(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20240528BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F13/494 115
A61F13/49 312Z
(21)【出願番号】P 2020064669
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-181890(JP,A)
【文献】特開2012-213504(JP,A)
【文献】特開2010-136756(JP,A)
【文献】特開昭52-088670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、
前記股下領域を含んで配置された吸収体と、
前記吸収体の肌面側に配置されたトップシートと、
前記吸収体の非肌面側に配置され、前記トップシートよりも幅広に形成されたバックシートと、
前記吸収性物品の幅方向における前記トップシートの両側であって前記バックシートの前記肌面側に配置された一対のサイドシートと、
前記後身頃領域の前記幅方向に沿って前記幅方向に伸張した状態で接着された第1伸縮部材と、
前記バックシートと前記サイドシートの間に配置され、前記長手方向に伸張した状態で前記バックシート又は前記サイドシートの少なくともいずれかに接着された第2伸縮部材であって、前記第1伸縮部材とは重ならない領域に配置された一対の第2伸縮部材と、
を備え、
前記第2伸縮部材の伸縮方向に仮想的に延長した仮想延長線上では、前記バックシートと前記サイドシートは接合されて
おらず、
前記バックシートは、前記後身頃領域まで延在し、且つ、前記第1伸縮部材の少なくとも一部と重なるように配置されており、
前記バックシートと前記第1伸縮部材が重なる領域においては、前記バックシートの非肌面側に前記第1伸縮部材が接着されている、
吸収性物品。
【請求項2】
前記第1伸縮部材によってウェストギャザーが形成され、
前記第2伸縮部材によってレグギャザーが形成されている、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1伸縮部材は、前記バックシートよりも前記吸収性物品の幅方向の両外側に延在している、
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記前身頃領域における外装面に接合され、前記吸収性物品を前記着用者に固定するためのテープが貼着されるフィルムと、
前記後身頃領域から幅方向の両側に突設されており、前記フィルムに貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記テープと、
を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1伸縮部材は、ウレタンフォームであり、
前記第2伸縮部材は、糸ゴムである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿や体液等の液体を吸収する吸収性物品には、着用者の胴回りや脚周りに対応する部位に伸縮部材が配置されている(例えば、特許文献1)。脚周りに対応する部位に配置される伸縮部材は、吸収性物品の長手方向に伸縮するように配置され、着用者の脚周りと吸収性物品との間に隙間が形成されるのを抑制する。また、当該伸縮部材は、バックシートとサイドシートの間で着用者の股下に対応する股下領域を中心に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品においては、接着剤を塗布した伸縮部材をバックシートの肌面側で脚周りに対応する部位に配置した後、バックシートの肌面側にサイドシートを積層する。このため、当該伸縮部材の配置領域ではバックシートとサイドシートは接合されるが、当該伸縮部材の伸縮方向に仮想的に延長した仮想延長線上では、バックシートとサイドシートは接合されていない。吸収性物品の装着状態において、バックシートとサイドシートが接合されていない部分に力が作用して隙間が形成されてしまうと、当該隙間から液体が漏れてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、液体の漏れを抑制する吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、後身頃領域の幅方向に沿って前記幅方向に伸張した状態で接着された第1伸縮部材を設けた。
【0007】
詳細には、本発明は、装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記股下領域を含んで配置された吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置されたトップシートと、前記吸収体の非肌面側に配置され、前記トップシートよりも幅広に形成されたバックシートと、前記吸収性物品の幅方向における前記トップシートの両側であって前記バックシートの前記肌面側に配置された一対のサイドシートと、前記後身頃領域の前記幅方向に沿って前記幅方向に伸張した状態で接着された第1伸縮部材と、前記バックシートと前記サイドシートの間に配置され、前記長手方向に伸張した状態で前記バックシート又は前記サイドシートの少なくともいずれかに接着された第2伸縮部材であって、前記第1伸縮部材とは重ならない領域に配置された一対の第2伸縮部材と、を備え、
前記第2伸縮部材の伸縮方向に仮想的に延長した仮想延長線上では、前記バックシートと前記サイドシートは接合されていない。
【0008】
上記吸収性物品において、前記第1伸縮部材によってウェストギャザーが形成され、
前記第2伸縮部材によってレグギャザーが形成されていてもよい。
【0009】
上記吸収性物品において、前記バックシートは、前記後身頃領域まで延在し、且つ、前記第1伸縮部材の少なくとも一部と重なるように配置されており、前記バックシートと前記第1伸縮部材が重なる領域においては、前記バックシートの非肌面側に前記第1伸縮部材が接着されていてもよい。
【0010】
上記吸収性物品は、前記前身頃領域における外装面に接合され、前記吸収性物品を前記着用者に固定するためのテープが貼着されるフィルムと、前記後身頃領域から幅方向の両側に突設されており、前記フィルムに貼着された状態で前記吸収性物品を前記着用者の胴回りにおいて固定するための前記テープと、を備えていてもよい。
【0011】
