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特許7494482トレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】トレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/60 20060101AFI20240528BHJP
   B29D 30/20 20060101ALI20240528BHJP
   B60C 19/08 20060101ALI20240528BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B29D30/60
B29D30/20
B60C19/08
B60C11/00 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020025491
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130222
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 博幸
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035337(JP,A)
【文献】特開2010-115935(JP,A)
【文献】特開2010-264959(JP,A)
【文献】特開2017-113994(JP,A)
【文献】特開2013-079049(JP,A)
【文献】特開2010-158838(JP,A)
【文献】特開2016-088029(JP,A)
【文献】特開2007-260962(JP,A)
【文献】特開2013-035218(JP,A)
【文献】特開2002-046194(JP,A)
【文献】特開2001-047525(JP,A)
【文献】国際公開第2002/060676(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/122754(WO,A1)
【文献】特開2012-179849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D30/00-30/72
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の未加硫のゴムストリップを円筒体の径方向外側に螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
第1ゴムストリップを、前記円筒体の軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成する第1工程と、
非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成する第2工程と、
非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成する第3工程と、
導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成する第4工程と、
前記第3ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記ベース層の径方向外側に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する第5工程とを含み、
前記第4工程と前記第5工程との間に、前記第2ゴムストリップを、前記導電層に対して前記他方側の領域に、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する工程を含む、
トレッドゴム形成方法。
【請求項2】
テープ状の未加硫のゴムストリップを円筒体の径方向外側に螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
第1ゴムストリップを、前記円筒体の軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成する第1工程と、
非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成する第2工程と、
非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成する第3工程と、
導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成する第4工程と、
前記第3ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記ベース層の径方向外側に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する第5工程とを含み、
前記第2工程では、前記第2ゴムストリップの幅よりも大きい巻き付けピッチで前記第2ゴムストリップが巻き付けられることにより、前記軸方向に隣り合う前記第2ゴムストリップが離間する離間部が形成され、
前記第4工程では、前記第4ゴムストリップが前記離間部を含む領域に巻き付けられる、トレッドゴム形成方法。
【請求項3】
テープ状の未加硫のゴムストリップを円筒体の径方向外側に螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、
第1ゴムストリップを、前記円筒体の軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成する第1工程と、
非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成する第2工程と、
非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成する第3工程と、
導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成する第4工程と、
前記第3ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記ベース層の径方向外側に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する第5工程とを含み、
前記第2工程では、前記第1中間層の前記軸方向の他方側の端縁が前記トレッドゴムの赤道に対して前記他方側に位置するように、前記第2ゴムストリップが巻き重ねられる、
トレッドゴム形成方法。
【請求項4】
前記第5工程では、前記第3ゴムストリップが前記離間部を含む領域に巻き付けられる、請求項2記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項5】
前記第2工程で形成される前記第1中間層の前記軸方向の長さW2は、前記トレッドゴムの前記軸方向の長さW1の60%~80%である、請求項3記載のトレッドゴム形成方法。
【請求項6】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、
第1ゴムストリップを、前記トレッドゴムの軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成するための第1アプリケーターと、
非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成するための第2アプリケーターと、
非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成するための第3アプリケーターと、
導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成するための第4アプリケーターと含み、
前記第3アプリケーターは、前記第3ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記導電層の径方向外側に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する、
トレッドゴム形成装置。
【請求項7】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、
第1ゴムストリップを、前記トレッドゴムの軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成するための第1アプリケーターと、
非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成するための第2アプリケーターと、
非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成するための第3アプリケーターと、
導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成するための第4アプリケーターと含み、
