(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】粉体搬送装置および粉体使用装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240528BHJP
B65G 33/14 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G03G15/08 343
B65G33/14
(21)【出願番号】P 2020055410
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】松苗 英
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173520(JP,A)
【文献】特開2017-062433(JP,A)
【文献】特開2012-145832(JP,A)
【文献】特開2011-237772(JP,A)
【文献】特開平09-090730(JP,A)
【文献】特開平06-337584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 33/00-33/38
G03G 13/08
13/095
15/08
15/095
21/00
21/04
21/10-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する収容部と、
前記収容部の粉体を使用するよう作動する作動部と、
前記収容部の粉体を前記作動部に搬送する搬送部と、
を備え、
前記搬送部は、
搬送路を有する搬送部と、
前記搬送路内に回転可能に配置され、正回転して粉体を搬送する螺旋状の第1搬送部材と、
前記第1搬送部材を回転させるよう駆動する第1駆動部と、
を備え、
前記第1駆動部が、前記第1搬送部材が回転しない非動作時間と温度の検知情報のいずれもが条件を満たしたときに当該第1搬送部材を逆回転させる粉体搬送装置にて構成されており、
前記非動作時間および温度の検知情報に対する条件は、最後の電源が切られてから次の電源が投入されるまでの未使用期間を使用頻度として検知する検知情報の違いによ
り変更され、
前記第1搬送部材
の逆回転する回数は、
前記変更した条件に対応して変化する粉体使用装置。
【請求項2】
前記非動作時間および温度の検知情報に対する条件の変更は、前記使用頻度が減少したときに前記第1搬送部材の逆回転の動作の回数がそれ以前の回数よりも増える条件にする請求項1に記載の粉体使用装置。
【請求項3】
前記第1搬送部材
の逆回転の動作は、前記作動部の動作が開始される前に行われる請求項
1に記載の粉体使用装置。
【請求項4】
前記第1搬送部材は、逆回転した後に正回転し始める請求項
3に記載の粉体使用装置。
【請求項5】
前記条件が異なるレベルからなる複数の条件であり、
前記逆回転する動作の回数が前記条件のレベルの違いにより変化する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粉体使用装置。
【請求項6】
前記検知情報が湿度の検知情報を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粉体使用装置。
【請求項7】
前記収容部が、正回転して粉体を搬送する第2搬送部材と前記第2搬送部材を回転させるよう駆動する第2駆動部とを有し、
前記第2駆動部は、前記第1駆動部が前記第1搬送部材を逆回転させる動作
に連動して前記第2搬送部材を逆回転
させる請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の粉体使用装置。
【請求項8】
前記収容部が、正回転して粉体を搬送する第2搬送部材と前記第2搬送部材を回転させるよう駆動する第2駆動部とを有し、
前記第2駆動部は、前記第1駆動部が前記第1搬送部材を逆回転させる動作のときに前記第2搬送部材を逆回転させない請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の粉体使用装置。
【請求項9】
前記第1駆動部は、
前記第2駆動部を兼ねている請求項7に記載の粉体使用装置。
【請求項10】
前記第1駆動部は、前記第2搬送部材と正回転の動力のみを伝達する一方向伝達継手で接続されている請求項
8に記載の粉体使用装置。
【請求項11】
前記収容部は、着脱可能に装着されるとともに前記第2搬送部材と製造日に関する情報を有している粉体容器を備え、
前記粉体容器の前記製造日からの経過日数の検知情報が条件を満たしたときに、当該粉体容器が装着された後に前記第2搬送部材を逆回転させる動作が行われる請求項
7又は9に記載の粉体使用装置。
【請求項12】
前記収容部が複数の収容部で構成されており、
前記搬送部が前記複数の収容部と個別に設けられる複数の搬送部で構成されている請求項1乃至11のいずれか1項に記載の粉体使用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体搬送装置および粉体使用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体を搬送する装置としては、例えば以下の特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、粉体塗料を貯留する貯留部と粉体塗料を使用して塗布を行う塗布部とを連結し、貯留部から塗布部へ粉体塗料を搬送する搬送管と、その搬送管の内部に配置され粉体塗料を撹拌しながら搬送する撹拌搬送部材(例えば螺旋状の羽根を有する部材)を備えた装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、粉体としてのトナーをトナー収納容器から現像装置に移送する粉体ポンプ手段を備えた装置が記載されている。
特許文献2には、その粉体ポンプ手段が、吸い込み型の一軸偏芯スクリューポンプを具備しており、そのスクリューポンプが、スクリュー形状のロータと、2条スクリュー形状のステータと、それを包みかつ粉体の搬送路を形成するホルダと、駆動手段としての正回転、逆回転が可能なモータとを備えて構成されていることが記載されている。
また特許文献2には、トナー補給が短時間で数回連続的に行われたとみなしたときに、その連続的補給が終了した後にスクリューポンプの運転停止直後に逆回転駆動させることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-59869号公報(段落0024、0045、
図1、
図2など)
【文献】特開2000-172076号公報(段落0033-0037、0042、
図1-10など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、正回転して粉体を搬送する螺旋状の第1搬送部材が回転しない非動作時間と温度の検知情報のいずれもが条件を満たしたときに当該第1搬送部材を逆回転させない場合に比べて、その第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることを防ぐことができる粉体搬送装置および粉体使用装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(1)は、
粉体を収容する収容部と、
前記収容部の粉体を使用するよう作動する作動部と、
前記収容部の粉体を前記作動部に搬送する搬送部と、
を備え、
前記搬送部は、
搬送路を有する搬送部と、
前記搬送路内に回転可能に配置され、正回転して粉体を搬送する螺旋状の第1搬送部材と、
前記第1搬送部材を回転させるよう駆動する第1駆動部と、
を備え、
前記第1駆動部が、前記第1搬送部材が回転しない非動作時間と温度の検知情報のいずれもが条件を満たしたときに当該第1搬送部材を逆回転させる粉体搬送装置にて構成されており、
前記非動作時間および温度の検知情報に対する条件は、最後の電源が切られてから次の電源が投入されるまでの未使用期間を使用頻度として検知する検知情報の違いにより変更され、
前記第1搬送部材の逆回転する回数は、前記変更した条件に対応して変化する粉体使用装置である。
【0008】
この発明(2)は、上記発明(1)の粉体使用装置において、前記非動作時間および温度の検知情報に対する条件の変更は、前記使用頻度が減少したときに前記第1搬送部材の逆回転の動作の回数がそれ以前の回数よりも増える条件にするものである。
この発明(3)は、上記発明(1)の粉体使用装置において、前記第1搬送部材の逆回転の動作は、前記作動部の動作が開始される前に行われるものである。
【0009】
この発明(4)は、上記発明(3)の粉体使用装置において、前記第1搬送部材は、逆回転した後に正回転し始めるものである。
【0010】
この発明(5)は、上記発明(1)から(4)のいずれかの粉体使用装置において、前記条件が異なるレベルからなる複数の条件であり、前記逆回転する動作の回数が前記条件のレベルの違いにより変化するものである。
【0011】
この発明(6)は、上記発明(1)から(5)のいずれかの粉体使用装置において、前記検知情報が湿度の検知情報を含むものである。
【0012】
この発明(7)は、上記発明(1)から(6)のいずれかの粉体使用装置において、前記収容部が、正回転して粉体を搬送する第2搬送部材と前記第2搬送部材を回転させるよう駆動する第2駆動部とを有し、前記第2駆動部は、前記第1駆動部が前記第1搬送部材を逆回転させる動作に連動して前記第2搬送部材を逆回転させるものである。
【0013】
