(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240528BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240528BHJP
B65H 3/06 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H5/06 M
B65H3/06 350A
(21)【出願番号】P 2020030824
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩次
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-023307(JP,A)
【文献】特開2011-160362(JP,A)
【文献】特開2016-149641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00- 43/08
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12- 29/24
B65H 29/32
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿がセットされる原稿トレイと、
前記原稿トレイにセットされた原稿を送り出して給紙する給紙用回転体と、
前記給紙用回転体よりも原稿搬送方向の下流側に設けられ、前記原稿の読取位置に向けて原稿を送る2次給紙ローラーと、
前記給紙用回転体と前記2次給紙ローラーの回転を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記原稿トレイにセットされた前記原稿を1枚ずつ前記読取位置に向けて送るとき、1次給紙では、1次給紙速度で前記原稿が送られるように前記給紙用回転体を回転させ、前記原稿の後端が前記給紙用回転体を抜ける前に、前記給紙用回転体を一時停止させ、
前記給紙用回転体の一時停止後
の2次給紙では、前記1次給紙速度とは異なる2次給紙速度で前記原稿が送られるように前記給紙用回転体と前記2次給紙ローラーを回転させ、
前記2次給紙速度として、第1速度と、前記第1速度よりも遅い第2速度があり、
前記2次給紙速度が前記第1速度のとき、前記制御部は、前記1次給紙では、前記原稿の先端が第1停止位置で停止するように前記給紙用回転体を一時停止させ、
前記2次給紙速度が前記第2速度のとき、前記制御部は、前記1次給紙では、前記原稿の先端が第2停止位置で停止するように前記給紙用回転体を一時停止させ、
前記第2停止位置は、前記原稿搬送方向において、前記第1停止位置よりも下流に位置することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記2次給紙ローラーの下流に設けられた原稿搬送ローラー対を含み、
前記制御部は、前記原稿の先端を前記2次給紙ローラーと前記原稿搬送ローラー対の何れにも突き当てず、斜行を矯正せずに、前記原稿を搬送させることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
設定を受け付ける操作パネルを含み、
前記制御部は、
前記操作パネルがレジストモードの選択を受け付けたとき、前記原稿の先端を前記2次給紙ローラーに突き当て、前記原稿を撓ませることによって斜行を矯正してから前記2次給紙ローラーを回転させ、
前記操作パネルがレジストレスモードの選択を受け付けたとき、前記原稿の先端を前記2次給紙ローラーと前記
原稿搬送ローラー
対の何れにも突き当てず、斜行を矯正せずに、前記原稿を搬送させることを特徴とする請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
給紙された原稿を下流に送る搬送用回転体を複数含み、
前記原稿搬送方向において、前記給紙用回転体の下流側にある最初の前記搬送用回転体が前記2次給紙ローラーであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記第1停止位置は、前記給紙用回転体と前記2次給紙ローラーの間の位置であり、
前記第2停止位置は、前記2次給紙ローラーよりも下流側の位置であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記給紙用回転体よりも前記原稿搬送方向の下流側、かつ、前記2次給紙ローラーよりも前記原稿搬送方向の上流側に設けられたフィードセンサーを含み、
前記フィードセンサーは、前記給紙用回転体が給紙した前記原稿の先端到達及び後端通過を検知し、
前記制御部は、
前記フィードセンサーの出力に基づき、前記フィードセンサーへの前記原稿の先端到達及び後端通過を認識し、
前記2次給紙速度が前記第1速度のとき、前記1次給紙では、前記フィードセンサーへの前記原稿の先端到達を認識したとき、前記給紙用回転体を一時停止させ、
前記2次給紙速度が前記第2速度のとき、前記1次給紙では、前記フィードセンサーへの前記原稿の先端到達の認識後、予め定められた送り時間が経過すると、前記給紙用回転体を一時停止させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、
時間を測り、
前記2次給紙速度が前記第1速度のとき、第1生産性時間が経過するごとに、前記2次給紙を開始し、
前記2次給紙速度が前記第2速度のとき、第2生産性時間が経過するごとに、前記2次給紙を開始し、
前記第1生産性時間は、前記第2生産性時間よりも短いことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記制御部は、
単位時間を、前記第1速度での前記単位時間あたりの原稿読取枚数の目標値である第1目標値で除して得られる時間を前記第1生産性時間とし、
前記単位時間を、前記第2速度での前記単位時間あたりの原稿読取枚数の目標値である第2目標値で除して得られる時間を前記第2生産性時間とすることを特徴とする請求項7に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
設定を受け付ける操作パネルを含み、
前記制御部は、
原稿読み取りを行うジョブにおいて、前記操作パネルでの原稿の読み取りの設定に基
づき、前記2次給紙速度を定めることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項10】
前記2次給紙速度が3種類以上ある場合、
前記制御部は、
前記2次給紙速度の種類ごとに、停止位置を設定し、
前記2次給紙速度が遅いほど、前記停止位置を前記原稿搬送方向下流側の位置とすることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り位置に向けて原稿を搬送する原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は用紙を搬送してジョブを行う。例えば、画像を用紙にのせる位置への用紙の到達が遅れることがある。用紙の搬送に遅れが生ずると、単位時間あたりの印刷枚数が少なくなる。例えば、紙間が開きすぎて、用紙の搬送に遅れが生ずる場合がある。紙間のばらつきを減らす技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、用紙を用紙積載部から送り出す給紙用ローラーと、用紙を1枚に分離する分離手段と、用紙ローラーより下流に設けられた第1の搬送ローラーと、第1の搬送ローラーの下流に設けられた第2の搬送ローラーと、第1の搬送ローラーの下流に設けられ、用紙の有無を検知する搬送センサーと、を備え、連続して給紙を行う場合、先行紙後端が搬送センサー位置を通過してから後行用紙先端が搬送センサー位置を通過するまでの時間T1を測定し、時間T1の値により、後行用紙を先行紙速度V1より速い速度V2で送る時間を決定する用紙搬送装置が記載されている。この構成により、紙間のバラツキを小さくしようとする(特許文献1:請求項1、段落[0015]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原稿を読み取って得られた画像データに基づき、ジョブを行う装置がある。例えば、画像形成装置のうち、複合機とよばれるものは、原稿読み取り機能を搭載するものがある。例えば、原稿を読み取って得られた画像データを用いて、印刷や送信のようなジョブがなされる。
【0006】
また、セットされた原稿束から原稿を1枚ずつ送り出し、搬送原稿を連続的に読み取る装置もある。このような装置では、使用者が1枚ずつ原稿をセットしなくてすむ。複数の原稿を容易かつ素早く読み取ることができる。
【0007】
単位時間あたりの読取枚数が多い(生産性が高い、読み取り速度が速い)ほど、業務を効率的に行うことができる。単位時間あたりの読取枚数が多い装置は、高性能(生産性が高い)といえる。単位時間あたりの読取枚数は、製品のセールスポイントとなり得る。そのため、100ページ/1分のように、仕様上(設計上)の単位時間あたりの読取枚数が設定されることがある。ここで、原稿の読取モードによって、原稿の搬送速度(線速)が異なる装置がある。このような装置では、モードごとに、単位時間あたりの読取枚数が設定されることがある。
【0008】
どの搬送速度でも、設定された単位時間あたりの読取枚数を下回らないように、読取位置に原稿を遅延なく到達させなければならないという問題がある。原稿の搬送速度によらず、生産性を確保しなければならない。
