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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】コンデンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/10 20060101AFI20240528BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240528BHJP
   H01G 9/048 20060101ALI20240528BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20240528BHJP
   H01G 9/145 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H01G9/10 C
H01G9/00 290L
H01G9/048 H
H01G9/08 E
H01G9/10 G
H01G9/145
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020055817
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021158185
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 庸平
(72)【発明者】
【氏名】仲田 光一
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜太
(72)【発明者】
【氏名】松平 啓佑
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079358(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/020993(WO,A1)
【文献】特開2008-244033(JP,A)
【文献】特開平03-106011(JP,A)
【文献】実開昭55-149941(JP,U)
【文献】特開2019-186271(JP,A)
【文献】特開2019-186245(JP,A)
【文献】特開平03-225912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/10
H01G 9/00
H01G 9/048
H01G 9/08
H01G 9/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、第1の挿通孔部を有し前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記第1の挿通孔部から導出する端子リードとを含むコンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置され、前記端子リードを挿通させて基板実装面側に露出させる第2の挿通孔部を有する台座と、
前記台座と前記封口部材の間に配置される樹脂層と、
を備え、
前記樹脂層は、前記台座の面と前記封口部材の外側面の間に形成され、前記コンデンサ本体と前記台座とを密着させ、
前記台座は、前記第2の挿通孔部を囲う第1の突出部を含み、前記台座の前記第2の挿通孔部が挿通孔を形成し、または、前記封口部材は、前記第1の挿通孔部を囲むとともに前記台座に接触する第2の突出部を含み、前記台座の前記第2の挿通孔部と前記第2の突出部により囲まれている前記第1の挿通孔部とが挿通孔を形成し、
前記樹脂層は、前記第1の突出部または前記第2の突出部に隣接し、
前記挿通孔の前記基板実装面側の開口距離が、前記コンデンサ本体側の開口距離よりも大きいことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記樹脂層は、さらに前記挿通孔の内部に備えられ、前記挿通孔の内表面と前記端子リードの間の隙間を埋めることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記挿通孔は、前記挿通孔の内側面に段部または傾斜面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記端子リードよりも外側における開口距離の差は、前記端子リードよりも中心側における開口距離の差よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
外装ケースと、第1の挿通孔部を有し前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記第1の挿通孔部から導出する端子リードとを含むコンデンサ本体を作製する工程と、
第2の挿通孔部を有する台座を作製する工程と、
前記台座を前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置するとともに、前記端子リードを前記第2の挿通孔部に挿通させて基板実装面側に露出させる工程と
前記台座と前記封口部材の間に配置されるとともに、第1の突出部または第2の突出部に隣接する樹脂層を形成する工程と
を備え、
前記樹脂層は、前記台座の面と前記封口部材の外側面の間に形成され、前記コンデンサ本体と前記台座とを密着させ、
