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特許7494476マッチング支援システム、マッチング支援装置、信頼度算出方法、及び信頼度算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】マッチング支援システム、マッチング支援装置、信頼度算出方法、及び信頼度算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240528BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240528BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020017979
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021124955
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】久米田 晴香
(72)【発明者】
【氏名】横田 美希
(72)【発明者】
【氏名】鵜野 充恵
(72)【発明者】
【氏名】西條 和徳
(72)【発明者】
【氏名】西野 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】竹中 美加
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】幡山 五郎
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200606(JP,A)
【文献】特開2009-129264(JP,A)
【文献】特開2019-096242(JP,A)
【文献】特開2001-338171(JP,A)
【文献】特開2017-117375(JP,A)
【文献】特開2003-208498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援するマッチング支援システムであって、
前記提供者が前記サービスを実施したサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値、及び、前記依頼者前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値のぞれぞれに、予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出処理部を備え
前記信頼度算出処理部は、
前記依頼者のサービス利用回数が多いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に高くなるように前記割合を変更する、マッチング支援システム。
【請求項2】
サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援するマッチング支援システムであって、
前記提供者が前記サービスを実施したサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値、及び、前記依頼者と前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値のぞれぞれに、予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出処理部を備え、
前記信頼度算出処理部は、
前記依頼者の前回のサービス利用時からの未利用期間が長いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に低くなるように前記割合を変更する、マッチング支援システム。
【請求項3】
前記第1提供者評価値は、前記サービス実施実績に加えて、前記提供者が所属しているコミュニティに関する評価項目に基づいて評価された評価値である、請求項1又は2に記載のマッチング支援システム。
【請求項4】
前記依頼者からの依頼要求に適合する提供者候補を選定する候補選定処理部を更に備え、
前記信頼度算出処理部は、前記候補選定処理部によって選定された前記提供者候補の信頼度を算出する、請求項1からのいずれかに記載のマッチング支援システム。
【請求項5】
前記信頼度算出処理部によって算出された信頼度の高い前記提供者候補を前記依頼者が使用する端末装置に送信する送信処理部を更に備える、請求項に記載のマッチング支援システム。
【請求項6】
前記サービスは、
所定の地域に在住する前記依頼者に対して同地域に在住する前記提供者が前記依頼者に対する互助活動として行う地域サービスである、請求項1からのいずれかに記載のマッチング支援システム。
【請求項7】
サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援するマッチング支援装置であって、
前記提供者が前記サービスを実施したサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値、及び、前記依頼者前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値のそれぞれに、予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出処理部を備え
前記信頼度算出処理部は、
前記依頼者のサービス利用回数が多いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に高くなるように前記割合を変更する、マッチング支援装置。
【請求項8】
サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援するマッチング支援装置であって、
前記提供者が前記サービスを実施したサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値、及び、前記依頼者と前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値のぞれぞれに、予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出処理部を備え、
前記信頼度算出処理部は、
前記依頼者の前回のサービス利用時からの未利用期間が長いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に低くなるように前記割合を変更する、マッチング支援装置。
【請求項9】
サービスを提供する提供者によって前記サービスが実施されたサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値、及び、サービスの提供を求める依頼者前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値のそれぞれに、予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出ステップを含み、
前記信頼度算出ステップは、
前記依頼者のサービス利用回数が多いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に高くなるように前記割合を変更し、
前記信頼度算出ステップを一又は複数のプロセッサにより実行する信頼度算出方法。
【請求項10】
サービスを提供する提供者によって前記サービスが実施されたサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値、及び、サービスの提供を求める依頼者と前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値のそれぞれに、予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出ステップを含み、
前記信頼度算出ステップは、
前記依頼者の前回のサービス利用時からの未利用期間が長いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に低くなるように前記割合を変更し、
前記信頼度算出ステップを一又は複数のプロセッサにより実行する信頼度算出方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の信頼度算出方法の前記信頼度算出ステップを一又は複数のプロセッサに実行させるための信頼度算出プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とをマッチングするためのマッチング支援システム、マッチング支援装置、信頼度算出方法、及び信頼度算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用登録された登録者間における互助活動をネットワークを通じて支援する支援サービスが運用されており、例えば、自動車の運転者にその自動車に相乗りする人を仲介したり、或いはその自動車に相乗りする人同士を引き合わせるライドシェアリングが知られている。
【0003】
従来、上述のライドシェアリングにおいては、当該ライドシェアリングを利用する利用者間、例えば運転者と相乗り依頼者との間に一定の信頼が存在している場合は、各利用者は安心してライドシェアリングによるサービスを受けることができる。しかしながら、利用者間に信頼が存在していない場合は、各利用者は安心して当該サービスを受けることができないという問題がある。