第1位置又は第2位置に排他的に配置され、前記ゴムストリップが巻き付けられる一対の円筒体と、
各位置に配置される前記円筒体を相互に交換するために、前記円筒体を移動させる移動部とを含み、
前記第1アプリケーター及び前記第2アプリケーターは、前記第1位置に対応する位置に配置され、
前記第3アプリケーター及び前記第4アプリケーターは、前記第2位置に対応する位置に配置されている、
トレッドゴム形成装置。
【請求項8】
前記第2アプリケーターは、前記第2ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記第2ゴムストリップの半径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する、請求項6または7に記載のトレッドゴム形成装置。
【請求項9】
テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、
第1ゴムストリップを、前記トレッドゴムの軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成するための第1アプリケーターと、
非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面に巻き重ねることにより、中間層を形成するための第2アプリケーターと、
導電性の第3ゴムストリップを、前記ベース層に接する位置から前記中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、第1導電層を形成するための第3アプリケーターと、
非導電性の第4ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記中間層の外周面に巻き重ねることにより、キャップ層を形成するための第4アプリケーターと、
導電性の第5ゴムストリップを、前記第1導電層に接する位置から前記キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、第2導電層を形成するための第5アプリケーターとを含む、
トレッドゴム形成装置。
【請求項10】
前記第2アプリケーターは、前記第2ゴムストリップを、前記ベース層の外周面の上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成し、
前記第3アプリケーターは、前記第3ゴムストリップを、前記第1中間層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記第1中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、前記第1導電層を形成し、
前記第2アプリケーターは、前記第2ゴムストリップを、前記第1導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記第1導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する、請求項9記載のトレッドゴム形成装置。
【請求項11】
前記第4アプリケーターは、前記第4ゴムストリップを、前記第1中間層の外周面の一部に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成し、
前記第5アプリケーターは、前記第5ゴムストリップを、前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、前記第2導電層を形成し、
前記第4アプリケーターは、前記第4ゴムストリップを、前記第2導電層の一部が前記第4ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記中間層及び前記第2導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する、請求項10記載のトレッドゴム形成装置。
【請求項12】
第1位置又は第2位置に排他的に配置され、前記ゴムストリップが巻き付けられる一対の円筒体と、
各位置に配置される前記円筒体を相互に交換するために、前記円筒体を移動させる移動部とを含み、
前記第1アプリケーターないし前記第3アプリケーターは、前記第1位置に対応する位置に配置され、
前記第4アプリケーター及び前記第5アプリケーターは、前記第2位置に対応する位置に配置されている、請求項9ないし11のいずれかに記載のトレッドゴム形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、ジョイントのないトレッドゴムを形成し、タイヤのユニフォミティを向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-35337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、2層のゴム層を厚さ方向に貫通する導電帯を含むトレッドゴムをジョイントレスにて形成する技術が開示されている。
【0005】
ところで、近年、例えば、ウェット性能、低燃費性能及び応答性能をバランスよく向上させるために、3層のゴム層によって構成されるトレッドゴムが検討されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、3層のゴム層と導電層を含むトレッドゴムをジョイントレスで形成することが困難であった。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、3層のゴム層と導電層を含むトレッドゴムをジョイントレスで形成できるトレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを円筒体の径方向外側に螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、第1ゴムストリップを、前記円筒体の軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成する第1工程と、非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成する第2工程と、非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成する第3工程と、導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成する第4工程と、前記第3ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記ベース層の径方向外側に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する第5工程とを含む。
【0009】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第4工程と前記第5工程との間に、前記第2ゴムストリップを、前記導電層に対して前記他方側の領域に、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する工程を含む、ことが望ましい。
【0010】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第2工程では、前記第2ゴムストリップの幅よりも大きい巻き付けピッチで前記第2ゴムストリップが巻き付けられることにより、前記軸方向に隣り合う前記第2ゴムストリップが離間する離間部が形成され、前記第4工程では、前記第4ゴムストリップが前記離間部を含む領域に巻き付けられる、ことが望ましい。
【0011】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第5工程では、前記第3ゴムストリップが前記離間部を含む領域に巻き付けられる、ことが望ましい。
【0012】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第2工程では、前記第1中間層の前記軸方向の他方側の端縁が前記トレッドゴムの赤道に対して前記他方側に位置するように、前記第2ゴムストリップが巻き重ねられる、ことが望ましい。
【0013】
本第1発明に係る前記トレッドゴム形成方法において、前記第2工程で形成される前記第1中間層の前記軸方向の長さW2は、前記トレッドゴムの前記軸方向の長さW1の60%~80%である、ことが望ましい。
【0014】