前記台座の作製において、前記台座に前記第2の挿通孔部を囲う前記第1の突出部を形成して、前記台座の前記第2の挿通孔部が挿通孔を形成し、または、前記コンデンサ本体の作製において、前記封口部材に前記第1の挿通孔部を囲むとともに前記台座に接触するための高さを有する前記第2の突出部を形成して、前記台座の前記第2の挿通孔部と前記第2の突出部により囲まれている前記第1の挿通孔部とが挿通孔を形成し、
前記挿通孔の前記基板実装面側の開口距離が、前記コンデンサ本体側の開口距離よりも大きいことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂層は、さらに前記挿通孔の内部に備えられ、前記挿通孔の内表面と前記端子リードの間の隙間を埋めることを特徴とする請求項に記載のコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板などの配線板に実装可能なコンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサを回路基板などの配線板に実装するには、コンデンサがたとえば台座を備えている。コンデンサの端子リードは台座の外側面(基板実装面)に引き出されて折り曲げられ、たとえば配線板にはんだ付けされる。このような実装に用いられるコンデンサは、表面実装型のコンデンサと呼ばれている。この表面実装型のコンデンサの汎用性は高く、たとえば自動車に用いられる。
【0003】
コンデンサが自動車内などの屋外に設置されると、コンデンサの設置周囲の環境温度が上昇する。このため、コンデンサは、高温度環境に耐える必要がある。たとえば、コンデンサの封口体と台座の間に樹脂層を形成し、コンデンサの密閉性が高められる(たとえば、特許文献1)。斯かる構成によれば、コンデンサの耐熱性を向上させることができる。この台座を設けたコンデンサでは、台座に挿通孔が形成され、コンデンサの端子リードが挿通孔を通って台座の外側、つまり、基板実装面側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-245121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂層は、たとえば熱硬化性樹脂を加熱および硬化させることにより形成される。加熱された熱硬化性樹脂は、硬化直前に粘度が下がる特性を有している。端子リードと台座の間に配置されている低い粘度の熱硬化性樹脂は、毛細管現象により台座の外側に向かう方向に力を受けることになる。また、液状の樹脂を注入して封口体と台座の間に樹脂層を形成する場合、端子リードと台座の間の隙間に到達した液状の樹脂が、毛細管現象により台座の外側に向かう方向に力を受けることになる。この力を受けた樹脂が、台座の外側に向かって移動すると、台座の外側に配置された端子リードの周辺に樹脂が付着し、端子リードのはんだ付けの妨げとなる可能性がある。
【0006】
特許文献1は斯かる課題を開示も示唆もしておらず、特許文献1に開示された構成は斯かる課題を解決することができない。
【0007】
そこで、本開示の技術は、たとえば毛細管現象により端子リードと台座の間の樹脂に作用する力を抑制することを第1の目的とする。
【0008】
また、本開示の技術は、たとえば毛細管現象による端子リードと台座の間の樹脂の台座の外側までの移動を抑制することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の第1の側面によれば、コンデンサは、コンデンサ本体と台座と樹脂層とを備える。コンデンサ本体は、外装ケースと、第1の挿通孔部を有し前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記第1の挿通孔部から導出する端子リードとを含む。台座は、前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置され、前記端子リードを挿通させて基板実装面側に露出させる第2の挿通孔部を有する。樹脂層は、前記台座と前記封口部材の間に配置される。前記樹脂層は、前記台座の面と前記封口部材の外側面の間に形成され、前記コンデンサ本体と前記台座とを密着させる。前記台座は、前記第2の挿通孔部を囲う第1の突出部を含み、前記台座の前記第2の挿通孔部が挿通孔を形成し、または、前記封口部材は、前記第1の挿通孔部を囲むとともに前記台座に接触する第2の突出部を含み、前記台座の前記第2の挿通孔部と前記第2の突出部により囲まれている前記第1の挿通孔部とが挿通孔を形成する。前記樹脂層は、前記第1の突出部または前記第2の突出部に隣接する。前記挿通孔の前記基板実装面側の開口距離が、前記コンデンサ本体側の開口距離よりも大きい。上記コンデンサにおいて、前記樹脂層は、さらに前記挿通孔の内部に備えられ、前記挿通孔の内表面と前記端子リードの間の隙間を埋めてもよい。
【0010】
上記コンデンサにおいて、前記挿通孔は、前記挿通孔の内側面に段部または傾斜面を有していてもよい。
【0011】