【0004】
このような問題に関して、予め登録された利用者(ユーザ)から事前に取得したアドレス情報に基づいて当該利用者における他の利用者(他のユーザ)に対する信頼度を算出し、マッチング要求があった場合に、要求した利用者に対応する前記信頼度に基づいて他の利用者から選ばれたマッチンク候補を提示する信頼度算出装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-215670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前掲した従来の信頼度算出装置は、利用者が使用するスマホなどの通信端末装置に登録されたアドレス情報(電話番号やメールアドレスなど)を用いてユーザマップを生成し、マップ上の利用者間のパスに基づいて利用者間の信頼度を算出する。しかしながら、通信端末装置に登録されているアドレス情報は、本人にとって必ずしも信頼度の高い他の利用者のアドレス情報であるとは限らないため、実際の信頼関係が極めて低い利用者同士であっても、数値の高い前記信頼度が算出される場合があり、実際の信頼関係と大きく乖離した結果が算出されるという問題がある。また、そもそも、通信端末装置においてアドレス情報の開示が許可されていない場合は、信頼度算出装置はアドレス情報を取得することができず、信頼度を算出することができない。
【0007】
信頼度に関する上述した問題は、上述したライドシェアリングに限られず、サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援するマッチングサービス全般に生じ得る問題である。
【0008】
本発明の目的は、依頼者のマッチング要求に適合する提供者候補の信頼度を確実に算出することが可能であり、更に、信憑性の高い信頼度を算出することが可能なマッチング支援システム、マッチング支援装置、信頼度算出方法、及び信頼度算出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の一の局面に係るマッチング支援システムは、サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援するシステムである。前記マッチング支援システムは、信頼度算出処理部を備える。前記信頼度算出処理部は、前記提供者によるサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値と、前記依頼者及び前記提供者の関係性に基づいて評価された前記提供者に関する第2提供者評価値と、に基づいて前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する。
【0010】
このように構成されているため、前記信頼度算出処理部によって、信憑性の高い信頼度を確実に算出することが可能となる。その結果、依頼者は、当該マッチング支援システムを安心して利用することができ、また、依頼者は、信頼度を頼りに提供者を選ぶことができるので、安心して提供者からサービスを受けることができる。
【0011】
前記第1提供者評価値は、例えば、前記提供者による前回実施時からの未実施期間、及びサービスを受けた依頼者からの実施評価の少なくともいずれかに基づく評価値を含む。また、前記第2提供者評価値は、前記提供者の居住地と前記依頼者の居住地との距離、前記提供者と前記依頼者との交流実績(交流回数)、共通の訪問先の数、前記提供者に対する前記依頼者の個別の評価の少なくともいずれかに基づく評価値を含む。
【0012】
(2) 前記信頼度算出処理部は、前記第1提供者評価値及び前記第2提供者評価値それぞれに予め定められた割合を乗じて得た値を加算することにより前記信頼度を算出する。
【0013】
(3) 前記マッチング支援システムにおいて、前記割合は、前記依頼者のサービス利用実績に応じて変更される。
【0014】
この構成によれば、前記依頼者のサービス利用実績に応じた割合が前記信頼度の算出に適用されるため、より信憑性の高い信頼度が算出される。これにより、依頼者は、より安心して、依頼した提供者からサービスを受けることができる。
【0015】
(4) 前記信頼度算出処理部は、前記依頼者のサービス利用回数が多いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に高くなるように前記割合を変更する。
【0016】
(5) 前記信頼度算出処理部は、前記依頼者の前回のサービス利用時からの未利用期間が長いほど、前記信頼度における前記第2提供者評価値の比率が相対的に低くなるように前記割合を変更する。
【0017】
(6) 前記マッチング支援システムは、前記依頼者からの依頼要求に適合する提供者候補を選定する候補選定処理部を更に備える。この場合、前記信頼度算出処理部は、前記候補選定処理部によって選定された前記提供者候補の信頼度を算出する。
【0018】
この構成によれば、前記候補選定処理部によって選定された提供者候補の信頼度だけを算出すればよいので、信頼度算出処理の演算速度が向上し、演算処理の負荷が軽減する。
【0019】
(7) 前記マッチング支援システムは、前記信頼度算出処理部によって算出された信頼度の高い前記提供者候補を前記依頼者が使用する端末装置に送信する送信処理部を更に備える。
【0020】
(8) 前記マッチング支援システムにおいて、前記サービスは、所定の地域に在住する前記依頼者に対して同地域に在住する前記提供者が前記依頼者に対する互助活動として行う地域サービスである。
【0021】
(9) 本発明の他の局面に係るマッチング支援装置は、サービスの提供を求める依頼者とサービスを提供する提供者とのマッチングを支援する。前記マッチング支援装置は、信頼度算出処理部を備える。前記信頼度算出処理部は、前記提供者によるサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値と、前記依頼者及び前記提供者の関係性に基づいて前記依頼者ごとに評価された前記提供者に関する第2提供者評価値と、に基づいて前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する。
【0022】
(10) 本発明の他の局面に係る信頼度算出方法は、信頼度算出ステップを有する。前記信頼度算出ステップは、サービスを提供する提供者によるサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値と、サービスの提供を求める依頼者及び前記提供者の関係性に基づいて前記依頼者ごとに評価された前記提供者に関する第2提供者評価値と、に基づいて前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する。
【0023】
(11) 本発明は、前記信頼度算出方法のステップを一又は複数のプロセッサに実行させるためのプログラム、又は、このようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えることもできる。当該プログラムは、サービスを提供する提供者によるサービス実施実績に基づいて評価された前記提供者に関する第1提供者評価値と、サービスの提供を求める依頼者及び前記提供者の関係性に基づいて前記依頼者ごとに評価された前記提供者に関する第2提供者評価値と、に基づいて前記依頼者における前記提供者の信頼度を算出する信頼度算出ステップを一又は複数のプロセッサに実行させるための信頼度算出プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、依頼者のマッチング要求に適合する提供者候補の信頼度を確実に算出することが可能であり、更に、信憑性の高い信頼度を算出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態に係るマッチング支援システムのネットワーク接続構成を示す図である。
図2図2は、マッチング支援システムが備えるサーバ装置の構成を示す図である。
図3図3は、利用登録者が使用する情報端末の構成を示す図である。
図4図4は、依頼者がマッチング支援システムに対して依頼した内容を含む依頼情報の一例を示す図である。
図5図5は、利用者情報管理テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、提供者情報管理テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、提供者登録情報に含まれる提供可能サービスの内容の一例を示す図である。
図8図8は、サービスの実施実績に基づく実績評価ポイントの算定ルールの一例を示す図である。
図9図9は、実績評価ポイントの一例を示す図である。
図10図10は、利用登録者と提供登録者との関係性に基づくカスタマー評価ポイントの一例を示す図である。
図11図11は、前記カスタマー評価ポイントの算定ルールの一例を示す図である。
図12図12は、利用登録者及び提供登録者それぞれの共通紹介者を含む紹介ルート上を示す図である。
図13図13は、ライドシェアリングに適用される適用率の配分を示す適用率配分テーブルである。
図14図14は、依頼者の未利用期間に応じた減算率を示す適用率減算テーブルである。