本発明の第2発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを円筒体の径方向外側に螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する方法であって、第1ゴムストリップを、前記円筒体の軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成する第1工程と、非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成する第2工程と、導電性の第3ゴムストリップを、前記第1中間層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、第1導電層を形成する第3工程と、前記第2ゴムストリップを、前記第1導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記第1導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記第1導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する第4工程と、非導電性の第4ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成する第5工程と、前記第3ゴムストリップを、前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記第1導電層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、第2導電層を形成する第6工程と、前記第4ゴムストリップを、前記第2導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記第2導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記第2中間層及び前記第2導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する第7工程とを含む。
【0015】
本発明の第3発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、第1ゴムストリップを、前記トレッドゴムの軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成するための第1アプリケーターと、非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成するための第2アプリケーターと、非導電性の第3ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記第1中間層の外周面に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成するための第3アプリケーターと、導電性の第4ゴムストリップを、前記第1中間層及び前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記ベース層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、導電層を形成するための第4アプリケーターと含む。
【0016】
本第3発明に係る前記トレッドゴム形成装置において、前記第3アプリケーターは、前記第3ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記導電層の径方向外側に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する、ことが望ましい。
【0017】
本第3発明に係る前記トレッドゴム形成装置において、前記第2アプリケーターは、前記第2ゴムストリップを、前記導電層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記軸方向に移動させながら、前記導電層の一部が前記第2ゴムストリップの半径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する、ことが望ましい。
【0018】
本第3発明に係る前記トレッドゴム形成装置において、第1位置又は第2位置に排他的に配置される一対の前記円筒体と、各位置に配置される前記円筒体を相互に交換するために、前記円筒体を移動させる移動部とを含み、前記第1アプリケーター及び前記第2アプリケーターは、前記第1位置に対応する位置に配置され、前記第3アプリケーター及び前記第4アプリケーターは、前記第2位置に対応する位置に配置されている、ことが望ましい。
【0019】
本発明の第4発明は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、環状のトレッドゴムを形成する装置であって、第1ゴムストリップを、前記トレッドゴムの軸方向に移動させながら巻き重ねることにより、ベース層を形成するための第1アプリケーターと、非導電性の第2ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記ベース層の外周面に巻き重ねることにより、中間層を形成するための第2アプリケーターと、導電性の第3ゴムストリップを、前記ベース層に接する位置から前記中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、第1導電層を形成するための第3アプリケーターと、非導電性の第4ゴムストリップを、前記軸方向に移動させながら、前記中間層の外周面に巻き重ねることにより、キャップ層を形成するための第4アプリケーターと、導電性の第5ゴムストリップを、前記第1導電層に接する位置から前記キャップ層の外周面に亘って巻き付けることにより、第2導電層を形成するための第5アプリケーターとを含む。
【0020】
本第4発明に係る前記トレッドゴム形成装置において、前記第2アプリケーターは、前記第2ゴムストリップを、前記ベース層の外周面の上で、前記軸方向の一方側の領域に巻き重ねることにより、第1中間層を形成し、前記第3アプリケーターは、前記第3ゴムストリップを、前記第1中間層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記第1中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、前記第1導電層を形成し、前記第2アプリケーターは、前記第2ゴムストリップを、前記第1導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記ベース層及び前記第1導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2中間層を形成する、ことが望ましい。
【0021】
本第4発明に係る前記トレッドゴム形成装置において、前記第4アプリケーターは、前記第4ゴムストリップを、前記第1中間層の外周面の一部に巻き重ねることにより、第1キャップ層を形成し、前記第5アプリケーターは、前記第5ゴムストリップを、前記第1キャップ層に対して前記軸方向の他方側の領域で、前記中間層の外周面に亘って巻き付けることにより、前記第2導電層を形成し、前記第4アプリケーターは、前記第4ゴムストリップを、前記第2導電層の一部が前記第4ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記中間層及び前記第2導電層の外周面に巻き重ねることにより、第2キャップ層を形成する、ことが望ましい。
【0022】
本第4発明に係る前記トレッドゴム形成装置において、第1位置又は第2位置に排他的に配置される一対の前記円筒体と、各位置に配置される前記円筒体を相互に交換するために、前記円筒体を移動させる移動部とを含み、前記第1アプリケーターないし前記第3アプリケーターは、前記第1位置に対応する位置に配置され、前記第4アプリケーター及び前記第5アプリケーターは、前記第2位置に対応する位置に配置されている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本第1発明の前記トレッドゴム形成方法では、前記第1工程にて前記ベース層が形成され、前記第2工程にて前記ベース層の前記外周の一部に前記第1中間層が形成される。そして、前記第3工程にて前記第1中間層の前記外周に前記第1キャップ層が形成され、前記第4工程にて前記ベース層に接する前記位置から前記第1キャップ層の前記外周に亘って前記導電層が形成される。さらには、前記第5工程にて前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記第2キャップ層が形成される。従って、前記ベース層、前記中間層及び前記キャップ層による3層の前記ゴム層と前記導電層を含む前記トレッドゴムがジョイントレスで形成される。
【0024】