上記コンデンサにおいて、前記端子リードよりも外側における開口距離の差は、前記端子リードよりも中心側における開口距離の差よりも小さくてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本開示の第2の側面によれば、コンデンサの製造方法は、外装ケースと、第1の挿通孔部を有し前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記第1の挿通孔部から導出する端子リードとを含むコンデンサ本体を作製する工程と、第2の挿通孔部を有する台座を作製する工程と、前記台座を前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置するとともに、前記端子リードを前記第2の挿通孔部に挿通させて基板実装面側に露出させる工程と、前記台座と前記封口部材の間に配置されるとともに、第1の突出部または第2の突出部に隣接する樹脂層を形成する工程とを備える。前記樹脂層は、前記台座の面と前記封口部材の外側面の間に形成され、前記コンデンサ本体と前記台座とを密着させる。前記台座の作製において、前記台座に前記第2の挿通孔部を囲う前記第1の突出部を形成して、前記台座の前記第2の挿通孔部が挿通孔を形成し、または、前記コンデンサ本体の作製において、前記封口部材に前記第1の挿通孔部を囲むとともに前記台座に接触するための高さを有する前記第2の突出部を形成して、前記台座の前記第2の挿通孔部と前記第2の突出部により囲まれている前記第1の挿通孔部とが挿通孔を形成する。前記挿通孔の前記基板実装面側の開口距離が、前記コンデンサ本体側の開口距離よりも大きい。
【0013】
上記コンデンサの製造方法において、前記樹脂層は、さらに前記挿通孔の内部に備えられ、前記挿通孔の内表面と前記端子リードの間の隙間を埋めてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示の技術によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0015】
(1) 挿通孔の基板実装面側の開口距離がコンデンサ本体側の開口距離よりも大きい。そのため、挿通孔の基板実装面側の部分において、毛細管現象による液面の上昇作用(以下、「毛細管現象による作用」という)を抑制することができる。端子リードと台座の間に配置される液状または低粘度の樹脂に作用する力を抑制できる。
【0016】
(2) 液状または低粘度の樹脂が毛細管現象により台座の外側(基板実装面)に移動することを抑制できる。
【0017】
(3) 毛細管現象により台座の外側(基板実装面)に移動した樹脂が端子リードのはんだ付けの妨げとなることを抑制できる。
【0018】
(4) 毛細管現象による樹脂の移動により、コンデンサに充填された樹脂の量が減少することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係るコンデンサの一例を示す断面図である。
図2】コンデンサの台座を示す図である。
図3図2のAにおけるa-a線断面図である。
図4】台座の斜視図である。
図5】コンデンサの効果を説明するための図である。
図6】第2の実施の形態に係るコンデンサの一例を示す断面図である。
図7】変形例に係るコンデンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施の形態等を説明する。

第1の実施の形態
【0021】
図1のAは、第1の実施の形態に係るコンデンサの一例を示す断面図であり、図1のBは、図1のAの部分的な拡大図である。図1のAにおいて、コンデンサ本体の一部が省略されている。図2のAは、コンデンサの台座の平面図であり、コンデンサ本体に設置される本体設置面であって、台座の封口部材側の面部を示している。図2のBは、台座の底面図であり、本体設置面の対向面であって、台座の外側面(基板実装面)を示している。図3は、図2のAにおけるa-a線断面を示している。図4のAおよび図4のBは、台座の斜視図である。図2のAに示されている台座には、台座の説明のために仮想線L1、中間点Oおよび中心線L2が付加されている。図1ないし図4に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。
【0022】
コンデンサ2は電子部品の一例であり、たとえば電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサである。このコンデンサ2はコンデンサ本体4と台座6と樹脂層8-1、8-2とを備えている。台座6はコンデンサ本体4に設置され、樹脂層8-1は台座6とコンデンサ本体4の間の隙間に配置され、樹脂層8-2は台座6に形成された挿通孔の内部に配置されている。コンデンサ2は回路基板などの配線板に実装可能である。
【0023】
コンデンサ本体4は、単体でコンデンサとして用いることができる。このコンデンサ本体4は、外装ケース10とコンデンサ素子12と封口部材14とを備えている。外装ケース10内にコンデンサ素子12が封入され、外装ケース10の開口部に封口部材14が取付けられている。
【0024】
外装ケース10は、たとえば有底筒状のアルミニウムケースである。外装ケース10の開口の先端部はほぼ直角に折り曲げられ、そのため外装ケース10の底とは反対側の端部(以下、「開放端」という)は、平坦面を有している。
【0025】
コンデンサ素子12は、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回させた巻回素子であって、同一素子面より端子リード16-1、16-2が導出している。このコンデンサ素子12には、電解液を含浸させている。
【0026】
端子リード16-1、16-2は、たとえば導電性のよい金属で形成されている。端子リード16-1は陽極側端子であって、コンデンサ素子12の陽極箔から引き出されるリード部と配線板に実装される端子部とを備える。リード部と端子部は、溶接等により接続され一体化されている。端子リード16-2は陰極側端子であって、コンデンサ素子12の陰極箔から引き出されるリード部と配線板に実装される端子部とを備える。端子リード16-1と同様に、リード部と端子部は溶接等により接続されて一体化されている。リード部はたとえば円柱状であり、端子部は、たとえば配線板への実装面側を平坦化し、断面を矩形形状にしたものである。