図15図15は、サーバ装置の制御部によって実行されるマッチング処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、サーバ装置の制御部によって実行されるマッチング処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、サーバ装置の制御部によって実行される候補選定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、サーバ装置の制御部によって実行される信頼度算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るサーバ装置10を含むマッチング支援システム100の構成を示すネットワーク図である。本実施形態では、マッチング支援システム100を構成するサーバ装置10、情報端末2,3によって、本発明のマッチング支援システム100が具体的に実現される。
【0028】
マッチング支援システム100は、例えば、所定の地域を管轄する自治体に導入されるものであり、予め利用登録された複数の利用登録者が利用できるシステムである。当該マッチング支援システム100は、前記複数の利用登録者のうち、各種の地域サービスの提供を受けることを要求する依頼者(本発明の依頼者の一例)と、前記地域サービスを提供することが可能な提供登録者(本発明の提供者の一例)とをマッチングして、前記依頼者と前記提供登録者との間において互助活動が円滑に行われるように支援することが可能なシステムである。
【0029】
ここで、前記複数の利用登録者(依頼者及び提供登録者)は、マッチング支援システム100の利用が許可された者、つまり、マッチング支援システム100を利用するためのアカウントを所有している者である。
【0030】
また、前記地域サービスは、前記自治体が管轄する所定の地域において住民に対して実施されるサービスである。当該地域サービスは、一般に、鉄道や路線バス、タクシーなどの交通サービス、病院などの医療サービス、介護サービス、障害福祉サービス、託児所などの託児サービス、学校教育、行政サービス、娯楽サービスなどの既存のサービスだけでなく、住民の生活に密接に関連する生活関連サービスや、利用登録者同士の相互交流(双方向コミュニケーション)がサービスの中心的な役割を担っているソーシャルサービスなども含む。前記生活関連サービスとしては、例えば、所謂ライドシェアリングや、買い物代行、庭掃除、草刈り、雪かき、ペットの散歩、家事代行、家事の指導、ハウスクリーニング、ペットの一時預かり、子供の一時預かり、子供のスポーツ指導などである。なお、前記ライドシェアリングは、サービス提供者の車両などを利用した非営利目的の運搬サービスである。
【0031】
また、前記提供登録者は、前記地域サービスの提供にあたり予め定められた提供者条件を満たす者である。例えば、前記地域サービスが前記ライドシェアリングである場合は、前記ライドシェアリングに関する前記提供者条件は、自動車の運転免許の取得年数や、自動車の年間走行距離、現在の年齢などの要件を含む。これらの各要件が前記自治体或いは前記管理者によって定められた基準をクリアする場合に、前記提供者条件を満たすとみなされて、前記提供登録者としてマッチング支援システム100に登録される。例えば、前記提供者条件の一例は、自動車の運転免許の取得年数が5年以上であり、自動車の年間走行距離が10000km以上であり、且つ、年齢が60歳未満であることである。これらの基準を満たす者が、前記ライドシェアリングを提供可能な前記提供登録者としてマッチング支援システム100に登録される。
【0032】
以下では、前記依頼者が、前記ライドシェアリングなどの前記地域サービスの提供を受ける際に、前記依頼者と前記提供登録者との間でマッチングを行う処理例を例示して、本実施形態のマッチング支援システム100、及びサーバ装置10について説明する。なお、以下においては、前記地域サービスを単にサービスと称する場合がある。
【0033】
[マッチング支援システム100の構成]
図1に示すように、マッチング支援システム100は、サーバ装置10(本発明のマッチング支援装置の一例)と、前記依頼者が使用する一又は複数の情報端末2(本発明の端末装置の一例)と、前記提供登録者が使用する一又は複数の情報端末3と、を含んで構成されており、これらが、専用回線或いは公衆回線等のネットワークN1によって互いに通信可能に接続されている。また、サーバ装置10は、LAN等のネットワークN2によって管理端末20と通信可能に接続されている。
【0034】
サーバ装置10は、市町村などの自治地域を管轄する自治体が管理する情報処理装置であり、例えば、サーバコンピュータ、或いはクラウドサーバーである。なお、サーバ装置10は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステム、或いはクラウドコンピューティングシステムであってもよい。また、サーバ装置10で実行される各種の処理は、一つ又は複数のプロセッサによって分散して実行されてもよい。
【0035】
管理端末20は、マッチング支援システム100の管理者が使用する情報端末装置であり、例えば、ノートパソコン或いはデスクトップパソコンなどである。前記管理者は、管理端末20からマッチング支援システム100にアクセスして、当該システム100に登録されているデータなどの各種データの編集又は更新を行う。
【0036】
情報端末2は、前記依頼者が使用する通信端末装置であり、情報端末3は、前記提供登録者が使用する通信端末装置である。情報端末2,3は、例えば、携帯して持ち運び可能なスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末である。
【0037】
情報端末2,3には、マッチング支援システム100の利用に必要なアプリケーションがインストールされている。前記依頼者及び前記提供登録者は、情報端末2,3において前記アプリケーションを起動させ、前記アプリケーションを通じてマッチング支援システム100を利用する。マッチング支援システム100は、特定の地域サービス(例えばライドシェアリングなど)の提供を求める依頼要求が情報端末2からサーバ装置10に入力されると、前記依頼要求に適合する一人又は複数の提供者候補(要求適合者)を複数の提供登録者の中から選定する。そして、サーバ装置10は、選定した前記提供者候補を、前記依頼要求の送信元である情報端末2に送信する。そして、情報端末2において、特定の提供者候補が依頼者によって選択されると、依頼されたサービス(以下「依頼サービス」という。)を提供するサービス提供者が決定し、前記依頼者と前記サービス提供者とのマッチング処理が終了する。
【0038】
前記依頼サービスが前記サービス提供者によって実際に実施されると、前記依頼者は、情報端末2上で動作する前記アプリケーションを通じて、前記サービス提供者に対する評価をサーバ装置10に送信する。また、前記サービス提供者は、情報端末3で動作する前記アプリケーションを通じて、前記依頼サービスを完遂した旨の報告情報(実施完了情報)とともに、当該依頼サービスの提供を受けた依頼者に対する評価をサーバ装置10に送信する。
【0039】
ところで、ライドシェアリングなどのような地域サービスを住民間の互助活動によって実現するにあたり、前記地域サービスの提供を望む依頼者にとっては、前記地域サービスを提供するサービス提供者が信頼のおける者であるか否かが重要である。特に、前記生活関連サービスや前記ソーシャルサービスの提供を受ける場合は、当該サービスの性質上、前記サービス提供者に対する信頼関係の有無は極めて重要である。仮に、サービス提供者に対する信頼が無ければ、依頼者は安心してサービス提供者に前記地域サービスの提供を依頼することはできず、仮に依頼したとしても当該サービスを安心して受けることはできない。
【0040】
これに対して、本実施形態においては、マッチング支援システム100は、前記依頼者の依頼要求に応じた前記提供者候補の信頼度を正確且つ確実に算出し、前記信頼度とともに前記提供者候補を依頼者に提示するよう構成されている。これにより、依頼者は、実際にサービスを提供してもらうサービス提供者を前記提供者候補から安心して選ぶことができ、前記サービス提供者から当該サービスを安心して受けることができる。
【0041】
以下、マッチング支援システム100を構成するサーバ装置10、情報端末2,3等について説明する。
【0042】
[サーバ装置10]
図2は、サーバ装置10の構成を示す図である。サーバ装置10は、マッチング支援システム100を実現するためのものである。つまり、サーバ装置10は、本発明のマッチング支援装置として、特定の地域サービスに関して前記依頼者と前記提供登録者とのマッチングを支援するシステムを実現する。
【0043】
サーバ装置10は、情報端末2上で動作するアプリケーションからネットワークN1を介して送られてきた依頼要求及び依頼情報を取得すると、前記依頼情報に含まれる依頼者情報(依頼者のID等)や、依頼内容、サービス提供者に対する追加条件などを参照して、前記依頼情報に適合する前記提供者候補を選定し、情報端末2に送信するよう構成されている。
【0044】
図2に示すように、サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、データベース13と、通信部14とを備えている。
【0045】