本第2発明の前記トレッドゴム形成方法では、前記第1工程にて前記ベース層が形成され、前記第2工程にて前記ベース層の前記外周の一部に前記第1中間層が形成される。そして、前記第3工程にて前記ベース層に接する前記位置から前記第1キャップ層の前記外周に亘って前記第1導電層が形成され、前記第4工程にて前記第1導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記第2中間層が形成される。さらには、前記第5工程にて前記第1中間層の外周に第1キャップ層が形成され、前記第6工程にて前記第1導電層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って前記第2導電層が形成され、前記第7工程にて前記第2導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記第2キャップ層が形成される。従って、前記ベース層、前記中間層及び前記キャップ層による3層の前記ゴム層と前記導電層を含む前記トレッドゴムがジョイントレスで形成される。
【0025】
本第3発明の前記トレッドゴム形成装置では、前記第1アプリケーターによって前記ベース層が形成され、前記第2アプリケーターによって前記ベース層の前記外周の一部に前記第1中間層が形成される。そして、前記第3アプリケーターによって前記第1中間層の前記外周に前記第1キャップ層が形成され、前記第4アプリケーターによって前記ベース層に接する前記位置から前記第1キャップ層の前記外周に亘って前記導電層が形成される。さらには、前記第3アプリケーターによって前記導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記第2キャップ層が形成される。従って、前記ベース層、前記中間層及び前記キャップ層による3層の前記ゴム層と前記導電層を含む前記トレッドゴムがジョイントレスで形成される。
【0026】
本第4発明の前記トレッドゴム形成装置では、前記第1アプリケーターによって前記ベース層が形成され、前記第2アプリケーターによって前記ベース層の前記外周の一部に前記第1中間層が形成される。そして、前記第3アプリケーターによって前記ベース層に接する前記位置から前記第1キャップ層の前記外周に亘って前記第1導電層が形成され、前記第4アプリケーターによって前記第1導電層の一部が前記第2ゴムストリップの径方向外側に露出するように、前記第2中間層が形成される。さらには、前記第5アプリケーターによって前記第1中間層の外周に第1キャップ層が形成され、前記第6アプリケーターによって前記第1導電層に接する位置から前記第1キャップ層の外周面に亘って前記第2導電層が形成され、前記第7アプリケーターによって前記第2導電層の一部が前記トレッドゴムの径方向外側に露出するように、前記第2キャップ層が形成される。従って、前記ベース層、前記中間層及び前記キャップ層による3層の前記ゴム層と前記導電層を含む前記トレッドゴムがジョイントレスで形成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のトレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置にて形成されるトレッドゴムの断面図である。
図2】本発明の一実施形態のトレッドゴム形成装置の概略構成を示す正面図である。
図3図2のトレッドゴム形成装置を用いたトレッドゴム形成方法の第1工程及び第2工程を概念的に示す断面図である。
図4図3に続く第3工程及び第4工程を概念的に示す断面図である。
図5図4に続く第5工程等を概念的に示す断面図である。
図6図3のトレッドゴム形成方法の変形例の第1工程及び第2工程を概念的に示す断面図である。
図7図6に続く第3工程ないし第5工程を概念的に示す断面図である。
図8図3のトレッドゴム形成方法の別の変形例の第1工程及び第2工程を概念的に示す断面図である。
図9図8に続く第3工程ないし第5工程を概念的に示す断面図である。
図10図2のトレッドゴム形成装置の変形例の概略構成を示す正面図である。
図11図10のトレッドゴム形成装置を用いたトレッドゴム形成方法の第1工程乃至第4工程を概念的に示す断面図である。
図12図11に続く第5工程乃至第7工程を概念的に示す断面図である。
図13図1のトレッドゴムの変形例を示す断面図である。
図14図13のトレッドゴムを形成するためのトレッドゴム形成方法を概念的に示す断面図である。
図15図1のトレッドゴムの別の変形例を示す断面図である。
図16図15のトレッドゴムを形成するためのトレッドゴム形成方法を概念的に示す断面図である。
図17図2のトレッドゴム形成装置の別の変形例の概略構成を示す正面図である。
図18図2のトレッドゴム形成装置のさらに別の変形例の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のトレッドゴム形成方法及びトレッドゴム形成装置にて形成されるタイヤのトレッドゴムの断面図である。トレッドゴム10は、環状に形成されている。トレッドゴム10は、テープ状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻き重ねることにより、形成される。
【0029】
トレッドゴム10は最内周に位置されるベース層1と、ベース層1の外周側に位置される中間層2と、中間層2の外周側に位置されるキャップ層3とを含む3層構造を有する。トレッドゴム10は、ベース層1、中間層2及びキャップ層3を厚さ方向に貫通する導電層4をさらに含んでいる。
【0030】
ベース層1は、例えば、応答性能を重視した配合によって構成されている。中間層2は、例えば、低燃費性能を重視した配合によって構成されている。
【0031】
キャップ層3は、例えば、ウェット性能を重視した配合によって構成されている。低燃費性能及びウェット性能は、シリカが補強剤として多く配合された(シリカリッチ)ゴムによって実現される。
【0032】
シリカリッチゴムは、一般に非導電性の特性を有している。以下、本願では、加硫後の体積固有抵抗が1×108Ωcm以上となるゴム材料を非導電性のゴムとする。なお、体積固有抵抗は、例えば、15cm四方かつ厚さ2mmのゴムの試料を用い、印加電圧500V、気温25℃、湿度50%の条件で電気抵抗測定器を用いて測定されうる。
【0033】
導電層4は、例えば、カーボンブラックが補強剤として多く配合された(カーボンリッチ)ゴムによって実現される。カーボンリッチゴムは、一般に導電性の特性を有している。以下、本願では、加硫後の体積固有抵抗が1×10Ωcm以下となるゴム材料を導電性のゴムとする。
【0034】
中間層2及びキャップ層3を貫通する導電層4によって、トレッドゴム10の外表面と内部とが導通する。トレッドゴム10の半径方向内側には、例えば、ベルト部材のトッピングゴムやサイドウォールゴム等の導電性のゴムが配されている。従って、例えば、導電性のゴムによってベース層1を形成することにより、導電層4及びベース層1を介してトレッドゴム10の外表面とベルト部材のトッピングゴム等が導通し、タイヤに蓄積された電荷が放電される。
【0035】
図2は、本トレッドゴム形成方法に好適に用いられるトレッドゴム形成装置100の一例を示している。トレッドゴム形成装置100は、トレッドゴム10を形成するための土台となる円筒体101とゴムストリップGS1、GS2、GS3及びGS4を供給するための第1アプリケーター111、第2アプリケーター112、第3アプリケーター113及び第4アプリケーター114とを含んでいる。
【0036】
円筒体101は、トレッドゴム10を形成するためのドラムの他、生タイヤの主要部(トレッド部以外の構成)を構成するケーシングが適用されうる。円筒体の外周面には、ベルト層やバンド層が形成されていてもよい。また、円筒体には、剛性中子が適用されてもよい。この場合、剛性中子の外表面にカーカス層、ベルト層及びバンド層等が形成され、その外周面にトレッドゴム10を形成される。本願では、便宜上、円筒体101の軸方向(トレッドゴム10の軸方向)のうち、一方側(図中右方向)を第2軸方向D2、他方側を第1軸方向D1とする。円筒体101の軸方向のうち、他方側を第2軸方向D2、一方側を第1軸方向D1としてもよい。
【0037】
第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114は、円筒体101に対応する位置に配されている。円筒体101に対応する位置とは、円筒体101にゴムストリップGS1、GS2、GS3及びGS4を供給可能な位置を意図している。
【0038】
トレッドゴム形成装置100では、回転駆動される円筒体101の径方向外側にゴムストリップGS1、GS2、GS3及びGS4が巻き付けられることにより、トレッドゴム10が形成される。
【0039】
第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114等は、円筒体101、102の軸方向に移動可能に構成されている。円筒体101、102がその軸方向に移動可能に構成されていてもよい。また、第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114等は、必要に応じて、円筒体101、102の軸方向に垂直な前後方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0040】
