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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】アクセル装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20240528BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240528BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20240528BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20240528BHJP
   F16H 37/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G5/03 Z
F16H37/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020044688
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142971
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】針生 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】木村 純
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 豪宏
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-86881(JP,A)
【文献】特開2018-69940(JP,A)
【文献】特開2016-159839(JP,A)
【文献】特表2013-532320(JP,A)
【文献】特開2011-63198(JP,A)
【文献】特開2019-101574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0157755(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0260557(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1511151(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
G05G 1/30
G05G 1/38
G05G 5/03
F16H 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(53、62、72)により、アウターハウジング(12)に支持されるインナーハウジング(11)と、
踏み込み操作に応じて回動可能に前記インナーハウジングに支持されるペダルレバー(20)と、
前記ペダルレバーを閉方向に付勢する付勢部材(37)と、
前記インナーハウジングを前記ペダルレバーの開方向および閉方向に駆動可能なアクチュエータ(40)と、
を備えるアクセル装置。
【請求項2】
前記ペダルレバーの踏み込み角度を検出する第1センサ(39)と、
前記インナーハウジングの前記アウターハウジングに対する角度を検出する第2センサ(49)と、
を備え、
前記アクチュエータは、前記第1センサおよび前記第2センサの検出値に基づいて制御される請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、回転力を発生するものであり、
前記アクチュエータの回転力を直動方向に変換して前記インナーハウジング側へ伝達する動力伝達機構(50、60、70)を備える請求項1または2に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記動力伝達機構(50)は、前記アクチュエータにより駆動され雄ねじまたは雌ねじの一方が形成される送りねじ(51)、および、前記送りねじに噛み合う雄ねじまたは雌ねじの他方が形成されるねじブロック(52)を有し、
前記支持部材は、前記ねじブロック、前記インナーハウジングおよび前記アウターハウジングと接続されるリンク機構(53)である請求項3に記載のアクセル装置。
【請求項5】
前記動力伝達機構(60)は、前記アクチュエータにより駆動され雄ねじまたは雌ねじの一方が形成される送りねじ(61)、および、前記送りねじに噛み合う雄ねじまたは雌ねじの他方が形成され、前記アウターハウジングに摺動可能に設けられる前記支持部材であるホルダ(62)を有する請求項3に記載のアクセル装置。
【請求項6】
前記動力伝達機構(70)は、
前記アクチュエータにより駆動され中間部にてねじ方向が反転する雄ねじまたは雌ねじの一方が形成される送りねじ(71)、
ならびに、前記送りねじの前記中間部を挟んで両側に設けられ前記送りねじと噛み合う雄ねじまたは雌ねじの他方が形成されるねじブロック(721、722)、および、前記ねじブロックに接続されるリンク(725~728)を前記送りねじを挟んで両側で連結する連結部(723、724)を有する前記支持部材であるジャッキ部(72)を有し、