【0009】
特許文献記載の用紙搬送装置では、後行の用紙の搬送速度を高めることで、広がった紙間を狭めようとする。モードによって搬送速度を変える場合、モーターの回転速度が最高速に近いモードもあり得る。このような場合、用紙の遅れを取り戻すほど、モーターの回転速度を高くできない。特許文献1記載の用紙搬送装置では、上記の問題を解決することはできない。また、用紙の搬送速度の変速時点を場合に応じて変えるので、制御が複雑というデメリットもある。
【0010】
本発明は、原稿の搬送速度によらず、単位時間あたりの読取枚数の目標値を下回らないように、原稿を読取位置に遅延なく、かつ、余裕をもって到達させ、生産性を確保する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る原稿搬送装置は、原稿トレイ、給紙用回転体、2次給紙ローラー、制御部を含む。前記原稿トレイには、原稿がセットされる。前記給紙用回転体は、前記原稿トレイにセットされた原稿を送り出して給紙する。前記2次給紙ローラーは、前記給紙用回転体よりも原稿搬送方向の下流側に設けられる。前記2次給紙ローラーは、前記原稿の読取位置に向けて原稿を送る。前記制御部は、前記給紙用回転体と前記2次給紙ローラーの回転を制御する。前記制御部は、前記原稿トレイにセットされた前記原稿を1枚ずつ前記読取位置に向けて送るとき、1次給紙では、1次給紙速度で前記原稿が送られるように前記給紙用回転体を回転させ、前記原稿の後端が前記給紙用回転体を抜ける前に、前記給紙用回転体を一時停止させる。前記制御部は、前記給紙用回転体の一時停止後の2次給紙では、前記1次給紙速度とは異なる2次給紙速度で前記原稿が送られるように前記給紙用回転体と前記2次給紙ローラーを回転させる。前記2次給紙速度として、第1速度と、前記第1速度よりも遅い第2速度がある。前記2次給紙速度が前記第1速度のとき、前記制御部は、前記1次給紙では、前記原稿の先端が第1停止位置で停止するように前記給紙用回転体を一時停止させる。前記2次給紙速度が前記第2速度のとき、前記制御部は、前記1次給紙では、前記原稿の先端が第2停止位置で停止するように前記給紙用回転体を一時停止させる。前記第2停止位置は、前記原稿搬送方向において、前記第1停止位置よりも下流に位置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿の搬送速度によらず、設定された単位時間あたりの読取枚数を下回らないように、読取位置に原稿を遅延なく搬送することができる。余裕をもって原稿を読取位置に到達させることができる。高い生産性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施形態に係る原稿搬送部と画像読取部の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る原稿搬送部と画像読取部の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るレジストモードでの原稿搬送の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るレジストレスモードでの原稿搬送の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る複合機での第1速度での原稿搬送の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る複合機での第2速度での原稿搬送の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る複合機での第1速度での原稿搬送の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る複合機での第2速度での原稿搬送の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図9を用いて説明する。本説明では原稿搬送装置として、複合機100を例に挙げて説明する。なお、複合機100は画像形成装置でもある。具体的に、複合機100はセットされた原稿を搬送する。複合機100は、搬送される原稿を読み取り、画像データを生成する。複合機100は、生成した画像データに基づき、印刷、送信等のジョブを行える。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0015】
(複合機100の概要)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る複合機100の概要を説明する。
図1は、実施形態に係る複合機100を示す図である。
【0016】
図1に示すように、複合機100は、メイン制御部1、記憶部2、操作パネル3、プリンター部4、原稿搬送部5、画像読取部6を含む。
【0017】
メイン制御部1は複合機100の動作を制御する。メイン制御部1は、コピーや送信のようなジョブでの各部の動作を制御する。メイン制御部1は、メイン制御回路11、画像データ生成回路12、画像処理回路13、通信回路部14を含む基板(メインコントロール基板)である。メイン制御回路11は、例えば、CPUである。メイン制御回路11は、ジョブに関する処理、演算を行う。
【0018】
画像データ生成回路12は、アナログ画像信号を処理する回路を含む。例えば、画像データ生成回路12は、増幅回路、オフセット回路、A/D変換回路を含む。A/D変換回路は、増幅回路、オフセット回路が調整したアナログ画像信号をディジタルデータ(画像データ)に変換する。画像読取部6が原稿を読み取って出力したアナログ画像信号に基づき、画像データ生成回路12は読取画像データを生成する。例えば、画像データ生成回路12はグレー、又は、カラーの読取画像データを生成する。
【0019】
画像処理回路13は読取画像データの画像処理を行う。画像処理回路13はASIC(画像処理用に設計、開発された集積回路)である。例えば、コピージョブのとき、画像処理回路13は、読取画像データを処理して印刷出力用画像データを生成する。印刷出力用画像データに基づき、メイン制御部1はプリンター部4に印刷させる。通信回路部14は通信回路、通信メモリーを含む。通信メモリーは通信用ソフトウェアを記憶する。通信回路部14はコンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信回路部14は、コンピューター200からの印刷用データを受信できる。メイン制御部1は、受信した印刷用データに基づきプリンター部4に印刷させる(プリントジョブ、FAX受信印刷)。
【0020】
複合機100は記憶部2としてRAMを含む。また、複合機100は記憶部2として、ROM、ストレージを含む。ストレージは、HDDとSSDの何れか一方、又は、両方である。メイン制御部1は、記憶部2に記憶されたプログラムやデータに基づき、各部を制御する。
【0021】
操作パネル3は、表示パネル31、タッチパネル32、ハードキー33を含む。メイン制御部1は、メッセージや、設定用画面を表示パネル31に表示させる。また。メイン制御部1は、操作用画像を表示パネル31に表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。タッチパネル32の出力に基づき、メイン制御部1は、操作された操作用画像を認識する。ハードキー33は、スタートキーやテンキーを含む。タッチパネル32、ハードキー33は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。操作用画像やハードキー33を操作することにより、使用者は、ジョブに関する設定を行うことができる。操作パネル3は使用者の設定を受け付ける。例えば、操作パネル3は、原稿読み取りでの解像度の設定を受け付ける。また、操作パネル3は、カラーで読み取るか、モノクロで読み取るかの設定を受け付ける。
【0022】
プリンター部4は、給紙部4a、用紙搬送部4b、画像形成部4c、定着部4dを含む。給紙部4aは給紙カセット、給紙用ローラーを含む。給紙カセットは用紙を収容する。給紙用ローラーは用紙を送り出す。印刷ジョブのとき、メイン制御部1は用紙を給紙部4aに供給させる。用紙搬送部4bは、用紙搬送用の用紙搬送ローラー対、用紙搬送モーターを含む。用紙搬送モーターは用紙搬送ローラー対を回転させる。用紙搬送ローラー対は用紙を搬送する。メイン制御部1は用紙を用紙搬送部4bに搬送させる。
【0023】
画像形成部4cは、例えば、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写ローラーを含む。メイン制御部1は画像データに基づくトナー像を画像形成部4cに形成させる。メイン制御部1は搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部4cに行わせる。定着部4dは、ヒーター、定着用回転体、定着用モーターを含む。ヒーターは定着用回転体を熱する。用紙は定着用回転体と接しつつ搬送される。これにより、トナー像が用紙に定着する。メイン制御部1は転写されたトナー像の用紙への定着を定着部4dに行わせる。用紙搬送部4bは印刷済み用紙を機外に排出する。
【0024】
(原稿搬送部5と画像読取部6)
次に、
図2を用いて、実施形態に係る原稿搬送部5と画像読取部6の一例を説明する。
図2、
