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特許7494546画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および、画像形成装置の制御プログラム
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  • 特許-画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および、画像形成装置の制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および、画像形成装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/21 20060101AFI20240528BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240528BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240528BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H04N1/21
G03G21/00 388
G03G21/00 500
B41J29/38 301
B41J29/38 701
B41J5/30 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020074009
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021170753
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 克智
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192603(JP,A)
【文献】特開2017-091323(JP,A)
【文献】特開2010-258626(JP,A)
【文献】特開2013-075419(JP,A)
【文献】特開2018-120490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/21
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
B41J 29/00 -29/70
B41J 5/00 - 5/52
21/00 -21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページの画像データを複数回に分けて受信可能な揮発性記憶部と、
不揮発性記憶部と、
複数ページの前記画像データのうち前記揮発性記憶部が受信した前記画像データを、シリアル信号変換部を介して前記不揮発性記憶部に転送することにより、複数ページの前記画像データを前記不揮発性記憶部に蓄積する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記揮発性記憶部が受信した前記画像データを前記不揮発性記憶部に転送した後、当該転送した前記画像データを前記揮発性記憶部から消去し、
前記制御部と前記不揮発性記憶部との間の通信が途切れたときに、前記揮発性記憶部から前記不揮発性記憶部への前記画像データの転送を中断した後、前記シリアル信号変換部を初期化するとともに前記不揮発性記憶部との通信を再開し、
前記画像データの転送を中断するときに、前記揮発性記憶部の記憶を保持しておくことにより、複数ページの前記画像データを、前記揮発性記憶部と前記不揮発性記憶部とで分けて記憶した状態とし、
前記不揮発性記憶部との通信が再開したときに、前記中断の際に前記揮発性記憶部に保存された画像データを前記不揮発性記憶部に転送させる動作を再開させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記揮発性記憶部に記憶された画像データのページの情報を管理する揮発性記憶部管理テーブルと、
前記不揮発性記憶部に蓄積された画像データのページの情報を管理する不揮発性記憶部管理テーブルと、
前記揮発性記憶部に記憶された画像データのページの情報、および、前記不揮発性記憶部に蓄積された画像データのページの情報を含むジョブ情報を管理するジョブ情報管理テーブルとを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記揮発性記憶部管理テーブルが管理する前記画像データのページの情報は、前記複数ページのうち、どのページの画像データが前記揮発性記憶部に記憶されているかを特定可能な情報であり、
前記不揮発性記憶部管理テーブルが管理する前記画像データのページの情報は、前記複数ページのうち、どのページの画像データが前記不揮発性記憶部に蓄積されているかを特定可能な情報であり、
前記ジョブ情報管理テーブルが管理する前記ジョブ情報は、前記複数ページの各ページの画像データが、前記揮発性記憶部と、前記不揮発性記憶部とのどちらに記憶されているかを特定可能な情報である、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記揮発性記憶部から前記不揮発性記憶部への画像データの転送は、バスを介して行なわれ、
前記制御部は、前記制御部と前記不揮発性記憶部との間の通信が途切れた後、前記不揮発性記憶部の通信が再開したときにおいて、前記バスの帯域情報を確認し、前記バスにおいて前記画像データの転送をする余裕がある帯域を用いて前記画像データの転送を再開し、前記不揮発性記憶部において、転送されてきた画像データを、前記画像データの転送の中断時に記憶されていた画像データに結合させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数ページの画像データを複数回に分けて受信可能な揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、複数ページの前記画像データのうち前記揮発性記憶部が受信した前記画像データを、シリアル信号変換部を介して前記不揮発性記憶部に転送することにより、複数ページの前記画像データを前記不揮発性記憶部に蓄積する制御部とを備える画像形成装置の制御方法
