(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】繊維強化樹脂補強コンクリート材
(51)【国際特許分類】
E04C 5/07 20060101AFI20240528BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20240528BHJP
E04C 3/34 20060101ALI20240528BHJP
E04H 12/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
E04C5/07
E04G21/12 105E
E04C3/34
E04H12/12
(21)【出願番号】P 2020076220
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆生
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-199561(JP,A)
【文献】特開平08-232403(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101294455(CN,A)
【文献】特開平07-157357(JP,A)
【文献】特開平02-072906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/07,5/16-5/20
E04C 3/34-3/36
E04H 12/12
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートと、
前記コンクリートの内部に埋設される繊維強化樹脂製の筒状の網体と、
を備え
、
前記網体が、
軸方向に直列され、前記繊維強化樹脂からなる複数の筒状の網体部品と、
前記複数の網体部品の隣り合う網体部品の間に設けられ、これら隣り合う網体部品を連結する継手部と、
を有し、
前記継手部は、第一継手半体と、前記第一継手半体に嵌め入れられる第二継手半体とを有し、
前記第一継手半体は、前記網体部品の前記軸方向の一端に設けられ、
前記第二継手半体は、前記網体部品の前記軸方向の他端に設けられる
繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【請求項2】
前記網体の内周面又は外周面に沿って間隔を置いて周方向に配列されるとともに、前記コンクリートの内部に埋設される複数の繊維強化樹脂製の棒状の芯材を更に備える請求項
1に記載の繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【請求項3】
前記繊維強化樹脂が炭素繊維強化樹脂である請求項1
又は2に記載の繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【請求項4】
前記コンクリートが柱状である請求項1から
3の何れか1つに記載の繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【請求項5】
前記コンクリートが中空である請求項
4に記載の繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【請求項6】
前記網体の網目形状が正六角形である請求項1から
5の何れか1つに記載の繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【請求項7】
前記網体の網目を囲う辺同士の交差部となる節に段差が無い請求項1から
6の何れか1つに記載の繊維強化樹脂補強コンクリート材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂補強コンクリート材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物には多くの鉄筋コンクリートが使用されている。鉄筋コンクリートの表層のコンクリートが時間経過に伴って乾燥収縮したり、外部から荷重を受けたりすると、そのコンクリートに亀裂又はひび割れが発生することがある。そのような亀裂又はひび割れを通じて水分と酸素がコンクリートの内部へと侵入すると、鉄筋が腐食して、鉄筋の強度低下が発生する。そこで、鉄筋の代わりに腐食が発生しない繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastics,FRP)をコンクリートの補強材として使用する技術が発明されている(特許文献1参照)。具体的には、鉄筋の配筋作業と同様に、繊維強化樹脂材を組み立てた後に、コンクリートを打ち込んで硬化させることによって、コンクリート成形品を成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、繊維強化樹脂材の組み立てが煩雑であり、結果としてコンクリート成形品の製造作業が煩雑である。
【0005】
そこで、本発明は、容易に製造できる繊維強化樹脂補強コンクリート材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、コンクリートと、前記コンクリートの内部に埋設される繊維強化樹脂製の筒状の網体と、を備える繊維強化樹脂補強コンクリート材が提供される。
【0007】
以上によれば、繊維強化樹脂製の網体が筒状であるため、網体を筒状に組み立てる作業を必要としない。従って、繊維強化樹脂補強コンクリート材を簡単に製造することができる。
【0008】
また、前記網体が、軸方向に直列され、前記繊維強化樹脂からなる複数の筒状の網体部品と、前記複数の網体部品の隣り合う網体部品の間に設けられ、これら隣り合う網体部品を連結する継手部と、を有するものとしてもよい。