前記送りねじの一方側の前記連結部に前記インナーハウジングが固定され、他方側の前記連結部に前記アウターハウジングが固定される請求項3に記載のアクセル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータを備えるアクセルペダルモジュールが知られている。例えば特許文献1では、ソレノイドにより駆動されるアクチュエータが回転部材に係合し、戻し方向に力を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102014118573号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、アクチュエータにより駆動される回転部材を有しており、体格が大きい。また、例えば自動運転等のアクセルペダル操作不要時に、車両フロアをフラットにすべく、アクセル装置をフロア下に格納することが考えられるが、格納用のアクチュエータを別途に設けると、さらに体格が大型化する。本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペダルレバーの反力を調整可能であって、かつ、自動運転時等に構成部品の少なくとも一部を格納可能なアクセル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のアクセル装置は、インナーハウジング(11)と、ペダルレバー(20)と、付勢部材(37)と、アクチュエータ(40)と、を備える。インナーハウジングは、支持部材(53、62、72)により、アウターハウジング(12)に支持される。ペダルレバーは、踏み込み操作に応じて回動可能にインナーハウジングに支持される。付勢部材は、一端がインナーハウジングに当接し、他端がペダルレバーに当接し、ペダルレバーを閉方向に付勢する。アクチュエータは、インナーハウジングをペダルレバーの開方向および閉方向に駆動可能である。これにより、ペダルレバーの反力を調整可能であって、かつ、自動運転時等に構成部品の少なくとも一部をアウターハウジング内に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態によるアクセル装置を示す側面図である。
図2】第1実施形態によるペダルレバーが踏み込まれた状態のアクセル装置を示す側面図である。
図3】第1実施形態によるインナーハウジングが駆動された状態のアクセル装置を示す側面図である。
図4】第1実施形態によるインナーハウジングが初期位置でのセンサ出力および反力を説明する説明図である。
図5】第1実施形態によるインナーハウジングが駆動されている状態でのセンサ出力および反力を説明する説明図である。
図6】第1実施形態による格納状態のアクセル装置を示す側面図である。
図7】第2実施形態によるアクセル装置を示す側面図である。
図8】第2実施形態によるペダルレバーが踏み込まれた状態のアクセル装置を示す側面図である。
図9】第2実施形態によるインナーハウジングが駆動された状態のアクセル装置を示す側面図である。
図10】第2実施形態による格納状態のアクセル装置を示す側面図である。
図11】第3実施形態によるアクセル装置を示す側面図である。
図12】第3実施形態によるペダルレバーが踏み込まれた状態のアクセル装置を示す側面図である。
図13】第3実施形態によるインナーハウジングが駆動された状態のアクセル装置を示す側面図である。
図14】第4実施形態による格納状態のアクセル装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明によるアクセル装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態を図1図6に示す。図1に示すように、アクセル装置1は、インナーハウジング11、アウターハウジング12、ペダルレバー20、アクチュエータとしてのモータ40、および、動力伝達機構50等を備える。図1等では、インナーハウジング11の紙面手前側に設けられる図示しないカバーを外した状態とし、カバー面で断面となる箇所にはハッチングを記載した。
【0009】
インナーハウジング11は、内部にペダル35等の内部可動機構を収容する。インナーハウジング11は、モータ40の駆動によりアウターハウジング12に対して駆動可能に取り付けられる。アウターハウジング12は、車両の車体の一部を構成するフロアパネルFPに固定される。
【0010】
ペダルレバー20は、パッド21、アーム31、および、ペダル35を有し、ドライバの踏込操作等により、一体に駆動される。パッド21は、ドライバにより踏込操作可能に設けられる。パッド21は、インナーハウジング11に設けられる支点部材23によりインナーハウジング11に回動可能に支持される。本実施形態のペダルレバー20は、パッド21がインナーハウジング11の一面に沿う方向に延びて設けられる、いわゆる「床置きタイプ」である。インナーハウジング11のパッド21に対向する側の壁部を頂壁111、頂壁111と対向する壁部を底壁112とする。側面ガード24は、ドライバの足がパッド21とインナーハウジング11との間に挟み込まれないように、パッド21とインナーハウジング11との間の隙間をガードする部材である。
【0011】
アーム31は、パッド21とペダル35とを連結する。インナーハウジング11の頂壁111には、アーム31が挿通される開口が形成される。アーム31が挿通される開口は、ペダル操作の全範囲において、アーム31と干渉しないように形成される。