であって、
前記揮発性記憶部が受信した前記画像データを前記不揮発性記憶部に転送した後、当該転送した前記画像データを前記揮発性記憶部から消去するステップと、
前記制御部と前記不揮発性記憶部との間の通信が途切れたときに、前記揮発性記憶部から前記不揮発性記憶部への前記画像データの転送を中断した後、前記シリアル信号変換部を初期化するとともに前記不揮発性記憶部との通信を再開するステップと、
前記画像データの転送を中断するときに、前記揮発性記憶部の記憶を保持しておくことにより、複数ページの前記画像データを、前記揮発性記憶部と前記不揮発性記憶部とで分けて記憶した状態とするステップと、
前記不揮発性記憶部との通信が再開したときに、前記中断の際に前記揮発性記憶部に保存された画像データを前記不揮発性記憶部に転送させる動作を再開させるステップとを備える、画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
複数ページの画像データを複数回に分けて受信可能な揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、複数ページの前記画像データのうち前記揮発性記憶部が受信した前記画像データを、シリアル信号変換部を介して前記不揮発性記憶部に転送することにより、複数ページの前記画像データを前記不揮発性記憶部に蓄積する制御部とを備える画像形成装置のコンピュータを制御するための制御プログラムであって、
前記揮発性記憶部が受信した前記画像データを前記不揮発性記憶部に転送した後、当該転送した前記画像データを前記揮発性記憶部から消去するステップと、
前記制御部と前記不揮発性記憶部との間の通信が途切れたときに、前記揮発性記憶部から前記不揮発性記憶部への前記画像データの転送を中断した後、前記シリアル信号変換部を初期化するとともに前記不揮発性記憶部との通信を再開するステップと、
前記画像データの転送を中断するときに、前記揮発性記憶部の記憶を保持しておくことにより、複数ページの前記画像データを、前記揮発性記憶部と前記不揮発性記憶部とで分けて記憶した状態とするステップと、
前記不揮発性記憶部との通信が再開したときに、前記中断の際に前記揮発性記憶部に保存された画像データを前記不揮発性記憶部に転送させる動作を再開させるステップとを備える、画像形成装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および、画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像形成装置においては、画像情報をシート状記録媒体に記録する記録処理が実行される。このような画像形成装置としては、電源の瞬断等によって電源ノイズが生じるような不安定な電源環境状態となったときに、電源ノイズを検出したことに基づいて、記録処理を制限する処理を実行するものがあった。このように電源ノイズを検出したことに基づいて画像形成処理を制限する処理として、例えば、画像形成装置への電源供給を停止することにより記録処理を中止する制御が実行される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-160866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置においては、画像形成装置に備えられたハードディスク装置等の不揮発性記憶部の信号線に電源ノイズが印加されたときに、不揮発性記憶部の通信が途切れた状態となることがある。そのような状態についてまで、特許文献1に記載されたように電源供給を停止して記録処理を中止する制御を実行すると、その後に電源を再投入して画像形成装置全体を立ち上げ直す必要があり、画像形成の生産性が大幅に低下するという問題があった。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、画像形成装置に備えられた不揮発性記憶部の通信が途切れても画像形成の生産性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、画像形成装置は、複数ページの画像データを複数回に分けて受信可能な揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、複数ページの画像データのうち揮発性記憶部が受信した画像データを、シリアル信号変換部を介して不揮発性記憶部に転送することにより、複数ページの画像データを不揮発性記憶部に蓄積する制御部とを備え、制御部は、揮発性記憶部が受信した画像データを不揮発性記憶部に転送した後、当該転送した画像データを揮発性記憶部から消去し、制御部と不揮発性記憶部との間の通信が途切れたときに、揮発性記憶部から不揮発性記憶部への画像データの転送を中断した後、シリアル信号変換部を初期化するとともに不揮発性記憶部との通信を再開し、画像データの転送を中断するときに、揮発性記憶部の記憶を保持しておくことにより、複数ページの画像データを、揮発性記憶部と不揮発性記憶部とで分けて記憶した状態とし、不揮発性記憶部との通信が再開したときに、中断の際に揮発性記憶部に保存された画像データを不揮発性記憶部に転送させる動作を再開させる。
【0007】
画像形成装置は、揮発性記憶部に記憶された画像データのページの情報を管理する揮発性記憶部管理テーブルと、不揮発性記憶部に蓄積された画像データのページの情報を管理する不揮発性記憶部管理テーブルと、揮発性記憶部に記憶された画像データのページの情報、および、不揮発性記憶部に蓄積された画像データのページの情報を含むジョブ情報を管理するジョブ情報管理テーブルとを含むように構成されてもよい。
【0008】
画像形成装置は、揮発性記憶部管理テーブルが管理する画像データのページの情報は、複数ページのうち、どのページの画像データが揮発性記憶部に記憶されているかを特定可能な情報であり、不揮発性記憶部管理テーブルが管理する画像データのページの情報は、複数ページのうち、どのページの画像データが不揮発性記憶部に蓄積されているかを特定可能な情報であり、ジョブ情報管理テーブルが管理するジョブ情報は、複数ページの各ページの画像データが、揮発性記憶部と、不揮発性記憶部とのどちらに記憶されているかを特定可能な情報であるように構成されてもよい。