第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114等には、公知のゴムストリップ供給装置が適用されうる。例えば、第1アプリケーター111は、第1ゴムストリップGS1を搬送するためのベルト及び第1ゴムストリップGS1の巻き付け箇所を円筒体101の径方向内側に押圧するためのローラー等を有する装置によって構成されうる。第2アプリケーター112ないし第4アプリケーター114等の構成についても、第1アプリケーター111と同様である。
【0041】
円筒体101、102の回転と第1アプリケーター111等及び円筒体101、102の移動は、制御部(図示せず)によって制御される。制御部は、第1アプリケーター111等又は円筒体101、102を同期制御する。以下、第1アプリケーター111等が軸方向に移動可能な形態について説明するが、円筒体101、102が軸方向に移動可能な形態についても同様である。
【0042】
第1アプリケーター111は、ベース層1を構成する第1ゴムストリップGS1を供給する。第1ゴムストリップGS1は、導電性の配合で構成されている。従って、ベース層1を介して導電層4とベルト部材のトッピングゴムやサイドウォールゴムとが導通し、タイヤに蓄積された電荷が放電される。
【0043】
第2アプリケーター112は、中間層2を構成する第2ゴムストリップGS2を供給する。第2ゴムストリップGS2は、非導電性の配合で構成されている。
【0044】
第3アプリケーター113は、キャップ層3を構成する第3ゴムストリップGS3を供給する。第3ゴムストリップGS3は、非導電性の配合で構成されている。第4アプリケーター114は、導電層4を構成する第4ゴムストリップGS4を供給する。第4ゴムストリップGS4は、導電性の配合で構成されている。
【0045】
図3ないし5は、本トレッドゴム形成方法S1の各工程を時系列で示している。本トレッドゴム形成方法S1は、第1工程S11ないし第5工程S15を含んでいる。以下、図3ないし5を参照しながら、円筒体101を用いてトレッドゴム10が形成される場合が説明されるが、円筒体102を用いてトレッドゴム10が形成される場合についても同様である(また、下記図6ないし13においても同様である)。
【0046】
図3に示されるように、第1工程S11では、第1アプリケーター111が、第1ゴムストリップGS1を円筒体101の軸方向に移動させながら円筒体101の外周面に巻き重ねる。第1工程S11により、円筒体101の外周面に沿ってベース層1が形成される。
【0047】
なお、第1工程S11に先だって、円筒体101の外周面に、ベルトプライ及び/又はジョイントレスバンドが巻き付けられていてもよい。この場合、第1ゴムストリップGS1は、ベルトプライ及び/又はジョイントレスバンドの外周面に巻き重ねられる(後述する第1工程S21、S31及びS41においても同様である)。
【0048】
第2工程S12では、第2アプリケーター112が、第2ゴムストリップGS2を円筒体101の軸方向に移動させながら、ベース層1の外周面の一部(ベース層の外周面上で、前記軸方向の一方側(図3では、第2軸方向D2側すなわち略右半分)の領域)に巻き重ねる。第2工程S12により、ベース層1の外周面に沿って第1中間層21が形成される。第1中間層21は、中間層2の一部を構成する。
【0049】
図4に示されるように、第3工程S13では、第3アプリケーター113が、第3ゴムストリップGS3を円筒体101の軸方向に移動させながら、第1中間層21の外周面に巻き重ねる。第3工程S13により、第1中間層21の外周面に沿って第1キャップ層31が形成される。第1キャップ層31は、キャップ層3の一部を構成する。
【0050】
第4工程S14では、第4アプリケーター114が、第4ゴムストリップGS4を巻き付ける。第4ゴムストリップGS4は、第1中間層21及び第1キャップ層31に対して円筒体101の軸方向の他方側すなわち第2軸方向D2側の領域で、ベース層1に接する位置から第1キャップ層31の外周面に亘って巻き付けられる。第4工程S14により、トレッド部の踏面と内部とを導通させる導電層4が形成される。なお、第4工程S14では、第4アプリケーター114が円筒体101の軸方向に移動されるのが望ましい。これにより、第1中間層21及び第1キャップ層31の外周面に沿って、導電層4が皺や波打ちを発生させることなく、整然と均一に形成される。
【0051】
図5に示されるように、工程S14Bでは、第2アプリケーター112が、第2ゴムストリップGS2を円筒体101の軸方向に移動させながら、ベース層1及び導電層4の外周面に巻き重ねる。第2ゴムストリップGS2は、導電層4に対して第2軸方向D2の側(図5では、略左半分、すなわち、第2工程S12において第2ゴムストリップGS2が巻き重ねられなかった領域)に巻き重ねられる。第2ゴムストリップGS2は、導電層4の一部が第2ゴムストリップGS2の径方向外側に露出するように、巻き重ねられる。工程S14Bにより、第2中間層22が形成される。第2中間層22は、中間層2の一部を構成する。
【0052】
第5工程S15では、第3アプリケーター113が、第3ゴムストリップGS3を軸方向に移動させながら、ベース層1の径方向外側(図5では、第2中間層22の外周面)に巻き重ねる。第3ゴムストリップGS3は、導電層4に対して第2軸方向D2の側で、導電層4の一部がトレッドゴム10の径方向外側に露出するように巻き重ねられる。第5工程S15により、第2キャップ層32が形成される。第2キャップ層32は、キャップ層3の一部を構成する。
【0053】
本トレッドゴム形成方法S1では、第1工程S11にてベース層1が形成され、第2工程S12にてベース層1の外周の一部に第1中間層21が形成される。そして、第3工程S13にて第1中間層21の外周に第1キャップ層31が形成され、第4工程S14にてベース層1に接する位置から第1キャップ層31の外周に亘って導電層4が形成され、第5工程S15にて導電層4の一部がトレッドゴム10の径方向外側に露出するように、第2キャップ層32が形成される。従って、ベース層1、中間層2及びキャップ層3による3層のゴム層と導電層4を含むトレッドゴム10がジョイントレスで形成される。
【0054】
また、工程S14Bにてベース層と第1キャップ層31との間に形成される第2中間層22によって、容易に低燃費性能を高めることができる。
【0055】
同様に、本トレッドゴム形成装置100では、第1アプリケーター111によってベース層1が形成され、第2アプリケーター112によってベース層1の外周の一部に第1中間層21が形成される。そして、第3アプリケーター113によって第1中間層21の外周に第1キャップ層31が形成され、第4アプリケーター114によってベース層1に接する位置から第1キャップ層31の外周に亘って導電層4が形成され、第3アプリケーター113によって導電層4の一部がトレッドゴム10の径方向外側に露出するように、第2キャップ層32が形成される。従って、ベース層1、中間層2及びキャップ層3による3層のゴム層と導電層4を含むトレッドゴム10がジョイントレスで、形成される。
【0056】
第2工程S12ないし第4工程S14では、第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4が、同一方向に巻き重ねられるのが望ましい。図3及び4の例では、第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4が、第2軸方向D2の側の始端から第1軸方向D1に向って、巻き重ねられている。第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4は、第1軸方向D1の側の始端から第2軸方向D2に向って、巻き重ねられてもよい。
【0057】
このように第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4の巻き方向を揃えることにより、第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4を少なくとも一部において同時に巻き付けることが可能となる。例えば、第2工程S12で第2ゴムストリップGS2を巻き終わる前に第3工程S13を開始して第3ゴムストリップGS3を巻始めることが可能となる。また、第2工程S12、第3工程S13で第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3を巻き終わる前に第4工程S14を開始して第4ゴムストリップGS4を巻始めることが可能となる。従って、トレッドゴム10の形成に要する時間を短縮でき、タイヤの生産効率を容易に高めることが可能となる。
【0058】
工程S14B及び第5工程S15では、第2ゴムストリップGS2及び第3ゴムストリップGS3が、同一方向に巻き重ねられるのが望ましい。図5の例では、第2ゴムストリップGS2及び第3ゴムストリップGS3が、第2軸方向D2の側の始端から第1軸方向D1に向って巻き重ねられている。第2ゴムストリップGS2及び第3ゴムストリップGS3は、第1軸方向D1の側の始端から第2軸方向D2に向って巻き重ねられてもよい。