【0012】
ペダル35は、インナーハウジング11の内部空間に収容され、インナーハウジング11に回転可能に支持される。ペダル35の一方の端部は、アーム31と係合する。これにより、ドライバによるパッド21の操作により、パッド21、アーム31およびペダル35が一体となって駆動される。
【0013】
ペダル付勢部材37は、圧縮コイルばねであって、一端がペダル35に固定され、他端が底壁112に固定され、ペダル35を頂壁111側に付勢する。パッド21がドライバにより踏み込まれていないとき、アーム31は、頂壁111の内側に形成される全閉ストッパ17と当接する。また、パッド21を踏み込むと、パッド21は、頂壁111の外側に形成される図示しない全開ストッパと当接する。以下、アーム31が全閉ストッパ17に当接している状態を「アクセル全閉状態」、パッド21が全開ストッパに当接している状態を「アクセル全開状態」とする。
【0014】
アクセル開度センサ39は、ペダル35の回転角度に応じたアクセル開度信号を生成する。アクセル開度センサ39は、例えば、ペダル35の図示しないシャフト部に埋め込まれた永久磁石の向きを検出するホール素子を含む検出回路を有する。アクセル開度センサ39は、アクセル開度を検出可能であればよく、ホール素子以外のものを用いてもよい。アクセル開度信号は、図示しないコネクタを経由して、ECU100に出力される。
【0015】
モータ40は、例えばDCブラシレスモータであって、インナーハウジング11等とともにアウターハウジング12内に収容可能に設けられる。ECU100は、アクセル開度センサ39およびハウジング位置センサ49の検出値等に基づき、モータ40の駆動を制御する。モータ40の駆動力は、動力伝達機構50を介して、アウターハウジング12に伝達される。これにより、インナーハウジング11は、モータ40の駆動力により駆動される。
【0016】
本実施形態のアクセル装置1は、動力伝達機構50を設けることで、モータ40の駆動力により、インナーハウジング11をアクセル閉方向(以下適宜「戻し方向」)およびアクセル閉方向(以下適宜「踏込方向」)に能動的に駆動可能に構成されている。アクセル開度センサ39、後述のハウジング位置センサ49、ECU100およびアクセル開閉方向については、図1以外での図示を省略した。
【0017】
動力伝達機構50は、送りねじ51、雌ねじブロック52、および、リンク機構53等を有する。送りねじ51は、ケース46に収容される。ケース46は、略筒状に形成され、インナーハウジング11に固定される。送りねじ51は、雄ねじであって、ギア機構410を介してモータ40により回転駆動される。ギア機構410は、第1ギア411および第2ギア412を有する。第1ギア411はモータ40を一体に回転し、第1ギア411と噛み合う第2ギア412は、送りねじ51と一体に回転する。これにより、送りねじ51はモータ40により駆動される。
【0018】
雌ねじブロック52は、平面視矩形に形成され、内部に送りねじ51と噛み合う雌ねじが形成される。雌ねじブロック52は、送りねじ51の回転により、送りねじ51の軸方向に移動する。なお、送りねじ51側を雌ねじ、ねじブロック側を雄ねじとしてもよい。後述の実施形態に係る雄ねじおよび雌ねじについても、入れ替えても差し支えない。
【0019】
リンク機構53は、ハウジング接続部材531、リンク532、および、ジョイント533を有する。ハウジング接続部材531は、一端がインナーハウジング11と回転可能に接続され、他端がアウターハウジング12と摺動可能に接続される。リンク532は、一端が雌ねじブロック52に接続され、他端がジョイント533を介してハウジング接続部材531と接続される。ジョイント533は、ハウジング接続部材531とリンク532とを回動可能に接続する。これにより、モータ40の駆動により、インナーハウジング11は、アウターハウジング12に対して回動可能に支持される。
【0020】
本実施形態では、アウターハウジング12に対するインナーハウジング11の角度を検出するハウジング位置センサ49が設けられている。以下、アクセル開度センサ39にて検出されるインナーハウジング11に対するペダルレバー20の角度をペダル角度θ1、アウターハウジング12に対するインナーハウジング11の角度をハウジング角度θ2とする。また、基準位置Bと踏面位置Taとのなす角度を踏面角度θdとする。踏面角度θdは、ドライバから見たペダル角度と捉えることができ、ハウジング角度θ2によらず、踏面位置Taが一定であれば、踏面角度θdは一定となる。
【0021】
図1は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態では、インナーハウジング11の頂壁111と、アウターハウジング12の開口端部121とが、略同一直線上に位置している。本実施形態では、インナーハウジング11のパッド21側の端面位置を基準位置Bとし、二点鎖線で示す。また、ペダル角度θ1は踏込方向を正、ハウジング角度θ2は戻し方向を正とする。
【0022】
初期状態において、雌ねじブロック52は、両方向に移動可能な初期位置に位置している。送りねじ51の長さおよび雌ねじブロック52の初期位置は、インナーハウジング11の駆動領域に応じて設定される。後述の実施形態も同様である。