【0027】
封口部材14は、たとえば絶縁性ゴムで形成されている。封口部材14は端子リード16-1、16-2に対応する位置に第1の挿通孔部17-1、17-2(以下、「挿通孔部17-1、17-2」という)を有している。コンデンサ素子12の端子リード16-1、16-2が封口部材14の挿通孔部17-1、17-2を貫通し、コンデンサ本体4の外側に露出している。
【0028】
台座6は、コンデンサ本体4の封口部材14側に設置されている。台座6は絶縁合成樹脂などの絶縁板で形成されている。この絶縁合成樹脂は、配線板に実装する際の加熱に耐える程度の耐熱性を有していればよく、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ユリア樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂である。台座6は、第2の挿通孔部18-1、18-2(以下、「挿通孔部18-1、18-2」という)と、第1の突出部20(以下、「突出部20」という)と、周壁22と、ガイド溝24-1、24-2とを備えている。また、台座6は、図2のAに示すように、支持突部26-1、26-2と、樹脂注入孔30と、貫通孔32と、遮蔽部34とを備え、図2のBに示すように、段部36、38と、支持部40とを備えている。
【0029】
挿通孔部18-1、18-2は、端子リード16-1、16-2に対応する位置に形成されている孔である。コンデンサ本体4から突出している一対の端子リード16-1、16-2は、台座6に形成された一対の挿通孔部18-1、18-2を貫通し、台座6の外側面側、つまり台座6の基板実装面側に引き出されている。挿通孔部18-1、18-2は、端子リード16-1、16-2の端子部を通すための挿通孔を単独で形成している。
【0030】
挿通孔部18-1、18-2は段部42を有し、そのため挿通孔の基板実装面側の開口距離D1はコンデンサ本体4側の開口距離D2よりも大きくなっている。段部42は、挿通孔部18-1、18-2の内側面に形成され、コンデンサ2の中心部側に配置されている段部42-1と、コンデンサ2の側部側に配置されている段部42-2とを含んでいる。段部42-1の幅W1は、段部42-2の幅W2よりも広くなっている。幅W2が小さいので、挿通孔部18-1、18-2と樹脂層8-1の間の突出部20の厚さが抑制され、突出部20が封口部材14に対向している面の面積が抑制されている。また、幅W1が大きいので、毛細管現象による作用がいっそう抑制されている。
【0031】
また、開口距離D2が小径に維持され、コンデンサ本体4側において端子リード16-1、16-2と挿通孔部18-1、18-2の間の隙間が小さくなる。そのため、挿通孔部18-1、18-2を通って台座6の外側(基板実装面)に移動する樹脂の量を抑制できる。樹脂注入後かつ樹脂硬化終了前のコンデンサ2では、樹脂層8-1を形成する樹脂の表面と、樹脂層8-2を形成する樹脂の表面の高さが異なることがある。たとえば、樹脂層8-1を形成する樹脂は、台座6とコンデンサ本体4の間の隙間に充填されるため、その表面は台座6のコンデンサ本体4側の表面(本体設置面)と同じ程度の高さとなる。一方で、樹脂層8-2を形成する樹脂の表面は、樹脂層8-1を形成する樹脂の表面より、たとえばコンデンサ本体4側に低い位置となる。樹脂の表面の高さが異なるこのようなコンデンサ2において、樹脂層8-1を形成する樹脂と、樹脂層8-2を形成する樹脂が連通している場合、重力により樹脂の二つの表面が均一化しようとする作用が働く。つまり、表面が高い樹脂層8-1を形成する樹脂の一部が樹脂の連通部分を介して、挿通孔部18-1、18-2に移動しようとする。しかしながら、開口距離D2が小径であるので、挿通孔部18-1、18-2に移動する樹脂の量を抑制できる。
【0032】
さらに、段部42の形成により挿通孔(挿通孔部18-1、18-2)の基板実装面側の開口距離D1がコンデンサ本体4側の開口距離D2より大きいので、挿通孔に移動してきた樹脂の収容容積を挿通孔の基板実装面側に確保できる。前述同様、樹脂の表面の高さが異なるコンデンサ2において、重力による表面の均一化により、挿通孔内の樹脂がガイド溝24-1、24-2側に移動しようとする。しかしながら、段部42により樹脂の収容容積が大きいと、樹脂のガイド溝24-1、24-2側への移動が抑制され、樹脂がはんだ付けの妨げとなることを抑制できる。
【0033】
段部42から台座6の基板実装面までの距離D3は、段部42から突出部20の表面まで、つまりコンデンサ本体4側の表面までの距離D4よりも大きくなっている。つまり、大きな開口距離を有する部分の割合が50%よりも高く、そのため毛細管現象による作用を抑制する部分の占有割合が高められている。距離D4は、たとえば挿通孔部18-1、18-2と樹脂層8-1の間を隔てている突出部20の最も薄い部分の厚さと同程度まで薄くてもよい。距離D4は、樹脂から加えられる圧力に対抗するために必要な厚さ以上の距離である。
【0034】