【0009】
画像形成装置は、画像データが転送可能なバスをさらに備え、制御部は、制御部と不揮発性記憶部との間の通信が途切れた後、不揮発性記憶部の通信が再開したときにおいて、バスの帯域情報を確認し、バスにおいて画像データの転送をする余裕がある帯域を用いて画像データの転送を再開し、不揮発性記憶部において、転送されてきた画像データを、画像データの転送の中断時に記憶されていた画像データに結合させるように構成されてもよい。
【0010】
本開示の他の局面に従うと、画像形成装置の制御方法は、複数ページの画像データを複数回に分けて受信可能な揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、複数ページの画像データのうち揮発性記憶部が受信した画像データを、シリアル信号変換部を介して不揮発性記憶部に転送することにより、複数ページの画像データを不揮発性記憶部に蓄積する制御部とを備える画像形成装置の制御方法であって、揮発性記憶部が受信した画像データを不揮発性記憶部に転送した後、当該転送した画像データを揮発性記憶部から消去するステップと、制御部と不揮発性記憶部との間の通信が途切れたときに、揮発性記憶部から不揮発性記憶部への画像データの転送を中断した後、シリアル信号変換部を初期化するとともに不揮発性記憶部との通信を再開するステップと、画像データの転送を中断するときに、揮発性記憶部の記憶を保持しておくことにより、複数ページの画像データを、揮発性記憶部と不揮発性記憶部とで分けて記憶した状態とするステップと、不揮発性記憶部との通信が再開したときに、中断の際に揮発性記憶部に保存された画像データを不揮発性記憶部に転送させる動作を再開させるステップとを備える。
【0011】
本開示の他の局面に従うと、画像形成装置の制御プログラムは、複数ページの画像データを複数回に分けて受信可能な揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、複数ページの画像データのうち揮発性記憶部が受信した画像データを、シリアル信号変換部を介して不揮発性記憶部に転送することにより、複数ページの画像データを不揮発性記憶部に蓄積する制御部とを備える画像形成装置のコンピュータを制御するための制御プログラムであって、揮発性記憶部が受信した画像データを不揮発性記憶部に転送した後、当該転送した画像データを揮発性記憶部から消去するステップと、制御部と不揮発性記憶部との間の通信が途切れたときに、揮発性記憶部から不揮発性記憶部への画像データの転送を中断した後、シリアル信号変換部を初期化するとともに不揮発性記憶部との通信を再開するステップと、画像データの転送を中断するときに、揮発性記憶部の記憶を保持しておくことにより、複数ページの画像データを、揮発性記憶部と不揮発性記憶部とで分けて記憶した状態とするステップと、不揮発性記憶部との通信が再開したときに、中断の際に揮発性記憶部に保存された画像データを不揮発性記憶部に転送させる動作を再開させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、画像形成装置に備えられた不揮発性記憶部の通信が途切れても画像形成の生産性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像形成装置の構成の具体例を示すブロック図である。
図2】揮発性記憶部管理テーブルの構成例を示す図である。
図3】不揮発性記憶部管理テーブルの構成例を示す図である。
図4】ジョブ情報管理テーブルの構成例を示す図である。
図5】ページメモリ管理処理を示すフローチャートである。
図6】ハードディスク管理処理を示すフローチャートである。
図7】データ転送中断復帰処理を示すフローチャートである。
図8】分割保存データ結合処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0015】
[画像形成装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置1の構成の具体例を示すブロック図である。画像形成装置1は、一例として、MFP(Multi Function Peripheral)が示されている。画像形成装置1は、画像データを印刷用紙に印刷する機能であるプリント機能と、原稿を光学的に読取って画像データを得る機能であるスキャン機能と、画像データを電子メールで転送する機能であるメール機能と、画像データをファクシミリ送信する機能であるファクシミリ機能と、画像データから文字を識別して文字データを入力する機能であるOCR(Optical Character Reader)機能とを備えるものとする。なお、画像形成装置1は、これらの機能をすべて備えないものでもよく、その他の機能を含んでいてもよい。
【0016】
図1を参照して、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、読取部5、印刷部6、表示操作部7、ファクシミリ部8、通信部9、圧縮処理部10、伸張処理部11、OCR部12、SATAブリッジ13、および、不揮発性記憶部であるハードディスクドライブ(HDD)14を備える。これらは、バス(BUS)15を介して互いに接続されている。
【0017】
読取部5は、原稿台に載荷された原稿を光学的な読取り(スキャン)を行なって画像データを得る。OCR部12は、光学的に読取られて得られた画像データを予め記憶しているパターンと照合して文字を特定し、文字データを得る。圧縮処理部10は画像データを圧縮処理する。伸張処理部11は、画像データを伸張処理する。得られた画像データは、必要に応じてこれら処理が施される。また、必要に応じて、RAM4などの記憶装置に記憶される。
【0018】
印刷部6は、指定された画像データまたは先述の文字データを印刷媒体である印刷用紙上に印刷する。ファクシミリ部8は、指定された画像データまたは前述の文字データを電話回線を用いて指定された相手先に転送する。通信部9はネットワークを介して他の装置と通信する。
【0019】