【0059】
このように第2ゴムストリップGS2及び第3ゴムストリップGS3の巻き方向を揃えることにより、第2ゴムストリップGS2及び第3ゴムストリップGS3を少なくとも一部において同時に巻き付けることが可能となる。例えば、工程S14Bで第2ゴムストリップGS2を巻き終わる前に第5工程S15を開始して第3ゴムストリップGS3を巻始めることが可能となり、トレッドゴム10の形成に要する時間を短縮できる。
【0060】
また、工程S14Bで、第2ゴムストリップGS2が、第2軸方向D2の側の始端から第1軸方向D1に向って巻き重ねられることにより、第1工程S11ないし第4工程14で第1ゴムストリップGS1ないし第4ゴムストリップGS4を巻き終わる前に工程S14Bを開始して第2ゴムストリップGS2を巻始めることが可能となり、トレッドゴム10の形成に要する時間を短縮できる。
【0061】
図6ないし7は、トレッドゴム形成方法S1の変形例であるトレッドゴム形成方法S2の各工程を時系列で示している。本トレッドゴム形成方法S2は、トレッドゴム形成装置100を用いて実行される。本トレッドゴム形成方法S2は、第1工程S21ないし第5工程S25を含んでいる。
【0062】
図6に示されるように、第1工程S21では、図3に示される第1工程S11と同様に第1ゴムストリップGS1が巻き重ねられ、円筒体101の外周面に沿ってベース層1が形成される。
【0063】
第2工程S22では、第2アプリケーター112が、第2ゴムストリップGS2を円筒体101の軸方向に移動させながら、ベース層1の外周面の一部(図6では、離間部23を除く領域)に巻き重ねる。第2工程S22により、ベース層1の外周面に沿って第1中間層21が形成される。
【0064】
第2工程S22では、円筒体101の軸方向に不連続な第1中間層21が形成される。第1中間層21が不連続となる領域では、第2ゴムストリップGS2の幅よりも大きい巻き付けピッチで第2ゴムストリップが巻き付けられる。これにより、ベース層1の径方向外側に2つの第1中間層21が形成され、第1中間層21と第1中間層21との間に、軸方向に隣り合う第2ゴムストリップGS2が離間する離間部23が形成される。
【0065】
図7に示されるように、第3工程S23では、図4に示される第3工程S13と同様に第3ゴムストリップGS3が巻き重ねられ、第1軸方向D1の側の第1中間層21の外周面に沿って第1キャップ層31が形成される。
【0066】
第4工程S24では、図4に示される第4工程S14と同様に第4ゴムストリップGS4が巻き付けられ、トレッド部の踏面と内部とを導通させる導電層4が形成される。第4ゴムストリップGS4は、離間部23を含む領域に巻き付けられる。これにより、ベース層1に接する位置から第1キャップ層31の外周面に亘って、導電層4が形成される。
【0067】
第5工程S25では、図5に示される第5工程S15と同様に第3ゴムストリップGS3が巻き重ねられる。第3ゴムストリップGS3は、離間部23を含む領域に巻き付けられる。これにより、第1中間層21、ベース層1及び導電層4の外周面に沿って第2キャップ層32が形成される。
【0068】
トレッドゴム形成方法S2では、トレッドゴム形成方法S2では、ベース層1、中間層2及びキャップ層3による3層のゴム層と導電層4を含むトレッドゴム10がジョイントレスで形成される。
【0069】
トレッドゴム形成方法S2の第2工程S22ないし第5工程S25における第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4の望ましい巻き方向に関しては、トレッドゴム形成方法S1の第2工程S12ないし第5工程S15における第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4の望ましい巻き方向と同様である。
【0070】
図8ないし9は、トレッドゴム形成方法S1の別の変形例であるトレッドゴム形成方法S3の各工程を時系列で示している。本トレッドゴム形成方法S3は、トレッドゴム形成装置100を用いて実行される。本トレッドゴム形成方法S3は、第1工程S31ないし第5工程S35を含んでいる。
【0071】
図8に示されるように、第1工程S31では、図3に示される第1工程S11と同様に第1ゴムストリップGS1が巻き重ねられ、円筒体101の外周面に沿ってベース層1が形成される。
【0072】
第2工程S32では、図3に示される第2工程S12と同様に第2ゴムストリップGS2が巻き重ねられ、ベース層1の外周面に沿って第1中間層21が形成される。
【0073】
第2工程S32では、第1中間層21の第2軸方向D2の側の端縁21eがトレッドゴム10の赤道CLに対して第2軸方向D2の側に位置するように、第2ゴムストリップGS2が巻き重ねられる。
【0074】
図9に示されるように、第3工程S33では、図4に示される第3工程S13と同様に第3ゴムストリップGS3が巻き重ねられ、第1中間層21の外周面に沿って第1キャップ層31が形成される。
【0075】
第4工程S34では、図4に示される第4工程S14と同様に第4ゴムストリップGS4が巻き付けられる。これにより、ベース層1に接する位置から第1キャップ層31の外周面に亘って、トレッド部の踏面と内部とを導通させる導電層4が形成される。
【0076】
第5工程S35では、図5に示される第5工程S15と同様に第3ゴムストリップGS3が巻き重ねられる。第3ゴムストリップGS3は、ベース層1の外周面から導電層4の外周面に亘って巻き付けられる。これにより、ベース層1及び導電層4の外周面に沿って第2キャップ層32が形成される。
【0077】
トレッドゴム形成方法S3では、ベース層1、中間層2及びキャップ層3による3層のゴム層と導電層4を含むトレッドゴム10がジョイントレスで、効率よく形成される。
【0078】
第2工程S32で形成される第1中間層21の軸方向の長さW2(図8参照)は、トレッドゴム10の軸方向の長さW1(図9参照)の60%~80%が望ましい。長さW2が長さW1の60%以上であることにより、第1中間層21のゴムボリュームが増大し、トレッドゴム10を用いたタイヤの低燃費性能が向上する。一方、長さW2が長さW1の80%以下であることにより、導電層4がトレッドゴム10の赤道CL近傍で踏面から露出し、導電効果が向上する。
【0079】
トレッドゴム形成方法S3の第2工程S32ないし第5工程S35における第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4の望ましい巻き方向に関しては、トレッドゴム形成方法S1の第2工程S12ないし第5工程S15における第2ゴムストリップGS2、第3ゴムストリップGS3及び第4ゴムストリップGS4の望ましい巻き方向と同様である。
【0080】
図10は、トレッドゴム形成装置100の変形例であるトレッドゴム形成装置100Aを示している。トレッドゴム形成装置100Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述したトレッドゴム形成装置100の構成が採用されうる。
【0081】
トレッドゴム形成装置100Aは、トレッドゴム10を形成するための土台となる円筒体101と、ゴムストリップGS1A、GS2A、GS3A及びGS4Aを供給するための第1アプリケーター111A、第2アプリケーター112A、第3アプリケーター113A及び第4アプリケーター114Aとを含んでいる。
【0082】
第1アプリケーター111Aは、ベース層1を構成する第1ゴムストリップGS1Aを供給する。第1ゴムストリップGS1Aは、第1ゴムストリップGS1と同等の非導電性の配合で構成されている。第2アプリケーター112Aは、中間層2を構成する第2ゴムストリップGS2Aを供給する。第2ゴムストリップGS2Aは、第2ゴムストリップGS2と同等の非導電性の配合で構成されている。第3アプリケーター113Aは、導電層4を構成する第3ゴムストリップGS3Aを供給する。第3ゴムストリップGS3Aは、第4ゴムストリップGS4と同等の導電性の配合で構成されている。
【0083】
第4アプリケーター114Aは、キャップ層3を構成する第4ゴムストリップGS4Aを供給する。第4ゴムストリップGS4Aは、第3ゴムストリップGS3と同等の非導電性の配合で構成されている。
【0084】
図11ないし12は、トレッドゴム形成方法S1のさらに別の変形例であるトレッドゴム形成方法S4の各工程を時系列で示している。本トレッドゴム形成方法S4は、トレッドゴム形成装置100Aを用いて実行される。本トレッドゴム形成方法S4は、第1工程S41ないし第7工程S47を含んでいる。
【0085】
図11に示されるように、第1工程S41では、第1アプリケーター111Aが第1ゴムストリップGS1Aを円筒体101の軸方向に移動させながら巻き重ねる。第1工程S41により、円筒体101の外周面に沿ってベース層1が形成される。
【0086】
第2工程S42では、第2アプリケーター112Aが第2ゴムストリップGS2Aを円筒体101の軸方向に移動させながら、ベース層1の外周面の一部に巻き重ねる。第2工程S42によって、ベース層1の外周面に沿って第1中間層21が形成される。