この発明(8)は、上記発明(1)から(6)のいずれかの粉体使用装置において、前記収容部が、正回転して粉体を搬送する第2搬送部材と前記第2搬送部材を回転させるよう駆動する第2駆動部とを有し、前記第2駆動部は、前記第1駆動部が前記第1搬送部材を逆回転させる動作のときに前記第2搬送部材を逆回転させないものである。
【0014】
この発明(9)は、上記発明(7)の粉体使用装置において、前記第1駆動部が前記第2駆動部を兼ねているものである。
【0015】
この発明(10)は、上記発明(8)の粉体使用装置において、前記第1駆動部は、前記第2搬送部材と正回転の動力のみを伝達する一方向伝達継手で接続されているものである。
【0016】
この発明(11)は、上記発明(7)又は(9)の粉体使用装置において、前記収容部は、着脱可能に装着されるとともに前記第2搬送部材と製造日に関する情報を有している粉体容器を備え、前記粉体容器の前記製造日からの経過日数の検知情報が条件を満たしたときに、当該粉体容器が装着された後に前記第2搬送部材を逆回転させる動作が行われるものである。
【0017】
この発明(12)は、上記発明(1)から(11)のいずれかの粉体使用装置において、前記収容部が複数の収容部で構成されており、前記搬送部が前記複数の収容部に個別に設けられる複数の搬送部で構成されているものである。
【発明の効果】
【0019】
上記発明(1)の粉体使用装置によれば、粉体搬送装置において正回転して粉体を搬送する螺旋状の第1搬送部材が回転しない非動作時間と温度および湿度の検知情報のいずれもが条件を満たしたときに当該第1搬送部材を逆回転させない場合に比べて、その第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることを防ぐことができる。
また、上記発明(1)の粉体使用装置によれば、上記非動作時間と温度の検知情報に対する条件が粉体使用装置の最後の電源が切られてから次の電源が投入されるまでの未使用期間である使用頻度の検知情報の違いにより変更されることがなく、第1搬送部材の逆回転する動作の回数がその変更した場合の条件に対応して変化することもない場合に比べて、搬送部における第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることが、より未然にかつ適切に抑制されて防がれる。
【0020】
上記発明(2)によれば、非動作時間および温度の検知情報に対する条件を、使用頻度が減少したときに第1搬送部材の逆回転の動作の回数がそれ以前の回数よりも増える条件に変更しない場合に比べると、搬送部における第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることが、より未然にかつ適切に抑制される。
上記発明(3)によれば、第1搬送部材の逆回転の動作を当該第1搬送部材による粉体の搬送動作が開始される前に行わない場合に比べると、第1搬送部材による搬送動作が開始された際にほぐされた粉体を搬送することができる。
【0021】
上記発明(4)によれば、第1搬送部材が逆回転した後に正回転し始めない場合に比べて、第1搬送部材による搬送動作が開始された際にほぐされた直後の粉体を搬送することができる。
【0022】
上記発明(5)によれば、第1搬送部材が逆回転する動作の回数が条件のレベルの違いにより変化しない場合に比べて、第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることを、状況に応じて的確に防ぐことができる。
【0023】
上記発明(6)によれば、検知情報に湿度が含まれない場合に比べて、第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることを、より的確に防ぐことができる。
【0024】
上記発明(7)によれば、第1搬送部材を逆回転させる動作に連動して第2搬送部材を逆回転させない場合に比べて、収容部に収容される粉体をほぐすこともできる。
【0025】
上記発明(8)によれば、第1搬送部材を逆回転させる動作のときに第2搬送部材を逆回転させる場合に比べて、第2搬送部材を逆回転させる構成を付加する必要がなくなる。
【0026】
上記発明(9)によれば、第1駆動部が第2駆動部を兼ねていない場合に比べて、装置をより簡易にすることができる。
【0027】
上記発明(10)によれば、第1駆動部が第2搬送部材と正回転の動力のみを伝達する一方向伝達継手で接続されていない場合に比べて、第1搬送部材を逆回転させる動作のときに第2搬送部材を逆回転させないことを容易に実現することができる。
【0028】
上記発明(11)によれば、粉体容器の製造日からの経過日数の検知情報が条件を満たしたときに当該粉体容器が装着された後に第2搬送部材を逆回転させる動作が行われない場合に比べて、装着前の粉体容器内において生じている粉体の凝集を解消することができる。
【0029】
上記発明(12)によれば、搬送部が前記複数の収容部に個別に設けられる複数の搬送部として構成されていない場合に比べて、複数の搬送部における第1搬送部材の非動作時間が異なることがあっても、各搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることを個別に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置を示す概要図である。
【
図2】実施の形態1に係る補給装置を示す概要図である。
【
図3】
図2の補給装置を側方からみた状態で示す概要図である。
【
図4】補給装置等における制御動作を示すフローチャート図である。
【
図5】組み合わせ条件を適用した場合の補給装置等における制御動作を示すフローチャートである。
【
図6】(A)は逆回転の動作に用いる組み合わせ条件の一例を示す図表、(B)は組み合わせ条件の他の例を示す図表である。
【
図7】実施の形態2に係る補給装置を側方からみた状態で示す概要図である。
【
図8】(A)は
図7の補給装置における一方向伝達継手を示す概略斜視図、(B)は(A)の一方向伝達継手による各搬送部材の動作状態を示す概念図である。
【
図9】実施の形態3に係る粉体塗装装置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】
実施の形態1.
図1と
図2は、この発明の実施の形態1を示す図面である。
図1には実施の形態1に係る画像形成装置1の全体が示され、
図2にはその画像形成装置1の一部(補給装置等)が示されている。
【0034】
<画像形成装置>
画像形成装置1は、
図1に示されるように、所要の外観形状からなる筐体10を有しており、その筐体10の内部空間に、像形成部2、給紙部4、加熱加圧部5、図示しない給電部、制御部等を備えている。
【0035】
上記像形成部2は、粉体の一例である現像剤からなる像を形成して記録媒体の一例である用紙9に転写する部分である。現像剤からなる像は、現像剤として例えばトナーとキャリアを含む二成分現像剤が使用される場合は、その二成分現像剤における粉体の一部でもあるトナーからなるトナー像となる。
【0036】
実施の形態1における像形成部2は、
図1に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの像形成装置20Y,20M,20C,20Kと、4つの像形成装置20(Y,M,C,K)で形成される各トナー像を中継して用紙9に転写する位置まで搬送する中間転写装置30とで構成されている。
【0037】
4つの像形成装置20(Y,M,C,K)はいずれも、使用する現像剤(のトナー)の色が互いに異なる以外はほぼ同様に構成されている。
すなわち、像形成装置20(Y,M,C,K)はいずれも、矢印Aで示す方向に回転して駆動する感光ドラム21を有し、その感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24(Y,M,C,K)、ドラム清掃装置26等の機器を配置して構成されている。
図1では、符号21から24、26をブラック(K)色の像形成装置20Kのみに全部記載し、他の色の像形成装置20(Y,M,C)にはその一部を記載している。
【0038】
感光ドラム21は、像保持手段の一例であり、像形成面および像保持面となる感光層を有するドラム形態からなる感光体である。帯電装置22は、感光ドラム21の外周面(像形成面)を所要の表面電位に帯電させる装置である。露光装置23は、光照射装置の一例であり、各感光ドラム21の外周面に画像情報に応じた光を照射して上記4色(Y,M,C,K)用の静電潜像をそれぞれ形成する装置である。画像情報は、外部から入力される例えば、文字、図形、模様、写真等の画像に関係する情報である。
【0039】
現像装置24(Y,M,C,K)は、粉体の一例である現像剤(90)を使用するよう作動する作動部の一例であり、各感光ドラム21の外周面に形成された各静電潜像を対応する4色(Y,M,C,K)の現像剤(トナー)によりそれぞれ現像して各色のトナー像として形成する装置である。ドラム清掃装置26は、感光ドラム21の外周面に付着している不要物を回転中に除去してその外周面を清掃する装置である。
【0040】
この4つの像形成装置20Y,20M,20C,20Kでは、矢印Aで示す方向に回転する各感光ドラム21に対して、帯電装置22による帯電動作、露光装置23による露光動作、現像装置24(Y,M,C,K)による現像動作等がそれぞれ行われる。
これにより、像形成装置20(Y,M,C,K)における各感光ドラム21上には、4色(Y,M,C,K)のトナー像が個別に形成される。この4色のトナー像は、各感光ドラム21の回転により中間転写装置30との間における後述する各一次転写位置までそれぞれ搬送される。この像形成装置20(Y,M,C,K)は、その一部のみが作動して該当する色のトナー像を形成することも可能になっている。