表示操作部7は、画像形成装置1の正面等に設けられて、情報を表示するためのパネルおよび操作を行なうためのボタンなどを含んで構成される。表示操作部7は操作されたボタンなどに応じた操作信号をCPU2に入力する。
【0020】
CPU2は、全体を制御する制御部として機能する。CPU2は、ROM3に記憶されているプログラムを読み出し、RAM4を作業領域として用いて当該プログラムを実行し、各部に制御信号を出力して、上述の操作信号に応じた処理を実行させる。
【0021】
不揮発性記憶装置としてのROM3には、CPU2で実行されるプログラムが記憶される。また、揮発性記憶装置としてのRAM4には、ROM3から読み出されたプログラムを実行するための記憶領域の他、ページメモリバッファ(揮発性記憶部、以下、BUFともいう)41、ジョブ情報管理テーブル42、揮発性記憶部管理テーブル43、および、不揮発性記憶部管理テーブル44のそれぞれとして用いられる記憶領域等の各種の記憶領域が設けられている。
【0022】
ハードディスクドライブ14は、SATAブリッジ13を介して、バス15に接続されている。SATAブリッジ13は、SATA(Serial ATA)規格のハードディスクドライブ14のシリアル信号とUSB(Universal Serial バス)規格(例えばUSB3.0規格)のシリアル信号との間で双方向のシリアル信号変換をするシリアル信号変換部である。SATAブリッジ13は、SATA規格の信号線によりハードディスクドライブ14に接続され、USB期間の信号線により画像形成装置1の入出力部に接続される。これにより、ハードディスクドライブ14は、SATAブリッジ13を介して、画像形成装置1の入力部に接続され、バス15に接続された各部とバス15を介してデータ通信を可能とすることにより各種データの記憶(保存)および読出しを実行させることが可能な不揮性記憶部である。
【0023】
ページメモリバッファ41は、読取部5で原稿をスキャンする(読取る)ことにより得られた複数ページの画像データを複数回に分けて受信して記憶(保存)可能な揮発性記憶部であり、複数ページの画像データをページ単位で記憶可能である。ページメモリバッファ41に記憶された画像データは、ページ単位でハードディスクドライブ14に順次転送して記憶させることが可能であり、転送が完了したページの画像データはページメモリバッファ41において消去可能である。
【0024】
揮発性記憶部管理テーブル43は、ページメモリバッファ41に記憶されたページ単位の画像データを管理するためのデータテーブルである。不揮発性記憶部管理テーブル44は、前述のようにページメモリバッファ41に記憶された画像データがページ単位でハードディスクドライブ14に転送される場合において、に記憶されたページ単位の画像データをCPU2が管理するためのデータテーブルである。
【0025】
ジョブ情報管理テーブル42は、画像形成に関するジョブ情報をCPU2が管理するためのデータテーブルである。ジョブ情報管理テーブル42では、例えば、複数ページの原稿の画像を読取部5により読取って印刷部6により印刷用紙上に印刷する複写ジョブ等の各種ジョブ(情報処理のジョブ)が実行されるときには、揮発性記憶部管理テーブル43に記憶された画像データのページ単位の情報、および、不揮発性記憶部管理テーブル44に記憶された画像データのページ単位の情報を含む1単位のジョブ情報(複数ページの原稿の画像の読取りおよび印刷に関する1単位のジョブ情報)をCPU2が管理するためのデータテーブルである。
【0026】
[各種管理テーブルの構成]
図2は、揮発性記憶部管理テーブル43の構成例を示す図である。図3は、不揮発性記憶部管理テーブル44の構成例を示す図である。図4は、ジョブ情報管理テーブル42の構成例を示す図である。図2図4においては、複数ページの原稿の画像を読取部5により読取って印刷部6により印刷用紙上に印刷するジョブが実行されているときの各テーブルのデータが示されている。
【0027】
図2に示すように、揮発性記憶部管理テーブル43では、読取部5により読取られてページメモリバッファ41に記憶された複数ページについて、各ページの画像データに対応して、「ジョブ番号」、「ページ番号」、および、「転送済」を特定可能なデータが記憶される。このように、管理テーブルにおいて、各ページの画像データを管理するためのデータは、ページ管理データと呼ばれる。「ジョブ番号」は、ジョブの通し番号を特定可能なデータである。図2では、例えば「123」というジョブ番号が、複数枚の原稿を読取って印刷する1単位のジョブ(例えば電源投入後123回目のジョブ)であることを示している。
【0028】
「ページ番号」は、1単位のジョブにおいて、複数の原稿のページのうち、ページメモリバッファ41に画像データが記憶されたページの番号を特定可能なデータである。図2では、例えば「1」~「6」というページ番号が、メモリバッファ41に記憶されたページ番号を示している。
【0029】
「転送済」は、1単位のジョブにおいて、ページメモリバッファ41に記憶された各「ベージ番号」の画像データが、ハードディスクドライブ14に転送完了済であるか否かが「済」(転送完了済)または「不可」(転送完了不可)のデータにより特定可能なデータである。図2では、例えば、ページ番号「1」,「2」,「5」の画像データが転送済(転送完了成功)であり、ページ番号「3」,「4」の画像データが転送不可(転送完了失敗)である例が示されている。図2のページ番号「6」は、「転送済」のデータが空白であるので、画像データがハードディスクドライブ14への転送前または転送中であることが示されている。
【0030】
図3に示すように、不揮発性記憶部管理テーブル44では、読取られて記憶された複数ページについて、各ページの画像データに対応して、「ジョブ番号」、「ページ番号」、「受信済」、および、「印刷済」を特定可能なページ管理データが記憶される。「ジョブ番号」は、図2と同様の意味である。
【0031】
「ページ番号」は、1単位のジョブにおいて、複数の原稿のページのうち、ハードディスクドライブ14において、転送されてきた画像データの受信(転送)が完了して画像データの記憶が完了したページの番号を特定可能なデータである。図3では、例えばページ番号「1」,「2」,「5」が、ハードディスクドライブ14において画像データの受信(転送)が完了して画像データの記憶が完了したページ番号を示している。