図3は、実施形態に係る原稿搬送部5と画像読取部6の一例を示す図である。
【0025】
複合機100は原稿搬送部5と画像読取部6を含む。原稿搬送部5は、自動原稿送り装置(ADF、DP)と称されることもある。画像読取部6の上方に原稿搬送部5に設けられる。原稿搬送部5と画像読取部6の組み合わせは、例えば、複合機100の上方に配置される。
【0026】
図2に示すように、原稿搬送部5は搬送制御部50(制御部に相当)を含む。搬送制御部50はメイン制御部1と接続される。搬送制御部50は、搬送制御回路50aおよび搬送記憶部50bを含む。例えば、搬送制御回路50aはCPUである。ROMとRAMを搬送記憶部50bとして用いることができる。例えば、搬送制御部50は、原稿搬送部5の内部に設けられた基板である。
【0027】
原稿読み取りを伴うジョブのとき、メイン制御部1は搬送制御部50に原稿搬送の指示を出す。例えば、原稿読み取りを伴うジョブは、コピージョブ、送信ジョブである。メイン制御部1の指示に基づき、搬送制御部50は原稿搬送部5の原稿搬送動作を制御する。
【0028】
画像読取部6は読取制御部60を含む。読取制御部60もメイン制御部1と接続される。読取制御部60は読取制御回路60aおよび読取記憶部60bを含む。例えば、読取制御部60はCPUである。読取記憶部60bはROMとRAMを含む。例えば、読取制御部60は画像読取部6の内部に設けられた基板である。
【0029】
原稿読み取りを伴うジョブのとき、メイン制御部1は、原稿読み取りの指示を読取制御部60に出す。メイン制御部1の指示に基づき、読取制御部60は、原稿の読み取り動作を制御する。具体的に、読取制御部60は、移動用モーター6a、ランプ6b、イメージセンサー6c(ラインセンサー)の駆動を制御する。
【0030】
図3に示すように、画像読取部6の上面には、搬送読取用コンタクトガラス61とテーブル読取用コンタクトガラス62が設けられる。原稿搬送部5は、複合機100の手前側が上下方向で開閉する。原稿をテーブル読取用コンタクトガラス62にセットする場合、使用者は原稿搬送部5を持ち上げる。原稿搬送部5は、画像読取部6の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとして機能する。一方、原稿トレイ51に原稿がセットされている場合、原稿搬送部5は、画像読取部6の搬送読取用コンタクトガラス61に向けて原稿を搬送する。
【0031】
図3に示すように、原稿搬送方向上流側から順に(上流から下流に向けて)、原稿搬送部5には、原稿トレイ51、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードセンサー7、2次給紙ローラー対54、第1原稿搬送ローラー対55a、第1タイミングセンサー71、裏面読取ユニット512、第2タイミングセンサー72、第2原稿搬送ローラー対55b、第3原稿搬送ローラー対55c、原稿排出センサー73、原稿排出ローラー対56、原稿排出トレイ57が設けられる。使用者は、読み取りたい原稿(原稿束)を原稿トレイ51にセットする。
【0032】
また、原稿搬送部5の回転体を回転させるため、原稿搬送部5は、フィードモーター5a(原稿給紙モーター)、2次給紙モーター5b、原稿搬送モーター5c、原稿排出モーター5dを含む。具体的に、搬送制御部50は、フィードモーター5a、2次給紙モーター5b、原稿搬送モーター5c、原稿排出モーター5dの回転のON/OFFと、回転速度を制御する。
【0033】
原稿トレイ51には、セットセンサー74が設けられる。セットセンサー74は、原稿トレイ51に原稿がセットされているか否か(置かれているか否か)を検知するためのセンサーである。セットセンサー74の出力レベルは、原稿がセットされているか否かによって異なる。セットセンサー74の出力は、搬送制御部50に入力される。セットセンサー74の出力に基づき、搬送制御部50は、原稿トレイ51上に原稿があるか否かを認識する。搬送制御部50は、原稿の有無をメイン制御部1に通知する。メイン制御部1は、原稿トレイ51に原稿がセットされているか否かを認識する。
【0034】
原稿搬送部5は原稿トレイ51の原稿を1枚ずつ給紙、搬送する。原稿搬送部5は、紙間を設けつつ、自動的、連続的に原稿を送り出す。原稿は最終的に原稿排出トレイ57に排出される。原稿搬送路の途中に(第2原稿搬送ローラー対55bと第3原稿搬送ローラー対55cの間に)、搬送読取用コンタクトガラス61が位置する。搬送読取用コンタクトガラス61の上方が送り読取の読取位置となる。送り読取のとき、メイン制御部1は、搬送読取用コンタクトガラス61を通過する原稿を画像読取部6に読み取らせる。
【0035】
原稿搬送部5は、給紙用回転体として、給紙ローラー52と分離給紙部53を含む。給紙ローラー52は、原稿トレイ51にセットされた原稿の下流側端部と接する位置に設けられる。フィードモーター5aは給紙ローラー52を回転させる。送り読取のとき、搬送制御部50はフィードモーター5aを回転させる。給紙ローラー52は、回転し、原稿を原稿トレイ51から送り出す。分離給紙部53は給紙ベルト58、駆動ローラー510、従動ローラー511、及び、分離ローラー59を含む。給紙ベルト58は、駆動ローラー510と従動ローラー511に架け回される。給紙ベルト58は、原稿を下流側に送る方向に回転する。
【0036】
フィードモーター5aは駆動ローラー510も回転させる。これにより、給紙ベルト58は原稿を下流に送る方向に周回する。分離ローラー59は給紙ベルト58と対向する位置に設けられる。フィードモーター5aは分離ローラー59も回転させる。
【0037】
原稿が複数枚重なって搬送されることがある(重送)。ほぼ完全に重なる場合もあれば、先行の原稿の一部と後行の原稿の一部が重なって搬送されることもある。分離ローラー59は原稿を原稿トレイ51に送り返す方向に回転する。原稿の重送時、分離ローラー59は原稿を分離する。下側の原稿を原稿トレイ51方向に送り返す。なお、分離ローラー59の回転軸にはトルクリミッターが設けられる。トルクリミッターによって、搬送される原稿が1枚だけの場合、分離ローラー59は、原稿を下流側に送る方向に回転する。
【0038】
分離給紙部53と2次給紙ローラー対54の間に、フィードセンサー7が設けられる。言い換えると、フィードセンサー7は、給紙用回転体(分離給紙部53)よりも原稿搬送方向の下流側、かつ、2次給紙ローラー対54よりも原稿搬送方向の上流側に設けられる。例えば、フィードセンサー7は、分離給紙部53の出口付近に設けられる。フィードセンサー7は、給紙された原稿の先端到達及び後端通過を検知する。フィードセンサー7は、例えば、光センサーである。フィードセンサー7は、原稿の存在を検知しているときと検知していないときとで出力レベルが異なる。フィードセンサー7の出力は、搬送制御部50に入力される。フィードセンサー7の出力に基づき、搬送制御部50は、原稿の先端がフィードセンサー7に到達したことを認識できる。また、フィードセンサー7の出力に基づき、搬送制御部50は、原稿が通過中であることを認識できる。また、フィードセンサー7の出力に基づき、搬送制御部50は、原稿の後端がフィードセンサー7を通過したこと(抜けたこと)を認識できる。
【0039】
2次給紙ローラー対54、各原稿搬送ローラー対は、原稿を下流に向けて搬送する。2次給紙ローラー対54は、給紙用回転体(分離給紙部53)よりも原稿搬送方向の下流側に設けられる。2次給紙ローラー対54は、原稿の読取位置に向けて原稿を送る。2次給紙モーター5bは、2次給紙ローラー対54を回転させる。原稿搬送モーター5cは、各原稿搬送ローラー対を回転させる。また、原稿排出口の近傍(原稿搬送路の終端)には、原稿排出ローラー対56が設けられる。原稿排出ローラー対56は、読み取り後の原稿を原稿排出トレイ57に排出する。原稿排出モーター5dは、原稿排出ローラー対56を回転させる。原稿を搬送するとき、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54、原稿搬送モーター5c、及び、原稿排出モーター5dを回転させる。
【0040】
第1原稿搬送ローラー対55aと第2原稿搬送ローラー対55bの間に、第1タイミングセンサー71と裏面読取ユニット512が設けられる。第1タイミングセンサー71は、裏面読取ユニット512よりも原稿搬送方向の上流側に設けられる。両面読取ジョブのとき、裏面読取ユニット512は、搬送される原稿の裏面を読み取る。原稿の片面(表面)のみを読み取るか、原稿の両面を読み取るかの設定は、操作パネル3で行うことができる。裏面読取ユニット512は、CIS方式の読取ユニットである。裏面読取ユニット512を設けることにより、原稿の表面と裏面を1回の搬送で読み取ることができる。
【0041】
裏面読取ユニット512は、ランプ、レンズ、イメージセンサー(ラインセンサー)を含む。裏面読取ユニット512のイメージセンサーは、アナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号は、画像データ生成回路12に入力される。原稿の両面を読み取るジョブのとき、画像データ生成回路12は、原稿の裏面の画像データを生成する。
【0042】