【0041】
中間転写装置30は、
図1に示されるように、像保持手段や中間転写体の一例である中間転写ベルト31を有しており、その中間転写ベルト31の周囲に、一次転写装置33、二次転写装置35、ベルト清掃装置36等の機器を配置して構成されている。
【0042】
中間転写ベルト31は、所要の幅および長さからなる無端状のベルトであり、外周面にトナー像を保持することができるよう構成されている。中間転写ベルト31は、その内周面側に配置される複数の支持ロール32a~32fにより、像形成装置20(Y,M,C,K)の各感光ドラム21と向き合う一次転写位置を順次通過してかつ用紙9と向き合う二次転写位置も通過して、矢印Bで示す方向に回転(循環移動)する状態に保たれるよう支持されている。
【0043】
一次転写装置33は、像形成装置20(Y,M,C,K)の各感光ドラム21に形成される各トナー像を静電作用等の一次転写作用により中間転写ベルト31の外周面に一次転写させる装置である。この一次転写装置33は、例えば、転写バイアスが給電される一次転写ロールを用いる接触式の転写装置で構成されている。二次転写装置35は、中間転写ベルト31の外周面に一次転写されたトナー像を静電作用等の二次転写作用により用紙9に二次転写させる装置である。この二次転写装置35は、例えば、転写バイアスが給電される二次転写ロールを適応する接触式の転写装置で構成されている。ベルト清掃装置36は、中間転写ベルト31の外周面に付着している不要物を回転中に除去してその外周面を清掃する装置である。
【0044】
次に、上記給紙部4は、像形成部2における像の転写を行う位置に供給すべき用紙9を収容して送り出す部分である。
【0045】
実施の形態1における給紙部4は、像形成部2が中間転写装置30を含む構成であるため、用紙9を中間転写装置30における二次転写位置に供給するよう構成されている。この給紙部4は、複数枚の用紙9を積載板42等のうえに所要の向きで積載して収容する収容体41と、収容体41に収容されている用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置43と、送出装置43から送り出される用紙9を二次転写位置まで搬送する給紙搬送路44等を備えた給紙装置で構成されている。収容体41等は複数備えていてもよい。
【0046】
給紙搬送路44は、給紙部4から送り出される用紙9を二次転写位置に所要のタイミングで供給するよう搬送する用紙搬送路である。この給紙搬送路44は、例えば、用紙9を挟持して搬送する複数の搬送ロール45a~45cや、用紙9の搬送空間を確保して用紙9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
用紙9としては、例えば筐体10内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な記録媒体が適用される。
【0047】
中間転写装置30では、像形成装置20(Y,M,C,K)における各感光ドラム21に形成された4色のトナー像が、一次転写装置33の一次転写動作により、矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31の外周面に順次重ね合わせられるようそれぞれ一次転写され、しかる後、その一次転写されたトナー像が二次転写装置35と向き合う二次転写位置まで搬送される。
一方、給紙部4では、像形成部2におけるトナー像の形成および搬送のタイミングに合わせて所要の用紙9を送出装置43により送り出した後、給紙搬送路44により二次転写位置まで搬送して供給する。
これにより、中間転写装置30における二次転写位置では、中間転写ベルト31に一次転写されて搬送されるトナー像が、二次転写装置35の二次転写動作により用紙9の片面に二次転写される。
【0048】
次に、上記加熱加圧部5は、像形成部2で用紙9に転写されたトナー像を加熱および加圧して用紙9に定着させる部分である。
【0049】
実施の形態1における加熱加圧部5は、
図1に示されるように、用紙9の導入口やその排出口が設けられた筐体50の内部空間に、加熱用回転体51、加圧用回転体52等の機器を配置してなる定着装置で構成されている。
この加熱加圧部5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52がその回転軸方向において接触し合った状態で回転するようになっている。また、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触し合う部分は、トナー像が転写された用紙9を挟持した状態で通過させるとともに、その通過の際にトナー像を用紙9に定着させるための加熱、加圧等の処理を行う定着処理部(ニップ部)FNとして構成されている。
【0050】
加熱加圧部5では、二次転写が終了した後の用紙9が中継搬送路46により搬送されて定着処理部FNに導入される。中継搬送路46は、例えば、吸引式のベルト搬送装置47を配置して構成される。
これにより、加熱加圧部5の定着処理部FNにおいて、用紙9上に二次転写されたトナー像が加熱および加圧されて用紙9に定着される。
【0051】
以上の画像形成装置1による基本的な画像形成動作により、用紙9の片面に所望の多色又は単色の画像が形成される。
また画像の形成が終了した用紙9は、排出搬送路48を経由して図示しない排紙収容部に排出される。排出搬送路48は、図示しない搬送ロールや排出ロール、用紙9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成される。
【0052】
<現像剤の補給装置等>
また、画像形成装置1においては、
図1や
図2に示されるように、像形成装置20(Y,M,C,K)における各現像装置24(Y,M,C,K)に対して、現像動作等で消費される現像剤の量等に対応した必要な量の補給用の現像剤91(Y,M,C,K)が、粉体搬送装置6の一例である補給装置60(Y,M,C,K)からそれぞれ補給される。
【0053】
まず、現像装置24(Y,M,C,K)は、上記したように粉体の一例である現像剤90を使用するよう作動する作動部の一例であり、
図2や
図3に示されるように、現像剤90の収容部や現像開口部が形成された本体(ケーシング)240の内部に、その収容部内の現像剤90を保持して現像開口部から感光ドラム21に接近して通過させるよう搬送することで現像を行う現像ロール241や、上記収容部内で現像剤90を撹拌しながら搬送する搬送部材242A,242Bや、現像ロール241に保持される現像剤90の量(層厚)を調整する調整部材243等の部品を配置して構成されている。
本体240は、感光ドラム21の軸方向にほぼ沿う方向に長い形状になっている。本体240の長手方向の一端部には、
図3に示されるように、その一端部から突出した形態の現像剤補給部245が設けられている。また現像剤補給部245には、搬送部材242Bが延長して配置されているとともに、補給される補給用の現像剤91を受け入れる受口246が設けられている。
【0054】
次に、実施の形態1に係る補給装置60(Y,M,C,K)は、4色の補給用の現像剤91(Y,M,C,K)を個別に収容する収容部61(Y,M,C,K)と、その現像剤91(Y,M,C,K)を収容部61(Y,M,C,K)から現像装置24(Y,M,C,K)までそれぞれ搬送する搬送部62(Y,M,C,K)とを備えている。
補給用の現像剤91は、現像装置24(Y,M,C,K)で使用する現像剤90が二成分現像剤であれば、例えばトナーのみか又はキャリアを少し含むトナーになる。
【0055】
収容部61(Y,M,C,K)は、現像剤91(Y,M,C,K)を個別に収容する粉体容器の一例である現像剤容器71(Y,M,C,K)と、その現像剤容器71(Y,M,C,K)を個別に着脱可能に装着するための装着装置72(Y,M,C,K)とで構成されている。
【0056】
現像剤容器71(Y,M,C,K)は、交換可能なカートリッジ式の容器である。また現像剤容器71は、現像剤の排出口71aが設けられた円筒状の容器本体からなり、その容器本体の内部に現像剤を排出口71aにむけて回転して搬送する第2搬送部材73が配置されているとともに、その容器本体の一端部に第2搬送部材73に伝達する回転力を外部より受けて伝達される受動側の伝達継手74が設けられている。
排出口71aには、現像剤容器71の着脱操作に連動して移動する図示しない開閉シャッタにより開閉される。第2搬送部材73は、例えば、全体が螺旋状の形状に成形されているとともに一端部が回転軸部73aとして成形されている部材、いわゆるアジテータ等が適用される。伝達継手74は、駆動側の伝達継手との結合および離間が可能な軸継手(カップリング)であり、容器本体の一端部の外部に突出した状態で設けられる。
【0057】
装着装置72(Y,M,C,K)は、現像剤容器71(Y,M,C,K)の下部や前後端部を着脱可能に保持する容器保持部75と、現像剤容器71(Y,M,C,K)における伝達継手74と結合して回転力を伝達する駆動側の伝達継手76と、容器保持部75に保持された現像剤容器71の排出口71aと対峙して排出される補給用の現像剤91を受け入れる現像剤受け部77と、駆動側の伝達継手76を介して第2搬送部材73を回転させるよう駆動する第2駆動部の一例である第2駆動装置78を備えている。
【0058】