【0032】
「受信済」は、1単位のジョブにおいて、転送されてきた画像データの受信(転送)が完了してハードディスクドライブ14に記憶されたことが「済」により特定可能なデータである。図3では、例えば、ページ番号「1」,「2」,「5」の画像データが受信済(転送完了成功)であり、ページ番号「3」,「4」の画像データが受信不完了(転送完了失敗)であることが示されている。ページ番号「6」は、「転送済」のデータが空白であるので、画像データがハードディスクドライブ14において、受信前または受信中であることが示されている。
【0033】
「印刷済」は、1単位のジョブにおいて、各ベージ番号に対応して印刷が完了したことが「済」により特定可能なデータである。図3では、例えば、ページ番号「1」の画像データが印刷済である例が示されている。
【0034】
図4に示すように、読取られてページメモリバッファ41またはハードディスクドライブ14に記憶された複数ページの画像データに対応して、「ジョブ番号」、「ページ番号」、および、「保存先」を特定可能なデータが記憶される。「ジョブ番号」および「ページ番号」は、図2および図3と同様の意味である。
【0035】
ジョブ情報管理テーブル42では、図2に示されたような揮発性記憶部管理テーブル43および図3に示されたような不揮発性記憶部管理テーブル44のそれぞれのデータに基づいて、以下のようなジョブ情報が管理される。
【0036】
図4において、「保存先」は、1単位のジョブのうち、各ページ番号の画像データが、ページメモリバッファ41とハードディスクドライブ14とのどちらに保存(記憶)されているかが「BUF」(ページメモリバッファ41)と、「HDD」(ハードディスクドライブ14)とのいずれかの情報により特定可能なデータである。図4では、例えばページ番号「1」,「2」,「5」の画像データがハードディスクドライブ14に保存(記憶)され、ページ番号「3」,「4」の画像データがページメモリバッファ41に保存(記憶)されていることが示されている。ページ番号「6」は、「保存先」のデータが空白であるので、保存先が確定していない状態であることが示されている。
【0037】
次に、複数ページの原稿の画像を読取部5により読取って印刷部6により印刷用紙上に印刷するジョブ(複写ジョブ)が実行されるときに、CPU2で実行可能な処理として、ページメモリ管理処理、ハードディスク管理処理、データ転送中断復帰処理、および、分割保存データ結合処理について説明する。
【0038】
これらの処理は、複数ページの原稿を順次読取って得られる複数ページ分の画像データを、ページメモリバッファ41に記憶させつつ、記憶させた画像データをページメモリバッファ41からバス15を介してハードディスクドライブ14に転送させて記憶させ、画像を印刷するジョブ(複写ジョブ)の実行中において、CPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れても、当該ジョブの実行を中止して画像形成装置1を立ち上げ直さずに、一旦中断したジョブを再開可能とすることが可能となる処理である。従来技術では、このように複写ジョブの実行中において、CPUとハードディスクドライブとの間の通信が途切れた場合には、実行中のジョブを中止して、画像形成装置1を立ち上げ直し、複数ページの原稿を読取るジョブを最初から再実行する必要があり、処理効率が低下すると考えられる。
【0039】
以下、ページメモリ管理処理、ハードディスク管理処理、データ転送中断復帰処理、および、分割保存データ結合処理のそれぞれについて、実行するためのプログラムによる主な処理内容をフローチャートにより説明する。
【0040】
[ページメモリ管理処理]
図5は、ページメモリ管理処理を示すフローチャートである。ページメモリ管理処理は、複数ページの原稿の画像を読取部5により読取って得た画像データをページメモリバッファ41に記憶させた後、ハードディスクドライブ14に転送するときに実行される処理である。
【0041】
CPU2は、ページメモリ管理処理において以下のような処理を実行する。ステップS(以下、Sと略称する)1により、複数枚の原稿を読取り対象として、読取部5の読取り動作(スキャン)により得られた画像データが、ページ単位でページメモリバッファ41に記憶させられる。次に、S2により、S1でページメモリバッファ41に記憶されたページの画像データに対応するページ管理データが、図2のような揮発性記憶部管理テーブル43に記憶させられる。例えば、図2に示すように、6枚目のページの画像データでは、ジョブ番号に「123」のデータが記憶され、「ページ番号」に「6」のデータが記憶される。そして、S2で揮発性記憶部管理テーブル43に記憶されたページ管理データに基づいて、図4のようなジョブ情報管理テーブル42において、対応するページ管理データが記憶させられる。例えば、図4に示すように、6枚目のページの画像データでは、ジョブ番号に「123」のデータが記憶され、ページ番号に「6」のデータが記憶される。
【0042】
次に、S4により、S1でページメモリバッファ41に記憶されたページの画像データが、ページ単位でハードディスクドライブ14に転送される。そして、S5により、S4で実行されたハードディスクドライブ14への画像データの転送完了に成功したか否かが判断される。S5では、例えば、画像データの転送が完了する前にCPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れた状態(以下、ハードディスクドライブ14のアンマウント(Unmount)状態ともいう)とならずに転送が終了した場合は画像データの転送完了に成功したと判断され、当該通信が途切れた状態となった場合は画像データの転送完了に失敗したと判断される。CPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が実行可能な状態はマウント(Mount)状態と呼ばれ、CPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が実行不可能な状態はアンマウント(Unmount)状態と呼ばれる。