通信部14は、サーバ装置10をネットワークN1,N2に接続して、所定の通信プロトコルに従って、複数の情報端末2,3や管理端末20との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0046】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体又は記憶装置である。記憶部12には、後述のマッチング処理や候補選定処理、信頼度算出処理などの各種処理(図15乃至図18参照)を制御部11に実行させるためのプログラムや、サーバ装置10で実行される前記各処理に用いられるデータや情報などが記憶されている。また、本実施形態では、前記信頼度算出処理に用いられる適用率配分テーブル121(図13参照)及び適用率減算テーブル122(図14参照)が記憶部12に記憶されている。
【0047】
データベース13は、マッチング支援システム100に登録されている前記利用登録者に関する情報(以下「利用者登録情報」という。)や、マッチング支援システム100に登録されている提供登録者に関する情報(以下「提供者登録情報」という。)などをデータベースとして管理可能に格納するHDD又はSSDなどの記憶装置である。データベース13は、サーバ装置10に設けられた記憶装置に限られず、例えば、インターネットなどを通じてサーバ装置10とデータ通信可能な他のサーバ装置や記憶装置などの外部装置として構成されていてもよい。
【0048】
データベース13には、依頼情報格納部131、利用者情報格納部132、提供者情報格納部133、マッチング実績格納部134、カスタマー評価格納部135などの記憶領域が設けられている。なお、各格納部131~135に格納された情報は、後述のマッチング処理や、候補選定処理、信頼度算出処理(図15乃至図18参照)などに用いられる。
【0049】
依頼情報格納部131には、依頼者から依頼された依頼内容を含む依頼情報が格納されている。依頼者の情報端末2において前記アプリケーションが起動され、前記アプリケーションによって表示部23A(図3参照)に表示された依頼入力画面に所定の依頼内容が入力され、その後に実行指示が入力されると、前記依頼要求とともに前記依頼情報が情報端末2からサーバ装置10に送信される。サーバ装置10の制御部11は、前記依頼要求及び前記依頼情報を受信すると、前記マッチング処理に用いるために、前記依頼情報を依頼者のIDと関連付けて、依頼情報格納部131に一時的に記憶する。
【0050】
前記依頼情報は、依頼者情報や、依頼内容、サービス提供者に対する追加条件などを含む。前記依頼者情報は、依頼者を識別するためのID(者識別情報)を含む。前記依頼者情報に、依頼者の氏名や居住地(住所)、依頼者が所属するコミュニティの所属情報などが含まれていてもよい。なお、前記コミュニティについては後述する。
【0051】
前記依頼内容は、依頼者が要求するサービスの名称(サービス名)、具体的なサービスの内容(詳細事項)、実施希望日時などを含む。
【0052】
前記追加条件は、依頼者によって依頼時に個別に設定されるものであり、前記提供登録者の登録時に定められた前記提供者条件とは別に、サービス提供者に課す条件である。前記追加条件は、例えば、性別や年齢、前記依頼サービスに関するスキル(技能、能力、資格等)の程度などを含む。なお、本実施形態では、前記追加条件が依頼者によって依頼時に設定される例について説明するが、前記追加条件は、依頼者ごとに予め個別設定されたデフォルト値であってもよい。また、前記追加条件は、前記依頼サービスの内容に応じて予め設定されたデフォルト値であってもよい。
【0053】
図4は、依頼者(利用登録者A1)がマッチング支援システム100に対して、特定の地域サービスとして「ライドシェアリング」を依頼した場合の前記依頼情報の一例を示す。図4の例では、前記依頼内容に、実施を望むサービス名「ライドシェアリング」と、具体的なサービス内容「自動車による送迎」が含まれており、更に、送り迎えの具体的な時間(実施希望日時)や、具体的な送迎ルートが含まれている。また、前記追加条件に、年齢が55歳未満とする条件、及び運転免許の取得年数が10年以上とする条件が含まれている。
【0054】
なお、後述のマッチング処理によるマッチングが成立し、前記サービス提供者によって前記依頼サービスが実施されると、実施された前記依頼情報が、後述のマッチング実績格納部134のマッチング実績データに登録され、依頼情報格納部131から実施済みの前記依頼情報が削除される。
【0055】
利用者情報格納部132には、マッチング支援システム100を利用する複数の利用登録者それぞれに関する複数の利用者登録情報が記憶されている。具体的には、前記複数の利用者登録情報を含む利用者情報管理テーブル132A(図5参照)が利用者情報格納部132に格納されている。
【0056】
図5は、利用者情報管理テーブル132Aの一例を示す。図5に示すように、利用者情報管理テーブル132Aには、利用登録者を示すID(利用者ID)ごとに複数の前記利用者登録情報が登録されている。前記利用者登録情報は、例えば、前記利用者ID、利用登録者の氏名(A1,A2,・・・)、利用登録者が所属するコミュニティ(C1,C2,・・・)、利用登録者を紹介した紹介者、マッチング支援システム100の利用回数、サービス提供者によって付与された個別評価ポイントなどを含む。なお、図5には示されていないが、利用者の性別、年齢、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス)などが前記利用者登録情報に含まれていてもよい。
【0057】
前記利用者登録情報は、マッチング支援システム100の利用登録申請が許可された場合に、利用者情報管理テーブル132Aに新規に登録される。マッチング支援システム100の利用を希望する者(申請者)が、前記アプリケーションを介してマッチング支援システム100に前記利用登録申請を行い、その申請が許可されると、申請者に対して利用者IDを含む新規アカウントが発行される。そして、前記利用登録申請とともに入力した申請者の個人情報や所属するコミュニティ情報などを含む前記利用者情報が利用者情報管理テーブル132Aに登録される。なお、前記登録申請時に、マッチング支援システム100をすでに利用している他の利用登録申請者の氏名及び利用者IDが紹介者として入力されると、その紹介者の情報も利用者情報管理テーブル132Aに登録される。
【0058】
ここで、前記利用回数(図5参照)は、例えば、特定期間にマッチング支援システム100を介して特定のサービス(例えばライドシェアリング)の提供を受けた累積回数である。前記特定期間は、任意に定められる期間であり、例えば直近の1年間(最後の利用時以前の1年間)である。本実施形態では、前記利用回数は、マッチング支援システム100で取り扱われているサービスごとに分けてカウントされる。なお、図5の利用者情報管理テーブル132Aには、前記利用回数は、サービスごとに分けて示されておらず、マッチング支援システム100を利用した利用回数が示されている。例えば、サーバ装置10は、前記サービス提供者から前記依頼サービスが完遂した旨の報告情報(実施完了情報)を受信すると、制御部11は、当該サービスに対応する前記利用回数をカウントアップして、該当する前記利用者登録情報を更新する。なお、前記利用回数は、サービスごとに分けてカウントされたものに限られず、例えば、利用したサービスに関係無く、マッチング支援システム100を利用した回数であってもよい。前記利用回数は、後述する信頼度算出処理に用いられる。
【0059】
また、前記個別評価ポイントは、サービスが実施されるたびにサービス提供者によって依頼者に対して個別に付与された評価ポイントの平均値である。例えば、サーバ装置10は、前記サービス提供者から前記依頼サービスが完遂した旨の報告情報(実施完了情報)の受信時に前記依頼者に対する前記評価ポイントを受け取ると、サーバ装置10の制御部11は、前記個別評価ポイントを更新する。
【0060】
提供者情報格納部133には、マッチング支援システム100においてサービスの提供が可能な者として登録されている前記提供登録者に関する複数の提供者登録情報が記憶されている。具体的には、前記複数の提供者登録情報を含む提供者情報管理テーブル133A(図6参照)が提供者情報格納部133に格納されている。
【0061】
図6は、提供者情報管理テーブル133Aの一例を示す。図6に示すように、提供者情報管理テーブル133Aには、前記提供登録者を示すIDごとに複数の前記提供者登録情報が登録されている。前記提供者登録情報は、例えば、前記提供登録者を示すID、前記提供登録者の氏名(B1,B2,・・・)、前記提供登録者が所属するコミュニティ(C1,C2,・・・)、マッチング支援システム100によるサービスの実施回数、提供可能なサービスの種類、過去のサービス実施実績に基づき算出された実績評価ポイント(本発明の第1提供者評価値の一例)などを含む。なお、図6には示されていないが、前記提供登録者の性別、年齢、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス)などが前記提供者登録情報に含まれていてもよい。
【0062】
前記提供者登録情報は、マッチング支援システム100において前記提供登録者の登録申請が許可された場合に、提供者情報管理テーブル133Aに新規に登録される。マッチング支援システム100において前記提供登録者の登録を希望する者(申請者)が前記登録申請を行い、その申請が許可されると、申請者に対してIDが発行される。そして、前記登録申請とともに入力した申請者の個人情報や、所属するコミュニティ情報、提供可能なサービスの種類などを含む前記提供者登録情報が提供者情報格納部133の提供者情報管理テーブル133Aに登録される。