段部42よりもコンデンサ本体4側において、挿通孔部18-1、18-2の断面(以下、「本体側断面」という)の形状は、図2のAに示すように、たとえば角が丸められている長方形である。段部42よりも基板実装面側において、挿通孔部18-1、18-2の断面(以下、「実装面側断面」という)の形状は、図2のBに示すように、たとえば一部が重なる二つの円により形成される形状である。この二つの円は異なる大きさを有し、大きな円は本体側断面を含んでいる。二つの円のうちの小さな円は、大きな円よりも、コンデンサ2の中心側に配置されている。全体として、実装面側断面の端部43-1は、本体側断面の端部43-2から外側に離れた位置に配置されている。実装面側断面の端部43-1と本体側断面の端部43-2の間には、段部42がいずれの部分においても配置されている。
【0035】
突出部20は、台座6の本体設置面に設置されている。突出部20は、挿通孔部18-1、18-2の周囲に形成され、挿通孔部18-1、18-2を囲っている。突出部20は、封口部材14に対向し、突出部20に隣接する樹脂層8-1と挿通孔部18-1、18-2とを隔てている。突出部20の高さは、たとえば封口部材14の外側面と台座6の本体設置面との間の高低差H(図1のB)に設定されている。突出部20の高さが高低差Hであると、外装ケース10の開放端と台座6とが接触するとともに、台座6の突出部20と封口部材14とが接触する。外装ケース10および突出部20が支持部として機能することにより、台座6の設置が安定するとともにコンデンサ本体4が周囲部と中央部の両方で支持される。また、封口部材14に接触する突出部20は、樹脂層8-1の形成のために台座6と封口部材14の間に注入される樹脂が挿通孔部18-1、18-2に侵入するのを高い水準で抑制することができる。
【0036】
突出部20の高さは、高低差Hよりも低くてもよく、高くてもよい。高低差Hよりも低い突出部20は、樹脂層8-1を形成する樹脂が挿通孔部18-1、18-2に侵入するのを抑制することができる。また、突出部20と封口部材14の間に隙間が形成され、この隙間により台座6の挿通孔部18-1、18-2への空気および樹脂の流路を形成することができる。高低差Hよりも高い突出部20は、封口部材14と接触し、台座6と封口部材14の間に注入される樹脂が挿通孔部18-1、18-2に侵入するのを高い水準で抑制することができる。外装ケース10の開放端と台座6の間に隙間が形成され、この隙間により空気の流路を形成することができる。
【0037】
突出部20は、たとえば図2のAに示すように、長手方向の中央部にくびれを有するほぼ矩形の形状を有している。突出部20は、長手方向の中央部に後退部44を有し、この後退部44がくびれを形成している。突出部20は、長手方向の端部に平坦部46を有している。突出部20は、たとえば、図2のAに示されている仮想線L1に対して対称な外形を有し、図2のAに示されている中心線L2に対して対称な形状を有している。仮想線L1は、挿通孔部18-1と挿通孔部18-2を結ぶ線であり、中心線L2は、挿通孔部18-1と挿通孔部18-2の中間点Oを通り仮想線L1に直交する線である。
【0038】
突出部20は、封口部材14と対向する表面に溝部48、50を有している。溝部48は、挿通孔部18-1と挿通孔部18-2の間の中間部の高さを一部低くするように形成され、樹脂注入孔30側と貫通孔32側の間に延びて樹脂通路を形成する。溝部48は、溝部48の幅に応じて溝部48を流れる樹脂の流量を調整することができる。
【0039】
溝部50は、突出部20の平坦部46から挿通孔部18-1、18-2に延びて通気路を形成する。溝部50は、樹脂注入により押し出される空気を、溝部50を通して外部に排出することができる。溝部50は、樹脂層8-2の形成のために、注入された樹脂の一部を通過させて、樹脂を挿通孔部18-1、18-2に到達させてもよい。溝部50の幅、深さ、設置間隔または設置個数は、たとえば空気の通過および樹脂の侵入抑制を考慮して適宜に設定される。溝部50は、たとえば突出部20の貫通孔32側の面にのみ形成される。そのため、樹脂が直接溝部50を通って挿通孔部18-1、18-2に流れることが抑制される。つまり、樹脂注入孔30から注入された樹脂は、注入圧力により封口部材14と台座6との間の空間のうち突出部20の貫通孔32側の空間に流れ、その後、当該空間に充填された樹脂の押圧力によって溝部50に樹脂が押し込まれるため、注入圧力より低い圧力で溝部50に樹脂を流すことができる。そのため、台座6の実装面まで樹脂が流れ込み、端子リード16-1、16-2と配線板との接続性に影響を与えることがない程度に、挿通孔部18-1、18-2に流れる樹脂量を調整できる。
【0040】
周壁22は、台座6の周囲部であって外装ケース10の開放端の外側に配置され、外装ケース10の開放端を囲っている。周壁22の内側面は、有底筒状の外装ケース10の外周に沿わせるため、円形状を有する。周壁22は、図3に示すように、突出部20より高くてもよく、突出部20と同じ高さまたは突出部20より低くてもよい。
【0041】
ガイド溝24-1、24-2は、台座6の基板実装面に形成され、第2の挿通孔部18-1、18-2から外側に延びている。端子リード16-1、16-2の端子部は、ガイド溝24-1、24-2に沿って相反方向に折り曲げられて、ガイド溝24-1、24-2に配置されている。そのため、ガイド溝24-1、24-2は、端子リード16-1、16-2の端子部をガイドする。なお、ガイド溝24-1、24-2に代えて、ガイド突起を台座6の基板実装面に設けてもよい。ガイド溝24-1、24-2またはガイド突起により実装時のコンデンサ2の安定性を確保することができる。
【0042】