駆動側の伝達継手76は、受動側の伝達継手74との結合および離間が可能な軸継手(カップリング)であり、容器保持部75のうち現像剤容器71の装着時における奥側の端部を保持する端部保持部に設けられる。
現像剤受け部77は、現像剤容器71の排出口71aと向き合って補給用の現像剤91を一時的に受け入れて貯留するとともに、その現像剤91を搬送部62(の後述する第1搬送部材65)に受け渡す部分になる。
第2駆動装置78は、モータ、ギヤ列機構等で構成されている。
【0059】
搬送部62(Y,M,C,K)は、装着装置72(Y,M,C,K)における現像剤受け部77に一端部が接続される搬送パイプ63と、搬送パイプ63の他端部と現像装置24における現像剤補給部245の受口246との間を接続する接続パイプ64と、搬送パイプ63の搬送部内で正回転して補給用の現像剤91を搬送する第1搬送部材65と、第1搬送部材65を回転させるよう駆動する第1駆動部の一例である第1駆動装置66等を備えている。
【0060】
搬送パイプ63は、搬送路を有する搬送部の一例である。搬送パイプ63としては、例えば円筒パイプが適用され、その内部が管状の搬送路63aになっている。また搬送パイプ63は、その一端部に現像剤受け部77と接続される接続口63bが設けられ、その他端部に補給用の現像剤91を接続パイプ64に落下させるよう排出する排出口63cが設けられている。
接続パイプ64は、搬送部材を配置しない円筒状の中空パイプが適用され、例えば補給用の現像剤91を現像剤補給部245の受口246にむけて落下させて搬送するよう構成されている。
【0061】
第1搬送部材65は、
図3に示されるように、搬送パイプ63の搬送路63aに沿って延びる回転軸65aと、その回転軸65aの外周面に螺旋状に巻き付くように連続して形成された搬送羽根65bとからなる部材、いわゆるスクリューオーガが適用される。第1搬送部材65は、補給用の現像剤91を搬送パイプ63の排出口63cにむけて移動させるよう搬送方向Mに搬送する。第1搬送部材65の正回転による搬送動作は、補給用の現像剤91の必要な補給量に対応して実行される。正回転は、第1搬送部材65の搬送方向Mを実現するために必要な予め定められた一方向への回転になる。第1搬送部材65は、その搬送羽根65bが搬送パイプ63の搬送路63aと接近した状態で回転するよう配置される。
第1駆動装置66は、モータ、ギヤ列機構等で構成されている。
【0062】
また、補給装置60(Y,M,C,K)は、
図2に示されるように、その動作が制御装置15により制御されるようになっている。
【0063】
制御装置15は、現像剤の補給動作等の制御に関する制御プログラムと制御情報(検知情報を含む)に従って演算処理して制御対象に必要な制御指令等を出力するものであり、例えば、マイクロコンピュータ等で構成されている。この制御装置15は、現像剤の補給動作の制御に関する専用のものとして構成しても、あるいは、画像形成装置1の全体の動作を制御する中央制御装置の一部として構成してもよい。
【0064】
制御装置15には、
図2に示されるように、現像装置24(Y,M,C,K)内にそれぞれ存在する現像剤90(Y,M,C,K)の濃度(例えば二成分現像剤の場合にはトナーの濃度)を個別に検知する濃度センサ28(Y,M,C,K)がそれぞれ接続されており、その各センサの検知情報が個別に入力される。
また制御装置15には、補給装置60(Y,M,C,K)における各第1搬送部材65の補給のための最後(直前)の動作が終了してから経過した時間(非動作時間)をそれぞれ計時(検知)するタイマー16と、筐体10内の温度を検知する温度センサ17と、筐体10内の湿度を検知する湿度センサ18等も接続されており、その各センサやタイマーの検知情報が入力される。
一方、制御装置15は、制御対象となる第1駆動装置66および第2駆動装置78(の各駆動制御部)に接続されており、その各制御対象に必要な制御信号を送信するようになっている。
【0065】
そして、この補給装置60(Y,M,C,K)は、
図4に示されるように、第1搬送部材65が回転しない非動作時間と温度の検知情報のいずれもが条件を満たしたときに、第1駆動装置66が第1搬送部材65を逆回転させるよう構成されている。
【0066】
このときの条件は、第1搬送部材65を逆回転させる必要があるか否かの判定をする際における判定基準となる条件である。この条件は、非動作時間に関する条件として少なくとも1つ、また温度の検知情報に関する条件として少なくとも1つ用意すればよい。この場合、非動作時間に関する条件については例えば48時間以上と設定し、温度の検知情報に関する条件については例えば40度(℃)と設定することができる。
【0067】
またこのときの逆回転させる動作の量は、第1搬送部材65を逆回転させることによる不具合が発生しない範囲内で任意の量に設定される。逆回転させる動作は、例えば、半回転分の逆回転を1回として設定することができる。
【0068】
第1搬送部材65を逆回転させる動作は、第1駆動装置66について第1搬送部材65を正回転および逆回転させるよう回転方向を切り替えた駆動が可能になるよう構成することで実行される。実施の形態1では、第1駆動装置66を構成するモータとして、正回転と逆回転を切り替えることが可能なモータを採用している。
【0069】
また、上記条件としては、例えば、
図6(A)に示されるように、非動作時間に関する条件と温度の検知情報に関する条件とを複数用意し、それらを組み合わせた内容の条件を適用することも可能である。この場合、例えば、
図6(A)に示す非動作時間に関する条件Aについては48時間、条件Bは96時間に設定し、また温度の検知情報に関する条件Dについては25度、条件Eは35度に設定することができる。
【0070】
上記条件として組み合わせ条件を適用した場合は、逆回転させる動作の量についても複数の種類に設定することができる。換言すれば、この場合は、その組み合わせ条件の満たし方に応じて逆回転させる動作の量を変化させることになる。
【0071】
次に、補給装置60(Y,M,C,K)の動作について、
図4等を参照しながら説明する。
【0072】
まず、制御装置15において、濃度センサ28(Y,M,C,K)の各検知情報が補給を必要とする判定基準の条件を満たすか否かの判断が行われており(ステップS10)、その補給の条件を満たすと判断されたものがあると、その条件を満たして該当する補給装置60(Y,M,C,K)による現像剤の補給が行われることになる。
【0073】
また、この補給装置60(Y,M,C,K)では、その現像剤の補給動作ひいては第1搬送部材65の正回転による搬送動作が開始される前に、タイマー16(Y,M,C,K)の各検知情報が非動作時間に関する条件を満たすか否かの判断(S11)と、温度センサ17の検知情報が温度に関する条件を満たすか否かの判断(S12)が行われる。
【0074】
ステップ11(S11)および12(S12)において非動作時間と温度の検知情報の少なくとも1つが条件を満たさないと判断された場合は、制御装置15の制御により該当する補給装置60(Y,M,C,K)における第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を正回転させる動作が実行される(S16)。この正回転させる動作は、補給すべき量に対応して予め定められる所要の動作時間が経過するまで行われる(S17)。
【0075】
この場合、該当する補給装置60(Y,M,C,K)では、その搬送部62(Y,M,C,K)における搬送パイプ63の搬送路63a内で螺旋状の第1搬送部材65が正回転する。
これにより、補給用の現像剤91は、
図3に示されるように、搬送パイプ63内の搬送路63aにおいて第1搬送部材65の搬送羽根65bによる搬送力を受けて搬送方向Mに沿うよう排出口63cまで搬送された後、その排出口63cから排出させられて接続パイプ64の内部を破線矢印Nで示すように通過して落下し、該当する現像装置24(Y,M,C,K)の現像剤補給部245に送り込まれる。この際、補給用の現像剤91は、第1搬送部材65の正回転する動作の量にほぼ対応した量だけ現像剤補給部245に送られる。
この結果、該当する現像装置24(Y,M,C,K)に対して補給用の現像剤91が必要な量だけ補給される。また補給された補給用の現像剤91は、搬送部材242Bにより本体240の収容部に送り込まれて既存の現像剤90と混合されて使用される。
【0076】
ちなみに、該当する補給装置60(Y,M,C,K)では、制御装置15の制御により第2駆動装置78が作動して第2搬送部材73を正回転させる動作も実行される。
これにより、該当する現像剤容器71(Y,M,C,K)内の補給用の現像剤91は、第2搬送部材73の搬送力を受けて搬送方向J1に沿うよう排出口71aまで搬送された後、その排出口71aから排出させられて現像剤受け部77の内部を破線矢印J2で示すように通過して落下し、搬送パイプ63の接続口63bを通して搬送路63a内に送り込まれる。この結果、搬送パイプ63の搬送路63a内には補給用の現像剤91が補充される。
【0077】
一方、ステップS11およびS12において非動作時間と温度の検知情報のいずれもが各条件を満たすと判断された場合には、制御装置15の制御により該当する補給装置60(Y,M,C,K)において第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を逆回転させる動作が実行される(S14)。またその逆回転させる動作は、予め定められる所要の回数が終了するまで行われる(S15)。
【0078】
この場合、該当する補給装置60(Y,M,C,K)では、その搬送部62(Y,M,C,K)における搬送パイプ63の搬送路63a内で螺旋状の第1搬送部材65が所要の回数だけ逆回転する。