【0087】
第3工程S43では、第3アプリケーター113Aが、第3ゴムストリップGS3Aを第1中間層21に対して円筒体101の第2軸方向D2の側で巻き付ける。第3ゴムストリップGS3Aは、ベース層1に接する位置から第1中間層21の外周面に亘って巻き付けられる。第3工程S43により、トレッド部の内部に第1導電層41が形成される。第1導電層41は、導電層4の一部を構成する。
【0088】
第4工程S44では、第2アプリケーター112Aが第2ゴムストリップGS2Aを第1導電層41に対して円筒体101の第2軸方向D2の側で円筒体101の軸方向に移動させながら、ベース層1及び第1導電層41の外周面に巻き重ねる。第4工程S44では、第1導電層41の一部が第2ゴムストリップGS2Aの径方向外側に露出するように、第2ゴムストリップGS2Aが巻き重ねられる。第4工程S44によって、ベース層1の外周面に沿って第2中間層22が形成される。
【0089】
第5工程S45では、第4アプリケーター114Aが、第4ゴムストリップGS4Aを円筒体101の軸方向に移動させながら、第1中間層21の外周面に巻き重ねる。第5工程S45では、第1導電層41の外周面を回避して第4ゴムストリップGS4Aが巻き重ねられる。これにより、第1導電層41の外周面の露出が維持される。第5工程S45により、第1中間層21の外周面に沿って第1キャップ層31が形成される。
【0090】
第6工程S46では、第3アプリケーター113Aが、第3ゴムストリップGS3Aを第1キャップ層31に対して円筒体の第2軸方向D2の側で巻き付ける。第3ゴムストリップGS3Aは、第1導電層41に接する位置からトレッドゴム10の径方向外側に露出するように、第1キャップ層31の外周面に巻き付けられる。第6工程S46により、トレッド部の踏面に露出する第2導電層42が形成される。第2導電層42は、導電層4の一部を構成する。
【0091】
第1導電層41と第2導電層42とは、トレッドゴム10の内部で接触している。従って、第1導電層41及び第2導電層42によって、トレッド部の踏面とベース層1とを導通させる導電層4が形成される。
【0092】
第7工程S47では、第4アプリケーター114Aが、第4ゴムストリップGS4Aを第2導電層42に対して第2軸方向D2の側に、円筒体101の軸方向に移動させながら巻き重ねる。第4ゴムストリップGS4Aは、第2導電層42の一部がトレッドゴム10の径方向外側に露出するように、第2中間層22及び第2導電層42の外周面に巻き付けられる。第7工程S47により、第1中間層21の外周面に沿って第2キャップ層32が形成される。
【0093】
図13は、トレッドゴム10の変形例であるトレッドゴム10Bを示している。トレッドゴム10Bは、導電層4がベース層1を貫通し、トレッドゴム10Bの内周面に達するように構成されている。このため、トレッドゴム10Bでは、ベース層1を形成するための第1ゴムストリップGS1は、非導電性の配合で構成されていてもよい。
【0094】
トレッドゴム10Bは、トレッドゴム形成装置100又はトレッドゴム形成装置100Aを用いて形成される。
【0095】
図14は、導電層4がベース層1を貫通する構造のトレッドゴム10Bを形成するためのトレッドゴム形成方法S5を示している。トレッドゴム形成方法S5は、トレッドゴム形成装置100又はトレッドゴム形成装置100Aを用いて実行される。
【0096】
以下、トレッドゴム形成装置100Aを用いて、トレッドゴム形成方法S5が実行される形態について説明するが、トレッドゴム形成装置100を用いる場合も、ゴムストリップ等を適宜読み替えて適用することにより、実行可能である。トレッドゴム形成方法S5は、工程S51ないし工程S54を含んでいる。
【0097】
図14に示されるように、工程S51では、第1アプリケーター111Aが第1ゴムストリップGS1Aを円筒体101の軸方向に移動させながら円筒体101の外周面の一部(図14では、略右半分の領域)に巻き重ねる。工程S53によって、円筒体101の外周面にそって第1ベース層11が形成される。
【0098】
工程S52では、第3アプリケーター113Aが、第3ゴムストリップGS3Aを第1ベース層11に対して円筒体101の第2軸方向D2の側で巻き付ける。第3ゴムストリップGS3Aは、円筒体101の外周面に接する位置から第1ベース層11の外周面に亘って巻き付けられる。工程S52によって、トレッド部の内部に導電層40が形成される。導電層40は、導電層4の一部を構成する。
【0099】
工程S53では、第1アプリケーター111Aが第1ゴムストリップGS1Aを導電層40に対して円筒体101の第2軸方向D2の側で円筒体101の軸方向に移動させながら、円筒体101の外周面に巻き重ねる。工程S53では、導電層40の一部が第1ゴムストリップGS1Aの径方向外側に露出するように、第1ゴムストリップGS1Aが巻き重ねられる。工程S51ないしS53によって、ベース層1及びベース層1を貫通する導電層4が形成される。
【0100】
その後、工程S54では、トレッドゴム形成方法S5と同様に、第1中間層21、第1導電層41、第2中間層22、第1キャップ層31、第2導電層42及び第2キャップ層32が形成される。
【0101】
図15は、トレッドゴム10の別の変形例であるトレッドゴム10Cを示している。トレッドゴム10Cは、中間層2及び導電層4がベース層1を貫通し、トレッドゴム10Cの内周面に達するように構成されている。このため、トレッドゴム10Cでも、ベース層1を形成するための第1ゴムストリップGS1は、非導電性の配合で構成されていてもよい。トレッドゴム10Cは、導電層4のみがベース層1を貫通し、トレッドゴム10Cの内周面に達するように構成されていてもよい。
【0102】
トレッドゴム10Cは、トレッドゴム形成装置100又はトレッドゴム形成装置100Aを用いて形成される。
【0103】
図16は、中間層2及び導電層4がベース層1を貫通する構造のトレッドゴム10Cを形成するためのトレッドゴム形成方法S6を示している。トレッドゴム形成方法S6は、トレッドゴム形成装置100又はトレッドゴム形成装置100Aを用いて実行される。
【0104】
以下、トレッドゴム形成装置100Aを用いて、トレッドゴム形成方法S6が実行される形態について説明するが、トレッドゴム形成装置100を用いる場合も、ゴムストリップ等を適宜読み替えて適用することにより、実行可能である。トレッドゴム形成方法S6は、工程S61ないし工程S64を含んでいる。
【0105】
図16に示されるように、工程S61では、第1アプリケーター111Aが第1ゴムストリップGS1Aを円筒体101の軸方向に移動させながら円筒体101の外周面に巻き重ねる。工程S61では、円筒体101の軸方向に不連続な第1ベース層11及び第2ベース層12が形成される。第1ベース層11及び第2ベース層12が不連続となる領域では、第1ゴムストリップGS1Aは、第1ゴムストリップGS1Aの幅よりも大きい巻き付けピッチで巻き付けられる。これにより、円筒体101の径方向外側に第1ベース層11及び第2ベース層12が形成され、第1ベース層11と第2ベース層12との間に、円筒体101の軸方向に隣り合う第1ゴムストリップGS1Aが離間する離間部13が形成される。第1ベース層11及び第2ベース層12によってベース層1が構成される。
【0106】
工程S62では、第2アプリケーター112Aが、第2ゴムストリップGS2Aを円筒体101の軸方向に移動させながら、第1ベース層11の外周面に巻き重ねる。工程S62により、第1ベース層11の外周面に沿って第1中間層21が形成される。
【0107】
その後の工程S63では、トレッドゴム形成方法S4と同様に、第1導電層41、第2中間層22、第1キャップ層31、第2導電層42及び第2キャップ層32が形成される。
【0108】
図17は、トレッドゴム形成装置100の変形例であるトレッドゴム形成装置100Bを示している。トレッドゴム形成装置100Bのうち、以下で説明されてない部分については、上述したトレッドゴム形成装置100の構成が採用されうる。
【0109】
トレッドゴム形成装置100Bは、トレッドゴム10を形成するための土台となる一対の円筒体101、102と、ゴムストリップGS1、GS2、GS3及びGS4を供給するための第1アプリケーター111、第2アプリケーター112、第3アプリケーター113及び第4アプリケーター114とを含んでいる。
【0110】
本実施形態の円筒体101、102は、並列に配置され、回動軸103を中心として転回可能に構成されている。円筒体101、102の移動形態は、転回に限られない。例えば、円筒体101、102の軸方向又は軸方向に垂直な径方向にスライドする形態であってもよい。この場合、後述する円筒体101、102の転回動作は、スライド動作に置き換えられる。
【0111】