【0023】
図2に示すように、パッド21が踏み込まれると、ペダル角度θ1は、与えられた踏力に応じた値となる。このときのペダル角度θ1=αとする。また、インナーハウジング11は駆動されていないので、ハウジング角度θ2=0である。
【0024】
図3に示すように、踏面位置Taを維持した状態にて、雌ねじブロック52がギア機構410側に近づく方向にモータ40を駆動すると、インナーハウジング11がパッド21に近づく側に駆動される。このときのハウジング角度θ2=βとする。
【0025】
角度θ1、θ2、θdと、反力との関係を図4および図5に示す。図4および図5では、(a)がアクセル開度センサ39の出力V1、(b)がハウジング位置センサ49の出力V2、(c)がセンサ出力差分ΔV=V1-V2、(d)がドライバの感じる反力を示している。図4および図5において、(a)、(b)では横軸を角度θ1、θ2、縦軸をセンサ出力V1、V2、(c)では横軸を踏面角度θd、縦軸をセンサ出力差分ΔV、(d)では横軸を角度、縦軸を反力とする。また、図5(d)では、紙面左側に踏面角度θdと反力の関係、紙面右側にペダル角度θ1と反力との関係を示している。
【0026】
インナーハウジング11が初期位置にある場合(図2参照)を図4に示す。図4(a)に示すように、アクセル開度センサ39の出力V1は、ペダル角度θ1に応じた値Vαとなる。また、図4(b)に示すように、インナーハウジング11が初期位置にあるので、ハウジング位置センサ49の出力V2=0となる。また、図4(c)に示すように、センサ出力差分ΔV=Vαとなり、ペダル角度θ1および踏面角度θdが一致している。すなわち、θ1=θd=αである。また、図4(d)に示すように、ペダル付勢部材37による反力は、ペダルレバー20が踏み込まれるときに増加するように作用し、ペダルレバー20が戻されるときに減少するように作用する。踏み込み作動時と戻し作動時とでは角度θ1に対する反力が異なるように、ヒステリシスループを描く関係となっている。
【0027】
踏面位置Taを維持した状態にてインナーハウジング11を初期位置から駆動した場合(図3参照)を図5に示す。図5(b)に示すように、ハウジング角度θ2=βのとき、ハウジング位置センサ59の出力V2=Vβである。このとき、踏面位置Taが維持されているので、踏面角度θd=αである。一方、図5(a)に示すように、ペダル角度θ1=α+βとなり、アクセル開度センサ39の出力V1=Vα+Vβとなる。図5(d)の紙面右側に示すように、ペダル付勢部材37の付勢力による反力は、ペダル角度θ1=α+βに応じた値となる。そのため、図5(d)の紙面左側に示すように、踏面角度θdに対する反力は、インナーハウジング11が初期位置の場合と比較し、ハウジング角度θ2に応じて大きくなるように、ヒステリシスループが紙面左側に寄る。これにより、ドライバは、踏面位置Taは変わらないが、反力が増加したと感じる。なお、ペダルレバー20に与えられる反力の上限は、ペダル付勢部材37の付勢力により規定される。
【0028】
ECU100には、ペダル角度θ1に応じた出力V1、および、ハウジング角度θ2に応じた出力V2が出力される。ECU100では、センサ出力差分ΔVを演算することで、踏面角度θdを演算可能である(図5(c)参照)。したがって、ECU100では、踏面角度θdを、例えばエンジン制御等の各種演算に利用可能である。換言すると、本実施形態では、アクセル開度センサ39に加え、ハウジング位置センサ49を設けることで、踏面角度θdを演算可能である。なお、図4および図5の例では、角度θ1、θ2に対する出力V1、V2の傾きが等しいものとして説明しているが、異なる場合は、適宜換算すればよい。
【0029】
図6に示すように、アクセル全閉状態にて、雌ねじブロック52がギア機構410から離間する方向にモータ40を駆動すると、リンク機構53が折り畳まれることで、インナーハウジング11およびペダルレバー20等が一体となってアウターハウジング12の底壁127側へ移動する。また、アウターハウジング12には、パッド21と当接可能なパッド当接部125が形成されている。モータ40の駆動により、パッド21がアウターハウジング12のパッド当接部125に当接すると、インナーハウジング11、ペダルレバー20、モータ40、および、動力伝達機構50がアウターハウジング12内に格納される。本実施形態では、パッド21がパッド当接部125に当接することで、パッド21の表面が、車両フロアと同一面となる。なお、「同一面」とは、組み付け誤差程度の段差は許容される。例えば自動運転時等にアクセル装置1を格納することで、ドライバの足元のスペースを広く確保できるので、快適性が向上する。
【0030】
以上説明したように、アクセル装置1は、インナーハウジング11と、ペダルレバー20と、付勢部材としてのペダル付勢部材37と、アクチュエータとしてのモータ40と、を備える。インナーハウジング11は、支持部材としてのリンク機構53によりアウターハウジング12に支持される。ペダルレバー20は、踏み込み操作に応じて回動可能にインナーハウジング11に支持される。ペダル付勢部材37は、一端がインナーハウジング11に当接し、他端がペダルレバー20に当接し、ペダルレバー20を閉方向に付勢する。モータ40は、インナーハウジング11をペダルレバー20の開方向および閉方向に駆動可能である。このように構成することで、インナーハウジング11の駆動によりペダルレバー20の反力を調整可能であって、かつ、自動運転時等に構成部品の少なくとも一部をアウターハウジング12内に格納することができる。