【0043】
S5で、画像データの転送完了に成功したと判断された場合は、S6により、転送完了が成功した画像データがページメモリバッファ41において削除される。そして、S7により、揮発性記憶部管理テーブル43において、転送完了が成功した画像データのページ管理データが、転送「済」のデータに変更される。例えば、図4に示すように、6枚目のページの画像データでは、「転送済」が空白(データなし)から「済」のデータに変更される。一方、S5で、画像データの転送完了に失敗したと判断された場合は、S8により、揮発性記憶部管理テーブル43において、転送完了が失敗した画像データのページ管理データが、転送「不可」のデータに変更される。例えば、6枚目のページの画像データでは、「転送済」が空白(データなし)から「不可」のデータに変更される。
【0044】
[ハードディスク管理処理]
図6は、ハードディスク管理処理を示すフローチャートである。ハードディスク管理処理は、ページメモリ管理処理によりページメモリバッファ41から画像データがハードディスクドライブ14に転送されてきた場合に、ハードディスクドライブ14に画像データを記憶させるときに実行される処理である。
【0045】
CPU2は、ハードディスク管理処理において以下のような処理を実行する。S11により、ページメモリバッファ41から転送されてきた画像データが、ページ単位でハードディスクドライブ14に記憶させられる。そして、S12により、S11で記憶されたページ単位の画像データに対応するページ管理データが、不揮発性記憶部管理テーブルに記憶させられる。例えば、図3に示すように、6枚目のページの画像データでは、ジョブ番号に「123」のデータが記憶され、ページ番号に「6」のデータが記憶される。
【0046】
次に、S13により、S11でハードディスクドライブ14に記憶されている画像データの転送完了(受信完了)に成功したか否かが判断される。S14では、例えば、画像データの転送(受信)が完了する前にCPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れた状態(アンマウント状態)とならずに転送(受信)が終了した場合は画像データの転送完了(受信完了)に成功したと判断され、当該通信(受信)が途切れた状態となった場合は画像データの転送完了(受信完了)に失敗したと判断される。
【0047】
S13で、画像データの転送完了(受信完了)に成功したと判断された場合は、S14により、不揮発性記憶部管理テーブル43において、転送完了が成功した画像データのページ管理データが、受信「済」のデータに変更される。例えば、図3に示すように、6枚目のページの画像データでは、「受信済」が空白(データなし)から「済」のデータに変更される。そして、S15により、S14で不揮発性記憶部管理テーブル44において変更されたページ管理データに基づいて、図4のようなジョブ情報管理テーブル42において、対応するページ管理データの「保存先」が「HDD」のデータに変更される。例えば、図4に示すように、6枚目のページの画像データでは、「保存先」として「BUF」のデータが記憶されていると仮定した場合に、その「保存先」が「HDD」のデータに変更される。その後、S18に進む。
【0048】
一方、S13で、画像データの転送完了に失敗したと判断された場合は、S16により、転送完了(受信完了)が成功した画像データがハードディスクドライブ14において削除される。そして、不揮発性記憶部管理テーブル44において、転送完了が失敗した画像データのページ管理データが削除され、S18に進む。
【0049】
S18では、不揮発性記憶部管理テーブル44において、印刷が終了した画像データのページ管理データにおける「印刷済」が空白(データなし)から「済」のデータに変更される。
【0050】
[データ転送中断復帰処理]
図7は、データ転送中断復帰処理を示すフローチャートである。データ転送中断復帰処理は、ページメモリバッファ41からハードディスクドライブ14に画像データが転送されている途中において、ハードディスクドライブ14とCPU2との間の通信が途切れてハードディスクドライブ14がアンマウント状態となったときに、データ転送の中断と、データ転送の復帰とをさせるときに実行される処理である。
【0051】
CPU2は、データ転送中断復帰処理において以下のような処理を実行する。S21により、ディスクドライブ14とCPU2との間の通信が途切れたことにより、CPU2によりハードディスクドライブ14のアンマウントが検出された(判断された)か否かを判断する。S21で、ハードディスクドライブ14のアンマウントが検出されたときは、S22により、読取部5による読取り対象である複数ページの原稿の読取り途中であるか否かを判断する。
【0052】
S22で複数ページの原稿の読取り途中でない場合は、S23により、SATAブリッジ13をリセットし、ハードディスクドライブ14を再度マウント(Mount)させる処理が実行される。一方、S22で複数ページの原稿の読取り途中である場合は、S24により、揮発性記憶部管理テーブル43および揮発性記憶部管理テーブル44において記憶されているページ管理データに基づいて、これらのデータに基づいて、ページメモリバッファ41およびハードディスクドライブ14に記憶されているページ数が確認される。
【0053】
そして、S25により、ページメモリバッファ41からハードディスクドライブ14への画像データの転送を中断させる。これにより、画像データの転送が再開される。その後、画像データの転送を再開させるために、S26により、SATAブリッジ13をリセットし、ハードディスクドライブ14を再度マウント(Mount)させる処理が実行される。そして、S27により、S26で再度マウントされたハードディスクドライブ14について、復帰したか否かが確認される。S27によりハードディスクドライブ14が復帰したことが確認された場合には、S28により、画像データの転送が中断されたページの次のページから、ハードディスクドライブ14へ画像データの転送を開始させる。これにより、画像データの転送が再開される。
【0054】
[分割保存データ結合処理]