裏面読取ユニット512と第1原稿搬送ローラー対55aの間に、第1タイミングセンサー71が設けられる。第1タイミングセンサー71は、例えば、光センサーである。第1タイミングセンサー71は、原稿の存在を検知しているときと検知していないときとで出力レベルが異なる。第1タイミングセンサー71の出力は、搬送制御部50に入力される。第1タイミングセンサー71の出力に基づき、搬送制御部50は、原稿の先端が第1タイミングセンサー71に到達したことを認識できる。搬送制御部50は、第1タイミングセンサー71への原稿の先端到達の認識後、予め定められた裏面待ち時間が経過したとき、裏面読取ユニット512に読み取りを開始させる。搬送制御部50は、第1タイミングセンサー71を用いて、裏面読み取り開始のタイミングをはかる。
【0043】
次に、画像読取部6を説明する。
図3に示すように、画像読取部6は、筐体内に、第1移動枠63、第2移動枠64、ワイヤー65、巻取ドラム66、レンズ67、イメージセンサー6cを含む。第1移動枠63は、原稿(原稿)に光を照射するランプ6bと第1ミラー681を含む。第2移動枠64は、第2ミラー682と第3ミラー683を含む。ランプ6bは、主走査方向で光を照射する(線光源)である。ランプ6bは、例えば、1又は複数のLEDを含む。
【0044】
複数本のワイヤー65が、第1移動枠63及び第2移動枠64に取り付けられる。
図3では、便宜上、1本のみワイヤー65を図示している。ワイヤー65の他端は、巻取ドラム66に接続される。移動用モーター6aは巻取ドラム66を回転させる。移動用モーター6a、正逆の両方向で回転できる。水平方向(副走査方向、
図3の左右方向)で、第1移動枠63と第2移動枠64を自在に移動させることができる。ランプ6bの照射位置を移動させることができる。つまり、読み取りラインの位置を移動させることができる。
【0045】
操作パネル3はジョブの実行開始指示を受け付ける。原稿を読み取るジョブの実行開始指示があったとき、メイン制御部1は、原稿トレイ51に原稿がセットされているか否かを確認する。原稿がセットされているとき、メイン制御部1は、送り読取を原稿搬送部5と画像読取部6に行わせる。具体的に、メイン制御部1は原稿搬送部5に原稿を搬送させる。また、メイン制御部1は、搬送読取用コンタクトガラス61を通過する原稿を画像読取部6に読み取らせる。この場合、読取制御部60は、第1移動枠63と第2移動枠64の位置を、搬送読取用コンタクトガラス61の下方とする。
【0046】
原稿トレイ51に原稿がセットされていないとき、メイン制御部1は、メイン制御部1は、テーブル読取用コンタクトガラス62にセットされた原稿の読み取り(テーブル読取)を画像読取部6に行わせる。この場合、読取制御部60は、副走査方向で第1移動枠63と第2移動枠64を移動させる。なお、メイン制御部1は、原稿搬送部5に原稿を搬送させない。
【0047】
裏面読取ユニット512の下流側、かつ、第2原稿搬送ローラー対55bの上流側に、第2タイミングセンサー72が設けられる。例えば、第2タイミングセンサー72は光センサーである。第2タイミングセンサー72は、原稿の存在を検知しているときと検知していないときとで出力レベルが異なる。第2タイミングセンサー72の出力は、搬送制御部50と読取制御部60に入力される。第2タイミングセンサー72の出力に基づき、搬送制御部50と読取制御部60は、原稿の先端が第2タイミングセンサー72に到達したことを認識する。読取制御部60は、第2タイミングセンサー72への原稿の先端到達の認識後、予め定められた表面待ち時間が経過したとき、イメージセンサーに読み取りを開始させる。表面待ち時間は原稿の搬送速度に応じた時間とされる。読取制御部60は、第2タイミングセンサー72を用いて、原稿の表面の読み取り開始のタイミングをはかる。
【0048】
原稿を読み取るとき、読取制御部60はランプ6bを点灯させる。ランプ6bは原稿を照射する。第1ミラー681、第2ミラー682、第3ミラー683は、レンズ67を介して、原稿で反射された光をイメージセンサー6cに入射する。イメージセンサー6cはラインセンサーである。尚、イメージセンサー6cは、カラー読み取りに対応している。イメージセンサー6cはライン単位で原稿を読み取る。イメージセンサー6cの各受光素子は、受光量に応じたアナログ信号(アナログ画像信号)を出力する。各受光素子のアナログ画像信号は画像データ生成回路12に入力される。入力されたアナログ画像信号に基づき、画像データ生成回路12は、読取画像データを生成する。
【0049】
(レジストモードとレジストレスモード)
次に、
図4、
図5を用いて、実施形態に係るレジストレスモードでの原稿搬送の一例を説明する。
図4は、実施形態に係るレジストモードでの原稿搬送の一例を示す図である。
図5は、実施形態に係るレジストレスモードでの原稿搬送の一例を示す図である。
【0050】
複合機100では、搬送読み取りのモードとして、レジストモードとレジストレスモードの何れかを選ぶことができる。操作パネル3は、レジストモードとレジストレスモードのうち、何れを用いるかの選択を受け付ける。使用者は搬送読み取りで用いるモードを選択する。
【0051】
レジストモードは、2次給紙ローラー対54に用紙を突き当て、原稿の撓みを形成し、原稿の斜行を矯正するモードである。一方、レジストレスモードは、2次給紙ローラー対54、各原稿搬送ローラー対のいずれにも用紙を突き当てないモードである。レジストレスモードは、原稿の斜行を矯正しないモードである。レジストレスモードでは、斜行矯正をする時間を省くことができる。レジストレスモードは、仕様上の搬送読取での単位時間あたりの読取枚数がレジストモードよりも多い。以下の説明では、仕様(設計)上の搬送読取での単位時間あたりの読取枚数を目標値と称する。
【0052】
まず、
図4を用いて、レジストモードでの原稿搬送の流れの一例を説明する。
図4のスタートは、レジストモードで原稿の搬送読取を開始する時点である。例えば、原稿トレイ51への原稿セット後、使用者が操作パネル3のスタートボタンを操作した時点である。
【0053】
まず、搬送制御部50は、1枚の原稿の給紙を開始する(ステップ♯11)。搬送制御部50は、フィードモーター5aを回転させる。このとき、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54の回転を停止させておく。フィードセンサー7の出力に基づき、搬送制御部50は、用紙の先端がフィードセンサー7に到達したことを認識する(ステップ♯12)。フィードセンサー7への先端到達の認識後、搬送制御部50は、所定時間、フィードモーター5aの回転を続ける(ステップ♯13)。
【0054】
所定時間は、フィードセンサー7への先端到達の認識後、斜行矯正距離分の原稿の搬送に要する時間である。フィードセンサー7の原稿検知位置から2次給紙ローラー対54のニップまでの距離をαとする。原稿を撓ませるために原稿を搬送する距離をβとする。斜行矯正距離は、α+βである。所定時間の搬送によって、原稿の先端(搬送方向下流側端部)は、2次給紙ローラー対54に突き当たる。撓みが生成された原稿の弾性によって、原稿の先端が2次給紙ローラー対54のニップに沿う。これにより、斜行が矯正される。
【0055】
所定時間のフィードモーター5aの回転後、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bの回転を開始させる(ステップ♯14)。また、搬送制御部50は、各原稿搬送ローラー対と、原稿排出ローラー対56を回転させる(ステップ♯15)。つまり、搬送制御部50は、原稿搬送モーター5cと原稿排出モーター5dを回転させる。所定の搬送速度で原稿が搬送されるように、搬送制御部50は、各モーターを回転させる。なお、原稿の搬送開始後、最後の原稿の後端が原稿排出センサー73の後端を抜けるまで、搬送制御部50は、原稿搬送モーター5cと原稿排出モーター5dを回転させ続ける(ジャム発生時を除く)。
【0056】
一方、フィードモーター5aについては、原稿の後端がフィードセンサー7を抜けたとき、又は、原稿の後端がフィードセンサー7を抜ける前に、搬送制御部50は、給紙用回転体(給紙ローラー52と分離給紙部53)とフィードモーター5aを停止させる(ステップ♯16)。先行の原稿の直後に次の原稿を送り出さないようにするためである。
【0057】
その後、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bも停止させる(ステップ♯17)。例えば、2次給紙ローラー対54の回転開始後の搬送距離が第1原稿搬送ローラー対55aのニップから2次給紙ローラー対54のニップまでの距離を超えてから、搬送制御部50は2次給紙モーター5bを停止させる。言い換えると、第1原稿搬送ローラー対55aが原稿を引く状態になってから、搬送制御部50は、2次給紙モーター5bを停止させる。次の原稿を2次給紙ローラー対54に突き当てるためである。例えば、搬送制御部50は、原稿の後端がフィードセンサー7を通過した時点で、2次給紙モーター5bを停止させてもよい。
【0058】
そして、搬送制御部50は、原稿束のうち、最後の原稿を給紙したか否かを判定する(ステップ♯18)。例えば、搬送制御部50は、セットセンサー74の出力レベルを確認する。出力レベルが原稿なしを示すレベルのとき、搬送制御部50は、最後の原稿を給紙したと判定する。出力レベルが原稿ありを示すレベルのとき、搬送制御部50は、最後の原稿を給紙していない(原稿が残っている)と判定する。
【0059】