支持突部26-1、26-2は、外装ケース10の開放端を支持する突出部の一例であって、樹脂層8-1に隣接し、台座6が外装ケース10の開放端に接触する位置に部分的に形成される。支持突部26-1、26-2は、図2のAに示すように、台座6の本体設置面であって周壁22よりも台座6の内側に形成されている。支持突部26-1は幅を有する円弧形状を有し、樹脂注入孔30および突出部20の外側を円弧状に覆っている。支持突部26-2は円形状を有し、貫通孔32の外側に配置されている。支持突部26-1、26-2の形成部分では、外装ケース10の開放端が支持突部26-1、26-2に接触し、支持突部26-1、26-2の分断部分では、外装ケース10の開放端が台座6から離間し、外装ケース10の開放端と台座6の間に隙間が形成される。この外装ケース10の開放端と台座6の間の隙間は、台座6の周壁22と外装ケース10の外周面の間に樹脂を流入するための樹脂経路を形成する。
【0043】
樹脂注入孔30は、図2のAに示すように、中心線L2上に形成される。樹脂注入孔30は樹脂の注入に用いられる挿通孔の一例であり、挿通孔部18-1、18-2から等距離に形成されている。
【0044】
貫通孔32は、図2のAに示すように、中心線L2上に形成される。貫通孔32は、たとえば樹脂注入において樹脂が最後に流れ込む終端部に形成され、樹脂の注入経路に沿って終端部に到達した樹脂の確認に用いられる。この貫通孔32は、樹脂の注入により押し出される空気の排出にも用いられ、貫通孔32により樹脂の充填状態の確認が容易になるとともに、空気の排出が容易になる。
【0045】
遮蔽部34は、貫通孔32の周囲部であって、貫通孔32と樹脂注入孔30の間に配置されている。遮蔽部34は、樹脂注入孔30から注入される樹脂が貫通孔32の樹脂注入孔30側から貫通孔32に侵入するのを抑制する。つまり、遮蔽部34は、樹脂が樹脂層8-1の形成領域に行き渡る前に貫通孔32が樹脂で埋まることを抑制する。遮蔽部34は、貫通孔32の周囲の一部、たとえば3分の2を囲っている。遮蔽部34は、貫通孔32の周囲の50パーセント以上を囲うことが好ましく、66パーセント以上を囲うことが望ましい。たとえば、図2のAに示すように、貫通孔32の周囲のたとえば10パーセントが遮蔽部34に囲われず、開口していればよい。
【0046】
段部36は、図2のBに示すように、台座6の基板実装面であって、樹脂注入孔30の周りに形成されている。段部36は、たとえば樹脂注入の際に樹脂注入孔30に接続される樹脂注入装置の位置合わせに用いられる。段部36は、樹脂注入孔30の近傍の樹脂が台座6の基板実装面よりも突出しないようにするための空間を提供する。
【0047】
段部38は、図2のBに示すように、台座6の基板実装面であって、貫通孔32の周りに形成されている。段部38は、貫通孔32の近傍の樹脂が台座6の基板実装面よりも突出しないようにするための空間を提供する。
【0048】
支持部40は、図2のBに示すように、台座6の基板実装面であって、台座6の角部の近傍に形成されている。支持部40は、コンデンサ2が配線板に実装された状態において、点接触によりコンデンサ2の姿勢を安定させることができる。
【0049】
樹脂層8-1は、突出部20の外側でありかつ外装ケース10の開放端の内側であって、台座6と封口部材14の間に備えられる。この樹脂層8-1は、コンデンサ本体4と台座6とを密着させ、台座6とともに封口部材14の外側面を封止する。樹脂層8-2は、挿通孔部18-1、18-2の内部に備えられる。この樹脂層8-2は、挿通孔部18-1、18-2の内表面と端子リード16-1、16-2の間の隙間を埋める。そのため、密封性が高まり挿通孔部18-1、18-2を通るガスの量が抑制される。樹脂注入孔30から注入された樹脂が挿通孔部18-1、18-2内に到達して、樹脂層8-2が形成されてもよく、台座6の基板実装面から樹脂が付加され、樹脂層8-2が形成されてもよい。
【0050】
樹脂層8-1、8-2を形成する樹脂は、たとえば封口部材14の外側を封止する封止樹脂であって、充填時には液状であるが、充填後に固化する。充填時には、液状の樹脂がコンデンサ本体4と台座6の間の隙間と、挿通孔部18-1、18-2の内部の一部を満たし、充填後には、樹脂が固化して樹脂層8-1、8-2を形成する。樹脂層8-1、8-2を形成する樹脂は、台座6、外装ケース10および封口部材14に対して親和性があり、気体の遮断性を有すればよく、アルミニウムの線膨張係数(約23×10-6/℃)に近い線膨張係数を有し、硬化する際の収縮量が少なく、非吸湿性を有することが好ましい。樹脂は、たとえばエポキシ樹脂、アルキッド系樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂であればよい。また、エポキシ樹脂は、たとえば酸無水物を用いた二液混合型のエポキシ樹脂であってもよいし、一液型のエポキシ樹脂であってもよい。
〔コンデンサの製造工程〕
【0051】
コンデンサの製造工程は、本開示のコンデンサの製造方法の一例であって、この製造工程は、コンデンサ本体4の形成工程、台座6の形成工程、台座6をコンデンサ本体4に取付ける取付工程、端子リード16-1、16-2の成形工程、および樹脂の注入工程を含む。
【0052】
コンデンサ本体4の形成工程では、先ず、端子リード16-1を接続した陽極箔と端子リード16-2を接続した陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回して、コンデンサ素子12を形成する。コンデンサ素子12に電解液を含浸させ、このコンデンサ素子12を外装ケース10に封入後、外装ケース10の開口部に封口部材14が取付けられ、コンデンサ本体4が形成される。外装ケース10は、たとえばアルミニウムから形成される。