【0063】
図7は、前記提供者登録情報として登録されている提供可能サービスの内容の一例を示す。図7に示すように、前記提供者登録情報には、提供可能なサービスの具体的な内容も含まれている。例えば、図7に示す提供登録者B1の例では、サービス内容として、提供可能なサービス名「ライドシェアリング」と、具体的なサービス内容「自動車による送迎」が含まれており、更に、送り迎えが可能な具体的な時間(提供可能日時)や、提供可能範囲が含まれている。なお、前記提供者登録情報に、前記提供登録者が依頼者に課す依頼者条件が含まれていても良い。前記依頼者条件としては、例えば、サービス提供対象(サービスの提供を受ける利用登録者)を前記提供登録者と同じ居住地域内に住んでいる利用登録者に限定する要件、年齢制限、性別などが考えられる。
【0064】
ここで、前記実施回数(図6参照)は、例えば、特定期間にマッチング支援システム100を介して特定のサービス(例えばライドシェアリング)を依頼者に対して実施した累積回数である。前記特定期間は、任意に定められる期間であり、例えば直近の1年間(最後の提供時以前の1年間)である。前記実施回数は、マッチング支援システム100で取り扱われているサービスごとに分けてカウントされる。例えば、サーバ装置10は、前記サービス提供者から前記依頼サービスが完遂した旨の報告情報(実施完了情報)を受信すると、制御部11は、当該サービスに対応する前記実施回数をカウントアップして、該当する前記提供者登録情報を更新する。この実施回数は、後述する信頼度算出処理に用いられる。
【0065】
また、前記実績評価ポイントは、前記サービス提供者によるサービスの実施実績に基づいて評価されるものであり、前記サービス提供者ごとに付与される評価値である。
【0066】
図8は、前記サービス提供者が、地域サービスの一例であるライドシェアリングを依頼者に対して実施した場合の実績に基づく前記実績評価ポイントの算定ルールの一例を示す。図8の例では、前記実績評価ポイントの評価に用いられる5つの評価項目が定められており、各評価項目ごとに前記サービス提供者の実績に応じた評価点の配分(点数配分)が定められている。前記実績評価ポイントは、各評価項目それぞれの配点の合計点である。各評価項目それぞれにおいて、最高点数が1点、最低点数が0点と定められており、それ故、前記実績評価ポイントの最高点は5点、最低点は0点である。
【0067】
具体的には、図8中の評価項目「事故履歴」については、特定期間(例えば、直近の1年間)に前記サービス提供者が交通事故を1度も起こしていない場合に1点と評価され、前記サービス提供者が交通事故を1回起こした場合に0.5点と評価され、前記サービス提供者が交通事故を2回以上起こした場合に0点と評価される。
【0068】
評価項目「累積評価」は、所謂カスタマー評価と称されるものであり、前記依頼サービスが実施されるたびに、当該サービスを受けた依頼者から前記サービス提供者に対して個別に付与される評価ポイントの平均値である。依頼者から付与される前記評価ポイントは1から5の5段階に分かれており、前記平均値が4.5以上5未満の場合に「優」と判定され、この場合は1点と評価される。前記平均値が3.5以上4.5未満の場合に「良」と判定され、この場合は0.75点と評価される。前記平均値が2.5以上3.5未満の場合に「可」と判定され、この場合は0.5点と評価される。前記平均値が1.5以上2.5未満の場合に「不満」と判定され、この場合は0.25点と評価される。また、前記平均値が1以上1.5未満の場合に「不可」と判定され、この場合は0点と評価される。
【0069】
評価項目「実施回数」は、特定期間(例えば、直近の1年間)に前記サービス提供者が前記依頼サービスを実施した累積回数である。前記実施回数10回以上が1点、7~9回が0.75点、4~6回が0.5点、2~3回が0.25点、0回が0点と評価される。
【0070】
評価項目「未実施期間」は、依頼者に対して最後にサービスを実施した実施時からの経過時間である。前記未実施期間が1週間未満の場合に1点と評価され、1週間以上2週間未満の場合に0.75点と評価され、2週間以上3週間未満の場合に0.5点と評価され、3週間以上4週間未満の場合に0.25点と評価され、4週間以上の場合に0点と評価される。
【0071】
評価項目「コミュニティ属性」は、サービス提供者が所属しているコミュニティに関する評価項目である。ここで、前記コミュニティは、具体的には、複数の住民が居住する地域(例えば市町村)において、その住民によって組織された所謂地域コミュニティである。前記地域コミュニティは、地域社会とも呼ばれている。当該地域には、その目的に応じて複数の地域コミュニティが形成されている。このような地域コミュニティは、その構成員である住民が居住する地域において、地域内における住民の教育や福祉、防犯、地域内の道路や水路の清掃、高齢者のケア、公共交通の確保、情報発信、住民交流、所謂まちおこしなど、様々な目的に応じて多岐にわたる活動を行っている。例えば、日本における地域コミュニティの一例として、市町村などの地区単位で組織された自治会や町内会、当該地域に所在する学校の関係者(主に生徒の保護者と教職者)によって組織された教育関係団体(例えばPTA:Parent-Teacher Association)、当該地域に所在する商店の運営者の集合体である商店街組織(例えば、商店街振興組合)、共通の目的のために当該地域の住民によって構成されたスポーツクラブや自主防災組織(例えば、消防団)、子ども会、子育てサークル、福祉ボランティア、老人クラブ、ボーイスカウト、ガールスカウトなどが挙げられる。
【0072】
一般に、このようなコミュニティに所属している構成員は、構成員同士の連携活動や互助活動を行いつつ、所属するコミュニティに課された目的を達成するように活発に活動を行っている者であり、無所属の者に比べて相対的に高い信頼を得ている。とりわけ、前記コミュニティの代表者(管理者又はリーダ)は、各構成員から厚い信頼を得ている。前記コミュニティの代表者は、例えば、前記コミュニティが前記自治会の場合は自治会長、前記町内会の場合は町内会長、前記PTAの場合はPTA会長、前記商店街振興組合の場合は組合長、前記スポーツクラブの場合は監督などの指導者、前記消防団の場合は団長、前記子ども会の場合は会長が該当する。
【0073】
したがって、評価項目「コミュニティ属性」については、サービス提供者が所定のコミュニティの代表者である場合に1点と評価され、単なる構成員である場合に0.5点と評価され、いずれのコミュニティにも所属していない無所属である場合に0点と評価される。
【0074】
なお、図8に示す5つの評価項目のうち、「累積評価」、「実施回数」、「未実施期間」に係る情報については、サーバ装置10は、前記依頼サービスの実施後にサービス提供者の情報端末3から送られてくる前記報告情報や、依頼者の情報端末2から送られてくる評価ポイントに基づいて算出又は判定することができる。また、「事故履歴」や「コミュニティ属性」に係る情報については、サーバ装置10は、前記提供者登録情報の定期更新時に提供登録者によって入力された情報から取得することができる。
【0075】
図9は、図6に記載の提供登録者B1の実績評価ポイントの一例を示す。図9の例によると、提供登録者B1の前記事故履歴は「0回」であり、前記累積評価は「良」であり、前記実施回数は「9回(図6参照)」であり、前記未実施期間は「15日」であり、前記コミュニティ属性は、所定のコミュニティに所属する構成員であるため、上述の算定ルールに基づいて算出すると、提供登録者B1の実績評価ポイントは「3点」となる。
【0076】
カスタマー評価格納部135には、前記利用登録者と前記提供登録者との関係性に基づいて評価された前記提供登録者に関するカスタマー評価ポイント(本発明の第2提供者評価値の一例)が記憶されている。前記カスタマー評価ポイントは、前記提供登録者ごとに評価されたものである。本実施形態では、前記利用登録者別に複数の提供登録者それぞれの前記カスタマー評価ポイントがデータベースとしてカスタマー評価格納部135に格納されている。
【0077】
図10は、図5に記載の利用登録者A1の前記カスタマー評価ポイントの一覧を示す。図10には、利用登録者A1が過去にサービスの提供を受けた提供登録者B1,B2,・・・ごとの前記カスタマー評価ポイントが記されている。図10の例によると、提供登録者B1のカスタマー評価ポイントは3.15点と評価されており、提供登録者B2のカスタマー評価ポイントは2.75点と評価されており、提供登録者B3のカスタマー評価ポイントは3点と評価されている。前記カスタマー評価ポイントは、利用登録者A1と各提供登録者との関係性を示す後述の5つの評価項目それぞれに基づいて評価された評価点の合計点である。各評価項目それぞれにおいて、最高点数が1点、最低点数が0点と定められており、それ故、前記カスタマー評価ポイントの最高点は5点、最低点は0点である。
【0078】
図11は、前記カスタマー評価ポイントの算定ルールの一例を示す。図11の例では、前記カスタマー評価ポイントの評価に用いられる5つの評価項目が定められており、各評価項目ごとに前記サービス提供者に対する評価点の配分(点数配分)が定められている。前記カスタマー評価ポイントは、各評価項目それぞれの配点の合計点である。各評価項目それぞれにおいて、最高点数が1点、最低点数が0点と定められており、それ故、前記カスタマー評価ポイントの最高点は5点、最低点は0点である。
【0079】