これにより、搬送パイプ63の搬送路63aに存在する補給用の現像剤91は、その搬送路63a内で逆回転する第1搬送部材65の搬送羽根65bにより搬送時と異なる方向等に動かされる。
この結果、搬送パイプ63の搬送路63a内で比較的長い時間かつ高温の環境下で滞留し続けて流動性が低下し凝集度も高くなっていた補給用の現像剤91は、第1搬送部材65の逆回転によりほぐされた状態になる。
【0079】
したがって、補給装置60(Y,M,C,K)、ひいては補給装置60(Y,M,C,K)を備えた画像形成装置1においては、第1搬送部材65が配置された搬送パイプ63の搬送路63aを補給用の現像剤91が凝集して塞ぐことや狭めることが未然に防がれる。
これにより、補給装置60(Y,M,C,K)では、搬送パイプ63の搬送路63aが補給用の現像剤91で詰まるおそれがなくなり、その現像剤91の補給が安定して行われる。また、画像形成装置1では、良好な現像や画像の形成が継続して行われる。
【0080】
これに対して、非動作時間と温度の検知情報のいずれもが各条件を満たすと判断されたときに該当する補給装置60(Y,M,C,K)において第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を逆回転させる動作が実行されない場合は、次の不具合が発生するおそれがある。
【0081】
つまり、上記各条件を満たすときは、第1搬送部材65が停止して搬送パイプ63の搬送路63a内では、補給用の現像剤91が比較的長い時間かつ高温の環境下で滞留し続けることになるので、その流動性が低下して凝集度も高くなる。また搬送パイプ63の搬送路63a内では、螺旋状の第1搬送部材65の搬送羽根65bどうしの間や搬送路63aとの間で圧力を受けた状態で滞留し続けるので、凝集度が高まりやすくなる。
以上により、上記各条件を満たすときに第1搬送部材を逆回転させない場合は、その現像剤91が凝集して搬送パイプ63の搬送路63aを塞いでしまうおそれや狭くしてしまうおそれがある。この現象は、最悪の場合、搬送パイプ63が補給用の現像剤91で完全に詰まることを引き起こすことがある。
【0082】
また、補給装置60(Y,M,C,K)は、
図4に示されるように、第1搬送部材65を逆回転させる動作が、その第1搬送部材65を正回転させて補給用の現像剤91の搬送動作が開始される前に行われる。
【0083】
これにより、補給装置60(Y,M,C,K)では、その搬送動作が開始されたときにほぐされた補給用の現像剤91が搬送される。この際、第1搬送部材65が逆回転した後に正回転し始める場合は、ほぐされた直後の補給用の現像剤91が搬送されるようになる。この結果、補給用の現像剤91が搬送パイプ63の搬送路63aを塞ぐことや狭くすることが回避され、ほぐされた現像剤91が該当する現像装置24(Y,M,C,K)に補給される。
【0084】
最後に、画像形成装置1は、作動部の一例である現像装置24と、粉体搬送装置の一例である補給装置60を少なくとも備えているので、この観点からすると、粉体を使用する粉体使用装置の一例になる。
【0085】
<実施の形態1の変形例>
なお、実施の形態1に係る補給装置60(Y,M,C,K)又は画像形成装置1においては、第1搬送部材65を逆回転させる必要があるか否かの判定をする際に使用する検知情報として湿度の検知情報を含めるよう構成してもよい。
【0086】
この場合、湿度の検知情報は湿度センサ18の検知情報を使用すればよい。また、湿度に関する条件は、少なくとも1つ用意すればよい。この湿度に関する条件は、1つのときは例えば50%RH以上と設定することができる。さらに、湿度センサ18の検知情報が湿度に関する1つの条件を満たすか否かの判断は、
図4に二点鎖線で示すように、非動作時間に関する判断のステップ(S11)と温度に関する判断のステップ(S12)の後のステップ(S13)で行うようにすればよい。
【0087】
このように湿度の検知情報を含めるよう構成した場合は、補給用の現像剤91の流動性や凝集度が湿度にも影響を受けるため、それを含めない場合に比べると、搬送パイプ63の搬送路63aを補給用の現像剤91が凝集して塞ぐことや狭めることがより的確に防がれる。
【0088】
また、実施の形態1に係る補給装置60(Y,M,C,K)又は画像形成装置1においては、第1搬送部材65を逆回転させる必要があるか否かの判定をする際に使用する条件として組み合わせ条件を適用するよう構成してもよい。
【0089】
この場合、組み合わせ条件としては、
図6(A)に例示したような非動作時間と温度の組み合わせ条件を適用することができる。また、この組み合わせ条件を適用する場合は、逆回転させる動作の量についても複数の種類に設定することができる。
【0090】
そして、この組み合わせ条件を適用する場合は、
図5に示されるように、ステップS20において現像剤の補給の条件を満たすと判断されたとき、非動作時間と温度の検知情報のいずれもがその組み合わせ条件を満たすか否かが判断される(S21)。このとき条件を満たすとは、第1搬送部材65を逆回転する動作を行う組み合わせ条件を満たす場合をいう。
【0091】
ステップS21において非動作時間と温度の検知情報のいずれもが組み合わせ条件を満たさない場合、つまり第1搬送部材65を逆回転する動作を実施しないという組み合わせ条件を満たす場合は、制御装置15の制御により、第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を正回転させる動作が所要の時間が経過するまで実行されて(S24-S25)、補給用の現像剤91が補給される動作が行われる。
【0092】
一方、ステップS21において非動作時間と温度の検知情報のいずれもが組み合わせ条件を満たす場合は、制御装置15の制御により、第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を逆回転させる動作が所要の回数が完了するまで実行される(S22-S23)。このとき逆回転する動作は、
図6(A)に例示する組み合わせ条件を採用した場合には、1回、2回、3回又は5回のいずれかの回数で行われる。
また、この組み合わせ条件を満たす場合は、逆回転する動作が完了した後に上記した現像剤91の補給動作が引き続いて行われる(S24-S25)。
【0093】
このように組み合わせ条件を適用するよう構成した場合は、第1搬送部材65が逆回転する動作の回数が変化しない場合に比べると、第1搬送部材65が配置された搬送パイプ63の搬送路63aを補給用の現像剤91が塞ぐことや狭めることが未然にしかも確実に防がれる。またこの場合は、非動作時間と温度の組み合わせ条件を適用しているので、搬送パイプ63の搬送路63aを補給用の現像剤91が塞ぐことや狭めることが状況(画像形成装置1の状況や補給装置60ごとの状況)に応じて的確に防がれる。
【0094】
また、この組み合わせ条件を適用する場合は、
図6(B)に例示されるように湿度に関する条件を含めた組み合わせ条件を適用するよう構成してもよい。
このように構成した場合は、非動作時間と温度と湿度の組み合わせ条件を適用しているので、搬送パイプ63の搬送路63aを補給用の現像剤91が塞ぐことや狭めることが、より状況(画像形成装置1の状況や補給装置60ごとの状況)に応じてより的確に防がれる。
【0095】
さらに、実施の形態1に係る補給装置60(Y,M,C,K)又は画像形成装置1においては、第1搬送部材65を逆回転させる動作を、現像剤90を使用するように作動する現像装置24(Y,M,C,K)の現像動作、ひいてはその現像動作を伴う画像形成動作が開始される前に行うよう構成してもよい。
【0096】
この場合、制御装置15に、画像形成動作の要求(指令)の信号を受信した情報を入力するように構成する。またこの場合は、制御装置15が画像形成動作の要求の信号を受信したとき、制御装置15の制御により、該当する補給装置60(Y,M,C,K)の搬送部62(Y,M,C,K)における第1駆動装置66が作動して、搬送パイプ63の搬送路63a内で螺旋状の第1搬送部材65を所要の回数だけ逆回転させるよう構成する。
【0097】
この第1搬送部材65を逆回転させる動作を現像動作ひいては画像形成動作が開始される前に行うよう構成した場合は、その逆回転させる動作を現像動作ひいてはその現像動作を伴う画像形成動作が開始される前に行わない場合に比べると、作動部の一例である現像装置24(Y,M,C,K)による現像動作が開始された際にほぐされた補給用の現像剤91を該当する現像装置24(Y,M,C,K)に搬送することができる。
【0098】
さらにまた、実施の形態1に係る補給装置60(Y,M,C,K)又は画像形成装置1においては、第1搬送部材65を逆回転させる動作に連動して現像剤容器71(Y,M,C,K)における第2搬送部材73を逆回転させる構成してもよい。
【0099】
この場合は、制御装置15の制御により、該当する補給装置60(Y,M,C,K)における第2駆動装置78を作動させて、第2搬送部材73を所定の量(回数)だけ逆回転させるようにすればよい。
またこのように構成した場合は、第1搬送部材65を逆回転させる動作に連動して第2搬送部材73を逆回転させない場合に比べると、現像剤容器71(Y,M,C,K)に収容される補給用の現像剤91が第2搬送部材73の逆回転の動きにより動かされてほぐされる。これにより、該当する補給装置60(Y,M,C,K)における搬送部62の現像剤受け部77には、現像剤容器71(Y,M,C,K)からほぐされた補給用の現像剤91が送り込まれて補充される。
【0100】
実施の形態2.