【0009】
以上によれば、複数の網体部品を軸方向に連結するだけで、軸方向に長い筒状の網体を容易に製造することができる。また、網体部品を短くすることができるので、輸送が容易になるとともに、小型な製造設備で網体部品を製造することができ、網体部品の製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、繊維強化樹脂補強コンクリート材を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材1の斜視図である。
【
図3】ジグザグ型配列の網目102の正面図である。
【
図4】網体部品21同士の連結部を網体部品21の外側から見て示した図面である。
【
図5】貝の口継ぎ形状をした第一継手半体22Aと、第二継手半体22Bの斜視図である。
【
図6】差込継手形状をした第一継手半体22Aと、第二継手半体22Bの斜視図である。
【
図7】型枠31に筒状の網体11を設置した様子を示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材のコンクリートに埋設される網体11及芯材13の斜視図である。
【
図9】ジグザグ型配列の網目102の正面図である。
【
図10】網体部品21同士の連結部を網体部品21の内側から見て示した図面である。
【
図11】アームチェア型配列の網目102の正面図である。
【
図12】カイラル型配列の網目102の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
<<<第1の実施の形態>>>
〔1. 繊維強化樹脂補強コンクリートの構成〕
図1は、第1実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材1の斜視図である。
図2は、繊維強化樹脂補強コンクリート材1の内部に埋設される網体11の斜視図である。
繊維強化樹脂補強コンクリート材1は例えば電柱として用いられる。繊維強化樹脂補強コンクリート材1は筒状の網体11及びコンクリート12を備える。
コンクリート12は、軸方向に長尺な中空柱状、つまり筒状に形作られている。軸方向に対して垂直な断面におけるコンクリート12の外周及び内周が同心円状とされ、コンクリート12の内周面と外周面は同軸である。なお、軸方向に対して垂直な断面におけるコンクリート12の外周及び内周の形状は、円形ではなく多角形でもよい。また、コンクリート12は、軸方向に垂直な断面の形状が円形又は多角形の中実柱状に形作られていてもよい。
【0014】
軸方向に長尺な筒状の網体11は、コンクリート12の内部に埋設されている。具体的に網体11については、網体11が中空柱状のコンクリート12の内周面と外周面の間に埋設され、網体11とコンクリート12が同軸状とされている。それゆえ、網体11がコンクリート12から露出する部分は無い。また、網体11からコンクリート12の内周面までの被り厚と、網体11からコンクリート12の外周面までの被り厚は互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
次に、コンクリート12の補強材として埋設される網体11の詳細について説明する。
網体11は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を母材とした繊維強化樹脂で形成されている。特に、網体11が低比重の炭素繊維強化樹脂で形成されると、網体11が高強度且つ軽量であるので、そのような炭素繊維強化樹脂を網体11に採用することが好ましい。炭素繊維材以外の強化繊維材として例えばガラス繊維、アラミド繊維又はポリエチレン繊維などが網体11の繊維強化樹脂に採用されてもよい。網体11の繊維強化樹脂の母材には、例えばポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂又はポリアセタール樹脂などが使用される。
【0016】
網体11は本実施形態においては円筒に形作られている。なお、網体11は角筒でもよく、例えば三角筒、四角筒等の多角形筒であってもよい。
網体11は正六角形状の網目102の集合体であり、これら網目102が柱面に沿って配列されることによって円筒状の網体11が構成される。網目102の形状が正六角形であると、網体11の開口率が高く、網体11の真密度が低くても、網体11の強度が損なわれにくい。
【0017】
網目102はジグザグ型で配列されている。ジグザグ型の配列とは、各網目102の正六角形の対向する頂点を結ぶ3本の対角線のうち1本の対角線が網体11の軸方向に対して平行となって、これら網目102が柱面に沿って配列されていることをいう。
図2に示された網体11の網目102の配列はジグザグ型の配列である。
【0018】
ここで、
図3の正面図を参照して、網目102について更に詳細に説明する。
図3に示すように、各網目102は、複数の辺103で囲繞された開口部である。各辺103は、隣り合う網目102を仕切る。複数の辺103が端部で交差し、それら辺103が一体成形されることによって、各節104が形成されている。
図3に示す例では、網目102の形状が正六角形であるため、各節104では3本の辺103が交差し、各節104の周りには3つの網目102が隣接して並んでいる。それら辺103が一体成型されており、その交差部である節104において段差が生じないように構成されている。
【0019】
網体11は、複数の筒状の網体部品21を軸方向に連結して成る連結体である。
図4に示すように、軸方向に隣り合う網体部品21はそれらの間の複数の継手部22によって連結されている。以下、
