を正規化せずに分類した場合、例えばすべての端末30の優先度が“3.0”未満ならば、優先グループAには何れの端末30も含まれないことになる。すなわち、当事者端末30が存在しないため、CPU51は、窓口IDに登録された端末30のうち、何れの端末30に対して優先的にサービスに関する通知を送信してよいのか判定しづらい状況が発生する。
【0166】
一方、優先度を正規化してから端末30を優先グループに分類すれば、窓口IDに登録された端末30の中で最も優先度の高い端末30が優先グループAに分類されることになるため、少なくとも1つの端末30が当事者端末30として特定されることになる。
【0167】
なお、端末30の優先度を正規化せずに分類した場合に、優先グループAに分類される端末30が1台もなかったとしても、優先度に関して次に高い分類区分を示す優先グループ、すなわち、優先グループBに分類された端末30が存在すれば、CPU51は、当該端末30を当事者端末30とみなして、優先的にサービスに関する通知を送信してもよい。このように、優先度を正規化せずに端末30を優先グループに分類した場合、CPU51は、少なくとも1つの端末30が分類されている優先グループの中で、最も高い優先度が設定された端末30が属する優先グループに含まれた各々の端末30を、当事者端末30として特定すればよい。
【0168】
サーバ20はクラウドサービスを利用して構築されることがあるが、サーバ20にクラウドサービスを利用した場合、サービスを提供する提供元とは異なる企業がサーバ20を管理することになるため、セキュリティ上の対策が重要になってくる。したがって、サーバ20への不正アクセス等による情報漏えいに備えて、ユーザの特定につながるような個人情報は、例えば店舗に設置された図示しない管理端末に記憶し、サーバ20には個人情報を記憶しないようにすることが好ましい。その上で、図示しない管理端末とサーバ20にそれぞれ記憶される窓口IDと識別IDをキーにして、図示しない管理端末に記憶される個人情報と、サーバ20で収集したユーザに関する情報を関連付け、個人情報を利用する処理を実行する。個人情報を利用する処理とは、例えばサービスの利用に伴う請求書の発行、及びサービスの利用に伴うポイントの付与等に関する処理のことである。
【0169】
図10は、サーバ20の不揮発性メモリ54に記憶される管理テーブル4の一例を示す図である。
図10に示す管理テーブル4では、
図3に示した管理テーブル4の内容に加えて、位置欄及び状態欄が追加されている。位置欄には各端末30から収集した位置情報によって表される、端末30を使用するユーザの現在位置が設定され、状態欄には位置情報から推定されるユーザの移動状態が設定される。
【0170】
管理テーブル4の位置欄に、経度及び緯度によって表される絶対位置情報を設定した場合、管理テーブル4が外部に漏えいするとユーザが特定されることがある。したがって、管理テーブル4の位置欄には、店舗からの距離によって表される相対位置情報を設定することが好ましい。
【0171】
一方、
図11は、図示しない管理端末に記憶される顧客テーブル6の一例を示す図である。顧客テーブル6には、識別ID欄、名前欄、住所欄、電話番号欄、及び窓口ID欄が含まれ、各欄の内容が行方向に対応付けられている。
【0172】
このうち、名前欄には識別IDで表されるユーザの名前が設定され、住所欄には識別IDで表されるユーザの住所が設定され、電話番号欄には識別IDで表されるユーザの電話番号が設定される。また、顧客テーブル6の窓口ID欄には、識別IDで表されるユーザが端末30で読み込んだ窓口IDが設定される。ユーザが情報処理システム1を利用するには、予め情報処理システム1の利用に必要な情報を事前に登録することになっており、登録された情報(
図11の例では、識別ID、名前、住所、及び電話番号)が顧客テーブル6に登録される。
【0173】
顧客テーブル6の窓口ID欄は、サーバ20で窓口IDと識別IDの対応付け(
図2:V3)が行われた場合に、サーバ20によって設定される。なお、サーバ20で窓口IDと識別IDの対応付けが行われていない場合には、顧客テーブル6の窓口ID欄は未登録となる。
【0174】
このように、顧客テーブル6と管理テーブル4をそれぞれ図示しない管理端末とサーバ20に分離して記憶しても、図示しない管理端末は、顧客テーブル6の窓口IDとサーバ20に記憶されている
図10に示す管理テーブル4の窓口IDを対応付けることで、窓口IDに登録されている各々の端末30を使用するユーザの位置や状態を得ることができる。
【0175】
一方、例えばサービスが有料である場合には請求書の発行が行われるが、請求書の発行に必要なユーザの名前、住所、電話番号といった個人情報は、図示しない管理端末で管理されているため、サーバ20で意図しない情報漏えいが発生したとしても、個人情報をサーバ20に記憶しておく場合と比較して、個人情報の保護が図られることになる。
【0176】
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は実施の形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
【0177】
また、実施の形態では、一例として優先度設定処理及び優先グループ設定処理をそれぞれソフトウェアで実現する形態について説明したが、
図7及び
図8に示したフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはPLD(Programmable Logic Device)に実装し、ハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、優先度設定処理及び優先グループ設定処理をソフトウェアで実現した場合と比較して、処理の高速化が図られる。
【0178】
このように、サーバ20のCPU51を例えばASIC、FPGA、PLD、GPU(Graphics Processing Unit)、及びFPU(Floating Point Unit)といった特定の処理に特化した専用のプロセッサに置き換えてもよい。
【0179】
実施の形態に係るサーバ20の動作は、1つのCPU51によって実現される形態の他、複数のCPU51によって実現されてもよい。更に、実施の形態に係るサーバ20の動作は、物理的に離れた位置に存在するコンピュータ50におけるCPU51の協働によって実現されるものであってもよい。
【0180】
また、上述した実施の形態では、ROM52に情報処理プログラムがインストールされている形態について説明したが、これに限定されるものではない。実施の形態に係る情報処理プログラムは、コンピュータ50で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば、情報処理プログラムをCD(Compact Disc)-ROM、またはDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、実施の形態に係る情報処理プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリやメモリカード等の可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。
【0181】
更に、サーバ20は、通信回線2に接続される外部装置から通信ユニット57を経由して情報処理プログラムを取得してもよい。
【符号の説明】
【0182】
1 情報処理システム
2 通信回線
4 管理テーブル
6 顧客テーブル
10 受付装置
20 サーバ
30 端末(当事者端末、非当事者端末)
40(50、60) コンピュータ
41(51、61) CPU
42(52、62) ROM
43(53、63) RAM
44(54、64) 不揮発性メモリ
45(55、65) I/O
46(56、66) バス
47(57、67) 通信ユニット
48(58、68) UIユニット
49 窓口ID発行ユニット
69 GPSユニット