図7には、この発明の実施の形態2に係る補給装置60(Y,M,C,K)が示されている。
この補給装置60(Y,M,C,K)は、第1搬送部材65を駆動する第1駆動装置66が第2搬送部材73を駆動する第2駆動装置78を兼ねるよう構成して変更した以外は実施の形態1における補給装置60(Y,M,C,K)(
図2や
図3)と同じ構成になっている。
【0101】
実施の形態2における第1駆動装置66は、その回転力を第2搬送部材73に動力伝達機構79を介して伝達するよう構成されている。
このときの動力伝達機構79は、第1駆動装置66が第1搬送部材65を正回転させるときの回転力を第2搬送部材73に伝達する伝達状態と、第1駆動装置66が第1搬送部材65を逆回転させるときの回転力を第2搬送部材73に伝達させない非伝達状態を切り替えることが可能な機構である。この伝達状態と非伝達状態を切り替えられる動力伝達機構79としては、例えば、一部の伝達ギヤをギヤ列に噛み合わせる伝達位置とギヤ列から離間させる非伝達位置に変位させて切り替えることができる機能部(スイッチングギヤなど)79cを備えたものが適用される。機能部79cにおける伝達ギヤの変位は、図示しない移動手段により行われる。
【0102】
この補給装置60(Y,M,C,K)では、補給用の現像剤91を補給することが必要になったと判断された場合、検知情報のいずれか1つが条件を満たさず第1搬送部材65を逆回転させる必要がないと判断されたときは、制御装置15の制御により、該当する第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を正回転させる。これにより、該当する補給装置60(Y,M,C,K)では、搬送パイプ63の搬送路63a内の補給用の現像剤91が第1搬送部材65により搬送されて、該当する現像装置24(Y,M,C,K)に補給される。
【0103】
またこの際、該当する第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を正回転させるときの回転力は、動力伝達機構79を介して該当する現像剤容器71(Y,M,C,K)における第2搬送部材73を正回転させる動力として伝達される。これにより、該当する補給装置60(Y,M,C,K)では、該当する現像剤容器71(Y,M,C,K)内の補給用の現像剤91が第2搬送部材73により搬送されて、補給装置60(Y,M,C,K)における現像剤受け部77に供給される。
【0104】
一方、上記補給が必要になった場合において検知情報のいずれもが条件を満たして第1搬送部材65を逆回転させる必要があると判断されたときは、制御装置15の制御により、該当する第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を逆回転させる。これにより、該当する補給装置60(Y,M,C,K)では、搬送パイプ63の搬送路63a内における補給用の現像剤91がほぐされた状態になる。
【0105】
またこの際、該当する第1駆動装置66が作動して第1搬送部材65を逆回転させるときの回転力は、動力伝達機構79における機能部79cが作動して一部の伝達ギヤが非伝達位置に変位することにより、該当する現像剤容器71(Y,M,C,K)における第2搬送部材73に伝達されない。
上記第1搬送部材65を逆回転させる動作が終了した後は、上記した現像剤91の補給動作が同様に実行される。
【0106】
したがって、この補給装置60(Y,M,C,K)では、第1搬送部材65を逆回転させる動作に連動して第2搬送部材73を逆回転させない場合に比べると、現像剤容器71(Y,M,C,K)に収容されている補給用の現像剤91が第2搬送部材73の逆回転の動きにより動かされてほぐされる。これにより、該当する補給装置60(Y,M,C,K)における搬送部62の現像剤受け部77には、現像剤容器71(Y,M,C,K)からほぐされた補給用の現像剤91が送り込まれて補充される。
また、この補給装置60(Y,M,C,K)では、第1駆動装置66が第2駆動装置78を兼ねていない場合に比べると、第2駆動装置78を設けない分だけ補給装置60が簡易化される。
【0107】
<実施の形態2の変形例>
なお、実施の形態2に係る補給装置60(Y,M,C,K)又は画像形成装置1においては、伝達ギヤが変位する機能部79cを有した動力伝達機構79に代えて、
図8に示されるように、第1駆動装置66から出力される回転力を通常の(機能部79cを有さない)動力伝達機構79Bを介して、第2搬送部材73と正回転の動力のみを伝達する一方向伝達継手(74B,76B)で接続するように構成してもよい。
【0108】
一方向伝達継手74B,76Bとしては、例えば、
図8(A)に示されるように、接触伝達面741および離間誘導面743を有する受動側の一方向伝達継手74Bと、前記接触伝達面741に接触し得る接触伝達面761と前記離間誘導面743に接触して離間する方向に誘導させられる斜面状の離間誘導面763を有する駆動側の一方向伝達継手76Bとが適用される。また、一方向伝達継手74Bは、第2搬送部材73の回転軸部73aに対して所要の範囲内でスライド可能になっているとともに、スプリング等の押付け手段745により他方の一方向伝達継手76Bに接近する方向E1に対して弾性的に押し付けられた状態になっている。
【0109】
この一方向伝達継手74B,76Bを適用した補給装置60(Y,M,C,K)では、
図8(B)の左半分に示されるように、正回転の駆動時になると、第1駆動装置66のモータ66mが正回転時用の回転方向Q1に回転し、その回転方向Q1の回転力が通常の動力伝達機構79Bを介して第1搬送部材65を正回転させる方向Sの回転力として伝達される。またこのときは、そのモータ66mの回転方向Q1の回転力が、通常の動力伝達機構79Bと一方向伝達継手74B,76Bを介して、第2搬送部材73を正回転させる方向Sの回転力として第2搬送部材73にも伝達される。
【0110】
このときの一方向伝達継手74B,76Bは、
図8(A)に示されるように、上記モータ66mの回転方向Q1の回転力が、通常の動力伝達機構79Bにおける伝達出力軸79dから正回転させる方向Sの回転力として一方向伝達継手76Bに伝達されて一方向伝達継手76Bを当該方向Sに回転させるので、一方向伝達継手76Bにおける接触伝達面761が一方向伝達継手74Bにおける接触伝達面741に接触し合う状態になる。
この結果、接触伝達面761は接触伝達面741と接触し合った状態に保たれるようになる。これにより、一方向伝達継手76Bに伝達された正回転させる方向Sの回転力は、一方向伝達継手74Bを介して第2搬送部材73まで伝達される。
【0111】
一方、この補給装置60(Y,M,C,K)では、
図8(B)の右半分に示されるように、逆回転の駆動時になると、第1駆動装置66のモータ66mが逆回転時用の回転方向Q2に回転し、その回転方向Q2の回転力が通常の動力伝達機構79Bを介して第1搬送部材65を逆回転させる方向Rの回転力として伝達される。
しかし、このときは、モータ66mの回転方向Q2の回転力が一方向伝達継手74B,76Bにおいて伝達が切断され、第2搬送部材73を逆回転させる方向の回転力として伝達されることがない。
【0112】
すなわち、このときの一方向伝達継手74B,76Bは、
図8(B)に示されるように、上記モータ66mの回転方向Q2の回転力が、通常の動力伝達機構79Bにおける伝達出力軸79dから逆回転させる方向Rの回転力として一方向伝達継手76Bに伝達されて一方向伝達継手76Bを当該方向Rに回転させるので、一方向伝達継手76Bにおける離間誘導面763が一方向伝達継手74Bにおける離間誘導面743と接触し合う状態になる。
この結果、離間誘導面763は離間誘導面743と接触し合う状態で移動するので、一方向伝達継手74Bが押付け手段745の押し付け力に抗して矢印E2で示す離間する方向に変位する状態にもなる。これにより、その一方向伝達継手76Bに伝達された逆回転させる方向Rの回転力は、一方向伝達継手74Bに伝達されず遮断されることとなり第2搬送部材73にも伝達されない。
【0113】
実施の形態3.
図9には、この発明の実施の形態3に係る粉体塗装装置100が示されている。
この粉体塗装装置100は、粉体の一例である粉体塗料93を収容する収容部110と、その収容部110に収容された粉体塗料93を使用して被塗装体95に塗装する作動部の一例である塗布部120と、被塗装体95の被塗装面95aに塗布された粉体塗料93を加熱する加熱部150と、被塗装体95を塗布部120と加熱部150を通過させるように搬送する搬送装置140と、収容部110の粉体塗料93を塗布部120に補給するように搬送する搬送部160等を備えている。
また、この粉体塗装装置100は、被塗装体95の搬入口や搬出口等が設けられた図示しない筐体101の内部に配置される。
【0114】
収容部110は、粉体塗料93を収容するとともに粉体塗料93を排出する排出口112bが底面部に設けられた容器112と、容器112の排出口112bと搬送部160の間を接続する接続管113と、容器112内の粉体塗料93を排出口112bから回転して送り出す送出部材114等で構成されている。容器112は、固定して設置される形態のものでも、あるいは、着脱交換が可能な形態のものでもよい。
【0115】
粉体塗料93は、例えば、熱硬化性樹脂と熱硬化剤を含む芯部と、その芯部の表面を被覆する樹脂被覆部とからなる粉体粒子を有する粉体である。また、粉体塗料93としては、粉体粒子に着色剤を含まない透明粉体塗料(クリア塗料)や、粉体粒子に着色剤を含む着色粉体塗料などが使用される。この他、粉体塗料93としては、熱可塑性樹脂からなる粉体を使用してもよい。
【0116】
被塗装体95は、粉体塗料93を静電的に付着させることができる被塗装面95aを有するシート状、板状等の形態からなる導電性のシート状媒体である。この被塗装体95としては、例えば、アルミ箔、鉄板、銅板等の金属製媒体や、導電性を有する合成樹脂、導電性を有するゴム等の非金属で導電性を有した材料からなる非金属製の媒体が適用される。被塗装面95aは、予めプライマー処理、めっき処理、電着塗装等の表面処理が施されていてもよい。被塗装体95は、例えば、粉体塗装に際して接地(アース)される。ちなみに、被塗装体95の接地については、後述する塗布ロール122との間に電位差があれば粉体塗装が可能であるので、(接地)しない場合もあり得る。
【0117】
塗布部120は、上記したように粉体の一例である粉体塗料93を使用するよう作動する作動部の一例である。この塗布部120は、粉体塗料93の収容部と塗布開口部が設けられた本体(ケーシング)121の内部に、上記収容部内の粉体塗料93を保持して塗布開口部から被塗装体95に接近して通過させるよう搬送することで被塗装体95に塗布する塗布ロール122や、上記収容部内で粉体塗料93を図示しない帯電用の磁性キャリアと撹拌しながら搬送する搬送部材123A,123B、塗布ロール122に保持される粉体塗料93等の量(層厚)を調整する調整部材124等の部品を配置してなる塗布装置で構成されている。なお、粉体塗料93としては、非磁性の粉体塗料に磁性キャリアが併用される二成分系のものに限らず、粉体塗料のみからなる一成分系のものを適用する場合もあり得る。
【0118】