具体的には、図11中の評価項目「所在地距離」は、前記関係性の一例であり、前記提供登録者の所在地(例えば住所地)と前記利用登録者の所在地(例えば住所地)との距離である。前記所在地距離の評価は、提供登録者の所在地が利用登録者の住所地に近いほど高い点が付与され、遠いほど低い点が付与される。言い換えると、両者間の所在地距離が近いほど互いの信頼度が高く、遠いほど信頼度が低いと判定される。本実施形態では、提供登録者が、利用登録者と同じ住所地域内(例えば町内)に在住している場合に1点と評価され、同じ地方自治体内(市町村内)に在住している場合に0.5点と評価され、異なる地方自治体に在住している場合に0点と評価される。
【0080】
評価項目「紹介パス数」は、前記関係性の一例であり、前記利用登録者及び前記提供登録者に前記紹介者がいる場合に、前記利用登録者及び前記提供登録者それぞれの共通紹介者を含む紹介ルート上の紹介回数である。例えば、図12に示すように、利用登録者A1の紹介者、更にその紹介者を遡った場合の紹介ルートR1上と、提供登録者B1の紹介者、更にその紹介者を遡った場合の紹介ルートR2上に前記共通紹介者がいる場合、前記紹介パス数は、全紹介ルート(R1+R2)の紹介数(図12の例では5つ)である。前記紹介パス数は、データベース13に格納されている利用者登録情報に含まれる紹介者の情報に基づいて求めることができる。
【0081】
前記紹介パス数の評価は、前記紹介パス数が少ないほど高い点が付与され、多いほど低い点が付与される。言い換えると、前記紹介パス数が少ないほど両者間の信頼度が高く、多いほど信頼度が低いと判定される。本実施形態では、前記紹介パス数が1つ、つまり、前記利用登録者の紹介者が前記提供登録者である場合に1点と評価される。また、前記紹介パス数が2つである場合に0.8点と評価され、3つである場合に0.6点と評価され、4つである場合に0.4点と評価され、5つである場合に0.2点と評価され、6つ以上の場合に0.1点と評価される。また、前記共通紹介者がいない場合(紹介ルートに繋がりがない場合)に0点と評価される。
【0082】
評価項目「交流回数」は、前記関係性の一例であり、特定期間(例えば、直近の1年間)に前記利用登録者と前記提供登録者とが実際に交流した累積回数である。この回数は、サーバ装置10が、前記利用登録者の情報端末2及び前記提供登録者の情報端末3から受信したGPSによる位置情報に基づいて算出可能である。例えば、双方の位置情報が、同じ時刻に、概ね一致していると判断しうる範囲内を示した場合に、両者の情報端末2,3が近接しており、前記利用登録者及び前記提供登録者が実際に交流している(会っている)と判断できる。サーバ装置10の制御部11は、この交流の回数をカウントし、記憶部12に格納する。
【0083】
前記交流回数の評価は、前記交流回数が多いほど高い点が付与され、少ないほど低い点が付与される。言い換えると、前記交流回数が多いほど両者間の信頼度が高く、少ないほど信頼度が低いと判定される。本実施形態では、前記交流回数が5回以上の場合に1点と評価さる。また、前記交流回数が3~4回である場合に0.75点と評価され、2回である場合に0.5点と評価され、1回である場合に0.25点と評価され、0回である場合に0点と評価される。
【0084】
評価項目「共通訪問先数」は、前記関係性の一例であり、前記利用登録者及び前記提供登録者が特定期間(例えば、直近の1年間)に訪れた共通の場所(共通訪問先)の数である。つまり、前記特定期間に両者が訪れた共通の場所の数である。前記共通の場所は、例えば、運動施設、観光地、運動や語学などの教室又はスクール、飲食店などである。共通の場所に訪れたことがないよりも、訪問した日時が異なっていても共通の場所に訪れたことがある方が、前記利用登録者及び前記提供登録者の趣味性や物事に対する捉え方や感じ方などの感性が近いと推測でき、ひいては、両者の信頼度が高いと判断できる。したがって、前記共通の場所が多いほど前記感性がより近く、両者の信頼度がより高いと考えられる。
【0085】
前記共通訪問先数は、サーバ装置10が、前記利用登録者の情報端末2及び前記提供登録者の情報端末3から受信したGPSによる位置情報に基づく移動経路情報に基づいて算出可能である。例えば、双方の前記移動経路情報に前記共通の場所が含まれており、当該場所に留まっている時間が所定時間(例えば30分以上)である場合に、サーバ装置10の制御部11は、両者はその場所を訪問したと判断でき、前記共通訪問先数をカウントし、記憶部12に格納する。
【0086】
前記共通訪問先数の評価は、前記共通訪問先数が多いほど高い点が付与され、少ないほど低い点が付与される。言い換えると、前記共通訪問先数が多いほど両者間の信頼度が高く、少ないほど信頼度が低いと判定される。本実施形態では、前記共通訪問先数が5箇所以上の場合に1点と評価さる。また、前記共通訪問先数が3~4箇所である場合に0.75点と評価され、2箇所である場合に0.5点と評価され、1箇所である場合に0.25点と評価され、0箇所である場合に0点と評価される。
【0087】
評価項目「個別評価」は、所謂カスタマー評価と称されるものであり、前記依頼サービスが実施されるたびに、当該サービスを受けた依頼者から前記サービス提供者に対して個別に付与される評価ポイントである。依頼者から付与される前記評価ポイントは1から5の5段階に分かれており、前記評価ポイントが4.5以上5未満の場合に「優」と判定され、この場合は1点と評価される。前記評価ポイントが3.5以上4.5未満の場合に「良」と判定され、この場合は0.75点と評価される。前記評価ポイントが2.5以上3.5未満の場合に「可」と判定され、この場合は0.5点と評価される。前記評価ポイントが1.5以上2.5未満の場合に「不満」と判定され、この場合は0.25点と評価される。また、前記評価ポイントが1以上1.5未満の場合に「不可」と判定され、この場合は0点と評価される。
【0088】
制御部11は、サーバ装置10の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUが実行することによりサーバ装置10を制御する。
【0089】
図2に示すように、制御部11は、候補選定処理部111(本発明の候補選定処理部の一例)、信頼度算出処理部112(本発明の信頼度算出処理部の一例)、送信処理部113などの各種の処理部を含む。制御部11は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。制御部11又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するプロセッサ又はコンピュータの一例である。なお、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0090】
候補選定処理部111は、依頼者からの前記依頼要求に適合する提供者候補を選定する処理(候補選定処理)を行う。具体的には、候補選定処理部111は、前記依頼者が所有する情報端末2からネットワークN1を通じて前記依頼要求を受信すると、提供者情報格納部133内の提供者情報管理テーブル133Aから、前記依頼要求に適合する前記提供者候補を選定する。
【0091】
信頼度算出処理部112は、提供者情報管理テーブル133Aに含まれる前記提供登録者ごとの前記実績評価ポイントと、前記提供登録者に対する前記依頼者の前記カスタマー評価ポイントと、に基づいて、前記依頼者における前記提供依頼者の信頼度を算出する。本実施形態では、信頼度算出処理部112は、候補選定処理部111によって選定された一又は複数の前記提供者候補の信頼度を算出する。
【0092】
具体的には、信頼度算出処理部112は、前記実績評価ポイント及び前記カスタマー評価ポイントそれぞれに予め定められた適用率(本発明の割合の一例)を乗じて得られた総合評価ポイント(本発明の評価値の一例)を前記信頼度として算出する。前記総合評価ポイントは、前記実績評価ポイント及び前記カスタマー評価ポイントのそれぞれに前記評価率を乗じて得られた値を加算することにより算出される。本実施形態では、前記実績評価ポイントをP1、前記実績評価ポイントP1に対して定められた適用率をS1(%)、前記カスタマー評価ポイントをP2、前記カスタマー評価ポイントP2に対して定められた適用率をS2(%)とすると、前記総合評価ポイントP、つまり、前記信頼度Pは、次の式(1)で表すことができる。なお、適用率S1と適用率S2との間には、S1=100-S2の関係を有する。
【0093】
P=S11/100+S22/100 ・・・(1)
【0094】
つまり、前記信頼度Pは、前記実績評価ポイントP1に前記適用率S1を乗じて得たポイント数と、前記カスタマー評価ポイントP2に前記適用率S2を乗じて得たポイント数とを加算したものである。
【0095】
前記適用率S1,S2は固定されたものであってもよいが、本実施形態では、前記適用率は、依頼者の前記利用者登録情報に含まれる前記利用回数(本発明のサービス利用回数、サービス利用実績の一例)に基づいて変更される。
【0096】
具体的には、信頼度算出処理部112は、依頼者の前記利用回数が多いほど、前記信頼度P(総合評価ポイントP)における前記カスタマー評価ポイントP2の比率が相対的に高くなるように、前記適用率を変更する。この理由は、前記利用回数が少ない場合は、前記カスタマー評価ポイントP2よりも前記実績評価ポイントP1を重視したほうが前記信頼度Pの正確性がアップするためであり、逆に、前記利用回数が多い場合は、前記実績評価ポイントP1よりも前記カスタマー評価ポイントP2を重視したほうが前記信頼度Pの正確性がアップするためである。