図8は、分割保存データ結合処理を示すフローチャートである。分割保存データ結合処理は、画像データが転送されている途中にハードディスクドライブ14とCPU2との間の通信が途切れたことにより、図7のようなテーブル転送中断処理が実行された後、図2および図3に示された例のように、ページメモリバッファ41とハードディスクドライブ14とにページ単位の画像データが分割して保存(記憶)されている場合において、このように分割保存された画像データを結合するときに実行される処理である。
【0055】
画像形成装置1において、画像データが転送されている途中にハードディスクドライブ14とCPU2との間の通信が途切れたことによりページメモリバッファ41とハードディスクドライブ14とにページ単位の画像データが分割して保存された場合には、分割保存された画像データを最終的にハードディスクドライブ14に集めて結合して、1つのジョブを構成する画像データとしてまとめる必要がある。このような理由により、分割保存データ結合処理を実行することが必要となる。
【0056】
CPU2は、分割保存データ結合処理において以下のような処理を実行する。S31により、読取部5による読取り対象である複数ページの原稿の読取り完了時において、ジョブ情報管理テーブル42のデータを確認することにより、ページメモリバッファ41とハードディスクドライブ14とに画像データが分割保存されているか否かが確認される。S31で画像データが分割保存されていると確認されたときは、S32により、バス15の帯域に余裕があるか否かが確認される。
【0057】
次に、S32での帯域情報の確認結果に基づいて、S33により、バス15の帯域にデータ伝送の余裕があるか否かが確認される。S33によりバス15の帯域にデータ伝送の余裕があると確認されたときには、S34により、複数ページの画像データの伝送中に前述のようなハードディスクドライブ14のアンマウント状態が生じたことにより、ページメモリバッファ41において、転送が完了せずに保存(記憶)されていたページの画像データが、ページ単位でハードディスクドライブ14に転送される。次に、S35により、転送完了が成功した画像データがページメモリバッファ41において削除される。そして、S36により、揮発性記憶部管理テーブル43において、転送完了が成功した画像データのページ管理データが、転送「済」のデータに変更される。
【0058】
次に、S37により、ページメモリバッファ41から転送されてきた画像データを、ページ単位でハードディスクドライブ14に記憶させる。そして、画像データの転送完了(受信完了)に成功したと判断された場合は、S38により、不揮発性記憶部管理テーブル43において、転送完了が成功した画像データのページ管理データが、受信「済」のデータに変更される。次に、S39により、S37で記憶されたページ単位の画像データに対応するページ管理データを、不揮発性記憶部管理テーブルに記憶させる。
【0059】
そして、S40により、S38で不揮発性記憶部管理テーブル44において変更されたページ管理データに基づいて、図4のようなジョブ情報管理テーブル42において、対応するページ管理データの「保存先」が「HDD」のデータに変更される。次に、S41により、ハードディスクドライブ14において、先に受信済であったページの画像データと、新たに転送されて受信済となったページの画像データとが結合されて記憶させられる。
【0060】
以上のようなページメモリ管理処理、ハードディスク管理処理、データ転送中断復帰処理、および、分割保存データ結合処理が実行されることにより、複数ページの原稿を順次読取って得られる複数ページ分の画像データを、ページメモリバッファ41に記憶させつつ、記憶させた画像データをページメモリバッファ41からバス15を介してハードディスクドライブ14に転送させて記憶させ、画像を印刷するジョブ(複写ジョブ)の実行中において、ハードディスクドライブ14の信号線にノイズが印加される等によりCPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れても、当該ジョブの実行を中止して画像形成装置1を立ち上げ直さずに、一旦中断したジョブを再開可能とすることが可能となる。
【0061】
[実施形態により得られる効果]
(1) この実施形態による画像形成装置1(装置構成、制御方法、および、制御プログラムを含む)では、ハードディスクドライブ14の信号線にノイズが印加される等によりCPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れたときに、図7のデータ転送中断処理に示されるように、ページメモリバッファ41からハードディスクドライブ14への画像データの転送を中断した後、SATAブリッジ13を初期化するとともに、CPU2とハードディスクドライブ14との間の通信を再開する。そして、画像形成装置1では、画像データの転送を中断するときには、ページメモリバッファ41の記憶を保持しておくことにより、図4に示すように、複数ページの画像データを、ページメモリバッファ41と、ハードディスクドライブ14とで分けて記憶した状態とし、通信が再開したときに、画像データの転送を中断した際にページメモリバッファ41に保存された画像データをハードディスクドライブ14に転送させる動作を再開する制御が実行される。このような制御が実行されることにより、画像形成装置1に備えられたハードディスクドライブ14の通信が途切れても、画像形成装置1を再度立ち上げ直さずに、ページメモリバッファ41からハードディスクドライブ14への画像の転送を再開することが可能となるので、読取部5における読取(スキャン)効率の低下を抑制することができ、画像形成の生産性の低下を抑制することができる。
【0062】
(2) 画像形成装置1では、図1に示すように、ページメモリバッファ41に記憶された画像データのページの情報を管理する揮発性記憶部管理テーブル43と、ハードディスクドライブ14に蓄積された画像データのページの情報を管理する不揮発性記憶部管理テーブル44と、ページメモリバッファ41に記憶された画像データのページの情報、および、ハードディスクドライブ14に蓄積記憶された画像データのページの情報を含むジョブ情報を管理するジョブ情報管理テーブル42とを含む。これにより、揮発性記憶部管理テーブル43と、不揮発性記憶部管理テーブル44とにより、ページメモリバッファ41に記憶されている画像データと、ハードディスクドライブ14に記憶されている画像データとを個別に管理することができ、さらに、ジョブ情報管理テーブル42により、ページメモリバッファ41およびハードディスクドライブ14に記憶されている画像データの全体を一元的に管理することができる。