最後の原稿を給紙していないと判定したとき(ステップ♯18のNo)、搬送制御部50は、ステップ♯11を実行する(ステップ♯11に戻る)。最後の原稿を給紙したと判定したとき(ステップ♯18のYes)、搬送制御部50は、原稿搬送を終了する(エンド)。例えば、最後の原稿を原稿排出トレイ57に排出すると、搬送制御部50は、全てのモーターを停止させる。
【0060】
次に、レジストレスモードについて説明する。レジストレスモードは、レジストモードよりも生産性が高いモードといえる。レジストレスモードでは、搬送制御部50は、一定の間隔(周期)ごとに、2次給紙ローラー対54(2次給紙モーター5b)の回転を開始する。例えば、1分間に120枚を読み取る場合、0.5秒に1度、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54の回転を開始させる。一定のリズムで2次給紙ローラー対54からの給紙がなされる。
【0061】
レジストレスモードでは、1次給紙と2次給紙がなされる。1次給紙と2次給紙の間で、搬送制御部50は、一時的に原稿の搬送を停止する。1次給紙は、停止前の原稿の給紙(搬送)を意味し、2次給紙は、停止後の原稿の給紙(搬送)を意味する(詳細は後述)。以下の説明では、1次給紙での原稿搬送速度を1次給紙速度V0と称する。2次給紙での原稿搬送速度を2次給紙速度と称する。2次給紙の開始後、原稿は2次給紙速度で搬送される。2次給紙速度は、読取解像度の設定値とカラー/モノクロの設定値の組み合わせによって変わる。組み合わせによらず、1次給紙速度V0は同じである。例えば、搬送記憶部50b(ROM)は、選択された解像度とカラー設定に対応する2次給紙速度を定義した2次給紙速度データD1を不揮発的に記憶する。
図5は、2次給紙速度データD1の一例を示す図である。
【0062】
画像読取部6と裏面読取ユニット512の読取解像度は複数種ある。例えば、画像読取部6と裏面読取ユニット512では、300dpiと600dpiの何れかで読み取ることができる。操作パネル3は、読取解像度の設定を受け付ける。縦と横の両方で解像度が2倍であれば、データ量は4倍となる。300dpiと600dpiでは、600dpiの方が読み取りに時間がかかる。
【0063】
また、カラーの読み取りでは、R(Red)の画像データと、G(Green)の画像データと、B(Blue)の画像データが生成される。モノクロの読み取りでは、グレーの画像データが生成される。1ラインの読み取り中、R、G、Bのそれぞれの読み取りを行うイメージセンサーもある(単純にモノクロの3倍)。色成分が多いため、カラーの読み取りは、モノクロの読み取りに比べ、時間がかかる。
【0064】
図5に示すように、例えば、カラー/300dpiでの読み取りと、モノクロ/300dpiの読み取りでは、2次給紙速度は第1速度V1とされる。カラー/600dpiの読み取りでは、2次給紙速度は、第2速度V2とされる。モノクロ/600dpiの読み取りでは、2次給紙速度は、第3速度とされる。
【0065】
画像データの処理量、読み取りに要する時間を考慮して、2次給紙速度が定められる。原稿搬送部5(複合機100)では、第1速度V1>1次給紙速度V0>第3速度>第2速度V2の関係となっている。例えば、第1速度V1は、750~800mm/s程度である。例えば、1次給紙速度V0は、600~700mm/s程度である。例えば、第2速度V2は、250~350mm/s程度である。例えば、第3速度は、第2速度V2よりも、30~150mm/s程度で速い速度である。
【0066】
第2給紙速度で、原稿は、読み取り位置(裏面読取ユニット512、搬送読取用コンタクトガラス61)に進入する。そのため、2次給紙速度が速いほど、生産性が高い。第1速度V1での目標値>第3速度での目標値>第2速度V2での目標値となる。
【0067】
(レジストレスモードでの搬送)
次に、
図6~
図9を用いて、実施形態に係る複合機100でのレジストレスモードでの原稿搬送の一例を説明する。
図6は、実施形態に係る複合機100での第1速度V1での原稿搬送の一例を示す図である。
図7は、実施形態に係る複合機100での第2速度V2での原稿搬送の一例を示す図である。
図8は、実施形態に係る複合機100での第1速度V1での原稿搬送の一例を示す図である。
図9は、実施形態に係る複合機100での第2速度V2での原稿搬送の一例を示す図である。
【0068】
レジストレスモードで原稿トレイ51にセットされた原稿を1枚ずつ読取位置(搬送読取用コンタクトガラス61)に向けて送るとき、搬送制御部50は、1次給紙を行い、原稿搬送を一時停止する。1次給紙では、搬送制御部50は、1次給紙速度V0で原稿が送られるように給紙用回転体(給紙ローラー52、給紙ベルト58)及びフィードモーター5aを回転させる。搬送制御部50は、原稿の後端が給紙用回転体(給紙ベルト58)を抜ける前に、給紙用回転体とフィードモーター5aを一時停止させる。
【0069】
一時停止後、搬送制御部50は、給紙用回転体、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを回転させ、2次給紙を開始する。2次給紙では、搬送制御部50は、2次給紙速度で原稿が送られるように給紙用回転体、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを回転させる。2次給紙速度は、1次給紙速度V0とは異なる。
【0070】
2次給紙速度には、第1速度V1と、第1速度V1よりも遅い第2速度V2がある。2次給紙速度が第1速度V1のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第1停止位置P1で停止するように給紙用回転体とフィードモーター5aを一時停止させる。2次給紙速度が第2速度V2のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第2停止位置P2で停止するように給紙用回転体とフィードモーター5aを一時停止させる。原稿搬送方向において、第2停止位置P2は第1停止位置P1よりも下流に位置する。
【0071】
搬送制御部50は、選択された解像度とカラー設定に応じて、2次給紙速度と、2次給紙を開始する間隔を定める。2次給紙速度が第1速度V1のとき、搬送制御部50は、第1生産性時間が経過するごとに、2次給紙を開始する。2次給紙速度が第2速度V2のとき、搬送制御部50は、第2生産性時間が経過するごとに、2次給紙を開始する。第1速度V1は第2速度V2よりも速い。第2速度V2の目標値は、第1速度V1の目標値よりも少ない。そのため、第1生産性時間は、第2生産性時間よりも短い。間隔(時間)を測るため、搬送制御部50は時間を測るタイマー回路を含んでもよい。搬送制御回路50aが間隔を測ってもよい。
【0072】
搬送制御部50は、単位時間を第1目標値で除して得られる時間を第1生産性時間とする。第1目標値は、第1速度V1での目標値(仕様上の単位時間あたりの原稿読取枚数)である。また、搬送制御部50は、単位時間を第2目標値で除して得られる時間を第2生産性時間とする。第2目標値は、第2速度V2での目標値(仕様上の単位時間あたりの原稿読取枚数)である。例えば、単位時間が1分、第1目標値が100枚の場合、0.6秒が第1生産性時間となる。第2目標値が50枚の場合、1.2秒が第2生産性時間となる。搬送記憶部50bは、第1生産性時間と第2生産性時間を定義した生産性時間データD2を不揮発的に記憶してもよい(
図2参照)。この場合、搬送制御部50は、生産性時間データD2を参照し、2次給紙の間隔を定める。
【0073】
図6、
図7を用いて、第1停止位置P1(第1速度V1のときの原稿先端の停止位置)と第2停止位置P2(第2速度V2のときの原稿先端の停止位置)の一例を説明する。
図6、
図7は、給紙用回転体と2次給紙ローラー対54とフィードセンサー7の位置関係を模式的に示した図である。原稿搬送方向上流側から順に、給紙ローラー52(給紙用回転体)、給紙ベルト58(給紙用回転体)、フィードセンサー7、2次給紙ローラー対54が配置される。
【0074】
図6は、第1停止位置P1の一例を示す。第1停止位置P1は、給紙用回転体と2次給紙ローラー対54の間の位置である。例えば、2次給紙速度が第1速度V1のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、フィードセンサー7への原稿の先端到達を認識したとき、給紙用回転体とフィードモーター5aを一時停止させてもよい。この場合、フィードセンサー7の出力が原稿先端を検知したときのレベルに変化すると、搬送制御部50は、直ちにフィードモーター5aを停止させる。
図6は、フィードセンサー7の検知位置を第1停止位置P1とする例を示す。第1速度V1は、1次給紙速度V0よりも速い。生産性の観点からみれば、1次給紙での搬送距離を減らし、2次給紙での搬送距離を増やした方が有利である。そこで、複合機100では、フィードセンサー7が原稿の先端を停止した時点で、1次給紙を終了するようにする。
【0075】
図7は、第2停止位置P2の一例を示す。第2停止位置P2は、2次給紙ローラー対54よりも下流側の位置である。例えば、2次給紙速度が第2速度V2のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、フィードセンサー7への原稿の先端到達の認識後、予め定められた送り時間D3が経過すると、給紙用回転体とフィードモーター5aを一時停止させる。この場合、フィードセンサー7の出力が原稿先端を検知したときのレベルへの変化後、原稿の先端が2次給紙ローラー対54よりも下流側に移動してから、搬送制御部50は、フィードモーター5aを停止させる。