【0097】
本実施形態では、記憶部12に前記適用率配分テーブル121(図13参照)が格納されており、信頼度算出処理部112は、前記適用率配分テーブル121と依頼者の前記利用回数とに基づいて、前記適用率を変更する。ここで、前記適用率配分テーブル121は、前記利用回数に応じた適用率S1及び適用率S2を定めた配分テーブルである。
【0098】
例えば、図13に示す適用率配分テーブル121がライドシェアリングに適用される適用率の配分を示すものであるとする。この場合、依頼者がライドシェアリングを利用した回数(利用回数)が0回であれば、前記適用率S1が80%に設定され、前記適用率S2が20%に設定される。また、前記利用回数が1~2回であれば、前記適用率S1が70%に設定され、前記適用率S2が30%に設定される。前記利用回数が3~5回であれば、前記適用率S1が60%に設定され、前記適用率S2が40%に設定される。前記利用回数が6~8回であれば、前記適用率S1が50%に設定され、前記適用率S2が50%に設定される。前記利用回数が9~15回であれば、前記適用率S1が40%に設定され、前記適用率S2が60%に設定される。前記利用回数が16~20回であれば、前記適用率S1が30%に設定され、前記適用率S2が70%に設定される。前記利用回数が21回以上であれば、前記適用率S1が20%に設定され、前記適用率S2が80%に設定される。
【0099】
また、信頼度算出処理部112は、依頼者の前回利用時からの未利用期間が長いほど、前記信頼度Pにおける前記カスタマー評価ポイントP2の比率が相対的に低くなるように、前記適用率を変更する。この理由は、前記未利用期間が長い場合は、未利用期間中に前記カスタマー評価ポイントP2の正確度合いを低下させる低下要因が生じる可能性が高くなるためである。つまり、前記未利用期間が長い場合は、前記カスタマー評価ポイントP2よりも前記実績評価ポイントP1を重視したほうが前記信頼度Pの正確性がアップするためであり、逆に、前記未利用期間が短い場合は、前記実績評価ポイントP1よりも前記カスタマー評価ポイントP2を重視したほうが前記信頼度Pの正確性がアップするためである。なお、前記低下要因としては、例えば、前記提供登録者の新規登録の増加により、依頼者が評価ポイントを付与していない前記提供登録者が増えたことや、時間の経過にともない前記提供登録者の資質が変化することなどが考えられる。
【0100】
ここで、前記未利用期間は、制御部11によって算出される。具体的には、制御部11は、情報端末2からネットワークN1を通じて前記依頼要求を受信すると、マッチング実績格納部134のマッチング実績データを参照して、その依頼者の過去の利用実績を確認することにより、前記未利用期間を算出する。
【0101】
本実施形態では、記憶部12に前記適用率減算テーブル122(図14参照)が格納されており、信頼度算出処理部112は、前記適用率減算テーブル122に基づいて、上記式(1)に適用される前記適用率S1及び前記適用率S2を変更する。ここで、前記適用率減算テーブル122は、前記未利用期間に応じた減算率Srを定めたテーブルである。
【0102】
例えば、図14に示すように、依頼者の前記未利用期間が1月未満であれば、前記減算率Srは±0%であり、この場合、前記適用率S1及び前記適用率S2はいずれも変更(減算)されない。また、前記未利用期間が1月以上6月未満であれば、前記適用率S1が5%上げられ、前記適用率S2が5%下げられる。前記未利用期間が6月以上12月未満であれば、前記適用率S1が10%上げられ、前記適用率S2が10%下げられる。前記未利用期間が1年以上であれば、前記適用率S1が15%上げられ、前記適用率S2が15%下げられる。
【0103】
送信処理部113は、候補選定処理部111によって選定された前記提供者候補と、信頼度算出処理部112によって算出された前記信頼度とを、ネットワークN1を通じて、前記依頼要求を行った前記利用者が使用する情報端末2に送信する処理(送信処理)を行う。
【0104】
[情報端末2]
以下、図3を参照して、情報端末2の具体的な構成について説明する。ここで、図3は、情報端末2の構成を示す図である。
【0105】
図3に示すように、情報端末2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、GPS受信部25、通信部26などを備える。
【0106】
通信部26は、情報端末2を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を通じてサーバ装置10との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0107】
記憶部22は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部22には、制御部21に各種演算処理を実行させるための制御プログラムや、マッチング支援システム100の利用に必要なアプリケーション、各種演算処理に用いられるデータなどが記憶されている。
【0108】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部23Aと、利用者の操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの操作部(不図示)とを備えるユーザインターフェースである。
【0109】
GPS受信部25は、情報端末2の現在の位置情報を取得する。GPS受信部25は、GPS衛星からの信号を受信し、更に所定の演算処理を行うことにより、地球上における位置を検出する。
【0110】
制御部21は、情報端末2の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより情報端末2を制御する。
【0111】
制御部21は、上述の送信処理部113によって送信された前記提供者候補及び前記信頼度を受信すると、前記信頼度の高い順番に前記提供者候補を表示部23Aに表示する。
【0112】
[マッチング処理]
以下、図15乃至図18のフローチャートを用いて、依頼者と提供登録者とをマッチングするマッチング処理(候補選定処理及び信頼度算出処理を含む)の手順の一例を説明するとともに、本発明の信頼度算出方法について説明する。なお、前記依頼者が、自身の情報端末2において前記アプリケーションを起動し、このアプリケーションによって、情報端末2からマッチング支援システム100に対してログインが行われるものとする。
【0113】
図15に示すように、ステップS11では、制御部11は、前記依頼者の情報端末2からログイン認証のためのログイン要求を受信したか否かを判定する。制御部11は、前記ログイン要求を受信し、依頼者のID及びパスワードを認証した後に、依頼者の情報端末2からのログインを許可する。
【0114】
前記ログインが完了すると、依頼者は、情報端末2を操作して、依頼入力画面に依頼要求と具体的な依頼内容を含む前記依頼情報を入力し、その後、前記依頼要求の送信処理を実行する。
【0115】
次のステップS73では、制御部11は、情報端末2から前記依頼要求を受信したか否かを判定する。前記依頼要求を受信したと判定されると、制御部11は、次のステップS13において、前記依頼要求に適合する提供者候補(候補者)を設定するための候補選定処理を実行する。前記候補選定処理を行うステップS13は、候補選定ステップの一例である。
【0116】
図17に示すように、前記候補選定処理は、ステップS131~S134までの手順に従って制御部11によって実行される。
【0117】
まず、制御部11は、ステップS131において、前記提供者情報管理テーブル133A(図6参照)に登録されている複数の提供者登録情報と、ステップS12で受信した前記依頼情報に含まれる前記依頼内容(図4参照)とを照合し、前記提供者情報管理テーブル133Aに登録されている複数の前記提供登録者の中から、前記依頼内容に適合する適合者を抽出する。
【0118】
続いて、制御部11は、ステップS131で抽出された前記適合者の中から、前記依頼情報に含まれる前記追加条件(図4参照)に適合する適合者を更に抽出する(S132)。その後、制御部11は、ステップS132において抽出された前記適合者を含む候補者リストを作成する(S133)。これにより、候補選定処理が終了する。
【0119】
なお、ステップS131及びS132において、適合者がいないと判定された場合は、ステップS134に進み、提供者候補が検索されなかったことを示すフラグ情報を設定し、その後に、一連の処理が終了する。
【0120】
図15に示すように、前記候補選定処理(S13)が終了すると、制御部11は、ステップS14において、提供者候補が選定されたか否かを判定する。つまり、制御部11は、前記候補選定処理によって前記依頼要求に適合する適合者がいると判定されて、前記候補者リストが作成されている場合は、提供者候補ありと判定する。一方、前記ステップS134において提供者候補なしを示す前記フラグ情報が設定されている場合は、制御部11は、提供者候補なしと判定する。
【0121】
提供者候補が選定されなかった場合(S14のNo)、制御部11は、提供者候補が見つからなかったことを示す通知を依頼者の情報端末2に送信し(S14A)、その後、マッチング不成立のまま、一連のマッチング処理が終了する。
【0122】