図4を参照して、継手部22について詳細に説明する。
継手部22は、軸方向に隣り合う網体部品21のうち一方の網体部品21の端部に設けられた第一継手半体22Aと、他方の網体部品21の端部に設けられた第二継手半体22Bと、からなる。第一継手半体22Aは、網体部品21の端部において周方向に配列された網目102の頂部から軸方向に延出している。第二継手半体22Bは、網体部品21の他端部において周方向に配列された網目102の頂部から軸方向に延出している。
【0020】
隣り合う網体部品21の端部同士が突き合わせられ、一方の網体部品21の第一継手半体22Aと、他方の網体部品21の第二継手半体22Bが互いに嵌め合うことによって、これら網体部品21が互いに連結される。必要に応じて、第一継手半体22Aと第二継手半体22Bが接着剤によって接着されてもよい。ここで、隣り合う網体部品21の境界部にも、周方向に配列された複数の網目102が形成され、第一継手半体22Aと第二継手半体22Bの組体である継手部22は六角形状の網目102の縦方向の辺103となる。それゆえ、連結体である網体11の網目形状は正六角形に統一される。
【0021】
継手部22は、
図5又は
図6に示す形態となっている。
図5に示す継手部22は貝の口継ぎである。つまり、第一継手半体22Aは、凸部22A1と空所22A2が交互に周方向に配列された構成となっており、第二継手半体22Bは、棒状の凸部22B1と空所22B2が交互に周方向に配列された構成となっており、第一継手半体22Aの凸部22A1が第二継手半体22Bの空所22B2に軸方向に嵌め入れられ、第二継手半体22Bの凸部22B1が第一継手半体22Aの空所22A2に軸方向に嵌め入れられ、これにより凸部22A1と凸部22B1が周方向に配列されて組まれている。
図6に示す継手部22は差込継手である。つまり、第一継手半体22Aが棒形の凸部であり、第二継手半体22Bが開口を有した筒状であり、第一継手半体22Aが第二継手半体22Bに軸方向に嵌め入れられている。なお、第二継手半体22Bが棒状であり、第一継手半体22Aが第二継手半体22Bを咥えてもよい。
【0022】
〔2. 有利な効果〕
以上の実施形態によれば、以下のような有利な効果をもたらす。
【0023】
(1) コンクリート12は単体では圧縮に対して強いが引張り、曲げ及びせん断に対して弱い。コンクリート12の内部に埋設された炭素繊維強化樹脂製の網体11は引張り、曲げ及びせん断に対して強いため、網体11によって補強された繊維強化樹脂補強コンクリート材1も引張り、曲げ、せん断に対しても強くなる。また、網体11が鉄材と比較しても低比重で且つ高強度であるため、繊維強化樹脂補強コンクリート材1は軽量であるわりに、高強度である。
【0024】
(2) 繊維強化樹脂製の網体11は鉄のように腐食しない。それゆえ、繊維強化樹脂補強コンクリート材1は従来の鉄筋コンクリートよりも寿命が長い。特に網体11は鉄と比較しても、塩に対する耐腐食性が高いため、繊維強化樹脂補強コンクリート材1は海岸付近の設置に適している。また、コンクリート12の被り厚を大きく確保せずとも、網体11の塩害・腐食を抑えられる。コンクリート12の被り厚を薄くすることは、コンクリート12の軽量化及び低コスト化に寄与できる。
【0025】
(3) 網体11の網目102にコンクリート12の一部が充填されるため、網体11とコンクリート12の付着性が高い。網体11とコンクリート12の付着性が高いことは、網体11によるコンクリート12の補強効果の向上にも寄与する。
【0026】
(4) 網体部品21は一体成型品であるため、繊維強化樹脂補強コンクリート材1の製造の際に配筋作業を必要としない。それゆえ、繊維強化樹脂補強コンクリート材1の製造が簡単である。
【0027】
(5) 網体11が成形品であるため、網目102の形状を正六角形とすることができる。網目102が正六角形であるため、網体11の開口率が高く、網体11の真密度が低くても、網体11の強度が損なわれない。
【0028】
(6) 複数の網体部品21が軸方向に連結されているため、網体部品21が軸方向に短くても、軸方向に長い網体11が提供される。網体部品21が軸方向に短いものであれば、網体部品21の製造設備が小型で済む。それゆえ、網体11の製造に大きな設備を必要とせず、製造コストが抑えられる。
【0029】
(7) 網体部品21が一体成型品であるため、網体11及び繊維強化樹脂補強コンクリート材1を簡単に製造できる。
【0030】
〔3. 製法〕
以下に、繊維強化樹脂補強コンクリート材1の製造工程について説明する。
初めに、網体11を組み立てる。具体的には、複数の網体部品21を軸方向に連結することによって網体11を作成する。
次に、網体11と筒状の型枠31を同軸にするように、網体11を型枠31の内側に配置する。この時、筒状の網体11と型枠31の軸方向が水平となることが好ましい。また、筒状の網体11は、型枠31の内側全周に対して隙間を持つように、スペーサー32を使用して配置される。型枠31に筒状の網体11が配置された様子を
図7に示す。
次に、型枠31を型枠31の軸周りに回転させながら、フレッシュコンクリート33を型枠31の内側に流し込む。フレッシュコンクリート33は型枠31の内側で遠心力によって筒状に形成される。
次に、型枠31の回転を減速させ、筒状に形成されたフレッシュコンクリート33の内面をスコップや鉄棒などで円柱面状に仕上げる。
次に、型枠31の回転を停止させ、型枠31及びその内側のフレッシュコンクリート33を養生する。そうすると、フレッシュコンクリート33が硬化して、コンクリート12が完成する。
次に、型枠31を解体して、型枠31からコンクリート12を取り外す。そうすると、繊維強化樹脂補強コンクリート材1が完成する。