【0053】
台座6の形成工程では、台座6を絶縁合成樹脂から既述の形状に形成する。なお、本実施の形態では、コンデンサ素子12に電解液を含浸して電解コンデンサを形成したが、これに限らず、導電性高分子を含浸させて固体電解質層を形成したコンデンサ素子12を用いて固体電解コンデンサとしてもよいし、導電性高分子を含浸したコンデンサ素子12に電解液を含浸させるハイブリッド型コンデンサとしてもよい。
【0054】
台座6の取付工程では、台座6の挿通孔部18-1、18-2にコンデンサ本体4の端子リード16-1、16-2を貫通させる。そして、台座6を移動させて台座6をコンデンサ本体4の封口部材14側に取付ける。この取付工程では、台座6の突出部20を封口部材14側に配置させる。
【0055】
端子リード16-1、16-2の成形工程では、端子リード16-1、16-2が台座6のガイド溝24-1、24-2に沿って折り曲げられ、端子リード16-1、16-2の端子部がガイド溝24-1、24-2に配置される。この成形工程により、台座6がコンデンサ本体4に固定される。
【0056】
樹脂の注入工程では、台座6の樹脂注入孔30から注入された液状の樹脂が、コンデンサ本体4と台座6の間の隙間に充填される。樹脂は、樹脂注入孔30の周囲に広がるとともに、突出部20と支持突部26-1の間の隙間または溝部48を通って貫通孔32側に流れて、貫通孔32および遮蔽部34の周囲に広がる。また、樹脂の一部は、支持突部26-1の端の外側を通ってコンデンサ本体4の外側に流れる。また、樹脂の一部は、溝部50を通って挿通孔部18-1、18-2の内部に流れてもよい。注入された樹脂がコンデンサ本体4と台座6の間で樹脂層8-1を形成し、挿通孔部18-1、18-2の内部において樹脂層8-2を形成する。樹脂注入にはたとえばディスペンサなどの樹脂注入装置が用いられる。
【0057】
第1の実施の形態によれば、次のような作用または効果が得られる。
【0058】
(1) 挿通孔の基板実装面側の開口距離D1がコンデンサ本体4側の開口距離D2よりも大きい。そのため、基板実装面側において、毛細管現象により挿通孔内部の樹脂に作用する力を抑制できる。樹脂層8-1、8-2の形成のためにたとえば熱硬化性樹脂が用いられる場合、硬化直前に粘度が低下した熱硬化性樹脂が、基板実装面側方向の力を受けることが抑制される。
【0059】
(2) 挿通孔内部の樹脂が毛細管現象により台座の外側に移動することを抑制できる。そのため、樹脂が台座の外側(基板実装面)に配置された端子リードの周囲に配置されることが抑制でき、樹脂が端子リードのはんだ付けの妨げとなることが抑制できる。
【0060】
(3) 樹脂の移動が抑制できるので、充填された樹脂の量の減少を抑制できる。樹脂充填量の低下やばらつきが抑制され、コンデンサの品質を一様にすることができる。
【0061】
(4) 挿通孔部18-1、18-2の開口距離が全体的に広げられていると、図5に示すように、端子リード16-1、16-2の端子部が端子部の折り曲げ方向に根元から傾斜する可能性がある。この場合、図5に示されている丸い破線で囲われた部分では、端子リード16-1、16-2と挿通孔部18-1、18-2の間の隙間が狭くなり、毛細管現象が発生し易くなる。挿通孔部18-1、18-2の段部42は、このような端子部の根元からの傾斜を抑制することができ、毛細管現象を抑制することができる。

第2の実施の形態
【0062】
図6は、第2の実施の形態に係るコンデンサの一例を示す断面図である。図6において、コンデンサ本体の一部が省略されている。図6において図1と同一部分には同一符号を付してある。図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。
【0063】
第1の実施の形態のコンデンサ2は、台座6に形成された突出部20を含んでいるが、第2の実施の形態のコンデンサ62は、突出部20の代わりに、封口部材68に形成された第2の突出部72を含んでいる。
【0064】
コンデンサ62は電子部品の一例であり、たとえば電解コンデンサや電気二重層コンデンサである。このコンデンサ62はコンデンサ本体64と台座66と樹脂層8-1、8-2とを備えている。台座66はコンデンサ本体64に設置され、樹脂層8-1は台座66とコンデンサ本体64の間の隙間に配置され、樹脂層8-2は台座66および封口部材68により形成された挿通孔の内部に配置されている。
【0065】
コンデンサ本体64は、封口部材14を除いて第1の実施の形態で既述したコンデンサ本体4と同じである。コンデンサ本体64は、封口部材14の代わりに封口部材68を含んでいる。封口部材68を除いてコンデンサ本体64の説明を省略する。
【0066】
封口部材68は、たとえば絶縁性ゴムで形成されている。封口部材68は第1の挿通孔部70-1、70-2(以下、「挿通孔部70-1、70-2」という)と、第2の突出部72(以下、「突出部72」という)とを備えている。
【0067】
挿通孔部70-1、70-2は端子リード16-1、16-2に対応する位置に形成されている。コンデンサ素子12の端子リード16-1、16-2が封口部材68の挿通孔部70-1、70-2を貫通し、コンデンサ本体64の外側に露出している。
【0068】