【0076】
送り時間D3は予めさだめられる。例えば、送り時間D3は、フィードセンサー7から第2停止位置P2までの距離を1次給紙速度V0で除して得られる時間とされる。搬送記憶部50bは、送り時間D3を不揮発的に記憶してもよい(
図2参照)。
【0077】
なお、原稿の先端を2次給紙ローラー対54の下流側に送り込むとき、搬送制御部50は2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを回転させてもよい。この場合、搬送制御部50は、1次給紙速度V0で原稿を搬送するように、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを回転させる。搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、及び、2次給紙モーター5bを同時に停止させる。
【0078】
図7は、2次給紙ローラー対54の下流に第2停止位置P2を設定する例を示す。第2速度V2は、1次給紙速度V0よりも遅い。生産性の観点からみれば、1次給紙での搬送距離を増やし、2次給紙での搬送距離を減らした方が有利である。そこで、複合機100では、原稿の先端が2次給紙ローラー対54よりも下流に移動してから、1次給紙を終了するようにする。なお、裏面読取ユニット512に進入する時点で、原稿の搬送速度が2次給紙速度になっている必要がある。そこで、第2停止位置P2は、2次給紙ローラー対54と第1原稿搬送ローラー対55aの間の位置とされる。第2停止位置P2を2次給紙ローラー対54の下流に設定しても、適切に原稿を読み取ることができる。
【0079】
次に、
図8を用いて、レジストレスモード、かつ、2次給紙速度が第1速度V1のときの原稿搬送の流れの一例を示す。レジストレスモードでは、2次給紙速度によらず、搬送制御部50は、各原稿搬送ローラー対と原稿排出ローラー対56を回転させたままとする。1枚目の原稿の給紙開始後、最後の原稿が排出されるまで、搬送制御部50は、2次給紙速度で原稿が搬送されるように、原稿搬送モーター5cと原稿排出モーター5dを回転させ続ける。
【0080】
図8の最上段のチャートは、フィードセンサー7の出力レベルを示す。
図8の例では、Highレベルは、原稿を検知していることを示す。Lowレベルは、原稿を検知していないことを示す。LowレベルからHighレベルに変化した時点は、原稿の先端到達を検知した時点を意味する。HighレベルからLowレベルに変化した時点は、原稿の後端通過を検知した時点を意味する。
【0081】
図8の上から2段目のチャートは、フィードモーター5a(給紙ローラー52と分離給紙部53)の駆動のON/OFFを示す。Highレベルの期間は、フィードモーター5aを回転させる期間を示す。Lowレベルの期間は、フィードモーター5aを回転させない期間を示す。
図8の上から3段目のチャートは、2次給紙モーター5b(2次給紙ローラー対54)の駆動のON/OFFを示す。Highレベルの期間は、2次給紙モーター5bを回転させる期間を意味する。Lowレベルの期間は、2次給紙モーター5bを回転させない期間を意味する。
【0082】
時点T11は、1枚目の原稿の給紙を開始する時点を示す。搬送制御部50は給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転を開始させる。搬送制御部50は、1次給紙速度V0での原稿の搬送を開始する。
【0083】
時点T12は、1枚目の原稿の先端をフィードセンサー7が検知した時点を示す。1枚目の原稿では、原稿先端の到達を検知すると、搬送制御部50は、直ちに2次給紙を開始する。時点T12は、2次給紙の開始時点でもある。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bも回転させる。搬送制御部50は、第1速度V1で原稿を搬送させる。
【0084】
なお、第1速度V1は1次給紙速度V0よりも速い。そこで、2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、フィードモーター5aの回転速度を加速する。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、原稿が第1速度V1で搬送されるように、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転速度を速くする。搬送制御部50は、2次給紙の開始時点から第1生産性時間のカウントを開始する。2次給紙の開始時点は、第1生産性時間のカウントのトリガーとなる。
【0085】
時点T13は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5aの回転を停止する時点を示す。フィードモーター5aを回転させつづけると、先行する原稿との間隔なしに次の原稿が送り出されるおそれがある。停止時点で、2次給紙ローラー対54と第1原稿搬送ローラー対55aが原稿を搬送している。フィードモーター5aを停止させても、原稿は送られる。
【0086】
時点T14は、フィードセンサー7が原稿の後端の通過を検知した時点を示す。フィードセンサー7が後端通過を検知したとき、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転を開始させる。原稿搬送速度は1次給紙速度V0である。つまり、搬送制御部50は、次の原稿の前進を開始させる。なお、
図8に示すように、時点T14で搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを停止させてもよい。原稿は十分に送り出されており、1又は複数のローラー対が原稿の搬送を行っている。2次給紙モーター5bを停止させても原稿は送られる。
【0087】
時点T15は、次の原稿の先端をフィードセンサー7が検知した時点を示す。2枚目以降の原稿では、フィードセンサー7が原稿先端の到達を検知すると、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止させる。第1停止位置P1から第1生産性時間で原稿を送り出すためである。
【0088】
時点T16は、先の2次給紙の開始から第1生産性時間が経過した時点である。このとき、搬送制御部50は2次給紙を開始する。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、及び、2次給紙モーター5bを回転させる。搬送制御部50は、第1速度V1で原稿が搬送されるように、これらの部材を回転させる。
【0089】
次の原稿の2次給紙に備えて、搬送制御部50は、第1生産性時間のカウントをリセットする。そして、搬送制御部50は、2次給紙の開始時点からの第1生産性時間のカウントを開始する。以後、第1生産性時間ごとに2次給紙が開始されるように、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bの回転と停止が繰り返される。2次給紙の開始後、時点T17は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5aの回転を停止する時点を示す(時点T13と同様)。
【0090】
時点T18は、フィードセンサー7が原稿の後端の通過を検知し、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転を開始させ、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを停止させる時点である(時点T14と同様)。時点T19は、次の原稿の先端をフィードセンサー7が検知し、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止させる時点である(時点T15と同様)。
【0091】
時点T110は、先の2次給紙の開始から第1生産性時間が経過した時点である。また、搬送制御部50が2次給紙を開始し、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bの回転を開始する時点である。搬送制御部50は、第1速度V1で原稿が搬送されるように、これらの部材を回転させる(時点T16と同様)。原稿が残っている限り、時点T16~T110の動作が繰り返される。
【0092】
次に、
図9を用いて、レジストレスモード、かつ、2次給紙速度が第2速度V2のときの原稿搬送の流れの一例を示す。
図9の最上段のチャートは、フィードセンサー7の出力レベルを示す(
図8と同様)。
図9の上から2段目のチャートは、フィードモーター5a(給紙ローラー52と分離給紙部53)の駆動のON/OFFを示す(
図8と同様)。
図9の上から3段目のチャートは、2次給紙モーター5b(2次給紙ローラー対54)の駆動のON/OFFを示す(
図8と同様)。
【0093】
時点T21は、1枚目の原稿の給紙を開始する時点を示す。搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転を開始させる。搬送制御部50は、1次給紙速度V0での原稿の搬送を開始する。
【0094】