【0031】
本実施形態では、インナーハウジング11を全開方向または閉方向に駆動することで、反力を調整可能であるとともに、インナーハウジング11がアウターハウジング12に近付く方向に駆動することで、インナーハウジング11をアウターハウジング12に格納可能である。また、1つのモータ40にて反力調整機能および格納機能を実現しているので、比較的簡易で小型の構成とすることができる。
【0032】
アクセル装置1は、ペダルレバー20の踏み込み角度を検出する第1センサとしてのアクセル開度センサ39と、インナーハウジング11のアウターハウジング12に対する角度を検出する第2センサとしてのハウジング位置センサ49を備え、モータ40は、アクセル開度センサ39およびハウジング位置センサ49の検出値に基づいて制御される。これにより、反力を適切に制御することができる。特に、踏面を維持した状態にて、反力を適切に制御することができる。
【0033】
モータ40は、回転力を発生するものである、また、アクセル装置1は、モータ40の回転力を直動方向に変換してインナーハウジング11側へ伝達する動力伝達機構50を備える。詳細には、動力伝達機構50は、送りねじ51、および、ねじブロックとしての雌ねじブロック52を有する。送りねじ51は、モータ40により駆動され、雄ねじが形成される。雌ねじブロック52は、送りねじ51に噛み合う雌ねじが形成される。支持部材は、雌ねじブロック52、インナーハウジング11およびアウターハウジング12に接続されるリンク機構53である。
【0034】
雄ねじと雌ねじとの噛み合いにより、インナーハウジング11を移動させるので、ペダルレバー20の踏み込みによりインナーハウジング11が動くことがなく、インナーハウジング11を容易に位置決め可能である。また、モータ40への負荷を低減可能である。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態を図7図10に示す。第2実施形態および第3実施形態は、動力伝達機構が上記実施形態と異なるので、この点を中心に説明する。アクセル装置2の動力伝達機構60は、送りねじ61、シリンダ62、ホルダ63、および、ローラ64を有する。送りねじ61は、雄ねじであって、ギア機構410を介してモータ40により回転駆動される。
【0036】
本実施形態では、ギア機構410がパッド21側に設けられ、インナーハウジング11、シリンダ62、および、モータ40がこの順で横並びに配列される。インナーハウジング11とシリンダ62とは、モータ40の駆動により一体となって移動可能に設けられる。シリンダ62は、略円筒状に形成され、内部に送りねじ61が収容される。
【0037】
ホルダ63は、略有底筒状に形成され、送りねじ61と噛み合う雌ねじ部631が開口側に形成される。ホルダ63は、開口側の端部がシリンダ62に収容され、底部側がシリンダ62から突出し、送りねじ61の回転によりシリンダ62の軸方向に移動可能に設けられる。
【0038】
ホルダ63の底部には、ローラ64が設けられる。ローラ64は、アウターハウジング12の底壁127と、摺動可能に当接する。インナーハウジング11には、ローラ64の移動を規制する規制壁128は形成される。なお、ホルダ63がインナーハウジング11の底壁127に沿って移動可能であればよく、ホルダ63の底面をアウターハウジング12の底壁127に摺動可能な形状に形成すれば、ローラ64を省略してもよい。
【0039】
図7は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態において、ホルダ63は、両方向に移動可能な初期位置に位置している。図8に示すように、インナーハウジング11を駆動せず、ペダルレバー20が踏み込まれると、ペダル付勢部材37の付勢力により、ペダル角度θ1に応じた反力がかかる。
【0040】
図9に示すように、踏面位置Taを維持した状態にて、モータ40を駆動し、ホルダ63を送りねじ61の先端側に移動すると、インナーハウジング11がパッド21に近づく側に駆動される。これにより、踏面位置Taを維持した状態にて、ハウジング角度θ2に応じて反力を調整することができる。
【0041】
図10に示すように、アクセル全閉状態にて、ホルダ63がシリンダ62に収容される側に駆動すると、インナーハウジング11およびペダルレバー20等が一体となってアウターハウジング12の底壁127側へ移動する。パッド21とアウターハウジング12のパッド当接部125とが当接すると、インナーハウジング11、ペダルレバー20、モータ40および動力伝達機構60がアウターハウジング12内に格納される。
【0042】
本実施形態では、動力伝達機構60は、モータ40により駆動され、雄ねじが形成される送りねじ61、および、送りねじ61に噛み合う雌ねじが形成され、アウターハウジング12に摺動可能に設けられるホルダ63を有する。本実施形態では、ホルダ63が支持部材に対応する。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0043】
(第3実施形態)