突出部72は、封口部材68の外側面に設置されている。突出部72は、挿通孔部70-1、70-2の周囲に形成され、挿通孔部70-1、70-2を囲っている。突出部72は、台座66に接触し、突出部72に隣接する樹脂層8-1と挿通孔部70-1、70-2とを隔てている。
【0069】
台座66は、突出部20を除いて第1の実施の形態で既述した台座6と同じである。台座66は、第1の実施の形態で既述し突出部20を含まない。そのため、台座66において、挿通孔部18-1、18-2は、台座6の板厚の範囲内に形成されている。
【0070】
挿通孔部70-1、70-2は、それぞれ台座66の挿通孔部18-1、18-2に接続している。挿通孔部18-1、18-2と、挿通孔部70-1、70-2の突出部72により囲まれている部分は、端子リード16-1、16-2の端子部のための挿通孔を形成している。挿通孔部18-1、18-2および挿通孔部70-1、70-2により形成される挿通孔は、第1の実施の形態で既述した挿通孔部18-1、18-2により形成される挿通孔と同様の形状とすることができ、たとえば第1の実施の形態で既述した段部42を有している。
【0071】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で既述した作用または効果が得られる。
【0072】
上記実施の形態について、特徴事項、利点または変形例等を以下に列挙する。
【0073】
(1) 上記第1の実施の形態では、挿通孔部18-1、18-2により形成される挿通孔は、挿通孔の基板実装面側の開口距離D1がコンデンサ本体4側の開口距離D2よりも大きくなるように、段部42を有している。しかしながら、挿通孔の形状は、上記第1の実施の形態で既述した形状に限定されない。たとえば、図7に示すように、挿通孔部74により形成される挿通孔が段部42の代わりに傾斜面76を有し、挿通孔の基板実装面側の開口距離D1がコンデンサ本体4側の開口距離D2よりも大きくされていてもよい。同様に、上記第2の実施の形態において、挿通孔が段部42の代わりに図7に示されている傾斜面76を有していてもよい。また、挿通孔が、階段状に形成された複数の段部を有していてもよい。
【0074】
(2) 上記実施の形態では、段部42-1の幅W1は、段部42-2の幅W2よりも広くなっている。しかしながら、幅W1は幅W2と同じ幅でもよく、幅W1は幅W2よりも狭くてもよい。
【0075】
(3) 上記実施の形態では、段部42から台座6の基板実装面までの距離D3は、段部42から突出部20の表面までの距離D4よりも大きくなっている。しかしながら、距離D3は距離D4と同じ距離でもよく、距離D3は距離D4よりも小さくてもよい。
【0076】
(4) 台座6、66、樹脂層8-1、8-2、外装ケース10および封口部材14、68の形成材料は、上記材料に限定されることなく、適宜変更してもよい。台座6、66が透明または半透明であり、樹脂層8-1、8-2が有色であるのが好ましい。たとえばポリカーボネート(PC)樹脂を用いることで、台座6、66を透明または半透明にすることができる。これらの台座6、66および樹脂層8-1、8-2を用いることで、台座6、66の基板実装面を介して樹脂の充填状態を確認することができる。
【0077】
(5) 突出部20は、挿通孔部18-1、18-2を囲えばよく、突出部72は、挿通孔部70-1、70-2を囲えばよく、既述の形状に限定されることなく、適宜変更してもよい。たとえば、台座6が二つの第1の突出部を有してもよく、この二つの第1の突出部がそれぞれ挿通孔部18-1、18-2を囲ってもよい。封口部材68が二つの第2の突出部を有してもよく、この二つの第2の突出部がそれぞれ挿通孔部70-1、70-2を囲ってもよい。また、溝部48、50は、必要に応じて設置してもよい。
【0078】
(6) 上記実施の形態では、台座6、66に樹脂注入孔30が形成され、台座6、66をコンデンサ本体4、64に設置後に樹脂を注入し、樹脂層8-1、8-2を形成しているが、適宜変更してもよい。コンデンサ本体4、64または台座6、66に樹脂を付着させ、その後台座6、66をコンデンサ本体4、64の封口部材14、68側に取付けるとともに、樹脂をコンデンサ本体4、64と台座6、66の間に行き渡らせて、コンデンサ本体4、64と台座6、66の間の隙間を樹脂で満たしてもよい。コンデンサ本体4、64と台座6、66の間の隙間を満たす樹脂が樹脂層8-1を形成することになる。斯かる構成によれば、樹脂注入孔30を設ける必要がない。
【0079】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本開示の技術は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示の技術は、広く電子機器に利用でき、有用である。
【符号の説明】
【0081】
2、62 コンデンサ
4、64 コンデンサ本体
6、66 台座
8-1、8-2 樹脂層
10 外装ケース
12 コンデンサ素子
14、68 封口部材
16-1、16-2 端子リード
17-1、17-2、70-1、70-2 第1の挿通孔部
18-1、18-2、74 第2の挿通孔部
20 第1の突出部
22 周壁
24-1、24-2 ガイド溝
26-1、26-2 支持突部
30 樹脂注入孔
32 貫通孔
34 遮蔽部
36、38、42、42-1、42-2 段部
40 支持部
43-1、43-2 端部
44 後退部
46 平坦部
48、50 溝部
72 第2の突出部
76 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7