時点T22は、1枚目の原稿の先端をフィードセンサー7が検知した時点を示す。1枚目の原稿では、原稿先端の到達を検知すると、搬送制御部50は、直ちに2次給紙を開始する。この点は、2次給紙速度が第1速度V1のときと同じである。時点T22は、2次給紙の開始時点でもある。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを回転させる。搬送制御部50は、第2速度V2で原稿を搬送させる。
【0095】
第2速度V2は1次給紙速度V0よりも遅い。そこで、2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、フィードモーター5aの回転速度を減速してもよい。原稿搬送路内で原稿が撓まないようにする。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、第2速度V2で原稿が搬送されるように、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転速度を調整する。そして、搬送制御部50は、2次給紙の開始時点から第2生産性時間のカウントを開始する。2次給紙の開始時点は、第2生産性時間のカウントのトリガーとなる。以後、搬送制御部50は、第2生産性時間の周期で2次給紙を開始する。
【0096】
時点T23は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5aの回転を停止する時点を示す。フィードモーター5aを回転させつづけると、先行する原稿との間隔なしに次の原稿が送り出されるおそれがある。2次給紙ローラー対54以降の何れかのローラー対が原稿の搬送を開始しているので、フィードモーター5aを停止させても、原稿は送られる。
【0097】
時点T24は、フィードセンサー7が原稿の後端の通過を検知した時点を示す。フィードセンサー7が後端通過を検知したとき、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転を開始させる。原稿搬送速度は1次給紙速度V0である。これにより、搬送制御部50は、次の原稿の前進を開始する。
図9に示すように、搬送制御部50は、時点T24で2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを停止させてもよい。1又は複数の原稿搬送ローラー対が原稿の搬送を行っている。2次給紙モーター5bを停止させても、原稿は送られる。
【0098】
時点T25は、次の原稿の先端をフィードセンサー7が検知した時点を示す。2次給紙速度が第1速度V1のときと異なり、フィードセンサー7の先端到達検知時点では、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止させない。フィードセンサー7の出力に基づく原稿先端到達の認識後、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを送り時間D3、回転させ続ける。第2停止位置P2まで原稿を送るためである。送り時間D3分の追加の搬送後、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止させる(時点T26)。これにより、原稿先端は、2次給紙ローラー対54よりも下流の位置まで送られる。
【0099】
なお、送り時間D3では、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを回転させてもよい。原稿の下流側端部を2次給紙ローラー対54よりも下流まで搬送するためである。この場合、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを1次給紙速度V0で回転させる。搬送制御部50は、送り時間D3分の搬送後、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bも停止させる。
【0100】
時点T27は、先の2次給紙の開始から第2生産性時間が経過した時点である。このとき、搬送制御部50は2次給紙を開始する。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを回転させる。搬送制御部50は、第2速度V2で原稿が搬送されるように、これらの部材を回転させる。また、次の原稿の2次給紙に備えて、搬送制御部50は、第2生産性時間のカウントをリセットする。そして、搬送制御部50は、2次給紙の開始時点からの第2生産性時間のカウントを開始する。
【0101】
以後、第2生産性時間ごとに2次給紙が開始されるように、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bの回転と停止が繰り返される。時点T28は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5aの回転を停止する時点を示す(時点T23と同様)。
【0102】
時点T29は、フィードセンサー7が原稿の後端の通過を検知し、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aの回転を開始させ、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを停止させる時点である(時点T24と同様)。時点T210は、次の原稿の先端到達をフィードセンサー7が検知した時点である(時点T25と同様)。
【0103】
2次給紙速度が第2速度V2の場合、2枚目以降の原稿でも、フィードセンサー7の先端到達検知時点(時点T210)では、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止させない。フィードセンサー7の出力に基づく原稿先端到達の認識後、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを送り時間D3、回転させる。送り時間D3分の搬送後、搬送制御部50は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止させる。時点T211は、給紙ローラー52、分離給紙部53、フィードモーター5aを停止する時点である。
【0104】
なお、送り時間D3では、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを回転させてもよい。この場合、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを1次給紙速度V0で回転させる。そして、時点T211になると、搬送制御部50は、2次給紙ローラー対54と2次給紙モーター5bを停止させる。
【0105】
一定のリズムで2次給紙を行うため、搬送制御部50は第2生産性時間の経過を待つ。時点T212は、先の2次給紙の開始から第2生産性時間が経過した時点である。このとき、搬送制御部50は、2次給紙を開始する。2次給紙の開始にあわせ、搬送制御部50は、給紙ローラー52、給紙ベルト58、フィードモーター5a、2次給紙ローラー対54、2次給紙モーター5bを回転させる。搬送制御部50は、第2速度V2で原稿が搬送されるように、これらの部材を回転させる(時点T27と同様)。原稿が残っている限り、時点T27~T212の動作が繰り返される。
【0106】
(第3速度での2次給紙)
次に、実施形態に係る複合機100での第3速度での2次給紙について説明する。複合機100では、第1速度V1、第2速度V2の他、2次給紙速度として、第3速度がある(
図5参照)。つまり、搬送制御部50は、2次給紙以後の搬送において、第3速度で原稿が送られるように、フィードモーター5a、2次給紙モーター5b、原稿搬送モーター5c、原稿排出モーター5dを回転させることがある。
【0107】
2次給紙速度が第3速度のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第3停止位置で停止するように給紙用回転体を一時停止させる。ここで、第3速度は、第1速度V1よりも遅いが、第2速度V2よりも速い。つまり、第1速度V1>第3速度>第2速度V2の関係がある。
【0108】
そこで、2次給紙速度が第3速度のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第1停止位置P1で停止するように給紙用回転体を一時停止させてもよい。つまり、第3停止位置は、第1停止位置P1と同じ位置でもよい。この場合、
図8と同様の処理がなされる。また、2次給紙速度が第3速度のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第2停止位置P2で停止するように給紙用回転体を一時停止させてもよい。つまり、第3停止位置は、第2停止位置P2と同じ位置でもよい。この場合、
図9と同様の処理がなされる。
【0109】
つまり、2次給紙速度の種類が3種類以上ある場合、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第1停止位置P1と第2停止位置P2の何れか一方の位置で停止するように給紙用回転体を一時停止させてもよい。2次給紙速度の種類が多くても、処理のパターンが少なくてすむ。開発、設計の手間がかかりにくい。
【0110】