上記吸収性物品において、前記第1伸縮部材は、ウレタンフォームであり、前記第2伸縮部材は、糸ゴムであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液体の漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るおむつの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るおむつの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る非装着状態のおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る伸長した状態のおむつを肌面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0015】
<実施形態>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0016】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非着用者側の面に設けられたフロントパッチ2Fへ貼着可能なテープ2L,2Rが設けられている。テープ2Lは、おむつ1の装着状態でフロントパッチ2Fに対向する面に配置されたフック部20Lを有する。同様に、テープ2Rは、おむつ1の装着状態でフロントパッチ2Fに対向する面に配置されたフック部20Rを有する。フロントパッチ2Fは、フック部20L,20Rに係合可能なループ部が表面に形成されている。また、おむつ1の幅方向におけるテープ2Lの先端部21Lは、波
線形状を有する。同様に、おむつ1の幅方向におけるテープ2Rの先端部21Rは、波線形状を有する。
【0017】
おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
【0018】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)を取り巻く部位にレグギャザー3AL,3ARが設けられ、レグギャザー3AL,3ARよりもおむつ1の幅方向内側に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。レグギャザー3AL,3AR、立体ギャザー3BL,3BR及びウェストギャザー3Rは、糸ゴムやウレタンフォーム等の弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。
【0019】
図2は、おむつ1の分解斜視図である。また、
図3は、非装着状態におけるおむつ1を、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
図4は、伸長した状態のおむつ1を肌面側から見た平面図である。なお、
図4において、一点鎖線である線C1は、おむつ1の幅方向中心を表す中心線である。おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する部位(
図4に示す脚周り領域10L,10R)に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0020】
そして、おむつ1は、カバーシート4の着用者側の面において順に積層されるバックシート5、吸収体6C、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がカバーシート4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、トップシート7は、吸収体6Cの吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6Cに進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として材用できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。
【0021】
バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6Cとトップ
シート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6Cに覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6Cに接触することになる。
【0022】
また、おむつ1は、細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する部位(
図4に示す脚周り領域10L,10R)に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには立体ギャザー3BL,3BRを形成するための糸ゴム8EL,8ERが長手方向に沿って編み込まれている。サイドシート8L,8Rは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が側面視U字状の形態になると、糸ゴム8EL,8ERの収縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRとなる。
【0023】
また、おむつ1は、上述したレグギャザー3AL,3ARを形成するための糸ゴム5SL,5SR(「第2伸縮部材」に相当)がバックシート5と
サイドシート8L,8Rの間におむつ1の長手方向に伸縮するように設けられる。糸ゴム5SL,5SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。なお、
図4に示されるように、レグギャザー3AL,3ARは、おむつ1において着用者の大腿部が位置する部位である脚周り領域10L,10Rを含んで配置されている。脚周り領域10L,10Rは、股下領域1Bの幅方向両側端部に配置される。また、糸ゴム4SL,4SRの配置領域が、レグギャザー3AL,3ARである。
【0024】
なお、カバーシート4とバックシート5の間には、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ糸ゴム4Cが厚み方向に視て糸ゴム5SL,5SRよりもおむつ1の幅方向内側でおむつ1の長手方向に沿って設けられている。糸ゴム4Cは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。
【0025】