第3実施形態を図11図15に示す。アクセル装置3の動力伝達機構70は、送りねじ71およびジャッキ部72等を有する。送りねじ71は、雄ねじであって、軸方向における中央から、ねじ山の切り方が逆向きになっている。送りねじ71は、インナーハウジング11の底壁と略平行に設けられる。送りねじ71は、ギア機構410を介してモータ40に回転駆動される。
【0044】
ジャッキ部72は、雌ねじブロック721、722、上側連結部723、下側連結部724、および、リンク725~728を有する。雌ねじブロック721、722は、内側に雌ねじが形成されており、送りねじ71と噛み合う。本実施形態では、雌ねじブロック721が送りねじ71の中心よりもギア機構410から遠い側、雌ねじブロック722が送りねじ71の中心よりもギア機構410に近い側に位置する。
【0045】
上側連結部723は、インナーハウジング11に固定される。下側連結部724は、アウターハウジング12に固定される。雌ねじブロック721、722は、送りねじ71のインナーハウジング11側にて、リンク725、上側連結部723、および、リンク726にて接続される。また、雌ねじブロック721、722は、送りねじ71のアウターハウジング12側にて、リンク727、下側連結部724、および、リンク728にて接続される。
【0046】
図11は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態において、雌ねじブロック721、722は、両方向に移動可能な初期位置に位置している。図12に示すように、インナーハウジング11を駆動せず、ペダルレバー20が踏み込まれると、ペダル付勢部材37の付勢力により、ペダル角度θ1に応じた反力がかかる。
【0047】
図13に示すように、踏面位置Taを維持した状態にて、モータ40を駆動し、雌ねじブロック721、722を中心側に移動させると、上側連結部723により、インナーハウジング11がパッド21に近付く側に駆動される。これにより、踏面位置Taを維持した状態にて、ハウジング角度θ2に応じて反力を調整することができる。
【0048】
図14に示すように、アクセル全閉状態にて、雌ねじブロック721、722を送りねじ71の中心から離れる側に移動させると、ジャッキ部72が折り畳まれることで、インナーハウジング11およびペダルレバー20等が一体となってアウターハウジング12の底壁127側へ移動する。パッド21とアウターハウジング12のパッド当接部125とが当接すると、インナーハウジング11、ペダルレバー20、モータ40および動力伝達機構70がアウターハウジング12内に格納される。
【0049】
本実施形態の動力伝達機構70は、送りねじ71、および、支持部材であるジャッキ部72を有する。送りねじ71は、モータ40により駆動され、中間部にてねじ方向が反転する雄ねじが形成される。ジャッキ部72は、ねじブロックとしての雌ねじブロック721、722、および、連結部723、724を有する。雌ねじブロック721、722は、送りねじ71の中間部を挟んで両側に設けられ、送りねじ71と噛み合う雌ねじが形成される。連結部723、724は、雌ねじブロック721、722に接されるリンク725~728を送りねじ71を挟んで両側で連結する。本実施形態では、送りねじ71の一方側の連結部である上側連結部723にインナーハウジング11が固定され、他方側の連結部である下側連結部724にアウターハウジング12が固定される。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
(他の実施形態)
上記実施形態では、アクチュエータはDCブラシレスモータである。他の実施形態では、アクチュエータは、DCブラシレスモータ以外の種類のモータであってもよいし、例えばソレノイド等のモータ以外のものをアクチュエータとして用いてもよい。上記実施形態では、アクセル装置は、床置き型(いわゆる「オルガン型」)のものについて説明した。他の実施形態では、アクセル装置は、いわゆるつり下げ型(いわゆる「ペンダント型」)であってもよい。また、動力伝達機構やロック機構は、上記実施形態とは異なるように構成してもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0051】
1~3・・・アクセル装置
11・・・インナーハウジング 12・・・アウターハウジング
20・・・ペダルレバー 37・・・ペダル付勢部材(付勢部材)
39・・・アクセル開度センサ(第1センサ)
40・・・モータ(アクチュエータ)
49・・・ハウジング位置センサ(第2センサ)
50、60、70・・・動力伝達機構
51、61、71・・・送りねじ
52、721、722・・・雌ねじブロック(ねじブロック)
53・・・リンク機構(支持部材) 62・・・ホルダ(支持部材)
72・・・ジャッキ部(支持部材)
図1
図2
図3
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図5
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図8
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図11
図12
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図14