また、2次給紙速度が第3速度のとき、搬送制御部50は、1次給紙では、原稿の先端が第1停止位置P1と第2停止位置P2の間の位置で停止するように給紙用回転体を一時停止させてもよい。つまり、搬送制御部50は、2次給紙速度の種類ごとに、停止位置を設定する。そして、2次給紙速度が遅いほど、搬送制御部50は、停止位置を原稿搬送方向下流側の位置としてもよい。
【0111】
このようにして、実施形態に係る原稿搬送装置(複合機100)は、原稿トレイ51、給紙用回転体(給紙ローラー52、分離給紙部53)、2次給紙ローラー(2次給紙ローラー対54)、制御部(搬送制御部50)を含む。原稿トレイ51には、原稿がセットされる。給紙用回転体は、原稿トレイ51にセットされた原稿を送り出して給紙する。2次給紙ローラー対54は、給紙用回転体よりも原稿搬送方向の下流側に設けられる。2次給紙ローラー対54は、原稿の読取位置に向けて原稿を送る。制御部は、給紙用回転体と2次給紙ローラー対54の回転を制御する。制御部は、原稿トレイ51にセットされた原稿を1枚ずつ読取位置に向けて送るとき、1次給紙では、1次給紙速度V0で原稿が送られるように給紙用回転体を回転させ、原稿の後端が給紙用回転体を抜ける前に、給紙用回転体を一時停止させる。制御部は、給紙用回転体の一時停止後の2次給紙では、1次給紙速度V0とは異なる2次給紙速度で原稿が送られるように給紙用回転体と2次給紙ローラー対54を回転させる。2次給紙速度として、第1速度V1と、第1速度V1よりも遅い第2速度V2がある。2次給紙速度が第1速度V1のとき、制御部は、1次給紙では、原稿の先端が第1停止位置P1で停止するように給紙用回転体を一時停止させる。2次給紙速度が第2速度V2のとき、制御部は、1次給紙では、原稿の先端が第2停止位置P2で停止するように給紙用回転体を一時停止させる。第2停止位置P2は、原稿搬送方向において、第1停止位置P1よりも下流に位置する。
【0112】
2次給紙速度が速い速度(第1速度V1)のとき、第1停止位置P1で原稿を停止させ、2次給紙を開始することができる。第1停止位置P1は、第2停止位置P2よりも、原稿搬送方向上流側である。早めに、速い速度(第1速度V1)での原稿搬送を開始することができる。読取位置に遅れないように原稿を送ることができる。
【0113】
一方、2次給紙速度が遅い速度(第2速度V2)のとき、第2停止位置P2まで原稿を進めてから、2次給紙を開始することができる。第2停止位置P2は、第1停止位置P1よりも、原稿搬送方向下流側である。原稿をできるだけ進めてから、第2速度V2での原稿搬送を開始することができる。2次給紙速度が遅めの速度でも、読取位置に遅れないように原稿を送ることができる。
【0114】
原稿の搬送速度によらず、読取位置に原稿を早すぎず、かつ、遅延なく到達させることができる。読取位置に余裕をもって原稿を到達させることができる。そのため、原稿を送るローラーで多少のスリップがあっても、設定された単位時間あたりの読取枚数を下回らないように、原稿を搬送することができる。高い生産性を確保することができる。
【0115】
原稿搬送装置(複合機100)は、2次給紙ローラー対54の下流に設けられた原稿搬送ローラー対(第1原稿搬送ローラー対55a、第2原稿搬送ローラー対55b、第3原稿搬送ローラー対55c)を含む。制御部は、原稿の先端を2次給紙ローラー対54と原稿搬送ローラー対の何れにも突き当てず、斜行を矯正せずに、原稿を搬送させる。従来、斜行の矯正のため、レジストローラー対への原稿の突き当てと撓み作成の処理がなされている。この構成によれば、原稿の突き当て、撓み生成の処理を省くことができる。しかし、斜行矯正では、原稿を停止させ、十分な撓みを作成するため、比較的長い時間が必要である。斜行矯正のための処理を省くことにより、原稿搬送速度によらず、原稿1枚あたりの搬送時間を短縮することができる。原稿を高速に読み取ることができ、生産性が高い原稿搬送速度を提供することができる。
【0116】
原稿搬送装置(複合機100)は、設定を受け付ける操作パネル3を含む。制御部は、操作パネル3がレジストモードの選択を受け付けたとき、原稿の先端を2次給紙ローラー対54に突き当て、原稿を撓ませることによって斜行を矯正してから2次給紙ローラー対54を回転させる。操作パネル3がレジストレスモードの選択を受け付けたとき、制御部は、原稿の先端を2次給紙ローラー対54と原稿搬送ローラー対の何れにも突き当てず、斜行を矯正せずに、原稿を搬送させる。斜行の矯正を行うか否かを選択することができる。高速に原稿を読み取りたい使用者は、斜行矯正を行わない選択を行うことができる。多少読み取り速度が遅くなっても、傾いていない画像データを得たい使用者は、斜行矯正を行う選択を行うことができる。所望の処理がなされるように、選択することができる。使いやすい原稿搬送装置を提供することができる。
【0117】
原稿搬送方向において、給紙用回転体の下流側にある最初の搬送用回転体が2次給紙ローラー対54である。給紙用回転体と2次給紙ローラー対54が近いので、2次給紙のとき、スムーズに原稿を下流に送ることができる。停止位置から読取位置までの区間を長くとることができ、十分に加速してから読取位置に原稿を進入させることができる。
【0118】
第1停止位置P1は、給紙用回転体と2次給紙ローラー対54の間の位置である。第2停止位置P2は、2次給紙ローラー対54よりも下流側の位置である。2次給紙速度にあわせて、第1停止位置P1と第2停止位置P2に差を持たせることができる。
【0119】
原稿搬送装置(複合機100)はフィードセンサー7を含む。フィードセンサー7は給紙用回転体よりも原稿搬送方向の下流側、かつ、2次給紙ローラー対54よりも原稿搬送方向の上流側に設けられる。フィードセンサー7は、給紙用回転体が給紙した原稿の先端到達及び後端通過を検知する。フィードセンサー7の出力に基づき、制御部は、フィードセンサー7への原稿の先端到達及び後端通過を認識する。2次給紙速度が第1速度V1のとき、制御部は、1次給紙では、フィードセンサー7への原稿の先端到達を認識したとき、給紙用回転体を一時停止させる。2次給紙速度が第2速度V2のとき、制御部は、1次給紙では、フィードセンサー7への原稿の先端到達の認識後、予め定められた送り時間D3が経過すると、給紙用回転体を一時停止させる。フィードセンサー7が用紙の先端を検知する地点を第1停止位置P1とすることができる。第1速度V1で2次給紙を行うとき、速やかに第1速度V1での原稿搬送に移行することができる。第2速度V2で2次給紙を行うとき、十分に原稿を下流に送ってから、第2速度V2での原稿搬送を開始することができる。原稿搬送速度が遅くても、読取位置に間に合うように原稿を送ることができる。単位時間あたりの読取枚数の目標値を下回らないように(生産性が落ちないように)、原稿を搬送することができる。
【0120】
制御部は、時間を測る。2次給紙速度が第1速度V1のとき、制御部は、第1生産性時間が経過するごとに、2次給紙を開始する。2次給紙速度が第2速度V2のとき、制御部は、第2生産性時間が経過するごとに、2次給紙を開始する。第1生産性時間は、第2生産性時間よりも短い。一定の間隔で2次給紙を開始することができる。単位時間あたりの読取枚数が一定となるように、原稿を搬送することができる。
【0121】
制御部は、単位時間を、第1速度V1での単位時間あたりの原稿読取枚数の目標値である第1目標値で除して得られる時間を第1生産性時間とする。制御部は、単位時間を、第2速度V2での単位時間あたりの原稿読取枚数の目標値である第2目標値で除して得られる時間を第2生産性時間とする。単位時間あたりの原稿読取枚数(目標読取枚数)の目標値を下回らず、かつ、超えないように、2次給紙を開始することができる。一定のリズムで2次給紙を開始することができる。
【0122】
原稿搬送装置(複合機100)は、設定を受け付ける操作パネル3を含む。制御部は、原稿読み取りを行うジョブにおいて、操作パネル3での原稿の読み取りの設定に基づき、2次給紙速度を定める。1次給紙速度V0で搬送した方が原稿を速く読取位置に送れる場合、1次給紙速度V0での搬送時間(搬送距離)を長くすることができる。1次給紙速度V0で原稿をできるだけ下流に送り込んでから、第2速度V2による2次給紙を開始することができる。第2速度V2が速くなくても、仕様上の単位時間あたりの読取枚数(目標値)を下回らないように、原稿を搬送することができる。
【0123】
2次給紙速度が3種類以上ある場合、制御部は、2次給紙速度の種類ごとに、停止位置を設定する。制御部は、2次給紙速度が遅いほど、停止位置を原稿搬送方向下流側の位置とする。2次給紙速度が遅いほど、停止位置を原稿搬送方向下流側の位置とすることができる。2次給紙速度が遅いほど、1次給紙の間に原稿を下流に送り込むことができる。仕様上の単位時間あたりの読取枚数(目標値)を下回らないように(生産性が落ちないように)、原稿を搬送することができる。
【0124】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0125】
100 複合機(原稿搬送装置) 3 操作パネル
50 搬送制御部(制御部) 51 原稿トレイ
52 給紙ローラー(給紙用回転体) 53 分離給紙部(給紙用回転体)
54 2次給紙ローラー対(2次給紙ローラー、搬送用回転体)
55a 第1原稿搬送ローラー対(原稿搬送ローラー対、搬送用回転体)
55b 第2原稿搬送ローラー対(原稿搬送ローラー対、搬送用回転体)
55c 第3原稿搬送ローラー対(原稿搬送ローラー対、搬送用回転体)
7 フィードセンサー D3 送り時間
P1 第1停止位置 P2 第2停止位置
V0 1次給紙速度 V1 第1速度
V2 第2速度