円筒体101、102は、第1位置P1又は第2位置P2に排他的に配置される。図2において、円筒体101は第1位置P1に、円筒体102は第2位置P2にそれぞれ位置されている。トレッドゴム形成装置100は、円筒体101、102を移動するための移動部104を有している。
【0112】
移動部104は、円筒体101、102を移動させて、各位置P1、P2に配置される円筒体101、102を相互に交換する。より具体的には、移動部104は、回動軸103を駆動して、円筒体101、102を転回させる。図2の状態から円筒体101、102が、例えば、180゜転回すると、円筒体101は第2位置P2に、円筒体102は第1位置P1にそれぞれ位置される。さらに、円筒体101、102が180゜(-180゜)転回すると、図2の状態に復帰する。なお、円筒体101、102の転回角は、180゜に限られず、トレッドゴム形成装置100の仕様等に応じて変更可能である。
【0113】
第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114等は、円筒体101、102の軸方向に移動可能に構成されている。円筒体101、102がその軸方向に移動可能に構成されていてもよい。また、第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114等は、必要に応じて、円筒体101、102の軸方向に垂直な前後方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0114】
移動部104による円筒体101、102の転回は、制御部によって制御される。制御部は、第1アプリケーター111等、円筒体101、102、移動部104を同期制御する。以下、第1アプリケーター111等が軸方向に移動可能な形態について説明するが、円筒体101、102が軸方向に移動可能な形態についても同様である。
【0115】
第1アプリケーター111及び第2アプリケーター112は、第1位置P1に対応する位置に配置されている。「第1位置P1に対応する位置に配置されている」とは、第1位置P1に位置されている円筒体101又は102にゴムストリップを供給可能な位置に配置されていることを意図する。
【0116】
第3アプリケーター113及び第4アプリケーター114は、第2位置P2に対応する位置に配置されている。「第2位置P2に対応する位置に配置されている」とは、第2位置P2に位置されている円筒体102又は101にゴムストリップを供給可能な位置に配置されていることを意図する。
【0117】
第1アプリケーター111ないし第4アプリケーター114の上記配置によって、第1位置P1と第2位置P2にてゴムストリップの巻き付けが同時に行えるようになる。例えば、第1位置P1における第1ゴムストリップGS1の巻き付けと、第2位置P2における第3ゴムストリップGS3の巻き付けが同時に行える。また、第1位置P1における第2ゴムストリップGS2の巻き付けと、第2位置P2における第4ゴムストリップGS4の巻き付けが同時に行える。これにより、トレッドゴム10の生産効率が向上する。
【0118】
トレッドゴム形成装置100Bは、トレッドゴム形成方法S1ないしS3の実行に好適に用いられる。
【0119】
トレッドゴム形成方法S1の実行にトレッドゴム形成装置100Bが適用される場合、第2工程S12の後に円筒体101、102が転回され、位置P1、P2に配置される円筒体101、102が交換される。また、第4工程S14の後、円筒体101、102が転回され、位置P1、P2に配置される円筒体101、102が交換される。さらには、工程S14Bの後、円筒体101、102が転回され、位置P1、P2に配置される円筒体101、102が交換される。
【0120】
トレッドゴム形成方法S2の実行にトレッドゴム形成装置100Bが適用される場合、第2工程S22の後に円筒体101、102が転回され、位置P1、P2に配置される円筒体101、102が交換される。
【0121】
トレッドゴム形成方法S3の実行にトレッドゴム形成装置100Bが適用される場合、第2工程S32の後に円筒体101、102が転回され、位置P1、P2に配置される円筒体101、102が交換される。
【0122】
トレッドゴム形成装置100Bを用いたトレッドゴム形成方法S2、S3では、トレッドゴム形成装置100Bを用いたトレッドゴム形成方法S1と比較して、位置P1、P2に配置される円筒体101、102の交換回数が削減される。従って、トレッドゴム形成方法S2では、ベース層1、中間層2及びキャップ層3による3層のゴム層と導電層4を含むトレッドゴム10がジョイントレスで、より一層効率よく形成される。
【0123】
図18は、トレッドゴム形成装置100の変形例であるトレッドゴム形成装置100Cを示している。トレッドゴム形成装置100Cのうち、以下で説明されてない部分については、上述したトレッドゴム形成装置100Aの構成が採用されうる。
【0124】
トレッドゴム形成装置100Cは、トレッドゴム10を形成するための土台となる一対の円筒体101、102と、ゴムストリップGS1A、GS2A、GS3A、GS4A及びGS5Aを供給するための第1アプリケーター111A、第2アプリケーター112A、第3アプリケーター113A、第4アプリケーター114A及び第5アプリケーター115Aとを含んでいる。
【0125】
第5アプリケーター115Aは、導電層4を構成する第5ゴムストリップGS5Aを供給する。第5ゴムストリップGS5Aは、第3ゴムストリップGS3Aと同等の導電性の配合で構成されている。第5ゴムストリップGS5Aは、第3ゴムストリップGS3Aとは異なる配合で構成されていてもよい。
【0126】
第1アプリケーター111A、第2アプリケーター112A及び第3アプリケーター113Aは、第1位置P1に対応する位置に配置されている。第4アプリケーター114A及び第5アプリケーター115Aは、第2位置P2に対応する位置に配置されている。
【0127】
第1アプリケーター111Aないし第5アプリケーター115Aの上記配置によって、第1位置P1と第2位置P2にてゴムストリップの巻き付けが同時に行えるようになる。例えば、第1位置P1における第1ゴムストリップGS1Aの巻き付けと、第2位置P2における第4ゴムストリップGS4Aの巻き付けが同時に行える。また、第1位置P1における第2ゴムストリップGS2Aの巻き付けと、第2位置P2における第4ゴムストリップGS4Aの巻き付けが同時に行える。これにより、トレッドゴム10の生産効率が向上する。
【0128】
トレッドゴム形成装置100Cは、トレッドゴム形成方法S4ないしS6の実行に好適に用いられる。
【0129】
トレッドゴム形成方法S4の実行にトレッドゴム形成装置100Cが適用される場合、第4工程S44の後、円筒体101、102が転回され、位置P1、P2に配置される円筒体101、102が交換される。
【0130】
トレッドゴム形成装置100Cを用いたトレッドゴム形成方法S4では、トレッドゴム形成装置100Bを用いたトレッドゴム形成方法S1と比較して、位置P1、P2に配置される円筒体101、102の交換回数が削減される。従って、トレッドゴム形成方法S2では、ベース層1、中間層2及びキャップ層3による3層のゴム層と導電層4を含むトレッドゴム10がジョイントレスで、より一層効率よく形成される。
【0131】
なお、図17、18では、望ましい実施形態として一対の円筒体101、102を備えたトレッドゴム形成装置100B、100Cが示されているが、本発明のトレッドゴム形成装置は、3以上の円筒体(例えば、アプリケーターと同数以上の円筒体)を含む形態であってもよい。
【0132】
また、トレッドゴム形成装置100B、100Cにおいて、円筒体101、102の移動形態は、転回に限られない。例えば、円筒体101、102の軸方向又は軸方向に垂直な径方向にスライドする形態であってもよい。この場合、円筒体101、102の転回動作は、スライド動作に置き換えられる。
【0133】
以上、本発明のトレッドゴム形成方法S1ないしS6及びトレッドゴム形成装置100ないし100Cが詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【符号の説明】
【0134】
1 ベース層
2 中間層
3 キャップ層
4 導電層
10 トレッドゴム
21 第1中間層
22 第2中間層
23 離間部
31 第1キャップ層
32 第2キャップ層
41 第1導電層
42 第2導電層
100 トレッドゴム形成装置
100A トレッドゴム形成装置
100B トレッドゴム形成装置
100C トレッドゴム形成装置
101 円筒体
102 円筒体
111 第1アプリケーター
112 第2アプリケーター
113 第3アプリケーター
114 第4アプリケーター
GS1 第1ゴムストリップ
GS2 第2ゴムストリップ
GS3 第3ゴムストリップ
GS4 第4ゴムストリップ
P1 第1位置
P2 第2位置
S1 トレッドゴム形成方法
S11 第1工程
S12 第2工程
S13 第3工程
S14 第4工程
S15 第5工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18