【0063】
(3) 画像形成装置1では、図2に示すように、揮発性記憶部管理テーブル43により、複数ページのうち、どのページの画像データがページメモリバッファ41に記憶されているかを特定可能であり、不揮発性記憶部管理テーブル44により、複数ページのうち、どのページの画像データがハードディスクドライブ14に蓄積記憶されているかを特定可能であり、ジョブ情報管理テーブル42により、複数ページの各ページの画像データが、ページメモリバッファ41と、ハードディスクドライブ14とのどちらに記憶されているかを特定可能ある。これにより、1つのジョブに含まれる複数ページの画像データのそれぞれが、ページメモリバッファ41と、ハードディスクドライブ14とのどちらに記憶されているかを容易に認識することができる。
【0064】
(4) 画像形成装置1では、図8に示すように、CPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れた後、ハードディスクドライブ14の通信が再開したときにおいて、バス15の帯域情報を確認し、バス15において画像データの転送をする余裕がある帯域を用いて画像データの転送を再開し、ハードディスクドライブ14において、転送されてきた画像データを、画像データの転送の中断時に記憶されていた画像データに結合させるように構成されてもよい。これにより、CPU2とハードディスクドライブ14との間の通信が途切れたことが原因でページメモリバッファ41と、ハードディスクドライブ14とに分割して記憶された1つのジョブにおける一連の画像データの結合を、バス15におけるその他のデータの伝送と干渉しないような態様で実行することができる。
【0065】
[実施形態の変形例]
(1) 画像形成装置1としては、MFPを一例として説明したが、これに限らず、コピー機、プリンタ、ファクシミリ等のその他の画像形成装置であってもよい。
【0066】
(2) 不揮発記憶部としては、RAM4内に設けられたページメモリバッファを一例として説明したが、これに限らず、RAM4とは独立して設けられたページメモリバッファ等のその他の不揮発性記憶部を用いてもよい。
【0067】
(3) 不揮発性記憶部と制御部との間で信号を変換する信号変換器(シリアル信号変換器)としては、SATAブリッジを一例として説明したが、これに限らず、SATAブリッジ以外の信号変換器(シリアル信号変換器)を用いてもよい。
【0068】
(4) ジョブ情報管理テーブル42、揮発性記憶部管理テーブル43、および、不揮発性記憶部管理テーブル44のそれぞれは、ページメモリバッファ41が設けられた揮発性記憶部(RAM4)と同じ記憶部に設けられた一例を説明したが、これに限らず、ページメモリバッファ41が設けられた揮発性記憶部(RAM4)とは異なる揮発性記憶部(RAM等)に設けられてもよい。また、ジョブ情報管理テーブル42、揮発性記憶部管理テーブル43、および、不揮発性記憶部管理テーブル44は、それぞれが別の揮発性記憶部(RAM等)に設けられてもよい。また、ジョブ情報管理テーブル42、揮発性記憶部管理テーブル43、および、不揮発性記憶部管理テーブル44の記憶場所は、ROM3でもよい。
【0069】
(5) ページメモリバッファ41からハードディスクドライブ14への画像データの転送経路については、BUS15を介して行なわれる一例を説明したが、これに限らず、BUS15を介さずに画像データの転送をする構成としてもよい。例えば、ページメモリバッファ41からBUS15を介さずに入出力部(ハードディスクドライブ14がSATAブリッジ13を介して接続された入出力部)に接続する信号経路を設けることにより、ページメモリバッファ41からSATAブリッジ13を介してハードディスクドライブ14に画像データを転送するようにしてもよい。
【0070】
(6) 制御部については、CPU2により構成される例を説明したが、これに限らずCPU2に加え、ROM3、および、RAM4を含めたもとして構成されてもよい。
【0071】
(7) 図7の分割データ結合処理においては、バス15の帯域にデータ伝送の余裕があるか否かを確認して余裕があるときに、ページメモリバッファ41に保存されていた画像データを伝送する一例を説明したが、これに限らず、分割データ結合処理においては、バス15において、ページメモリバッファ41に保存されていた画像データを優先的に伝送するようにしてもよい。
【0072】
(8) 図7の分割データ結合処理においては、バス15の帯域にデータ伝送の余裕があるか否かを確認して余裕があるときに、ページメモリバッファ41に保存されていた画像データを伝送する一例を説明したが、分割データ結合処理を実行するときに画像データの伝送をするための専用の帯域を設定しておき、その専用の帯域を用いて画像データを伝送してもよい。
【0073】
(9) ページメモリバッファ41に保存されていた画像データをバス15を介してハードディスクドライブ14に伝送する例としては、当該画像データの伝送専用の帯域を設定してもよい。
【0074】
(10) 画像形成装置1に備えた不揮発性記憶部として、ハードディスクドライブ(HDD)14を一例として説明したが、当該不揮発性記憶部としては、ソリッドステートドライブ(SSD)等のその他の不揮発性記憶装置を用いてもよい。
【0075】
(11) 今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0076】
41 ページメモリバッファ41、14 ハードディスクドライブ、13 SATAブリッジ13、2 CPU、42 ジョブ情報管理テーブル、43 揮発性記憶部管理テーブル、44 不揮発性記憶部管理テーブル、15 バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8