【0031】
以上のように、繊維強化樹脂補強コンクリート材1は網体11とコンクリート12によって製造される。
【0032】
<<<第2の実施の形態>>>
図8~
図10を参照して、第2実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材について説明する。第2実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材が第1実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材1と相違する点について主に説明する。また、第2実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材が第1実施形態の繊維強化樹脂補強コンクリート材と共通する構成要素には同一の符号を付す。
【0033】
第1実施形態では、網体11がコンクリート12の内部に埋設されているのに対して、第2実施形態では、網体11に加えて芯材13がコンクリート12の内部に埋設されている。
【0034】
芯材13が網体11の中心軸に対して平行に設けられており、これら芯材13が網体11の内周面に沿って周方向に等間隔で配列され、これら芯材13がコンクリート12の内周面と外周面の間に埋設されている。芯材13は網体11の内周面に接合されており、その接合の種類としては溶着又は接着が挙げられる。なお、芯材13と網体11が一体に形成されていてもよい。
【0035】
芯材13は、網体11と同様に、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を母材とした繊維強化樹脂で形成されている。
【0036】
各芯材13は、複数本の芯材部品23を軸方向に軸方向に連結してなる連結体である。芯材部品23が網体部品21の中心軸に対して平行に設けられており、これら芯材部品23が網体部品21の内周面に沿って周方向に等間隔で配列されている。
隣り合う網体部品21が継手部22によって連結されているのと同様に、隣り合う芯材部品23が第一継手半体24Aと第二継手半体24Bからなる継手部24によって連結されている。なお、隣り合う芯材部品23の端面同士が突き当てられていてもよいし、隣り合う芯材部品23の端面同士が溶着又は接着による突き当て接合されていてもよい。隣り合う芯材部品23が継手部24、溶着又は接合により連結されている場合、隣り合う網体部品21が継手部22によって連結されていなくてもよい。
【0037】
<<<変形例>>>
以下の変形例1~8の少なくとも1つのように、上記第1又は第2の実施形態から変更してもよい。以下の変形例1~8の2以上を組み合わせて適用してもよい。
【0038】
〔変形例1〕
上記第1、第2実施形態では、繊維強化樹脂補強コンクリート材1は電柱に用いられたが、例えば鉄筋コンクリート構造物の梁、柱又は杭に用いられてもよい。この場合、コンクリート12は中空柱状よりも、中実柱状であることが好ましい。
【0039】
〔変形例2〕
上記第1、第2実施形態では、繊維強化樹脂補強コンクリート材1が電柱に用いられたが、例えば水道管又はガス管に用いられてもよい。この場合、繊維強化樹脂補強コンクリート材1は中空柱状であり、コンクリート12の両端部が開口していることが好ましい。
【0040】
〔変形例3〕
上記第1、第2実施形態では、1体の網体11がコンクリート12に埋設されている。それに対して、径の異なる2体以上の網体11が同軸状に配置され、これら網体11がコンクリート12に埋設されていてもよい。この場合、第2実施形態における複数本の芯材13が各網体11の内周面に沿って周方向に等間隔で配列されており、周方向の芯材13の列も複数となる。
【0041】
〔変形例4〕
上記第1、第2実施形態では、網体11が複数の網体部品21の連結体である。それに対して、網体11が一体成型品であってもよい。網体11が一体成型品であれば、従来の配筋作業(組立作業)が不要であり、繊維強化樹脂補強コンクリート材1を容易に製造できる。
【0042】
〔変形例5〕
上記第1、第2実施形態では、網目102の配列がジグザグ型であったが、アームチェア型又はカイラル型であってもよい。アームチェア型の配列とは、
図11に示すように、各網目102の正六角形の対向する頂点を結ぶ3本の対角線のうち1本の対角線が網体11の軸方向に対して垂直となって、これら網目102が柱面に沿って配列されていることをいう。すなわち、ジグザグ型の配列の正六角形を重心の回りに30度又は90度回転させると、アームチェア型の配列の正六角形の向き・姿勢になる。カイラル型の配列とは、
図12に示すように、各網目102の正六角形の上記3本の対角線が網体11の軸方向及び周方向の両方に対して斜めとなって、これら網目102が配列されていることをいう。
【0043】
〔変形例6〕
上記第1、第2実施形態では、網目102が正六角形状であるものとしたが、例えば三角形又は四角形等の他の形状であってもよい。
【0044】
〔変形例7〕
上記第2実施形態では、複数本の芯材13が網体11の内周面に沿って周方向に配列されている。それに対して、複数本の芯材13が網体11の外周面に沿って周方向に等間隔に配列されていてもよい。
【0045】
〔変形例8〕
上記第2実施形態では、各芯材13が複数本の芯材部品23の連結体である。それに対して、各芯材13が一体成型品であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…繊維強化樹脂補強コンクリート材
11…筒状の網体
12…コンクリート
13…芯材
21…筒状の網体部品
22…継手部