また、上述したウェストギャザー3Rを形成するための伸縮部材9ER(「第1伸縮部材」に相当)は、吸収体6Cの端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とカバーシート4の間に設けられる。伸縮部材9ERは、伸縮方向となる長手方向がおむつ1の左右方向となる向き(幅方向)でバックシート5の非肌面側に伸張状態で接着されている。伸縮部材9ERの左右両側に設けられるテープ2L,2Rが、着用者の腹側においてフロントパッチ2Fに貼着されると、伸縮部材9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
【0026】
吸収体6Cは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体6Cでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収体6C全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収体6Cの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0027】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここ
で言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0028】
このように、本実施形態に係るおむつ1は、股下領域1Bを含んで配置された吸収体6Cと、吸収体6Cの肌面側に配置されたトップシート7と、吸収体6Cの非肌面側に配置され、トップシート7よりも幅広に形成されたバックシート5と、おむつ1の幅方向におけるトップシート7の両側であってバックシート5の肌面側に配置された一対のサイドシート8L,8Rと、後身頃領域1Rの幅方向に沿って設けられ、幅方向に伸縮する伸縮部材9ERと、バックシート5とサイドシート8L,8Rの間に配置され、おむつ1の長手方向に伸張した状態でバックシート5とサイドシート8L,8Rの間に配置された糸ゴム5SL,5SRとを備える。なお、糸ゴム5SL,5SRは、バックシート5とサイドシート8L,8Rの少なくともいずれかに接着されていればよい。
【0029】
また、
図4に示されるように、糸ゴム5SL,5SRは、伸縮部材9ERとは重ならない範囲に配置されている。ここで、糸ゴム5SL,5SRの伸縮方向(延在方向)に仮想的に延長した延長線上において、バックシート5とサイドシート8L,8Rは接合されていない。これは、おむつ1の製造工程において、接着剤を塗布した糸ゴム5SL,5SRをバックシート5の肌面側で脚周り領域10L,10Rに配置した後、バックシート5の肌面側にサイドシート8L,8Rを積層することによって、バックシート5とサイドシート8L,8Rを接合するためである。このため、糸ゴム5SL,5SRの配置領域ではバックシート5とサイドシート8L,8Rは接合されるが、糸ゴム5SL,5SRが配置されない当該延長線上である部位、すなわち、着用者の胴回りに対応する部位では、バックシート5とサイドシート8L,8Rが接合されていない。なお、糸ゴム5SL,5Sの当該延長線上以外の領域では、バックシート5とサイドシート8L,8Rは接着剤によって接合されている。
【0030】
本実施形態に係るおむつ1は、後身頃領域1Rの幅方向に沿って配置された伸縮部材9ERを備える。伸縮部材9ERは、伸長状態でバックシート5の非肌面側に接合され、幅方向に伸縮する。このため、後身頃領域1Rが幅方向外側側に引っ張られる状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、バックシート5とサイドシート8L,8Rが接合されていない部位が幅方向外側に引っ張られるので、当該部位に隙間が形成されるのを防ぐことができる。これにより、本実施形態に係るおむつ1は、当該部位から尿などの液体やSAP等がおむつの外側に漏出するのを防ぐことができる。
【0031】
本実施形態に係るおむつ1において、伸縮部材9ERは、ウレタンフォームである。また、バックシート5は、後身頃領域1Rまで延在し、且つ、おむつ1の幅方向において伸縮部材9ERの少なくとも一部と重なるように配置されている。バックシート5と伸縮部材9ERが重なる領域においては、バックシート5の非肌面側に伸縮部材9ERが接着されている。バックシート5よりも非肌面側に伸縮部材9ERが配置されているため、伸縮部材9ERによってバックシート5及びサイドシート8L,8Rを着用者の肌面側に押し付けることができ、バックシート5とサイドシート8L,8Rが接合されていない部位に隙間が形成されるのを抑制できる。なお、伸縮部材9ERは糸ゴムではなくウレタンフォームが用いられており、伸縮部材9ERは糸ゴムよりも幅広の長方形状を有し、且つ、糸ゴムよりも厚みを有している。このため、伸縮部材9ERに糸ゴムを用いた場合よりもバックシート5とサイドシート8L,8Rを着用者の肌面側に押し当てることができる。
【0032】
また、本実施形態に係るおむつ1は、テープ型である。おむつ1は、前身頃領域1Fに
おける外装面に接合され、おむつ1を着用者に固定するためのテープ2L,2Rが貼着されるフロントパッチ2Fと、後身頃領域1Rから幅方向の両側に突設されており、フロントパッチ2Fに貼着された状態でおむつ1を着用者の胴回りにおいて固定するためのテープ2L,2Rと、を備える。ここで、前身頃領域1Fにおいてもバックシート5とサイドシート8L,8Rが接合されていない部位が存在しているが、前身頃領域1Fにはフロントパッチ2Fが幅方向に撓まないように接合されており、これによって、前身頃領域1Fが幅方向に撓みにくくなっている。これにより、本実施形態に係るおむつ1は、当該部位が幅方向に撓みにくくすることで隙間が形成されるのを抑制し、尿などの液体やSAP等が当該部位から漏出するのを防ぐことができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、テープ型のおむつを例示したが、パンツ型のおむつやその他各種形態の吸収性物品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F・・フロントパッチ
2FT・・通気孔
2L,2R・・テープ
2LA,2RA・・第1面
2LB,2RB・・第2面
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
4C,5SL,5SR,8EL,8ER,9ER・・糸ゴム
5・・バックシート
6C・・吸収体
7・・トップシート
8・・サイドシート
10L,10R・・脚周り領域
20L,20R・・フック部