本体121は、被塗装体95の搬送時の幅方向にほぼ沿う方向に長い形状になっている。本体121の長手方向の一端部には、その一端部から突出した形態の塗料補給部126が設けられている。また塗料補給部126には、搬送部材123Bが延長して配置されているとともに、補給される粉体塗料93を受け入れる受口127が設けられている。
塗布ロール122は、例えば、周方向に所定の磁極が所定の間隔で存在する磁石ロール122aと、磁石ロール122aの外側に同心円状に配置されて回転する導電性スリーブ122bを有するロール体である。導電性スリーブ122bには、粉体塗料93の塗布時になると、図示しない給電部からバイアス電圧が供給される。
【0119】
搬送装置140は、例えば、一対の搬送ロール141、搬送ロール142、図示しないロール駆動装置等を備えている。
加熱部150は、被塗装体95の搬入口と搬出口が設けられた本体(ケーシング)151の内部に、塗布部120において被塗装体95の被塗装面95aに塗布された粉体塗料93の塗布層93Aを非接触状態で加熱して硬化させる熱源152等の部品を配置して構成されている。熱源152としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ等の熱源や赤外線レーザを照射するレーザ照射装置等が適用される。なお加熱部150については、加熱ロールや加熱ベルト等の加熱用回転体を用いて、被塗装体95の被塗装面95aに塗布された粉体塗料93の塗布層93Aを接触状態で加熱する構成を採用してもよい。
【0120】
搬送部160は、粉体の一例である粉体塗料93を搬送する粉体搬送装置の一例にもなる。
実施の形態3における搬送部160は、一端部が収容部110における容器112の排出口112bと接続するよう配置される搬送パイプ163と、搬送パイプ163の他端部と塗布部120における塗料補給部126の受口127との間を接続する接続パイプ164と、搬送パイプ163の搬送部内で正回転して粉体塗料93を搬送する第1搬送部材165と、第1搬送部材165を回転させるよう駆動する第1駆動部の一例である第1駆動装置166等を備えている。
【0121】
搬送パイプ163は、実施の形態1等における搬送パイプ63の場合と同様に、搬送路を有する搬送部の一例である。搬送パイプ163としては、例えば円筒パイプが適用され、その内部が管状の搬送路163aになっている。また搬送パイプ163は、その一端部に収容部110の接続管113と接続される接続口163bが設けられ、その他端部に粉体塗料93を接続パイプ164に落下させるよう排出する排出口163cが設けられている。
接続パイプ164は、搬送部材を配置しない円筒状の中空パイプが適用され、例えば粉体塗料93を塗布部120における塗料補給部126の受口127にむけて落下させて搬送するよう構成されている。
【0122】
第1搬送部材165は、
図9に示されるように、搬送パイプ163の搬送路163aに沿って延びる回転軸165aと、その回転軸165aの外周面に螺旋状に巻き付くように連続して形成された搬送羽根165bとからなる部材が適用される。
第1搬送部材165は、粉体塗料93を搬送パイプ163の排出口163cにむけて移動させるよう搬送方向Mに搬送する。第1搬送部材165の正回転による搬送動作は、粉体塗料93の必要な補給量に対応して実行される。第1搬送部材165は、その搬送羽根165bが搬送パイプ163の搬送路163aと接近した状態で回転するよう配置される。
第1駆動装置166は、モータ、ギヤ列機構等で構成されている。
【0123】
また、この粉体塗装装置100は、
図9に示されるように、その搬送部160等の動作が制御装置115により制御されるようになっている。
【0124】
制御装置115は、実施の形態1等における制御装置15とほぼ同様に構成されている。この制御装置115においても、塗布部120の本体121内に存在する粉体塗料93の残量を検知する残量センサ128をはじめ、第1搬送部材165の補給のための最後(直前)の動作が終了してから経過した時間(非動作時間)をそれぞれ計時(検知)するタイマー116や、筐体101内の温度を検知する温度センサ117と、筐体101内の湿度を検知する湿度センサ118等も接続されており、そのセンサやタイマーの検知情報が入力される。
一方、制御装置115は、制御対象となる第1駆動装置166(の駆動制御部)に接続されており、その制御対象に必要な制御信号を送信するようになっている。
【0125】
そして、粉体塗装装置100における搬送部160は、実施の形態1に係る補給装置60とほぼ同様に、第1搬送部材165が回転しない非動作時間と温度の検知情報のいずれもが条件を満たしたときに、第1駆動装置166が第1搬送部材165を逆回転させるよう構成されている。
このときの条件についても、実施の形態1に係る補給装置60で適用した上記条件とほぼ同様の条件を適用することができる。
【0126】
はじめに、粉体塗装装置100による塗装は、次のように行われる。
【0127】
粉体塗装装置100では、被塗装体95が搬送装置140により矢印Pで示す搬送方向に塗布部120に向けて搬送される一方で、塗布部120において磁性キャリアと撹拌されて摩擦帯電した粉体塗料93が被塗装体95の被塗装面95aに塗布される。
【0128】
この際、塗布部120においては、本体121内の粉体塗料93が矢印で示す方向に回転する塗布ロール122(実際は導電性のスリーブ122b)に磁性キャリアを介して穂立ち状になって保持されて、被塗装面95aと向き合う位置を通過するよう搬送される。このとき、塗布ロール122上で磁性キャリアに付着している粉体塗料93は、バイアス電圧が供給されている塗布ロール122と接地されている被塗装面95aとの間に生じる電位差により、被塗装面95aに静電的に移行して塗布される。これにより、被塗装面95a上には、ほぼ一定の厚さからなる塗布層93Aが形成される。
【0129】
続いて、塗布層93Aが形成された被塗装体95は、搬送装置140により加熱部150を通過するよう搬送される。
この際、加熱部150においては、被塗装体95の被塗装面95a上の塗布層93Aを加熱して熱硬化させる。これにより、塗布層93Aは被塗装面95aに一様な塗装膜94として形成される。
【0130】
以上のようにして被塗装体95の被塗装面95aが粉体塗料93により塗装される。
【0131】
次に、粉体塗装装置100では、上記した塗装動作が行われることにより塗布部120における粉体塗料93が消費されて減るので、収容部110にある粉体塗料93が搬送部160により塗布部120まで搬送されて補給(供給)される。
【0132】
このときの粉体塗料93の補給は、塗布部120における残量センサ128の検知情報が補給を要する条件を満たすことにより、制御装置115の制御により、搬送部160における第1駆動装置166が作動して第1搬送部材165を所要の時間が経過するまで正回転させることで行われる。この際、搬送パイプ163の搬送路163a内の粉体塗料93が、第1搬送部材165により搬送方向Mに搬送された後、接続パイプ164を落下するようにして塗布部120の塗料補給部126内に送り込まれる。
またこのとき、収容部110における送出部材114も図示しない駆動装置により所定の時間だけ回転させられる。これにより、容器112内の粉体塗料93が搬送パイプ163に送り出されて補充される。
【0133】
次に、粉体塗装装置100における搬送部160では、その粉体塗料93の補給動作ひいては第1搬送部材165の正回転による搬送動作が開始される前に、タイマー116の検知情報が非動作時間に関する条件を満たすか否かの判断と、温度センサ117の検知情報が温度に関する条件を満たすか否かの判断が行われる。
【0134】
この場合、非動作時間と温度の検知情報のいずれもが各条件を満たすと判断されたときには、制御装置115の制御により第1駆動装置166が作動して第1搬送部材165を逆回転させる動作が予め定められる所要の回数が終了するまで実行される。
これにより、搬送部160における搬送パイプ163の搬送路163aに存在する粉体塗料93は、その搬送路163a内で逆回転する第1搬送部材165の搬送羽根165bにより搬送時と異なる方向等に動かされる。
この結果、搬送パイプ163の搬送路163a内で比較的長い時間かつ高温の環境下で滞留し続けて流動性が低下し凝集度も高くなっていた粉体塗料93は、第1搬送部材165の逆回転によりほぐされた状態になる。
【0135】
したがって、搬送部160、ひいては搬送部160を備えた粉体塗装装置100においては、第1搬送部材165が配置された搬送パイプ163の搬送路163aを粉体塗料93が凝集して塞ぐことや狭めることが未然に防がれる。
これにより、搬送部160では、搬送パイプ163の搬送路163aが粉体塗料93で詰まるおそれがなくなり、粉体塗料93の補給が安定して行われる。また、粉体塗装装置100では、良好な塗装が継続して行われる。
【0136】
これに対して、非動作時間と温度の検知情報のいずれもが各条件を満たすと判断されたときに搬送部160において第1搬送部材165を逆回転させる動作が実行されない場合は、実施の形態1に係る補給装置60で説明した場合とほぼ同様に、次の不具合が発生するおそれがある。
【0137】
つまり、上記各条件を満たすときは、第1搬送部材165が停止して搬送パイプ163の搬送路163a内では、粉体塗料93が比較的長い時間かつ高温の環境下で滞留し続けることになるので、その流動性が低下して凝集度も高くなる。また搬送パイプ163の搬送路163a内では、螺旋状の第1搬送部材165の搬送羽根165bどうしの間や搬送路163aとの間で圧力を受けた状態で滞留し続けるので、凝集度が高まりやすくなる。
これにより、上記各条件を満たすときに第1搬送部材165を逆回転させない場合は、その粉体塗料93が凝集して搬送パイプ163の搬送路163aを塞いでしまうおそれや狭くしてしまうおそれがある。この現象は、最悪の場合、搬送パイプ163が粉体塗料93で完全に詰まることを引き起こすことがある。
【0138】
また、搬送部160においても第1搬送部材165を逆回転させる動作が、その第1搬送部材165を正回転させて粉体塗料93の搬送動作が開始される前に行われる。
これにより、搬送部160では、その搬送動作が開始されたときにほぐされた粉体塗料93が搬送される。この際、第1搬送部材165が逆回転した後に正回転し始める場合は、ほぐされた直後の粉体塗料93が搬送されるようになる。この結果、粉体塗料93が搬送パイプ163の搬送路163aを塞ぐことや狭くすることが回避され、ほぐされた粉体塗料93が塗布部120に搬送されて補給されるようになる。
【0139】
ちなみに、粉体塗装装置100は、作動部の一例である塗布部120と、粉体搬送装置の一例である搬送部160を少なくとも備えているので、この観点からすると、粉体を使用する粉体使用装置の一例になる。
【0140】
なお、この搬送部160又は粉体塗装装置100においても、上記実施の形態1の変形例を同様に適用することができる。
また、この搬送部160又は粉体塗装装置100においても、収容部110について着脱可能に装着されるとともに粉体塗料93を排出口112bにむけて搬送する第2搬送部材を有する塗料容器を用いて構成する場合には、上記実施の形態2やその変形例で示した補給装置60の場合と同様に構成することが可能である。
【0141】
変形例.