一方、ステップS14において、提供者候補が選定された場合は、制御部11は、次のステップS15において、前記候補者リストに含まれる全ての提供者候補の信頼度を算出する信頼度算出処理を実行する。前記信頼度算出処理を行うステップS15は、本発明の信頼度算出ステップの一例である。
【0123】
図18に示すように、前記信頼度算出処理は、ステップS151~S157までの手順に従って制御部11によって実行される。
【0124】
まず、制御部11は、ステップS151において、前記候補者リストからIDの番号順に一の提供者候補を選択し、選択した提供者候補に対応する前記実績評価ポイントを前記提供者情報管理テーブル133A(図6参照)から取得する。
【0125】
続いて、制御部11は、ステップS152において、カスタマー評価格納部135内の依頼者のデータベースを参照して、選択した提供者候補に対応するカスタマー評価ポイント(図10参照)があるか否かを判定する。ここで、前記カスタマー評価ポイントがあると判定された場合は、前記カスタマー評価ポイントをカスタマー評価格納部135から取得する(S153)。一方、前記カスタマー評価ポイントが無いと判定された場合は、前記カスタマー評価ポイントとして、予め定められた標準値を記憶部12から取得する(S154)。なお、前記標準値は、例えば、予め定められた固定値、或いは、依頼者が既に付与している全ての提供登録者の前記カスタマー評価ポイントの平均値であり、予め記憶部12に格納されている。
【0126】
その後、制御部11は、依頼者の利用回数に対応する前記適用率S1,S2を適用率配分テーブル121(図13参照)から取得し(S155)、更に、依頼者の未利用期間に対応する前記減算率Srを適用率減算テーブル122(図14参照)から取得する(S156)。
【0127】
信頼度の算出に用いられる全ての情報、つまり、前記実績評価ポイント、前記カスタマー評価ポイント、前記適用率S1,S2、前記減算率Srが取得されると、制御部11は、ステップS157において、前記適用率S1,S2を前記減算率Srで減算してから、減算後の前記適用率S1,S2と、前記実績評価ポイントと、前記カスタマー評価ポイントとを上述した式(1)に適用して、信頼度を算出する。算出された信頼度は、前記候補者リストに記録する(S158)。
【0128】
次に、ステップS159において、制御部11は、信頼度の算出対象である他の提供者候補が存在する場合に、ステップS151以降の処理を繰り返す。一方、他の提供者候補が存在しない場合は、信頼度算出処理が終了する。
【0129】
図15に示すように、前記信頼度算出処理(S15)が終了すると、制御部11は、前記候補者リストの提供者候補の候補数が複数であるか否かを判定する(S16)。ここで、候補者が一人である場合は、ステップS20に進む。
【0130】
ステップS16において前記候補数が複数であると判定されると、次のステップS17において、制御部11は、複数の提供者候補を信頼度の高い順に並び変えるソート処理を実行する(S17)。つまり、制御部11は、前記候補者リストを更新して、複数の提供者候補を信頼度の高い順に並び変える。
【0131】
次のステップS18において、制御部11は、前記候補数が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。かかる判定は、提供者候補の候補数が多すぎるか否かを判定するために行われる。ステップS18において、前記候補数が前記閾値未満であると判定された場合、制御部11は、ステップS20に進み、前記候補者リストを依頼者に提示するために、前記候補者リストを前記依頼者の情報端末2に送信する。このとき、前記候補者リストからサービスの提供を望む提供者の選択を促すメッセージも送信する。
【0132】
情報端末2では、前記候補者リストを受信すると、制御部21は、前記候補者リストを情報端末2の表示部23A(図3参照)に表示させて、当該候補者リストを依頼者に提示して、候補者リストから所望する提供者の選択を促す。
【0133】
図16に示すように、次のステップS21では、制御部11は、情報端末2から受信した情報に基づいて、候補者が選択されたか否かを判定する。
【0134】
ステップS21において候補者が選択されなかったと判定されると、制御部11は、ステップS21Aにおいて、依頼キャンセルを情報端末2から受信したか否かを判定する。ステップS21Aにおいて、前記依頼キャンセルが情報端末2から受信した場合に(S21AのYes)、マッチング不成立のまま、一連のマッチング処理が終了する。
【0135】
一方、ステップS21において、候補者が選択されたと判定されると(S21のYes)、選択された候補者の情報端末3に、依頼内容とともに依頼受諾要求を送信する(S22)。この依頼受諾要求は、例えば、候補者の情報端末3に電子メールなどの通知手段によって送信する。
【0136】
次のステップS23では、制御部11は、候補者の情報端末3から依頼受諾の通知を受信したか否かを判定する。前記依頼受託の通知を受信した場合は、制御部11は、依頼者と依頼を受諾した提供者候補(受諾者)の両方に、マッチングが成立したことを示す通知を送信し(S24)、その後、マッチング内容をマッチング実績格納部134のマッチング実績データに登録する(S25)。
【0137】
一方、前記依頼受託の通知を受信せず、受諾を拒否する通知を受信した場合は、制御部11は、マッチングが成立しなかったことを示す通知を依頼者の情報端末2に送信する(S23A)。その後、一連のマッチング処理が終了する。
【0138】
以上説明したように、本実施形態では、上述したマッチング処理において前記信頼度算出処理が制御部11によって実行される。そして、前記信頼度算出処理において、前記実績評価ポイントと前記カスタマー評価ポイントに基づいて前記信頼度が算出される。このため、信憑性の高い信頼度を確実に算出される。その結果、依頼者は、マッチング支援システム100を安心して利用することができ、また、依頼者は、算出された信頼度を頼りに提供者候補を選ぶことができるので、安心して提供者からサービスを受けることができる。
【0139】
また、上述の実施形態では、信頼度の算出に用いられる前記適用率S1,S2が依頼者の前記利用者登録情報に含まれる前記利用回数に基づいて変化されるので、依頼者の前記利用回数に応じた信頼度が算出される。これにより、より信憑性の高い信頼度が算出されることになる。その結果、依頼者は、より安心して、依頼した提供者からサービスを受けることができる。
【0140】
また、制御部11は、前記依頼者からの依頼要求に適合する提供者候補を選定した後に、その選定された提供者候補の信頼度を算出する。そのため、制御部11は、選定された提供者候補の信頼度だけを算出すればよい。これにより、予め全ての提供登録者の信頼度を算出してから提供者候補を選定する場合に比べて、信頼度の算出処理の処理速度が向上し、演算処理の負荷が軽減する。
【0141】
なお、上述の実施形態では、前記提供者候補が選定された後に、その選定された提供者候補の信頼度を算出する処理について例示したが、本発明はこの処理例に限られない。例えば、前記提供者候補が選定される前に、予め全ての提供登録者の信頼度を算出し,その後の提供者候補を選定してもよい。
【0142】
また、上述の実施形態では、依頼者の前記利用回数に基づいて前記適用率S1及び前記適用率S2それぞれを変更する例について説明したが、本発明はこのような変更例に限られない。例えば、前記利用回数に関わらず前記適用率S1を一定(固定値)とした場合は、前記利用回数に比例して前記適用率S2を変更してもよい。つまり、前記利用回数が多いほど前記適用率S2を上げ、前記利用回数が少ないほど前記適用率S2を下げてもよい。或いは、前記利用回数に関わらず前記適用率S2を一定(固定値)とした場合は、前記利用回数に反比例して前記適用率S1を変更してもよい。つまり、前記利用回数が多いほど前記適用率S1を下げ、前記利用回数が少ないほど前記適用率S1を上げてもよい。
【0143】
また、上述の実施形態では、前記地域サービスに適用される例について説明したが、上述のマッチング支援システム100は、前記地域差サービスに適用されるものに限定されず、有償又は無償に関わらず、飲食物のケータリングサービス、荷物や人の運搬サービス、WEBデザインやイラスト、動画、プログラムなどの制作サービスなど、あらゆるサービスにおいて、前記依頼者と前記提供登録者とをマッチングするシステムにも適用可能である。
【0144】
また、上述の実施形態では、サーバ装置10において上述した各処理を実行することにより実現されるマッチング支援システム100を例示したが、前記各処理を実行可能なサーバ装置10を本発明のマッチング支援装置の一実施形態として捉えることも可能である。
【符号の説明】
【0145】
2,3 :情報端末
10 :サーバ装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :データベース
100 :マッチング支援システム
111 :候補選定処理部
112 :信頼度算出処理部
113 :送信処理部
121 :適用率配分テーブル
122 :適用率減算テーブル
131 :依頼情報格納部
132 :利用者情報格納部
132A :利用者情報管理テーブル
133 :提供者情報格納部
133A :提供者情報管理テーブル
134 :マッチング実績格納部
135 :カスタマー評価格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18