この発明は、上記実施の形態1から3で例示した内容に何ら限定されるものではなく、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
【0142】
実施の形態1に係る補給装置60(Y,M,C,K)や画像形成装置1は、収容部61における現像剤容器71(Y,M,C,K)として、その製造日に関する情報を有しているものを適用し、制御装置15においてその現像剤容器71(Y,M,C,K)の製造日からの経過日数の検知情報が条件を満たしたと判断したときに、制御装置15の制御により、その現像剤容器71(Y,M,C,K)が各装着装置72(Y,M,C,K)に最初に装着された後に第2搬送部材73を逆回転させる動作を行うように構成してもよい。
このように構成した場合は、装着前の新品の現像剤容器71(Y,M,C,K)内において生じていた補給用の現像剤91の凝集が解消される。
【0143】
この場合、現像剤容器71(Y,M,C,K)は、その製造日等の必要な情報が記憶された不揮発性メモリ等の記憶手段を設ければよい。製造日については、各容器に補給用の現像剤91がそれぞれ収納された時期に対応する年月日であることが好ましいが、その製造日を補給用の現像剤91が収容された時期とみなすように扱ってもよい。
またこの場合、補給装置60(Y,M,C,K)における装着装置72(Y,M,C,K)は、
図2に二点鎖線で示されるように、現像剤容器71(Y,M,C,K)の記憶手段の情報を読み取る読取装置19を設けるとともに、その読取装置19を制御装置15と接続して読み取った検知情報を送信できるよう構成すればよい。
【0144】
経過日数の検知情報に関する条件については、現像剤容器71内における補給用の現像剤91の凝集等の不具合な状態を解消する観点等から定める適切な経過日数が設定される。
また、この条件を満たした場合の第2搬送部材73を逆回転させる動作の回数については、一定の回数でも、あるいは経過日数の大小に応じて異なる回数でもよい。
【0145】
そして、この構成における逆回転の動作は、例えば、該当する現像剤容器71(Y,M,C,K)を装着した直後に行うか、又はその装着後に最初に到来する現像剤の補給動作の直前に行うようにすればよい。このような構成は、実施の形態3に係る粉体塗装装置100においても、収容部110を着脱可能に装着するとともに第2搬送部材を有する塗料容器を用いて構成する場合には、同様に採用することができる。なお、収容部110は、着脱可能に装着する塗料容器を用いず固定して配置される容器である場合、その容器内に粉体塗料93を正回転して搬送する第2搬送部材を配置した構成のものとしてもよい。
【0146】
また、実施の形態1、2に係る補給装置60(Y,M,C,K)や画像形成装置1は、画像形成装置1の使用頻度の検知情報の違いに対応して少なくとも非動作時間および温度の検知情報に対する条件が変更され、第1搬送部材65が逆回転する動作の回数が変化するように構成してもよい。
【0147】
この場合、検知情報は、湿度等の検知情報を含めるようにしてもよい。またこの場合、使用頻度については例えば1週間に1回の使用にとどまるような使用頻度になるときに、非動作時間、温度等の検知情報に関する条件を緩やかな条件に変更して、逆回転の動作の回数を増やすように構成すればよい。使用頻度は、例えば、最後の電源が切られてから次の電源が投入されるまでの未使用期間を検知すればよい。
【0148】
このように構成した場合は、かかる構成を採用しない場合に比べると、搬送部62における搬送パイプ63の搬送路63aを補給用の現像剤91が塞ぐか又は狭めることがより未然にかつ適切に抑制される。このような構成は、実施の形態3に係る粉体塗装装置100においても、粉体塗装装置100の使用頻度を検知することにより、同様に採用することができる。
【0149】
また、実施の形態1、2では、複数の補給装置60(Y,M,C,K)を備えた画像形成装置1の構成例を示したが、画像形成装置1は単数の補給装置60を備えたものであってもよい。つまり、画像形成装置については、複数色の現像剤を使用して多色画像を形成するものに限らず、1色の現像剤を使用して単色画像を形成するものであってよい。後者の単色画像を形成する画像形成装置の場合は、補給装置60は1色の現像剤を補給する1つの補給装置があれば足りることになる。
【0150】
また、実施の形態3では、単数の塗布部120を備えた粉体塗装装置100の構成例を示したが、粉体塗装装置100としては複数の塗布部120を備えたものであっても構わない。この場合、複数の塗布部120については、異なる種類の粉体塗料93をそれぞれ使用する塗布部120どうしである場合に限らず、同じ種類の粉体塗料93を使用する同じ塗布部120どうしであってもよい。
【0151】
そして、この発明は、搬送路を有する搬送部と、その搬送路内に回転可能に配置され、正回転して粉体を搬送する螺旋状の第1搬送部材と、その第1搬送部材を回転させるよう駆動する駆動部とを備えた粉体搬送装置であって、その第1搬送部材が配置された搬送路を粉体が塞ぐか又は狭めることを防ぐことが要求される粉体搬送装置であれば、現像剤や粉体塗料以外の粉体を扱うものであってもほぼ同様に適用することが可能である。
この場合、現像剤や粉体塗料以外の粉体としては、例えば、薬品用の粉体、食品用の粉体、電極製造用の粉体等が挙げられる。また、粉体搬送装置は、粉体の供給元と粉体の供給先も含む構成とする場合、粉体供給装置と称呼してもよい。
【0152】
また、この発明は、粉体を収容する収容部と、その収容部の粉体を使用するよう作動する作動部と、その収容部の粉体をその作動部に搬送する搬送部とを備え、その搬送部の少なくとも一部が上記粉体搬送装置で構成されている粉体使用装置であれば、実施の形態1から3で例示した画像形成装置や粉体塗装装置に限らず、他の粉体使用装置であってもほぼ同様に適用可能である。
この場合、他の粉体使用装置としては、例えば、粉体を使用する製造装置、加工装置、検査装置等が挙げられる。
【符号の説明】
【0153】
1 …画像形成装置(粉体使用装置の一例)
6 …粉体搬送装置
24…現像装置(作動部の一例)
60…補給装置(粉体搬送装置の一例)
61,110…収容部
62,160…搬送部
63,163…搬送パイプ(搬送部の一例)
63a,163a…搬送路(搬送路の一例)
66,166…第1駆動装置(第1駆動部の一例)
65,165…第1搬送部材(螺旋状の第1搬送部材の一例)
71…現像剤容器(粉体容器の一例)
73…第2搬送部材
90…現像剤(粉体の一例)
91…補給用の現像剤(粉体の一例)
93…粉体塗料(粉体の一例)
100…粉体塗装装置(粉体使用装置の一例)
120…塗布部(作動部の一例)
M …搬送方向